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アメリカ若年層の資本主義離れでトランプが当選

Young Americans have soured on capitalism, and that’s what got Trump elected ---- Slavoj Zizek
RT 2018年8月15日

(翻訳:大手山茂、編集:新見明 2018年8月28日)

<記事原文>https://www.rt.com/usa/435970-democrats-socialism-gallup-poll/

映像
Anti-capitalist protesters in Washington DC © David S. Holloway / AFP

若い有権者の資本主義への支持が急激に下落したと、ギャロップ世論調査が新たな結果を出した。 この推移に目を向けようとしないアメリカ支配層のあり方が結果的にトランプ大統領の誕生につながった、とスロベニアの哲学者であるスラヴォイ・ジジェク氏はRTに語っている。

このギャロップ世論調査によれば民主党員の57%は社会主義を肯定的に見ている。 資本主義を肯定的に見ている党員は47%に過ぎない。 2010年には56%が資本主義肯定派だったのに。

政治的な路線を巡って、アメリカの若年層(18歳から29歳)は全体が資本主義派、社会主義派に二分される。 51%が社会主義を肯定的に捉え、45%が資本主義を肯定的に捉えている。 資本主義肯定派はたった2年間で12%の下落だ。

(さらに読む)
Facebook vanishes Venezuela-based left-leaning news network again_


スラヴォイ・ジジェク氏はこの推移をアメリカンドリームがまったく現実離れしていると気づいた層がいるからだと見ている。

「この失望の根っこは簡単に特定できます」と彼はRTに語った。「労働者階級も中流階級も裏切られたと感じているのです。 一般的に言えば、今のアメリカの制度は人々が望むようには機能していないと広く気づくようになっています。」

奇妙なことに満足度下落はアメリカ経済が活況を呈している時期に出てくるのだ。 現在は失業率が3%を少し上回る程度で過去50年で最低だ。 賃金も上がっている。 もしトランプ大統領の言うことを信じるならば、あらゆる企業が鳴り物入りで生産工程を海外からアメリカ国内に呼び戻しているところだ。

2010年、今より多くの民主党員が資本主義に信頼を置いていたころ、客観的な事情は今より悪かった。 失業率は目も当てられない9%だった。 賃金は先の大不況以来、低迷状態で、回復の光明はまだはるか彼方だった。 

「このメッセージはたいへんな期待を抱かせます」とジジェク氏はギャロップ世論調査について語った。 アメリカ国民の相当数が「アメリカンドリームに親近感を感じていない」ことをこのデータは示していると彼は言った。そして彼は、我々の学術用語で言うイデオロギー的ヘゲモニーの、終わりの始まりとして、この資本主義支持の凋落を描写した。

David Sirota ✔ @davidsirota
ディビッド・シロタ
TVキャスター:問題は、非情に多くの民主党員々が、大部分のアメリカ人にとって資本主義に問題があると考えていることだ。 (ちょっと資料を見る)
住宅は高すぎ、学生ローンはうなぎ登りに高額になり、メディケアを受けているのにGoFundMe(ネットの募金)を必要とするのだ。
https://www.commondreams.org/news/2018/08/13/change-gonna-come-poll-shows-democratic-voters-socialism-more-capitalism …5:31 AM - Aug 14, 2018
「この10年以上にわたるギャロップ調査で初めて、民主党員は、資本主義より社会主義を肯定的なイメージをもっていることを示した。」 (Image: depositphotos/stevanovicigo)'

「変化の時がやってきた」。世論調査は民主党員が資本主義より社会主義を求めていることを示している。
「この体制は、よりよきものを望み、それに値する人々を没落させた。commondreams.org


より多くのアメリカ人が取り残された気持ちを抱く中で、2016年この欲求不満をうまく取り込んだ唯一の候補者がドナルド・トランプだったのだ。 しかし、ジジェク氏の見方ではトランプがアメリカが抱えている数々の問題の解決となるわけではない。 景気がうまく回っている時でも景気回復が全員平等に行き渡ったわけではないのだ。 4千万人のアメリカ人が未だに貧困状態だ。 このうち5百万人が「第三世界のレベル」で生活している。 6月に公表された国連報告のデータだ。 

「アメリカを救うことができる唯一の存在が、より力を持った、よりラジカルな左翼です」とジジェク氏は主張する。

左翼はどこに?

