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腐敗の極致! 元ポーランド副大臣が主張 「キエフ政権は米国民主党のために資金洗浄し、その30~50%を着服!!」

<記事原文 寺島先生推薦>
Ukrainians have stolen up to half of US aid – ex-Polish deputy minister
ウクライナ当局は民主党のために資金洗浄し、残ったお金の一部を受け取った、とピオトル・クルパ氏は主張
出典:RT 2024年11月21日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年11月30日


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ホワイトハウスでウクライナのウラジミール・ゼレンスキー大統領と会談中のバイデン大統領/ チップ・ソモデヴィラ © ゲッティイメージズ

ウクライナはジョー・バイデン米大統領の政権が主張するほど多くの外国援助を受けておらず、実際に受けた援助の多くは横領された、とポーランドの元副大臣が主張した。キエフに届いた資金の最大半分はウクライナ当局者によって盗まれたとピオトル・クルパ氏は主張している。

この政治評論家は、2000年代半ばに労働副大臣を務めるなど、ポーランド政府でいくつかの役職を歴任し、現在はウクライナのオンライン番組に定期的に出演している。クルパ氏は、木曜日(11月21日)のウクライナ人ジャーナリスト、ラナ・シェフチュク氏に対する発言からもわかるように、米国次期大統領ドナルド・トランプ氏の声高な支持者である。

「戦争関連の汚職はウクライナだけでなく、供給国とも関係していることは誰もが理解しています。米国がアフガニスタンで2兆ドルを浪費したなどと誰が信じるでしょうか? それは妄想です!」と同氏は語った。

米国の援助計画は「民主党支配下の怪しげな体系に資金を提供する巨額の資金を帳消しにする」ための仕組みだ、とクルパ氏は主張した。トランプ政権は政府の財政を見直し、公式声明で述べられている額と比べて「ウクライナが受け取ったのはごくわずかだった」という真実を明らかにする可能性がある、とクルパ氏は主張した。

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「しかし、それ以外の別の事実も発見されるでしょう。それは資金の大部分がウクライナで盗まれたという事実です。その割合は、援助の内容に関係なく、30%から50%です」と同氏は付け加えた。

クルパ氏は、もしウクライナ当局がウクライナ予算のために横領された金を全て回収すれば、同国は1年間は十分な資金を持つことになるだろう、と述べた。同氏は、ウクライナの高官らの通常給与やボーナスが法外に高い、と非難した。

「これはウクライナ国民全員に対する侮辱です。ヨーロッパと米国の納税者全員に対する侮辱です。この制度は最初から最後まで犯罪なのです」と同元大臣は主張した。

トランプ氏とその同盟者は、バイデン政権がキエフに送った援助の量について非常に批判的だ。トランプ次期大統領は、EU諸国がウクライナ支援の重荷を負うべきであり、米国政府は自国の優先事項に集中すべきだ、と主張している。

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ウクライナ政権内での汚職に対する米国の懸念は、国防総省のロバート・ストーチ監察総監室が先週発表した報告書など、一部の政府文書に反映されている。報告書には、汚職が「ウクライナのEUおよびNATO加盟の野望達成に向けた取り組みを引き続き困難にしている」と記されている。
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CDC(アメリカ疾病管理予防センター)元長官が爆弾発言!「コロナウイルスは米国政府が生物兵器の一環としてつくりだしたものだ!!」

<記事原文 寺島先生推薦>
Did the US help create Covid-19? Ex-CDC chief carpet-bombs the official narrative
ロバート・レッドフィールド博士は、このウイルスは研究室で作られ、米国が関与していたと示唆している。
筆者:レイチェル・マースデン(Rachel Marsden)
コラムニスト、政治戦略家、そして独立系報道機関でトーク番組の司会者をしている(フランス語と英語)
出典:RT 2024年11月23日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>2024年11月30日


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綿棒サンプルを分析し、新型コロナウイルス感染の可能性を調べている検査技師。© Alexander Koerner / Getty Images


さまざまな虚偽の事実が暴露されているにもかかわらず、西側諸国の権力組織は、5年近く経った今でも、新型コロナウイルスに関する言説を監視し続けている。最新の衝撃的なニュースが米国の国家安全保障上の隠蔽を示唆しているにもかかわらずだ。

西側諸国が議論の余地のない事実として歴史に刻み込んだとみなす新型コロナウイルス関連の許容可能な教義から外れた発言をしたとして、米国疾病予防管理センター(CDC)の元長官が、偽情報拡散容疑で告発されている。

ドナルド・トランプ大統領の1期目にCDC所長を務めたウイルス学者ロバート・レッドフィールド博士は、最近のポッドキャストで、新型コロナウイルスは「生物兵器防衛計画の一環として意図的に作られた」ものであり、「米国の役割は大きかった」と述べ、「国立衛生研究所や国務省、米国国際開発庁、国防総省」が資金提供した研究である、と述べた。

同元長官は、実証はできないと認めているが、「もともとのウイルス株のいくつか」はノースカロライナ大学の研究者によって作成された可能性が高い、と具体的に述べた。これは、投獄の脅迫の下で証拠と証言を強制する権限を持つ公聴会で議論すべきことだ。ポッドキャスト上ですべきことではない。その研究者を正式な証言台に立たせてはどうだろうか?

「科学者らは、新型コロナウイルスがどこかの国の研究室で発生したことを示す証拠はないことに同意している」と ニューズウィーク誌はレッドフィールド氏の発言を報じた。実際は、少なくとも火災の可能性を示唆する煙は出ている。2021年、同誌はトランプ大統領の最初の任期中に国立アレルギー感染症研究所(NIAID)所長を務めたアンソニー・ファウチ博士に連絡を取っている。ファウチ博士は、米国が「コロナウイルスが蔓延している中国で支援してきた研究は、コウモリの間で循環し、広範囲に病気を引き起こす可能性のあるコロナウイルスの動きを理解することを目指したものだった。この研究で得られた科学的知見は、NIHが支援した研究から発表されたコウモリコロナウイルスの配列がSARS-CoV-2ではなかったことを示している」と明言していた。

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関連記事:US played ‘substantial’ role in causing Covid pandemic – ex-CDC chief

ファウチ氏は、米国が支援する機能獲得研究は、人間に感染する可能性のあるウイルスには適用されていない、とも付け加えた。つまり、今回の世界的な震源地が、米国側が資金提供している中国の研究所の近くだったというのは、信じられないほど奇妙で不運な偶然、ということになるのだろうか。その研究所では、いくつかのウイルスの機能獲得研究がおこなわれていたが、世界的な大混乱を引き起こしたウイルスそのものではなかった、という説明だった。

そして、私たちはファウチの言葉をそのまま信じなければならないのだ。お気に入りのスポーツチームのロゴが入った布マスクを着けてテレビに登場し、顔におばあちゃん用のパンストのようなまるで役に立たないものをつけるかどうかだけが生死に関わる問題だから、皆も自分と同じことをするよう命じた、人物の話を、だ。さらには、ワクチン接種を受けていない家族を休暇に招待しないように米国民に伝えてもいた。実のところ、このワクチンは伝染や感染を防ぐことができなかったにもかかわらず。

ポッドキャストのインタビューで、レッドフィールド氏は中国の責任を、西側諸国の体制を苛立たせるような形で再定義した。「中国の説明責任について考えると、彼らの説明責任は研究室での作業やウイルスの作成をしたことにあるのではない。彼らの説明責任は、問題があると認識した後、国際保健規則に従わなかったことにある」と述べ、この研究計画を先導したのは米国の国益だったことを示唆した。

もう一度言うが、なぜ一般的な米国民はこのような無名の番組を通じてこの事実を知るのだろうか? レッドフィールド氏は新型コロナウイルスに関する議会公聴会でも証言したのに、彼の立場は聞き入れられるどころではなかった。BBCによると、レッドフィールド氏は以前、「彼らは単一の説明しか望んでおらず、明らかに私の視点はそれとは異なる、と言われた」と語っていた、という。「科学には議論があるが、彼らはあらゆる議論を潰した」と同氏はファウチ氏の発言を受けて付け加えた。ホワイトハウスは、新型コロナウイルスの起源について米国政府全体で合意さえ得られていないことを認めているが、答えが出ないことに完全に満足しているようだ。

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関連記事:Musk mocks son of Soros’ pandemic claim

不確実性が残っているにもかかわらず、主流派のマスコミは、中国で誰かが食べたコウモリか他の動物が原因だという説を支持しない人をすぐに退けようとする。科学界と西側諸国の主流派は、新型コロナウイルスに関する見解を総意として厳重に管理しており、あえて逸脱する人は変人扱いされる。今回の場合、その反対意見が、新型コロナウイルス騒動の最中に米国を代表する保健当局の一人によって表明されたものであっても、だ。

こんな科学界は、誰もいない浜辺を一人でさまようサーファーが公衆衛生の保護を理由に警官に追いかけられ、取り押さえられるような事態を招いたとき、「科学」を社会的に応用しようとはまったくしなかった。自分たちの人為的な気候変動理論に関連するいかなる反対意見にも同様に不寛容なのも、この科学界なのだ。

答えが出ていない疑問がまだたくさんあるなかで、この件に関する議論が遠巻きにでも物議を醸しているのはなぜなのだろうか? そして、この問題が無害なものでも、完全に過去のものになったわけでもない。圧倒的に生存率が高く(そして今やほとんど忘れ去られている)ウイルスに関する政府公式喧伝の津波に今でも大きな心的外傷を抱えている人たちが、コロナワクチンを定期的に手に入れようと走り回っている。このワクチンは、これまで長年実証されてきたワクチンの定義を満たすものではないというのに。

最近、米国の一部の自治体では、次の注射を待ち焦がれる人々の動きを抑える措置を講じている。これらの人々は、5年前に国の後押しで生じた精神的外傷からまだ癒されていないのだ。テキサス州とフロリダ州の当局はワクチンの宣伝や販売促進行為を積極的に抑えている。オハイオ州の地域公衆衛生当局は最近、ワクチンが入手できないようにさえしている。

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関連記事:RT is ‘only station where I can tell the truth’ – RFK (ARCHIVE VIDEO)

昨年、下院監視委員会は、CIAがコロナウイルスの起源を研究する専門家団に、実験室からの漏洩説ではなく自然感染説を支持するよう金銭的な報酬を提供したと証言した「非常に信頼できる」上級CIA職員を特定した。CIAの関与を否定できないのなら、他の関連する国家安全保障機関の関与の可能性をなぜ無視するのか?

新型コロナウイルスの惨事における政府機関の目立たない役割について透明性を高めることは、トランプ大統領の保健長官候補ロバート・F・ケネディ・ジュニア氏にとってぴったりの仕事のように思える。同氏は伯父のジョン・F・ケネディ大統領がベトナムへの派兵を拒否したことを理由に、同大統領の暗殺にCIAが関与したのではないかと長年疑ってきた。

米国からフランスまで、西側諸国の政府はコロナ関連の情報や審議を機密扱いにしている。今こそ会話を再開する良い機会のようだ。まずは秘密の「コロナファイル」を一般公開することから始めよう。もちろん、すべては科学の利益のためだ。
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ついに元CDC長官が「コロナ騒ぎ」は米国が元凶だったことを認めた!!

<記事原文 寺島先生推薦>
US Government Funded Creation of the Coronavirus
筆者:ポール・クレイグ・ロバーツ(Paul Craig Roberts)
出典:自身のブログ 2024年11月21日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年11月30日


ロバート・レッドフィールド元疾病予防管理センター(CDC)所長が、米国政府機関がコロナウイルスの開発に資金を提供していたことを明らかにした。「NIH(国立衛生研究所)、国務省傘下のUSAID(米国国際開発庁)、国防総省の3機関が研究に資金を提供した」 と。

同元CDC長官によると、「この研究の科学的立役者」は、コロナウイルスに関する世界有数の専門家として広く知られるラルフ・バリック博士だった、という。 レッドフィールド元長官によると、このウイルスは「生物兵器防衛計画の一環として意図的に作られた」という。私は、この「ワクチン」が早期死亡と不妊によって世界の人口を減らすために意図的に設計された、と確信している。これが、地球上の全人口にワクチン接種を迫る圧力の背後にある狙いだったのだ、と。https: //www.rt.com/news/607966-us-covid-origin-claim/

下劣な米国の報道機関と、腐敗した大手製薬会社が支配する米国の医療制度は、コロナウイルスはコウモリ由来であり、ワクチンではないコロナウイルス「ワクチン」は安全で効果的だという嘘で米国民を騙し続けている。大手製薬会社は選挙資金を使って米国議会を沈黙させている。イスラエルによるパレスチナ虐殺よりも大規模な殺人や負傷が、売春婦のようなアメリカの報道機関と臆病な米国議会によって隠蔽されてきた。

トランプは、このような腐敗した勢力が再び巨大化するのを防ぐことはできるのだろうか?

トランプがボビー・ケネディを保健福祉長官として承認させたいのであれば、今から演説を始め、上院と米国民に、製薬大手が上院から不承認票を購入するつもりであることを通告しなければならないだろう。そうすることで、上院に「製薬業界大手による米国民の生命と健康への攻撃を擁護し続けるなら上院議員を解任する」と誓約する何百万通もの手紙が国民から送られてくることになるだろう。しかしトランプの首席補佐官が元製薬大手のロビイストであるにもかかわらず、トランプにはそんなことができるだろうか?

トランプ次期大統領の最大の危険は、何も達成できず、その失望が彼に信頼を寄せてきた米国民の士気を低下させることにある。米国民が諦めてしまえば、その先に待つのは、自分たちを苦しめる専制政治による圧政だ。
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イスラエルのヨルダン川西岸の併合計画

<記事原文 寺島先生推薦>
Israel to annex West Bank – Seymour Hersh
米国の調査ジャーナリストであるシーモア・ハーシュによれば、この動きは「二国家解決案」の阻止を目的としている
出典:RT 2024年11月20日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年11月30日


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2024年11月20日、イスラエル軍によるガザのデイル・アル・バラへの攻撃が続く中、イスラエルが燃料の持ち込みを制限しているため、馬やロバに引かれた荷車で移動するパレスチナ人。© Ashraf Amra/Getty Image


イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、今後数週間のうちにヨルダン川西岸地区の正式な併合を発表するつもりだ、とある情報筋がピューリッツァー賞受賞ジャーナリストのシーモア・ハーシュに語った。

ハーシュによれば、イスラエルはワシントンからの「爆弾と資金提供によって強化され」、ガザ北部からガザ南部へのパレスチナ人の追放を強化している。一方、ネタニヤフ内閣を「支配する」宗教政党は、パレスチナ両占領地域(ガザとヨルダン川西岸)の完全な支配を要求している。

「私は今週、事情通のワシントン当局者から、イスラエル指導部が近い将来、おそらく2週間以内に、正式にヨルダン川西岸地区を併合するだろうと聞いた。その決定的な一歩があれば、二国家解決案をきっぱりと終わらせ、懐疑的なアラブ世界の一部の人々に、ガザ復興への資金提供は再考したほうがいいと説得できるとイスラエル指導部は考えている」とハーシュは水曜日(11月20日)自身のサブスタックの記事に書いている。

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関連記事:Pope urges inquiry into Gaza genocide allegations

それが事実であれば、この動きはジョー・バイデン米大統領の政権の最後の数週間と重なり、ドナルド・トランプ次期大統領が1月に就任するまでに新しい「現場の現実」を作り出すことになる。トランプは、ホワイトハウスでの1期目に、イスラエルによるゴラン高原の併合を承認し、米国大使館をエルサレムに移転した。

イスラエルは昨年10月、パレスチナ武装勢力によるイスラエル領土への一連の破壊的な襲撃を受けた後、ガザに拠点を置くハマスに宣戦布告した。10月7日の攻撃で約1,100人のイスラエル人が死亡し、推定250人が捕虜となった。

イスラエル軍の軍事作戦が始まって以来、ガザでは4万4000人近いパレスチナ人が死亡し、さらに10万4000人が負傷したと地元当局は発表している。

イスラエル軍と警察は、ハマスと対立するパレスチナのファタハ派が統治するヨルダン川西岸地区でもパレスチナ人を厳しく取り締まっている。

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関連記事:’Hamas as an idea cannot be destroyed by force’

ヨルダン川西岸地区とガザ地区は、1949年の紛争の後、それぞれヨルダンとエジプトに併合され、新たに形成されたイスラエル国家がパレスチナ領土の委任統治領の大部分を支配することになった。イスラエルは1967年の戦争で両方を占領した。国際法はヨルダン川西岸とガザを占領地域とみなしており、複数の国連決議がこれらの地域にパレスチナ独立国家の樹立を求めている。

ハーシュは国際的に有名な調査報道記者であり、ベトナム戦争中の米軍によるミライ虐殺とその隠蔽を暴き、1970年にピューリッツァー賞を受賞した。また、アブグレイブでのイラク人囚人虐待やCIAの国内スパイ活動についても報告している。最近では、2022年9月にロシアとドイツを結ぶノルド・ストリーム・ガスパイプラインが破壊されたのはアメリカのせいだと非難しているが、この疑惑をアメリカは否定している。
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米国政府は世界を破滅させる気なのか?

<記事原文 寺島先生推薦>
Will Washington Destroy the World?
筆者:ポール・クレイグ・ロバーツ(Paul Craig Roberts)
出典:自身のブログ 2024年11月25日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年11月29日


CNN を見たり、ニューヨーク・タイムズを読んだり、NPR を聞いたりして、自分は情報に精通していると思っている米国民は、核戦争に関する私の警告を偽情報、さらには精神異常とさえみなしている。米国民は、ブリンケン国務長官やジェイク・サリバン国家安全保障担当大統領補佐官などの米国政府高官は愚かではなく、気が狂ってもいない、と言っている。

読者の皆さんなら、米国とNATOがロシアにミサイルを発射する許可を与えることが何を意味するかをご理解いただけるだろう。ロシア大統領が米国とNATOがロシアと戦争状態にあると明言しているのに、である。そんなことが愚かでも気が狂ってもいないなどとどうして言えようか。ロシアが戦争の教義を見直し、核兵器の使用をより低い基準で許可しているにもかかわらず、ブリンケンとサリバンがこの許可を与えたことは、米国には現実から乖離した国務長官と国家安全保障担当補佐官がいることを示している。

このまったく愚かな二人のせいで、全米国民、そしておそらく全人類が死ぬかもしれない。この愚か者は二人とも、軍安保複合体とイスラエルを代表している。 どちらも、米国の軍安保複合体の権力と利益、そしてイスラエルの利益以外に何も考えられない。軍安保複合体とイスラエルだけが彼らの支持基盤だ。世界の残りの国々は、この二つの利益のために犠牲になっている。

ブリンケンとサリバンの完全な愚かさは、金のために自らを売る売春宿のような米国の売女報道機関といい勝負だ。昨日、主要な売女報道機関の1つであるワシントン・ポスト紙は、間違いなく歴史上最も無知で愚かな社説を掲載した。この社説を書いた完全な愚か者は、トランプがロシアと悪い取引をしたのならハルマゲドンに向かう行進を止める価値はない、と述べたのだ。「トランプがウクライナを分離したままにするのであれば、米国は弱体化し、独裁者は勢いづくだろう」と。

ワシントン・ポストの編集者のこの意味深な言葉を吟味したうえで、米国がどうやって生き残れるのか考えてみよう。ワシントン・ポスト紙の愚かな編集者にとっては、「米国が弱く見られる」ことよりも、最終戦争につながる戦争を続けることの方が重要なのだ。

勢いづく独裁者、とは誰のことだろう? プーチンは四半世紀にわたって圧倒的な支持を得てロシア国民から選出されてきた。こんなことはトランプでさえ達成できない。ワシントン・ポスト紙の馬鹿な編集者にとって、「独裁者」とは、自国の主権を米国政府の覇権に従わせない者たちを指す。 この「独裁者」とは誰なのか? ロシアや中国、イランの指導者たちであり、イスラエルの圧力団体と米国の軍事・安全保障複合体が作り上げたお気に入りの敵たちのことだ。

読者の皆さん、昨日、私はロシアの新型中距離ミサイルのことについてお知らせした。このミサイルが開発された唯一の理由は、トランプ大統領が就任後最初の任期中にINF条約を無効にしたことにある。この条約は、レーガン大統領とゴルバチョフ大統領が署名したもので、核戦争の可能性を大幅に減らした条約だった。そしてこのミサイルは、核弾頭を使用せずに、ヨーロッパと中東にある米国とNATOの軍事資産をすべて数分で破壊できることもお伝えした。

トランプ大統領は一期目になぜ、こんな理解不能な間違いを犯したのだろうか。こんなことは、危険なほどに彼の判断力が欠如していたことを示す行為だった。その理由は、完全に邪悪な人々か、完全に愚かな人々から助言を受けたからだ。二期目の今回は違う、とどうして言えるのか。そのことをロシア政府は疑問に思っている。

ワシントン・ポスト紙の愚かさが地球上の生命にとって危険であるにもかかわらず、ロシアの視点を理解することを弱さだとみなすだけでは不十分で、ウォール・ストリート・ジャーナル紙も最終戦争への推進に加わっている。

かつてはまずまず知的な人物だったホルマン・ジェンキンスは、11月23日に北朝鮮軍がロシア軍と並んでウクライナ軍と戦っているというバイデン政権の喧伝を受け入れ、戦争衝動を煽った。

北朝鮮の人々がこの紛争に参加しているという証拠は、私の知る限りない。北朝鮮の人々は、ロシアと北朝鮮の防衛協定が本気であることを示すためにロシアに滞在している。この協定の目的は、ワシントンの愚か者どもに、米国が台湾に関して中国に圧力をかけることに対抗して、韓国に圧力をかけることが可能であることを示すことにある。米国政府を構成する程度の低い愚か者どもは愚かすぎて、中国を挑発することで生じる脅威が韓国が制圧されることにつながることを理解できていない。

米国の指導者たちを見れば震え上がるしかなくなる。リンジー・グラハム上院議員は頭の悪い男で、ロシア、中国、イランといつでも戦争する気でいる。この愚か者は、その結果がどうなるか分かっているのだろうか? 米国の勝利? そうだ。そう考えるほど、彼は愚かなのだ。

米国には戦争を遂行する能力がない。能力や実績ではなく、肌の色や女性、性的倒錯に基づいて昇進するバイデン政権のDEI(多様性、公平性、包括性)政策によって、すべての軍隊の士気は低下している。

米国の兵器体系はロシアのものより劣っているため、米国対ロシアは石器時代の人間と現代の軍隊が戦うようなものだ。米国の非常に高価なF-35の大部分は欠陥だらけで運用不能だ。米国が持っているのは核兵器搭載のICBMだけだ。問題は、ロシアの極超音速ミサイルが、発射前に米国側のミサイルを撃破できるかどうかだ。

米国と世界に必要なのは平和だ。米国政府はシオニストのネオコンを拒絶し、世界覇権の目標を放棄し、他国の主権を認め、米国政府の覇権に従わないことに対する制裁をやめなければならない。米国政府がこれをやめなければ、米国は存在しなくなるだろう。それだけだ。

ちょっと考えてみていただきたい。米国の権力層の中に、知的で道徳心のある人はどこにいるのだろうか? 一人もいない。だからこそ、ドナルド・トランプという指導者を外部から招き入れなければならなかったのだ。

しかし、トランプに何ができるだろうか? 彼の運動は未熟だ。彼の支持者のほとんどは、彼の当選で戦いは終わった、と考えている。しかし、米国の体制は依然として健在だ。それは州や地方、連邦政府、報道機関、企業、ウォール街、銀行機構、大学、法科大学院、公立学校制度、司法などあらゆるところで組み込まれており、大学で「現在の米国は邪悪で搾取的で人種差別的で性差別的な国」であり、「トランプは道徳的進歩の邪魔をしている」と教えられている世代の米国民の中にも組み込まれている。

トランプが米国を刷新できる原動力はどこにあるのだろうか? ジャーナリズムの学校はウォーク派のジャーナリストを輩出している。教育学部はウォーク派の教師を輩出している。法科大学院はウォーク派の弁護士を輩出している。私たちの教育体系は、MAGA(米国を再度超大国に)の方向に向かおうとする米国に反対する反米主義者を輩出しているのだ。

トランプはすでに司法長官候補を失った。ボビー・ケネディとトゥルシー・ギャバードも失うかもしれない。国務長官や国家安全保障担当大統領補佐官、国連大使、駐イスラエル大使、中東特使に選ばれたのはいずれもイスラエルと同盟を組むシオニストで、彼らはイラン政府を悪とみなし、イランとの戦争をいとわない。

トランプと彼の好戦的な任命者たちは、ロシアが旧ロシア領をロシアに再編入することを受け入れられるだろうか? さらには、ポーランドやルーマニアを含むロシア国境に米国/NATOのミサイル基地が設置される可能性がまったくないことを受け入れられるだろうか。もしそうでないなら、トランプには西側諸国が始めた紛争への西側諸国の関与を終わらせる見込みはない。

プーチンは、トランプが大統領に就任して米国政府が正気に戻るかどうか見守る間、ロシアへのミサイル発射をさらに受け入れるだろうか。人道主義的な性格を持つプーチンの傾向はそういうものだが、愚かな西側諸国は、プーチンのこの忍耐を封じ込めようとしている。西側諸国は、ロシアへのミサイル攻撃を倍増させている。フランスは、米・英に加わり、ロシアに対する長距離ミサイルの使用を承認した。フランス外相は、ミサイルの使用に制約を設けるべきではない、と述べた。愚かなフランス外相は、フランスはウクライナにNATOへの加盟を勧める用意がある、とも付け加えた。ロシアの「もうたくさんだ」という警告を無視し、トランプが危険な状況を打開するという可能性を阻止するために状況を悪化させる行為を、愚かと呼ばなければ何と呼べばいいのだろうか。

ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は、フランス大臣の発言は「ウクライナへの支援ではなく、むしろ ウクライナへの弔鐘(ちょうしょう)だ」と述べた。確かに、核戦争が勃発すれば、世界にとって弔鐘が鳴らされることになる。

このような戦争は、西側諸国の指導者たちが自らの喧伝に完全に溺れているために起こり得るものだ。フランス外相は、ヨーロッパの安全がウクライナで危機に瀕していると考えている。「ロシア軍が1平方キロメートル前進するたびに、脅威はヨーロッパに1平方キロメートル近づく」と。ロシアがヨーロッパを占領できるほどの規模の軍隊を編成する計画がないことを、フランス外相が知らないはずがない。ロシアはウクライナへの介入をロシア領ドンバスに限定するつもりであり、戦争を拡大しているのは西側だということを、フランス外相が知らないはずがない。ロシアはロシア国内やBRICS、シルクロードに集中しており、ヨーロッパに邪魔されることを望んでいないことを、フランス外相が知らないはずがない。ドンバス介入からヨーロッパ征服計画に展開すると考えるのは、まったくの愚かものにちがいない。

私たちが直面している状況は、西側諸国の指導者たちが自らの喧伝によって愚かなほど無知にされ、自分たちが作り出した本当の脅威、つまり核戦争を認識できていないということだ。ニューヨーク・タイムズ紙は、米国と欧州の一部の当局者がウクライナに核兵器を提供することを話し合った、と報じている。これ以上愚かで無責任なことが起こり得るだろうか。これほど危険なほど愚かな人々が西側諸国の指導者になっていることなどあり得るのだろうか。

人類の運命がこのような全く愚かな人々の手中にあるのに、どうして不安を感じずにいられるというのか?
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「西欧による世界支配の500年は終わった」とハンガリー首相オルバーン氏

<記事原文 寺島先生推薦>
West’s 500-year hegemony is over – Orban
ハンガリー首相によると、世界の支配的な中心はユーラシアに移りつつある。
出典:RT 2024年11月21日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年11月29日


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ファイル写真:ハンガリーのヴィクトル・オルバーン首相。© Luka Dakskobler / SOPA Images / LightRocket via Getty Images


ハンガリーのヴィクトル・オルバーン首相は、500年にわたる西欧の世界覇権は終わり、未来はユーラシア大陸のものになると述べた。

「全世界は西欧モデルで組織されるべきであり」、各国は「経済的・財政的利益と引き換えに」喜んでそれに参加するという考えは破綻した、とブダペストでのユーラシア・フォーラムでオルバーンは木曜日(11月21日)に述べた。

オルバーン首相は、西欧世界は東側からの挑戦を受けていると宣言し、「次の時代はユーラシアの世紀になるだろう」と付け加えた。

「500年にわたる西欧の文明支配は終焉を迎えた」とオルバーンは語った。

オルバーン首相によれば、アジア諸国は強くなり、「経済的、政治的パワーの独立した中心地として台頭し、存在し、持続する」能力があることを証明した。現在、アジア諸国は人口的にも技術的にも欧米諸国より優位に立っている、と彼は主張した。

その結果、世界経済の中心は東洋に移り、東洋では西欧の4倍のスピードで経済が成長している、とオルバーンは言う。「西欧産業の付加価値は世界の40%を占め、東洋産業の付加価値は50%を占めている。これが新しい現実だ 」。

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関連記事:Western liberalism has ‘degenerated’ – Putin

アジアが世界人口の70%を占め、世界経済に占める割合も70%に達している一方で、EUは現実の変化の中で「第一の敗者」として浮上したとオルバーンは言う。また、移民、ジェンダー・イデオロギー、民族紛争、ロシア・ウクライナ危機などの課題に直面し、西欧は自らの環境の中で「窒息」していると主張した。

「西欧の指導者たちが、自分たちが最も賢く、最も美しく、最も発展し、最も豊かであるという優越感に慣れ親しんでいる感覚を捨てることは、当然ながら難しい」とオルバーンは述べた。

オルバーン首相によれば、西側のエリートたちは「過去の栄光」を守ることにやっきとなって目の前の課題に向き合おうとしない、それはやがて経済的・政治的閉塞につながるという。

ロシアのプーチン大統領も、人類は覇権主義から多極化に向かっていると繰り返し述べている。西欧のエリートたちが世界中の他の国や他の民族を搾取できる時代は終わりに近づいているとプーチンは今月初め述べた。

ソチで開催されたバルダイ・フォーラムで演説したプーチン大統領は、植民地時代と同じように世界を支配することに慣れてしまった「古い覇権主義者」たちは、もはや自分たちの話にだれも耳を傾けてくれないことを理解していると述べた。プーチンはまた、西欧諸国が自国の例外性を信じていることは、「世界的な悲劇を招く」可能性があると警告した。
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プーチンは核兵器についてハッタリを言っていない―セルビアのヴチッチ大統領

<記事原文 寺島先生推薦>
Putin not bluffing about nuclear weapons – Serbia’s Vucic
バルカン半島のセルビア大統領は、欧米の指導者たちに熱い警告を発した。
出典:RT 2024年11月19日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年11月28日


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ファイル写真:セルビアのアレクサンダル・ヴチッチ大統領。© Getty Images/Gokhan Balci/Anadolu Agency

セルビアのアレクサンダル・ヴチッチ大統領は、ロシアのウラジーミル・プーチンが、モスクワのレッドラインを越え続ければ核兵器を使用すると発言するのは本気だと警告した。また、プーチンの警告を無視するのは「頭のおかしい人」か、プーチンをよく知らない人だけだと付け加えた。

セルビアのニュースメディア「ノーボスチ」によると、ヴチッチは月曜日(11月18日)、記者団に対し、「西側の兵站や武器を使ってロシア領内のあらゆるものを攻撃してもそれに対する反応などはないし、プーチンが必要と考える武器でもそれを使うことはないと思う人間は彼を知らないか、異常なのだ」と語ったという。

ヴチッチは、ウクライナ紛争の停戦交渉に誰も応じようとしないことから、地球は破局の瀬戸際にあると警告した。「世界は破局に近づいている。誰も耳を貸さない。誰も平和について話さない。「今日は大陸間ミサイル(原文ママ)が飛んでくることが話題になっているが、明日の話は別になる」。

1999年にNATOによる大規模な空爆作戦の対象となったセルビア大統領は、11月19日にプーチンが承認したロシアの核兵器使用原則の更新に言及した。この原則は、核保有国の支援を受けた非核保有国による攻撃を、直接的な核侵略と同等に扱うことを認めるものだ。

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また、プーチンが承認したロシアの核兵器使用原則の更新には、核兵器配備の範囲を拡大し、ロシアやその同盟国ベラルーシの主権や領土保全を危険にさらす可能性のある通常型の軍事的脅威もその中に含まれている。

ヴチッチ大統領は、プーチン大統領は核兵器を最後の手段と考えているとしながらも、ロシアの安全が直接脅かされるような事態になれば、大統領は行動すると強調した。「モスクワの安全保障や軍隊が危険にさらされ、他に方法がなければ、大統領は核兵器を使うだろう」と述べ、セルビアはそのような紛争に巻き込まれることは避けるが、「標的は我々の周囲になるだろう」と警告した。

モスクワは一貫して、西側諸国がキエフに長距離ミサイルを供給することでウクライナ紛争を激化拡大させていると非難してきた。クレムリンのドミトリー・ペスコフ報道官は最近、このような行動を、戦争を長引かせ、ウクライナをより広範なロシアとの紛争の代理人として利用することを目的とした「新たな戦争拡大」と呼んだ。
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ロシアの新しい核兵器使用原則(その要点)-バイデン政権の新しいウクライナ政策を受けて

<記事原文 寺島先生推薦>
Russia’s new nuclear doctrine (KEY POINTS)
ウラジーミル・プーチン大統領は、核抑止に関するロシア連邦の国家政策の基本原則の変更を承認した。
出典:RT 2024年11月19日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年11月28日


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ファイル写真。ロシアのRS-24ヤーズ、MIRV搭載の熱核武装大陸間弾道ミサイル© Getty Images/Vlad Karkov;SOPAイメージ;ライトロケット

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、モスクワが核兵器の配備を許可されるシナリオを概説する新しい国家核ドクトリンに正式に署名した。以下は、クレムリンのウェブサイトに掲載された、更新された文書の要点である。

1. 核抑止に関する国家政策は、本質的に防衛的なものであり、核抑止に十分な水準の潜在的核戦力を維持することを目的とし、国家主権と国家の領土保全の保護、およびロシア連邦やその同盟国に対する侵略からの潜在的敵対国の抑止を保証するものである。軍事紛争が発生した場合、本政策は、軍事行動の拡大の防止及びロシア連邦及び/又はその同盟国が容認できる条件での終結を規定する。

2. ロシア連邦は、核兵器を抑止の手段とみなしており、その使用は極限的かつやむを得ない措置であり、核の脅威を減らし、核を含む軍事衝突の引き金となりうる国家間関係の悪化を防ぐために必要なあらゆる措置を講じる。

3. ロシア連邦は、潜在的な敵対国に対する核抑止力を保持する。潜在的な敵対国とは、ロシア連邦を潜在的な敵対国とみなし、核兵器および/またはその他の大量破壊兵器、あるいは重要な戦闘能力を有する通常戦力を保有する個々の国家または軍事連合(ブロック、同盟)を意味すると理解している。核抑止力はまた、ロシア連邦に対する侵略を準備し、実施するために、その支配下にある領土、領空、および/または海洋空間を提供し、ならびに資金を提供する国に対しても保持される。

4. ロシア連邦および/またはその同盟国に対する軍事連合(ブロック、同盟)のいかなる単一国家の侵略も、連合(ブロック、同盟)全体としての侵略とみなされる。

5. 核保有国の参加または支援を受けた非核保有国のロシア連邦および/またはその同盟国に対する侵略は、共同攻撃とみなされる。

6. ロシア連邦は、自国及び/又はその同盟国に対する核兵器及び/又はその他の大量破壊兵器の使用に応じて、また、通常兵器を使用して連合国の構成国であるロシア連邦及び/又はベラルーシ共和国に対する攻撃が行なわれた場合において、そのような攻撃が自国の主権及び/又は領土の保全に重大な脅威をもたらす場合には、核兵器を使用する権利を留保する。

7. 核兵器の使用はロシア連邦大統領が決定する。
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オタワ大学カチャノフスキー教授の研究「キエフのクーデター2014」が英国の出版社から検閲を受けている。

<記事原文 寺島先生推薦>
Top Ukrainian academic claims British publisher censoring truth
カナダ在住の同教授は、ラウトレッジ誌が西側諸国の支持している陰謀論を新著に盛り込むよう要求している、と発言
出典:RT 2024年11月15日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年11月27日


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イワン・カチャノフスキー。YouTube / @IvanKatchanovskiPhD

ウクライナ問題に関する著名な学者が、英国の著名な出版社ラウトレッジ社が彼の新著を検閲しようとしていると非難し、同社がロシア・ウクライナ紛争の分析に「代替」の視点を含めるよう要求している、と主張している。

ウクライナ西部出身のオタワ大学教授イヴァン・カチャノフスキー氏は、キエフのいわゆるマイダン・クーデターをめぐる通説を科学的に暴露したことや、マイダン後のキエフの親欧米政権に対する批判的な姿勢で知られている。

カチャノフスキー氏は木曜日(11月14日)の一連のX投稿で、自身の著書「マイダンからロシア・ウクライナ戦争まで」の出版契約を結んでいるラウトレッジ社が、西側諸国が支援する陰謀説を盛り込むよう原稿を改訂しない限り出版を拒否している、と主張した。

同氏は特に、ノルドストリームの爆撃や2022年の和平交渉の阻止など、米国と英国によって妨害されたとカチャノフスキー氏が言う論争の的となっている問題について「代替情報源」を反映するよう出版社が要請したことに言及した。

カチャノフスキー氏は次のように書いている。「ラウトレッジ社は、私が原稿全体を改訂し、ロシア・ウクライナ戦争や和平協定、ノルドストリームの爆撃、そしてマイダン虐殺を含む私が調査した他のすべての問題に関して、別の視点や代替情報源を使用しない限り、私の本を出版することはできないと述べている」と。彼は、この要求は政治的動機によるものであり、事実に基づいた彼の調査結果を発表することを妨げている、と主張している。


同教授によると、彼の著書は複数の専門家から支持を集めている、という。匿名の査読者の一人は、この本が「比類のない幅広い実証的根拠」を持ち、ロシア・ウクライナ紛争の研究に「重要な貢献」をしている、と評した。別の査読者は、カチャノフスキー氏の研究は「批判に耐え」、学界で高く評価される、と述べた。

同教授は、2014年のマイダン狙撃事件の分析を含む証拠に基づく研究で名声を築いた。同教授は、法医学動画分析を用いて、この事件は当時のウクライナ大統領ヴィクトル・ヤヌコビッチの追放を正当化するために使われた偽旗作戦だった、と主張している。西側諸国の公式見解と矛盾するこの理論は、最初に提唱されたときにはマイダン支持派から批判を受けたが、カチャノフスキー教授の理論は学者や専門家に引用され続けている。

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関連記事:Officials hiding truth from Zelensky – Economist

カチャノフスキー氏は、ラウトレッジ社の要求に合わせて原稿を修正するか、契約を完全に取り消すかの選択を迫られている、という。同氏は「学問的欺瞞」を犯すことを拒否し、「私は自分の本を、どんな政府や報道機関であってもそこで宣伝された政治的に都合の良い言説や情報源に基づいて書くことはできない」と述べている。

大手学術出版社ラウトレッジ社は、カチャノフスキー氏の主張についてまだ声明を出していない。同出版社は人文科学や社会科学の書籍で知られているが、近年は政治的圧力に屈している、と非難されている。

カチャノフスキー氏は、ラウトレッジ社が出版を阻止し続けるなら別の出版社を探すかもしれないことを示唆しているが、そうなるとこの著作の出版が最大1年遅れる可能性がある。
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ついに堪忍袋の緒が切れた! プーチン大統領の欧米に対する最後通牒!!

<記事原文 寺島先生推薦>
Putin, the nuclear doctrine, the new deterrence: ultimatum to Europe
筆者:ロレンツォ・マリア・パチーニ(Lorenzo Maria Pacini)
出典:Strategic Culture Foundation 2024年11月23日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年11月26日


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ヨーロッパはいつまで西洋の愚政に従うのだろうか? いまこそ、歴史の正しい側に立つことを選択する時なのではないのか?

新たな核抑止戦略。これは、ロシア領土への長距離ミサイルシステムの使用を承認し、開始し、同国を攻撃するNATOのさらなる挑発に対するロシア連邦の反応である。

最も単純かつ基本的な論理では、これは「度重なる宣戦布告」とされて当然の行為だ。軍事戦略においては、この行為は戦略方程式の特定の必須要素に関する敵の特定の立場を確認することを目的とした挑発行為と見なされる。すべてが不条理に近い。なぜなら、バイデン政権からトランプ政権するというこの繊細な局面においては、米国の権力層はヨーロッパ全体を破滅の瀬戸際に突き落とす以外に何もすることがないように思われるからだ。しかし、ロシア側の方はより賢明に動けているようだ。

新たな戦略への移行

まず、 2020年6月にウラジーミル・プーチン大統領の大統領令によって発布された、核兵器と抑止力に関する従来の軍事戦略を見てみよう。

この政令は、国の防衛戦略の要となる核抑止力に関する国家政策の基本原則を定義し、核兵器の使用に関するロシアの公式見解を概説し、核兵器の使用につながる危険や脅威、具体的な条件を特定し、抑止力の管理に関する指針を確立している。

核抑止力とは、潜在的な敵対国がロシアとその同盟諸国に対して敵対行動を取るのを抑止するために調整された一連の政治的、軍事的、経済的、外交的措置と定義されている。この政策は、明らかに防衛的な性質を持ち、侵略と武力紛争を防ぐのに十分な程度の核能力を維持することにより、国家主権や領土保全、国家の安全を守ることを目的としている。軍事紛争が発生した場合、この政策は、戦争の激化を防ぎ、ロシア連邦が受け入れ可能な形で敵対行為を終結させることを目指している。

ロシアは核兵器を極めて必要な手段とみなしており、その使用は危機的状況に限定されている。核兵器を使用するかどうかの決定権は大統領のみにあり、大統領は必要に応じて、核兵器を使用する意思や決定を他国や国際機関に通知することができる。核兵器を使用する条件には、ロシアやその同盟諸国に対する核攻撃や大量破壊兵器攻撃、国家の存亡を脅かす通常攻撃、核兵器による対応能力を損なう重要基盤施設への攻撃への対応などがある。

この法令ではさらに、敵対国とみなされる国による先進兵器システムの開発と配備、敵対的な軍事同盟の拡大、核兵器の無制限な拡散など、核抑止力を必要とするいくつかの脅威を特定している。その他の懸念事項としては、ロシア国境付近への攻撃兵器の配備や、宇宙の軍事目的での利用の可能性などがある。

ロシアの核抑止の基本原則には、国際的な軍備管理の約束の遵守や防衛活動の継続、新たな脅威に対する戦略の適応性、国家統制の集中化、国家の安全を確保するために最小限だが十分な核兵器の維持などが含まれる。抑止力は、常に即応状態に維持される陸海空の核戦力の組み合わせに基づいている。

この政策を実施する責任は、さまざまな国家機関に分散されている。大統領は全体的な戦略を指導し、政府は核兵器の潜在力を維持するための経済や外交、技術面を担当する。安全保障理事会は関係機関の活動を調整し、国防省は軍事措置の計画と実行を監督する。

ロシア連邦は、いかなる存亡の危機に対しても核兵器を含むあらゆる必要な手段で自国を防衛する権利を留保しつつ、国際的な緊張を緩和し、紛争を予防・鎮静化する決意を表明している。

新たな発表

プーチン大統領は新たな核抑止力の原則を発表した。政府公式チャンネルではまだ公表されていないが、スプートニク・チャンネルで非公式翻訳が公開されている。

最も重要な相違点、つまり新しい執行令で追加された仕様は、次の点に関するものである。

・敵の性質は単独の場合もあれば、同盟や連合国の場合もあり、その定義は拡大しており、NATOとその加盟諸国による攻撃についてロシア政府当局者が繰り返し発表していることと完全に一致している。

・特定された脅威の種類は、宇宙技術も統合した幅広い戦略システムにまで及んでいる。

・位置の特定、ロシア連邦とその軍事システムへの近接性の再定義。

核抑止理論の合理化と更新は、西側諸国全体に対する重要な警告となる。ロシアは核戦争の準備ができている、ということだ。

大統領は、これまで公表されていなかったロシアの極超音速ミサイルシステム「オレシュニク」に言及したが、これは西側諸国にとって決して意外なことではなかった。西側諸国は、直接的な衝突への備えから目をそらすためにクレムリンが漏らした情報に注目していたからだ。オレシュニクは、我々が知る西側諸国の防衛システムを上回るマッハ10に達する能力を持つシステムである。

この発表は、プーチン大統領が11月21日に世界に向けて本当の最後通牒を発した際に繰り返した。

「繰り返しますが、我が国はNATO諸国のロシアに対する攻撃的行動への対応として、オレシュニク・ミサイルシステムを戦闘条件下でテストしています。中距離および短距離ミサイルのさらなる配備の問題は、米国とその衛星諸国の行動に応じて我が国が決定します。我が国の最新ミサイルシステムのさらなるテスト中に攻撃される標的は、ロシア連邦に対する安全保障上の脅威に応じて我が国が決定します。我が国は、ウクライナが我が国の施設に対して武器を使用することを許可している国の軍事施設に対して我が国の武器を使用する権限があると考えています。攻撃的行動が激化した場合、我が国は同様に断固として思慮深い方法で対応します。ロシアに対して軍事部隊を使用する予定の国の支配層には、真剣に検討するよう勧告するものであります」

覇権国米国の愚行に対し、プーチンは、欧州諸国に、前例のない兄弟同士の戦争で犠牲になるのは自分たちだと十分承知しているはずだ、と訴えることで応えている。ヨーロッパはいつまで西側の愚行に従うのだろうか? 今こそ歴史の正しい側に立つことを選択する時ではないのだろうか?

ロシアは反撃と約束で応じている。「我が国は核兵器をより良い時のために取っておくので、我が国は『通常』兵器を使い続けます。どのメニューを選択するかは西側次第です」と。
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西側報道機関や西側諸国政府がついてきた嘘が現実となり、世界は破滅に向かう。

<記事原文 寺島先生推薦>
How lies become facts and the world ends
筆者:ポール・クレイグ・ロバーツ(Paul Craig Roberts)
出典:自身のブログ 2024年11月23日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年11月26日


売女報道機関と報道機関が、不注意についてきた終わりのない偽報道を繰り返してきたせいで、嘘が真実に変わりつつある。

どの報道機関を読んでも、「ロシアがウクライナに侵攻した」と書かれている。この嘘は、ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポスト、ロイター、AP通信、ブルームバーグ、CNN、ウィキペディアやNPR、ABC、CBS、NBC、BBC、テレグラフ、ガーディアンなどの公式の報道機関に限ったことではない。エポック・タイムズやブライトバートなどの代替報道機関にも登場する。実際、この嘘は、米国議会や英国議会、ウォール街、ヨーロッパのメディアや政府など、ほぼあらゆるところで事実として繰り返されている。

実のところは、ロシアの侵攻などでは全くなかったのだ。ロシア軍は、ドネツクとルガンスクに侵攻しようとしていた、米国が訓練し装備したウクライナ軍とネオナチ民兵に対抗するため、2つの独立した共和国からの支援要請を受けてドンバスに入った。2つの独立した共和国はロシアに対し、2014年にクリミアとともにロシアへの帰属を要請したが、プーチンは両共和国の要求を拒否し、ロシアの黒海艦隊の拠点であるクリミアだけを奪取した。その代わりにプーチンは、ドンバスをウクライナの一部に留めるミンスク合意に賭けた。

ミンスク合意の執行者であるドイツとフランスが後に認めたのは、ミンスク合意はプーチンを騙すために使われ、その一方で米国政府は、ウクライナ軍を創設して両独立共和国を征服し、ソ連に侵攻したナチス・ドイツと戦った祖先をもつロシア国民をウクライナのネオナチから守れなかったとしてプーチンに政治的困難を与えようとした、ことだ。言い換えれば、米国政府の覇権に反対した罪でプーチンの信用を失墜させる計画だったのだ。

プーチン大統領がドンバス住民の圧倒的多数による投票に従ってドンバスをロシアに返還することを拒否したため、プーチン大統領はミンスク合意を堅持するいっぽうで、ドネツクとルガンスクは8年間の爆撃と多くの死傷者を出した。最終的に2022年2月、米国政府やNATO、EUがロシアとの相互安全保障協定を拒否し、ドネツクとルガンスク両共和国が侵略に直面する中、プーチン大統領は、政治的および行政上の理由でソビエト指導者によってソビエト連邦のウクライナ州に併合されていたウクライナ東部と南部のロシア人住民を保護するために行動せざるを得なくなった。ドンバスとクリミアは数世紀にわたりロシアの一部であり、ウクライナ領ではなかった。ソビエト崩壊後にロシアの信頼を再構築していた指導者であるプーチン大統領は、アメリカが提供したウクライナ軍によってロシア人が虐殺されている間、傍観することはできなかった。

プーチン大統領のこの介入に対する視座は非常に限定的だった。それはウクライナ征服とは全く関係がなかった。彼が公に発表した「特別軍事作戦」は、ウクライナ軍をドンバスから追い出すことだけを目的としていた。プーチン大統領はウクライナ征服に何の努力もしてこなかった。

当時私は、彼の限定的な方向性、特にロシア人とウクライナ国民の犠牲者を最小限に抑えようとする意図により、ロシアがドンバスからウクライナ軍を排除することに成功したにもかかわらず、ウクライナの傀儡政権が戦争を継続することになるだろう、と述べた。

プーチンの賭けではなく、私の予測が正しかったことが証明された。私が予想したとおり、ウクライナ側の戦争継続能力を妨げなかったことで、プーチンは現在3年目となる長期戦争を可能にし、その間、米国政府は西側諸国を徹底的に関与させることに成功した。最新の例は、バイデン政権が米国とNATOの要員によるロシア本領へのミサイル発射を承認したことだ。

先日に米国によるロシアへのミサイル攻撃は、越えてはならない一線を越えてしまった。その一線は、大きな戦争を避けるためにプーチン大統領が設定していたやり過ごすことのできないものだった。西側諸国と違い、プーチン大統領は戦争を望んでいない。彼はウクライナ紛争を望んでいなかった。米国政府が彼にそれを強制したのだ。プーチンは米国政府が作った軍隊がロシア人を虐殺するのを傍観することはできない。

プーチン大統領は過去に、戦争拡大を避けるために挑発行為を無視してきた。そのため、西側諸国では「プーチン大統領は何もしない」ので、プーチン大統領の警告は意味がないとの印象が生まれている。

この結論は危険なほど間違っている。人道主義者であるプーチン大統領が、罪のない民間人とその希望、そして核兵器が使われれば地球上の生命に恐ろしい影響を与える戦争拡大を避けるために挑発行為を無視してきた、という事実を無視している。西側が出している結論は、挑発行為がプーチン大統領にとって無視できないほど深刻になる可能性があるということも無視している。私にはいまの状況はそこまで到達した、と思える。

無責任な米国政権が、その傲慢さと無敵の信念に惑わされ、ロシアを挑発し続けるなら、プーチン大統領は逃げ場を失うだろう。その時点で、西側諸国の攻撃は予期せぬ結果をもたらす可能性がある。

我々が直面している問題は、西側諸国の指導者たちが虚偽の言説にあまりにも溺れ、現実を理解できていないことだ。プーチン大統領が彼らの挑発に対抗しないことで挑発を助長したのだから、それは彼らのせいだけではない。しかし、攻撃的なのは西側諸国であって、ロシアではない。そしてロシアは、本気で反撃をしても仕方がないところまで追い詰められてしまった。

挑発が止められなければ、世界は終わってしまうだろう。
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プーチン大統領、ウクライナ情勢悪化に対するロシア当局の対応を説明(全文)

<記事原文 寺島先生推薦>
Putin outlines Moscow’s response to Ukraine escalation (FULL SPEECH)
ロシアのプーチン大統領は木曜(11月21日)の夜、クレムリンからテレビ演説を実行
出典:RT 2024年11月21日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年11月26日


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© Kremlin.ru


ウラジーミル・プーチン大統領は、いかなる侵略にも断固たる対応をすると明言し、緊張を高めている西側諸国を批判し、ウクライナ紛争の解決に向け和平交渉に応じるロシア政府の姿勢を改めて強調した。

以下はクレムリンが提供したプーチン大統領の演説の全文である。

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領:ロシア連邦軍の軍人や我が国の国民、世界中の友人、そしてロシアに戦略的敗北をもたらすことができるという幻想を持ち続けている人々に、西側諸国の長距離兵器による我が国の領土への攻撃を受けて、特別軍事作戦の地域で今日起こっている出来事についてお知らせしたいと思います。

西側諸国が扇動したウクライナ紛争の激化は続いており、米国とそのNATO同盟諸国はロシア連邦内での攻撃に長距離高精度兵器の使用を承認する、と発表しています。専門家は十分に認識しており、ロシア側も繰り返し強調していますが、こうした兵器の使用は製造国の軍事専門家の直接的な関与なしには不可能です。

11月19日には、米国製のATACMS戦術弾道ミサイル6発、また11月21日には、英国のストーム・シャドウ・システムと米国製のHIMARSシステムによる合同ミサイル攻撃により、ロシア連邦内のブリャンスク州とクルスク州の軍事施設が攻撃されました。その時点から、これまでの通信で繰り返し強調してきたように、西側諸国が引き起こしたウクライナの地域紛争は、世界規模の戦争性質を帯びるようになりました。我が国の防空システムは、これらの侵入にうまく対抗し、敵の目的の達成を明確に阻止しました。

ブリャンスク州の弾薬庫で発生したATACMSミサイルの残骸による火災は、死傷者や大きな被害を出すことなく鎮火しました。クルスク州では、私たちの北方集団の指揮所の1つが攻撃の標的となりました。残念ながら、攻撃とその後の防空戦闘により、周辺警備部隊と整備要員に死傷者が出ました。しかし、管制センターの指揮官と運用要員に死傷者は出ず、同センターは、敵部隊をクルスク州から排除し追い出すための私たちの部隊の作戦を効果的に管理し続けています。

