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検閲産業複合体:米国政府による国内検閲と偽情報宣伝活動へのテコ入れ 2016年-2022年(第3回)

<記事原文 寺島先生推薦>
The Censorship Industrial Complex by Michael Shellenberger
筆者:マイケル・シェレンバーガー(Michael Shellenberger)  2023年3月9日
<記事翻訳  寺島メソッド翻訳グループ>  2023年7月31日


検閲産業複合体

米国政府による国内検閲と偽情報宣伝活動へのテコ入れ
2016年―2022年

マイケル・シェレンバーガー証言
連邦政府の兵器化に関する議会選択委員会

2023年3月9日

1 Executive Summary(事業計画概要)
2 The Censorship Industrial Complex Today(今日の検閲産業複合体)
3 The Complex’s Disinformation Campaigns(検閲産業複合体の偽情報宣伝活動)
4 Ideology, Strategy, And Origins(思想、戦略、そして起源)
5 Key Events(鍵となる出来事)
6 Recommendations(お薦め)

* 今回は、「3  The Complex’s Disinformation Campaigns(検閲産業複合体の偽情報宣伝活動)」です。



3 検閲産業複合体の偽情報宣伝活動

 今日の検閲産業の多くの指導者や参加者は、陰謀論を含む偽情報の拡散や、正確な情報を信用できないものとして非難したり、正当な理論が陰謀論として否定されたと主張することに関与してきました。

1.トランプ・ロシア共謀陰謀説、2016年〜2019年

 検閲産業複合体の最初の大規模な偽情報宣伝活動は、ドナルド・トランプがウラジミール・プーチンそしてロシア政府と共謀して2016年の選挙を盗んだという陰謀論でした。

 ロシアのソーシャル・メディアの関わり、つまり、メールのハッキングと漏洩が2016年の選挙結果に何らかの影響を及ぼしたかについて、証拠は一切ありません。まして決定的な影響などあろうはずもありません。54 多くの中立的な分析家や民主党の戦略家たちも、ロシアのソーシャル・メディアは影響を及ぼしてはいないと信じています。55

 4つの主要な検閲組織のうち2つであるNew KnowledgeとGraphikaは、米上院情報特別委員会に、ロシアがトランプを選出したとする主張を学術論文として提出しました。彼らは、その証拠としてアメリカ国内で1,000万人がその広告を見た56ことを指摘したのです。

 「2016年のアメリカ合衆国大統領選挙に影響を及ぼしたロシアの偽情報作戦は決して終わっていない。ソーシャル・メディアを通じたロシアの介入は、・・・慢性的で広範囲に及び、識別可能な状態であり、我々は今それに積極的に対処しなければならない」57とディレスタ記者は2018年12月のニューヨーク・タイムズ紙に書いています。

 彼女の調査結果は広く尊重され、公表されました。元国家情報長官のジェームズ・クラッパーは、ロシアが選挙に影響を与えたという証拠を「驚天動地のこと」と呼びました。ペンシルバニア大学のコミュニケーション学教授であるキャサリン・ホール・ジェイミソンは、その証拠を指摘して、ロシア側の働きかけなしにトランプは大統領にならなかっただろうと結論づけました。58

 しかし、ロシアが2016年の選挙運動に何らかの影響を与えたという証拠は全くありません。ましてや、ロシアがトランプの当選に力を貸したなどというのは、一体どこからでてくるのでしょうか?ハーバード大学のバークマン・クライン・センターのロバート・ファリス、ハル・ロバーツ、そしてヨチャイ・ベンクラーは、2015年から2018年までの数百万の記事を、ネットワーク分析にかけて調査し、どのように読者がメディア報道に注目したかを測定し、内容の分析を行い、どのサイトがいつ何について書いたかを検討しました。そして、選挙で最も顕著な問題について詳細な事例研究をおこないました。「確かにロシア人の姿は見え、何かやろうとしていることも分かった。しかし、これらすべての事例において、偽情報を発信し、拡散するために重要な役割を果たしていたのは、アメリカの右翼メディアだと確認できた」とベンクラーは書いています。

 保守派の有権者は2016年において、ニュース・メディアに比べてソーシャル・メディアをあまり利用していませんでした。トランプの支持者の40%がFoxニュースを主な情報源として挙げた一方、Facebookを主な情報源としたのはわずか7%に過ぎませんでした。「ロシアが選挙を揺さぶったとする考えを広めようとする人々は、ロシアのFacebook投稿が約1億2600万人のアメリカ人に配信したという数字を引用することがよくあります。しかし、それは投稿の内容がFacebookのニュース・フィードと呼ばれる友達からの新情報が通知される欄に表示される利用者の数を指し示すものであり、実際にそれを見たかどうか、または何百もの他の投稿に埋もれて、あまり印象に残らなかったかどうかは問われません」。59さらに、ロシアの情報工作組織のページの投稿の56%は選挙後に出されたもので、25%は誰も見ていませんでした。60

 ディレスタの記事は誇張という病に冒されています。「オンライン・ソーシャル上の集団をいくつかの大きな集団に統合すれば、宣伝工作者は聞く耳を持つ視聴者を多数獲得することになる。そうなれば、何億もの人々に配信される情報を少しだけ覆い隠せばいいだけで済む。そして読んでもらいたい対象に正確に狙いを定めるのは、10年蓄積された詳細な利用者の閲覧行為の記録(広告を販売する事業で使用されてきたもの)を使えば可能であり、狙いを定めた集団に配信することは簡単で安上がりということになる(強調は筆者)」と彼女はTimes紙に書いています。61

 しかし、オンライン上で何億にもの人々に簡単かつ安価に配信できるなら、なぜもっと多くの人々がそうしないのでしょうか? なぜ政治家や企業が、視聴者に配信しようとして何千万ドルも費やさなければならないのでしょうか? なぜなら、それは簡単でも安くもないからです。製品や候補者をオンライン上で宣伝しようと試みたことがある人なら誰でも知っていることです。ロシア側があまり多くの人々に配信できなかったのはそういう理由があるからです。

 ロシアの工作員が画策したとされるDNC(民主党全国委員会)とヒラリー・クリントンの選挙対策委員長ポデスタ*の電子メールがハッキングにより漏洩した事件についてはどうなのでしょうか? ディレスタとTwitterのヨエル・ロスが、ジェイミソン教授に続いて言っていることですが、その電子メールの漏洩が知れ渡ったことで、「アクセス・ハリウッド」という番組で取り上げられた、トランプが女性の性器を掴むと豪語する様子が収められた音声記録が広まることが防がれた、というのです。「ポデスタの電子メールは、2016年10月7日にWikiLeaksによって公開された。それは「アクセス・ハリウッド」の音声記録が公開された後、1時間も経っていない。WikiLeaksがこのハッキングを公開した意図には、トランプの卑猥な発言が女性との性的不適切行為を暗示する恥ずべき話題から、明らかに、人々の注目を逸らすことがあった」とこれらのハーバードの学者たちが言っています。
* ジョン・デイヴィッド・ポデスタは、アメリカ合衆国の官僚。 シカゴ生まれ。1971年ノックス大学卒業。1976年ジョージタウン大学ローセンター修了、法務博士。1998年10月20日-2001年1月20日、ビル・クリントン政権2期目のアメリカ合衆国大統領首席補佐官。( ウィキペディア)

 しかし、この漏洩メールはほとんど影響を及ぼしませんでした。これらのハッキングされたメールは確かに人々の注目を集め、公開後の10日間で1日あたり150から400の記事が書かれましたが、それでも「アクセス・ハリウッド」音声記録からの注意を逸らすことには失敗しました。「アクセス・ハリウッド」音声記録については1日あたり2000から3000の記事が書かれたのです・・・クリントン陣営について触れた主流メディアおよび右派の国内報道の量と傾向を考慮すると、ロシアの宣伝活動が大きな違いをもたらした可能性は低いように思われます」。62

 学者やFacebookは、ロシアの影響をこんな風に極端に誇張することは、プーチンを助ける偽情報を生むことになり、少なくともプーチンに対する好意を得ようとする人々を助けることになり、アメリカ人をますます混乱させるだけだ、と警告しています。

 「ロシアの宣伝活動がアメリカ政治における偽情報の全能の源である、という考えを広めれば、私たちはまさに、彼らの次の第一目標を強化することになる:つまりそれは、混乱の種をまき散らすことだ」とハーバード大学のベンクラー教授は書いています。63

 2022年にFacebookはこう述べています。「これらの仕掛け人たちは・・・自たちが創り出す効果を誇張することに興味を持っている。だから、自分たちの支払い主になるかもしれない人たちの信頼性に磨きをかけるような知覚ハッキングに精を出すのだ」。64 それだから、外国の干渉の影響を誇張する人々は、さらに多くの経済的および政治的な動因を生み出そうとしているのかもしれません。

 これらの主張を問い詰められると、ディレスタや他の人々は、外国の干渉が起こっているという事実だけでも私たちは警戒すべきだと強調します。

 しかし、各国政府は何百年もの間、お互いの選挙に干渉してきました。1796年のアメリカ大統領選挙では、フランスが干渉しました。フランスの大使は公然と共和党を支持し、連邦主義者たちを攻撃し、アメリカとイギリスの間の貿易協定ジェイ条約(1793年の戦争の結果、締結された貿易協定)を拒否するよう、ジョージ・ワシントン大統領配下の国務長官に強く促しました。65

 アメリカ合衆国は、南ベトナムや日本、エルサルバドル、ハイチ、グアテマラ、ブラジル、イスラエル、レバノン、パナマ、イラン、ギリシャ、イタリア、マルタ、スロバキア、ルーマニア、ブルガリア、アルバニア、スリランカ、そしてフィリピンに対して秘密裏に選挙へ影響を与えようとしました。66

 私がそういう歴史的な文脈を持ち出したのは、他国の選挙への干渉を正当化するためではありません。むしろ、そのような主張は今も昔も度が過ぎていることを示したいからです。要は、一般的に有権者の意見を変えるのは難しいということです。そして、外国の仕掛け人は通常、国内の仕掛け人よりも、そのようなことを実現する能力が遥かに劣ります。国内の仕掛け人は(外国の仕掛け人より)はるかに多くのことが身に降りかかるし、自国の政界の微妙な潮流を理解しているからです。

 最後にひとつ補足します。ロシア・トランプ陰謀説の提唱者たちは自分たちが言っていることを本当に信じていたのか、それとも単に検閲の口実として使っていたのか、私にははっきりとは分かりません。

2. COVIDの実験室漏洩説の信頼性を失わせる試み、2020-2021

 2つ目の大きなアメリカ人向け偽情報宣伝活動は、2020年2月に始まりました。そして、COVIDウイルスが中国の研究所に起源を持つという仮説は「その嘘が明らかになった陰謀論」とされたのです。しかし、この仮説は、実際は、ウイルスが野生動物から人間に跳び移る理論と同じくらいの合理性はいつも持っていました。この偽情報宣伝活動は、アメリカ国立衛生研究所(NIH)長官のフランシス・コリンズとNIAID(国立アレルギー感染症研究所)のアンソニー・ファウチによって進められました。ファウチはCOVIDに対する米国政府の対応の監督者でした。入手可能な電子メールによれば、少なくとも2人の主要な研究者が、2020年2月、コリンズとファウチに対して、実験室からの漏洩は可能であり、おそらくそれが事実だ、と伝えています。コリンズとファウチは、公には実験室漏洩説を陰謀論として一蹴したものの、それが事実であることを知っていたようです。これは、米中の協力関係を傷つけることを恐れた、あるいは、オバマによる米国内での禁止を受けた後、ファウチはこの研究を武漢に移管したことで自分が動いているので、このパンデミックで自分の名前が出されることを恐れたのかもしれません。67

3. ハンター・バイデンラップトップ陰謀理論、2020-2021

 2020年に発生した3つ目の大きな偽情報宣伝活動は、ジャーナリスト、ソーシャル・メディアの幹部、そしてアメリカ人を説得することを目指していました。その宣伝活動は、ハンター・バイデンのラップトップがロシアの「ハッキングと漏洩」作戦を通じて公になったのであり、実際にはコンピュータ修理店の店主を介して公になった(ニューヨーク・ポスト紙、2020年10月14日の報道)のではない、というものでした。68

 スタンフォード・インターネット監視局は、「ペンタゴン・ペーパーズ」が1971年に公開されて以来の倫理を捨て、代わりに「ハッキングと漏洩」の実行者に焦点を当てるようニュース・メディアに呼びかける報告書を発表しました。69 アスペン協会は、2020年の夏、10月14日の公開前の数ヶ月に、FacebookとTwitterの最高の検閲担当者、およびニューヨーク・タイムズ紙、ワシントン・ポスト紙、CNNの国家安全保障担当記者に対して、ハンター・バイデンに関連する「ハッキングと漏洩」に関する報道を形成するための「卓上演習」を主催しました。これは「事前に反駁する(pre-bunking operation)」作戦だったのかもしれません。

 検閲産業複合体による事実情報の信憑性を失わせる最も大きな事件は、ハンター・バイデンのラップトップに対する「事前反駁(prebunking)」でした。70 情報機関(IC)の代表者による組織的な取り組みの強力な証拠があり、ニュースやソーシャル・メディア会社の上級幹部を対象に、ハンター・バイデンに関する漏洩情報を公開する前後に信憑性を失わせることを狙っていました。

 2020年、一年中をかけて、FBIやその他の法執行機関は繰り返し、Twitterのサイト統合部門の責任者(後に安全保障および信頼性の責任者となった)ヨエル・ロスに対し、ハンター・バイデンのラップトップに関する報道をロシアの「ハッキングと漏洩」作戦として一蹴するよう指導しました。次はロスが2020年12月に行った宣誓供述書からのものです:

これらの週次会議の間、連邦法執行機関は、州の仕掛け人による「ハッキングと漏洩の作戦」が2020年の大統領選挙直前の期間、おそらく10月に発生する可能性があると伝えました。これらの会議で私に伝えられたのは、情報機関が政治宣伝活動に関連する個人がハッキング攻撃の対象となると予想しており、そのハッキング攻撃で入手された素材がおそらくTwitterを含むソーシャル・メディアを通じて広められるだろうということでした。ハッキングと漏洩作戦の予想については2020年中に議論されました。また、これらの会議で、ハンター・バイデンを絡める可能性のあるハッキングと漏洩作戦についての噂があることも知りました。

 最高経営責任者のマーク・ザッカーバーグによれば、FBIは、Facebookに対しても同様のことをしました。「要するに、FBIが私たちのところに来て、『ねえ・・・高度な警戒態勢を取るべきですよ。2016年の選挙ではロシアの宣伝活動が多かったと私たちは思っています。同様の情報が投入されようとしているのです』と言ってきました」。

 それでいて、FBIがハンター・バイデンに関連するロシアのハッキングと漏洩作戦についての警告は、新しい情報に基づいているわけではありませんでした。「私たちの調査を通じて、2016年に起こったものと同様の競合する侵入は見られませんでした」とFBI捜査官のエルヴィス・チャンが2022年11月に認めています。

 確かに、Twitter社の幹部は繰り返し、ロシアの活動は非常に少ないと報告していました。例えば、2020年9月24日に、TwitterはFBIに対して、以前のロシアの協調的ハッキング試みに関連する345件の「ほとんど活動していない」アカウントを削除したと伝えました。これらのアカウントは「それほど配信は多くなく、フォロワーも少なかった」とのことです。71

 実際、Twitterの職員は定期的に、Twitter上に出た外国の影響に関する主流メディアのジャーナリストたちの主張の誤りを正していました。#dcblackout(ワシントンが停電になったという)偽情報拡散活動が外国のボットによって推進されていると示唆する記事に対して、ヨエル・ロスはエルヴィス・チャンに宛てた電子メールで、「その主張を裏付ける証拠は見当たりませんでした」と書いています。72 FBIが、共和党支持のツイートにおける外国の影響に関するワシントン・ポスト紙の記事について尋ねた際、ロスは「この記事は多くの当てこすり的な言葉遣いはあります・・・が、それが事実だという証拠は見当たりませんでした(実際、反対の方向を示す強力な証拠がたくさんありました)」と述べました。73

 FBIからTwitterへの圧力は強くなっていました。「IC(情報機関)は、(連携したものではないにしても)、私たちに対して情報をより多く共有し、API*指針を変更するように促す持続的な取り組みはずっとあります」と、Twitter社上級幹部は不平を述べました。「彼らはあらゆる手段で調査したり、圧力をかけようとしています(議会職員にひそひそと話しかけることもします)」74
*アプリケーション・プログラミング・インターフェース。ソフトウェアやアプリケーションなどの一部を外部に向けて公開することにより、第三者が開発したソフトウェアと機能を共有できるようにしてくれるもの。

 Twitter社が抵抗しても、FBIは繰り返し、Twitterが既に通常の法的経路外では共有しないと明確にしている情報をTwitterに要求しました。

 最近、Twitterのロスは技術ジャーナリストのカラ・スウィッシャーに対して、ハンター・バイデンのラップトップのニュースが出る前にロシアのハッキンググループAPT28について考えるように指導されていた、と述べました。それが実際に出た時、ロスは「APT28のハッキングと漏洩宣伝活動の警報が完全に作動した」と語りました。75

 ジム・ベーカーは元FBIの総顧問(2014年から2018年)であり、アメリカの情報機関で最も影響力のある人物の一人です。ベーカーは30年にわたり政府との往来を繰り返し、CNN、ブリッジウォーター(1400億ドルの資産運用会社)、そしてブルッキングス研究所で勤務してきました。FBIの総顧問として、ベーカーはドナルド・トランプの捜査を内部で推進する中心的な役割を果たしました。

 ベーカーはトランプの捜査に関与した唯一のFBI上級幹部ではありませんでした。トランプの捜査を開始したFBI長官ジェームズ・コミーの元副官であるドーン・バートンもTwitterに入社しました。彼女は2019年に戦略部門の部長としてTwitterに入社しました。

 2020年時点で、Twitterには元FBI職員(「Buの卒業生(Bu alumni)」)が非常に多く働いていたため、彼らはSlack上に独自の私的なチャンネルを作成し、新たにFBI出身者が入社する際の手引き資料を用意していました。76

 10月14日、ニューヨーク・ポスト紙がハンター・バイデンのラップトップの記事を公開した直後、ロスは「これは明確に私たちのハッキングされた資料方針に違反しているわけではないし、他の何かにも明確に違反しているわけではない」と述べましたが、「これにはかなり微妙な漏洩作戦が感じられる」と付言しました。77

 ロスの発言に対して、ベーカーは繰り返し、ハンター・バイデンの資料は偽造されたものであり、ハッキングされたものであり、Twitter社の方針に違反していると主張しました。ベーカーはこれを2020年10月14日と15日のメールやGoogleドキュメントに載せました。ハンター・バイデンのメールが偽造されたものか、ハッキングされたもののいずれか、とベーカーが本気で考えていたとは思えません。ニューヨーク・ポスト紙はハンター・バイデンによる署名付きの領収書の写真を掲載しており、FBIの召喚状も2019年12月にFBIがラップトップを押収したことを示しています。

 結局、午前10時まで、Twitterの幹部たちはハッキングと漏洩だという物語を信じ込んでいました。「専門家の示唆(真実らしい)は、 別々に発生したハッキングがあり、それらのハッキングされた資料がデラウェア州の修理店に魔法のように現れたラップトップに読み込まれたというものです」とロスは記述しました。78


<原註>
54 Jane Mayer, “How Russia Helped Swing The Election For Trump,” The New Yorker, Sept 24, 2018, https://www.newyorker.com/magazine/2018/10/01/how-russia-helped-toswing-the-election-for-trump.
55 See for instance, Yochai Benkler, “The Russians didn’t swing the 2016 election to Trump. But Fox News might have,” Washington Post, Oct 24, 2018, https://www.washingtonpost.com/outlook/2018/10/24/russians-didnt-swing-election-trumpfox-news-might-have/ .
56 Elliott Schrage, “Hard Questions: Russian Ads Delivered to Congress,” Meta, Oct 2, 2017, https://newsroom.fb.com/news/2017/10/hard-questions-russian-ads-delivered-tocongress.
57 Renee DiResta, “What We Now Know About Russian Disinformation,” New York Times, Dec 17, 2018, https://www.nytimes.com/2018/12/17/opinion/russia-reportdisinformation.html.
58 Yochai Benkler, “The Russians didn’t swing the 2016 election to Trump. But Fox News might have.” Washington Post, reprinted by Stamford Advocate, Oct. 24, 2018, https://www.stamfordadvocate.com/opinion/article/The-Russians-didn-t-swing-the-2016- election-to-13333223.php
59 Yochai Benkler, “The Russians didn’t swing the 2016 election to Trump. But Fox News might have.” Washington Post, reprinted by Stamford Advocate, Oct. 24, 2018, https://www.stamfordadvocate.com/opinion/article/The-Russians-didn-t-swing-the-2016- election-to-13333223.php.
60 Elliott Schrage, “Hard Questions: Russian Ads Delivered to Congress,” Meta, Oct 2, 2017, https://newsroom.fb.com/news/2017/10/hard-questions-russian-ads-delivered-tocongress.
61 Renee DiResta, “What We Now Know About Russian Disinformation,” New York Times, Dec 17, 2018, https://www.nytimes.com/2018/12/17/opinion/russia-reportdisinformation.html.
62 Yochai Benkler, “The Russians didn’t swing the 2016 election to Trump. But Fox News might have.” Washington Post, reprinted by Stamford Advocate, Oct. 24, 2018, https://www.stamfordadvocate.com/opinion/article/The-Russians-didn-t-swing-the-2016- election-to-13333223.php.
63 Yochai Benkler, “The Russians didn’t swing the 2016 election to Trump. But Fox News might have.” Washington Post, reprinted by Stamford Advocate, Oct. 24, 2018, https://www.stamfordadvocate.com/opinion/article/The-Russians-didn-t-swing-the-2016- election-to-13333223.php
64 Ben Nimmo, “Meta’s Adversarial Threat Report, Fourth Quarter 2022,” Meta, Feb 23, 2023, https://about.fb.com/news/2023/02/metas-adversarial-threat-report-q4-2022. 65 Paul Baines and Nigel Jones, “Influence and Interference in Foreign Elections: The Evolution of its Practice,” RUSI Journal 163, no. 1 (2018): 12-19, doi:10.1080/03071847.2018.1446723, https://files.core.ac.uk/pdf/23/188364950.pdf.
66 Dov H. Levin, “Partisan Electoral Interventions by the Great Powers: Introducing the PEIG Dataset,” Conflict Management and Peace Science, 36 (1): 88-106 (2019), https://www.dovhlevin.com/datasets. Shellenberger Testimony March 9, 2022 p. 59
67 Andrew Mark Miller, “Fox News Special Report outlines fresh questions on what Fauci, government knew about COVID origin,” Fox News, Jan 25, 2022, https://www.foxnews.com/politics/special-report-outlines-fresh-questions-on-what-faucigovernment-knew-about-covid-origin
68 Emma-Jo Morris and Gabrielle Fonrouge, “Smoking-gun email reveals how Hunter Biden introduced Ukrainian businessman to VP dad,” New York Post, Oct 14, 2020, https://nypost.com/2020/10/14/email-reveals-how-hunter-biden-introduced-ukrainian-bizman-to-dad/.
69 Janine Zacharia and Andrew Gotto, “How to Report Responsibly on Hacks and Disinformation,” Stanford Cyber Policy Center, accessed Mar 8, 2023, https://fsi-live.s3.uswest-1.amazonaws.com/s3fs-public/full_report_download_- _how_to_report_responsibly_on_hacks_and_disinformation.pdf.
70 Michael Shellenberger (@ShellenbergerMD), “In Twitter Files #7, we present evidence pointing to an organized effort by representatives of the intelligence community,” Twitter post, Dec 19, 2022, 10:13 am, https://twitter.com/ShellenbergerMD/status/1604872517927153669.
71 Anonymous Twitter employee, email to Elvis M. Chan, “Update on Russian Accounts,” Sept 24, 2020, cited by Michael Shellenberger (@ShellenbergerMD), “15. Indeed, Twitter executives *repeatedly* reported very little Russian activity,” Twitter post, Dec 19, 2022, 10:57 am, https://twitter.com/ShellenbergerMD/status/1604883686855299072?s=20&t=npbe_XSWYXEy zbx8WqI33g.
72 Yoel Roth, email to Elvis M. Chan, “RE: [SOCIAL NETWORK] Twitter referral,” June 2, 2020, cited by Michael Shellenberger (@ShellenbergerMD), “16. In fact, Twitter debunked false claims by journalists of foreign influence on its platform,” Twitter post, Dec 19, 2022, 11:06 am, https://twitter.com/ShellenbergerMD/status/1604885848398254080.
73 Yoel Roth, email to Elvis C. Chan, “Re: Twitter Account Inquiry: @WentDemtoRep,” Aug 31, 2020, cited by Michael Shellenberger (@ShellenbergerMD), “17. After FBI asks about a WaPo story on alleged foreign influence in a pro-Trump tweet,” Twitter post, Dec 19, 2022, 11:11 am, https://twitter.com/ShellenbergerMD/status/1604887121700929541.
74 Carlos Monje, Jr., email to Yoel Roth, “OGA Query,” Jan 2, 2020, cited by Michael Shellenberger (@ShellenbergerMD), “19. Pressure had been growing,” Twitter post, Dec 19, 2022, 11:16 am, https://twitter.com/ShellenbergerMD/status/1604888429816209409. 75 Yoel Roth, interview by Kara Swisher, On with Kara Swisher, podcast audio, Nov 29, 2022, accessed through Brian Fung, “Twitter is less safe due to Elon Musk’s management style, says former top official,” CNN Business, Nov 30, 2022, https://www.cnn.com/2022/11/29/tech/yoel-roth-twitter-elon-musk/index.html.
76 Matthew Williams, email to Jim Baker and Dawn Burton, June 15, 2020, cited in Michael Shellenberger (@ShellenbergerMD), “29. As of 2020, there were so many former FBI employees,” Twitter post, Dec 19, 2022, 11:44 am, https://twitter.com/ShellenbergerMD/status/1604895371360374784.
77 Yoel Roth, email to anonymous, “Re: [for your awareness] New York Post Article / Action from FB,” Oct 14, 2020, cited by Michael Shellenberger (@ShellenbergerMD), “34. On Shellenberger Testimony March 9, 2022 p. 60 Oct 14, shortly after @NYPost publishes its Hunter Biden laptop story,” Twitter post, Dec 19, 2022, 12:04 pm, https://twitter.com/ShellenbergerMD/status/1604900581809614848.
78 Yoel Roth, email to SCALE legal and others, “Re: [for your awareness] New York Post Article / Action from FB,” Oct 14, 2020, cited by Michael Shellenberger (@ShellenbergerMD), “38. By 10 am, Twitter execs had bought into a wild hack-and-dump story,” Twitter post, Dec 19, 2022, 12:18 am, https://twitter.com/ShellenbergerMD/status/1604904052126404608.
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<記事原文 寺島先生推薦>
How the Pentagon Conducted Biological Warfare, Human Experimentation on the World on Behalf of Big Pharma
出典: INTERNATIONALIST 360°2023年7月18日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>   2023年7月30日





記者会見でウクライナやその他の国々において行われていた生物兵器に関する米国の活動について語るロシアの放射線・化学・生物防衛部隊隊長のイゴール・キリロフ中尉。 (訳註:キリロフ氏の発言は青色で示しました。)

 ロシア国防省は、ウクライナやその他の国々おける米国の生物兵器に関する活動についての分析を継続している。

 西側による厳格な検閲にもかかわらず、我が国が提示した情報が、外国の報道機関で取り上げられるようになってきたことを、お伝えしたい。



 タイムズ誌、ガーディアン紙、ニューヨーク・ポスト紙、スカイ・ニュースなど世界的に権威のある通信社が、最も人目を引く話題についてのいくつかの記事を出している。具体的には米国の生物研究所における安全基準違反、ボストン大学出の病原菌の機能強化実験、ウクライナで完遂できなかった研究計画の他の国々の領内への移転、などだ。

 同時に、米国国務省は、活発な情報および宣伝作戦に着手し、米軍の生物研究者らが、「米国は生物兵器禁止条約を逸脱している」というロシアからの非難を無力化しようとしている。米国の管理下にある国際科学技術センター(ISTC)が、この努力において重要な役割を果たしている。

 この組織は、ウクライナにおける米国の生物研究所に関する情報に対抗するインターネット上の活動に資金を出し、旧ソ連領内での米国政府によるこれらの計画にいい印象を抱く世論の育成につとめている。このISTCという組織は、米国のコンサルティング(助言提供)会社である、「木馬作戦(Wooden Horse Strategies)」という会社と契約を結んでいる。この契約により、少なくとも月に8回、関連した話題に関する投稿を行っており、さらにはこの件に関する「親露」派のオンライン上の投稿を監視し、アクセスを閉鎖するなど、即座の対応を取っている。



 さらに、ウクライナでの米国による生物研究活動については、米国内の一般市民や政治家たちからますます多くの疑問の声が上げられている。

 例えば、米国の大統領候補であるロバート・ケネディ・ジュニア氏は、米国政府による生物兵器に関わる活動を激しく批判しました。

 ケネディ氏の発言によると、ニクソン元米大統領は、1969年に生物兵器計画の終了を一方的に宣言したが、当時存在していた開発事業が全廃されることはなかった、と言います。

 米国の軍の上層部の関与を排除するために、すべての利用可能な情報や資料は米国国立衛生研究所に移送されました。

 ケネディ氏は、生物兵器に関連した工作の実行における中央情報局の役割を強調しました。その最初の工作が、「紙ばさみ作戦」でした。この作戦のために、日本やナチスドイツの専門家らが第2次世界大戦後米国に連行され、軍の生物研究における「これまでの体験を移行」するよう命じられました。この作戦の目的は以下のとおりでした。(引用開始):「 兵器の実験計画の開発するため、これまで唯一生物兵器を使った体験がある日本の科学者たちを連行した」(引用終わり)


 覚えておいていただきたいのは、日本の生物兵器開発者らが生物製剤使用問題に特別な注意を払っていた点だ。さらには、節足動物媒介性の病気の伝染と拡散についても注目していた。

 この点において、米国国防省の研究施設が、感染学上重要な感染病を媒介する蚊やダニの主要な種に関心を持っていることは偶然の一致ではない。具体的には、リフトバレー熱、西ナイル熱、デング熱などだ。

 前述の通り、このような研究は、米国内や外国にある研究施設などの専門施設で行われている。これらの研究施設では、100種以上の蚊やダニが研究対象として集められている。ビル&メリンダ財団が資金提供している生物工学会社のオキシテック社のような民軍両目的に使われている施設で、媒介動物が大量生産されている可能性がある。



 米軍の専門家らは、自然の生息地で収集された媒介動物を適応させ成長させるための技術を首尾よく習得した。彼らが開発した方法を使えば、実験室でアルボウイルスに感染した蚊やダニを生産することができる。

 注意していただきたいのは、上記のような研究活動が行われれば、病気の流行状況の悪化や、媒介動物の生息地の拡大につながりかねないことだ。つまり、自然界での病巣感染が、人工的に作られるということを言っている。媒介動物の拡散が制御されていない状況から考えると、国や地域全体が流行に巻き込まれる可能性がある。

 例えば、南欧と中欧において、その地域にはもともと生息していないアジア原種のトラ蚊の数の増加が記録されている。ドイツでは、このトラ蚊の個体群が定着していることが、5つの連邦区で確認されている。さらに、西ナイル熱の媒介者である別の蚊種(アカイエカ)がスウェーデンとフィンランドで確認されている。

 同時に、動物が媒介しない感染病の発生率の増加がEU諸国で認められた。欧州疾病予防管理センターによると、2022年にヨーロッパでは過去10年間よりも多くのデング熱感染者が記録されたという。

 西ナイル熱の発生率も頂点に達し、1000人以上が感染し、そのうち92人が死亡した。蚊に刺されたことにより感染するジカ熱感染があったことが、フランスで初めて記録された。
 
 つまり、米国の軍生物研究者たちの活動目的は、「人工的に感染病の流行を作り出すこと」であり、生物兵器禁止条約(BTWC)の枠組みや国連事務局の仕組みの中で生物兵器を使用しているという事実調査から統制されない状態にあるということです。

 ロシアによる特別軍事作戦が進行する過程において、米国防相がウクライナ領内で行っていた専門的な研究活動が確認できる多くの文書が発見されました。


 以前、ウォルター・リード軍事研究施設についてすでにお伝えした。その報告によれば、多くの支所を有しているこの軍事研究施設は、感染学上重要な病原体の「供給源」となっているとのことだった。諸文書により確認がとれていることだが、この施設の職員の参加のもと、2014年から2020年の間のドンバスでの戦争期に、ウクライナ国民AFU(ウクライナ軍)の軍人たちから生体材料が回収されていた事実も明らかにされた。

 今日私は、米国海軍生物兵器研究所(NAMRU)について詳しく記したい。海軍所有の7つの生物兵器研究上の中の3カ所が、米国外に置かれている。それは、イタリア、カンボジア、ペルーである。NAMRUの組織は、感染が懸念される地域に位置する駐在所や相互結合された支所が基盤となっている。

 プノンペンにあるアジア支所のNAMRU-2だけで、年間5千点以上の病原菌の標本を分析しており、同じほどの数の生体材料が、南米で回収されている。

 NAMRU-6支部では、2023年4月以来、民間施設であると装いながら、疾病管理予防センター・ラテンアメリカ支所の支援のもと、研究活動が行われている。

 NAMRU-6支部での研究活動はアルゼンチンにまで拡大される見込みである。アルゼンチンには、同施設の研究所のひとつが、生物研究施設の安全度を表す最大基準のBSL(Bio Security Level)-4に格上げされることになっている。この新たな施設での研究の訓練が、米国の非政府組織である「健康安全協会(Health Security Partners)」により施されている。



 NAMRU-3支部は、2019年、 イタリアのシゴネラ空軍基地に設置された。同時に、昆虫学者や微生物学者や感染病の医師らを含むこの研究所の職員は、エジプトやガーナ、ジブチで、非常に危険な感染症(エボラ熱、デング熱、マラリア)の自然界の病巣に関する研究をおこなっている。

 注意しておくべきことは、イタリア駐在の海軍生物兵器部隊が米国の3つの戦略軍の支援をしていることです。中央戦略軍、欧州戦略軍、アフリカ戦略軍です。そしてこの部隊の主要な使命は、CITATA、つまり「軍事的に重要な疾病の研究、監視、検出」なのです。

 つまり、NAMRUの外国諸支所の研究活動組織は、米国の国家利益や国家戦略、生物学上の安全面における計画文書と完全に合致しており、その目的はNATO軍が駐留している地域での生物学研究の状況を管理することにある、ということです。


 同時に、NAMRUの海外諸支所での研究活動は、病原体の収集や輸出にとどまらない。

 再び、国防総省は米国の巨大製薬企業の利益拡大を促進しようとしているのだ。これらの巨大製薬企業は民主党候補の選挙運動の主要な資本提供者となっている。

 米国内務相が「公用」という印を付けた文書を見ていただきたい。この文書は、ロシアによる特別作戦により解放されたウクライナ領内で入手されたものだ。日付は2015年と記載されており、ウイルス性の熱病に対する臨床医療行為の体制に関するものだった。この文書の著者の一人に、米軍感染症研究所の職員がいたのだが、この文書によると、米軍が駐留する世界各地で新薬の検査をするために、素早い対応ができる移動部隊の創設が計画されていた。

 この計画の中には、移動式研究施設の設立や、医療従事者に対する訓練も含まれていた。そして、ヒトに対する臨床実験や医療製品の登録申請についての標準的な対処法が開発されていた。

 活動の手順は米国のアフリカ戦略軍の管轄地域において実行され、その後NAMRUのすべての海外支所に拡大されるものであると考えられていた。

 つまり、国防総省が計画していたのは、米軍を利用して、当該地域の住民を対象に、まだ登録されていない医療製品の臨床実験を行い、その後で規制当局から承認をうけることで、いわゆる「巨大製薬業界」に利益をもたらそうとしていた、ということです。

 下部組織である複数の生物研究所やメタバイオータ社などの中間組織の繋がりを利用して、これらの目的を達成することが、提起されていました。


 もうひとつ注目していただきたいのは、メタバイオータ社の商品申込書に「機密書類」と記載されていたことだ。この書類はウクライナ国内の生物研究所のひとつで見つかったものだ。 宛先は、米軍の感染症研究施設であり、ケニアとウガンダの感染症専門家の訓練に関するものだった。

 この文書が示しているのは、米国国防脅威削減局(DITRA)や国土安全保障省国際開発省、多くの欧州関連組織がアフリカ大陸のこれらの国々での病原菌の研究に絡んでいることだ。



 メタバイオータ社がH7N9鳥インフルエンザウイルスの研究に関わっていた事実や、さらには同社が「プレディクト計画」において主導的な役割を果たしていた事実が確認されました。この計画は、新種のコロナウイルスや自然界でそのウイルスを媒介している捕獲されたコウモリの研究をおこなうものでした。

 当サイトで何度も取り上げてきたとおり、メタバイオータ社は、米国現大統領の息子のハンター・バイデンや政府諸組織と繋がりがある。同時にメタバイオータ社の複数の代表者自身が認めていることだが、実際この会社は国防総省やその他の米国の外国の諸機関の活動を確実に行うための繋がりに加わっていたのだ。



 ウクライナ科学技術センター(USTC)やその他の米国国防省の契約組織の構成員らは、この活動に積極的に関わっていた。

 当サイトは今後、米国の生物兵器計画において、これらの組織が果たしてきた役割についてのさらに詳しい内容を焦点的に追いかける所存だ。次回は、これらの研究が、世界の多くの地域で感染状況の悪化に繋がった点を取り上げる。
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中国がアメリカを追い越す― NATO加盟国ハンガリー首相の主張

