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「ジェノサイドだ!」 ネタニヤフ演説に抗議して135人もの議会関係者が議会出席を拒絶

<記事原文 寺島先生推薦>
‘Guilty of Genocide’: 135 Congress Members Boycott Netanyahu’s Speech to Congress
筆者:イヴ・スミス(Yves Smith)
出典:RT 2024年7月25日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年7月31日


イヴです。 ネタニヤフ首相の恐ろしい演説については、今日、ランバートがサイトの「リンク」や「ウォーター・クーラー」で十分に取り上げているだろう。とはいえ、私がこの投稿を掲載するのは、ガザでの大量虐殺に米国が加担していること、また、ふだんはAIPAC(米・イスラエル公共問題委員会)に捕らわれたり屈服したりしている下院議員たちでさえ目に見える形で不承認を表明するほど、事態が明らかに恐ろしくなっていることの証しとしたいためだ。これらの行為は、この戦争犯罪を阻止するために必要な行動としては弱いかもしれないが、米国の国民感情がイスラエルからますます離れていっているという重要な兆候を示すものである。

残念ながら、この過程により南アフリカの政権交代に繋げるのには20年近くかかった。そしてイスラエルが理解している事実は、現在の軌道をたどれば、20年あれば、イスラエル国内のすべてのパレスチナ人を絶滅させるか、倫理的に浄化できる、ということだ。

以下の記事は、ニュースサイトのコモン・ドリームの職員であるブレット・ウィルキンスによるものだ。初出はこちらで読める。

ワシントンD.C.滞在中にイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の逮捕を求めたのち、ラシダ・タイーブ共和党議員は、この右派指導者(ネタニヤフ首相)による水曜日(7月24日)の演説に抗議し、上下院合同会議の前に、看板を掲げた。そこには、「戦争犯罪者」や「ジェノサイド(大量殺戮)の罪で有罪」と書かれていた。

「私たちを消すことは許しません。パレスチナは存在します。私たちには生きる価値があります。いま私たちがここにいることは、私たちはどこにもいかない、という意思表示なのです。権力を恐れて真実を語れなくなることなど決してありません。イスラエルのアパルトヘイト(人種隔離)は、パレスチナの人々に対してジェノサイドという罪を犯しています」とタイーブ議員(民主党、ミシガン州選出)はソーシャル・メディア上で呼びかけた。

米国議会内で唯一のパレスチナ人であるタリーブ議員は、客人を連れてきていた。それが、ハニ・アルマドゥーンさん。ガザで「ネタニヤフ首相によるジェノサイドのせいで150人以上の親類を亡くした人」だ。

「妹さんが動物の餌を食べている姿を目撃したため、ハニさんとハニさんの家族は、スープの屋台を出して、飢えた近所の人たちに出すことにしたそうです。イスラエルのアパルトヘイト政権は飢餓を戦争の武器として利用しています。まさに戦争犯罪です」とこの女性議員はソーシャル・メディアで訴えた。


135人以上の民主党国会議員と共和党のトーマス・マッシー議員(ケンタッキー州選出)、バーニー・サンダース(バーモント州選出、無党派)米上院議員が、ネタニヤフ首相の演説会を拒絶した。

「ネタニヤフ首相は戦争犯罪者なだけではありません。嘘つきでもあります。すべての人道的な組織が同意するでしょう。何万もの子どもたちが餓死の危機に直面しています。その理由はネタニヤフ首相の過激派政権が救援を妨害し続けているからです。イスラエル国民はネタニヤフ首相を権力の座から追い出したがっています。だからこそネタニヤフ首相は米国議会に訴えにきたのです」とサンダース議員はソーシャル・メディア上に投稿した。

アレクサンドリア・オカシオーコルテス(ニューヨーク州選出、民主党)議員はこう述べた。「ハッキリさせておきたいことは、ネタニヤフ首相は多くの聴衆に逃げられたので、彼が話をする国会議員はごく一部だ、という事実です」と。

「そうなれば、国会議員ではない人々で空席を埋めようとします。授賞式でよくおこなわれる手口と同じです。全員が出席していて、全員が支持している、と思わせるためです。」

サラ・ジャコブス(カリフォルニア州選出、民主党)も、ソーシャル・メディア上にこう投稿した。「私は今日のネタニヤフ首相の演説会に参加する気はありません。同首相の軍が3万9千人以上のパレスチナ人を殺害した、と報じられています。人質を返すこともおこなっていません。ネタニヤフ首相は、イスラエルを安全にすることをおこなっていません。私たちは具体的な行動を起こして、この戦争を終わらせなければなりません。そして苦しまれているすべての人々の苦しみを終わらせなければなりません。見せかけの誤魔化しなど必要ないのです」

「私が今日のネタニヤフ首相の演説会に参加できない*理由*は、私がユダヤ人として受けてきた教えと価値観にあります」とサラ・ジャコブス議員は投稿した。


グレッグ・カザール(テキサス州選出、民主党)議員は、声明でこう述べた。「私はネタニヤフ首相の演説を拒絶します。今日、イスラエルの人質の家族は、ネタニヤフ首相の演説を自分の失政を隠すための「売名行為」である、と言っている」と。

「ネタニヤフ首相は人質を無事に生還させることに失敗しているだけではなく、ガザのほぼすべての人々を殺害し、障害を負わせ、追い出してきました。さらに同首相は、イスラエル国民の安全も守れておらず、中東での終わりの見えない戦争に我々を引きずりこもうとして、米国の国家安全も危険にさらしています」とカザール議員はさらに続けた。

「米国はイスラエル政府に対する無条件の軍事支援をやめねばなりません。そうではなく、即時休戦と人質の変換、長期の平和の実現を保証しなければなりません」とカザール議員は付け加えた。

ジャバール・バウマン(ニューヨーク州選出、民主党)はタリーブ議員の誕生日を祝うソーシャル・メディア上の投稿でこう書いた。「我が妹、ラシダ。君はこんな時代の寵児として生を受けたのです」と。

「自分の出自民族がジェノサイドにさらされているいまこの時期に、あなたは議会で唯一のパレスチナ人です。あの戦争犯罪者の演説を黙って聞いている国会議員が拍手喝采を送っています。こんな状況のなか、あなたは強く立ち向かっています。そんなあなたが大好きですし、誇りに思います」とバウマン議員は書き加えた。


平和団体『Win Without War(戦争をおこなわずして勝利を)』の代表であるステファン・マイルズ氏はこんな声明を出した。「嬉しいのは、こんなにもたくさんの議員たちがイスラエルのネタニヤフ首相の演説がおこなわれる今日の議会に出席しないことを選択したことです」と。

「これは、政治的得点を稼ごうとする下院議長が夢想した政治的演出であり、イスラエル首相が世界的な非難と国内の政治的反発を和らげようとする必死の策略として受け入れたのです。こんな演説は決して二度とあってはなりません」とマイルズ氏は付け加えた。

上院議長でもあるカマラ・ハリス副大統領は、水曜日(7月25日)のこの会の司会ではなかった。今週初めのジョー・バイデン大統領の出馬撤回表明を受けて、民主党の指名確定候補となったハリス副大統領は、木曜日(7月26日)に個人的にネタニヤフ首相と面会することになっている。

ネタニヤフ首相の演説は、国会議員やその他の出席者らから騒々しいまでの拍手喝采を浴びたが、その標的は、ハマスという「怪物たち」だけではなく、「テロ枢軸国イラン」に対するものだった。同首相はイランを、「米国やイスラエル、さらには我が国の友好アラブ諸国」に対峙している国である、とした。




「これは文明社会同士の衝突ではありません。未開社会と文明社会のあいだの衝突なのです。死を賛美するものたちと生命を神聖なものとして受けとるものたちとのあいだの衝突なのです」とガザ地区で13万人以上の死傷者を出した郡を有する国家の指導者は述べた。

ネタニヤフ首相は、彼が「イスラエルを人種差別国家でジェノサイドをおこなう国であると決めつける中傷」と呼ぶものを非難し、その意図は「ユダヤ人国家を悪魔化し、世界中のユダヤ人を悪魔化しようとするところにある」と主張した。

米国中の親パレスチナ勢力(実はその勢力の多くはユダヤ人が先導しているのだが)に対して、ネタニヤフ首相は以下のように嘆いた。「多くの反イスラエル抗議活動者たちは、悪とともに立つことを選んでいます。つまりハマスとともにあるのです。強姦魔や殺人者らと共同しているのです」と。

「我々の知る限りでは、いまこの外で抗議をおこなっている活動家らに資金援助をしているのはイランなのです」とネタニヤフ首相は、裏の取れていないバイデン政権から得た話として述べた。

「ゲイの人々をクレーンで吊るし、髪の毛を隠していないことを理由に女性たちを殺すようなテヘランの専制政権があなた方抗議活動者を賞賛し、推進し、資金を与えているのです。あなた方は、イランにとって役に立つ愚者になりさがっているのですよ。」

「『ガザにゲイを』という看板を掲げている抗議者もいますね。これは『KFC(ケンタッキー・フライド・チキン)に鶏肉を』と言っているようなものです」とネタニヤフ首相は嘲笑した。

「これらの抗議活動者たちは『川から海へ』と叫んでいますが、多くの人たちは、その川や海がどこにあるのか見当がついていません」と同首相は付け加えた。

何百ものユダヤ人が先導する抗議活動者が、火曜日(7月24日)に、議事堂で逮捕されたが、これはガザにおけるイスラエルによる攻撃に対する米国政府の支援が継続していることやネタニヤフ首相がおこなう予定になっていた演説に抗議したからだった。さらに何千もの抗議活動者たちが水曜日(7月25日)、ワシントンD.C.の街中に繰り出したが、そこでは平和を求める諸組織がキャピトルを包囲する計画を立てていた。

「街に戦争犯罪者がやってきました。この戦争犯罪者のネタニヤフ首相には、人道に対する犯罪を犯してきた長期にわたる経歴があります」と在米イスラム改善協会のニハド・アワッド全国事務局長が抗議活動者に向けた演説で述べた。


演説中、ネタニヤフ首相は「10月7日の野蛮な攻撃のあと、イスラエルを暖かく支援してくれた」としてバイデン大統領に謝意を表した。この攻撃をネタニヤフ首相は、「9-11の20回分が一日でおこった」と評していた。

バイデン大統領は、中東の主要な同盟国に対する「揺るぎない」支持を証明し、10月以来、新たな軍事支援として何十億ドルもの資金提供を承認し、100件以上の武器販売をおこなってきた。さらにバイデン政権は、ガザの休戦を求める数件の国連安全保障理事会決議案に拒否権を発動してきた。

ネタニヤフ首相は米国にさらなる資金援助を懇願し、こう述べた。「もっと迅速に道具をお渡し下さい。そうすれば我が国のなすべき使命も素早く終わらせることができますので」と。

「ガザでの戦争は、ハマスが降参し、武装解除し、すべての人質を返還しない限りは、明日で終わる、というわけにはいきません」と同首相は付け加えたが、この首相こそ何年ものあいだこの軍事抵抗組織に多額の資金を提供してきた人物なのだ。そしてハマスのもつ政治的圧力がガザを支配している。その目的は、パレスチナ自治政府を弱らせることにある。

月曜日(7月23日)、タリーブ議員は、ネタニヤフ首相は米国滞在中に逮捕されるべきだ、と述べた。

「ネタニヤフ首相はパレスチナの人々に対するジェノサイドを犯した戦争犯罪者です。両院の指導者が議会で演説をするために彼を招いたことは、完全な不名誉にあたります。ネタニヤフ首相は逮捕され、国際刑事裁判所(ICC)に送られるべきです」とタリーブ議員は語った。

ICCのカリム・カーン検事は、戦争犯罪と人道に反する罪を犯したとしてネタニヤフ首相とイスラエルのヨアブ・ガラント国防相、3名のハマスの指導者に逮捕状を申請した。その罪の中には、10月7日、およびその日以降の、絶滅作戦をおこなった罪も含まれている。

演説中、ネタニヤフ首相はICCを非難し、イスラエルに対する「血の中傷*」であるとし、同裁判所は、「イスラエルがガザの人々を意図的に飢えさせているという主張を恥ずかしげもなくおこなっている」とした。なお、南アフリカ共和国が主導して国際司法裁判所(ICJ)に起こした訴訟や国連の専門家ら、人権擁護諸団体も同様の主張をおこなっている。

*ユダヤ人を迫害する理由として、ユダヤ教徒がキリスト教徒の子どもを神の生贄に捧げるために殺したという主張をおこなうこと

国連世界食糧計画(国連WFP)のシンディ・マケイン事務局長は5月、ガザでは「本格的な飢餓」が生じており、何十人ものパレスチナの人々(そのほとんどが子ども)が、栄養失調や脱水症状、医療措置の不足のせいで亡くなっており、それ以外の何万もの人々が餓死寸前の状況におかれている、と述べた。

ネタニヤフ首相はさらに、ICCはイスラエル軍が「意図的に一般市民を標的にしている」という嘘をついていることを非難した。なお10月以来、死者の数は3万9千人にのぼり、うち1万6千人が子どもだ。

同首相の主張によると、イスラエルは「一般市民に外を与えないよう、歴史上どの軍隊よりも注意を払ってきており、どんな国際法においても定められた以上の注意を払ってきた」とした。

「ICCはイスラエルの手を縛り、イスラエルが自国を守ることを不可能にしています。イスラエルの手が縛られているとなれば、次は米国の手が縛られることになるでしょう」とネタニヤフ首相は語った。

「我がユダヤ人国家の手が縛られることは決してありません。イスラエルは常に自国を守ります」と同首相は付け加えた。

さらにネタニヤフ首相は、先日のイスラエルによりラファフ攻撃の際に生じた死者について触れ、「事実上死者はいませんでした」とも主張した。実際は多くの女性や子どもたちを含む何百ものパレスチナ人がラファフやその周辺におこなったイスラエルの攻撃により命を落としたのだが、そのことを無視した。さらには、テント住まいをしている難民らに対する複数の虐殺行為についても触れることはなかった。


イスラエル軍は、「ガザでの戦争をどう戦っているかについて非難を受けるのではなく、むしろ賞賛されるべきです」とネタニヤフ首相は主張した。

イスラエル防衛軍は、拷問や強姦、子どもたちを含むパレスチナの人々の即時処刑をおこなっているとして非難されている。国連のアントニオ・グテーレス事務総長は先月、イスラエルを同事務総長のいう「恥を知るべき国」のひとつに加えた。これらの国々は、戦争などの軍事衝突において子どもたちを殺傷するような国々である。

ICCから受けている苦境とICJから起訴されているジェノサイドという罪状に加えて、後者の法廷では先週、57年にわたるイスラエルのパレスチナ占領は違法なアパルトヘイトであり、「可能な限り速やかに」終結させなければならないという判決が、これらとは別に下されたところである。


この記事は、2024年7月25日に、イブ・スミスが書いたもので、『Banana republic』、『Doomsday scenarios』、『Legal』、『Middle East』、『Politics』、『Social values』に掲載された。 on
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米警察はもはやFBIを信頼していない―内部告発報告書

<記事原文 寺島先生推薦>
US police no longer trust FBI – report
内部告発者は、FBIはあからさまに党派的になり、政治的目的を果たしていると主張
出典:RT 2024年7月25日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年7月30日


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ファイル写真。© ゲッティイメージズ/ネス


議会に提出された内部告発報告書によると、米国の多くの州および地方の警察機構は、連邦捜査局(FBI)が党派的かつ政治化しているという懸念から、連邦捜査局との重要な情報の共有を拒否している、という。

230ページに及ぶ報告書は、現役捜査官および引退した捜査官と分析家らの協働によりまとめられたが、この報告書は全米各地の30人以上の「独立した、非常に信頼できる」情報源からの話をもとにしたものであった。

「警察機構はFBIと協力することに消極的であるだけでなく、犯罪やその他の諜報関連活動に関する実用的で本質的な情報をFBIと共有しないことを決定した、と報じられている」とこの報告書の著者らは記載している。そしてその理由は、FBIが近年「政治的な目的によって動機づけられた党派的な連邦機関として機能している」と考えているためである、という。

この報告書の存在は、水曜日(7月25日)のニューヨーク・ポスト紙で初めて報じられた。文書自体は下院司法委員会と下院監視委員会に送られたのち、オンラインで公開された。

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関連記事:Trump shooter studied JFK assassination – FBI

報告書を作成したこのグループは、FBIが主導する対策委員会に対する 「信頼の危機」と、FBI全体に対する 「憂慮すべき信頼の喪失」について触れている。これは、クリストファー・レイ長官さえ議会で、自身の経歴は前例のない「複雑な脅威環境」におかれていた、と証言するなかでのことだった。

ほとんどの情報筋は、2021年1月6日の米国議会議事堂での暴動と、2022年8月のドナルド・トランプ前大統領のフロリダ州の邸宅であるマール・アー・ラゴへの家宅捜査に対するFBIの対応を指摘した。

情報筋の一人は、FBIの行動を「第三世界の国のそれ」と表現し、「FBIは解体され、職員は起訴され、長期の懲役刑に処されるべきだ」と主張した。

「J6(1月6日)」事件への協力を求める圧力から、FBIは「党派的、政治的な目的」で動いているとの見方が広がっている。ある情報筋は、FBIがなぜ同じような熱意を持って他の組織を追わないのか理解できない、と語った。別の情報筋は、地元警察官は「米国への愛ゆえに」標的にされ、投票方法に基づいて「国内テロリスト」と見なされるのではないかと恐れている、と語った。

複数の機関からなる特別委員会の責任者は、新任のFBI捜査官は伝統的な政治や宗教観に対する嫌悪感を隠そうとせず、自らを「目覚めた、あるいはリベラル」と公言している、と述べた。 「多様性、公平性、包摂性」(DEI)という基準に基づいて採用された彼らは「まったく役立たず」で「最悪の集団」だ、と内部告発者らは述べた。

報告書によると、新人捜査官の訓練をおこなうバージニア州クアンティコのFBI研修学校は「自己陶酔感の教化」と傲慢な優越感を助長し、耐え難いほど政治化されている、という。いっぽう、FBIの保安部門は機密情報取扱許可手続きを悪用し、保守派の捜査官を組織から排除している、という。

内部告発者らは議会に対し、レイ氏の辞任が「究極の最後の手段」であり、FBIの評判を回復する唯一の方法としてこの措置を強制するよう求めている。
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グローバルサウスの低所得国の60%が、米国から経済的に罰せられている!

<記事原文 寺島先生推薦>
US sanctions policy ‘out of control’ – WaPo
低所得国の60%が米国から経済的に罰せられている、とワシントン・ポスト紙の詳細な記事は主張
出典:RT 2024年7月25日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年7月30日


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2022年6月10日、カリフォルニア州ロサンゼルスでおこなわれた抗議活動で米国の制裁に抗議している抗議者ら© AFP / リンゴ・チウ


世界の3分の1の国が何らかの形で米国の制裁を受けており、米国政府の官僚たちはもはや、このような複雑な経済制裁の網を維持する仕事量を処理できない、とワシントン・ポスト紙が報じた。

1990年代に米国財務省が初めて米国政府の敵対諸国に対して経済制裁を発動し始めたとき、財務省の外国資産管理局(OFAC)は1つの会議室での業務から始まった。木曜日(7月25日)にワシントン・ポスト紙が報じた記事によると、同局は主に「米国によるキューバ産葉巻の販売を阻止する」などの業務を担当していた、という。

しかし、2001年の9/11テロ以降、制裁措置は爆発的に増加し、現在、米国は他のどの国や国際機関よりも3倍多くの制裁措置を課している。これらの制裁措置は「個人、財産、組織に何らかの金銭的制裁を課している、世界すべての国の3分の1にあたる国々」を対象としており、世界の低所得国の60%が含まれている、と同紙は指摘している。

米国では、この制裁の急増によりOFACの事務所に混乱が生じている、と匿名の情報源2人が同紙に語った。この情報源によると、企業が制裁違反に対する刑事訴追を回避しようとしているため、OFACは「民間部門からの数万件の要請」の処理に苦慮しているいっぽうで、ホワイトハウスはどの個人や団体に制裁を課すかの決定を非営利団体やシンクタンクに委託している、と報じられている。

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関連記事:Trump reveals stance on sanctions

いっぽう、制裁措置を抑制するよう求めるOFAC職員の要求は、財務省と国務省の上層部によって却下された、とワシントン・ポスト紙の情報筋は主張した。

「この制度の濫用はとんでもないことですが、財務省やOFACのせいではありません」と、元国務省職員のケイレブ・マッカーリー氏はワシントン・ポスト紙に語った。「関係職員らは、この容赦なく終わりのない、時にはまさに全員に制裁を課さなければならない制度から解放されたいのです」と同氏は続け、「この制度は、あまりにも濫用され、制御不能になっています」と付け加えた。

米国による制裁は、意図した目的を達成できないことが多い。ジョージ・W・ブッシュ大統領の北朝鮮に対する制裁は、北朝鮮政府の核兵器開発を阻止できなかった。バラク・オバマ大統領のシリアに対する制裁は、バッシャール・アサド大統領を権力の座から追放できなかった。ドナルド・トランプ大統領のベネズエラに対する制裁は、ニコラス・マドゥロ大統領の打倒を扇動できなかった。そして、ジョー・バイデン大統領のロシアに対する制裁は、2年間で6千件以上に上るが、ウクライナにおけるロシアの軍事作戦を終わらせることができなかった。

ロシアのような大国はこうした制裁を乗り越えて経済成長を続けてきたが、他の国々はそれほど幸運ではなかった。北朝鮮では1990年代後半から飢餓が常に脅威となっており、またトランプ大統領のベネズエラに対する制裁は大きな経済収縮を引き起こし、2017年から2019年の間に最大4万人が死亡した、とされている。

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「ワシントンでは、何か悪いことが世界のどこかで起こると、アメリカが誰かを制裁するという、ほとんど奇妙な反射的な考え方になってしまいました。こんなことに意味はありません。我々は制裁により生じる付随的被害を戦争により生じる付随的被害と同じようには考えていませんが、実際はそう考えるべきなのです」とバラク・オバマ前大統領の顧問を務めたベン・ローズ氏はワシントン・ポスト紙に語った。
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首都ワシントンで大きな抗議運動に迎えられたネタニヤフ首相

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Protests greet Netanyahu in Washington (VIDEOS)
このイスラエル首相は、4回目という記録的な数での議会演説のために訪米
出典:RT 2024年7月24日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年7月30日


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2024年7月24日、ワシントンDCで道路を封鎖しようとするデモ隊。 © Michael A. McCoy / Getty Images

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、米国議会からのさらなる支援を求めるため、ワシントンDCに現れたが、街頭で親パレスチナ派のデモ隊に迎えられた。

水曜日(7月24日)の演説は、ネタニヤフ首相にとって4度目となり、英国の指導者ウィンストン・チャーチルの3度の演説を上回る歴史的記録となった。

演説に先立ち、キャピトル・ヒルは要塞化され、ワシントンの数十の通りが封鎖され、重武装した警察(一部は他の管轄区域から配備された)によって巡回された。

『パレスチナを解放せよ』、『ガザでの戦争犯罪を止めろ』、『イスラエルへのすべての援助を打ち切れ』、『戦争犯罪人』などは、抗議者たちが掲げた看板のほんの一部である。抗議者たちは、国会議事堂やホワイトハウス、そしてネタニヤフ首相が滞在していたとされるウォーターゲート・ホテルを取り囲んだ。


「ネタニヤフ首相は外に出てこい、大虐殺の罪で逮捕するぞ!」とデモ隊の一団が叫んだ。


一晩中、活動家組織は議会施設の外の噴水に赤い染料を注ぎ、近隣の建物にイスラエルの指導者(ネタニヤフ首相)を戦争犯罪人と呼ぶ看板を映し出した。


デモ隊の群衆はウォーターゲート・ホテルにもピケを張り、騒音を撒き散らしたため、ネタニヤフ首相だけではなく他の宿泊客や住民も眠れないほどだった。


ホテルの外観には「BIBI WAR CRIMINAL(戦争犯罪者ビビ*)」の文字も映し出された。
*ネタニヤフ首相の愛称


ある報道によると、親パレスチナ派の活動家たちは、ホテル内の火災報知器を引き、ミミズやコオロギを放した、という。


水曜日(7月24日)の午後、ネタニヤフ首相は議会で演説し、「我々の知る限り、イランは今この建物の外で起こっている反イスラエルデモに資金を提供している」と主張した。

外交委員会の責任者であるベン・カーディン上院議員(民主党、メリーランド州選出)が合同議会の議長を務めた。カマラ・ハリス副大統領はインディアナ州で選挙行事に出席しており、次席のパティ・マレー上院議員(民主党、ワシントン州選出)は欠席した。

上院外交委員会のディック・ダービン議員やティム・ケイン議員、ジェフ・バークリー記事、ブライアン・シャッツ議員など、上下両院の民主党議員数十人がこの行事を欠席した。 ネタニヤフ首相の演説を拒絶した30人の下院議員の中には、ラシダ・トライブ下院議員とアレクサンドリア・オカシオ=コルテス下院議員という2名の女性議員もいた。

ネタニヤフ首相の演説拒絶した唯一の共和党議員、ケンタッキー州選出のトーマス・マッシー下院議員は、この演説を「政治劇場」と呼び、イスラエルの指導者の「小道具になる気はない」と述べた。
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米国議会がネタニヤフ首相に示した敬意

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American Obeisance
筆者:ジョン・ホイットベック(John Whitbeck)
出典:Counter Punch 2024年7月25日
アメリカン・オベイサンス
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年7月30日


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米国議会でネタニヤフに対して総立ちして敬意を示す議員たち。C-SPAN。


私は、アメリカ人として生涯で経験した中で最も哀れで屈辱的な瞬間を目撃したばかりだ。

悪名高い戦争犯罪者ベンヤミン・ネタニヤフ首相が発したほぼすべての発言が、どれほど愚かで露骨に嘘であっても、米国議会に巣食う出席したほぼすべての政治売春婦が、自分たちの操り人形師に大声で立ち上がって(53回も!)敬意を表した。最も長く大声でそうしたのは、演説中にアメリカの大学キャンパスやワシントンの路上で正義とジェノサイド反対の抗議者をイランに資金提供された「馬鹿だが役立つ輩」と非難したときだった。

この見苦しい光景を見た人は誰でも、アメリカ合衆国をこう結論づけるしかない。この国は立派な独立国ではなくなり、実際何年も前からそうであったように、今ではイスラエル国の完全所有の子会社であり、人類の圧倒的多数によって当然拒否される共通の価値観を持っていると。

アメリカの政治家たちは、その貪欲さ、臆病さ、道徳的破綻、そして反逆に近い行為によって、かつて偉大だった国を歴史のトイレに流し込んでいる。そして、グローバルな西側諸国も、イスラエル・アメリカ帝国による支配からすぐに解放されなければ、同様の運命をたどる危険がある。

筆者のジョン・V・ウィットベックはパリを拠点とする国際弁護士。
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深まるボリビアの政治危機―モラレス前大統領が、アルセ現大統領を「自作自演のクーデター」をおこなったとして批判

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Morales accuses Arce of “self-coup” – Bolivia’s political crisis deepens
筆者:ホアキン・フローレス(Joaquin Flores)
出典:Strategic Culture 2024年7月6日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年7月27日


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米国は、長期戦の戦略をとり、重力ほどの弱い力を利用して、時間をかけて状況を変えようとしているように見える。

6月26日(水)、ボリビアでクーデター未遂事件に端を発した政変が発生したことは周知のとおりである。この未遂事件の実行者は、すでに司令官を解任されたとされるズーニガ将軍であり、数人の将校や軍の要人も加担していた。このクーデターには、ルイス・アルセ・カタコラ大統領を支持する強固な民衆が首都やその他の都市で迅速に対抗した。

少なくともこれは、ラテン・アメリカの左翼報道機関(ベネズエラのテレスール社、キューバのグランマ紙など)を通じて紹介されている説明である。この説明においては、クーデターを終結させた決定的な要因として、大衆の民衆動員に焦点を当てている。

重要でありそれと正反対なのは、元大統領で実際に(2019年の)クーデターの標的となったエボ・モラレス氏が、アルセ大統領自身が「自作自演クーデター」を命じた、と主張したことだ。これは、アルセ大統領がクーデターを命じたとするズーニガ将軍自身の主張と酷似している。

言説

気をつけなければならないのは、民衆が動いたという言説が、超現実的なのかどうかはさておき、このような言説はラテン・アメリカの左翼にとって神聖不可侵であるという点である。この言説は、2002年4月11日のベネズエラにおける当時の大統領ウゴ・チャベスに対するクーデターを破綻させたことの説明に使われた主題と同じものである。

アルセ大統領だけではなくベネズエラ政府やキューバ政府が流した公式見解と並行して世界の人々が聞かされたのは、様々な国々の国家首脳ら(大統領や首相など)が、ボリビアの憲法上の秩序を破ったとしてこの軍事行動を非難したことだった。ソーシャルメディアや報道機関の報道を通じて、アルセ大統領への連帯が表明された。その際、ボリビア国民の意思を弱めようとする試みは非難され、そのような行動を取ればどのような結末を迎えるかが強調された。

この巧妙に練られた言説に共通する主題は、ボリビアにおける民主主義の尊重の重要性を強調し、ラテン・アメリカにおけるさらなる不安定化に対する警告だった。逮捕されたクーデター指導者のフアン・ホセ・ズーニガ将軍は、関与が疑われた他の軍人とともに、テロや武装蜂起などの罪で検事総長事務所が開始した法的手続きに直面した。

ズーニガ将軍はラパスの特別犯罪対策部隊(FELCC)によって逮捕され、拘留された。

ラテン・アメリカでは、「民衆の力でクーデターを阻止した」という言説と、現在の多極化した世界の現実の中でラテン・アメリカが独立した極として発展することへの支持とが別物ではないようなのだ。

もちろん大事な問題は、こうだ。一方においてはラテン・アメリカが解放の道を歩み続け、集団的、地域的、主権的な成長を遂げるべきであることを認識し、それを推進する(筆者の立場はそうだ)ことはだれでもできる。他方そればかりではなく、いろいろな懸念をもった大衆に政治的、イデオロギー的原則からの制約からは自由な見通しや純粋な分析の代替案を伝えることを使命とする献身的な政治的分析家にだれでもなれるということなのだ。もっとはっきり言えば、正しい問いを持ち、きちんと調査すること自体が、美徳である、ということだ。

ねじれ

最初のねじれに私たちが遭遇したのは、失敗した「クーデター」の直後だった。そのねじれは、ほぼ誰にとっても想定外のものだった。逮捕された際、ズーニガ将軍は報道機関に対して、クーデターを誘発したとしてアルセ大統領を非難した。大統領はMAS(社会主義運動党)の立場を強化するため、彼に広場に民衆を動員するよう求めたのだ。それはアルセ氏だけでなくモラレス氏の立場も強化することになった、と彼は述べた。「大統領が私に、大統領の人気を高めるために何かをおこなうよう依頼したのです。......装甲車を出せとも言われました。大統領(アルセ氏)から、状況は最悪で、支持率を上げるために何か必要だと彼は私に言いました」と。

ズーニガ将軍自身の動機は、アルセ政権がきたる2025年の選挙でモラレス前大統領の復帰を招くのでは、という懸念に集約されていた。ズーニガ将軍は、アルセ大統領とMAS(社会主義運動党)が政府に屈辱を与え、不安定で不確実な風潮を作り出している、と非難したが、ズーニガ将軍は、絶対的な危険はモラレス元大統領が政権に復帰することだった、と述べた。

ヘアニネ・アニェス氏は、期待を裏切り、クーデターを非難し、アルセ大統領支持を表明した。現在、アニェス氏は、2019年のクーデターにおける彼女の役割と、その後の政権を率いたことに関連して刑務所にいる。(なお、筆者は当サイトSCF(ストラテジック・カルチャー・ファウンデーション)でその件に焦点を当てた記事を書いている)。その罪状の一部には、同年11月10日に起きたアニェス氏の政権掌握に反対した先住民の親モラレス活動家らの虐殺も含まれている。

おそらくボリビアは世界で最もクーデターがおこなわれたことのある国だ。1825年のスペインからの独立以来、様々な政府に対して起こされた、成功したクーデターの件数は190件ほどにのぼる。加えて、1950年以降クーデター未遂事件は23件ほど発生しており、成功したものも失敗したものもある。

ここから読み取れるのは、ボリビアの現代の政界の支配者層は、他の国の指導者たちが想像する以上に、さまざまなクーデター技術を熟知しているということだ。一般的に、クーデターの手筈に長けているのは諜報機関である。しかし、ボリビアのような国で成功する政治家になるためには、クーデターやカラー革命などを含む反乱を起こすことや反乱を抑えることに関して、諜報機関なみ、あるいはそれ以上の熟練度を持たなければならないのである。

アルセ大統領もモラレス前大統領も、様々なクーデターや内乱の手筈を熟知していたと考えるほうが賢明だ。それが、ボリビア政界で要職につくのに必要な能力なのだから。

米国にとっては、モラレス元大統領よりもアルセ大統領のほうが都合がいいのか?

