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国防総省(ペンタゴン)の生物兵器

<記事原文 寺島先生推薦>
The Pentagon Bio-weapons
筆者:ディリアナ・ガイタンジエバ(Dilyana Gaytandzhieva )
出典:ガイタンジエバ氏の個人ブログ 2018年4月19日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年5月11日(改訂版、2024年5月28日)


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米軍は定期的に致死性のウイルスや細菌、毒素を製造しており、生物兵器禁止に関する国連条約に直接違反している。何十万人もの人々が知らず知らずのうちに、危険な病原体やその他の不治の病気に組織的にさらされている。生物戦争の科学者たちは、世界25カ国の国防総省の生物研究所で外交的隠れ蓑を利用して人工ウイルスの検査を行なっている。これらの米国の生物研究所は、21億ドルの軍事計画である生物協力計画(CBEP)に基づいて国防脅威削減局(DTRA)から資金提供を受けており、グルジアやウクライナなどの旧ソ連諸国、中東、東南アジアとアフリカに配置されている。

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訳注:本記事では国名のジョージアは、グルジアと記載する。


試験場としてのグルジア

ルガー・センターは、グルジアにある国防総省の生物研究所である。この研究所は首都トビリシにある米軍ヴァツィアーニ空軍基地からわずか17kmに位置する。この軍事計画の任務を負っているのは、グルジア陸軍医学研究部隊 (USAMRU-G) の生物学者と民間請負業者である。生物研究の危険度が3であるこの研究所には、安全性において許可を持つ米国民のみが近づける。彼らには、2002年の防衛協力に関する米国・グルジア協定に基づいて外交特権が与えられている。

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グルジア共和国のルガー・センター

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ルガー・センターにある国防総省の生物研究所から17キロ離れたヴァイツィアーニ軍事空軍基地に配備されている米陸軍。

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米国とジョージア間の協定は、グルジアで国防総省計画に取り組む米軍人および民間人(外交用車両を含む)に外交上の地位を与えるものである。

米国連邦契約登録簿から得られた情報により、ルガー・センターでの軍事活動の一部が明らかになった。その中には、生物剤(炭疽菌、野兎病)やウイルス性疾患(クリミア・コンゴ出血熱など)の研究、および今後の実験のための生物標本の収集が含まれていた。


国防総省の請負業者が外交上の隠れ蓑のもとで生物剤を製造

国防脅威削減局(DTRA)は、軍事計画に基づく業務の多くを民間企業に委託しているが、民間企業は議会に対する責任を負っておらず、より自由に活動し、法の支配を中心に活動できる。ルガー・センターで勤務する米国の民間人も、外交官ではないが、外交特権を与えられている。したがって、民間企業は、駐留国(この場合はグルジア共和国)の直接の管理下になくても、外交上の隠れ蓑の下で米国政府のために仕事を行なうことができる。この慣行は、CIA が工作員を隠蔽するためによく使用される手口だ。トビリシの米国バイオ研究所では、CH2Mヒル社やバテル社、メタビオタ社という3つの米国民間企業が活動している!国防総省に加えて、これらの民間請負業者は CIA やその他のさまざまな政府機関のために研究を行なっている。

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CH2Mヒル社は、グルジアやウガンダ、タンザニア、イラク、アフガニスタン、東南アジアのバイオ研究所向けの国防総省計画に基づき、3億4150万ドルのDTRA契約を獲得した。この金額の半分 (1億6110 万ドル) は、ジョージアの契約に基づいてルガー・センターに割り当てられる。CH2Mヒル社によると、この米国企業は生物剤を確保し、ルガー・センターの元生物兵器科学者を雇用した、という。これらの科学者はグルジアの軍事計画に関与する別の米国企業であるバテル記念研究所で働いている科学者たちだ。

ルガー・センターの5900万ドルの下請け業者であるバテル社は、米国陸軍との過去11件の契約(1952年から1966年)に基づいてすでに米国生物兵器計画に取り組んでおり、生物剤の研究に豊富な経験を持っている。

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出典:米国における米軍の活動、生物戦計画、vol. II、1977、p. 82

この民間会社は、アフガニスタンやアルメニア、グルジア、ウガンダ、タンザニア、イラク、アフガニスタン、ベトナムにある国防総省の DTRA 生物研究所で業務を行なっている。バテル社は、米国の幅広い政府機関向けに、毒性の高い化学物質と病原性の高い生物剤の両方を使用した研究や開発、試験、評価を行なっている。同社は総額約20億ドルの連邦契約を獲得しており、米国政府請負業者上位100社では23位に格付けされている。