<記事原文 寺島先生推薦>
China overtaking US – NATO member’s PM
出典:RT   2023年7月22日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年7月30日



ファイル写真 © Global Look Press / ゲンター・フィッシャー


世界の勢力均衡は変わりつつあり、ワシントンはその覇権が終わりつつあることを受け入れなければならない、とヴィクトール・オルバン首相は語った。

 世界はここ数十年で最大の勢力転換に直面しており、アメリカはその主導的地位を中国に奪われようとしている、とハンガリーのヴィクトール・オルバン首相は土曜日(7月22日)に述べた。

 米国が永遠に「勝者」ではあり得ないことを受け入れない限り、それはワシントンと北京の間に大きな対立をもたらす可能性がある、とオルバン首相は警告した。

 「(中国)は製造大国となり、今やアメリカを追い越そうとしている」と、オルバン首相はルーマニアの東部トランシルヴァニア地方にあるバイレ・トゥスナドという町での年次演説で語った。

 ハンガリーの首相は、中国はわずか30年で、西洋が3世紀かけて成し遂げた産業革命を成し遂げたと述べ、アメリカは世界唯一の超大国としての地位に「さよなら」を告げようとしていると付け加えた。

 北京はまた、ワシントンが普遍的なものとして描こうとしている価値観に挑んでいる、とオルバン首相は語った。同首相は、中国はアメリカの価値観を 「敵対的イデオロギー」 とみなしているとし、「その考えには一理ある」とも述べた。



 <関連記事>アメリカはウクライナ紛争を即座に止めることができるはずだ --- ハンガリー

 このような展開は、いつまでも「世界の頂点に立ち続けたい」ワシントンと相容れないことは間違いない、とオルバン首相は警告した。彼は、既存の覇権に挑戦しようとする試みは、人類の歴史上、何度も大きな紛争を引き起こしてきたと語った。そして、「永遠の勝者と永遠の敗者は存在しない」と付け加えた。

 2つの大国の衝突はあり得るが、避けられないものではない、とハンガリーの首相は考えている。世界は新たな均衡を見つける必要があり、対立する2つの当事者はお互いを対等な存在として認めるべきだと彼は言う。主要国は、「今日、アメリカの支配の代わりに、空に2つの太陽があることを受け入れなければならない」とオルバン首相は付け加えた。

 彼はまた、ヨーロッパの将来について厳しい見通しを示し、世界経済における支配的な地位を失おうとしている、と述べた。オルバン首相は、このような事態を招いたのは西側の反ロシア政策だと非難した。EUはすでに「豊かだが、弱い」状態にあり、ロシアへの制裁を断行した結果、競争上の優位性をさらに失うことになると付け加えた。



 <関連記事>弱い国家は滅びる --- オルバン

 様々な制裁によってロシアを世界経済から切り離すことができるという考えは「幻想」だと彼は警告した。EUはすでにその誤った決断の結果を目の当たりにしている、とオルバン首相は言い、「他国が我々の代わりにロシアのエネルギーを購入し、我々はかつてないほど多くのエネルギー代を払っている」と付け加えた。

 オルバン首相によれば、イギリスとイタリアは世界の経済トップ10から脱落し、ドイツは現在の4位から10位に転落するという。制裁に関するあらゆる美辞麗句にもかかわらず、ヨーロッパ経済のかなりの部分は依然としてロシアとつながっている、と彼は述べた。

 モスクワとキエフの対立が続く中、ハンガリーは西側の政策に対する主要な批判者の一人として浮上している。ブダペストはウクライナの停戦と和平交渉を繰り返し要求し、EUがキエフに武器を送っていることを批判してきた。6月、オルバン首相はドイツのタブロイド紙『ビルト』に対し、戦場でのウクライナの勝利は 「不可能」 だと語った。ハンガリーはまた、反ロシア制裁はロシアを傷つける以上にヨーロッパを傷つけていると主張している。
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プーチン大統領、ウクライナとベラルーシに対するポーランドの意図を警告

<記事原文 寺島先生推薦>
Putin warns of Poland’s intentions in Ukraine and Belarus
出典:RT   2023年7月21日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>   2023年7月30日



ロシアのウラジーミル・プーチン大統領© Alexander Kazakov ; RIAノーボスチ


ポーランド政府はウクライナ西部の制圧を目指しているとロシア大統領が主張

 ポーランドの支配者層は、NATOの支援のもとの連合を結成してウクライナへの介入を計画しているが、その目的は、ウクライナ西部の一部だけではなく、おそらくはベラルーシをも占領しようというものだ、とロシアのウラジーミル・プーチン大統領は金曜日(7月21日)、主張した。

 プーチン大統領はロシア安全保障理事会の常任理事国との会合で、キエフ当局は自国民を売り渡したり、ウクライナ領土を「外国の所有者」に引き渡したりするなど、権力を維持するためならどんな手段も厭わない、と述べた。

 ロシア大統領によれば、その第一候補はポーランドだろうとし、同大統領は「ポーランドはおそらく『NATOの傘』の下で何らかの連合を結成し、その後ウクライナ紛争に直接介入しようとするでしょう。その目的はウクライナからより広大な領土を『引き離す』ことにあります。それは、ポーランドからみれば歴史的には自国領だと考えられている領土を取り返すということです。それが、今日のウクライナ西部です」と述べた。

 金曜日の会談中、ロシア対外情報局(SVR)のセルゲイ・ナルイシキン長官も、ポーランド政府がポーランド・リトアニア・ウクライナの安全保障構想の一環として、同地域に独自の軍隊を派遣してウクライナ西部領土を占領することを検討していると主張した。

 ナルイシキン長官によれば、ポーランド当局者らは、ウクライナ側に送られた西側の軍事援助の額に関わらず、「ウクライナの敗北問題は時間の問題だ」という認識を徐々に持ち始めている、という。



 関連記事:ポーランド、ベラルーシ国境に軍隊を配備

 SVRの報告書について発言したプーチン大統領は、そのような連合の真の目的はウクライナ領土を占領することだけである、と示唆した。「見通しは明らかです。もしポーランド軍部隊が例えばリヴォフやウクライナの他の領土に入ったとすれば、その部隊はそのままそこに駐留するでしょう。その後も永遠にそこに駐留するでしょう。」

 プーチン大統領はまた、ポーランド政府がベラルーシ領土の一部の領有権も主張することを「夢見ている」のは「よく知られている」と述べた。

 しかし、ロシアの指導者であるプーチン大統領は、ウクライナには自国の領土を望むだけ売却する権利があるが、ロシアの連合国であるベラルーシに関しては、その一部に対するいかなる侵略もロシアに対する侵略を意味する、と警告した。

 プーチン大統領は「我が国はあらゆる手段を使ってこの動きに対応します」と述べた。
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ストックホルムでのコーラン冒涜事件を理由に、スウェーデン大使がバグダッドから追放される

<記事原文 寺島先生推薦>
Western diplomat expelled over Quran desecration
出典:RT   2023円7月21日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年7月29日



2023年7月20日、ストックホルムのイラク大使館前で警察に護送される抗議者のサルワン・モミカ容疑者© Caisa Rasmussen / TT via AP


今週、バグダッドのストックホルム大使館も抗議者らに襲撃された。

 イラク政府は、スウェーデン大使をバグダッドから追放し、ストックホルム駐在の全権大使にイラクへの帰国を命じた。この措置は、スウェーデン政府が、イラク大使館前での活動家らの抗議活動を黙認したことに対する怒りを表明するものだった。この抗議活動の際、これらの活動家は、コーランの写本を踏みつけ、蹴るなどの行為を行っていた。

 イラクのモハメド・シア・アル・スダニ首相府は木曜日(7月20日)の午後、この決定を発表し、この決定を下した理由は、スウェーデンが「聖コーランの焼却を繰り返し許可した」ことに加え、「イスラムの神聖性に対する侮辱と、イラク国旗の焼却を許した」ためだ、とした。

 アル・スダニ首相は外務省に対し「イラク臨時代理大使をストックホルムのイラク共和国大使館から帰国させる」よう指示し、また「バグダッド駐在のスウェーデン大使にイラク領土から離れるよう指示した」という声明を、バシム・アラワディ政府報道官が出した。



 関連記事:コーランを燃やすという侮辱行為を行ったことへの抗議活動として、NATO加盟を申請中のスウェーデン大使館が放火される

 この大使追放劇は、両国間で外交上の問題が生じている最中に起こったものだ。その問題とは、先月ストックホルムで起こった、イラク国籍を持つ男性が、イスラム教の聖典に火をつけることを警察が黙認した事件に端を発する。また、イラク大使館前で行われた集会において見られた同じような行為も許されていたことを受けてのものだ。

 木曜日には大使館で小規模な抗議活動がおこなわれたが、AP通信によると、デモ参加者はコーランを燃やす寸前でその行為を中止したが、代わりにコーランを踏みつける場面が見られたという。イラクの国旗やイスラム教の有力聖職者ムクタダ・アル・サドル師の写真も地面に投げつけられたり、蹴られたりした。

 今週初め、未遂に終わったコーランを燃やす行為に怒ったイラク人がバグダッドのスウェーデン大使館に向かって行進し、建物を破壊して放火した。この事件で外交職員に被害はなかったが、スウェーデンのトビアス・ビルストローム外相はイラク政府が施設の保護を怠ったと批判した。



 関連記事:スウェーデン警察、聖書を燃やす抗議活動を黙認

 イラク当局はその後、スウェーデン大使館を襲撃した人々を非難し、大使館を警備することを誓ったが、「スウェーデンの地で聖コーランを燃やす事件が再発すれば、外交関係断絶は避けられなくなる」と語気を強めた。

 木曜日のストックホルムでの抗議活動直後、バグダッドのメディア・通信委員会は、スウェーデンの大手通信会社エリクソンの営業許可を停止したと発表し、他のスウェーデン諸企業との関係も断つ、と明言した。
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日本、世界規模で緊急ガスの備蓄を提案する方向に – ブルームバーグ紙の報道

<記事原文 寺島先生推薦>
Japan to propose emergency global gas reserve – Bloomberg
出典:RT  2023年7月22日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年7月29日



© ゲッティイメージズ/arcady_31

日本政府はこの考えを国際エネルギー機関に提案する予定だと同紙は報道。

 ブルームバーグ紙が今週報じたところによると、日本は昨年EUとその同盟諸国を襲ったようなエネルギー危機に備えるため、世界規模で戦略的に天然ガスを備蓄する体制作りを計画しているという。

 同紙が事情に詳しい関係者の話として伝えたところによると、日本政府の計画は国際エネルギー機関(IEA)に提出される予定で、その中には緊急石油備蓄に似たいわゆる戦略的が含まれているという。

 ブルームバーグ紙によると、IEAはすでに米国や日本などの加盟国に対し、緊急事態に備えて純輸入量の少なくとも90日分に相当する戦略的石油備蓄を義務付けているという。報道によると、日本政府は、2月のIEA閣僚会議の議題にこのガス備蓄案を含めることを提案する予定だという。

 日本による世界規模でのガス備蓄構想は、エネルギー価格の高騰とLNG(液化天然ガス)市場での競争激化の中で、輸入に依存している日本が十分な燃料を確保する取り組みを強化しようとする中で生まれた。

 関連記事: 日本、ロシアのエネルギー計画を制裁から免除

 エネルギーに乏しい国である日本は外部供給に大きく依存している。日本政府はロシアのエネルギー部門への制裁には消極的であり、日本のエネルギー安全保障にとってロシアのエネルギー部門は重要であることを繰り返し指摘してきた。

 日本は、極東サハリン2石油・ガス計画からの供給に関しては、西側が設定したロシアからの石油輸入に対して上限価格を付けるという規制からの免除を受けている。日本はまた、ロシアでの共同エネルギー計画への権益を維持し続けている。
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世界はウクライナ紛争にうんざりしている – ブラジルのルーラ大統領の主張

<記事原文 寺島先生推薦>
World is getting tired of Ukraine conflict – Brazil’s Lula
出典:RT  2023年7月19日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年7月29日


ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領は、モスクワとキエフの間で和平協定を仲介するよう改めて求めた。



ブラジル大統領ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ © Getty Images


 ブラジルのルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領は水曜日(7月19日)、記者団に対し、世界中の国々がモスクワとキエフの間で続く軍事紛争にうんざりし始めていると語った。

 「世界はうんざりし始めています。世界の各国が、です」とブリュッセルでの2日間にわたるEUとラテンアメリカの指導者らの会合後に同大統領は述べた、とブルームバーグ紙は報じた。

 このブラジル大統領は、最終的にはウクライナに平和が訪れる瞬間が来るとは思うが、そのためにはいくつかの国々がロシア・ウクライナ両国と対話できるようにする必要があると主張した

 ロシアとウクライナの和平合意を推進してきたルーラ大統領は、ロシアだけが紛争の原因であると非難することにも反対してきた。同大統領は、ウクライナのウォロデミル・ゼレンスキー大統領と米国のジョー・バイデン大統領にも責任がある、としてきた。それは、両者にも、紛争を阻止するためのロシアのウラジーミル・プーチン大統領との交渉に失敗した責任は同様にあるからだという。

 今週のEUと南米カリブ海諸国共同体(CELAC)との首脳会議で、欧州当局者らはウクライナにおけるロシアの行為を明確に非難する内容の最終声明に参加諸国が署名することを期待していた。しかし、ブラジルやニカラグアを含む多くの国が文書にロシアに対して強い表現を盛り込むことに反対したため、EU指導者らは、中南米諸国のすべてを説得することができなかった。



  関連記事:ウクライナに平和をもたらすことができるのは中立国だけ - ブラジルの主張

 最終宣言には投資の約束といくつかの協定が含まれていたが、最終的にはニカラグアを除く全ての首脳会議参加国が署名した。ニカラグアが反対したのは、この宣言の中にウクライナ紛争に関する文章が一文でもあることを許さなかったためだ。

 NATOは「必要な限り」ウクライナと協力すると約束していたにもかわらず、多くの西側当局者は最近、長引く紛争で「戦争疲労」が始まるにつれ、ウクライナ政府への支持が間もなく失われ始める可能性があると予測し始めている。

 先週、チェコのペトル・パーヴェル大統領は、ウクライナは2024年の米大統領選挙までに可能な限り多くの領土を取り戻すことを目指すべきだと述べ、その成果により米国のウクライナ支持者らはウクライナへの軍事援助額を再考する可能性がある、とした。

 3月にはスロバキアのズザナ・カプトワ大統領も、ウクライナ政府への軍事援助は無制限ではないと警告し、ウクライナに対する国民からの支持は「枯渇しつつある」と主張した。
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ジョー・バイデン、ウクライナのガス会社贈収賄計画に関与 – FOXニュース

<記事原文 寺島先生推薦>
Joe Biden implicated in Ukrainian gas firm bribery scheme – Fox News
出典:RT  2023年6月9日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>   2023円7月29日


報道によると、副大統領時代、息子のハンター・バイデン氏が取締役を務めていたブリスマ・ホールディングス社から500万ドル(7億円)を受け取ったとされている。


ジョー・バイデンと息子ハンター・バイデン © Getty Images / Bruce Bennett


 ジョー・バイデン米国大統領は、バラク・オバマ政権の副大統領時代に、ウクライナの天然ガス会社との法律に触れる贈収賄計画に関与していたことが報じられていると、FOXニュースが金曜日(6月9日)、FBIの報告書を引用して報じた。

 FOXニュースは、情報提供者からFBIの報告書の内容を聞いたと報じたが、その報告書の内容は、当時副大統領であったバイデン氏がブリスマ・ホールディングス社から報酬を得たというものだった。当時同社は息子のハンター・バイデン氏が取締役を務めており、バイデン氏を通じて米国の政策決定に影響を与えようという意図があったという。

 2020年6月30日という日付が付けられたFD-1023という名で知られるこの報告書では、FBIが、「非常に信頼できる」秘密の情報筋から聞いた話が詳述されており、この情報筋は2015年以降のブリスマ社の重役との複数の会合ややりとりを明らかにしていた。

 FBIのこの報告書によると、名前が明かされていないブリスマ社の重役は、米国の採油権や提携先を得るより良い方法について助言を求めていて、さらに、「前進できる最善の道」に導いてくれる秘密の勢力の助けも求めていたという。

 この報告書によると、この重役が助言を求めている理由の説明として、ハンター・バイデンが「言葉にできないほど役に立つ人物」であり、ブリスマ社が「バイデン親子に金を渡す」必要がある理由は、ウクライナの検事が、自分の会社を捜査中であるからだ、としていた。



 関連記事:「私は約束を守る男だ」:漏洩した音声記録により、バイデンがポロシェンコに圧力をかけ、ブリスマ社の捜査に当たっていた役人を罷免させた可能性が明らかに。

 報道によると、この重役がこの情報源に、ブリスマ社は既にハンター・バイデンと「大物」(明らかにジョー・バイデンを指している)に対して、それぞれ500万ドル(7億円)を渡していたと語った、という。そしてその見返りは、捜査を含め、同社が対処しなければならない多くの問題の解決に手を貸してもらうことだった、という。

 報道によると、この重役の説明では、バイデン親子への金銭の提供は直接行われたわけではく、「様々な銀行口座」を通じた形でなされた、という。そしてその目的は、捜査官らから「少なくとも10年間は突き止められない」ようにするためだったという。

 報道によると、米国政府はFBIのこの報告書についての発言を控えており、ジョー・バイデンは以前、この収賄疑惑を「全くのでたらめ話だ」と一蹴し、自分の息子の事業の取引に関わったことはない、と主張した。

 しかし、外交問題評議会の催しで演説を行った際、ジョー・バイデンはウクライナのヴィクトル・ショーキン検事総長を罷免したことに自身が関わっていたことを認めた。同検事総長は、ブリスマ社の捜査に当たっていた。バイデンの主張によれば、同検事総長を罷免させた際、もしやめさせなければ、米国からウクライナに送る支援金の10億ドル(1400億円)を保留にする、と脅したという。ショーキン検事総長が当時のピョートル・ポロシェンコ大統領から職を解かれたのは4月3日のことであり、その後、米国はウクライナへの支援金の供与を承認していた。
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上海協力機構(SCO)を補完する「7つの枢軸」

<記事原文 寺島先生推薦>
An “Axis of Seven” to supplement SCO
筆者:M.K.バドラクマール
出典:INDIAN PUNCHLINE 2023年6月2日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>   2023年7月29日


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中国・中央アジアサミットにおける中国・中央アジア人民文化芸術年の開幕(西安、2023年5月18日)


 ロシアの日刊紙『ネザヴィジマヤ・ガゼータ』は、西安で開催される中国・中央アジア首脳会議の前夜に、「中国は中央アジアとの協力の形式を変えようとしている」と題する報道を掲載した。同記事は、5月18日から19日に西安に集まる6カ国の首脳が、「各分野における協力のための新しい仕組みの構築と重要な政治文書の署名」について話し合うだろうと予想した。

 同紙は、西安サミットは5月9日(ロシア戦勝記念日)にモスクワで行われたプーチン大統領と中央アジア5カ国の首脳との会談の文脈でとらえるべきだとした。プーチンは西安での行事に出席していないが、明らかにロシアの利益は考慮されている。

 形成されつつある新しい「5プラス2軸」は、上海協力機構(SCO)や一帯一路構想、ユーラシア経済連合共同体とは異なる独自の仕組みと見通しを持つことになる。西安サミットでは、「協力とそれを実行する機構の機能を包括的に促進するため」に、事務局を通じて中央アジア・中国間の話し合いを制度化する可能性が検討された。もちろん、中央アジア諸国の上意下達型の意思決定の特徴を考えれば、中国・中央アジア形式の首脳協議会合(隔年開催)の仕組みは、この地域の安全、安定、持続可能な発展を確保する上で重要な要素となる。

 上海協力機構(SCO)が、インドの参加後、ますます「抽象的」になり、目的もなく蛇行し始めた今、中国と中央アジア諸国、そしてロシアが、共通の空間において、より効果的な仕組みや計画を構築し、新たな協力の質を伝え合い、必要に応じてSCOを補完する必要性を感じたことは、十分に考えられることである。

 SCOの機能には対立の要素が入り込んでいる。特にインドは、この点において自己反省をする必要がある。確かに、2005年に中国とロシアが上海ファイブ(後にSCOに変化)を結成したとき、このような状況は念頭になかった。意思決定における合意形成はSCOの機能の中核的な原則として採用されたが、最近では、二国間の相違や紛争に起因する負債を解決しようとする競争心が忍び寄っている。最近デリーで開催されたSCO外相会議では、インドとパキスタンが険悪な対立を繰り広げ、「上海精神」が損なわれているのを、中央アジア諸国やロシア、中国が黙って見守る状況が生じた。

 南アジア地域協力連合(SAARC)の悲劇的な例もある。SAARCはここ10年の間に同じような心的外傷に苦しみ、最終的には葬り去られようとしている。しかし、ロシアと中国はSCO(上海協力機構)にそのような悲劇的な運命をもたらすわけにはいかない。米国のロシアと中国に対する二重の封じ込め戦略と、NATOのアジアへの拡大が目前に迫っていることから、内陸アジアという共通の空間において、結束力があり、意欲的で、うまく調整された地域協力の措置を利用できるようにすることが決定的に重要である。

 これまでは、ロシアは政治的統合の強化に取り組み、中国は本格的な経済拡大の枠組みの中で、エネルギーや産業基盤の開発のために中央アジア諸国の政府と組織的かつ強力に交流していた。このような役割分担は比較的うまくいっていたが、その後、この地域の安全保障環境は劇的に変化した。

 例えば、ロシアとヨーロッパとのエネルギー関係の断絶という状況の中で、モスクワにとって石油とガスの輸出を中国市場に振り向けることが不可欠となり、そのためには中央アジアの交通機関の基盤が必要となる。さらに中央アジア諸国の国家計画の高度な調和と同期化が必要であることは言うまでもない。現在、人口7500万人の中央アジア地域には、合意された共通戦略がない。一帯一路(the Belt and Road)」事業はロシアの利益を十分に考慮しておらず、ユーラシア経済連合(the Eurasian Economic Union)事業との仲立ちも、制度的な弱点があるため、十分な規模の相互作用を提供することはできない。

 確かに、西安サミットに向けて、中央アジア諸国の首脳は周到な準備を行い、重要な提案の組み合わせを提示した。こうして、新疆ウイグル自治区や中央アジアとアフガニスタン、パキスタン、イランを結ぶ極めて戦略的な中国・キルギス・ウズベキスタン鉄道の建設工事は、線路の幅の測り方をめぐるいざこざで20年ほど遅れていたが、現在、着工の準備が整いつつある!

 当然のことながら、地域の安全保障を除けば、西安サミットで最も注目された話題は接続性の問題だった。

 前向きな要因は、カザフスタンの「一帯一路構想(BRI)」への関与が深まっていることだ。中国とカザフスタンは、輸送・物流、工業・農業、エネルギー、観光などの分野を網羅する総額210億ドルを超える52のBRI投資計画の項目を効果的に実施している。6本のBRI回廊のうち2本がカザフスタンを通り、中国とヨーロッパ、イランと西アジアをそれぞれ結んでいる。これらのBRI回廊は、中央アジアのほとんどの経済にとって重要である。それは中央アジア諸国に対して、中国が最も近い海港を提供できる国だからだ。そのため、カザフスタンは中央アジアに入るための潜在的な集約地点となっている。

 西安サミットではまた、カザフ-中国鉄道のアヤグズ-タチェン間の開通の重要性についても触れられ、トルクメニスタン-中国ガス輸送管の4号線建設の加速が求められた。タチェン地域には石炭、花崗岩、金、銅、鉄鉱石など多くの鉱物資源が埋蔵されている。

 西安サミットの傍ら、中国の習近平国家主席は中央アジア地域の5首脳それぞれと会談を行った。西安サミットの前夜、中国の報道機関は中央アジアを、「一帯一路」事業の「入り口」と呼んだ。というのも、習近平が2013年に立ち上げた一帯一路構想は、カザフスタンから始まったものだったからだ。一帯一路をめぐっては、アメリカやインドが情報方面でさまざまな脅しをかけているが、中央アジア諸国には影響がないようだ。北京が「一帯一路」構想の10周年に率先して第1回中国・中央アジア首脳会議を開催したことは象徴的だ。

 同様に、中国はパキスタンとアフガニスタンを中央アジアのBRI産業基盤建設計画と結びつけたいと考えている。その第一歩として、中国とパキスタンは最近、中国・パキスタン経済回廊をアフガニスタンまで延長することで合意した。これは、西安での中国・中央アジア首脳会議の2週間前、5月5日にイスラマバードで開催されたパキスタン・アフガニスタン・中国閣僚会議の主な成果である。中国がカブールのタリバン政権への関与を強化させない限り、中国・中央アジアの勢いが最高潮に達しないのは明らかだ。
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検閲産業複合体:米国政府による国内検閲と偽情報宣伝活動へのテコ入れ 2016年―2022年(第2回)

<記事原文 寺島先生推薦>
The Censorship Industrial Complex by Michael Shellenberger
筆者:マイケル・シェレンバーガー(Michael Shellenberger)  2023年3月9日
<記事翻訳  寺島メソッド翻訳グループ>  2023年7月28日


検閲産業複合体

米国政府による国内検閲と偽情報宣伝活動へのテコ入れ
2016年―2022年

マイケル・シェレンバーガー証言
連邦政府の兵器化に関する議会選択委員会

2023年3月9日

1 Executive Summary(事業計画概要)
2 The Censorship Industrial Complex Today(今日の検閲産業複合体)
3 The Complex’s Disinformation Campaigns(検閲産業複合体の偽情報宣伝活動)
4 Ideology, Strategy, And Origins(思想、戦略、そして起源)
5 Key Events(鍵となる出来事)
6 Recommendations(お薦め)

* 今回は、「2  The Censorship Industrial Complex Today(今日における検閲産業複合体)」の翻訳です。

2 今日における検閲産業複合体

定義と使命


 検閲産業複合体は、この思想に共感する政府機関、非政府組織(NGO)、学術機関のつながりであり、ここ数年で検閲の力を発見し、不安定で危険の多い民主的手続きに対抗することで、自分たちの利益を守ろうとしています。彼らは口では「民主主義を守る」と言いますが、そうではありません。むしろ、彼らは民主主義とは反対の立場で自らの政策と金銭的利益を守っているのです。


米国国立科学財団(NSF)の資金供与

 2021年1月以来、米国国立科学財団(NSF)は、総額3180万ドルに上る、少なくとも64件の政府助成金を、ソーシャル・メディアの「誤情報・偽情報」に「対抗する」科学に供与しており、さらに総額700万ドルを2つの政府助成金に供与しています。42の大学が64件の助成金を受けています。10また、NSFは「意思疎通体系における信頼性と真正性(Trust and Authenticity in Communication Systems)」11と呼ばれる、誤情報と検閲に関する研究のための「Track F」という新しい研究分野を設立しました。

 NSFは、自らの検閲計画を、文明を守る手段だと正当化しています。「現代生活は、信頼性のある正確な情報を提供する意思疎通体系にますます依存してきている」と、NSFは2022年の研究概要で記載しています。「しかし、これらの体系は共通の脅威に直面している。意思疎通体系は操作される可能性があり、予期しない悪影響をもたらすことがあるのだ。誤情報を意思疎通の流れに持ち込むと、様々な活動や市民社会の機能を破壊する可能性が出てくる」。12

 NSFは、「インターネットには検閲が必要」という検閲産業複合体の中心的主張を繰り返します。「虚偽の主張や他の不正な振る舞いはこれまでの歴史においても存在していたが、それらが引き起こす問題が、現在深刻な規模に達している。原因は3つ。①大規模な焦点化や個別化、②情報交換の迅速な速度、そして③情報拡散の自動化能力13」だとNSFは述べています。以下は、NSFが2022年に資金供与している検閲/ディスインフォメーション(偽情報)の取り組みの例です:

● ミシガン大学:同大学主導で立ち上げた企業WiseDexは、クラウド上の知恵とAI技術を利用して、より多くの投稿にフラグ(目印)を付ける手助けをする。
● Hacks/Hackers(サイト): ワクチンの有効性などの物議を醸す話題に関する内容について信頼を築くためのソフトウェア開発サイト
● オハイオ州立大学:CO:CASTは、「意思決定者が情報環境を管理するのを支援する」。
● ミーダン(Meedan)社: Co·Insightsは、地域社会、事実確認、そして学術機関が協力して、社会的な対立と不信を煽る次々と生まれる誤情報に効果的に対応することを可能にする。
● テンプル大学のCommuniTies:「CommuniTiesはAIネットワーク科学ツールを使用して、現地のニュース局に対して実践的な洞察を提供し、地域とのデジタルな意思疎通を構築し、誤情報と偽情報の拡散を防止する手助けをする」
● ウィスコンシン大学:Course Correctは、「ジャーナリストが誤情報のネットワークを特定し、誤情報を修正するための動的な誤情報特定ダッシュボード*」
*ダッシュボード・・・複数の情報源からデータを集め、概要をまとめて一覧表示する機能や画面、ソフトウェアなどを指す


国防高等研究計画局(DARPA)の源

 現代の検閲産業複合体は、かつて国防総省がテロリストとの戦いに使っていた方策を利用している。

 例えば、DARPAは2011年に「Social Media in Strategic Communication(SMISC)」計画を創設。この計画は、「誤情報や欺瞞宣伝活動を特定し、真実の情報でそれらに対抗するのを支援する」。

 DARPAはその目標を次のように言っています:

  1. 「・・・な誤情報の発見」
  2. ソーシャル・メディアやオンライン上のコミュニティ(集まりの場)での説得宣伝活動構造や影響操作の認識。
  3. 「参加者や意図の特定と、説得宣伝活動の効果の計量」
  4. 「検知された敵対勢力の影響操作に対して対抗するメッセージ戦略の展開」14

 NSFによって資金提供されている計画「Course Correct」の4つの目標は、今日の米国市民をほぼ同じ方法で対象としています:

  1. 「…誤情報の発見・・・」
  2. 「・・・誤情報に対するA/Bテスト*修正戦略の開発の継続・・・」
    A/Bテスト*・・・主にインターネットマーケティングで行われる、施策判断のための試験の総称(ウィキペディア)
  3. 「・・・証拠に基づいた修正の効果の評価・・・小規模なランダム化対照試験の実施により・・・」
  4. 「ジャーナリストだけでなく技術開発者やソフトウェア技術者との継続的な連携」


鍵となる組織

 CISA:(The Cybersecurity and Infrastructure Security Agency)国土安全保障省(DHS)内の機関。2017年1月6日、当時のオバマ政権のDHS長官であるジェイ・ジョンソンは、「選挙に関する基盤」は「きわめて重要な基盤」であると指定し、CISAの使命をいわゆる「誤情報」15の検閲に拡大。議会は2018年11月にCISAを設立し、敵対的な外国の仕掛け人(例:ロシアのハッカー)16による米国のサイバーセキュリティ脅威に対抗することを目的とした。

アトランティック・カウンシル(Atlantic Council)のデジタル・フォレンジック・リサーチ(DFR)研究所は、世界で最も確立された影響力のある専門の検閲機関の一つです。17 この研究所は2018年6月に外向きのDesinfoPortalを立ち上げ、欧州での2019年の選挙に先立つ選挙の物語を検閲するために、米国国家民主主義基金(NED)や23の組織と直接連携して活動していました。18 2018年には、Facebookはアトランティック・カウンシルを「偽情報に対抗する」世界の公式パートナーとして指名しました。19 アトランティック・カウンシルへのアメリカの税金は、国防総省、米国海兵隊、米国空軍、米国海軍、国務省、USAID、米国民主主義基金、エネルギー企業、そして兵器製造業者などから出されています。20

 Graphikaは、民間のネットワーク分析企業。Graphikaは2018年12月に上院情報委員会への報告を公表。その中で「2016年の米国大統領選挙だけでなく、日々の民主的な対話にもロシアによる干渉があることの全体像を、例を見ないほど詳細に」21に明らかにしたと言っている。Graphikaは、調査部門の部長としてDFR lab22のベン・ニンモ(Ben Nimmo)を採用。防衛総省の心理戦に焦点を当てたミネルバ構想*とDARPAは、両方ともGraphika23に助成金を供与。2021年には、ペンタゴンが約500万ドルの助成金と約200万ドルの契約をGraphika24に授与。昨年秋、Graphikaは非主流ウェブサイト上の漫画が「ロシア仕掛け人容疑者」によるものであり、2022年の中間選挙25への「再度の介入の企て」を行っていると主張。この話はNew York Timesでも取り上げられた。26
ミネルバ構想*・・・米国国防総省が後援する研究プログラムであり、米国の国家安全保障政策にとって戦略的に重要な分野に関する大学ベースの社会科学研究を維持するための助成金を提供。 (ウィキペディア)

 Moonshot CVEは、オンライン上で右翼の人々を過激主義から遠ざけるための民間企業27。しかし、右翼の人々を無政府主義の指導者に向かわせていることが判明している。「この企業は、すでに暴力を求めていた人々を、無政府主義で反ユダヤ主義的な見解を持つ前科者に向けて送った」と議員モーガン・グリフィス(バージニア州選出共和党)はGoogleの最高経営責任者に語った。「審査を行っている人々の審査は誰が行っているのですか?我々は引き続きより多くの透明性と責任を必要としています」。28 Moonshotには、元国土安全保障省対テロ対策補佐官のエリザベス・ノイマンも在籍している。

 FITF(Foreign Influence Task Force)は、FBI、DHS、およびODNI(米国家情報長官室)の構成員で構成されるサイバー規制機関。

 GEC(Global Engagement Center)は、米国国務省の分析部門。国内の検閲を「偽情報に対抗する」非政府組織(NGO)や外国企業を通じて体系的に合法化する部門。

 Hamilton 68:米国政府の資金援助とNew Knowledge社の支援によって作成されたダッシュボード。Twitter上のロシアのボットを明らかにすると主張していたが、構成員のほぼすべてがアメリカ市民なのでTwitter社職員らが嘲笑。

 HSIN:(Homeland Security Information Network)。州やその他の公的機関が「フラグ付け」されたアカウントを送信できるポータル・サイト。

 EIP:(Election Integrity Project)。スタンフォード・インターネット・オブザバトリー、Graphika、ワシントン大学のディスインフォメーション・研究室、そして大西洋評議会のデジタルフォレンジックリサーチ・研究室という4つの政府資金援助された検閲組織の連携機関。EIPはCISAに代理委任された国内偽情報フラッガーとしての役割を果たしている。

 IRA:(Internet Research Agency)。悪名高いロシアの「トロールファーム」であり、「プーチンの料理長」として知られるエヴゲニー・プリゴジンが率いている組織。

 MISP:(Malware Information Sharing Platform)。サイバーセキュリティの専門家がマルウェア*やボットに関するツール、調整された不正行為について情報を共有するために使用されるサイト。「DFRが偽情報にサイバーセキュリティのツールを適用したいとき、彼らはMISPを使った」29と、ある政府偽情報専門家は言っている。
*マルウェア・・・コンピュータ、サーバ、クライアント、コンピュータネットワーク等に損害を与えるため、あるいはユーザの意図や利益に反する活動を行うために設計されたソフトウェアのこと

 NewsGuard社とGlobal Disinformation Index社は、両方とも税金で資金提供されており、広告主に好ましくない出版物への広告掲載を取り下げ、好ましい出版物に資金を誘導するよう呼びかけている。この2つの組織は、COVIDのウイルス研究所漏洩説は明らかに嘘であるとわかっている陰謀論であるという偽情報を拡散し、ハンター・バイデンのラップトップについて正確な報道をしたNew York Postなどの出版物の信用を失墜させようとしたことも発覚している。

 Cognitive Security CollaborativeおよびAdversarial Misinformation and Influence Tactics and Techniques。いずれも偽情報に対する攻撃を記述し、調整するためのサイト。「これは脅威アクター*に焦点をあてて対処するための安全上の作用と同様に機能する」と専門家は指摘している。ある情報源によれば、「もし偽情報を使った攻撃を行う脅威アクターが発生した場合、その脅威アクターを記録し、サイバー攻撃を行ったアクターと同様に行動を解読する。そして、それからソーシャル・メディアからの削除(テイクダウン)を調整する」。30
*脅威アクター・・・データセキュリティに影響を与える可能性のある内部または外部の攻撃者のこと

 ワシントン大学(UW)は、DHSが2020年の選挙中にソーシャル・メディア上の情報を検閲するために直接協力し、連携機関として扱っていた2つの学術機関の1つ。31 2021年にバイデン政権から3,000万ドルの政府助成金を受け取り、スタンフォード・インターネット監視局(SIO)と共有して、「選挙に関する誤情報」のフラグ付けを継続した。32。選挙整合計画(Election Integrity Project(後に拡散計画(Virality Project)に移行)の4つの構成要素の1つであり、UW(ワシントン大学)、Graphika、およびDFR(Digital Forensic Research :デジタルに関する法令研究所)とともに活動している。SIOは、2019年6月に部長のアレックス・スタモスと研究主任のレネー・ディレスタによって設立された。SIOはソーシャル・メディアを監視し、インターネット検閲を推進している。2020年の選挙では、CISAとの連携の一環として、SIOには50人の「誤情報」分析者がソーシャル・メディアを監視するために割り当てられた。33 SIOはもともとクレイグ・ニューマーク・フィランソロピー、オミダー・ネットワーク、そしてチャールズ・コック財団によって資金提供されていた。34


鍵となる個人

●グラハム・ブルーキーは、大西洋評議会のDFR Labの指導者。ブルーキーはオバマ政権時、国家安全保障会議で勤務。35

●レネー・ディレスタはスタンフォード・インターネット監視局の一員。ディレスタは、アラバマ州の共和党上院候補ロイ・ムーア36がボットアカウントを作成し、偽情報を拡散したことを発覚させた組織の研究主任。2018年の上院の証言では、ディレスタは「外国の宣伝活動を定義し、犯罪とする法律」の制定を提唱し、警察機関による「外国の宣伝活動の告発」を許可するよう主張していた。37また、スタンフォード大学の上司であるアレックス・スタモスの記録された発言によれば、ディレスタは以前「CIAで働いていた」。38