何にもまして忘れてはならないことのひとつは、MAS(社会主義運動党)やモラレス政権の批判に終始している親西側・親米報道機関は、アルセ大統領はより話が通じる人物であるので、権力の座につくのによりふさわしい、と考えていることだ。アルセ大統領の反IMFの美辞麗句はモラレス元大統領の支持層にも届いていたが、国民議会における大統領側とMAS党内の親モラレス派との大きな争いは、アルセ大統領の公約の反故をめぐるものである。つまり、アルセ大統領は、過去の約束や批判にもかかわらず、IMFといくらか妥協し、ボリビアにさらなる負債をもたらそうとしている、ということだ。さらには、ドル準備金の補充という問題もある。アルゼンチンでも最近そうであったように、米国側はこの動きを歓迎している。

はっきりさせておきたいことは、米国からすれば、理論的には、アルセ大統領やモラレス元大統領よりもはるかに望ましいボリビアを統治できる政党があることだ。しかし同時に、米国は世界における自国の力の衰えと折り合いをつけながら、これまでの手法を修正しつつある。PPB-CN(ボリビア進歩計画・国民収束)という政党連合が政権を取ることが米国の夢の実現となるだろう。しかし、米国には目の前の現実をなんとかやりくりしてきた歴史もある。ある問題に関して、アルセ大統領が数メートルでも米国に近づいているとすれば、この接近の方向性を理解することができる。これは千枚の紙屑で継ぎはぎされた「政策クーデター」と呼ぶこともできる。理論的に受け入れがたい政党が政権を握っても、その政権が米国の政策に近い形に少しづつ削られていくことを許すのであれば、容認されるのだ。

ニューヨーク・タイムズ紙は、CIAの代弁者であり、米国永久の行政府の一翼を担う新聞社なのだが、2020年10月23日に、アルセ大統領が選出された選挙を称える記事を出した。

また2024年4月上旬、ブルームバーグ紙は、ボリビアはIMFの「特別引出権」を使い果たした、と報じたが、同誌はボリビアに関する多くの記事の中で、アルセ大統領のより「穏健な」方向性に一定の信頼を表明していた。

思い起こされる方もいるだろうが、アルセ大統領は欧米で教育を受けた(1997年、英国コベントリーのウォーリック大学で経済学の修士号を取得)人物であり、モラレス前政権で財務大臣をつとめた。

米帝国寄りの雑誌『フォーリン・ポリシー』は、モラレス元大統領と比較してアルセ大統領を、より穏健で、モラレス元大統領支持層である労働組合や先住民の基盤に訴えかけず、社会主義的な言い回しを用いない人物として、控えめながらも黙認している。

『セントラル・バンキング』誌は、最近(2023年4月)、ルイス・アルセ大統領が米ドル準備金の補充と増加を約束した、と報じた。

忘れてはいけない事実は、MAS(社会主義運動党)の指導者層が、2023年10月4日にルイス・アルセ大統領をMASから事実上追放した、という事実だ。なおMASの指導者層の最高実力者はいまだにモラレス元大統領である。アルセ大統領は、自分が追放されたとは認識しておらず、来たる2025年の選挙においては、MASから2名の候補者が出ることになってしまうだろう。こんな風に投票が二分されてしまえば、間違いなく伝統的に親米の「右翼」である野党PBB(ボリビア進歩計画)にとって有利になるだろう。MASの指導者層の実際の受け止め方は、アルセ大統領がある会議に出なかったことで、自ら党を「出た」というものだった。その会議でアルセ大統領は、MASの綱領を破っているにもかかわらず、党の名前を利用し自分が党員であると主張し続けていることについて弁明すると思われていた。

つまり、いまボリビアにMAS党がふたつあることになる。エビスタス党とアルシスタス党だ。アルセ大統領にとっての課題は、エビスタス党の方が真のMASを支配しており、ボリビアにおいては、MAS党として唯一法的にも実質的にも認められている、という事実だ。 この事実だけは、PPB-CNや伝統的な親米派を含め、国内の他の政治家の間で争点になっていないことが、この問題の深刻さを物語っている。

二つ目のねじれ

このクーデターが展開されたとき、最初の数時間のうちに、そしてクーデターが「阻止」される前に、筆者はテレグラム上の一連の投稿で状況説明を行なっていた。これらの投稿は、ズーニガ将軍やモラレス元大統領が、このクーデターは自作自演である、と主張する前に、筆者が、後に両氏が主張するような説明をしていたことを示している。当時筆者は、クーデター関係者を含め、誰よりも早く、こう書いていた:

(引用開始)
言い換えれば、アルセがこのクーデターを招いたのだ。モラレス元大統領とアルセ大統領は、外貨準備金をドルに戻すことやIMFの問題、2025年の選挙で誰が党の候補者になるかをめぐって対立していた。

党内ではモラレス元大統領の方がまだ力を持っており、数日後の6月28日には、党が次の選挙でアルセ大統領よりもモラレス元大統領を支持することを確定する会議が開かれることになっていた。

アルセ大統領とズーニガ将軍はクーデターを起こすことに合意したのだ。そのクーデターは、名目上「アルセ」に対するものだったのだが、実は本当の標的はアルセ大統領が負けるかもしれないと恐れていた相手、つまりモラレス元大統領だったのだ。

モラレス元大統領はアルセ大統領が米国やその他の西側指導者とどのような協定を結んでいたのか、またモニカ・エヴァ・コパ氏のようなMASの「裏切り者」が関与していたのかを評価しようとしていた。

アニェス氏が主導し、トランプ内閣内のネオコン勢力が支援したモラレス元大統領を追放した2019年のクーデター後の件で、私達を調査したい気持ちにさせるのは、コパ氏の動きについてだ。この人物はMASを離れ、アニェス氏率いるクーデター政府の下で上院議長として、このクーデター政権の正当性を認めた人物だ。ただし、コパ氏はクーデター後の暫定政権の選挙の実施に道をつけることもし、その結果MASはモラレス元大統領がいない形で復権し、「テクノクラート(技術官僚)層」であることが特徴とされるアルセ氏が大統領職に就いた。このアルセ氏については、米国を拠点とする多くの金融関連出版社から「責任感があり」、「偏った主義主張もない」、「MAS内の穏健派勢力である」と賞賛されていた。
(引用はここまで)

繰り返しになるが、覚えておいていただきたい重要なことは、このような考察は、未遂に終わったクーデターの数分後や数時間後に筆者が出したものであり、同日にズーニガ将軍、数日後にモラレス元大統領が同様の発言をするよりも前の時点に出されたものであった、という点である。また筆者は、失敗に終わったこのクーデターの背景についてのいくつかの考察をさらにおこなっていた。

様々な可能性

この「クーデター」をMAS内部でのアルセ大統領とモラレス元大統領間の「威嚇行為」と見ていいだろう。モラレス元大統領とアルセ大統領は6月28日の金曜日に2025年の大統領選に向けた選挙運動と候補者に関して「最終の妥協案」締結にこぎ着けるであろうと見られていた、と内部関係者らや地元報道機関は伝えていた。モラレス元大統領の方が、MAS党内の幹部内や労働組合や農業部門での支持は大きい。筆者の今の見方は、関係者があとでおこなった発言に深く影響を受けている。両者とも大統領選に出馬したとしたら、野党連合が勝つことになるだろう。

もちろん、実際どんな結果が出るかについては、「誰がわかるというのか!」だ。それでも米国がこれまでおこなってきたようなより複雑な方法を理解するため、歴史的かつ思想的な背景を思い起こせば、いま結論を出すことは可能だ。米国は標的にしている国の発展を遮ったり、その国が発展する方向をより好ましい方向にゆっくり変えたりする手法をとってきたのだ。この手法は、進歩的なクーデターといっていいだろう。時間はかかるが、与党内での政策上の相違点を使ってじっくりと弱体化させていく。与党を力ずくで転覆させるといったあからさまな手法を使えば不安定な状況を生み出すような難しい状況において使われる手法だ。具体例をあげると…

アニェス氏はしばしば「右翼」政治家であるとされており、もちろん、クーデター後の1年間の政権を担当した一人としても知られている。同氏がその政権に参加したことが、現在国外追放されている理由となっている。ただし状況はもっと複雑だ。この状況のせいで、本当に起こっていることがわかりにくくなっている。

だからこそ、この混乱におけるコパ氏の役割を調査することが興味深くなってくる。コパ氏はMASの党員であり、アルセ大統領とアニェス氏やアニェス氏の影にいた(米国内の)人々との関係をつなぐ人物であることはまちがいないからだ。

ボリビアが抱えている大問題

ボリビアで起きている大きな戦いには、いくつかの要素がある。
1. 「中央集権主義」対「地方分権主義」 (この問題は大きい。以下の4つの要素は実際、この問題に集約される)
2. リチウムとリチウムを買おうとしているボリビア国外の人々(イーロン・マスクか?)
3. コカイン産業。具体的には、いかに合法化し、いかに規制したり、いかに受け入れてもらえる形(コカイン歯磨き粉や医療用途、ニコチンガムのように、コカイン成分が薄いガムの合法化)でEUに売るか
4. 司法改革
5. 国勢調査

繰り返すが、中央集権主義vs地方分権主義のせめぎあいが、重要な問題なのだ。その短期間の治世において、アニェス氏は地方分権主義を代表し、米国と協働する路線を取っていた。いっぽうモラレス元大統領は、中央集権主義を奉じ、国家主権を推進しようとしている。しかしコパ氏は、名目上はモラレス元大統領/アルセ大統領率いるMASに所属していたが、事実上、地方分権主義に関してアニェス氏を支持していた勢力、(ボリビア側でいえばコスタス氏率いるMDS(オルティス社会民主運動)/UD(民主統一)と連携していた。

説明したように、これら(MDS/UD)は、大規模で確立された右派野党の代表ではない。右派の代表はPPB-CNが担うと思われていたからだ。アニェス氏は2013年くらいからPPBの一員ではなかった。したがって彼女の政治活動はすべて、MDS/UDを通じておこなわれてきた。

MDS/UD はその時の方向性に応じて、左派にも右派にもなる。その理由は、この勢力の真の目的が、地方分権主義であることだ。究極的には、地方分権主義はすべてを変えてしまう。憲法を変え、(地方自治を利用したり、裁判制度を変革することなどをとおして)様々な方向性を可能にし、主要産業における米国/グローバリストからの影響力の拡大を許容する。主要産業とは、コカインとリチウムだ。

実際、MDS (社会民主主義運動)党とUD (民主統一)党は、先住民の権利やゲイの人々の権利、さらには名目上の環境保全主義に基盤を置いて協働している。そしてMASの右派勢力(その主要人物はコパ氏であり、アルセ大統領も影で、ある面においては公然と支援している、とも言われている)とも協働している。

コパ氏はアニェス氏の政権の法的な正当性を保障する手助けをし、アニェス氏が唱えていた「親先住民」や「女性の権利尊重」という政策の裏にいたことはまちがいない。この政策のせいで、世界の人々には、ボリビアで何が起こっているのかについて混乱していた。実はアニェス氏は、軍に命令を出し、モラレス元大統領を追放したクーデターに反対していた先住民の活動家らを攻撃させ殺すことをしていたからだ。

ラテン・アメリカの新右派の姿―ピンク運動*、民主主義の灯火、中道
*LGBTQ+の権利を擁護する傾向を意味することば

アニェス氏が「右派である」という考え方を再考してみよう。野党としての彼女の役割は、実は、歴史的に見た野党右派とは相容れないものだ。アニェス氏はこの伝統的右派とつながりがあることは事実だし、何らかの類似性がある、といっても間違いにはならないだろうが、「野党右派」とアニェス氏は同一ではなかった。

たしかに違う。この今の完全な混乱状態についての最善の説明は、これまで10年以上、ラテン・アメリカ諸国の状況について米国がおこなってきた説明だ。これは、伝統的なラテン・アメリカの右派勢力との決別なのだ。これらの右派勢力は欧州出自の民族意識の高い保守的な富裕層とつながっていたのだが、今の新右派が提唱しているのは、文化的な左派運動やLGBTQ+の権利を擁護するピンク運動であり、先住民の権利拡大を求める示威的な活動などの文化的領域において、より過激な左派と競合している。これらの人々のうちの多くは、ここ何十年のあいだに西側の大学で教育を受け、こんにち「政治的な妥当性」として知られている主題に関する考えをしっかり身につけさせられてきた。

この新右派が訴えかけている相手は、どちらかと言えば成り上がり富裕層であり、本来の富裕層すらいる。これらの階級は、ボリビア在住の欧州出自の人々であり、先住民の権利や女性の尊重などの点において、自分自身を正当化することを望んでいる人々だ。しかし実際の所は、これらの階級の人々はボリビアにおいて、正真正銘のボリビア富裕エリート層が求めているようなボリビアの国家主権に反するような経済政策を推進している。これらの人々は、旅行もし、世界中に友人がいる。時代の精神はラテン・アメリカにおけるあからさまな欧州中心の植民地主義的政治をよしとはしていない。

ラテン・アメリカにおけるこの新たな親帝国主義である右派が、ピンク運動を奉じる「中道左派」であると再定義されることが増えている。もっと正確にこの新右派を表現すれば、「政治的な妥当性」を求めることを特徴とする勢力である、と言えよう。

ボリビアにおける長期にわたる主要な問題は、ボリビアの国家主権に関する問題に集約される。米国は長期戦をとる構えのようだ。具体的には、重力のような弱い力を利用して、時間をかけて状況を変える、という作戦だ。この作戦をとれば、不要な反撃を受けることもぐっと減るだろう。クーデター計画を台無しにできるような作戦だ。

今後新たな情報が入り次第、その状況に応じた適切な分析を必ずおこなう所存だ。
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トランプ暗殺未遂事件の本格的な捜査がおこなわれることはないだろう

<記事原文 寺島先生推薦>
There Will Be No Real Investigation of the Assassination Attempt on Trump
筆者:ポール・クレイグ・ロバーツ(Paul Craig Roberts)
出典:本人ブログ 2024年7月24日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年7月26日


前回の更新以来、マイク・アダムスは再び立場を変えた。彼は現在、最新の証拠に基づいて、銃撃犯は2人いたと考えている。

マイク・アダムスは、7:35頃に複数犯人説は支持できない、と述べて複数犯人説を撤回したが、その後、アダムスは音響証拠の最新の分析に基づいて複数犯人説を支持した。

マーテンソンは狙撃手が2人いたという仮説を堅持している。

明らかに必要なのは、音響証拠を分析できる、信頼性が高く、勇気のある法医学音響資格を持つ専門家である。これは、ジム・ジョーダンやジェームズ・カマーが率いる委員会など、米国議会の委員会によって手配されるべきだ。

FBIと国土安全保障省に、証拠の検証を任せられるはずがない。だからジョーダン議員とカマー議員にとっての課題は、トランプを憎んでおらず、警察の仕事で生計を立てておらず、クルックス以外の別の銃撃犯を見つけた場合に受けるであろう非難に耐えられるほど勇敢でしっかりした専門家を見つけることだ。

民間人なら、音響を分析する勇気と能力のある鑑識の専門家を見つけようと試みることもできるが、その専門家がトランプ嫌いとして知られているのでない限り、銃撃犯が複数人いるという結論は、売女報道機関と支配者層によって、偏った、金で賄われた調査結果であるとみなされ、信用を失うことになるだろう。

だからこそ、これは議会、つまり共和党の仕事なのだ。民主党は、トランプの主張であれば決して真実を支持することはないだろうからだ。

しかし、共和党は責任を果たしているのだろうか、それとも特務秘密警備機構の長であったキンバリー・チートルの辞任とバイデン政権がDEI(多様性・平等・包摂)をもとに特務秘密警察機構の人事をおこなっていたことを暴露したことで満足しているのだろうか?

米国は、新たな暗殺や、9/11 事件についての真実の隠蔽から免れることはできない。今回こそ、真の調査が求められる。行政機関による隠蔽工作は、もう御免だ。FBIや国土安全保障省、特務秘密警備機構による調査はどれも無価値である。これらの機関には真実を語る能力がない。

本当の調査をするのは誰なのか?共和党は、自由を守ることよりも米国の評判を傷つけることを恐れているのか?
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音響証拠は疑いなく、犯人が複数であることを明らかにしている

<記事原文 寺島先生推薦>
Acoustic Evidence Proves Beyond All Doubt More Than One Shooter
筆者:ポール・クレイグ・ロバーツ(Paul Craig Roberts)
出典:本人ブログ 2024年7月21日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年7月26日


私も他の人も、特務秘密警備員によるトランプの警護には驚くべき空隙ある、と指摘してきた。その空隙があまりにも甚だしいため、無能さのせいにはできない。スコット・リッターは、意図的だったとしか説明のしようがないと述べている。

さて、これらの結論は音響的な証拠によって裏付けられている。弾丸が音よりも速く伝わるという事実は、弾丸がマイクを通過してから音が聞こえるまでの時間から、弾丸が発射された距離を計算できることを意味する。その時間差によって、異なる距離が明らかになる。したがって、複数の狙撃者がいたという結論は避けられない

マイク・アダムスが約30分の分析、クリス・マーテンソンも約30分の分析をおこなっている。

マイク・アダムスは、発砲された銃弾は 7 発で、そのうち5発はクルックス容疑者の位置から、残りの 2発はそれより遠い2か所からだった、と結論付けている。

マーテンソンは、トランプに向けて発射され上段の男性を撃った銃弾は上向きの軌道を描いて飛んでおり、クルックスがいた建物の最上階から発射されたものではないことを示唆している、と指摘している。

最初の銃撃は簡単に識別できる。その後の銃撃のいくつかはエコーが掛かっており、聞き取りには注意が必要だ。

アダムスとマーテンソンはどちらも適切な報告書を提出している。両者とも、分析には資格のある独立した法医学専門家が必要であり、武器の口径がわかれば結果の精度を高めることができると述べている。私が言ったように、弾丸が誠実で信頼できる当局によって収集されたことを願おう。

ロバート・F・ケネディ暗殺事件の音響分析の専門家は、口径の異なる2種類の武器が発砲されたことを明らかにした。この点については疑いの余地はないが、公式見解は依然として「単独犯による犯行」である。

アメリカの売女報道機関は、この分析事実を「陰謀論」と決めつけ、公式の説明を真実として支持するだろう。

しかし、現時点では、FBIやCIA、国土安全保障省、NSA、売女マスコミへは、信頼を全く持てない。誰も彼らの言うことを一言も信じるべきではない。

動画はこちら:
https://www.brighteon.com/a2ec2cff-0d92-4870-9629-e1fa9eb3fb09
https://x.com/bennyjohnson/status/1814398580154872092

警備の不備と音響証拠に加え、特務秘密警備はドローンカメラも準備していなかった。カメラで撮影しなかった唯一の理由は、クルックスや他の銃撃犯が明らかになってしまうためだ。

民主党や民主党を通じて活動するディープ・ステートがドナルド・トランプの暗殺未遂の責任追及を免れる唯一の方法は、共和党が、トランプに対する政府の陰謀を認めることは分裂を招くか、米国にとってあまりにも恥ずかしいことであるという理由で何もしないことだ。共和党は、米国の評判を守るために陰謀を隠蔽しなければならない、と主張するだろう。トランプは、殺人犯に責任を負わせて国を分裂させるのではなく、国を統一しなければならない、と言われるだろう。善と悪がどのように結びつくのかを説明する人は誰もいないだろう。
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トランプ大統領とディープ・ステイトとの間の対立の核心は階級的矛盾

<記事原文 寺島先生推薦>
The Deep State against Donald Trump
筆者:エドゥアルド・バスコ(Eduardo Vasco)
出典:StrategicCulture Foundation 2024年7月7日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年7月26日


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「トランプ氏には、最高裁にMAGA*に好意的な多数派がおり、連邦下級裁判所や連邦議会、州議会、知事公邸にも多数の支持者がおり、大規模で、カルト的な忠実心を持った、重武装した政治的支持者の基盤もあるので、彼はかなりの余裕があり、支持者も多い」と、6月10日に掲載されたフォーリン・アフェアーズ誌の記事は述べている。ジョン・D・マイケルズの署名記事だ。
*トランプ氏がよく使う言葉。Make America Great Again

筆者が恐れているのは、トランプ主義が独自のディープ・ステートを構築しており、それがトランプ氏の政権復帰とともに強化される可能性があることだ。西洋の知識人の伝統的な分析家は、北米や西ヨーロッパに属さない国々を、極端に官僚的で、腐敗した、非民主的な政権として特徴づける傾向がある。これらの国々では内部の陰謀が権力闘争の一形態として支配している、と。しかし、実際のところは、この特徴付けは、ここ数十年の米国にも完全に適合している。米国は、世界最大かつ最も強力な国家官僚機構の1つを持っている。LGBTや黒人に対する懸念は忘れてほしい。アメリカで権力を支配している人々は、これらの人々の権利や権利の欠如を気にしない。彼らに関心があるのは、もっと根源的なこと、すなわち、政治体制の厳格な管理を維持することなのだ。

そして、トランプ氏は、その支配に対する危険な脅威になっている。トランプ氏は大統領職に権力を集中させる傾向があり、諜報機関や国防機関に対する介入と統制の権限が大きくなる。彼は最初の任期の過ちから学び、今では信頼できる人々だけを重要な地位に配置するつもりだ―そして、彼が政府の主要分野のトップのほとんどを交代させる可能性がある。3月20日にリサ・ブルックス*が掲載した別のフォーリン・アフェアーズの記事は、トランプ派のプロパガンダと共和党議員がリベラル派とされる軍将校の昇進に対する拒否権を行使することによりアメリカ軍の政治化が進むことに懸念を表明している。だから、ペンタゴンの幹部たちも、トランプが政府に戻るという考えを嫌っている。そして、ペンタゴンの将校は、常に、武器製造会社の階級の中から選ばれているが、彼らは、米国がアジアやヨーロッパから軍事基地や軍隊を撤退させる可能性を懸念している。なぜなら、彼らの利益は、まさにアメリカ政府やその属国に対する物資の販売から来ているのだから。CIAや国家安全保障会議のようなディープ・ステートの他の組織も、軍事産業の幹部や、アメリカ合州国と世界の大規模な技術的、金融的独占をまとめているシリコンバレーやウオール街の幹部を送り込んでいる。トランプ氏はまた、ジョン・ケネディ暗殺に関する秘密ファイルを開くこともできると宣言しており、それによって、CIAと、その殺害に関与している可能性が高いディープ・ステートの腐敗についてもう少し明らかになるだろう。
*歴史家、作家。マサチューセッツ州のアマースト大学教授

トランプは、本当のアメリカ政府であるディープ・ステートに対して前例のない再構成を行なう可能性がある。彼は米国帝国主義の最悪の本能にたてつこうとしているのだ。

トランプとアメリカを動かしている機構との間の対立の核心は、階級の矛盾だ。この場合は、ブルジョアジー、中産階級、プロレタリアート階級という周縁化された層と、帝国主義の高級ブルジョアジーとの間の矛盾である。

ジェフリー・ソネンフェルド氏は、アメリカの著名な上流社会学者で、アメリカ最大の資本家たちと日々仕事をしているが、この矛盾を報道記事で強調している。ニューヨーク・タイムズ紙で、彼は、フォーチュン誌の上位100人の億万長者の誰ひとりも、トランプの大統領選挙キャンペーンに1ペニーも寄付していないことを強調した。2016年に寄付をしたCEOはゼロで、2020年でもトップ100人のうち2人しか寄付しなかったのだ。さらに、2016年にトランプ氏に資金を提供した多くの実業家たちは彼の政権時代に船を放棄した。

共和党のリーダー(トランプ氏)を支持する金融業者も数人いるが、「実際には、これらの金融業者はビジネス界のごく一部を代表しているだけだ」とソネンフェルド氏はタイム誌に記している。

この情報と主要マスコミのキャンペーンから、アメリカの上流ブルジョアジーがトランプ氏を支持していないことは明らかだ。ではしかし、誰が彼を支持しているのだろうか?

トランプの政治的立場を見てほしい。彼は保護主義者で、孤立主義者で、反移民だ。彼はグローバリゼーション(世界一極化)を攻撃し、アメリカの国内情勢を処理し、他国の問題への介入を減らすことを約束しているが、それは世界の帝国主義体制にとって深刻な打撃を意味する。世界中でこの体制に対する反乱が起こっているときには、その深刻さはなおさらである。

移民の入国を妨害することは米国労働者の賃金率を上昇させるだろう。米国に入国する移民が非常に低い賃金を受け取ることを受け入れ、米国労働者の平均給与を低下させるからだ。だからこそ、大企業の人々は、移民との競争で低賃金を維持するために、トランプの移民政策を攻撃する。多くの労働者がトランプ氏を支持するのは、当然のことながら賃金の向上を望んでいるからだ。

トランプ主義の内部には左翼さえ存在する。イタリアのファシズムやドイツのナチズムに存在したのと同じだ。これはまさに、何十年にもわたる新自由主義、産業空洞化、伝統的な民主党と共和党の政府から激しく苦しめられてきた、政治的意識がほとんどない無秩序な労働者の影響によるものだ。NYT紙とタイム紙の両記事で、ソネンフェルド氏は、トランプの経済政策は、共和党の伝統的な立場よりも社会主義左派の経済政策にはるかに似ており、「そして、しばしばバイデン政権よりもはるかに進歩的である」と述べている。

大企業は、全国民から、そして両党のメンバーの間でさえ、非常に不人気なのだ。だからバイデンですら、彼らを批判し、彼らが嫌う措置を取らざるを得なかった。米国内で大きな力を持つ部門でさえ経済における独占企業の支配の影響を受けた。独占企業が権力の周辺に留まっていた実業家の競争を抑制したからだ。実際、そのような少数派が統治すれば、社会の裕福な階層でさえも害を受けることになるのだ。そして、彼らは自分たちの生活やビジネス活動がNSAにスパイされたり、外国の、主に中国の生産者との競争によって顧客を失なわされ、破産させられそうになったりすることを好まなかった。

近年、米国は、電子機器、ビデオゲーム、機械、繊維、化学品、金属など、いくつかの分野で中国に依存するようになった。つまり、この問題は主に製造された製品に関連している。悪名高いトランプ氏の支持者であるイーロン・マスク氏の企業は、中国のインターネットおよび電気自動車会社の競争相手だ。多数の企業やビジネスマンを包含するこの巨大なビジネス分野全体は、トランプ氏が米国は中国や他の国々との競争から身を守る必要があると言ったときに同意する。そのため、彼らはバイデン政権に対して、高い関税と制裁を課し、投資を制御および禁止し、Tik Tokを禁止する寸前まで、歴史上最も反中国になるように大きな圧力をかけた。地政学的な領域では、バイデン政権はおそらく中国に対して最も攻撃的であり、台湾をめぐる米国との戦争の脅威にさらされている。多くの人は、アメリカの主要な地政学的敵国は、テロリズム、イランやロシアではなく、むしろ中国だと理解している。中国のアメリカ国内市場への浸透により、産業、技術、政治スパイ活動と、アメリカの覇権に挑戦する権力の経済的強化が生み出されている、という非難の声が噴出している。

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西側は、ゼレンスキーの後釜を模索中

<記事原文 寺島先生推薦>
West looking for Zelensky replacement – Russian intel
ウクライナ支援諸国は、ウラジミール・ゼレンスキー大統領に対するウクライナ国内の不満が高まっていることを懸念している、とSVR(ロシア対外情報庁)が指摘
出典:RT 2024年7月11日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年7月25日


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2024年6月7日、ベルギーのブリュッセルでのウラジミール・ゼレンスキー大統領 © Getty Images / Pier Marco Tacca


ウクライナを支援している西側諸国は、ウラジーミル・ゼレンスキー大統領の後任を探す努力を強化している、とロシア対外情報庁(SVR)の工作員が機密指定が解除された報告書で主張した。この報告書はロシア対外情報庁(SVR)の雑誌『ラズヴェーチク(「偵察」という意味のロシア語)』の最新号に掲載された。

「ストーン」という偽名を使った工作員によると、米国とEUは、長引く紛争とそれを終結させることができない現指導部に対して、ウクライナの住民の間の「不満が高まっている」こと、特に昨年5月のゼレンスキー大統領の任期満了後にそうなっている状況を「非常に懸念している」という。

「ストーン」によると、西側諸国は、ゼレンスキー大統領が「キエフ政権と西側の武器メーカーの双方に莫大な収入をもたらす戦争資金計画に関係している」ことから、当面は大目に見るだろうが、同時に適切な後任を探す努力を強化している、という。

この工作員によると、西側諸国はすでにペトロ・ポロシェンコ前ウクライナ大統領とヴィタリー・クリチコ・キエフ市長、そして以前『タイムズ』紙がウクライナの事実上の支配者と評したゼレンスキー大統領の大統領府長官のアンドリー・ヤーマク氏に接触しているという。ゼレンスキーの後任候補には、ウクライナの元軍最高司令官ヴァレリー・ザルジニー将軍と、ウクライナ議会の元議長ドミトリー・ラズムコフ氏も名を連ねている、と「ストーン」は主張している。

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「これらの人物は、前線の状況が急激に悪化し、緊急に指導者の交代が必要になった場合に求められる可能性がある。そうなれば、すべての失敗をゼレンスキーのせいにして、彼らの中から一人を選ぶことが可能になるだろうからだ」とこの工作員は述べた。

さらに、米国とEUにとって、ウクライナ政権の指導者に対処する際の焦点は現在、「親欧米政策の失敗に対するウクライナ国民の失望が決定的に高まるのを防ぐこと」だとこの工作員付け加えた。

5月末以来、ゼレンスキー大統領の地位に正当性があるかについて争点となっているが、同大統領は戒厳令を理由に大統領選挙の実施を否定している。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は先月、ウクライナの西側支援者たちは、ゼレンスキー大統領が必要な「不人気な決定」をすべて押し通したら、同大統領を政権から解任するだろう、と予測した。 プーチン大統領はベトナム訪問中の記者会見で、ゼレンスキー大統領が政権にとどまっているのは、まだ用済みになっていないからだ、と述べた。

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5月に発表されたSVRの報告書では、米国とEUが実施した非公開の世論調査として、紛争初期には80%を超えていたウラジーミル・ゼレンスキー大統領への支持率が17%に低下し、現在も下がり続けている、という。
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日本、凍結されたロシア資産を使ってウクライナに数十億ドルを送金へ

<記事原文 寺島先生推薦>
Japan to send billions to Ukraine using frozen Russian assets – media
ロシア当局は、同国の国家資金の固定化は違法であると考えている。
出典:RT 2024年7月17日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年7月25日


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岸田文雄首相とウクライナのウラジーミル・ゼレンスキー大統領、スイス、ビュルゲンシュトック、2024年6月15日。 © AFP / アレッサンドロ・デラ・ヴァッレ


共同通信は水曜日(7月17日)、外交筋の話として、日本政府は西側諸国の制裁の一環として凍結されたロシア資産の収益を原資として、ウクライナ政府への5200億円(33億ドル)の融資を負担することになるだろう、と報じた。

この数字は、6月にイタリアで開かれた主要7カ国首脳会議で合意された巨額融資の約6%に相当する。G7首脳らは、凍結されたロシア資金の利子を使って、ウクライナ政府の武器購入と破壊されたインフラ再建を支援する500億ドルの融資をおこなうことで合意した。

共同通信は外交官らの話として、日本当局は年末までに財政支援の負担分を実行するために必要な手続きを急いでまとめるだろう、と報じた。

G7財務相と中央銀行総裁は、今月下旬にリオデジャネイロで開催されるG7会合で、米国とEUがそれぞれ200億ドル、日本、英国、カナダが合わせて100億ドルを融資する融資パッケージを承認する準備を整えている、と報じられている。

西側諸国は、2022年にウクライナ紛争が激化した直後に、ロシア中央銀行の資産約3000億ドルを凍結した。凍結された資金のほとんどはEU内で保管されており、主にベルギーに拠点を置く預託・決済機関ユーロクリアに保管されている。

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5月、EUは凍結資産から生まれた臨時利益をウクライナの復興と軍事防衛に充てる計画を承認した。合意では、収益の90%はEUが運営するウクライナ軍事支援基金に充てられ、残りの10%は他の方法でウクライナ政府を支援するために充てられる予定だ。

今月初め、ウクライナのルステム・ウメロフ国防相は、ウクライナ政府は資金を防衛力の強化と製造業者の支援に使うと述べ、資金の大半は弾薬や防空システムの購入に充てられる、とも付け加えた。

ロシア政府は西側諸国の措置を非難し、ウクライナ政府への軍事支援は紛争を長引かせるだけだ、と強調した。ロシアはまた、自国の資産凍結を非難し、資産の利用は明らかに「窃盗」だとみなすとして警告した。

クレムリンのドミトリー・ペスコフ報道官は今年初め、ロシアの政府資金の没収は危険な前例となり、西側経済体系の「棺桶に打ち込む堅い釘(確実な命取り)」となるだろうと述べた。同報道官は、ロシアはこうした動きに対し、自国の資産を流用する団体に対して訴訟を起こすことで必然的に報復する、と語気を強めた。
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ロシア語禁止で、エストニアの教師の20%が失職の怖れ

<記事原文 寺島先生推薦>
Most teachers in Baltic state fail language test after crackdown on Russian – media
エストニア、教育課程からロシア語を段階的に廃止することを公約
出典:RT 2024年7月11日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年7月25日