ジジェク氏が語っているラジカルな左翼は存在する。 しかし民主党のより中道的な支配層がそれを有無を言わさず排除しているのだ。 彼の議論に依れば、この支配層は「自分達が動かしている民主党がどうなのかを見るべきだ。つまりバーニー・サンダースや彼の運動が呈示している明白で、より左翼的な、反資本主義のシグナルを完璧に無視してきたことにしっかり目を向けるべき」ということになる。

サンダースは人気のある人物だった。 とくに若い有権者に人気があった。 彼ではなくヒラリー・クリントンを担ぎ上げたことで、中道派支配層は「アメリカ国民の期待を裏切った。」

しかし、2016年の大統領選でクリントン陣営が惨めな結果に終わってから、サンダースが支持する「進歩的」運動はその動きがじわじわとゆっくり中心的な流れに浸透してきている。 このことが一番はっきりわかるのは6月のブロンクスにおいてだった。 この時自称「民主的社会主義者」アレクサンドリア・オカシオ=コルテスが10期目の現職下院議員、より中道派で格式高いジョー・クローリィを追い出し驚天動地の予備選勝利を勝ち取ったのだ。

(さらに読む)
Ocasio-Cortez v Ben Shapiro:Dem candidate refuses ‘catcalling debate offer_


オカシオ・コルテスは選挙公約は①すべての人にメディケアを、②大学学費無償化、③時給15ドルの最低賃金、④移民税関捜査局の廃止、だった。 このうちいくつかは民主党クリントン陣営が忌み嫌うものだったろう。

オカシオ・コルテスが勝利したことでトランプ時代における民主党員のロードマップがはっきり示されたようだ。 民衆のよりラジカルな左翼的要求をくみ取り、選挙に勝利するのか、ロシアへの非難を続け、負け続けるのか、である。 しかし民主党支配層はこのことに耳を傾けず、下院少数党院内総務のナンシー・ペローシ(カリフォルニア)がオカシオ・コルテスの勝利を過小評価、有権者にそれは「一つの地域」でたまたま起こったことで、進歩的な考えに「足元を掬われないよう」にと警鐘を鳴らす始末だった。

院内総務補佐のジェイムズ・クライバーン(南カリフォルニア)が民主党支配層に染みついた気質を代弁し、「オカシオ・コルテス氏は民主党指導層の一員になるには順番を待つ必要がある」とあるインタービューで語った。

「私がこの地位に就くためにどれほどの時間を待たなければならなかったか、彼女には一度考えて欲しいのですよ」と、この78歳の下院議員は語った。

予備選勝利の後、オカシオ=コルテスはアメリカ国内を飛行機で飛び回り、同じ進歩主義的な志向を持つ候補者への支持を予備選挙前に大々的に訴えた。 しかし、彼女の遊説は及ばず、このなりたての社会主義者に推された6人の候補者のうち4人が落選した。

この躓きをアメリカ人に内在する「社会主義への恐怖」のせいだとする批評家もいた。 ジジェク氏はそれには強力な異議を唱えた。

「その恐怖感をまき散らしている人でもそんな話は真面目に受け取らないと思いますよ」と彼は語った。 アメリカが今にもベネゼラのような国になるなんてそもそもありそうもないことなのですから、とも。 今回の社会主義人気に対する「それは純粋な恐怖扇動であり、パニック化した反動です」とジジェク氏は語った。

今回のギャロップ世論調査に現れた傾向がもし正しいなら、社会主義的メッセージを取り入れることが民主党が生き残れる唯一の方法とやがてなり得るだろう。
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「バーニー・サンダース現象」はアメリカ社会主義運動の新たな突破口だったのか?

Did Bernie Sanders break down doors for new US socialist movement?
RT 2018年7月20日

(翻訳・大手山茂 2018年8月22日)
<記事原文>https://www.rt.com/op-ed/433821-socialism-us-sanders-ocasio-cortez/

デイブ・リンドルフはアメリカの受賞ジャーナリストであり、元ビジネス・ウィークのアジア特派員です。また共同所有のニュース・サイトThisCantBeHappening.netの創設者でもあります。


Erik Mcgregor / Global Look Press
アメリカにおける社会主義は、20世紀初期に頂点を極めたが、それ以降の些細な選挙に勝利するのにも四苦八苦してきた。しかし今や、選挙に立候補する人間は自分は社会主義者だとおおっぴらに名乗り、当選している。

(フィラデルフィア発)
先月大きな地震がニューヨーク政界の岩盤を揺るがした。その振動波は全米で感知された。28歳ブルックリン生まれプエルトリコ人の社会主義者アレクサンドリア・オカシオ・コルテス氏が下院議員を10期勤めた民主党の重鎮ジョー・クローリー氏対し、申し分のない勝利を収めたのだ。クローリー氏は長年の議会指導者であるナンシー・ペロシ氏の後継者になるというのが大方の見方だった。

一国の重要な国政選挙において社会主義者が勝利を収めた。しかもその国アメリカは億万長者の資本家であるドナルド・トランプ氏を大統領に選出したばかりなのだ。 これをどう考えたらいいのだろうか。 