● ジェン・イースタリーは、CISA(サイバーセキュリティおよびインフラセキュリティ機関)の長官。彼女は軍の元諜報員であり、国家安全保障局(NSA)の対テロリズム副局長だった。「我々は重要な基盤組織の事業をしていると言えるでしょう。そして最も重要な基盤組織は私たちの認知基盤です。だから、誤情報と偽情報への耐性を構築することは非常に重要だと思います」39とイースタリーは2021年11月に述べている。その前の月、イースタリーはCISA首脳会議で、クリス・クレブスによる民間部門との「誤情報対抗」の複合体の構築をDHSの最優先事項として挙げた。40昨年10月、アメリカの地方裁判所は、イースタリーが偽情報に関するCISA「中枢」についての「直接情報」を持っているため、彼女の証言を受け入れることができると判断した。41

● クリス・クレブス。CISA長官(2018年から2020年)。アスペン研究所の「情報混乱委員会」の議長。DHSの「全社会的」方策による検閲の組織化を支援。42クレブスは、選挙を「重要基盤」として宣言することで、DHSが2017年1月6日に選挙防衛を事実上国の問題とした後、2020年選挙の連邦側の管理を担当。そして、「偽情報」は選挙防衛への攻撃だと宣言した。クレブスは2022年4月の時点でも、依然としてハンター・バイデンのラップトップ事件はロシアの偽情報のようだと述べ、2020年選挙期間中にニュースメディアがラップトップ事件を記事として取り上げていなかったことが重要だったと語った43。クレブスは、政府のCOVID-19指令に批判的な意見を検閲することを提唱し44、「偽情報」が選挙防衛への最大の脅威だと述べた。45

● ベン・ニモ、Facebookの世界規模脅威情報部門の責任者であり、したがってアメリカで最も重要な検閲者の一人。ニモは、大西洋評議会のデジタル・フォレンジック・リサーチ研究所の検閲の技術指導者として活動。2020年の秋にGraphikaに雇われ46、NATOの情報作戦47で働いたことがある。2018年に、ニモは匿名のTwitterアカウント「Ian56」をロシアの偽情報ボットアカウントとして公に報告した48。しかし、のちに、Ian56は実在の人物であり、中道左派の大衆迎合的な反戦の意見を表明していただけだったことが判明した。ニモの報告の後、「Ian56」は英国政府に報告された。49

● ケイト・スターバードは、ワシントン大学の偽情報研究所を運営しており、長年にわたって主にアメリカ政府機関から資金提供を受けて、アメリカ軍の情報機関や外交政策に興味や関心のある政治団体や反乱運動組織のソーシャル・メディア上の意見分析を行ってきた。スターバードは、CISAとEIPの検閲の焦点が2016年から2020年の間に「外国の不正な」ソーシャル・メディア利用者から「国内の信頼性のある」ソーシャル・メディア利用者に移行したことを認めている50。スターバードは現在、CISAの検閲に関する諮問委員会の責任者。

● アレックス・スタモスは、EIPとVPの最高幹部。この2つの組織は、クリス・クレブスのCISAを介してDHSの委任された国内「偽情報」の監視を行っていた。スタモスは2020年に、DHSが政府の検閲を一元化することを提案。51また、スタモスはFacebookのセキュリティ担当の最高責任者であり、2016年の選挙後に報じられたロシアの偽情報へのFacebookの対応を指揮。スタモスはFacebook(現在はMeta)を2018年に退社。報道によれば、他のFacebookの幹部と検閲の程度について対立したことが原因52。スタモスは、より自由で開かれたインターネットから、より制御された「ケーブルニュースネットワーク」型に移行することを支持している。この問題の大半は「大きな影響を持つ人々」が問題の大部分を占めると述べている。53

●クレア・ワードルは、非営利の連合体である「First Draft News」を2015年6月に共同設立し、検閲の仕組みを構築するために指揮を執った。「2016年9月に、当初の連合体はニュース局、大学、プラットフォーム、そして市民社会からなる国際的な連携組織に拡大」。2017年、ハーバード大学ケネディ校のショーレンスタイン・センター(メディア、政治、公共政策センター)に在籍していたワードルは、「情報混乱研究所」の開発に貢献し、これはアスペン研究所が採用する枠組みとなった。2022年6月にFirst Draftは閉鎖されたが、その活動はブラウン大学公衆衛生学部の「Information Futures Lab」で継続されている。

<原注>
10 Mike Benz, “Biden’s National Science Foundation Has Pumped Nearly $40 Million Into Social Media Censorship Grants and Contracts,” Foundation for Freedom Online, Nov 22, 2022, https://report.foundationforfreedomonline.com/11-22-22.html; “Colleges & Universities Getting NSF Grants for ‘Mis/Disinformation,’ FY2021-2022,” Imgur, Nov 2022, https://imgur.com/a/CJQFKHT.
11 “Track F: Trust and Authenticity in Communication Platforms,” in U.S. National Science Foundation, Convergence Accelerator 2022 Portfolio Guide, National Science Foundation, accessed March 6, 2023, https://nsf-gov-resources.nsf.gov/2022- 08/NSF%20Convergence%20Accelerator%202022%20Portfolio%20Guide_Final_lowres_508_0 .pdf#page=92
12 “Track F: Trust and Authenticity in Communication Platforms,” in U.S. National Science Foundation, Convergence Accelerator 2022 Portfolio Guide, National Science Foundation, accessed March 6, 2023, https://nsf-gov-resources.nsf.gov/2022- 08/NSF%20Convergence%20Accelerator%202022%20Portfolio%20Guide_Final_lowres_508_0 .pdf#page=92.
13 “Track F: Trust and Authenticity in Communication Platforms,” in U.S. National Science Foundation, Convergence Accelerator 2022 Portfolio Guide, National Science Foundation, accessed March 6, 2023, https://nsf-gov-resources.nsf.gov/2022- 08/NSF%20Convergence%20Accelerator%202022%20Portfolio%20Guide_Final_lowres_508_0 .pdf#page=92.
14 Defense Advanced Research Projects Agency, “Social Media in Strategic Communication (SMISC) (Archived),” DARPA, accessed Mar 6, 2023, https://www.darpa.mil/program/social-media-in-strategic-communication
15 Jeh Johnson, “Statement by Secretary Jeh Johnson on the Designation of Election Infrastructure as a Critical Infrastructure Subsector” (press release), DHS.gov, Jan 6, 2017, https://www.dhs.gov/news/2017/01/06/statement-secretary-johnson-designation-electioninfrastructure-critical.
16 U.S. Department of Homeland Security, “Congress Passes Legislation Standing Up Cybersecurity Agency in DHS” (press release), DHS.gov, Nov 13, 2018, https://www.dhs.gov/news/2018/11/13/congress-passes-legislation-standing-cybersecurityagency-dhs.
17 “Atlantic Council,” Influence Watch, accessed March 1, 2023, https://www.influencewatch.org/non-profit/atlantic-council. Shellenberger Testimony March 9, 2022 p. 55
18 “News and Notes,” Journal of Democracy 29, no. 3 (July 2018), https://www.journalofdemocracy.org/articles/news-and-notes-14.
19 Kris Holt, “Facebook partners with think tank to fight global election meddling,” Engadget, May 17, 2018, https://www.engadget.com/2018-05-17-facebook-atlantic-councilpolitical-ads-fake-news.html.
20 “Honor Roll of Contributors,” Annual Report, Atlantic Council, Nov 9, 2021, https://www.atlanticcouncil.org/in-depth-research-reports/report/2020-annual-report-honorroll-of-contributors.
21 Joshua A. Geltzer, “New Senate Reports Are an Indictment of the White House’s Inaction on Disinformation,” Slate, Dec 18, 2018, https://slate.com/technology/2018/12/senate-reports-russian-disinformation-social-mediatrump.html.
22 “Graphika welcomes industry expert Ben Nimmo to the team,” Graphika, Aug 23, 2019, https://graphika.com/posts/graphika-welcomes-industry-expert-ben-nimmo-to-theteam.
23 “Research Priorities: 2022 Minerva Topics of Interest,” Minerva Research Initiative, accessed Mar 6, 2023, https://minerva.defense.gov/Research/Research-Priorities; “Graphika,” Graphika, accessed Mar 6, 2023, https://www.graphika.com.
24 “Federal Awards: Spending by Prime Award” (table), USAspending, accessed Nov 7, 2022, https://www.usaspending.gov/search/?hash=5caa43faf4a5ff7cd70185d0466731e1; “Federal Awards: Spending by Prime Award” (screenshot), Imgur, accessed Mar 6, 2023, https://imgur.com/a/nL1JWHx.
25 Graphika (@Graphika_NYC), “Suspected #Russian actors are engaged in a renewed effort to target far-right audiences in the U.S. with politically divisive messaging ahead of the #MidtermElections2022,” Twitter post, Nov 3, 2022, 8:16 am, https://twitter.com/Graphika_NYC/status/1588158278382534656; Léa Ronzaud, Jack Stubbs, and Tyler Williams, “Same Schmitz, Different Day,” Graphika, Nov 3, 2022, https://graphika.com/posts/same-schmitz-different-day.
26 Steven Lee Myers, “Russia Reactivates Its Trolls and Bots Ahead of Tuesday’s Midterms,” New York Times, Nov 6, 2022, accessed Mar 6, 2023 through Archive.org, https://archive.ph/cVcGz#selection-397.0-397.66.
27 Naomi LaChance, “Google Program Used to Deradicalize Jihadis Will Be Used for Right-Wing American Extremists Next,” The Intercept, Sept 7, 2016, https://theintercept.com/2016/09/07/google-program-to-deradicalize-jihadis-will-be-used-forright-wing-american-extremists-next.
28 Anita Chabria and Evan Halper, “Effort to stem online extremism accidentally pushed people toward an anarchist,” Los Angeles Times, Mar 30, 2021, https://www.latimes.com/politics/story/2021-03-30/google-moonshot-redirect-far-right-onlineextremism-anarchist.
29 Anonymous disinformation specialist, telephone interview by Michael Shellenberger, March 3, 2023.
30 Anonymous disinformation specialist, telephone interview by Michael Shellenberger, March 3, 2023. Shellenberger Testimony March 9, 2022 p. 56
31 Center for an Informed Public, Digital Forensic Research Lab, Graphika, and Stanford Internet Observatory, The Long Fuse: Misinformation and the 2020 Election, 2021, Stanford Digital Repository: Election Integrity Partnership, accessed Mar 6, 2023, https://purl.stanford.edu/tr171zs0069; Mike Benz, “DHS Censorship Agency Had Strange First Mission: Banning Speech That Casts Doubt On ‘Red Mirage, Blue Shift’ Election Events,” Foundation for Freedom Online, Nov 9, 2022, https://report.foundationforfreedomonline.com/11-9-22.html.
32 “$2.25 million in National Science Foundation funding will support Center for an Informed Public’s rapid-response research of mis- and disinformation,” Center for an Informed Public, University of Washington, Aug 15, 2021, https://www.cip.uw.edu/2021/08/15/nationalscience-foundation-uw-cip-misinformation-rapid-response-research; “#2120496: Collaborative Research: SaTC: CORE: Large: Rapid-Response Frameworks for Mitigating Online Disinformation” (award abstract), National Science Foundation, accessed Mar 7, 2023, https://www.nsf.gov/awardsearch/showAward?AWD_ID=2120496&HistoricalAwards=false;
33 Center for an Informed Public, Digital Forensic Research Lab, Graphika, and Stanford Internet Observatory, The Long Fuse: Misinformation and the 2020 Election, 2021, Stanford Digital Repository: Election Integrity Partnership, accessed Mar 6, 2023, https://purl.stanford.edu/tr171zs0069.
34 “Stanford Internet Observatory Seeks to Detect Internet Abuse in Real Time,” Freeman Spogli Institute for International Studies, Stanford University, July 25, 2019, https://fsi.stanford.edu/news/stanford-internet-observatory-seeks-detect-internet-abuse-realtime.
35 “Graham Brookie,” Atlantic Council, accessed Mar 6, 2023, https://www.atlanticcouncil.org/expert/graham-brookie.
36 Scott Shane and Alan Blinder, “Secret Experiment in Alabama Senate Race Imitated Russian Tactics,” New York Times, Dec 19, 2018, accessed Mar 6, 2023 through Archive.org, https://archive.ph/qoskp#selection-249.0-249.65.
37 Hearing before the Select Committee on Intelligence of the United States Senate: Open Hearing on Foreign Influence Operations' Use of Social Media Platforms (Third Party Expert Witnesses), 115th Cong. 19 (2018) (statement of Renee DiResta, Director of Research, New Knowledge), https://www.intelligence.senate.gov/sites/default/files/documents/osrdiresta080118.pdf?utm_campaign=The%20Interface&utm_medium=email&utm_source=Revue%20n ewsletter.
38 Alex Stamos, “Securing Our Cyber Future: Innovative Approaches to Digital Threats” (lecture, Stanford Internet Observatory, Stanford University, Palo Alto, CA, June 19, 2019), YouTube video, Oct 27, 2021, 18:00-18:20, https://www.youtube.com/watch?v=ESR9k0BtmXY.
39Ken Klippnstein, Lee Fang, “Truth Cops: Leaked Documents Outline DHS’s Plans to Police Disinformation,” The Intercept, Oct 31, 2022, https://theintercept.com/2022/10/31/social-media-disinformation-dhs/
40 Jen Easterly and Chris Krebs, “Continuity of Excellence” (interview, Cybersecurity Summit 2021, Oct 2021), YouTube video, Oct 27, 2021, 7:40-14:20, https://www.youtube.com/watch?v=c81G7egOr1Q. Shellenberger Testimony March 9, 2022 p. 57
41 State of Missouri et. al. v. Joseph R. Biden Jr. et. al, 3:22-CV-01213, pg. 19, United States District Court, Western District of Louisiana, Monroe Division, 2022, https://ago.mo.gov/docs/default-source/press-releases/doc-90---order-regarding-witnessdepositions.pdf?sfvrsn=24c99caa_2#page=19
42 “Aspen Institute Launches Commission on Information Disorder to Develop Actionable Public-Private Responses to the Disinformation Crisis” (press release), Aspen Institute, Jan 12, 2021, https://www.aspeninstitute.org/news/commission-on-informationdisorder; FFOSourceClips, “Supercut - "Whole-Of-Society" Censorship Push,” Rumble video, Aug 22, 2022, 2:08, https://rumble.com/v1gwfan-supercut-whole-of-society-censorshippush.html.
43 FFOSourceClips, “Chris Krebs - Hunter Biden Laptop - Looked Like Russian Disinfo - News Media Correct Not To Cover,” Rumble video, Sept 19, 2022, 0:24, https://rumble.com/v1kp4d9-chris-krebs-hunter-biden-laptop-looked-like-russian-disinfo-newsmedia-corr.html.
44 “Krebs says foreign disinformation actors ‘don’t actually have to do a whole lot…’” Face The Nation, CBS, July 18, 2021, https://www.youtube.com/watch?v=i3eF99LKSd8&t=21s
45 Dorey Scheimer and Meghna Chakrabarti, “Why misinformation is America’s greatest election security threat,” WBUR, Dec 3, 2021, https://www.wbur.org/onpoint/2021/12/03/why-domestic-misinformation-is-americas-greatestelection-security-threat
46 Twitter Files.
47 Alan MacLeod, “The Facebook Team that Tried to Swing Nicaragua's Election is Full of U.S. Spies,” Mint Press News, Nov 8, 2021, https://www.mintpressnews.com/nicaraguansignore-facebook-spooks-trick-treating-election/278870.
48 Ben Nimmo (@benimmo), “Meanwhile, one of the most-retweeted accounts on the Skripal case on March 18-20 was @Ian56789, which shared RT and called the attack a false flag,” Twitter post, March 24, 2018, 6:02 am, https://twitter.com/benimmo/status/977500910829146112
49 Ben Nimmo (@benimmo), Twitter accessed through Imgur.com, 3-24-18, 7:02 AM, https://imgur.com/a/kSRY62j
50 Kate Starbird, “Kate Starbird - Censor Targeted "Everyday People" Discussing Election, Radical Bias,” https://rumble.com/v1npqq8-katestarbird-censor-targeted-everyday-people-discussing-election-radical-b.html
51 Center for an Informed Public, Digital Forensic Research Lab, Graphika, and Stanford Internet Observatory, The Long Fuse: Misinformation and the 2020 Election, 2021, Stanford Digital Repository: Election Integrity Partnership, accessed Mar 6, 2023, https://purl.stanford.edu/tr171zs0069.
52 Nicole Perlroth, Sheera Frenkel, and Scott Shane, “Facebook Exit Hints at Dissent on Handling of Russian Trolls,” New York Times, March 19, 2018, https://www.nytimes.com/2018/03/19/technology/facebook-alex-stamos.html
53 FFOSourceClips, “Alex Stamos - Goal Is To Turn Social Media Companies Into Cable News Gatekeepers,” Rumble video, Nov 10, 2020, https://rumble.com/v1lwvfe-alexstamos-goal-is-to-turn-social-media-companies-into-cable-news-gatekeep.html . Shellenberger Testimony March 9, 2022 p. 58
関連記事

パミール高原からヒンドゥークシュ山脈まで。ロシアと中国が見つめる中央アジアの全体像

<記事原文 寺島先生推薦>
Russia, China take holistic view of the Pamirs and Hindu Kush
筆者:M.K.バドラクマール (Bhadrakumar)
出典:INDIAN PUNCHLINE  2023年6月4日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年7月27日





 3カ国間の外相段階会合により、中国・パキスタン間の経済回廊がアフガニスタンまで延長されることが合意された。2023年5月5日。イスラマバードにて。

 5月18日・19日に開かれた、第1回中国・中央アジア首脳会議後に発表された西安宣言は、西側諸国によるこの地域への干渉に直撃弾を与えたが、また一方でロシアがウクライナ紛争で「手を伸ばしすぎている」ため、中央アジアのステップにおけるロシアと中国の支配は持続可能ではないという考えをワシントンとブリュッセルにばらまいた。

 様々な出来事が起こる中で明らかになってきたことは、ロシアはウクライナの戦争で「負けて」おらず、この代理戦争において事態を良い方向に変えることができている、ということだ。いま米国が欧州諸国に懇願していることは、ロシアが戦場で勝利を収めることがあってはならない、という点だ。なんと事態は急転したものだ。

 明らかに、ウクライナ危機の状況において、中央アジアで指導的役割を果たし、同地域の安全保障を確保しようという中国の決定は、劇的な変化をもたらすものであり、中国を孤立させ、抑え込もうという、米国によるインド・太平洋戦略を深く弱体化させるものだ。状況をよく見れば、中央アジアが射程外にある限り、西側のロシアと中国の包囲発言が夢物語のままである理由が分かるだろう。

 米国はまるでクモのように動き、東南アジアの国々の中に巣を作ろうと、ASEAN(東南アジア諸国連合)を分離・分散させようとしており、タイでの「政権転覆劇」を大メコン圏諸国でも繰り返させようとしている。中国の周りを不安定な国々で包囲することを狙ったこのような不安定な動きの中において、中央アジアは中・露両国の戦略にとって非常に重要な地域だ。というのも、この地域までは米国の影響力が届いていないからだ。

 西安宣言の中で、このような状況に関連した記述は以下のとおりだ。「参加国は異論なく、国家の安全保障や政治的安定や憲法に基づく秩序の確立が重要な点であることを確認する。さらに、正当な国家権力を貶め、「カラー革命」を起こそうという動きには断固として反対することも確認する。さらには、他国による内政への干渉は、どんな形態であれ、どんな口実であれ、反対することが確認する。参加国は、民主主義が、人類が共通の願望であり価値であることを強調する。また、発展に向けた道程や国家経営の型を独自に選択することは他国が干渉する対象にすべきではない」。

 見逃さずにおれないことは、西安首脳会議から一週間も経たぬうちに、ロシアが中国から安全保障関連の長を招いたことだ。そしてこの長は、一週間という前例のない長さでモスクワに滞在し、話し合いを持ったのだ。この人物は、陳文清(ちんぶんせい)。政府局の一員であり、中国共産党中央政法委員会書記をつとめている。この陳書記の交渉相手は、ロシアのニコライ・パトルシェフ安全保障会議書記だった。同書記はクレムリンの安全保障面において最高位にいる人物だ。

 陳書記とその代表団をモスクワに迎えた際、パトルシェフ書記はこう語った。「中国との友好関係を拡大し、深めることは、ロシアの戦略に合致しています。我が国は、全ての面における中華人民共和国との互恵的な協力体制を最優先事項としています。この協力関係が見据えているのは、国際社会において、互いに支援し合い、対等の立場を強化することです。具体的には、ユーラシアにおいても、世界の他の地域においても、世界規模および地域規模での安全保障や安定、持続可能な発展を確実にすることです」と。

 陳書記のモスクワ訪問の最後の締めの発言でパトルシェフ書記はこう語った。「ロシアだけが、この多極化世界の中心にいるわけではありません。中国もそうです。彼ら(西側諸国)の考えでは、自分たちはロシアとの問題に対処でき、それが解決できれば、次の標的を中国にすることです。西側は、中国とロシアに平行して対応することは難しいと考えています。西側が中国の国境地域で、台湾とともにやってきたことについても、私たちはわかりすぎるほどわかっています。総じて、彼ら(中国側)の立場に賛同しないことは難しいことです」と。

 明らかに、モスクワで持たれた中露間の安全保障に関する最高位段階での話し合いにおいて期待されていることは、両者が連合して取り組めるための必要な土台を設置することで、両国共通の課題である当該地域での安全保障と安定を強化することだ。それは、ユーラシアで両国が直面している安全保障上の危険度が高まり、さらには中央アジアでテロが復興しつつあるという背景があるからだ。両国が同じようにもつ戦略上の課題は、アフガニスタンの安定に向けて、中露両国がとっている方策が非常に似通っていることからも明らかだ。そしてこの方策により、アフガニスタンは既に良い影響を受けている。タリバンがヒンドゥークシュ山脈の麓にあるこの国を不安定な内戦状態において以来、西側はずっと様々な目論見を企ててきたにもかかわらず、だ。

 5月5日、イスラマバードでのパキスタン・アフガニスタン・中国の三カ国会議に出席していた中国の秦剛(しんごう)国務委員および外相は、パキスタンの主催者らに対して3つの伝言を残した。具体的には、①中国はパキスタンの経済再建を喜んで支援する。②中国政府は、喜んでパキスタンと共同して、高い質の一帯一路協力体制を前進させ、CPEC(中国・パキスタン経済回廊)の発展を促進し、協力を深めることも行う。③何より、中国は喜んでパキスタンと協働し、「アフガニスタン問題に関する意思疎通と共同作業を強化し、アフガニスタンの平和と再建を促進し、この地域の安定と発展の維持を支援する、いう3点だ。

 重要なことは、秦剛外相が中国・パキスタン間の経済回廊をアフガニスタンにまで広げることを求め、その目的は、「互いへの敬意、率直な気持ちと友情、双方向にとって利益がある関係作りを模索するなかで、3カ国間の良好な近隣関係や相互信頼を促進すること」にあるとしたことだ。秦剛外相がパキスタンとアフガニスタンの交渉相手に伝えた内容は、中国は対テロリズムや安全保障上の協力体制を強化する準備がいつでもできており、「ともに協力して、東トルキスタンイスラム運動やパキスタンタリバン運動などのテロリスト勢力に断固として対抗し、この地域の安全保障と安定を守る準備もできています」というものだった。

 興味深いことに、秦剛外相が二国間協議において、アフガニスタン暫定政権のアミール・ハーン・ムッタキー 外務代理大臣に対して、中国政府は、「中国とアフガニスタン間の協力関係を様々な分野において強化し、この先早い時期に、アフガニスタンが自治、平和、安定、発展、および繁栄を成し遂げる支援を行う」意図があることを伝えた点だ。

 中国周辺地域に関する有数の専門家である朱永彪(しゅうえいひょう)蘭州大学アフガニスタン研究センター長が、環球時報紙に、「ここ数年、パキスタンとアフガニスタンは、国境問題を巡って激しく対立と論争を繰り広げてきたため、この3カ国間協議は平和や対話を促進する希有な機会となった」と述べた。

 朱センター長によると、アフガニスタン政府とパキスタン政府の間にはテロリズムについての捉え方に違いがあり、「特に、外国による干渉についてはそうだ。米国やインドなどの国々がこの問題に関して二重基準を用いるからだ」とし、そのため、中国が発した信号は、「パキスタンとアフガニスタン間の立ち位置を調整するきっかけのひとつ」になる可能性がある、とした。

 加えて、この中国専門家の発言によると、中国の近隣諸国であり、中国と政治上良好な関係をともに築いているアフガニスタン・パキスタン両国は、中国が、サウジアラビアとイラン間の関係緩和だけではなく、ウクライナ危機に関しても役割を果たしていることを認識しているので、両国は中国に対して期待しており、イスラマバードで開かれたこの三カ国協議が、「中国が、外交的な役割で果たしている自信を強化する証しとなっている」とのことだ。

 明らかに、タリバン政権に対する一般的な認識からは離れて、ロシア政府も中国政府もアフガニスタン政権と話を進めてきた。両国のこの姿勢のおかげで、中央アジア諸国の政府に安堵の色が広がっている。ロシア、中央アジア諸国、中国は、テロ勢力と宗教上の過激派により存続の危機をともに感じている。これらの勢力は、米国が手下として長年利用してきた勢力だ。したがって、これらの国々の間の共通理解として許せないことは、米軍がこの地域の軍事基地に駐留することや、パンジシール州の「アフガニスタン民族抵抗戦線」が、中央アジアを別の内戦をたきつけるための聖地にすることなのだ。

 中国とロシアは、アフガニスタンでタリバンが果たす役割の安定化に関して大きく貢献してきた。基本的に両国は、タリバンの支配者層が非常に難しい局面下でも比較的上手に国家運営していることを認めている。このことについては、中央アジア諸国政府も同様の認識を共有している。

 したがって、この地域の観点からすれば、CPECのアフガニスタンへの延長や中央アジアが一帯一路構想への統合に向かっていることが避けられない状況にあることは、中国と中央アジアとの関係において、必ず得られるであろう副産物だと見なされている。これらの過程はSCO(上海協力機構)の強化につながるだろう。さらに望まれるのは、この先のどこかで、インドもこの流れに乗ることだ。
関連記事

ウクライナの工作員ゼレンスキー。まさに、西側によって演出された人形劇

<記事原文 寺島先生推薦>
Ukraine’s Agent Zelensky… a Puppet Show Produced by the West
出典:ストラテジック・カルチャー(Strategic Culture)  2023年7月21日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年7月27日





 ウクライナは、西側資本に大きな借りを残した植民地として、この先何十年も西側に隷属される国になった。

 今週スコット・リッターが発表した2部構成のドキュメンタリーは、ウォロデミル・ゼレンスキーに幻想を抱いている人なら誰でも、何としても見るべきものだ。ゼレンスキーのことだけではなく、NATがけしかけているウクライナでのロシアとの間の戦争についても語られている。

 この報告が全体として解説しているのは、一人の喜劇俳優が一国の政治指導者となり、自国をロシアとの消耗戦という血なまぐさい戦争に引き摺りこんだ人物の話だ。

 既にずっと前から、ゼレンスキーの不誠実な役割に気づいている人々にとってさえも、リッターによる極めて詳細で、地政学全体を俯瞰したこの調査には感銘を受けることだろう。独自の調査だけではなく、ウクライナ元高官や敬意を表すべき西側の分析家らからの聴き取りをもとにし、リッターは「工作員ゼレンスキー」という激しい非難を加えている。

 この報告では、①裏切りと②汚職と③西側の人々に対する大胆な情報操作についての驚くべき内容が明らかにされている。

 リッターは、元米海兵隊情報本部の職員で、後に世界中から尊敬を集める独立系分析家となった人物だが、このリッターがゼレンスキーについて隅から隅まで調べ尽くし、さらにはゼレンスキーが英・米の諜報機関から手を回され、細かく監視されてきたせいで、ウクライナが西側の地政学上の利益のための植民地にされてきた経緯を明らかにしている。

 この「ウクライナ作戦」が始められたのは、ソ連解体後の1991年のウクライナ独立以来のことだが、ゼレンスキー政権下において、その総仕上げが行われてきたのだ。

 西側社会において、大手報道機関、ハリウッド、さらにはバチカンのローマ教会さえ、ゼレンスキーは、ウクライナの民主主義を守り、「ロシアによる侵略」に対してウクライナを擁護しているとして、彼を褒め讃えてきた。

 ゼレンスキーの仮の姿は、CNN(主要な宣伝機関だ)などの西側報道機関が繰り出す記事により、慎重に作り上げられてきた。高価な衣装をまとったゼレンスキーの妻は、ファッション雑誌の表紙を飾るが、彼女の夫は、すり切れた作業服を着た姿で登場した。この陳腐な画像こそ、ゼレンスキーを操る西側諜報機関が繰り出す人形劇や心理作戦を象徴するものだ。

 残念なことに、西側のあまりに多くの人々は、この連ドラに浸りきってしまっている。ただし、この連ドラの筋書きが通用しなくなっている兆候は見られる。何度も再演され、同じ決まり文句ばかり使っているからだ。

 リッターはこの茶番劇のカーテンを開け、その裏にある邪悪な陰謀とこの劇の制作者を明らかにしている。こんな安物の劇場の舞台に上がれるのは、コカイン漬けの役者だけだろう。批判的な目で見れば、ゼレンスキーがほぼ常に、空にあがる凧のように高揚した気分のなかで、CIAやMI6が西側の人々向けに書いた茶番劇の脚本を演じている、という事実は疑いようがない。

 大統領になる前、ゼレンスキーは「国民の僕(しもべ)」というコメディで主演を演じていた。ウクライナで大当たりしたこの喜劇は、一介の市民が政治家に転じ、既得権力の汚職を非難することで、一国の指導者にまで上り詰めるという架空の話だった。

 国政選挙がある2019年の前年、現実社会においても、「国民の僕」という政党があらたに立ち上げられ、ゼレンスキーがその党から大統領候補に立候補したのだが、その路線は、汚職に反対し、ウクライナに平和をもたらすことを誓約する、という方向性だった。

 これはCIAが支援したキエフのマイダンでのクーデターが起こった5年後のことだった。このクーデターにより、過激派が権力を握り、ロシア語話者の多い地域であるドンバス地方(現在はロシア領となっている)に対する内戦を起こしていた。

 ゼレンスキーが演じていたこの方向性こそ、西側による操作が行われていたことを物語るものだ。

 73%の得票率(人々が平和を求めていたはっきりとした証だ)で選ばれたゼレンスキーは、 即座に方向性を変えた。反ロシア政策に舵を切り、その中には、ウクライナの人口の3分の1の人々が第一言語として使用していたロシア語を根絶させようとするものもあった。しかもゼレンスキー自身、ロシア語話者だった。

 ゼレンスキーによるこの裏切り行為が明らかに示したことは、工作員たるゼレンスキーが、初めからずっと米国政府と英国政府が任命した西側諜報機関の僕にすぎなかったという事実だった。ゼレンスキーという操り人形の操り主である西側の究極の目的は、ウクライナをロシアに対する代理戦争の戦場として利用し、ウクライナ国民が最後の一人になるまで戦わせることだった。ゼレンスキーは、生け贄の子羊のように屠殺へと導かれた同胞の血をもってその任務を果たしてきたのだ。
 
 「卓越した長所の持ち主」として振る舞ってきたこの4年間、ゼレンスキーは西側のご主人様たちのために多くの使命を果たしてきた。

・ロシア語、ロシア文学、ロシア文化を排除した。

・ウクライナ正教会を分裂させ抑圧することで、ロシアとの歴史的なつながりが封じられ、一般のウクライナ市民の多くを混乱させた。

・歴史を削除したり、書き換えることにより、第2次世界大戦時のソ連軍によるウクライナの解放を侮辱した。そのいっぽうで、ナチの第3帝国に協力したウクライナの国粋主義者たちを賞賛したが、これらの国粋主義者たちの中には、ホロコーストやスラブ民族、ポーランド人などの民族に対する大量殺害を実行した際に手助けをした人々もいた。ゼレンスキーがユダヤ人の血を引いているという事実が、ゼレンスキーによるこの非常に怪しげな裏切り行為を西側の市民からわかりにくくするために利用されている。

・ゼレンスキーは、反対派の報道機関や記者、野党を排除し、ウクライナが西側の管理下に置かれて、さらにはロシアに対する代理戦争の道具扱いにされるという状況を急速に招いていた。「西側と価値観が共有できている」という一点で、米国や欧州の指導者たちはゼレンスキーを褒め称えた。

・ウクライナの広大な農地が、米国の農産業界に売り渡された。このような売却行為は、外国人が所有者になることを禁じているウクライナの憲法から完全に外れた行為であった。

・ウクライナを米国の生物兵器の実験場、および西側の軍事兵器の試験場にした。

・2022年3月にドンバス地域に対する軍事攻撃を、NATOの軍師支援のもとでウクライナに準備させた。同年2月、ロシアはこの攻撃に先立ち、軍事介入を行った。

 上記の使命一覧は、工作員ゼレンスキーがそれ以外のおぞましい使命とともに成し遂げられている。そのすべてが詳細に実証された。その結果として、ウクライナは、西側資本に大きな借りを残した植民地として、この先何十年も西側に隷属される国になった、ということだ。

 喜劇俳優から大統領に転じたゼレンスキーは、言語道断の裏切り行為により、報酬を受けてきた。ゼレンスキーは外国に数軒の贅沢な土地を所有しており、政治家を引退した後そこで生活しようと思っていることは間違いない。

 しかし、リッターは大きな疑念を投げかけている。それは、45歳のゼレンスキーが、静かな隠退生活を送ることを許してもらえるか、ということだ。というのも、ゼレンスキーの操り主である西側勢力が繰り出してきた汚い手の内を、ゼレンスキーは知りすぎてしまったからだ。

 これまで米・英政府に利用された多くの外国の指導者たちと同様に、この先ゼレンスキーが使い捨ての縫いぐるみのような扱いを受けることになる可能性は十分ある。

 現在、何万人ものウクライナ国民が、ロシアとの代理戦争の中で殺され、傷を負わされ、自国が破壊され、汚職漬けにされ、ナチの暗殺隊に集(たか)られている。
 
 この現状がすべて、米・英政府がロシアの弱体化を狙って繰り出してきた悪名高い長期にわたる帝国主義的計画の中身なのだ。そのいっぽうで、欧州各国を米・英資本に従属させようともしている。

 この計画が思ったようにうまくいっていないのは、ロシアが強力な軍事力と地政学的戦術を使って西側の目論見を頓挫させ、彼らの茶番劇を一蹴しているからだ。

 しかし、ウクライナで展開されている人形劇において、真に蔑(さげす)むべき内容は、西側の人形劇制作者らが、陰謀や裏面工作を駆使して、世界をロシアとの全面戦争の危機に追い込もうとしていることだ。そうなれば核による最終戦争になる可能性まである。この人形劇が抑制のきかない状況にまで進展してしまえば、の話だが。

 スコット・リッターがウクライナにおけるゼレンスキーや西側勢力の目論見を明らかにしたこのドキュメンタリーは、西側の全ての人々が目にすべきものだ。このドキュメンタリーは、西側の支配者たちに対する激しい告発であり、この代理戦争が一体どんなものであるかを明らかにするものである。
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ニカラグア大統領、「ナチス」ゼレンスキーを拒絶

<記事原文 寺島先生推薦>
Nicaraguan president rejects ‘Nazi’ Zelensky
Daniel Ortega also praised Libyan leader Muammar Gaddafi and lamented NATO’s destruction of Libya
さらにダニエル・オルテガ大統領は、リビアの指導者ムアンマル・カダフィを賞賛し、NATOによるリビア破壊を嘆いた。
出典:RT  2023年7月22日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年7月27日



© AFP / Cesar Perez


 ニカラグアのダニエル・オルテガ大統領は、水曜日(7月19日)に開催されたEU・CELAC*首脳会議で、「ファシスト・ナチス」のウクライナ大統領ウラジーミル・ゼレンスキー氏を支持する声明を採択させたことで、EUがラテンアメリカ・カリブ海諸国共同体(CELAC)を「傷つけている」と非難した。
*ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体。加盟国はアメリカ合衆国とカナダを除くアメリカ大陸33カ国であり、面積は約2000万平方㎞に達し、総人口は6億人を超える。

 ニカラグアのサンディニスタ勝利44周年を祝う催しで演説したオルテガは、ニカラグア政府が久しぶりに出席したブリュッセルでの首脳会議が、ニカラグアの反対にもかかわらず、「ウクライナに対する戦争」に「懸念」を表明する声明を発表したことを嘆いた。

 EUは「ニカラグアを米国と協調させようとしている」と非難し、自国政府は「第3回CELAC・EU首脳会議の合意宣言として、尊大かつ不当に発表されたものに署名も承認も同調もしていない」と強調した。



 関連記事: 世界はウクライナ紛争にうんざりしている --ブラジルのルーラ大統領

 オルテガ大統領は、決議は「合意をもとに行われなければならない」と主張した。手続きに従わないことで、EUは「CELACを傷つけている」とも。

 「EUはCELACとの会合で、ウクライナのファシストのナチス大統領を出席させようとした。EUはウクライナの混乱についてロシアを明確に非難する一行を首脳声明に盛り込もうとしたが、拒否された。

 「必然的に、私たちはこれを受け入れることはできなかった」とオルテガ大統領は説明し、「EUとCELACの議題にこのような問題を載せることは無意味だった」と指摘した。