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© ゲッティイメージズ / クラウス・ヴェドフェルト


デルフィ・メディア社の報道によると、6月のエストニア語の語学試験に合格したのは、エストニアの教師の20%未満にすぎなかった、という。バルト三国の一国であるエストニアが、ロシア語話者に対する取り締まりを実施する中、この結果は新学期を前に教育の専門家の不足を引き起こす可能性がある、とのことだ。

エストニア当局は、教員らに対し、8月1日までに語学力の評価を受けるよう命じている。2年前に採択されたエストニア語教育への移行計画に基づき、ロシア語を用いて教員として勤務し続ける意思のある教師は、エストニア語の言語運用能力が、B2レベルまたは優秀段階でなければならず、エストニア語を用いて教えたい教員は、エストニア語の運用能力の上級段階(C1)の語学証明書を取得しなければならない。

デルフィ・メディア社は、6月にB2レベルの語学能力試験を受けた教師395人のうち、合格したのはわずか90人、つまり22.7%だった、と報じた。いっぽう、C1試験の合格者はわずか70人、つまり18%だった。

この結果は、エストニアの学校が来年度、最低限の語学力要件を満たす教師の不足に直面する可能性があることを意味している、と報じられている。

エストニアのクリスティーナ・カラス教育大臣はデルフィ社に対し、政府は今週後半にこの問題について協議する予定である、と語った。また、同省はB1レベルの能力試験に合格した教師に1年間の契約を提供し、B2レベルの試験に合格したら新しい契約に置き換えることができる、とも付け加えた。カラス大臣はまた、A1レベルの能力しか達成していない教師やエストニア語を学んでいない教師にはそのような機会は与えられない、とも述べた。

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2022年の法案では、エストニア全域の学校と幼稚園でエストニア語が教育言語となる。改革は2024~2025年度に実施され、2029年までに完了する予定。今年初め、エストニア議会はロシア語教育への資金提供を停止する計画を発表した。

ロシア系民族はエストニアの全人口のほぼ4分の1を占める。昨年、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は、同国の新しい教育法は、「教育における民族的および言語的少数派の権利に影響を及ぼす制限的で差別的な措置となる可能性がある」ことを示唆した。

ロシア政府は、エストニアと他の2つのバルト諸国、ラトビアとリトアニアが嫌露政策を推し進めている、と繰り返し非難している。今年初め、ラトビア政府は、同国の学校では2026年から初等教育における第2外国語としてのロシア語の授業を段階的に廃止し、EU公用語に置き換える、と発表した。
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ラトビアで人権侵害。ロシア国旗を窓に掲げただけで3年の投獄

<記事原文 寺島先生推薦>
EU state jails citizen for supporting Russia
活動家のエレナ・クレイレ氏は、窓に親ロシアの旗を掲げたとしてラトビアの裁判所から懲役3年の判決を受けた。
出典:RT 2024年7月11日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年7月25日


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活動家エレナ・クレイレ氏© LTV Ziņu Dienests


ラトビアのリガ市裁判所は、親ロシア派活動家のエレナ・クレイレ氏に対し、ロシア政府とそのウクライナ軍事作戦を公然と支持した罪で懲役3年の刑を言い渡した。

ヤウンス通信が報じた裁判所の文書によると、検察は当初、クライレ被告に禁錮3年半を求刑していた。同被告は、ラトビア刑法の大量虐殺の公的正当化、人道と平和に対する罪、戦争犯罪に関する条項に基づいて正式に起訴された。

クレイレ氏は3月、ソ連風の革製トレンチコートを着て、ベレー帽に赤い花をつけていたことで逮捕された。当初は「行政違反の手段」となる服装をしていたとして罰金を科されたが、検察はその後、昨年自宅の窓に親ロシアの象徴を掲げたことでロシアによる大量虐殺を支持した罪でも彼女を起訴した。

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検察官は特に、クレイレ氏がロシア国旗やロシアのリボンを掲げたことを問題視した。その一部には「神はラトビアを守護する」や「プーチンは私の友人」と書かれたものもあった。報道によると、彼女は他にもロシア国旗と同じ色のレンガの山をラトビア国旗に似たリボンで巻き、「ラトビアとロシアの揺るぎない友情の礎」というメッセージを刻んだものなど、いくつかの展示をおこなっていたという。

クレイレ氏は無実を主張し、判決に対して控訴した。ヤウンス通信によると、次回の審理は9月11日に予定されている、という。

昨年、この活動家は、ロシアとラトビアの国旗を店の窓に掲げ、ロシアへの支持を表明する衣服やアクセサリー、特に「Z」の文字が印字されたハンドバッグを身に着けて公の場に何度も現れたとして、同じ容疑で罰金と執行猶予付きの懲役刑も受けた。Zの文字は、ロシア政府によるウクライナ軍事作戦としばしば関連付けられる文字である。
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なぜ2024年の選挙を想定するのか?アメリカの1934年「銀行家のクーデター計画」再考

<記事原文 寺島先生推薦>
Why Assume There Will be a 2024 Election? America’s 1934 “Bankers’ Coup Plot” Revisited
筆者:マシュー・エレット‐カンプ(Matthew Ehret- Kump)
出典:Global Research 2024年7月15日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年7月25日

[初出2022年。2024年7月14日に更新]


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今週末にトランプ大統領が暗殺されそうになったことは、巨大なシステム崩壊と熱核戦争の脅威が高まる中、2024年の選挙に臨む上で非常に重要なことを思い出させてくれる。現段階では、トランプの支持ネットワークの中に危うい人物がいるにもかかわらず、トランプほど現在の危機に対処する資格のある一貫したリーダーシップの資質を示した人物はいない。

最近のCanadian Patriot Reviewの映画(「なぜ2024年の選挙を想定するのか?」というエッセイに基づく)を再考するのは時宜にかなっていると思った。この映画では、1929年の金融システムの組織的な破壊、ウォール街とロンドンが煽動した1930年から1934年のファシズムと優生学の「経済的な奇跡的解決」、FDRと金融寡頭政治のロンドンやウォールストリートの触手との戦いの物語など、この濃密な歴史の時代が紹介されている。この視点から、私たちはスメドレー・バトラーという人物と、彼の勇気ある共和国擁護に深く踏み込むことになる。




なぜ2024年の選挙を想定するのか? アメリカの1934年「銀行家によるクーデター計画」再考

筆者:マシュー・エレット‐カンプ、2022年7月19日

今週初め、ドナルド・トランプ前大統領は2024年大統領選への出馬を表明した。共和党の潜在的な候補者の間でトランプの支持率が49% (対するデサンティスは25%) で、7%を超える候補が他にいないことを考えれば当然のことだ。

2022年国防権限法 (HR-4350) が下院を通過するのに2日もかからなかった。「国防権限法」により、大統領はすべての国内作戦において軍を完全に統制することができ、米国内のすべての「国内過激派」を直接標的とすることになる。

明らかに、高齢のため政治的に危うい立場に追い込まれたバイデン政権は、控えめに言っても揺らいでおり、1933年のドイツ国会議事堂放火事件が、新たに選ばれたヒトラー政権が軍事的な「権限委任法」を施行するための口実を提供したことを思い起こさせる。

危機の嵐が今、私たちの窮地に陥った世界(経済崩壊、エネルギー危機、食糧危機、内戦と世界規模の戦争の全般的な危険)に集中している今、選挙で代表者を決める時代がまもなく終わるかもしれないという非常に現実的な可能性を考える価値がある。2024年の選挙を多くの論客がまるでフットボールの試合のように騒ぎ立てているが、今現実に起こっていることやこれまでの歴史からすれば、この社会は選挙により決されるものではなく、米国内と海外の両方で銀行家たちが指揮した軍事クーデターにより決されてきたことがわかる。


この危険を最もよく理解し、それを回避する方法についての洞察を得るために、私は、1932年から1934年にかけて国際的なディープ・ステート(闇の政府)がアメリカ人にファシスト独裁を強要し、さらにはJPモルガンが資金を提供した軍事クーデターによってフランクリン・ルーズベルトの選出された政府を転覆させようとした企てを再考することを提案する。

ファシスト経済という奇跡的解決策

1932年から1934年というのは、世界が深刻な恐慌に陥った歴史的な時期であり、ヨーロッパやアメリカの人々は、「ファシズム」として知られる新しい統治システムの「経済的奇跡の解決策」にその答えがあるとメディアから聞かされた。

この「ファシストによる経済的解決策」は、ナチズム、フランコ、ムッソリーニの協調組合主義、そして後に*ヴィシー政権となるものの急速な台頭とともにヨーロッパで定着した。イギリス領カナダでは、社会再建連盟が1932年に政権を握る準備ができており、フランス語圏カナダはナチスに触発されたアドリアン・アルカンの政党を時を移さず受け入れていた。王室を中心とする英国の支配階級はナチズムを全面的に支持し、オズワルド・モズレー卿の英国ファシスト連合はこれまで以上に急速に台頭していた。これらの運動はすべて異なった様相を呈していたが、それは政府の冷徹な功利主義哲学や優生学(人種差別的な人口管理の「科学」)への熱心な思い入れ、そしてシティ・オブ・ロンドンとウォール街の金への依存の下で結びついていた。
*ヴィシー政権・・・第二次世界大戦中における、フランスの政権。この時期はフランス共和国という呼称が停止され、フランス国と言う呼称が用いられた。フランス中部の町、ヴィシーに首都を置いたことから「ヴィシー政府」、「ヴィシー・フランス」ともいい、この政権下の体制を「ヴィシー体制」と呼ばれていた。(ウィキペディア)

しかし、アメリカにおいては、事態はそれほど順調には進展していなかった。

フランクリン・ルーズベルトの台頭

ウォール街の金融エリートたちが、4年前、現組織体制に見切りをつけていたにもかかわらず、人々はまだ理性を保っていたので、タイム誌から聞かされていたファシズムという解決策を受け入れることはできなかった。その代わりに、1932年、国民は数少ない反ファシストの大統領候補の一人に投票した。フランクリン・ルーズベルトが、金貸しを権力の座から追い出し、立憲政治を復活させるというテーマで当選したのだ。

1933年3月4日の大統領就任演説でFDRはこう述べている:

悪徳銀行家たちの行為は、人々の心と精神によって拒絶され、世論の法廷で起訴されています。確かに彼らは努力してきましたが、彼らの努力は擦りきれた伝統的な手法から抜け出ていません。信用の失墜に直面して、彼らが言えるのはさらなる融資だけです。国民を偽りの指導者に従わせるために利益で誘導することもできず、彼らは自信の回復を涙ながらに訴え、今度はお説教です。彼らは利己主義世代の決まりしか知りません。彼らには見通しがなく、見通しがなければ人々は滅びてしまいます。銀行家たちは文明の殿堂から逃げ出しました。私たちは今、その高殿を古代の真実に復元することができます。回復の尺度は、単なる金銭的利益よりも崇高な社会的価値をどれだけ適用するかにあります。


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「FDRの有名な100日」の間、国を支配していた「経済王党派」に対して全面戦争が宣言された。*ペコラ委員会の形で銀行に対する監査と調査が行われ、ヨーロッパのファシスト政党に数十億ドルを費やした最大の金融機関は解体され、*グラス・スティーガル法の下で投機は抑制された。一方、銀行業の新しい形態は、実質的な雇用を創出し、国の生産的な労働力を増加させる生産的信用と長期的な公共事業という形で、アメリカの憲法上の伝統により沿ったものとなった。
*ペコラ委員会・・・1929年のウォール街暴落の原因を調査するために、1932年3月4日に米国上院銀行通貨委員会によって設置された。この名前は、捜査の4人目で最後の主任弁護士であるフェルディナンド・ペコラを指している。金融業界での不正行為を暴露したことで、規制強化への幅広い世論の支持が高まった。その結果、米国議会は1933年のグラス・スティーガル銀行法、1933年の証券法、1934年の証券取引法を可決した。(ウィキペディア)
*グラス・スティーガル法は、1933年に制定されたアメリカ合衆国の連邦法である。連邦預金保険公社設立などの銀行改革を含む。いくつかの条項はレギュレーションQのような投機の規制を行うように設計されていた。(ウィキペディア)

1933年3月4日の就任式の前ではあったが、フランクリン・ルーズベルトがフロリダで暗殺未遂事件を辛うじて免れたことを多くの人々は全く知らないままである。その事件では5人が銃弾に打たれ、シカゴ市長がその傷がもとで3週間後に死亡した。市長の死から数日以内に、暗殺者ジュゼッペ・ジンガラはすぐに「一匹狼の殺し屋」とレッテルを貼られ、彼とフリーメーソンとのつながりについて本格的な調査を受けることなく処刑された。しかし、これは、その年の後半に大統領を打倒するためにウォール街の金融業者が開始することになるさらに大きな戦いの前兆にすぎなかった。この企ては、スメドリー・ダーリントン・バトラー(Smedley Darlington Butler)という愛国的な海兵隊員の勇気ある介入によってなんとか止められた。

バトラー将軍とは?

1881年に愛国的なクエーカー教徒の家庭に生まれたスメドリー・バトラーは、米国史上最も多くの勲章を受けた軍人となり、その中には今日までその記録か残っているものもある。数々の名誉勲章や陸軍功労章、海兵隊のブルベ勲章(ほんの一部を挙げるだけでも)などだ。

第一次世界大戦として知られる、イギリスが画策した肉弾戦が終わるころには、将軍は活動的な愛国者となり、アメリカの戦争主導経済を牛耳る民間金融業者を糾弾する演説をアメリカ全土で行なっていた。1933年8月、退役軍人を前にして将軍はこう語った:

私は33年間、大企業、ウォール街、銀行家のために働く上級ボディガードとして過ごしてきました。要するに、私は資本主義のゆすり屋だったのです・・・1909年から1912年にブラウン・ブラザーズの国際銀行のためにニカラグアを浄化する手助けをしました。私は1916年にメキシコ、特にタンピコをアメリカの石油権益にとって安全なものにするのを助けました。ハイチとキューバをナショナル・シティ(銀行)の連中が収入を集めるのにふさわしい場所にするのを手伝いました。私はウォール街の利益のために中央アメリカの6つの共和国をレイプするのを手伝いました・・・中国では、スタンダード・オイル社が妨害されず我が物顔に振舞うのを手伝いました・・・私は暴れまくったのです。私は名誉や勲章を与えられ、昇進もしました。アル・カポネにヒントを与えたかもしれません。彼にできることは、せいぜい3つの都市で大騒ぎすることでした。(しかし)海兵隊の活動場所は三大陸です。


ウォールストリートのエリートたちは、バトラーによる縁故資本主義に対する率直な批判にもかかわらず、すべての兵士たちにはそれに応じた相場があると考えていた。そしてバトラーは、おそらく、十分な分け前をもらっていないことで、憤慨しているだけなのだろう、と。

ウォールストリート一揆が始まった

これら金融業者たちは、交付金があると何年も前に約束されて戦ってきた第一次世界大戦の退役軍人たちの怒り(交付金は1929年に始まった「大恐慌」のためどこかへ飛んで行ってしまったのだ)をアメリカ全土に広める人物としてバトラーのような人物を必要としていた。何十万人もの不満を持った経験豊富な兵士たちの力は、ルーズベルトを倒すためにまさに必要だったのだが、指導者が決定的に欠けていた。バトラー将軍はその任務にぴったりの人物だった。彼は戦争の英雄であり、退役軍人たちから尊敬される人物として見られていた。彼は最適の人物だった。

JPモルガンのグレイソン・プレヴォスト・マーフィーの指導の下、在郷軍人会の2人の代表(ビル・ドイル団長と債券セールスマンのジェラルド・マクガイア)が1933年7月、バトラーに在郷軍人会の退役軍人を集める仕事を持ちかけ、より大きなクーデター計画をほのめかし始めた。バトラーは不審に思ったが、この計画がどこまで権力の階段を上っていくのか確かめるために、その計画に付き合い続けた[1]。

その後数ヶ月の間にバトラーは、ジョン・ピアポント・モルガン・ジュニアを中心とするアメリカの金融エリート、ハリマン家、メロン家、ウォーバーグ家、ロックフェラー家、デュポン家などが陰謀の中心にいることを突き止めた。これらの人物は、モルガン系列の債券セールスマンであるジェラルド・マクガイア、民主党の支配者であるジョン・W・デイヴィスとトーマス・ラモント(ともにモルガン・ハウスの取締役職を占めていた)、ロバート・スターリング・クラーク(シンガーミシンの財産相続人)、グレイソン・プレヴォスト・マーフィー、ハリマン一族の投資銀行家プレスコット・ブッシュといった代理人を使っていた。これらの人物は皆、ヨーロッパのファシズムへの「投資家」として知られるようになり、『フォーチュン』誌や『タイム』誌(両誌とも長年にわたってムッソリーニを大々的に宣伝していた)を含む最大のメディア基盤を所有し、産業の舵を握っていた。

幸いなことに、1932-1934年のペコラ委員会は、これらの勢力が大恐慌の立役者であることを公に暴露し、その勢力が大衆の支持と同情を得ることを少なからず困難にした。

委員会の調査結果をペコラはこう公表した:

間違いなく、この小さな金融組織は、経済活動の源泉を支配しており、アメリカ国内のどの組織よりも大きな実権を握っている。



バトラーの内部告発

時期を見て、バトラーは1934年11月20日に調査を開始した非米活動特別委員会(マコーマック・ディクスタイン委員会)に接近して内部告発を行なった。マッカーシズムの共産主義魔女狩りの下で愛国的な人々を破滅させるとの評判を作った非米活動委員会とは異なり、初期の非米活動委員会はFDRと連携し、アメリカにおけるナチスの活動を特定することだけに専念していた。

当初は将軍の主張に懐疑的であったが、委員会は1ヶ月にわたる調査の過程ですぐにすべてを立証し、1934年12月29日にFDRと議会に調査結果を公表した。公聴会で貴重な証言となったのは、バトラーが自分と銀行家たちとの仲介役を務めるために雇ったジャーナリスト、ポール・コムリー・フレンチの証言だった。

バトラーは同委員会にジェラルド・マクガイアがつぎのように述べたと語った:

もう一人の閣僚、つまり大統領府の細部を引き継ぎ、大統領の肩の荷を降ろすような人物を承認するのに、憲法改正は必要ないだろう」。そして「ムッソリーニがイタリア国王にしたことと同じことをわれわれは大統領に対しておこなうだろう」とも。


ジャーナリストのポール・コムリー・フレンチがマクガイアにクーデターが失業問題をどう解決するのかと尋ねると、彼は次のように答えた:

共産主義者から国を救うためには、ファシスト政権が必要なのです・・・それは、ヒトラーが失業者全員を労働キャンプ、つまり一時収容施設に入れるのに使った計画です。強制労働です。そうすれば失業問題は一晩で解決します。


完全な書き起こしは公開されなかったが、バトラーはできるだけ多くのジャーナリストに自分の話を伝えることで国民へのメッセージを伝え、1935年に国民へのメッセージを完全な形で聴けるように録音した。



暴露の余波

この暴露は、ペコラ委員会の調査結果と以前の失敗した暗殺未遂とともに、FDRにアメリカのディープ・ステートを服従させるために必要な砲弾となった(少なくともしばらくの間は)。私が最近の論文で概説したように、中央銀行独裁を阻止するためのFDRの戦いは、彼の大統領就任初期に始まり、1945年4月14日の臨終まで続いた。

驚くべきことに、1934年の衛生無害なものに編集された報告書が公開された後、この委員会は解散した(後にファシストの指令で再編成されることになる)。そして何千ページにも及ぶ公聴会の記録は数年間埋もれたままになり、公式には21世紀になってから公開された。その内容はここにある(訳注:現在は削除されている)。検閲された証言は朱色に染められている。

クーデター計画者たちは、1934年8月22日にアメリカ自由連盟と呼ばれる新しい組織をすぐに結成し、その後10年間FDRのニューディール政策を妨害した。この組織は枢軸国と米国との同盟をやっきになって促進しようとし(1941年の真珠湾攻撃まで)、優生学に広く資金を提供し、FDRの死後、冷戦中の米国のマッカーシー警察国家の原動力となった。米国体制の中心部にあるこのファシストのディープ・ステート作戦を理解しなければ、「協力する主権国家世界」というFDRの見通しを破壊した、マニ教的冷戦二元論を理解することは不可能であろう。

この組織はまた、アメリカ企業協会、ヘリテージ財団、CATO研究所などのシンクタンクを生み出し、オーストリア学派経済学をアメリカ派の一部にしていった。過去60年間に「ネオコン(新保守主義)」と呼ばれる怪物フランケンシュタインを生み出したものを理解したいと望む人は、アメリカ自由連盟とその地獄の卵の役割を理解せずにはそれほど遠くまでは行けないだろう。

今日、1兆5000億ドルのデリバティブ・バブルの新たなシステム・メルトダウンは、1929年の「大恐慌」や1923年のワイマールのハイパーインフレと類似している。新型コロナウイルスがこの新たな爆発の引き金になるかもしれないし、ならないかもしれないが、一つだけ確かなことがある。新たなファシストのクーデターと全面戦争は、これまで以上に深刻に受け止めるべきものだということだ。

*
この記事は当初Matthew EhretのInsightsに掲載された。
Matthew EhretはCanadian Patriot Reviewの編集長、モスクワのアメリカン大学のシニアフェロー、Rising Tide Foundationの理事を務めている。著書にUntold History of Canadaシリーズ3巻、Clash of the Two Americasシリーズ4巻がある。彼はTNTラジオのConnecting the Dots、Badlands MediaのBreaking History、Rogue NewsのThe Great Gameの司会を務めている。



[1] 在郷軍人会は1919年にウォール街の資本で設立され、初期にはファシスト組織として運営されていたため、今日知られている退役軍人の温和な組織とは全く異なる獣のような組織だった。在郷軍人会のアルビン・オウスリー司令官は、1921年に「必要なら、アメリカ在郷軍人会は、ファシストがイタリアを脅かす破壊的な勢力に対処したのと同じように、我が国の諸機関とその理想を保護する準備ができています。今日のイタリアにおけるファシストは、アメリカにとっての米国在郷軍人会と同じであることを忘れないでください」と述べ、このことを明確にした。

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ブラックロック関連企業が、射撃事件の前にトランプ氏関連株を空売り

<記事原文 寺島先生推薦>
BlackRock-linked firm shorted Trump stock ahead of shooting
オースティン・プライベート・ウェルス社は、提出時の事務的な間違いである、と主張
出典:RT 2024年7月18日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年7月23日


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2024年7月13日、ペンシルバニア州バトラーでの暗殺未済行為の後、トランプ氏を警護する特別秘密警備員ら © Anna Moneymaker / Getty Images

テキサス州に拠点をおく投資会社であるブラックロック社は、米国の大統領選挙候補者に対する暗殺未遂事件の前に、トランプ・メディア&テクノロジー・グループ社(DJT)の1200万ドル相当の株を空売りしようとしていたことを否定し、事務的な間違いにすぎない、と主張した。

空売りとは、借り手が今後価格がおちるであろうと考える有価証券を借り、その後公開市場で売却する行為を指す。その後、同じ株を買い戻し、うまくいけば以前の売り値よりも安い値段で買うことができ、借りた株を仲介者に返すことで差額収入を得る、というものだ。

土曜日(7月13日)のペンシルバニア州バトラーでのトランプ氏の演説中に、暗殺者がトランプ氏の頭部めがけて数発発砲し、その銃弾がトランプ氏の耳をかすめ、聴衆の一人が亡くなり、2名が負傷した。

その前日、オースティン・プライベート・ウェルス株式会社(APW)という会社が、米国証券取引委員会(SEC)にDJTの1200万株の売却を申請していた。外部の観察者には、まるでトランプ氏が亡くなってしまうことを見越してこの会社の価値が劇的に下がると考えた賭けに出たようにとられる行為だった。

一人のX(旧ツイッター)上の探索者は、ブルームバーグ・ターミナルという金融の動向を示すサイトかAPW社が売却を行なったことを示すスクリーンショットを入手したが、その日のうちにそのサイトからAPW社の名前は消えていた。

また、オースティン社が投資管理会社のバンガード社やブラックロック社の基金を大量に保有していることを指摘し、ジョージ・ソロスやロスチャイルド家ともつながりがあると主張する者もいた。

ブラックロック社とのつながりがあったとされる疑惑がさらに深まったのは、銃撃犯とされる人物がかつてこの投資大手企業のコマーシャルに出演していたことが発覚したからだった。ブラックロック社はこの暗殺未遂事件の後、その広告を撤回し、この銃撃犯を「忌まわしい」「ひどい」と非難した。

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水曜日(7月17日)、APW社は自社のホームページ上に声明を投稿し、噂を否定しようとした。

「米国証券取引委員会(SEC)の書類によると、オースティン・プライベート・ウェルス社が大量のトランプ・メディア&テクノロジー・グループ社(DJT)株を空売りしたということですが、これは間違いであり、その間違いに気付いたのちに、弊社は迅速に補正しました」と同社は説明した。

APW社が保有していたDJT社株は12枚、つまり1200株であり、「誤って提出された」とされた1200万株ではないと同声明は説明し、すべてのオプション契約を1万倍掛けした「第三者販売業者」を非難している。この報告書は、6月28日の同社の立場を反映して7月12日に提出されたが、APW社が問題に気づいた7月16日に修正された。

「弊社は、この誤りとそれが引き起こした懸念を深く遺憾に思います。わが国にとってこのような困難な時期には、特にそうです」と同社は述べ、それがどのように起こったかを理解するために「社内手続きの見直しをおこなっています」と付け加えた。

DJT株を空売りした人は誰でも後悔するようになった。バトラー銃撃事件後の最初の取引日、同社の株価は1株あたり31.25ドルから46.17ドルに跳ね上がり、その後37ドルをわずかに上回る水準で安定している。
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イスラエル国民の大半がネタニヤフ首相の辞任を望んでいる ― 世論調査

<記事原文 寺島先生推薦>
More than 70% of respondents said the prime minister should step down immediately or when the war in Gaza is over
回答者の70%以上が、首相はただちに退陣するか、ガザでの戦争が終わったときに退陣すべきだと答えた。
出典:RT 2024年7月3日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年7月23日


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ベンヤミン・ネタニヤフ首相の退陣と人質の返還を求めて集まったデモ参加者(2024年7月7日) © Getty Images / Mostafa Alkharouf/Anadolu


チャンネル12が金曜日(6月28日)に発表した世論調査によると、イスラエル国民の4分の3近くが、10月7日のハマス攻撃における政府の失態を理由に、ベンヤミン・ネタニヤフ首相の辞任を望んでいる。

「首相は退陣すべきだ」と答えた72%の回答者のうち、44%が「即刻退陣すべきだ」と考え、28%が「イスラエル国防軍(IDF)がガザでの軍事作戦を終了した後に辞任すべきだ」との意見だった。

イスラエル市民は、ガザでの戦争が勃発して以来、ネタニヤフ首相に対する抗議集会を繰り返し開催し、その多くが停戦を求め、ハマスが拘束している残りの人質を取り戻すよう政府に求めている。

昨年10月7日、ハマスとそれと同盟するパレスチナ武装勢力は、イスラエルの軍事基地や村落、農村を奇襲した。多くの場所で、イスラエル国防軍は不意を突かれたように、すぐに圧倒され、市民は身を守るか逃げるしかなかった。

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関連記事:イスラエル国防相、10月7日の調査を要求

イスラエルのメディアは、この攻撃を「衝撃的な諜報の失敗」と表現した。チャンネル12は、イスラエル軍はガザとの国境で信号システムを適切に維持するのに失敗したと報じた。ニューヨーク・タイムズ紙は11月、イスラエルの情報機関と軍当局者が、ハマスによる10月7日の侵攻計画を1年以上前に入手していたが、実行するには非現実的すぎると考えていたと報じた。

木曜日(6月27日)、ヨアブ・ギャラン国防相は、10月7日(2023年)の襲撃に対応できなかったことについて調査する国家委員会を設置するよう政府に要請した。しかし、ネタニヤフ首相は、そのような調査は戦争が終わった後でないとできない、と主張している。
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「軍に入隊するくらいなら我々は死を選ぶ」:超正統派ユダヤ教徒ハレーディは毅然と徴兵を拒否

<記事原文 寺島先生推薦>
‘We’d rather die than enlist’: Haredi Jews vow to defy conscription
イスラエル高等法院の判決により、超正統派ユダヤ人に対する数十年来の兵役免除が覆され、何千人もの人々が国家と自分たちの共同体が選出した政治家たちに対して激怒することになった。
出典:972MAGAZINE  2024年7月2日
筆者:オーレン・ジヴ (Oren Ziv)
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2024年7月23日


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2024年6月30日、エルサレムで、イスラエル軍への強制徴用に反対する抗議行動中、火が燃えるのを見つめるハレーディの男性。(オーレン・ジヴ)


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筆者オーレン・ジヴ(2024年7月2日)


日曜日(6月30日)の夜、数千人の超正統派ユダヤ教徒がエルサレムでデモを行い、ハレーディの若者をイスラエル軍に徴兵することを命じた先週の重大な高等法院の判決に反対した。過去10年間で最大の徴兵反対集会はいくつかのハレーディ派を団結させ、その支持者たちは「我々は敵軍に入隊しない」、「シオニストとして死ぬよりはユダヤ人として生きる」、「軍隊ではなく刑務所に」、「シオニズムはユダヤ人を人間の盾として使う」、その他ヘブライ語や英語で書かれた批判的なスローガンを掲げた。

抗議者たちは、ハレーディ派の政治指導者2人を乗せた車を攻撃し、ゴミ箱を燃やし、フェンスや交通標識を地面からはぎ取ろうとした。警察は騎馬警官や警棒、そして「スカンク悪臭液」を詰め込んだ放水銃を使って強制的に解散させようとしたが、幼い子どもを含む残りのデモ参加者の多くは、この液体の強力な噴射に大喜びで耐えていた。一握りの抗議者が逮捕された。

イスラエルが建国されて以来、超正統派は兵役義務を免除されてきたが、この政策は長い間、政治的・法的に論争の的となってきた。ハレーディの男性はトーラー*の研究に人生を捧げているため、その共同体は徴兵を自分たちの生活様式に対する攻撃と見なしている。最近の抗議行動の先頭に立ってきた、より強固な反シオニストの宗派にとって、イスラエル軍に従軍することは、彼らの見解と相容れない。救世主(メシア)の到来以前に建国された国家(イスラエル)は非合法であると考えているからだ。
*トーラー:ユダヤ教の聖書における最初の「モーセ五書」のこと。また、それに関する注釈を加えてユダヤ教の教え全体を指す場合もある。 トーラーはヘブライ語で書かれており、「教え」という意味を持つ。 ラビ・ユダヤ教においては二重のトーラーという観念があり、口伝トーラーのことも意味する。ウィキペディア

しかし、ガザ紛争の中で、超正統派の若者の徴兵を求める声がかつてないほど高まっている。約6万人は兵役年齢にあり、多くのイスラエル人は入隊しないことは市民権の義務に違反すると考えている。ハレーディ系ユダヤ人を軍隊から免除してきた長年の法律が失効した後、高等法院は6月25日、ハレーディ系ユダヤ人は徴兵されなければならないと満場一致で裁定し、学生が入隊しない宗教学校 (イェシヴァー) に政府が資金を提供することを禁じた。「過酷な戦争のさなか、不平等の重荷はかつてないほど厳しく、解決を求めている」と判決は述べた。

ヘブライ語のメディアは、抗議する派閥を「過激派」と表現し、軍を崇拝するユダヤ・イスラエル社会の大多数との関係において、彼らは確かに過激である。しかし、日曜日(6月30日)の集会で彼らは、反乱に参加するために超正統派の広範な連合を 動員するだけでなく、街頭に膨大な数を動員する能力があることを示した。

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2024年6月30日、エルサレムで、イスラエル軍への強制徴兵に反対する抗議中、イスラエル警察が発射したスカンク水に打たれるハレーディ系ユダヤ人


「我々はトーラーにかけて妥協はしない」

徴兵制との闘いを超えて、日曜日(6月30日)の抗議はイスラエルの超正統派社会における権力闘争の兆候を示した。

クネセト(イスラエル国会)のハレーディ派政党である統一ユダヤ教とシャスは徴兵制に反対し、高等法院の判決を非難したが、一部で予想されていたような、議員退職をちらつかせたり、デモへ参加することはまだしていない。ハレーディの宗教指導者たちはまた、これら自分たちが後押しする国会議員たちが何年にもわたって、ハレーディ共同体からの新兵の数を徐々に増やすことになる年間徴兵制の考えに同意してきたことに怒っている。

この共謀に対する怒りを示すために、デモ隊たちは、イスラエルの住宅建設大臣であり、統一トーラー・ユダヤ教内のアグダト・イスラエル派の代表であるイツハク・ゴールドクノフの車を石とプラカードで攻撃し、警察はやむなく彼を救出することになった。デモ隊は後に、同じくアグダト・イスラエル派のヤーコフ・リッツマンの車を攻撃した。