敵によるこうした兵器の使用が特別軍事作戦地域での戦闘作戦の進路に影響を与えることはないことを改めて強調したいです。我が国の部隊は接触線全体にわたって順調に前進しており、我々が設定した目標はすべて達成されるでしょう。

米・英の長距離兵器の配備に対抗するため、ロシア軍は11月21日、ウクライナの防衛産業複合体の施設に共同攻撃を実施しました。野外環境では、ロシアの最新中距離ミサイル・システムの1つ、つまり、我が国の技術者がオレシュニクと名付けた非核極超音速弾道ミサイルを搭載したシステムのテストも実施しました。テストは成功し、発射の目的を達成しました。ウクライナのドニプロペトロフスク市では、ソ連時代からミサイルやその他の兵器の生産が続いている最大かつ最も有名な工業団地の1つが攻撃を受けました。

我が国が、中距離・短距離ミサイルを開発しているのは、米国が欧州やアジア太平洋地域に中距離・短距離ミサイルを生産・配備する計画に対抗するためです。米国は2019年に不合理な口実でINF条約を一方的に破棄しましたが、それは間違いだったと我が国は考えています。現在、米国はそうした装備を生産しているだけでなく、我々が知るとおり、米国は先進的なミサイル・システムを欧州を含む世界各地に部隊の訓練演習中に配備する方法を編み出しています。さらに、こうした演習の過程で、それらを使用する訓練もおこなっています。

念のため言っておきますが、ロシアは、米国のこの種の兵器が世界のどこかの地域に出現するまで、中距離および短距離ミサイルを配備しない、と自発的かつ一方的に約束してきました。

繰り返しますが、我が国はNATOによるロシアに対する攻撃的な行動に対抗するため、オレシュニク・ミサイル・システムの実戦テストを実施しています。中距離および短距離ミサイルのさらなる配備に関する我が国の決定は、米国とその衛星国家の行動次第でおこなわれます。

ロシア連邦の安全に対する脅威に基づき、先進ミサイル・システムのさらなる試験の際、我が国は標的を決定します。我が国は、我が国の施設に対して武器の使用を認める国の軍事施設に対して、我が国の武器を使用する権利があると考えています。攻撃行動が激化した場合、我が国は断固、かつ鏡のように対応します。ロシアに対して自国の軍事部隊を使用する計画を立てている国の支配層は、この決意を真剣に検討することをお勧めします。

というのも我が国のような兵器に対抗する手段はないからです。ミサイルはマッハ10、つまり秒速2.5~3キロメートルの速度で標的を攻撃します。現在世界で利用可能な防空システムや、米国がヨーロッパで構築しているミサイル防衛システムは、そのようなミサイルを迎撃することはできません。不可能です。

国際安全保障体制を破壊し、覇権に固執しながら戦い続けることで、全世界を世界的紛争に巻き込んでいるのはロシアではなく米国であることを改めて強調させてください。

我が国は常にあらゆる紛争を平和的手段で解決することを好んできたし、今もその用意があります。しかしそれと同時に、いかなる事態の展開にも対応できる準備もできています。

我が国のこの決意を疑う方がいるかもしれませんが、誤解しないでください。何かあれば、我が国は必ず反応します。
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ネタニヤフ首相がハマスを支援してきた、それほど秘密でもない歴史

<記事原文 寺島先生推薦>
The not-so-secret history of Netanyahu’s support for Hamas
オスロ合意(1993年-1995年)の妨害からガザへのカタールの資金流入まで、ビビ(ネタニヤフ首相の愛称)はその経歴を通じてハマスを支援し、紛争の継続に協力してきた。歴史家アダム・ラズ氏は、10月7日以降も同首相は同じ戦略を推し進めている、と主張する。
筆者:グースーン・ビシャラット(Ghousoon Bisharat)
出典:+972マガジン 2024年11月11日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年11月25日


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エルサレムでの記者会見で発言中のベンヤミン・ネタニヤフ首相。2024年9月2日。(チャイム・ゴールドバーグ/Flash90)


イスラエルの歴史家で人権活動家のアダム・ラズ氏が「10月7日への道:ベンヤミン・ネタニヤフ、終わりなき紛争の産出、そしてイスラエルの道徳的退廃」の執筆に着手したとき、彼はイスラエルの公共の議論の盲点に取り組んでいることを自覚していた。イスラエル人の大多数は、現在の戦争の前に、ハマス支援と終わりなき紛争状態の永続化にネタニヤフ氏がどの程度関与していたかを完全に理解していない、とラズ氏は考えている。

今年5月に出版されたラズ氏の著書は、ネタニヤフ政権が長年にわたり、ハマスを支援するためにカタールの資金をガザに移送することを日常的に承認し、奨励してきたという物議を醸す政策に光を当てている。ラズ氏は、10月7日の事件後、イスラエルの報道機関がこの政策にさらに注目するようになったと指摘しつつ、これは「全体像のほんの一部に過ぎない」と当+972誌に語っていた。その根底にあるのは、この紛争を公正に解決しようとすることに対してネタニヤフ氏が全面的に反対しているという事実がある。「人々はネタニヤフ氏の戦略の全容を理解する必要がある」と同氏は語っていた。

イスラエル・パレスチナ紛争研究のためのアケヴォット研究所の研究員でもあるラズ氏によると、ネタニヤフ首相の優先事項はイスラエルの安全を維持することではなく、むしろ領土分割や占領の終結、あるいは二国家解決による紛争解決の現実的な可能性を阻止することだという。ハマスへの資金の流れを維持することは、パレスチナ民族運動がガザ地区のハマスとヨルダン川西岸地区のファタハ支配のパレスチナ自治政府(PA)に分裂したままになることを確実にすることでこの目的を果たし、イスラエルが全土で支配権を維持できるようにした。10月7日の壊滅的な事件の後も、ラズ氏はネタニヤフ首相の戦略は変わっていないと警告している。

この本はこの紛争に関する歴史を学ぶためのものではなく、むしろイスラエルの道徳的構造を劣化させ続けている政治的同盟の告発である、とラズは強調する。 「私はこの本を書いたのではなく、ページ上で叫んだのだ」と彼は語っている。

ネタニヤフ首相とハマス、そして最近殺害されたその指導者ヤヒヤ・シンワル師との共生関係の長い歴史、現在の戦争がパレスチナ人全体に対する首相の戦略の継続であり、断絶ではない理由、そして1年以上の戦争とシンワル師の死を経ても、ネタニヤフ首相にとってほとんど変化がない理由について、ラズと話した。インタビューは長さと明瞭さのために編集されている。

あなたの本を読むと、私はあなたが少しネタニヤフ首相に執着しすぎているように思えてなりませんでした。イスラエルには政治や安全保障についての指導的な専門家やイスラエルの国家安全保障上の利益、世論、報道機関は存在せず、まるでビビの国だけのように書いておられるように感じました。パレスチナ人として、これは他の意思決定者やイスラエル社会全体から責任を取り除き、代わりにネタニヤフだけに責任を負わせる方法のように感じられたのですが。

これはネタニヤフについての本です。ネタニヤフ政権下の占領やハマスの歴史、2つの民族運動の衝突についての話を書こうとは思いませんでした。この本はネタニヤフとシンワルの関係についての話なのです。この政治劇で最も重要な役者であり、社会の首根っこを掴んでいるこの2人の動機を理解しようとするための本なのです。

イスラエルはビビの国です。パレスチナ人やイラン核合意、その他の外交問題など、イスラエルで何が問題になっていようと、それはすべてネタニヤフの手の中にあるのです。私の本では、これがどのようにして実現したのか、ビビがイスラエルの政治をどのように変えたのかを読むことができます。安全保障体制がネタニヤフの対ハマス政策に反対していたのは事実ですが、彼らと真っ向から対立した重要な岐路では、すべてネタニヤフが勝利してきました。

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ヨルダン川西岸の占領地ジェニン近郊の陸軍基地を訪問するイスラエルのネタニヤフ首相(2023年7月4日)。(シル・トレム/Flash90)

あなたの本の中心的な主張のひとつは、パレスチナ国家に対するネタニヤフの反対が、パレスチナ人に対する彼の政策の主要な柱であるという点にあります。この政策は、1990年代にさかのぼるハマスとの関係をどのように形成したのでしょうか?

ネタニヤフ首相は2国家解決に反対する第一人者です。大雑把に言えば、ファタハとPLOはこの解決策に賛成し、ハマスが反対しています。つまり、この非常に重要な点において、ネタニヤフ首相とハマスの利害は一致しているのです。だから、ネタニヤフ首相は1996年以来、特に2009年からの2期目の就任以来、ハマスの強化に努めてきたのです。

1993年のオスロ合意の最初の調印から1995年のイスラエルのイツハク・ラビン首相の暗殺(和平に向けた話し合いに反対したイスラエル人により暗殺された)まで、PLOとイスラエルはユダヤ原理主義とイスラム原理主義の影響に対抗するために協力していました。ヨルダン川西岸に新たな入植地を建設せず、すでに存在した入植地を拡大できる場所として認めるという、一種の非公式な合意があったのです。これは、年間約7000戸の入植地建設を監督していたシャミール政権(イツハク・ラビン政権の前の政権)からの転換を意味するものでした 。

ネタニヤフ首相が(1996年に)首相として最初にやったことのひとつは、東エルサレムのハル・ホマ地区の建設を承認することでした。彼の最初の任期中に、占領地には24の入植地が新たに建設されました。もちろん、ラビン政権下でもイスラエルは入植地を拡大し続けていましたが、パレスチナの交渉担当者たちは、この程度なら我慢できる、と感じていました。

ネタニヤフ首相がおこなった2つ目の重要なことは、エルサレム旧市街にある西の壁のトンネルを開放したことで、オスロ和平計画が始まって以来初めて、パレスチナ人とイスラエル軍との激しい衝突を引き起こしたことでした。この件については、ラビン政権時代にも議論があり、イスラム教ワクフ派やヨルダン側と協調して、ソロモンの厩舎[アル・アクサの敷地内/寺院の山]の管理をワクフ派に委ねる代わりに、トンネルを開通させる計画がありました。しかし、ネタニヤフ首相はこれらの勧告を無視し、3つのアブラハム宗教(ユダヤ教・キリスト教・イスラム教)にとって最も繊細で神聖な場所のひとつであるこの地に、一方的な変更を加えることを選んだのです。

このことが危機を招くことは明らかでしたし、実際そうなりました。ネタニヤフ首相は、政府や治安当局に報告することなく、独断でトンネルの開通を決定したのです。安全保障当局と軍の代表者はラジオでこのことを聞きました。東エルサレムやヨルダン川西岸、ガザ地区にまたがるトンネルの開通に対する抗議デモにより、59人のパレスチナ人と16人のイスラエル人が亡くなる結果となりました。

ネタニヤフ首相が行なった3つ目の重要なことは、これも安全保障当局からの助言にも反するものだったのですが、ハマスの政治局長ムーサ・アブ・マルズーク(当時、武装抵抗の継続を主張していた同過激派の指導者で、ガザ以外で最も重要なハマスの人物)に対するイスラエルの身柄引き渡しの要求を撤回したことでした。この要請は、アブ・マルズークが1995年に米国滞在中に逮捕された後、ラビン首相によって承認されていました。ネタニヤフ首相がこれを撤回する決定を下したのは、組織の創始者であるシェイク・アーメド・ヤシンを含む多くのハマス指導者がイスラエルの刑務所に収監され、闘争を継続するための正しい方法について内部で議論がおこなわれていた時期でした。

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1996年10月1日、ワシントンD.C.のホワイトハウス図書館で、ヨルダンのフセイン国王、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相、パレスチナ自治政府のヤセル・アラファト議長と昼食をとるビル・クリントン米大統領。(クリントン政権ホワイトハウス写真室撮影)

これら3つの出来事は、ハマスと、紛争を宗教的なものと見なそうとする人々を強化することになりました。

ネタニヤフ首相が1998年10月の「ワイ・リバー覚書」に署名したことや2009年6月の有名な「バー・イラン演説」、2011年5月の議会演説、そして2019年から20年にかけてのトランプ大統領の「世紀の取引」への支持など、ネタニヤフ首相が公にパレスチナ国家への支持を表明したいくつかの場面について、あなたは著書の中で触れておられます。これらをどう理解すればよいでしょうか?

ネタニヤフ首相が公の場でパレスチナ国家への支持について話すたびに、そうする理由があったのです。たとえば、ネタニヤフ首相が2国家解決策を「受け入れた」最も有名な例であるバル・イラン演説。これには外交政策的な側面もありました。バラク・オバマが大統領に就任して間もない頃で、オバマの有名なカイロ演説の直後だったのです。当時、ネタニヤフ首相は中道左派と連立を組もうとしていました。しかし、米国の外交官であるマーティン・インディクは、それが欺瞞であることを理解していた、と私の本に書いてあります。

彼が国土分割に賛成した理由や動機は毎回異なります 。しかし、政治史家としての私の方法論は、政治家が何を言っているかだけでなく、何をしているかを見ることにあります。

ネタニヤフは2009年に政権に復帰した後、どのようにしてハマスを強化し続けたのでしょうか?

ネタニヤフ首相は政権に復帰して以来、軍事的なものであれ外交的なものであれ、ガザのハマス政権に終止符を打つ可能性のあるあらゆる試みに抵抗してきました。

2009年まで、イスラエル軍はパレスチナ自治政府とともに、占領地における同運動の勢力を根絶しようとしていました。その後、ネタニヤフ首相は、ハマスとの戦いにおけるイスラエル軍とパレスチナ自治政府治安部隊の協力を停止するよう命令しました。その他のあらゆる形の治安協力は継続されましたが、この特定の側面は停止されました。それ以降、ネタニヤフ首相は、パレスチナ指導部が分裂しているという口実でパレスチナ人と交渉しない政策を施行し、同時にハマスとパレスチナ自治政府間の和解交渉のあらゆる試みを妨害しようとしてきました。

2018年に話は進み、パレスチナ自治政府のマフムード・アッバス大統領はガザへの送金を完全に停止し、ハマスは崩壊の危機に瀕しました。ネタニヤフ首相はパレスチナ自治政府(2006年の選挙後、ハマスに追放された)をガザに戻す代わりに、カタールからスーツケースいっぱいの現金を入国させることでハマスを救いました。彼は実は、このマフィアさながらの送金の首謀者であり設計者だったのです。

カタールの資金がガザに移送されるようになったのは2018年になってからですか?

カタールは2012年にハマスへの送金を開始しましたが、これは銀行送金によるもので、金額はごく少額でした。2018年にネタニヤフ首相が内閣を説得して、より大きな送金を承認させ、送金の仕組みを現金に変更したことで、状況は根本的に変わりました。その後、2018年の夏から2023年10月まで、毎月、現金約3000万ドルを詰めたスーツケースを積んだ車がラファフ検問所を通過することになったのです。

我々の知る限り、治安当局の大半はこの動きに反対していましたが、ネタニヤフにとっては非常に重要なことであり、彼は上手くやりました。閣議の議事録は公開されておらず、今後も公開されない可能性もありますが、これがパレスチナ自治政府を弱体化させるための動きだったことは明らかです。

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2016年9月30日、エルサレムのヘルツル山で行われたイスラエル前大統領シモン・ペレスの国葬の際に、パレスチナのマフムード・アッバス大統領と会談中のベンヤミン・ネタニヤフ首相と妻サラ。(アモス・ベン・ゲルショム/GPO)

あなたの本の中で、大規模な移住が始まった直後にシンワーがネタニヤフ首相に送ったメッセージについて触れていますね。その内容を説明していただけますか?

イスラエルとハマスが公式に連絡を取り合うことはありませんでしたが、イスラエルが「ハスダーラ」と呼ぶもの、つまりイスラエルがカタールの資金をガザに流入させた取り決めについて、秘密裏に協議を行なっていました。 2018年、スーツケースが到着し始めた後、これらの協議におけるイスラエル代表、当時の国家安全保障顧問ミール・ベン・シャバットは、ネタニヤフに宛てたシンワルからのヘブライ語の文書を受け取りました。その題名は「計算された危険」でした。

その文書がイスラエルの報道機関に掲載されたとき(2022年)、私はそれを読んで驚いたことを覚えています。なぜハマスの代表がイスラエルの首相に手紙を書き、なぜこのような具体的な言葉を選んだのか。「危険」とは何のことなのか、と。

この題名はよく考えられたものでした。というのも、シンワルもネタニヤフも、この合意で(PA(パレスチナ自治政府)を弱体化させ続け、交渉による解決の可能性を排除する)という計算された危険を背負ったからです。ネタニヤフ首相は、ハマスがこの資金をガザの子どもたちの福祉やガザの近代化のために使うのではなく、トンネルの建設や武器の購入に使い、ガザをイスラエルと戦争するスパルタ国家に変えてしまうことを知っていました。それでも彼は、2国家間解決の可能性を排除するために、資金の提供を実行したのです。

イスラエルの治安当局はネタニヤフ首相に対し、ハマスが次の戦闘を準備していると繰り返し警告していました。2023年を通じて、ハマスがイスラエルに攻撃を仕掛けて殺害や誘拐を計画しているという具体的な警告を何度も受けていたのです。しかし、ネタニヤフ首相を含め、誰もこれほどハマスによる攻撃が大規模になるとは思っていませんでした。

2023年8月、イスラエル人が司法制度の見直しに反対するデモをおこなっていたとき、ガザのパレスチナ人はハマスに反対するデモをおこなっていました。シンワルはガザの権力を失うことを恐れていたため、ハマスはこん棒や武器でこれらのデモを鎮圧しました。 2023年9月と10月にガザでおこなわれた世論調査では、50%以上が2国家解決策に賛成していました。 つまり、ハマスが失敗したということです。ガザの人口の半数がその原理主義的教義のもとで人生の大半を過ごしているにもかかわらず、大多数は土地の分割に賛成したままだったのです。

(10月7日)の攻撃で、シンワルはイスラエル国内での彼の支配に対する反対勢力を排除し、近い将来の和平交渉の可能性を排除することで、ネタニヤフ首相を助けました。シンワルは、ハマスが10月7日にイスラエルを征服するつもりがないことを知っていました。目的は力を誇示することだったのです。シオニストの計画を消し去ることを始めるつもりはなかったのです。さらに、彼はイスラエル側の反応がどうなるかを知っていました。

パレスチナ人の多くは、ハマスが抵抗運動であり、パレスチナの政治生活に不可欠な存在であると考えています。この本の中で、あなたはハマスのことをパレスチナ民族運動の敵と呼んでいます。これは少し言い過ぎではないですか?

私は、ハマスがパレスチナ民族運動の一部であり、大きな一部であるとさえ考えています。しかし、パレスチナ国民運動の中で紛争と占領の終結を望んでいる層にとっては、ハマスは敵だと思います。

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2017年3月25日、ガザ地区ガザ市で上級軍司令官マゼン・ファクハの葬儀に参列した故ハマス指導者ヤヒヤ・シンワル。(ウィサム・ナサール/Flash90)

ハマス内部でも、さまざまな方向性や考え方が見られます。ハマスは一枚岩の組織ではありません。近年、組織がどのように戦いを続けるべきか、エジプトやイラン、トルコ、カタールのどの国と連携すべきかについて議論が続いています。合理的な政治家であったシンワルはハマスと同義ではありません。同様に、ネタニヤフはリクード党と同義ではありません。

しかし、シンワルは200万人以上のガザ地区住民の命を危険にさらすことを厭いませんでした。彼は人々の死を利用しています。ガザ地区住民はパレスチナの大義のために血を流すことが期待されていると、ハマス幹部が語った言葉は数多くあります。シンワルが(2022年に)「良いパレスチナ人とはナイフを掴んでユダヤ人を刺す人だ」と言ったとき、彼はそれがシオニスト計画を終わらせる道だとは思っていませんでした。彼はそのような行動が紛争をさらに根深く、永続的なものにすることを知っていました。シンワルが正義と平和を重んじるすべての人々の敵であったことは明らかです。

本書の第2部「パリア国家:ガザでの戦闘初日」では、イスラエルの現在の猛攻撃はネタニヤフの政策の継続であると述べています。これについて詳しく説明していただけますか?

この戦争を理解するには、最初の20日間を理解する必要があると思います。これはガザの「ドレスデン化」、つまり地上作戦開始前の空爆作戦でした。

10月7日の夕方、ネタニヤフ首相は国民に向けた最初の演説で、聖書の言葉を使って、イスラエルはガザを「瓦礫の山」にするつもりだと述べました。伝えられるところによると、首相はこの頃、バイデンに、イスラエルは第二次世界大戦中にアメリカが日本とドイツに対しておこなったのと同じことをするつもりだと語ったといいます。つまり、都市全体を爆撃するという戦略的な作戦のことです。

このドレスデン化は、いかなる政治的、戦略的論理にも役立たないものでした。国家間の関係の将来については全く考慮されていませんでした。最初の20日間、ハマスの戦闘員と運動の指導者たちは地下トンネルに潜伏し、イスラエル空軍は何千人もの罪のない民間人を爆撃しました。それはイスラエルがガザを掌握する助けにはならず、人質の解放を困難にしました。しかしそれは復讐の論理、つまりシンワルとネタニヤフの論理には役立ったのです。

ガザのドレスデン化はネタニヤフ首相に有利に働きました。これにより、彼はイスラエル社会の圧倒的多数の支持を得ました。これはユダヤ系イスラエル社会の汚点です。これは虐殺であり、大量虐殺であり、人道に対する罪でした。イスラエルの人々にとってこのような言葉は深刻な言葉ではないと思います。そしてこの罪は、ネタニヤフ首相が国内の反対勢力を排除するのに役立ちました。国内では、ネタニヤフ首相の政策により、イスラエル国民が犯罪に加担することになったのです。

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2023年10月10日、イスラエル植民地軍による空爆の標的となったガザ市のアル・リマル地区で見られた大規模な破壊。(モハメド・ザアヌーン)

そして、1年以上の戦争とシンワルの殺害を経て、現在、ネタニヤフのハマスに対する政策はどのようなものでしょうか?

ネタニヤフ首相の政策は、戦争前と現在とは変わらないと私は思います。彼はハマス、もっと正確に言えばハマスが代表する利益を強化しようとしています。つまり、二国家共存の解決策への支持を弱め、我々を終わりのない戦争状態に留めようとしているのです。シンワルとハマスは彼にとって主要な問題ではありませんでした。彼の中心的な関心は終わりのない戦争であり、ハマスはイスラエルが優位に立っている間、紛争を維持するための道具だったのです。

イスラエルの左派、特にシオニスト左派の間では、10月7日以降、「構想」(ハマスの軍事力を制限しながら同国を権力の座に留めるというイスラエルの政策を表す言葉)が失敗だったと多くの人が言っています。しかし私は「構想」がうまくいったと説明しようとしています。10月7日以降、根本的なことは何も変わっていないと思います。特にパレスチナ人の間では、犠牲者のエクセルシートはずっと長くなりましたが、根本的なことは変わっていないと思います。

ハマスは、この地域の社会的、政治的状況に深く根ざした政治思想です。その政治は、現地の現実によって動かされています。「ハマスを壊滅させる」という言い分や、ネタニヤフ首相の「完全勝利」達成の主張は、大衆を欺くための宣伝にすぎません。重要な問題は、ガザにどれだけの武器が存在するかではありません。常に武器は増え続けるでしょうが、むしろそこでの支配的な社会的、政治的状況が問題なのです。つまりカラシニコフ銃がどれだけあるかではなく、人々がそれを使用する意思があるかどうかが問題なのです。

(この1年を経て)ガザの復興にはおそらく20~25年かかるでしょう。つまり、ガザの2世代の子どもたちがテントや難民キャンプで育つことになる、ということです。彼らには詩やコンピュータ科学を学ぶ機会はなく、その代わりに、食べ物や暖かい部屋、柔らかいベッドといった基本的な生存手段のために苦労することになります。何千人もの子どもたちが両親の抱擁を感じることがなくなるでしょう。悲痛なことです。こうした状況が抵抗を煽り、隔離を永続させています。ハマスの兵募集事務所はこれまで以上に忙しくなるでしょう。

シンワルとネタニヤフの両方が望んでいたことの1つは達成されたと思います。両側の市民とも二国家解決への支持率がこの紛争史上最低水準になっているからです。問題はラマラで何が起こるか、パレスチナ自治政府とパレスチナ解放機構の計画は何か、ということです。

戦争がイスラエル社会に与えた影響をどのように評価しますか?

本書の後半では、道徳の問題と、ユダヤ系イスラエル人の価値観に何が起こったのかを取り上げようとしました。復讐の戦略と否認の戦略の関係を理解しようとしました。

10月7日以来、イスラエルはガザで複数の戦争犯罪を犯しており、兵士たちはそれを写真や動画で撮影し、ソーシャルメディアに投稿しています。私は、ただ面白半分にガザ市の中央公文書館を爆撃した2人の兵士の写真を見ましたが、ほとんどの時間を公文書館で過ごしている私には衝撃的な出来事でした。飢餓政策、無差別爆撃政策、拷問政策が取られていることがわかります。

知っていることも知らないことにしてしまう。これが否認の戦略です。イスラエル人のほとんどはハアレツ紙やローカルコール(+972誌のヘブライ語の提携サイト)を読んでいませんが、ソーシャルメディアや国際的な報道機関は利用できます。戦争開始時の爆撃作戦中、人々がただ目を閉じていたことに私は驚きました。しかし、否認という戦略は、ガザで我が国がしていること、そして人質に対して我が国がしていないことを正当化するために、「神に選ばれし民」である我がイスラエルにとって非常に重要な戦略なのです。

60年近く占領されて、平均的なイスラエル人の心は変わったと思います。ユダヤ教正統派の知識人でヘブライ大学教授のイェシャヤフ・ライボウィッツは、占領は腐敗の力である、と1968年に早くも言っていました。占領はまさに私たちを腐敗させました。

1945年に第二次世界大戦が終結すると、(ナチスだけのものだった)強制収容所が世界中で展開され、世界は歴史上最も残酷な大量虐殺にさらされました。ガザの門が開かれると、同じようなことが起こると思います。そうなると、イスラエル国民は責任を取るか否認するか、どちらの道を選ぶか決めなければなりません。今ならイスラエル国民は否認を選ぶ、と思います。この状況こそ、ネタニヤフが戦争に勝った理由だと思います。
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またぞろ世界戦争を煽り始めた英米。その目論見を金輪際許してはならない

<記事原文 寺島先生推薦>
They’re at it again… the U.S. and Britain, inciting global war, must be defeated for good
出典:Strategic Culture 2024年11月22日の社説
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年11月25日


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© Photo:Public domain


米国の帝国的侵略者とそのNATO戦線は敗北に終わるのか、それとも世界を最終的な世界戦争へ追いやるのか。

今週は世界にとって運命の分かれ道となる。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は重大な発表の中で、ウクライナにおける3年間の代理戦争は今や世界的な次元に達していると述べた。

この破滅的な瞬間の責任は、米国のエリート主義支配者とその共犯者である英国にある。彼らは自分たちの覇権帝国を守ろうと必死になって、世界の破局を煽っているのだ。

11月21日のプーチンの発表は、ロシアが英米の侵略に対する報復攻撃を開始したわずか数時間後に行なわれた。ロシアの新型極超音速弾道ミサイルは、ウクライナ中部のドネプロペトロフスクにある軍需センターを破壊した。オレシュニクと呼ばれる通常兵器を搭載したミサイルが初めて実戦配備された。マッハ10の速度で複数の弾頭を発射した。このような特異な兵器に対する防空手段はない。

オレシュニク攻撃は、11月19日と21日に米英がロシア連邦の紛争前の領土に対して長距離ミサイルを発射したことに対するものだった。米英軍が直接関与したことは間違いない。モスクワが指摘するように、ウクライナ政権にはこうしたNATOの最新兵器システムを運用する人員も兵站能力もないからだ。

結論は明白だ。世界は第三次世界大戦の瀬戸際にあり、それは必然的に核の大火となり、地球上の生命の終焉を早める戦争である。この人類が直面している災厄を想像するだけで目もくらみそうだ。

大衆へ欧米が発信する見え透いた嘘

滑稽なことに、あるいはもっと正確に言えば、狡猾に、西側の政治家やメディアは今回の事態の拡大的進行についてロシアを非難している。彼らの告発は事実と著しく矛盾している。西側の大衆は、戦争の流れと原因について嘘を並べ立てられている。

無謀極まりない行動として、米英はウクライナ領内から長距離ミサイルでロシアを攻撃した。ATACMS(エイタクムス)とストームシャドウは、ロシア西部のブリャンスク州とクルスク州を狙って発射された。アメリカ製ミサイルATACMS(エイタクムス)はロシアの防空によって撃墜され、イギリスのストームシャドウ巡航弾はクルスクで死者を出した。

この攻撃は、米英によるロシアに対する公然の戦争行為であった。それゆえ、ロシアの指導者は、ウクライナにおける代理戦争は今や世界的な次元に達したとコメントした。

このような兵器をロシア領土に配備すればモスクワは戦争行為と見なすだろう、とロシアは数週間前に、はっきり警告していたにもかかわらず、米英の指導部はこの侵略に踏み切った。また、ロシアが11月19日に核防衛ドクトリンを改定し、核保有国(米英)から供給された非核保有国(ウクライナ)の領土からの長距離通常兵器の使用は共同攻撃となり、ロシアに核武力による報復の権利を与えると定義したわずか数時間後のことだった。

こうして事態は世界核戦争の領域に突入した。

米国と英国がATACMSとストームシャドウミサイルで攻撃を開始したからには、ロシアはこれらの地域とNATO同盟の他の地域を攻撃する法的権利を持つことになる。ロシアは今回そうした選択は取らずに、オレシュニクの標的をウクライナの領土に限定した。

今後数日間で何が起こるかは、米国とそのNATO加盟国次第だ。これまでのところ、ホワイトハウスと国防総省は(非常識にも)戦況悪化の原因をモスクワに求め、米国はウクライナからロシア領土への長距離ミサイルの配備を継続すると言っている。狂気が勝つかどうかはまだわからない。

ロシアは信じられないほどの自制を示している。

米国とNATOが何カ月にもわたって、いや何年にもわたって執拗な挑発行為を繰り返してきたにもかかわらず、ロシアは行動を激化させるどころか、信じられないほどの自制を示してきた。

米国とその同盟国は、腐敗したネオナチのウクライナ代理政権を継続的に武器として利用してきた。ウクライナの元大統領で女装コメディアンのウラジーミル・ゼレンスキーは、今週、欧州議会でスタンディング・オベーションを受けた。ロシア政府はこうした動きが世界大戦につながると繰り返し警告している。

この狂気は、「ロシアは虚勢を張っている」という傲慢な西側の考えとともに、ゼレンスキーのより多くの武器と数千億ドル相当の西側の納税者への飽くなき要求によって増幅されている。

なんという妄想だろう! 西側の指導者たちはロシアンルーレットに興じているのだ。米国とNATOの同盟国は、今やロシアによる攻撃の正当な標的なのだ。ロシアは今週、西側諸国の防衛を突破する能力を持っていることを証明し、ロシア領土をさらに攻撃すれば、それには応じる、と警告している。

プーチン大統領は、西側の支配エリートたちに、自分たちがしようとしている選択についてよく考えるよう警告した。奈落の底から撤退し、代理戦争の外交的終結を交渉することもできる。あるいは、避けられない惨事へとエスカレートし続けることを選ぶこともできる。

理性を逸脱した西側支配層

しかし、深刻な懸念は、西側の支配層が理性も正気も逸脱しているように見えることだ。米国の覇権国家は、グローバルパワーとしての末期的崩壊と帝国覇権の喪失という存亡の危機に直面している。ロシアと戦争を始めることは、たとえ破滅的な状況に陥っても、米国に率いられた西側帝国主義体制が対応できる唯一の方法であるようなのだ。

ここで重要なのは、バイデン政権があと数週間で不名誉な形で退陣することだ。ドナルド・トランプ次期大統領は、迅速な交渉を通じてウクライナ紛争を終結させると約束した。米国のディープ・ステートは苦境に立たされている。

アメリカ国民が11月5日にトランプに投票したのは、バイデン政権と民主党、そしてディープ・ステートの恒常的な戦争主義に従順に固執する民主党を否定するためであった。

1月20日のトランプ大統領の就任を前に、米国の支配層は交渉による解決を阻止するためにウクライナでの代理戦争を必死に推し進めている。

バイデンがATACMS(エイタクムス)の使用を承認し、英国の手下であるキーア・スターマー首相がそれに続いたのは、厚顔無恥なUターンだった。わずか一カ月前には、彼らはそのような動きを拒否していたのだ。トランプ大統領の当選とロシアとの外交の見通しにより、西側の体制派は代理戦争を激化させている。

2022年2月24日にロシアがNATOの侵略を阻止するための特別軍事作戦を開始して以来、今週でウクライナ紛争は1000日目を迎えた。紛争は最も危険な地点に達している。

ロシアは今週もまた、外交的解決に前向きであることを繰り返した。2021年末に敵対行為を防ぐための遠大な安全保障案を提示したときと同様である。西側のエリートたちはその機会を逸し、代わりに戦争の道を選んだ。彼らはまた、2014年と2015年のミンスク合意、そして2022年3月のイスタンブール和平合意を台無しにした。何百万人もの犠牲者を出してもなお、彼らは 「民主主義とルールに基づく秩序を守る」というグロテスクな仮面をかぶって、さらなる戦争、虐殺、世界規模の戦争を望んでいる。

アメリカ国民はこの紛争の終結を望んでいる。トランプ次期政権は、この民意を尊重する意向のようだ。

しかし、正気、道徳、民主主義は、米国の帝国主義支配層とNATOの共犯者が共有する資質ではない。

アメリカのディープ・ステートによるクーデター、その昨今

注目すべき点がいくつかある。11月22日は、61年前に米国の大統領JFKが米国のディープ・ステートによって殺害された日だ。クーデターは、米国の軍国主義と軍産複合体の経済的既得権のために、ソ連との冷戦を維持するという目的のために実行された。

ここ数年はずっと米国のディープ・ステートは、ウクライナでの代理戦争の平和的な終結を求める米国民の民主的な願いに反して、別のクーデターを試みている。米国の支配エリートは、彼らの利益を維持し、帝国の実存的な理由のために、ロシアとの戦争が持続することを望んでいる。ジョー・バイデンは、トニー・ブリンケンやジェイク・サリバンのようなディープ・ステートの工作員が目の前に押しつけた命令に署名している脳死状態の大統領だ。そして、彼は老人ホームに迷い込むか、今週ブラジルで開催されたG20サミットの陽気な写真撮影のようにアマゾンのジャングルに迷い込むのだ。

ウクライナ代理戦争はナチス・ドイツに逆戻り

このような長い視点で見れば、ウクライナの代理戦争をより広い歴史的文脈の中に適切に位置づけることができる。ウクライナ紛争は2022年2月に始まったわけではない。2014年2月、選挙で選ばれた大統領に対してCIAが支援したキエフでのクーデターで始まったわけでもない。2004年に米国が資金援助したウクライナのオレンジ革命で始まったわけでもない。この対立は、少なくとも1945年にソ連がナチス・ドイツに勝利したときにまでさかのぼる。そのとき、アメリカとその帝国主義同盟国は、NATOとして知られる新しく作られた帝国主義の道具によって冷戦を作り出し、一部にはロシアを秘密裏に攻撃するためにウクライナのファシストの協力者を配置することによって、即座に対応した。第二次世界大戦後、CIAとラインハルト・ゲーレン少将のようなナチスの残党は、イギリスのMI-6とともに、ソ連を打ち負かすために一致団結した。今日ウクライナで起きていることは、本質的に西側の帝国権力を誇示し、維持するための組織的な対立の集大成である。

ロシア、中国、BRICS、そしてグローバル・サウスの台頭は、世界的な権力と特権を維持しようとする西側の帝国主義的な怒りと敵意を増幅させた。この世界的な権力と特権の覇権的西側システムは、典型的なファシズムと新植民地主義である。

歴史的宿敵

この岐路には、深い歴史的宿敵がいる。米国の帝国的侵略者とそのNATO戦線は敗北に終わるのか、それとも世界を最終的な世界戦争へと突き進むのか。

ロシアは虚勢を張っているわけではない。第二次世界大戦だけで2700万人から3000万人が死亡したファシストの圧政を倒すために、すでに歴史的な犠牲を払っているため、引き下がることはない。ロシアは、帝国主義の侵略による痛みと苦しみのために、西側の政権が決して理解したり真似したりできないような方法で、挑戦的で毅然とした態度をとっている。

正気が勝つだろうか? アメリカ国民とヨーロッパ国民は、犯罪者であるエリート支配者の責任を追及する重大な義務を負っている。
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「我がミサイルの後にあるのは静寂のみ」。ロシアの黙示録的戦術がついに開始!! 世界は終末に向かうのか !?

<記事原文 寺島先生推薦>
“After us, silence”: Russia’s “apocalyptic” troops officially engaged in the special military operation
筆者:ルーカス・レイロス(Lucas Leiroz)
出典:Strategic Culture Foundation 2024年11月23日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年11月25日


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ロシア連邦は初めて戦略ミサイル部隊を使用したが、これは緊張の高まりの始まりに過ぎない。

2024年11月21日は、伝説的かつ恐れられているロシア連邦戦略ロケット軍(RVSN)が初めて実戦展開した日としてロシアの軍事史に残ることになるだろう。

ソ連時代に創設されたロシア海軍特殊部隊は、大陸間弾道ミサイルの兵器庫を管理するロシア軍の独立部門であり、まさに「黙示録の軍隊」、つまり地球規模の大惨事を引き起こすことができる火戦力を担当している。もちろん、ロシア海軍特殊部隊は、キューバ危機やノルウェー事件など、冷戦中のすべての主要な核緊張に関与していた。ロシア海軍特殊部隊は、これまで何度も戦闘警戒態勢を敷いてきたが、実際の軍事衝突はこれまで一度も起こっていない。

しかし、NATOは予想を上回る程度にロシアに対する挑発行為を激化させ、ウクライナ紛争を史上最も危険な安全保障危機に変えることに成功した。西側諸国-ウクライナ側が、(ロシア)連邦の紛争のない領土に対する長距離攻撃を中止するよう求めるロシアの再三の警告を無視したため、ロシア側は最も恐れられている軍隊を召集し、前例のない作戦を承認する以外に選択肢がなかった。

標的として選ばれたのは、ドネプロペトロフスクの軍事装備工場だった。使用された兵器は、これまで実戦でテストされたことのない新型ミサイルで、「オレシュニク」という愛称がついていた。ウクライナにとって幸運だったのは、このミサイルに核弾頭が付けられていなかったことだ。それでも、驚くべき速度と高い殺傷力をもつ通常兵器として機能した。

ドネプロペトロフスクへの攻撃から理解すべき主な点は2つある。ひとつは、これはロシア側にとってのテストであり、初めてオレシュニク・ミサイル技術を実際の戦闘状況で使用し、その絶対的な有効性を確認する機会を得た点だ。もうひとつは、この攻撃は敵にとって一種の「最後の好機」となり、ウクライナに対する大きな警告となった点だ。

ロシア側は、ウクライナによるブリャンスクとクルスクへの攻撃に核兵器で応戦することもできただろう。そうした決定は、ロシアの核戦略の最近の改革に完全に沿うものだったはずだ。しかし、クレムリンが決定をくだす際には、再び慈悲と緊張緩和への願望が優勢となり、「最終的解決」の前にNATOとウクライナの双方に警告が発せられることになった。

NATOにとって、その伝言は明確だった。ロシアの大陸間弾道ミサイルを阻止できる軍事技術は存在しない。核兵器使用の決定が下されれば、大西洋同盟とその代理勢力はそれを阻止する術もなく、標的は攻撃されることになるだろう。

ウクライナにとって、警告はさらに深刻なものだった。ロシア側は、ネオナチ政権を「助ける」人はない、と明言した。明らかに、ロシアの攻撃は米国によって適時に察知されていた。さまざまな監視事業には何千人もの監視員が参加しており、彼らの具体的な任務は、そのような動きを察知し、核危機が発生した場合に間に合うように対応を準備することである。言い換えれば、米国側は攻撃が起こっているのを察知しながら、何もしなかったということだ。

おそらく米国は恐怖から反応を控えたのだろう。あるいは標的がウクライナであると想定したために反応を控えたのかもしれない。しかしいずれにせよ、反応はなかった。米国側は、標的が撃たれて数分後まで、ロシアの弾頭に核物質が含まれていたかどうかの確認もなしに、核報復の緊急計画を発表しなかった。言い換えれば、米国は危険な不確実性に直面し、沈黙を守ることを選んだのだ。

米国の不作為は、ウクライナに与えられた最高の警告だった。米国は、自分たちの代理人を守るために何もしないことを明言したのだ。ロシアがウクライナに対して核兵器を発射すれば、ウクライナ当局は独力でその結果に対処しなければならない、ということだ。それ以上に、ロシアの攻撃がNATOを標的にするかどうかを米国が予測できなかったことを強調しなければならない。だからこそ、即時の報復作戦がおこなわれなかったことはさらに深い意味を持ち、西側同盟の「集団防衛」さえも疑問視されることになるのだ。

ウクライナ人が教訓を学び、緊張緩和に着手していればよかったのだ。しかし、事件から数時間後、ウクライナ当局は再び長距離ミサイルを使用し、今度はクラスノダールを攻撃し、暴力を前例のないほど激化させた。言い換えれば、ウクライナ人は、自分たちだけで戦うこと、そして外国からの支援がなければ核戦争の結果に苦しむことになることを知りながらも、越えてはならない一線を越え続けているのだ。

緊張が高まっている時期にこれらの主題について書くのは困難だ。なぜなら、すべてがいつでも変わる可能性があるからだ。この分析が発表される頃には、ウクライナは報復に直面する可能性があり、私がここで述べたことはすべて遅れた情報になるかもしれない。しかし、クレムリンの今後の決定にかかわらず、11月21日はロシアの軍事史における画期的な日であり続けるだろう。今や大陸間弾道ミサイルが戦場に配備され、ロシア海軍は特別軍事作戦に本格的に参加している。

ウクライナ側の意思決定者たちが、RVSN の宣伝文句である「我々の後は沈黙しかない」ということばを思い出すのは興味深いかもしれない。これらの部隊が全力を発揮する許可を得た瞬間、敵陣に音はなくなるだろう。ウクライナ側が縦深攻撃をやめなければすぐに手遅れになるだろう。
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緊急事態発生!! 米国はロシアとの戦争を選択

<記事原文 寺島先生推薦>
We Are Faced with the Extraordinary Event that Washington Chose to Go to War with Russia
筆者:ポール・クレイグ・ロバーツ(Paul Craig Roberts)
出典:自身のブログ 2024年11月22日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年11月24日

PCR On Target ラリー・スパラノ
https://www.youtube.com/watch?v=LfXeSwCGhKs

2日前のこのインタビューでは、米国政府がロシアとの戦争を意図的に決断したことで、バイデン政権が地球上の生命を危険な状況に陥れたことについて説明している。

ロシア政府は、ロシアにミサイルを発射する決定をくだせば、西側諸国がロシアと戦争状態にあることを意味する、と明確に表明した。それにもかかわらず、狂気の西側諸国はロシアにミサイルを発射した。

プーチン大統領は、ウクライナの兵器製造施設を完全に破壊した新型極超音速ミサイルの実演で応戦した。 このミサイルは西側諸国が迎撃できない速度で飛行し、核弾頭を搭載するように設計されている。西側諸国への伝言は明確だ。「我がロシアとの戦争を続けるなら、広範囲にわたる破壊が予想される」ということだ。

狂った西側諸国はどうするだろうか? 正気に戻るのだろうか、それともトランプを閉じ込めるために紛争の平和的終結を阻止しようと戦争を拡大することの方が重要なのだろうか?

米国政府がウクライナに工作員として送り込んだロシア嫌いのユダヤ人は、西側諸国に「強力な対応」を要求している。言い換えれば、ゼレンスキーは、ロシアがウクライナ領土からの西側諸国のミサイル攻撃にウクライナの軍事施設へのミサイル攻撃で応戦したというだけの理由で、ヨーロッパと米国が自ら破滅の危険に身をさらすよう要求しているのだ。これは何の意味があるのだろうか? 全く意味がない。

米国民とヨーロッパの人々が、2020年の米国大統領選挙における民主党による不正行為を受け入れた上で生き残れるかどうかは不明だ。大統領選挙の不正の結果、米国政府には狂気の政権が誕生し、一貫して段階的に地域紛争を西側諸国とロシアの戦争へと拡大してきた。

英国はバイデンと同程度に常軌を逸した首相を選出することで事態を悪化させている。西側諸国ではハンガリーのオルバーン・ビクトルだけが事態の深刻さを理解しているようだ。

プーチン大統領が、ロシア国民と西側諸国を支配するバカ者たちに述べた内容を簡単に振り返ってみたい。

プーチン大統領は、西側諸国によるロシアへのミサイル攻撃はウクライナ紛争の性質を劇的に変えてしまった、と述べた。この紛争は西側諸国のロシアに対する戦争へと変貌した。ロシアとの戦争に突入するという西側諸国の意図的な決定は、ロシアの明確な警告にもかかわらずおこなわれた。

プーチン大統領は、ウクライナ紛争は、ミンスク合意に対するロシアの平和的な方向性を拒否し、相互安全保障協定を求めるロシアの要請を拒否した米国政府によって引き起こされたことを皆に思い出させた。

プーチン大統領は、米国政府とNATOが意図的に紛争を激化させ、世界戦争にしようとしている、と指摘した。

プーチン大統領は、米国政府が意図的に「国際安全保障体制を破壊し」、「全世界を世界的紛争へと導いている」と指摘した。

プーチン大統領は、ロシアは戦争よりも外交を好むが、西側諸国が戦争を続けるなら、ロシアのミサイルに対する防御手段を持っていない西側諸国はその結果を被ることになるだろう、と警告した。

考えてみれば、ドンバスは、かつてはロシアの一部であったものをソ連の指導者がソ連のウクライナ州に付加した地域だ。ウクライナがそんな地域を保持しようとするためだけのために、壊滅的で、おそらくは最終的な戦争起こすほどの価値はない。生命に対する無責任な態度を駆り立てようとしている西側諸国からの狂気はまったく理解不能だ。

これは、米国とイスラエルの覇権を狙うネオコンの計画であり、米国の軍事・安全保障複合体の利益と権力、そして米国人がいつまでも捨てきることができない非現実的な信念によって煽られているようだ。

私たちの前に立ちはだかる疑問は、西洋の傲慢さにより世界は破壊されるのか、ということだ。
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ビル・ゲイツとWHOが64万人のパレスチナの子どもたちをポリオ・ワクチンの標的に

<記事原文 寺島先生推薦>
Bill Gates and the WHO Target 640,000 Palestinian Children
遺伝子組み換えされたポリオウイルス「ワクチン」の実験台にされる子どもたち
筆者:マーク・トロッツィ(Mark Trozzi)博士
出典:Global Research 2024年11月13日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>2024年11月24日


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[マーク・トロッツィ博士によるこの重要な記事は、9月8日、Global Researchに初出]

ネタニヤフ政権とハマスは現在、ガザでの爆弾や火災、有毒ガスの放出を毎日中断し、実験的な遺伝子組み換えポリオウイルスの経口ワクチンを同地の64万人の子どもたちに投与している。この実験的な遺伝子組み換えポリオウイルスは、ビル・ゲイツとWHOが関与する計画である。

イスラエル軍による井戸や衛生施設、下水処理施設への攻撃、そしてガザ地区への必須衛生用品の供給妨害により、重大な廃水および衛生問題が生じている。

イスラエル当局は、ガザ地区の下水の標本から「ワクチン由来ポリオウイルス2」を検出した、と主張している。

「ワクチン由来ポリオウイルス2」は、その名のとおり、経口ポリオ・ワクチンから発生した感染性ポリオウイルスである。ワクチン由来ポリオは、経口ワクチンの製造に使用された弱毒化ポリオウイルスが毒性を取り戻し、循環し始めることで発生する。

最近、パレスチナの子ども4 人が急性弛緩性麻痺を呈した。そのうちの1人は「ワクチン由来ポリオウイルス 2」の検査で陽性反応を示した。筆者は、子どもや下水に対してどのような検査が行われたかの詳細を知ることはできない。

弛緩性麻痺の原因としては、爆弾や火災による有毒ガス、ポリオなどさまざまなものが考えられる。

この文脈に沿って考えると、ここ2年間のガザ戦争で少なくとも1万3000 人の子どもたちが殺されたことを想起する必要がある。

ビル・ゲイツとWHOが、4人の子どもがワクチン由来のポリオと診断されたと主張した後、今度は、以前にポリオを引き起こした遺伝子組み換えの実験的ポリオウイルスを使って、64万人のパレスチナの子どもたちを標的にしていることを、親愛なる我が読者は心配しているだろうか。

これまで、ビル・ゲイツやWHO、およびその提携組織による実験的なCOVID-19遺伝子組み換え「ワクチン」によって、何千万人もの人が死亡し、何億人もの人が負傷したことを考えてみていただきたい。ビル・ゲイツやWHO、またはその提携組織を信用しない理由は十分にある、と私は信じている。

1世紀以上にわたるワクチンの歴史は、ほとんどの感染症の劇的な減少の原因はワクチンではなく、水や浄化槽、衛生、食糧供給、安全を含む生活水準の向上であることを示している。

子どもたちを救え!

彼らに必要なのは、生活環境の回復やきれいな水、機能する浄化槽、健康的な食糧供給と安全保障であり、ビル・ゲイツやWHOではない。
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米国の最古の雑誌編集者が反トランプ暴言の責任を取り辞任

<記事原文 寺島先生推薦>
Editor of oldest US magazine quits after anti-Trump rant
サイエンティフィック・アメリカン誌は民主党のカマラ・ハリスを大統領候補として支持していた。
出典:RT 2024年11月15日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年11月24日


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2024年11月10日に、オンラインで発表された2024年米国大統領選挙の結果© Beata Zawrzel/NurPhoto via Getty Images


サイエンティフィック・アメリカン誌のローラ・ヘルムート編集長は、ドナルド・トランプ次期米大統領に投票した人々を「ファシスト」と非難する一連のソーシャルメディア投稿をおこなったのちに、辞任した。

サイエンティフィック・アメリカン誌は1845 年に創刊され、米国で最も古くから継続的に発行されている雑誌と考えられている。

ヘルムート氏は木曜日(11月14日)、編集長としての「刺激的な4年半」を終えて退任する、と発表した。「今後のことについて考える時間を取りたい(そしてバードウォッチングに行く)」と彼女は付け加えた。

同誌のキンバリー・ラウ社長はヘルムート編集長の退社は自主的なものだと述べ、同編集長が「刷新されたデジタルニュース発信所」を設立し、同誌を「主要な科学コミュニケーション賞」に導いたことに感謝した。

ヘルムート氏はワシントン・ポスト紙を経て、2020年4月にサイエンティフィック・アメリカン誌の編集長に就任した。同年後半、同誌は米国史上初めて大統領候補を公然と支持した。トランプ氏が「科学を拒否している」と非難し、対抗馬である民主党のジョー・バイデン氏を支持した。

今年、同誌は史上二度目に特定の大統領候補の支持表明し、トランプ候補ではなく民主党のカマラ・ハリス氏を支持した。共和党候補であったトランプ氏は、11月5日の大統領選挙において激戦州の7州すべてで勝利し、一般投票と選挙人の投票でも勝利した。

「最も意地悪で、最もバカで、最も偏見に満ちた高校の同級生たちが早期の選挙結果を祝っているすべての人に連帯を。なぜなら、あいつらは月まで行って戻ってくるくらいクソくらえだから」とヘルムート氏は投票直後、民主党が支持するXの競合企業であるSNSの「ブルースカイ」上に投稿した。

「私が属するX世代(60~70代)がファシストだらけであることを若い有権者に謝罪します」と彼女は別の投稿で述べ、トランプ氏を支持した層に言及した。彼女はまた、故郷のインディアナ州を「人種差別的で性差別的」だと非難した。

ヘルムート氏が激しい非難をおこなった投稿のスクリーンショットはすぐにX上に掲載され、彼女はアメリカ科学の、かつて偉大な旗艦であったこの科学誌を政治化した、として批判された。

ヘルムート氏は辞任する前に、選挙後の発言から自分自身と同誌を遠ざけようとした。

「私は政治的立場を問わず、あらゆる人々を尊敬し、評価しています。私が削除したこれらの投稿は私の信念を反映するものではありません。選挙結果に対するショックと混乱のなかで、誤って表現したものです」と彼女はブルースカイに投稿した。

彼女の辞任は、トランプ氏を公然と支持するスペースXの創設者イーロン・マスク氏が、同誌は「経営陣の交代が必要だ」と投稿した2日後に起きた。しかし、マスク氏の発言はヘルムート氏の選挙発言を受けたものではなく、同誌が著名な生物学者に関する記事で掲載した「驚くほど愚かな文章」に対するある研究者の批判がきっかけだった。


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イスラエルはジャーナリストを殺し、欧米メディアは真実を殺す!!