 しかし、キューバ、ベネズエラ、ニカラグアに対する西側の侵略政策と制裁の停止を求める一行を声明に盛り込もうとした努力は、ベネズエラとニカラグアは削除されて骨抜きになった。EUで禁止されているクラスター弾をウクライナに提供しないという呼びかけも拒否された、とオルテガは述べた。

 オルテガ大統領はまた、ニカラグアの解放記念日を祝うためにマナグアの国家尊厳広場に集まった数千人の若者たちを前にして、2012年にリビアを「破壊」した戦争中に、NATO軍によって殺害されたリビアの指導者ムアンマル・カダフィを讃えた。カダフィは「ニカラグアとの連帯を示し」、「アラブ人民の団結を推し進めた」と述べた。
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米国のCovid-19が死因とされた死者数のほぼ3分の1は水増しされていた – ニューヨーク・タイムズ紙の報道

<記事原文 寺島先生推薦>
US Covid-19 deaths overcounted by nearly a third – NYT
The newspaper has long defended the official pandemic statistics, even suggesting the death count was low
同紙は長い間、パンデミックの公式統計を擁護し、実際の死者数はもっと多いとさえ報じてきた。
出典:RT  2023年7月18日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年7月27日



Covid-19で亡くなった人々を追悼するミネソタ州ホワイトベア湖にある芸術記念碑© Getty Images / Michael Siluk


 ニューヨーク・タイムズ紙は月曜日(7月16日)、疾病管理予防センター(CDC)の数値を引用し、Covid-19による米国の死亡者の3分の1近くが実際には別の原因によるものであることを認めた。

 同紙の記事によると、「公式の(Covid-19による死亡者数)はおそらく誇張である。なぜなら、死亡時にこのウイルスに感染していたが、それが根本的な死因ではなかった人の数も含まれているからである」とのことであり、CDCの数値とClinical Infectious Diseases(臨床感染症)誌に掲載された研究の両方が、「最近の公式発表によるCovid-19の死亡者のほぼ3分の1が、この事例に該当する」という主張を裏付けていると説明した。

 「Covid-19に関する良好な道標」と題されたこの記事によると、米国の全死因死亡率*が大流行の前の基準値に戻ったとのことだ。同記事によれば、大流行の最悪期には全死因死亡率が通常よりも約3割高かったが、そもそも新型Covid-19による死亡が約3割過大評価されていたことを認めれば、この数字はそれほど怖くないように聞こえるだろう。
*死亡原因に関係ない全ての死亡者数のこと




 関連記事:Covid-19騒動が示したのは、中国が行うことは、何であれ非難の対象にできるし、なるということ

 Covid-19による死者数が水増しされていたことを認めたこの記事は、これまでニューヨーク・タイムズ紙や他の米国の著名な複数の通信社や事実点検組織や医療行政の主顧問であったアンソニー・ファウチの主張とは相容れないものだ。ファウチ自身は、死者総数の公式発表に疑問の声を上げる人々は、「陰謀論者」であるとし、 ソーシャル・メディア上の根拠のない噂話や 右派の論客らが繰り出す偽情報に惑わされたものだ、と主張していた。

 ニューヨーク・タイムズ紙は2020年、当時のドナルド・トランプ大統領が、大流行による公式発表による死者数よりも「実際の死者数はずっと少ない」という主張をした際、「ほとんどの統計学者や公共医療の専門家たちは、トランプ大統領の言っていることは間違いである、と主張しており」、実際の死者数は記録されている数値よりも「ずっと多い」という主張をしていた。

 特にファウチは、死者総数が意図的に水増しされているという推定には不快感を示し、2020年、NBCの番組内で、「この件を支持する証拠はまったく存在しない」としていた。当時、バイクの衝突事故の被害者や銃による被害者などCovid-19とは無関係の死亡事例もCovid-19による死亡事例として数に入れられていたことが判明している。

 CDCは当時、これらの数値は実際の数値より少ないものであるとさえ推定していたが、患者がウイルスに感染していたかどうかを検査していなくても、死因をCovid-19であると診断するよう医師たちに薦めていた事実もあった。

 2021年、イタリアでは、Covid-19による死者数の数え直しがおこなわれたが、その結果で大流行期のCovid-19だけが死因であったと考えられる死者は、たったの2.9%に過ぎなかったことが判明した。それ以外に亡くなったのは、少なくともひとつ慢性疾患をもっていた人々であり、複数の慢性疾患を持っている場合もしばしばだった。ただし、真実確認担当者たちは、患者らの死因がこのウイルスではなく、これらの並存疾患にあったという主張には即座に反論した。

 ワシントン・ポスト紙への特約寄稿者であり、都市封鎖措置を声高に支持していたリーナ・ウェンは1月、「医療界」が、「Covid-19による死亡事例や入院事例を水増しして数えていた」ことを認め、 2人の感染病専門家の話を引用した。これらの専門家が彼女に伝えた内容は、Covid-19により入院した人の数は、9割も水増しされていた数値だった、という。
関連記事

キエフ政権の「無能」さがオデッサ大聖堂の破壊を招いた―ロシア側の主張

<記事原文 寺島先生推薦>
Kiev’s ‘incompetence’ to blame for damage to Odessa cathedral – Moscow
The largest Orthodox church in the city was likely hit by a Ukrainian missile, the Russian military has said
オデッサ市内最大の正教会がウクライナのミサイルで攻撃された可能性があるとロシア軍が発表
出典:RT    2023年7月23日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年7月27日



オデッサ地方行政局/テレグラム


 港湾都市オデッサにある最大の正教大聖堂がロシアのミサイル攻撃で深刻な被害を受けたというウクライナ側の主張は全くの誤りである、とモスクワ国防省は述べ、ウクライナ側の防空体系が攻撃した可能性が高いと付け加えた。

 同省は日曜(7月23日)の声明で、「オデッサ市の救世主顕栄大聖堂が(ロシアの)高精密兵器による攻撃を受けたというキエフ政権が広めた情報は現実と一致していない」と述べた。さらに、ロシアの攻撃が成功したのは、すべて当該地域の軍事施設への攻撃であり、「寺院群から安全な距離にある」ところだった、と付言した。

 当局者らはまた、「キエフ政権の軍やテロリストの基盤施設に対しての攻撃計画は、慎重に精査され確認された情報に基づいて実行され」ており、民間人や文化施設への攻撃は回避されている点を強調した。


オデッサ地方行政局/テレグラム

 同省はさらに、現場の映像から示唆されることは、「(この大聖堂の)破壊の原因として最も考えられるのは、ウクライナの対空誘導ミサイルの投下」であるともした。この事故の原因として考えられることは、ウクライナの防空体系を運営している職員らの「無能な対応」であり、その防空体系はキエフ当局が意図的に市民の居住地に配置している、とも付言した。



 同省によると、ロシアの攻撃は一夜にして、オデッサ付近のウクライナの海軍施設の爆撃に成功したという。この施設は、「海上ドローン機を含む、ロシアに対するテロ攻撃の準備のために使用されていた」とのことだ。同省はさらに、キエフ当局のために戦っている外国人傭兵たちの収容施設にも攻撃を加えたことを伝えた。

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 ソーシャルメディア上で出回っている写真を見ると、大聖堂の外観が広範囲に損傷しており、豪華な装飾が施された建物内部の床には瓦礫が散乱している。写真には、粉々に砕かれた祭壇や粉々になった天井壁画も写っている。

 救世主顕栄大聖堂は、1794 年に設立され、1936 年にソ連によって破壊されるまでこの地域全体の主教会であった。ソ連崩壊後、2010年にロシア正教会の首長であるキリル総主教によって修復され、献堂された。

 国防省によると、ロシア軍はここ数日、オデッサ地域で造船所、燃料貯蔵所、武器備蓄基地を標的とした攻撃を強化している。この攻撃は、今月初めにウクライナの海上ドローンがクリミア橋を襲撃し、道路の一部が損傷し、ロシアから来た夫婦の命を奪い、10代の娘に怪我を負わせたことへの報復として行われた。
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アフリカには、ウクライナの穀物のごく一部しか到達していない–イタリア国防相の報告

<記事原文 寺島先生推薦>
Tiny portion of Ukrainian grain reaches Africa – Italian defense minister
Guido Crosetto has warned that if poorer nations do not receive vital food supplies it could destabilize the region
グイード・クロセット国防相は、貧しい国々が重要な食料供給を受け取れなければ、当該地域を不安定にする可能性があると警告。
出典:RT  2023年7月21日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年7月27日



資料写真©ゲッティ・イメージズ/ アレクセイファーマン


 イタリアのグイード・クロセット国防相は、黒海穀物合意で決められた目標に反して、ウクライナの穀物輸出のごく一部しかアフリカには届かず、アフリカ大陸の主食の価格を高騰させていると主張した。

 金曜日(7月21日)に通信社の「ラ・スタンパ」の取材で、クロゼット大臣は、最近ロシアが延期を表明したウクライナの穀物取引が北アフリカの安定に影響を与える可能性があるかどうかについて質問を受けた。同大臣は、「すべてのことが関連しているため、この件が懸念の要素であることは間違いありません」と答えた。

 「輸出されたウクライナの穀物の95%はアフリカには届いていません。これらのアフリカ諸国が必要な物資を手にすることができていないので、アフリカ諸国は他の地域に目を向けています。そのため必然的に世界で穀物価格が上昇し、アフリカ諸国が輸入することがさらに困難になっています。このような状況により、すでに困難に陥っている地域がさらに不安定化しており、この問題は明らかにヨーロッパにも影響を及ぼしています」とクロセット大臣は述べた。

 ロシアが、トルコと国連が仲介した黒海穀物協定合意の「終了」を発表したことを受け、今週初め穀物価格が急騰した。

 2022年7月に発効し、それ以来繰り返し延長されてきたこの協定の下で、ロシアは黒海沿岸にあるウクライナの複数の港の封鎖を解除し、ウクライナの穀物の世界市場への輸出を可能にした。同協定はまた、ロシアの穀物と肥料の輸出に対する障壁を取り除くことになっていた。



 関連記事: ロシアはアフリカに無料の穀物を届ける準備ができている–プーチン大統領の声明

 しかし、モスクワは、合意の下でなされた約束のどれも守られなかったと主張し、ウラジーミル・プーチン大統領は先週、「ロシア連邦の利益に関連する目標は何ひとつ達成されなかった」と主張し、この協定を「一方的な試合である」と表現した。

 ロシアはまた、貧しい国々の飢饉を回避するという本来の目的のために穀物取引を使用しなかったとして、西側を繰り返し批判してきた。ロシア側によれば、同協定においては、アフリカ諸国を含む貧しい国々に農産物が届けられることになっていたが、その大部分がこれらの地域には届かず、欧州に届いている、という。

 3月に遡ると、そのときにウラジーミル・プーチン大統領が発表した内容は、ロシアが黒海取引を一時停止した場合、「それまでにロシアからアフリカ諸国に送られた[穀物の]全量」を困窮している国に無償で送る計画を検討する、ということだった。
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検閲産業複合体:米国政府による国内検閲と偽情報宣伝活動へのテコ入れ 2016年―2022年(第1回)

<記事原文 寺島先生推薦>
The Censorship Industrial Complex by Michael Shellenberger
筆者:マイケル・シェレンバーガー(Michael Shellenberger) 2023年3月9日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年7月26日

読者のみなさまへ

マイケル・シェレンバーガーの連邦政府の兵器化に関する議会選択委員会での証言の翻訳を以下の順番で随時掲載します。今回は、その第1回目で「1 Executive Summary(事業計画概要)」です。

1 Executive Summary(事業計画概要)
2 The Censorship Industrial Complex Today(今日における検閲産業複合体)
3 The Complex’s Disinformation Campaigns(検閲産業複合体の偽情報宣伝活動)
4 Ideology, Strategy, And Origins(思想、戦略、そして起源)
5 Key Events(鍵となる出来事)
6 Recommendations(お薦め)

検閲産業複合体

米国政府による国内検閲と偽情報宣伝活動へのテコ入れ
2016年―2022年


マイケル・シェレンバーガー証言
連邦政府の兵器化に関する議会選択委員会

2023年3月9日

1  事業計画概要(これから証言する内容の要旨)

 1961年の退任挨拶で、ドワイト・アイゼンハワー大統領は、「軍産複合体が不当な影響・・・を獲得すること」を警告しました。アイゼンハワーは、政府請負業者と国防総省の「複合体」(集団)の規模と力が、「我々の自由や民主的な手続きを危険にさらす」と懸念したのです。どうやって?それは「連邦政府に雇用される学者、計画の配分、そして財力の支配」を通じてです。彼は公共政策が「科学技術支配者層の人質になる」1ことを恐れていました。

 アイゼンハワーの懸念は十分な根拠をもっていました。今日、アメリカの納税者は、何もわからず、アメリカの科学技術支配者層によって運営される検閲産業複合体の成長と権力に資金提供しています。これは私たちの自由と民主主義を危険にさらすものです。私はこの証言で、アメリカ合衆国における国家主導検閲の驚くべき出現と憂慮すべき事態に警鐘を鳴らす機会を与えられたことを感謝します。

 ツイッター社に残された複数の文書、州司法長官の複数の訴訟、そして調査報道記者たちの記事は、巨大で、ますます大きくなっている政府機関、学術機関、そして非政府組織(NOG)の繋がりがアメリカ市民を積極的に検閲(市民にはわからないことがほとんど)していることが明らかにしています。その範囲は次のような問題に及んでいます:COVID2の起源、COVIDワクチン3、ハンター・バイデンの事業取引に関連するメール4、気候変動5、再生可能エネルギー6、化石燃料7など、そしてその他さまざまな問題です。

 私はいくつかの警告を申し上げます。これまで私たちが実証できた範囲を超えて、どれだけの検閲が調整されているのか、私にはわかりませんし、推測もいたしません。法律がFacebookやTwitterなどの民間企業に、自社のサイトにおいて、その内容を管理する権限を与えていることを私は知っていますし、政府が国民と意思疎通する権利を支持します。それには不正確で誤解を招く情報に異議を唱えることも含まれていることも承知しています。

 しかし、政府高官の方々が、ソーシャル・メディアに対して、好ましくない利用者や投稿内容を検閲するように繰り返し働きかけていることが発覚しています。一再ならず、これらの検閲行為はソーシャル・メディアが存在するために必要な法的保護である「通信品位法230条(Section 230)」*を脅かしています。
通信品位法230条*・・・プロバイダ免責を定めたアメリカ合衆国の連邦法律である。インターネット黎明期であった1996年2月8日、オンライン上でのわいせつ画像等の流布を禁じる米国通信品位法の一部として制定されたものの、米国最高裁判所が1997年6月26日にこれを違憲と判断したため、現在の形に大幅改正された。(ウィキペディア)

 「政府高官たちがこのような検閲を指示したり、支援しているのであれば憲法修正第1条に重大な問題を投げかけることになります。政府が直接行うことを禁じられていることを間接的にも行うことはできないというのは自明なことです」8と、ジョージ・ワシントン大学のジョナサン・ターリー教授は言っています。

 さらに、周知のことですが、アメリカ政府は、ニュースメディアやソーシャル・メディアがa) 検閲を拒否、そして/あるいは、b) 誤情報や陰謀論を広めることを拒否する場合、その広告主に対して、広告取り下げを促す圧力をかけることを任務とする複数の組織に資金提供しています。

 スタンフォード・インターネットオブザバトリー、ワシントン大学、アトランティック・カウンシルのデジタル法医学研究所、およびグラフィカ社*、国防総省やCIA、他の諜報機関と、公開が不十分なつながりがあります。これらの組織は、複数のアメリカ政府機関と連携して、多数の他の大学やシンクタンクで検閲に関する研究と提言を制度化する取り組みを行っています。
*ソーシャル・メディア分析を行う米国の企業

これらの組織がどのように機能しているかを理解することは重要です。彼らは公然と意見交換を行って反対派と対話するわけではありません。彼らは第一修正条項の制約に関して全国的な討論を求めているわけでもありません。むしろ、彼らは好ましくない人々のブラックリストを作成し、そのブラックリストに掲載された人々を検閲し、発信力の低減させ、そしてさらにはアカウントの削除をするよう、ソーシャル・メディアに圧力をかける、言いくるめる、そして要求しているのです。

 検閲者たちは誰なのでしょうか?私たちがよく知っている類(たぐい)の人間たちです。彼らは自分たちの能力に過剰な自信を持ち、真実と虚偽、善意と悪意を見極めることができると思っています。このような監視役型の人々は、先生に不満を言うことを本能的に行い、もし先生が応じない場合には上の立場にいる校長へ話を持って行きます。このやり方は中学校や多くの上流大学ではうまくいくかもしれませんが、自由への冒涜や権力の乱用になるため、忌避すべきものです。

 こういう類の組織は、「事実確認」という名目のもとに、自らの影響力を行使しています。検閲複合体の知的指導者たちは、ジャーナリストやソーシャル・メディアの幹部に対して、正確な情報こそが誤情報であり、妥当な仮説こそが陰謀論であり、自主検閲がより正確な報道につながると納得させています。多くの場合、ソーシャル・メディアの投稿に但し書きを付けるなどの検閲は、事実情報を信用できないものとして非難するための影響力操作の一環です。

 検閲産業複合体は、アメリカ軍が世界戦争として進めた「テロとの戦い」の中で開発された心理的操作の確立された手法と、人工知能(AI)を含むコンピュータ科学の非常に高度な用途を組み合わせています。この複合体の指導者たちは、インターネットとソーシャル・メディアが大衆迎合主義、非主流派、および周辺的考えを持つ人物や意見に力を与えることを恐れています。彼らはこういったことを、事態をかく乱させるものと見なしています。連邦政府高官、機関、そして請負業者たちは、ISISの勧誘者やロシアのボットと戦っていたところから、今や普通のアメリカ市民や好ましくない公人を検閲し、ソーシャル・メディアなどのサイトから排除するようになりました。

 重要なことは、軍段階の政府監視および言論対抗技術を導入する基準が、「テロ対策」から「過激派対策」、そして単なる誤情報対策へと移行したことです。政府は、あなたをテロリストまたは過激派呼ばわりすればいいだけで、あなたの政治活動に対抗するために政府資金を使う必要がありません。あなたがソーシャル・メディアで表明した意見は間違っている、とひとこと言えば話はすみます。

 これらの取り組みは、従来型のニュースメディア機関に対しても影響を及ぼし、指導さえ行われています。1971年、ワシントン・ポストとニューヨーク・タイムズは、ベトナム戦争に関する機密のペンタゴン文書を公表することを選択しました。ジャーナリストたちは、それらが盗まれたものであっても、内容が公共の利益に関連するものである漏洩文書については、ジャーナリストとして報道する義務があると理解していました。しかし2020年には、アスペン研究所とスタンフォードのサイバー対策センターは、ジャーナリストに対して「ペンタゴン文書の原則を破る」よう促し、「ディスインフォメーション(偽情報)」の拡散を防ぐため、漏洩した情報を報じないよう求めたのです。

 政府から資金提供を受けている検閲者たちは、しばしば現実世界への被害の防止を根拠にして検閲の要求を正当化します。その検閲者たちは最高裁判所よりもはるかに広範な意味で「被害」を定義しています。実際に、彼らは「ワクチン接種のためらい」を防ぐためとして、COVIDワクチンに関する正確な情報をFacebookが検閲することを正当化しています。彼らの目標は明らかに真実を守ることではなく、むしろ一般の人々を説得することです。それが公開討論と自由な意見交換の目的です。暗に行われる説得というのは検閲と同じです。

 さらに、検閲者たちはますます、彼らの目標は政府、産業、そしてニュースメディア機関の「正当性を貶める」情報を制限することだと述べるようになっています。9こういった強制力は手の施しようもなくなり、各機関へと選出された公職者はじめ、法律に至るまでの現状に少しでも批判的な意見を述べれば、いとも簡単に検閲されることになるでしょう。この極端で反動的な態度は、単刀直入に言えば、「非アメリカ的」です。

 議会は即座に検閲者への資金提供を打ち切り、彼らの活動を調査すべきです。第二に、ソーシャル・メディアの幹部、政府職員、および請負業者の間で行われる内容管理に関するすべての会話の即時報告を義務付けるべきです。第三に、議会はソーシャル・メディアが検閲、サイトからの排除、およびプロパガンダの拡散を行うために与えられた広範な権限を制限すべきです。


<原注>
1 Dwight D. Eisenhower, "Farewell Address," (Washington D.C., January 17, 1961), American Presidency Project, University of California Santa Barbara, https://www.presidency.ucsb.edu/documents/farewell-address-0.
2 Cristiano Lima, “Facebook no longer treating, ‘man-made’ Covid as a crackpot idea,” Politico, May 26, 2021, https://www.politico.com/amp/news/2021/05/26/facebook-ban-covidman-made-491053.
3Anonymous Facebook executive, email to Andrew M. Slavett and Rob Flaherty, “[EXTERNAL] Follow up - Friday call w[redacted],” Mar 21, 2021, cited by Michael Shellenberger, Leighton Woodhouse, “Under White House Pressure, Facebook Censored Accurate Covid Vaccine Information,” Public, Jan 12, 2023, https://public.substack.com/p/under-white-house-pressure-facebook.
4 Michael Shellenberger (@ShellenbergerMD), “1. TWITTER FILES: PART 7,” Twitter thread, Dec. 19, 2022, 11:09 am, https://twitter.com/ShellenbergerMD/status/1604871630613753856.
5 Editorial Board, “Facebook admits the truth: ‘Fact checks’ are really just (lefty) opinion, New York Post, Dec. 14, 2021, https://nypost.com/2021/12/14/facebook-admits-thetruth-fact-checks-are-really-just-lefty-opinion/ Shellenberger Testimony March 9, 2022 p. 54
6 Michael Shellenberger, “ Why The Biden Admin Wants Censorship Of Renewable Energy Critics,” Public, June 14, 2022, https://public.substack.com/p/why-the-biden-adminwants-censorship
7 Michael Shellenberger, “Disinformation Behind Censorship Demands,” Public, Sep. 26, 2022, https://public.substack.com/p/disinformation-behind-censorship
8 Ken Klippenstein and Lee Fang, “Truth Cops: Leaked Documents Outline DHS’s Plans to Police Disinformation,” The Intercept, Oct 31, 2022, https://theintercept.com/2022/10/31/social-media-disinformation-dhs/
9 See for example NSF-funded “Course Correct” described below.
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現代ウクライナ史の裏にある大きな嘘:なぜウクライナ政府は謎に包まれた2014年の 「マイダンの虐殺」 の適切な調査を拒否するのか?

<記事原文 寺島先生推薦>
The big lie behind modern Ukraine: Why does Kiev refuse to properly investigate the mysterious 2014 ‘Maidan massacre’? — RT Russia & Former Soviet Union
For almost ten years officials have refused to find the culprits, despite plenty of eyewitness accounts and evidence
多くの目撃証言や証拠にもかかわらず、10年近く当局は犯人の特定を拒否してきた。
筆者:クリスティーナ・シゾヴァ(Christina Sizova)
出典:RT   2023年7月17日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年7月25日





 ウクライナにおける戦闘の活発な段階は500日以上続いている。この間、数万人、おそらく数十万人が死亡した。

 一方、西側諸国は戦争を支援するために数十億ドルを費やしており、ロシアでは核兵器使用の可能性について活発な議論が始まっている。

 ウクライナ出身のカナダ人研究者であるイワン・カチャノフスキーは、一連のドミノが最初に倒されたのは約10年前で、後に 「ユーロマイダン」 として知られる大規模な抗議運動がウクライナの首都で発生した時だと考えている。

 キエフではある日、反政府デモ隊と警察を合わせて100人以上が死亡した。ウクライナ指導部、西側の政治家、メディアはベルクト特殊警察(訳注)を非難したが、多くの事実は、反政府デモ隊がその仲間によって撃たれた可能性を示唆している。
(訳注)2014年まで存在していたウクライナ内務省管轄の民警(ミリーツィヤ)に属する特殊部隊(Weblio)



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 カチャノフスキーは「マイダン虐殺裁判と捜査から分かったこと:ウクライナ・ロシア戦争と関連事項への示唆」という記事の中で、10年前の犯罪を適切に捜査できなかったことが、国際関係を現在の状態に導いたことを示している。


マイダンの虐殺:調査結果

 ウクライナ政府が欧州連合 (EU) との連合協定締結の準備を中断した2013年11月21日から、関連する事件が始まった。同日午後10時頃、当時の主要野党指導者の支援を受けた最初の抗議行動がキエフのメイン広場で発生した。

 当初はそれほど多くの人が集まらなかった。初日には1000人から1500人の活動家が参加した。しかし、数日後、好機だと感じた急進派が、マイダンにテントの設営をした。最終的にはいくつかの行政機関の建物を占拠し、武装した「自衛軍」を組織し、警察と直接衝突することになる。

 2014年の2月18日から20日にかけて、正体不明の狙撃兵がマイダンの上層階から発砲し、事件は最高潮に達した。その結果、デモ隊抗議者とウクライナ内務省管轄のベルクト特別警察隊の警官を含む100人以上が死亡した。検察庁によると、ユーロマイダンで2442人が負傷した。誰かが虐殺の責任を問われなければならず、クーデターの後に権力を握った者たちはすぐに「犯人」と思われる人物を見つけ出した。

 国外逃亡したヴィクトル・ヤヌコーヴィチ元大統領に対する刑事訴訟が開始された。彼は民間人の大量殺人で起訴された。また、ベルクト特殊警察部隊は、市民に対する武器の発砲を含むマイダンの犯罪で告発された。


2014年2月23日にキエフの独立広場で起きた警察との衝突で死亡した反政府デモ隊の慰霊碑に献花し、追悼する人々。
© Brendan Hoffman / Getty Images



生贄(いけにえ)

 2015年2月、検察は25人のベルクト警察官とその他の身元不明の個人が反政府デモ隊の射殺に関与したと主張した。その2年後、セルゲイ・ゴルバチュク検察庁特別捜査部長も、ベルクトの隊員が反政府デモ隊に対して武力を行使したとして、3000から5000グリブナ(当時337ドルと562ドル)のボーナスを違法に受け取ったと主張した。



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 元警察官の起訴が全国で始まり、多くのベルクト警察官がロシアに移住した。2014年2月のマイダン殺害がベルクトによるものであることを暗示するこの物語は、ウクライナ政府関係者や西側の支援者によって疑問視されたことはない。

 しかし、現在も捜査は続いている。昨年2月、イリーナ・ヴェネディクトヴァ検事総長は、ウクライナの裁判所がマイダン事件に関連した犯罪で50人に判決を下したと述べた。また、518人が告発され、248人の起訴状が提出され、372人が有罪判決を受けたと述べた

 しかし、多くの疑問が残されている。最初のマイダン 「活動家」 の殺人事件は未解決のままである。前述の「狙撃事件」も未解決のままであり、反政府デモ隊や警察官たちを撃った者は起訴されていない。警察に対する犯罪は捜査すらされていないが、検察庁によると、ユーロマイダンの事件で721人が負傷したという。

 「ウクライナや西側諸国では、反政府デモ隊のマイダンでの虐殺はヤヌコーヴィチ政権によるものだとする見方が支配的で、警察の殺害はほとんど無視されている。一部の例外を除いて、西側とウクライナのメディアもまた、マイダンでの虐殺の裁判と、マイダンが管理する建物内の狙撃兵に関する調査結果を報道しませんでした」 と、イワン・カチャノフスキーは述べている。


いったい本当は何が起こったのか

 この事件においては、ベルクト警察が常に傍証を欠いていたと主張する声も上がっている。2019年、弁護士のアレクサンドル・ゴロシンスキーがロシア情報通信のRIAノーボスチ通信社に対し語ったことは、2014年2月20日の朝、39人の警察官と軍人が負傷し、四人が死亡したということだった。同日夕方までに63人が負傷した。

「誰かが整然とベルクト警察と国内軍の兵士と将校に向けて発砲した」 と彼は主張した

 2014年4月、ドイツ国営放送ARD/Das Erste TVチャンネルは報道調査を行い、ウクライナ検察局が承認した内容に矛盾があると結論付けた。ジャーナリストのステファン・シュチュリクは、デモ参加者が自分の仲間によって背後から撃たれたという証拠を提示した。



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 「いくつかの重要な疑問が残されている。その一つは、2月20日に本当に反政府デモ隊が背後から撃たれたのかということである。これが重要なのは、彼らのすぐ後ろに反政府デモ隊が支配するウクライナホテルがあったからだ。これは仲間から銃撃された可能性を意味する。この件について、目撃者、射撃の専門家、弾道学の専門家に話を聞いた。彼らは確かに背後から撃たれたと主張している」と記者は述べた

 BBCの調査では、反政府デモ隊が警察に発砲したことで虐殺が始まった可能性も指摘されている。セルゲイという男は、別の男と一緒に、当時デモ隊の支配下にあった建物から警察に向けて発砲したとイギリス国営放送に語った。彼によると、彼がベルクト警官に向けて撃った銃弾は警察を後退させた。

 米国のSITU Researchも、「背後から銃撃されたことは法医学的証拠から明らかである」「誰かが屋上から銃撃していた」と指摘している。

 これらの報告は、過激派のイワン・ブベンチックによって確認された。2016年、ウラジミール・ティヒー監督のドキュメンタリー映画 「Brantsi」(囚人)で、彼は機関銃で内務省の警察官を撃ったことを認めた。「後頭部を撃ち抜いて殺したと言われていますが、それは事実です。彼らは私に背を向けて立っていた。彼らが振り向くのを待つ機会がなかった。私は3階の柱の後ろの、マイダンから最も遠い窓から発砲した。そこからは、石碑のそばに盾を持った警官が配置されているのがはっきり見えた。」とブベンチックは述べた。


2014年2月20日にキエフでウクライナ大統領と野党指導者の間で停戦が合意されたにもかかわらず、独立広場で警察との衝突が続く中、反政府デモ隊が負傷者を運んでいる。© Jeff J Mitchell/Getty Images


1000時間のビデオ映像、数十人の目撃者

 これらは、マイダン殺人事件で公に利用可能な目撃証言の一部にすぎない。カチャノフスキーは、マイダン虐殺、ヤヌコビッチ裁判、そして公式オンラインデータベースで利用可能な2500以上の判決におけるこれらの事件の調査の約1000時間の公式ビデオ映像に基づいて調査した。

 カチャノフスキーは、ベルクト警察が反政府デモ隊を銃撃する映像が裁判で提示されたと述べている。しかし、映像の中の銃撃の時間と方向は、マイダンの銃撃の時間と一致していなかった。彼は、裁判中に提出された動画やその他の証拠によって、警察が到着して発砲する前に反政府デモ隊の3人が (インスティトゥツカヤ通りで) 殺されたことが確認されたと考えている。



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 同時に、ベルクト警察の弁護団が指摘したのは、反政府デモ隊の一人が猟銃から撃った発砲の時間と方向 (動画と写真で見られるように) は、国家の法医学専門家によって確立された特殊部隊の警官を殺害した発砲の時間と方向と一致するということだった。

 カチャノフスキーは、マイダンの銃撃犯は特定されたが、起訴されなかったと主張している。

 ベルギーのテレビ局VRTが録画した未公開映像も裁判で上映された。映像には、ウクライナホテル内に配置された狙撃兵が反政府デモ隊を撃っていたため、デモ参加者が他の参加者に前進しないよう警告している様子と、彼が発砲による閃光を見ていたことが映っている。VRTの動画には、デモ隊の方向で木に命中した弾丸も映っている。彼らは振り向いて、ホテルを指差し、狙撃手に向かって「撃つな」と叫ぶ。

 2月20日にベルクト警察により襲撃されたとされ、証言が公開された負傷した72人のマイダンの反政府デモ隊のうち約51人は、捜査と裁判で、マイダンの活動家が支配する建物や領域から狙撃兵に撃たれたと主張した。彼らは狙撃手を個人的に見たり、他のデモ隊の抗議者から聞いたと証言した。計31人の負傷した反政府デモ隊の者たちは、ウクライナ・ホテル、アルカダ銀行、10月宮殿、ムセイニー・レーンとゴロデツキー通りの建物から攻撃を受けたと述べたが、これらはすべて、当時は反政府デモ隊が支配していた建物と領域だった。


グルジアの狙撃兵

 ある説によると、反政府デモ隊を撃ったのはウクライナ市民ではなく、ジョージア人を含む外国人の傭兵だったという。これを最初に述べたのは、グルジアの精鋭部隊 「アヴァザ」 の元司令官トリスタン・ツィテラシュヴィリ将軍で、彼はグルジア人がマイダンの事件に参加していたことを知っていたと主張した。


2014年2月19日、キエフの 「マイダン」 と呼ばれる独立広場周辺で、がれきや炎の中を歩く反政府デモ隊 © Brendan Hoffman / Getty Images

  2018年2月、複数のグルジア市民がRIAノーボスチ通信社とのインタビューで、反政府デモ隊を撃ったことを認めた。ジョージア陸軍の元軍人コバ・ネルガゼ氏によると、狙撃手たちはミヘイル・サアカシュヴィリ元大統領の元顧問マムカ・マムラシヴィリの助けを借りてキエフに来たという。ネルガゼと彼の一団は、1万ドルを与えられ、キエフから戻った後、さらに5万ドルを約束された。彼らは偽造パスポートでウクライナに入国した。キエフではウシンスキー通りを拠点とし、毎日マイダンの催しに参加した。



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 捜査の過程において、カチャノフスキーはこう語った。すなわち、米・伊・イスラエル・マケドニア・露の報道機関とのインタビューにおけるジョージアの狙撃手たちの主張によると、彼らはバルト諸国から来た狙撃手団や極右勢力と関係のあるウクライナの狙撃手団とともに、両側の抗議活動者を射撃するよう命令を受けていたというのだ。そしてその目的は、ヤヌコヴィチとユーロマイダンの指導者たちの間で和平協定を結ばせないことにあった。


誰も告訴されず

 多数の事実、証拠の調査、ビデオ録画、目撃者の証言にもかかわらず、警察官の殺人や傷害で有罪判決を受けたり逮捕されたりした者がいないことに、カチャノフスキーはショックを受ける。

 彼は、検察庁が、2013-2014年の事件に直接参加した極右政党のスボボダ党(訳注)と人民戦線党の政治家か、あるいはその後のペトル・ポロシェンコ大統領とウラジーミル・ゼレンスキー大統領の側近によって率いられていたためだと考えている。
(訳注)ウクライナのネオナチ・民族主義政党(ウィキペディア)

 「スボボダと人民戦線の主要構成員が検察庁を率いるように選ばれた。他のマイダン活動家やマイダン狙撃団のジョージア人構成員の告白によって、これらの政党が虐殺に直接関与したと非難されたにもかかわらずに、である。この事実は、隠蔽と妨害を示唆している」とカチャノフスキーは言う。

 また、裁判で証拠改ざんの事例が明らかになったことも彼は指摘した。死傷者が出たとされる反政府デモ参加者の銃弾は、大きさや形、包装が変わっただけでなく、何の書類もなく現れたり消えたりした。例えば、マクシム・シャイムコの検死報告書には、黄色の弾丸片が1つ、灰色の弾丸片が3つ記載されていたが、法医弾道学的検査では、灰色の弾丸片が、新しく発見されたはるかに大きなサイズの黄色の弾丸片に置き換えられた。その後、この新しい弾丸の破片はベルクト特殊警察のカラシニコフ銃と照合され、何の説明もなく、これまでの多くの法医学検査を覆した。


2014年2月22日にキエフで起きた警察との衝突で死亡した反政府デモ隊に残された花の横で悲しむ男性 
© Jeff J Mitchell / Getty Images



次は何か?

 カチャノフスキーによれば、これらの結論は、ウクライナにおける紛争の原因であるユーロマイダンを理解するために重要であり、ロシアとウクライナ、ロシアと西側の間の紛争についても同様である。彼の主張によると、偽旗虐殺は西側の支援を受けた事実上の暴力的なウクライナ政府の転覆を招き、その結果クリミアはロシア領となり、ウクライナにおける武力紛争と2022年2月のロシアによる攻撃を引き起こした、という。

 「裁判と捜査で明らかになったことは、人気のあった 「ユーロマイダン」 の抗議行動ではなく、このヤヌコヴィチに対する演出された大量殺戮と暗殺の試みが、ヤヌコヴィチ政権の打倒において決定的であったことを示している。これらは、ウクライナと西側諸国で支配的な物語に反して、ユーロマイダンの間の政治的移行が非民主的であったことを示している。この反政府デモ隊と警察官の大量殺害は、独立したウクライナの歴史において最も重大な政治犯罪と人権侵害の一つでもあった。」とカチャノフスキーは書いている。



 関連記事:ゼレンスキーによる強制被動:ウクライナの「電撃」戦略は失敗。その結果大いに宣伝されていた反撃はどこに行ってしまった?