超正統派のメア・シェアリム地区のメイン広場で行なわれ、近くの通りにあふれたこの集会には、アシュケナージ*とセファルディ**の指導的ラビを含むハレーディ・ユダヤ教の中心的人物が何人か参加した。セファルディの指導的ラビは、3月、兵役免除が万一失効するようなことになれば、ハレーディ・ユダヤ人は集団でイスラエルを離れるだろうと警告していた。
*アシュケナージ:ドイツおよび東欧に居住していたユダヤ人。
**セファルディ:中世にスペインとポルトガルに居住したユダヤ人の子孫。これらのユダヤ人は、キリスト教徒の迫害により1492年にスペインを、1497年にポルトガルを追われた。(英辞郎)

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2024年6月30日、エルサレムで、イスラエル軍への強制徴兵に反対する抗議行動中に襲撃されたイツハク・ゴールドクノフ住宅建設相の車を守る警察。(オーレン・ジヴ)

ほとんどの演説はイディッシュ語で行われ、超正統派の大衆に向けられたものだったが、セファルディ系イェシヴァー*の代表であるポラト・ヨセフ師はヘブライ語で演説し、クネセトのハレーディ派を攻撃した。「これらの愚か者たちが妥協したがっているのは、ハレーディ大衆のためなのか? 私たちはトーラーの所有者ではありません。トーラーにかけて妥協はしません。」。
*イェシヴァー:イスラエルの地、バビロニア地方においてタルムードを学ぶ場所。学塾・学院とも翻訳される。各地のタルムード学習のための施設。「神学校」と翻訳されることもあるが、キリスト教的な意味での神学の学びの場ではない。 ウィキペディア

その後、エルサレムのハレーディ評議会として知られている派閥の代表であるラビ・モーシェ・スターンブーフがイディッシュ語で「私たちは当局に一つのことを要求します:私たちを放っておいて、トーラーに従って生活させてください。これは私たちにとって何よりも大切なものです! 私たちは一人の若者のことにでも妥協はしません。たとい、牢に連れて行かれようと、私たちはあきらめません。私たちは聖なる方の奴隷だからです。聖なる方に祝福あれ」と話した。


「これは宗教戦争です」。

アシュケナージ系のイェシヴァーに通う21歳のセファルディ学生エリヤフは、日曜日(6月30日)のデモで本誌+972に、「強制徴兵」の賦課に抗議するために、兵役に代わる市民的選択肢である国民奉仕を始めることを拒否するかもしれないと語った。「列車はすでに駅を出発しました」と彼は述べ、以前に徴兵制に同意して徴兵制の基礎を築いたハレーディ党を非難した。「しかし、抗議者たちは(すでに出発した列車が動けなくなるように)線路を取り壊しています」。

「(超正統派)大衆の大多数は、控えめに言っても、ハレーディ党の行動に満足していません」とエリヤフは続けた。「なぜあなたがたはそこ (政府) にいるのですか? そんなことをしても答えが出せるわけではありません」。

実際には、アシュケナジュ系ユダヤ人の前にセファルディ系ユダヤ人が徴兵される可能性が高いとエリヤフは考えている。「超正統派の中でも、敬虔な超正統派 [アシュケナジュ系] で、軍隊に精通している者はほとんどいない」とエリヤフは述べた。「セファルディ系ユダヤ人の中には、より軍に親近感を持っている人がいます。親戚に入隊した人がいて、兵士とは何かを知っているので、彼らの軍への入隊はずっと敷居が低いのです」。

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2024年6月30日、イスラエル軍への強制徴兵に反対する抗議デモに参加する数千人のハレーディ・ユダヤ人。(オーレン・ジヴ)

反シオニストのネトゥレイ・カルタ*教団のメンバーであるエルハナン・イスラエルは、日曜日(6月30日)の抗議活動の最前線にいたときにスカンクスプレーで攻撃された。「警察は私たちが暴力で説得されると思っているが、彼らは私たちの息子を徴兵することには成功しないだろう」と同氏は+972に語った。「徴兵制よりも深刻なことがここで起こっている:それは宗教戦争であり、彼らは私たちを征服しようとしている。彼らは私たちを(軍隊で)必要としていないと思います。彼らは人間に対して戦っているのではなく、イデオロギーに対して戦っていることを理解していません」。
*ネトゥレイ・カルタ:いかなる形式のシオニズム及びイスラエル国家に反対しているユダヤ教超正統派の組織で、1938年に設立された。『ガーディアン』紙に拠れば「超正統派の中の超正統派」のグループであり、超正統派の中でも原理主義であるとされている。ウィキペディア

エルハナン・イスラエルは、超正統派の政治家たちを「高度な嘘つき」と表現し、「彼らに勇気があれば、『政府を去るぞ — 対処しろ』と言うはずだった」と付け加えた。

彼はまた、ハレーディ系ユダヤ人に戦争への参加を要求しているイスラエルの主流派に反論した:「これは私たちの戦争ではありません。ハマスと呼ばれるテロ組織と、イスラエルのシオニスト国家と呼ばれるテロ組織との戦争です。ハマスは私たちを殺そうとしています;シオニストとその政府は、左派であろうと右派であろうと関係なく、私たちからトーラーを奪おうとしています。これも一種のテロです。世俗派は、兵士が殺されたとき、私たちはお菓子を配ったり踊ったりしないことを理解すべきです。すべての人間の心は痛みますが、これは最初から私たちの戦争ではないのです」。

エルハナン・イスラエルは昨年、ネトゥレイ・カルタの代表団としてヨルダン川西岸のジェニンを訪れ、パレスチナ人囚人バッサム・アル・サーディの家族に会った後、逮捕され、起訴された。インタビューの後、彼は帽子を脱ぎ、その内側にパレスチナの国旗に「パレスチナ系ユダヤ人」と書かれたステッカーが貼ってあるのを見せた。このとき、他のデモ参加者の何人かが彼に怒りをぶつけた:「お前は人殺しを支持しているのか!」と一人の若者が叫んだ。「私には(占領地に)友人がいます」とエルハナン・イスラエルは答え、私に言った: 「今のところ、神は私たちに(国家を)お与えになったのではなく、彼ら(パレスチナ人)に(国家を)お与えになったのです」。

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2024年6月30日、エルサレムでのイスラエル軍への強制徴兵に反対する抗議で、帽子の中に親パレスチナのステッカーを貼っているエルハナン・イスラエル。 (オーレン・ジヴ)

strong>「1年前であればだれ一人ハレーディ系ユダヤ人を軍に入隊させようとは思いませんでした。しかし、今ではそれが喫緊の国民的課題になっているのです」 超正統派ジャーナリストのエリ・ビタンによると、徴兵反対はイスラエルのハレーディ社会を統一する核心的な問題だ。彼はそれを、同じく歴史的に徴兵を免除されてきたイスラエルのパレスチナ市民の立場になぞらえている。

「ラビたちはもはや統一されていません」と彼は説明した。「宗教研究も、世俗的な社会との隔離もそうではありません。ハレーディ派の人々の中にはハイテクで働いたり、混合コミュニティに住んだりする人もいます。成人してからハレーディ派の家庭で育った人は、誰も軍隊に足を踏み入れないというのが唯一の結びつきです」。

高等法院の判決はハレーディの人々に衝撃を与え、「強制的な徴兵制だけでなく、予算の凍結もあります。まず、入隊しなければならないイェシヴァーの学生の奨学金はもちろん、保育所への補助金や財産税にも影響があります。これは一家族あたり数千シェケルに達する大きな打撃です。国民を震え上がらせています」と彼は続けた。

ビタンによると、超正統派政党は今、窮地に陥っている。「彼らは好きなだけ高等法院に文句を言うことができるが、最終的には、彼ら自身の過ちなのです。2018年以来、立法措置を講じようとする動きは何回もありました・・・それが実現していれば今回のような劇的転回は避けられたかもしれないのです」。

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2024年6月30日、イスラエル軍への強制徴兵に反対する抗議デモに参加する数千人のハレーディ系ユダヤ人。(オーレン・ジヴ)

ハレーディ派の政党は、この問題の解決を急ぐ必要はなく、現在のような完全な右派連合が最終的にはこの問題を議題から取り除くだろうと考えていた、と彼は説明した。しかし、戦争、そしてガザで戦っている兵士の多くの死者数は、会話を完全に変えてしまった。「1年前であればハレーディ系ユダヤ人を軍に入隊させようとはだれ一人思いませんでした。しかし、今ではそれが喫緊の国民的課題になっているのです」。


「我々はあらゆる人のために戦います」。

高等法院の判決に続く最初の大規模な徴兵反対デモが、超正統派の都市ブネイ・ブラクで先週木曜日(6月27日)に行なわれた。何百人もの若者が幹線道路を何時間も封鎖した;警察は彼らを解散させようとしたが、最終的には諦めて抗議行動の継続を許した。

20代後半の男性アブラハムは、数人の友人とともに抗議行動に参加した。「私たちは今、ユダヤ教の存在やイェシヴァーの存在、そしてトーラーの存在のために戦っているのです」と彼は+972に語った。「だから、彼らがイェシヴァーの学生を(軍隊に)入れようとするとき、私たちはそれを許しません。私たちは街頭に出ます。戦います。それが私たちの思いを表現する唯一の方法だからです」

「私たちは入隊する前に死ぬ覚悟があります」と彼は付け加え、ハレーディの徴兵反対デモではどこでも見られるスローガンを繰り返した。「ここ(イスラエル)は背教の国だ。ここは背教の国だ。ユダヤ教の名において発言しているが、そうではない。だから私たちは入隊する前に喜んで刑務所に入るのです。神のお力添えがありますように」。

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2024年6月30日、エルサレムで、イスラエル軍への強制徴兵に反対する抗議行動中、イスラエル警察が放ったスカンク水に打たれるハレーディ系ユダヤ人。(オーレン・ジヴ)

段階的な採用枠の考え方を否定し、アブラハムは挑戦的だった。「神の助けがあれば、イェシヴァーの学生は入隊しません。5,000人も3,000人も、一人だって。私たちはすべての人のために、すべてのユダヤ人の魂のために戦います。我々は(高等法院の判決を)認めません。この国(イスラエル)全体を認めません」。

イスラエル・クラウス (44) は+972に対し、自分の子供たちを軍に送るつもりはないと語った。「これは私たちの宗教に対する(攻撃)です」と彼は言った。「彼らは私たちを嫌っています。彼らは私たちが無宗教になることを望んでいるのです。シオニスト運動全体は、すべての宗教的なユダヤ人を無宗教にするために作られました。彼らは、正統派ユダヤ教徒がどんどん成長していることを見ています。モサドの幹部の一人は、これはイラン(の脅威)よりも悪い問題だと言いました。だから1ミリも譲れない、絶対に譲れないのです」。

オーレン・ジヴはフォトジャーナリストであり、Local Callの記者であり、写真集団Activestillsの創設メンバーでもある。
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左翼・右翼両派からの「新しいポピュリズム」の台頭によりマクロンの「中道派」の防疫線が崩壊。フランス革命の再来か

<記事原文 寺島先生推薦>
“Operation Jupiter” and a revolution in the making
筆者:アラステア・クルック(Alastair Crooke)
出典:Strategic Culture Foundation 2024年7月15日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年7月22日


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左翼・右翼両派からの「新しいポピュリズム」の台頭により「中道派」の防疫線が崩壊した。
*ジュピター作戦とは第二次世界大戦末期、連合国側がフランスのオレロン島(ドイツ側に残された最後の拠点だった)の奪還を狙い、成功した作戦のこと。

ブリュッセルの特権階級層は長い安堵のため息をついた。フランスの右派は阻止されたのだ。市場は満足げに肩をすくめた。「同じままでいるためには、すべてが『変わる』必要がある」。中道派の政府は道を見つけるだろう!と。

マクロンは、中道派の戦術的防衛線を敷くよう命じ、両極の政治的立場を妨害することで、右派と左派の「ポピュリスト」をうまく阻止した。そして、その戦術的封鎖は成功した。

「右翼」のルペン党は、得票率32%のうち125議席を獲得した(議会のわずか22%)。左翼は得票率26%のうち180議席を獲得し、マクロンの「アンサンブル(合奏)」連立政権は得票率25%のうち159議席を獲得した。

しかし、どの政党も政権を握るのに十分な議席を持っていない(通常は240から250議席必要)。これが成功と見なされるなら、それは間違いなくピュロスの勝利*だ。左翼は無政府主義者から現代版レーニン主義者まで、さまざまな反対派から構成されており、メランションが率いるその中核はマクロンの中道派や不満を抱いているル・ペン派支持者らと決して協力しないだろう。
*払った犠牲と勝利して得たものが釣り合わない、すなわち割りに合わない勝利のこと

歴史家マキシム・タンドネットは、マクロンが大失敗以外の何かを成し遂げたと考えるのは、出来事の壮大な誤解だ、と述べている。

「ジュピター作戦は最悪の結末に陥った。完全な行き詰まりだ」

この議会の混乱から機能する政府を形成することは不可能だ。(マクロンは敗北した首相の辞任を拒否し、暫定的に留任するよう求めている。)

サン=シール陸軍士官学校の元研究部長、アンリ・フーデは次のように述べている。

「フランスで革命が起こりつつあることに誰も疑う余地はない。通常の国家や福祉国家を維持できるようにする支出は財源をはるかに上回っており、経済成長や課税によって大幅に増やすことはほとんど不可能である…

「国家が収支を合わせる唯一の方法は、借金を増やすことだ。借金を支えられるようにする唯一の策は、金利を極めて低くすることだけだが、何よりも重要なのは、ユーロとドイツ国債(10年国債の信用格付けが高い)との特権的なつながりのおかげで、お金を「無から」無限に発行できる能力だ。」

これらの制度が廃止されれば、「金融関係者は、フランスは公務員の給与を約3分の1削減するか、公務員の数を3分の1削減し、全員の退職年金を5分の1削減しなければならない、と見積もっている。これは明らかに実現不可能だ」。

「現実には、予算と貿易赤字が債務に偽装されているため、30年前に国の通貨切り下げによって債務問題は解消されていたはずである。しかし、この債務策略は(ますます富裕層に利益をもたらしている)…一方で、一般大衆はバラ色の夢の中で不平を言い続け、財政状態について無知のままである…とはいえ、支配階級は状況を十分認識しているが、誰も何をすべきかわからないため、それについて話すことを好まない。」

「現実問題として、諸国家が破産を宣言する真実の瞬間が現れることに、疑いの余地はない…西洋は根底から揺さぶられ、シャンパンのコルクが弾けるような国も出てくるだろう。経済は再編されなければならない。おそらく文化革命も起こるだろう。フランス革命を引き起こしたのはフランス国家の破綻だったことを忘れてはならない…」

「しかし、なぜこれ(金銭の浪費)がいつまでも続くことができないのかと疑問に思う人もいるかもしれない。それはこれから明らかになるだろうが、まだその時ではない。」

「いまや、破産宣告が下される前から、制度への信頼は失われている。権威と威信を失った公的機関の無力さ、そして大統領への嫌悪感は、この大失敗が明らかになったときに解き放たれるであろう衝撃の力を予見させる。フランスでは「ギリシャ型」の結末は起こりそうにない。我々は何か他のものに賭けた方がよいだろう(インフレ抑制とユーロの切り下げ?)。」

もちろん、フランスだけではない。「ユーロ体制は、ユーロ加盟国に財政的に賢明で『高潔』であることを強いるはずだった。しかし、全く逆のことが起きた」。ドイツの健全な信用により、他のEU諸国はドイツの特権的な格付けに大きく「依存」し、EU全体の国家債務水準を人為的に低く抑えることで、無限の債務にふけることができた。

米ドルの優位性が続く限り、ユーロの優位性も維持されるはずだ。ただし、ウクライナ戦争が何よりもまずドイツの産業を破壊している。フランスはすでにEUの過剰赤字是正手続きに直面している。他のEU諸国も同様だ。ドイツは債務停止をかけており、400億ユーロの削減をしなければならない。ユーロ圏のほとんどで緊縮財政が進行中だ。

このリベラルな債務ピラミッドの頂点にある米ドルは、西側の「ルールに基づく秩序」とともに崩壊しつつある。世界の地政学的戦略上の「プレート」、そして文化的な時代精神は変化しつつある。

簡単に言えば、マクロンがうっかり明らかにした問題は解決不可能だ。

「この新たな精神を『新しいポピュリズム』と呼ぶこともできるだろう」と米国の作家ジェフリー・タッカーは書いている。

「それは左翼でも右翼でもないが、過去の両者から主題を借りている。いわゆる「右派」からは、人々は自分たちの生活や地域社会の中で、権力者を信頼するよりも賢明な意思決定を行う能力が高いという自信を得ている。古い左派からは、新しいポピュリズムは言論の自由や基本的権利、企業や政府の権力に対する深い疑念を求める声を得ている。」

「権力を握って地位を確立した特権階級層に懐疑的になるという主題が重要な点だ。これはあらゆる分野に当てはまる。政治だけの問題ではない。報道機関や医療、裁判所、学界、その他あらゆる上位分野に影響を及ぼす。そして、これはどの国でも同じだ。これはまさにパラダイムシフト(劇的なシステムの変化)に相当する。一時的なものではなく、実質的なものであり、おそらく永続的なものと思われる。」

「ここ4年間に起こった出来事は、何十年もの間に蓄積されてきた不信感(および特権階級層の非合法性に対する感覚)の大衆的な波を引き起こした」。

哲学者マルブランシュは、その著書『道徳論』 (1684)の中で次のように書いている。「人はすべてを許すことができるが、軽蔑だけは受け付けない」と。

「職務を果たさない特権階級はエリート主義者と呼ばれる。その行為は不当で乱暴に思われるが、さらに重要なのは、その存在自体が侮辱であることだ。これが憎悪の源であり、競争心が嫉妬に変わり、嫉妬が復讐心に変わり、結果として戦争が起こる原因になる。」

ではどうすればいいのだろうか?

米国の秩序を回復し、反対意見を黙らせるためには、NATOの勝利が必要とされた。

「現在、NATOにとって最大の危機と最大の損失は、ウクライナにおいてロシアが勝利することです。我々はこれを許すことはできません」とストルテンベルグ事務総長はワシントンでのNATO記念集会で述べた。

「この戦争の結果は、今後数十年にわたる世界の安全保障を決定することになるでしょう。」

したがって米国政府内の一部の人々は、ウクライナでロシアとの戦争において勝利することができれば、ドル取引に反抗している国々を正気に戻らせ、世界中で西側諸国の優位性を再度十分に確立できるかもしれない、と考えていただろう。

長い間、米国の保護国であることは許容されることであり、有利でさえあった。しかし、もはやそうではない。米国はもはや「恐怖」を与えない。禁忌は崩壊しつつある。ポストモダン期(20世紀後半)の西側に対する反乱は世界規模で起こっている。そして、ロシアを軍事的に打ち負かすことはできないことは世界の大多数にとって明らかである。敗北しているのはNATOのほうである。

ここに、この事業の「中心の穴」がある。バイデンはおそらく、もう長くは生きられないだろう。誰もがそれを分かっている。(訳註:バイデンは7月22日に大統領選挙からの撤退を表明した。)

左翼と右翼に対する防疫措置が崩壊し、国内で政治的支持が危険なほど失われているEU指導者の中には、この戦争を、解決不可能な財政破綻に近づいているEUからの出口と見ている者もいるかもしれない。

逆に、戦争では、あらゆる財政および憲法上の規則が破られる。政治指導者は突如として最高司令官に変身する。

軍隊を派遣し、戦闘機(および長距離ミサイル)を提供することは、意図的により広範囲なヨーロッパ戦争を狙っている、と解釈できる。米国が明らかにルーマニアの F-16 基地の使用を考えているという事実は、ヨーロッパで戦争を引き起こし、沈みつつあるさまざまな大西洋主義の政治的運命を救うための手段として意図されているのかもしれない。

対照的に、ヨーロッパ人(88%)は「NATO加盟諸国は交渉によるウクライナ戦争の解決を推し進めるべきだ」と言っているという明確な証拠があり、西側諸国は「ロシアの弱体化」や「2022年以前のウクライナ国境の回復」などの目標を優先すべきだ、と考えている人は、世論調査対象者のごく少数に過ぎなかった。

むしろ、欧州の国民は圧倒的に「戦争激化の回避」や「核保有国間の直接戦争の回避」といった目標を支持していることが示されている。

どうやら、もっとありそうなのは、ヨーロッパで抑圧されていた反戦感情が爆発し、最終的にはNATOそのものの拒絶につながる可能性もあるということだ。そうなると、トランプはNATOに対する姿勢で、開かれた扉を押し開けることになるかもしれない。
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トランプ暗殺未遂事件の12日前、BBC司会者が彼の暗殺の呼びかける

<記事原文 寺島先生推薦>
BBC presenter calls for Trump to be assassinated
この発言は、共和党の大統領候補の最有力候補(トランプ)の刑事責任が連邦最高裁判所の判決によって免責を認められたことを受けてのものだった。
出典:RT 2024年7月2日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年7月22日


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ジョージア州アトランタで行われたジョー・バイデンとの大統領選討論会でのドナルド・トランプ。 © Getty Images / ジャスティン・サリバン / Staff


BBCの司会者デイヴィッド・アーロノヴィッチ氏が、X(旧ツイッター)への投稿でドナルド・トランプ前米大統領の「殺害」を呼びかけた。 アーロノビッチ氏はその後、反発を受けてメッセージを削除し、「風刺に過ぎなかった」と主張した。

英国国営放送のラジオ4番組『The Briefing Room』の司会を担当しているアーロノビッチ氏は、月曜日(7月1日)にこうツイートした:「私がバイデンなら、トランプをアメリカの安全保障に対する脅威だという理由で、急いで殺害させるだろう」と。

この投稿には「#SCOTUS(米国最高裁判所)」というハッシュタグが添えられており、元大統領は公務行為に対する訴追を「絶対免責」されるとする連邦最高裁の判決が月曜日(7月1日)に確定したことが、この発言の引き金になったことを示している。

アーロノビッチ氏はネット上の反発を受けて投稿を削除せざるを得なくなり、そのことをその投稿に続けられた投稿において「極右の群れ」から暴力を扇動していると非難されたためである、と主張した。この司会者は自分のツイートは 「単なる風刺」だったと主張した。

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© X/@JackBMontgomery

月曜日(7月1日)、米最高裁判所は、「三権分立の制度の下で、大統領は憲法上の権限を行使することで訴追されることはなく、その公的行為について少なくとも推定的に訴追を免除される権利がある」との判決を下した。

フォックス・ニュース・デジタルのインタビューで、トランプ大統領は大統領免責に関する判決を「我々の憲法と民主主義のための大きな勝利」と賞賛した。

バイデン大統領は最高裁判決を攻撃し、市民に対して判決に対する「反対」を表明するよう促した。

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米連邦検察当局は、トランプ大統領を2020年の大統領選挙に関する4つの刑事訴追で起訴していた。

最高裁の評決はなお、下級裁判所に、その行為が公式なものか非公式なものかを判断するための証拠調べを行なう権利を認めている。なお、大統領による非公式な行為は、訴追免責の対象とはなっていない。

トランプ大統領は繰り返し、自身への訴追を政治的な動機によるものだとし、バイデン氏とその政権が仕掛けた「魔女狩り」だ、と表現している。
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ネオナチ(アゾフ大隊)によるロシア軍捕虜の虐殺は「万死に値する」と、ロシア元大統領が発言

<記事原文 寺島先生推薦>
No mercy’ for Ukrainian neo-Nazi POW murderers – ex-Russian president
戦争犯罪の加害者には「生きる権利はない」とドミトリー・メドベージェフ氏は述べた。これは、捕虜の処刑の様子を映したと思われる映像がネット上に現れたことを受けての発言だった。
出典:RT 2024年7月16日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年7月22日


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ロシア安全保障会議副議長、統一ロシア政党党首ドミトリー・メドベージェフ氏。スプートニク / エカテリーナ・シュトゥキナ


ロシアの元大統領ドミトリー・メドベージェフ氏は、非武装のロシア兵を殺害したウクライナのネオナチに容赦すべきではない、と述べた。また、それに対する唯一の対応は、全面的な処刑だけだ、と付け加えた。

現在ロシア安全保障会議の副議長を務めるメドベージェフ氏は、アゾフ旅団が月曜日(7月15日)にテレグラムチャンネルで公開したロシア軍兵士の残忍な処刑を映した動画について発言した。ヘルメットカメラで撮られた動画には、非武装の兵士がアゾフの戦闘員とされる人物に「撃たないで」と頼む様子が映っているが、その兵士は至近距離から顔面を数回撃たれている。

ロシアの特殊部隊アフマトの司令官アプティ・アラウディノフ氏は、この事件はジュネーブ条約に違反している、と述べた。1949年に制定されたこの条約の規定では、「武器を放棄した軍人、および病気、負傷、拘留により戦闘不能となった者」は人道的に扱われるべき、とされている。

しかしメドベージェフ氏は、戦争犯罪の加害者には「慈悲」があってはならないため、ジュネーブ条約に言及するのは無意味だ、と述べた。同氏は、ソ連の第二次世界大戦時代の戦争詩人コンスタンチン・シモノフの詩「彼を殺せ」を引用し、捕虜となった軍人を殺害した者たちへの迅速な処刑を求めた。

「ここには善良な人間が入り込む余地はない。ただ殺すだけだ! 私が何度も言及してきたシモノフの詩のように!」とメドベージェフ氏は火曜日(7月16日)、自身のテレグラムチャンネルに投稿した。「おこなわれるべきは完全なる処刑のみだ。選択の余地はない。慈悲などという言葉はない。人道的という言葉も必要ない。恩赦もいらない。彼らには生きる権利はない」とメドベージェフ氏は主張した。

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関連記事:Western mercenaries killed Russian POWs – German medic

彼の発言に同調して、クレムリン報道官のドミトリー・ペスコフ氏も火曜日(7月16日)、ウクライナのネオナチは「滅ぼされるべきです」と述べた。

「ファシストはファシストです」とペスコフ報道官は記者団に語った。「我々は彼らをそのように扱わなければならないし、彼らは滅ぼされなければなりません」とペスコフ報道官は付け加えた。

今月初め、ニューヨーク・タイムズ(NYT)紙は、ドイツの戦場衛生兵の話として、ウクライナのために戦う国際傭兵集団、いわゆる「チョーズン・カンパニー」の構成員らが犯したとされる複数の残虐行為を明らかにした。

NYTが報じたある事件では、チョーズン・カンパニーの構成員が、降伏して助けを求めていたとされる重傷を負ったロシア軍人を殺害した。

ロシアの捜査委員会は、ウクライナのために戦った傭兵部隊による戦争犯罪の疑いについて捜査を行なう、と述べた。

ロシア政府はまた、国際的な諸機関に対し、ロシア人捕虜が処刑されたとされる情報を確認するよう要求する意向を示した。もしそれが確認されれば、「人道法の主要規範と原則に違反し、戦争犯罪に相当する」と、ウクライナによる犯罪担当特使ロディオン・ミロシュニク氏は述べている。
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暗殺未遂事件に関するさらなる考察

<記事原文 寺島先生推薦>
Further Thoughts on the Near Assassination
筆者:ポール・クレイグ・ロバーツ(Paul Craig Roberts)
出典:Global Research 2024年7月16日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年7月22日


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「(特務警備機構が)ライフルを装備した狙撃手が、演説が予定されていた場所の150ヤード(約138メートル)に立ち入ることを許されていた事実は、敵意があったか非常に不能であるかのいずれかだ」。元ネービー・シール(海軍特殊部隊)隊員で米国民間軍事会社ブラック・ウォーター創設者である警備の専門家エリック・プリンス氏談。

特務警備機構(シークレット・サービス)の監視下にあったなかでのドナルド・トランプに対する暗殺未遂事件におけるもっとも悩ましい側面のひとつは、狙撃手が警備されている箇所内で、特務警備機構がおらず、警備員が配置されていない建物内の狙撃をおこなえそうな場所を見つけられると考えていた点だ。

暗殺の意図を持った人物がライフルをもって警備が施された箇所に問いただされることなく現れることが可能だった、とは非常に考えにくい。別の言い方をすれば、職場放棄をしたのではないか、と思わされる。
以下はロシアの通信社RIA-ノボスチ社の記事だ:

「ドナルド・トランプ氏に対する暗殺未遂事件が衝撃的である理由は一つだけだ。それは、この事件の発生日が7月13日であって、それ以前ではなかったことだ。1年前でも3年前でも8年前でもなく。米国のほとんどの支配者層だけではなく、「ワシントンという沼地に巣くう人々」に対しても挑戦してきたこの成り上がり者(トランプ氏)はここ数年ずっと自分の首を危険にさらしてきたのだ。あきらかなことは、「沼地の住人たち」がいま臍(ほぞ)を噛んでいるのは、2016年11月よりも以前に、トランプ氏の殺害を考えなかったことだ。トランプ氏がもたらす脅威を甘く見ていて、大統領選でトランプ氏が勝つとは思っていなかったからだ」

クレムリンのドミトリー・ペスコフ報道官によると、バイデン政権がトランプに関して醸成してきた憎しみの雰囲気が、今回の暗殺未済事件につながった、という。以下のとおりだ。「法的手段や法廷、起訴などの手段を講じて、政界からトランプ氏を排除しようとする無数の行為や、大統領候補者であるトランプ氏に対する政治的不信を抱かせ、同氏を妥協させようとする無数の工作がおこなわれてきたため、トランプ氏の命が危険にさらされていることは、誰の目からもあきらかになっていた」と。

悪と戦うことを誓約したトランプ

「我々は決して恐れない。悪に直面しても信仰心と反骨の精神をもち続ける」。ドナルド・トランプ談

トランプは本当の戦いは、民主党や報道機関、教育体制を支配しているリベラル左派の知識階級、国民を借金返済に隷属させている金融体制の中にいる悪に対するものであることを理解している。

元大統領であるビル・クリントンやジョージ・W.ブッシュ、バラク・オバマ、バイデンだけではなく、トランプ自身も「迅速な対応をした」として特務警備機構に感謝の意を表明したことは、尋常なことではない。少し考えていただきたい。暗殺未遂事件の被害者となったトランプを含む5人の大統領経験者が失態をおかした特務警備機構に対して感謝の意を表明したということは、何らかの組織が存在していたとしか思えない。歴代大統領らからの感謝の意の表明がこれほど迅速に行なわれたということは、トランプに対する計画的な攻撃の仮説を裏付ける事前の組織があったことを示唆している。トランプ自身が、おそらく事前に計画されたこの隠蔽工作に巻き込まれていたことは残念だ。

迅速な対応? 特務警備機構の目の届くところで暗殺者が銃弾を連続して発射し、1人を殺害、トランプの後ろに立っていた2人を重傷にし、トランプを殺害する寸前、わずか0.25インチの差で逃した後の対応のどこが迅速? 特務警備機構が発砲した後になってやっと、特務警備機構が対応したというのに。

大統領候補を守るという責任を完全に果たせなかった特務警備機構が、暗殺を阻止したとしてどうして賛辞を送られるのだろうか?

トランプ大統領の暗殺が失敗したのは、暗殺者が発砲した際にトランプ大統領が頭を逸らしたため、弾丸が標的から外れたためだ。特務警備機構はトランプ大統領の暗殺を阻止するために何もしなかった。

特務警備機構がトランプが倒れているのを見た瞬間、トランプは致命傷を負っていると思われ、オズワルドの時のように、口を割る前に銃撃犯を排除したことがよかった、ということなのか?

今回の暗殺未遂が、ケネディ暗殺の時と同じだった、とは言っていない。ただし、この件に関しては調査が必要だ。

暗殺者が発砲した建物の警備が不十分だったという問題は、特務警備機構と地元警察の間で論争を巻き起こした。特務警備機構側は、射撃がおこなわれた箇所の警備を放置したことは地元警察の責任だ、と主張している。地元警察側は、自分たちは特務警備機構の指示を受けた補助員に過ぎず、この件については特務警備機構側に責任がある、と主張している。地元警察側に現場付近の警備に責任があった、と仮定しよう。特務警備機構はなぜ、警察が職務を果たしたかどうか確認しなかったのだろうか。

最大の謎は、暗殺者が暗殺を成功させるのに最適な場所に自由に近づけたことだ。

まだ思考力のある数少ない米国民の目からは明らかなのは、無能さに目をつぶって特務警備機構を称賛する元大統領たちの声の多さは、それがドナルド・トランプ大統領の命に対する体制側からの攻撃だったことを示唆している、という事実だ。

命を狙われる攻撃を受けて、トランプが方向転換することは期待できない。実際、彼はすでに任務を外れている。彼は国を再び統一するつもりだ、と言っている。そのためには、米国には、米国とその価値観、自由を破壊し、その代わりにソドムとゴモラ*のバベルの塔を建てようとする内部の敵がいないことが前提となる。
*旧約聖書において同性愛や他者への不寛容を理由に紙により滅ぼされた人物

民主党の半分が国境開放とあらゆる性的倒錯の合法化による国家破壊に専心しているのに、トランプはどうやって国を再統一できるのか?トランプは敵と妥協し、団結という偽りの名の下に彼らの政策の一部に関して譲歩するつもりなのか?

妥協するつもりなら、顔から血を流しながら拳を振り上げ、「戦え、戦え、戦え」と叫ぶことに何の意味があるというのか?