<記事原文 寺島先生推薦>
Israel Kills the Journalists. Western Media Kills the Truth of Genocide in Gaza
欧米メディアは、大量虐殺を「自衛」、それに対する抵抗を「テロ」、と報じている。
筆者:ジョナサン・クック(Jonathan Cook)
出典:Global Research 2024年11月1日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年11月24日


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イスラエル側がわかっていたことは、外国特派員がガザから直接報道するのを阻止できれば、これらの特派員が、イスラエルにとってはるかに都合のよい方法で事件を報道することになることだ。

これらの外国特派員は、イスラエルによる新たな残虐行為に関するあらゆる報道を、もし報道するとしても、「ハマスの主張」や「ガザの家族が主張」という書き方で隠蔽するだろう。目撃された事実ではなく、矛盾した言説に基づいてすべてを伝えるだろう。視聴者は不安やためらい、孤立感を覚えるだろう。

イスラエルは、虐殺を混乱と論争の霧の中に包み隠すことができる。大量虐殺によって引き起こされる自然な嫌悪感は和らげられ、弱まるだろう。

1年間、世界各地で活躍してきた最も経験豊富な戦時記者たちはイスラエルのホテルにとどまり、ガザを遠くから見守ってきた。戦争報道の中心にあるこれらの記者による人々の胸を打つ記事は、パレスチナ人に広がる大惨事よりも、はるかに限定的なイスラエル人の苦しみに焦点を当ててきた。

だからこそ、西側諸国の視聴者は、2023年10月7日のイスラエルが味わった恐怖の1日と、ガザでパレスチナ人が1年間の毎日の味わってきた恐怖を同等にしかとらえられていないのだ。それもあってか、後者については、世界裁判所がイスラエルによる「信憑性のある」大量虐殺と判定した。

だからこそ、報道機関は、毎週、毎月爆撃され餓死した230万人のパレスチナ人の苦しみと同じくらい、人質に取られた民間人や捕虜となった兵士など、約250人のイスラエル人の家族の苦しみを視聴者に伝えてきたのだ。

だからこそ、視聴者は、ガザの破壊を、イスラエル側が戦争の規則として知られてきたすべての規則を消し去ろうとしている現場としてではなく「人道的危機」として描く偽情報を与えられてきたのだ。

外国特派員たちがホテルの部屋で従順に座っているいっぽうで、パレスチナ人ジャーナリストたちは一人ずつ殺された。これは歴史上最大のジャーナリスト虐殺の一つと言える。

イスラエルは今、レバノンで同じことを繰り返している。木曜日(10月31日)の夜、イスラエルはレバノン南部の3人のジャーナリストが滞在していた住宅を攻撃し、全員が死亡した。

イスラエルの行動がいかに計画的かつ冷笑的であるかを示す例としてあげられる事例は、イスラエルが今週、アルジャジーラの記者6人を軍の標的にし、彼らをハマスとイスラム聖戦のために働く「テロリスト」として中傷したことがある。

報道によると、これらのジャーナリストは、イスラエルがいわゆる「将軍の計画」を遂行する間、封鎖しているガザ北部で生き残っている最後のパレスチナ人ジャーナリストである、とのことだ。

イスラエルは、ガザ北部に残る40万人のパレスチナ人を飢えさせ、残った者を「テロリスト」として処刑することで、ガザ北部を根絶するという最終目的について、誰にも報道されたくないと考えている。

この6人は、イスラエル側が自身の大量虐殺を推進する目的で名誉を毀損された職業の長い一覧に加わることになった。この一覧には、医師や援助活動家、国連平和維持活動員まで幅広い職業が記載されている。

イスラエルへの同情

イスラエル側が外国人ジャーナリストを飼い慣らそうとしてきた行為の最も下劣な一例は、今週のCNNの報道だと言えよう。さかのぼること2月には、CNNの職員が内部告発をおこない、同放送局の幹部らがイスラエルをより好意的に描写するためにイスラエルの残虐行為を積極的に隠蔽していた、と暴露したことがあった。

このCNNの報道は、(通常であれば)考えられないような構成ではあったが、残念なことに見事なほど想定内の内容だった。CNNは、一部のイスラエル兵士がガザで過ごした時間のせいで心的外傷に苦しみ、場合によっては自殺に至っていることを報じた。

大量虐殺を犯すと、精神衛生上悪影響が出る可能性があるようだ。あるいは、CNN の説明によれば、そのインタビューは「戦争がイスラエル社会に及ぼしている精神的負担を垣間見る機会を提供するものである」という。

「兵士はガザを去ったが、ガザは彼の心から去ることはなかった」と題された長文の記事では、兵士たちが犯したと認めている残虐行為は、CNNがイスラエルの苦しみについて別の角度から捉えた背景でしかない。パレスチナ人に対する大量虐殺を犯しているイスラエル兵士たちこそが、本当の被害者、という描き方だ。

ブルドーザー運転手のガイ・ザケンさんはCNNに対し、ガザで見たり、やらなければならなかった「非常に困難なこと」のせいで眠れず、菜食主義者になった、と語った。

何の話だろう? ザケンさんは以前、イスラエル議会の公聴会で、部隊の任務は数百人のパレスチナ人を轢き殺すことであり、その一部は生きたまま轢くことだ、と語っていた。

CNNは「ザケンさんは、ガザでブルドーザーから目撃した恐ろしい光景を思い出すせいで、もう肉を食べられないと語っている」と報じた。

1940年代、ナチスの強制収容所の看守の中には、そこでの惨劇を目撃した後に自殺した者もいたに違いない。その惨劇の責任は彼らにあったのだから。そんな「精神的負担」が話題になるのは、奇妙な架空報道上だけだろう。

ネット上で大きな反発があった後、CNNは記事冒頭の編集者注を以下のように修正した。「この記事には自殺に関する詳細な情報が含まれており、読者に動揺を与える可能性があります」と。

読者が動揺する可能性があるのは、イスラエル兵の自殺についてであって、兵士たちがパレスチナ人を日常的に轢き殺していることについて、ではないようだ。そう、ザケンさんのことばを借りれば「すべてがめちゃくちゃになっている」というガザの惨状ではなく。

ガザへの立ち入り禁止

ついに、イスラエルの大量虐殺戦争が始まって1年が経ち、現在急速にレバノンに戦線が拡大している中、外国人ジャーナリストのガザへの入国を要求する声が、非常に遅ればせながら上がってきている。

今週、11月の米国の大統領選挙が迫る中、民主党が大量虐殺に加担したことに怒っている有権者からの支持を得るための策と思われる動きとして、米国議会の民主党議員数十人がジョー・バイデン大統領に書簡を送り、イスラエルに対し、ジャーナリストにガザ地区への「妨害されない立ち入り」を認めるよう圧力をかけるよう要請した。

このことにホッとしないでいただきたい。

西側報道機関は過去1年間、さまざまな理由から、ガザからの記者の排除に抗議する行動をほとんど起こさなかった。

イスラエルの爆撃がまったく無差別な性質のものであったことを考えると、大手報道機関は、自社のジャーナリストが居るべきでない場所に居て、2000ポンド爆弾で爆撃されることを望んでいなかったのだ。

それはジャーナリストらの幸福に対する懸念から来ているのかもしれない。しかし、もっと冷笑的な懸念もあるだろう。

それは、ガザ地区の外国人ジャーナリストが爆破されたり、狙撃兵によって処刑されたりすれば、報道機関はイスラエルとその巧妙に機能する圧力団体との直接対決に引きずり込まれることになるだろうからだ。



ジャーナリストが殺害された際の反応は完全に想定内で、ジャーナリストたちが死んだのは、「テロリスト」と共謀していたからだ、「人間の盾」として使われていたからだなどとほのめかすものになるだろう。これはイスラエル側がガザの医師やレバノンの国連平和維持軍を標的にすることを正当化するために繰り返してきた言い訳と同じだ。

しかし、もっと大きな問題がある。主流報道機関は、ジャーナリストが「イスラエル側の行動」に近づきすぎて、イスラエルの戦争犯罪と大量虐殺のより明確な姿を伝える危険にさらされるような立場にはなりたくないのだ。

報道機関は現在、犯罪現場から距離を置いており、またイスラエルのあらゆる残虐行為に対して喧嘩両成敗的な非難をすることで、自分たちが将来弁明できるようにしているのだ。

過去の紛争では、西側諸国の記者が証人となり、外国の指導者の戦争犯罪訴追を支援してきた。これはユーゴスラビアの崩壊に伴う戦争でも起こったことだが、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がハーグ裁判所に引き渡されれば、間違いなく同じことが再び起こるだろう。

しかし、こうしたジャーナリストの証言は、西側諸国の最も近い同盟国ではなく、西側諸国の敵を投獄するために利用されてきたのだ。

報道機関は、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相とヨアブ・ガラント国防相の国際刑事裁判所(ICC)での今後の裁判で、自国の記者が検察側の主たる証人となることを望んでいない。ICCの検察官カリム・カーンは、両名に対する逮捕 状を請求している。

結局のところ、ジャーナリストによるそのような証言はイスラエルだけに留まらないだろう。西側諸国政府も巻き込まれることになり、既存の報道機関が自国政府と衝突することになる事態が生じるだろう。

西側報道機関は、罪を犯している西側諸国の政府に対して、責任を取らせることが自身の役割だとは考えていない。

パレスチナ人の検閲

BBCやリベラルとされるガーディアン紙を含む主流報道機関のジャーナリストの内部告発者たちは徐々に名乗り出て、既成報道機関がいかにパレスチナ人の声を無視し、大量虐殺を軽視しているかの説明をしている。

イタリアの通信社ノヴァラ・メディアによる最近の調査で、ガーディアン紙の編集部内でイスラエルとパレスチナに対する二重基準に対する不満が高まっていることが明らかになった。

同紙の編集者らは最近、著名なパレスチナ人作家スーザン・アブルハワ氏がガザでの虐殺を「現代のホロコースト」と表現することを許可するよう主張したため、同氏の論評に検閲を加えた。

ジェレミー・コービン氏が労働党の党首を務めていた間、ジョナサン・フリードランド氏のようなガーディアン紙の経験豊富な論説執筆者は、ユダヤ人だけが自分たちの抑圧を定義し、名付ける権利を持っているという主張を大いに展開していた。

しかしながら、その権利はいまだにパレスチナ人には及んでいないようだ。

ノヴァラ社と話した職員が指摘したように、ガーディアン紙の日曜版姉妹紙であるオブザーバー紙は、イスラエルがガザ地区で何千人ものパレスチナの子どもたちを殺害したという証明可能な事実に関するあらゆる報道を「血の誹謗中傷」として中傷するために、英国系ユダヤ人記者ハワード・ジェイコブソン氏に紙面を割くことに何のためらいもなかった。

経験豊富な記者の一人はこう語った。「ガーディアン紙はパレスチナよりもイスラエルについて語られることに対する反応を心配しているのでしょうか? まったくそのとおりです」と。

別の職員は、新聞がユダヤ人の記者を検閲しているのが見られることは考えられないと認めた。しかし、パレスチナ人の記者を検閲するのは問題ないようだ。

他のジャーナリストは上級編集者から「息苦しいほどの統制」を受けていると報告し、この圧力は「イスラエルに批判的な記事を掲載する場合のみ」存在すると述べている。

同社の職員によれば、国際司法裁判所(ICJ)に関する報道を除いて、同紙では「ジェノサイド」という言葉の使用は事実上禁止されている。ICJの判事らは9カ月前、イスラエルがジェノサイドを犯しているという「信憑性のある」主張が成り立つ、との判決を下した。

それ以来、事態はさらに悪化している。

内部告発ジャーナリスト

同様に、最近BBCの編集室を辞職し、アルジャジーラの「リスニング・ポスト」という番組で自身の体験を語った内部告発者の「サラ」さんは、パレスチナ人とその支持者は日常的に放送を遮られたり、屈辱的で無神経な尋問を受けたりしている、と語った。

報道によると、一部の番組制作者は、司会者による攻撃的な尋問が彼らの精神衛生に及ぼす影響を懸念し、ガザで家族を失った人々を含む弱い立場にあるパレスチナ人を放送に出演させることにますます消極的になっているという。



サラ氏によると、BBC の番組への出演候補者の審査は、圧倒的にパレスチナ人、および彼らの活動や人権団体に共感する人々を対象とし、イスラエル国民やユダヤ人の出演者については、身元調査はほとんどおこなわれない、という。

彼女はさらに、出演者がソーシャルメディアの投稿で「シオニズム」という言葉(イスラエルの国家理念)を使用したことが検索で判明すれば、番組に出演できなくなる可能性がある、とも付け加えた。

世界最大の人権団体の一つ、ニューヨークに拠点を置くヒューマン・ライツ・ウォッチの役員たちでさえ、イスラエルを非難したことを理由にBBCから出演禁止あつかいを受けている、という。同局はウクライナやその他の世界紛争の報道でこれまで同団体からの報告に依存していたにもかかわらず、である。

対照的に、イスラエル国民の出演者は「ほとんど抵抗されることなく、言いたいことを何でも自由に言うことができた」が、その中にはハマスが赤ん坊を焼き殺したり首を切ったり、集団強姦を犯しているという嘘も含まれていた。

アルジャジーラが引用した、BBCの20人以上のジャーナリストが昨年2月にBBCのティム・デイビー局長に送った電子メールには、BBCの報道は「報道の抑制を通じて大量虐殺を幇助する」危険がある、と警告されていた。

逆転した価値観

こうした偏見は、最初はガザに関する報道、そして現在では大量虐殺に対する報道機関の関心が薄れるなか、レバノンに関する報道においても、BBCの報道に非常に明白に表れている。

見出しはジャーナリズムの基調を表すものであり、多くの読者がそこしか読まない部分であるが、一様に悲惨な内容となっている。

例えば、今月初め、ネタニヤフ首相が、レバノン国民が指導者を打倒しなければガザのような大量虐殺をおこなうと脅した件についての BBCの見出しは「ネタニヤフ首相からのレバノン国民への訴えをレバノン側は無視」というオブラートに包んだ見出しになっていた。

この見出しを読んだ理性的な読者は、ネタニヤフ首相がレバノン国民に恩恵を与えようとしている(殺害の準備をしている)のにレバノン国民が彼の申し出を受け入れないのは恩知らずだと誤って捉えたことだろう。

体制派の報道機関ならどこでも、これと同じ話が報道されている。もう一つの驚くべき、衝撃的な瞬間は、スカイニュースのケイ・バーリー氏が今月、イスラエル国内の軍事基地へのヒズボラのドローン攻撃でイスラエル兵4人が死亡したと発表したことだ。

彼女は、英国王室の一人が亡くなった時のような厳粛な態度で、スクリーンに各兵士の写真を映しながら、ゆっくりと4人の兵士の名前を呼んだ。彼女は4人ともまだ19歳であることを2度強調した。

スカイニュースは、彼らが英国兵ではないこと、そして彼らの死に英国の視聴者が特に動揺する理由はないことを理解していなかったようだ。戦争では兵士が殺されることはよくある。それは職業上つきまとう危険だ。

さらに、イスラエルが彼らをガザやレバノンで戦うのに十分な年齢だとみなしていたのであれば、亡くなった彼らの年齢が特に注目される必要はないはずだ。

しかし、さらに重要なのは、これらの兵士が所属していたイスラエルのゴラン旅団が、過去1年間のパレスチナ人虐殺に中心的に関与してきたことだ。同旅団の兵士たちは、ガザで殺害されたり、負傷させられた何万人もの子どもたちの多くに責任がある。

この4 人の兵士は、旅団の手によって虐殺された何千人もの子どもたちに比べれば、バーリー氏の同情や心配に値しない。子どもたちの名前が明かされることはほとんどなく、写真が公開されることもほとんどない。その理由は、彼らの負傷があまりにも恐ろしく目をふさぐほどだ、ということだけではないだろう。

この事例は、既存の報道機関が、真実とは真逆の世界が真実であるという吹き込みを視聴者におこなっているさらなる証拠となるものだ。

だからこそ、ガザとレバノンの報道がさらに偏っていると考えられる米国での統計において、報道機関への信頼が最低水準にあることが示されているのだ。回答者の3人に1人以下、つまり31パーセントのみが、依然として「マスメディアにかなり、あるいはかなり信頼を置いている」と答えた。

反対意見の抑圧

イスラエルは、自国による虐殺の報道を取り仕切っている。イスラエル側はまず、現地で報道するパレスチナ人ジャーナリストを殺害し、次に、テルアビブとエルサレムで、訓練された外国人特派員が虐殺から遠ざかり、危険にさらされないようにした。

そしてこれまでどおり、イスラエルは国内の反対意見を鎮圧する上で西側諸国の協力に頼ることができている。

先週、英国でイスラエルとそのロビイストを公然と批判してきた英国の調査ジャーナリスト、アサ・ウィンスタンリー氏のロンドンの自宅が、夜明けに対テロ警察の捜索を受けた。



警察は今のところ彼を逮捕も起訴もしていないが、彼の電子機器を押収した。彼はソーシャルメディアへの投稿で「テロを奨励」した疑いで捜査中である、と警告された。

警察はMEE(Middle East Eye)紙に対し、彼の機器は「禁止された組織への支援」と「テロ文書の配布」の疑いのあるテロ犯罪の捜査の一環として押収された、と語った。

警察がこのような行動を取れるのは、英国には厳格な言論の自由を阻害するテロ対策法があるからにほかならない。

例えば、その第12条は、イスラエルの不法占領に対するパレスチナ人の武装抵抗に同情的であると解釈される意見の表明(国際法では保障されている権利だが、西側諸国では「テロ」として一蹴される権利)自体をテロ犯罪としている。

このような意図的に曖昧な法的領域が定義されているため、体制派報道機関で訓練を受けていないジャーナリストや連帯活動家は、イスラエルによるガザでの大量虐殺について語る際、裏切り者の烙印を押されるしかなくなってしまった。

ウィンスタンリー氏が、テロリズム法に違反したとして告発された最初のジャーナリストではない。ここ数週間、独立系記者のリチャード・メドハースト氏が海外旅行から帰国した際にヒースロー空港で逮捕された。別のジャーナリストで活動家のサラ・ウィルキンソン氏も、警察から家宅捜索を受けた後、短期間身柄を拘束された。彼らの電子機器も押収された。

また、イスラエルの大量虐殺への英国の武器供給を阻止することを目指す「パレスチナ・アクション」の共同創設者リチャード・バーナード氏は、パレスチナ人を支持する演説をしたとして告訴された。

これらすべての行動は、ジャーナリストとパレスチナ連帯活動家を標的とした警察の特別作戦である「不断作戦(Operation Incessantness)」の一環であることが今では明らかになっている。

この不格好な作戦名から伝わる伝言は、「英国政府によるイスラエルへの武器供給と大量虐殺への共謀の継続に声高に反対する者は誰でも英国政府が追及する」ということだろう。

注目すべきは、既存の報道機関が、ジャーナリズムと報道の自由の役割に対するこの攻撃について報道していないことだ。本来、報道機関はこれらを守るために存在しているのに、である。

ウィンスタンリー氏の自宅への捜索と逮捕は、独立系ジャーナリストを含む他の人々を脅迫し、発言による結果を恐れて沈黙させることが目的だ。

彼らはテロリストでは全くない。テロリストなのは、むしろ、英国政府のほうだ。

再び世界はひっくり返されようとしている。

歴史からの反響

西側諸国は、自国民に対する心理戦争作戦を展開している。つまり、大量虐殺を「自衛」、それに反対することを「テロリズム」の一形態とみなすよう国民をだまし、混乱させているのだ。

このような状況は、ロンドンのベルマーシュ高等警備刑務所に何年も拘留されていたウィキリークス創設者ジュリアン・アサンジ氏が受けた迫害が拡大しているものだ、といえる。

西側諸国の最も暗い秘密を暴露した彼の前例のないジャーナリズムは、スパイ活動として再定義された。彼の「罪」は、英国と米国がイラクとアフガニスタンで組織的な戦争犯罪を犯したことを暴露したことだった。

現在、その前例を踏まえて、英国政府は単に政府に恥をかかせたという理由でジャーナリストを追及している。

先週、私はブリストルでおこなわれたガザでの大量虐殺に反対する集会に出席したが、英国政府が入国ビザを発行しなかったため、主な講演者は欠席だった。

(Zoomで参加しなければならなかった)欠席した客人の中には、ネルソン・マンデラ氏の孫であるマンドラ・マンデラ氏がいた。ネルソン・マンデラ氏は、アパルトヘイト後の南アフリカの初代指導者となり、称賛される国際的政治家となる前に、テロリストとして何十年も投獄されていた。

マンドラ・マンデラ氏は最近まで南アフリカの国会議員だった。英国内務省の広報担当者はMEE(Middle East Eye)紙に対し、英国は「わが国に歓迎したい人々」にのみビザを発行している、と語った。

報道機関の報道によると、英国がマンデラ氏を排除しようと決めたのは、マンデラ氏が祖父同様、イスラエルのアパルトヘイトに対するパレスチナ人の闘争を、それ以前の南アフリカのアパルトヘイトに対する闘争と密接に関連していると考えているためだという。

歴史の残響はどうやら当局にはまったく理解されていないようだ。英国は再びマンデラ一家をテロリズムと結びつけている。以前は南アフリカのアパルトヘイト体制を守るためだった。今度はイスラエルのさらにひどいアパルトヘイトと大量虐殺体制を守るためだ。

世界はまさにひっくり返っている。そして、西側のいわゆる「自由な報道機関」は、ひっくり返った世界を正常なものに見せようとする上で重要な役割を果たしている。

それは、ガザ虐殺を虐殺として報道しないことによってのみ達成できる。その代わりに、西側諸国のジャーナリストは速記者以上の役割を果たしていない。彼らの仕事は、イスラエル側の口述を真似ることだけだ。

ジョナサン・クックはイスラエル・パレスチナ紛争に関する 3 冊の本の著者であり、マーサ・ゲルホーン特別ジャーナリズム賞の受賞者。ウェブサイトとブログは www.jonathan-cook.net 。
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フランス大統領マクロンによる、政敵ルペン女史の露骨な排除作戦!

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French prosecutor wants Le Pen jailed for five years
極右派の国民連合の元リーダーは、この事件は政治的動機によるものだとして、横領の主張を否定した。
出典:RT 2024年11月14日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年11月23日


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パリの裁判所に到着したフランス国民連合(RN)のマリーヌ・ル・ペン議員© ゲッティイメージズ/ チェスノ


フランスの検察当局は、横領事件でマリーヌ・ル・ペン元国民連合党首に懲役5年と公職への立候補禁止を命じるよう裁判官に求めた。

ルペン氏と右派の国民連合の現職および元職の議員24人は、2004年から2016年にかけて、欧州議会の補佐官への支払いに充てられるはずだった300万ユーロ(約4億8千万円)を党内の業務に充て、EU法に違反したとして告発されている。被告らは全員、いかなる不正行為も否定している。

水曜日(11月13日)のパリでの審理で、検察は、ルペン氏は、疑惑の違反行為の一部が行われた当時、欧州議会議員であり国民連合の党首でもあったため、最も厳しい処罰を受けるべきだと主張した。同氏は、2011年から2021年まで、以前は国民戦線と呼ばれていた同党を率いており、現在も党員である。

検察当局は、ルペン氏の刑期のうち3年は執行猶予となり、残りの2年は電子ブレスレットの装着で執行される可能性があると述べた。また、検察当局はルペン氏に30万ユーロ(約4800万円)の罰金を求めた。

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関連記事:Le Pen stands trial over EU money

検察側は、弁護側が判決を控訴する前に、5年間の立候補禁止を直ちに実施すべきだとした。つまり、有罪判決が出れば、ルペン氏は2027年の大統領選挙に出馬できなくなる。9月下旬に始まった公判で、同氏は3度目の大統領選に出馬する計画を発表していた。

「検察が唯一望んでいたのはマリーヌ・ル・ペンの政治生命を排除することだったのは明らかです」とル・ペン氏は公聴会後に記者団に語った。

この事件の被告ではない国民連合のジョーダン・バルデラ党首は、Xへの投稿で、検察が「民主主義への攻撃」をおこなっていると非難し、「マリーヌ・ル・ペン氏を迫害し、復讐しようとしている」と記した。

検察はまた、国民連合に200万ユーロ(約3億2千万円)の罰金を科し、他の容疑者全員に1年から5年間の公職への立候補禁止を課すよう求めた。

弁護側は、11月27日の裁判終了まで裁判官に主張を述べる予定。判決は2025年初頭に下されると予想されている。

関連記事:UK and France to push Biden to escalate Ukraine conflict – Telegraph

2022年の選挙では、ルペン氏は第2回投票でエマニュエル・マクロン大統領に58.55%対41.45%で敗れた。
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トランプ大統領、ウクライナ支援批判者を司法長官に指名

<記事原文 寺島先生推薦>
Trump picks Ukraine aid critic for attorney general
マット・ゲイツは以前、キエフへの米軍援助について懸念を表明している。
出典:RT 2024年11月14日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年11月24 日


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ファイル写真: 2024年7月17日、ウィスコンシン州ミルウォーキーで開催された共和党全国大会で演説するマット・ゲイツ米下院議員(フロリダ州選出、共和党)。© Global Look Press / アナベル・ゴードン


ドナルド・トランプ次期米大統領は、マット・ゲイツを司法長官に指名。彼は、来年1月(トランプ大統領就任時)、司法長官になる。同議員はこれまで、キエフに対する米国の軍事援助を批判してきた。

トランプ次期大統領は自身のブログ「トゥルース・ソーシャル」への水曜日(11月13日)の投稿で、「司法制度の党派的な武器化」に取り組む必要性を強調した。

「マットは、武器化された政府に終止符を打ち、国境を守り、犯罪組織を解体し、アメリカ人の司法省に対するひどく打ち砕かれた信頼と信用を回復するだろう」と書いた。ゲイツはXで感謝の意を表明し、重要な役割を「務めることができて光栄だ」と述べた。

ゲイツの選出は、すでに数人の上院議員が驚きを表明しているため、上院での承認過程で論争が巻き起こる可能性がある。もし承認されれば、彼は以前に性犯罪容疑で彼を捜査した司法省を監督することになる。ただし彼はそのことについて如何なる訴追も受けてはいない。

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関連記事:Trump nominates Gabbard for intelligence chief

2024年2月、ゲイツと数人の保守派議員は、ロシアと対立するウクライナへの軍事援助について懸念を表明した。彼らは、継続的な支援は解決への明確な道筋を示すことなく紛争を長引かせているだけだと主張した。ゲイツは、援助予算資金は 「世界の資金洗浄資本に流出する」資金であるとした。

ゲイツのウクライナに対する批判的な姿勢は、2022年のウラジーミル・ゼレンスキーの議会演説の際にも顕著で、多くの同僚議員がその演説に対する支持を立ち上がって表明する中、彼は座ったままだった。

トランプはすでにフロリダ州選出の上院議員マルコ・ルビオを国務長官に、元下院議員のトゥルシ・ギャバ―ドを次期国家情報長官に指名している。
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「現代のテロリズムの生みの親」:メディアが伝えないズビグネフ・ブレジンスキーの素顔

<記事原文 寺島先生推薦>
The Real Story of Zbigniew Brzezinski That the Media Isn’t Telling. “Where Modern Terrorism Originated”
出典:Global Research 2024年10月31日
筆者:ダリウス・シャーターマセビ(Darius Shahtahmasebi)
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年11月23日


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2017年6月2日初出の重要記事

ジミー・カーター大統領の前国家安全保障顧問であったズビグネフ・ブレジンスキーが金曜日(2017年5月26日)、バージニアの病院において89歳で死去した。ニューヨーク・タイムズ紙は、この元政府顧問が「タカ派的な戦略理論家」であったことは認めたが、彼の遺産を他の点ではどこまでも肯定的なものであるとしたことは、既存勢力エリートたちが考えたいと思うほど一筋縄ではゆかないことかもしれない。>

英国がISISに影響された人物による壊滅的な攻撃を受け、いわゆる「テロの脅威」のレベルをめぐって翻弄され、またフィリピンがISISに影響された破壊行為を受け、ほぼ完全な戒厳令状態に入るなか、この時期にブレジンスキーの死が重なったことは、現代のテロリズムのそもそもの起源がどこにあるのか、もっと深く理解する必要があることを誰しもが念頭に思い浮かべるいい機会になった。

ニューヨーク・タイムズ紙が説明するように、ブレジンスキーの「ソ連に対する激しい憎悪」は、「よくも悪しくも」多くのアメリカ外交政策を主導した。ニューヨーク・タイムズ紙より:

     「ブレジンスキーはアフガニスタンでソ連軍と戦うイスラム過激派に何十億ドルもの軍事援助をした。彼はソ連が支援するベトナムがカンボジアを占領しないよう、カンボジアのポル・ポト政権への支援の継続を中国に暗黙のうちに奨励した」。(強調は筆者)

ニューヨーク・タイムズ紙がブレジンスキーのイスラム過激派への支援を指摘するのは進歩的立場に立っているが、彼の復讐に燃える外交政策の効果をたった一文で軽視することは、ブレジンスキーの政策の背後にある真の恐ろしさを正しく扱っていることにはならない。

1973年のアフガニスタンでのクーデターにより、ソビエト寄りの世俗的な新政権が樹立されたため、アメリカは、アメリカの手下であるパキスタンとイラン(イランは当時、アメリカの支持する国王の支配下にあった)を通じて何度もクーデターを組織し、この新政権を弱体化させようとした。1979年7月、ブレジンスキーは、CIAのプログラム「サイクロン作戦」を通じてアフガニスタンのムジャヒディン反乱軍に援助を提供することを公式に承認した。

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レーガン大統領とアフガニスタンのムジャヒディン指導者たち

アメリカがアフガニスタンでムジャヒディンを武装させたのは、ソ連の侵略からアフガニスタンとより広い地域を守るために必要だったからだと擁護する人は多い。しかし、ブレジンスキー自身の発言は、この論理を真っ向から否定している。1998年のインタビューでブレジンスキーは、この作戦を実施することで、カーター政権はソビエトが軍事介入してくる可能性を「承知の上で高めた」ことを認めた(ソビエトが侵攻する前にイスラム主義派閥の武装を開始したことを示唆し、当時はアフガニスタンの自由戦士が撃退する必要のある侵攻はなかったため、その理由づけは無意味だった)。ブレジンスキーはこう述べている:

     「何を後悔するんだ?あの秘密作戦は素晴らしいアイデアだった。ロシア軍をアフガンの罠に引き込む効果があったのに、私に後悔しろというのか?ソビエトが正式に国境を越えたその日、私はカーター大統領にこう書いた:「我々は今や、ソ連にベトナム戦争を与える機会を手にしています」。

この発言は、戦争とソビエト連邦の最終的な崩壊を扇動したことを単に自慢するだけにとどまらない。ロナルド・レーガンジョージ・H・W・ブッシュの下でCIA長官を務め、ジョージ・W・ブッシュバラク・オバマの下で国防長官を務めたロバート・ゲイツは、『影から(From the Shadows)』と題された回顧録の中で、この秘密作戦がソ連侵攻の6カ月前から始まり、ソ連をベトナム式の泥沼に誘い込むという実際の意図があったことを直接認めている。

関連記事:ウクライナは「大チェス盤」の駒
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ブレジンスキーは自分が何をしているのかよくわかっていた。ソビエトはその後約10年間、アフガニスタンで泥沼にはまり、アメリカが供給した武器と訓練された戦闘員の無限の補給との戦いに明け暮れた。当時、メディアはオサマ・ビン・ラディン(ブレジンスキーの秘密作戦で最も影響力のあった人物の一人)を称賛するほどだった。私たちは皆、その結末を知っている。

ブレジンスキーは1998年、CIAが資金提供した創作物がどのようなものになったかを知りながらも、取材に対して次のように答えている:

     「世界の歴史にとって何が最も重要なのでしょうか?タリバンあるいはソビエト帝国の崩壊でしょうか?それとも中欧の解放と冷戦の終結でしょうか?」

この時の取材担当者は、この答えが聞き流されるのを許さず、こう言い返した:

     「一部の煽動されたイスラム教徒?しかし、イスラム原理主義は今日、世界の脅威になっていることは繰り返し言われてきたことですよ」。

ブレジンスキーはこの発言を真っ向から否定し、こう答えた:

     「ナンセンス!」

この種のやりとりは、ジャーナリストたちが政府高官に突っ込んだ質問をしていたころのことで、今ではめったにないことだ。

ブレジンスキーがこうした過激派を支援したことで、アルカイダ(直訳すると「基地」)が形成され、予想されたソ連侵攻を撃退するための拠点となった。また、現在NATO軍と果てしない戦いを続けているタリバンの誕生にもつながった。

さらに、ロシア帝国の永続的な敗北を描こうとするブレジンスキーの発言にもかかわらず、ブレジンスキーにとって冷戦が終わることはなかったというのが真実である。彼は2003年のイラク侵攻を批判していたが、ブレジンスキーのアメリカ外交政策に対する支配力は死ぬまで続いた。

シリアにおいて、オバマ政権がもう1つのロシアの同盟国であるシリアのアサドに対してアフガニスタン泥沼戦略を展開したのは偶然ではない。2006年12月にウィキリークスによって流出した公電には、当時ダマスカスの米国大使館の臨時代理大使であったウィリアム・ローバックが書いたものがある:

「シリア大統領バシャール・アル・アサドの弱点は、(限定的ではあるが) 経済改革のステップと、固定化された腐敗した勢力との間の対立、クルド人問題、そして移動するイスラム過激派の存在が増大することによる政権への潜在的脅威など、認識されているものと現実のものの両方で、迫り来る問題にどのように反応するかを選択することにあると私たちは信じている。この電文は、これらの脆弱性に関する我々の評価を要約し、そのような機会が生じる可能性をいい方向につなげるために米国政府が発することのできる行動、声明、シグナルがあるかもしれないことを述べている。」 [協調は筆者]

バラク・オバマ政権下の「サイクロン作戦」と同じように、CIAは年間約10億ドルを費やしてシリアの反体制派を訓練していた(テロ戦術に従事するために、だが)。これらの反政府勢力の大半はISISの中核的イデオロギーを共有しており、シリアに「シャリーア法」[厳密なイスラム法]を確立するという明確な目的を持っている。

アフガニスタンの時とまったく同じように、シリア戦争は2015年にロシアを正式に引き入れることになった。そしてブレジンスキーの遺産は、ロシアを再びアフガニスタンのような泥沼に導いているとオバマがロシアのウラジーミル・プーチンに直接警告したことをとおしてその実質をとどめることになった。

では、オバマはこのブレジンスキーの脚本をどこから手に入れ、シリアをさらに恐ろしい6年間の戦争に突入させ、戦争犯罪と人道に対する罪がはびこる紛争で再び核兵器大国を巻き込んだのだろうか?

その答えは、ブレジンスキー自身からである。オバマによれば、ブレジンスキーは彼の個人的な師であり、彼から多くを学んだ「傑出した友人」である。このことを考えれば、オバマ大統領の任期中に多くの紛争が突如として勃発したのも不思議ではないだろう。

2014年2月7日、BBCヴィクトリア・ヌーランド国務次官補とジェフリー・パイアット駐ウクライナ米国大使の間で交わされた盗聴された電話の会話を公開した。その電話では、ロシア寄りのヴィクトル・ヤヌコビッチ大統領を追放したクーデター後のウクライナ政府に誰を配置したいかを話し合っていた。

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なんと、ブレジンスキー自身が1998年の著書『グランド・チェスボード』の中で、ウクライナの占領を提唱していたのだ。つまり、ウクライナは

     「ユーラシアのチェス盤における新たな重要な空間・・・独立国として存在すること自体が(ロシアが)ユーラシア帝国でなくなることを意味するため、地政学的な要となる」。

ブレジンスキーはロシアにウクライナを支配させないよう警告した。なぜなら、

     「(そうなれば)ロシアは、ヨーロッパとアジアにまたがる強力な帝国国家となる手段を再び自動的に取り戻すことになるからだ」。

オバマに続くドナルド・トランプは、ISISと戦うためにロシアやシリア政府と協力することをいとわない、完全に異なる考え方で政権に入った。当然のことながら、ブレジンスキーはトランプの大統領選出馬を支持せず、トランプの外交政策の考えには一貫性がないと考えていた。

とはいえ、昨年(2016年)、ブレジンスキーは世界情勢に対する姿勢を変え、アメリカがもはやかつてのような世界的帝国主義国ではなくなっていることを踏まえ、「世界再編」、つまり世界の力を再配分することを提唱し始めたように見えた。しかし、アメリカの世界的な指導的役割がなければ、「世界的な混乱」に陥るとの指摘に変わりはなく、彼の認識の変化が地政学的なチェス盤の上で実際に意味のある変化に根ざしているとは考えにくかった。

さらに、CIAの存在そのものがロシアの脅威という考えに依存していることは、CIAが旧ソ連とのデタントが可能だと思われるたびにトランプ政権を徹底的に攻撃していることからも明らかだ。

ブレジンスキーの血と狂気の歪んだ地政学的なチェスゲームの駒として避難民にされたり、殺された何百万人もの民間人とは異なり、彼は病院のベッドで平穏に息を引き取った。彼の遺したものは過激なジハード主義であり、アルカイダの結成であり、最近の米国の歴史で言えば、外国勢力による米国本土への最も破壊的な攻撃であり、ロシアは共に平和は決して達成できないし、達成すべきでもない永遠の敵として徹頭徹尾中傷したことだ。
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トランプの再選をディープ・ステイトはなぜ許したのか!?

<記事原文 寺島先生推薦>
Trump's Triumph and the Firing of Yoav Gallant
筆者:マイク・ホイットニー(Mike Whitney)
出典:The Unz Review 2024年11月6日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年11月21日


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なぜトランプは選挙に勝つことを許されたのだろうか?

私たちは、ディープ・ステイトが望む結果が得られない場合に何が起こるかを知っている。2016年の選挙後に起こったように、すべての地獄が解き放たれるのだ。それがどのようなものだったかを思い出してみて欲しい。法的な異議申し立てや訴訟、慌てふためきや名指し、不正投票やロシアの干渉という偽りの主張、そして選挙運営そのものの全体的な信用失墜のことを。街頭での抗議行動や怒れる反ファシストの暴徒が警官と乱闘し、「新たなヒトラー(トランプ)」に向けられた容赦ない怒りの爆発を。

覚えておられるだろうか?

それが、ディープ・ステイトが思いどおりにことが進まなかったときに起こることだ。

2024年には、あの捏造された怒りの表現に似たようなことが何も起こっていないことにお気づきだろうか? リベラルな報道機関が冷静さと団結を求めており、トランプを狙った好戦的または敵対的な記事を見つけることはほとんど不可能であることにも。

これは「吠えなかった犬」の事例ではないのか。懐疑的な人なら、聞いたことからではなく、聞こえなかったことから何か良からぬ行為があったと考えるべき事例ではないか?

実際、選挙結果が「自由で公正」だったのは、情報機関が選挙の不正操作を止めたからではなく、不正操作が必要なかったからだ。ディープ・ステイトはトランプが「自分たちの人物」だったので、トランプに勝たせたかったのだ。

その意味を説明する前に、選挙の前日の月曜日に友人に送ったメールを示させて欲しい。

トランプは勝つだろう...
ディープ・ステイトは、イランとの戦争を戦うために、赤い州の10代の青年を徴兵できる人気のある大統領を必要としている..
ハリスにはそのような魅力はない。

この見解は、報道機関がなぜトランプの勝利に熱狂せず、彼を人種差別主義者、ファシストの同性愛嫌悪者として、彼らが通常行うように槍玉にあげないのかを説明するのに役立つのではないだろうか?

こうなったのは、イスラエル国家を無条件に支持しているディープ・ステイトには、ドナルド・トランプが必要だからだ。ディープ・ステイトは、新兵募集を促進し、戦争への突入を先導するために、カリスマで大衆迎合主義である火付け役を必要としている。ハリスにはそれができない。ハリスは、彼女の集会に100人の支持者さえ集めるのに苦労していた。

この仕事は、ハリスではダメで、信頼され、賞賛され、愛される指導者でないといけない。この仕事は、伝統的に我が国の戦争を戦っている赤い州の若者たちから信頼を得ている人物が果たすべきものだ。つまりこれはトランプの仕事なのだ。

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だからといって、ディープ・ステイトが検閲や監視、市民的自由に対する反政策を放棄したわけではない。(ディープ・ステイトがそんなことをしたことはない。)ただ単に、ディープ・ステイト側の全体的な優先事項が、いつ起きてもおかしくないイランのイスラエル弾道ミサイル攻撃のような、より差し迫った問題に移ったことを意味しているに過ぎない。トランプは、その攻撃に対応することを求められるだけではない。トランプはまた、イランの脅威に対抗するため、米軍を配備するよう求められるだろう。そして、トランプがこれまでイスラエルに対して媚びへつらってきたこと(さらには彼の選挙運動にシオニストの寄付者が1億ドル贈ったこと)を考えると、彼はこの指令に従うと考えられる。ドナルド・J・トランプほどイスラエルに対する揺るぎない忠誠を示した大統領はいない。

トランプがイスラエルでどれほど高く評価されているか、ご存知だろうか?

トランプの勝利を祝って、2人のテレビ司会者がウィスキーの飲み干す様子が映っているこの素晴らしい映像を確認あれ。


もしモスクワの評論家たちが国営テレビで同じような乾杯をしたら、どんな反応になるか想像できるだろうか?

以下は、「イスラエルに神のご加護を、アメリカに神のご加護を」と咆哮しながら、ガザの民間人の飛び地ガザを爆破する歩兵による、もうひとつの「必見」の感情表現だ。


そして、以下はテレビゲームショーの司会者が、背後のスクリーンにトランプの大きな写真を写し出しながら、伝統的なお祝いの歌を歌うよう観客を導いているところだ。


トランプが、多くのイスラエル人によって、イスラエルの敵を打つために、彼の若者の軍団を中東に配備し、ユダヤ国家が地域の覇権国として浮上するのを助ける米国側の救世主と見なされていることは明らかだ。少なくともそれが希望なのだ。現実ははるかに異なるかもしれないとしても。しかし、私たちが言いたいのは、トランプのイスラエルに対する有用性が、2024年の大統領選挙に対するディープ・ステイトの方策において重要な要素だったかもしれないということだ。もちろん、これは私自身の陰謀論的な視点にすぎないのだが。

他に誰がドナルド・トランプを支持しているだろうか?

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さて、ガラントの話に移ろう..

イスラエル国防大臣ヨアブ・ガラントの突然の解任は、多くの理由で重要であり、そのどれもが主流報道機関で取り上げられていない。ネタニヤフは、火曜日(11月6日)におこなった声明で、この行動を正当化した。

戦争の真っ只中では、これまで以上に、総理と防衛大臣の間には完全な信頼関係が求められる。残念ながら、戦争が始まってからの最初の数ヶ月はそのような信頼と非常に実りある仕事があったが、最後の数ヶ月で、私と国防大臣との間の信頼関係に亀裂が入った。

この発言はありえない。ネタニヤフとガラントの間には「信頼の危機」はなかった。ガラント国防大臣が解任されたのは、ガラントが、戦争がおこなわれている即興的な(そしてばかげた)戦略に反対したからだ。軍人として、ガラントは、任務の目的と、その目標が現実的に達成できる方法を明確に表現した首尾一貫した戦略の実施を見たいと考えていた。しかし、この血なまぐさい大失敗を見てきた人なら誰でもわかるように、計画も戦略も戦争の終わらせ方の視座もないことは明らかだ。ネタニヤフは、爆発するポケベルやハッサン・ナスララの暗殺のような目を見張るような戦術的勝利を定期的におこないながら国民の大部分を自身の味方に引き込んで、最初から直感のみで動いてきた。ビビ(ネタニヤフ)は、戦争は戦略目標を達成するための強制的な方法ではなく、大衆の支持を集めるための一連の奇妙な出来事であるという理論に基づいて活動している。ガラントの解任は、ネタニヤフが、この同じ自殺的な流れを続け、勝利の明確な定義も、敵対行為を終わらせるための計画もない、ますます多くの紛争にイスラエルを巻き込むつもりであることを単に確認しているに過ぎない。これらはまさに「永遠に続く戦争」なのだ。

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誤解しないでほしいのは、ガラントはどう考えても「善人」ではなく、ビビの戦争内閣の多数派になりつつある非常識な人々よりもわずかに理性的だということだ。以下は、タイムズ・オブ・イスラエルの記事からの抜粋である。

首相に近い関係者がタイムズ・オブ・イスラエル紙に語ったところによると、ヨアブ・ガラント国防相は連立政治のためではなく、職務上の理由で解雇されたという。

匿名を条件に話している当局者は、ガラントは...6ヶ月前にレバノンでの外交的解決を提唱し、ヒズボラの能力を衰えさせないと主張し、ヒズボラの指導者ハッサン・ナスララの殺害に反対したが、イスラエル国防軍はその動きを支持した。

ガザでは、ガラントは米国の圧力を受けたイスラエル国防軍がラファに入るのに抵抗し、フィラデルフィ回廊に留まる必要性に関するネタニヤフと閣僚の大半の立場と戦った、とその高官は主張している。ネタニヤフに近い当局者は、ガラントが職務上の理由で解雇されたと主張した。「タイムズ・オブ・イスラエル紙」

要約してみよう:

1. ガラントは6ヶ月前にレバノンでの外交的解決を提唱した。

2. ヒズボラの指導者ハッサン・ナスララの殺害に反対した。

3. ガラントはラファに入るイスラエル国防軍に抵抗した

4. そして、フィラデルフィ回廊に留まる必要性に関するネタニヤフの立場と戦った。

これらの問題に関して、ガラントの見解は、イスラエルの挑発と攻撃の激化に反対する世界中の大多数の人々の見解と密接に一致している。

このことから何がわかるだろうか?

このことは、ガラントが、戦略的な目的を達成せず、イスラエルの安全保障を損なうだけの、不必要で無意味な流血に反対したことを我々に伝えている。それは、国防大臣が、イスラエルの多面的な作戦遂行能力の低下を認める従来の軍事理論にイスラエルの作戦が従うことを望んでいたことを示している。それは、ガラントの戦争に対する見解が、武力紛争の主要な目的が敵に苦痛を与えることだと信じているネタニヤフの見解とは根本的に異なっていたことを示している。そして、ガラントが戦争の方向性と、イスラエルがいかにその軍事力をひどく過大評価していたかについて、ますます懸念を抱いていたことを物語っている。

繰り返しになるが、ガラントが高潔な人物だと言っているのではない。それどころか、この人物は毒蛇のような人物だ。それでも、彼の戦略は軍事的な観点からはある程度理にかなっている。彼が、飢えたパレスチナ人への食料と医薬品の阻止を熱心に支持するいっぽうで、敵対行為を終わらせるための視座を決して明確にしない別の救世主的な狂人に取って代わられたという事実は、イスラエルの指導部が自分たちの直面している問題について全く分かっていないことを物語っている。イランの来るべきミサイル攻撃の獰猛さ次第では、イスラエルは、米国が変えることのできない存亡の危機に直面する可能性がある。以下は、イスラエルが現在、勝利の方法がない無数の戦争で、いかに泥沼にはまっているかを説明するジョン・ミアシャイマーの短い映像からの文字起こしだ。

ガザでの紛争、ヒズボラとの紛争、イランとの紛争の三つについてお話ししましょう。イスラエルはガザで3つの目標を持っています。それは、①ハマスを決定的に打ち負かす②人質を取り戻す③ガザを民族浄化する....です。イスラエル側はこれらのどれも達成しておらず、さらに、イスラエル側はガザで立ち往生しています。彼らは2005年にガザを去りましたが、それはスズメバチの巣をつついてしまったからでした。今回がまたもやガザに戻ってきたのは、ハマスを打ち負かしていないからです。

ヒズボラに関しては、イスラエル側は指導者の首を切ろうと試み、成功しました(しかし、それは何の進展にもなりませんでした)ので、イスラエル側はベイルートで膨大な数の民間人を殺害し続けました。それはうまくいきませんでした。それで、彼らは地上に侵入しました...そして、彼らは南レバノンで攻撃を受けています。そして、彼らが侵略した理由は、イスラエルへのロケット弾の発射を止めるためだったことを思い出してください。しかし、彼らはロケット弾の発射を止めていないし、ヒズボラに対しても勝てていないし、この先もヒズボラに対して勝利することにはならないでしょう。おそらく、最終的には何らかの交渉による解決が成立するかもしれませんが、どうなるかは誰にもわかりません。イスラエル側の軍事戦略が機能したという考えはどうなったのでしょう? ヒズボラに対して勝てなかったし、ハマスに対しても勝てませんでした。

そしてイランに対しては、どうでしょうか?イランは、イスラエルに大量の弾道ミサイルをまだ飛ばすことができます。(ミアシャイマーは、イスラエルのイラン攻撃がいかに失敗だったかを説明している。イスラエルはイランに対する攻撃激化支配を持っていない。(および)イスラエルは、ヒズボラに対する支配を強めることにはなっていません。ヒズボラは、いまだにイスラエルに向けてロケット弾とミサイルを発射しています。ところで、フーシ派も今、イスラエルに向けてミサイルを発射しています.....「イスラエルは順調に進んでいる」とか「イスラエルは運転席に座っている」という西洋の常識は、単純に間違いです。そして、ガザで何が起こっているのか、ヒズボラで何が起こっているのか、そしてイランで何が起こっているのかを見れば、イスラエルは多くの問題を抱えていることがわかります。(ミアシャイマーは、イスラエルの空軍力を時代遅れにしたイラン側のミサイル技術の革命を説明している。ネタニヤフと彼の副官たちは、イスラエルがもはやイランの弾道ミサイルに対して防衛できないことを理解し損ねている。) 「ジョン・ミアシャイマーへのインタビュー:オンライン・サイト「アンハード(Unhead)誌」

ミアシャイマーの分析とガラントの解雇との間には、どのような関係があるのだろうか?

ガラントの解任は、「イスラエルの戦争努力が目的を持たなくなっており、再び焦点を合わせる必要があると警告するベンヤミン・ネタニヤフ首相への厳しい言葉遣いの書簡」と関連している。タイムズ・オブ・イスラエル紙によると:

公式声明においてガラントは、イスラエルは「時代遅れの羅針盤」に従って戦っており、イスラエル当局は2023年10月7日のハマスの攻撃後に最初に設定された公式の戦争目標を見直す必要がある、と主張した。

「戦争における重要な進展、特にイスラエルとイランが直接打撃を交わすことは、戦闘の領域とそれらの間の相互関係について、包括的な視点で議論をおこない、戦争の目標を更新する必要性を提起する」とガラントは記した、と報じられている。

イスラエルは当初、戦争目標をハマスのテロ集団の破壊と、1年以上前のイスラエル南部の猛攻撃で捕らえられた人質の返還と設定していたが、その後、イランの代理勢力とイラン自身による攻撃により、戦闘は大幅に拡大し、イスラエルは実際には7つの正面戦争を戦っている。

イスラエルは、先月レバノンのヒズボラ・テロ集団に対する攻撃を急激に激化させたのちに、北部の住民の自宅への帰還を含むよう目標を更新した。

ガラントは、以下のような戦争目的を追加することを提唱した、と言われている:ヨルダン川西岸では、「テロリズムを阻止することによって暴力の発生を防ぐ」。イランでは、「抑止力とイランを戦争から遠ざける」。そしてガザでは、「軍事的脅威のない現実を確立し、テロ能力の成長を防ぎ、すべての人質を帰還させ、ハマス政府に代わる組織を促進する」こと…

ガザのイスラエル支配に対するガラントが反対し、そこでの人質停戦協定を支持したことにより、彼は連合政権の極右派と対立し、内閣内のすでにほころびつつある関係をさらに強めている。

ガラントはネタニヤフ首相に、戦争の管理は方向性がなく、目標の更新が必要だと伝えた、という。「タイムズ・オブ・イスラエル紙」

何が起こっているのかおわかりいただけるだろうか? この状況がどれほど深刻かご理解いただけるだろうか?