 彼は、ウクライナの法執行機関と司法制度がユーロマイダンの事件の適切な解決を保証できなかったことが、ウクライナ社会における法の支配と和解の見通しを損なったと考えている。ウクライナ社会は、ユーロマイダンの最中とその後の他の政治問題と同様に、マイダンの抗議行動に対する支持という点で分裂した。

 いっぽう、特にロシアとウクライナの間で続いている戦闘の間は、事件が政治問題化し、ウクライナの司法制度に独立性が欠如しているため、マイダン虐殺の裁判所判決が正義をもたらす可能性は低い。

 さまざまなマイダン虐殺の物語は、西側とロシアの対立だけでなく、クリミアとドンバスの状況の平和的解決を複雑にし、ロシアとウクライナの関係を悪化させた。

 「ウクライナにおけるマイダン虐殺の実際の加害者を裁判にかけることは、これらの危険な紛争を解決する上で困難ではあるが必要な一歩である」と著者であるカチャノフスキーは結論付けている。

 他の多くの人々と同様に、カチャノフスキーが十分に認識していることは、マイダン虐殺を利用してウクライナで民主的に選出された政府を暴力的に転覆し、そのことを西側が事実上支持したことが、クリミアやドンバスでの紛争、ロシアとウクライナの紛争、ロシアと西側の紛争につながったことである。「ユーロマイダン」 の結果、ウクライナはアメリカのお得意様国家になったとカチャノフスキーは書いている。彼はまた、これが最終的にウクライナとロシアの対立、そしてウクライナにおける西側とロシアの代理戦争につながったと指摘している。

 マイダン虐殺とウクライナが公正な調査を保証しなかったことは、世界的な影響を及ぼした。最終的にNATOとロシアの直接戦争に発展し、それが核戦争に発展する可能性さえある。

クリスティーナ・シゾヴァ著 モスクワを拠点に政治・社会・国際関係を専門とする記者
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医療従事者の突然死

<記事原文 寺島先生推薦>
Healthcare Workers Are Dying Suddenly
Paramedics, Chiropractors, Nursing or Physician Assistants, Dental Assistants, Care Home Workers, Psychologists. 14 deaths examined (in the last three months)
救急医療技師、カイロプラクター、看護師または医師助手、歯科助手、介護施設の従業員、心理学者。過去3ヶ月間に検証された死亡件数は14件。
筆者:ウィリアム・マキス(William Makis)
出典:Global Research  2023年7月7日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年7月24日




 2023年6月14日 - ブリティッシュコロンビア州ノースバンクーバー - 42歳の救急医療技師、ライアン・ヴェナが睡眠中に死亡。「この死因はまだ分かっていない」(こちらをクリック)

 

 2023年5月11日 - オンタリオ州トロント - 53歳の救急医療技師、マーク・サルマノビッチが突然死(こちらをクリック)。



 2023年5月8日 - カリフォルニア州デイビス - ソノマ州立大学の心理学のPhDのシャノン・キャラハン博士(39歳)が、経尿道的膀胱がんで5週間という短期闘病の末に急逝。彼女は2023年3月31日に腹部のステージ4の手術不能の進行性がんと診断されていた。



 2023年5月6日 - ニューヨーク、ニューヨーク州 - 29歳のロバート・リトルが睡眠中に死亡。ロバートは消防士であり、フロリダ自然健康大学を卒業。彼は婚約者と一緒に家を購入したばかり。



 2023年4月25日 - テキサス州ボーン - 34歳の小児カイロプラクター、シーナ・ナゲリ博士が、2023年4月20日に赤ちゃんのジュリエットを出産した後、突然死亡(こちらをクリック)。



 2023年4月18日 - ネブラスカ州チャドロン - 35歳の医療従事者(認定看護助手)サマンサ・マッコイ氏が突然死。「詳細は分かりませんが、突然のことでした」。



 2023年4月12日 - サスカチュワン州の34歳の医療従事者、クイン・トルグンルドが睡眠中に突然死。2週間前に誕生日を祝ったばかり。



 2023年4月3日 - ニューヨーク州グレンコーブ - 19歳のEMT(緊急医療技師)スーザン・ジョバンニエッロが「特定できない医療緊急事態」を経て死亡。彼女は勤務後に自宅で倒れた(こちらをクリック)。



 2023年4月2日 - テネシー州アンティオック - 39歳の心理学者であり、ヴァンダービルト大学医療センターのプログラムマネージャーであるシャナ・L・ハレルが、2023年3月13日に医療緊急事態に見舞われた後、突然死。



 2023年3月31日 - ニューメキシコ州アラモゴード - 22歳の歯科助手、ニコール・マリー・プリエトが脳動脈瘤破裂により死亡。「彼女は死の3日前から生命維持装置を装着」。


 2023年3月22日 - アリゾナ州フェニックス - 39歳の医師助手、ジャクリーン・スー・コーベットが「呼吸不全」のため死亡。彼女は非常にスポーツ好きであり、認定のホワイトウォーターラフティングガイドや認定の雪崩救助、野外捜索救助、プロスキーパトロールもしていた。



 2023年3月14日 - マサチューセッツ州チャールズタウン - 27歳のブランディ・ジュニョ(UMass Memorial Medical Centerの介護助手)が、突然死。「自宅で突然体調不良に襲われた後のこと」。彼女はCOVID-19のmRNAワクチンを完全に接種し、追加接種も受けていた。(こちらをクリック)



 2023年3月11日 - イギリス、クライドバンク - 24歳の救急医療技師、ミードブ・キャメロン死亡。彼女は2022年9月にステージ4の肺がんと診断され、化学療法に耐性のあるがん(ターボガン)だった。



 2023年3月7日 - 38歳の心理学博士、ティファニー・ロイス・カミングスが「予期せぬ死」を遂げた。彼女はフロリダ大学で心理学の博士号を取得。ウェイクフォレスト・バプティスト・病院でPP訳注:practicing provider医師から独立して医療行為が行える専門職として働いていた。




<私見>
 COVID-19のmRNAワクチンを接種することを義務付けられた後、突然亡くなるのは医師や看護師だけではない。

 全ての種類の多くの医療従事者が、突然、若くして亡くなっている。

 テレビ番組「スティーブ・バノンのWarRoom」でエド・ダウドが提示した米国の保険データによれば、COVID-19ワクチン接種の義務を受け入れた人々は、接種を避けるために仕事を辞めた人々よりも、障害を受ける危険が550%高く、死亡する危険が40%高いとされているこちらをクリック)。

*
ウィリアム・マキス博士は、カナダの医師であり、放射線学、腫瘍学、免疫学の専門知識を持っています。ガバナー・ジェネラル・メダル受賞者であり、トロント大学の学者でもあります。100以上の査読済み医学論文の筆者です。

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高齢者の大統領を望むアメリカ人はたった3%-世論調査

<記事原文 寺島先生推薦>
Only 3% of Americans want elderly president – poll
Around half of those surveyed said the head of state should be in their 50s
調査したおよそ半数の人が、国家元首は50代であるべきだと述べている。
出典:RT 2023年7月7日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年7月24日



ホワイトハウス南庭でゲストに向かって演説するジョー・バイデン大統領© AFP / Tasos Katopodis


 圧倒的多数のアメリカ人が、アメリカは高齢の大統領によって運営されるべきではないと考えていることが明らかになった。(ピュー・リサーチ・センターの世論調査)

 木曜日(7月6日)に発表された調査によると、回答者のうちわずか3%が、70歳以上の候補者をオーバルオフィス(大統領執務室)に望んでいる。

 現在のアメリカ合衆国大統領であるジョー・バイデンは80歳であり、これはアメリカ史上最年長の指導者となる。来年の大統領選挙における彼の主な対抗馬は、6月に77歳になったドナルド・トランプ。

 この世論調査の執筆者たちは、国家元首の「理想的な年齢」を尋ねる際、特にバイデンとかトランプの名前を挙げていないと言っている。

 しかしながら、この世論調査によると、アメリカ人は若い大統領に対しても信頼を寄せることが少ないようだ。米国憲法は、大統領になるための最低年齢を35歳と定めており、調査対象者のうちわずか3%しか30代の国家元首を望んでいないと回答している。



 関連記事:バイデンはマスクを着用したまま眠るーホワイト・ハウス

 回答者のほぼ半数(49%)が大統領には50代の人物が適していると考えている。さらに24%の人々が国家元首には60代の人物を望んでおり、17%が40代の人物を選択した。今回のピュー・リサーチ・センター世論調査の結果だ。

 民主党と共和党の間で理想的な大統領の年齢についての見解は類似していた、とピュー・リサーチは指摘している。

 この調査は、2023年6月5日から6月11日にかけて、5115人の成人を対象に行われた。調査対象者は全てピュー・リサーチ・センターのアメリカ・トレンドパネル(ATP)の会員であり、居住地の住所を無作為に抽出して募集されたものだ。

 CNN/SSRSによる先月の世論調査によれば、アメリカ人の36%がバイデンとトランプが2024年の選挙に出馬することに反対している。CNNは、この2人の間の競争は、「歴史的な数のアメリカ人が望んでいない」ものだと述べている。
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時系列で見るウクライナ紛争

<記事原文 寺島先生推薦>
Ukraine Timeline Tells the Story
筆者:ジョー・ローリア(Joe Lauria)
出典:INTERNATIONALIST 360° 2023年7月6日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年7月23日


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2015年5月18日:ウクライナ陸軍による砲撃後の、ドネツク国際空港近くにある東方正教会の破壊跡。東ウクライナ (Mstyslav Chernov. CC BY-SA 4.0, Wikimedia Commons)


 歴史的な文脈がなければ、企業メディアに埋められたウクライナを理解することは不可能だ。ウクライナ戦争を理解させないためには、その歴史を抑えつければよい。時系列に並べると、明らかに、西側のロシアに対する攻撃的な意図が見えてくる。もしNATOがウクライナの加入を許可しなければ、もしミンスク協定が実施されていれば、そしてもしアメリカとNATOがロシアの安全保障上の懸念を考慮に入れた新しいヨーロッパの安全保障体制を交渉していれば、この悲劇は回避されただろうことが見えてくる。


時系列で見たウクライナ

 第二次世界大戦――ステパン・バンデラ率いるウクライナの国家ファシストたちは、最初はドイツのナチスと同盟を結び、10万以上のユダヤ人とポーランド人を虐殺。

 1950年代から1990年まで。C.I.A.はウクライナのファシストたちをアメリカに連れてきて、ソビエト連邦をウクライナで弱体化させるために彼らと協力、破壊工作とプロパガンダ活動を行った。ウクライナのファシスト指導者であるミコラ・レベドはニューヨークに連れてこられ、少なくとも1960年代までC.I.A.と共に働き、1991年、ウクライナが独立した年までC.I.A.にとって役立つ存在だった。その証拠は、アメリカ政府の報告では82ページからその記載がある。かくしてウクライナは、約80年間、モスクワを弱体化し脅迫するための拠点だった。

 1990年11月:ベルリンの壁崩壊から1年後、アメリカ、ヨーロッパ、そしてソビエト連邦によって「新しいヨーロッパのためのパリ憲章」(または「パリ憲章」としても知られる)が採択される。この憲章はヘルシンキ協定に基づいており、1999年の「欧州安全保障のための憲章」で更新されている。これらの文書は欧州安全保障協力機構(OSCE)の基盤となっている。OSCEの憲章には、どの国または地域も他国の犠牲によって自国の安全を保つことはできないと記されている。

 1991年12月25日:ソビエト連邦が崩壊。ウォールストリートとワシントンのカーペットバッガー(南北戦争後に南部にやって来て詐欺、いんちき行為などをした北部人_英辞郎)のような詐欺師たちが、続く10年間に、以前国有財産だったものを剥奪し、私腹を肥やし、オリガルヒの振興を促し、ロシア、ウクライナ、および他の元ソビエト人を貧困に陥れた。

 1990年代:アメリカはソ連の最後の指導者ゴルバチョフとの、統一ドイツの代償としてNATOを東ヨーロッパに拡大しない約束を反故にする。アメリカ政府のソ連関係専門家であるジョージ・ケナンは拡大に反対。一方、NATOの拡大を支持する上院議員ジョー・バイデンは、ロシアがそれに敵対的に反応すると予測している

 1997年:ロシアの「激しい敵対的な」反応を引き起こす唯一の要因は、不必要なNATOの極東への拡大であり、ロシアの国境まで拡大することだろう―上院議員ジョー・バイデン pic.twitter.com/hRW47hLL5y

— Rishi Bagree (@rishibagree) June 17, 2022

 1997年:元アメリカ合衆国国家安全保障担当顧問であるズビグネフ・ブレジンスキーは、1997年の著書『The Grand Chessboard: American Primacy and Its Geostrategic Imperatives』において、次のように記述している:

「ウクライナは、ユーラシアのチェスボード上で新しく重要な領域であり、地政学的には軸心となる存在だ。独立国として存在することによって、ウクライナはロシアを変革する要因となる。ウクライナがなければ、ロシアはユーラシア帝国ではなくなる。ウクライナなしのロシアは依然として帝国の地位を追求することはできるが、それは主にアジアの帝国となるだろう」。

 1999年大晦日:米国とウォールストリートの支配が8年続いた後、ウラジミール・プーチンがロシアの大統領に就任。2000年にプーチンがNATOへの加盟を求めた際、ビル・クリントンはこれを拒絶。

 プーチンは西側の干渉者たちに対して扉を閉ざし、ロシアの主権を回復。結果としてワシントンとウォールストリートを怒らせた。一方、ウクライナではこのようなプロセスは進まず、ウクライナの人々は西側の搾取と貧困の対象となり続けている。

 2007年2月10日:プーチンはミュンヘン安全保障会議で演説を行い、米国の攻撃的一国主義義を非難。2003年のイラク侵攻やNATOの東方への拡大などを違法として批判した。

 彼は言った:「私たちは尋ねる権利があります:この(NATOの)拡大は誰に対して意図されているのですか?そして、ワルシャワ条約の解消後に私たちの西側のパートナーがした保証はどうなったのでしょうか?それらの宣言は今どこにあるのですか?誰ひとりそれらを覚えてすらいません」。



 3年後、バルト諸国、すなわちロシアに接する元ソビエト共和国が西側同盟に加盟した後のプーチン演説。西側はプーチンとロシアの正当な懸念を無視し、彼らを侮辱。彼の演説から1年後、NATOはウクライナとジョージアが加盟すると発表。2009年には他の4つの元ワルシャワ条約機構加盟国もNATO加盟。

 2004年から2005年:オレンジ革命。選挙結果が覆され、米国と同盟を結んだヴィクトル・ユシチェンコがヴィクトル・ヤヌコビッチに勝利して大統領就任。ユシチェンコはファシストの指導者バンデラを「ウクライナの英雄」とする。

 2008年4月3日:ブカレストで開催されたNATO会議で、首脳会談宣言は「ウクライナとジョージアのユーロ・アトランティックな加盟への希望をNATOは歓迎。これらの国々がNATOのメンバーとなることを本日私たちは合意しました」と述べる。ロシアは強く反対。当時のロシア駐在米国大使で現在のCIA長官であるウィリアム・バーンズは、ウィキリークスによって明らかにされたワシントンへの電報ケーブルで警告:

「ラブロフ外相および他の高官は強い反対の立場を繰り返し述べており、ロシアはさらなる東方への拡張を潜在的な軍事的脅威と見なすだろうと強調している。特にウクライナへのNATOの拡大はロシアにとって『感情的で神経に触る』問題であり、戦略的な政策考慮もウクライナとジョージアのNATO加盟に対する強い反対の背後にある。ウクライナでは、この問題が国内を分断する可能性があり、暴力や一部の主張によれば内戦に発展することを恐れており、それによってロシアは介入するかどうかを決定せざるを得なくなるだろう・・・ラブロフは、東方へのさらなるNATO拡大、特にウクライナとジョージアへの拡大を(ロシアへの)潜在的な軍事的脅威として見る必要があると強調した。」

 4ヶ月後、ジョージアで危機が勃発し、ロシアとの一時的な戦争に発展。この戦争に対して欧州連合はジョージアの挑発が原因と非難

 2009年11月:ロシアが欧州に新たな安全保障体制を求める。モスクワは、NATOや欧州安全保障協力機構(OSCE)などの時代遅れの機関を代替すべきだというクレムリンの主張に基づいて、新しい欧州安全保障構造草案を公表。

 この文書は、ドミートリー・メドヴェージェフ大統領による初めての正式な提案から1年以上後の、11月29日にクレムリンのウェブサイトに掲載された。2008年6月にベルリンでの演説の中で、メドヴェージェフ大統領は、冷戦時代の安全保障体制を最終的に更新するために、新しい協定が必要だと述べていた。

 「ヨーロッパの問題は、ロシアを含むすべての統合的な部分の有機的な統一が確立されるまで解決されないと私は確信しています」とメドヴェージェフは述べた。

 2010年:OSCEによれば、ヴィクトル・ヤヌコビッチが自由で公正な選挙でウクライナの大統領に選出される。

 2013年:ヤヌコビッチは、欧州連合との連合協定ではなく、ロシアからの経済パッケージを選択。これは、ウクライナの西側の利権者やウクライナのコンプラドール(買弁)政治指導者、オリガルヒたちにとって脅威となる。

 2014年2月:ヤヌコビッチは、米国の支援を受けた暴力的なクーデターによって追放される(これはニューランド・パイアットの傍受によって予測されていた)。ライトセクターのようなウクライナの極右団体が主導的な役割を果す。ウクライナのファシストたちは、バンデラの肖像画を掲げ、松明を灯したパレードを各都市で実施。

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キエフで警官隊と衝突するデモ隊。2014年2月(Wikimedia Commons)

 2014年3月16日:クーデターや非憲法的な手段による親ロシア政権のキエフ樹立に対する拒否として、クリミアの住民は、国民投票において、97%の賛成票(投票率89%)でロシアに加わることを選ぶ。クリミアを支援するためにワグナー民間軍事組織が創設された。この事件は、西側メディアが誤って「クリミアへのロシアの侵攻」と描写するが、事実上銃撃ほとんどなし。死傷者はゼロ。

 2014年4月12日:キエフのクーデター政権がドンバスの反クーデター、民主主義支持の分離主義者に対して戦争を開始。ネオナチのアゾフ大隊がキエフの戦闘で公然と重要な役割を果たす。ワグナー部隊がドンバスの民兵を支援するために到着。米国は再びこれをロシアの「侵略」と大げさに主張。「21世紀になっても、19世紀のように虚偽の口実をもとに別の国に侵攻する行為は許されない」と、当時の上院議員だった米国務長官ジョン・ケリーが述べる。彼自身は2003年に完全に根拠のない口実でイラクへの米国の侵攻に賛成票を投じていた。

 2014年5月2日:数十人のロシア系抗議者が、ネオナチの暴漢によってオデッサの建物内で焼殺される。その5日後、ルハンスクとドネツクは独立を宣言し、ウクライナからの離脱の投票。

 2014年9月5日:最初のミンスク協定がベラルーシのミンスクでロシア、ウクライナ、OSCE、および離脱したドンバス共和国の指導者たちによって、ドイツとフランスの仲介で、ノルマンディーフォーマット*で署名される。しかし、紛争解決には至らず。
*ドンバス戦争およびより広範なロシア・ウクライナ戦争を解決するために集まった国々のグループ。このグループを構成する4つの国、すなわちドイツ、ロシア、ウクライナ、フランスは、最初に2014年にフランスのノルマンディーでD-Dayの70周年記念式典の際に非公式に会合。(ウィキペディア)

 2015年2月12日:ベラルーシでミンスク協定II(Minsk II)署名。これにより戦闘が終結し、共和国に自治権が与えられる一方で、ウクライナの一部として残ることに。この協定は2月15日に国連安全保障理事会によって全会一致で承認。しかし、2022年12月、元ドイツ首相アンゲラ・メルケルは、西側がミンスク協定の実施意図がなかったことを認める。実際にはそれをNATOがウクライナ軍に武器供与や訓練を行う時間を稼ぐための策略として利用していたと発言。

 2016年:「ロシアゲート」として知られる作り話が、アメリカ合衆国の民主党とそれに協力するメディアを覆う。この作り話では、ロシアが2016年のアメリカ大統領選挙に介入してドナルド・トランプの当選を手助けしたと虚偽の主張がなされている。このでっち上げのスキャンダルは、アメリカでロシアをさらに悪魔化し、核保有国間の緊張を高めることで、ロシアとの戦争へ民心を高める一助になった。

 2016年5月12日:米国がルーマニアにミサイルシステムを配置、ロシアを怒らせる。アメリカはそれが純粋に防御用であると主張。モスクワはそのシステムが攻撃にも使用され、ロシアの首都への攻撃時間が10から12分に短縮されると指摘。

 2016年6月6日:象徴的にノルマンディー上陸の記念日に、NATOがロシアに対して攻撃的な演習を開始。31,000人の軍隊を使い、ロシアの国境近くで軍事演習。冷戦終結以来、東ヨーロッパで最大の演習となる。また、75年ぶりにドイツの軍隊がポーランドを横断し、ナチスによるソ連侵攻の足跡を辿る。

 ドイツの外務大臣フランク・ヴァルター・シュタインマイヤーは(これらの動きに)反対している。「今、これはやってはいけないのです。軍事力を誇示し、戦争を煽ることは状況にさらに火を注ぐだけです。同盟国の東の境界で象徴的な戦車パレードすることが安全保障をもたらすと考える人は誤っています」と彼はビルド・アム・ゾンターク紙に驚くべき発言をしている。

 代わりに、シュタインマイヤーはモスクワとの対話を呼びかけている。「私たちは古い対立を再燃させる口実を作らないことが賢明なのです」と彼は警告し、さらに「軍事的な解決策と抑止政策のみを追求することは致命的だろう」と付言している。

 2021年12月:ロシアはアメリカとNATOに対し、2009年に失敗した試みを復活させ、ヨーロッパにおける新たな安全保障体制を提案する条約案を提示。これらの条約案にはルーマニアのミサイルシステムの廃止と東ヨーロッパからのNATO軍の展開の撤退が盛り込まれている。ロシアはこれらの条約案について真剣な交渉が行われない場合は「技術的・軍事的な」対応をすると述べている。しかし、アメリカとNATOはこれらの提案を、基本的に即座に拒絶。

 2022年2月:ロシアはウクライナ内戦が継続中の中で、最初にルハーンシクとドネツィクの独立を承認した後、ドンバスへの軍事介入を開始。

 介入が行われる前、OSCE(欧州安全保障協力機構)の地図によれば、ウクライナから分離主義共和国への砲撃が著しく増加しており、2014年以降10,000人以上が死亡している。

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ドンバス地域におけるウクライナ軍。2015年3月。(ウクライナへのOSCE特別監視ミッション、CC BY 2.0、ウィキメディア・コモンズ)

 2022年3月-4月:ロシアとウクライナは戦争を終結させる枠組に合意。その中にはウクライナがNATOに加盟しないことの約束も含まれている。しかし、アメリカとイギリスは反対。ボリス・ジョンソン首相はキエフに飛び、ウクライナのゼレンスキー大統領に対してロシアとの交渉を止めるように伝える。ロシアはドンバスの多くを制圧し、戦争は継続。

 2022年3月26日:バイデン大統領がワルシャワでの演説で、アメリカがロシアに対する代理戦争を通じてプーチン政府を転覆しようとしていることを認める

 2022年9月:ドンバス共和国および他の2つの地域、ヘルソン州とザポリージャ州はロシア連邦への加盟投票。

 2023年5月:ウクライナはロシアによって支配されている領土を取り戻すための反転攻勢を開始。この年の早い段階に漏洩した文書によれば、アメリカの情報機関は、攻撃が始まる前に反転攻勢は失敗すると結論付けている。

 2023年6月:ワグナーグループによる36時間の反乱が失敗し、その指導者であるエヴゲニー・プリゴージンはベラルーシへ亡命取引をする。ロシア国防省によって資金提供と武装が行われていたワグナー私設軍はロシア軍に吸収。


以上の時系列を見ると、西側のロシアに対する攻撃的な意図ははっきりしており、もしNATOがウクライナの加盟を許可しなかったなら、もしミンスク合意が実施されていたなら、そしてもしアメリカとNATOがロシアの安全保障上の懸念を考慮してヨーロッパにおける新たな安全保障体制を交渉していたなら、今回の悲劇が回避されたであろうこともはっきりしている。

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ジョー・ローリア氏はコンソーシアム・ニュースの編集長であり、かつてウォール・ストリート・ジャーナル、ボストン・グローブ、モントリオール・ガゼット、ジョハネスバーグのスターなど、数多くの新聞社で国連特派員を務めた経歴を持っています。また、ロンドンのサンデー・タイムズの調査報道記者やブルームバーグ・ニュースの財務報道記者としても活動し、19歳の若さでニューヨーク・タイムズの特派員としてキャリアをスタートしました。彼は2冊の著書を執筆しており、セン・マイク・グレイヴェル氏との共著『A Political Odyssey』(ダニエル・エルスバーグ氏による前書き付き)と、ジュリアン・アサンジ氏による前書き付きの『How I Lost By Hillary Clinton』です。ジョー・ローリア氏には[email protected]で連絡が取れ、Twitterで@unjoeをフォローすることができます。

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ミュージシャンや歌手たちが2023年5、6月に急死。この傾向は加速状態。

<記事原文 寺島先生推薦>
Musicians and Singers Dying Suddenly in May and June 2023. The Trend Is Accelerating.
筆者:ウィリアム・マキシス(William Maxis)
出典:GR 2023年6月30日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>2023年7月23日



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二人のミュージシャンが最近ステージで演奏中に死亡

 このビデオには、45歳のラッパーである「Big Pokey」こと本名ミルトン・パウエルが、2023年6月17日にテキサス州ボーモントでの公演中に亡くなった様子が映っている。

 2023年5月26日、59歳のシンガーソングライター、でギタリストであるフアン・カルロス・フォルメルが、ニューヨークのライブショー中に心臓発作を起こし、舞台上で倒れた後に亡くなった(以下の動画でその様子が見られる)。





 2023年3月11日、27歳のギリシャ系南アフリカのラッパー、コスタ・ティッチ(本名:コンスタンティノス・ツォバノグルー)が、ヨハネスブルグのナスレックエキスポセンターで行われていたUltra Music Festivalで倒れた。その後、病院で死亡。



 2023年5月と6月における他のミュージシャンの死:2023年6月23日 - バンド「メガデス」のドラマーである58歳のリー・ラウチが急死。



 2023年6月19日 - オーストラリア - メタルコアバンド「Polaris」のギタリストである26歳のライアン・シウが、突然死。彼は頭にかかったもやと疲労感に苦しんでいた。



 2023年6月12日 - ブラジル - カントリーシンガーのギルマール・シルバ・ペレイラが心臓発作で急死。彼は友人の誕生日パーティーでショーを行った後に体調不良を感じ、病院に急送されたが、そこで死亡。



 2023年6月11日 - ニューヨーク - ニューヨークのインディーロックバンドQTYのシンガー兼ギタリストであるダン・ラードナーが急死。



 2023年6月11日 - ブラジル - 41歳のミュージシャン、アドリアーノ・リマが、脳卒中で入院していた後、急死。



 2023年6月8日 - アーリントン、マサチューセッツ州 - ボストン出身の著名なシンガー、ソングライター、ギタリスト、そしてレコード会社オーナーであるジャスティン・コヴォールトが、突然の急死。



 2023年6月5日 - エジプト、カイロ - エジプトの人気ポップ作曲家、モハメッド・アル=ナディ(39歳)が、「突然の健康危機」により急死。



 2023年6月2日 - イタリア、ヴィラール・ペローザ - ミュージシャンでギタリストのディエゴ・ディ・キアラ(47歳)が、「買い物袋を持ちながら帰宅途中に病に倒れ」、急死。



 2023年5月26日 - アメリカ、イリノイ州モンゴメリー - ミュージシャン兼眼科医のアルトゥーロ・モンターノ・ジュニア(29歳)が、急死。



 2023年5月8日 - カナダ、アルバータ州カルガリー - ステーシー・ローパー(47歳)は、「ヘイ・ロミオ」というグループのリードシンガーであり、シンガー・ソングライター。急死。彼女はCOVID-19ワクチンを接種していた。



<私見>
 2023年4月24日、私はミュージシャンがワクチン接種による体の異変や突然の死に遭遇することについてのSubstack記事を書いた(こちらをクリック)。

 これは主観的かもしれないが、私には歌手やミュージシャンが急死する傾向が加速しているように思える。急死の事例がますます増えている。

 多くのミュージシャンや歌手は3つの方法でCOVID-19ワクチン接種を強制された:

① レコード会社がCOVID-19ワクチン接種を義務付けた
② コンサート会場は参加するためにCOVID-19ワクチン接種を要求。
③ 海外旅行では、最低2回、もしくは3回のCOVID-19ワクチン接種が必要。

 COVID-19ワクチンやワクチンの義務付けに対して公然と反対を表明したミュージシャンがそれほど多いとは考えにくいが、ニッキー・ミナージュ他、いくつかの記憶に残るアーティストがいた。そのリストはこちら。

 今日の速報。マドンナ(64歳)が意識を失い、緊急病院搬送。彼女は過去にモデルナCOVID-19 mRNAワクチンを少なくとも2回接種していると言っている(こちらをクリック)。

 彼女は「重篤な細菌感染症」にかかり、数日間ICU(集中治療室)に入院し、気管挿管を行い、敗血症になったようだ。それ以上の情報はない。

 今のところ、ジェイミー・フォックスがおそらく最も有名なエンターテイナーとして、非常に重篤なCOVID-19ワクチンの副反応、脳卒中を起こし、部分的な失明と麻痺を引き起こし、ほぼ危篤状態になっていた。

 ジェイミー・フォックスはミュージシャンでもある。彼の悲劇的な体の異変は多くの人々の目を、COVID-19ワクチンが人々にどのような影響を与えているかに向かせることになった。

*

ウィリアム・マキス博士は、放射線科学、腫瘍学、免疫学に専門知識を持つカナダの医師です。彼はガバナー・ジェネラル・メダルやトロント大学スカラーの受賞者でもあります。また、査読付きの医学論文を100以上執筆しています。
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米国がウクライナにクラスター弾を送るのは「自らの地位を貶める行為だ」―イーロン・マスク談

<記事原文 寺島先生推薦>
US ‘debases itself’ by sending cluster munitions to Ukraine – Musk
Moscow recently said the deliveries would make Washington an accomplice to civilian deaths
ロシア政府は先日、この爆弾を提供することで、米国政府は民間人殺害の共犯者となるだろうと述べた
出典:RT  2023年7月16日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年7月23日



2023年6月16日、パリで開催された新興技術及び技術革新見本市「ビバテック」訪問時に行った演説中一点を見つめる、スペースX社及びテスラ社のイーロン・マスク最高経営責任者©Alain JOCARD / AFP


 米国は広く禁止されているクラスター弾をウクライナに供給することで自らを「堕落させた」とテスラ社及びスペースX社のイーロン・マスク最高経営責任者は語り、さらにこのような兵器は紛争に重大な影響を及ぼさない、とも付け加えた。

 この億万長者は土曜日(7月15日)、「ウクライナに送るための通常の弾薬がなくなったので、絶望のあまりクラスター爆弾を送り込むという自らを貶(おとし)めるような行為を行ったが、結果は変わらないだろう」とツイートした。

 マスク氏は、下院の共和党議員98名と民主党議員49名らの努力を称賛した。これらの議員は、ウクライナへのクラスター弾の移送禁止に賛成票を投じたからだ。ただし、最終的には議案を変えることはできなかった。「米国の堕落を止めようとしてくれてありがとう」とマスク氏はツイートした。

 米国は今月初め、ウクライナ政府へのクラスター弾の引き渡しを承認したが、ジョー・バイデン大統領はこの動きを応急処置的なものだとし、需要が急増する中で軍需生産を追いつけるためものだとした。そしてそれは、米国政府もウクライナ政府も、通常弾が不足しているためだとした。



 関連記事:ロシア、米国にクラスター爆弾について警告

 クラスター弾が100カ国以上の国々で禁止されている理由は、爆発した際に、広範囲に大量の子爆弾を放出し、その子爆弾が不発のままになることがしばしば起こり、戦闘が終わった後でさえ、市民に対して長期に渡り脅威を与え続けるからだ。

 英国、カナダ、ドイツなど米国が長年同盟関係を結んできた多くの国々は、米国によるこの決定に懸念を示しており、これらの国々はウクライナ政府に問題の多いこの爆弾を送る気はない、としている。

 ロシア当局は、米国によるウクライナに対するクラスター弾の搬入を強く非難している。外務省のマリア・ザハロワ報道官は、このような動きによっても、この戦争の状況を変えることはないが、米国政府が、「(ウクライナ)領内に地雷を埋めるという罪の共犯者」となる、つまり、「ロシア・ウクライナ、両国の子どもたちが亡くなることに対して全面的に責任を負うことになる」と警告した。

 ロシアのセルゲイ・ショイグ国防大臣は、米国政府がクラスター弾をウクライナ側に提供することがあれば、ロシア側も、「ウクライナ軍に対して、同等の兵器を使用せざるを得なくなる」と警告した。
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RT編集長は、自身に対する暗殺計画失敗を受けて「私は、ロシアを裏切るくらいなら殺された方がよい」と語る。

<記事原文 寺島先生推薦>
‘Treason is worse than death’ – RT editor-in-chief on failed assassination plot
Margarita Simonyan has expressed hope that the alleged murder plot participants will redeem their errors and start their lives anew
マルガリータ・シモニャンは、殺人計画参加者とされる人々が過ちを償い、新たな人生を歩むことに期待を表明した。
出典:RT   2023年7月15日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年7月23日


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RT編集長マルガリータ・シモニャン。


 死よりも悪い運命がある、とRTのマルガリータ・シモニャン編集長は土曜日(7月15日)、ロシアの治安当局がネオナチグループによる彼女の暗殺計画を阻止したと発表した後、ジャーナリストたちに語った。同記者は、祖国のために死ぬことは恐れておらず、彼女を暗殺しようと共謀したとされる者たちがその誤りを理解することを望んでいると語った。

 「私が言いたい最も重要なことは、死よりも悪いことがあるということです。不名誉は死よりも悪く、裏切りは死よりも悪い」とシモニャンは言い、「自分が救いようのないことをしたという思いを抱えて生きることは、死よりも悪い」と付け加えた。

 RTの編集長はまた、この陰謀疑惑で逮捕された人々が過ちを正し、新たな人生を始めるのに十分な時間があることを望むと述べた。彼女はまた、若者たちが「洗脳」され、このような陰謀にも参加できるようになったことを思うと、かわいそうだという気持ちにもなると語った。その日未明、ロシア保安庁は、拘束された者の中には未成年者もいたと発表した。

 これに先立ち、この暗殺計画の背後にいると疑われるネオナチグループのメンバー5人を拘束したロシア連邦保安局は、18歳の男に対する尋問の様子を映した映像を公開した。映像の中で、彼はネオナチグループを組織したこと、そしてその後、お金と引き換えにウクライナの情報機関から命令を受けたことを自供している。

 「18歳の少年が...そのような方法で洗脳され...自国民を思いやることと、自国のオピニオン・リーダーを殺すためにウクライナ情報部から金を受け取ることが両立すると判断するような洗脳を受けたことは非常に残念です」とシモニャンは語った。

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 関連記事:ウクライナによるRT編集長暗殺計画は阻止された – FSB

 土曜日にFSBは、「パラグラフ88」として知られるネオナチグループのメンバーが事件に関連して逮捕されたと発表した。タス通信は、モスクワの裁判所を引用して、6人がこの陰謀に関係している疑いがあると報じた。

 ロシア連邦保安庁によると、この作戦でロシア保安庁はカラシニコフ・アソルトライフル、90発のカートリッジ、ゴムホース、ナイフ、ブラスナックル、手錠を押収した。また、ナチスの道具や文献とともに、グループの「犯罪意図」を確認する情報を含むコンピューターも発見された、とFSBは付け加えた。
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ビクトリア・ヌーランドが7月11日を第三次世界大戦開始日に見据える。

<記事原文 寺島先生推薦>
11th July: The date set by Victoria Nuland for WWIII
筆者:tts-admin
出典:ザ・トゥルース・セイカー(The Truth Saker)   2023年6月24日
初出は、TFIGlobal.com 2023年5月31日。 筆者は、アンシュ・パンディ (Ansh Pandey)
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年7月23日





 ウクライナでの戦争は、常に緊張状態に置かれている。つかの間の平穏が訪れても、すぐに事態が警戒すべき規模に激化してしまう。その影に潜んでいるのは、悪名高い影の政府だ。この影の政府が、権力者らが繋がっている見えにくい網であり、米国の外交政策を密室で形成している、と言われている。

 ヌーランドが、とんでもない爆弾発言をした。ウクライナ政府とのビデオ会議において、大胆にもヌーランドは、7月11日に第三次世界大戦が勃発する可能性があると宣言したのだ。そう、皆さん、大惨事へのカウントダウンが正式に始まったのだ。


7月11日に勃発する第三次世界大戦

 報道によると、削除されたキエフ当局者とのビデオ会議で、ヌーランドは、第三次世界大戦は7月11日に始めるのが効果的だと述べ、米国とその友好諸国は16年以上かけてその戦争を戦うことになる、と述べた…7月11日が選ばれたのは、リトアニアでの一日間の日程で開かれるNATO首脳会議が行われる日だからだ。

 ヌーランドによるこの大胆な宣告には身震いさせられる。ヌーランドの考えでは、米国とその友好諸国が、終わることのない16年戦争に引き摺りこまれるというのだから。その事実だけでは恐怖を感じない人々のために付け加えるが、ヌーランドが設定した開戦日が、NATO首脳会議と同日なのだ。まるで、ヌーランドがその戦争の進め方に少し劇的な要素を付け加えたかったかのように。

 NATO首脳会議が近づくにつれ懸念されていることは、この会議の目的が何であるのか、という点だ。差し迫ったこの戦争に対する避けられない反撃から欧州を守るためなのか。あるいは、不利な条件を取り除き、空中での惨事を避けることで、ウクライナを無傷で守るために、何機の戦闘機が必要なのかを決めるためなのか。


ヌーランドとは何者か?