トランプは悪を根絶し、消滅させなければならない。この戦いで彼を支援してくれる政府を見つけ、任命し、承認してもらわなければならない。それができなければ、彼は失敗だ。
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イスラエルは占領者である – 国際司法裁判所

<記事原文 寺島先生推薦>
Israel is an occupier – Top UN court
西エルサレムはヨルダン川西岸地区の「事実上の併合」を行なっている、と国際司法裁判所は裁定した。
出典:RT  2024年7月19日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2024年7月21日


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2024 ©年3月20日、イスラエルの入植地イタマールとイーロン・モレの風景 AFP / Zain Jaafar

イスラエルによるパレスチナの土地への入植地の建設はジュネーブ条約に違反しており、「事実上の併合」政策に等しいと国際司法裁判所(ICJ)は宣言した。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、ヨルダン川西岸地区はユダヤ人の土地だと主張し、この宣言を「偽りの判決」として退けた。

裁判所の15人の判事は金曜日(7月19日)、「イスラエルによるヨルダン川西岸地区とエルサレムへの入植者の移送と、イスラエルによる入植者の駐留の維持は、ジュネーブ第4条約第49条に反する」ことに同意した。

拘束力のない勧告的意見を読み上げながら、ICJのナワフ・サラーム委員長は、イスラエルによるヨルダン川西岸地区への入植地建設を「事実上の併合」と表現し、ユダヤ人国家は被占領パレスチナ地域における「不法な」存在を「可能な限り迅速に」終わらせるべきだと述べた。

国際司法裁判所(ICJ)は、国連総会の要請を受け、2023年初頭からパレスチナ占領地に対するイスラエルの「政策と慣行」を調査してきた。2月の一連の公聴会で、パレスチナ自治政府のリアド・マルキ外相は、イスラエルをアパルトヘイトと非難し、パレスチナの土地の占領を違法と宣言するよう裁判所に求めた。イスラエルは公聴会に法定代理人を派遣しなかった。

金曜日の裁定は、イスラエルの入植地に対する国連の姿勢を知らせるものだが、ICJは、この決定を執行する手段を欠いている。

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関連記事:イスラエルは「即時」レバノン攻撃の脅威を問題にする-メディア

「ユダヤ民族は、占領者ではありません。私たちは自分たちの土地の住んでいるのです。占領者ではありません。私たちは永遠の都エルサレムに住んでいるのです。占領者ではありません。私たちはユダヤやサマリヤの先祖の地に住んでいるのです」。 ネタニヤフ首相は、判決が読み上げられた直後の声明で述べた。「ハーグでのいかなる誤った決定も、この歴史的真実を歪曲することはできない。それは、わが国のすべての領土におけるイスラエルの入植の合法性に異議を唱えることができないのと同様である」と彼は付け加えた。

ネタニヤフ氏の強硬派連立パートナーは、さらに厳しい対応を求めている。先週、記者団に対し、ベザレル・スモトリッチ財務相は、もし裁判所がイスラエルに不利な判決を下すのであれば、ネタニヤフは西岸地区と東エルサレム全体を正式に併合すべきだと述べた。スモトリッチはまた、「パレスチナ国家の樹立を阻止する」ために入植地の建設を強化すると約束した。

イスラエルは1967年の第三次中東戦争でヨルダン川西岸、ガザ、東エルサレムを占領した。ヨルダン川西岸地区は3つの地域に分かれており、その領土の5分の1未満がパレスチナ自治政府の完全支配下にある。5分の1強がイスラエルの治安管理とパレスチナの行政管理下にあり、残り(領土の約60%を占める)はイスラエルの完全な支配下にある。

2000年のオスロ合意で「エリアC」と指定されたこの後者の地域に、イスラエルは入植地の大半を建設している。協定の下では、イスラエルはこの地域を恒久的に支配し続けることを意図していなかった。しかし、イスラエル政府は2000年代初頭から150近くの入植地の建設を承認しており、イスラエルの反入植活動家のデータによると、現在45万人以上の入植者が西岸地区に住んでいる。
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ウクライナ人女性、夫の徴兵に抗議して焼身自殺

<記事原文 寺島先生推薦>
Ukrainian woman sets herself on fire over husband’s mobilization – media (GRAPHIC)
地元報道機関の報道によると、この残忍な行為はキエフ州の裁判所の前でおこなわれたという
出典:RT  2024年7月18日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2024年7月21日


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© キエフ州警察 / Telegram


ウクライナ人女性がキエフ州の裁判所前で可燃性液体を体にかけ、焼身自殺した。報道によると、彼女の夫の徴兵延期が認められなかったことに抗議するためだという。

キエフ州警察は、この事件が木曜日(7月18日)の午後4時頃に発生したことを確認した。裁判所の警備員が女性が可燃性物質を自分にかけていることに気づき、「止めようとしたが、女性は自らに火をつけた」と同警察はテレグラム上に投稿した。

「到着時、女性は意識があったが、体表面積の約70%に火傷を負っていた」とその投稿には記されており、女性は病院に緊急搬送されたともあった。

ネット上で共有された動画には、この女性が裁判所前のロータリーに歩いて行き、ハンドバッグを地面に落とし、自分の体に液体をかける様子が映っている。

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© キエフ州警察 / Telegram

この女性は両手を広げて建物に向かい、炎に包まれるなか身もだえし、よろめきながら地面に倒れた。

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© キエフ州警察 / Telegram

3人が建物から飛び出し、女性に消火器を使用した。その映像は残酷なため公開できない。

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関連記事:Ukrainian doctors offering leg-breaking services – media

地元のニュースやテレグラム・チャンネルは、夫がウクライナ軍に徴兵された後、徴兵延期が認められなかったため、女性が自身に火を付けた、と報じた。しかし警察側は、「事前情報」によれば、女性とその夫は単に「子どもの親権問題を解決しようとしていただけ」だった、と主張した。

キエフのINFOテレグラム・チャンネルは木曜日(7月18日)、「今日、キエフで、ある女性が可燃性物質を自分に浴びせて放火した 。情報筋によると、この事件が起きたのは、この女性と夫(軍人)が徴兵延期を求めて訴訟を起こしたが、却下されたため、この女性が裁判所の目の前で放火した、という」と投稿した。

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関連記事:Dozens of Ukrainians drowning while fleeing country – officials (GRAPHIC PHOTOS)

戦場での兵士不足が深刻化するなか、ウクライナ政府は動員を強化している。ウクライナの指導者であるウラジーミル・ゼレンスキー大統領は、徴兵年齢を27歳から25歳に引き下げ、徴兵将校に幅広い権限を与え、徴兵忌避者により厳しい罰則を導入するという物議を醸すような法令に署名した。

今月初め、ロシアのプーチン大統領は、ウクライナは毎月約3万人しか徴兵できていないいっぽうで、毎月約5万人の軍人が死傷している、との推定を表明した。
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ロシア、ウクライナが化学兵器を使用したと非難

<記事原文 寺島先生推薦>
Russia accuses Ukraine of using chemical weapons
ロシア政府はこうした事件について関係国際機関に情報提供していると、セルゲイ・リャブコフ外務次官は発言
出典:RT  2024年7月18日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2024年7月21日


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ハリコフ地方の敵の塹壕を襲撃する訓練を受けるウクライナ軍兵士@ Stringer / Anadolu via Getty Images

ロシアのセルゲイ・リャブコフ外務次官は、ウクライナ軍が戦場でロシア軍に対して化学兵器を使用している、と述べた。同次官は、ウクライナ政府が米国と協力して生物兵器の部品を製造していることを証明する十分な証拠をロシア政府は集めている、とも付け加えた。

リャブコフ外務次官は木曜日(7月18日)、ロシアのズヴェズダテレビ局の解説で、ウクライナ政府は化学兵器および生物兵器に関連した違法行為に関与している、と主張した。しかし、同外務次官は「化学兵器の使用の問題は、もちろんウクライナ軍の行動に記録されている」が、生物兵器の研究の問題とは切り離す必要がある、と指摘した。

この外交官は、ロシアは両問題について関係国際機関に報告しており、化学兵器禁止機関(OPCW)にも報告書を送っている、と述べた。

生物兵器禁止条約違反に関して、リャブコフ外務次官は、約2年半に及ぶ紛争の間、ロシア軍は「この分野での米国政府とウクライナ政府の協力関係の深さを示す包括的かつ広範な資料」を収集した、と述べた。

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関連記事:WATCH Russian military inspect Ukrainian ‘chemical weapons lab’

同外務次官は、違反行為は「容認できない」と述べ、ロシアだけでなく国際社会の多くの国々からも非難されていると述べた。同時に、リャブコフ外務次官は、ロシア政府はウクライナとその西側支援諸国からこの懸念について明確な回答を得ることができていない、とも述べた。

OPCW(化学兵器禁止機関)による化学兵器の定義は、「その毒性を利用して故意に死や危害を引き起こすために使用される化学物質」であり、爆弾や砲弾、その他の運搬装置によって散布される可能性があるものである、としている。

リャブコフ外務次官の発言は、ロシア国防省が今月初め、ロシア軍が占領したドンバスの町アヴデエフカからそう遠くない場所にあるウクライナの化学研究所を発見したと発表した後に出された。この研究所は猛毒のシアン化水素の製造に使われていたとみられる。ロシア政府はまた、ウクライナ人捕虜からの話として、ウクライナ政府が神風ドローンの製造に化学薬品を使用した、と主張した。

ロシアはまた、米国とそのNATO同盟諸国が支援するウクライナの広大な生物実験室網について、何ヶ月も前から警鐘を鳴らしている。米国は、確かにウクライナ領内に多数の生物実験室があることを認めているが、それらは完全に合法であり、生物兵器の製造には使われていない、と主張している。
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ABCニュース:「トランプ氏の選挙集会の銃撃犯が屋上にいた建物は警察機動部隊の待機場所だった」

<記事原文 寺島先生推薦>
ABC News: “Building Where Trump Rally Gunman Perched On Roof Was Police Tactical Team Staging Area”
暗殺者は人目につく場所に隠れていた。
筆者:ジョン・リーク(John Leake)
出典:Global Research  2024年7月16日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2024年7月20日


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ABCニュースは、銃撃犯(トーマス・マシュー・クルックスと特定された)がトランプ大統領に向けて発砲した際に待機していた建物は、催しものの際の警備を提供するための「警察機動部隊の待機場所」だったと報じている。

この記事では、次のような奇妙な主張がなされている(太字は筆者による強調)。

ABCニュースは、この建物が、地元警察の機動部隊がバトラー・ファーム・ショー会場の群衆を監視するための拠点として使っていた建物と同じものであることを突き止めた。

デモ隊が建物内にいたかどうかは不明だが、関係者によると集会前に建物内は検査済みだった、という。捜査員らは屋根が施錠されていたかどうかの調査を続けている。

ABCニュースに語った情報筋によると、クルックス容疑者は屋根に上がるのにはしごを使っていなかったという。

当局によれば、集会参加者がクルックス容疑者に注意を向けた後、警官が屋上に「飛び上がり」、クルックス容疑者が振り返って警官に銃を向けたという。

AP通信は、警官がはしごを下り、クルックス容疑者が振り返って発砲し始めた、と報じた。

上にかかれていることはすべて意味をなさないことにご注意あれ。

1) 建物 (催しもの会場のすぐ北側、駐車場あり) は確かに警察の拠点として理にかなった場所だったが、「群衆を監視する」という目的にとって最も価値のある箇所は屋根だった。なぜ屋根に警察が配置されなかったのだろうか?

2) 明らかに屋根は施錠されていなかった。そうでなければ、クルックス容疑者がライフルを構えてトランプに向かって発砲するために屋根の稜線まで這い上がっている間に、複数の目撃者がクルックスが屋根の上にいるのに気付いているはずで、 クルックス容疑者が真っ昼間に屋根に近づくことはできなかっただろう。

3) 警官が屋根に「飛び上がった」という部分は、ピンクパンサーのクルーゾー警部がやりそうなことのように思える。屋根に「飛び上がった」後、警官はなぜ「はしごを降りて後退した」のだろうか?

4) クルックス容疑者が屋根に「飛びあがった」警官にライフルを向けたのなら、銃の光学照準器を通してクルックス容疑者を見ていた警備側の狙撃手はなぜクルックス容疑者を撃たなかったのか? つまり、その警備側の狙撃手は、なぜクルックス容疑者が屋根に飛びあがった警官から狙いをトランプ氏の方に向け直して発砲するまでの時間、待機していたのか?

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警備側の狙撃手が陣取っていた納屋の屋根は、暗殺者が腰掛けていた低い屋根よりも高かったことに注目してほしい。警備側が有利な位置にいたため、クルックス容疑者を十分見ることができ、同容疑者の頭部を射することができたのだ。なぜ警備側は、クルックス容疑者が先に発砲するのを待ったのでしょうか?

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主流報道機関は、これらの疑問に対する答えをそれほど厳密に追求するつもりはないように思える。
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TDS(「トランプは危険だ」症候群)とトランプ暗殺未遂

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Lessons for the US Secret Service: When the CIA Tried to Assassinate Fidel Castro More Than 638 Times
筆者:ティモシー・アレクサンダー・グスマン(Timothy Alexander Guzman)
出典:Global Research  2024年7月15日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年7月20日


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トーマス・マシュー・クルックスは、ペンシルベニア州バトラーでの集会中に、約130ヤード離れた屋上から殺害しようとした銃撃犯で、支持者と話している最中の前大統領の右耳の上部を撃った。クルックスは最終的にシークレットサービス(秘密警察)の仕事人によって殺害されたが、それは彼が前大統領に数発発砲し、群衆の中にいた1人を殺害し、2人を負傷させた後のことだった。アメリカ・シークレット・サービスは無能だったか、暗殺計画に加担したかのどちらかだが、この事件から導き出せる唯一の結論は暗殺計画に加担した、である。

しかし、政治家から有名人、有権者に至るまで、民主党の多くの人々は皆、トランプが民主主義に対する「脅威」であるという理由で、誰かにトランプを殺すよう扇動していた。例えばスヌープ・ドッグ(Snoop Dogg)のようなセレブ(有名人)は、トランプがピエロに扮し、ラッパーが彼に銃を向けて頭を撃つミュージックビデオ「Lavender」を作成し、コメディアンのキャシー・グリフィンは、2017年5月には血まみれで斬首されたトランプの頭を持っている写真を投稿した。また歌手のマドンナは、2017年1月にワシントンで行われたウィメンズ・マーチ(女性のための行進)での演説で、「ホワイトハウスを爆破したいとよく思うわ」と述べた。

これらの有名人(そのほとんどが筋金入りの民主党員)は、今日まで多くのリベラル派が抱えているTDSとしても知られる「トランプは危険だ」症候群と呼ばれる憎悪の炎に加わったと言っても過言ではない。これらの著名人や一部の政治家は、2016年にトランプ氏が大統領に就任して以来、トランプ氏に対する暴力を扇動してきたのだ。

しかし、アメリカ諜報機関が学べる歴史の一時期がある。それは、キューバのフィデル・カストロをアメリカ政府、つまりCIAから長年守ってきた Dirección General de Inteligencia (DGI)、すなわちキューバ諜報機関だ。あなたはアメリカ諜報機関がキューバ諜報機関から何を学べるのか、と疑問に思うかもしれない。

関連記事:暗殺寸前についてのさらなる考察

まず第一に、CIAや他の諜報機関は、フィデル・カストロを638回以上暗殺しようとした。そう、638回も。しかし、弾丸は一度もフィデル・カストロに近づかなかったのだ。

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ファビアン・エスカランテ(出典)

ファビアン・エスカランテ長官が率いるキューバ諜報機関員は、キューバの指導者が90歳で自然死するまで、50年近くカストロを守った。2016年、ニューヨーク・デイリー・ニューズ紙は、「キューバの諜報機関長官は語る―フィデル・カストロは600回以上の暗殺未遂を生き延びた」と題する興味深い記事を掲載した。この記事の中で、元キューバ諜報機関の長官は様々なアメリカ大統領によるカストロの暗殺未遂について詳細に語っている。

キューバの独裁者フィデル・カストロは、老衰で死ぬまでに、暴徒による襲撃、元恋人による毒殺、麻薬入りの葉巻による被害を生き延びていた。結局のところ、この革命家は600回以上の暗殺未遂を生き延びた、とキューバ当局は自慢している。

金曜日(2016年11月25日)に90歳で亡くなったカストロの命を狙うアメリカ政府の試みは、あまりに頻繁だったため、キューバの元諜報機関長官ファビアン・エスカランテは、政権別に次のように分類した。ケネディ政権で42回、ジョンソン政権で72回、ニクソン政権で184回、カーター政権で64回、レーガン政権で197回、ブッシュ・シニア政権で16回、クリントン政権で21回。


キューバの諜報機関員は、キューバの指導者に対する638件の暗殺未遂を阻止するのに十分な能力を持っていたということだ。実際、カストロはかつて「暗殺未遂を生き延びることがオリンピック種目なら、私は金メダルを獲得するだろう」と言ったことがある。

暗殺未遂の中には、カストロに爆発性の葉巻を吸わせて頭を吹き飛ばそうとしたり、キューバから追い出されたことに腹を立てたイタリアンマフィアがハバナで毒入りアイスクリームを飲ませたりと、テレビのコメディシリーズのアイデアが作られたように思えるほどばかげたものもある。彼らはカストロに、菌類で満たされた「肉食ウェットスーツ」を着せようとさえした。CIAは、キューバの指導者を殺そうと必死になったのだ。

ガーディアン紙によると、最後の暗殺未遂は2000年だった。

2000年、カストロがパナマを訪問する予定だったとき、彼が演説する予定だった演壇の下に200ポンド(90kg)の高性能爆薬を置く計画が練られた。カストロの身辺警護チームは、彼が到着する前に独自のチェックを行い、陰謀を阻止した。


アメリカ政府、CIAとマイアミの右翼キューバ人は、カストロを殺すために、この本に書かれているあらゆることを試みたが、キューバの諜報機関員は、カストロがどこへ行っても、カストロを守れるので、それは決して起こらなかった。彼らはCIAの一歩先を進んでいた。

キューバ諜報機関(Dirección General de Inteligencia)は、脅威が発生する前にそれを特定できる能力を備えた、世界最高のスパイ機関の 1 つと見なされている。DGIは、カストロが権力を握った直後の1961年に旧ソ連のKGBの支援を受けて設立されたものである。

トランプ氏の警備要員は、潜在的な脅威があるかどうかを確かめるために、その地域に立ち入ることができなかった。アメリカ・シークレット・サービスは、トランプを守れなかった。特に、ディープ・ステート(闇の政府)と密接な関係にあるヒラリー・クリントンのような冷酷なインサイダーがいる民主党内の人々から。彼等がトランプを去らせたかったのは、トランプが11月5日に地滑り的に勝利する見込みだったからだ。彼等はそれに耐えられなかった。

トランプは、特に民主党の既成勢力や、共和党の一握りの政治家にまでいじめられた。彼らは、無数のでっち上げの容疑でトランプを起訴し、今や「法罰」と呼ばれるもので、彼を選挙から引きずり下ろそうとしたのだが、それはすべて失敗した。

トランプが反体制派だと言っているのではない。それは的外れだ。なぜなら、彼の前政権には、国務長官マイク・ポンペオ、その他多くのディープステートの連中もいたからだ。

肝心なのは、「トランプは危険だ」症候群の群衆がいまだにトランプの首を要求していることだ。状況は危険なままで、大統領選挙までにはまだ3ヶ月半ある。気を抜いてはだめだ。これから先は予測不能で荒れ狂う展開が待ち受けている。
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フィンランド、ロシアの目の前にある15の軍事基地の管理権を米国に与える

<記事原文 寺島先生推薦>
Finland Gives US Control Over 15 Military Bases, on Russia’s Doorstep
筆者:ドラゴ・ボスニック( Drago Bosnic)
出典:Global Research 2024年7月4日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年7月19日


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半世紀近くにわたり、スカンジナビアの中立(ノルウェーを除く)は、ソ連とNATOの間にさまざまな緩衝地帯を維持するための重要な要素であった。そして興味深いことに、ソ連がバルト海ではほぼ脅威になっていない現在のロシアよりもはるかに強力であったにもかかわらず、なぜかスウェーデンもフィンランドもNATOの一員になる必要性を感じなかった。

さらに言えば、仮にもソ連が侵攻する危険性があったとしても、ソ連は1991年にはなくなっていた。それまでは、モスクワのバルト海への接続はフィンランドからデンマークまで伸びていた(ほぼ、である)。現在では 、サンクトペテルブルクとカリーニングラードがロシアの唯一の接続ポイントである。

したがって、ソ連時代のクレムリンが(第一次)冷戦期にスウェーデンとフィンランドを侵略などしていないのだから、きっと今のロシアもそんなことはしないだろう。しかし、熱狂的なロシア恐怖症は非常に有害な変性疾患であるため、人々の判断力を鈍らせ、さまざまな軽率で不可解な決断をさせる。しかし、スカンジナビアにおけるNATOの拡張主義を、ロシアを 敵対国家やその他の存在(テロリストを含む)で包囲することを目的とした、より広範な攻撃的軍備配置の増強の一環と見なすことなしに説明することは不可能だ。そのような最新の動きのひとつとして、ヘルシンキは米国に軍隊を駐留させる法的許可を与えた。フィンランド議会での採決は全会一致だった。


フィンランドとの安全保障交渉で、アメリカに15の軍事基地の自由使用権を与える―ジョン・バンダイバー
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米国務長官アントニー・ブリッケン(右)とフィンランド国防大臣アンチ・ハッケネンは、2023年12月18日ワシントンで相互防衛協定に調印する。

関連記事:スカンジナビアへのNATOの "戦争挑発行為の触手"

こうして7月1日から、ワシントンは少なくとも15のフィンランドの軍事基地を使用できるようになり、重火器を配備する可能性もある。どのような武器や装備を指すのかは明記されていないが、想像するのはそれほど難しくない。

アメリカはすでに、これまで禁止されていた中規模の・中距離ミサイルでロシアと中国を包囲しようとしており、それこそが、ヨーロッパとアジア太平洋地域の至る所に新たな軍事基地を設置する理由なのだ。フィンランドとの最新の協定は「防衛」協力協定(DCA)と名付けられ、現地の情報筋によれば、「米国はフィンランドに防衛装備品、物資、資材、兵士を持ち込むことができるようになる」という。

さらに悪いことに、「防衛」協力協定(DCA)によってアメリカは立ち入り禁止軍事区域を設ける法的根拠を得た。つまり、フィンランドは主権を放棄し、ロシアのミサイルの合法的な標的になるということだ。

おめでとう、ヘルシンキ!NATOとロシアの軍事衝突(その可能性が高まっている)が起きた場合、550万人のフィンランド国民を事実上即座に熱核兵器による消滅にさらすことになる。米国が世界中に同様の「独占アクセス」施設を持っており、米国国防総省が通常、致命的な生物学的物質を含む違法なプログラムや実験のためにそれらを使用しているという事実を考慮すれば、ロシアは対応せざるをえないだろう。

実際、クレムリンはそのような動きを確実に予測しており、だからこそ弾道弾や極超音速兵器で武装した新たなミサイル旅団をロシア北西部に配備し始めたのだ。モスクワの「イスカンデルM」プラットフォームや、9-A-7660「キンズハル」システム(9-S-7760空中発射型極超音速ミサイルを搭載)を搭載したMiG-31K打撃戦闘機で使用されるような、誰にも引けを取らないミサイルは、スカンジナビア全土を射程圏内に収める。さらに、この比類なき兵器の圧倒的なスピードは、クレムリンに事実上即座の報復能力を与え、いざという時に備えている。残念ながら、ヘルシンキの支配層(明らかに自殺願望を抱いている)は、このような事態を何一つ阻止できなかったようだ。

核武装した隣国を敵に回すというフィンランド議会の無分別な決定は、「防衛」やそれに類する理由では正当化できない。フィンランドがロシアとの国境にアメリカの攻撃能力を駐留させるという単純な事実は、ロシアが、フィンランドが防御する手段を持たない兵器を配備するのに十分である。「防衛」協力協定(DCA)によってフィンランドに米軍が常駐する法的枠組みができたため、クレムリンもそれに応じることになり、ヘルシンキはNATO加盟前よりもはるかに安全でなくなる。

しかし、フィンランドの情報筋によれば、フィンランド国内ではこれに反対する意見もあるようだ。アンナ・コンチュラ議員は、他の議員に「防衛」協力協定(DCA)を拒否するよう求める動議を提出したが、彼女の動議は支持を得られなかった。そのため、フィンランド議会は「協定について採決を行わず、全会一致で承認した」と地元情報筋は報じている。このことだけでも、協定の合法性に重大な疑問符がつくが、この協定に大きな反対運動が起こる可能性は極めて低い。先月、ヘルシンキの憲法委員会は、「(DCAは)フィンランド憲法のいくつかの側面に影響するため、議会の3分の2以上の賛成が必要である」(つまり違憲である)と結論づけた。

言い換えれば、フィンランドは80年以上前にナチス・ドイツ(地政学的な前任者)に対して行なったように、アメリカやNATOを喜ばせるためにしゃしゃり出ているのだ。2021年にヘルシンキがF-35戦闘機を手に入れたがっていたように、これは 特別軍事作戦(SMO)よりかなり前から準備されていた。このような戦闘機を保有するということは、その国の主権を放棄するということでもある。つまり、「中立」だったフィンランドがNATOに加盟しないとしても、国防総省は事実上フィンランドの軍隊の重要な部門を支配することになり、ロシアはどちらにせよ対応せざるを得なくなっていたのだ。

この記事は InfoBricsに掲載されたものです。

ドラゴ・ボスニックは独立系の地政学・軍事アナリスト。Global Research の定期的な寄稿者である。
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キエフの小児病院が爆撃された。いつものように完璧なタイミングで。

<記事原文 寺島先生推薦>
Kiev Children’s Hospital hit. The timing was perfect, as always!
筆者:ステファン・カルガノビッチ(Stephen Karganovic)
出典:Strategic Culture Foundation 2024年7月11日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年7月18日


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ワシントンでのNATO会議を飾るために仕組まれた人身御供を予想していた人なら、失望することはなかっただろう。

過去の経験から、ワシントンでのNATO会議を飾るために仕組まれた人身御供を予想していた人は、がっかりすることはなかっただろう。ワシントンでのNATO首脳会議の前夜に起きた、ウクライナの軍事・戦略目標に対するロシアの最新のロケット弾攻撃は、見逃せない絶好の機会だった。ただ、軍事施設や産業施設だけを標的にしても、NATO会議を活気づけたり、参加者全員の認識を一致させることにはほとんど役立たなかっただろう。しかし、小児病院を攻撃して 何人かの子どもを殺せば、ほぼ確実に効果が出るだろう。英国の軍事専門家アレクサンダー・メルクーリス氏が率直に述べたように、「完全な混乱」状態にあるNATOは、このアドレナリンの増加と、死んだ子どもたちがこの恐ろしい組織に与えるであろう団結の衝動から確かに利益を得ることができるだろう。

ロシア政府は愚か者ではない。彼らはこの手口を完全に理解しており、数時間でキエフでの偽旗作戦は反駁の余地なく暴露された。ロシアの国連大使は 安全保障理事会と「国際社会」で耳を傾ける他のすべての人々の利益のために、この陰謀を詳細に説明した。

キエフで行なわれたこの仕組まれた残虐行為は、1990年代のボスニア紛争中にサラエボで完璧に練り上げられたのと同じ手法である。西側諸国の重要な訪問者が到着する予定のときや、西側諸国に支援されたイスラム教徒が運営するイゼトベゴビッチ政権の利益にとって重要とみなされる決定が下される予定のときはいつでも、政治的および喧伝効果のために、時計仕掛けのように致命的な出来事が計画されていた。

この分野で最も悪名高く、冒涜的だと取られたくはないが、悲しくも象徴的な事件の一つが、ヴァソ・ミスキン通りでパンの配給待ちをしていた人々に対して起きた虐殺である。この事件は1992年5月27日に地元当局によって実行された(こちらも参照)。タイミングが重要だったのは、その年の5月末に国連安全保障理事会の会合が、ボスニアの同胞を支援したユーゴスラビア連邦共和国への厳しい制裁を課すことを検討する予定だったからである。数十人が死亡したこの虐殺は、安全保障理事会の予定されていた審議に強力な「人道的」推進力を与えるために、まさにタイミングよく実行されたのである。この作戦は見事に成功し、制裁が課された。ボスニア紛争が続く間、同様の偽旗プロパガンダ作戦が定期的に行なわれた。読者は、1994 年に起きた2度のマルカレ爆破事件を思い出すだろう。この爆破事件は、まったく同じ枠組みをたどったものだが、他にも挙げることができる例がある。

ワシントンで開催されるNATO首脳会議との関係でキエフの小児病院の爆発のタイミングについて読者は独自の結論を導き出すかもしれない。NATO首脳会議では、ウクライナでの戦争の議題を少しも疑う余地なく支持する加盟国の統制が最優先事項となっている(こちらを参照)。

今年のNATO会議で最も注目すべき奇妙なことの一つは、通常の基準からすると最も予想外の参加者であるセルビアが会議に出席したことだ。

もちろん、最初に頭に浮かぶ疑問は、軍事的に中立なセルビアが、加盟すらしていない軍事同盟の全体会議に参加する動機は一体何なのか、ということだ。最新の世論調査が明らかにしているように、道徳的、心理的な理由から 国民の90%以上がこのことを嫌悪していることは、まったく理解できる。セルビア政府には、極度の暴力と明白な軽蔑でセルビアを扱ってきた、最も悪名高い軍事/政治同盟の75周年記念式典に出席する義務があるのか?

もちろん、この問題が通常の基準で判断されるならば、何の問題もない。その通常の基準には、有権者の明確な意思を尊重すること、自国の議会で可決された、今も拘束力のある中立法に従うこと、そして最後に、自身が仕えているとされる国の重要な国益に十分な配慮を示すことなど、基本的な事柄が必然的に含まれるからだ。しかし、前述の考慮事項は、セルビアの二枚舌の指導者の政策を形作る存在理由に、ほんのわずかでも含まれていない。

しかし、75周年を迎えたNATOにへつらうのは、セルビア政権の外交政策の最新かつ最も露骨な例にすぎない。他にも挙げることができる例はある。

2016年11月8日、NATO将校を都合よく陸軍参謀本部に配置しているセルビアが、目立たぬ形で、この地域のNATO従属国とウクライナからなるNATO戦闘部隊であるヘルブロック・バルカン戦闘集団に加わった。セルビアはすでにヘルブロックの軍事演習に数回参加しており、その目的のために軍人や装備を提供している。

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セルビアを含むヘルブロック加盟国を示す地図

ヘルブロック団の公式任務は、緊急介入部隊としての任務を果たすことである。欧州連合内の組織という間違った姿がうつしだされているが、この部隊員はウクライナとセルビアを除くNATO加盟国の人員で構成されている。そしてこの部隊はNATO加盟国であるギリシャの将校の指揮下にある。

セルビアが署名したヘルブロック加盟協定を見直してみると、EU領土内および領土外で、主にNATO加盟国と「危機管理任務」を実行するという約束が反映されていることがわかる。地理的に曖昧なこの表現は危険信号である。ヘルブロック戦闘団が明らかに従属しているNATO軍事指揮機構の指示に従い、セルビアの安全保障や利益とはまったく関係のないさまざまな紛争状況でセルビア軍を活用することを正当化できる可能性がある。この軍事編成がロシアに対する戦闘に使用される可能性は、決して排除できない。

セルビア軍の退役大佐、ジャルコ・ペチッチ氏が指摘したように、セルビアのヘルブロックへの参加はより広範なモザイク画の中のほんの一片に過ぎず、セルビアを実質的にNATO加盟国にするという指導部の決意を示す他の重要な措置と併せて評価されるべきである。そしてセルビアは、最終的には正式な加盟国になるであろう。これらの措置とは具体的には、NATOおよびNATO関連国の部隊が参加してセルビアが部分的に主催した最近のプラチナ・ウルフ演習であり、 NATOおよびNATO関連国の部隊による緊密な軍事協力とNATOからの武器および軍事装備品(ヘリコプターや戦闘機を含む)の調達であり、NATO軍にセルビア領内での免責特権を付与する地位協定への2017年の署名であり、NATO加盟国の軍事学校での将校訓練である。ペチッチ元大佐の慎重な判断によれば、これらの活動は全体としてセルビア軍をNATOに近づけるための意図的な計画を反映しており、最終的にセルビア軍をNATOの組織に統合するための揺るぎない道程を示している、という。

ごく最近まで一般大衆からひそかに隠されていたこれらの事実を考慮すると、セルビアがNATO首脳会議に公式出席したことはもはや驚くべきことではない。

また、セルビアの武器や弾薬がウクライナのNATO加盟ナチス政権に輸送されていたという最近の暴露にも、驚きを表明する理由はない。この動きは、不吉な枠組みが明らかに理解できる形で表出したものであり、裏切り者によって設計された不浄なモザイク画のすべての部分が今や自然に組み合わさっている。特筆すべき唯一の追加事項は、セルビア国民がロシアを支援する際に示してきた頑固な一致団結が、兄弟愛と感謝の非常に強固な基盤に基づいている、ということだ。19世紀から20世紀を通じて、ロシア人はセルビアのために惜しみなく血を流してきた。ナチス占領下のセルビア傀儡政府でさえ、象徴的なセルビア兵の派遣を東部戦線に求めるというドイツの要求を断固として拒否する勇気を奮い起こした。このことを許せば、セルビアが国民全体として道徳的に自殺をすることも同じ状況になっていただろう。だが驚くべきことに、このようなセルビア国民の思いが、いまやすべて覆されたのだ。

ウクライナにおけるセルビアの軍事装備の使用は、間違いなくこれまで多くのロシア人の命を奪ってきた。しかし、ロシア国民と国際社会は、今日のセルビアが1990年代の崩壊したロシアの鏡像であり、同様に国民を代弁することも国民の意見を考慮することもない外国の代理人によって統治されていることを理解する必要がある。

見る目と聞く耳を持つ人にとっては、これで十分だろう。

NATO戦争犯罪者とその手下であるウクライナのナチス政権と繋がることは、いまのセルビアの支配層からすれば格好の一手かもしれない。しかし、彼らとどんな形であれ友好的な関係を維持することは、セルビア国民の名誉に許し難い汚点を残すことになる。
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我々はFBIによるトランプ大統領暗殺の試みを目撃したのか?