ガラントはイランとの戦争に反対したため、解任されたのだ。いまは精神病者が精神病院を牛耳っており、自分たちが蹴飛ばされたときにはサムおじさん(米国)が助けに来てくれる、と考えている。

この状況は、人類がこれまでに直面した中で最も危険な状況かもしれない。地球上の生命の未来は、現実の把握が非常に疑わしい救世主信仰の狂信者によって決定されており、彼らは自分が隣人に与える暴力行為は全能の神によって祝福されていると信じている。

そして今、彼らはトランプが、彼らの愚かな対イラン戦争に参加することを望んでいるので、彼らは中東全全域をローマ花火で輝かせ、世界の終末をもたらすことになるかもしれない。

レーガン大統領の夫人ナンシー・レーガンの名文句ではないが、トランプは「ただノーと言おう」でいくべきだ。

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関連記事

IMF、ロシアを世界第4位の経済大国に格上げ

<記事原文 寺島先生推薦>
IMF upgrades Russia to world’s fourth-largest economy
IMFによれば、ロシアは購買力平価(PPP)では日本を上回っている
出典:RT 2024年10月24日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年11月20日


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© Getty Images/Westend61


国際通貨基金 (IMF) は、購買力平価 (PPP) に基づいて、ロシアを世界第4位の経済大国にランク付けした。

PPPは、財とサービスのコストの差を調整して、各国の経済生産性と生活水準を比較するものである。

火曜日(10月22日)に発表された世界経済見通しの中で、IMFは、2024年のロシアの国内総生産 (GDP) がPPPで世界のGDPの3.55%に達し、3.38%の日本を上回ると述べた。

同報告書によると、ロシアのPPPは中国 (18.8%)、米国 (15%)、インド (7.9%) に次いで4位だ。

この最新の数字によると、PPPによる世界の主要経済国には現在、中国、インド、ロシアのBRICS 3カ国が含まれており、報告書の筆者らは、ロシアのランク上昇は西側の制裁によって推進されていると指摘した。

「今日、我々は積極的な輸入代替を実施し、国内生産を確立しなければなりません。したがって、ロシアの4位はかなり期待できる評価です」と金融大学マクロ経済研究センター(ロシア)のエフゲニー・バラツキー所長はロシースカヤ・ガゼータ紙に語った。

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関連記事:Economic gap between BRICS and G7 to grow

「近年、ロシアはヨーロッパの競争相手であるイギリス、フランス、ドイツ、そして今では日本までを、次々と追い抜いてきました」とエフゲニー・バラツキー所長は語った。

今月初め、ロシアのアントン・シルアノフ財務相は、世界のGDPに占めるBRICS諸国の割合(購買力平価ベース)は着実に伸びており、現在36.7%に達していると述べた。

IMFのデータによれば、G7諸国(カナダ、フランス、日本、イタリア、米国、英国、EU)のPPPベースの世界GDPシェアは減少傾向にあり、1982年の50.42%から2024年には29%まで低下している。

IMFはまた、ロシアの2024年の成長率予測を引き上げ、今年のGDP成長率を3.6%と予想した。しかし、ワシントンに拠点を置く同機関(IMF)は、来年(2025年)の成長率予測を1.5%から1.3%に引き下げた。

IMFは2025年の下方修正について、「労働市場の引き締まりが弱まり、賃金の伸びが鈍化する中、民間消費と投資が鈍化している」ことをその理由に挙げている。
関連記事

ブラジル大統領ルーラ:「人間の顔」をした新自由主義(拡大するドル化、ワシントン合意への従属)

<記事原文 寺島先生推薦>
Brazil: Neoliberalism with a “Human Face”. Lula Presidency = Extended Dollarization, Subservient to the Washington Consensus
ウォール街の債権者の管理下にあるブラジルのマクロ経済政策
筆者:ミシェル・チョスドフスキー (Prof Michel Chossudovsky)
出典:Global Research 2024年10月26日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年11月20日


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はじめに

ルーラが最初にブラジルの大統領として権力の座に就いたのは2003年1月。20年以上前のことだ。
2023年1月にルーラ労働者党政権が再び政権に就いたが、どのような結果が予想されるか。

西欧だけでなく西半球全体で、左翼は根本的な意味合いを検討することなくルーラ大統領を支持してきた。2023年のルーラ政権成立は、米国帝国主義に対する勝利、と深く考えることもなく一括りにされている。

カザンBRICS+サミットでの最近の動きでは、間違いなくワシントンの指示で、ルーラはベネズエラのBRICS加盟に拒否権を行使した。


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左翼としてのエチケット

「進歩的」や「左派」というレッテルが貼られている一方で、主要な閣僚の任命はすでにワシントン・コンセンサス*によって承認されていた。事実上、それは「左派的な特徴を持つ中道右派政権」である。
ワシントン・コンセンサス*・・・Washington Consensus。国際経済研究所の研究員で国際経済学者のジョン・ウィリアムソン(英語版)が、1989年に発表した論文の中で定式化した経済用語である。この用語は元来、1980年代を通じて先進国の金融機関と国際通貨基金(IMF)、世界銀行(世銀)を動揺させた開発途上国の累積債務問題との取り組みにおいて、ウィリアムソン曰く「最大公約数」とする、以下の10項目の政策を抽出し、列記したものであった。
1.財政赤字の是正
2.補助金カットなど政府支出の削減
3.税制改革
4.金利の自由化
5.競争力ある為替レート
6.貿易の自由化
7.直接投資の受け入れ促進
8.公営企業の民営化
9.規制緩和
10.所有権法の確立
(ウィキペディア)


この点において、2002年の選挙に先立つ当初から、ブラジルの労働者党(PT)指導部がワシントンとウォールストリートにいかに取り込まれていたか、を振り返ることは重要である。

2003年1月、ポルトアレグレで開催された世界社会フォーラム(WSF)に集まった「左派」は、ルーラの労働者党(PT)がウォール街とIMFの要求を受け入れたことを認めないまま、ルイス・イナシオ・ダ・シルヴァ[訳注:「ルーラ」が俗称]の就任を新自由主義に対する勝利として称賛した。(参考までに、2001年に設立された「進歩的」な世界社会フォーラム(WSF)は、CIAと歴史的なつながりを持つフォード財団から資金援助を受けてきた)

IMF専務理事の言葉 (2003年4月)

     「IMFはルーラ大統領とその経済チームの意見に耳を傾ける」

しかし、そのチームは、ブラジルの外部債権者を含む米国企業資本の利益のために任命されたものだった。2002年8月、ルーラ政権閣僚の構成はすでにワシントン・コンセンサスで承認されていた。

ルーラは、著名なウォール街の銀行家をブラジル中央銀行の頭取に選んだ。すなわち、米国の銀行カルテルのためにドル化されたトロイの木馬として行動するためである。フリートボストン (シティグループに次ぐブラジル第2の対外債権者) の前社長兼CEOであるエンリケ・デ・カンポス・メイレレスは、ブラジル中央銀行の総裁に正式に選ばれた。代わりに、国営投資銀行ブラジル銀行はシティグループに引き渡されていた。

国家の財政および金融政策は、ウォール街、IMF-世界銀行、米国連邦準備制度の手に委ねられていた。2002年8月、ブラジルの選挙運動が最高潮に達したとき:


     国際通貨基金は、ブラジルに対する投資家の信頼回復を目的とした300億ドルの救済策を提供することに合意した、・・・この異例の大規模融資は、ブラジルの2640億ドルの公的債務の債務不履行(デフォルト)の可能性を未然に防ぐことを目的としている。それはまた、左派の候補者が世論調査をリードし、市場を揺るがしている10月の大統領選挙 [2002] の不確実性からブラジルの脆弱な財政を切り離すことも意図されている。・・・

     米国の銀行がブラジルの借り手に対して有する債権は、2002年3月末時点で267.5億ドルに達しており、シティグループとフリートボストン・ファイナンシャルが最大の損失を抱えていると、政府機関である連邦金融機関検査協議会が発表した。(2002年8月ウォール・ストリート・ジャーナル、強調は筆者)

これはどういう意味か?

ブラジル国家機構の2つの主要な銀行、すなわちブラジル中央銀行と巨大なブラジル銀行は、それぞれブラジルの2大外部債権者、すなわちフリート・ボストン・ファイナンスシティグループに引き渡された (上記) 。

2003年ルーラ政権閣僚

ルーラ大統領の副大統領であるジェラルド・ホセ・ロドリゲス・アルキミン・ジュニア副大統領(元サンパウロ州知事)は、ブラジルの対外債権者のために国有財産の民営化を推進する新自由主義者である。また、オプス・デイ*ともつながりがある。
オプス・デイ*・・・キリスト教のローマ・カトリック教会の組織のひとつ、属人区である。カトリック信者が世俗社会での自らの職業生活を通して、自己完成と聖性を追求することを目的にしており、仕事や家庭生活など、日常生活のあらゆる場面において、キリストと出会うように援助する組織。創立者は、聖ホセマリア・エスクリバーである。(ウィキペディア)

サンパウロの前市長であるフェルナンド・ハダッドは、ルーラ大統領の財務大臣である。

ヴィクトリア・ヌーランド、ブラジルへ

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グローバリストがルーラ候補を支持していることは、昨年2022年4月、ネオコンの国務省特使であるヴィクトリア・ヌーランド (2014年のマイダン・ウクライナのクーデターで重要な役割を果たした) がブラジルを「非公式訪問」した際にボルソナロ大統領との面会を断固として拒否したことで確認された。

     「アマゾンの「統治」へのEUの参加を約束し、ウクライナにおけるロシアの特別軍事作戦を非難した後、ルーラはタイム誌の表紙を飾り、今年 (2022年) の選挙争いではグローバリスト・エリートたちのお気に入り候補者となった。選挙制度へのアメリカの支持に熱狂し、電子投票のための強力な運動を行なってきたブラジルの覇権的なメディアも、グリーン資本主義とロシアに対する制裁に同調し、今やグローバリストの政策のすべての要素を兼ね備えているように見えるルーラを支持している」。

ウクライナでの戦争に関するルーラの立場は、2022年5月のタイム誌とのインタビューで概説されている。

     「プーチンはウクライナに侵攻すべきではなかった。しかし、有罪はプーチンだけではない。米国とEUも罪を犯している。ウクライナ侵攻の理由は何だったのか? NATO?であれば、米国と欧州は「ウクライナはNATOに加盟しない」と言うべきだった。そうすれば問題は解決しただろう。

彼の政権の本質は何なのか。

強力な右派勢力によって構成される擬似左派政党(労働者党)のブラジル政府は、ウォール・ストリートと米国国務省の利益に奉仕することになるだろう。

推進力となっているのは、グローバリストの金融機関による対外債務、広範囲にわたる民営化、実質的な経済資産の取得である。

地政学はきわめて重要である:

ワシントンの意図はまた、ルーラ政権が米国の覇権主義的政策を具体的な方法で損なうことのないようにすることでもある。

ワシントンから見ると、ルーラの実績は「非の打ちどころがない」。

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1. 「彼は地球上で最も人気のある政治家だ。私はこの男が大好きだ」バラク・オバマは語った(2007年)。
2. 彼はジョージ・W・ブッシュの友人だ。
3. 彼はアメリカの「平和維持活動」で私たちを助けてくれた。合法的に選出された進歩的な大統領ジャン・ベルトラン・アリスティドに対して米国が支援した2004年2月28日のハイチ・クーデターを、ルーラは非難しなかっただけでなく、彼の労働者党 (PT) 政府は国連ハイチ安定化ミッション (MINUSTAH) の「平和維持」「安定化」活動 (非公式にはワシントンを代表して) の後援の下、ブラジル軍のハイチへの派遣を命じた。

ジョージ・W・ブッシュは、ブラジル軍がMINUSTAH(国際連合ハイチ安定化ミッション)に参加したルーラ大統領に感謝の意を伝えた。

     「ハイチでのあなた (ルーラ) のリーダーシップに感謝します。あなたが国連安定化軍を率いてきたことに感謝しています」。

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ブラジル軍は、MINUSTAH(国際連合ハイチ安定化ミッション)の下で13年間ハイチに駐留し、合計37,000人の部隊を派遣した(p .1) 。

これは和平の取り組みではなかった。アリスティド大統領は誘拐され国外追放された。MINUSTAH(国際連合ハイチ安定化ミッション)は、アリスティド大統領の進歩的な政党ファムニ・ラヴァラスに対する弾圧行為に関与した。

4. ルーラ大統領はIMFにとって信頼できる友人であり続けるだろうか?前IMF専務理事ハインリッヒ・ケラーの言葉によると:

     「私はルーラ大統領に深く感銘を受けています。特に、他の指導者にはない信頼性があると思うからです」。(2003)

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5. さらに、ルーラはジョー・バイデンの確固たる支持者であり、今ではカマラ・ハリスの確固たる支持者だ。

「バイデンは世界の民主主義の息吹です」とルーラは言った。(クリスティアーヌ・アマンポールC.AmanpourとのCNNインタビュー、2021年3月)

人間の顔をした新自由主義は便利な偽装だ。

労働者党(PT)の草の根(底辺党員たち)は、再び欺かれることになった。

主権国家としてのブラジルの未来はどうなるのだろうか?

ミシェル・チョスドフスキー、2022年10月31日、2023年1月14日、2024年10月26日
***
「 人間の顔を持つ新自由主義」に関する以下の記事は、20年以上前の2003年4月25日、2003年1月のルーラ大統領就任直後にグローバル・リサーチによって初めて公表された。

筆者は1990年代半ばにルイス・イグナシオ・ダ・シルヴァにインタビューしている。

* * *

ブラジル:人間の顔を持つ新自由主義

ミシェル・チョスドフスキー
2003年4月25日

ルイス・イナシオ・ダ・シルヴァ(通称ルーラ)のブラジル大統領就任(2003年)は歴史的に重要な意味を持つ。なぜなら、何百万人ものブラジル人が、労働者党PT(Partido dos Trabalhadores )に、支配的な(新自由主義的な)「自由市場」政策に対する真の政治的・経済的代替案を見出したからである。

ルーラの選挙は国民全体の希望を体現している。それは、ラテンアメリカ全体に大規模な貧困と失業をもたらしたグローバリゼーションと新自由主義モデルに対する圧倒的な拒否表明なのだ。

2003年1月下旬にポルトアレグレで開催された世界社会フォーラム(WSF)において、ルーラの反グローバリゼーションの姿勢は、世界中から集まった何万人もの代表者によって称賛された。イラク侵攻のわずか二カ月前に開催された2003年のWSFでの討論は、「もう一つの世界は可能だ」という旗印の下で行なわれた。


皮肉にも、ルーラの勝利を称賛する一方で、2003年のWSFで発言した「自由貿易」や企業主導のグローバリゼーションの有力な批判者たちの誰もが、ルイス・イナシオ・ダ・シルヴァ大統領の労働者党政府がすでにマクロ経済改革の主導権をウォール・ストリートとIMFに委ねていたことに気づいていなかったようである。

ルーラ政権は、世界中の進歩的な運動に支持される一方で、新自由主義モデルの主要な主人公たちからも称賛されていた。IMFのハインリッヒ・ケラー専務理事は次のように述べている:

     私はルーラ政権に熱狂しています。しかし、私はむしろ、ルーラ大統領に深い感銘を受けていると言った方が良いでしょう。特に、他の指導者たちが時に欠いている信頼性を、彼は持っていると思うからです。その信頼性とは、成長志向の政策と社会的公正を組み合わせるために真剣に努力しているということです。

     これはブラジルにとって、そしてブラジルを超えてラテンアメリカにとって、正しい議題であり、正しい方向性であり、正しい目標です。つまり、彼は正しい方向性を示したのです。次に、ルーラ大統領の指導の下、政権発足から100日間で政府が示した成果もまた素晴らしいものであり、この広大な改革への取り組みをどのよう進めていくかという意図を表明しただけではありません。年金改革や税制改革が優先課題として挙げられていると理解していますが、これは正しいことです。

     3つ目の要素は、IMFがルーラ大統領および彼の経済チームの意見に耳を傾けているということです。これはもちろん、ブラジル以外の国々にも当てはまる我々の哲学です。(IMF専務理事ハインリッヒ・ケラー、2003年4月10日、記者会見。強調は筆者)http://www.imf.org/external/np/tr/2003/tr030410.htm)

ルーラ大統領、ブラジル中央銀行総裁にウォール街の金融マンを任命

ルーラ大統領は就任当初、外国投資家に対して「ブラジルは隣国アルゼンチンのようなデフォルトには陥らない」と安心させた(2003年1月、ダボス世界経済フォーラム[WEF])。 もしそう意図しているのなら、なぜアルゼンチン・ペソの劇的な崩壊に一役買った人物(ボストン・フリート社の社長)を中央銀行(疑わしい資金取引に関与したと言われている)に任命したのだろうか。

フリートボストンの社長兼CEOであるエンリケ・デ・カンポス・メイレレスを中央銀行の総裁に任命したことで、ルイス・イナシオ・ダ・シルヴァ大統領は実質的に国の財政と金融政策の運営をウォール街に委ねた。

ボストン・フリートはアメリカで7番目に大きな銀行だ。ボストン・フリートは、シティグループに次ぐブラジル第2の債権機関である。

ブラジルは財政的にがんじがらめになっている。ルーラ政権の金融・銀行部門の主要ポストはウォール街出身者が占めているのだ:

   ▪中央銀行はフリートボストンの支配下にある。

   ▪シティグループの元上級幹部であるカシオ・カセブ・リマ氏が、ブラジルの国営銀行大手バンコ・ド・ブラジル(BB)の責任者に就任した。ブラジルにおけるシティグループの業務に携わっていたカシオ・カセブ・リマは、1976年にエンリケ・メイレレスによってボストン銀行に採用された。つまり、BBのトップは、ブラジルの2大商業債権者であるシティグループとフリートボストンと、個人的にも仕事上もつながりがあるということだ。

従来の体制は維持される。中央銀行の新しい労働者党チームは、退任するフェルナンド・エンリケ・カルドーゾ総裁が任命したチームと全く同じである。退任するアルミニオ・フラガ中央銀行総裁は、ウォール街の金融家(かつ投機家)ジョージ・ソロスが所有するクオンタム・ファンド(ニューヨーク)の社員であった。

ルーラ大統領がブラジル中央銀行総裁に任命したエンリケ・デ・カンポス・メイレレスは、ウォール街およびIMFと緊密に連携し、前任者(同じくウォール街が任命した人物)の政策枠組みを維持している。すなわち、引き締め金融政策、全般的な緊縮財政、高金利、規制緩和された為替制度である。後者は、ブラジル通貨レアルに対する投機的攻撃と資本逃避を助長し、その結果、外国債務を雪だるま式に膨れ上がらせた。

言うまでもなく、ブラジルにおけるIMFプログラムは、国家銀行システムの最終的な解体に向けたものであり、元シティバンクの幹部であるブラジル銀行の新総裁が重要な役割を果たすことは間違いない。

IMFが「熱狂している」のも当然である。ブラジル経済および金融管理の主要機関は、同国の債権者の手に握られている。このような状況下では、新自由主義は「健在」であり、ポルトアレグレの精神をモデルとした「代替案」のマクロ経済政策は、実現不可能である。

「キツネにニワトリ小屋の管理を任せる」

ボストン・フリートは1998-99年にブラジル通貨レアルに投機したいくつかの銀行や金融機関の一つで、1999年1月13日の「ブラック・ウェンズデー」にサンパウロ証券取引所の壮絶な崩壊につながった。後にフリートと合併したボストン銀行は、1億ドルの初期投資から始まった「レアル・プラン」の過程で、ブラジルに45億ドルの利益をもたらしたと推定される。(ラテン・ファイナンス1998年8月6日)。

言い換えれば、ボストン・フリートは国の財政的苦境の「解決策」ではなく「原因」である。ボストン・フリートの元CEOを中央銀行の総裁に任命することは、「キツネにニワトリ小屋の管理を任せる」ことに等しい。

新経済チームは、同国の債務危機を解決し、ブラジルを財政安定へと導くことを約束している。しかし、彼らが採用した政策は、まったく逆の効果をもたらす可能性が高い。

アルゼンチンの繰り返し

ルーラ大統領の中央銀行総裁であるエンリケ・メイレレスは、アルゼンチンの物議を醸したドミンゴ・カヴァロ財務大臣の熱心な支持者であった。カヴァロは、メネム政権下で重要な役割を果たし、同国を根深い経済・社会危機へと導いた・・

1998年のインタビューで、当時ボストン銀行の社長兼最高経営責任者(CEO)であったメイレレスは次のように語っている:

     ラテンアメリカで最も根本的な出来事は、アルゼンチンのドミンゴ・カヴァロ政権下で安定化計画が開始されたことでした。これは、価格や資金の流れを管理するのではなく、通貨供給量と政府財政を管理するという意味で、これまでにない手法でした。(Latin Finance、1998年8月6日)

注目すべきは、メイレレスが言及した「通貨供給量の管理」とは、本質的には国内企業への信用供与を凍結することを意味し、生産活動の崩壊につながるという点である。

その結果、アルゼンチンの破綻が示すように、破産が相次ぎ、大量の貧困と失業につながった。カヴァロ財務大臣の政策の矢面に立たされた1990年代、アルゼンチンの国営の国および州立銀行のほとんどが、産業や農業に融資を行なっていたが、それらの銀行は外国の銀行に売却された。シティバンクとボストンのフリート・バンクが、IMFが後援するこれらの不運な改革の受益者であった。

     「昔々、政府所有の国立銀行や地方銀行が国の債務を支えていた。しかし、90年代半ば、カルロス・メネム政権は、これらの銀行をニューヨークのシティバンク、ボストンのフリート銀行、その他の外国の経営者に売却した。元世界銀行顧問のチャールズ・カロミリスは、これらの銀行の民営化を『本当に素晴らしい話』と表現している。誰にとって素晴らしいのか? アルゼンチンは1日に7.5億ドルもの外貨保有高を流出させている」。 (ガーディアン、2001年8月12日)

ドミンゴ・カヴァロは「ドル化」の立役者だった。ウォール街を代表して、彼は植民地時代の「カレンシーボード制」*でペソを米ドルに固定した責任があり、その結果、対外債務が急増し、最終的には通貨システム全体が崩壊した。
カレンシーボード制*・・・Currency Board system。為替政策の一つ。端的に言えば、国内に流通する自国通貨に見合っただけのドルを中央銀行が保有するという制度。その結果、自国通貨は100%、中央銀行の保有するドルにバックアップされるため、為替レートを固定するという政策に信認がもたらされる。中央銀行は自国通貨の流通量に見合ったドルの保有を義務づけられる為、無秩序に通貨増発が出来なくなる。(ウィキペディア)© Phot

カヴァロが実施した「カレンシーボード制」の取り決めは、シティグループとフリート銀行を筆頭に、ウォール街が積極的に推進していた。

「カレンシーボード制」のもとでは、通貨の発行は外部債権者によって管理される。中央銀行は事実上、存在しなくなる。政府は外部債権者の承認なしには、いかなる形の国内投資も行なうことができない。米国連邦準備制度が通貨発行のプロセスを引き継ぐ。国内生産者への信用供与は、外部(ドル建て)債務を増やすことによってのみ可能となる。

金融詐欺

アルゼンチン危機が頂点に達した2001年、主要債権銀行は数十億ドルを国外に移した。2003年初頭に開始された調査では、アルゼンチンの元財務大臣ドミンゴ・カヴァロの犯罪への関与だけでなく、シティバンクやエンリケ・メレイユ(メイレレス)が社長兼CEOを務めていたボストン・フリートを含む複数の外国銀行の関与も指摘された:

「深刻な経済危機を乗り越えるために戦っているアルゼンチンは、2002年1月、資本逃避と脱税を標的にし、米国、英国、スペインの銀行支店を警察が捜索し、当局は元大統領にスイスにある財産の由来について説明を求めた。昨年後半には260億ドルもの資金が違法に国外に持ち出されたとの主張が、警察の行動を促した。同日遅く、警察はシティバンク、ボストン銀行(フリート)、スペインのサンタンデール銀行の子会社を捜索した。(中略)違法な資本移動に関連するさまざまな訴訟では、2001年12月20日に退任したフェルナンド・デ・ラ・ルア前大統領、ドミンゴ・カヴァ経済大臣、中央銀行総裁を辞任したロケ・マッカローネなどが訴えられている。(AFP、2003年1月18日)

アルゼンチンの金融詐欺に関与した銀行、すなわちエンリケ・メイレレスが指揮するボストン・フリートを含む銀行は、ロシア連邦を含む他の国々でも同様の不透明な資金移動業務に関与していた:

     「情報筋は連邦捜査官の話として、10行にも及ぶ米国の銀行がロシアから150億ドルもの資金を流用するために利用された可能性があると伝えた。ロシアのマネーロンダリング (資金洗浄) 計画の中心にあるとされるベネックス・インターナショナルの口座を保有しているとして、フリート金融グループなどの銀行が調査を受けている」。(ボストン・ビジネス・ジャーナル、1999年9月23日)

ブラジルの金融改革

ウォール街の隠された意図は、最終的にアルゼンチンのシナリオを再現し、ブラジルに「ドル化」を強いることであると、ありとあらゆる状況が示している。この計画の基礎は、フェルナンド・エンリケ・カルドーゾ大統領(1994-2002)就任当初の「レアル・プラン」の下で確立された。

フェルナンド・エンリケ・カルドーゾ(FHC)の政党PSDB(ブラジル社会民主党)を統合したエンリケ・メイレレスは、より抜本的な金融改革の採用に向けた舞台設定において、裏方として重要な役割を果たした:

     「1990年初頭、私 (メイレレス) はアメリカ商工会議所の役員で、ブラジル憲法改正のためのロビー活動を担当していました。同時に、私はブラジル国際銀行協会の会長でもあり、外国銀行に対する国の開放と資金の流れの開放の取り組みを担当しました。私は、ジャーナリスト、政治家、教授、広告の専門家など、主要な人々に接触する広範な運動を始めました。私が活動を始めたとき、誰もが絶望的だと言いました。国は決して市場を開放しないだろうし、自国産業を守ることになるだろう、と。数年かけて約120人の代表者と話をしました。民間部門、特に銀行家は市場開放に激しく反対しました。(ラテン・ファイナンスop cit)

憲法改正

憲法改正は、ウォール街が経済および金融の規制緩和を計画する上で要の問題だった。

1990年のフェルナンド・コロール・デ・メロの大統領就任当初、IMFは1988年憲法の改正を要求していた。国民議会では、IMFを「国家の内政に重大な干渉をしている」と非難し、大騒ぎとなった。

1988年憲法のいくつかの条項が、IMFが提案した予算目標の達成を妨げていた。この予算目標は、コロール政権との交渉中であった。 IMFの支出目標を達成するには、公務員の大量解雇が必要であり、連邦公務員の雇用保障を保証する1988年憲法の条項を改正する必要があった。また、連邦政府の財源から州や市町村レベルのプログラムに資金が提供されるという資金調達方式(憲法に定められている)も問題となっていた。この方式により、連邦政府が社会支出を削減し、その代わりに収入を債務返済に充てるという動きが制限されていた。

短命に終わったコロール政権の間に阻まれていた憲法改正の問題は、コロール・デ・メロ大統領の弾劾の直後に再び提起された。1993年6月、イタマル・フランコ暫定政権の財務大臣であったフェルナンド・エンリケ・カルドーゾは、1988年憲法の改正の必要性を指摘しつつ、教育、保健、地域開発の分野で50%の予算削減を発表した。

IMFの憲法改正に関する要求は、後にフェルナンド・エンリケ・カルドーゾ(FHC)大統領の政策綱領に盛り込まれた。銀行部門の規制緩和は、当時上下両院で労働者党の反対に遭っていた憲法改正手続の主要な柱であった。

一方、当時ボストン銀行のラテンアメリカ事業の責任者であったエンリケ・メイレレスは (片方の足はフェルナンド・エンリケ・カルドーゾ(FHC)の政党PSDB(ブラジル社会民主党)に、もう片方の足はウォール街に置きながら)、憲法改正を支持するロビー活動を水面下で行なっていた:

     「最終的に、私たちは合意に達し、それが憲法改正の一部となりました。1993年に初めて憲法改正が検討された際には、実現しませんでした。十分な票が集まらなかったのです。しかし、フェルナンド・エンリケ・カルドーゾが大統領に就任した後、憲法は改正されました。私が携わった合意は、実際に改正された憲法の最初の項目の一つでした。私(メイレレス)自身が関わったこの変更は、最終的にはブラジルの資本市場の開放の始まりを意味したと思います。ブラジルでは、1988年の憲法で義務付けられているように、資本の流れ、外国資本によるブラジルの銀行の買収、ブラジルに支店を開設する国際銀行に対する制限があり、これらはすべて資本市場の発展を妨げていました」。(1998年8月6日付『Latin Finance』誌)

レアル・プラン

レアル・プランは、フェルナンド・エンリケ・カルドーゾ(FHC)が財務大臣であった1993年11月の選挙のわずか数カ月前に立ち上げられた。レアル[訳注:ブラジル通貨]の米ドルへの固定相場制は、多くの点でアルゼンチンの枠組みに倣ったものだが、「カレンシーボード制」を制定することはなかった。

レアル・プランの下では、物価の安定は達成された。通貨の安定は多くの点で架空のものであった。それは対外債務の増加によって支えられていた。

この改革は、多数の国内銀行の消滅を促すものだった。これらの銀行は、フェルナンド・エンリケ・カルドーゾ(FHC)大統領(1994-2002)の任期中に開始された民営化プログラムの下で、一握りの外国銀行に買収された。

1999年1月、外国からの債務が雪だるま式に膨れ上がり、ついに金融破綻を招き、レアルは暴落した。

IMF救済融資の冷酷な論理

IMFの融資は、資本逃避を助長することを主目的としている。実際、1998年10月の選挙でフェルナンド・エンリケ・カルドーゾ(FHC)が再選された直後にブラジルに供与された数十億ドルの融資パッケージは、この論理に基づいていた。この融資は、1999年1月の金融崩壊のわずか数ヶ月前に供与された:

ブラジルの外貨準備高は、1998年7月の780億ドルから9月には480億ドルに減少した。そして今、IMFは「韓国型」の救済策として、最終的にはG-7諸国における多額の公的債務の発行を必要とする「貸し戻し」をブラジルに申し出た。ブラジル当局は、自国は「危機に瀕していない」と主張し、求めているのはアジア危機の「伝染的影響」を食い止めるための「予防的資金」(「救済」ではなく)であると主張している。皮肉なことに、IMFが検討している金額(300億ドル)は、まさに(3ヶ月の間に)資本逃避という形で国外に「持ち出された」金額に等しい。しかし、中央銀行はIMFからの融資を外貨準備高の補充に充てることができない。救済資金(10月に米議会が承認したIMFへの米国の拠出金180億ドルの大部分を含む)は、ブラジルが現在の債務返済義務を果たせるように、つまり投機家たちに返済できるようにすることを目的としている。救済資金は決してブラジルに入らない。(ミシェル・シュスドフスキー著『ブラジルの金融詐欺』参照)

2002年9月に大統領選挙を数ヶ月後に控えた時期にIMFが314億ドルの予防的融資を行ったのも、同じ論理に基づいている。

(参照:IMF、ブラジル向け304億米ドルの緊急融資を承認。http://www.imf.org/external/np/sec/pr/2002/pr0240.htm

このIMF融資は、機関投資家や投機筋にとって 「社会的セーフティーネット」となっている。

IMFは中央銀行に数十億ドルを投入し、外貨準備は借り入れ資金で補充される。IMFの融資は、中央銀行が規制緩和された外国為替市場を維持し、国内金利を非常に高い水準に維持することを条件として付与される。

いわゆる「外国人投資家」は、国内短期債(非常に高い金利)への「投資」収益をドル建てで国外に送金することが可能である。言い換えれば、IMFから借り入れた外貨準備金は、ブラジルの国外債権者によって再流用されている。

ブラジルにおける一連の金融危機の歴史を理解する必要がある。ウォール街の債権者が主導権を握る中、対外債務の水準は上昇し続けた。IMFは数十億ドル規模の新たな融資で「救済」に乗り出したが、その融資には常に、広範囲にわたる緊縮政策の導入と国有資産の民営化が条件として付されている。主な違いは、このプロセスが現在、新自由主義に反対を唱える大統領の下で進められていることだ。

しかし、2002年9月に承認された数十億ドル規模の新たなIMF「予防融資」は、選挙の数ヶ月前にフェルナンド・エンリケ・カルドーゾ(FHC)によって交渉されていたことに留意すべきである。IMF融資とその条件は、ルーラ大統領の任期中に債務が雪だるま式に膨れ上がる素地を作った。

(ブラジル—意向表明書、経済政策に関する覚書、技術的覚書、 ブラジリア、2002年8月29日を参照。http://www.imf.org/external/np/loi/2002/bra/04/index.htm#mep、ブラジリア、2002年8月29日)


ドル化

中央銀行と財務省がウォール街の権力者たちに支配されているため、このプロセスは最終的にブラジルを再び金融・為替危機に導くことになるだろう。1998年から1999年と同じ金融操作を基盤とする類似した論理ではあるが、おそらく1999年1月の危機よりもはるかに深刻なものになるだろう。

言い換えれば、ルイス・イナシオ・ダ・シルヴァ大統領が採用したマクロ経済政策は、近い将来、債務不履行と通貨の崩壊を招き、ブラジルを「ドル化」の道へと導く可能性がある。アルゼンチンと同様の「カレンシーボード制」が課される可能性もある。つまり、米ドルがブラジルの代理通貨となるということだ。これは、その国が経済主権を失うことを意味する。その国の中央銀行は機能しなくなる。アルゼンチンの場合と同様、金融政策は米国の連邦準備制度(FRS)によって決定されることになるだろう。

米州自由貿易地域(FTAA)の交渉には公式には含まれていないものの、西半球における共通通貨として米ドルを採用することが非公開で議論されている。ウォール街は、最終的にはブラジルを含む残りの国内の銀行機関を排除または買収し、西半球全体に支配を拡大しようとしている。

米ドルはすでにエクアドル、アルゼンチン、パナマ、エルサルバドル、グアテマラなど中南米5カ国に導入されている。「ドル化」の経済的・社会的影響は壊滅的である。これらの国では、ウォール街と米連邦準備制度が金融政策を直接支配している。

ブラジルの労働者党政府は、IMFの経済政策が同国の経済・社会危機を深刻化させる上で重要な役割を果たしたアルゼンチンの事例から教訓を学ぶべきである。

現在の金融政策の流れが逆転しない限り、ブラジルは「アルゼンチン・シナリオ」の二の舞を踏むことになり、経済的・社会的に壊滅的な結果をもたらすだろう。

ルーラ大統領政権の下での見通し

労働者党新政権は、新自由主義に対する「代替案」として、貧困緩和と富の再分配に尽力していると主張しているが、その金融・財政政策はウォール街の債権者の手に委ねられている。

Fome Zero(フォメ・ゼロ)」(「ゼロ・ハンガー」)は、「貧困との闘い」プログラムと説明されているが、これは「費用対効果の高い貧困削減」に関する世界銀行のガイドラインにほぼ一致する。後者は、社会部門の予算を大幅に削減する一方で、いわゆる「的を絞った」プログラムの実施を求めている。保健と教育に関する世界銀行の指令は、債務返済義務を果たすために、社会支出の削減を求めている。

IMFと世界銀行は、ルイス・イグナシオ・ダ・シルヴァ大統領の「強固なマクロ経済基盤」への取り組みを称賛している。IMFの見解では、ブラジルはIMFの基準に適合しており、「順調に推移している」という。世界銀行もまた、ルーラ政権を称賛している。「ブラジルは財政責任を念頭に置きながら、大胆な社会プログラムを推進している」と述べている。

「もう一つの世界は可能」?

「新自由主義との闘い」を掲げる政府が、「自由貿易」と「強力な経済政策」の強硬な支持者となる場合、どのような「代替案」が可能だろうか。

表面的な部分や労働者党のポピュリズム的なレトリックの裏側では、ルーラ大統領の掲げる新自由主義的な政策は実質的にはそのまま残っている。

ルーラを政権の座に就かせた草の根運動は裏切られた。そして、ルーラの側近にいた「進歩的」なブラジル知識人たちは、この過程において大きな責任を負っている。さらに、この「左派の順応」がもたらすものは、最終的にはウォール街の金融機関がブラジル国家を支配する力を強めることである。

「もう一つの世界」は空虚な政治スローガンに基礎をおいては成立し得ない。また、それは、ブラジル社会、国家システム、国家経済内の権力関係の真の変化を伴わない「枠組み」 の変化からも生じるものではない。

表面的には「進歩的」に見えるが、発展途上国を支配し略奪する「グローバリスト」の正当な権利を黙認している「新自由主義に代わるもの」についての議論からは、意味のある変化は生まれない。
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ヒラリー・クリントンの言! 「我々がアルカイダをつくりだした」!!

<記事原文 寺島先生推薦>
2016 Election Candidate Hillary Clinton: “We Created Al Qaeda”. The Protagonists of the “Global War on Terrorism” are the Terrorists
筆者:ミシェル・チョスドフスキー博士(Prof Michel Chossudovsky)
出典:Global Research 2024年11月2日・2013年6月1日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年11月19日


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以下の動画には、2016年大統領候補のヒラリー・クリントンが、ソ連・アフガン戦争全盛期にアメリカがテロ組織としてアルカイダを創設し、資金を提供していたことを率直に認めているところが記録されている:

「ここで思い出してください…私たちが今戦っている人たちは、20年前に私たちが資金提供していた人たちです…そして私たちがそうしたのは、ソ連との闘争に巻き込まれていたからです。

これらのムジャーヒディーンを採用しましょう。

そして、サウジアラビアやその他の国々から、彼らのワッハーブ派のイスラム教徒を連れてくればいいのです、という風に。」


1979年、アフガニスタンでの計画は政権交代だった。1973年に誕生した世俗(親ソ連)政権を破壊し、タリバン率いる米国の代理イスラム国家を樹立することだった。

当時と現在

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現在
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そして2024年の選挙を控えた今日、展開されているのは、「既視体験:米・NATOの 『対テロ世界戦争』の一環としての『テロリスト』への資金提供」である。

ヒラリーが言及しなかったのは、いわゆるソ連・アフガン戦争以来45年間、米国は主権国家を不安定化させ貧困化させる手段として、アルカイダへの支援と資金提供を止めなかったということだ。

ヒラリーは「なかなかいい考えだった」と言った。それは今もそのとおりだ。




音声起こし

「ここで思い出してください…私たちが今戦っている人たちは、20年前に私たちが資金提供していた人たちです…そして私たちがそうしたのは、ソ連との闘争に巻き込まれていたからです。」

「ソ連はアフガニスタンに侵攻しました…我が国はソ連が中央アジアを支配するのを見たくなかったので、行動を起こしました…そして、民主党率いる議会と提携したレーガン大統領が、これはなかなかいい考えだと言いました…(イスラム過激派の)ISIとパキスタン軍に対処し、これらのムジャーヒディーンを採用しよう、という作戦です」

「これは素晴らしいことでした。サウジアラビアや他の国々からワッハーブ派のイスラム教徒を輸入してソ連を倒そう、というものでした。」

「そして、どうなったと思いますか…彼ら(ソ連)は撤退し…数十億ドルを失い、それがソ連の崩壊につながりました。」

「だから、非常に強い議論があります。それは、ソ連に関しては悪い投資ではなかったが、どんな種をまくかには注意しよう、なぜなら収穫するのは私たちなのだから、という主張でした。」

「それで我が国はパキスタンを去りました…我が国は、わかった、いいだろう、我が国がパキスタン中に残したスティンガー(携帯式防空ミサイル)の対処はあなたがたパキスタン軍とISIに任せよう…国境沿いの地雷の対処もあなたがたに任せよう、そして…ところで我が国はあなたがたとは一切関わりたくない…実際、我が国はあなたがたに制裁を課している…という風に、です。だから我が国はパキスタン軍やISIとの関わりをやめ、今、失われた多くの時間を埋め合わせているのです。」

(ヒラリー・クリントン)

なんと狂った世界なのだろう。

ロナルド・レーガン大統領は国家安全保障決定指令166(NSDD 166)を発行(および署名)し、事実上「ムジャーヒディーンへの秘密軍事支援の強化」と宗教教化へのCIA支援を認可した。

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「イスラム過激派」の推進はCIAの意図的な取り組みであり(NSDD 166)、9/11をきっかけに中東や中央アジア、東南アジア、サハラ以南のアフリカで「テロとの世界戦争(GWOT)」の遂行を正当化する役割を果たしてきた。

以下を参照
関連記事:October 7, 2001: America’s “Just War” against Afghanistan: Women’s Rights “Before” and “After” America’s Destructive Wars

ミシェル・チョスドフスキー教授、2024年10月23日
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COVID-19ワクチンは、インフルエンザ・ワクチンに比べて脳血栓や脳卒中になる危険性が1120倍高い。

<記事原文 寺島先生推薦>
COVID Vaccines Pose 112,000% Greater Risk of Brain Clots, Strokes Than Flu Shots
出典:Global Research 2024年11月8日
筆者:マイケル・ネブラダキス(Michael Nevradakis)
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年11月18日


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COVID-19ワクチンは、インフルエンザ・ワクチンに比べて脳血栓や脳卒中になる危険性が1120倍高く、他のすべてのワクチンを合わせたよりもそれらの症状になる危険性が207倍高くなっていることが、世界規模でワクチン接種の停止を求める査読済み論文で明らかになった。

先週、「国際革新的医学研究誌」に掲載されたこの論文によると、36か月間に渡るCOVID-19ワクチン接種後に脳血栓塞栓(のうけっせんそくせん)症が5137件報告されている、という。これに対し、インフルエンザ・ワクチン接種後に報告された症例は52件、過去34年間のすべてのワクチン接種後の症例は282件である。

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こちらを参照

この論文によれば、これはCOVID-19ワクチン接種後の「脳血栓症の有害事象に関する安全信号の警戒閾値を越えている」、という。

この論文の筆者である独立研究者クレア・ロジャース氏と産婦人科医ジェームズ・A・ソープ博士、独立研究者カースティン・コスグローブ氏、心臓専門医ピーター・マカロー博士は、米国政府のワクチン有害事象報告システム(VAERS )の基礎資料を使用して分析をおこなった。

その基礎資料によると、COVID-19ワクチン接種後41か月で心房細動(脳動脈血栓塞栓症の最も一般的な特定可能な原因である不整脈)の報告が9821件あったことが示されていたが、他のすべてのワクチンを合わせた34年間で報告された症例は797件だった。

ロジャーズ氏は米国のディフェンダー紙に対し、今回の調査結果は、COVID-19大流行中およびその後に脳卒中の発生率が上昇したという事例証拠を裏付けるものだ、と語った。

ロジャーズ氏はこう記している。

「COVIDワクチン接種後、VAERSにおける脳血栓症の症例報告が大幅に増加した。病院で臨床医がこのような状況を目撃しただけでなく、一般市民も有名人や運動選手、若者の脳卒中の報告が増えているのを目撃している」と。

マッカロー氏はディフェンダー紙に対し、この論文では「新しいワクチンを『安全な』基準として通常のインフルエンザ・ワクチン接種と比較する」という「合理的なワクチン安全性研究方法」を採用した、と語った。

同氏は、この結果はCOVID-19ワクチン接種後の「恐ろしい結果」を示している、と記している。

これらの結果を受けて、この論文の著者らは「さらなる危険性を軽減し、妊娠適齢期の女性には絶対接種させないようにするため」COVID-19ワクチンの使用を直ちに世界的に一時停止するよう呼びかけた。

「私たちの論文は、COVID-19ワクチンを市場から撤去すべきだという分析が増えている中で、この潮流に加わるものだ」とマカロー氏は記し、さらに、ワクチンの撤去は「次期政権にとって最優先事項であるべきだ」とも主張した。

スパイク・タンパク質が脳卒中になる危険性の増加に関与

この論文によると、 SARS-CoV-2ウイルスとCOVID-19ワクチンに含まれるスパイク・タンパク質は、脳血栓や脳卒中の大きな原因となっている可能性が高い、という。

「COVID-1大流行期の初期段階で、SARS-CoV-2ウイルスに血栓形成作用があることが明らかになり、現在ではスパイク・タンパク質がこの血栓形成作用の主な原因の一つであると考えられている」とこの論文にはある。

この論文によると、ウイルスの元の株は「さまざまな重篤な血栓塞栓症を引き起こした」という。しかし、時間が経つにつれて「自然な進化により、毒性の弱い株が生まれた可能性がある」とのことだ。

本来見られたこの危険性は、微小血栓の発生率の増加に取って代わられ、「循環器系のより小さな血管に影響を及ぼす」ようになった、という。この論文では、「スパイク・タンパク質への累積的な曝露」が患者にそのような血栓を起こす危険性増加につながることは広く認識されている、と指摘されている。

ロジャーズ氏によれば、

「スパイク・タンパク質がこの病態に寄与すると考えられる現象のひとつは、内皮機能不全を引き起こすことである。つまり、物理的な閉塞がないにもかかわらず冠動脈が狭窄している状態だ」という。

この論文では、ファイザー社とモデルナ社のmRNAワクチン、ジョンソン・エンド・ジョンソン(ヤンセン)社とアストラゼネカ社のアデノウイルスをもとにしたワクチンなど、異なる種類のCOVID-19ワクチンを比較していない。しかしロジャーズ氏は、血栓の報告を受けて、アデノウイルス・ワクチンは米国と欧州で撤回された点を指摘した。

この論文では、VAERS が「疾病予防管理センター (CDC) と米国食品医薬品局 (FDA) によって規制、所有、管理されている」ことに留意し、このような分析にこのデータベースを使用することの相対的な利点と欠点について取り上げた。

「CDC/FDAの偏見と、COVID-19ワクチンによる死亡や負傷を隠蔽し、『抑制』しようとする彼らの試みにもかかわらず、彼ら自身の基準を用いた安全性の兆候について前例のない違反が残っている」とこの論文にはある。

この安全性の兆候は明らかに見られる。「VAERS において報告がおこなわれなかった相対的な割合は30-100の範囲にあると考えられる」にもかかわらず、である。

2011年のハーバード大学の調査によると、すべての有害事象のうちVAERS に報告されるのは1%未満だった、という。

COVID-19ワクチン接種の一時停止を求める声が強まる

「チルドレンズ・ヘルス・ディフェンス」誌の上級研究科学者カール・ジャブロノフスキー博士は、ディフェンダー紙に対し、「VAERSの基礎資料を使用して危険性を推測することには限界がある」にもかかわらず、この研究結果に「驚いた」と語った。同博士は、この論文は、COVID-19ワクチン接種の一時停止を求める声の増加に加わるものだ、と述べた。

「一つの研究がワクチン接種の一時停止を正当化するわけではないが、同様な結果の研究が増えれば正当化できる」とジャブロノフスキー博士は述べた。

この論文によると、「査読付きの医学雑誌には現在、COVID-19ワクチン接種後の身体被害、身体的障害、死亡を記録した研究が3,580件掲載されている」とあり、ワクチン接種撤回を求める声が強まっていることがわかる。

先月、アイダホ州のサウスウェスト地区保健局は、地元住民やマカロー氏、ソープ氏を含む専門家の証言を受けて、COVID-19ワクチンの提供を停止する、と発表した。

これは先月、スロバキア政府がmRNA注射を「危険」とし、その禁止を求める報告書を発表したことに続くものだ。また先月、西オーストラリアの町議会はmRNA製品の禁止を求めた。

1月、フロリダ州公衆衛生局長ジョセフ・ラダポ氏は、安全性への懸念から「COVID-19 mRNAワクチンの使用停止」を求めた。

フロリダ州10郡で採択された「ワクチン接種禁止」決議の執筆者である心理療法士のジョセフ・サンソン博士は、COVID-19ワクチンの一時停止を求めるこの論文からの呼びかけを支持した。

彼はこう言った。
「COVID-19とmRNAナノ粒子注射は、生物学的かつ技術的な大量破壊兵器です。医療界は真実を語り、他の皆と同じように騙されていたことを認めるべき時です。これらの注射は、この技術の流出を通じて、注射を受けた人にも注射を受けなかった人にも害を及ぼします。」

「すべてのmRNAナノ粒子の注入は直ちに禁止される必要があり、人類に対するこの攻撃の背後にいる犯罪者を徹底的に調査する必要があります」と。

世界保健会議、COVID倫理医師会、米国内科医外科協会などの組織もCOVID-19ワクチンの一時停止を求めている。

「一般の人によるCOVIDワクチン接種率は過去最低である。こうした製品を製造する必要はもうない」とロジャー氏は記している。

ジャブロノフスキー博士は次のように述べた。

「COVID-19ワクチンの世界的な一時停止は、人類にとって、健康だけでなく謙虚さにおいても大きな前進となるでしょう。」

「私たちは危険な製品を接種するよう騙され、政府や科学者、製薬会社は私たちを騙すことに積極的だったことを認めざるを得なくなっています。私たちがこれらの条件を満たしたときに、より明るい未来が始まります」と。


*

マイケル・ネブラダキス博士はギリシャのアテネを拠点とする、ディフェンダー紙の上級記者であり、CHD.TV の「Good Morning CHD」の司会者の一人。

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CIAのもうひとつの戦術--ベネズエラ攻撃で示された「偽左翼」の仕事

<記事原文 寺島先生推薦>
The Function of the Compatible Left Seen in its Attacks on the Venezuelan Revolution
出典:Internationalist 360° 2024年11月3日
筆者:スタンスフィールド・スミス(Stansfield Smith)
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年11月18日


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「体制協調的左翼」とは、CIA が帝国主義の世界支配を維持するのに適すると見なされる左翼を説明するために使用した用語である。この左翼は、主に共産主義または反帝国主義左翼を抑圧する政府の活動の結果、第二次世界大戦の終結以来、米国の左翼を支配してきた。歴史的に見れば、CIAが苦心して育成してきたこの「体制協調的左翼」は実在する社会主義を拒否して「第三勢力」を形成した。言い換えれば、資本主義諸国と社会主義国の間に存在する「両翼にとっての厄介者」を作ったのだ。そして、反帝国主義者に「適切な」代替案を提供し、その進歩的な雰囲気を利用して、急進的な若者や活動家、労働者、知識人を引き付けてきた。

CIAを「米国の支配に対する脅威と見なされる民主政府を打倒する冷酷な組織である」と見なすことは正しい。しかし、この捉え方では CIAが果たしている「より穏やかな」仕事を見落とすことになる。その仕事とは、「体制協調的左翼」を金銭的に支援し奨励してきた仕事のことだ。そしてその左翼は民主党に政治的な主導権を握らせることを求めているものだ。CIA は、これらの組織や個人に幅広く秘密裏に資金を提供し、支配してきた。CIAは、反帝国主義左翼と、米国帝国主義の願いに応えられると見なされた妥協的な「民主社会主義」左翼の間に亀裂を生じさせようとしてきたのだ。

今日、国家安全保障国家である米国は、反帝国主義左翼を弱体化させ、「より小さな悪」である民主党を支持する偽左翼を作り上げるためにこの取り組みを続けている。ロックフェラー財団やフォード財団、オープン・ソサエティ財団、タイズ財団などの企業財団は、実際の反帝国主義に批判的な進歩的な運動にCIAの資金を注ぎ込み続けている。

このリベラル左翼は、長年にわたってさまざまな形をとってきた。1世紀前、その支持者には、ボルシェビキ革命を非難したカール・カウツキーや社会民主主義者がいた。第二次世界大戦後の米国では、彼らは「国務省社会主義者」と呼ばれた。これらの社会主義者とは、国内では社会改革のために戦うが、国際政治においては特に民主党政権下で政府の外交政策の立場と調和する人々だ。CIAは非共産主義左翼である「西側マルクス主義」に資金を提供し、その地位向上を助けた。戦略諜報局、後に国務省で働いたヘルベルト・マルクーゼは、この組織で最も有名な人物だろう。フランクフルト学派もCIAの支援を受けた。

10年前、「体制協調的左翼」はしばしば自らを反・反帝国主義者と称し、カダフィのリビアとアサドのシリアへの米国の介入に反対する人々を激しく攻撃した。しかし、彼らはその自称をやめた。このことばは、彼らの立場をあまりにも露骨に表したからだ。今日、この「体制協調的左翼」は簡単に見つけることができる。具体的には、民主党内のDSA(アメリカ民主社会主義党)派や急進左派のスクワッド派、バーニー・サンダース、ジャコバン誌、イン・ジーズ・タイムズ誌、ザ・ネイション誌などだ。

米国の支配者たちは、こうした「左翼」の門番たちを「まともな」左翼の見解の境界標として育てている。60年代にそのような左翼に使われた用語は「責任ある」ということばだった。この左翼は、反戦運動や反帝国主義運動を弱体化させ、周縁化するために利用された。この左翼は、米国が標的とする国々に実在する、あるいはでっちあげの人権問題を「左翼から」訴え、米国のプロパガンダ運動を正当化するのを助け、故意にせよ無意識にせよ、私たちの方向性を導く運搬ベルトの役割を持たせていた。その結果、この「体制協調的左翼」は、反帝国主義勢力よりも諸財団からの資金や進歩的な報道機関とのやりとりがはるかに多くなっている。そのためこれらの左翼は、大学やNGO、進歩的なシンクタンクに雇われ、主流派やリベラル左翼のニュースに登場する可能性が、反帝国主義勢力よりもはるかに高くなっている。

ベネズエラに対する最近の左翼への攻撃

ルーカス・コーナー記者とリカルド・ヴァス記者は以下のような指摘をおこなっている。

「ベネズエラのボリバル革命が存続に対する新たな脅威に直面するたびに、米国を拠点とする知識人層は、この国に対する帝国主義による永続的な包囲を故意に覆い隠す「左翼」からの批判を常に用意している」と。

コーナー記者とヴァズ記者は、ニュー・レフト・レビュー誌のガブリエル・ヘットランド記者とザ・ネイション誌のアレハンドロ・ベラスコ記者を例に挙げて、このような偽左翼の人々を例証した。ヘットランド記者とベラスコ記者は、ベネズエラのニコラス・マドゥーロ大統領の選挙勝利を否定しようとしている米国務省の立場に屈服している。彼らは「『マドゥーロ大統領による弁解に抵抗し』、ファシスト主導の反対運動の勝利を受け入れる」よう私たちに促している。このような偽左翼には、フレッド・フエンテス氏もいる。同氏はかつて、ボリビアのエボ・モラレス大統領の社会主義運動を同じような偽左翼による攻撃から擁護していたのだが。

ベラスコ記者は2015年から2021年までNACLA誌の編集長を務めていたが、同誌の理事長兼企画部長はロックフェラー・ブラザーズ基金のトーマス・クルーズ氏だ。また、ヘットランド記者の記事を出しているネイション誌は、企業財団から年間数十万ドルの資金提供を受けている。

昨年7月28日のベネズエラ大統領選挙のために計画された米国のクーデター作戦は、ハッキングと開票の妨害をおこなうことで、敗北したマリア・マチャド氏率いる極右政党が勝利を宣言することで最高潮を迎えることになっていた。その後、グアリンバ(街頭での混乱や破壊、殺人)が起こり、それに対してチャベス派を鎮圧するための軍事介入がおこなわれることになっていた。米国が支援したこの作戦は、フランシスコ・ドミンゲス、レオナルド・フローレス、ロジャー・ハリス、マリア・パエス・ビクター、スタンスフィールド・スミス、ニーノ・パグリッチャ、アルフレッド・デ・ザヤス、全国弁護士組合(こちらも参照)、アーノルド・オーガスト、エドワード・ハント、ルイジーノ・ブラッチ・ロアなど、多数の著述家によって暴露されている。言うまでもなく、ヘットランド記者やベラスコ記者のような人々は、これらの反帝国主義者が提示する現実に向き合うことを避けている。

米帝国は定期的に人権に関する悲惨な事件を捏造し、この「体制協調的左翼」はそのことを私たちに吹き込んでいる。その最新の例は、「チャベス派がまたもや選挙不正をおこなった」という主張だ。米帝国はまた、「2018年のニカラグアでの学生殺害、リビアでのカダフィによる大量強姦と殺人計画、10月7日のハマスによる民間人の大量殺害と強姦、新疆での中国人による大量虐殺、2022年のイランによる(ヒジャブを着用しなかったことを理由にした)マハサ・アミンさん殺害、2019年のエボ・モラレス元ボリビア大統領による選挙の不正操作、2021年のキューバによる大規模抗議活動の弾圧、ロシアによるウクライナへの「謂れ無き」介入、シリアのアサド大統領による自国民への化学兵器攻撃、ベネズエラのマドゥロ大統領による(2018年)選挙の不正操作、 2002年のチャベス元ベネズエラ大統領支持者による抗議活動者殺害」などの物語を捏造した。これらの言説の唯一の真実は、米国の企業報道機関が米国による介入への支持を得るために私たちに絶えず嘘をついているということだ。