 
 非常に人騒がせな女性であり、「民主改革と、ウクライナと西側とのつながりの強化」を揺るぎなく支持する人物として知られている。そしてヌーランドは、プーチンやプーチンに同調する者たちの動きに対して、恐れることなく攻撃を加えてきた。

 ユーロマイダンでの抗議活動の際には、ヌーランド女史は明らかな影響力を示していた。ヌーランドは反対派を支援する立場を取っていたのだが、漏洩したテープの記録からは、ヌーランドが背後から影響力を示していたことがうかがい知れる。ヌーランドは、ウクライナでのこの事件に消せない痕跡を残している。


ロシア政府に対する攻撃

 さらに、ロシア政府がヌーランドにとっての主な標的であり、これは現在のこの戦乱において見逃すわけにはいかない事実だ。プーチン政権を転覆することによりヌーランドが望んでいるのは、ナワリヌイを長とする暫定政権の設立だ。

 西側各国政府の計画から全く抜けているのは、和平に向けた話し合いや外交的な解決法が無視されている点だ。米国の影の政府は、大きくはっきり聞こえる伝言を送っている。「プーチンは何としてでも排除されなければならない」。

 これが、ロシア政府に対する攻撃が、急に大きく増えている原因だと言える。先日ロシア政府は、ウクライナから突然のドローン機による攻撃を再び受けた。そのため、状況はもっと不安定になっている。 

 世界が崩壊の淵に追いやられるなか、核戦争が起こる可能性も、不気味に広がっている。緊張が激化するなか、核攻撃の応酬が起こる可能性が、常に存在する悪夢になっている。そうなってしまえば、その結果は計り知れないほど壊滅的なものになろう。それは直接核戦争に関わっている国々だけではなく、世界すべてにとっても、である。

 時計の針が7月11日に近づくにつれて、私たちの心は落ち着かなくなっている。世界の運命は、不安定な均衡のなかにあり、私やあなた方のような普通の人々は、これから迎えるであろう恐ろしい結果について思いを巡らせるしかなくなっている。

 私たちの世界の運命は、私たちが団結力を発揮できるかにかかっている。その前に立ちはだかるのは、影の政府が描いている破壊へ向かう無謀な道筋だ。破壊へのカウントダウンは続いている。しかし、私たちにはその道程を変える力がある。私たちを奈落の底へ突き落とそうと脅してくる権力に立ち向かえるかどうかは、私たちにかかっている。


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NHS(英国国民保健サービス)の離職者数が「記録的数値」になったとの報道

<記事原文 寺島先生推薦>
NHS employees quitting in ‘record’ numbers – media
Nearly 170,000 healthcare professionals left their jobs in England last year, The Observer reports
英国では昨年、17万人近くの医療従事者が離職したとオブザーバー紙が報じた。
出典:RT   2023年7月2日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年7月22日



ロイヤル・ロンドン病院外の救急車、2023年1月29日© Justin Tallis / AFP


 オブザーバー紙は土曜日(7月1日)、2010年以来収集された職場統計の分析を引用して、昨年のNHSイングランド労働者の離職は少なくともここ10年で最高になったと報じた。

 2022年には病院や地域医療事業で4万1000人以上の看護師を含む17万人近くの従業員が離職したが、前年は約15万人だった。

 オブザーバー紙によると、離職には医師や救急隊員から管理職や技術職員に至るまで、あらゆる職業が含まれているという。

 新型コロナウイルス感染症の大流行からまだ立ち直り切れていない医療業界では、しばらくの間従業員の離職が続いており、離職理由として「職場で感じる圧力」、燃え尽き症候群、困難な労働環境、全体的な人材不足に対処しなければならないことを挙げている人もいる。



 関連記事:英国史上最大規模の医療ストライキが始まる

 英国の医療事業は10年以上にわたって低下しているが、それは2010年に政府がNHS予算を抑制したことによる。英国医師協会(BMA)によると、現在742万人が治療を待っており、そのうち37万2000人以上が1年以上待っているという。これらの治療待ちの人々の存在により、将来的には状況が悪化する可能性が高く、医療事業への需要の増大につながる可能性がある。

 リシ・スナク首相は最近、NHSの人員配置危機に対処するための24億ポンド(4200億円)の計画を発表したが、これには医学生のための大学の定員の増加や新たな実習計画が含まれる。当局によると、一部の地域では治療待ちの人々が徐々に少なくなり、ある程度の進展が見られたという。

 NHSイングランドのアマンダ・プリチャード最高責任者は5月、「やるべきことはまだたくさんあるが、NHSが取り組まなければならなかったすべてのことを考えると、これらの進展は注目に値する成果だ」と述べた。
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コソボ首相はセルビア人に対する新たな攻撃を計画中 – セルビアのヴチッチ大統領

<記事原文 寺島先生推薦>
Kosovo PM planning new attack on Serbs – Vucic
出典:RT 2023年7月2日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年7月22日



2023年6月21日、セルビアのベオグラードでの記者会見で話すセルビアのアレクサンダル・ヴチッチ大統領。AFP/オリバー・ブニック


コソボのアルビン・クルティ首相が、自分自身を「新しいゼレンスキー」だと考えている、とセルビア大統領は語った


 コソボのアルビン・クルティ首相は、ウクライナにおけるキエフ軍の新たな反撃に合わせて、同州の少数民族セルビア人に対する攻撃を開始する準備を進めていると、セルビアのアレクサンダル・ヴチッチ大統領が日曜日(7月2日)に警告した。

 「クルティはただ新しいゼレンスキーになりたいだけだ。ウクライナの攻撃が始まると、コソボ共和国でもクルティ首相によるさらなる攻撃が起こるだろう。コソボ共和国の人々にお願いしたいのは、念の為、しばらくの間避難することだ。この恐怖がさらに激しくなるのではないか、心配だ」とヴチッチ大統領は記者団に語った。

 コソボでは4月から緊張が高まっている。それは、同州北部のセルビア人が過半数を占める4つの町でアルバニア人の市長が選出されたのだが、その投票にセルビア人が参加しなかった事件があったからだ。これらの市長たちは投票率が4%以下の市長選で勝利したにもかかわらず、クルティ首相はNATO軍の支援を受けて警察と特殊部隊を派遣して、5月にこれらの市長を就任させた。これに対して暴動が勃発し、一度の乱闘でセルビア人のデモ参加者約50名とNATO職員25名が負傷した。

 米国やEUの支持者らからの非難や制裁の脅しにも関わらず、クルティ首相はアルバニア人特殊部隊をコソボ北部に派遣し、十数人のセルビア人を拘束した。一方セルビア当局は、コソボとの国境のセルビア側でコソボ特殊部隊の隊員数名を逮捕した。



 関連記事:NATOはコソボのセルビア人を緊急に保護しなければならない – セルビア政府

 その後セルビア政府は、拘束したアルバニア人を解放したが、コソボ側は、逮捕したセルビア人を解放していない。ヴチッチ氏はクルティ首相に、彼らだけでなく、過去2年間に拘留されている約100人の釈放も要求している。

 ヴチッチ氏は日曜(7月2日)、「アルビン・クルティ首相の完全に非合理的で反セルビア的な動きを恐れている。このようなことが起こらないように全力を尽くす。ただし、セルビア人民を虐殺の犠牲者にする気はない」と語った。

 セルビア軍参謀総長ミラン・モジシロビッチ将軍は先月、クルティアが指揮するコソボ軍によるセルビア人住民への攻撃を阻止するようNATOに呼び掛けた。モジシロビッチ将軍は、西側諸国が「セルビア人とその生存権を守る」ことに失敗した場合、セルビア軍は「その任務を最大限に遂行する」と警告した。

 NATOは、アルバニア民族分離主義者のためにセルビアに対して78日間の空戦を行った後、1999年にコソボを占領した。国連安全保障理事会決議1244はセルビアの領土一体性を確認したが、コソボの臨時政府は2008年に独立を宣言した。セルビアによる離脱承認拒否は、ロシア、中国、インドを含む世界の約半数の国々から支持されている。
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ママ、パパって言っちゃダメなの?「男」や「母親」を抹消する言語指針を大学が創作

<記事原文 寺島先生推薦>You Are Not Allowed to Say Mom and Dad? University Creates Language Guide That Erases ‘Man’ and ‘Mother’ From Existence.
筆者:スティーブ・ワトソン(Steve Watson)
出典:グローバル・リサーチ  2023年6月30日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年7月22日





 ノース・カロライナ大学(UNC)は、「包摂的」な言語指針を出したが、これは生徒や職員が使っていい、あるいは使ってはダメなことばについての指針である。

 この指針は、事実上「男(man)」ということばの存在を消すことになり、さらには「母親」や「父親」ということばの使用は避けた方がよい、としている。

 大学の主張は以下のようなものだ。

 「カロライナ大学は、全てのタール・ヒール(カロライナ大学の愛称)民にとって包摂的で公平な学習環境作りに取り組んでいます。本学の学生、教職員、職員、全ての関係者の多様性を完全に保証するため、多様性という価値観を支持するようなことばを使うことが重要となります。」

 さらに続けて

 「この包摂的言語指針が、多様性があり、全ての人々を受け入れる共同体を支えるという方法で人々とやり取りすることの出発点になりえるのです。」

 以下は、使ってはいけないことば一覧だ。



 「man」ということばが付いた語は、全てお払い箱だ。

 さらには、「ママ」はダメで、「保護者」。

 「貧しい人」は、「連邦政府が定める基準値よりも収入が少ない人々」と言うそうだ。



 決まりはたくさんある・・・





 「恋愛的指向*」ということばがあることにもご注意を。ただし、「性的感情はあっても、恋愛感情がない人」という例外はある。

 *異性・同性・両性など、その人がどんな人を対象に恋愛感情を抱くかという指向



 こんな狂気の沙汰が米国中で展開されている。まさに、ウォーク(高すぎる人権意識)教育が現実世界にまで溢れ出ている、と言える。



 (上記ツイートの和訳)ニュー・スピークの全体的な目的が、人々の思考の幅を狭めることにあるという事実にお気付きだろうか?最終的に、我々は思考するという犯罪をおこなうことが不可能になるのだ。思考を表すことばを手放すことになるのだから。
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ベラルーシ軍がワグナーの訓練を受ける

<記事原文 寺島先生推薦>
Belarusian troops receive Wagner training
Fighters from the PMC are sharing their experience from the Ukraine conflict with local territorial defense units, according to Minsk
ベラルーシ当局によると、同PMC(民間軍事会社)の戦闘員は、ウクライナ紛争での経験を地元の領土防衛部隊と共有している。
出典:RT   2023年7月16日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>   2023年7月22日


訳者:動画はこちらからご覧ください。


 ベラルーシ国防省によると、ロシアで短期間の反乱を起こしてから1か月も経たないうちに、ワグナー民間軍事会社の社員らはベラルーシ軍を訓練し、ウクライナ紛争で得た戦場での経験を共有しているという。

 同省は金曜日(7月14日)の声明で、ワグナー指導部と協力して軍事訓練と経験共有のための「道路地図」を作成したと述べた。

 また同省は、ワグナー軍が同国中部のオシポヴィチ町近くでベラルーシ領土防衛軍に演習を指導していることも指摘した。声明によると、訓練は主に戦場での戦術的な動きのほか、銃器、工学、応急処置の訓練に焦点を当てたという。


© ベラルーシ国防省

 ベラルーシ国防省傘下の放送局であるボイエンTVは、通常国境や戦略的施設の防衛を任務とする領土防衛軍が参加する演習の映像を共有した。同チャンネルが話を聞いた何人かの匿名の兵士は、ワグナー団の戦場での経験を称賛した。


© ベラルーシ国防省

 「ワグナー団員の話を聞くのは、もちろんとても興味深いです。実際の戦争現場を見ており、この経験はベラルーシ軍にとって非常に役に立ちます。アフガニスタン戦争の終結以来、我々は戦闘行為に参加していないのですから」と、 1979年から1989年まで続いたソ連時代の紛争に言及しながらこの兵士は語った。

 関連記事: プーチン大統領、反乱後ワグナー代表と会談 – クレムリン

 6月下旬、ワグナー党首エフゲニー・プリゴジンはロシア国防省がPMC陣営の1つに致命的なミサイル攻撃を仕掛けたと非難し、報復を誓い、モスクワへの「正義の行進」を宣言した。プリゴジンは後に、ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領が仲介した取引の一環として、ロシアの首都への進軍を中止することに同意した。

 ワグナー部隊には民間生活に戻るか、ロシア国防省と契約を結ぶか、ベラルーシに移住するかの選択肢が与えられた。今月初め、ルカシェンコ大統領は国家防衛のためにPMCの戦闘員を活用できる可能性を示唆し、ワグナー団を自国で抱えることについて「心配していない」とも付言した。
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米国は破綻国家になったのか?

<記事原文 寺島先生推薦> America: A Failed State?
出典:グローバル・リサーチ  2023年7月4日
筆者: チャイタニヤ・ダーベイ(Chaitanya Davé)
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年7月22日





 専門家らによる破綻国家の定義は以下のとおり。「破綻国家とは、適切に機能を果たせないほど、主権国家の政府が基本的な状況や責任を果たせなくなった状態にある国のことである」。他に破綻国家がもつ特徴としては、中央政権の力が弱い、あるいは無効なため、税金を徴収し、国民に対する他の支援を行うことが不可能となり、領内のほとんどの地域において実質的な支配をおこなうことがほとんどできず(この点においては、アメリカ合衆国では当てはまらない)、したがって公的事業が供給できなくなる状況などがある。

 ロバート・ロングリー(Robert Longley)によると:

 「破綻国家とは、主権国家とし果たすべき基本的な機能や責任を果たせない政権のことである。具体的には国防、警察、法廷、教育や経済の安定化などだ。破綻国家が共通してもつ特徴としては、暴力、汚職、貧困、識字率の低さ、基盤施設の崩壊などの進行が挙げられる。さらに、或る国家が適切に機能しているにしても、国民からの信用や信頼度を失えば、破綻国家に陥る可能性がある。

 これらの破綻国家の例としては、シリア、ソマリア、ミャンマー、チャド、イラク、イエメン、コンゴ民主共和国、中央アフリカ共和国、ユーゴスラビア、レバノン、アフガニスタン、スーダンが挙げられる。しかし、これらの国々は皆貧しい国々だ。これらの国々の多くが上記の特徴を示していることは理解できる。だが、これらの特徴が、世界で最も裕福な国でも見られているということが想像できるだろうか?

 米国の例を考えていただきたい。防衛面(実際は、大量破壊兵器といっていいものだが)、を除けば、ほとんど全ての特徴が米国についても当てはまる。米国は、「破綻国家」の評価基準において9割以上、当てはまる。以下の統計がこの主張を支持している。

殺人:1990年から2019年の間に、53万1349件の殺人事件が米国で生じた。この数字は、「発展」国においては最も高い国のひとつだ。

強姦:2019年には、米国で40万6970人が、強姦事件や性的嫌がらせの被害者となった。ドイツの「スターティスタ研究部」によると、米国では2015年以来、年間で平均9万1千件以上の強姦事件が、発生しているという。10万人あたりの強姦発生数は米国が世界で第14位だ。ただし、2021年の「世界人口調査」の報告書によると、発展諸国の間では、米国は、スウェーデン、オーストラリア、ベルギーに次ぐ第4位だ。

麻薬危機:1990年代、製薬諸会社が医療界に再確認した内容は、患者たちが麻薬を使った鎮痛剤を処方しても依存症にはならない、というものだった。そのため、医療薬品供給業者は、一般の人々にそのような鎮痛剤をどんどん処方し始めた。すぐに麻薬様薬品の過剰投与が増加した。NIH(米国立衛生研究所)によると、2019年、米国の5万人近い人々が、麻薬様薬物の過剰摂取で亡くなったという。1999年以来、84万1千人近い人々が、薬物の過剰摂取により亡くなっている。端的に言えば、我が国の政府が何も手を出さない間に、何万人もの米国民が、麻薬様薬物が原因で亡くなっているということだ。その麻薬様薬物を、ジョンソン&ジョンソン社やパーデュー・ファーマ社など数社の製薬会社が積極的に売り込んでいた。人々が亡くなっている間に、これらの製薬会社の重役が、何百万ドルも貯め込んでいたのだ。

囚人の数:「世界人口調査」によると、米国の投獄率は世界最大であるという。世界の囚人人口の約25%が、「自由社会の旗手」たる米国にいる。2019年時点で、米国には約219万人の囚人がおり、10万人あたり437の囚人がいる計算になる。囚人一人につき、6万9355ドルの国費がかかっている。黒人の囚人数は白人の5.8倍で、この体系に人種差別的要素があることが見て取れる。

死刑囚の数: 1976年から2020年の間に1529人が死刑を受けた。2021年上旬で、連邦政府は3人の死刑を執行した。

えん罪が証明され、死刑や服役から解放された人の数:非営利団体の「イナセンス・プロジェクト」によると、DNA鑑定の結果、米国の18人の服役囚の無実が証明され、服役を解かれた、という。これらの人々はそれまで何年も死刑を待っていた状態だった。これらの人々は11の州で有罪宣告を受け、併せて229年間の服役を受けていた。その中には、併せて202年間、死刑を待っていた人々もいる。自分たちが犯していない罪のせいで、だ。そのうちグアンタナモ・ベイ刑務所で、尋問もされないまま17年以上収監されていた囚人もいる。このような状況が米国の司法が置かれた状況だ。我が国の犯罪を裁く体制がどれだけ不公平でうまくいっていないかがよくわかる。

政治犯:政治犯もたくさんいる。多すぎて、ここで挙げることができないくらいだ。これらの政治犯が米国内の刑務所で、政治活動家として収監されている。多くの場合において、人種により容疑がでっち上げられる、疑わしい判決結果が出されている、などの事象が起こっている。もっとも有名な事例が、ジュリアン・アサンジさんの件だ。アサンジさんは、「国家機密」を明らかにしたとして、起訴された。つまり、アサンジさんの事例が示したのは、米国政府は米国政府や米軍の汚い秘密を明らかにしたものは誰でも、この先に別の内部告発者が現れない見せしめのため、米国の刑務所に長期間放り込まれる、ということだ。アサンジさんは、英国の刑務所から米国に搬送されれば、禁錮75年の刑に処されることになっている。もうひとつの例は、エドワード・スノーデンさんだ。スノーデンさんは、米国の汚いヒミツを暴露したために、ロシアへの逃亡を余儀なくされた。他にも、レナード・ペルティエ、ムミア・アブ=ジャマール、リカルド・パルメラなどのさらに多くの政治犯とされた囚人がいる。これらの人々は十分な証拠がない、あっても疑問の多い証拠しかないままで起訴され、何年間も米国の牢獄で時間を過ごさせられている。これが、「自由な世界の旗手たる国家が自国内で見せる姿」だ。

貧困者の数:米国国勢調査局の「2019年人口統計報告」によると、3400万人米国民が貧困状態にあると考えられるという。これは、現在の人口の10.5%だ。これが、世界で最も裕福な国の現状だ。米国の子どもたちの貧困率は14.4%だ。黒人に関しては、18.8%であり、 母子家庭では24.3%だ。2021年の「世界人口研究報告」によると、世界で2番目に人口の多いインドの貧困率は、21.9%で世界第22番。そして世界で最も裕福な国である米国は17.8%だという。これはいわゆる発展諸国においては、(貧困率が18.6%の)英国に続くものだ。

健康保険に入っていない人の数:statistica.comによると、ほとんどの欧州諸国では、国民皆保険が行き届いているが、2021年の時点で、健康保険に入っていない人の割合が、人口の9.6% 、数でいうと2600万~3000万人が、健康保険に入っておらず、400万人の子どもたちが、健康保険がない状態だ、という。

米国による不必要で壊滅的な戦争:TheNews.comによると、1776年以降の243年間のうち225年間、米国は戦争をしてきた。「世界未来基金」によると、第2次世界大戦以来、米国は19回戦争を行ってきたという。具体的には、第2次世界大戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争、イラク・アフガニスタン戦争などがその例だ。いくつかの報道によると、イラク戦争だけでも、100万人以上の人々の命が奪われ、5兆ドル(700兆円)以上が費やされたという。これらの戦争で亡くなった人々の総計は、1200万人以上に上る。これらの不道徳で不必要な戦争により、何兆ドルもの金が浪費された。最新の戦争であるアフガニスタンでの戦争は、20年以上続けられたのちに、ついに米国が撤退したところだが、4万7千人ほどの人が亡くなり、米国は2兆ドルを費やした。これらの戦争は必要なものだったのだろうか?「はい」と答えるのは、最も無知な人々だけだろう。

化学兵器の使用:米国は、枯葉剤を2100万ガロン(約7700万リットル)散布した。これは最も恐ろしい毒をもつ除草剤だが、これがベトナム戦争時にベトナムで撒かれたのだ。50万人以上の市民が死ぬまで苦しむ障害を負った。今でもその影響で、奇形児や脚のない子どもが生まれている

米軍基地:ポリティコ誌によると、米国は未だに外国の70を超える国や地域において800カ所の軍事基地を有しており、いっぽう英・仏・露は、3ヶ国併せて30カ所の外国の基地を持っている、という。2014年、外国に基地や部隊を維持するのに、年間850億~1000億ドルの費用がかかった。この費用は、いまはもっと多くなっている。なぜ外国に軍事基地をもつのだろうか? 米国内で十分な食べ物を手にできない人々や、貧困状態にある人々が何百万人もいるなかで、なんというとてつもない無駄遣いが行われているのだろう。

他国への不当な介入:2017年までに起こった外国への介入事例が188件あったのだが、「自由世界」の旗手たる米国が、うち1946年から2000年の間に117件の「占拠に対する偏った介入」に加担している。これは、第2次世界大戦以来、9回の選挙で1度は起こっている計算になる。 第2次世界大戦以来、多くの場合、米国は世界中で50件以上の民主主義運動を妨害し破壊するいっぽう、従順な独裁者を支持してきた。米国には様々な国において、投票結果をねじ曲げ、軍事クーデターを支持し、資金を流し、政治上の扇動宣伝を広めてきた歴史がある。面白いことに、これらの恐ろしい戦争や他国での大量殺戮の後で、主要な報道機関が、このような間違いについて論じることはまったくない。すべては通常業務に戻る。すべてのことが都合良く忘れられていく。

不完全な憲法:米国民の多数は子どものころから、米国憲法の尊さや偉大さを盲目的に信じるようにされているが、この憲法には大きな不備があり、民主的なものであるとはいえない。さらに、この憲法では法律上贈賄を認めている。具体的には、大統領候補、上院議員候補、下院議員候補、(各州の選挙候補者も含まれる)に政治上の寄付を行うことを許しているのだ。選挙期間中、このような寄付が、富裕層により何十億ドルも行われているのだ。私たちが選挙で選んだ役員らが、お金をくれた人々の言うことを聞き、主にこれらの寄付者にとって都合のいいような法律を制定したとしても何の不思議もない。 さらに、我が国の不完全な憲法においては、選挙で選ばれていない最高裁判所判事らが、罷免されることなく、死ぬまで任命されている。なんとも恥ずかしいことだ。

壊れた政体:米国の政治体制は崩壊している。二つの政党があるとはいえ、両党とも企業の利益を追い求める政党であり、米国の私企業の重役たちに忠誠を誓っていて、米国民には忠誠を誓っていない。そのため制定される法律のほとんどは、企業の重役、超富裕層、財閥を喜ばせるものだ。

教育を受けていない人々の数: 無教育者の数: 米国教育省によると、16 ~ 74 歳の米国成人の 54%、約1億3千万人が読み書き能力に欠けており、読解力は 小学校6年生段階にまで達していない。バーバラ・ブッシュ家族識字財団によると、この成人の識字率の低さにより、国は年間2兆2千億ドル(308兆円)の損失を被っている可能性がある。国立教育統計センター (NCES) によると、2020年4月29日の時点で、米国の成人の21% (約4300万人) が非識字/機能的非識字*層に分類される。
*文字は読めるが文章の意味を取る能力がないこと

警察によって殺害された黒人の数:Statista.comによると、米国での警察による射殺事件は増加傾向にあるようで、合計371人の民間人が射殺され、そのうち71人が黒人だった。2020年と2021年には警察による射殺事件が1021件発生し、2019年には999件の射殺事件が発生した。黒人の射殺率は他のどの人種よりもはるかに高く、警察の残虐行為が人種差別的なものであることを示している。これらすべての数字は、アメリカの警察が躊躇なく引き金を引くような愚者であるだけでなく、人種差別主義者でもあることを明確に示している。21世紀になった今でも、米国は依然として非常に人種差別的な国なのだ。

銃による暴力:teamenough.org/gun-violence-statistics によると、毎年、アメリカでは 11万5551人が殺人、暴行、自殺または自殺未遂、不慮の銃撃、または警察の介入によって銃撃されているという。米国では毎日106人以上が銃による暴力で亡くなっている。そのうち殺人が39人、自殺が64人、意図のない事故による死亡が1人、意図があったかどうかが不明な死亡が1人死亡である。平均して年間、銃による暴力で3万8826人が死亡、 一命は取り留めたが負傷した人が7万6725人いる。毎年、7957 人の子どもと青少年が銃撃され、1663人の子どもと青少年が銃による暴力で死亡し、864人が負傷している。ABC ニュースが最近報じたように、2023年7月2日の時点で、米国では338件の銃乱射事件が発生した。これまでに銃による暴力で2万1千人が死亡し、1日あたり115人が死亡している。

これは驚くべき数字だ。このようなことは、非常に荒々しい国でのみ起こり得ることだ。それが今の米国なのだ。これほどひどい記録を持つ国は他にはない。このような恐ろしい数字にもかかわらず、銃規制は十分に強化されていない。銃関連の圧力団体である全米ライフル協会などが無駄に利益を得ているということだ。そんな圧力団体の影響力が蔓延(はびこ)れるのは、政治献金という名の合法的贈収賄が我が国の政治家たちに渡されているからだ。

ABCニュースが報じたように、これまでに銃暴力により1万3900人以上が死亡した。しかしこの先、今まで以上に厳しい銃規制が行われるのだろうか? そうは思えない。theguardian.com によると、5月7日の時点で、国内で202件の銃乱射事件が発生している。米国は今や映画「ワイルド・ワイルド・ウェスト」のような国になってしまった。

億万長者の数:フォーブス誌によると、米国の億万長者は世界で最も多く、2021年時点で724人だ。中国では626人、インドは140人、ドイツは136人だ。米国の億万長者の純資産は4兆4千億ドル(616兆円)という驚異的な数字だ。Americansfortaxfairness.org によると、米国の億万長者の総資産は、コロナウイルスの大流行期の最初の約7か月間で 1 兆3億ドル(182兆円)増加した。これは、資産が44%急増したことになる。この資金があれば、米国民3億3千万人全員に3900ドル(55万円)の経済刺激小切手を送ってまだお釣りがくる。

大手報道機関6社が、すべてのニュースを支配:techstartups.comの記事によると、こんにち6社の巨大報道機関が、私たちが読み、目にし、聞く報道のなんと9割をも管理している。もちろん、選択の余地や客観性があるという幻想に包まれた中でのことだが。米国民に統制済みの「ニュース」を常時与えることにより、これらの巨大6社報道機関は、ノーム・チョムスキーのことばを借りれば、「常識」をねつ造しているのだ。米国民の大多数は、米国は世界に対して多くの善を為しており、世界に民主主義や自由をもたらし、世界平和を維持している、と思うよう仕向けられている。さらに、米国の経済体系が最も優れていて、唯一うまくいく方法だ、とも思わされている。しかしこれらすべての言説は真実からほど遠いといえる。社会主義や社会民主主義などの他の経済体系は決して議論になることがない。

これらの巨大報道機関といえば、①G.E.(ジェネラル・エレクトリック)社。コムキャスト、NBC、ユニバーサル・ピクチャズ、 フォーカス・フィーチャーズを所有。②ニュース・コープ社。フォックス・ニュース、ウォール・ストリート・ジャーナル、ニューヨーク・ポストを所有。③ディズニー社。ABC、ESPN、ピクサー、ミラマックス、マーベル・スタジオを傘下に置く。④バイアコム社。MTV、NICKジュニア、BET、CMT、パラマウント・ピクチャーズを所有。⑤タイム・ワーナー社。CNN、HBO、タイム誌、ワーナー・ブラザースを所有。⑥CBS。ショータイム、スミソニアンチャンネル、NFL.COM、ジェオパディ、60ミニツを傘下に置く、だ。2010年のこれら6社の総収入は、2759億ドル(39兆円)に上る。これらの巨大報道機関は、米国民が所有すべき米国の電波を思うがままに支配している。これらの巨大報道機関はすべて、すべての米国民が目にし、耳にし、読み、聞くことを統制しようと目論んでいるのだ。 これらの巨大報道機関の232名ほどの重役が、3億2500万~3億3千万人の米国民の情報整理を統制しているということだ。1983年、米国報道機関の9割は、50社が所有していた。しかし2011年の時点で、報道機関の9割を所有しているのはたった6社になってしまった。 この6社の巨大報道機関が権力を手にした、ということだ。

米国を支配しているのは誰だろう? 米国を真に支配しているのは誰か、お考えになられたことはおありか? その答えは、財閥、巨大報道機関、巨大企業の代表取締役たち、ウォール街の銀行家たちだ。これらの人々が一緒になって、腐敗した政治家たちに対して強大な権力を振るっている。政治家たちは、賄賂をもらい、これらの超富裕層にとって都合のいい法律を四六時中作っているのだ。この国は、一票を1ドルで支払う「民主主義社会」になってしまった。一人一人が平等に一票をもつ、という民主主義社会ではない。億万長者のウォーレン・バフェットがいみじくも述べたとおり、「我が階級(超富裕層)は、99%の市民たちに対する戦争を仕掛けていて、しかも勝利を収めつつある」のだ。


 ここまで書いてきたことを振り返れば、物事を偏見なく見つめられる人々の目に明らかになることは、米国は巨大な課題を有していて、米国が仕掛ける馬鹿げた戦争によって、他国に対して大きな問題を作り出している、という事実だ。米国が犯した最新の罪は、ロシアとウクライナの間で起こさせた「代理戦争」だ。誰にとっても心配の種になるべきことは、こんな恐ろしい状況がいつまで続くか、ということだ。世界規模の戦争のせいで生じている多額の金の無駄遣いに、米国経済がいつまで持ちこたえられるか、ということだ。自分の息子や娘たちが、こんな不必要な戦争に引きずり出されて、人を殺したり、自分が殺されたりする状況に対して、いつまで米国の親が耐えうるか、だ。我々米国民が、私たちが「選んだ」政治家たちが決めたこのような劣悪な状況に耐えうるか、だ。これらの政治家たちは、この国を大惨事や破産にどんどん近づけているのだから。偏見にとらわれず、米国は米国民を守れないという 事実に気づいている人ならだれでも、そう思えるはずだ。米国は破綻国家になってしまった。米帝国は急速に衰退している。破綻は、時間の問題だ。

 米国が国政や外交政策を劇的に変えない限り、米帝国がどんどん弱体化し衰退することは避けられないだろう。そうして、ローマ帝国や大英帝国がたどった運命と同じ歴史をたどるだろう。

*
チャイタニヤ・デイブ(Chaitanya Davé)は化学者、化学技術者、事業家。3 冊の本を執筆している。『人類に対する犯罪:1776年から2007年までの米国犯罪の衝撃的な記録』、『崩壊: 瀬戸際の文明-2010』、『資本主義の破壊の行進: 人間と自然に優しい経済で置き換える』など、政治、歴史、環境に関する多くの記事の著者。インド、ネパール、ハイチ、アメリカ、野宿生活者、その他の貧しい国の貧しい村民を支援する非営利慈善財団の創設者/理事長。連絡先は[email protected]
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西側諸国の借金中毒は新たな世界金融危機を引き起こす可能性がある―プーチン大統領

<記事原文 寺島先生推薦>
West’s debt addiction could trigger new global financial crisis – Putin
Irresponsible economic policies by developed nations have increased tensions globally, the Russian president has claimed
先進諸国の無責任な経済政策により世界的に緊張が高まっている、とロシア大統領が主張
出典:RT   2023年7月4日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年7月22日



ロシアのウラジーミル・プーチン大統領、モスクワのクレムリンでビデオ会議を通じて上海協力機構(SCO)の仮想会議に出席© Sputnik / Aleksandr Kazakov


 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は火曜日(7月4日)、西側諸国による制御されない債務の蓄積が新たな世界金融危機が起こる危険性を高めていると警告した。

 モスクワからの中継動画を通じて上海協力機構(SCO)の仮想首脳会議で演説したロシアの指導者であるプーチン大統領は、近い将来「紛争の可能性」を増大させる可能性のある世界的な脅威について触れた。

 プーチン大統領は「先進諸国における歯止めのない債務の蓄積、世界中で起こっている社会の階層化と貧困の増大、食糧と環境の安全保障の悪化を背景に、新たな世界経済・金融危機の危険性が高まっている」と述べた。

 同大統領は、これらの問題はそれぞれ「ひとつひとつにおいても複雑かつ多様」だが、これらの問題が組み合わさることにより、世界中で緊張が煽られている、と強調した。

 第23回SCO首脳会議はインドのナレンドラ・モディ首相が議長を務める。

 国際通貨基金(IMF)のロシア担当事務局長アレクセイ・モジン氏は先月、高水準の公的債務により西側経済は危機的な状況にあると警告した。

 関連記事:プーチン大統領、中国との貿易における脱ドル化の進展を明らかに

 同氏は、裕福な州が何年にもわたって無責任な予算・金融政策を実施したことが、最終的に現在の債務危機を引き起こしたと非難した。

 モジン氏によると、英国、フランス、スペイン、ポルトガル、ギリシャ、イタリアを含むほぼすべてのEU諸国は、多額の債務に直面している、という。


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ウクライナのテロ攻撃の標的となったクリミア橋-モスクワ

<記事原文 寺島先生推薦>
Crimean Bridge targeted by Ukrainian terrorist attack – Moscow
The raid has killed two people and injured one child, damaging the structure’s road section, the National Antiterrorist Committee said
ロシア国家対テロ委員会によれば、その襲撃で2人が死亡し、1人の子供が負傷し、建物の道路部分が損傷を受けた。
出典:RT 2023年7月17日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年7月21日



ロシア調査委員会提供


 クリミア橋がウクライナのテロリストによるドローン攻撃の標的にされたとロシア国家対テロ委員会(NAK)は、月曜日(7月17日)、発表した。

 声明の中で、NAKはクリミア半島とロシア本土を結ぶ重要な橋が、現地時間午前3時頃、2台のウクライナ無人水上艇によって攻撃されたと述べている。

 「このテロ事件により、クリミア橋の道路部分に損傷が発生した。2人の大人が死亡し、1人の子供が負傷した」と声明は述べ、また、法執行機関がこの事件を調査していると付言した。

 このNAKの声明は、複数のウクライナのメディアがこの攻撃を同国の治安部隊と海軍による「特別作戦」として報道した後に発表された。公には、ウクライナ高官たちは直接の責任を認めることは避けているが、この事件を歓迎する姿勢を示している。




 関連記事:キエフがクリミア橋に対する新たな攻撃の裏にいるーウクライナの報道機関


 死傷者を最初に報告したのはヴャチェスラフ・グラドコフ・ベルゴロド州知事だった。知事は、亡くなったのは同州出身の夫婦であり、その娘も負傷していると述べた。

 襲撃事件の後、ロシア当局は橋の通行を止めたが、数時間後には被害を受けていない区間での鉄道運行は再開された。

 過去にもウクライナはこの橋を攻撃しようと試みている。先週、キエフ軍は橋の重要箇所にミサイルを発射したが、モスクワの国防省によれば、ロシアの防空システムを突破することはできなかった。

 2022年10月、この橋はウクライナの情報機関によって企てられた(とロシアは言っている)死者をともなうトラック爆破事件で損傷を受けた。その時、モスクワはウクライナのエネルギーおよび軍事インフラに対するミサイル攻撃を強化して対応した。


 関連記事:地元テレビ局が提示した被害を受けたクリミア橋の様子

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クラスター弾をウクライナに送らないよう米国に警告(ヒューマン・ライツ・ウォッチ)

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Human Rights Watch warns US against sending cluster munitions to Ukraine
This “would inevitably cause long-term suffering for civilians,” the NGO says
クラスター弾は「民間人に長期的な苦痛を与えることは避けられない」、とNGOが指摘
出典:RT  2023年7月6日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年7月21日



Narciso Contreras/Anadolu Agency via Getty Images


 ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)は、100カ国以上で使用が禁止されているクラスター弾をウクライナに供給しないよう米国に警告した。

 HRWは木曜日(7月6日)に発表された声明の中で、アメリカ政府が、キエフが数ヶ月前から要求しているこの致命的な兵器の納入を承認するかどうかを検討しているというメディアの報道に対して警鐘を鳴らした。ニューヨーク・タイムズ紙は木曜日、ホワイトハウスの高官筋の話として、アメリカ政府はこの動きを承認する見込みだと報じた。CBSは水曜日に、アメリカは早ければ今週中に決定を下す可能性があると伝えた。

 NPR(ナショナル・パブリック・ラジオ)の記者はツイッターで、早ければ木曜日にも決定される可能性があると書いた。

 HRWは、「これらの兵器を移送することは、必然的に市民に長期的な苦しみをもたらし、その使用に対する国際的な非難を傷つけることになるだろう」と述べた。



 関連記事:米国、ウクライナへのクラスター爆弾供与を承認へ - CBSニュース


 クラスター爆弾は、爆発すると広範囲に小さな弾丸をばらまくため、100カ国以上で使用が禁止されている。クラスター爆弾の中には衝撃で爆発しないものもあり、戦闘が終わった後も何年にもわたって市民に深刻な危険をもたらす。アメリカは禁止措置には加わっていないが、不発率が1%を超えるこの弾薬の輸出を禁止している。この制限は、ジョー・バイデン米大統領の免除によって解除される可能性がある。

 クラスター弾の人道的影響に対する懸念が広がっているにもかかわらず、6月下旬、アメリカのローラ・クーパー国防副次官補は、強力なロシアの防衛陣地に対して「役に立つだろう」と述べた。

 同月のPoliticoの報道によると、この評価は多くのアメリカ政府関係者にも共有されており、これらの武器は、ウクライナの現在進行中の反転攻勢(何の領土も得ることができなかったとモスクワは言っている)をより成功させるだろうと考えている。

 3月下旬、ロシアのセルゲイ・リャブコフ外務副大臣は、物議を醸している軍需品をキエフに供給しようという呼びかけを危険なものだとし、その出荷はウクライナ紛争の激化につながるかもしれないと警告した。
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ウクライナによるRT編集長暗殺計画、阻止される - ロシア連邦保安庁