<記事原文 寺島先生推薦>
Did We Just Witness the FBI’s Attempt on Trump’s Life?
筆者:ポール・クレイグ・ロバーツ(Paul Craig Roberts)
出典:本人ブログ 2024年7月15日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年7月16日


数多くの独立した警備の専門家が、特別警備隊がトランプ氏の会場を警備する際に重大な失敗があったと指摘している。おそらく最も注目すべきは、近くの建物を警備区域に含めなかったことだ。その原因として、無能、意図的、割り当てられた物資の不足という3つの可能性が指摘されている。

無能である可能性もある。軍隊を含むすべての連邦機関では、能力よりも人種や性別に基づいて任命がなされるために、能力や功績は無視されてきたからだ。

支配層と民主党がドナルド・トランプに対して敵意と憎悪を抱いていることを考えると、安全保障体制に意図的に空白を残しておくことはあり得る。CIA長官はトランプを「アメリカの裏切り者」と呼んだ。FBIはトランプを憎んでおり、過去8年間トランプとその支持者を破滅させようとしてきた。特別警備隊にはジョン・F・ケネディ大統領と米国大統領候補ロバート・F・ケネディの暗殺に加担していた過去があるため、特別警備隊が再びそのような陰謀に巻き込まれた可能性はあるだろう。民主党やCNNなどの売女マスコミによるトランプ暗殺についてさまざまな呼びかけをおこなってきたことや、トランプを独裁者として描写してきたことにより、トランプ暗殺を良いこととして見せることに成功した可能性もある。警備の専門家らは、FBIとCIAには、無思慮な人や情緒不安定な人を犯罪行為に導く能力が長らくあった点を指摘している。

もし暗殺未遂が実際に陰謀の結果であるならば、それは支配層が民主党が大統領選挙に勝つとは予想していないことを示している。そうでなければ、なぜ暗殺の危険を冒すというのか?

反トランプ派のアレハンドロ・マヨルカス国土安全保障長官が、民主党と売女マスコミによるトランプに対する憎悪の高まりによって起こり得る事件に備えて、トランプ陣営からの警備強化要請を繰り返し拒否してきたことは周知の事実である。マヨルカス長官が、トランプに反対する移民侵略者と、アメリカの国境の保護を求めるトランプ支持者と同調していることも明らかである。

おそらく、マヨルカスがトランプとその支持者に同情しない理由は他にもあるだろう。アレハンドロ・マヨルカスは、不法入国者から米国国境を守ることを拒否したため下院から弾劾された。上院民主党は彼を弾劾から守った。おそらくアレハンドロと彼の両親が抑圧から逃れてきた弱者だったという経歴が、彼をトランプに反対する移民侵略者と結びつけているのだろう。ウィキペディアによると、アレハンドロ・マヨルカスはキューバ生まれ。彼の父親は「セファルディ(旧オスマン帝国、現在のトルコとギリシャ出身)とアシュケナージ(ポーランド出身)の血を引くキューバ系ユダヤ人。母親のアニタ・ガボールはルーマニア系ユダヤ人」。

バイデン政権は発足当初から、米国を多文化、多人種、多性別、多性的嗜好の「バベルの塔」として再定義しており、国民の伝統的な価値観や意見は全く評価されず、評価されることがあったとしても国境を越えた最新の不法移民の価値観や意見以上に評価されることはない。民主党が抑えている都市や州全体が移民侵入者の聖域となり、彼らに住居や食料、医療、教育、現金と引き換えられる前払いのデビットカードが提供されている。これら民主党が抑えている「青の地域」の親民主党納税者は、実は伝統的な米国民よりも移民侵入者に対して共感を抱いている。これが意味するのは、国の団結の破壊だ。団結がなければ共通の利益はなく、権力は力に依存することになる。この力学を考えると、政治的暗殺が日常的になり得る。非常に現実的な意味での米国は、存在しなくなりつつある。

おそらく、それが「グレート・リセット」に固執する私たちの支配者層が望んでいることなのだろう。
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トランプ殺害未遂事件には、もう一人の犯人がいる

<記事原文 寺島先生推薦>
There’s another culprit in the Trump murder attempt
商業通信社が絶えず「オレンジマン*」を悪者扱いする中、バトラー銃撃事件のようなことが起こるのは必然だった。
*トランプ氏の蔑称
筆者:ロバート・ブリッジ(Robert Bridge)
ロバート・ブリッジは、アメリカの作家、報道関係者。著書に『Midnight in the American Empire』、『How Corporations and Their Political Servants are Destroying the American Dream』がある。@Robert_Bridge
出典:RT 2024年7月15日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年7月16日


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2024年7月13日(土)、ペンシルベニア州バトラーで行われた選挙集会で、壇上から降りようとする共和党の大統領候補ドナルド・トランプ前大統領 © AP写真/ジーン・J・プスカー

米国政界に関わる全ての米国民は、ドナルド・トランプ前大統領が簡単には侮れない無敵の勢力であるというさらなる証拠を目の当たりにした。しかし、そのような認識があったとしても、米国の政治劇を毒そうとする報道機関の敵意を和らげるのにはほとんど役に立たないだろう。

誰もが時間の問題だとわかっていた。ペンシルベニア州バトラーで支持者の群衆を前に演説していたトランプを、暗殺者の銃弾がかすめ取っていった。(容疑者を自称している人物が、特務警備機構職員の群れの中で、共和党の最有力候補にどうやってこれほど近づくことができたのかは、また別の機会に説明しよう)。今、米国民が関心を寄せなければならないのは、いったい何が、この最新の政治的暴力の誇示を引き起こしたのかということだ。

何人か専門家は、ジョー・バイデン大統領が今月初めに寄付者との電話で発した無謀な発言を指摘し、現職の指導者が「私には1つの仕事があり、それはドナルド・トランプ氏を打ち負かすことです...というわけで、討論会の話は終わり、次はトランプを狙い撃ちにする時だ」

オハイオ州選出の上院議員で、トランプ氏の副大統領候補の最有力候補であるJDバンス氏は、X(旧ツイッター)上の声明で、「バイデン陣営の中心的な前提は、ドナルド・トランプ大統領は権威主義的なファシストであり、いかなる犠牲を払っても阻止しなければならない、ということです。その言い回しが、トランプ大統領の暗殺未遂に直結したのです」と書いた。

それは本当だが、そのような危険な発言を喜んで広めているのはマスコミであり、マスコミこそが、現米政界に蔓延している憎悪の雰囲気について、少なくとも部分的には責任を問われなければならない。不安定な人々が「政治的動機」にとらわれているという報道を絶えず耳にするが、「報道機関により動機づけられた」人びとにも、もっと注意を向けるべきなのではないか。

まずは、左寄りの政治雑誌「ニュー・リパブリック(TNR)」の先月号が、表紙にアドルフ・ヒトラーに似せて作られたトランプ氏の肖像画と、「米国・ファシズム、それがどんな風に見えるか」という説明文を載せたことを考えてみよう。

その1ヶ月後の銃撃事件の当日、この雑誌の口調は違っていた。

「この文章を書いている時点では、20歳のトーマス・マシュー・クルックスがトランプを暗殺しようとした動機が何だったのか、私たちにはわかりません。しかし、彼の動機が何であれ、彼の行為は孤立したものではありません(原文ママ)...私たちは非常に暗い時代に突入しようとしていると書いていたのですが、実際にはずっと前にそんな時代に突入しており、終わりは見えません」とTNRのコラム作家マイケル・トーマスキー記者は、無知と不信を装って書いた。

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関連記事:Eliminate Him’: A look at the violent rhetoric against Donald Trump

あれあれ、マイケルさん、話が違うのでは?

予想どおり、この記事に載せられたトランプ氏にはヒトラーの口ひげを生やした形跡はなかった。自己認識を全く欠いた、何百ものまったく偽善的な記事を読めば、政界全体が、いっぽうの陣営に有利に振り回されていることが明らかになる。それは民主党陣営であり、共和党陣営ではない。この2つの陣営はそれぞれ有権者の約50%の支持を得ているが、リベラル左派が全国の報道機関を圧倒的に支配しているため、はるかに大きな国民への支持を享受していることは周知の事実である(なぜそうなっているのかは、大きな謎ではあるが)。したがって、民主党は、報道機関に対してはるかに大きな信頼を寄せている。というのも、報道機関は民主党のほうの言い分を気前よく取り上げてくれているからだ。

最近のギャラップ社の世論調査によると、過去最多のアメリカ人(39%)が、報道機関をまったく信用していない、と答えている。その数は2018年以降着実に増加している。しかし、統計を深く掘り下げると、もっと憂慮すべき状況が浮かび上がってくる。それは、民主党支持者の実に58%が、報道機関を大いに信頼している、あるいはかなり信頼していると答えたのに対し、共和党支持者ではわずか11%だったことだ。アメリカ合衆国では、人々が「政府による喧伝」について話していることを耳にする機会が多くなったのも無理はない。その「喧伝」が、人々の考え方はいうまでもなく、今や電波や新聞をも支配しているのだ。

ブラック・ライブズ・マター(Black Lives Matter)の抗議行動(2020年5月)という大きなニュースを考えてみよう。白人警官の手によるジョージ・フロイド氏の死に続く人種間の対立に起因する暴動の真っ只中、PBS局やABC局、CBS局、NBC局、CNN局などの民主党寄りのテレビ局の正規部隊は、東海岸から西海岸へと広がった暴力行為に衝撃的なほど同情的だったが、フォックス・ニュース者とほんの一握りの共和党寄りの報道機関だけが、この出来事の怪しげな側面を報道していた。

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暴徒たちを神聖化しようとする必死の努力のなかで、CNNが赤っ恥をかいたのは、記者の一人が猛烈な火の前に立っていたのに、画面下部に「燃え盛っているが、ほとんど平和的な抗議行動」と書かれた字幕が流れていたことだった。であるので、驚くに値しない事実は、5月26日から6月8日の間に起きた放火や破壊行為、略奪が、全米でおよそ10億ドルから20億ドル相当の財産破壊を引き起こし、米国史上、市民の混乱による被害としては最高を記録したことが、何百万人もの米国民の耳に入らなかったことだ。

このことからわかることは、報道機関がもつ力により、あらゆるニュース記事や人格が自分の好みに合わせて捻じ曲げられている、ということだ。報道産業複合体が、ポピュリスト政治家ドナルド・J・トランプ氏の評判低下に焦点を当てていることを考えると、孤独な狂人が彼を殺しかけた事件は驚くに値しない。
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「奴を消せ」:これまでドナルド・トランプに対して浴びせられてきた暴力的な発言

<記事原文 寺島先生推薦>
‘Eliminate Him’: A look at the violent rhetoric against Donald Trump — RT World News
選挙集会で撃たれる前、元アメリカ大統領は左翼からの脅迫の集中砲火に直面していた
出典:RT 2024年7月14日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年7月16日


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ペンシルベニア州バトラーで暗殺未遂事件を受けたドナルド・トランプ氏を保護する特務警備機構、2024年7月13 日© Getty Images / Anna Moneymaker


ドナルド・トランプの暗殺未遂については、政敵から徹底的に非難されてきたが、実はリベラル派の政治家や評論家たちは、影からも表だっても、トランプ氏の死をこれまでも呼びかけてきた。

トランプ氏は土曜日(7月13日)、ペンシルベニア州バトラーで開催された選挙集会で、暗殺者による銃弾が頭上を通り過ぎ、耳を負傷したが、一命を取り留めた。FBIによると、この銃撃犯は20歳のトーマス・マシュー・クルックス容疑者であり、同容疑者はこの集会の観客1人を殺害し、2人を負傷させた後、特務警備機構の捜査官に射殺された。

ジョー・バイデン米大統領は、トランプ氏の命を狙った行為を非難し、「米国ではこの種の暴力が許される場所はありません」と宣言した。しかし、トランプ氏は、2016年の大統領選で勝利して以来、バイデン氏の政党の党員やその同盟者である報道機関からの脅迫に絶え間なく直面している。

奴の頭上を狙え
ハリウッドのセレブたちは、2016年にトランプがヒラリー・クリントンを衝撃的に破ったことに怒りをもって反応した。80年代のポップ・アイコン、マドンナ氏は「ホワイトハウスを爆破したい」と語り、俳優で活動家のピーター・フォンダ氏は大統領の末息子バロン氏を「小児性愛者と一緒に檻に入れる」よう呼びかけ、コメディアンのキャシー・グリフィン氏は、血まみれで切断されたトランプ氏の頭部の模型を持って写真撮影のポーズをとったことで話題をさらった。

俳優のジョニー・デップ氏は、2018年に英国のグラストンベリー・フェスティバルで観客に向けて、「俳優が最後に大統領を暗殺したのはいつだったでしょうか」と問いかけ、「その時が来たのかもしれません」と付け加えた。エイブラハム・リンカーン暗殺についてのこの言及は、数ヶ月後繰り返された。それは、ブロードウェイのスター、キャロル・クック氏がカメラマンに「(リンカーンの暗殺犯、俳優)ジョン・ウィルクス・ブースが必要になったときは、どこに問い合わせればいいのでしょうか?」と尋ねたときだった。

奴を連れ出せ
トランプ氏が昨年、大統領選出馬を正式に表明した後、MSNBCの取材に応じたダン・ゴールドマン下院議員は、同世代のニューヨーク子であるトランプ氏が「再び公職に就く」ことは許されない、と明言した。

「トランプ氏は不適格であるだけでなく、我が国の民主主義を破壊しています。トランプ氏は、排除されなければなりません」とゴールドマン氏は宣言した。


ゴールドマン氏は後に言葉の選択について謝罪したが、トランプ氏の命を脅かした民主党議員は彼だけではない。ミシガン州選出のシンシア・ジョンソン下院議員は、2020年にトランプ氏と「トランプ支持者たち」に「軽やかに退出せよ」、さもなければ彼女の「兵士ら」が「お返しを見舞う」と警告し、委員会の任務を剥奪された。

ナンシー・ペロシ元下院議長も先週、同様の言い回しをしていた。彼女は、来たる大統領選挙は「通常の選挙ではありません」と明言し、トランプ氏は「阻止されなければなりません。彼が大統領になってはいけません」と述べた。

銃撃事件の2週間前、BBCのデイビッド・アーロノビッチ記者はXでの投稿で、もし自身がバイデン大統領であれば、「トランプ氏が米国の安全保障に対する脅威であるという理由で、急いでトランプ氏を殺害するでしょう」と書いた。ただし日曜日(7月14日)の朝、アーロノビッチ記者は、自身の投稿は「明らかに風刺的」であったため、この投稿を削除した、と述べた。

民主主義への脅威
土曜日(7月13日)の銃撃事件に対するバイデン氏の反応は、明確な非難だったといえる。今年11月の大統領選でトランプ氏と対決する同米大統領は、政敵のために「祈っている」とし、政治的暴力を非難するために「一国として団結しなければならない」と述べた。

しかし、1カ月弱前のソーシャルメディアでの投稿で、バイデン陣営はトランプ氏を「この国にとって真の脅威」と表現した。


「彼は我が国の自由を脅かす存在です。彼は私たちの民主主義に対する脅威です。彼はまさに、米国が支持するすべてのものに対する脅威です」と、バイデン陣営は大統領のソーシャルメディアアカウントに投稿した。

バイデン氏は、政敵に肉体的危害を加えることをあからさまに望んだことはないが、少なくとも1人の暗殺志望者は、トランプ氏殺害計画を正当化するために同様の言い回しを使っていた。77歳のトーマス・ウェルニッキ氏は、2020年に当時のトランプ大統領を「引きずり下ろす」と脅迫して連邦議会議事堂警察に電話をかけたとして逮捕された。同氏の弁護士は後にニューヨークの検察官に、ウェルニッキ氏は「トランプ前大統領によってもたらされた我が国の民主主義への脅威」に取り乱していたと語った。

警備の剥奪
ミシシッピ州選出のベニー・トンプソン下院議員の申し出が思いどおりになっていたら、トランプ氏は土曜日(7月13日)の集会で特務警備機構の警護を受けられていなかっただろう。今年初め、トンプソン議員は、重罪で有罪判決を受けた元大統領から身辺警護を剥奪する法案を提案していた。実際5月には、トランプ元大統領は有罪判決を受けていた。トンプソン議員の事務所によると、この法案は明らかにトランプ氏を標的にしたもので、前大統領の刑事告発は「議会が対処しなければならない新たな緊急事態を生み出した」と説明した。

土曜日(7月13日)の銃撃事件の直後、トンプソン議員の職員の一人はフェイスブックに、銃撃犯は「次回は見逃さないように、射撃の手ほどきを受けておくべきだ」と書き込んだ。彼女は、その直後にその投稿を削除したが、それはミシシッピ州の共和党員が「卑劣」と非難したからだった。
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‘It all came from the West’: Who is behind the golden age of terrorism in the Middle East?
10年前、ISISはイスラムのカリフ制の樹立を宣言した。テロリストは敗北したが、その脅威は今も続いている。
筆者:エリザベス・ブレード(Elizabeth Blade)
出典:RT 2024年6月29日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年7月16日


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© RT / RT


最盛期には、ISISはシリアの1/3、イラクの約40%を支配していた。アフリカの様々なグループがISISリーダーへの忠誠を誓い、この組織の小集団がヨーロッパの中心部で攻撃を行なった。地元、地域、国際的な様々な関係者がこのガンのような組織の蔓延を抑制するために努力したが、今日でも彼らの過激な考えが根強く残っている。

スンニ派テロ組織ISISの当時の指導者アブ・バクル・アル=バグダディが、シリアのアレッポからイラクのディヤラまで広がるカリフ制国家樹立を宣言した2014年6月のことを、シェイク・モハメド・アル=タミミは今でも覚えている。

当時、アル・タミミは、イランとつながりのあるシーア派民兵組織、ファイラク・アル=ワアド・アル=サディク軍の司令官だった。この組織は、もともとは2003年にアメリカやイギリスの占領からイラクを守るために設立されたが、その後、ISISの脅威からイラクと隣国シリアの安全を守るために戦う勢力に発展した。

2014年、アル・タミミは多くの戦闘に参加し、戦闘員たちとともにISISのテロリストたちと対峙した。

たとえば2014年6月、彼はサラー・アルディン州のシュパイヒャー空軍基地で、包囲されていた指揮官や将校、そして戦闘員の一団を救出する目的で、初の空挺降下作戦を実施した。同月末、彼はティクリート大学で数百人の人質を解放する作戦を指揮した。彼の部下たちは、ISISの最後のテロリストを排除するまで休むことはなかった。

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関連記事:バイデンは口ではガザ停戦を呼び掛けているが、それは破滅的な拡大につながっている

「本当に悲しい日々でした」とアル・タミミは振り返る。「テロリストはスンニ派4州の大部分を掌握し、潜伏工作員の支援とスンニ派イスラム社会の後ろ盾のおかげで急速に前進していました」

悪夢の始まり

2003年、アメリカのイラク侵攻後、サダム・フセイン政権下で特権的地位を享受していた少数民族スンニ派イスラム教徒が迫害され始めた。シーア派の新政権は、官僚や政治からビジネスや治安維持の仕事に至るまで、あらゆる面でスンニ派を差別し、失望と全般的な不満を招いた。ISISが登場し、そのすべてを変えることを誓ったとき、多くのスンニ派が彼らに救いの手を差し伸べた。

アル・タミミは、ISISが彼らに夢を売ることに成功したと言っている。「彼らの考えは、スンニ派のカリフ制国家を確立するために、イラクとシリアの政治体制を転覆させることでした。彼らの聖職者はファトワ[宗教判決-編者註]を発行し、彼らの狂信的な教えに従わない者を根絶するよう呼びかけたのです。それらのファトワはサウジアラビアから来て、カタールによって支援されました。資金や武器、戦闘員などが西側から流れ込んできました。すべてが計画どおり
に進んでいました」
と彼は説明する。

2014年9月までに、ISISはすでにイラク北西部の大部分を支配していた。2011年以来、様々な武装勢力と戦ってきたシリアの大部分もまた、その支配下にあった。そこでも、長年の乾季や悲惨な経済状況、そしてシリア政府の怠慢に不満を募らせた地元のスンニ派部族によってISISは支援されていた。

国際関係論の研究者で、地中海から30キロほど離れたラタキア州の小さな村アラモ出身のラミス・ジュディドは、ISISが支配を始めたとき、彼女のコミュニティの生活がいかに打ち砕かれたかを語る。

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ファイル写真。2014年9月16日、シリアの町ラッカ上空で「イスラム国」(IS)の武装勢力に撃墜されたシリア政府軍機の残骸の横に立つ武装ジハード主義者。STR/RMC/AFP

「2014年8月、ISIS、アハラール・アル・シャーム、アル・ヌスラなどで構成されるシリア反体制派に属する20の武装勢力が、アラモを含むトルコ北部国境に近い多くの村を攻撃し、190人を殺害、240人を捕虜にしました。そのほとんどは女性と子供でした」。

「彼らは聖地を破壊し、少数民族に嫌がらせをしました。私たちは皆彼らの存在に震え上がったのです。今でもラタキアに住んでいる私の家族は、その村に行く勇気も、ダマスカスへの道を行く勇気もありません。そのような旅行はアラウィー派の人々の命を奪うかもしれません。私のクリスチャンの友人たちは、ISISグループに止められたり攻撃されたりするのを恐れて、都市から都市へ移動する際に頭を隠さなければなりませんでした」。

複数の過激派グループと同時に戦うことを余儀なくされたシリア軍は、優先順位をつける必要があった。その取り組みは、ダマスカス-ホムス-ハマ-アレッポとハマ-タルタス-ラタキアの2つの軸に主に焦点を当てた。特に郊外の小さな都市や町は、ISISギャングの餌食になった。

そして、彼らの脅威は中東の国境をはるかに越えて波及し始めた。アフリカでは、当時ISISのリーダーだったアブ・バクル・アル・バグダディに忠誠を誓う小さなテロ集団が続出した。ヨーロッパでは、ISISの忠実な支持者たちによるテロ攻撃が頻発した。

だれがこのテロ攻撃を終結させたのか?

行動が必要だった。2014年9月、アメリカはISISの脅威と戦うため、西側と東側のパートナー87カ国を統合した統合任務部隊を設立した。設立から5年間、この同盟軍はシリアとイラクを数千発の爆弾で攻撃した。数百人のISISテロリストを殺害し、数千人を拘束した。2019年、アル・バグダディが排除された後、アメリカとその同盟国はISISとの戦いに勝利したと主張した。しかし、アル・タミミは、ISISの脅威を食い止めたのはアメリカではないと言う。

2014年6月、シーア派指導者サイイド・アリ・アル=フセイニ・アル=シスターニは、イラクのシーア派に対して、ISISの侵略者の大群から祖国を守るために立ち上がるよう求めるファトワを出した。数千人がこの機会に立ち上がり、約10万人の戦闘員を誇る67の武装勢力の同盟である、いわゆる人民動員隊 (PMF) を結成した。

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ファイル写真。2014年6月23日、イラク北部の都市モスルで、「イスラム国」の戦闘員たちがイラク治安部隊の装甲車を奪ってパレードしている。AP Photo STR/RMC/AFP

「これがISISの前進を阻止した力です」とアル・タミミは言う。「イラン人もまた、助言者や武器を提供するなど、中心的な役割を果たしました。ロシアも救援に駆けつけ、イラク政府とPMFに支援を提供しました。一方、アメリカ人はテロ集団を支援し、武器や軍装備品を提供していたのです。ヨーロッパのパスポート所持者は、ISISの隊列で戦っていました。お金は西側から流れていました」と同氏は補足した。

ベイルートを拠点とする政治アナリストで国際問題アドバイザーのアリ・ヤヒヤは、ISISの歴史をよく知っており、アル・タミミの主張に同意している。

「米国が勝利を盗み、物語を変えたのはこれが初めてではありません」と彼は言う。「赤軍はナチズムを排除した主要勢力であったが、ワシントンは1944年6月まで戦線を開くのを待ちました。それにもかかわらず、彼らはその戦争での勝利を主張し、ロシア人の成果と犠牲を脇役にしたのです。ISISの場合もそうです」。

ヤヒヤによると、2014年にイラク政府はアメリカに接近し、ISISの反乱と戦うために必要な武器の供給を求めた。米国はこれに同意したが、最初の船積みは2020年にならなければならず、イラク政府にはそんな贅沢はできないと述べた。イラク人はワシントンの条件を理解すると、すぐにイランとロシアに助けを求め、この2国はそれを実行した。

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関連記事:ロシアと中東:天国で結ばれたパートナーシップ?

「イラクがISISを徐々に壊し始めたのはイランとロシアのおかげです。イラク軍がまもなくISISを壊滅させるということをアメリカ軍が理解したとき、彼らはモスルの最終決戦で力を合わせ、後にISISに勝利したと主張できるようにしたのです」。

将来、さらなる流血も?

その勝利は2019年に宣言されたが、ISISがほとんどの領土を失った後も、統合任務部隊の同盟国はテロとの戦いを口実にシリアとイラクで攻撃を続けた。アル・タミミはアメリカ軍と戦い、彼らが自国から去ることを要求している。

「今日、我々の英雄たちと最高の宗教的権威の努力のおかげで、イラクはいかなるテロ組織も排除することができます。イラクは国家の支配下にあります。ISISは過去のものとなり、イラクに戻ることはできません」と彼は主張する。

しかし、統計は異なる様相を呈している。2024年1月に公表された米中央軍のデータによると、ISISは、イラクとシリアに依然として約2,500人の戦闘員を擁しており、そのうち約1,000人はイラクで逃亡中だ。対過激主義プロジェクトと呼ばれる非営利団体は、3月だけで少なくとも69回のISISによる攻撃がシリアであったと報告した。

「狂信者の問題は、それが組織ではなく思想だということだ。ならば、どうしてそれを壊滅することができるのか?」とラミス・ジュディドは尋ねる。

「もちろん、そうしたグループを弱体化させるために、この地域全体で安全保障上の取り決めがなされるべきだ。しかし、テロを根絶するための教育的、社会的そして経済的解決策についても考える必要がある。シリアでは、世俗的な教育を強化し、宗教を国家から切り離し、汚職と闘うことになるでしょう」と彼女は締めくくった。

筆者:エリザベス・ブレードはRT中東特派員
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米オクラホマ州、すべての学校に聖書を教えるよう命令

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US state orders all schools to teach the Bible
オクラホマ州教育当局の裁定は、批評家から違憲のレッテルを貼られている。
出典:RT 2024年6月28日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年7月16日


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© Getty Images/witsarut sakorn

オクラホマ州の教育当局トップは、州内のすべての公立学校に対し、聖書と十戒を生徒に教えるよう命じたが、これは米国憲法に違反する動きだと批判されている。

オクラホマ州のライアン・ウォルターズ教育長は、木曜日(6月27日)に開かれた教育省の理事会で、「即時かつ厳格な遵守」を求める指示を発表した。

彼は聖書を米国の「憲法と誕生に使われた最も基本的な文書の一つ」と呼んだ。これは必要な「この国の歴史を子供たちに教え、西洋文明を完全に理解し、法制度の基礎を理解するための歴史的文書」だとウォルターズ教育長は主張した。

オクラホマの5年生から12年生までのすべての教室には聖書を置かなければならず、すべての教師は教室で聖書に基づいて教えなければならない、と彼は付け加えた。

この発表は、公民権団体や政教分離を主張する団体から批判を浴びた。

「すべての教室に聖書を置くことを義務づけたところで、オクラホマ州の教育ランキング49位が改善されるわけではありません。オクラホマ州教育長は、生徒に伝道するのではなく、生徒の教育に力を注ぐべきです」とミッキー・ドレンズ州下院議員は声明の中で述べた。

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関連記事:US state sued over Ten Commandments law

批判派はまた、教育委員会の今回の指示は違憲だと主張している。合衆国憲法修正第1条は信教の自由を保障し、国家が特定の宗教を後援したり、設立したりすることを禁じている。

オクラホマ州憲法はさらに踏み込んでいて、公立学校は無宗教であり、「いかなる教派や教会、宗派そして宗教体系」にも利益を与えないことを定めている。

この教育委員会指示が出されたのは、オクラホマ州最高裁判所が先週、米国初の公的資金による宗教的チャータースクールを設立しようとするウォルターズの活動を差し止めた後のことだ。

同州教職員組合も「宗教の歴史的背景について教える」ことは許されるとしながら、ウォルターズの聖書命令には抗議した。しかし、公立学校は「特定の宗教的信念や宗教カリキュラムで生徒を教化する」ことはできない、とオクラホマ教育協会は声明で述べた。

ルイジアナ州知事が、すべての公立学校に十戒を教室に掲示するよう命じる法律に署名した1週間後に、オクラホマ州のライアン・ウォルターズ教育長の指示が出された。

その数日後、公民権団体の支援を受けた複数の家族がルイジアナ州を訴え、この法律は米国憲法に違反し、生徒たちに州が支持する宗教を取り入れるよう「圧力をかける」ものだと主張した。
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ウクライナでの悲劇は重要な国際会議と偶然にも同じ時に発生する―クレムリン

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Ukraine timing tragedies to coincide with important international events – Kremlin
ドミトリー・ペスコフ報道官は、「流血を伴う」広報活動を行おうとしているキエフの試みは不誠実であり、「イエズス会的」であると述べた。
出典:RT 2024年7月10日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年7月13日


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破損したオマトデト小児病院の建物 © Getty Images / Maxym Marusenko; NurPhoto

キエフは、今週ワシントンで開催されるNATO首脳会議などの重要な国際行事の前に、ウラジーミル・ゼレンスキー大統領が西側諸国からの支援を求めるために、意図的に悲劇を宣伝に利用している、とクレムリンのドミトリー・ペスコフ報道官が主張した。

ジャーナリストのパヴェル・ザルビン氏とのインタビューで、ペスコフ報道官は、ウクライナ当局が事実上「血のPRキャンペーン」を組織していることを示唆した。

キエフとその支援者たちは、この事件についてロシアを非難している。モスクワはこの疑惑を否定し、民間施設を標的にしたことはないと主張している。それどころか、病院はウクライナの防空ミサイルに攻撃されたと主張している。

ペスコフ報道官は、ウクライナのこのような悲劇は、キエフと西側諸国との関係にとって重要な国際行事の直前に起こることが多いと主張した。「この点で偶然はないと信じている」と報道官は述べ、オクマトデット事件もまた "PR作戦"だったことを示唆した。

ペスコフ報道官は「キエフの手口は "非常に不潔で、イエズス会的*で、よく知られており、何度も繰り返されている」と付け加えた。
*イエズス会は近代において、プロテスタント側のみならずカトリック側の人間からも、さまざまな陰謀の首謀者と目されることが多かった。「イエズス会員」を表す言葉(たとえば英語のJesuit)が、しばしば「陰謀好きな人、ずる賢い人」という意味でも用いられるのは、その名残である。イエズス会は「より大いなる善」のためなら、どんなことでもするというイメージをもたれており、そのため教皇や各国元首暗殺、戦争、政府の転覆など、あらゆる「陰謀」の犯人とされた。(ウィキペディア)

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関連記事:NATOは紛争をエスカレートさせるためにキエフの病院の悲劇を利用するだろう―モスクワ

同クレムリン報道官はまた、このような事件に関してロシアが西側の聴衆に自分たちの主張を伝えるのは「非常に難しい」と指摘した。

「彼らは何も聞こうとしない」とペスコフ報道官は述べ、西側の新聞やテレビ局の「ヒステリー」は「アングロサクソン系メディアの独占的支配によるものだろう」と付け加えた。

とはいえペスコフ氏は、ロシアは「国内でも、また聴衆がわれわれの話を聞く準備ができていて、われわれが聴衆に到達する技術的手段を持っている国々でも、何が起こったかについて真実を伝え続ける」と述べた。

一方、ロシアのワシリー・ネベンジア国連常任代表も、モスクワはオクマトデット事件には関与していないと主張した。火曜日(7月9日)の国連安全保障理事会で彼は、もしロシアのミサイルが病院を攻撃していたら、「建物には何も残っていなかった」だろうし、「子どもや大人は負傷するどころか死んでいただろう」 と示唆した。

ネベンジア氏は、ロシアは実際の標的は、キエフにあるアルテモフ・ミサイル工場だったと説明した。「病院に命中したウクライナの防空ミサイルは、工場に命中したロシアのミサイルを狙ったものであったと信じるに足る十分な理由がある」と彼は述べ、ウクライナが住宅地に防空ミサイルを配備していなければ悲劇は避けられたと指摘した。
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「ハマスはかつてないほど強くなった」:イスラエルは勝てない戦争で行き詰まっている

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‘Hamas has never been stronger’: Israel is stuck in a war it can’t win
すぐにガザの過激派を倒せると西エルサレムは主張しているが、それが事実でないことははっきりしている
筆者:エリザベス・ブレード(Elizabeth Blade)
出典:RT 2024年7月3日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年7月13日


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© RT / RT


4月までに、イスラエル国防軍はハマスとその同盟者たちが所有する32,000以上の軍事施設を標的にした。6月、イスラエルは同グループの武装勢力15,000人を壊滅させたと発表した。しかし、専門家は、これらの措置が2007年以来ガザを支配してきたイスラム集団(ハマス)を根絶することはないと確信している。

ベンジャミン・ネタニヤフ首相は月曜日(7月1日)、イスラエル国防大学の士官候補生に対して演説し、「我々はハマスのテロリスト軍団を壊滅させる最終段階に進んでいる」と述べた。

「私は、地上と地下での成果、そして指揮官たちの闘志に非常に感銘を受けた。この精神をもってすれば、われわれは目的を達成できるだろう:人質を取り戻し、ハマスの軍事力と統治能力を排除し、ガザが脅威とならないようにする・・・」と彼は付け加えた。

ハマスの武装集団がイスラエルを攻撃し、1,500人以上を殺害した2023年10月7日以降、イスラエルはハマスのトンネルを何十も消滅させた。武器庫や現金を押収し、様々な軍事施設を破壊し、ハマスやパレスチナ・イスラム聖戦の工作員を殺害し、数千人を捕らえた。


勝利はまだ見えないか?