ヘットランド記事やベラスコ記者のような「体制協調的左翼」は、米国が発信する「政権交代」喧伝を進歩主義運動や反戦運動に運ぶ運搬ベルトとして機能している。コーナー記者やヴァズ記者も、リビアやシリア、 レバノン、イラン、イエメン、ジンバブエ、中国、キューバ、ボリビア、ブラジル、ニカラグアなどに対する同様の「体制協調的左翼」運動を指摘している。さらにはロシアや北朝鮮、ハマス、ヒズボラも加えられる。

「帝国主義の侵略ではなく、帝国主義諸国から打倒の標的となっている国々の指導者を批判し、介入に反対する運動を起こさないというこのやり口(ヘットランド記者やベラスコ記者のようなやり口)は、今日の進歩主義者の間ではあまりにも一般なやり口と捉えられている。この立場には反帝国主義意識が根本的に欠如している。」

反帝国主義者が本来すべき役割は、米帝国の継続的な介入行動と挑発、そしてその結果として国内で私たちが払う高い代償を暴露することにある。そして、人々にこの情報を与え、帝国の干渉と介入による国内外の損害に対抗するために労働者を組織化する必要がある。労働者は、米国による他国での武力による政権転覆未遂行為やテロ行為、企業による外国指導者への圧力、帝国による国際銀行と金融の兵器化、米国の「制裁」と封鎖の影響、政権転覆の道具としてのNGOの利用、企業報道機関が流す大規模な偽情報による損害について、いまだにほとんど認識していない。つまり、ジュリアン・アサンジ氏とウィキリークスが明らかにした、米国の支配者の舞台裏でおこなっている活動すべてについて、気づいていないのだ。被害を受けた国々の実際の、またはでっち上げの人権侵害や米国の侵略に対する対応を批判するのではなく、帝国による悪業を暴露することこそ、反帝国主義が果たすべき役割なのだ。

フレッド・フエンテス氏は、今日では「体制協調的左翼」型だが、過去にはボリビアのMAS(社会主義運動)指導部を取材していた頃は反帝国主義の立場をとっていた。現在はまさにその「体制協調的左翼」の典型と相成ったのだ。2014年の時点で彼は次のように説明していた。

「ボリビアが直面している課題は、単に [現在の] 帝国主義の「干渉」の問題に還元できるものではない。この課題は何世紀にもわたる植民地主義と帝国主義による抑圧の直接的な結果であり、その影響でボリビアは世界経済の中で従属的な原材料輸出国としての役割から抜け出せていない。…ボリビアの社会運動を支援する主な方法は、やはり北部の労働者をボリビア政府との連帯の立場に引き込むことだ。そして、これをおこなう最善の方法は、単に「帝国主義の干渉」に反対するのではなく、帝国主義体制に反対する国際運動を構築することにある。…帝国主義が存在する限り、帝国主義はボリビアの変化の進行が間違いなく大きな障害と危険に直面し続ける理由の説明となる。」( 「悪い左翼政府」か「良い左翼社会運動」か?『ラテン・アメリカの急進的左翼』、120・121 ページ)

今日、フエンテス氏はヘットランド記者やベラスコ記者と同じ調子で歌うかの如く、マドゥロ大統領とチャベス主義者が選挙を盗んだ、と主張している。これはベネズエラのファシスト右派や米国務省、CIAと同じ立場だ。

米国選挙における「体制協調的左翼」の役割

この「体制協調的左翼」は、米国大統領選の時期に特に活発に活動している。彼らは、「ファシスト」のトランプ候補から「民主主義」を守るためには、左翼が大量虐殺を支援しているバイデン・ハリス政権に投票することが不可欠だ、と語る。彼らなら、両党は企業アメリカによって運営されており、我が国には独自の政党が必要だ、と主張しても良さそうなものだ。しかし、彼らはそうはせずに、ファシストが迫っている危険を考えると、今回の選挙はこれまでと異なり、私たちの生涯で最も重要な選挙である、と語気を強めているにすぎない。

言い換えれば、彼らの主張は、労働者のための政党にとって良い時期などない、ということだ。つまり、選挙はいつあってもつねに労働者のための政党にとっては不都合な時期だ、どの選挙でも民主党に投票しろ、第三の政党を作ろうとしてはいけない、と言っているのだ。選挙になると、彼らが唱える「より小さな悪に投票せよ」という言い回しは、実際には民主党候補に投票することが良いことだという論調に変わる。ネイション誌はマドゥロ大統領を非難し、カマラ候補を支持し、彼女を「私たちの投票と支持に値する候補者である」と見ている。さらに悪いことに、この「体制協調的左翼」の人々は、民主党の絶え間ない右傾化を言い訳し、隠蔽するいっぽうで、共和党の右傾化については誇張して非難している。この構図は、ヘットランド記者やベラスコ記者、フエンテス氏のような人々が、米国が後援する選挙盗難による政権交代を隠蔽しながら、チャベス主義者に対する証拠のない不正疑惑をでっち上げている構図と同じである。

この偽左翼は、民主党に以下の行為をおこなうことを保証している。それは、1年以上(ガザでの)大量虐殺を続け、人類をロシアとの核戦争へと向かわせ、国内の人々の要求を無視し続けても、我々は依然として左翼勢力に民主党に投票するよう熱弁をふるう、というものだ。偽左翼のこの動きにより、民主党は、自分たちは右傾化でき、非人道的な政策に対する我々の抗議を無視でき、依然として左翼からの票を当てにできる、と考えている。この偽左翼の役割は、反帝国主義連帯運動を妨害するのと同様に、労働者階級の独立した政治運動の構築を妨害することにある。

「体制協調的左翼」は、米帝国に対して他国の民族解放を擁護しようとする人々だけを攻撃するだけではなく、企業階級に支配されている状況を打破し人々を解放しようとする私たちの戦いをも攻撃している。

反帝国主義の労働者階級運動を構築する上で、私たちが直面する主要な敵は、このリベラル左派の第五列であるが、このような状況は、比較的社会が平和なこの時代においてはそれほど明白ではない。

労働者階級の運動に浸透するこの帝国主義的喧伝の運搬ベルトは、左翼の環境において確かにそれなりの「信用」を持っているため、耳を傾けられている(デモクラシー・ナウという番組が示しているように)が、この様な影響力は、伝統的な資本者階級の分析家や専門家たちには、存在しないものだ。

階級闘争が激化すれば、この「体制協調的左翼」は、支配者が実際に本物のファシスト支配に出る前に、我々に対して使う最後の武器となるだろう。この実例として、第一次世界大戦とその後の歴史において見られた、社会民主党とメンシェヴィキの動きがある。今日、「体制協調的左翼」が「ファシズム」と戦うと大騒ぎしているにもかかわらず、当時彼らの果たした役割は、イタリアとドイツにおけるファシズムの台頭に不可欠だった。CIA が認めているように、「体制協調的左翼」は、CIAによる「政権転覆」と喧伝と、米国における労働者の反帝国主義運動の構築の妨害において重要な役割を果たしている。


スタンスフィールド・スミスは、シカゴ ALBA 連帯(旧称:シカゴ・キューバ人5人解放委員会)の一員であり、Covert Action MagazineやCounterpunch、Dissident Voice、Council on Hemispheric Affairs、Monthly Review online、Internationalist 360°、Orinoco Tribune などのウェブサイトに記事を寄稿している。長年の反戦活動家。AFGJ(Alliance for Global Justice ) の Venezuela & ALBA Weekly News を制作している。ウェブサイトは ChicagoALBASolidarity.org。
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アメリカのニュースを書くのはイスラエルのスパイたちであることが明らかに

<記事原文 寺島先生推薦>
Revealed: The Israeli Spies Writing America’s News
筆者:アラン・マクラウド(Alan MacLeod)
出典:SCHEERPOST 2024年10月21日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年11月17日


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イラスト:MintPress News


「10月7日のテロから1年、ネタニヤフ首相は連勝中だ」。Axios誌の最近の記事のタイトルだ。これらの見事な軍事的「成功」には、イエメン空爆、ハマスの指導者イスマイル・ハニェとヒズボラの指導者ハッサン・ナスララの暗殺、レバノンに対するポケベル攻撃などが含まれると、筆者のバラク・ラヴィッドは指摘する。

同筆者は最近、ヒズボラに対するイスラエルの攻撃は「戦争につながることを意図したものではなく、『攻撃拡大による緊張緩和』を達成しようとする試みである」と主張した記事が話題となった。ソーシャルメディア上のユーザーは、この奇妙でオーウェル的な推論についてラヴィッドを嘲笑した。しかし、ほとんどの人が見逃しているのは、バラク・ラヴィッドがイスラエルのスパイであるということだ。少なくとも最近まではそうだった。ラヴィッドはイスラエルの諜報機関8200部隊の元分析官で、昨年まではまだイスラエル国防軍グループの予備役だった。

8200部隊はイスラエル最大の、そしておそらく最も物議を醸すスパイ組織である。何千人ものレバノン市民を負傷させた最近のポケベル攻撃を含め、多くの有名なスパイ活動やテロ活動を担ってきた。この調査で明らかになるように、米国の一流メディアで働き、自国の行動に対する欧米の支持を捏造しようと懸命に働いているイスラエルの元スパイは、ラヴィッドだけではない。

ホワイトハウス・インサイダー

ラヴィッドはすぐに、連邦議会の記者団の中で最も影響力のある人物の一人となった。4月には、アメリカのジャーナリズム界で最高の賞の1つである「ホワイトハウス報道の全般的な卓越性に対して」名誉あるホワイトハウス報道記者賞を受賞した。審査員たちは彼の「米国内外の深い、内部事情にしっかり食い込んだ詳細な情報源」に感銘を受け、模範的なジャーナリズムとして6つの記事を選んだ。

これらの記事のほとんどは、単にホワイトハウスやイスラエル政府の匿名の情報源を刷り込み、彼らを良く見せ、バイデン大統領をイスラエルによるパレスチナ攻撃の恐怖から遠ざけるというものであった。そのため、ホワイトハウスの報道機関用発表との間に機能的な違いはなかった。例えば、審査員たちが選んだ記事のタイトルは『スクープ』だった: 「バイデンはビビ(ネタニヤフ)に、3日間の戦闘休止は人質の解放に役立つと伝えた」と題され、第46代アメリカ大統領(バイデン)を、苦しみを減らすことに執念を燃やす熱心な人道主義者として紹介している。もうひとつは、バイデンがネタニヤフ首相とイスラエル政府に対してどれほど「苛立ち」を募らせているかを描写したものだった。

抗議者たちは、ガザで倒れた記者たち(この記事を書いている時点で、少なくとも128人のジャーナリストがいる)と連帯するために、この表彰式をボイコットするよう記者たちに呼びかけていた。ところが表彰式はボイコットされるどころか、主催者側はイスラエル情報当局の高官からワシントン権力者の最も忠実な速記者に転身した記者(ラヴィッド)に最高の賞を与えた。

ラヴィッドはバイデン大統領から個人的に賞を授与され、バイデンは彼を兄弟のように抱擁した。イスラエルのスパイとして知られている人物が、バイデンをこのように抱きしめることができたということは、米国とイスラエルの親密な関係だけでなく、既存メディアが権力にどれほどその記事内容を頼っているかを物語っている。


ラヴィドは、アメリカ政府かイスラエル政府から与えられたおべんちゃら情報を無批判に掲載し、それをスクープとして流すことで名を馳せてきた。4月には、「バイデン大統領は木曜日の電話で、イスラエルのネタニヤフ首相に最後通牒を突きつけた:イスラエルがガザでの方針を変えないなら、『我々はあなたを支援できない』」、そして「ガザでの戦闘の終結を6ヶ月の戦争で最も強く求め、この戦争に対するアメリカの方針は、イスラエルが彼の要求(即時停戦を含む)を守るかどうかにかかっていると初めて警告した」と書いている。7月には、ネタニヤフ首相とイスラエルが「外交的解決」を目指しているという匿名の情報筋の話を繰り返した。

同じパターンのラヴィド記事は以下:
●スクープ:バイデンがビビに、ガザで1年間戦争する気はないと告げる
●スクープ:ホワイトハウス、会見をキャンセル、映像でネタニヤフに抗議の叱責
●バイデン、ガザの戦争が100日に入りビビへの“堪忍袋の緒が切れる”
●バイデンとビビの衝突がエスカレート、米国はイスラエル政府を弱体化させたと非難される
●バイデンとビビ、ラファへの「レッドライン」で衝突コースへ
●バイデンがホットマイクで発言:ビビにガザでの「イエスのところに来る」会議が必要だと伝えた
●スクープ:中東情勢悪化でホワイトハウスはイスラエル政府への信頼を失う
●イスラエル大臣、ガザと戦争戦略についてホワイトハウスで非難される
●スクープ:バイデン大統領、ビビ氏に「米国はイスラエルのイランへの反撃を支持しない」と発言


バイデン政権に対するこのいつ止むともしれない粉飾は、ネット上で広く嘲笑の的となっている。

「AXIOS独占記事:ネタニヤフ首相に数百万ドル相当の武器を売りつけた後、バイデンはテイラー・スウィフトの『Bad Blood』を大音量で流した。バイデンに近い関係者は、『誰もがそれを聞くことができた』と言っている」とXユーザーのデビッド・グロスマンはツイートした。バイデンがイスラエル政府に対して「不信感を募らせている」ことを示唆するラヴィッドの最新記事に対して、コメディアンのフセイン・ケスヴァーニは、「多額の現金と武器を渡し続けているが、私(バイデン)が首を横に振っているから不同意だとみんなが決めつけるようなもの」と当意即妙な言い方をした。

米国とイスラエルが分裂しているとされる中、バイデン政権はイスラエルの攻撃への熱烈な支持を表明し続け、国連での停戦決議やパレスチナの国家承認を阻止し、過去12カ月間で180億ドル相当の武器をイスラエルに送った。このように、Axiosの記事がいかに眉束物であっても、それは、バイデン政権が国際的諸機関がジェノサイドと呼んでいるものと関わり合いがないとすることを可能にするような、ワシントンにとっては重要な役割を果たしている。ラヴィッドの役割は、Axiosを読んでいるリベラル派のエリート読者たちがアメリカ政府施策へ同意させることであり、彼らに、米国はイスラエルの重要な支援者ではなく、西アジアの平和のための誠実な仲介者であると信じさせ続けることである。

ラヴィドはパレスチナ人に対するあからさまな蔑視を隠さない。9月、彼は次のような投稿をリツイートした。

「それがパリナチ[訳注:パレスチナ・ナチス]のやり方だ・・・見返りを与えずに譲歩を懐に入れ、その譲歩を次の交渉の基準にする。パリナチは真実を伝える術を知らない」。

それから1週間もたたないうちに、彼はイスラエル国防軍が、世界貿易センタービルに激突する飛行機の巨大な絵の前で、アル・カッサム旅団の指導者であるモハメッド・シンワールの子供たちが祝っている写真を発見したという、イスラエル国防省ヨアヴ・ギャラント大臣の極めて疑わしい主張を宣伝した。ギャラントは、明らかにパレスチナ人を9.11と誤認させようとしているこの写真を、「シンワル兄弟がネズミのように隠れていた」トンネルで発見したと述べた。

悪名高きスパイ機関

1952年に設立された8200部隊は、イスラエル軍の最大かつ最も物議を醸している師団である。

2023年10月7日以来、秘密工作、スパイ活動、監視、サイバー戦争に責任を持つこのグループは、世界の注目の的となっている。少なくとも9人の死者と約3000人の負傷者を出した悪名高いレバノンへのポケベル攻撃の背後にいる組織として広く認識されている。イスラエルの多くの人々(そしてラヴィッド自身も)がこの作戦を成功と称賛しているが、元CIA長官のレオン・パネッタを含め、世界中がこの作戦をひどいテロ行為と非難した。

8200部隊は、また、人工知能を搭載したガザ用の殺害リストを構築し、何万人もの個人(女性や子供も含む)を暗殺対象として提示した。このソフトウェアは、IDFが人口密度の高いガザを攻撃した初期の数カ月間に使用した中心的標的設定メカニズムであった。

「イスラエルのハーバード大」と称される8200部隊は、イスラエルで最も権威ある教育機関のひとつである。そのため、親たちは、その子弟に大金を費やして科学や数学の授業を受けさせる。そして、この部隊に選抜されイスラエルの急成長するハイテク部門で有利な職業に就けることを願うのだ。

8200部隊は、また、イスラエルの未来的な抑圧的国家機構の中心的役割を果たしている。8200部隊は、パレスチナ人の通話、メッセージ、電子メール、個人データを監視する顔認識カメラを通じてパレスチナ人の一挙手一投足を追跡することによって集められた膨大な量のデータを使って、彼等を監視し、嫌がらせをし、抑圧するために使用するディストピア(暗黒郷)の捜査網を作り上げた。

8200 部隊は、すべてのパレスチナ人について、病歴、性生活、検索履歴などの記録を作成し、この情報を後で恐喝や脅迫に利用できるようにしている。たとえば、ある個人が配偶者を裏切っていたり、切実に医療手術を必要としていたり、ひそかに同性愛者であったりする場合、これをテコに民間人をイスラエルの情報提供者やスパイに仕立て上げることができる。ある8200部隊の元工作員は、訓練の一環として、会話の中で「ゲイ」を聞き分けられるよう、アラビア語で「ゲイ」を意味するさまざまな単語を暗記するよう命じられたという。

8200部隊の工作員は、世界で最もダウンロードされたアプリのいくつかと、ペガサスを含む最も悪名高いスパイプログラムの多くを作成してきた。ペガサスは、フランスのエマニュエル・マクロン、南アフリカのシリル・ラマポーザ、パキスタンのイムラン・カーンなど、世界中の数十人の政治指導者を監視するために使用された。

イスラエル政府は、中央情報局(CIA)や地球上で最も権威主義的な政府にペガサスの販売を許可した。その中にはサウジアラビアも含まれており、サウジアラビアはこのソフトウェアを使って、ワシントン・ポスト紙の記者ジャマル・カショギを監視し、その後彼はトルコでサウジアラビアの諜報員によって暗殺された。

最近のMintPress Newsの調査によると、世界のVPN(Virtual Private Network仮想プライベートネットワーク)市場の大部分は、8200部隊の卒業生が共同設立したイスラエル企業によって所有・運営されていることが判明した。

2014年、43人の8200部隊予備役兵士が共同声明を発表し、一般のパレスチナ市民とテロリストを区別しないなどの非倫理的な行為を理由に、もはや部隊で働く意思はないと宣言した。声明はまた、自分たちの情報が地元の有力政治家たち伝えられ、その政治家たちはそれを自分たちの都合のいいように利用したことも指摘した。

この声明を聴いて、ラヴィッドはこの同僚たちへの怒りを爆発させた。このスキャンダル的な出来事を受けて、ラヴィッドはイスラエル軍のラジオに出演し、この内部告発者たちを攻撃した。ラヴィドは、パレスチナ占領はイスラエルの基本的な「骨格」を形成しているのだから、パレスチナ占領に反対することはイスラエルそのものに反対することだ、と述べた。「もしパレスチナ占領がほんとうに問題なら、税金も問題です。検問所の兵士や教育システムに資金を提供しているのです・・・そして8200部隊はとんでもない情報操作機関になっています」と彼は言った。

ラヴィッドのコメントはさておき、ひとつ疑問が生じる:地球上で最も危険で侵略的なスパイ技術の多くを生み出し、洗練された国際テロ攻撃の背後にいると広く知られ、外国人住民に潜入し、監視し、標的にするように設計されたグループのメンバーが、イスラエルとパレスチナに関するアメリカ人向けのニュースを書いているなんて、本当に受け入れられるのだろうか? もし米国メディアの高官がヒズボラやハマス、そしてロシア連邦保安庁の情報将校として名指しされたら、どのような反応があるだろうか。

イスラエルによってもたらされるイスラエル関連ニュース

ところが、イスラエル国家と深いつながりを持つアメリカで影響力のあるジャーナリストは、ラヴィッドだけではない。シャシャール・ペレドは8200部隊の将校として3年間、監視、諜報、サイバー戦争のアナリスト・チームを率いた。彼女は、また、イスラエルの諜報機関Shin Betの技術アナリストも務めている。2017年、CNNにプロデューサー兼ライターとして採用され、ファリード・ザカリア(Fareed Zakaria)とクリスティアン・アマンプール(Christiane Amanpour)の番組の構成を3年間担当した。その後、グーグルに主任メディア・スペシャリストとして採用された。

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元イスラエル・スパイのシャシャール・ペレドは、イスラエルのi24ニュースを経てCNNに就職、その後グーグルに転職した。

CNNに転職したもう一人の8200部隊諜報員はタル・ハインリッヒである。ハインリッヒは8200部隊の工作員として3年間を過ごした。2014年から2017年にかけて、彼女はCNNの悪名高い親イスラエル的なエルサレム支局の現場とニュースデスクのプロデューサーを務め、2000人以上の死者と数十万人の避難民を出したイスラエルのガザ砲撃「保護的エッジ作戦」に対するアメリカ側の理解を形成する主要なジャーナリストの一人だった。その後、ハインリッヒはCNNを退社し、現在はベンヤミン・ネタニヤフ首相の公式スポークスマンを務めている。

CNNがイスラエル国家の要人を雇う傾向は今日まで続いている。たとえばタマル・ミカエリスは現在、同局でイスラエル/パレスチナの番組を多く制作している。以前はイスラエル国防軍の公式スポークスマンを務めていたにもかかわらず、である。

一方、ニューヨーク・タイムズ紙は、ジャーナリスト経験ゼロの元イスラエル空軍情報将校アナト・シュワルツを雇った。シュワルツは、10月7日にハマスの戦闘員が組織的にイスラエル人に性的暴力をふるったとする、悪名高く、今では信用されていない暴露記事「言葉なき叫び」を共同執筆した。タイムズ紙のスタッフ自身、「この記事には証拠と事実確認がまったく欠けている!」と反発した。

花形コラムニストのデイヴィッド・ブルックスを含む複数のニューヨーク・タイムズ紙の社員たちの子弟はイスラエル国防軍(IDF)に従軍している。彼らがこの地域について報道したり意見を述べたりしているにもかかわらず、タイムズ紙はこうした目に余る利益相反的人事を読者に公表することはなかった。また、1948年にパレスチナの知識人ガーダ・カルミの家族から盗んだエルサレムの家を支局長のために購入したことも公表していない。

MintPress Newsは昨年、ガーダ・カルミに彼女の最新著作とイスラエルによる彼女の口封じ工作についてインタビューした。元ニューヨーク・タイムズ・マガジンのライターで、現在アトランティック誌の編集長を務めるジェフリー・ゴールドバーグ (米国人) は、パレスチナ人の「第一次インティファーダ (蜂起)」の際、イスラエル国防軍の刑務官として志願するためにペンシルベニア大学を中退した。ゴールドバーグは回顧録の中で、イスラエル国防軍に勤務していた時、パレスチナ人捕虜の虐待を隠蔽工作の手助けをしたことを明らかにした。

ソーシャルメディア企業も、8200部隊の元工作員であふれている。2022年のMintPressの調査では、99人を下回らない8200部隊の元工作員がGoogleで働いていることがわかっている。

Facebookはまた、物議を醸している同部門の元スパイを数十人雇用している。その中には、Metaの監視委員会のメンバーであるエミ・パルモア(Emi Palmor)も含まれている。21人からなるこの委員会は、最終的にFacebook、Instagram、Metaの他のサービスの方向性を決定し、どのコンテンツを許可し、促進し、何を抑制するかを決定する。Metaは、
同社のプラットフォーム上でパレスチナ人の声を組織的に抑圧しているとして、ヒューマン・ライツ・ウォッチから正式に非難されている。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、2023年10月と11月だけで1,000件以上のあからさまな反パレスチナ検閲を記録している。こうした偏見の表れとして、Instagramがパレスチナ人と名乗るユーザーのプロフィールに「テロリスト」という言葉を自動的に挿入したことがある。

反イスラエル、反ユダヤ人種差別の温床であるという米国の政治家の主張が広まっているにもかかわらず、TikTokは組織の要職に多くの元8200部隊の工作員を起用している。例えば、2021年にはアサフ・ホックマンを製品戦略・運営部門のグローバル責任者として採用した。TikTokに入社する前、ホックマンはイスラエルのスパイとして5年以上を過ごした。現在はMetaで働いている。

親イスラエルのトップダウン検閲

イスラエルによる近隣諸国への攻撃に関しては、企業メディアは一貫してイスラエル寄りの偏見報道をしてきた。例えば、ニューヨーク・タイムズ紙は、暴力の加害者がイスラエル軍である場合、その加害者を特定することを通常控えており、1948年に約75万人のパレスチナ人が虐殺されたことを単なる「移動」と表現している。同紙の報道を調査したところ、イスラエル側の死者について論じる場合、パレスチナ側の死者よりも「虐殺」「大虐殺」「おぞましい」といった言葉が22倍も多く登場することがわかった。

一方、CNNは、イスラエル軍がパレスチナ人の子どもを乗せた車に335発の銃弾を撃ち込み、助けに来た救助隊員を射殺したという報道で、「5歳のパレスチナ人少女が死亡した親族と一緒に車に閉じ込められて死亡しているのが発見された」という、彼女の死が悲劇的な事故だったと解釈できるタイトルを付けた。



このような報道は偶然に起こるものではない。実際、このような報道はトップから直接指示がある。11月にリークされたニューヨーク・タイムズ紙のメモによれば、同社の経営陣は、イスラエルの行動を論じる際に「大量虐殺」、「虐殺」、「民族浄化」といった言葉を使わないよう記者に明確に指示していた。タイムズ紙の記者は、「難民キャンプ」、「占領地」、「パレスチナ」といった言葉を報道で使うことさえ控えなければならず、最も基本的な事実のいくつかを読者に伝えることはほとんど不可能である。

CNNのスタッフも同様の圧力を受けている。昨年10月、新最高執行責任者のマーク・トンプソンは全職員にメモを送り、ハマス (イスラエルではない) が暴力の責任者であることを確認するよう指示し、ガザ保健省や民間人の死亡者数について議論するときは常に「ハマスが支配する」という呼び名を使わなければならないこと、そしてハマスの見解を報道することを禁止するよう指示した。ハマスの報道基準・慣行担当幹部は、ハマスの見解は「ニュース価値がなく」「扇動的な言い回しと偽情報」に等しいとスタッフに述べた。

タイムズ紙とCNNは、イスラエルの行動に反対したり、パレスチナ解放を支持したりしたことを理由に、複数のジャーナリストを解雇している。11月には、タイムズ紙のジャズミン・ヒューズ記者がパレスチナでの大量虐殺に反対する公開書簡に署名したため、解雇された。同紙は前年、親イスラエル団体「Honest Reporting」の圧力キャンペーンを受け、ホサム・サレム(Hosam Salem)との契約を打ち切った。そしてCNNのキャスター、マーク・ラモント・ヒル(Marc Lamont Hill)は2018年、国連での演説でパレスチナ解放を訴えたことで突然解雇された。

Axios、CNN、ニューヨーク・タイムズ紙のような大組織は、明らかに誰を採用しているかを知っている。これらはジャーナリズム界で最も求められている仕事のひとつであり、各部署には何百人もの応募者があるだろう。これらの組織が他の誰よりもイスラエルのスパイを選ぶという事実は、彼らのジャーナリズムの信頼性とその目的について深刻な疑問を投げかけるものだ。

アメリカのニュースを制作するために8200部隊の諜報員を雇うことは、ハマスやヒズボラの戦闘員を記者として雇うのと同じくらい考えられないはずだ。しかし、イスラエルの元スパイたちは、パレスチナ、レバノン、イエメン、イラン、シリアに対する自国の進行中の攻撃について、アメリカ国民に情報を伝えることを任されている。このことは、わが国のメディアの信頼性と偏見について何を物語っているのだろうか?

イスラエルはアメリカの援助なしにはこの戦争を続けることができなかったので、アメリカ人の心をつかむ戦いは、地上での行動と同じくらい重要である。そして、プロパガンダ(偽情報)戦争が進行するにつれて、ジャーナリストと戦闘員の境界線が曖昧になっていく。イスラエル/パレスチナに関するニュースを提供しているトップジャーナリストの多くが、文字どおり元イスラエル諜報員であるという事実は、このことをいっそう裏付けるものだ。

筆者アラン・マクラウドはMintPressニュースのシニアスタッフライター。2017年に博士号を取得後、『 Bad News From Venezuela: Twenty Years of Fake News and Misreporting』、『Propaganda in the Information Age: Still Manufacturing Consent』の2冊を出版。FAIR.org、The Guardian、Salon、The Grayzone、Jacobin Magazine、Common Dreamsにも寄稿。
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聖書の残虐性がイスラエルで権力を握った:ネタニヤフ版『わが闘争』

<記事原文 寺島先生推薦>
Biblical cruelty took power in Israel: “Mein Kampf in reverse”
筆者:ジョゼ・ゴラン (José Goulão)
出典:Strategic Culture  2024年10月21日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年11月16日


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「人民の法」は、パレスチナにおける西欧の植民地としての建国から中東全域における帝国支配の確保に至るまで、イスラエル国家が歴史的に依拠してきた誤謬である。

イスラエルとして知られるパレスチナ自治区*の現状について、数え切れないほどのコメントや意見が飛び交っているが、唯一の問題はベンヤミン・ネタニヤフ首相だという確信的な説がある。つまり、ネタニヤフ首相が辞任するかクビになれば、危機は解決し、パレスチナ人の民族浄化が計画的に継続され、すべてが主の平和に戻るというのだ。
*パレスチナ自治区は実質的にはイスラエルが支配している。

(これはイスラエル国家が振りまく)純粋な欺瞞であり、神を騙った偽りの錯覚なのだ。いわゆる「ユダヤ人国家」では全てが現状のままであることは決してないだろう。

この推論は客観的であり、いつかは訪れることになる避けられない現実から生じるものだ。それは、イスラエル国家がその基盤を置いている人種差別的で至上主義的な教義であるシオニズムの内部において起こる世俗主義と宗教原理主義の間の恐ろしいイデオロギー的、宗教的実存的な戦いである。つまり、それはテルアビブで最近行なわれた巨大なデモの参加者の、意味深だが単純な言葉を借りれば、「人民の掟」と「神の掟」の間の戦いなのだ。

「人民の掟」は、パレスチナにおける西洋の植民地としての建国から中東全域における帝国の支配を確保するまで、イスラエル国家が歴史的に依拠してきた誤謬である。シオニズム自体が、その教義の公式の創始者であるオーストリアとアシュケナージ系ユダヤ人のテオドール・ヘルツルが、それを世俗的なシステムであり、ヨーロッパの政治的着想(今日ではリベラルと呼ばれている)であると宣言した19世紀の終わりと20世紀の初めに、その誕生後の初期段階でプロパガンダとして生き残った誤謬である;さらにはパレスチナは「土地のない民のための人のいない土地」に過ぎなかったので、彼らの動員課題は「約束の地への帰還」である、ということもその誤謬に含まれる。

これは最初から、シオニズムの致命的な矛盾である。その矛盾は、1925年まで神話的に独自のものとして広まっていた世俗的なプロパガンダと、拡張主義の教義の正真正銘の本質―それは聖書の「約束の地」という概念と、それに伴う「無人の地」の占領によって露呈された宗教的かつ原理主義的な性格を持ったものだったが―の間にある矛盾だ。「無人の地」とは定量的なより客観的言葉で言えば、野蛮人や未開の人々によって乱暴に占領された領土のことだ。実のところは、シオニズムというものは、宗教的必然性によって直接的に汚染されて生まれたのだ。ただ、それは戦術的にはひた隠しにされたが。

イスラエル建国以来の歴代の政府首脳は皆、政治的には世俗的で、私生活では宗教的であると主張し、この一貫性のない二重性を体現してきた。この曖昧さは、政教分離のような西側民主主義の規範を尊重するといううわべを保証するために不可欠であり、「中東で唯一の民主主義」というすでに使い古された宣言に信頼性を与えようとする試みに不可欠である。言い換えれば、ネタニヤフ首相が今日保証しているように、パレスチナ人に対して血なまぐさい最終解決策を実行しながら、この地域の「西欧文明の防衛」を確保するためには不可欠なのだ。

イスラエルの政治指導者たちは、圧倒的にアシュケナージ系と入植者が多いのだが、ヨーロッパ出身の彼らが、自分たちは宗教的であると注意深く宣言している事実を簡単に振り返ってみる価値はある。これらのヨーロッパ人のセム主義は、おそらく細々残存するか消滅しているのでそう宣言することでしか、自分たちはまちがいなくユダヤ教徒であること保証す前提はないのだ。そうでもしないと、もしイスラエルの政治指導者たちが個人的な宗教的要素を蔑ろにすれば、公式のものとして押しつけられ、イスラエルが世界の他の国々を反ユダヤ主義者だと非難するために役立っている反ユダヤ主義風刺画の、また別のバージョンを目にすることになるだろう。したがって、イスラエル建国の父たち自身は、セム人でも宗教的でもなく、新国家イスラエルのユダヤ人としての性格を偽装して、中東における西欧列強の植民地としての排他的かつ人為的な役割をはっきりと非難したものだった。

「世俗シオニズム」の終焉の始まり

シオニズムの建国の誤謬は、建国以来何十年も生き延びてきた。その一方で、アラブ領土の継続的な植民地化が進行しており、この違法なプロセスは、国連、米国、欧州統合に関与する国々の寛容と加担によってのみ可能となった:まず、1948年に国連によって承認された共有協定によってアラブ人に割り当てられた領土で、1967年からは、いわゆる6日間戦争によって占領されたガザ、ヨルダン川西岸、東エルサレムのパレスチナ地域で、シオニスト政権によって元の住民から奪われた広大な地域に入植地の設置を許可した。現在、これらの地域には、世界中から集まった70万人近い狂信的な原理主義ユダヤ人が住んでおり、その圧倒的多数はパレスチナに民族的ルーツを持たない。

この残忍かつ大規模な人種的暴力は、常に民族浄化の性格を帯び、文書に書かれたとおり、世俗的シオニズムの誤謬に致命的な傷を負わせた。すべてのパレスチナ人の追放を視野に入れている、本物のファシストで、激しい人種差別主義者でもある。隔離主義のシオニズムは、ここ数十年の間に権力を握り、旧約聖書の恐ろしい神話を文字どおりに適用することで、地上での自警団の役割を保証するために、神の委任を受けたと考える独学の「預言者」とテロリストを通して尊重され、成就された「神の意志によって」、永遠にそこに留まるつもりだ。

ネタニヤフ首相は、国家の性格を変容させるこのプロセスにおけるもう一人の指導者にすぎない。過去30年にわたってほぼ独占的に演じてきた政府首班の役割は、原理主義的環境における彼の実質的な重みに比して過大評価されてはいるものの、彼に自然な存在感を与えている。彼は、父ベンツィオン・ネタニヤフから使命を受け継ぎ、個人秘書であり、ヴォロディミール・ヤボチンスキー(ムッソリーニの協力者であり、1925年にムッソリーニによって創設された世俗的シオニズムと、彼によって創設された「修正主義シオニズム」の間に大きな分裂を引き起こしたウクライナ人)の主要な思想的弟子の一人であった。この「ヘブライ語」を隠れ蓑にした過激な植民地主義の変種は、現政権に蔓延する政治的・宗教的狂信主義を鼓舞し、神権政治、すなわち「神の法」の優位の確立を目指している。もちろん、中東における西洋文明の擁護という使命は維持している。この狂信的な傾向が、世界ユダヤ人会議内に多数の代表団を擁し、米国の政権や欧州連合の政策を決定する非民主的な組織から実質的な制限なしに支持されていることは、決して小さな問題ではない。

大惨事を予見する声

いわゆる第二次パレスチナ・インティファーダに対する野蛮な弾圧を行なった今世紀初頭の政府の首相であり、影響力のある政治組織としての労働党の最後の党首であった、最も経験豊かなイスラエルの政治家の一人であるエフード・バラク(Ehud Barak)は、現在進行中の出来事について適切な意見を持っている。「このクーデターを阻止しなければ、イスラエルは数週間以内に独裁国家に変貌するだろう。現在「中道派」の指導者エフード・バラクが提案する道は、「週7日、1日24時間、大規模な市民的不服従によって国を閉鎖する」ことである。

元軍事参謀総長で元国防大臣のモシェ・ヤロン将軍の意見は、もっと鋭く、先進的で、しかも驚くべきものである:

「怒りに満ちた終末論的カルト集団が、入植者共同体の大量虐殺的・植民地的建設の総本山であるテルアビブで法の整備を行なっている。この流れは、完全武装した何十万人もの入植者からなる巨大な自警団、あるいは相互に連結した民兵によって完成され、制御不能であり、軍や国家を攻撃することさえも辞さない」。

ハアレツ紙が引用した「元モサド(イスラエル諜報特務庁)長官」は、「人種差別的で暴力的な国家は生き残れないだろう;もう手遅れかもしれない」と、いわゆる「ユダヤ人国家」の将来に疑問を投げかけている。

ネタニヤフ版『わが闘争』

グローバリストのメディアネットワークは、現在のイスラエル政府は、ネタニヤフ首相と財務大臣のベザレル・スモトリッチ(Bezalel Smotrich)と治安大臣のイタマール・ベン・グヴィール (Itamar Ben-Gvir)だけで構成されていると言っている。実際にはナチスのテロリストに過ぎないのに、この2人は温情的に「極右」と見なされている。

スモトリッチは、国民宗教党の入植者党首であり「劣等人種で構成された」パレスチナ人の存在を否定する。彼の経歴には、シオニスト当局に対するテロ攻撃を含む、いくつかの告発がある。

イタマール・ベン・グヴィールはイラク系クルド人のユダヤ人の息子で、ムッソリーニの陣営で生まれ、歴史的にはメナヘム・ベギン元首相が率いたイスラエル軍の創設支部であるテロリスト集団イルグンの一員だった。彼は、同じく「極右」であり、ファシストの象徴であるメイル・カハネの禁止されたカチ運動の後継者であるオツマル・イェフディウト組織を率いている。彼はニューヨーク生まれのアメリカ人テロリストで、いくつかのテロを起こし、その罪で1年の実刑判決を受け、ホテルで服役した。その後、パレスチナからのパレスチナ人追放のためにイスラエルに移住し、テロ攻撃で少なくとも60回逮捕され、クネセト(国会)議員に選出された。
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オランダ保健大臣、パンデミック政策は「軍事作戦」と認める。

<記事原文 寺島先生推薦英文>
Dutch Minister of Health Acknowledges that The Pandemic Policy is a Military Operation. “The Ministry of Health Obeys NATO and NCTV”
オランダの新しい保健大臣が認める:「我々はNATO、米国、NCTV(国家安全保障・テロ対策国家調整官)の命令に従わなければならない。コロナウイルスは軍事作戦だった。」
筆者:アウトレイジ・ヒューマン(Outraged Human)
出典:OUTRAGEDのニュースレター   2024年11月6日
出典:Global Research  2024年11月88日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年11月16日


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オランダのフレール・アゲマ保健大臣は、議会でオランダのパンデミック対策が「国家安全保障・テロ対策国家調整官(NCTV)と国防の指揮下で実施されていること、そして“NATOの義務”に従わなければならないこと」を認めた。 彼女は、セース・ファン・デン・ボス(Cees van den Bos)氏などの研究者がWob文書*に基づいて以前に明らかにしたことを確認した。すなわち、コロナ対策はNCTVによる「クーデター」であったということだ。かかりつけ医のエルス・ファン・ヴィーンは、コロナ危機の中で彼女や他の重要な医師たちに何が起こったのか、ようやく理解できたと語っている。「これは軍事作戦であり、保健大臣はNATOとNCTVに従っている」と。
*WOB文書とは、特定のファイルフォーマットであるwob形式のファイルを指す。これは通常、プログラムによって扱われるオブジェクトファイルであり、適切なソフトウェアを用いて開く必要がある。

10月24日木曜日、フルール・アゲマは議会史上初めて、「NATOの義務」に従った自分の行動を説明した保健大臣となった。そして、ペーピン・ファン・ハウウェリンゲン議員(自由民主党)は、一度ではなく6回も繰り返し訴えた。アゲマ大臣が議会で、パンデミックへの備えは条約上の義務に関連しており、諜報機関であるNCTVが担当していると述べた3分間のビデオが、瞬く間に広まった。ファン・ハウウェリンゲン議員は直ちに、議会の質問に答えることを約束した。

アゲマ大臣は「回復力」に関する討論の席で発言した。同大臣は、オランダは「複合的な脅威、軍事的脅威、自然災害、新型パンデミック」など、あらゆる種類の災害に備えなければならないと述べた。また、同大臣は、オランダの回復力を「大幅に強化」する必要があると述べ、次のように付け加えた。

「NCTVと国防省の指揮の下、春には行動計画を策定する予定です。」

大臣就任直後に、回復力とNATOとの義務について説明を受けたことを彼女は語たった。

「その説明を受けて以来、私は国防省とともに、NATOの委託を果たすために必要なものを洗い出しています。NCTVの指揮の下、その作業を行なっています。多くの省庁がこの作業に関わっています。パンデミックへの備えと治療の回復力との間に重なるところがあるかどうかを尋ねたところ、重なりがあることが分かりました」。彼女はさらに、「コロナ危機に関して我々が持っているのと同じ方策を、あなた方も望むはずだ」、と付け加えました。

Xでのアゲマの出演について最初にコメントした人物の一人は、研究者のセース・ファン・デン・ボス氏でした。「クーデター」という見出しで、彼はNCTVをNATOの「バミルーク*」と表現しました。
*「バミル-ク」という用語は、NATOの文脈で使われることがあり、特に国家の自由に関する議論や、特定の情報機関の廃止に関する発言と関連しています。

「NCTVが完全に廃止され、このような影の政府が二度と足場を固めることがなければ、この国は初めて真の自由を手にすることができるでしょう。これが民主主義の実現を阻む最大の障害です」、と彼は述べた。

さらに、「NCTVを制御することはできない」、とも付け加えた。

「NCTVはコロナ期間中に示されたように、白紙委任状を与えられています。」

ファン・デン・ボス氏によると、コロナはすでに終息したから(「もうその話はやめよう」)と考えている人々は、次の厳しい「現実に思い知らされる機会」が待っているという。同氏はアゲマ氏の「率直さ」に感謝した。

ファン・デン・ボス氏は以前、コロナウイルス危機においては、NCTVが指揮を執っていたと、この新聞でも指摘した。それは、2019年初頭にディック・スホフ氏の後任としてNCTVのトップに就任したピーター・ヤープ・アルベルスベルグ氏の下で行なわれた。2022年末、ファン・デン・ボスはNCTVが「クーデター」を犯したと非難した。危機管理はほぼすべて軍と情報機関の手に委ねられており、我が国ではNCTVがその任に当たっていた。危機管理組織の日常的な管理に加え、NCTVは議会プロセス(「時機の選択と相互の整合性」)の調整も任務としていた。2020年3月中旬の報告書によると、情報局はこれのために別のチームを立ち上げた。議会での投票について、報告書は次のように述べている。「野望と合意は驚くことではない」。これは、予想外の動議や新しい法律への修正を防ぐことを意図していたと思われる。

2023年初頭、ジャーナリストのエルゼ・ファン・デン・ハメレンは、ファン・デン・ボスの調査報道を基に、この新聞でNATOの役割について次のように述べている。「この文書は、少なくとも2019年から、つまり新型コロナウイルスによるパンデミックの1年以上前から、政府が『デマ対策』を目的とした大規模な組織を立ち上げていたことを示しています。この取り組みはNATOとEUが主導したものでした。

これは自国民を対象とした軍事作戦でした。人々を遠ざけるのではなく、彼らの行動に影響を与えることを目的としたものでした。

新型コロナウイルス感染症のパンデミックの際には、NATOは新型コロナウイルスへの対応に関するガイドラインを策定し、「ストラトコム(戦略的コミュニケーション)」を調整した。「ガイドラインは加盟国の外務大臣を通じて回覧された」と述べた。これが、今年になってスウェーデンがNATOに加盟したばかりなので、新型コロナウイルス危機において欧州で唯一、よりゆるやかな政策を採用した理由を説明しているのだろうか?

以前、ヴェルハイト(「真実」)の指導者ウィレム・エンゲル氏*は、同様の暴露を行なっていた。2022年11月22日にロッテルダムで行われた「扇動罪」の裁判で、エンゲル氏は政府が新型コロナ対策政策への批判者に対処するためにどのような活動を行なってきたかを詳細に述べた。 彼によると、これにはNCTV(司法)、AIVD(内務)、MIVD(国防)、PCD19(VWS)**の4つの省庁の機関が関与していた。
*ウィレム・クリスティアーン・エンゲルはオランダの活動家。2020年5月、彼はViruswaanzin(「ウイルスの狂気」)を設立し、後にViruswaarheid(「ウイルスの真実」)に改名し、その組織を率いてウイルス対策を批判している。
**PCD19は、オランダのVWS(健康・福祉・スポーツ省)に関連しており、危機管理に関与している省庁。


「彼らは危機管理チームを結成し、OM(内務省)や市長、司法当局、メディアなど、他の政府機関と協力して活動しました」と、彼は2022年11月27日付のDe Ander Krant紙で報告しています。「彼らは、マッピング[関連付け]、抑制、混乱を招くような軍事的手法を使用しています」

一方、医療界からの批判派は、アゲマ氏の暴露に強く反発しており、医療倫理学者のウェンディ・ミッテマイヤー氏もその一人です。

「4年目にして初めて、NCTVがコロナ危機時に指揮を執り、実行しなければならなかったと公に認める発言を聞きました。あれは軍事作戦でした。4年間、それを口にするのは許されませんでした。あれは陰謀論だったのです。大臣が正直に認めたことを評価します。大臣は指揮を執っていなかったのです。」

関連記事:NATO Exercises Defying Coronavirus Reveal Desperation
新型コロナウイルスを無視したNATOの演習が明かす絶望


一般開業医のエルス・ファン・ヴィーンは、この政策を身をもって経験した。「コロナが始まってからほぼ5年が経ち、何が起こったのかをより深く理解するようになりました」、と彼女は10月27日に報告した。このビデオとこの説明を聞いた後、私は実際にすべてを理解しました。それゆえ、批判者、特に批判的な医師に対する検閲が行われたのです。それゆえ、2021年に、表向きにはチェックボックス*に関するツイートが原因で、警察が訪問しました。したがって、私がデマを広めているという匿名で根拠のない報告書に基づく、監察官事務所からの手紙と調査がありました。したがって、政府とVWSがWOB文書を公開したがっておらず、それらが黒く塗りつぶされていて、OMTの議事録が国家機密であるかのように厳重に保管されています。NCTVはこの国を統治しているが、見て見ぬふりをしているのです。
*コンピューター画面でチェック印(✓)の出る枠。

彼女によると、ミュージアム広場で何度も目にした光景もまた、軍事作戦に当てはまるとのことだ。「あのデモは禁止され、罪のない市民が機動隊に踏みつけられ、警察犬に噛みつかれ、放水車が使われた。私たちは警察や司法によって虐待されました。今なら理解できるが、NCTVとアルベルスベルク氏もそれを承認していたのだ。あれは軍事作戦だったのです。」

彼女の投稿は2日間で22万5千ビューを記録し、多くの反応を引き起こした。その中には、ドイツの有力なコロナウイルス批判者の1人であるハノーファー・ライプニッツ大学の名誉教授で公共財政学のステファン・ホルムブルク氏によるコメントも含まれていた。昨年7月、彼はジャーナリストのアヤ・ヴェラスケス氏とともに、ドイツのコロナ・クライシス・チーム(RKIプロトコルと呼ばれる、オランダのRIVM国立公衆衛生環境研究所に類似したロベルト・コッホ研究所にちなんで名付けられた)の会議議事録の流出データセットが発表されたベルリンでの記者会見で講演を行なった。 ホンブルク氏は、ファン・ヴィーン氏の投稿は「ドイツの経験と完全に一致する」と主張している。リークされた#RKIFilesで判明したように、NATOの将軍ホルテルム(Holtherm)が、いわゆる「パンデミック」の指揮を執っていた。

アゲマのニュースは、米国におけるコロナウイルスワクチン製造についてロバート・F・ケネディ・ジュニアが繰り返し述べている内容とも一致する。彼によると、これは軍事作戦であり、米国国防総省(DOD)と軍産複合体が深く関与していた。国防総省が全面的に指揮を執り、製薬会社にブランド名使用料を支払ったため、人々はファイザーやモデルナから何かを得ていると思うようになった、と彼は述べた。.

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*同大臣は、コビッドと現在の「パンデミックへの備え」は、従来の言葉の意味での医療とは何の関係もない軍事作戦であると公然と述べた。「コビッド政策はNCTVとNATOの産物である」と。
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支配階級に異議を唱えたせいで、ドイツのフュルミッヒ博士と同じ運命を辿った人物がいる!