<記事原文 寺島先生推薦>
Ukrainian plot to assassinate RT editor-in-chief thwarted – FSB
Detained ‘neo-Nazis’ also planned to kill Ksenia Sobchak, another prominent female journalist
また、拘束された「ネオナチ」は、もう一人の著名な女性ジャーナリスト、クセニア・ソブチャクの殺害も計画していた。
出典:RT  2023年7月15日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年7月21日


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RT編集長マルガリータ・シモニャン


 ロシア連邦保安庁(FSB)は、ウクライナの情報機関によって準備されていたRT編集長マルガリータ・シモニャンとジャーナリストのクセニア・ソブチャクを標的とした暗殺計画を阻止したと発表した。

 土曜日(7月15日)の声明で、連邦保安庁は内務省や国家調査委員会と共同で、その数ははっきりしないが「パラグラフ88グループのネオナチ(シモニャンとソブチャックの職場や自宅の住所についての情報を収集していた)」を逮捕したと発表した。

 FSBによると、拘束された者たちは金曜日(7月14日)にモスクワとリャザン地方で偵察を行っていたところを捕まった。

 FSBによれば、この作戦の間、警察当局はカラシニコフ・アソルトライフル1丁、カートリッジ90本、ゴムホース、ナイフ、ブラスナックル、手錠などを押収したという。また、「犯罪の意図が確認できる情報を持つコンピューター」も発見されたという。


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ロシア連邦保安庁


 ロシア連邦保安庁の職員はまた、シェブロンや旗、ナチスの道具や文献、通信機器も押収した。


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ロシア連邦保安庁


 「拘束された者たちは、ウクライナ保安庁の指示で暗殺の準備をしており、その報酬は殺人1件につき150万ルーブル(231万円)であることを確認した」と声明は述べている。

 シモニャンは2005年のRT創設以来、編集長を務めている。南部の都市クラスノダールで生まれ育ち、結婚して3人の子供がいる。

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関連記事:ウラドレン・タタルスキー暗殺の新容疑者が浮上


 ソブチャクはロシアではよく知られたセレブ(名士)で、元大統領候補である。元サンクトペテルブルク市長の娘である彼女は、幼少期からウラジーミル・プーチン大統領を知っている。リベラル派として知られ、現在はYouTubeの人気チャンネルを主催している。結婚しており、子供が一人いる。

 4月、ロシアの著名なジャーナリスト、ウラジーミル・ソロビヨフの暗殺を準備した疑いで、禁止されているテロリスト集団「国家社会主義/ホワイト・パワー」のメンバーとされる6人が逮捕されたと報じられた。捜査当局は、逮捕された者たちもSBUのために行動していたと主張している。

 同月、ロシアの軍事ブロガー、マキシム・フォミン(ヴラデン・タタルスキー)がサンクトペテルブルクで爆弾テロに遭い殺害された。地元の活動家ダリヤ・トレポヴァがこの犯行で逮捕され、ウクライナ情報機関とつながりのある男にスカウトされたことを認めたと報じられている。

 昨年、同じくロシア人ジャーナリストのダリヤ・ドゥギナがモスクワ郊外で自動車爆弾によって暗殺された。FSBは、この殺害の背後にはウクライナの特殊部隊が関与していると主張した。ニューヨーク・タイムズ紙は、アメリカ政府高官もキエフの犯行だと考えていると報じた。
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米国、ウクライナに「決定的な突破口を開け」と迫る – ワシントン・ポスト紙

<記事原文 寺島先生推薦>
US pressuring Ukraine for ‘decisive breakthrough’ – WaPo
Washington fears Kiev’s counteroffensive may not be able to deliver as powerful a blow as previously expected, the outlet claims
ワシントンはキエフの反転攻勢が、以前に予想されていたような強力な一撃を与えられないかもしれないことを恐れているとWaPoは報じている。
出典:RT 2023年7月18日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年7月21日



資料写真 © AP / Efrem Lukatsky


 米国高官(複数)が、広くもてはやされた反転攻勢でウクライナは十分な成果を上げていないことを懸念している、と、火曜日(7月18日)、ワシントン・ポスト紙が匿名の情報源を引用して報じた。

 同紙によれば、ワシントンはウクライナに対して、ウクライナの指揮官たちが西側顧問団から学んだ大規模な攻撃戦術を採用し、決定的な突破口を開くよう強く促している。

 ある匿名の米国高官は同紙に対して、西側はウクライナ軍に統合的な攻撃戦術の訓練を施し、地雷処理装置を提供したことを説明し、そしてキエフの部隊がこれらの能力を迅速に活用してロシアの防御を突破するのは「非常に重要」であることを強調した。

 西側高官たちがウクライナ軍隊を批判していると報道されているのは、ロシアの陣地の後方にある指揮、輸送、そして物流の施設に対して砲撃やミサイル攻撃を行うことを主体とした減衰(消耗戦)に基づく戦略を取って、西側方式の「統合兵力」作戦(戦車、装甲車両、歩兵、砲兵、そして航空戦力を活用した大規模な機動作戦)が行なわれていない、という点だ。



 関連記事:米国は、西側戦闘機はウクライナの助けにはならないと考えている

 戦争研究所の分析家たちの指摘では、ウクライナの指揮官たちは、兵士の数を維持するために、15〜50人の兵士集団を活用することで、より地道な前進作戦を重視することを選んだとのことだ。WaPoは、また、現在の作戦でキエフがこれまでに「12の訓練された旅団のうち4旅団を現在の作戦に」投入しているだけだ、と指摘している。

 キエフがロシアの防御を突破しようと試みたところ、これまでに「圧倒的な火砲、対戦車ミサイル、滞空兵器、そしてヘリコプターの攻撃」により、重大な損失が生じている。ロシアは広範囲なドローン攻撃もしており、「近年の戦闘経験を持つアメリカの軍隊ですら、これほどの規模で直面したことのない」攻撃であるとワシントン・ポスト紙は述べている。

 専門家たちは、歩兵による前進はウクライナ軍の消耗を減らす可能性が高いと述べているが、このような戦術は遅々としており、迅速な突破の機会を提供する可能性が低いと語っている。

 ウクライナ高官たちはと言えば、西側高官たちが対応策を急ぐよう求めていることを非難し、無駄な損失を避ける必要性を強調し、空からの支援の不足について不満を述べている。

 キエフは繰り返し、西側支援者たちに懇願しているのは米国製のF-16戦闘機の提供だ。彼らはこれらの戦闘機がロシアの航空戦力に対抗する上で重要な役割を果たすと主張している。

 しかし、西側高官たちは、報道によれば、その戦闘機は「ゲーム・チェンジャー(状況を劇的に変える要素)」にはならないと主張。一方、ロシアはその航空機がウクライナにある他の外国製軍事装備品と同様に破壊されるだろう、と応じている。
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弾薬庫火災のためクリミアで強制避難

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Ammo depot fire forces evacuation in Crimea
Some 2,200 people have been told to temporarily relocate, according to local authorities
地元当局によると、約2,200人が一時的に移動するよう指示された。
出典:RT 2023年7月19日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年7月21日


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2023年7月19日、クリミアの軍事訓練場の近くで火災が発生© RIA Novosti


 クリミア当局は、半島の東部にある弾薬庫が、水曜日(7月19日)朝、「火災を起こした」として、主要な高速道路を閉鎖し、周辺に位置する4つの集落の避難を命じた。

 クリミアの指導者セルゲイ・アクショノフは、現地時間の午前7時15分頃、「4つの集落の住民を一時的に避難させる」計画を発表した。近くの軍事訓練場で大規模な火災が原因でタヴリダ高速道路の一部が閉鎖されたと発表した直後のことだった。

 その後、セルゲイ・アクショノフは避難命令により約2,200人が影響を受け、彼らに必要な全ての支援が提供されることになると報告した。また、この事件でけが人はいなかったと、彼は付言した。

 セルゲイ・アクショノフは、原因はまだ捜査員によって確定されていないと述べた。一方で、ウクライナからは、キエフがこの事件の背後にいるかどうかについて矛盾する情報が寄せられている。

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関連記事:米国、ウクライナに「決定的な突破口」を迫る - WaPo紙

 ウクライナの軍事情報部長であるキリル・ブダノフが発したとされるメッセージがメディアで報道された:「火災は自分の担当部署と通常のウクライナ軍による共同作戦の結果だ」。しかし、数時間後には、軍事情報部の報道官がその報道内容を否定。そのメディアが引用したソーシャルメディアチャンネルの発信した情報の真偽はまだ確認されていない、と述べた。

 いくつかの人気のあるTelegramチャンネルは、火災を示すとされる動画を掲載している。

 クリミア地方議会の議長であるウラジミール・コンスタンティノフは、民間インフラへの被害の報告はなかったと述べた。彼は避難した人々が1日か2日後に安全に自宅に戻ることが予想されると述べている。

 この事件は、火曜日(7月18日)の朝、クリミア半島全土を標的にした最低28機のウクライナ製ドローンをロシア軍が迎撃したと報道された一日後に起きている。 月曜日(7月17日)には、キエフが2機の無人海上水上ドローンを使ってクリミア橋を攻撃した。モスクワはこの事件をテロ攻撃と非難し、2人の市民が死亡し1人の子供が負傷したと述べた。タヴリダは、橋から半島内に続く250キロの幹線高速道路。
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ロシアメディアが明らかにしたワグナー部隊と国との契約金

<記事原文 寺島先生推薦>
Value of Wagner state contracts revealed by Russian media
The private military company was paid almost a trillion rubles ($11.4 billion) in government tenders, TV presenter Dmitry Kiselyov has claimed
私設軍事会社が政府の入札において約1兆ルーブル(1兆5400億円)を受け取った、とテレビ司会者デミトリ・キセリョフは、と主張した。
出典:RT 2023年7月2日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年7月20日



資料写真:ロシアの私設軍事会社ワグナー・グループの兵士たち。©スプートニク/ヴィクトル・アントニュ


 エフゲニー・プリゴジンが所有するワグナー・グループを含む持ち株会社が、ロシア政府から得た仕事によって相当な利益を得ており、数千億ルーブルにも及ぶ契約を確保しているとロシアのメディアグループ「ロシヤ・セゴドニャ」のトップであるデミトリ・キセリョフは、日曜日(7月2日)、述べた。

 キセリョフは、彼の週刊ニュース番組で、プリゴジンのワグナー私設軍事会社は、「国家との契約に基づいて、約8580億ルーブル(1兆3213億円)以上を受け取った」と述べた。

 彼はさらに、他の契約に基づいて、プリゴジンの持株会社であるコンコルドは、配膳業およびメディア事業にも関与しており、約8450億ルーブル(1兆3013億円)相当の事業を提供していたと述べた。

 「これは彼らがそんなに多くを稼いだというわけではないが、この事業の規模や野心の大きさを示す指標となっている」とキセリョフは述べた。

 彼はまた、プリゴジンの会社は、報道機関に対して強力な影響力を有していた点を指摘し、ワグナー・グループはロシア最強の前線部隊であるという印象を持っている人もいたかもしれない、と付言した。

 「誰かの功績を貶める」つもりはないと強調しながら、キセリョフは、ウクライナのアルチョーモフスク(ウクライナではバフムートとしても知られている)というドンバスの要塞をワグナー部隊が占拠するよりも、通常のロシア部隊は強固に守られた都市マリウポリをより速く制圧したと振り返った。



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 彼の発言は、ロシアのプーチン大統領が火曜日(6月27日)に述べた、ワグナー・グループが完全に国家の支援に依存しているという指摘した後になされた。彼は、昨年の間にロシア当局がワグナー戦闘員に賃金や報奨金として860億ルーブル(1324億円)を供与したと主張した。

 同時に、プーチン大統領によれば、プリゴジンのコンコルド会社は、1年間で軍に食品を供給するために国から800億ルーブル(1232億円)を受け取った、とのこと。

 先月、プリゴジンは、ロシア国防省がワグナー部隊のキャンプへミサイル攻撃を仕掛け、死者を出したと非難した。そして報復を誓った。国防省はこの主張を否定した。彼の部隊は、一部の部隊がモスクワに向かって進む中、南部のロストフ・ナ・ドヌ市でいくつかの軍事施設を占拠した。

 しかし、プリゴジンはベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領の仲介による取引の一環として、進軍を停止した。合意の条件によれば、ロシア政府は私設軍事会社(PMC)のリーダー(プリゴジン)に訴追を取り下げ、彼がベラルーシに移住することを許可することに同意した。
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CIAはウクライナ危機を絶好の「チャンス」と見ている

<記事原文 寺島先生推薦>
CIA sees Ukraine crisis as unique ‘opportunity’
The US spy chief has touted his agency’s efforts to undermine the Russian leadership
CIA長官は、自身の機関CIAがロシアの指導部を弱体化させる取り組みをしていることを激賞。
出典:RT 2023年7月3日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年7月20日



アメリカ中央情報局(CIA)長官ウィリアム・J・バーンズによる第59回ディッチリー年次講演の写真(©YouTube / ディッチリー財団)


 CIA長官ウィリアム・J・バーンズは、ロシア・ウクライナ紛争によるとされるモスクワ内部の不和が高まっていることを公然と歓迎し、CIAにはスパイを募集し、ウラジミール・プーチン大統領政府を弱体化させる歴史的な機会が与えられていると述べた。

 バーンズは、土曜日(7月1日)、英国のディッチリー財団の講演で「今回の戦争に対する不満は、定番の国家プロパガンダと手慣れた抑圧を続けるロシア指導部を悩まし続けるでしょう」と主張した。

 「その不満は、CIAにとっては一世代に一度のチャンスを生み出します。私たちはそれを無駄にはしません」と彼は付言した。

 バーンズは、CIAが5月にテレグラムチャンネルを開設し、ロシアの指導部や経済に関する情報を提供できる軍人、政府関係者、科学者を募集していることを告げた。「最初の1週間で250万回の閲覧があり、大盛況です」と彼は述べた。




関連記事:CIA長官は、ワグナーの反乱に関わっていないとモスクワに伝えた – WSJ紙

 モスクワが、そのとき言ったのは、CIAは単に「アメリカの納税者のドルを無駄使いしている」だけ、ということ。海外からロシア社会を分断しようとしても、うまくゆかないからだ、とはアナトリー・アントノフ大使。

 ワシントンは、ウクライナ危機が十分な内部分裂を引き起こし、潜在的なロシアの情報源をウラジミール・プーチン大統領に反対する流れにさせる一助にするだろうと断言している。バーンズの演説は、私的軍事請負業者のエフゲニー・プリゴジンがロシア最高位将軍たちに対する短期間の反乱を終わらせた1週間後のことだった。CNNによると、頓挫した反乱は米国高官たちが期待していた「血なまぐさ」とはほど遠いものだった。

 バーンズは、ワシントンが反乱に関与していることはないと主張し、プリゴジンの短命の反乱は「プーチンのロシア社会と自政権に向けた戦争が持つ腐食効果を鮮明に示すものだ」と自説を述べた。



 関連記事:ワグナーの反乱についてのプーチン大統領の演説の要点

 プーチンは先週、ロシアの人々が危機に対して団結を示し、国家が「分断され、血なまぐさい抗争に溺れる」という外なる敵たちの期待を挫いたと述べた。

 独立系の世論調査機関であるレヴァダ・センターによれば、頓挫した反乱後、ロシア人の中でプーチンの支持率はほとんど変わらず81%だった。レヴァダ・センターは2016年以来、ロシアで外国調査機関として登録されている。
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フィンランド経済相、アフリカ女性に対して「温暖化阻止のために堕胎を」と呼びかけた演説で辞任

<記事原文 寺島先生推薦>
Finnish economic minister resigns over ‘climate abortions’ speech
Vilhelm Junnila said he was stepping down to spare the country’s reputation after half a dozen scandals surfaced in just one week
ヴィルヘルム・ジュニラは、わずか1週間で半ダースのスキャンダルが浮上した後、国の評判を守るために退任すると述べた。
出典:RT  2023年7月1日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年7月19日


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© AFP / Eeva Maria Brotherus


 フィンランドの経済問題大臣であるヴィルヘルム・ジュニラは、新人議員として行った演説が再び浮上したことを受けて、金曜日(6月30日)、辞任した。その演説で、彼は地球を救うためにアフリカの女性に対して「気候中絶(温暖化阻止のための堕胎)」をフィンランドが後援することを提案していた。

 「フィンランドが気候中絶を推進してその責任を担うことは正当なことでしょう」とフィンランド党の政治家(ヴィルヘルム・ジュニラ)は、2019年に述べていた。「気候中絶は人類にとっては小さな一歩ですが、人類にとっては巨大な飛躍となるでしょう」なる冗談めいた言葉も交えて。この党は、気候変動と闘うためにフィンランド人は生活様式を大幅に変えなければならない、という考えに反対し、他のヨーロッパ諸国よりその汚染度ははるかに少ないという考えを打ち出している。

 キリスト教民主党の国会議員であるパイヴィ・ラサネン(Paivi Rasanen)は、ジュニラが「人種差別関連」の外に身を置いているとしても、「エコ・ファシスト」の概念を推進していると非難した。彼女は与党の連立相手に対して、エコ・ファシズムも「過激派の運動」であることを思い出させた。

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 関連記事:NATO加盟国、ロシア支援削減でアフリカ支援削減を示唆

 フィンランドの大統領サウリ・ニーニスト(Sauli Niinisto)はこの状況を「たいへんな戸惑いを覚える」と表現した。一方、連立内のもう一人のパートナーであるスウェーデン人民党の党首であるアンナ・マジャ・ヘンリクソン(Anna-Maja Henriksson)は、ジュニラが辞任したことを「賢明な決断」だと称賛した。

 ジュニラは、フィンランドの評判を守るために辞任したと説明した。そして非難の数が増えているにもかかわらず、「党と私が所属する会派の信頼」を保持していると主張した。金曜日(6月30日)の早い段階で、フィンランド国営放送(Yle)は、彼は大学で政治学を学んだと言っているが、その授業を一度も受けていないことを報じた。また、彼のウェブサイトや選挙資料に掲載されている、政界に入る前にポーランドの技術系企業を創設して売却したという主張にも事実的な根拠は見つからなかった、とも。

 ジュニラが先週火曜日(6月27日)に今の職に就任した直後、一人の研究者が「フィンランドのネオナチ人名録」と評した極右団体が主催した2019年のイベントに彼が出席した、とEuronewsは報じた。その後もスキャンダルは積み重なり、水曜日(6月28日)には信任投票が行われ、彼はわずかに95対86で勝利したが、オルポ首相は彼に対して、閣僚として仕事を続けるためには行動を改める必要があると警告した。

 ジュニラは、自身が出席したイベントや、彼の批判者が発掘した一連の「愚かで幼稚な」ヒトラーやナチスのジョーク、その他のコメントについて、公に謝罪した。彼の議会助手に対するいくつかのFacebookメッセージも話題になった。その中には、クー・クラックス・クランのフードを被った雪だるまが縛り首縄を持っているインターネット画像も含まれていた。

 今年選出されたフィンランド政府は、現代における最も保守的な政府と呼ばれている。国会で最も議席を獲得した右派の国民連合党と、ジュニラの極右のフィンランド党によって主導される連立政権によって運営されており、気候への取り組みを軽視し、国際援助を削減し、移民に制限を設け、福利厚生を削減するなどの措置を取っている。これは、元首相サンナ・マリンの中道左派政権からの急激な転換となっている。
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タリバンは米国ができなかった麻薬対策を一年で実現

<記事原文 寺島先生推薦>
Taliban achieves what US couldn’t do with opium – media
The group’s ban on poppy farming has reportedly slashed Afghanistan’s opioid production by 80% in one year
報道によると、タリバンによるケシ栽培の禁止は、一年間でアフガニスタンの麻薬製造を8割減らした、という。
出典:RT   2023年7月1日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年7月19日



資料写真:2006年4月、アフガニスタンのケシ畑を歩く米軍のポール・カルボス大佐© Getty Images / John Moore


 報道によるとタリバンは、米国の「麻薬との戦争」政策が50年掛けて成し遂げられなかったことを一年でやり遂げた、という。具体的には、アフガニスタンの麻薬生産の大多数をなくすという任務だ。2022年4月にタリバンがケシ栽培を全国規模で禁止して以来、アフガニスタンは、「人類史上最も成功した対麻薬政策」を成し遂げた、と英国のテレグラフ紙は、土曜日(7月1日)に報じた。 アフガニスタンの麻薬製造は、昨年、推定8割減少したと、その記事は報じた。ヘルマンド州では、ケシ栽培が99%、面積でいうと約2500エーカー(約10キロ平方) 減少したとのことである。この州は米国が主導したアフガニスタンでの戦争時のほぼ20年間、英軍の占領下にあった。
 
 テレグラフ紙の記事によると、このように麻薬の供給源を減少させることは、米軍がアフガニスタンに駐留していた20年間を含め、米国政府による50年間の麻薬との戦争において成し遂げられることはなかった、とのことだ。中央アジアに位置するアフガニスタンは、歴史上、世界の麻薬の8割、欧州に供給される麻薬の95%を製造してきた。このような状況を監視している組織はいくつかあるが、中でも国連が懸念を表しているのは、このようなケシ栽培の減少が、合成麻薬の使用を増やすことに繋がりはしないか、という点だ。このような合成麻薬には、フェンタニルなどがあるが、ケシを原料とするヘロインよりもずっと危険な薬品である可能性がある。



関連記事:タリバン、ケシ栽培を禁止

 米国がアフガニスタンを支配していた2004年、米国政府が支援する首都カブールの政権は、10年以内にケシ栽培をなくすという目標を立てた。実際はその逆で、米国支配下において、栽培や麻薬製造は増加した。 報道によると、米国は少なくとも90億ドルの税金を注ぎ込んで麻薬産業の根絶につとめていたという。

 米国の中央情報局(CIA)には麻薬貿易を行ってきた長い歴史がある。米国務省が1991年に出した報告書によれば、アフガニスタンでのCIAの秘密作戦が、アフガニスタンを「麻薬の自給地域から、世界市場に向けたヘロインの主要な供給地域」に変換させるものだったことが判明した。

 しかし、米国の報道機関は、タリバンを名指しで非難し、2021年8月に、このイスラム教勢力がアフガニスタンの支配権を再度手に入れて以来、麻薬製造を許可してきたと報じた。米国政府が資金提供しているラジオ・フリー・ヨーロッパは、つい最近の2023年5月に、アフガニスタンのケシ栽培が増加したのは、タリバン政権がケシ栽培の禁止を推進することに前向きでないからだ、と報じた。

関連記事:バイス・ニュース社は、「昔懐かしい」ヘロインを惜しむ麻薬使用者らが、CIAに対して疑念を抱いているとの報道。

 皮肉にも、米国政府の米平和研究所は先月、タリバンを、麻薬製造の撲滅に成功しすぎたとして非難した。「タリバン政権による現行の禁止策を、過度にいいことのように捉えること、つまり世界の対麻薬政策における重要な勝利と捉える誘惑に陥ってはならない。現在のアフガニスタンの経済面や人道面の状況からすれば、成功と捉えるべきではない。実際のところ、この禁止措置により、アフガニスタンには経済的及び人道的に大きな負担がかかっており、アフガニスタンからの難民流出がさらに促進される可能性がある」と同研究所は主張した。
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バイデン政権が仮想的な地球工学研究プログラムの概要を示す

<記事原文 寺島先生推薦>
Biden admin outlines hypothetical geoengineering research program
The report, supposedly commissioned by Congress last year, was released the same day as similar comments from the EC
報告書は、おそらく昨年議会から依頼されたもので、欧州委員会が同種の報告書と同じ日に公表された。
出典:RT  2023年7月1日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>   2023年7月18日



資料写真 © Getty Images / ivanoel28


 米国科学技術政策庁は、金曜日(6月30日)に公表された報告書で、米国における地球工学計画の概要を示した。研究者たちは、自分たちの仕事がそのような技術の是認を意味するものではなく、予算法案の一環として「太陽エネルギーとその他の急速な気候介入」の研究のために昨年議会から依頼されたものであることを強調した。

 この報告書は、「太陽放射線の修正」(太陽光線の一部を宇宙に反射させる割合を増やすことによって地球の気候を制御することを目指す)の危険性、良い面、そしてその実現可能性を研究する最善の方法を視野に収めている。成層圏エアロゾル散布(大気中に反射粒子を放出する)および海洋雲の明るさを増やす(より白い雲を作る)という、二つの方法が検討されている。

 コンピューター演算によると、両方の方法は「数年以内に」地球を冷却する可能性があるが、研究者たちは「気候システムにおける潜在的な予期せぬ結果」と呼ばれるものをその演算でも確認している。他の科学者は、地球工学による一部地域の大気の冷却が他の地域で加熱を引き起こし、地球工学が停止されると元の地域で反発的な加熱効果が生じると指摘している。



関連記事:EUは、利己的な地球工学に警告を発する

 報告書は、地球の大気に干渉する危険性が、地上での取り組みによる気候変動の緩和努力(温室効果ガスの排出制限など)を制限する危険性と同等またはそれ以上である可能性を認識しながらも、地球工学技術を試行する「公的および私的な他の実験者」がいつ、どこでこの実験を行っているかを見つけ出すことの重要性を強調した。それらの実験者は、より危険度の高い許容度で、もっと不吉なことには、この問題の理解が不十分なまま地球工学の実験を行っていた。

 「透明性と国際協力を特徴とする研究計画は、この問題に関する広範な信頼基盤の構築に貢献するだろう」と報告書は述べている。おそらく、この分野での民間部門の実験に蓄積された信頼の欠如のことを言っている。少なくとも1つの国(メキシコ)が地球工学を既に完全に禁止している。

 どんな研究も、地球工学技術の社会的側面に関する研究も含まれていなければならない。例えば、地政学的影響の可能性、人間の健康への危険性、そしてそれを実施すると、実施しない場合と比較して、気候変動によってどんな影響を人口に与えるか、などだ。

 地球を救うための太陽減光演算実験の詳細の44ページにわたる考察にもかかわらず、報告書に添えられた声明でバイデン政権は「太陽放射線の修正に焦点を当てた包括的な研究計画を設立するための計画は進行中ではない」と、読者に安心感を与えた。

 欧州委員会は、金曜日(6月30日)に気候変動の国家安全保障への影響に関する独自の報告書を公表した。欧州委員会としては、太陽放射線の修正に関与することには興味がないが、他者がそれを実験するに強い懸念を表明している。EUの気候政策担当者は、EU全体の完全な協力がないまま大規模な地球工学計画を試みることには反対との警告を発した。
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誰が性転換治療薬についての世界的な指針を作ったのか?

<記事原文 寺島先生推薦>
Who Designed Global Guidelines for Puberty Blockers?
著者:フリー・ウエスト・メディア(Free West Media)
出典:グローバル・リサーチ  2023年1月13日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年7月18日






 世界中の病院が、子どもたちの性の問題にたいする対処法に関するオランダの指針に従っている。しかしこの指針の一番の基盤となっている、批判の声が大きく上がっている研究に資金を出したのは、ドイツのホルモン剤製造業者だった。

 ますます多くの子どもや若者たちが、自認する性別と自分の本来の性別が一致するかについて疑念を持ち始めている。2010年にオランダでそのような治療を受けた未成年は60人程度だったが、昨年は1600人 程に増えている。さらに1800人ほどの18歳以下の人々が、治療待ちだった。オランダの性関連病院が患者で満杯だからだ。

 自認する性別と本来の性別が一致しないと考えられる子どもたちに対する薬物治療のことについては、世界中の医療機関が、1990年代にアムステルダムで作られた治療手順を踏襲している。

 オランダのNRCハンデルスブラット紙は、アムステルダムUMC病院での性に関する研究に関して、誰かが指示していたのではないかという疑惑やこの研究の独立性について疑問の声をあげる記事を出した。この記事によると、治療を受けられる条件は非常に厳格なようではあるが、いくつかの副作用が見落とされている、という。つまり、この強力な薬品がもつ激しい副作用は、医師たちからは、効果を考えればやむを得ないものであり、不問とされた、という。


「性転換治療薬」の研究に、ホルモン剤製造業者が資金提供していた

 第二次性徴の発露を遮断する方法は、「オランダの治療手順」として、世界中で知られてきた。この治療手順は、「性に関する治療の標準」の基本として、世界中で踏襲されるようになった。世界中で何万人もの子どもたちがこの治療を受けており、オランダでは確実に数百人規模で治療されているが、正確な人数は明らかにされていない

 科学者たちは、自認する性別と本来の性別が一致しない人々に対するホルモン剤を使った治療法について、まず治療により第二次性徴の発露を抑えたあとでホルモン剤治療をする方が効果的なのかについて調査を行った。この研究に資金を出していたのは、ドイツのホルモン剤製造業者だった。

 トリプトレリンという薬品を性転換治療薬として売り出しているフェリング・ファーマ社は、この研究の結果により、多大なる商業利益を得た。この治療法が重点をおいていることは、別の性別のホルモンを注入することだった。具体的に言うと、男性には、卵胞ホルモンを与えてより女性らしくさせ、女性には、テストステロンという男性ホルモンを与えてより男性らしくさせるという治療法だ。しかし10代の青少年層にはさらに加えて性転換治療薬を投与するものとされている。この治療薬により、少年たちは低音や髭の発生が抑え、少女たちは胸の発育など女性らしい体型になることが抑えられる。

 この研究には、多くの批判の声があげられた。実験時の質問事項は矛盾した内容であり、対照群も全く用意されておらず、 研究者たちが研究結果に繋がる事例に用いたのは、無作為に抽出された、治療を受けた196人の子どもたちについてだけだった。


「性転換治療薬」から距離をとる国々も出てきた

 現在、子どもたちの治療に「性転換治療薬」を使うことに反対する国々が多くなっている。この薬品は未成年の性的発達を損なうだけではなく、骨粗鬆症や無オルガスム症、不妊症を引き起こすとも言われている。NRCの記事によると、この薬品は、理性的な意思決定を行う能力を損なう原因になることもあると言われている、という。

 世界中で、アムステルダム自由大学の性関連医療施設で開発されたオランダのこの治療手順について、科学的内容という観点や実証的な基盤が存在しないことについて批判の声があがっている。医療当局が、子どもたちの治療としては、精神面での治療を施すことを主流とし、性転換治療薬を処方するのは例外的とする方向性を決めている国々もいくつか出てきた。スウェーデンの医療当局は、「今は、予想される利点よりも危険度の方が高い」と結論づけ、この件を、スウェーデンの「医療界最悪の醜聞」の可能性がある、とまでしていた。

 英国では、オランダの治療手順に対する批判は非常に厳しく、世界最大の性関連病院であるタビストック性病院が、当局により閉鎖された。

 スウェーデンやフィンランド、英国では、この性転換治療薬が処方されることはほとんどなく、特に重い症状がある時だけだ。これらの国々では、この薬品を使うのではなく、患者に対して精神的な支援を行う治療法に頼ることが増えている。

 昨年2月以来、スウェーデンの国家保健福祉庁は、カロリンスカ協会の治療法を踏襲している。この治療法は、自認する性と本来の性が一致しない未成年者たちに対してホルモン剤を注入することについてのものだ。アストリッド・リンドグレーン小児科病院(ALB)で行われているカロリンスカ協会による小児向け性治療においては、18歳未満の自認する性と本来の性が一致しない患者たちに対して性転換治療薬や本来の性ではない性のホルモン財を注入する治療法は、取りやめられている


市場で余剰になった薬品が、間違った条件で使用されている

 米国テキサス州のケン・パクストン検事総長が、子ども向けに性転換治療薬の広告活動を行ったとして、2社の製薬会社の捜査を続けている。この広告では、この治療薬を認可されていない用途に使用することを伝えていた。

 12月にパクストン検事総長は、テキサス州の偽装取引法に基づき、エンドゥ製薬会社とアブビー株式会社という、性転換治療薬を販売している2つの会社を捜査する、と発表した。この治療薬は、思春期早発症と前立腺癌に対する治療について認可されていたのだが、自認する性と本来の性が一致しない人々への治療に対しても、未公認のまま販売され、処方されていたのだ。

 「この治療薬の使用が認可されていたのは、そのような目的とは全く異なる用途についてであり、有害な副作用、さらには取り返しのつかない副作用を引き起こす可能性があります。両製薬会社がテキサス州の子どもたちを利用して利益を得ていることを許すわけにはいきません」とパクストン検事総長は述べた。
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全体主義への道筋:米国は権威主義国家から全体主義国家へと移行しつつある

<記事原文 寺島先生推薦>
The Stages of Totalitarianism: America Is Moving from Authoritarian to Totalitarian
筆者:マーク・マクドナルド博士(Dr. Mark McDonald)
出典:グローバルリサーチ   2022年10月25日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年7月18日





 ボスニアにいた時の方がずっと自由を感じられた。今年の夏のことだ。今いる米国よりも。訪れるどの都市にも、移動や言論やどんな医療を受けるかの決定について自由があった。犯罪を犯すことに対しては、推奨されるというよりは、顰蹙を買う雰囲気があった。

 私が話しかけた人々は、地元の重要な問題に関する情報をよく知らされていたようだった。対照的に、私の居住地であり勤務地でもあるロサンゼルス市は、権威主義的なところだ。カリフォルニア州もそう。米国中がそうだ。ただし、米国はまもなく、権威主義的国家から全体主義的国家へと変貌を遂げる可能性がある。どうしてこんな風になってしまったのだろうか?