アメリカ政界である種の地殻変動が進行中だということははっきりしている。何故ならオカシオ・コルテス氏は社会主義者として選挙に勝利しただけではなく、 民主党の支配層を斥けたのだ。ペンシルバニア州議会4人の現職議員が今年の予備選で造反候補者に敗北している。ペンシルバニア州と言えば2016年の大統領選挙では僅差でトランプ氏支持となった州である。またこの造反候補者はオカシオ=コルテス氏と同じくアメリカ民主社会主義グループのメンバーだ。このグループの会員数は2016年以前は6千人だったが、今年は4万人強に急増している。 
(さらに読む)
Avision of the future? 28-year-old socialist stirs up New York politics

これだけではまだ話は十分でないかのようだ。ブルックリン地区における最初の勝利の驚天動地の余震の中で、隣接するブロンクス地区においてもオカシオ=コルテス氏が「改革党」路線で予備選の勝利を収めていたことがわかったのだ。「改革党」はマイナーな政党で候補者を立てられずブロンクス地区ではオカシオ=コルテス氏に投票するよう強い要請を出していた。それが大量得票につながった。

社会主義はひとつの政治勢力としてアメリカにおいて多難な道を歩んできた。 アメリカは独立独歩の起業家や因習に囚われない一匹狼を神秘化するところがある。 二つの世界大戦に挟まれた一時期、短期間ではあったが、社会主義がアメリカ労働者の間に広まり、アメリカ社会主義党の指導者であったユージン・デブスが1912年の大統領選で100万にも届くという票数を得た。この100万というのは全有権者の約6%にもあたる数字だ。1920年代と1950年代、反共運動を展開する2つの野蛮な政権が続いた。しかしユージン・デブスは逮捕され、1950年代には共産主義者であるという容疑で多くの俳優、教師、ジャーナリストがブラックリストに載せられ、最後は何十年にも亘って政府、メディアが社会主義は共産主義、ボルシェビズムそして毛沢東主義と同じというプロパガンダを展開した。 それ以降社会主義はアメリカ人の間で信奉者も少なく、大衆に受容されることもほとんどなかった。

それもこれまでは、ということだが。

変化の兆しは2015年後半から2016年春に見えて始めた。 この年、共和党、民主党いずれにも属さず、長年「民主的社会主義者」と自称していたバーニー・サンダース上院議員が民衆に基盤を置いた草の根運動で民主党大統領候補の指名をヒラリー・クリントン候補にあと一歩というところまで迫り、衆目を驚かせた。 (民主党指導層が舞台裏でえこひいき的な動きや妨害工作があったからサンダース氏が指名争いに負けたと信じる人は少なくない)

さて、サンダースの選挙運動で国民健康管理や大学無償化などの社会主義的考え方-これまで民主党候補者の選挙公約に載ったことは一度もない-が突然政治論議で許容されるトピックになったことも一因となって、彼の選挙運動に参加した何百万という若い熱狂的な支持者が社会主義を自分達が直面する経済的な問題へのあり得る答えだとの考えをおおっぴらに口外している。 
(さらに読む)
Clinton’s new book removes all doubt. She still has no idea why she lost


そしてそういった若い層が、年配層も含めて、いろいろな答を模索するにつれ、その動きを無視しない姿勢を示す候補者の数がだんだん増えてきている。 オカシオ・コルテス氏やペンシルバニア州の予備選を勝ち抜いた4人の社会主義者のように、彼らは社会主義的な計画を提案したり、提案することが勝利の戦略になり得るということを鮮明にさせている。

こういった社会主義的な政策やアイデアに突然人気が出てきたことが一過性の現象ではないことを示す証拠は、それがより若い世代にもっとも顕著に現れているところだ。 以前であれば政治にはあまり関心を示さない世代だった。 例えば4月に公表されたハーバード大学の研究に依れば、18歳から29歳までの世代の51%が資本主義を嫌っている。 政治体制として社会主義を選ぶというのが多数派だ。 1年前、保守系雑誌の「ナショナル・レビュー」の警告を込めた記事によればサンダース氏の選挙運動の後の世論調査で40%のアメリカ人が資本主義よりは社会主義がいいと口にしているとのことだ。 この世論調査は保守系組織である「アメリカの文化と信条協会」が行ったものだ。

この若い世代に、社会保障制度上の退職手当で生活する退職者世代が加わる。 この世代の数は膨大であり、年々増え続けている。 (退職手当については共和党も民主党保守派も減額が必要だと警告し続けている) さらに彼らはメディケアと呼ばれる不十分な制度でありながら、たいへんな人気があり、65歳以上の人にしか適用されない一種の社会医療にすでに頼っている。 この世代の人たちは少なくともこの二つの社会主義者的施策の価値がすでにわかっている。 他方、60年代70年代()に成人したベビー・ブーマー達の多くは、この時期に資本家的消費主義への拒絶やコミューン的生活の試みがあったので、「社会主義者」としての自分のルーツに立ち戻り、コミューンの再興を生活費削減と高齢になっても施設に入らなくてすむ手段として本気で考えている。 
(さらに読む)
Three out of four Democrats want ‘fresh face’ to take on Trump in 2020