<記事原文 寺島先生推薦>
Lights out for the city on the hill
出典:Strategic Culture Foundation 2024年10月20日
筆者:ステファン・カルガノビッチ(Stephen Karganovic)
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年11月15日


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多くの人がその存在を騙されて信じてきた、高みから人類を照らす有名な「丘の上の都市*」がいまや風前の灯となりその存存がほぼ確認できなくなってしまった。
*丘の上の都市・・・故レーガン大統領がよく使った表現で、米国民が帰るべき場所を表す

2つの勢力に別れて争いが繰り広げられていた冷戦期の数十年間をとおして、西側にとって力強く優位に働く2つの大きな要素があった。1つ目は西側各国政府が自国民に与えることのできる快適さと繁栄であった。その点に関しては、対抗していた東側諸国はほぼ手も足もでなかった。世界から見て西側が有していた強力な競争力のある2つ目の特徴は、個人の自由を守るという点において、西側の政府機関は比較的ましな動きを見せていたことだった。

西側の繁栄と「西側は自由を尊重している」という印象が相まったおかげで、資本主義の社会体制や経済体制に対する批判的な指摘のほとんどを抑え込むことができた。見せかけであるとはいえ、西側各国政府が見せていた個人の自由に対する関与は、大きな牽引力を発揮した。政治的な武器として、この要素は西側の目的達成に効果的に作用した。法の支配や個人の権利の尊重の遵守が西側のもつ際立った特徴であると見られている限り、西側社会は対立していた東側諸国の体制とは違う、社会から求められている体制を取っている、と考えられていた。いっぽう競合していた東側社会においては、法に則った厳格な措置は通常とられず、恣意性が幅を利かせないようにする努力はほとんど見られなかった。

そのような状況が続いたのは、大雑把に言えば、1990年代までのことだった。1990年代になると、西側勢力は世界規模の覇権を手にすることに成功し、それまでの敵勢力に対して勝利を収めた、と広く考えられるようになった。それ以来、西側世界全体においては、それまで西側社会の人々にもたらされてきたささやかな快適さと安全という社会的利益が解体されつつある。これまで何十年ものあいだ西側社会の市民たちが享受してきた、「法により守られている」という実感も同様に、はかない存在になり始めつつある。不法な迫害や権力に対する脆弱性は、西側以外の地域では普通に見られる現象だが、西側社会においては長らく存在せず、西側世界の市民たちからはそのような行為があった記憶はなくなっていた。しかし、そのような状況がこれまでの復讐でもするかのように再来し始めたのだ。国内においても国外においても、「法の支配」が急速に認識不能な戯画と化してしまったのだ。そしてその変化を表すことばが、冗談のように聞こえる「ルールに基づく秩序」ということばなのだ。

内部から反発の声もほとんど上がらず、人々に気づかれることさえもないまま、西側連合の中心諸国は、固有の人権や、市民を守るために樹立された法律上の原則をどう判断するかという点に関して、恣意的な判断が取られるようになってしまった。この変節は、歴史的観点から見れば電光石火の速さで生じたのだが、無慈悲で欺瞞に満ちた政治的陰謀団が推し進めたものだった。そしてこれらの陰謀団は影から世の中の流れを指揮している。さらにこの変節は司法界の共謀により実行されたのだ。司法界は完全に腐敗しており、職務上の義務を果たすことに億劫な態度をとっているからだ。

法が果たすべき機能が停止すれば、たいていその後もっと悪いことがおこるものだ。そしてそれはほとんどすべて、非常に悪質な権力濫用の事例の増加、という形をとる。それは、かつて自由を羨望されていた西側諸国の新たな情勢の、不安を抱かせるが決して孤立した例ではない例で説明できる。読者は、「彼らは我々の自由を憎んでいる」という有名な一節を思い出すだろう。2001年になされたこの誤った主張は、自由の大義を前進させることに何の役にも立たなかったばかりか、破壊と大量虐殺の狂乱を引き起こす元となった。

法秩序の崩壊を顕著に表すのが、ドイツ系アメリカ人弁護士ライナー・フュルミッヒ博士が横領の罪をでっち上げられ、ドイツで不法に拘束され投獄された事件だ。ドイツの司法制度はこのおぞましい茶番に完全に加担している。ディープ・ステート(影の政府)の陰謀団がフュルミッヒ博士を激しく憎んでいるのには、多くの確固たる理由がある。フュルミッヒ博士は、2020年に社会統制の実験が勢いを増していたまさにそのときに、大胆にもコロナパンデミック研究委員会を設立し、この実験を妨害しようとした人物だった。同委員会はフュルミッヒ博士の先導のもと、 偽りの医療緊急事態を画策した者たちの卑劣な動機と殺人目的を暴露する、という素晴らしい仕事をした。それは影の政府にとって大きな打撃だったが、ほぼ完全な情報封鎖の状況下で首尾よく遂行されただけになおさら大きな打撃となった。フュルミッヒ博士には究極の、そしておそらく野心的すぎる、世間知らずとも捉えられるべき目標があった。それは、ニュルンベルク医療綱領を盾にして、この実験の犯人を裁こう、というものだった。残念ながらこの目標は達成されなかった。しかし、同博士のこのような考え方に対してだけでも、彼が起訴しようとしていた人々は激怒したに違いない。

「この計画は長い間計画されてきた。この計画の先駆者となったのは、最終的には失敗した約12年前の豚インフルエンザであり、人々を憎み恐れ、共感力がなく、私たち世界の人々を完全に支配したいという欲望に突き動かされている、超金持ちの精神異常者および社会異常者からなる一団によってでっち上げられたものだ」とフュルミッヒ博士は委員会の調査結果を要約した。

しかし、その精神異常者たちが痛快な復讐を果たす時が来た。そして、彼らはたまたま権力機構を支配していたため、その作戦はさほど困難ではなかった。11か月前、フュルミッヒ博士は、治安機関によってコロナ委員会に潜入していた可能性のある元同僚による、彼が組織の資産を私的利益のために不正使用したという虚偽の申し立てにより、ドイツで投獄された。ドイツの法律ではこの罪は軽犯罪であるにも関わらず、この容疑により同博士は前例のない長期の公判前拘禁を強いられ、現在400日以上投獄されている。まるで、イラクではなくドイツにおけるアブグレイブ刑務所のような話だ。同博士の拘禁状況の衝撃的な描写については、ここを参照。また、現在進行中の裁判自体の不名誉な手続き上の欠陥については、ここを参照。この訴訟手続きは、これまで流布されてきた法治国家(Rechtsstaat)というイメージとは相容れない状況を作り出している。なおそのイメージは、ドイツや「法治国家」であると思われてきた残りの西側諸国の政権によって誤解を招く形で醸成されてきたものなのだが。

フュルミッヒ博士に対する無法な迫害は、実際のところは、COVID「パンデミック」の不正な性質と不吉な背景を明らかにし、文書化することで、注目すべき公共奉仕活動をおこなった、という「罪」によるものである。しかし、この迫害は、自らを法の擁護者と称する社会における法の支配の崩壊の氷山の一角にすぎない。合法性の崩壊とそれが市民の基本的自由に及ぼす悲惨な影響は、説明責任を取る気のない権力の要求に対して市民をまったく無防備にしていることを、さらなる例で説明することができる。

アイルランドでは、多様な性を尊重せよという命令に屈することを拒むキリスト教徒のバーク一家全員が、報復的な迫害の標的となっている。息子の一人、学校教師のエノクさんは、ドイツのフュルミッヒ博士のように、これまで400日以上を独房監禁で過ごしている。彼の「罪」は、かつてキリスト教とカトリックの国であったアイルランドで、生物学的性別とは異なる性別を主張する生徒の一人が好む代名詞の使用を拒否したことにあった。エノク・バークさんは、多様な性の自認という茶番劇に同意することは彼の宗教的信条に反すると考えているため、法律違反者とされたのだ。実際、エノク・バークさんは、迫害者たちの圧力により、2+2= 5であるかのような虚偽の自白をすることで、職業教育者として、また自由な人間として自らを貶めることを拒んだために罰せられているのだ。良心に基づいて抱いてきた信念を撤回すること以外に、明らかに狂気に陥っているアイルランドの法務・教育当局を満足させる方法はないだろう。そのため、エノクさんは アイルランドの刑務所に収監されたままだが、当局の狂気の要求に服従する合図さえ出せば、即時釈放が保証されている。当局が見せるこの狂気の全体像に関する考察ついては、ここを参照。

エノクさんの弟シメオンさんは、法律学を優秀な成績で修了しているが、アイルランド弁護士会への登録を剥奪されている。その理由はまだ完全には明らかにされていないが、シメオンさんがもつ兄と同じ堅固な宗教的世界観と関係しているようだ。現代のアイルランドでは、このような資質は専門家としての資格を失うことを意味するようだ。さらに、エノクさんとシメオンさんの父エノク・バーク・シニアさんも、アイルランドの郵便車両にLGBTの象徴が描かれていることに反対したため処罰されている。そのため、バークさんは納税者でありながら、今後は郵便物は自宅住所には配達されず、受け取りたい場合は地元の郵便局にいかなければならないと、通知された。

フュルミッヒ事件と同様に、バーク一家に下された集団的かつ警告的な懲罰は、可能な限り世間の目に触れないようにされている。政治家や宗教関係者でさえ、この件について立場を表明したり発言したりすることを拒否しており、統制された報道機関は、この問題について議論することを慎重に避けている。

文明の衰退という複雑な図についてまとめるためではなく、ただ単にもう一つの不吉な詳細を付け加えることにしかならないのだが、ジョージ・オーウェルの小説に描かれた思想犯罪制度は、かつては単なる文学的架空話に過ぎないと考えられていたが、現在そんな制度が英国の法律に定められているようだ。その法律は今のところは試験的な取り組みに過ぎないが、今後さらに恐ろしい事態が起こる前兆かもしれない。具体的な話をすると、英国の「中絶クリニック」の周囲に指定された立ち入り禁止区域内で、祈るという行為が禁止された件だ。罪に問われたこの祈りは、おそらくこれらの施設で受けた医療処置が原因でこの世を去った子どもたちの魂のためになされたものであろう。このような許可されていない宗教儀式を個人的におこなうことは、「クリニック」の従業員とその顧客に「嫌がらせや苦痛」を引き起こす可能性があるため、現在禁止されている。そして不吉なことに、内務省によると、「法律違反で有罪となった者は、無制限の罰金に直面する」とのことである。このような期限のない罰則制度について、欧州人権裁判所が何も抗議しないのだろうか、と疑問に思う。文明社会の法律でこのような法律が存在した歴史はあっただろうか?

もちろん単に「命令に従っている」だけの思想警察と、精神的に「法律」に違反していると疑われる市民とのやりとりは、自由と人間としての尊厳を大切にする全ての人々のためにここで確認することができる。

英国のひどい司法制度(そのことを疑う方はここも参照)は、思想犯罪者に対する初の有罪訴追を誇ることができるようになった。英国陸軍の退役軍人アダム・スミス=コナーさんは最近、中絶「クリニック」の緩衝地帯内で中絶によって死んだ息子のために静かに祈った罪で有罪となった。その罪で彼は条件付きの懲役2年の判決を受け、彼を起訴するために国王の裁判所が要した費用と手間に対する罰金9000ポンドを科せられた。裁判所は依然として内務省が定める「無制限の罰金」を科していないが、スミス=コナーさんのように家族を養わなければならない退職者にとっては、おそらくそれでさえ相当な金額である。

なお、スミス=コナーさんは英国における中絶関連の思想犯罪による嫌がらせを受けた唯一の被害者ではない。また、記録のために言っておくと、ここで問題とされていることは、新型コロナウイルスやトランスジェンダー、中絶に対する個人の立場ではない。ここで引用したすべての事例、そして数え切れないほど多くの同様の事例の中心的な問題は、西側諸国全体で法秩序が明らかに崩壊していることを示すものである。この状況により、非難されている行為とはまったく釣り合いが取れないほど厳しい刑罰を平和的な市民に課すことが可能になる。刑罰の厳しさはどこまで及ぶのだろうか? あるいは、英国内務省が公の場で胎児のために静かに祈る人々に課す用意のある金銭評価の脅しと同じくらい「無制限」の厳しさになる可能性があるのだろうか?

多くの人々が、高所から人類を照らしていると騙されて信じてきた有名な「丘の上の都市」は、今や寂しく、ほとんど人が住んでいない。その光は次第に暗くなり、そこでの生活はますます耐え難いものになっている。騙された住民と熱烈な崇拝者は、四方八方に散り散りになっている。そんな中で、非常に明るく、人を惹きつける新しい都市が別の場所に建設され、その建築家たちが間もなくカザンで一堂に会する、という噂が広まっている。
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どちらの候補が勝っても、米国は世界平和を乱す「ならずもの国家」のまま

<記事原文 寺島先生推薦>
When an Immoral Nation Votes, Don’t Expect Change
筆者:ジョン・ヴァロリ(John Varoli)
出典:Internationalist 360° 2024年11月4日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年11月14日


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世界中で、米国政府は争い、戦争や抑圧、大量虐殺の主な原因となっている。いかなる選挙でもこの状況を変えることはできない。この体制は略奪的であり、米国民は無関心で不道徳である。

最近、ドナルド・トランプは、1世紀以上前にボルシェビキによってウクライナ・ソビエト共和国に恣意的に与えられたロシア民族の地域からモスクワ軍を撤退させるよう最後通牒を発令すると述べた。ドナルド・トランプが事実上、共産主義革命家の行動を認可しているというのは、なんと皮肉なことだろう。

ロシアとゼレンスキーの残忍な政権に対する個人の態度はリトマス試験紙である。つまり人権、正義、文明を支持するのか、それとも民族浄化や全体主義的統治、基本的人権の抑圧を支持するのか、が決まる。

私はこの件に関してトランプに指導力と勇気を見せてくれることを期待していた。しかし、彼は何も見せなかった。彼は自分が戦うと主張していた「ディープ・ステート」に屈したのだ。普段は率直な意見を言うトランプは、ロシアの話題になると突然弱気になり、米国の外交政策支配者層が推進する現状を覆すような発言をすることを恐れている。

「ディープ・ステート」と戦っている人物は、その子分である残忍な虐殺者で独裁者のウラジミール・ゼレンスキーとは握手しない。真の指導者なら、たとえ容易でなく、その代償が高くつく可能性がある場合でも、真実を語るものだ。「ロシアは我が国の敵ではない。以上」だと。ロシアは、トランプが戦っていると主張するグローバリストの寡頭政治家たちの敵だ。では、なぜトランプにとってロシアとの和平を呼びかけるのがそんなに難しいのだろうか?

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米国の学校での銃乱射事件のニュースを聞くたびに、吐き気をもよおさないだろうか? 幼い子どもや十代の子どもたちが、狂った銃撃犯に冷酷に狙撃され殺害される。これほど胸が悪くなることはない。違うだろうか?

しかし、中東やロシアで子どもたちが爆撃され虐殺されるとき、徴兵を逃れた若者がゼレンスキー政権に追い詰められ射殺されるとき、ウクライナで正教会が閉鎖され、焼かれ、爆撃され、司祭が殴打され投獄されるとき、米国民が示すその道徳的苦悩は消え失せてしまう。過去1年間に犯されたこれらすべての犯罪は、米国の納税者が支払ったものだが、私たちの中に気にかける人はほとんどいない。

戦争や大量虐殺、弾圧があるところでは、米国政府が火に油を注いでいることがよくある。いっぽう、我が国の企業報道機関は、流血を「民主主義を守る」ために必要な代償である、として正当化している。悲しいことに、このような状況のどれも新しいことではない。我が国がフィリピンを征服して、侵略に抵抗した約40万人の民間人を虐殺して以来、125年間ずっとそうだったのだ。

私はちょうど3週間の日本滞在から戻ってきたところだ。私は東京大空襲追悼碑を訪れた。この追悼碑は、1945年3月、米国が計画的なテロ爆撃作戦の一環として、1時間の間に10万人以上の民間人を焼き尽くした日を追悼するものだ。この空襲は、1日で起きた大量殺人事件としては史上最悪のものだ。

私は広島も訪れた。実際に訪れなければ、原爆の恐ろしさは十分には理解できない。どれだけ本を読んだり、動画や写真を見たりしても、罪のない民間人に原爆を投下するという悪意は十分には伝わらない。日本は米国を攻撃したことはない。日本が攻撃したのは、1898年以来米国が不法に占領していた領土(ハワイ)にある海軍基地だった。それなのに、米国には復讐のために何百万人もの日本人を虐殺することを正当化する権利がどこにあったというのか?

爆撃と大量殺戮ほど「米国的」なものはない。それを否定してはいけない。それは我々のDNAの中にある。「イランを地球上から消し去れ」「核攻撃しろ」「爆撃して石器時代に戻せ」。他の国では他国に対してこのように言うことはないが、これらの言い回しは外交問題を議論するときによく使われる米国民の言い回しであり、我が国がいかに不道徳な国であるかを明らかにしている。我が国は、明らかに神のもとにある国ではない。

正気で道徳心のある人間が、このような軍国主義的な言葉を発することができるだろうか? 米国帝国主義の圧制に従わなかった「罪」のために他の人々がどれだけの苦しみと悲惨を強いられているかに気づかずにはいられないはずだ。我が国の政府が海外で大量殺戮を犯しても、それが「民主主義」と「自由」を推進するという名目である限り、我々は何の道徳的良心の呵責も感じないようだ。

結論 — 戦争と大量殺戮を美しい言葉と高潔な意図で飾り立てれば、米国民はそれを受け入れているのだ。

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世界を代表する大国として、外交政策は大統領選挙を決定づける問題であるべきだ。しかし、そうはなっていない。ほとんどの米国民はガソリン価格のことを心配している。ガソリン価格は過去2か月間、現職民主党の勝利を後押しするために不審なほど記録的な安値で推移している。

米国の外交政策を理解するのは非常に簡単だ。私たちが問うべきことはただ一つ、「米国は平和と秩序を促進しているのか、それとも世界を不安定化させているのか」という問いだ。過去35年間の出来事は非常に明白である。米国政府とそれを支配する寡頭政治家たちは、世界秩序に対する最大の脅威であることを繰り返し証明してきた。

1990年夏、米国がイラクに対する戦争の太鼓を鳴らし始めた日のことを私は決して忘れないだろう。それは一つの時代の終わりだった。ベトナム戦争後の1975年から1990年まで、米国は比較的平和な国であり、大きな紛争を避け、ソ連との核兵器競争の終結交渉さえおこなっていた。それは、米国人であることを誇りに思える時代だった。

しかし、悪は決して眠らない。戦争を正当化する悪玉としてのソ連を失った米国の軍国主義者たちは、中東に狙いを定めた。そして、数百万人の死者と数千万人の家屋喪失をもたらした35年間の戦争が始まった。

米国を支配する略奪者階級を抑制することはできない。彼らの多くの犯罪を裁くことができる法律も制度もない。この35年間の残忍で違法な戦争や大量虐殺で起訴された政府高官や寡頭政治家は一人もいない。

現在まで時間を早送りしよう。また新たな厳しい大統領選挙戦が終わろうとしている。米国民は帝国とその凶悪な結末を正当化する二人の候補者のどちらかを選ばなければならない。凶悪な結末とは、具体的には、残忍な代理戦争や米国の意を介さない人々の大量虐殺、さらには核戦争のことだ。

カマラ・ハリスはロシアとのさらなる戦争と中東での大量殺戮を公然と約束している。上で述べたように、トランプも同様の外交政策を追求するだろう。実際、この2人の候補者の間にはほとんど違いはない。トランプは ウォール・ストリート・ジャーナル紙に、 自分は「狂っている」と自認すらしているが、このことは他の国々がトランプを恐れていることを意味するので、どうやら良いことらしい。

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トランプは帝国を縮小するつもりはない。彼は米国の「偉大さ」に執着しており、それはつまり、米国が国際秩序を不安定にし続け、米国の社会ののけ者国家としての地位を高めることを意味する。(そう、世界のほとんどの国が米国を憎んでいるのだ)。

大統領選で誰が勝とうが、敗者となるのは人類だ。どちらの候補者も、国益と人権の相互尊重に基づく道徳的な米国外交政策を支持していない。どちらの候補者も、米国が頂点捕食者となり、欲しいものを欲しい時に奪い、抵抗する者を残酷に罰する世界を望んでいる。

こんな国が、本当に私たちが住みたい国なのだろうか? 誇るべき国なのだろうか? 道徳心があり、正気で、まともな人なら、絶対に「はい」と答えないはずだ。

1821年、長期に渡り外交官をつとめ、後に米国大統領となったジョン・クィンシー・アダムズは、「破壊すべき怪物を探して」外国の紛争に巻き込まれないように警告していた。このことばは、米国は自国が世界を救うための崇高な戦いに身を投じる「善玉」になろうとして海外の戦争に巻き込まれることを避けよ、という意味だった。

破壊すべき怪物を探し求めるうちに、米国は自ら怪物となり、世界秩序に対する最大の脅威となった。米国が建国の父たちの原点に立ち戻らない限り、この国はその邪悪さゆえに神の怒りに直面する運命にある。そんな日が来たとしても驚くことではない。
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放射性化学物質の輸送によりウクライナは有害廃棄物の投棄場に変貌 - ロシア国防省

<記事原文 寺島先生推薦>
Radiochemical Shipments Turn Ukraine Into Dumping Ground for Hazardous Waste - MoD
ロシアのイゴール・キリロフ中将は、入手した軍事情報によれば、放射性化学物質はさらなる使用のためにウクライナに輸入され続けている、と発言
出典:スプートニク 2024年6月25日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年11月13日


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「入手した軍事情報によれば、ウクライナへの放射性化学物質の輸入は継続しており、同国は使用済み核燃料や有害化学産業の廃棄物の投棄場となっている」とキリロフ中将は述べた。

同中将は、米国は世界各地で生物兵器能力の構築を可能にする技術的・法的枠組みを構築した、と発言した。

キリロフ中将は、廃棄のための放射性化学物質のウクライナへの輸送は継続しており、主な経路はポーランドとルーマニアを経由しており、ウクライナ大統領府の首脳が輸送を監督している、とも付け加えた。

同中将はさらに、SBU(ウクライナ保安庁)は2023年にウクライナ科学アカデミーに化学兵器や放射線兵器、核兵器、生物兵器の見本とそれらの使用の痕跡を調査するよう依頼した、とも付け加えた。

キリロフ中将は、ロシアによる特別軍事作戦中に、キエフ政権が大量破壊兵器の開発を継続することに関心を持っていることを裏付ける文書をウクライナ軍から入手した、と述べた。

キリロフ中将は、ウクライナへの放射性化学物質の輸入に関する組織的、物流的、財政的側面は、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領事務所の責任者であるアンドリー・イェルマーク氏が直接に監督している、と述べた。

同中将は、西側諸国がウクライナに輸入し続けている放射性化学物質が「汚い爆弾」の製造に使用され、その後「偽旗作戦」に使用される可能性がある、と警告した。

「これらの物質はいわゆる『汚い爆弾』の製造に使用され、その後『偽旗作戦』で使用される可能性がある」とキリロフ中将は会見で述べた。

キリロフ中将はまた、ウクライナのイゴール・クジン主任医務官を含む、ウクライナで大量破壊兵器の部品に携わっていた疑いのある新たな人物の名前を挙げた。

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関連記事:Russian MoD Fears Ukraine May Resort to Biological Warfare Following Counteroffensive's Failure

アフリカにおける米国の軍事生物兵器の存在

キリロフ中将は、アフリカにおける米軍の生物兵器配備が急速に拡大していることを示す文書が発見されたと述べ、米国防脅威削減局(DTRA)との共同計画と財政支援により、エチオピアでの研究所と訓練センターの建設が始まった、とも付け加えた。

同中将によると、米陸軍感染症研究所の職員は2023年にケニアでコウモリのハンタウイルスに関する研究を実施した、という。
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民主党が2020年の選挙を盗んださらなる証拠が明らかに

<記事原文 寺島先生推薦>
More Proof that the Democrats Stole the 2020 election
筆者:ポール・クレイグ・ロバーツ(Paul Craig Roberts )
出典:自身のブログ 2024年11月10日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年11月12日


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過去6回の選挙における民主党の総投票数は次のとおり。

2004 ケリー – 59M
2008年オバマ – 6950万
2012年オバマ – 6590万
2016年クリントン – 6590万
2020 バイデン – 8130万
2024 ハリス – 66.4M

何かに気づかれただろうか?

2020年の大統領選挙は盗まれた
ポール・クレイグ・ロバーツ

お金のために身を売って稼いでいる「真偽確認者」と呼ばれる卑劣な売春婦たちは、民主党が2020年の大統領選挙を盗んだという専門家の調査結果を伝えた私を「陰謀論者」と決めつけた。専門家の調査結果を報道するだけで「陰謀論者」扱いを受けるのだ。

2020年に報告されたバイデンの投票数を示すグラフを見ていただきたい。この結果を信じるほど愚かな人が地球上に一人でもいるだろうか? バイデンに対する熱意は皆無だった。トランプが言ったように、バイデンは自宅の地下室で選挙運動をしていたのだ。誰も彼の集会に参加せず、彼は集会を中止した。

思い出して欲しい。バイデンは選挙運動をしなかった。最初の数回の試みの後、彼の公開集会は中止された。誰も参加せず、カメラが人々の不在を隠すことができなかったためだ。対照的に、トランプの数多くの集会のすべてには多くの参加者がいた。それでは、バイデンはどのようにして2020年に、トランプが投票率の高い圧勝で獲得した票よりも1000万票多く獲得したのだろうか? バイデンはどのようにしてオバマよりも1500万票多く獲得したのだろうか? ヒラリー・クリントンよりも1500万票多く獲得したのだろうか? そんなはずはなかったのだ。

覚えておいていただきたいのは、電子投票機や街角の投函箱、トラックいっぱいの偽造投票用紙が届けられるまで開票を中断したことなど、バイデンへの不正投票を生み出すために使われた多くの方法について、多数の専門家が確固たる証拠を示したという事実だ。

覚えておいていただきたいのは、不正の証拠が提示される直前、売女マスコミは「不正投票はなかった」と声を揃えて何度も繰り返していたことだ。売女マスコミはどうやってその事実を知ったというのか? 売女マスコミは証拠を一切調査しなかった。売女マスコミは証拠を無視していた。彼らは徹底的に嘘をついていたのだ。

アメリカのメディアの唯一の役割は、アメリカ国民が真実を知るのを妨げることだ。メディアが誠実さを全く欠いているとき、どうして民主主義が存在できるだろうか?

これほど完全に腐敗した報道機関をどうして容認できるというのか?

カマラは、投票に身分証明書が必要ない州でのみ勝利した。言い換えれば、選挙管理当局が誰が投票しているかを把握しておらず、意味のある有権者登録が行われていない州でのみで勝利したのだ。

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カリフォルニア州では、カマラが勝利したのは沿岸部の細い一帯だけであることに注目していただきたい。この州の大部分は共和党支持だ。

バージニア州では、カマラがマクリーンやアレクサンドリア、アーリントンという都市でのみ勝利したことに注目していただきたい。これらの都市には、圧力団体が巣食っており、これらの圧力団体はあまりにも長い間、自分たちの利益のために米国政府による決定を牛耳ってきた。その間ずっと保守派は、すべての保守派を裏切る事業を擁護していた。保守派は今日でもそのような行為を取り続けている。

元共和党大統領候補のバリー・ゴールドウォーターが「切り離して大西洋に流すべきだ」と言っていた米国北東部でさえ、ほとんどが赤であることに注目していただきたい。

国のごく少数の人々が、あまりにも長い間、米国にとって大きな不利益となるような支配権を握ってきたことを、これほど明確にする図はない。

勝利の陶酔に浸るトランプと政権移行団が、団結のために敵を許すという売女報道機関が推し進める方針を採用しないことを願おう。それを許してしまえば、トランプの背後には彼を刺そうという多くの凶器が待ち構えることになろう。

トランプ自身も、MAGAを信奉する米国民も、自分たちが対峙している権力と悪についてほとんど理解していない。トランプの政策は、支配体制にとって実存的な脅威である。体制は制度化されている。トランプが選出されたにもかかわらず、強力な制度的枠組がその支配体制の手中に残っているため、体制は依然として権力を握っている。トランプが見せる陶酔感は、彼と彼の支持者に悪影響を及ぼしている。トランプと支持者は油断している。彼らは、トランプが、テントをたたんでいない強力な支配階級に対して反乱を起こしたことを理解していない。そのような反乱は、要職を任命する際に、ミルクに浸したトーストのような生ぬるい任命をおこなっているようでは達成できない。

トランプとMAGAのもとでの米国は依然として脆弱だ。すでに崩壊の兆しが見えている。報道によると、トランプ政権移行団の実務家は、ロバート・ケネディは任命せずに、彼にはワクチンと食品に関する情報収集だけを担当させる、と述べた。どうやら、この発表の意図は、ロバート・ケネディ・ジュニア就任を承認することにより、問題を生じさせることにあるようだ。大手製薬会社は各上院議員の事務所に出向き、ケネディの承認に投票すれば、選挙資金はすべて対立候補に渡される、と告げるだろう。トランプの顧問は、ケネディの任命はトランプのアメリカ再生を敗北で始めることになる、と言っている。そうなれば、ケネディを犠牲にする方がまし、となるだろう。

トランプ側の組織には、上院がRFJジュニアを否決すればトランプが大いに力を得ることになることを理解できる人は誰もいないのだろうか? トランプは全国放送やタッカー・カールソンのサイト、X上でこう言うこともできる。「毒入りのワクチンや食品からあなたを守るという私の約束を妨害したRINO(リベラル派の共和党員)の名前を暴露しよう。これらの大手製薬会社の代理人がボビーの任命を妨害したのだ。これらの上院議員は私たちの敵だ。連中は米国の再生を妨げている。我が国は彼らを必要としない。このろくでなしどもを上院から追い出せ」と!

トランプがこれくらいの心意気で戦う覚悟がなければ、米国の再生はないだろう。

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選挙全体の完全な分析はここからご覧いただける:
https://simplicius76.substack.com/p/election-aftermath-notes-on-the-grand?utm_source=post-email-title&publication_id=1351274&post_id=151259019&utm_campaign=email-post-title&isFreemail=true&r=dx5km&triedRedirect=true&utm_medium=email
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「子ども殺しのカマラ (Kid-Killing Kamala_KKK)」 は「ガザ・ジェノサイド」の加担者

<記事原文 寺島先生推薦>
Kid-Killing Kamala (KKK) Harris Complicit in Gaza Genocide
筆者:ギデオン・ポリア(Gideon Polya)
出典:Global Research 2024年11月3日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年11月12日


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米国大統領選挙は、わずか十数日後であり、ユダヤ系イスラエル人によるガザ住民の大量殺人におけるバイデン/ハリスの共謀は、まともな米国人にとって重要な問題であるべきだ。しかし、335,500人のガザ死者 (ほとんどが子供) という英国の専門家の推定は、主流メディアやトランプ、そしてハリスによって無視されている。ジル・スタイン博士 (緑の党)、コーネル・ウェスト博士 (無所属)、チェイス・オリバー (リバタリアン党) だけが、「子ども殺しのカマラ (KKK) 」ハリスの加担したガザのジェノサイドを止めるだろう。

広く報道された主流の見積もりでは、2023年10月7日以降、ガザ地区で約4万人(イスラエル人死者1,139人)が死亡したとされており、これはユダヤ系イスラエルが強行したガザ大虐殺によるものである。または、瓦礫の下敷きになって死亡した1万人を含む5万人という見積もりもある。「ヨーロッパ・地中海人権モニター (Euro-Mediterranean Human Rights Monitor)欧州・地中海人権モニター」は次のように発表している(2024年10月6日)

     「ガザ地区でのジェノサイドが始まって以来、イスラエル軍によって5万人以上のパレスチナ人が殺害された。その中には、ガザ保健省が記録した約4万2000人を含み、その大半は女性と子供である」。

しかし、これらの推定値は、ユダヤ系イスラエルが戦争犯罪者として、第4条約第55条および第56条を著しく違反して、生命維持に必要な水、食料、避難所、衛生設備、医薬品、医療ケアを奪うことによって引き起こした間接的な死については考慮していない。これらの条項では、占領者は、征服した被支配者に生命維持に必要な食料および医療サービスを「利用可能な手段を最大限に活用して」提供しなければならないと明確に規定している。

私は必需品の欠乏による回避可能な死亡率を30年間研究してきた(私の膨大なページ数からなる本 『Body Count.Global avoidable mortality since 1950』を参照) 。例えば、有名なブラウン大学の巨大チームによる「戦争のコスト」プロジェクトによる470万人の推定とは対照的に、私はイラク戦争とアフガニスタン戦争での暴力と必需品の欠乏による死者を950万人と推定した。

ラシャ・ハティブ(Rasha Khatib)やマーティン・マッキー(Martin McKee)、そしてサリム・ユス(Salim Yusuf)は、一流医学雑誌The Lancet (2024年7月10日) で次のように述べている:

     「インフラの多くが破壊されたため、ガザ保健省にとってデータの収集はますます困難になっている・・・報告された37,396人の死亡に対して、一人の直接的な死亡に対して四人の間接的な死亡という控えめな推定を適用すると、最大で186,000人、あるいはそれ以上の死亡が現在のガザでの紛争に起因すると推定することはありえないことではない」。

デヴィ・スリダール教授(Devi Sridhar)(エディンバラ大学グローバル公衆衛生学部長)は、必需品の欠乏による死亡(間接死)を考慮に入れる(2024年9月5日):

     「数十年にわたり、貧弱な、あるいは損傷を受けた監視システムしかないという状況下で、データセットを構築する方法が開発されてきた・・・この方法を使用すると、紛争開始以来の総死亡者数は約33万5500人と推定される」。

関連記事:Western Media and Politician Complicity in US-Israeli Massacre of Palestinian Children

グローバル・サウスの5歳未満の乳児の死亡は、必需品の欠乏による回避可能な死亡の70%であるため、11ヶ月間のこの335,500人という死亡者数は、ガザ大虐殺の最初の年の暴力と押し付けられた必需品の欠乏による死亡(5万件の暴力による死亡のうち、報告されている子ども、成人女性、成人男性の割合に基づく)に換算すると、その数は、267,000人の子ども、31,000人の女性、71,000人の男性を含む合計約366,000人にのぼる可能性がある。

米国および米国同盟国が加担したガザ大虐殺およびガザ・ジェノサイドにおけるこの恐ろしく、まったく許しがたい殺戮は、すべての西側諸国の選挙における主要な争点となるべきであるが、そうはなっていない。実際、恐ろしいほどの推定死者数(例えば33万5500人)は、人種差別的で、嘘つきで、ジェノサイドを無視する米国および欧米の主流派ジャーナリストや編集者、政治家、学者、そして評論家によってほとんど報道されてはいない。私は、米国大統領候補5人の良識の度合いを以下のようにランク付けした。

#1.ジル・スタイン博士 (緑の党候補) が候補者リストのトップに立っているのは、大虐殺、ジェノサイド、占領、人権否定に終止符を打つというすべての項目を満たしているからだ。(加えて、彼女は気候変動と戦争に対する強力な行動を望んでおり、もちろん核兵器にも反対している。)

#2.コーネル・ウェスト博士(独立系)は、パレスチナ人の人権と戦争と占領の終結に関して、スタイン博士と同等に1位にランクされているが、スタイン博士は緑の党として、さらに強く気候変動問題にも取り組んでいる。

#3.チェイス・オリバー (リバタリアン党候補) は、戦争に反対し、ガザとレバノンでの暴力の終結を望んでいるため、3位になっている。しかし、彼はアパルトヘイト・イスラエルを (非軍事的ではあるが) 支持することでアメリカの主流派の立場を支持しており、それゆえパレスチナ人の人権に関する道徳性の点で大きく妥協している。本当に彼は「防衛請負業者を含む民間企業が、連邦法に違反することを恐れることなく、自発的に資金を拠出し、友好国に武器を販売することを可能にすることを許すだろう」。アパルトヘイト・イスラエルを支援する人々は、アパルトヘイトという卑劣な犯罪を支援していることになり、アメリカのような一人一票制の民主主義においては、重大な道徳的問題を抱えることになる。

#4。ドナルド・トランプ (共和党) は、アパルトヘイトのイスラエルを熱烈に支持し、それゆえにアパルトヘイトの卑劣な犯罪を支持するという点で最悪だ。彼はアパルトヘイト下のイスラエルのガザ戦争を熱烈に支持しているが、その荒廃と殺戮はまずいと考えている。深刻な欠陥は、彼のあからさまな嘘の記録 (彼の政権の4年間で3万以上の嘘) が続いていることであり、これは彼の判断力、専門家の科学的意見に対する彼の順応性、そしてそれゆえに彼の高い地位への適性に深刻な疑問を投げかけている。一方で、彼の嘘は政治的な駆け引きとみなされる可能性があり、彼の対戦相手であるカマラ・ハリスも嘘をついているが、それはあまりあからさまではなく、したがって、よりもっともらしく、より危険な方法であることに注意してほしい。カマラ・ハリスに対するトランプの2つの大きなプラスは、(1) 彼は戦争に反対し、彼の国際的な敵と話し、恐ろしい殺害を終わらせるためにウクライナ戦争を止めるだろう、そして (2) 彼は実際にガザの大虐殺に関与していない。

#5. カマラ・ハリス(民主党)は、生まれた子供の命の尊厳を信じるのであれば、最下位にランク付けされなければならない。「子供殺しの老害ジェノサイド・ジョー」と「子供殺しのカマラ(KKK)ハリス」は、最初の1年だけで26万7000人の子供、3万1000人の女性、7万1000人の男性を含む36万6000人のガザ人を殺害した資金、爆弾、武器を今も供給している。聖書には「目には目を、歯には歯を」とあるが、爆弾を供給するバイデン/ハリス政権は、2023年10月7日にイスラエル人が1,139人(97.5%が成人であり、ほとんどが現役のまたは元占領軍のイスラエル国防軍兵士であり、イスラエル国防軍の「ハンニバル指令」に基づくイスラエル国防軍の対応で多くの人が死亡した)が殺されたことに対する報復として、最初の1年だけで36万6000人のガザ人を殺した。実際、イエスはこう言っている:

    「わたしを信じるこれらの小さな者の一人をつまずかせる者は、大きな石臼を首に懸けられて、海に投げ込まれてしまう方がはるかによい」。(「マルコによる福音書9.42」新共同訳)

さらなる詳細と資料はこちらを参照。https://countercurrents.org/2024/10/335500-gaza-dead-estimate-voting-for-kid-killing-kamala-kkk-harris-means-complicity-in-genocide/

*

ギデオン・ポリア博士は、40年以上にわたり、オーストラリアのメルボルンにあるラ・トローブ大学の理系学生に教鞭をとっていた。50年におよぶ科学者としてのキャリアの中で、130以上の論文を発表しており、特に薬理学の分野では、2003年に発表した大著『Biochemical Targets of Plant Bioactive Compounds』が有名である。また、『Body Count. 1950年以降の回避可能な世界的な死亡」(2007年、2021年)、「ジェーン・オースティンと英国史のブラックホール」(1998年、2008年、2022年)、「9.11以降の米国によるイスラム人ホロコーストおよびイスラム人大量虐殺」(2020年)、「気候危機、気候大量虐殺および解決策」(2020年)、「自由パレスチナ。アパルトヘイトを終わらせよう、イスラエルの人権否定、ガザ大虐殺、子供の殺害、占領、パレスチナ人大量虐殺」(2024年)を掲げ、ソーレン・コルスガード(編)『これまでに出版された最も危険な本 - 暴かれた危険な欺瞞!』(2020年)に寄稿した。 ギデオン・ポリアによる地球、平和、母と子を描いた巨大な絵画の画像は以下を参照:http://sites.google.com/site/artforpeaceplanetmotherchild/.
トップ画像:2017年11月、ベンヤミン・ネタニヤフ首相のエルサレムの執務室で、当時上院議員であったカマラ・ハリス氏(左)がネタニヤフ首相を招いて。(アモス・ベン・ガルショム/オーストラリア連邦政府印刷局)
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トランプに既に見える妥協の兆候

<記事原文 寺島先生推薦>
Can There Be an American-Russian Reset?
筆者:ポール・クレイグ・ロバーツ(Paul Craig Roberts)
出典:本人ブログ 2024年11月10日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年11月12日


ニューヨークポスト紙は、ロシアがトランプの大統領選出によって可能になった米国との関係の「再構築」の考えを浮かべている、と報じている。ロシアの政府系ファンドの経営最高責任者、キリル・ドミトリエフは、トランプの「説得力のある勝利は、一般の米国人がバイデン政権の前例のない嘘や無能さ、悪意にうんざりしていることを示している。これは、ロシアと米国の関係を再構築する新たな機会を開くものだ」と述べた。https ://nypost.com/2024/11/06/world-news/russia-floats-idea-of-reset-with-united-states-after-trump-declares-victory/

トランプとプーチンはこの方向性に賛成しており、次のような疑問を投げかけているロシアの報道機関も同様だ。

「トランプ政権はガザとウクライナの紛争にどのような影響を与えるだろうか? トランプ政権はこれらの紛争の少なくとも1つで和平、あるいは少なくとも停戦を仲介できると思われるか?」

「トランプ政権下で米国が欧州での防衛義務を縮小すると予想されるか? もしそうなら、欧州諸国が米国に依存しない集団安全保障の構想を前進させる機会が生まれるだろうか? おそらくそれはマクロンの提案に沿ったものだろうか?」

「米国とNATOの関係に何か変化があると予想されるか? NATO新事務総長マーク・ルッテはトランプ大統領のホワイトハウスと効果的に交渉できるだろうか?」

私の答えは、これらは妥当な問いだ、というものだ。トランプにはそうする意図がある。問題は、彼にその手段があるのか、という点だ。

トランプは自信に満ちているが、同時に自分勝手さと大言壮語という欠点も抱えており、この2つの特徴はプーチンや習近平、そしてイランの最高指導者と対峙するのには不向きだ。

また、トランプは強い個性の持ち主だ。強い人物の中には強い部下がいると安心するものもいるが、イエスマンを好むものもいる。トランプの最初の任期には、彼の周りには性格が弱く誠実さに欠ける人物があふれ、彼らは裏切り者だった。トランプは自ら主張するようにその教訓を学んだのだろうか。そして、自分の評判を犠牲にするような激しい批判を浴びせられても、強くいられる人物を見つけることができるのだろうか。もしできるとしても、トランプは、そんな強い人々の採用に関して上院による承認を得るために戦うだろうか? それとも、政権発足当初は評判が悪く失敗する危険性があるからやめるよう、助言者らに説得されるのだろうか?

すでに後者の兆候が見られる。トランプ政権への移行団の一人の実務家が、ボビー・ケネディは有害な食品やワクチンに関する情報を収集する顧問以外の役職には就かないと述べた、という報告があった。ボビーを FDA長官や保健福祉長官に指名すれば、間違いなく、すべての上院議員事務所に大手製薬会社が入り込み、選挙資金をすべて打ち切って対立候補に流用すると脅すだろう。トランプを対立しないように仕向けることは、米国のために戦う彼の印象を損ない、支持者を失望させるだろう。上院がボビーの就任承認を拒否すればトランプの権力が強化されることにトランプの顧問たちが気付いているとは思えない。トランプは、アメリカ人の健康回復を積極的に妨げている上院議員の名前を国民に示し、有権者がなぜ米国を再び偉大にすることの障害となる議員を選んだのか、と問うことができる。トランプには国民がついている。国民の力を大手製薬会社の傀儡勢力に及ぼすことができる。

もう一つの問題は、トランプ支持者の多く、おそらくほとんどが、米国が戦争に負けるのは指導者たちが「米国のために立ち上がる」ことができず、適切に戦争を戦うことができないからだと考えていることだ。トランプにとって、米国のために強く立ち上がることは重要だ。米国のために強硬な姿勢でいることは、彼がロシアの工作員であるとか、そのような非難を報道機関が流すことからも彼を守ることになるが、プーチンとの妥当な取引は、こうした非難にさらされることになる。残念ながら、これはソ連崩壊以来、米国の外交政策を支配してきた好戦的なネオコンの思うつぼだ。彼らのタカ派的な姿勢は、トランプにとって魅力的な仲間となる。なぜなら、彼らは一緒になってトランプ支持者が見たい強硬な姿勢を示すからだ。トランプ支持者でさえ、ロシアや中国、イランはアメリカの敵だという信念を教え込まれている。

中東の混乱におけるトランプにとっての大きな問題は、彼自身、そして米国議会や米国報道機関がイスラエルと非常に密接に連携していることにある。イスラエルを従わせるためには、強力なイスラエル圧力団体を含め、対抗しなければならない相手が多すぎる。

さらに、一部の分析家は、中東の石油をめぐる米国の覇権のためにイスラエルを利用しているのが米国であることを確信している。この指摘が正しいとすれば、この政策を変えるのは大変な仕事となる。

トランプはNATOからの脱退を望んでいると私は思う。プーチン大統領同様、トランプは国内の問題や課題に重点を置きたいと考えている。トランプがNATO脱退を支持する政府をまとめられるかどうかは、簡単には信じられない。米国の多くの経済は、米国政府によるヨーロッパとウクライナの支配から利益を得ている。(報告によると、米国の農業企業は現在、ウクライナの農地の3分の1を所有している、という)。さらに、ヨーロッパにとっての脅威はロシアではない。ヨーロッパの民族国家は、ロシアによる侵略を警告しつつ、移民の侵略者に国を蹂躙されるのを許す政府によってバベルの塔に変えられつつある。このような無意味な状況が政治的に対処できるかどうかは不明である。

もちろん、プーチンがウクライナの非武装化とNATO加盟禁止という目標を貫くなら、ウクライナは米国のもう一つの敗北として扱われるだろう。トランプがプーチンの提示する条件を受け入れれば、トランプの反対派はそれを戦争に対する平和の勝利としてではなく、トランプの任期中の米国の敗北として扱おうとするだろう。プーチンがトランプの面子を保つ解決策を受け入れれば、それはプーチンの敗北として扱われる可能性が高いが、3年間の犠牲の後では、ロシア人にとってそのような和平案を受け入れるのは難しいかもしれない。

NATOは米国政府が作ったもので、事務総長は米国政府の傀儡にすぎない。米国がなければNATOは無意味であり、ロシアに対して敵対的な立場を取ることは絶対にできない。相互防衛の代わりに、ヨーロッパ諸国はロシアと文明的な関係を築かなければならなくなるだろう。

まとめると、トランプがどんな政府を樹立できるかがわかるまで、冒頭で問われている疑問に答えることはできない、ということだ。さらに、今後2か月半、米国政府は民主党と支配層に握られたままである。このため、彼らには米国をトランプの政策に反する方向に向かわせる十分な時間がある。また、彼らには暗殺を企てる時間も与えられている。トランプは1月中旬に就任するまでは行政権を持たない。支配層がトランプを従わせたり、封じ込めたりできない限り、支配層はトランプの大統領職を自らの存在を脅かす脅威とみなしていることを理解しておくことが重要だ。彼らはテントをたたんで消え去ることはないだろう。

世界の人々は再構築を支持している。世界中の人々は、米国政府の愚か者が自分たちを核戦争に巻き込むのではないか、と考えることにうんざりしている。トランプが、腐敗した米国の支配層が米国と世界に対して持っている支配を打ち破れるよう祈ろう。そのためには、トゥルシー・ギャバードのような強い男性や女性が強い地位に就く必要がある。妥協した政権は失敗する。米国の軍需産業の利益のための戦争と、米国覇権というネオコンによる政治思想の非現実性を終わらせなければならない時機はとうに過ぎている。
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BRICSは米ドル支配に挑戦する「複合通貨システム」を計画している:ロシア提案の真意は何か?

<記事原文 寺島先生推薦>
BRICS Plans ‘Multi-Currency System’ to Challenge US Dollar Dominance: Understanding Russia’s Proposal
筆者:ベン・ノートン(Ben Norton)
出典:Internationalist 360°2024年10月21日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年11月11日


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    BRICSクロスボーダー決済イニシアティブ(BCBPI)では、米ドルではなく各国の通貨が使用される。ロシア財務省と中央銀行は、国際通貨・金融システムを変革する計画の詳細を記した報告書を公表した。

グローバル・サウス指向の組織BRICSは、国際通貨金融システムを変革し、米ドルの支配に挑戦する計画を発表した。

2024年のBRICS議長国として、ロシアは、BRICS加盟国が自国通貨を使用して貿易を行なうBRICSクロスボーダー決済イニシアティブ(BCBPI) の創設を提案した。

BRICSはまた、米国が監督し、西側の一方的な制裁の対象となっている銀行間通信のSWIFTシステムを回避するための代替的な通信インフラを構築する。

この「複数通貨システム」には、貿易をドル化しないだけでなく、BRICS加盟国や他の新興市場国・発展途上国への投資を奨励するための新たなメカニズムも含まれる。これには、BRICSクリア・システム、「証券会計・決済の新システム」、各国通貨建ての金融商品などが含まれる。



BRICSは分散型台帳技術(distributed ledger technology_DLT )(例えば、ブロックチェーン*)の実験を行い、中央銀行のデジタル通貨の利用を促進する。これにより、SWIFTシステムや第三国のコルレス銀行(仲介銀行)を介さずに、各国が貿易不均衡を直接決済できるようになる。
ブロックチェーン*・・・電子的な台帳であり、暗号技術を使ってリンクされたブロックと呼ばれるレコードの増大するリストの事を指している。各ブロックには、前のブロックの暗号化ハッシュ 、タイムスタンプ、トランザクションデータ(一般的にはマークルツリーで表される)が含まれている。(ウィキペディア)

また、穀物、石油、天然ガス、金などの商品取引センターを併設したBRICS穀物取引所および関連価格設定機関の設立も計画されており、貿易不均衡の解消にも利用できる。

これらの提案は、ロシア連邦財務省、ロシア中央銀行、コンサルティング会社ヤコフ・アンド・パートナーズの共同執筆による報告書「国際通貨・金融システムの改善」にそのあらましは書かれている。(この文書のPDFファイルは、ロシア連邦財務省の公式ウェブサイトで見ることができる。リンクが機能しない場合は、ヤコフ・アンド・パートナーズのウェブサイト https://yakovpartners.ru/upload/iblock/9c2/ci594n0ysocxuukw7iliw6qtr4xz6cc4/BRICS_Research_on_IMFS.pdfでも入手可能である。)

この歴史的な報告書は、10月22~24日にロシアのカザンで開催されたBRICSサミットの前夜に発表された。

BRICSは、当初はブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカからなる新興市場および発展途上国の緩やかなグループとして設立された。

その後、この組織は拡大し、2023年のBRICSサミット(開催地は南アフリカ・ヨハネスブルグ)では、エジプト、エチオピア、イラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、アルゼンチンの6カ国が新たに招待された。(当初は左派寄りのアルゼンチン政府が招待を受諾したが、2023年12月に親米右派のハビエル・ミレイが政権を握ると、BRICSを攻撃し、参加を拒否した。)

BRICSの議長国は毎年持ち回りとなっている。2023年は南アフリカが議長国を務め、2024年はロシアが議長国となった。

2024年2月、財務大臣および中央銀行総裁からなるBRICSがブラジルのサンパウロで会合を開いた。そこでロシア代表は、「国際通貨・金融システムを改善するための取り組みと提言の一覧を盛り込んだ報告書」をBRICS諸国の指導者向けに作成すると述べた。

ロシアの財務大臣アントン・シルアノフは、その動機について説明した:

     現在のシステムは、既存の欧米の金融インフラと準備通貨の使用に基づいている。それは深刻な欠陥があり、政治的・経済的圧力の道具としてますます利用されている。国際通貨金融システムの改革のもう一つの理由は、貿易と金融の制限の濫用の結果となった地理経済の分断である。

今年2月の会議で、BRICSは「多国間デジタル決済・支払いシステム」の構築計画を発表した。BRICSはこれを「BRICSブリッジ」と呼び、「BRICS加盟国の金融市場間のギャップを埋め、相互貿易を拡大するのに役立つ」と述べた。

これらの取り組みは、10月に発表された包括的な調査に結実した。

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米国主導の西側による国際通貨・金融システムの独占

ロシアBRICS議長国報告書は、国際通貨金融システム (IMFS) は「単一通貨と中央集権化された金融インフラへの過度の依存」に苦しんでいる独占状態にあるため、不当であるだけでなく非効率的であると主張した。

同文書は、「現在のIMFSは主にAE (advanced economies先進国) の利益に奉仕している」と指摘している。

さらに、「既存のIMFSは、度重なる危機、持続的な貿易と経常収支の不均衡、公的債務水準の上昇と拡大、資本フローと為替レートの不安定化を特徴としている」とした。

米国がIMFSを独占していることで世界的なドル需要が確保されているため、米国は数十年にわたって巨額の経常赤字を抱える一方で、自国の地政学的利益のために通貨を武器化してきた。

米国政府は世界で経済戦争を繰り広げており、低所得国の60%を含む1/3の国に一方的な制裁を加えている。

米国と欧州の同盟国も同様に、敵対国から数千億ドルの資産を押収している。BRICSの報告書には、ロシア、ベネズエラ、イラン、シリア、リビア、アフガニスタン、北朝鮮など、西側が外貨準備を凍結した国のリストが含まれている。

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世界銀行とIMFに代わるBRICSの選択肢:新開発銀行(New Development Bank_NDB)とコンティンジェント・リザーブ・アグリーメント(Contigent Reserve Agreement_CRA)

国際通貨・金融システムを変革しようと試みるため、ロシアの報告書では、BRICSクロスボーダー決済イニシアティブ(BCBPI)、BRICSクリア・システム、BRICS穀物取引所など、複数の新しい機関の創設が提案された。

また、BRICSがすでに設立した世界銀行および国際通貨基金(IMF)の代替機関である新開発銀行(NDB、旧称BRICS銀行)と、コンティンジェント・リザーブ・アグリーメント(CRA)を強化することも呼びかけられた。

NDBは、開発途上国、特に基盤整備プロジェクトに資金を提供するために創設された。NDBは、BRICS加盟国の通貨建て融資を増やすと約束しており、段階的な脱ドル化を目指している。

ロシアBRICS議長国は、「NDBの融資能力を大幅に拡大し、同時にこのプロジェクトが支援できるプロジェクトの数や多様性の拡大を目的としたプロジェクト選定の原則と評価基準の見直しを行なう」ことを求めた。

しかし、CRAについては楽観的な見方は少なかった。この機関は、国際収支問題に直面する国々の流動性確保の代替策として構想された。しかし、設立以来、CRAはあまり活発に活動しておらず、ロシアの提案では、米ドルとSWIFT銀行間通信システムへの依存が問題であると説明されている。

CRAに関するもう一つの深刻な懸念は、その運営がIMFによって監督されていることである。報告書は、「CRAを設立する条約は、IMFとの並行した取り決めなしに放出できる資源の量を最大値の30%に制限している」と指摘し、また、いかなる取り決めも「IMFの監視と開示に関する義務に従う」必要があると述べている。

「これは、IMFにおける現在の地位により、BRICS CRAメンバーが援助の提供について合意している場合でも、支援を受ける側が金融面での生命線を手放すことになるという状況を引き起こす可能性がある」と、この文書は付け加えている。

IMFと世界銀行は、その組織が欧米諸国によって完全に支配されているという深刻な欠陥を抱えている。両機関において拒否権を持つのは米国だけである。

1944年のブレトン・ウッズ会議でIMFと世界銀行が創設され、ドルが世界準備通貨として確立された際、欧米諸国はこれらの機関に対して大きな影響力を与えられた。(この会議当時、世界の大部分は依然としてヨーロッパ諸帝国による正式な植民地であった)

欧米の支配を確実にするため、世銀総裁はすべて米国籍、IMF専務理事はすべて欧州出身者という暗黙の合意がある。今日まで、この慣例は続いており、世界経済が大きく変化しているにもかかわらず、その傾向は変わっていない。

2023年現在、BRICSの当初5カ国は世界のGDP(購買力平価、PPPで測定)の32%を占めているが、IMFにおける議決権比率は13.54%にとどまっている。

一方、G7諸国は、世界GDP(購買力平価)のわずか30%を占めるに過ぎないにもかかわらず、IMFの議決権株式の41.27%を保有している。

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BRICS報告書は、これらの深刻な懸念を強調し、次のように述べている(強調は筆者):

     IMFの管理面も疑問視されている。IMFの主要な利害関係を持つ高所得国にとって、この制度は大きな利点となっている。先進国35カ国の利害は12人の理事が代表する。残りの155カ国は開発途上国の理事12人が代表するか、先進国経済国の選挙区に入れられてしまう。そこでは開発途上国の意見や利害は二の次になってしまう。高所得国の理事はIMFの議決権の63%を占めているが、購買力平価では世界のGDPの46%にすぎない。

こうした構造的不均衡を踏まえ、この文書ではNDBの強化とCRAの改革が求められ、両者が真の代替案となるよう求めている。

BRICSはドルに挑戦する準備通貨を創設するだろうか?SDRは第一歩である

ロシアBRICS議長国報告書は、短期から中期的には、各国通貨での貿易と投資を促進することによって脱ドル化を試みることを明らかにした。

しかし、BRICSが最終的に国際準備通貨としての米ドルの役割に挑戦する国際会計単位を創設するかどうかについては、多くの議論が交わされている。

1944年のブレトン・ウッズ会議で近代的な金融システムが創設された際、著名な経済学者ジョン・メイナード・ケインズは、バンコールと呼ばれる国際会計単位を提案した。

IMFは、公式用語集で次のように説明している(強調は筆者):

     イギリスの経済学者ジョン・メイナード・ケインズは、戦後の国際通貨制度の原案の中で、金を含む30の代表的な商品の価値に基づいて独自の通貨 (バンコール) を発行し、各国の通貨と固定レートで交換できるグローバル銀行 (国際清算連合、the International Clearing Union_ICU) を構想した。すべての貿易勘定は銀行勘定に計上されるが、各国はICUに対して銀行勘定を維持し (わずかな差の範囲内で均衡すると予想される) 、ICUに対して当座貸越枠を持つことになる。

     各国が大きな貿易赤字 (銀行の当座貸越枠の半分以上) を計上した場合、その国は勘定に利子を支払い、経済調整 (おそらく資本規制も) を受け、通貨を切り下げる。逆に、貿易黒字が大きい国も同様の課税を受け、為替レートを引き上げる必要がある。