CIA-バテル社計画の明確な視座

CIA とバテル記念研究所による共同調査である「プロジェクト・クリア・ビジョン(1997年と2000年) は、CIA から授与された契約に基づいて、その拡散特性を検査するためにソ連時代の炭疽菌子嚢を復元し、検査をおこなった。この計画で定められた目標は、子猫の生物剤拡散特性を評価することだった。CIAとバテル社間の秘密作戦は、国連に提出された米国生物兵器禁止条約の宣言から除外されていた。


極秘実験

バテル社は過去10年間、米国土安全保障省 (DHS) の契約に基づき、メリーランド州フォート・デトリックで極秘生物研究所 (国家生物防御分析対策センター – NBACC) を運営してきた。同社は、3億4440 万ドルの連邦契約(2006 ~ 2016 年) と、さらに1730 万ドルの契約(2015~2026年) をDHSから獲得した。

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米国の極秘施設として分類されているNBACC。写真提供: DHS

バテル社によっておこなわれたNBACCの秘密実験には次のようなものがある:粉末散布技術の評価、エアロゾル*化毒素がもたらす危険性の評価、ヒト以外の霊長類におけるエアロゾル粒子の機能としてのB.シュードマレイ(メリオイドーシス)の病原性の評価などである。メリオイドーシスは生物兵器として開発される可能性があるため、分類Bのバイオテロリズム薬品に分類される。B.シュードマレイは過去に米国が生物兵器の可能性がある物質として研究したことがある。
* 気体中に浮遊する微小な液体または固体の粒子と周囲の気体の混合体のこと

グルジアのルガー・センターでの軍事実験のほかに、バテル社はすでに米国のフォート・デトリックにある生物研究危険度4のNBACC極秘研究所でバイオテロ薬品を製造している。 NBACCの発表においては、研究室の16の研究優先事項があげられている。中でも、BTA(生物学的脅威物質)の可能性について、従来の病原体、新興病原体、遺伝子操作病原体の特徴を明らかにすること、BTAの可能性がある病原体による非伝統的、新規、非流行性の疾病誘発の性質を評価すること、そしてヒト以外の霊長類に対するエアロゾル暴露試験能力を拡大することである。

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NBACC 研究所で病原体を操作している科学者。写真提供: NBACC

米国企業メタビオタ社は、グルジアとウクライナにおける国防総省のDTRA計画に基づき、科学および技術相談事業に関して1840 万ドルの連邦契約を獲得した。メタビオタ社の事業には、世界規模の現地での生物学的脅威研究や病原体の発見、流行への対応、臨床試験が含まれている。メタビオタ社は、西アフリカにおけるエボラ出血熱危機の前および最中にDTRAの業務を行なうよう国防総省から契約を受けており、エボラ出血熱流行の中心地の一つであるシエラレオネでの事業に対して310万ドル(2012~2015年)を獲得した。

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メタビオタ社はエボラ出血熱危機の中心地で国防総省の計画に取り組んだが、そこには米国の生物研究施設が3箇所ある。

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ウイルス性出血熱協会が起草した2014年7月17日の報告書は、メタビオタ社が検査結果の報告方法に関する既存の協定を守らず、そこで働くシエラレオネの科学者を迂回したと非難した。報告書はまた、メタビオタ社が研究所で血液細胞を培養していた可能性を指摘し、これは危険なことであり、健康な患者を誤診していた可能性もあるとした。これらの疑惑はすべてメタビオタ社によって否定された。

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2011年、ルガー・センター、アンドリュー・C・ウェバー(右) – 米国国防次官補(2009~2014年)、米国国防総省エボラ対策副調整官(2014~2015年)、現在はメタビオタ(米国請負業者)の従業員。


刺咬昆虫に関する軍事実験

昆虫戦とは、病気を伝染させるために昆虫を使用する生物戦争の一種である。国防総省はグルジアとロシアでそのような昆虫学的検査を行なった、とされる。 2014年、ルガー・センターには昆虫施設が設置され、「グルジアとコーカサスにおけるサシバエのバーコーディング*に関する意識向上」計画が開始された。この計画は、ジョージア国外のより広い地理的領域、つまりコーカサスを網羅するものとされた。 2014年から2015年にかけて、別の計画である「急性熱性疾患に関する監視活動」の下でフレボトミンサシバエの種が収集され、すべての(メスの)サシバエの感染率を調べる検査が行なわれた。3番目の計画では、サシバエの収集も含まれており、サシバエの唾液腺の特徴を研究した。
*特定の遺伝子領域の短い塩基配列を使用して生物の種を同定したり、多様性を調べるための技法。

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トビリシのトイレにとまっているハエ (写真 1)、ジョージアのハエ (写真 2、3)