 どんな政権でも、一夜にして全体主義になることはない。まずは権威主義という道筋を経てからだ。自由が少しづつ制限されていくのだ。権力者らの事情が優先される中で、臣民らのことが顧みられることがなくなっていく。

 その過程の中で、まず抑圧される最も重要な権利は、制限や検閲を受けることなく我々の意思を表現する自由だろう。

 表現の自由が奪われてから久しい。そんな状況を許したのは、ことばを司る権利を権威主義者たちに渡してしまったからだ。「盗み」は「公正」に、「復讐」は「社会的正義」に、「人種差別」は「反人種差別」に、「均質性・差別・除外」は「多様性・同一性・包摂」に置き換えることに同意させられている。最も基本的なことばである「男性」ということばさえ、今は「成年男子や少年たち」という定義から、「自己が認識する性別が女性ではない人たち」という定義に変えられてしまった。メリアン・ウェブスター社が出している辞書がこの定義を載せたのが2020年だった。ことばを支配するものが、社会を支配する。もはや米国民は自分たちのことばを支配していない。支配しているのは、権威主義者たちであり、これらの権威主義者たちだけが、どの語がどんな意味をもつのか、だれがそれらの語を使えるのかを決めることができる。

 ことばを支配する力を手に入れただけではなく、権威主義者たちは、検閲を行う力さえ手に入れている。私がこのことを認識したのは2020年7月のことで、私が米国の「最前線に立つ医師たち」という組織のために、最高裁で発言をした際だった。この組織は、心配する親たちの不安を和らげるために米国の諸学校が休校措置を取ることで子どもたちを犠牲にする政策に異議を唱えていた。

 1200万人以上の米国民が、8時間以上に及んだこの話し合いを目にしたり、耳にしたりした。これはネット上の記録的な数字だ。しかしその後、この会議の模様はすべて、ツィッターやフェイスブック、グーグル上から消されてしまった。テック産業界にいる権威主義者たちの小さな一団が決めたことは、医師たちからなるこの組織には、この組織の人々が持つ観点を共有させる権利を、米国民には、この医師たちの話を聞く権利を持たせないことだった。検閲は自由を破壊するものだ。というのも、検閲を行えば、真実が外に漏れることはなくなり、思想界を妨害し、より多数の人々のことを代弁する気はない小集団の権力を強固にすることができるからだ。

 私たちは数年前と比べてさえも、ずっと自由ではなくなった。私たちが手放した権利は、自由に話をする権利、自分の身を自分で守る権利、移動の権利、そして政府を批判する権利だ。もはや私たちは本当の人種差別と戦えなくなり、犯罪者に襲われた時も反撃できなくなり、住んでいる地域の当局から命じられれば、家を出ることもできなくなってしまった。神から与えられ、憲法に規定された私たちの権利の行使を主張すれば、雇用を反故にされ、罰金が課され、逮捕され、投獄されるようになってしまった。米国史上初めて、政治犯がワシントンDCの地下牢に留め置かれる事態が生じた。その罪状は、政府に疑問の声を上げたからだった。 数百人が重罪を犯したとして人種差別を取り締まる役人たちから起訴され、何度も拷問や暴行を受け、保釈を求めようとすることも否定された。これらの人たちは、2021年1月6日に2020年の大統領選の結果に異を唱えるための非暴力の抗議活動に参加した人たちだ。その多くは未だに拘束されていて、裁判を待っている。自殺したものもいる。それでもまだ状況が悪化する可能性があるし、実際そうなっている。

 いまや公的機関や私企業のどの段階においても、事実確認組織が導入されており、現在の支配政権が唱える通説を脅かす「偽情報」は、阻害され、消し去られている。


 産業革命以降、社会に大きく善を成してきた科学技術が、いまや武器と化してしまい、米国民の言論、行動、購買、移動を追跡する道具に成り下がっている。個人の位置情報、生体認証、オンライン上の盗視(閲覧サイト、電子メール、文書のやり取り)により、これまでにない規模で情報が保存され、個人情報を保護することは完全に不可能になっている。科学技術が資源の強制的な再配分にしっかりと利用され、自宅の温度調節は政府が運営する電力会社により決められ、我々の電気自動車の充電器による充電が、その時に我々が社会にどれだけ「グリーン」面で貢献しているかの得点により止められるような世界が来る日も近いだろう。社会のグリーン化に対する貢献度により充電をさせないという状況は、既に2021年にテキサス州で起こった。我々の貨幣が、連邦政府が中央で管理する完全なデジタル化に移行する中で、 我々が何を買い、我々が自分の金を使えるかどうかは、ワシントンの政府当局の手に渡ることになってしまう。こんな命令に従おうとしなければ、食料を買うことが禁じられるだろう。すでにこのような政策は、カナダ、オーストラリア、中国などの外国では既に導入済みだ。

 いま我が国は、権威主義国家から全体主義国家へ移行しつつある。権威主義者たちが我々に命じるのは、してはいけないことだ。いっぽう全体主義者たちが命じるのは、絶対にしなければならないことだ。マスクを着けろ、家にいろ、検査を受けろ、治験の済んでいない危険な薬を自分(及び自分の子どもたち)の体内に注入せよ、犯罪者が家に押し入ってきたら、逃げろ、などだ。

 自分の子どもたちを小児性愛者に差し出せ。自分の子どもたちが自分の性別に違和感を感じれば、去勢させろ。自分の収入や財産、身体を差し出さなければ、社会から追放されるし、拒めば永遠に刑務所の独房行きだ。

 米国社会は、急速にこのような社会に変貌しつつある。「非常事態」が終わることなく続けられる中で、多くの米国民はこのような変化に気づくことが難しくなっており、何が役に立つことで、何が破壊を招くのかの判断ができなくなっている。このような状況を打破するために私は以下のことを問いかけることを提案する。それは、「この変化のせいで、我々はより従属的な立場に置かれるのか、それとも自立の方向に向かうのか」という問いだ。もし前者のように感じたのであれば、そのような変化は確実に、全体主義に向かう過程に繋がるものだ。全体主義は自由を嫌悪し、完全な管理を熱望し、追従を求める。 そのことに気づき、その動きを推し戻そうとしなければ、我が国は権威主義的政権から全体主的政権に移行し、我々が知っている米国は消滅するだろう。そしておそらく永遠に。
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米中緊張が高まるにつれ、日本は再軍国主義化してゆく

<記事原文 寺島先生推薦>
As US-China Tensions Rise, Japan Remilitarizes
筆者:スタブルーラ・パブスト (Stavroula Pabst)
出典:INTERNATIONALIST 360°2023年3月12日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年7月17日





 台湾を巡る米中の緊張が深まり、国際的な地政学的状況が悪化する中、日本は再軍備を進めることを発表した。2022年末に、日本は2028年までに軍事予算を倍増する計画を示した。具体的には、次の3つの重要な文書(2022年12月)において、軍事能力を構築する予定を示した:国家安全保障戦略国防戦略、そして防衛増強計画の3つだ。

 新たな軍事戦略と増強計画を概説する一方で、これらの文書では日本の政策転換の理由も説明されており、国防戦略では「第二次世界大戦終結以来、最も厳しいかつ複雑な安全保障環境の中で、日本は現実を直視し、日本の防衛能力を根本的に強化する必要がある」と述べている。国防戦略はまた、ロシアの「ウクライナへの侵略」、北朝鮮の弾道ミサイルと核兵器の増強、そして「中国が台湾周辺で強制的な軍事活動を強めている」といった、日本の国家安全保障上の懸念も示している。

 日本は、第二次世界大戦後に採用した防衛中心の「専守防衛」政策との整合性を主張しながらも、それに隣接する取り組みからは攻撃準備が進行中であることが示唆されている。例えば、三菱が日本の12式地対艦ミサイルシステムの射程を強化しようとしており、これにより日本は中国本土内部にも攻撃を行えるようになる。さらに、戦車部隊を再編成して機動性を最適化するだけでなく、日本は両大戦以来初の水陸両用部隊を設立し、一部の小さな島々で軍事基地と兵力を強化している。

 中国を含む周辺諸国は、日本の再軍備計画に対してうんざりしている。なぜなら、日本の最近の軍事的な決定は、第二次中日戦争前後にあった侵略と残虐行為の痛ましい記憶を呼び起こすことになるからだ。多くの人はこの第二次中日戦争を第二次世界大戦太平洋戦域と考えている。

 日本の戦時中の恐ろしい虐待行為には、南京大虐殺が含まれる。この事件では、日本軍が中国の当時の首都(南京)を占領した後、民間人を虐殺し、強姦したとされており、数十万人が殺害された可能性がある。さらに、日本は中国のハルビンで行われた731部隊の悪名高い人体実験について、長い間沈黙を守った。1990年代になってようやく戦時中のこの計画の存在をしぶしぶ認め、2011年に現地を発掘し、2018年には関与した多くの人々の氏名を公開した。歴史的な推計では、731部隊で30万人もの人々が死亡したとされている。また、日本の武装部隊は何十万人もの東南アジアの女性を骨の髄まで搾取し、彼女たちは「慰安婦」と呼ばれながら、実質的に性奴隷として扱われ、頻繁に性的虐待を受けた。

 これらの犯罪の重大性を考慮すると、多くの人々は、元枢軸国のドイツなど他の国々の和解過程と比較して、日本全体の過去への反省は色あせたものだ、と主張している。日本は以前の暴行について謝罪しているが、作家のキム・ピーターセンはサイト「Dissident Voice(反体制派の声)」で、そのような発言は実質的な謝罪ではないと主張している。

 実際には、日本の政治家全体では謝罪する真剣な意思が存在しない・・・日本の指導者たちは、侵略戦争の日本の戦犯の霊が祀られている靖国神社を訪れ続け、被害を受けた国々の困惑を招いている。歴史は浄化されている。日本の学生たちは、日本の罪を曖昧にする歴史を教えられている。日本は他の政府に対して、自国の管轄内に建てられた慰安婦の像を撤去するよう働きかけてさえいる。この像は日本軍の犯罪をはっきり呼び起こすものなのだ。

 中途半端な和解の取り組みや態度が蔓延する中、最近の世論調査では、日本の多数派が国防力の強化を支持していることが示されている。朝日新聞は2022年5月に報じたところによれば、調査対象者の64%が、日本は防衛能力を強化することに同意したと報じている。

 最終的に、日本の再軍備計画は、世界的紛争の見通しが深まる中、日本とアメリカの友好関係への投資を提案している。日本の更新された国防戦略は、さらに、国際連携を計画する意図を強調しており、「今年、アメリカは新たな国防戦略を策定した。したがって、日本とアメリカが各自の戦略を調整し、統合的な防衛協力を推進するのは時宜にかなっている」と述べている。

 より正確には、アメリカは事実上の従属国である日本との関係を利用しており、日本は常にアメリカの利益に従属していると言える。この場合、現在進行中の展開や敵対行為は、日本がアメリカの中国との紛争への加虐的な推進力となることを示唆している。

 実際に、最近のフィナンシャル・タイムズ紙の報道では、日本が中国との潜在的な戦争に向けたアメリカの準備において重要な役割を果たしていると書かれている。日本海兵隊第3遠征軍(III MEF)および海兵隊日本部隊の指揮官であるジェームズ・ビアマン中将は、同紙に対して以下のように説明している:

 「ウクライナで成功した理由の一つは、2014年と2015年のロシア侵略の後、将来の紛争に備えて真剣に準備に取り組んだことです。ウクライナ軍への訓練、物資の事前配置、支援活動の拠点の特定などを行いました・・・それを「戦域設定」と呼んでいます。そして、日本、フィリピン、他の場所でも戦域設定を行っています」。

 さらに最近のフィナンシャル・タイムズ紙の記事では、アメリカ空軍機動輸送司令部のマイク・ミニハン将軍が漏洩された文書で「直感的には2025年に戦うことになるだろう」と認めていることが引用されている。一方、アメリカの政治家が台湾を訪れることは、米中の外交的な慣例に違反しており、最近では南カロライナ沖で中国の風船を撃墜した事件や、アメリカが台湾軍の増員訓練を行っているなど、アメリカの行動はあえて物議を醸そうとするものだ。

 長期的な外交の標準を尊重する代わりに、こうしたアメリカの行動は、超大国(アメリカ)が台湾を利用して中国を紛争に誘引する意図がある可能性を示唆している。まさに拡大し続けるNATOがロシアを包囲するためにウクライナを利用しているように。アメリカの高官たちは頻繁に台湾をウクライナに例えている。ララ・セリグマン(Lara Seligman)がPolitico紙で昨年5月に報じたとおり、彼らは台湾に対して「ウクライナの手本に従うこと」を中国に対抗するために強く説得することすらしている。

 現在の展開に対応して、中国は繰り返し、アメリカが台湾への介入を中国の内政干渉と見なすため、アメリカが方針を変える必要があるとの合図を送ってきた。中国の習近平国家主席は、3月初旬に名指しの非難(めったに行わない)を行い、「アメリカを中心とする西側諸国は、包囲・封じ込め・圧制を包括的に実施し、我々に対して前例のないほど厳しい挑戦をしている」と述べた。さらに、中国の新外相である秦剛は、初めての記者会見で、アメリカが「理性的な道筋」から外れたと発表し、アメリカが方針を変えない場合、「必ず紛争と対立が起こる」と述べた。

 中国のますます厳しさを増す警告にもかかわらず、西側の支配者層は世界規模の紛争拡大の可能性によだれを流さんばかりの興奮状態だ。アメリカのリンジー・グラハム上院議員(共和党、サウスカロライナ州)は、次のようなことさえ口にしている。「ウクライナがアメリカから適切な経済的および軍事的支援を受ければ、彼らは『最後の一人まで戦う』でしょう」。(現在、ウクライナ兵の戦闘での推定寿命は約4時間であることを考慮すると、グラハムの不気味な願いは現実になるかもしれない)

 しかしながら、アメリカ帝国が中国に狙い定める中、ウクライナでの紛争だけでは不十分であることは明らかだ:アメリカは世界的紛争に備えている。そして、日本が、アメリカと現在世界で最も人口の多い国であり、最も技術的に先進的な国の一つである中国との想定される戦争で協力することは、米中超大国同士の戦闘において不可避となる大量虐殺の可能性を高めることにしかならないだろう。

 戦争への大規模な抵抗または外交努力が前例のない戦争挑発を抑制することができなければ、爆発的な紛争が起こる可能性が日に日に高まることになる。

この記事の初出は Al Mayadeen
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ローマクラブ『成長の限界』の著者が世界人口の86%削減を促進

<記事原文 寺島先生推薦>
Club of Rome “Limits to Growth” Author Promotes Genocide of 86% of the World’s Population
筆者:ローダ・ウイルソン(Rhoda Wilson)
出典:Global Research  2023年6月5日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年7月17日


デニス・メドウズは、ローマクラブの『成長の限界』の主要な著者の一人であり、世界経済フォーラムのメンバーだ。




***

 デニス・メドウズは、ローマクラブの『成長の限界』の主要な著者の一人であり、ローマクラブの名誉会員および世界経済フォーラムの一員だ。もし、彼の思想が彼の著書の出版以降、その声量を落とし、「反・人間」の考えを弱めたと思うなら、それは間違いだろう。

 以下は、2017年の動画でのメドウズの発言だ。彼は、将来避けられない86%の世界人口の虐殺が「慈悲深い」独裁の下で平和に達成されることを望んでいる、と述べている。彼の発言:

 「もし私たちに賢明な、非常に強力な独裁政権があれば、世界人口80億または90億を[ ]することができるでしょう・・・そして人々が低い生活水準を持っている場合・・・ しかし、私たちは自由を望み、高い生活水準を求めているので、世界人口は10億人になるでしょう。現在は70億人ですから、減らさなければなりません。これがゆっくりと、比較的平等になるよう比較的ゆっくりと進むことを願っています。つまり、そうすれば人々はこの(人口削減という人類の)経験を共有するのです」。





 この記事の最後に明らかになるように、メドウズの言葉が国連気候変動会議COP1で最初に提示された「1995グローバル生物多様性評価」と響き合っているのは偶然ではない。こう書かれている:

 「農業の世界」では、人類のほとんどが農民であり、50億から70億人を支えること ができるはずだ・・・対照的に、現在の北米の物質的生活水準での工業化された社会の合理的な推定人口は10億人だ。

Global Biodiversity Assessment, UNEP, 1995, pg. 773

 この思想の支持者たちが言及しないのは、Worldometerによれば、現在の世界人口は80億人を超えており、彼らの恐怖を煽る予測とは一致しない点だ。十分な理由があって彼らは現実の筋書きを避けるのだが、それは彼らが想定する型がごまかしであり、データを操作しているからだ。

関連記事:Limits to Growth, Climate Change, Digitization of Everything and Worldwide Censorship — All Leading to WEF and the Behemoth Cult Commanding It

 COVID-19危機中のニール・ファーガソンによる予測演算の操作は多くの人々に知られるようになったが、強力なマルサス主義者の繋がりは過去の大半の世紀にわたって同じ手法を利用して自ら掲げる計画を売り込み、押し付けてきた。

 マルサス主義者とは、トーマス・マルサス(1766年-1834年)の信奉者たちを指す。マルサスは、人口水準は常に幾何学的な成長に向かい、一方で農業資源は算術的な成長に向かう傾向があり、比較的予測可能な「危機点」が生じるという数学的な論文を提唱した。マルサスは、イギリス帝国を代表する社会技術者たちは、これらの「危機点」を科学的に管理して「人間の群れ」を取り扱うべきだと信じていた。マルサスは、自然が支配階級に対して重要な課題を達成するための特定の手段を与えていると信じていた。それは戦争、飢饉、そして疫病だ。

 1968年に設立されたローマクラブは、すぐに西側世界に支部を設立し、その会員は、全員、社会の最良の統治形態は科学的独裁であることに同意していた。

 ローマクラブは、世界的な非政府組織(NGO)であり、国家元首、王族、ビジネスリーダー、国際金融家、学術研究者、研究所の科学者、国際連合(UN)、世界銀行、国際通貨基金(IMF)、そして経済協力開発機構(OECD)などのグローバル・ガバナンス*機関の管理者などを集めて会議を開催している。ローマクラブは、ビルダーバーグ・グループ、王立国際問題研究所(RIIA)、そして外交問題評議会(CFR)の「円卓」構造に倣っており、代表者が持続可能な開発のマルサス主義的な生態学に基づいて、世界の自然資源と人的資源を公共と私的な管理下で計画する会議を支援している。
*地域や国境を越えて解決する、政治的相互作用のこと

 1972年、ローマクラブの『成長の限界』は、マサチューセッツ工科大学(MIT)から集められた統計学者チームによって計算されたコンピュータ演算予測の結果を公表した。これは、ジェイ・フォレスターとデニス・メドウズを名目上の代表とするMITチームによって2年間にわたって行われた研究の集大成だった。『成長の限界』はおそらく「持続可能性」についての最も影響力のある書籍だ。それは現在の反人間主義運動の聖書であり、グリーン・ニューディール・計画の設計図となった。

 ローマクラブの『成長の限界』は、原則としてマルサス主義的であるだけでなく、参考文献の調査からも、人口管理に取り組んできたさまざまなマルサス主義的な優生学者や関連機関による幅広い引用により支持されていることが明らかになっている。

 2012年の記事は、『成長の限界』の40周年を祝いながら次のように述べている:「『成長の限界』を今日読み返す価値があるのは、他のどの本よりも、この本は人為的な気候変動の概念を大衆に紹介したからだ」。他の理由でも『成長の限界』を読み返す価値がある。

 その一つの理由は、『成長の限界』が、世界の気温と人口成長、資源喪失、そして「汚染」という定義の曖昧な分類といった経済変数を結びつけた最初の本であったことだ。メドウズと彼の共著者たち(その中の一人は彼の妻)は、線形方程式を使用して将来の傾向を推測し、次の二つの大きな誤謬をさらけ出した:

■ 物理的な時空の構造は、探知可能な宇宙において本質的に非線形であり、したがってどんな計算能力を持ってしても線形方程式によって表現することはできない。人間の創造的思考は、ひらめきや真理への愛、尊厳、美などの、形式化できない存在の状態に結び付いているため、二進法では近似することができない。ローマクラブのプログラマーたちは、これらの事実を無視し、彼らのソフトウェアと同様に宇宙が二進法であると仮定した。

■データセット自体は、政府政策を形成しようとするコンピュータプログラマーの操作によって容易に歪められ、再構築される可能性がある。我々は、イギリスインペリアル・カレッジのニール・ファーガソンが、将来の筋書きの誤った結果を導くためにこの手法が使用しているのを既にしっかり目撃している。そして同じ手法が生態演算にも適用されている。

 『成長の限界』を読み返すもう一つの理由は、この本が超国家組織に与えた影響を明らかにすることになるからだ。数十年にわたり、ニューエイジ*の指導者であるバーバラ・マルクス・ハバードは、新たな世界秩序を導入するために人口の四分の一を減らすことを提唱し、トランスヒューマニズム**とマルサス主義的な持続可能な開発を支持してきた。これは、グレート・リセットや第4次産業革命の要の考え方だ。ハバードのマルサス主義的な人口過剰理論は、『成長の限界』に一部触発されていた。実際、ハバードの『共創の書』には、生態的な災害につながる「成長の限界」を警告する多数の文章がある。彼女はまた、ローマクラブの共同創設者であるアウレリオ・ペッチェイと個人的に会っている。ペッチェイは世界経済フォーラムの背中を押し、1973年の第3回世界経済フォーラムで『成長の限界』のマルサス主義的な教義を採用させようとした。
*20世紀後半に現れた自己意識運動であり、宗教的・疑似宗教的な潮流(ウィキペディア)
**新しい科学技術を用い、人間の身体と認知能力を進化させ、人間の状況を前例の無い形で向上させようという思想(ウィキペディア)


 最後になるが、今回取り上げたローマクラブのメンバーであり、『成長の限界』の著者(デニス・メドウズ)は、独裁政権が世界人口の86%をゆっくりと「平和に」削減することを望んで予測演算を操作したのだ。

 『成長の限界』やそれが推進する計画を決して賞賛してはならない。なぜなら、それは我々の死を促進しているからだ。

Sources
Dennis Meadows [Club of Rome] ‘6 billion People Have To Go’, Why Not News, 21 April 2022
The Club of Rome and the Rise of the “Predictive Modelling” Mafia, Unlimited Hangout, 21 November 2022
Barbara Malthusian Hubbard: From Limits to Growth to UN Agenda 2030, Unlimited Hangout, 3 March 2023
The Revenge of the Malthusians and the Science of Limits, Unlimited Hangout, 28 June 2022

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中国、中央アジアで主導的役割を果たす

<記事原文 寺島先生推薦>
China takes leadership role in Central Asia
筆者:M.K.バドラクマール (Bhadrakumar)
出典:INDIAN PUNCHLINE 2023年5月31日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年7月17日





第1回中国・中央アジアサミットは、2023年5月18日-19日。中国の西安市で開催され、習近平国家主席がホスト役。


 冷戦後の戦略的な論議の中での喜びの一つは、地政学が再び活発になったことだ。以前、旧ソビエト連邦と共産主義中国は、相手を否定する雰囲気だった。地政学が彼らのマルクス・レーニン主義の視点に合わなかったのだ。しかし、議論の余地は少しあるものの、マルクスは実際にはかなり前から柔軟な姿勢を取っていたのかもしれない。

 5月18日から19日にかけて西安で開催された中国・中央アジアサミットは、あらゆる点において地政学的な催しだった。それは、重なる形で行われた広島G7サミットも同様だった。その象徴性は深いものだった。中国とロシアは両サミットで「部屋の中の象(訳注:いるのは分かっているのに無視される存在)」だったが、西安サミットは包括的な催しとして特徴づけられた。一方、G7の催しは遺憾ながら、冷戦時代の敵意を抱えた西側の富裕国の排他的な集まりであり、その「特別招待国」を選択も、その意図を隠さず、旧植民地主義の昔ながらの「分割統治」的考えから行われた。1つのASEAN諸国、2つのBRICS諸国、1つの小さなアフリカ諸国、太平洋の島国などが選ばれた。

 最大の違いは、西安サミットが具体的で、数値化可能な積極的な計画に焦点を当てていたのに対し、広島サミットは主に指示的であり、一部は宣言的であり、具体的なものはわずかだった。これは、中国・中央アジアサミットが母国の土地で行われたのに対し、G7は(どの参加国も)アジアには居住地も名前もなく、メンバーの一つだけがアジア出身(日本)だったし、サミット自体が西側の計画をアジアの舞台に挿入するためのうわべだけの試みであったからだ。実際、特別招待国を選ぶ基準自体は、選ばれたわずかな国が「アジアの世紀」において西側の利益のための第五列として機能する可能性があるかどうか、だった。

 中国・中央アジアサミットは、ユーラシア地域の国々が、G7を主導するアメリカは中央アジアにおけるロシアと中国の共通の隣人地域を不安定化させようとしていると認識していることから、積極的な役割を果たさなければならないという認識が高まったことによって推進された。言い換えれば、西安サミットはロシアと中国が共通の目的のために「幌馬車を円形に配置する」(団結して身を守る)という意思を暗に示していた。これは、19世紀にアメリカ人が防御的な行動を表現するために使用した成句を借用したものだ。

 歴史的な観点から見ると、ロシアと中国が中央アジア地域を安定させるために明示的に手を結ぶのは初めてのことであり、それ自体が重大な出来事だ。ロシアがウクライナで手一杯になっていることを考慮し、北京が主導的な役割を果たしている。このパラダイム・シフト*は、ロシアと中国の利益が中央アジア地域で衝突しているという西側のプロパガンダとは矛盾する。モスクワと北京の間には次のような戦略的収束がある:両首都にとって重要な中央アジア地域の安定は、安全保障の確保、経済開発の促進、あるいは国際的政治的後ろ盾を通じて最もよく達成される。
*クーン(Thomas Kuhn)が提唱した概念で、ある科学分野の中で、支配的な理論の基礎となる前提(パラダイム)が劇的に変化すること。その後、科学界にとどまらず、さまざまな分野で使われるようになった。(英辞郎)

 モスクワのクレムリン出資のヴァルダイクラブの有名なロシアのシンクタンクであるティモフェイ・ボルダチョフは、西安サミットに先立ち、Global Times(環球時報*)に次のように書いている:「中国とロシアは、ユーラシアのこの地域に位置するほとんどの国と直接隣接しているため、中央アジアの安定に同様の関心を持っている。それは単純な事実だ。隣人の家を火に付けて別の隣人に害を与えることはしないだろう。しかし、もしある強国がロシアと中国の共通の中央アジアの隣人地域から数千マイル離れていた場合、その強国が中央アジア地域の不安定化を図ろうとするのはあるかもしれない。
*中国共産党中央委員会の官営機関紙『人民日報』の姉妹紙。Global Timesはその国際版(英字紙)。(ウィキペディア)

 「中国とロシアの共通の課題は、今日の動乱の時代において、中央アジアの友人や隣人を安定させ、相対的に繁栄させることだ。・・・中国やロシア、またはその地域の国々の友人ではない人が、中国とロシアの中央アジアにおける利益が互いに衝突する可能性があると言うならば、それは誤りだ」。
 
 同様に、中央アジア5カ国間で「5+1」の形式で協力することについては合意があり、重要な決定と取り組みはすべての中央アジア諸国と同時に調整されることになる。中央アジアの友好国は、自身の地域の総合的な経済発展が中国との協力強化によって向上する可能性を認識している。ロシアは、中央アジア諸国がこのような方向に進むことを奨励し、積極的な役割を果たすために重要な役割を担ってきた。これ自体が注目に値する変化だ。これまで「スタンズ(スタン諸国)」*は常に協力できたわけではなく、代わりに、国ごとに、最も重要な国際プレーヤーと関わることを選んできた。
*カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン

 西安サミットの参加者は、中国の習近平国家主席が主催者として「中国と中央アジア地域との関係における新たな時代」と呼んだこの催しで、中央アジアと中国の元ソ連諸国の首脳間の連絡機能の創設に同意した。会議は中央アジア―中国の形で2年ごとに交互に開催される。次回の6カ国首脳会議の予定は、2025年、カザフスタン。西安宣言は、サミット後に発表されたもので、次を含む15の重点目標に分かれている:安全保障、物流、貿易・経済協力、人道協力、そして環境。

 浮かび上がってきているのは、北京の関心は、アフガニスタンを拠点とするイスラム国(米国からの裏支援を依然として受けている)などの過激派勢力の活動を背景にした安全保障への配慮が最初にあるということ。中国の主張は、安全保障は経済の発展を通じて最も強化されるのであり、そのため、経済協力と地域の発展の観点からこの地域が重要であるとされる。ただし、総合的な観点では、中央アジアの経済資源は中国の需要を満たすには十分ではない。

 言うまでもなく、中央アジア地域からのテロリストの脅威は、新疆に対する中国の主要な懸念であり、北京はこの地域の安全保障に積極的に資源を投入し、中央アジア諸国の対テロ部隊の訓練に参加する意欲がある。地理的には、中央アジアの5カ国のうち、カザフスタン、キルギス、タジキスタンの3カ国が中国と国境を接している。ロシアにとっても、この地域は伝統的な影響力の範囲であり、戦略的な緩衝地帯と見なされており、そのため南部国境の安全保障を優先している。したがって、安全で安定した中央アジアは、中国とロシア双方の国益と一致している。

 ウクライナ危機の文脈において、中央アジアはロシアを封じ込めて弱体化させるというアメリカの戦略の最前線として浮上している。しかし、中央アジア諸国はウクライナ情勢に中立の立場を取っているが、ロシアの地域への影響力は強く、大幅に混乱することはないだろう。ここで重要な要素は3つある。まず、ロシアは安全保障の提供者と見なされており、ロシアの防衛能力は地域の安定を維持する上で重要な役割を果たしている。第二に、中央アジア諸国は労働力の移動、市場への経路、交通、エネルギー資源においてロシアに大きく依存しており、他の外部大国がその費用を負担することはない。第三に、ロシア主導のユーラシア経済連合は地域経済統合を組織的に構築し続けている点を過小評価してはならない。

 西安宣言では、宗教的過激主義に対抗し、外部勢力が地域に自らの規則を押し付ける試みに抵抗することに言及している。習近平主席は、サミットで述べたところによれば、北京は地域の法執行機関や武装部隊の能力強化を支援する準備があり、地域の安全保障とテロ対策を確保するための独自の取り組みを支持し、サイバー面の安全性の強化に取り組むと約束した。さらに、中国では中央アジアの共和国の治安部隊の訓練を行うための地域対テロセンターの創設に取り組んでいると述べた。

(二部に続く)
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ウクライナは700億ユーロ(10兆8500億円)の使途を説明せよ - EU加盟国

<記事原文 寺島先生推薦>
Ukraine must explain how €70 billion was spent – EU state
Hungary will not allow the bloc’s money to keep pouring into Ukraine unaccounted for, Prime Minister Viktor Orban has said
ハンガリーは、EU加盟国の資金が使途不明のままウクライナに流入し続けることを許さないと、ヴィクトール・オルバン首相が述べた。
出典:RT 2023年6月30日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>    2023年7月17日



記者会見するウラジーミル・ゼレンスキー大統領(2023年6月28日、ウクライナ・キエフにて) © AP / Efrem Lukatsky


 ハンガリーは、キエフがすでにEUから受け取った700億ユーロ(10兆8500億円)の使途を説明するまで、欧州委員会がウクライナに500億ユーロ(7兆7500億円)の資金援助を行う計画に反対すると、ビクトル・オルバン首相は金曜日(6月30日)に述べた。ブダペストとブリュッセルは、ウクライナへの現金と武器の供給をめぐって繰り返し衝突してきた。

 ブリュッセルが発表した最新の数字によると、昨年2月にロシアが軍事作戦を開始して以来、EUはキエフに720億ユーロ(11兆1600億円)の経済・軍事・人道援助を与えている。この前例のない資金流出にもかかわらず、欧州委員会は今月初め、キエフにさらに500億ユーロ(7兆7500億円)の融資と助成金を提供すると発表した。

 ロイターの報道によれば、オルバンはハンガリーのラジオに対し、「ひとつはっきりしていることは、われわれハンガリー人は......これまでの約700億ユーロ(10兆8500億円)相当の資金がどこに流出したのかを明らかにするまでは、ウクライナにこれ以上の資金を提供しないということだ」と語った。

 さらに続けて、「そして、我々は、債務返済にかかる費用を賄うために、さらに資金を拠出しなければならないというのは、我々が得る権利がある資金をまだ受け取っていないのに、まったく馬鹿げていて不合理なことだと思う」と述べた。そして、欧州連合(EU)の対外債務の利子負担がインフレの影響で今年は2倍になるという欧州委員会が最近発表についても言及した。




<関連記事> ゼレンスキーの盟友が、ハンガリーのオルバン首相を攻撃 - メディア

 欧州委員会は現在、ハンガリーとポーランドに対し、司法改革、学問、LGBTQ問題、移民問題などに関する両政府との意見の相違を理由に、数十億ドル規模の統合基金の利用を拒否している。欧州委員会のウルスラ・フォン・デア・ライエン委員長は昨年、資金の差し止めは、ブリュッセルが加盟国に 「我々との協力」を強いるために使えるいくつかの 「手段」 のひとつであることを認めた。

 ハンガリーは昨年、ブダペストに対して保留扱いにしていた別枠の資金をブリュッセルが解放するまで、ウクライナへの180億ユーロ(2兆7900億円)の資金援助を阻んだ。最近では、ハンガリーのピーター・シジャルト外相が月曜日(6月26日)に、EUのウクライナ向け共通武器基金からの5億ユーロ(775億円)相当の一連の武器支援に対する拒否権をもう1ヶ月延長すると述べた。

 オルバンとシジャルトはともに、ウクライナでの即時停戦と和平交渉を繰り返し要求している。今週初め、オルバンは、戦場でのウクライナの勝利は「不可能」であり、即時停戦と欧米からの武器供与の停止がなければ、ウクライナは「莫大な富と多くの人命を失い、想像を絶する破壊が起こる」と説明した。
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ラブロフは、バイデン大統領とゼレンスキー大統領の核に関する発言を「乱れた意識の流れ」と非難

<記事翻訳 寺島先生推薦>
Lavrov slams Biden's, Zelensky's nuclear remarks 'turbulent stream of consciousness’
Statements by US President and his Ukrainian counterpart on nuclear threat emanating from Russia not worth comment, Russian Foreign Minister Sergey Lavrov said
ロシアの外務大臣セルゲイ・ラブロフは、核の脅威はロシアから発せられているという米国大統領とウクライナ大統領の発言にはコメントする価値もない、と述べた。
出典:TASS    2023年6月25日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年7月15日
 

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セルゲイ・ラブロフ外相 ロシア外務省報道部/タス通信


 モスクワ、6月25日/TASS通信――ロシアの外務大臣セルゲイ・ラブロフは、米国のジョー・バイデン大統領とウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領による、ロシア発とされる核の脅威に関する発言を、「乱れた意識の流れ」と評し、コメントする価値はないと述べた。

 「最近の米国大統領の発言についてコメントするのは難しいです。彼の発言全体をどのように解釈すべきか悩んでいる、この問題に関心を持って見ているみなさんと同じです。現時点では事実に基づかない言葉遊びにあまり重きを置かない方がよいと思います」と、トップのロシア外交官(ラブロフ)は、「Moscow.Kremlin.Putin」というテレビ番組でのインタビューで述べた。この情報はジャーナリストのパヴェル・ザルービンのテレグラム・チャンネルに日曜日(6月25日)掲載されたある専門家の意見に依ったもの。

 ラブロフは、ゼレンスキー大統領の発言の方が「さらにひどい乱れた意識の流れ」と評した。「私は医学的な背景を持っていません。(欧州委員会の委員長)ウルズラ・フォン・デア・ライエンは医学の学位を持っています。私は、繰り返し、毎日毎日、自らの不適切さを証明する人々の心理状態に責任を持つことはできません」とラブロフは付言した。

 バイデン大統領は、もっと早い時期に、カリフォルニアでのスピーチで、ロシアの指導者であるウラジミール・プーチンが戦術核兵器を使用するという脅威は現実的だと思う、と述べている。
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ウクライナは領土をロシアから取り戻すのに117年かかるだろう―シーモア・ハーシュ

<記事原文 寺島先生推薦>
Ukraine will need 117 years to take territories from Russia – Seymour Hersh
The $150 billion spent by the US in Ukraine is a “very bad investment,” the Pulitzer Prize-winning reporter claimed
アメリカがウクライナに費やした1500億ドル(21兆6000億円)は、ピューリツァー賞を受賞した記者(ハーシュ)によれば、「投資としては大失敗」。
出典:RT   2023年6月29日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>   2023年7月15日



ウクライナの陣地に向かってギャツィント-S自走榴弾砲を発射しているロシア軍兵士©スプートニク


 「キエフがロシアの防衛ラインを突破できないことは、ワシントンにとっての「目覚まし」とすべきである、とベテラン・ジャーナリストのシーモア・ハーシュが木曜日(6月29日)に警告した。

 匿名の情報源から得られた戦場統計を引用し、ハーシュは、ウクライナ軍が戦闘の過去10日間でロシアが支配する土地をわずか2平方マイルしか奪取できていないと主張した。さらに、その前の2週間では、ウクライナ軍はわずか44平方マイルの領土を占領したが、その多くはロシアの複数の防御ラインの最初のラインの前にある空き地だった、と続けた。

 ロシアがウクライナの一部であった4万平方マイルの土地に関しては、ある「情報通の高官」は、その領土を再びキエフの支配下に置くためには、「ゼレンスキー大統領の軍は117年かかるだろう」とハーシュに述べた。




関連記事:ウクライナは一度の攻撃で「壊滅的な」損失を被ったーフォーブズ誌


 アメリカ大統領ジョー・バイデンにとって、「これまでのところ、政権がウクライナに提供した推定1,500億ドル以上の投資は大失敗だったことが判明した」と認める時が来た、とベテラン・ジャーナリスト(ハーシュ)は結論づけ、さらにキエフに数十億ドルを渡すつもりの米国議員にとって「ウクライナで迫りくる惨事は・・・起こらない奇跡を待ちたいという気持ちの目覚ましとすべきである」と付言した。

 ウクライナは6月初旬に長らく待ち望まれていた反転攻勢を開始し、ドネツクからヘルソンにかけての前線において、ドイツ製のレオパルト2戦車やアメリカ供給のブラッドリー歩兵戦闘車などの西側製の装備を使用してロシアの陣地を攻撃した。

 ウクライナの反転攻勢の犠牲は甚大で、ロシアの安全保障会議によると、先週時点でのウクライナ兵の戦死者数は13,000人と推定されている。モスクワによれば、地雷原を突破し、航空支援もない状況で攻撃を行ない、ウクライナ軍は昨年以来ロシアが築いた多層の塹壕、障害物、装甲陣地のネットワークを突破することができなかった。

関連記事:ウクライナは、西側からの期待に憤慨ーエコノミスト紙

 アメリカウクライナ、そしてNATOの高官たちは、反転攻勢が予想よりも遅れて進行していることを認めている。西側の支援は、ロシア軍を確実に押し戻せるかどうかにかかっていることから、キエフの高官たちは、十分な武器を提供しない西側を非難したり、これまでの攻勢は今後の大規模作戦の「リハーサル」と約束したりして、右往左往状態だ。
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ウクライナの将軍たちがロシアの攻撃で死亡―ロシア国防省

<記事原文 寺島先生推薦>
Ukrainian generals killed in Russian strike – MOD
Moscow had earlier reported hitting a temporary brigade base in the Donbass city of Kramatorsk
モスクワは、これに先んじて、ドンバスの都市クラマトルスクにある臨時旅団基地を攻撃したと報告していた。
出典:RT   2023年6月29日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年7月15日



資料写真. © Sputnik


 ウクライナの将軍2人が、火曜日(6月27日)、ロシアの高精度攻撃によりドンバスの都市クラマトルスクで死亡した、とモスクワの国防省は木曜日(6月29日)、「最新データ」を引用して語った。

 国防省の、攻撃に先立つ以前の主張は、この攻撃はウクライナ武装軍の第56自動車化歩兵旅団の臨時基地を標的にした、となっている。その後、同省は基地が数十人のウクライナ将校と外国の顧問を含む「幕僚会議」を開催していたことを付言した。

 この攻撃により「2人の将軍、ウクライナ武装軍の最大50人の将校、さらに最大20人の外国傭兵および軍事顧問が死亡した」とロシア国防省の日報で報告されている。

 このニュースは、ロシア軍がザポリージャ州およびドンバスでの防御的な陣地攻撃を撃退し続けている最中に発表された。ロシア国防省によれば、過去24時間で、ウクライナは各戦線での攻撃で約800人の軍人を失った、ということだ。さらに、ロシア軍は榴弾砲、装甲車両、戦車を含むウクライナの重機材数十台を破壊したと付言した。




関連記事:ロシアがピザ店を攻撃したと主張するキエフに対するモスクワの反応


 今週早々、キエフはモスクワを非難し、クラマトルスクのレストランに対して民間人が満席だった攻撃を行い、少なくとも2人の子供を含む11人が死亡し、60人以上が負傷したと述べた。

 ウクライナの治安機関であるSBUは、この攻撃の前にロシアに情報を漏らした疑いのある地元住民を拘束したと述べた。また、SBUは攻撃の目的が民間人を殺すことであったとも主張している。

 ロシアはこの非難を否定、軍事目標のみを攻撃していると主張した。

 これらの展開は、いくつかの西側メディアが報じたとおり、ウクライナが鳴り物入りの反転攻勢で大きな損失を被ったことと連動している。一部の同盟国は、これまでのところ(反転攻勢は)失敗と評価している、と言われている。木曜日(6月29日)、Forbes誌はウクライナの損失を「壊滅的」と表現し、キエフが地雷原を越えようとしたところで、25以上の戦車や歩兵戦闘車両を失ったと主張した。

 同日のフィナンシャル・タイムズ紙の記事によれば、キエフの西側支援者たちは、追加の資金援助や支援は現在の攻勢の結果次第、と警告。NATOのヨーロッパ最高司令官であるクリストファー・カヴォリ将軍は先週、ロシアがまだ「大量の優位性」を享受していると述べたと報じられている。
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