アメリカ人の間に社会主義者的な考えや社会主義的な候補者を受容する新しい動きがあることに着目しているのがケビン・ジーズ氏だ。 彼は長年の活動家であり、「緑の党」から時折出馬することもある。 「緑の党」は環境主義者や社会主義者がメンバーの小さな党であり、何年も地方や中央の議会に候補者を送り出している。 大統領選挙にも参加する。 ジーズ氏がRTに対して、「そう、社会主義の人気はますます高まっています。 社会主義というのはひとつの経済的なアプローチであるのに、学校では禁句であり、メディアで正当に議論されることはありません。 だから、誰かが社会主義を支持しますと言ってもまず眉につばをつけてから考えます。 いろいろな答えがあるからです」と語っている。 

さらに、「そういった微細な点は脇においておいても、私たちは現在資本主義の不公平さを経験しているところです。 人口の半分の富が文字通り三人の富と同じだというのはどこか真剣におかしいのです。 特に人口の半数が経済的に安定していない、何千万人が貧困状態、多くの人の収入が少なくきちんとした住宅を借りられない、まして住宅購入などとんでもない、という状態は変です。 資本主義はほとんどの人にとって機能していません。 みんな別の選択を求めています」とジーズ氏は言葉を続けた。

ジーズ氏は最近の国政と地方選挙におけるオカシオ・コルテス等の社会主義候補者の最近の予備選勝利を、次の二点の理由であまり深読みすべきでないと注意を促している。 一点目は予備選における投票率は一般選挙と反対に常に相当低いこと、二点目はいずれにしても地方選あるいは議会選挙において地域特有の要素や課題が少なからずあること。 彼が指摘する例は、オカシオ・コルテスの場合だ。 彼女がラテン系アメリカ人として立候補した地域は主にラテン系アメリカ人の居住区であり、そこには彼女と同じプエルトリコ人の投票者がたくさんいる。 

ただしそうした但し書きをつけながらも、オカシオ・コルテスが予備選に勝利し、11月にはおそらく議会の議席を手にすることで彼女は「人々を教育し、自分達の問題に目を向けさせるたいへん重要な役割を果たすことになります。 今でも大きな広告塔です。 彼女から学ぶ人がますます多くなり、社会主義運動は発展するでしょう」と語っている。
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「私たちはモルモットだった」:アメリカ在住広島原爆被爆者の証言

Us used HIroshima atomic bomb victims as 'guinea pigs', survivor tells RT
RT 2018年8月3日
(翻訳:大手山茂、岩間龍男 2018年8月22日)
<記事原文>https://www.rt.com/news/435030-hiroshima-victims-nuclear-guinea-pi

広島平和記念資料館で原爆のキノコ雲の写真を見学している家族連れ
          © Issei Kato / Reuters

「広島原爆投下の生存者はアメリカ側研究のモルモットでした。そして占領軍は原爆の悲惨さに光をあてようとするメディアの報道を検閲していたのです」とある広島原爆生存者はRTに語った。
セツコ・サーロウ女史は核兵器廃止運動の活動家であり、広島原爆の生存者だ。 彼女はRTのソフィー・シェバナゼ記者のインタビューに対して、「第二次世界大戦後日本を占領したアメリカ軍は核兵器の影響を研究することに関心があって、原爆投下による犠牲者に援助の手を差しのべることはしていません」と語った。