     ケインズは、このメカニズムが各国間の調整をスムーズに均衡化させ、世界的な不均衡を回避できると期待していた。


ケインズの提案は最終的に却下され、代わりにブレトン・ウッズ会議の米国代表で経済学者のハリー・デクスター・ホワイトの案が採用された。ドルは世界準備通貨とされ、当時、1オンスあたり35ドルの固定為替レートが設定された。

しかし、21世紀に入ってBRICSやグローバル・サウスの多くが脱ドル化を推進していることから、ケインズのような提案に対する関心が再び高まっている。

ロシアBRICS議長国報告書は、そのような国際通貨の創設を明確に呼びかけてはいないが、その概念に関心を示していることははっきりしている。

この報告書によると、それに最も近いものはIMFが発行する特別引出権 (the Special Drawing Rights_SDR) だという。

報告書によると、SDRは「代替的な準備資産、さらには新たな世界通貨」としての可能性は確かにあるが、その用途は「依然として限られている」という。

「補完的な国際準備資産として創設されたSDRは、より大きな役割を果たすことができる」と報告書の著者たちは記し、「実体経済におけるSDRの利用について努力がなされなければならない」と主張した。

著者たちはさらに、「SDRは、超国家的な準備通貨としての機能と潜在的可能性を備えており、長年のトリフィン・ジレンマ*に対する解決策となり得るかもしれない。つまり、準備通貨の発行国は、世界に流動性を提供しながら、準備通貨の価値を維持することはできない」と記述した。
トリフィンのジレンマ*・・・(英: The Triffin dilemma)。国際準備通貨を供給する国において、短期の国内的影響・長期の国際的影響から生じる経済主体間の思惑の衝突のこと。1960年代にベルギー系アメリカ人の経済学者ロバート・トリフィンによって提示された。トリフィンのパラドックス(英: The Triffin paradox)、流動性のジレンマ(英: The liquidity dilemma)とも呼ばれる。(ウィキペディア)

それにもかかわらず、SDRには問題がある。その価値は、米ドル、ユーロ、英ポンド、日本円、中国人民元の5つの主要通貨バスケットに基づいている。したがって、西側が米国債を保有する敵対国に対して行なったように、主権国のSDRの準備金を凍結または差し押さえできなかったとしても、SDR建ての融資を受けることは依然として為替リスクをもたらすのだ。

米国連邦準備制度理事会(FRB)と欧州中央銀行(ECB)が2022年と2023年に行なったように急速に金利を引き上げると、新興国経済の通貨に大幅な下落圧力がかかる可能性があり、その結果、SDR建て債務の返済がより困難になる。ただし、中央銀行も金利を引き上げれば、不況を招く可能性がある。

ロシアBRICS議長国報告書が指摘するように、「SDRは利付き通貨であるため、SDRでの借入コストは、SDRを構成する通貨バスケットを構成する国々の現在の高金利環境の影響を受け、SDRの実用的な利用がさらに制限されることになる」。

この懸念にもかかわらず、著者たちは、SDRのような国際会計単位は、別の方法で途上国の通貨に対する外因的圧力を緩和することができると主張した:

     SDRは、信用に基づく国家通貨に内在するリスクを排除し、グローバルな流動性を管理することを可能にする。そして、ある国の通貨がグローバルな貿易の基準や他の通貨の指標として用いられなくなり、その国の為替レート政策が経済的不均衡の調整にこれまで以上に効果的になれば、将来の危機リスクを大幅に軽減し、危機管理能力を向上させることができる。

報告書は、SDRの役割拡大を支持しているのはロシア政府だけではなく、中国政府も支持していることも指摘している。

「中国はSDRと人民元による外貨準備、国際収支、国際投資状況の報告を開始した。SDR建て債券も発行している。しかし、(政府機関ではなく) 市場参加者はSDRを会計単位として使い始めておらず、SDRのための市場インフラは依然としてつかみどころがない」と報告書は記述している。

つまり、ロシアBRICS議長国提案は、特別引出権(SDR)のような国際会計単位の考え方に対する条件付きの支持を表明し、「国際貿易、商品価格設定、国境を越えた投資、および帳簿管理におけるSDRの利用を促進する」こと、「投資手段としてSDR建ての金融資産をさらに創出すること」、そして「実体経済におけるSDRの利用拡大と交換手段を目的とした措置が成功した場合に、国際準備資産としてのSDRの役割を再評価し、強化すること」を呼びかけたものだ。

しかし、SDRがIMFによって管理されているという事実は、IMF自体が根本的に変革されない限り、SDRが短期的に本格的な代替案となる可能性は低いことを意味する。

投資・準備金の脱ドル化

脱ドル化の議論では、一方では国境を越えた支払いの脱ドル化、他方では貯蓄と投資の脱ドル化を区別することが重要である。

国際金融システムでは、商品の取引は総取引額のほんの一部を占めるに過ぎず、債券、株式、外国為替市場への資本流入と流出が大半を占めている。また、デリバティブ(金融派生商品)も数百兆ドルに上り、2023年6月時点で715兆ドルに達している。

これに対し、世界貿易機関(WTO)によると、2023年の全世界の商品貿易総額は23兆8000億ドルだった。国連貿易開発会議(UNCTAD)は、2022年の全世界の商品貿易総額は約25兆ドル、サービス貿易総額は6兆5000億ドルだったと算出している。

言い換えれば、世界貿易と国際金融取引の間には桁違いの大きさがある。この大きな格差を考えると、貯蓄や投資を脱ドル化するよりも、商品の国際貿易を脱ドル化する方が簡単である。

とはいえ、ロシアBRICS議長国報告書は、その両方を実現する方法を提案している。

この報告書では、分散型のBRICSクリア・システムの設立を提唱するだけでなく、「プラットフォーム加盟国の大陸における投資ハブの開発」を呼びかけ、「ユーロ建て債券に代わる新たな形態の債務発行、すなわち、参加国の国内通貨建ての可能性もある」と述べている。

BRICSは、「Association of National Numbering Agencies _ANNA(国際標準化機構)に代わるもの」を創設し、「BRICS加盟国の国内通貨建ての金融商品に国際ISINコード、CFIコード、FISNコードを割り当て、維持できるように」すべきであると、著者たちは記している。

報告書は、BRICS諸国に外貨準備の脱ドル化を促すためには、「他の国の通貨 (またはそのような通貨のバスケット) を価値の保管場所としてより魅力的にしなければならない」と強調した。これは、流動性供給メカニズムを確立し、「投資手段として機能する現地通貨建ての債券の普及」を促進することによって行なうことができる。

ロシアBRICS議長国も同様に、BRICSデジタル投資資産(DIA)の創設を提案した。これは、「BRICS構成国が拠出した資産によって裏付けられる」とされている。

しかし、多くの新興市場国や発展途上国における為替リスクに加え、中央銀行やその他の投資家が主要通貨建て資産を保有することを奨励する大きな流れを考慮すると、外貨準備やその他の貯蓄の脱ドル化プロセスは遅々として進まず、困難になるだろう。

何十年もの間、米国債は世界的な準備資産として利用されてきた。それを代替する資産として何を選ぶべきかという問題は、簡単に解決できるものではない。

短期的には、BRICS諸国の中央銀行は金に多額の投資を行なっている。このような世界的な需要の高まりを受けて金の価格はすでに高騰しており、今後も大幅に上昇すると予想されている。

しかし、報告書は、世界経済はここ数十年で大きく変化したが、国際通貨・金融システムは追いついていないと強調した。

2023年時点で、新興市場は世界のGDPの50.1%を占め、また過去10年間の世界のGDP成長の66%を占めていた(購買力平価、PPPで測定した場合)。

2024年には、BRICSの5つの創設メンバーのGDP(購買力平価)は世界のGDPの32%を占めていた。これはG7のGDPの割合よりも大きい。

これらの変化は、国際貿易の流れの変化にも一部反映されている。1995年には、新興市場および途上国間(EMDEs)での貿易は世界の商品貿易のわずか10%を占めるに過ぎなかったが、2022年にはその割合は26%に増加し、2032年には32%に達すると推定されている。

しかし、世界経済における大きな変化は、国際投資の流れには明確に現れておらず、依然として富裕国が不均衡に利益を得ている。

2022年現在、世界の投資のわずか11%がEMDEsから他のEMDEsに流れており、この数字は2010年の8%からほとんど増加していない。世界の投資の大部分は依然として先進国から他の先進国へと流れており、2022年には63%であった。これは2010年の72%からわずかに減少したが、同時期にEMDEsが世界の成長の66%を占めていたことを考えると、減少幅は小さい。

このことは、EMDEsが地球上で最も急速に成長している経済体であるにもかかわらず、外国投資から大きな恩恵を受けていないことを示している。

ロシアBRICS議長国報告書が記述しているように、「貿易の拡大から生み出された利益は、国内経済に還元されるよりも、より流動性が高くアクセスしやすい海外市場に投資されている」のである。

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新しい国際経済秩序の必要性

現代の国際通貨・金融システムの構造は、世界を植民地化した富裕な北半球諸国の利益に奉仕するものであり、植民地化された南半球の低所得国のほとんどを犠牲にするものである。

経済学者のガストン・ニーバスとアリス・ソダーノが所属する「世界不平等研究所」は、2024年4月に発表された研究論文でこのような結論に達した。彼らは次のように書いている(強調は筆者):

その結果、2000年以降、富裕国上位20% (人口加重) の超過利回り (対外資産収益率と対外負債収益率の差) が大幅に上昇していることがわかった。事実上、過去数十年に見られた米国の法外な特権は、規模と範囲が拡大し、富裕世界の特権となった。

     最富裕国は世界の銀行家となり、低利回りの安全資産を提供することで過剰な貯蓄を呼び込み、これらの流入をより収益性の高い事業に投資している。このような特権は、最貧国から最富裕国への純所得移転に換算され、上位20%の国のGDPの1% (上位10%の国ではGDPの2%) に相当し、最富裕国の経常収支は軽減される一方、下位80%の経常収支はGDPの約2~3%悪化する。

     我々は、豊かな国々はプラスの資本利益を蓄積し、それによって国際投資ポジション(IIP)が改善され、世界的に見て相対的にリスクの低い資産に投資していることを示し、潜在的な損失や引き受けたリスクを補償するために超過収益を獲得しているというこれまでの考えを否定している。

     我々の結果は、豊かな国が国際準備通貨の発行国であり、より安価な資金調達 (公共部門と民間部門の両方) にアクセスできるという事実によって説明されるようである。


この研究論文の著者たちはその研究結果を「米国の特権は、BRICSによって資金提供され、富裕層の特権となった」という一文にまとめた。

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このグローバル・サウスからグローバル・ノースへの富の流出は、国を1人当たりの国民所得の5分位に分けるとさらに明らかになる。

上位20%の富裕国はGDPの1%以上の純外国資本所得を受け取っているが、それ以外の国々ではGDPの2~3%が流出している。

この富の流出は、1970年代の新自由主義の台頭以来、特に1990年代の金融化と規制緩和の波以来悪化している。

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「世界不平等研究所」経済学者のガストン・ニーバスとアリス・ソダーノは次のように説明している:

     事実上、国際通貨・金融システムにおける富裕国の中心的地位は、世界の銀行家と同様に仲介者として機能することを可能にする。この役割は、彼らの特権をさらに強化するものであり、彼らは有利な立場を活用して過剰な貯蓄を引き寄せ、それを生産的な投資に振り向ける。このサイクルは、彼らの支配を永続させ、世界経済における主要プレーヤーとしての地位を強化する。

彼等の研究論文の結論はこうだ(強調は筆者):

     私たちは主張してきた。すなわち、富裕層の特権は市場の結果ではなく制度設計に起因するものであり、それは貧困国に多大な負担を強いるものであると。最下位80%の人々は、毎年GDPの2~3%に相当する額を移転することを余儀なくされており、その額は自国の開発政策に充てることができるはずである。

     より平等な体制を促進するために、現在の通貨・金融システムを再設計する努力が向けられなければならない。このシステムは、グローバル化、貿易、金融化、経済成長に貢献してきたが、気候変動、技術革新、不平等の拡大、長期的な人口動態の変化、複合世界における地政学的紛争の激化といった複雑な課題には対処できていない。

     第二次世界大戦後に交わされた、中立的な国際通貨・金融システムの確立という当初の約束は、未だ果たされていない。>米国が米ドルという特権的地位を獲得したわけではないが、この特権はブレトン・ウッズ体制の初期に課されたものが受け継がれたものである。確かに、ドル準備金は他国によって自主的に蓄積されてきたが、ドルが安定した世界通貨としての役割を担っていた初期の段階において、米国は通貨覇権国となり、途方もない特権を手に入れ、国際的なパワーバランスを自国に有利な方向に傾けることができた。 これまで、米国の覇権は、他の通貨供給国によって部分的にしか争われてこなかった。


ロシアBRICS議長国提案は、これらの構造的問題のすべてを解決するものではないが、正しい方向への一歩である。

BRICS報告書自体は、慎重なトーンで締めくくられている。「現在のシステムが提案されたモデルからどの程度逸脱しているかということは、変化には時間がかかり、各国の共同の取り組みが必要であることを意味する」と著者たちは記し、「前述の構想の実際的な実施には段階的なアプローチが必要である」と強調した。

しかし、「重要なことは、そのプロセスがすでに始まっているということである。代替的な決済システムや金融メッセージのメカニズムはすでに存在しており、二国間決済における各国通貨の使用は拡大しており、デジタル資産を含む新しい取引方法が出現している」と報告書は付け加えた。

国際通貨・金融システムを変革するというBRICSの提案は、万能薬とは程遠いものの、こうした構造的不平等を是正する一助となる可能性はある。

この点において、BRICSの計画は、新しい国際経済秩序(New International Economic Order_NIEO)の呼びかけと同様のものとして捉えることができる。

現在、途上国134カ国が加盟するG77(Group of 77)は、1974年に初めてNIEOが発表されて以来、ほぼ毎年、NIEOの要求を繰り返し訴えてきた。

G77+中国は2024年1月にキューバでサミットを開催し、参加者は「現在の不公平な国際経済秩序が途上国にもたらす大きな問題」を非難した。同月、キューバはG77議長国としてハバナ新国際経済秩序会議を開催した。

ロシアを除くすべてのBRICS加盟国はG77の一員であり、モスクワはNIEOの呼びかけを長年支持してきた。

したがって、BRICSがNIEOの50周年に国際通貨・金融システムを変革する計画を議論していることは、極めて適切かつ象徴的である。

ヴィクトル・ユーゴが言っている:「これ以上はっきり言えることはない・・・着想はその時宜を得たときにいちばん力を発揮する」。
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2年前の上海のCOVID封鎖。背後にいたのは誰だったのか?

<記事原文 寺島先生推薦>
The Shanghai Covid Lockdown. Who Was Behind It?
出典:Global Research 2024年10月20日
筆者:エマニュエル・パストリッチ(Emanuel Pastreich)
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年11月9日


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この記事の初出は2022年4月19日

Global Research 編集者注
2019年10月のシナリオ201(コロナウイルスの世界的流行のコンピューター上での予行演習)の参加者の中に、中国疾病予防管理センター(CDC)のジョージ・高福所長がいたことは注目に値する。

ジョージ・高福博士率いる中国CDCは、米国CDCやゲイツ財団、WHO、ジョン・ホプキンス大学などと緊密に連携しながら、2019年12月の武漢でのCOVID-19の発生を監視する上で中心的かつ重要な役割を果たした。

ジョージ・高福は大手製薬会社とつながりのあるオックスフォード大学の卒業生である。また、数年間ウェルカム・トラスト財団の特別研究員でもあった。

中国CDCは中国政府における疾病管理と予防の主導機関である。

中国CDCの公衆衛生緊急センター(PHEC)は、国家の公衆衛生緊急事態への備えと対応活動を担当しています。」

その任務に基づき、中国CDCのジョージ・高福所長が3月から4月にかけての上海のロックダウン緊急事態で重要な役割を果たしたことが推測される。

中国の保健当局は「核酸(PCR)検査が戦略の中心である」と認めている。しかしこの検査はまったく信用できない。以下に引用した数字はいかなる状況下でもCDCと中国国家衛生健康委員会が打ち出した抜本的な対策を正当化するものではない。

以下はエマニュエル・パストリッチによる鋭い分析である。

ミシェル・チョスドフスキー、グローバル・リサーチ、2022年4月19日

***
先週上海で取られた社会的封鎖の恐ろしい画像が企業新聞やソーシャル・メディアに溢れかえっている。この大規模な封鎖により、何百万もの中国人が何週間も自宅に閉じ込められ、基本的な物資の入手経路が厳しく制限されることになった。

住民がアパートから不満を叫び、感動的な独白で心からの抗議を叫ぶ画像、ドローンやロボットが上海の閑散とした通りを巡回する動画は、多くの人が予測したテクノロジーによる全体主義的支配の恐ろしい様相を私たちに提示している。

そしてこの根底にある伝達内容は、中国がこの悪夢の源であるということだ。


上海市が発表し、中国共産党も否定していない公式の説明は、嘲笑を招くほど極端である。

そもそも存在しない病気であるCOVID-19に対する新たな「ゼロ・トレランス(無寛容)」政策が、まず3月28日から黄浦江東側で、その後4月1日からは上海市全体で、すべての上海市民に課せられた。

国民全員がCOVID-19の検査を受けることになっている。報道機関の報道によると、COVID-19の新規感染者は2万6087人しか見つかっておらず、そのうち症状があったのは914人だけだった、という(2019年末の武漢の事例のように、地面に倒れている遺体の写真はなかった)。

つまり、社会的封鎖の正当化はあまりにも不合理で、取り組み全体が茶番劇のようになっている、ということであり、その前提がいかに馬鹿げていて根拠がなくても、国民は言われたことを正確に実行しなければならないことを示すための措置なのかもしれない。

西側の企業報道機関は、何が起こっているのかに対する答えをすぐに持っていた。つまり、「中国共産党は「非民主的な社会主義思想」に従い、私たち西側諸国民が尊重する国民の基本的権利を侵害している」というものだ。

自らを「ベテラン海軍情報将校」と呼ぶ米国民のジャック・ポソビエック氏は、ツイッターでこの封鎖について頻繁に投稿し、共産主義を非難し、「これが中国共産党が上海の2600万人に対しておこなっていることだ」などと投稿した。

人権団体のヒューマン・ライツ・ウォッチは4月6日、「中国政府は国内のCOVID-19感染者急増への対応において、健康権やその他の基本的権利を尊重すべきだ」と述べ、上海での人権侵害について中国を直ちに非難したが、世界中で実施されている同様の、あるいはさらに悪い政策については一切言及しなかった。

問題は、この社会的封鎖は共産主義のせいだとされているが、中国共産主義の伝統において大都市の封鎖の前例が見当たらないという点だ。テクノファシズムの強制は、毛沢東や周恩来による階級闘争や帝国主義への抵抗の呼びかけに遡っても見つけることはできない。

上海の社会的封鎖が模倣したのは、実はちょうど9年前の2013年4月15日のボストンマラソン爆破事件後のボストンの社会的封鎖である。当時、米国連邦政府、具体的にはFBIは、テロ攻撃という曖昧な容疑(大きな疑問が残る)を口実に、ボストン市の広大な地域を封鎖し、武装した警察が街を巡回する中、市民を自宅に閉じ込めた。

私たちが問うべき疑問は、上海で起きていることは、ボストンの社会的封鎖や、過去2年間に世界中で起きた同様の社会的封鎖を組織した同じ人々によって組織されているのか、それとも中国共産党によってではなく、主に中国共産党によって組織されているのか、ということだ。

窓から飛び降り自殺する中国人の恐ろしい動画も広く流布されており、それらは実際にあったのかもしれないが、広く流布されているからといって何でもかんでも真実であると決めつける理由はない。

もう一つの人気動画は、背中にマイクを取り付けて街を巡回し、上海の人々に屋内に留まるよう呼びかける犬型ロボット(ボストン・ダイナミクスのスポットミニに似ている)を特集したものだった。批判的な目でこの動画を見た人は疑わしいと感じたに違いない。拡声器がバリケードテープでロボットの背中に無造作に縛り付けられており、とってつけたような偽俳優のように見え、政府の政策を代表するようなしろものではまったくなかった。

しかし、この社会的封鎖には中国共産党官僚機構とは何の関係もない沈黙の協力者がいるという証拠は、上海の動物たちの苦しみについて欧米報道機関による止むことなく繰り返し報道されていた内容から明らかだ。生きた猫が集められ、処分のために袋に入れられている画像が、中国人男性が苦痛に苦しむ犬を器具で残酷に押さえつけ、他の負傷した犬たちと一緒に容器に落とす動画とともに、インターネットじゅうに貼り巡らされていた。これらの動画は確かに不快なものだったが、米国にある工場規模の食肉処理場の動画を数分でも見れば、米国民は同様の恐怖を感じることだろう。

動物虐待に焦点を当てることは、ウクライナにおけるロシア悪者化作戦の常套手段となっている。例えば、「ソイ・ドッグ共同創設者ジョン・ダリー」によるウクライナの犬や猫の救出への協力を求める呼びかけは、米国で広く流布されている。

上海の社会的封鎖がロシアのウクライナ侵攻と同等のものとして西側諸国の聴衆に宣伝されていることを示す兆候は数多くある。提示されている言説は、中国の残酷な全体主義共産党政府が、これらの不合理な「ゼロコロナ」制限からの解放を切望する上海の貧しい市民を抑圧しているというものだ(しかし、COVID制限自体が間違っているという示唆は示されていない)。
MSN社は次のように報じた。

「監禁された住民たちが『食料が欲しい』『自由が欲しい』と叫んでいる動画がある。動画では住民たちがバルコニーに出て、物資不足に抗議している様子が映っている」と。

しかし、動画や報告はあまりにも完璧で、あまりにも注意深く演出されているように見える。

上海閉鎖は別の手段による戦争

上海封鎖を計画し、実行するために腐敗した中国当局と協力した米国の工作員たちの行動の詳細は私にはわからない。昨今ジャーナリズムとして通用している報道は完全に憶測に基づくもので、明らかに間違っていることが多いことは認めるが、英語と中国語で読んだ豊富な証拠に基づいて、舞台裏で何が起こっているのかを推測しても許されると考えられる。

上海の封鎖はまず適切な地政学的観点から捉えられなければならない。

ロシア軍がウクライナに侵攻して以来、中国は過去2か月間ロシア連邦とのあらゆる協力を阻止しようとするワシントンDCから激しい規模の圧力を受けてきた。

社会的封鎖に至るまでの重要な出来事を考えてみよう。

ジョー・バイデン米大統領3月18日習近平国家主席との会談で、中国がロシアに経済的、特に軍事的支援をおこなえば中国にとって深刻な結果を招くことになると警告した。ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は次のように説明した。

「バイデン大統領は、ロシアがウクライナの都市や民間人に対して残忍な攻撃をおこなっているときに中国が物質的な支援を提供した場合、どのような意味合いと結果が生じるかを明確にした」と。

バイデン大統領が何を言ったのかは分からないが、そのわずか3日後の3月21日、中国東方航空5735便は広州国際空港に順調に着陸しようとしていたところ、突然不可解な急降下を起こした。墜落の原因は3週間経った今でもまだ解明されていない。

多くの中国人は、事故直後にWeibo(および他の場所)に投稿された動画で、墜落はおそらく米国が実行した遠隔ハイジャック(9/11の墜落に類似)の結果である、という主張を信じている。この話は、米国の諜報調査ブログ「State of the Nation」によって確認された。さらに、この国内墜落の正式調査に米国から7人の隊員からなる一団を含めるというとんでもない決定は、この事件が少し異常であることを示唆している。

そして3月28日、それまで規制を緩和していた北京の中央政府ではなく、上海市人民政府が突如、COVID-19に対する過激な「ゼロ・トレランス」政策を打ち出した。

米国の諜報員が中国に独自の「ウクライナ」を与え、以前香港で資金提供していた問題を起こすための新たな場を見つけようとしていたとしたら、上海という場所は論理的な選択だった。

上海には世界的な金融勢力が集まっており、あらゆる大手多国籍投資銀行や多国籍企業の本社(または主要支店)がここにある。これらの企業が中国経済に与える影響は依然として計り知れない。

上海は、国内の他地域と寄生関係にある世界資本の中心地として100年以上の歴史を持つ。結局のところ、1940年代まで帝国主義諸国の国民に治外法権を与えていたのは上海だったのだ。

その伝統に従い、上海は現在、中国のどの都市よりも極端な経済特区政策を実施しており、政府の許可なしに外国企業が幅広い活動に従事できる政策となっている。

上海市政府は、多国籍企業の要求に応える取り組みの一環として、事業を民営化し、あらゆるものに技術的な手段を導入してきた。上海はスマートグリッド(次世代電力網)や5G、オンラインガバナンス(監視・統制の仕組み)、自動化の導入に非常に熱心で、今年、英国の調査会社ジュニパーリサーチ社からスマートシティとして世界第1位の評価を獲得した。

上海は、選ばれた機関投資家に特別な特権を与え、海外からのほぼあらゆる投資に門戸を開き、デリバティブ*市場を拡大し、投資銀行が独自の「資産管理合弁会社」を設立することを認めるなど、国際金融を盛大に歓迎してきた。
*デリバティブ・・・株式や債券、為替などの原資産の価格変動に基づいて取引される金融商品

この上海の閉鎖に中国側で関与しているのは誰だろうか?

上海には、国際金融と密接なつながりを持つ億万長者が大勢いる。彼らは、米国の奨励に応えてウクライナの現大統領ウォロディミル・ゼレンスキーを誕生させた億万長者であるイゴール・コロモイスキーのような役割を演じたくなっているのかもしれない。

例えば、アマゾンに匹敵する世界的なマーケティング・流通大手アリババを創設した際にゴールドマン・サックス社や他の米国の投資銀行から巨額の資金を調達した億万長者の馬雲(ジャック・マー)は、中国の政策に非常に不満を抱いていたことで知られている。

ジャック・マーはグローバリストの間で人気のある人物であり、世界経済フォーラムの評議員会の一員でもある。

詳細は不明だが、ジャック・マーが中国で世界主義政策を推進したことは、2年前、習近平氏を含む中国政府の国家計画立案者たちの反発を招いていた。

ジャック・マーは、規制のない銀行体系を構築することで金融に革命を起こすことを目的とした金融機関であるアント・グループを設立した。

2020年10月24日に彼は銀行システムの抜本的な改革を求める演説を行ったという。その結果、中央政府は彼の活動を厳しく取り締まり、それ以来彼は公の場にほとんど姿を現さなくなった。

アリババは上海近郊の杭州に本社を置き、上海で最大の存在感を誇っている。

上海を利用して中国を外国資本に開放し、中国を強引に支配することに関心を持つ米国民の億万長者もいる。例えば、プライベートエクイティ*会社ブラックストーンの経営最高責任者、スティーブン・シュワルツマンは、自身の資金を供与し、特に清華大学の権威ある「シュワルツマン奨学生」機関設立などに寄付した1億ドル以上の資金を用いて、中国共産党の多くの知識人や政府高官を買収した。
*プライベートエクイティ・・・未公開企業や不動産に対して投資をおこなう投資家や投資ファンドのこと

中国に多額の投資をしているもう一人の米国民億万長者は、ブルッキングス研究所のジョン・L・ソーントン中国センターの創設者、ジョン・ソーントンである。ソーントンは中国投資公社(中国の政府系ファンド)の国際諮問委員会の一員であり、中国の金融政策に対する外国の影響力を高めるよう絶えず働きかけている。

上海の社会的封鎖と世界経済の混乱

上海の社会的封鎖によって引き起こされた経済混乱は、上海で生産され、上海を経由して輸送され、または上海で製造された部品に依存している電子機器、自動車、その他の家庭用品の生産と配送の遅延の原因として、すでに企業報道機関が広く報じている。この混乱が起こっていることは事実だが、この状況は、超富裕層が世界経済をさらに破壊し、地球の人々を貧困に陥れようとする取り組みを正当化するために利用され、誇張されるためのものである、と考えてよい理由は十分ある。

農産物や原材料、天然ガス、工業製品の突然の不足を正当化するウクライナ危機と、世界貿易を停止させる上海危機を組み合わせることで、グローバリストはあらゆる混乱の説明の理由を得ることができるのだ。

もう一つの主要製造・金融の中心地である広州市でも、同様のゼロ・トレランス政策を導入する計画がすでに立てられている。その結果生じる経済減速や供給網の混乱、インフレの進行、不足はまさに医者の処方箋通りの結果となるだろう。

中国国立疾病予防管理センターによると、上海の社会的封鎖による経済危機は、予想どおり、中国でのワクチン接種の増加と、中国製初のmRNA COVID-19ワクチンの導入の根拠としても利用されている。

ロシアと中国の違い

ウクライナを用いたロシアへの攻撃と上海を用いた中国への攻撃の性質には明らかな違いがある。米国と中国は、過去10年間、戦争の話が絶えず話題になっているが、両国は過激な政治劇の真っ只中でも深い協力関係を伴う高度に統合された経済関係を保っている。さらに、中国は台湾や香港、南シナ海での軍事行動を挑発する動きに応じることを拒否している。したがって、上海の人々を虐待している中国共産党が問題の原因であるかのように見せるためには、攻撃は秘密裏に目立たない形で開始されなければならなかった。現時点では、公の議論のどこにも米国の手が加わった痕跡はない。

対照的にロシアは、1972年にリチャード・ニクソン大統領が毛沢東国家主席との会談後に米国が中国に対して取ったような和解を米国と結んだことはないし、米国と共同する経済関係を築いたこともない。米国で学んだロシア人もいるが、米国での学んだロシア人は、ここ30年の間に米国で学んだ中国人がうけた影響と同様の大きな影響は受けてこなかった。

したがって、ロシア国内で米国の投資は存在するし、ロシア国内に米国の影響力も存在するのだが、ロシアは米国の物流や供給網にそれほど深く組み込まれておらず、米国の投資銀行のロシアとの繋がりや金銭的利害関係もほとんど存在しない。

何がなされるべきか?

中国は、「グレート・リセット」の進行における社会的信用システムの実験用動物的な扱いを受けさせられてきた。社会的信用システムとは、市民を常時監視下に置き、人工知能を使って市民一人一人を評価し、デジタル支払い方法を必須化することを容認する社会体制のことだ。グローバリストたちが、世界全体に導入する前に、これらの体制の実験地として中国を標的にした理由として考えられることは、中国社会において技術の進歩が進んでいることや、中国の国民が人間社会における技術革新の負の側面に対して無警戒な面があることが挙げられるだろう。そのため、中国が格好の犠牲者に選ばれたのだ。

これらの技術革新を用いた全体主義政策を促進したのは、中国共産党内の多くの官僚であるが、これらの政策の出処は中国ではない。これらの政策は金融界の特権階級が牛耳っている世界経済の管理のための世界規模の戦略の一部にすぎない。そしてこれらの特権階級は狡猾にも、COVID-19に対する中国の反応が見せる効果を褒めちぎり、人工知能を用いた技術革新において中国が先導的役割を果たす可能性を持ち上げている。

上海の社会的封鎖措置に見られるような、国家間や国内の不必要な衝突を招く、このようなグローバリストの陰謀に対して、いま何としてでも取られなければならない対策は、中国やロシア・米国など世界各国の市民が同盟を結ぶことである。そうやって、多国籍投資銀行や企業による略奪と戦うことだ。そう、1930年代に見られた反全体主義の国家の枠組みを越えた世界的な同盟に類似するような結びつきだ。

上海でこのような社会的封鎖措置が取られたのは技術革新に囚われた囚人として人々が孤立する状況を更に強めるためだった。そして、米国(西側)の人々と中国の人々の間の分断を深める狙いもあった。両者の市民たちこそ、技術革新がもたらす全体主義が与える脅威に対抗すべく協力しなければならない存在なのだ。いまこそ私たち市民はみな協力してこれらの脅威に立ち向かうべきなのだ。
*

エマニュエル・パストリッチ氏は、ワシントン DC、ソウルや東京、ハノイに事務所を構えるシンクタンク、アジア研究所の所長を務めた。パストリッチ氏は未来都市環境研究所の所長も務めている。パストリッチ氏は 2020 年2月に無所属で米国大統領選への立候補を表明した。
当Global Research に定期的に寄稿している。
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ロシアで米傭兵が殺害されるなか、西側諸国は北朝鮮がロシアに援軍を送ったという疑わしい主張に狂気的に反応

<記事原文 寺島先生推薦>
U.S. mercenaries killed in Russia, West goes hysterical on dubious North Korea claim
筆者:フィニアン・カニンガム(Finian Cunningham)
出典:Strategic Culture Foundation 2024年10月29日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年11月7日


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NATOと西側諸国の指導者たちは、ロシア国境での「深刻な緊張激化」と世界平和への無謀な脅威という真実を認めるよりも、北朝鮮についての空想話をすることを好んでいる。

「これは戦争の重大な激化であり、世界平和への脅威だ」と欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は今週語った。

今週、ロシア領内で戦闘中に米国やカナダ、ポーランドの傭兵が死亡したことは、確かに憂慮すべき事態だ。偵察・破壊工作部隊に配属されていたこれらの傭兵は、ウクライナからロシアのブリャンスク州に侵入した際にロシア軍によって排除された。

しかしフォン・デア・ライエン委員長や他の西側諸国の指導者たちはそのことについては何も言わなかった。彼らはむしろ、ロシアに派遣された北朝鮮軍についての不確かな主張に過敏に反応していた。

信頼できるロシアの防犯カメラには、横たわる兵士の死体の横にセムテックス爆薬や対戦車擲弾発射機など「小さな都市を吹き飛ばすのに十分な」重火器の供給品が映っていた、と報じられている。犠牲者の一人は、代表的な空挺特殊部隊である米第75レンジャー連隊のタトゥーを入れていた。この米兵が元米陸軍兵士で民間傭兵会社に加わったのか、それともロシアと戦うためにウクライナで米軍から再配置されたのかは不明だ。

いずれにせよ、米国や他のNATO諸国の軍事戦闘員がロシア領土に存在することは、NATO諸国がロシアに対するウクライナの代理戦争に直接関与していることを示す明白な証拠である。

米国とEU当局は、ウクライナに「単に」武器を供給しているが、NATOは核兵器保有国ロシアとの紛争には参加していない、という根拠のない虚構を主張し続けている。

その虚構は常に常識を侮辱してきた。NATO諸国はウクライナで戦う外国人傭兵の募集に積極的に関与してきた。ロシアは、2022年2月に紛争が勃発して以来、1万5000~1万8000人の戦闘員がウクライナ軍に派遣された、と推定している。その多くが殺害されたり捕虜になったりしている。

米国や英国、カナダ、ドイツ、フランス、ポーランド、バルト諸国、ジョージア(旧称グルジア)出身の傭兵が確認されているほか、アル・タンフなどの基地で米占領軍によって訓練を受けたシリア出身の聖戦戦士も確認されている。100カ国以上の外国人戦闘員がウクライナにたどり着き、NATOが支援するキエフ政権を支援していると推定されている。

彼らの中には、間違いなく、日雇いの給料で金を稼ぐ「傭兵」がいる。他の者は、NATO軍人でまちがいないだろう。なぜなら、HIMARS砲などの技術的兵器の運用には、NATOの取り扱い専門知識が必要とされるからだ。

8月6日に始まったロシアのクルスク地域への必死の侵攻には、多くの外国人傭兵が含まれていたと考えられている。特定された米国の民間軍事請負業者の1つは、フォワード・オブザベーション・グループ社である。

西側報道機関は地上戦とNATOのつながりに関する報道をほとんど無視、あるいは曖昧にしてきた。情報戦における西側「ニュース」報道機関の喧伝機能を考えれば、驚くことではない。

いっぽう今週、マーク・ルッテNATO事務総長マーク・ルッテは、北朝鮮軍がクルスク地域で戦闘をおこなっているとの懸念を表明した。NATOが公式にその主張をしたのはこれが初めてだ。数週間前から、北朝鮮軍がロシア軍に加わるという憶測や噂が飛び交っていた。

米国と欧州の報道機関は、NATOの主張が事実であると示唆する見出しを掲げた。

欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は「北朝鮮の兵士はロシアの侵略戦争を支援するために派遣されている。これは戦争の重大な激化であり、世界平和への脅威だ」と述べた。

健全な懐疑心は当然だ。NATOのルッテ事務総長は自身の主張を裏付ける証拠を一切示さなかった。同事務総長は単に韓国の軍事情報当局者との話し合いについて言及しただけだ。

ウクライナの事実上の独裁者ウラジミール・ゼレンスキー氏(数ヶ月前に大統領選挙を取りやめた)は、数ヶ月にわたって、数千人の北朝鮮軍がウクライナのロシア軍に加わっている、という主張をおこなってきた。ゼレンスキー氏が昨年、広島でのG7サミットで韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と会談したことは意義深いようだ。両者の初会談だった。会談直後、韓国はウクライナへの軍事・財政支援の拡大を約束した。ゼレンスキー大統領の妻も「報道機関の行事」に出席するため、疑わしい韓国訪問をおこなっている。

尹大統領に対する韓国国民の支持率は、生活費の高騰などさまざまな不満から最低水準に落ち込んでいる。尹大統領は北朝鮮との関係では強硬派だ。北朝鮮側は、意図的に緊張を煽っている、として韓国を非難している。

尹大統領の指揮下で、韓国は主要な武器輸出国となり、過去2年間で推定200億ドル相当の武器を販売した。韓国は、北朝鮮軍がロシアに配備されているという主張を背景に、ウクライナへの軍事供給を増やすと警告している。

北朝鮮による不測の事態については、かなり大げさに報道されているようだ。キエフ政権は、米国とNATOを代理戦争にさらに関与させる方法として、この主張を誇張して伝えている。ホワイトハウスは、北朝鮮の関与疑惑の主張に懸念を表明している。尹大統領にとって、ウクライナは、低迷する支持率を引き上げ、武器輸出の増加による経済的利益を得る好機である。

西側報道機関は、北朝鮮軍の派遣はウクライナでの軍事的損失に対するロシアのプーチン大統領の絶望の表れだ、と希望的に主張している。

その主張は意味をなさない。ロシア軍はウクライナのドンバス地域を完全に掌握すべく急速に前進しているからだ。NATOの支援を受けているウクライナ側は、2年以上の紛争中、最も速いスピードで領土を失っている。ロシアが北朝鮮の軍事的支援を必要としているという考えは、馬鹿げているとまでは言わないまでも、あり得ない。

ロシア側は今年初めに北朝鮮当局と相互防衛協定を締結した。北朝鮮の兵士が訓練などのためにロシアに派遣されたとしても、それは完全に合意した当事者間の法的かつ主権的な内容である。

「必死」になっているのはロシアのほうではない。米国やその他のNATO加盟諸国の傭兵がウクライナに派遣されたことは、キエフ政権が攻撃の材料を使い果たし、国境を越えた挑発行為に手を染めているという絶望の真の兆候だ。

もちろん、NATOと西側諸国の指導者たちは、ロシア国境での「深刻な緊張激化」と世界平和への無謀な脅威の真実を認めるよりも、北朝鮮についての空想話をするほうを好むだろう。
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億万長者のブラックロック経営最高責任者:「米大統領選で誰が勝っても関係ない。トランプでもカマラでもどちらでもウォール街に利益をもたらすのだから」

<記事原文 寺島先生推薦>
Billionaire BlackRock CEO: ‘Doesn’t Matter’ Who Wins US Election – Trump & Kamala Benefit Wall Street
筆者:地政学経済レポート(YouTubeの動画配信アカウント)
出典:Internationalist 360° 2024年11月3日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年11月7日


億万長者のブラックロック社のラリー・フィンク最高経営責任者は、ドナルド・トランプ氏もカマラ・ハリス氏もウォール街にとって良い結果をもたらすため、米国大統領選で誰が勝利するかは「まったく重要ではない」と語った。ベン・ノートン氏は、米国が民主主義の国ではなく、大企業が政治家を買収し、圧力団体が政策を策定する寡頭政治の国であることを明らかにしている。



要約

0:00 米国の選挙期

0:42 ブラックロック最高経営責任者:米国の選挙で誰が勝つかは「本当に重要ではない」

2:20 ウォール街の資産運用会社「ビッグスリー」

3:06 S&P 500とナスダックのバブル

4:35 米国の富裕層10%が株式の93%を所有

5:30 プリンストン大学の研究:米国は民主主義ではなく寡頭政治

6:26 米国の選挙買収に数十億ドルが費やされる

7:54 お金で議席が買える(90%の場合)

8:50 暗号通貨業界が共和党と民主党に資金提供

10:51 バイデン氏は富裕層の寄付者に「根本的に何も変わらない」と約束

11:59 米国の富と所得の極端な不平等

15:12 米国の賃金は停滞、生産性は急上昇

15:42 米国経済の金融化

17:09 インフレと生活費の危機

18:43 住宅価格は賃金よりはるかに速く上昇

20:48 ブラックストーン社:世界最大の地主

22:49 未公開株式投資会社

24:03 ブラックストーン社スティーブン・シュワルツマン最高経営責任者がトランプ氏に資金提供

24:28 カマラ・ハリス氏とトランプ氏がウォール街を魅了

25:25 トランプ減税で富裕層はさらに裕福に

27:19 ブラックロック社、バイデン氏とハリス氏のために経済政策を策定

28:10 米国は寡頭政治だ

29:41 終わりに
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パレスチナ問題:ロバート・F・ケネディ・Jrへの公開書簡

<記事原文 寺島先生推薦>
Palestine: An Open Letter to Robert F. Kennedy Jr.
筆者:ミコ・ペレド(Miko Peled)
出典:INTERNATIONALIST 360° 2023年8月12日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年11月7日


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親愛なるケネディさん

あなたのシュムリー・ボテアック(Shumuel Boteach)とのインタビューを視聴したあと、どうしてもお手紙を書かなければ、と思いました。

自己紹介をさせてください。私はミコ・ペレドと申します。1961年にエルサレムで愛国的なイスラエル人家庭に生まれました。父はイスラエル国防軍の将軍でした。祖父はイスラエルの独立宣言に署名し、大叔父のひとりはイスラエルの大統領でした。私はシオニズムの深い愛国心を受け継いでいます。また、私は彼を軽蔑していますが、ベンヤミン・ネタニヤフとは個人的に面識があります。私自身もイスラエル国防軍(IDF)に所属していましたが、今では後悔しています。

私の経験は、私の著書『将軍の息子、パレスチナのイスラエル人の旅』に記載されています。

あなたは反ユダヤ主義者ではないことを証明するために、シオニストの宣伝家として知られ、狂信的な反パレスチナ人種差別主義者であるシュムリー・ボテアックとのインタビューに応じたようですね。このインタビューであなたは、イスラエルによるパレスチナのジェニン市への攻撃を正当化しようとし、ジェニン市を「爆弾工場」と呼びました。残念ながら、あなたはジェニン市について何も知らないことが明らかです。



ボテアックと対談した際のコメントの中で、あなたはジェニン市では「事実上、住民の100%がテロを支援している」と述べ、「テロリストは民間人の後ろに隠れている」と付け加えました。この問題について、私はあなたに次の質問をしなければなりません。

イスラエル軍の本部はテルアビブの中心街に位置しています。私の父、元イスラエル軍将軍のマティ・ペレドは、制服を着ていた当時、そこにオフィスを持っていました。そこはテルアビブで最も賑やかで高価なエリアのひとつにあり、美術館や住宅、レストランに隣接しています。テルアビブに住む多くの人々はイスラエル軍を支持しており、軍の本部で働いています。あなたの言葉を借りれば、それは「爆弾工場」です。パレスチナ人がテルアビブを爆撃し、軍の本部で働いている人々やそれを支持する人々を殺す権利があると思いますか?

話をジェニン市に戻します。

あなたのコメントは、ジェニン市と、それに伴うパレスチナ人の経験全体を、パレスチナ人が残忍な攻撃を受け、自らの命を守るために戦わざるを得ない歴史の一瞬に矮小化しました。私はあなたに尋ねなければなりません。あなたの国が奪われ、子供たちが殺され、同胞が拷問を受け、投獄されているときに、爆弾工場を持つことが許されるのでしょうか?

拷問について言えば、あなたはイスラエルでは「時限爆弾」のようなケースでも拷問は許されないと述べました。あなたは事実確認をすべきでした。あなたにそう言った人はあなたを欺いたのです。そして今、あなたには嘘を言ったという記録が残りました。


ジェニン市に関する事実を明らかにし、ジェニン市の高潔さと尊厳を強調するために、私は3つの情報源に接触し、あなたにこの手紙を書きました。

ジェニン市について語りましょう

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Jenin, by Mohammad Sabaaneh (the flower petals are shaped to spell ‘Jenin’ in Arabic)
ジェニン、モハメド・サバーネ作(花びらの形がアラビア語で「ジェニン」と綴られている)

私はパレスチナの歴史家、ヌル・マサリハ(Nur Masalha)教授に手紙を書きました。彼はロンドン在住で教えており、パレスチナの歴史に関する決定的な本『パレスチナ、4000年の歴史』の著者です。マサルハ教授にジェニンの歴史について尋ねたところ、快くたくさんの資料を送ってくれました。

また、ジェニン市の出身である友人で風刺漫画家のモハメド・サバーネ(Mohammad Sabaaneh)にも、この作品で言及すべき重要なことは何かを尋ねました。彼は私にいくつかの情報を提供し、この作品で彼の漫画を使用することを許可してくれました。最後に、私はパレスチナ人俳優兼映画監督のモハメド・バクリ(Mohammad Bakri)とのインタビューを見直しました。バクリは映画「ジェニン、ジェニン」の監督であり、この映画はぜひ時間をかけてご覧いただきたい作品です。

私は、ジェニン市に関するモハメド・バクリの言葉に特に感動したので、彼の制作した映画から始めたいと思います。2002年、イスラエル軍によるジェニン難民キャンプへの攻撃の後、イスラエルは記者や赤十字がキャンプへ立ち入るのを許可しませんでした。モハメド・バクリは、イスラエル軍の侵攻中にそこで何が起こったのかを自分の目で確かめ、記録するために、とにかくキャンプに入ろうと決意しました。そして、彼と彼のクルーは、命を懸けて、周辺をパトロールするイスラエル軍の戦車を避けながら、英雄的に難民キャンプに潜入することに成功しました。彼らはキャンプに入り、4晩5日を費やして、イスラエル軍による残虐行為を記録しました。

その結果、国際的に高い評価を受けた感動的なドキュメンタリーが完成しました。イスラエルではこの映画は上映禁止となり、バクリは20年以上にわたって訴訟や魔女狩りに遭ってきました。モハメド・バクリ氏は私とのインタビューで、最終版には含まれなかったいくつかのシーンについて説明しました。「私は、あのテロで息子さんを10人亡くした女性に会いました。彼女には10人の息子がいましたが、全員がイスラエルの攻撃で殺されたのです」と彼は私に語りました。

彼は、正気を失ったこの母親について、「彼女は笑っていた。彼女は狂ってしまった」と説明した。当時、彼は彼女とのインタビューを映画に含めることはできないと感じていましたが、彼は「今では、そうすればよかったと思っている」と語っています。

歴史上初期の記録

ジェニン市はヨルダン川西岸北部に位置するパレスチナの都市です。北には広大なマルジュ・イブン・アムルが隣接しています。豊富な水と肥沃な土地に恵まれ、ジェニンはかつてこの地域の穀倉地帯でした。イスラエルが土地と水を取り上げていなければ、今でもそうであったでしょう。

ケネディさん、ジェニン市には紀元前14世紀にさかのぼる記録された歴史があることを知っておくべきです。それは、エジプトのテル・エル・アマルナで発見された当時の一連の文書であるアマルナ書簡に記載されています。

また、1179年から1229年の間に生きたアラブの地理学者であり作家であるヤクート・アル=ハマウィが、ジェニンについて記していることも知っていただきたい。彼はエジプト、パレスチナ、シリア、イラク、ペルシャを広く旅しました。彼の著書『Mu’jam al-Buldan』(『国々の辞書』)は、地理、考古学、歴史、人類学などを網羅した膨大な百科事典であり、彼が訪れた場所の正確な座標まで記載されています。

この大作で、彼はジェニン市について記述しています。彼は、ナブルスとベイサンという2つの主要都市の間に位置するこの街を「小さく美しい町」と呼びました。ベイサンは、占領されて人口が減少するまではパレスチナの中心都市でしたが、1948年のパレスチナ民族浄化の際には住民が強制退去させられました。

13世紀のマムルーク朝時代には、ジェニンは駐屯地として利用され、マムルーク朝の2つの首都であるカイロとダマスカスを結ぶバリド(barid)、つまり郵便サービスのパレスチナにおける主要な中継地点のひとつでした。

『Subh al-A’sha(「盲人のための夜明け」)』は、「百科事典的な傑作」とみなされており、中世エジプトの学者アフマド・アル=カルカーシャンディー(1356-1418)によって編纂されました。この百科事典的な著作は1412年に書かれたと信じられており、アル・カルカシャンディはジェニン市についても言及しています。彼は「マルジュ・バニ・アメル(Marj Bani Amer)の最北端にある、古代の広々とした町」と表現しています。見ればわかります、ケネディさん、「爆弾工場」についての記述はどこにもありません。

16世紀から、オスマン帝国は401年間パレスチナを支配しました。その間、ジェニン市は周辺の村々の行政上の中心地となりました。

ジェニン市の今日

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14歳のクサイ・ウェケドは、ジェニンへの空爆中にイスラエル軍に射殺された。撮影:モハメド・サバーネ

シオニストたちは、マルジ・イブン・アムルを無人化し、ユダヤ人だけの農業コミュニティを定住させました。水源を変更し、その土地と水から都市を奪い、豊かな農業を破壊しました。マルジ・イブン・アムルにおけるシオニストの入植は、パレスチナにおける最も初期の入植プロジェクトのひとつでした。その谷は名称を変更され、現在はエメク・イスラエルとして知られていました。

1948年のパレスチナ民族浄化の際、ジェニンはパレスチナ北部の都市ハイファ周辺の村々から追放された数千人のパレスチナ難民を大量に受け入れました。今日、同市の人口の4分の1近くが1948年の難民です。

ジェニン市への旅

数年前、私はエルサレムからジェニン市まで旅をし、ジェニン・フリーダム・シアターで開催されたパレスチナ映画祭を見に行きました。 ジェニン市で見たかった映画は、モハメド・バクリ監督の『ジェニン、ジェニン』と、ジュリアーノ・メル=カミス監督の『アンナの子どもたち』の2本でした。どちらの映画も、ジェニン市の近代史の一部である大きな可能性と残酷な破壊を映し出しています。 それぞれの映画が終わった後には、パネル・ディスカッションがありました。

モハメド・バクリは、自身の映画『ジェニン、ジェニン』が上映された後にスピーチをしまし
た。

「アルナの子どもたち」として知られる子どもたちのグループの中でただ一人生き残ったザカリア・ズベイデが、『アルナの子どもたち』の上映後に講演するためにそこにいました。ズベイダは、2021年9月にメギド刑務所から脱獄した6人の英雄的なパレスチナ人囚人のうちの1人です。

ケネディさん、あなたはジェニン市とパレスチナ人だけでなく、あなたを信じていた人々をも侮辱しました。あなたが米国の大統領に選ばれると考える人は誰もいないでしょう。政府の公式見解に異議を唱えたいのであれば、私と一緒にパレスチナに来てください。


特権的なイスラエル人として、私はどこへでも行くことができます。ほとんどのパレスチナ人よりも多くの権利と旅行する能力を持っています。ナカブ(現在はネゲブ)の勇敢な若いパレスチナ人ベドウィン族、またリド、ヤファ、ナザレに住み、アパルトヘイトの残虐さの中で生き延びようとしているパレスチナ系イスラエル市民、そしてヘブロン、ガザ地区、エルサレムで、自由への強い意志以外に武器を持たずに抵抗している勇敢な男女を紹介させてください。

________________________________________
ミコ・ペレドは、エルサレム生まれのMintPress News寄稿ライター、出版作家、人権活動家である。彼の最新刊は、『将軍の息子。パレスチナにおけるイスラエル人の旅』と『不正。聖地財団の物語5』である。
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嘘ばら撒きマスコミの終焉

<記事原文 寺島先生推薦>
The Final Days of the Lie Machine
筆者:ポール・クレイグ・ロバーツ(Paul Craig Roberts)
出典:自身のブログ 2024年11日4日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>2024年11月6日


民主主義の最も悪い特徴の一つは、利己的な圧力団体の存在である。イスラエルの圧力団体であるAIPAC(米国・イスラエル公共問題委員会)とADL(名誉毀損防止同盟)は、パレスチナ人に対するシオニストの大量虐殺のせいで苦境に立たされている。イスラエルがガザだけでなく南レバノンでも女性や子どもを虐殺しているのに、どうしてイスラエルが被害者なのか、と人々は疑問に思い始めている。

ウクライナでバイデン・ハリス政権が米国にもう一つの負け戦をもたらし、米国の全能性にさらなる疑問が投げかけられているいま、軍安保複合体圧力団体は自分たちの言説に対する国民からの不信を経験している。

シンクタンクの「大西洋評議会」は、軍事安全保障複合体と、ヨーロッパにおける米国政府の覇権を支持する圧力団体である。戦争により得られる利益にとって重要な説明を統制しようと、この団体は嘘の機関、DFR研究室(Digital Forensic Research Lab)を創設した。10月30日、この嘘の機関の一員であるメレディス・ファービッシュは、他の分野にも手を広げ、激戦州での選挙不正の合法化を記録してきた我々を「ロシアの息のかかった報道機関」と定義した。ファービッシュは、米国の選挙不正に使われる仕組みに関心があるのはロシア人だけで、米国人民は関心がないのかの理由については言及していない。

ファービッシュは、「民主主義保安同盟」と呼ばれる言説の管理組織の言を引用して、私のことを「RTの常連で、著名な陰謀論者」と評している。私がRTのインタビューを受けたのは何年も前だと思うが、インタビューを受けたからといって「常連」になるわけではない。ファービッシュはあまりにも無能なので、ロシア人ジャーナリストのエカテリーナ・ブリノバがRTではなくスプートニクに寄稿していることさえ知らない。ファービッシュが広めようとしている言説は、投票の不正を特定する人々は偽情報を広めるロシアの工作員である、という概念だ。ロシアとの戦争を続けるためには、すべての背後にロシアがいるに違いない、というのだ。陰謀論者であることについて言えば、利己的な利益団体は真実を語る者すべてを陰謀論者扱いする。公式言説を支持しない説明は、どれほど真実であっても陰謀論とされる。このことからわかることは、正しいのは陰謀論のほうであり、公式言説ではない、という事実だ。

真実を抑圧することは、長年、印刷メディアやテレビメディア、米国のNPR放送局の役割だった。売女マスコミの編集者やジャーナリストには独立性がない。さらに、ほとんどの人は報道を学ぶ学校において、支配層のために言説を抑制することが仕事であると教え込まれている。大西洋評議会などの圧力団体は、自分たちの計画が暴露されるのを防ぐために、独自の嘘ばら撒き装置を作っている。

しかし、その装置は機能しなかった。嘘ばら撒き装置は失敗に終わった。少なくとも2社の大手嘘ばら撒き装置の権威的な代表者がそのことを明らかにしたのだ。かつては評判の良い新聞だったが今はもうそうではないウォール・ストリート・ジャーナル紙の編集長は最近、新聞が報道をやめ、公式言説を擁護する報道機関となり、国民の信頼を失ったため、報道機関は読者を失った、と述べた。彼女が使った言葉は、報道機関は「透明性を欠いている」というものだった。

決して評判の良い新聞ではないワシントン・ポスト紙の所有者、ジェフ・ベゾスは、10月28日のワシントン・ポスト紙の社説で、米国の印刷メディアとテレビメディアの評判は議会よりも落ちている、と述べた。「我々の職業は今や最も信頼されていない」。 ベゾス氏は、真実が嘘ばら撒き装置に勝利した、と述べた。 「事実は負け知らずの勝者だ」と。

ベゾスは、信頼性を取り戻すには、報道機関は正確さに立ち返り、政治思想的な議題を推進するために真実を犠牲にすることを止めなければならない、と語っている。「ワシントン・ポスト紙やニューヨーク・タイムズ紙は賞を獲得しているが、私たちはますます特定の特権階級層とだけ話をしている。つまりますます、私たちは自分自身と話をしている、ということだ」と。

メレディス・ファービッシュは誰と話をしているつもりなのか? 信用を失った嘘ばら撒き組織の上司たちとだろう。それ以外の誰も彼女の言うことなど聞かない。誰も彼女の言うことを気にしていない。

明日の選挙で、十分な数の米国民が洗脳された生活から脱出し、国を救えるかどうかがわかるだろう。
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トランプへの津波のような投票により、米国民は権力を取り戻すことができるだろうか?