その結果、トビリシには2015年から刺咬性ハエが蔓延している。これらの刺咬性昆虫は一年中屋内の風呂場に生息しているが、その行動は、以前はジョージアにおけるこれらの種の典型的な行動ではなかった。(通常、ジョージアのプレボトミンバエの活動期は非常に短く6月から9月までだった)。地元住民は、風呂場で裸になっているときに、新たに出現したハエに刺された、と訴えている。寒さにも強く、氷点下の山中でも生きていける。


ロシア、ダゲスタンの刺咬性ハエ

2014年に国防総省の計画が開始されて以来、グルジアのハエと同様のハエが隣国のダゲスタン(ロシア)にも発生している。地元の人によると、噛まれて発疹が出るそうだ。繁殖場所は家の排水溝だという

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グルジアのハエ(上)。ダゲスタンの同じ種のハエ(下)

フレボトミン科のハエは、唾液中に危険な寄生虫を運び、人間を刺すことで感染する。これらのハエが媒介するこの病気には、国防総省が大きな関心を寄せている。2003年の米国のイラク侵攻中、米国兵士はサシバエにひどく刺され、リーシュモナス症に罹患した。この病気はイラクとアフガニスタンに固有のもので、急性リーシュモナス症を治療せずに放置すると死に至る可能性がある。

1967年の米陸軍報告書「アジアとヨーロッパ・ソ連における医学的に重要な節足動物」には、すべての地域の昆虫、その分布、およびそれらが媒介する病気があげられている。排水溝に生息する刺咬ハエも文書に記載されている。しかし、これらの昆虫の自然の生息地はグルジアやロシアではなく、フィリピンである。

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出典: 「アジアとヨーロッパ・ソ連における医学的に重要な節足動物」、米陸軍報告書、1967年

白衣作戦: 感染したハエが人間を刺すかどうかの検査

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サシチョウバエ

機密解除された米陸軍の報告書(米国における米軍基地の活動、生物兵器計画、1977、vol. II, p. 203)によれば、1970年と1972年に、サシチョウバエ熱の人体実験が行なわれた、という。この「白衣作戦」中、治験者は感染したサシチョウバエに刺された。白衣作戦は、1954年から1973年にかけてメリーランド州フォート・デトリックで米陸軍が実施した生物防衛医学研究計画である。

米国の生物兵器計画は公式に終了したにもかかわらず、1982年にUSAMRIID(米陸軍感染症医学研究所)は、サシチョウバエと蚊がリフトバレー・ウイルスやデング熱、チクングニア熱、東部馬脳炎の媒介者になりうるかどうかの実験を行なった。


殺人昆虫

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ネッタイシマカ

国防総省には、昆虫を病気の媒介者として利用してきた長い歴史がある。部分的に機密解除された1981年の米陸軍報告書によると、米国の生物兵器科学者は昆虫に対して多くの実験を実施してきた、という。これらの作戦は米国生物兵器計画に基づく米国昆虫戦の一環であった。


国防総省: 1人当たりわずか0.29ドルの費用で62万5000人を殺害する方法

1981年の米陸軍報告書では、黄熱病に感染したネッタイシマカによる都市への16回の同時攻撃と野兎病エアロゾル攻撃の2つの計画を比較し、費用と死傷者数の効果を評価した。

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大コチョコチョ作戦:熱帯ネズミノミXenopsylla cheopisを生物兵器における疾病媒介動物として使用するための感染パターンと生存率を決定するための実地試験が行われた。

大騒ぎ作戦: 100万匹のネッタイシマカが生産され、1/3は弾薬に入れられて航空機から投下されるか、地上に散布された。蚊は空中投下を生き延び、人間の血液を積極的に探し求めた。

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出典:米国およびヨーロッパの NATO 諸国に対する潜在的危険としての昆虫戦の評価、米陸軍、1981年3月報告書

メーデー作戦:米国ジョージア州で、暗号名「メーデー」と名付けられた米軍作戦中に、地上からの方法でネッタイシマカが散布された。

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「ネッタイシマカの大量生産」など、1981年の米陸軍報告書の一部は機密解除されておらず、潜在的にはこの計画がまだ進行中であることを意味している。

黄熱病の蚊としても知られるネッタイシマカは、米軍の作戦で広く使用されている。同じ種類の蚊が、デング熱やチクングニア熱、新生児の遺伝的奇形を引き起こすジカウイルスの媒介者であると言われている。


先導者作戦 [*訳註:原文のbellweatherはbellwetherの誤植]

米陸軍化学研究開発司令部生物兵器部門は、1960年にユタ州ダグウェイ試験場での野外試験で屋外の蚊の刺咬活動を研究した。飢えさせた処女の雌のネッタイシマカが、戸外に出動した軍隊に対して試験された。

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関連画像:屋外の蚊の刺し活動の研究、先導者作戦、1960年、技術報告書、米陸軍、ダグウェイ試験場