『日本はアメリカの核の傘から離脱すべきだ」・・・広島市長

「アメリカはABCC(原爆傷害調査委員会)という名称の機関を立ち上げました。 みんなとても喜びました。 これでやっと治療を受けられるし、原爆について知識のある専門家が来ると思ったのです。 日本人の医師達はどうしていいかわからない状態だったものですから」とサーロウ女史はシェバナゼ記者の番組「ソフィコ」の中で語った。
「でもABCCの目的はひとつで、それは人間の体への放射線を研究することだったのですね。 放射線で病気になった人に救いの手を差しのべることは念頭にありませんでした。 生存者達は2回モルモットにされたと感じました。 1回目は投下目標だったし、2回目は研究対象でした。」
もっとひどいのはアメリカの占領軍があらゆる手段を使って原爆投下とその恐るべき影響を報道しようとするメディアに圧力をかけたことだ、とサーロウ女史は述べた。
「占領軍はメディアや新聞が占領軍に不都合と思われる記事は一切書いてほしくなかったのですね。 もしどこかの新聞社が広島や長崎での破壊の様子、とりわけ人間への被害を報じるとすればそれは不都合と考えられ、記事の発行にストップがかけられたでしょう。 実際占領軍は検閲を行い、メディア数社は廃社に追い込まれました。 こんなのは民主主義ではありません。」
サーロウ女史によれば日記、写真そして俳句まで何万点という個人的なファイルがアメリカ当局者によって押収され、核戦争の終末がどんな結末になるのかを世界に知らせまいとした、とのことだ。
「アメリカが原爆を製造した科学的な勝利は問題なし。 それは世界中知ることができました。 問題は人間への被害です。 それを世界に知らせるわけにはいかなかったのです。 それが個人的ファイルまで押収したことの理由です。」
(映像は省略)
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オイル・ダラーの失敗?石油取引の脱ドル化で、アフリカはロシア、中国、インド、EUへの参加を考慮する。

Failures of the Petro-Dollar? Africa Speculates Joining Russia, China, India and EU in the “De-Dollarisation” of Oil Trades

トルー・パブリカ

グローバル・リサーチ 2018.6.4

<記事原文> https://www.globalresearch.ca/failures-of-the-petro-dollar-africa-speculates-joining-russia-china-india-and-eu-in-the-de-dollarisation-of-oil-trades/5643023

(翻訳:新見明 2018.8.6)



ミーゼス研究所は昨年9月に「世界が米ドルに背を向けている兆候があるのか」と問うた。その問いに以下のように答えたが、実際、ちょうど6ヶ月前にはあり得ないと思われる動きがごく最近あるのだ。

今年3月26日の我々の報告は、中国は、過去10年間たび重なる失敗の後、ついに元による石油先物取引を開始した。その承認で、「オイル元」は現実になり、中国は「オイルダラー」支配に挑戦することになったのだ。

ロシアは、欧米に課された制裁の結果すでにルーブルで石油を取引していて、2015年以来そのような取引を進めてきた。

EUが最近イランの石油をユーロで取引することに決めたのは、ワシントンがイラン核合意から離脱するという直接的な結果からである。

それからちょうど先週、インドがイラン石油をルピーで取引することを我々は報告したが、これも両国がアメリカのテヘランへの経済的圧力を回避しようとしたからである。

我々がまた報告で強調したことは、中国が世界最大の石油購入者であり、アメリカが2番で、インドが3番であることだ。アメリカは毎年約1,100億ドルの石油を購入するが、中国とインドを合わせるとほぼ2000億ドル購入する。EUはイギリスを含めさらに2,000億ドル購入する。

READ MORE:China’s Petro-yuan “Becomes Real”: India Joins International Group Dumping US Dollars in Oil Trades to Bypass US Sanctions
(さらに読む)「中国の"オイル元"は現実になる:インドはアメリカの制裁を回避するため米ドル石油取引をやめる国際グループに加わる。」https://www.globalresearch.ca/india-joins-international-group-dumping-us-dollars-in-oil-trades-to-bypass-us-sanctions/5642875

そこでニュー・チャイナ・デイリーは次のように報道している。

東部と南部アフリカ諸国の間には、ビジネスや貿易で中国の影響力が増大しているので、アフリカ地域では中国元をさらに使うべきだという全般的な合意がある。


東南部アフリカマクロ経済・金融経営研究所の代表取締役カレブ・フンダンガは、週早々の金融専門家フォーラムで、中国がこの地域の経済に積極的役割を果たしているので、準備通貨として中国元を使う必要があることを支持した。

そのフォーラムには、MEFMIに属する14カ国から中央銀行副頭取と常任財務副大臣が参加した。

「全体的結論は、我々が元をさらに使用すべきときがやってきたということだ。我々は(中国と)さらに多くのビジネスをしているのだから、我々が取引している国の通貨を使うことは自然なことなのだ。」


「ちょうど我々が(米)ドルやユーロを使ってきたように、我々は取引でさらに中国の通貨を使いたい。それが我々の利益になるからだ」とフンダンガは述べた。

彼はまた、元の使用は通貨ボラティリティ(乱高下)からその地域を守ることができると述べた。また中国はその地域や他のアフリカ諸国に借款を与えているので、元の使用が便利であることも認めた。

中国がナイジェリアと結んだ有効な通貨スワップで、中国に旅行するナイジェリア人は、地方銀行で簡単に元を手に入れることができる。それと同様の通貨スワップをつくる議論が持ち上がっているとフンダンガは述べた。

MEFMIは、その地域のほとんどの国の準備通貨が、大部分米ドルで投資されているが、その構造は世界経済の大きな変化について行けていないと言う。これは中国とインドがその地域の重要な貿易パートナーであり、グローバル経済の趨勢を形成し続けているので特にそうだ。