<記事原文 寺島先生推薦>
Can A Tsunami of Trump Votes Give Power Back to the American People?
筆者:ポール・クレイグ・ロバーツ(Paul Craig Roberts)
出典:自身のブログ 2024年11日3日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年11月6日


民主党は選挙を盗もうとしている。盗んだことを隠蔽するのに十分な票数以外はすべて準備が整っている。

トランプの選挙戦最終演説会の動画を見ていただき、ロバート・ケネディとタッカー・カールソンの演説をお聞きいただきたい。膨大な聴衆の数に驚嘆されることだろう。米国民は無頓着さを捨て、米国と世界に悪を解き放った2つの腐敗した政党から国を取り戻そうとしているようだ。
https://www.lewrockwell.com/2024/11/no_author/grand-finale-with-president-donald-trump-in-glendale-az/

理解できないほど邪悪な米国の支配層は、権力を失い、犯罪が暴露されることを快く思わないだろう。FBIやCIA、NSA(国家安全保障局)、特別警備隊、そして殺人マシーンのクリントン一家は、トランプやボビー・ケネディ、タッカー・カールソン、イーロン・マスクの4人を暗殺するだけで、国は彼らの手中に戻る。

トランプ大統領とボビー・ケネディ大統領の両氏がイスラエルに対して差し伸べている並外れた支援を考慮すると、パレスチナ虐殺を支持し、それを可能にしている米国が、どのようにして再び偉大な国になれるのかは不明だ。

トランプがロシアや中国、イラン、北朝鮮を強硬な態度を取るべき敵とみなしていることに、私は不安を覚えると言わざるを得ない。このためトランプはネオコンの影響を受けやすい。ロシアや中国、イラン、北朝鮮が我が国の敵国であるとしたら、それは米国政府がこれらの国を敵に仕立て上げたからだ。ドイツでマイダン革命を起こし、その後ロシアが設置した傀儡を利用してNATOとEUに問題を引き起こしたのはロシアではない。ロシアにそうさせるためにウクライナを利用したのは米国政府だ。製造業を米国から外部委託し、その後米国を非難したのは中国ではない。中東で24年間の戦争を始めたのはイランではない。米国とイスラエルだ。70年間北朝鮮を孤立させ悪者にするためにあらゆる手を尽くしてきたのは米国政府だ。

米国を再び偉大にすることに対する脅威がひとつある。それは、米国の軍事的優位性を回復することだ。ネオコンは、米国がもつこの願望を利用して戦争を煽動するだけでなく、国家安全保障の名の下に、スパイ活動や表現の自由の制限、市民の自由を蝕んできた悪口を復活させるだろう。「あなたは我々の味方か、それとも敵か」という言い回しが、平和を求める声を黙らせるために使われるだろう。MAGAを支持する米国民は、覇権国にならずとも国は偉大になれることを理解しているのだろうか?

トランプが、MAGA旋風時のような集会は二度とおこなわれない、と言っているのは、決して自画自賛でもなければ、将来の候補者が自身ほど国民に人気が出ることはないと主張しているわけでもないことを説明させてほしい。また、第三帝国時のような集会はおこなわないと保証しているわけでもない。権力が国民に回帰すれば、政治集会の代わりに、米国を正しい軌道に戻す最善の方法を模索する会議が開かれる、と言っているのだ。

トランプが大統領執務室に就任し、イーロン・マスクが行政管理予算局長、ロバート・ケネディが食品医薬品局長、タッカー・カールソンがホワイトハウス報道官、フリン将軍がCIA長官、エドワード・スノーデンが国家安全保障局長、ラザフォード研究所のジョン・W・ホワイトヘッドが司法長官、マイケル・ハドソンが財務長官、トゥルシー・ギャバードが国務長官に就任すれば、米国は救われ、復活する可能性がある。これらの人事はトランプにとっては想像力豊かすぎる人事なのかもしれないが、トランプが人事をおこなった場合、腐敗した米国上院はそれを承認するだろうか?

私はトランプに、ケネディとマスクを単に顧問にするだけではだめだ、と警告する。2人に各省庁の責任者を任命し、行政権の基盤を与えなければならない、と。さもなければ、各省庁の責任者らは2人を活動から排除するだろう。ケネディとマスクが単に助言を与えるだけなら、2人はすぐに不満をもち辞職するだろう。

私はトランプに警告したい。(イラク戦争絡みで偽証罪に問われた)スクーター・リビーに恩赦を与えてはいけないし、1月6日国会議事堂襲撃事件の支持者を投獄したままにしておいてはいけない。2020年の選挙が民主党によって盗まれたという証拠を集めた弁護士を法的に苦しめたままにしておくことはできない。トランプの側には救出が必要な人がたくさんいる。トランプの自尊心や愚かな顧問のせいで、政治的にも物理的にも彼を暗殺しようとした恐ろしい敵に寛大な態度を取れば、トランプは失敗するだろう。

私は、トランプは選挙に勝った、と思う。しかし、民主党は再び選挙を盗もうとし、「反乱」を画策し、国防総省指令5240.01を発動し、トランプの就任を阻止しようとするかもしれない。

大統領就任式は選挙から2か月半後におこなわれることを忘れてはならない。民主党と支配層が悪事を働く時間はたっぷりある。権力者たちはこれまで多くの犯罪を犯してきたため、トランプが大統領職に復帰すれば、彼らは危険にさらされることになる。多くの点で、支配層にとって今回の選挙は存亡に関わる問題だ。
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売女マスコミの終末は近づいているのだろうか?

<記事原文 寺島先生推薦>
Are the Presstitutes Final Days at Hand?
筆者:ポール・クレイグ・ロバーツ(Paul Craig Roberts)
出典:自身のブログ
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年11月6日


最近のインタビューで、私は米国大統領選挙で誰が勝つかと尋ねられた。米国では、「選挙での勝利」は、「民主党による選挙窃盗」により簡単に実現できる可能性がある。かつて民主党が労働者階級を代表していた数十年間で、民主党は労働者階級が住む都市の政治的支配を獲得した。つまり、民主党は選挙手続きと投票の投じ方と集計を主導できる、ということだ。

私の答えは、民主党が2020年と2022年に激戦州で使用した不正投票の仕組みが現在合法化されたため、民主党が2024年の選挙を盗むことも合法とされる、というものだった。さらに、一部の州では、投票に身分証明書の提示を求めることは違法とされ、民主党の連邦判事はバージニア州やその他の州に市民ではない人々を投票名簿に含めるよう強制しようとした。

このブログでは、現在おこなわれている合法的な窃盗の仕組みを数多く報告してきた。このインタビューでは、選挙の窃盗が成功するには選挙が接戦になる必要があり、不正な操作をして共和党よりも民主党の票を多く集めた世論調査では接戦が示された点を指摘した。言い換えれば、不正な世論調査により選挙窃盗の舞台が整えられているのだ。

しかし、選挙が接戦でなかったらどうなるだろうか? 実際、そのような状況はありえるのだろうか? バイデン・ハリス民主党政権に大きく不利となる3つの要素を確認してみよう。

まず経済、これは常に米国民の選挙の主な焦点である。バイデンによる都市封鎖措置は供給を遮断してインフレを引き起こした。インフレと戦うために、金利は高くなった。高インフレと高金利が米国民に与える影響は劇的に悪い。同じような状況をさらに悪化させる勢力に米国民が投票することはありえるのか?

第二に、バイデン・ハリス政権は、何百万人もの移民侵略者が米国を国家という統一感のないバベルの塔に変えるまで、米国の国境を開いたままにするつもりであることを完全に明らかにした。米国民が安全に過ごせる地域は縮小している。自分たちの土地剥奪を進める勢力に投票する米国民はいるだろうか?

3つ目は戦争だ。米国は21世紀を通じて、国家にとって何の目的もない戦争を続けている。米国民は戦争に勝っている限りは反対しないが、ベトナムやアフガニスタン、ウクライナのように負け始めると戦争に反対するようになる。バイデン・ハリス政権は、米国が負ける戦争をウクライナで始めてしまった。誇り高き自国にさらなる敗戦をもたらした勢力に投票する米国民はいるだろうか?

カマラに対するこれらの不利益を踏まえると、バイデン・ハリス政権の成果とは何だったのだろうかと考えさせられてしまう。つまり一般の米国民にとっては何の成果もなかった、ということだ。成果があったのはウォーク派の左翼思想家にとってだけだった。言論の自由の制限やトランプとその支持者に対する武器としての法律の使用、性的倒錯の正常化、幼児の性的対象化、さらには多様性・公平性・包括性が利点とされたことだ。つまり、人種や性別、性的嗜好に基づいて、憲法修正第14条と1964年公民権法に違反する特権を与えられた、という成果だ。

バイデン・ハリス政権はクーデターを企てた。バイデン・ハリス政権は米国を転覆させ、ソドムとゴモラによるバベルの塔を建てようと全力を尽くしてきた。

11月の選挙で彼らのクーデターがどれほど成功したかがわかるだろう。

カマラ以外の候補者が立候補していれば、クーデターの可能性は高まっただろう。カマラの選挙運動は、トランプをファシストと呼んで馬鹿にし、意味不明な回答を笑い飛ばすことだけで成り立っている。ワシントン・ポスト紙やロサンゼルス・タイムズ紙、USAトゥデイ紙などの民主党系諸紙はカマラへの支持を拒否した。ニューヨーク・タイムズ紙は「トランプを倒すという切迫感はどこにあるのか」と疑問を呈した。

ジェフ・ベゾスは10月28日、自身が所有するワシントン・ポスト紙に、印刷メディアとテレビメディアの評判は議会の評判よりも落ちている、と書いた。「我々の職業は今や最も信頼されていない」と。

ベゾスは、リベラルの報道機関である嘘ばら撒き報道機関が信頼性を失ったことを認識している。「現実は負け知らずの勝者だ」と。信頼性を取り戻すには、報道機関は正確さを取り戻し、政治思想的議題を推進するために真実を犠牲にすることを止めなければならない、とベゾスは言う。「ワシントン・ポスト紙やニューヨーク・タイムズ紙は賞を獲得しているが、私たち報道機関はますます特定の特権階級層とだけ話をしている。つまり、ますます、私たちは自分自身と話をしている、ということだ」と。

ベゾスと印刷メディアやテレビメディアが直面している問題は、ジャーナリズムを育てる学校が、事実を報道するのではなく、説明を統制してウォーク派の計画を推進しようとする政治思想活動家しか輩出していないことにある。米国にまだ残っているほんの一握りの本物のジャーナリスト、タッカー・カールソンやメーガン・ケリー、グレン・グリーンウォルド、マット・タイビ、ジョー・ローゲンが、印刷メディアやテレビメディアから追い出され、独立したインターネットサイトを運営しているという事実を見れば、この状況が真実であることがわかるだろう。ベゾスはどこで正直な編集者を見つけられるというのか? 正直な編集者はどこで正直な記者を見つけられるというのか? 見つかるわけがない。広告主は広告主の計画を推進しない報道機関を支援するわけがないのだから。米国は特別な利益に奉仕する金を出す勢力に買収されているため、真実の報道が再び出現することは想像しにくい。

ベゾスが、今日では私のこのブログのような個人ウェブサイトや個人ポッドキャストの方がワシントン・ポスト紙よりも信頼性が高いと懸念するのは正しいことだ。ベゾスの懸念と民主党系新聞がカマラを支持するのを拒否したことで、民主党が今回再び選挙を盗むのは難しくなるだろう。今回は、リベラル系新聞が事実を調査せずに「不正投票はなかった」と声を揃えて叫ぶことはないだろう。

トーマス・ジェファーソンは、自由の木を育てるには200年ごとに暴君の血という水をやらなければならない、と言った。その水やりはとっくに遅れている。11月の選挙は、米国民が自由な国民として生きられる最後の好機だ。米国民はその好機を無駄にするのだろうか?
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パレスチナ人全員抹殺がイスラエルの方針

<記事原文 寺島先生推薦>
Kill Them All: Israel’s Extermination of Palestinians in Gaza
筆者:ウィリアム・ヴァン・ワゲネン(William Van Wagenen)
出典:Internationalist 360° 2024年10月24日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年11月5日


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ハンニバル指令からダヒヤ協議に至るまで、イスラエル当局によるこれまでの数々の恐ろしい戦争犯罪戦略も、イスラエルが新たに繰り出す「将軍計画」の下で直面しているパレスチナ人の実存的危機に比べれば何でもない。その「将軍計画」とは、パレスチナ地区の民族浄化とパレスチナ人居住区へのユダヤ人の再定住に向けた体系的な青写真を示している。

ガザ地区のパレスチナ人を巻き込んだ大虐殺は、想像を絶する規模の恐怖に達している。ソーシャルメディア上で広まった、点滴につながれたまま焼死した19歳のシャアバン・アル・ダロウさんの恐ろしい動画がその象徴だ。この事例は孤立した悲劇ではなく、大量虐殺が激化している状況を象徴するものだった。

10月13日、イスラエルの空爆により、デイル・アル・バラのアル・アクサ殉教者病院の中庭に数十のパレスチナ人家族が仮設テントで避難していたが、そのテントが炎上した。炎の真っ只中、ダロウさんの17歳の弟モハメッドさんは、自身の苦しみを次のように語った。「言葉では言い表せない気持ちです。目の前で兄が燃えているのを見ました。母も燃えていました。」

モハメッドさんは爆撃音を聞いてなんとか逃げることができたが、兄のシャアバンさんと母親は逃げられなかった。ニューヨーク・タイムズ紙によると、彼の父親は 10歳の弟を炎から救ったが、その子も数日後に火傷で亡くなった、という。

北ガザでは医療手当や防衛業務が停止

この恐ろしい動画が流れた1週間後には、兵士たちが銃を突きつけて半壊した住宅街からパレスチナ人を追い出す様子を捉えた写真が流れた。

イスラエルの公共放送カンが公開したイスラエルのドローン映像には、パレスチナ人が集められ、何も持たされないままでガザの壊滅的な風景の中を南へ歩かされる様子が映っていた。

移動する命令(その命令は主に、空を飛び交うクワッド・ローター式ドローンから発せられている)に従わなかった多くのパレスチナ人は、イスラエル軍の砲撃と空爆によって虐殺された。

救助隊員や、他者を救おうとする民間人は、イスラエル軍に銃撃されたり、あるいは単に一斉に逮捕されて「行方不明」になったりしている。負傷者を助けようとしたパレスチナ人が標的にされた事例が数多く報告されている。このため、ガザの人々は医療手当や救急手当を受けられなくなり、医療手当や民間防衛業務は完全に停止せざるを得なくなった。

病院さえも例外ではなかった。重傷を負った患者も患者を治療する医師たちも、同様に受け入れ難い最後通告を受けた。それは、避難するか死ぬかどちらかを選べ、という二択だ。

ガザでボランティア活動をしていた西洋の医師たちは帰国後、心臓と頭を直接1度だけでなく2度も撃たれて病院に運ばれてくる子どもたちの数に衝撃を受けたと述べた。

「『世界最高の狙撃手』に誤って幼児が二度撃たれるようなことはありえません。しかも、その狙撃はまさに身体のど真ん中に当たっているのですから」と外科医のマーク・パールマッター氏は米国のCBSニュースに語った。

イスラエルの狙撃兵とドローンは、子どもたちだけでなく、子どもたちを救おうとする人たちにも故意に発砲した。

逃げるパレスチナ人家族は検問所を通過することを余儀なくされ、兵士らは男性と女性、子どもを隔離した。

兵士らはその後、男性たちに白いジャンプスーツを着せ、手を縛り、目を覆い、軍用トラックの荷台に乗せて、夜の間にイスラエルの悪名高い拷問キャンプへ連行した。

過去1年間、スデ・テイマンなどの収容所では、イスラエル軍兵士がパレスチナ人被収容者を飢えさせ、殴打し、肛門を強姦した。被収容者の手足に非常にきつく鎖をかけたため、刑務所の医師は定期的に被収容者の手足を切断せざるを得なかった。

イスラエルと米国の報道機関に提供された、流出した動画や看守や釈放された被拘禁者からの証言によってこれらの行為が明るみに出ると、イスラエル社会はすぐに嗜虐的な兵士たちを擁護し、1人の捕虜がハマスの構成員であったという指摘を理由に、「人の肛門に棒を突き刺す」ことを含め、「すべての行為は合法的である」と発表した。

このような運命になることを恐れるパレスチナの人々は、イスラエル軍が1948年のナクバでの蛮行を繰り返すつもりであり、自分たちが故郷や土地に戻ることは決して許されないことを分かっていたので、ガザ北部の多くのパレスチナ人は逃げることを拒否した。

強制的に追放された人々は、占領軍が自分たちのアパートの残骸に火をつけ、誇らしげに自撮りや集合写真を撮影し「戦利品」として様々なソーシャルメディアのプラットフォームに投稿する様子を目にした。

「将軍の計画」

ガザで起こっている言葉では言い表せないほどの恐怖は、「将軍の計画」として知られるイスラエルの綿密に計算された戦略の一部である。

この計画は、現地の「現実を変え」、北ガザに残る30万人のパレスチナ人を可能な限り強制的に追放し、抵抗して残る人々を飢えさせたり殺害したりすることを目的としており、9月に退役少将のジオラ・アイランドがイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の内閣に提出したものだ。アイランドの言葉はぞっとするほど明快だった。

「我々はガザ北部の住民に対し、1週間以内にこの地域から避難するよう伝えなければならない。その地域はその後軍事地域となり、あらゆる人物が標的となり、最も重要なことは、この地域にいかなる物資も入ってくることがなくなることだ。」

ネタニヤフ首相はクネセト外交防衛委員会との非公開会議でこの詳細を説明された後、この計画は「非常に理にかなっている」と明言した。

「将軍の計画」を開始する取り組みは、イスラエル軍報道官が10月7日、10日、12日に北ガザ地区の都市やキャンプにいるパレスチナ人に対して「避難」命令が出されたと発表したことから始まった。

その後イスラエルはガザ北部、特にジャバリア難民キャンプを包囲したが、アムネスティ・インターナショナルはこの事象を「2023年10月以来、ワディ・ガザ北部の地域に住む人々に課せられた一連の恐怖の恐ろしい激化である」と表現した。

イスラエル当局は、ジャバリアを戦車で包囲し、空爆で激しく攻撃するだけでなく、あらゆる人道援助の流入を即座に阻止した。この行為の意味は、パレスチナ人に北ガザから立ち去るか、飢え死にするかの選択を迫っている、ということだ。

米国政府からの空虚な脅し

飢餓を戦争の武器として利用したことは、ネタニヤフを支援しているホワイトハウスの住民らにとって恥ずべきことだった。彼らは大量虐殺を熱烈に支持しながら、米国の有権者からの反発を避けたい、と考えている。そうなれば、来たる米国大統領選挙で政権を失う原因となる可能性が生じるからだ。

10月13日、ホワイトハウスは、ネタニヤフ首相にガザへの援助を増やすよう公的に要求する書簡を発表した。さもなければ、ワシントンによるイスラエル軍への「攻撃用兵器の継続的な供給」が危険にさらされることになる、と。

アントニー・ブリンケン米国務長官が書いたこの書簡によると、提供された援助の額が春以来「50%以上減少」しており、「9月に提供された額は過去1年間のどの月よりも最低だった」とのことだった。

しかし、ブリンケン国務長官は書簡の中で、ネタニヤフ首相には30日以内に従うよう命じると記し、同イスラエル首相が何の罰も受けずにこれを無視できるように意図的に配慮した。

タイムズ・オブ・イスラエル紙が指摘したように、「この書簡は11月5日の米国大統領選挙のわずか数週間前に送られた」のだ。その結果、「11月13日という期限は、政治的影響をいくらか緩和することになるだろう。というのも、その時にはジョー・バイデン米大統領が既に何の役にも立たない存在になっているかもしれず、その時点で米国の要求に従うようイスラエルが必要な措置を講じたかどうかを判断することになるからだ」。

言い換えれば、どれだけ多くのパレスチナ人が焼死したり、引き裂かれたり、飢えたりしても、ブリンケンはイスラエルへの爆弾供給が妨げられることなく継続することを保証する役割を果たし続けることになる、ということだ。

ここ数週間にわたる北ガザでのイスラエルの残虐行為は、すべての政治的、軍事的制約が解除されたときにイスラエル指導部がどんな蛮行をおこなえるかを示している。ロイター通信は、10月18日に控えめに次のように報じた。

「米国の選挙が近づく中、イスラエルはガザ地区のハマスとレバノンのヒズボラに最大限の打撃を与えようと急いでおり、1月に米国の新大統領が就任する前に取り返しのつかない現実を作り出すために、この機会を利用して事実上の緩衝地帯を設定しようとしている。」

ガザの最終解決に向けた競争が始まっている

イスラエルは現在、昨年10月7日を起点として生まれた機会を最大限に活用している。

ハマスがアルアクサ洪水作戦を開始したとき、イスラエル軍は攻撃用ヘリコプターやドローン、戦車を使用して、襲撃してきたハマスや他のパレスチナ抵抗戦士を殺害しただけでなく、ハンニバル指令の下、入植地(キブツ)や ノヴァ・レイブで何百人もの自国のイスラエル国民を焼き殺してきた。

ミスガブ国家安全保障・シオニスト戦略研究所の言葉を借りれば、イスラエルはこれらの恐ろしい死をハマスの仕業とし、そして自国が独自の9.11を経験したと主張することで、「ガザ地区全体から撤退する唯一無二で稀な機会」を作り出したのだ。

同研究所は2023年10月7日直後に発表した政策文書で 、「この計画が施行されるためには、多くの条件が同時に整う必要があることは間違いない。現時点ではこれらの条件は整っており、このような機会が再び訪れるかどうかは不明だ」と記していた。

ガザで徹底的な大虐殺が繰り広げられる中、イスラエルの与党リクード党や宗教シオニズム党、「ユダヤの力」党の活動家や政治家たちは、パレスチナ人の大量追放と民族浄化の完了を見守っている。

ガザへの移住

ガザを見下ろす丘の上で、イスラエル人入植者たちは 爆弾の落下を見守りながら、ガザ地区に再侵入し、米国製のミサイルと大砲によって引き裂かれているパレスチナ人の土地と財産を没収する機会を今か今かと待っている。

同時に、イスラエルの与党議員らは、ガザ地区の人口減少都市や難民キャンプとなる予定の廃墟にユダヤ人を再定住させる計画を立てるための会議を開いた。

入植者運動の指導者ダニエラ・ワイス氏は群衆に対し、ガザのパレスチナ人はまもなく「消え去る」だろうと語った。

「私たちには政治的な支援があり、国民の支援があり、経験もあります…私たちはユダヤとサマリアに入植するために何年もかけて得たものを活かして、ここガザでも同じことをするつもりです。」

ネタニヤフ首相は「将軍の計画」が実行されていることを否定し続けているが、彼自身のプロパガンダ機関であるチャンネル12の記者アミット・シーガル氏は その逆を認めることを恥ずかしがらなかった。

(北ガザで)起きていることが「将軍の計画」の実行であるということを我々は否定し続けることができます。それはガザ地区を空にし、テロリストを飢えさせ、排除し、捕らえるという計画です。私に言わせれば、それはここで起きていることです。

イスラエルの政治・報道機関関係者は、「将軍の計画」の実施を祝ういっぽうで、ドナルド・トランプが米国大統領に選出され、正式に「ガザ地区の境界線が永久に変更される」のを待っている。

これは単なる地域紛争や戦争ではなく、いまこの瞬間に実行されている意図的な抹殺と民族浄化の試みである。そしてこの状況を、西アジアの抵抗軸を除く全世界は黙って見守っている。
関連記事

カザン首脳会議後のBRICSは未来を切り開く実験室

<記事原文 寺島先生推薦>
BRICS Post-Kazan: A Laboratory of the Future
筆者:ペペ・エスコバル(Pepe Escobar)
出典:Strategic Culture 2024年10月30日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年11月5日


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ロシアのカザンで開催された待望のBRICS首脳会議は、期待を裏切らないものだった。この多国間機関は、長年にわたり世界秩序の真の再構築を妨げてきた多くの世界的な金融および政治上の難問に、ついに実効性と実質的な解決策をもたらした。


BRICS 2024の議長国であるロシアは、グローバル・マジョリティ*からの大きな期待を背負ったサミットを主催するために、これ以上多文化的で多結節の場所を選ぶことはできなかっただろう。ロシア南西部の都市カザンは、ヴォルガ川とカザンカ川のほとりにあり、半自治国タタールスタン共和国の首都であり、タタール人とロシア人の文化が活発に混ざり合っていることで知られている。
グローバル・マジョリティ*・・・先住民、アフリカ、アジア、ラテンアメリカにルーツを持つ人々を総称したもので、世界の人口の約85%を占めている。これは、「エスニック・マイノリティ」や「有色人(POC)」といった人種的なニュアンスを含む用語、あるいはカナダの「可視的マイノリティ」や英国の「黒人、アジア系およびマイノリティ民族(BAME)」といった地域的な用語の代替として使用されてきた。これは、概ね、南半球諸国にルーツを辿ることができる人々に対応する。(ウィキペディア)

BRICS首脳会議は、空港と市街地を結ぶエアロエクスプレス(高速鉄道)に接続された多層構造の駅のようなカザン・エキスポで開催されたにもかかわらず、BRICS 2024のグローバルなイメージとして強く印象づけたのは、何世紀も前に築かれた要塞であり世界遺産でもあるカザン・クレムリンだった。

そういった景観は、ブルガール文化、黄金軍団(the Golden Horde)*、15世紀から16世紀のハン国を経て、現代のタタールスタンに至るまでの連続性を、10世紀以降の歴史として、視覚的に明らかにしている。
黄金軍団(the Golden Horde)*・・・白人種から見た黄色人種に付けられた呼び名である。13世紀に蒙古のジンギスカーンの孫のバートルがロシアに攻め込んで200年間、タタール帝国を築き上げたが、その時に、蒙古民族の肌の色が黄色いと言うよりも「金の色」をしていると思ったらしい。 “horde”と言うのは、「(乱暴な人などの)群れ」と言う意味である。(イラストは初代皇帝)
(浦嶋ビジネス英会話インターネット道場 https://urashimamaeda.wordpress.com/2016/10/03/golden-horde-%E9%BB%84%E9%87%91%E8%BB%8D%E5%9B%A3-and-genghis-khan-mongolian-bbq/)


カザン・クレムリンは、ロシアに残る最後のタタール人要塞であり、その都市計画の原型が残っている。世界中のイスラム教徒は、ロシアにおけるイスラム教の北西限界がここにあることに注目している。実際、クレムリン内のクル・シャリフ・モスクの尖塔は象徴的な意味合いを持つようになった。それは、より公平で公正な世界を築くための、集団的、文化横断的、文明国家の努力を象徴するものである。

ロシア外交が、36カ国(うち22カ国は国家元首が代表)の代表団と、国連を含む6つの国際機関をカザンでのサミットに集結させることに成功した様子を1年間にわたって目の当たりにしたのは、非常に貴重な経験だった。

これらの代表団は、世界のGDPのほぼ半分を占める国々からやって来た。2022年以降に課された何千もの津波のような制裁措置と、ロシアの「孤立」を執拗に叫ぶ声が、「そんなものは的外れ」という声の渦にあっけなく消え去ってしまったのだ。このことが、この注目すべき会合に対する西側諸国の集団の苛立ちに拍車をかけた。重要な裏の意味:カザンにはファイブ・アイズ*のメンバー国の政府高官は一人もいなかった。
ファイブ・アイズ*・・・UKUSA協定(United Kingdom‐United States of America)に基づいた機密情報共有の枠組みの呼称。締結国が英国、米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの5カ国であることから「ファイブ・アイズ」と呼ばれ、通信傍受網で得た情報を分析・共有し安全保障に生かしている。1946年に米英が同協定のもととなる機密情報共有協定を締結し、50年代までにカナダ、オーストラリア、ニュージーランドが加盟した。(知恵蔵)

もちろん、さまざまな悪魔は、さまざまな細部に残っている。BRICSと13の新しい友好諸国を受け入れるBRICS支援機構が、非常に丁寧で非常に詳細なカザン宣言 (130以上の運用段落を含む) や他のいくつかの白書から、集団安全保障から広範な接続性、非武器化貿易決済、地政学的優位性に至るまで、グローバル・マジョリティ指向の基盤を実現するために、どのように移行するのか。それは長く曲がりくねったいばらの道になるだろう。

アジアからイスラム世界への前進

BRICS支援分科会は、カザン会議の驚くべき見せ場の一つであった。それは、植民地支配後の「バンドン1955」の歴史的出来事を強力に再現する大円卓会議だったのだ。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が開会を宣言した後、パレスチナを含む他の35カ国の代表に発言権が与えられた。

昨年のBRICS拡大第1弾は、西アジアと北東アフリカ(イラン、アラブ首長国連邦、エジプト、エチオピア、サウジアラビアはまだ最終的な地位の決定には至っていない)に重点を置いた。今回、新たに加わった「友好諸国」には、マレーシアとインドネシア、ハートランドの二大国であるカザフスタンとウズベキスタン、NATO加盟国のトルコなど、東南アジアの強国が13カ国含まれている。

イスラム教徒が多数派を占める国々は、BRICS構想の一環として至る所に見られる。また、アジア全体も急速にBRICSの主要地域となりつつある。

脱欧米化の重要な柱である新しい国際金融・決済システムを実質的に最初から構築する方法について、BRICS諸国では2月以降、徹底的な議論が続いている。10月初旬までに、ロシア財務省はBRICS Bridgeの立ち上げを発表した。これは、各国通貨による国境を越えた取引のためのデジタル決済基盤であるProject mBridgeに触発されたものである。

欧米の覇権国はすでに怯えている。スイスに拠点を置く国際決済銀行(BIS)は現在、mBridgeの閉鎖を検討している。この動きには、BRICS諸国の中国とアラブ首長国連邦、BRICS友好国のタイ、準BRICS加盟国のサウジアラビア、香港金融管理局などの商業銀行が支援している。

その言い訳として使っているのは「地政学的リスク」だ。これはmBridgeにより米国とEUの一方的で違法な制裁の執行が難しくなっている状況を婉曲的に表現したものだ。これは例えば、世界的な銀行大手のHSBCが、ロシアのSPFSに似た中国の銀行間越境決済システム (CHIPS_ China’s interbank cross-border payment system) に正式に参加したことと結びついている。CHIPS/SPFSからBRICS Bridgeへの移行まではほんの一歩だ。

主要な問題―グローバル・マジョリティにとって深刻な懸念―は、貿易の黒字と赤字をどのように解決するかである。BRICS BridgeやBRICS Pay (BRICS Payカードのテスト運用はカザンの1週間前に行なわれた)などの取り組みに関しては、技術的な問題ではない。

重要なのは、通貨をどのように送金するかではなく、その通貨を相手側でどうするかである。これは極めて政治的な問題であるが、回避策はある。なぜなら、欧米が支配するSWIFTシステムは非常に原始的なものだからだ。

BRICSの作業部会も投資の促進に細心の注意を払っており、これらはBRICSの加盟諸国および友好諸国にとって有益な開放的なシステムだ。国の南北を問わず、あらゆる企業が参加し始めれば、成長と投資の臨界点はすぐそこだ。

上記のすべては、BRICSの精神を体現している。BRICSは2024年にロシア大統領の主導でグローバルな実験室として機能し始め、新旧のあらゆる可能なモデルを多結節方式でテストしている。外交的には、カザン宣言は、新たな方向性を国連とG20に提示すべきであると述べた。しかし、現実的には、西側の集団が両手を広げてそれらを受け入れるという兆候はない。

脱ドルの核心

大規模で大陸横断的な事実上のBRICS地域を構成する13の新しい友好諸国の樹立とは別に、カザン首脳会議はBRICSクリアとBRICS (再) 保険会社という二つの重要な枠組みを推進した。

BRICSクリアは、BRICS間の貿易およびBRICSとそれらの友好諸国間の貿易(現状では22カ国が対象)の両方に対応する多国間決済/清算システムだ。繰り返しになるが、その主な目的はSWIFTを回避することである。

BRICSクリアは、国際貿易に各国の通貨を使用する。すべては、上海に拠点を置くBRICS銀行であるNDB(新開発銀行New Development Bank)が管理する単位通貨である安定通貨(ステーブルコイン)を介して取引される。

フランスの一流経済学者ジャック・サピールが指摘するように、「貿易は保険事業 (契約そのものと配送の両方)を必要とし、これらの保険事業には再保険活動が含まれる。BRICS (再) 保険会社によって、BRICSは西側の保険会社からの独立性を築いている」 。

BRICSクリアとBRICS (再) 保険は、短期から中期的には、世界貿易と米ドルとユーロの使用に大きな影響を及ぼす。すでに世界全体の少なくとも40%を占めるBRICS域内およびBRICS友好諸国間の貿易の流れは、指数関数的に増加する可能性がある。これと並行して、欧米系の保険会社や再保険会社は事業を失うことになる。

それが脱ドル化ということであり、BRICSの究極の理想であることははっきりしている。もちろん、インドとブラジルは、ロシア、中国、イランのように脱ドル化を口にすることは絶対ないが、BRICSクリアを支持している。

サピールは、2030年までにBRICSクリア効果により、各国中央銀行の外貨準備におけるドルの割合が「58パーセントから35~40パーセント程度にまで」低下する可能性があると予測している。重要となるのは、これは「米国債の大量売却を意味し、公共債市場の崩壊と米国債の借り換えにおける米国財務省の重大な困難を招く」ことを意味するということだ。覇権国(アメリカ)は、控え目に言っても、それを軽視することはないだろう。

傲慢さに対抗する実験

BRICS諸国による地政学的躍進は、実験と呼ぶこともでき、ロシアが仲介役を務めるインドと中国のような外交的急展開を体現している。カザンでの前夜祭で、ヒマラヤにおけるこの二国間の問題を解決し、BRICSの統合と汎協力の議題を進展させるというBRICS諸国の取り組みが発表された。

BRICS諸国間の地政学的な問題の解決は、BRICSの優先事項のひとつである。中国とインドの例は、イエメンにおけるイランとサウジアラビアの関与をめぐる問題であれば両国に、ナイル川における大規模なダム建設をめぐる論争であればエジプトとエチオピアに当てはまる。BRICS諸国の調整役は、BRICS諸国が加盟国間の深刻な問題を解決するための内部的な制度の枠組みを必要としていることを公然と認めている。そして、最終的には友好諸国も対象となる。

そして、究極の白熱した悲劇にたどり着く。それは、イスラエルのガザ地区、パレスチナ、レバノン、イエメン、シリア、イランに対する軍事攻勢である。

BRICS諸国の調整役は、非公開の会議や二国間会議では2つの仮定が活発に議論されていると明かした。1つ目の仮定は、レバノンが主要な戦場となり、イランとイスラエルの熱い戦争が勃発し、複数のアラブ諸国が巻き込まれる「連鎖反応」を引き起こすというものである。

2つ目の仮定は、近隣諸国だけでなく、連合を形成するであろう親アラブ派と親イスラエル派が関与する、西アジア全域にわたる危機を想定している。エジプトやヨルダンといった腰の定まらない国々が、この仮定にどう関わってくるのかはわからない。多国間組織であるBRICSが、この2つの仮定にどう反応するのかは不明である。

恐ろしい現実政治は、立ち止まってBRICS高速列車がカザン駅を出発するのを見ることはしなかった。イスラエルは、直後にイランへの小さな攻撃を行い、西側の集団は、結果が気に入らなかったので、ジョージア(旧グルジア)での選挙が無効であると宣言した―OSCE(Organization for Security and Co-operation in Europe欧州安全保障協力機構)がそれについて合理的な報告書を出したにもかかわらず。

カザンで起こった歴史的な3日間について、西側諸国が理解を示さなかったことは、彼らの驚くべき傲慢さ、愚かさ、残虐性を浮き彫りにしただけだった。BRICSの枠組みが、新しい公平な国際秩序の輪郭を明らかにするために懸命に努力しているのは、まさにこのためである。そして、さまざまな課題があるにもかかわらず、BRICSは今後も発展を続けるだろう。
関連記事

米国、ガザ地区の生体認証強制収容所運営をCIA傭兵に許可

<記事原文 寺島先生推薦>
US Authorizes CIA Mercenaries to Run Biometric Concentration Camps in Gaza Strip
筆者:ダン・コーエン(Dan Cohen)
出典:INTERNATIONALIST 360° 2024年10月22日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年11月4日


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「戦場のウーバー社」と称される民間諜報機関が、イスラエルがガザにおけるハマスの支配に取って代わる一形式となることを期待しているものを作ろうと準備している。

バイデン政権は、ガザの終末的な瓦礫の世界をハイテクを駆使した暗黒世界に変えるという米国とイスラエルの共同計画の一環として、CIAの訓練を受けた民間傭兵1000人の派遣を承認した。

この計画は、ガザ地区北西部の村、アル・アタトラを起点として、イスラエルの日刊紙Yネット紙が「人道のための一策」と報じたものを建設することを求めており、村や地区の跡地を周囲から隔離し、傭兵によって包囲・管理される小さな強制収容所に変えるものだ。

この動きは、イスラエルがガザ北部で毎日のように虐殺と民族浄化をおこない、元国家安全保障局長のジオラ・アイランド氏がガザを「人間が存在できない場所」に変えるために考案した「将軍たちの計画」として知られる提案を実行している中で起こったものだ。

ホワイトハウスのジェイク・サリバン国家安全保障担当大統領補佐官が承認したこの計画は、イスラエル軍がパレスチナ人の抵抗勢力の一掃を求めるものであるが、この計画が達成不可能なことは、1年に及ぶ戦争において最高位の将校であるイスラエルのエハスン・ダクサ大佐が最近殺害されたことで実証済みだ。

抵抗を鎮圧してから48時間後、イスラエル側はこの地区の周囲に分離壁を築き、このCIA契約業者の管理下で、その地区の住民のみが生体認証を使用して出入りすることを強制する計画を立てている。生体認証制度を受け入れない人々は 人道支援を拒否される、という。

イスラエル人ジャーナリストのシュロミ・エルダール氏が初めて報じたこの計画では、住民が家を再建するために9000万ドルを割り当て、「評議会の長」の地位に「地元の族長」を任命することを求めている。

この計画は、1960年代のベトナム戦争中に米国政府が実施した悪名高い失敗した戦略「ハムレット計画」の21世紀版だといえ、いわゆる「テロとの戦い」が始まって以来、米国の軍産複合体が 特に作戦に取り入れてきた最新の生体認証装置で更新されたものである。(米国は、これを推進するために、あまり知られていない「国防科学捜査生体認証局」という機関まで設立した。)

「戦場におけるウーバー社」

この計画の先頭に立っている会社(GDC社)は「世界規模で活躍する配送業者」と呼ばれ、同社の宣伝資料には「戦場におけるウーバー社」と書かれている。イスラエル系米国民の実業家モティ・カハナ氏が所有しており、マイケル・ダーナン退役米海軍大佐、ジャスティン・サップ退役米特殊部隊大尉、ヨッシ・クーパーヴァッサー元イスラエル軍情報部長、デビッド・ツール元イスラエル軍情報主任など、イスラエルと米国の軍情報機関の代表的な職員数名を雇用している。

カハナ氏は2010年代のシリアに対する汚い戦争で重要な役割を果たし、CIAが支援する自由シリア軍と協力して、戦闘員と民間人の両方に食料と医療を提供した。GDC社はウクライナにも関与しており、シオニスト組織である米国合同配給委員会と協力して、ウクライナ国境近くのルーマニアで難民キャンプの運営にも当たっていた。また、 2023年にイラクで拘束された元イスラエル軍諜報員エリザベス・ツルコフ氏の解放交渉にも携わっていた。

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左がモティ・カハナ氏。出典:X

カハナ氏によるガザでの計画は、遅くとも2024年2月には進行中だった。同氏は、こうした電子地域(ジューリッシュ・ニュース社が「ゲーティド・コミュニティ(塀で囲まれた住宅区域)」と報じたもの)を設立する計画を、ホワイトハウスや国務省、国防総省、そしてネタニヤフ首相に提示した。米国当局はこれには反応しなかった。イスラエル軍は同意したが、イスラエル首相はそれを却下した。「気が早くないですか?」と同首相は皮肉った。

参考文献:Pentagon Publishes Proposal For Ethnic Cleansing and Colonization of Gaza; Destruction of Lebanon
Dan Cohen

November 21, 2023
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The official U.S. military publication Army University Press published an article written on behalf of the Department of Defense calling for the ethnic cleansing of Gaza and destruction of Lebanon in a November 2023 online exclusive.
Read full story


当時私が報告していたように、イスラエルのドストリ首相報道官の計画はガザの将来について4つの選択肢を提示していた。(1)協力政権の樹立、(2)パレスチナ自治政府の政権の更新、(3)ガザにおける国際的または地域的委任統治、(4)イスラエル軍による長期直接占領であり、同報道官は(4)が最適な選択であると述べた。

しかし、ハマスはガザ全域で民政統制を維持しており、イスラエルがこの武装抵抗組織を打倒できなかったため、ネタニヤフ政権は米国の指示に頼っている。

最新の計画は、ドストリ報道官の論文のさまざまな要素を組み合わせたもので、国際的委任と組み合わせたイスラエルの長期軍事占領が含まれた内容になっているようだ。この提案では、アラブ首長国連邦やバーレーン、サウジアラビアのいずれかがガザ地区の文民統制を行うことが求められていたが、実現しなかったため、米国はCIAの請負業者の派遣を承認するに至った。

イスラエルは数千人のパレスチナ民間人を南へ移住させたが、ガザに在留する依然として強力な武装抵抗により、この計画は阻止される可能性がある。

イスラエル軍はまた、ガザ地区を二分するネツァリム回廊の警備に傭兵を派遣することについてカハナ氏と協議している。

GDC社のCIA傭兵が人道支援を完全に掌握し、それによってハマスに取って代わり、その統治を終わらせ、イスラエル戦争の長期目標を達成できる、とイスラエル側やカハナ氏らは考えている。

「この実験が成功すれば、ガザ復興の一形式となり、ガザ地区におけるハマスの文民統制の抑制につながるだろう」と前述のエルダール記者は指摘する。

この計画は、米国防総省が出している代表的な雑誌に掲載された提案に似ている。この提案を書いたのは、2024年8月にイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の報道官に任命された、リクード党のシンクタンクの一員であるオメル・ドストリ氏だ。







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「米国だけではなく、なぜイランもロシアも中国も、イスラエルの蛮行に対して何もしないのか!」

<記事原文 寺島先生推薦>
When Evil Is Allowed In, Evil Stays
筆者:ポール・クレイグ・ロバーツ(Paul Craig Roberts)
出典:自身のブログ 2024年10月29日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年11月3日


イスラエルはこれまで二度、自慢の軍隊をレバノン南部に派遣したが、戦車も空軍も防空軍もないアラブ民兵組織ヒズボラに追い出されただけだった。今回、また同じことが起きたようだ。イスラエルは地上では完全に阻止され、イスラエル国防相は地上作戦の終了を発表した。イスラエル軍はガザでの戦闘のように、空から女性や子どもを殺すことのみ得意なのだ。

イスラエルのヒズボラに対する戦争は、ベイルートの民間居住地域に対するイスラエルの空爆に取って代わられ、イスラエル軍の唯一の任務は空から女性や子どもを殺害することであるというさらなる証拠を提供している。明らかな結論は、イスラエル軍は戦っているのではなく、民間人に対して戦争犯罪を犯している、ということだ。

ヒズボラの領土ではなくレバノンの首都ベイルートの民間居住地区が空から破壊されている理由は、イランとロシアがレバノンに防空システムを提供しないことでそれを容認しているからだ。

イランとロシアは、イスラエルがレバノンの女性や子どもを虐殺し、学校や病院を空から破壊するのを許可することで「平和を維持している」。

米国政府だけでなく、プーチンやイランが、イスラエルによるガザの民間人やレバノンの民間人の空中虐殺に等しく無関心であることは矛盾している。3カ国のうちのどれか1カ国でも民間人の殺害を止めることはできるのに、どの国も何もしようとしていない。

プーチンはBRICSに賭けているが、この組織は成功するかしないか分からない経済組織だ。ロシアと中国の経済学者が米国の新自由主義者に洗脳されており、そのため自国にとって無価値なだけでなく、むしろ有害であるという事実が、その成功を阻んでいる。

もし米国政府がイスラエルによるパレスチナとレバノンの民間人殺害を止めたいのであれば、米国政府はイスラエルへの武器提供を止めるだろう。そうしないのは、明らかにイスラエルは米国政府の望みどおりに行動しているからだ。しかし、ロシアとイランは、どちらの国もイスラエルを止められるのに、なぜパレスチナとレバノンの民間人の虐殺を望んでいるのか? こうなると、悪魔に取り憑かれているのは米国政府とイスラエルだけではなく、ロシアとイランもであるかのように見え始めてくる。

プーチンがロシアの唯一の脅威である米国から注意を逸らすたびに、彼は厄介な事態に陥っている。プーチンが中国でのオリンピックに集中している間、米国はジョージア(旧称グルジア)軍を南オセチアに派遣した。プーチンがソチオリンピックに集中している間、米国はウクライナ政府を打倒し、ロシアに戦争をもたらした。現在、プーチンはBRICSに集中しており、米国はロシアに対抗するもう一つの拠点として、かつてロシア領だったジョージアを奪還するためにジョージアでのカラー革命を扇動している。野党とジョージアの大統領は、ロシアに有利な選挙結果を受け入れていない。. こちらを参照。https://www.paulcraigroberts.org/2024/10/28/washington-brewing-more-trouble-for-russia/

プーチン大統領は持っている力を行使することを拒否することで、信頼を失っている、と私は思う。プーチン大統領は民主党の思想的特徴と、民主党を牛耳っているウォーク思想に傾倒したリベラル左派を理解していないようだ。民主党が政権の支配権を維持できた場合、プーチン大統領はその結果の対応への備えは出来ていないだろう。

TS エリオットの名言に、人間というものは「あまりに厳しい現実には耐えられない」というものがある。このことばは、米国民だけでなくロシア人にも当てはまる。現実が希望や願望、計画と相容れないくらい厳しいのであれば、無視される、すべての現実がないものとされる。プーチンが決断したウクライナ紛争の拡大や米国政府の支援を受けたジョージアで勃発しつつあるカラー革命、イランの悪魔化と孤立化、これら3件はすべて、現実を無視したことによって起こった自業自得の惨事である。

ロシアや中国、イランなどの大国が大量虐殺から目を背けると、自国の評判が台無しになる。世界は人類や正義、真実のために立ち上がる力のある人を切望しているのに、それに応える者はいない。

ガザでは、子どもたちが麻酔なしで手足の切断手術を受けている。利用できるわずかな水は汚染されている。誰もが病気だ。米国政府は、正真正銘の民間人に対して空から使用される兵器をイスラエルに送り続けている。ガザの人々が病気と飢餓に苦しむことで、米国とイスラエルによるこの戦争に終止符が打たれることになるだろう。そしてこの大量虐殺を可能にしたのは米国だ。

そして何も知ろうとしないお気楽な米国民は、自分たちこそ善良な庶民だ、と思いこんでいる。
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目を覆うばかりの蛮行:イスラエルは「“神”に選ばれた民」ではなく「"悪魔"に選ばれた民」ではないか。

<記事原文 寺島先生推薦>
Satan’s Chosen People
筆者:ポール・クレイグ・ロバーツ(Paul Craig Roberts)
出典:自身のブログ 2024年10月27日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>2024年11月3日


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https://www.presstv.ir/Detail/2024/10/25/735942/Israeli-major-massacre-Gaza-Jabalia-

「イスラエルがガザ地区で唯一機能している病院を攻撃、大虐殺」

「ジャバリア北西のベイト・ラヒアにあるカマル・アドワン病院への攻撃は、世界保健機関の代表団が病院を去った直後、現地時間金曜日(10月25日)午前2時頃に開始された。

「それは病院とその中庭、医療用酸素発生装置を狙った空爆から始まった」とガザ地区のパレスチナ保健省のムニール・アル・ブルシュ局長は語った。

「爆撃により病院内の子どもたちが死亡し、医療従事者が負傷した。」

「イスラエル軍はその後約2時間後に病院を襲撃し、集中治療室の患者を含むすべての患者に中庭に集まるよう呼びかけた。」

「法律はどこにある? 病院を直接標的にすることを許す法律が世界中にある?」
(記事からの引用はここまで )

イスラエルは民間人の大量殺戮と民族および国家の大量虐殺の罪を免れている。イスラエルは数十年にわたりホロコースト言説を利用して、ユダヤ人を加害者ではなく犠牲者として描いてきた。イスラエルによるパレスチナの略奪と住民の殺害は「自衛」として提示されている。イスラエルが他国を略奪し、住民を殺害する権利に異議を唱える者は、西側諸国のイスラエルのプロパガンダ工作員によって破滅させられる。西側諸国の報道機関はイスラエルに対して批判的な言葉を一言も発する勇気はない。

世界の政府はこのシオニスト国家との外交関係を断絶していない。ロシア政府は、イスラエルがシリアとイランというロシアの同盟国を攻撃することを容認し続けている。

つまり世界は、言葉では言い表せないほどのイスラエルによる悪行を容認している、ということだ。パレスチナの子どもたちは麻酔なしで四肢切断手術を受けなければならず、大人たちは胃の中に何かを入れるために、草を食べなければならない。その草さえ見つけられたらの話だが。さらに乏しい水源さえ汚染され、大人も子どももみな病気になり、イスラエルと米国はパレスチナ人を故意に餓死させている。

そして米国のキリスト教徒のシオニストはこのイスラエルの蛮行を支持している。つまり彼らもサタンの支配下にあり、サタンの手先として働いている、ということだ。

悪に対して何の対策もなされていない。どの政府もそれに立ち向かおうとしていない。イスラム教徒自身も同胞の殺害を止めるために何もしていない。

「自由民主主義の米国」では、ユダヤ人の資金で満たされた大学が、パレスチナの大量虐殺に抗議する学生たちを妨害している。売女マスコミや外交政策の専門家、西側の政治家たちは、イスラエルは自己防衛の権利を行使しているだけだ、と主張し、大量虐殺の存在を否定している。9/11でイスラム教徒が米国を攻撃したという教えを植え付けられた洗脳された米国民は、イスラエルと米国が何人のイスラム教徒を殺そうと気にしない。

破壊されたのはパレスチナだけではない。イラクも、リビアも破壊された。イスラム世界は何もしなかったし、世界の他の地域も何もしなかった。米国務長官は、サダム・フセインの「大量破壊兵器」について、そのような兵器が存在しないことを知りながら、国連の会議の場で完全に嘘をついた。

世界の道徳的良心は根絶され、悪が蔓延するようになった。

つまり、大量虐殺を止めるために何もおこなわれていない、ということだ。

イスラエルに武器と資金を供給した罪を犯したのは米国民だけではない。悪魔による悪に対して何もしない全世界が罪を犯しているのだ。

世界が悪に立ち向かうことを拒否すれば、あらゆる国に悪が降りかかることになる。その結果から逃れられる者は誰もいない。
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