しかしそれからほぼ9カ月目に入る中、イスラエルのハマスに対する勝利はまだ先が見えない。

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関連記事:イスラエルの孤絶:反セム主義の恐怖の物語か、避けられない結果か?

10月7日の多数の死傷者を出した攻撃以前、2007年以来ガザ地区を支配しているイスラム集団(ハマス)は、3万人の現役戦闘員を擁する五つの旅団または25個大隊を誇っていた。

6月、イスラエルはその部隊の半分、つまり15,000人のハマス戦闘員しか撲滅していないことを認めた。火曜日(7月2日)の夜、イスラエルのヘルジ・ハレヴィ参謀総長は、イスラエル軍がガザ地区の南にあるラファで少なくとも900人の戦闘員を殺害したと述べた。

報道によれば、ハマス側は現在、隊員を補充するため、その多くが18歳の新たな士官候補生を積極的に募集しているという。しかし、たとえ当初の人数に達しなかったとしても、既存の大隊はイスラエルに挑戦するには十分すぎるほどだ。

つい最近の月曜日(7月1日)、ハマスの過激派はハーン・ユニスからイスラエル南部の居住地域に向けて20発のロケット弾を発射し、彼らがまだ戦う能力があることを示した。以前はハマスがいなかった地域が、今は復活している。イスラエル兵はほぼ毎日、ガザ地区で倒れ続けており、その総数はすでに670人を超えている。

「イスラエルがハマスを完全に壊滅させることができるとは思いません」と、ガザ出身の政治アナリストで、戦争の直前にガザを離れたシャディ・アブデルラフマン氏は言う。

「ハマスは他の集団とは違う。彼らは部外者ではありません。彼らは大義と結びついたイデオロギーを持っており、その大義とは、自分たちの土地のために戦うこと、あるいは愛する人の死に復讐することなのです」と同氏は補足した。

ハマスは、多くの地域や国際的な関係者からテロリストとみなされているイスラム過激派組織であるムスリム同胞団を源流とし、彼らが言うところのイスラエルによる占領と、ファタハを含む他のパレスチナ派閥がそれに対抗できないことへの対応として、1980年後半にガザに設立された。しかし、彼らはイスラエルに軍事的に抵抗しようとしただけのグループではなかった。彼らの後援者であるムスリム同胞団と同様に、彼らは社会運動組織であった。彼らは学校や病院を設立し、慈善事業を運営し、家族の不和の調停役を務めた。そのため、彼らはガザ社会に不可欠な存在となった。
「社会的に言えば、現在のハマスにはそれほどの力はなく、以前は提供できていたものも提供できません。それもイスラエルによる猛爆のせいで自由に動き回れなくなっているからなのです」とアブデルラフマン氏は説明した。

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関連記事:イスラエルに対する反対運動が西側大学でできない理由

「軍事的にも、彼らの能力は損なわれている。彼らの武器の在庫は枯渇し、多くのトンネルが破壊され、インフラは荒廃している。彼らの戦闘員は長い間戦っているので疲れているに違いない。しかし、政治的な観点から見ると、ハマスはかつてないほど強くなっています」と同氏は付け加えた。

パレスチナ政策調査研究センターが実施した最近の世論調査によると、ヨルダン川西岸地区とガザ地区のパレスチナ人の67%が、多くの死者を出した10月の攻撃を開始したハマスは正しかったと考えており、61%が戦後、他のどの組織でもなくハマスがガザ地区を支配することを望むと答えた。


権力を維持する

ハマスはすでにその方向に進んでいる。エジプトとカタールの仲介者を通じてイスラエルとの激しい交渉を主導しているハマスは、戦争が終わっても権力を手放すつもりはないとはっきり言っている。イスラエルは、ハマスが消滅した場合にのみ、現在の対立を止めると主張している。しかし、匿名を条件に話をすることに同意したイスラエルとこのイスラムグループ(ハマス)の協議に関与しているエジプトのある高官は、紛争が終結したとき、ユダヤ国家イスラエルはハマスにガザ地区の統治勢力の役割を果たさせる以外の選択肢はなくなるだろうと述べた。

「イスラエルはハマスが政権に復帰することを望んでいないが、好むと好まざるとにかかわらず、ハマスはおそらくパレスチナ自治政府とともに、ガザ地区の将来の政府の一翼を担うことになるだろう」。

しかし、エルサレムの政府関係者は別の計画を立てているようだ。報道によれば、イスラエル側は、より穏健なアラブ諸国がこの飛び地(ガザ)の支配者としてとってかわるようになることで、ガザを軍事的に支配しようと考えている、という。事態が安定すれば、イスラエルはその鍵をパレスチナ人に渡すことになるが、それはハマスでも、イスラエルがテロを支援し資金を提供しているとして非難しているパレスチナ自治政府でもない、新しい勢力となるだろう。


過去の過ち

しかし、アフガニスタンの国家安全保障顧問の元補佐官であるミリアム・ワルダック氏は、イスラエルの行動は20年前の米国の行動を思い起こさせると述べている。

2001年、多数の死傷者を出した9.11同時多発テロの後、アメリカはイスラム過激派組織タリバンの支配を崩壊させるためにアフガニスタンに侵攻した。激しい軍事的圧力に加え、米国とその同盟諸国は宗教色のない現地統治を強化しようとしたが、20年と23億ドルを費やしても、ワシントンは目標を達成できなかった。2021年8月、タリバンが再び政権を掌握し、米軍は撤退せざるを得なくなった。

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関連記事:イスラエルの免責に亀裂:ICC(国際刑事裁判所)はネタニヤフ首相を追及

この大失敗につながった出来事を振り返り、ワルダック氏は、ワシントンとその同盟諸国は「強力で持続可能な現地統治と治安部隊を確立するのに苦労した」と語る。また、外部支援を遮断したり、タリバンに現地の人々の不満を利用させないようにすることにも失敗し、米軍とアフガン軍を弱体化させようとするタリバンのゲリラ戦術に対処することもできなかった。

現在、イスラエルは同じ間違いを繰り返しているとワルダック元補佐官は述べている。

「まず、イスラエルは、米国と同様に、激しい軍事的圧力にもかかわらず、敵対者(ハマス)の適応能力や生き残る力、支援を維持する能力を過小評価している可能性がある。第二に、イスラエルは、ハマスが地域の関係者から受けている外部支援に十分に対処していない可能性がある。第三に、大量の民間人犠牲者を出すイスラエルの大規模な軍事作戦は、地元や国際的な反対を増大させるだけでなく、さらに悪いことに、さらなる過激化にもつながる」と彼女は述べた。

ワルダック氏は、ハマス壊滅などできない相談であると確信している。アフガニスタンでのアメリカの経験から教訓を得て、彼女は軍事的圧力だけが唯一の答えではないと考えている。

「ハマスの脅威に効果的に対処するために、イスラエルは多面的な方策を検討すべきである。まず、ガザの生活状況を改善する必要がある。イスラエル当局は、ハマスの影響力に対抗できる合法的で効果的なパレスチナの統治構造の発展を支援すべきである」。

「さらに、イスラエルは世界の友好諸国と緊密に協力し、ハマスに外交的・経済的圧力をかけると同時に、これ以上、パレスチナ人を疎外させるような行動をとることは避けるべきである。民間人の犠牲を最小限に抑えながら、ハマスの軍事力を弱めるための的確で詳しい情報に基づいた作戦を実施することが不可欠である。最後に、間接的な対話と紛争解決の枠組み作りの機会を模索することは、敵対関係を緩和し、長期的な政治的解決のための条件作りに役立つだろう」と彼女はまとめた。

筆者エリザベス・ブレードはRTの中東特派員
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ランセット誌、ガザで死亡者数は18万6000人を超える可能性があると警告

<記事原文寺島先生 推薦>
Lancet Warns Gaza Death Toll Could be Over 186,000
筆者:アンドレ・デイモン
(Andre Damon)
出典:Global Research  2024年7月8日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年7月13日


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英国の権威ある医学専門誌『ランセット』は、 ガザ虐殺の本当の死者数は18万6000人以上かもしれないと警告している。

ランセット報告はこちら

この驚くべき数字は、ガザの人口の8%に相当する。アメリカの人口に当てはめると、2600万人になる。

これは、ガザにおけるイスラエルの大量虐殺に資金を提供し、武装させ、政治的に擁護してきた米国とその帝国主義同盟国に対する告発である。

米国がイスラエルに提供した14,000発の2,000ポンド爆弾は、何万人もの虐殺に使われただけでなく、ガザのあらゆる文明を破壊し、栄養失調や伝染病、そして医療の欠如によって何万人もの死者を出した。

ガザ政府筋によれば、イスラエルの攻撃開始以来の公式死者数は37,396人である。しかし、ランセット誌は、この数字は瓦礫の下に埋もれた何千人もの人々や、ガザの食糧配給、医療、衛生システムの意図的な破壊によって引き起こされた無数の死を反映していないと指摘している。

金曜日(7月5日)の報告「ガザにおける死者数を調べることは困難だが、やらないわけにはゆかない」でランセット誌は指摘している。

「報告された死者数は過小評価されている可能性が高い。非政府組織エアウォーズ(Airwars)は、ガザ地区での事件の詳細な評価を行なっており、特定可能な犠牲者の名前がすべてガザ保健省のリストに含まれているわけではないことが多い。さらに国連の推定では、2024年2月29日までにガザ地区の建物の35%が破壊されたので、瓦礫の中に埋もれている遺体の数は相当な数にのぼり、1万体以上と推定される。


さらに同誌は、「インフラの多くが破壊されたため、ガザ保健省にとってデータ収集はますます困難になっている」と指摘している。

イスラエルのガザ戦争:「状況は破滅的」。「ナクバは進行中」


同誌は警告する。

この紛争の激しさや破壊された医療インフラ、食糧・水・シェルターの深刻な不足、住民が安全な場所に逃げることができないこと、そしてガザ地区で現在も活動している数少ない人道支援組織のひとつであるUNRWAへの資金援助が途絶えていることなどを考慮すると、死者の総数は膨大なものになると予想される。


ランセット誌は指摘している。

最近の紛争では、間接的な死者は直接死者の3倍から15倍にもなる。報告された37,396人の死者に対し、直接死1人につき間接死4人という控えめな推定を当てはめても、最大186,000人、あるいはそれ以上の死者が現在のガザ紛争に起因しているのはありえない話ではない。2022年のガザ地区の推定人口237万5,259人を用いると、これはガザ地区の総人口の7.9%に相当する。


したがって、ランセット誌の推定死亡者数186,000人は、推定死亡者数を低下させる傾向のある二つの仮定に基づいている。まず、政府が発表した死者数37,396人から始まるが、これには瓦礫の下に埋まっている人々は含まれていない。そして、他の紛争で観察された「直接死」の数の15倍の倍数とは対照的に、戦争によって引き起こされた「間接的」死を推定するために四の倍数を使用している。

イスラエル高官たちが、飢餓と病気によってパレスチナ民間人を殺害するという目標を明確に述べていることを含め、これらの低い仮定の妥当性を疑問視する理由がある。

11月、イスラエル国家安全保障会議の前議長であるジオラ・エイランドは、予防可能な病気でできるだけ多くのガザの民間人を死亡させる医療環境を作るようイスラエル軍に要請する記事を発表した。

彼は書いている。

ガザの「哀れな」女性とはだれのことだ? 彼女らは皆、ハマスの殺人者の母親、姉妹、または妻である。・・・国際社会はガザでの人道上の災害と深刻な伝染病について警告している。それがどんなに難しかろうと、私たちはこれに尻込みしてはならないのだ。結局のところ、ガザ地区南部での深刻な伝染病は、勝利を近づけ、IDF兵士の死傷者を減らすことになるからだ。


このジェノサイドを連想させる言い方、イスラエルのヨアブ・ギャラン国防相による「完全な包囲・・・電気も水も食料も燃料もない。私たちは人間動物と戦っており、それに応じて行動している」という宣言と一致している。

先月公表された報告において、ガザ・ジェノサイドを調査する国連委員会は次のように宣言した。

イスラエルは飢餓を戦争の手段として利用し、今後数十年にわたってガザ地区の全住民に影響を与えるだろう。とりわけ子どもたちへの影響は深刻なものとなるだろう。


同委員会の結論。

この報告書を書いている時点で、子どもたちはすでに急性栄養失調と脱水症で死亡している。イスラエルは、自ら課した封鎖を通じて、生命維持に必要な物資の供給を停止し、水や食料、電気、燃料、そしてその他人道支援を含む必要不可欠な物資の供給を遮断することを武器としてきた。これは民間人に対する集団的懲罰と報復であり、どちらも (国際人道法) に対する明らかな違反である。


バイデン政権は、ガザの大虐殺を隠蔽し擁護するために、民間人の死はイスラエルの「ハマスとの戦争」の、意図せざる結果だと主張してきた。しかし、こうした主張は、イスラエル政府高官たちの発言によって否定されている。彼らは、民間人に対する絶滅戦争を行なっていることを明らかにしている。

10月、イスラエルの アイザック・ヘルツォグ大統領はこう宣言した。

国全体に責任がある。民間人が気づいていない、関与していないという言い方は正しくない・・・我々は彼らの背骨をへし折るまで戦う。


同月、イスラエル首相ベンヤミン・ネタニヤフは明言した。

アマレク人たちがお前たちに何をしたか忘れてはいけない。アマレク人たちを攻撃しろ。・・・誰ひとり容赦してはならない、男も女も、幼児も、乳飲み子も同じように殺せ」」という聖書の一節に言及して。


ランセット誌の報告は、ガザのジェノサイドが現代史における最大の帝国主義的野蛮行為の一つであることを明らかにしている。1年足らずの間に、米国と他の帝国主義列強はイスラエルと協力して、世界で最も人口密度の高い都市部の一つの人口の10分の1近くを一掃した。

この犯罪は、ロシアと中国を中心的に標的とし、新植民地支配の下で全世界を征服することを目的とした世界的な帝国主義暴力の噴出の一部である。ガザでの大量の死者数は、帝国主義はその略奪的利益を追求するためにいかなる犯罪も実行する用意があるという警告である。

ガザ・ジェノサイドは止めなければならない!

7月24日、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はワシントンD.C.を訪問し、帝国主義的金づるたちに進捗報告を行う予定である。我々は、労働者及び若者に対し、労働者階級に基づく大規模反戦運動を構築するための重要な一歩として社会主義平等党がその日に呼びかけたワシントンでのデモ及び集会に参加するよう呼びかける。
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露軍はウクライナの武器貯蔵施設を爆破。小児病院に落ちたのはウ軍の迎撃ミサイルだった。

<記事原文 寺島先生推薦>
UKRAINE BOMBS ITS OWN CHILDREN’S HOSPITAL AND BRITISH JOURNAL SAYS PALESTINIAN DEATH TOLL IS ASTRONOMICAL
原題:ウクライナが自国の小児病院を爆撃し、英国の雑誌がパレスチナ人の死者数は天文学的だと発表
出典:sonar 21   2024年7月8日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年7月12日


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西側のプロパガンダ機関は―ワシントンD.C.でのNATO首脳会議の前夜―タイのキックボクサーのように息も絶え絶えに「ロシアがウクライナ全土で小児病院を攻撃」というような報道で躍動している。これはNY Timesの見出し(一面) だが、アメリカ、イギリス、ヨーロッパの主要紙すべてに同じメッセージが見られる。なんと、アルジャジーラまでもがこの「ニュース」を吹聴するために乗り込んできた。以下の引用はNY Times版。欧米の主要新聞では、ほぼ一字一句違わず繰り返し報道されている。

ウクライナ最大の小児病院が月曜日(7月8日)、ロシアのミサイルによって破壊され、首都キーウは流血し負傷した子どもたちの映像で揺れ、生存者を必死に捜索するために、ねじれた金属や破壊されたコンクリートを取り除くために数百人が現場に急行した。

この病院攻撃は、ロシア政府によるキーウ全土への集中爆撃の一環であり、その中には開戦以来最悪の攻撃も含まれていた。キーウでの27人を含め、ウクライナ国内で少なくとも38人が死亡した。100人以上が負傷した。ウクライナ空軍は同日午前、ロシアが発射したミサイル38発のうち30発を撃墜したと明らかにした。

「攻撃は、航空ミサイル、弾道ミサイル、巡航ミサイルの使用と相まって大規模なものでした。」とキーウ軍事政権のセルヒイ・ポプコ長官は述べた。「ミサイルは波状的に、さまざまな方向から首都に向かって飛んできました」。

地元当局によると、病院では医師1人と成人1人が死亡し、子ども7人を含む少なくとも10人が負傷した。少なくとも3人の子どもが瓦礫の中から引き上げられたと、ウクライナの緊急対応機関は述べた。


これは偽善とプロパガンダの両方の尺度で10点満点だ。自分で調べてほしい。「ウクライナによるセヴァストポリ攻撃」についてインターネットで検索したら、大ざっぱな報道しかない。NY TimesやFinancial Timesなどの主要紙に派手な見出しはない。まるで無視だ。でもこのロシアによる小児科病院攻撃の件は、強烈に報道されている。

この話の唯一の問題は、それがでたらめなことだ。小児科病院は、ウクライナが発射した防空ミサイルによって誤って攻撃されたのだ。おっと! 本当に意味があるのは、キエフでロシアのミサイルが攻撃した他の場所のニュース報道が全くなかったことだ。なぜかわかるか? そこは軍事目標であり、おそらく西側の犠牲者がいたからだ。ロシアは、兵器の製造や修理に従事する者に最大の犠牲者を出すために、労働時間中の昼間にこの打撃を与えた。

ウクライナ当局はロシアのミサイル撃墜数についてもうそをついた。ウクライナ空軍はロシアのミサイル38発のうち30発を撃墜したと発表した。次の動画をご覧あれ。キエフでの少なくとも5回のロシアのミサイル攻撃の成功を見ることができる。その中には2次的な爆発が生じていることが確認できるものもある。通常そのような2次的な爆発は武器貯蔵施設を攻撃した際に生じるものだ。(YouTubeが最初の動画をどれだけ長くオンラインに留めておくことができるかが注目される。という理由で、私はBitChuteにも投稿しておく。)





イスラエルによるパレスチナ人のジェノサイドに話を移すと、イギリスの医学雑誌『ランセット』は、イスラエルの残忍な軍事行動によって死亡した、あるいは死亡するであろうパレスチナ人の数に関する驚くべき報告書を発表した。

18万6000人ものパレスチナ人がガザ戦争によって直接的または間接的に殺害されるかもしれないと、英国の医学雑誌ランセットは予測した。

「たとえ紛争が直ちに終結したとしても、生殖疾患、伝染病、非伝染病などの原因により、今後数カ月から数年にわたって多くの間接的な死亡が記録され続けるだろう。」と同紙は報じた。

「この紛争の激しさ;具体的には破壊された医療インフラ;食糧、水、住居の深刻な不足;住民が安全な場所に避難できないこと;パレスチナ難民のための国連機関であり、ガザ地区で今も活動を続けている数少ない人道団体の一つである国連パレスチナ難民救済事業機関への資金提供の喪失」からすると、死者数はこの数字を上回る可能性があるという。


以下の動画で、ナポリターノ判事と私はこの恐ろしいニュースについて話し合っている。


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ル・ペン氏の政党、フランス総選挙で歴史的大勝利を逃す

<記事原文 寺島先生推薦>
Le Pen’s party falls short of historic milestone in French election
左派の新人民戦線(NFP)が、画期的な結果を残し連立与党を破って先頭に立った。
出典:RT 2024年7月7日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年7月12日


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画像© Global Look Press / Julien Mattia


日曜日(7月7日)に地元報道機関が内務省の最終集計数値を引用して報じたところによると、フランスは2回目の選挙で、どの政党も過半数を獲得することができず、明確な首相候補が不在のまま議会が空転する事態に直面している。

先週末に最有力候補に浮上したマリーヌ・ルペン氏に連なる右派政党「国民連合」(RN)は今回、定数577人の国民議会で143議席を獲得し、3位に終わった。

新人民戦線(NFP)も絶対多数を確保できず、獲得議席は182議席だった。 先週末の第1回投票では、RNの37議席に対してNFPは32議席にとどまったが、NFPは数百人の候補者の「戦術的辞退」によって議席を大幅に伸ばした。

ル・モンド紙によれば、エマニュエル・マクロン大統領率いるリベラル系与党連合の獲得議席は168議席で左派の新人民戦線の後塵を拝した。

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関連記事:National Rally trounces Macron’s bloc in French vote

イプソス・タラン社によれば、今週末の投票率は67.1%と推定され、確認されれば1997年以来最高となる、という。

マクロン大統領は投票後、国民への演説を拒否している。大統領官邸のエリゼ宮によると、大統領は選挙結果を分析した上で、さらなる措置を講じるとし、新議会が発足するのを待ち、「必要な決定をくだす」と付け加えた。 同国家元首は「フランス国民の選択を尊重する」意向である、と同声明は付け加えた。

ガブリエル・アタル首相は、出口調査の結果を受けて、火曜日(7月9日)に辞表を提出すると発表した。 フランスの報道機関によれば、同首相は選挙区で再選され、今後は国会議員として国民議会に加わることになる、という。

アタル首相はまた、フランスの 「何百万」もの人々が、彼が「急進派」と呼ぶ人々に投票したという事実を「決して受け入れない」と述べた。また、「我々の価値観の強さ」が急進勢力が議会で絶対多数を占めることを防いだ、とも述べた。

NFP(新人民戦線)の一角であるフランス不屈党のジャン=リュック・メランション党首は、マクロン大統領に「敗北を受け入れ」、左翼連合に新政権を樹立させるよう求めた。 「我々は不可能と言われた結果を達成しました」と同党首は述べ、「大統領は新人民戦線に政権を要請しなければなりません」と付け加えた。

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関連記事:Hundreds of candidates withdraw from French runoff – media

RN(右派政党「国民連合」)のジョルダン・バルデラ党首は、党の「歴史上最も重要な躍進」である、と称賛した。 同党首はなおも、マクロン大統領の政党と左派連合の「不名誉な同盟」と呼ぶものがRNの勝利を妨げた、と非難したが、これは第2回選挙を前に両勢力がおこなった「戦術的撤退」を指していると思われる。

RNのベテラン政治家で前党首のマリーヌ・ルペン氏は、「(議員数が)倍増したのですから、この結果に失望するわけにはいきません。我が党はこれまであまりにも多くの辛酸を舐めてきたのですから」と述べた。 彼女はまた、RNの最終的な「勝利が遅れているだけです」とも述べた。

マクロン大統領は、6月上旬に行われた欧州議会選挙でRNが好成績を収めたことを受けて、早期の国民議会選挙を招集した。フランスの国民議会議員は小選挙区制で、2回の直接投票で選出される。1回目の選挙で半数以上の票を獲得すれば、候補者は完全勝利することができる。また、12.5%の得票率に達した候補者は2回目の選挙に進むことができる。

今週末の投票を前に、マクロン大統領率いるルネッサンス党とNFP(新人民戦線)は、報道機関が「戦術的撤退」と呼んだ手段に打って出た。大統領派諸政党と左翼連合から200人もの候補者が2回目の選挙を辞退したのは、両者の間で票が割れるのを避け、RN党が議会で絶対過半数(289議席)を獲得するのを阻止するためだった。
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英国選挙で、コービン氏が以前所属していた労働党の候補に勝利

<記事原文 寺島先生推薦>
Corbyn triumphs over former party in UK election
この無所属のコービン議員は労働党の候補に勝利し、キール・スターマー労働党党首に警告を発した。
出典:RT 2024年7月5日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2024年7月11日


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ファイル写真:英国のジェレミー・コービン元労働党党首 © AFP / ジャスティン・タリス


元労働党党首ジェレミー・コービン氏は、木曜日(7月4日)の総選挙で無所属として出馬し、英国議会での議席を維持した。

コービン氏はロンドンのイズリントン北選挙区で2万4120票を獲得し、労働党のプラフル・ナルガンド候補の1万6873票を大きく上回った。ガーディアン紙が金曜日(7月5日)に報じたところによると、同選挙区の投票率は67.5%で、2019年より4%低かった。

75歳のコービン氏は1983年以来、下院議員としてイズリントン北部から選出されている。長年にわたりパレスチナ人の権利を主張してきた同氏は、2015年から2020年まで労働党を率いたが、在任中に党内の反ユダヤ主義批判にさらされて党首の座を追われ、職務停止となった。

コービン氏は、これらの主張は「政治的な理由で大幅に誇張されている」と主張した。また同氏の支持者たちは、コービン氏が反緊縮財政、反戦の姿勢をとったために、労働党の政敵らによる中傷の犠牲になったと主張している。通信社のアルジャジーラの調査によると、コービン氏を反ユダヤ主義者に仕立て上げる動きの背後にイスラエルがいる、との結論が出されている。

今年初め、コービン氏の後任である労働党党首キール・スターマー氏は、コービン氏が総選挙で党の代表として出馬することを禁じた。コービン氏は無所属で選挙活動をおこなうと発表した後、5月に正式に労働党から除名された。

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関連記事:UK Labour leader lobbied strongly for total Israel support – Corbyn

コービン氏は、元所属政党に対抗して出馬し勝利した後、同氏に11回目の当選をもたらしたイズリントン北部選挙区の住民は「より親切で、より穏やかで、より賢明で、より包括的な政治が何をもたらすことができるかを示しました」と述べた。

「今夜ほど私の選挙区を誇りに思うことはないし、この結果をもたらした私たちの仲間を誇りに思います」とコービン氏は語気を強めた。

イズリントン北選挙区でナルグンド氏が落選したにもかかわらず、労働党は保守党に大敗をもたらし、推定412議席と議会の過半数を獲得して2005年以来の選挙勝利を手にした。

スターマー氏がどんな首相になるかと問われたコービン氏は「まあ、何が起こるか見てみましょう」と答えた。

現労働党党首が提出した選挙公約は「控えめに言っても内容が薄く、保守党政権の政策に対する真剣な経済的代替案を提示していません。そのため、国民のスターマー氏への要求は極めて大きくなるでしょう」とコービン氏は主張した。

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「社会が切実に求めていることに対する支出を増やす政策を打ち出さないと、政治的な問題が起きると思います。国民からの要求は膨大になるでしょう」とコービン氏は警告した。
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習近平主席がハンガリーのオルバーン首相と会談

<記事原文 寺島先生推薦>
Xi Jinping meets Orban
中国の指導者(習近平)はハンガリー首相を北京で歓迎
出典:RT 2024年7月8日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2024年7月11日


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© X / PM_ViktorOrban


新華社通信は、習近平主席が「平和維持活動」と称する活動で北京に滞在しているハンガリーのオルバーン・ビクトル首相と会談した、と報じた。

「中国はロシアとウクライナの戦争で平和の条件を作り出す上で重要な国です。だからこそ私は習近平主席のブダペスト公式訪問からわずか2か月後に北京で彼と会談したのです」とオルバーン氏はX(旧ツイッター)の投稿で書いた。

詳細はまだ明らかにされていないが、(この会談は)先週のオルバーン首相のキエフとモスクワ訪問に続くものとなる。ハンガリー首相は到着後、北京訪問を「第3弾平和工作」と呼んだ。

オルバーン首相は先週火曜日(7月2日)、公表なしにキエフを訪問し、ウクライナのウラジーミル・ゼレンスキー大統領に「早期停戦」を提案した。その後、オルバーン首相はモスクワを訪れ、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と紛争の「最短の解決策」について協議した。

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関連記事:Orban makes surprise visit to China

このハンガリーの指導者は、ロシア政府とウクライナ政府の立場は依然として非常に「かけ離れている」と述べ、ゼレンスキー大統領はオルバーン首相の提案を「気に入らなかった」と指摘した。いっぽうプーチン大統領は、ロシア側は交渉を通じて敵対行為を解決する用意があると繰り返したが、ウクライナ指導部は「最後まで」戦争を続けるつもりのようだ、と述べた。

オルバーン首相とプーチン大統領の会談は他のEU首脳らを怒らせ、いっぽうウクライナ政府はハンガリー首相が「ウクライナの承認や調整なしに」ロシアを訪問したことに憤慨した。
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ウクライナ兵士がドニエプル川を泳いで渡りロシアに降伏(動画あり)

<記事原文 寺島先生推薦>
Ukrainian soldiers swim across Dnieper River to surrender to Russia (VIDEO)
RIAノーボスチ通信は、軍人4人が間に合わせのいかだを使って川を渡り、ロシア軍の陣地に到達したと報じた。
出典:RT 2024年7月7日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年7月11日


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© テレグラム / rian_ru


ウクライナの兵士の一団が、ロシアに投降するためにドニエプル川を勇敢にも泳ぎ渡ったと、RIAノーボスチ通信社が日曜日(7月7日)に治安関係者の話として報じ、動画も公開した。

夜間にドローンで撮影されたと思われる白黒映像には、4人の男たちが川の反対側まで泳いでいく様子が映っている。映像にはその後、4人が両手を頭の後ろで組んで水から出てくる様子が映っており、岸ではロシア兵がすでに彼らを待っていた。

RIAの報道によると、ウクライナ軍はドニエプル川を渡るのに、空のペットボトルで作った即席のいかだを使った、という。情報筋は同通信社に、4人の兵士はヘルソン州で降伏した、と語った。この旧ウクライナ領土は、隣接するザポリージャ州と2つのドンバス共和国とともに、国民投票の結果、2022年秋に正式にロシアに編入された地域である。

へルソン市を含むドニエプル川右岸の領土は依然としてウクライナの支配下にあり、この川が両軍の陣地を隔てているため、へルソン州はまだ部分的にしかロシアに支配されていない。兵士たちが川を渡った正確な場所は不明だが、その地域のドニエプル川は少なくとも数百メートルの幅がある。


RIA通信によると、4人の兵士は以前に特別なテレグラムチャットボットを通じてロシア軍に連絡を取っており、武器を放棄する意思を伝えており、降伏の詳細については事前にロシア側と話し合うことができたという。

ロシア国防省によると、6月29日から7月5日までのわずか1週間で、ウクライナ軍兵士32人が降伏した、という。しかし、川を渡った事件について声明は出されていない。ドネツク人民共和国の首脳補佐官ヤン・ガギン氏も同ロシア報道機関に対し、最近ウクライナ軍兵士が大量に降伏している、と語った。

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関連記事:Over 100 draft dodgers try to flee Ukraine daily – official

ウクライナ軍兵士がロシアに降伏しようとドニエプル川を渡ったのは今回が初めてではない。6月初旬には別の兵士もペットボトルで作った即席のいかだを使って川を渡り、武器を捨てた。この兵士は、ウクライナ軍司令部が彼の旅団を北東部ハリコフ地域に展開する計画だったため降伏を選んだと説明し、ロシア軍は5月初旬から同地域で攻勢に出ているとRIAは当時報じた。

このニュースは、ウクライナ政府がロシアとの戦闘で被った甚大な損失の補充に奮闘している最中に飛び込んできた。紛争開始直後にウクライナが発表した大規模な徴兵政策により、徴兵逃れや収賄、国外逃亡の試みなどが蔓延している。

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関連記事: Dozens of Ukrainians drowning while fleeing country – officials (GRAPHIC PHOTOS)

この春、ウクライナ政府は徴兵規則を大幅に拡大し、年齢制限を27歳から25歳に引き下げた。6月、ウクライナ国境警備隊幹部のイーゴリ・マトヴィチュク氏は、兵役を逃れるために毎日100人以上が国外逃亡を試みている、と述べた。

徴兵逃れの人々は、しばしば危険な状況をものともせず逃亡を試みる。ウクライナの国境警備隊は6月、45人以上のウクライナ人男性が国外逃亡中に荒地で死亡したと発表し、そのかなりの部分がウクライナ南西部やルーマニア、ハンガリー、スロバキア、セルビアを流れるティッサ川を渡ろうとして溺死した、と付け加えた。この川では5月だけで10人の溺死が確認されている。

ロシア国防省によれば、ウクライナ軍は同時に前線で大きな損害を被り続けている、という。ウクライナ軍は最近、わずか1週間で約1万3500人の軍人を失った、と同省は金曜日(7月5日)の報告書で述べている。
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イスラエルの孤立: 反ユダヤ主義の恐怖物語か、それとも必然的な結果か?