MEFMI諸国は、アンゴラ、ボツワナ、ブルンジ、ケニア、レソト、マラウィ、モザンビク、ナミビア、ルワンダ、スワジランド、タンザニア、ウガンダ、ザンビア、ジンバブエからなっている。

はっきりしているのは、脱ドル化はいくつかの理由でエスカレートしている。そして結局アメリカは、何十年か行われてきた米ドル貿易を要求するにはかなり弱い立場にある。だから米ドルによいる石油取引がどんなに重要かということである。

「今日の"ドル基準"の基礎をなすメカニズムは広く知られ、「オイル・ダラー」という語でよく表されている。このシステムは1970年代半ばになされたアメリカとサウジアラビアの非公式な合意に基づいている。この取り決めの結果は、石油と、それにつれて全ての他の重要な商品は米ドルで、しかも米ドルだけで取引されるということである。石油産出国は当時これらの「オイル・ダラー」を米国債券にリサイクルする。このドルの流れはアメリカにほぼ20兆ドルという巨大な債務を可能にした。だから自分の財政的安定性について心配する必要がない。少なくとも現在までは。」

ドル離れの過程は、ヨーロッパで準備され、中国やロシアによって引き金を引かれたが、もはや止めることはできない。




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サウジアラビアがイエメンで遂行する汚れた戦争と西欧の共謀

'As crimes pile up, they become invisible': Western complicity in Saudi Arabia's dirty war in Yemen

RT 2018年6月16日

<記事原文>https://www.rt.com/op-ed/429962-saudi-arabia-yemen-west/
(翻訳:大手山茂、新見明 2018年8月4日)


ジョン・ワイトは様々な新聞やウェブサイトに寄稿している。インディペンダント、モーニング・スター、ハフィントン・ポスト、カウンターパンチ、ロンドン・プログレスィブ・ジャーナル、フォーリン・ポリシー・ジャーナルなど。


サウジ主導のイエメン空爆で破壊された家を見つめるイエメン女性たち。2018年6月6日イエメン© Hani Al-Ansi / Global Look Press •

西側諸国が共犯となってイエメンに山のような苦難の数々をもたらしている。その姿はサウジアラビアの残虐の実行代理人であることを満天下に曝している。

3年間の過酷な紛争の連続で人口2,740万人のうち2,220万人が人道的支援を必要としている。1,700万人が食料不安、1,480万人が基礎的な医療が受けられていない、450万人の子どもたちが栄養失調で苦しんでいる。また290万人の人が国内での居場所をなくしている。死者は約1万人、負傷者は約5万人に上っている。

紛争の結果、イエメンは同時に「確認されたケースとしては現代における最大のコレラ感染」に直面している。このコレラ感染はサウジアラビアがイエメン西部にあるコレラ治療センターを爆撃したことによる他考えられない。フランスのNGO「国境なき医師団」がこの施設での作業を引き上げたからだ。

だが、この途方もないスケールの人的災害にもかかわらず、サウジアラビアに率いられたスンニ派連合の戦争はただ継続しているだけではない。攻撃が強化され、空、陸、海からの大規模な攻勢がとどまることなくフーシ派が支配する紅海の港湾都市ホデイダを襲っている。このホデイダ市は食料、医薬品、そして他の欠くことのできない人道的支援を周囲から遮断されたイエメンに搬入する残された最後の拠点のひとつなのだ。
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サウジ主導の連合軍が、イエメンで国境なき医師団の新たに建設された施設を爆撃する。

アムネスティ・インターナショナルによれば、
    「ホデイダ港は基礎的な必要品の80%を輸入に頼っている国にとっては命綱だ。この命綱的な供給を断ち切ることはすでに世界最悪の人道的危機状態になっているイエメンをさらに劣悪な状況に追い込むことになるだろう」 かくして「ホデイダ港への攻撃は何十万という市民へ壊滅的打撃を持つ可能性がある。それはホデイダ市にとどまらず、イエメン全土に及ぶものだ。」

アラビア半島の南端に位置するイエメンは中東の最貧国で、1人当たりGDPは紛争前でもたった1,400ドルしかなかった。

アブド・ラッボ・マンスール・ハーディー大統領がイエメンの国際的に承認された政府の元首となっている。 しかしながら、合法的な指導者にはよくあることだが、ハーディーは現在亡命生活を送っている。
ハーディ大統領は、前任者アリー・アブドッラー・サーレハの後を受け、2011年の大統領選で単独候補して大統領に選出された。サーレハは「アラブの春」のとどまることを知らない抗議運動の高まりの前に自ら権力を放棄したのだった。サーレハは1978年から北イエメンの指導者だったが、その後1990年に南北イエメンが統一されるとイエメン共和国大統領職に就いた。

前大統領サーレハの統治は汚職や国有資産の不正運用疑惑にまみれていた。彼自身は少数派のフーシ派と連携したが、このフーシ派こそ前述した「アラブの春」の抗議運動の中で彼を追放する役割を演じた。その後2015年にハーディ政権へのフーシ派の反乱が始まった。

フーシ派反乱の理由は、ハーディが大統領職に就くにあたって少数のシーア派が自治権を拡大することを容認しなかったからだった。サーレハがフーシ派に殺されたのは2017年末で、サーレハが反乱軍との関係を絶ち、イエメンの将来についてサウジアラビアと対話することの意欲を言明した後だった。
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何十万にが死の危機に。人道援助グループがサウジ連合軍に、イエメン市民を救うように懇請する
我々がイエメンで抱えている問題は、ご覧の通り、アラブの基準で言っても容易ならざる危機だ。

イエメンは長い間、サウジアラビアによる抑圧的なアラビア半島支配に痛めつけられてきた。この支配は、リヤドの原理主義的なワッハーブ派イデオロギーを奉じており、フーシ派反乱を焚きつけている面もある。ハーディ大統領は、サウジアラビアの操り人形だからだ。

フーシ派反乱はイエメン国民の大っぴらで広範な支持は受けていないにしても、それなりの共感を得ているという話もある。それはイエメンの首都サナアやホデイダのような港湾都市を含め他の都市中心部をうまく支配できていることから推し量れる。

もっと視野を広げると、この紛争は現在も進行中であるイランとサウジアラビア間の地域代理戦争の一部とも考えられる。2015年のフーシ派反乱の発端からリヤドの主張はこうだ、「フーシ派はイランの代理人であり、そのことで自分達の行動の正当性を得ているのだ」と。 しかし、2015年ベテランの中東特派員パトリック・コクバーンの記事によると、このリヤドの主張は「広く見ればプロパガンダないし誇張」ということになる。

3年後の現在2018年、イラン軍の関与は確実だ。フーシ派に武器を提供し、複数の情報によると軍事顧問も派遣している。かくしてサウジアラビアが2015年イランの関与があると虚偽の主張をしてイエメンへ武力介入したことが逆にその虚偽の主張を現実化させてしまったことになる。

西側諸国が共犯となってイエメン国民を大量虐殺し、苦しみを押しつけている話に戻ると、これほどあからさまで民主主義の仮面を装った偽善の例は過去に例がない。実際、アメリカ、イギリス、サウジアラビアが長く同盟関係を結んでいるということは、人権と民主主義の守護者を自認するアメリカ、イギリス両政府が嫌というほど繰り返す自慢話にもメスが入ることになる。
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US senators urge Pentagon to fully disclose its role in Saudi-led war in Yemen
オバマ政権に始まり、トランプ政権下で強化されたこの野蛮な紛争へのアメリカの関与は、①アメリカ軍による空襲(アメリカ政府によれば、標的はアルカイダとイスラム国)、②兵糧、情報など戦闘に関係しない支援が反フーシ派とサウジアラビア主導の連合軍に提供されたこと、などだ。もちろんサウジアラビアへアメリカの武器が販売されていることも忘れているわけではない。それはアメリカ武器輸出の50%以上を占めている。

この間、ペンタゴンの正式発表(2017)によればアメリカの地上軍はイエメンにも駐留し、再度その正当性の根拠を対アルカイダと対イスラム国(IS、旧ISIS)作戦従事に置いている。

イエメンにおけるサウジアラビアの戦争遂行努力を支えるイギリス政府の役割について、イギリスの武器販売はリヤド政府が周辺地域へ強大な力を示せるかどうかの鍵となっている。 その金額は2015年以降だけで46億ポンド(=60億米ドル)に上る。アメリカの場合と同様サウジアラビアはイギリス武器販売の最大市場であり、長年その状態が続いている。

2017年運動家達はイギリス政府を相手取ってイギリスが武器をサウジアラビアに売却するのは違法だとの訴訟を起こした。売却した武器の一部がイエメン市民を殺傷するために使用されているというのが主張だ。2017年、紛争におけるイギリスの役割が武器販売に限定されないことが明らかになった。デイリー・メ-ル紙に掲載された話は、「クロスウェイ作戦」というこれまで秘密にされてきた軍事作戦の詳細を語っている。その作戦では、50人のイギリス軍事顧問が紛争に派遣予定のサウジ軍を訓練していることも書かれている。

この驚くべき事実の発覚に応えてイギリス保守党議員であり前国際開発大臣だったアンドリュー・ミッチェルが激しく非難し、それはイエメンの人々の苦難にイギリスが「恥ずべき加担」をしている証拠だと語った。この苦難の規模を考えるなら、まっとうな考えをもった人ならだれも、ミッチェルの意見に同意すると思われる。