<記事原文寺島先生 推薦>
Israel’s isolation: An anti-Semitic horror story or inevitable outcome?
ガザ戦争の西エルサレムへの影響については意見が分かれるが、その傾向は憂慮すべきものだ。
筆者:エリザベス・ブレード(Elizabeth Blade)
出典:RT 2024年6月19日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年7月11日


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資料写真. © Burak Kara/Getty Images

昨年10月にイスラエルとハマスの間で戦争が始まって以来、ボリビアとコロンビアはユダヤ人国家(イスラエル)との関係を断っている。チリ、ヨルダン、ブラジルは大使を召還し、トルコはガザでのイスラエルの残虐行為に対応して、イスラエルとの経済協力を停止した。

1,500人以上の命を奪い、5,000人以上の負傷者を出した10月7日のハマスの攻撃を受けて、イスラエルがガザに対する戦争を開始してから約10カ月が経過した。

ハマスを解体し、もはや脅威とならないようにするための闘いにおいて、イスラエルは過激派を追跡するためにあらゆる手段を講じてきた。問題は、その過程で罪のない人々の命も奪ったことだ。その数については議論があるものの、パレスチナの統計によると、37,000人以上のパレスチナ人 (主に女性と子ども) が命を落としている。最近の世論調査では、ガザ住民の60%以上がこの紛争で親族を失っていることが明らかになった。

死者、負傷者、飢餓者の映像は、ガザの完全な荒廃と相まって世界を揺るがしている。イスラエルを糾弾し、ガザに対する血なまぐさい戦争の終結を求める大規模な抗議行動は、毎週のように現実のものとなり、大学キャンパスでの集会や野営は日常的な現象となった。

増大する孤立化

しかし、イスラエルの政策に対する不満は大衆からだけ生じているわけではない。ここ数カ月、さまざまな国の指導者も反イスラエル感情の大合唱に加わっている。昨年11月、イスラエルのガザ攻撃から1カ月が経過した時点で、ボリビアはイスラエルとの関係を断絶した。ヨルダンやチリ、そしてブラジルなどは大使を召還し、トルコのエルドアン大統領はイスラエルとの経済関係を断絶すると発表した。

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関連記事:ネタニヤフは彼を取り巻く嵐を生き残れるか

欧州諸国も同調している。ノルウェーやスペイン、アイルランド、そしてスロベニアは、イスラエルの進行中の熾烈な攻撃に対応して、すでにパレスチナを承認している。そして、より多くの国が同じことを約束し、イスラエルがパレスチナ人に対する現在の政策をやめなければイスラエルは孤立するというメッセージを送っている。一般的にイスラエルを支持している英国やフランス、ドイツ、そして米国などからも批判の声が上がっているが、これらの国の指導者たちはすでに忍耐の限界だと言い始めた。

元イスラエル外交官でイスラエル外務省の元局長であるアロン・リエル博士は、自国が現在陥っている外交的混乱について、現在進行中の戦争や国際舞台におけるイスラエルの「立場の弱さ」だけでなく、イスラエルによるヨルダン川西岸地区の継続的な占領にも原因があると指摘する。

報告によると、2023年はヨルダン川西岸の入植地建設数と違法前哨基地の認定数で史上最高を記録した。2024年、イスラエル当局は紛争地域に新たに3,400戸を建設することを承認した。記録的な量のヨルダン川西岸の土地が国有財産として宣言された。

リエルは、イスラエルの地位が危険にさらされるかもしれないと考えている。「すべてはこんな状態が続くかどうかです。このような批判が今後数カ月も続けば、事態は深刻になるでしょう。イスラエルのイメージと国際的地位を損なうだけでなく、パレスチナの国際的地位を向上させる可能性もある。[ベンジャミン・ネタニヤフ首相の現政権が避けようと努力してきたこと - 編集者註]と彼は言っている。

イスラエルの立場は盤石なのだろうか

しかし、誰もが同意しているわけではない。南アフリカ・シオニスト連盟のスポークス・パーソンであるロリーン・マークス(女性)は、「イスラエルが世界で否定的に受け止められていると言うのは無理がある」と主張する。

「イスラエルは孤立していると断言することはできません」と彼女は言う。「その逆です。(イスラエルに対して) 驚異的な支持があり、多くの国がイスラエルに批判的である一方で、これまでのところ国際関係に大きな断絶は見られていない」と同氏は補足した。

この一因は、彼女が述べるように、「イスラエルがどのような相手を相手にしているのか」ということは世界が理解しており、世界の多くの主要国によってテロ組織として指定されているハマスと戦っている。これに加えて、もう一つの理由としては、そういう主要国自身の成功のためにイスラエルは必要な「強力な経済力とテクノロジー大国」であるという認識があるかもしれない。

「これらの主要国が本当にパレスチナ人のことを気にかけているのであれば、パレスチナ人がハマスに抗議したときや、2013年にヤルムークのキャンプでガス攻撃を受けたときに、もっと声を上げていただろう」とマークスは言う。

「これらの国々の言動は、それぞれの政治的思惑によって動かされている。例えば、同盟国のひとつは現在、選挙の真っ最中だ。また、大規模なイスラム社会を抱えている国もある。だから、メディアに対する公の発言と、密室で起きていることとは別のことなのだ」

イスラエル統計局が発表した最新データによると、2024年の中高度技術産業による輸出は年間4.8%増加した。また消費財の輸入も13.9%増加した。

イスラエルと他国との軍事協力も活発化している。イスラエル国防省は月曜日(6月16日)、ミサイルやロケット、そして防空システムなど、2023年に締結された協定の3分の1以上が5年間で輸出が倍増したと発表した。4月、イスラエルが何百機ものイランの無人偵察機に攻撃されたとき、アメリカやイギリス、フランス、そしてヨルダンの連合軍がイスラエルに救援に駆けつけ、湾岸諸国を支援したと言われている。今週初め、イスラエルのヘルジ・ハレビ参謀総長はマナマを訪れ、バーレーンやUAE、ヨルダン、そしてサウジアラビアを含む多数の将官と安全保障協力について話し合った。

問題は、将軍や政府が一般大衆の気持ちを代表していないことが非常に多いことだ。戦争が始まって以来、国民はイスラエルに対してより敵意を持つようになったようだ。

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関連記事:ラファへの攻撃はネタニヤフの躓きとなるか?

最近の世論調査によると、サウジアラビアの回答者の68%がイスラエルを承認するという考えを拒否すると述べた。同様の見解がモロッコとスーダンでも表明されており、拒否率はそれぞれ78%と81%であった。

欧州や米国でも反イスラエルの炎が燃え上がっている。2023年、アメリカは合計7,532件のユダヤ人憎悪犯罪事件を登録したが、2022年の公式数字は4,000件未満であった。フランスで起きた反ユダヤ犯罪は1,676件、2022年は436件だった;イギリスでは4,103件の事件が報告されている。ドイツでは3,614人で、これも前年に比べて大幅に増加している。

「10月以来、反ユダヤ主義が異常なまでに高まっています。反ユダヤ主義は沸点に達し、今まさに泡を吹いているのです」とマークスは語っている。「世界の指導者たちは、今こそこの問題に対して何かをしなければなりません」

しかしリエルにとって、解決策は世界の指導者の手にあるわけではない。カギはイスラエルの政治家とその政策にある、と彼は言う。

「彼らがすべきことは、国連安全保障理事会の案[人質の返還と敵対行為の停止を前提とする - 編集者註]を受け入れ、入植地の拡大を止め、入植者によるパレスチナ人への攻撃を防ぐことだ」とリエルは結論付けた。

筆者:エリザベス・ブレード、RT中東特派員
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爆弾記事「皆さんは正しかった。ワクチンは何百万人もの愛するものたちを殺している」日本の元総務大臣がワクチン未接種者らに謝罪

<記事原文 寺島先生推薦>
Bombshell: ‘You Were Right, Vaccines Are Killing Millions of Our Loved Ones’. Japan’s Former Minister of Internal Affairs Apologizes to the Unvaccinated
筆者:ショーン・アドルータバタバイ(Sean Adl-Tabatabai)・ミシェル・チョスドフスキー教授(Prof Michel Chossudovsky)
出典:グローバル・リサーチ(Global Research) 2024年6月23日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年7月2日


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日本では2021年2月、存在しない「殺人ウイルス」から日本人を守る手段としてmRNAワクチンが接種された。

すでに2億600万人分が投与された。日本の人々はmRNAワクチンの危険性について知らされていなかった。

2021年12月、日本の厚生省は「心筋炎などの副作用の発生率が低い」と指摘し、モデルナ社とファイザー社のワクチンの追加接種を許可した。

日本の厚生省の初期の勧告(これは多くの国で適用されているものと同様であった)は、以下のような内容だった:

副反応の危険性よりも予防接種を受けた効果の方が大きいので、政府は予防接種を受けることを推奨しています。(強調は筆者)」

原口一博議員の勇気ある発言で指摘されているように、この内容は誤解を招くものである:

「皆さんは正しかった。ワクチンは何百万人もの愛するものたちを殺しています」

「彼らは私たちの自由や抵抗、力を封じようとしています。しかし、我々は決して負けません。」

原口議員は行動を起こすよう呼びかけた。

同議員は、政府とその疑わしい決定に異議を唱えるために団結するよう国民に呼びかけた。

「この政府を打倒しましょう」

と同議員は宣言し、変革と説明責任の必要性を強調した。

そして、国民の生活と自由のために闘い続けるよう議員たちに呼びかけ、「実現させましょう」と締めくくった。

過剰死亡率(日本)(2020-2022年)
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日本では2021年初めにワクチンが発売された。

ロックダウン措置に起因する日本の自殺者数(2020)

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2020年3月のロックダウン措置直後の自殺率の急増に注目していただきたい(出典:厚生労働省/グラフ:日本経済新聞): 厚生労働省/グラフ ジェイソン・クォック、ナタリー・クロッカー、CNN)

COVID-19そのものによる死よりも、COVID-19大流行に伴う経済的・社会的影響により、自殺で亡くなる日本人の方がはるかに多い。警察庁の暫定統計によると、自殺者は10月(2020年)だけで2153人に急増し、4ヶ月連続で増加している。CBSの2020年11月の報道(強調は筆者)
日本の児童・生徒の自殺者数

日本の文部科学省が発表した2021年の報告書によると、2020年度に日本の児童・生徒の自殺件数が過去最高を記録したことが確認された。文部省の報告書は次のように指摘している。

COVID-19大流行は学校や家庭環境に変化をもたらし、子どもたちの行動に影響を与えた。」(詳細はミシェル・チョスドフスキーの著書第6章参照)


以下の題名の私の著書について:

世界的なコロナ危機、人類に対する世界的クーデター
初出は2022年4月の日本語版。

仕組まれたコロナ危機:「世界の初期化」を目論む者たち
ミシェル・チョスドフスキー(Michel Chossudovsky) (著), 岩間 龍男 (翻訳)
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英語版は電子書籍で入手可能。 (下記参照)。

政治的圧力が掛けられ、検閲がおこなわれそうな雰囲気であったにもかかわらず、拙著を世に送り出し、宣伝してくれた日本の出版社には、感謝の念を抱き続けている。出版社の方々と翻訳してくださった方に感謝の意を表する。

COVID「ワクチン」 をめぐる詐欺的な物語は、世界各地で崩壊しつつある。

カリフォルニア州第9巡回区裁判所、COVID-19 mRNA注射は「ワクチン」ではないとの判決。

ドイツでは、保健当局がCOVIDに伴うロックダウン封鎖や強制的なマスク着用、実験的なmRNA「ワクチン」の破壊的な性質と影響を認めた。

グローバル・リサーチは当初から、「ワクチン」がもたらす壊滅的な影響について、連日幅広く報道してきた。 私たちの目的は、命を救うことである。

日本の人々との連帯を。

世界中の人々との連帯を。

ミシェル・チョスドフスキー、グローバル・リサーチ、6月11日、2024年6月24日


原口一博元総務大臣が、ワクチン接種を受けた人々の間に津波のような死者が出ていることについて、ワクチン未接種者に謝罪した初めての大物政治家となった。

同議員の発言は7分付近から始まる。



今週初め、COVID-19大流行の際に世界保健機関(WHO)や世界経済フォーラム(WEF)などのグローバリスト組織が犯した人道に対する罪に対して、大勢の日本市民が街頭で抗議した。

原口議員は抗議デモの冒頭発言で、生命に関わるmRNAワクチンの展開の結果、膨大な数の死者が出ていることについて、力強く感情的な謝罪を行った。

原口議員はまず、COVIDワクチンの接種を強要され、愛する人を失った家族が感じている悲しみと喪失感を訴えた。深い誠意をもって、同議員は哀悼の意を表し、権力者たちの過ちの責任を取った。「私は皆さんに謝罪します。多くの人が亡くなりました、亡くなるべきではなかった人たちが、です」と同議員は述べた。

Thelibertybeacon.com の報道によると、原口議員の演説の要点の一つは、大村智博士が開発したイベルメクチンの禁止に対する批判だった。同議員は、この薬がパンデミック対策に大きな役割を果たせたはずだ、との考えを示した。原口議員は、この薬品の禁止の背後にある動機に疑問を呈し、公衆衛生よりも経済的利益が優先されたのでは、と述べた。「なぜでしょうか? 安いからです。ワクチンの売り上げに支障が出るから嫌がられたのです」と同議員は主張した。この発言は、企業の利益が人命よりも優先されたと感じていた聴衆から大きな拍手を浴びた。

原口議員はその後、自身の健康問題に関する非常に個人的な話をした。同議員は、ワクチン接種後、深刻な病気、具体的には急速に進行する癌を発症したという。「去年の今頃は、眉毛も髪の毛もありませんでした。私が受けた3つのワクチンのうち2つは死の危険をもたらすワクチンでした」と同議員は明かした。脱毛などの著しい身体的変化を含む癌との闘いについてのこの率直な話は、聴衆の共感を呼んだ。原口議員は、国会で自身の外見が人々の注目の的となり、対立候補が目の前の問題よりも彼のかつらに注目した、という出来事を語った。

この話に加えて、原口議員は、ワクチンによる副作用に苦しんだ日本の国会議員は自分だけではないことを明らかにした。同議員は、同僚3人が重篤な影響を受け、中には入院した人もいる、と述べた。「彼らは疲労困憊状態で、中には入院している人もいます。しかし、これらの議員は声を上げません」と彼は説明した。この暴露は、公人が個人の健康問題について公然と話し合うことに消極的である、あるいはできないという、より広範な問題を浮き彫りにした。

原口議員が特に情熱を持って訴えたのは、現在の政策や政府の行動に疑問を抱く人々を黙らせる試みについてだった。同議員は、チャンネル3の社長とのインタビュー後にチャンネル3での発言を禁止された最近の出来事について語った。

「先日、私はチャンネル3の社長と話をしましたが、私はそのテレビ局への出演を禁止されました。彼らは私たちに話させないようとしています」と同議員は述べた。反対意見を検閲しようとするこの動きは、言論と表現の自由に対する重大な懸念を浮き彫りにした。原口議員は聴衆に対し、

「彼らは私たちの自由や私たちの抵抗、私たちの力を阻止しようとしています。しかし、私たちは決して負けません」

と述べた。

原口議員は演説の最後に、行動を起こすよう呼びかけた。そして、政府とその疑わしい決定に異議を唱えるために国民が団結するよう促した。原口議員は、「この政府を打倒しましょう」と宣言し、変革と説明責任の必要性を強調した。議員らに国民の命と自由のために戦い続けるよう呼びかけ、「実現させましょう」と締めくくった。

現在(2024年5月31日)おこなわれている抗議活動は、数万人の参加を目指しており、COVID-19の大流行時の管理と健康政策に関する世界的な議論において重要な瞬間を刻んだ。個人的な逸話と強い批判に満ちた原口議員の演説は、参加者の心に深く響いた。


こちらを参照。
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ロシア軍がウクライナ側の司令部を強力な空爆により攻撃(動画あり)

<記事原文 寺島先生推薦>
WATCH Russian forces hit Ukrainian command post with powerful airstrike
ロシア側はウクライナ軍が使用していた複数の建物それぞれに4発の500kg砲弾を投下
出典:RT 2024年6月24日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年7月2日


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© Telegram / rusich_army


ウクライナの司令部が、4発の強力な空爆を伴うロシアの高精度攻撃によって壊滅させられたことが、ソーシャル・ネットワーク上で出回っている動画によって明らかになった。この攻撃を伝えたロシアのテレグラム・チャンネルで公開された映像によると、この攻撃はへルソン地方でおこなわれたものだ、という。

ドローンで撮影されたと思われるこの映像には、一団の低層ビルがわずか数秒の間に4回連続する爆発に揺さぶられ、辺り一面を濃い灰色の煙と土煙で覆っている様子が映っている。爆弾は互いに隣り合って落下し、高い精度で標的に命中しているように見える。

映像の最後には、空爆後の様子が映し出され、建造物は明らかに平らになっているか、廃墟と化している。この空爆に関連したウクライナ人の死傷者数は不明のままである。

ロシアの報道機関によると、この攻撃には4発のFAB-500空中爆弾が使われたという。最近、ロシア軍は自由落下爆弾に誘導装置を装備し、高精度の滑空兵器に変えている。


重さ0.5トン、炸薬量約200キログラムのFAB系爆弾は、敵の防衛施設や要塞、軍事産業施設を破壊するために設計されたものだ。その外殻が強力であるため、爆弾にあまり被害を出さないままで、多層ビルの天井野縁(のぶち)を貫通することができる。

ロシア国防省は今のところ、この動画や報道機関の主張について声明を出していない。

関連記事:WATCH rare Russian heavy bomb hit Ukrainian positions

また、前日にソーシャルメディアで公開された別の動画には、ロシア軍が北東部ハリコフ州の前線リプツィ村にあるウクライナの特殊作戦部隊の陣地に、珍しいFAB-3000重爆弾を投下する様子が映っていた。この攻撃で最大70人のウクライナ軍兵士が死亡したと伝えられている。

ここ数ヶ月、ロシア軍はドンバスにおいて着実に前進を続けている。さらに5月上旬、ロシア軍はハリコフ地方における攻撃に着手し、数週間で10程度の入植地を確保した。ウラジーミル・プーチン大統領によると、この前進は国境付近におけるロシアの民間基盤施設に対する砲撃に対応するためであり、「緩衝地域」の設置を求めるためのものである、という。
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米国がNGOを使って、世界中の「市民社会」を破壊してきた手口とは

<記事原文 寺島先生推薦>
How the US government uses NGOs to corrupt ‘civil society’ around the world
米国政府は外交政策の一環として似非学術的組織である「人権」団体を武器化している
筆者:グレン・ディーセン(Glenn Diesen)
ノルウェー南東部大学教授、『Russia in Global Affairs』誌編集者。ディーセン社のSubstackアカウントはこちら
出典:RT 2024年6月14日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年7月1日


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2024年5月14日、ジョージアのトビリシ市内のジョージア国会議事堂付近での投票中、「外国からの影響の透明化」法案に抗議するために集まったデモ隊に対抗する治安部隊。© Davit Kachkachishvili / Anadolu via Getty Images

欧米ではもちろん、それ以外の国でも、「人権非政府組織」(NGO)という旗印のもとに活動する圧力団体が、戦争関連喧伝を流布し、学者を威圧し、市民社会を腐敗させる重要な役割を担っている。これらの団体は、どの声を高め、どの声を検閲し、取り消すべきかを決定する門番的役割を果たしている。

市民社会は国家権力の均衡を保つために不可欠だが、政府は、自ら資金提供したNGOを通じて市民社会を乗っ取ろうとする傾向が強まっている。NGOは、声高に主張する少数派が、声なき多数派を覆すことを可能にする。

1980年代のレーガン・ドクトリン(戦略)により、市民社会が政府の政策から大きく逸脱しないようにするため、こうした「人権NGO」が政府から資金提供を受け、諜報機関とつながりのある人々によって運営されるようになり、問題を悪化させた。

このような門番によって、学者が率直かつ正直に発言する能力は制限されている。今日の例で言えば、ウクライナの大国間対立に関する学術的な議論において、NGOは異論を制限している。紛争を理解するために不可欠な、十分に文書化され証明された事実が報道機関で報道されないだけでなく、こうした事実を取り上げようとすれば、「論争好き」「親ロシア派」という漠然とした非難にさらされる。

ここではまず、こうしたNGOのひとつとの私の個人的な経験について、そしてこれらのNGOがいかに市民社会を乗っ取っているかについて概説する。

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関連記事:Donald Trump has become a problem for American elites

ノルウェー・ヘルシンキ委員会との出会い

ノルウェー・ヘルシンキ委員会は、米国政府とCIAから資金援助を受けている。同委員会は定期的に私に関するヒットピース(一見真実に見える偽情報)を発表し、私をロシアの宣伝者だと決めつけるツイートを毎週欠かさない。その主張はいつも、首尾一貫した議論といえるものではなく、罵倒と中傷である。

私を追放させるための定番の手口は、あらゆる記事やツイートで、学問の自由を認めている私の大学を貶め、私の教授としての雇用を打ち切ることで贖え、という暗黙の申し出をすることだ。最も激しい攻撃が加えられた際の不条理は、私が戦争宣伝情報を広めることで国際法に違反したと主張する7ページの新聞記事の掲載だった。同委員会は不承不承ながら、私が初日からこの戦争に反対していることを認めざるを得なかった。しかし、ロシア政治学の教授である私が、ロシアの報道機関と関わることは、戦争宣伝情報を広めることに加担している、と疑われることになった。

私が何かの催しに招かれて演説をするたびに、このNGO(NED)は登場し、主催者をあからさまに辱め、私の招待を取り消すよう主催者に圧力をかけてくる。このNGO(NED)はまた、公然と学者たちを扇動して私に反対する集会を開かせ、世論裁判で検閲の論拠を固めようとしている。私をロシアの宣伝者だと決めつけ、報道機関で憎悪を煽るだけでなく、「NAFO」のような匿名のネット上の荒らし集団を扇動し、オンライン上でも現実世界でも私を追放させようとする。その後、ソーシャルメディアや電子メール、SMS、電話を通じた脅迫が続き、警察は私に自宅の住所と電話番号を公開しないよう勧告した。最近、ノルウェー・ヘルシンキ委員会の1つが私の家の売却広告を掲載し、彼らのソーシャルメディアのフォロワー向けに私の住所入りの家の写真を掲載することまでした。

ノルウェー・ヘルシンキ委員会は他の組織にも潜入し、腐敗させている。熱心なヘルシンキ委員会の職員の一人は、ノルウェーのノンフィクション作家・翻訳者団体(NFFO)の理事でもあり、その立場を利用して、私が講演に招かれていた同団体の共催行事を取りやめさせた。ノルウェー・ヘルシンキ委員会は、適切な候補者が選ばれるように、ノーベル委員会にも過剰な数の委員を出している。

なぜ人道的NGOが学問の自由を制限することで、ナチス・ドイツの突撃隊のような行動をとるのだろうか? 同様に、人権NGOがなぜジュリアン・アサンジが暴露した人権侵害を調査するよりも、むしろアサンジを悪者にすることに労力を費やすのか、という問いも浮上する。

この「人権NGO」は、主に東側社会における虐待に取り組むことに専念している。その結果、すべての大国の政治は、善と悪の価値観の競争という枠にはめられる。そして、善と悪の対立として、内集団対外集団というわかりやすい対立関係を構築することが、政治的宣伝行為の重要な要素となっている。大国間の安全保障競争の複雑さは、単なるリベラル民主主義対権威主義の争いとして矮小化され、喧伝される。さらに、これらのNGOは「非政府組織」であり、単に人権に献身しているという通説がまかり通っている状況を拠り所としており、それがこれらのNGOの伝達効果を高めている。

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関連記事:Joe Biden’s health is about to be put to a severe test

世界を善と悪の対立に仕立て上げることで、相互理解と妥協は宥和策に等しく、平和は敵を倒すことで達成される。こうして、これらの「人権NGO」は、相手がヒトラーの最近の生まれ変わりであればだれでも、対立と対立の激化を呼びかけ、いっぽう、外交政策を求める人々は裏切り者として非難され、検閲される。

市民社会を乗っ取るNGO

第二次世界大戦後、米国の諜報機関はヨーロッパの市民社会を操るという重大な役割を担った。諜報機関はその役割を担っていることを指摘されると困惑したのだ。その解決策はだれにもその姿を丸見えにしながら、ほんとうの自分の姿は見えなくすることだった。

レーガン・ドクトリンは、人権を支援するという名目で、他国の市民社会に公然と干渉するNGOを設立するというものだった。その目的は、米国の諜報機関が影響を与えている活動を隠すためであったことは、よく知られている。NGOの「非政府組織」としての側面は、詐欺的である。というのは、ほぼ完全に国家から資金提供され、諜報機関とつながりのある人々が職員として働いているからである。例えば、2004年のウクライナの「オレンジ革命」では、反腐敗デモが親NATO/反ロシア政権へと変貌した。ウクライナで影響力を持つNGOフリーダムハウスの代表は、元CIA長官だった。

レーガン自身が1983年に全米民主化基金(NED)を設立した際、記念演説をおこなった。ワシントン・ポスト紙は、NEDを「あからさまな作戦をカモフラージュする優しいパパ」、「かつては『喧伝』と呼ばれていたものが、今では単に『情報』と呼べるようになった」と報じた。公開された文書から、NEDがCIAの宣伝活動に密接に協力していたことが明らかになっている。NEDの共同設立者であるアレン・ワインスタイン氏は、こう認めている:「私たちがこんにちおこなっていることの多くは、25年前ならCIAによって秘密裏におこなわれていたものです」と。CIAの内部告発者であるフィリップ・エイジ氏は、NEDは外国を転覆させるための「宣伝・誘導組織」として設立され、それを民主化促進組織に見せかけている、と説明している。NEDはノルウェー・ヘルシンキ委員会にも資金を提供している。

こういったNGOは、欧米の支援を受けた少数派が声高に多数派を疎外し、それを「民主主義」として売り込むことを可能にする。抗議行動により、選挙で選ばれた政府の転覆を正当化することができる。ガーディアン紙は、2004年のウクライナのオレンジ革命を、「他国の選挙に勝つ」ことを目的とした、「米国が創造した革命であり、西側ブランド戦略、そして大衆市場化戦略の洗練された見事な発想の運動」だと報じた。ガーディアン紙の別の記事では、オレンジ革命は「ポストモダン期のクーデター」であり、「CIAが支援した冷戦時代の第三世界の蜂起を、ポスト・ソビエトの状況に適応させたもの」であると報じた。同様の政権交代作戦が2014年にもウクライナで繰り返され、ウクライナの市民社会を反政府運動として動員し、その結果、大多数のウクライナ人の意思に反して民主的に選ばれた政府を転覆させた。これらのNGOがこの革命に「民主革命」のブランド名を冠することで、米国政府はウクライナ政府の主要な権力に対する支配力を主張できるようになった。

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関連記事:Drowning in debt: The paralysis at the heart of the US fiscal crisis


ジョージアに対しても同様の作戦が展開された。NGOは2003年にジョージアの「バラ革命」を演出し、ジョージア新当局が南オセチアを攻撃した後、最終的にロシアとの戦争に発展した。最近、ジョージアの首相は、米国がまたしてもNGOを利用して政府を転覆させ、自国を対ロシアの第二戦線として利用しようとしていると警告した。ジョージアの民主的に選出された議会は、圧倒的多数(賛成83対反対23)で、NGOの資金提供に関する透明性を高める法律を可決した。当然のことながら、西側諸国は、圧力団体の資金提供に関する透明性は非民主的だと決めつけ、「ロシアの法律」と決めつけた。またしても西側の国民は、民主主義の信頼性を求める抗議の映像を流され、ジョージア首相はロシアの操り人形にすぎないと吹き込まれた。米国とEUはその後、ジョージアの市民社会を「支援する」という名目で、ジョージアを制裁で脅すことで対応した。

市民社会を守る

社会は、政府と市場、市民社会という3つの足の上に成り立っている。当初、自由市場は個人の自由を政府から高めさせるための主要な手段であると考えられていた。しかし、19世紀後半に巨大な権力が大企業に集中すると、一部のリベラル派は、大企業の権力を制限する同盟者として政府に期待しはじめた。現代の課題は、政府と企業の利害関係がますます密接になっていることである。そのため、市民社会が自立して活動することはより難しくなっている。したがって、大学は自由の砦であり続けるべきであり、エセNGOに取り締まられるべきでない。


この記事はグレン・ディーセン氏のサブスタックに投稿されたものをRTの編集部が編集したものである。
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プーチン大統領、ウクライナ和平交渉の条件を明言

<記事原文 寺島先生推薦>
Putin names conditions for Ukraine peace talks
ウクライナ側はロシアの新領土から軍隊を撤退させなければならない、と同大統領は発言
出典:RT 2024年6月14日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年7月1日


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ウラジーミル・プーチン大統領は、意味のある和平交渉を始める前提として、ウクライナはロシアの新領土から軍を撤退させなければならない、と述べた。

ロシア政府は、ウクライナ政府が主張している旧ウクライナ領5地域に対する主権を拒否している。なお、そのうち4地域は、2022年の住民投票によりロシアへの編入が承認されている。それでもなお、ドネツク人民共和国やルガンスク人民共和国、ヘルソン州、ザポリージャ州では戦闘が続いている。

プーチン大統領は金曜日(6月14日)、セルゲイ・ラブロフ外相および他のロシアの高官との会談で、ウクライナ軍はこれらの地域から撤退しなければならない、と述べた。

「強調したいのは、これらの地域の全領土は、ウクライナに編入された当時(1991年8月)の行政境界線によって定義されたものだということです」とプーチン大統領は述べた。

「ウクライナ政府がこの決断を下す用意があると宣言し、これらの地域から実際に軍を撤退させ、さらにNATOに加盟する予定がないことを正式に通知した時点で、わが国は停戦を命じ、交渉を開始します」とロシア指導者(プーチン大統領)は約束した。

プーチン大統領がこの条件を説明したのは、和平交渉を拒否しているのはロシアだと非難しながら、ロシアとの和平交渉の邪魔をしているとされるウクライナ支援の西側諸国を非難したあとだった。

関連記事:Putin addresses top Foreign Ministry officials: As it happened

「我が国は、ウクライナ政府が軍の撤退や中立の保持、ロシアとの対話に関するこのような決定をおこなうことを期待しています。これらのことはこの先のウクライナの存亡に関わるものであり、ウクライナが単独で決すべきものであって、西側諸国の命令に従うことなく、現在の状況に基づいて、ウクライナ国民の真の利益を鑑みておこなうべきことです」とプーチン大統領は述べた。

現時点ではロシアは紛争の休止を考えていない、というのもその休止を利用し、米国とその同盟諸国がウクライナ軍を再武装し再建することが可能になるからである、とプーチン大統領は主張した。さらに、この問題の完全な解決には、ウクライナ側が4つの新しい地域とクリミアをロシアの一部として承認することが必要である、と同大統領は主張した。

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関連記事:Russian troops never intended to capture Kiev – Putin

「今後、こうした基本原則的な立場はすべて、基本的な国際協定に盛り込まれなければならないでしょう。当然、それにはロシアに対する西側諸国の制裁の解除も含まれます」とプーチン大統領は述べた。

同大統領は、これらの条件を受け入れることで関係者全員が改心し、徐々に傷ついた関係を修復できるようになる、と述べた。最終的には、ユーラシア大陸のすべての国に機能する汎欧州安全保障体制が構築される可能性があるとプーチン大統領は付け加え、ロシア政府は何年もこのような方向性を求めてきた、と指摘した。

ロシア大統領によるこの基調演説は、スイスが主催するウクライナ和平推進を目的とした首脳会談に先立っておこなわれた。ウクライナ政府は、ロシア政府はウクライナ政府が推進する「和平案」に代わる案を推進することで会議を「乗っ取る」ことになるため、同会議にロシアを招待することはできない、と主張している。

プーチン大統領は、この会議は紛争の「真の根源」から世論をそらすためのものであり、ウラジミール・ゼレンスキー大統領は先月で大統領の任期が切れたにもかかわらず、ウクライナの権力者の座を強奪した、と主張した。スイスでのこの集会からは、デマとロシアへの非難しか生まれないだろう、とプーチン大統領は見通しを述べた。


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