イエメンにおける戦争は汚れた戦争だ。それは西側諸国に支えられ、聖職者独裁を標榜はしているがその実サウジアラビアの泥棒政権によって遂行されている。劇作家ベルトルト・ブレヒトの語ったことは正しい。「犯罪は積み重なると見えなくなる。」
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アメリカ、国連人権委員会を脱会

Nikki Haley calls Human Rights Council UN's 'greatest failure' in bid to justify US exit

Published time: 19 Jul, 2018 02:45
Edited time: 19 Jul, 2018 10:11
RT
<記事原文>https://www.rt.com/usa/433652-haley-human-rights-council-failure/
(翻訳:大手山茂 編集:新見明)


U.S. Ambassador to the United Nations Nikki Haley © Toya Sarno Jordan / Reuters

米国連大使ニッキ・ヘイリーは、国連人権委員会が中国、キューバのような国をそのメンバーにしていることが誤りだとして、さらなる攻撃を加えた。 しかし、サウジアラビアへの懸念は何も語られなかった。

ヘイリーはシンクタンクのヘリテージ財団で水曜日講演をし、なぜアメリカが国連人権機関から脱退したかを説明した。しかしこの退会は、国連人権委員会のほぼ全加盟国から非難されていた。ヘイリーはとくにキューバ、中国、ベネゼラを国連人権委員会の信用を傷つけるものとして、名指しで非難した。
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Nikki Haley slams UN report on US poverty under Trump as 'misleading & politically motivated'
ヘイリーは、アメリカの同盟国であるイスラエルへの偏見とともに、国連人権委員会の2つの大きな問題の一つとしてその参加資格基準を取り上げ、次のように語った。 「自分が国連に赴任して以来今日まで、「人権委員会のメンバーとして最悪の人権侵害国が含まれている。キューバ、中国、ベネゼラといった独裁国が委員会の構成メンバーなのだ。」

彼女はとくにベネゼラを取り上げ、人権委員会がニコラス・マドゥロ大統領(彼女の見方では「独裁者」)を2015年に同委員会で挨拶をするよう招待したことを激しく非難した。 ヘイリー氏は言葉を続け、マドゥロがスタンディングオーベイションを受けたのも「62%の委員会メンバーが民主国ではない」のだから驚くには当たらないと語った。

ヘイリーは国連人権委員会がイスラエルにだけ視線を向けていることを非難し、ベネゼラ、キューバ、中国の状況を見て見ぬふりをするのは問題だと語った。 彼女はまた委員会のメンバー国ではないジンバブエにも言及した。
「(人権委員会が)その注意を不当にそして執拗にイスラエルに焦点を合わせいるのに、ベネゼラ、キューバ、ジンバブエ、中国の国家体制が人々に負わせている悲惨な状況を無視している。」

彼女は自分の意見の最後のまとめとして、国連人権委員会(UNHRC)は国連の「最大の誤り」だと決めつけた。

「国連人権委員会が、掲げている約束をいかに裏切っているか。そこから判断すると、この委員会は国連の組織の中で最大の誤りだ」と、彼女は述べた。

「非民主的な」国連人権委員会のメンバー国を取り上げているのに、もう一つの主要なアメリカの同盟国サウジアラビアとその国のかなり問題のある行動記録に言及することはない。 超保守王国のサウジアラビアはイエメンでの虐殺行為に深く関わっている。 3年に及ぶ爆撃作戦で無数の市民の死傷者を出しているので、人権活動家達は、サウジアラビアのモハマド・ビン・サルマン王子を戦争犯罪容疑で逮捕するよう動き出した。
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Arrest Mohammed Bin Salman over 'Yemen war crimes', demand activists
最近の報告でヒューマン・ライツ・ウォッチは、少なくとも87件の「明らかに違法な」襲撃を行ったのはサウジアラビア主導の連合軍であり、この作戦の開始以来約1000人の市民が死亡し、数々の家屋と市民のインフラが破壊されたと述べた。 地域内の動きとして、リヤド政府は数十年に及ぶさまざまな規制事項を緩和し、女性が車の運転をしたり、サッカー観戦をすることは許可されているが、反体制派への弾圧は続いており、女性は子供も大人も、基本的に男性親族の事前の同意無しに決定することができないという障害を廃止しようとしない。 

アメリカは国連人権委員会の脱会決定を6月に公式発表した。 その発表の中でこの国際的機関がイスラエルのパレスチナ人に対する弾圧しているのには取り合わず、同機関は「人権侵害を保護し、政治的偏見の汚水槽」だとした。アメリカの代わりに、7月の投票でアイスランドが圧倒的多数で選ばれた。


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