グルジアでの熱帯の蚊とダニを使った軍事実験

この種の蚊やノミ(米国昆虫学戦争計画の下で過去に研究された)もグルジアで収集され、ルガー・センターで検査された。

2014年のDTRAの計画「グルジアのウイルスとその他のアルボウイルス」のもとで、これまで見たことのない熱帯蚊であるヒトスジシマカが初めて検出され、数十年 (60 年) を経て、西グルジアでネッタイシマカの存在が確認された。

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ヒトスジシマカは、黄熱病ウイルスやデング熱、チクングニア熱、ジカ熱などの多くのウイルス病原体を媒介する。

欧州疾病予防管理センターが提供した数値によると、これらの熱帯蚊であるヒトスジシマカは、グルジアではこれまで観察されたことがなかったが、隣国のロシア(クラスノダール)とトルコでも検出されている。世界のこの地域でこの蚊が広がっているのは、異例のことだ。

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ネッタイシマカは、グルジアやロシア南部、トルコ北部にのみ分布している。それらは、国防総省のルガー・センターでの計画が開始された後の2014年に初めて検出された。

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別の DTRA 計画「グルジア野兎病の疫学と生態」(2013~ 2016年)では、6148 匹の地上ダニが収集された。牛からは5871匹が採取され、ノミは1310匹、ダニは731匹捕獲された。 2016年にはさらに21590匹のダニがルガー・センターで収集され研究された。


グルジアにおける炭疽菌の発生とNATOによる人体実験

2007年、グルジアは家畜炭疽ワクチン接種を毎年義務付ける政策を終了した。その結果、この病気の罹患率は2013年に頂点に達した。同年、 NATOはグルジアのルガー・センターで人体を対象とした炭疽菌ワクチンの試験を開始した。

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炭疽菌が発生したにもかかわらず、2007年にグルジア政府は7年間にわたる強制ワクチン接種を中止し、2013年、NATOはグルジアで新しい炭疽菌ワクチンの人体治験を開始した。

国防総省によるロシア炭疽菌の研究

炭疽菌は、過去に米軍によって兵器化された生物剤の1つである。国防総省は、その計画は防衛のみである、と主張しているが、それに反する事実がある。2016年、アメリカの科学者は、トビリシにおける米国国防脅威削減局(DTRA)の協力的生物学的関与計画の資金援助を受けて、ルガー・センターで「ソビエト/ロシアの炭疽菌ワクチン株55-VNIIVViMのゲノム配列」に関する研究を実施した。この研究は、メタビオタ社 (グルジアでの国防総省計画に基づく米国の請負業者) によって管理されている。

2017年、DTRAはさらなる研究、「グルジアの炭疽菌のヒトおよび家畜分離株の10のゲノム配列」に資金を提供し、この研究はルガー・センターのUSAMRU-Gによって実施された。


グルジア34人がクリミア・コンゴ出血熱(CCHF)に感染

クリミア・コンゴ出血熱(CCHF)は、ダニ媒介ウイルス(ナイロウイルス)による感染によって引き起こされる。この病気は 1944 年にクリミアで初めて特定され、クリミア出血熱という名前が付けられた。その後、このウイルスが1969年にコンゴの病気の原因であることが認識され、現在の病名になった。 2014年には34人がCCHFに感染(うち1名が4歳児)し、うち3人が死亡した。同年、国防総省の生物学者は、DTRA計画「グルジアにおけるデング熱ウイルスおよび他のアルボウイルスによって引き起こされる発熱性疾患の疫学」の下で、グルジアにおいてこのウイルスが研究された。この計画には、発熱症状のある患者の検査と、臨床検査用のCCHVを媒介する可能性があるダニの収集が含まれていた。

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グルジアでは34人がCCHFに感染し、そのうち3人が死亡した。出典: NCDC-グルジア

グルジアでのCCHF発生の原因はまだ不明である。地元の獣医局の報告書によると、感染した村から採取したすべてのダニのうち、検査でこの病気の陽性反応を示したのはたったの1匹だけだった、という。ウイルスは動物から人間に感染した、という地元当局の主張にもかかわらず、動物から採集された血液もすべて陰性だった。2014年にCCHFのヒト症例が急増したことを考えると、感染したダニや動物がいないことは説明がつかない。これは、発生が自然なものではなく、ウイルスが意図的に拡散されたことを意味する。

2016年には、国防総省の計画「グルジアにおけるクリミア・コンゴ出血熱ウイルス(CCHFV)およびハンタウイルスの血清保有率と遺伝的多様性の評価」のもと、ルガー・センターでの将来の研究のためのDNA集積情報のために、さらに21590匹のダニが収集された。

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CCHFの症状

アフガニスタンでの致死性CCHF発生の責任は軍の生物研究所にある

アフガニスタン全土でクリミア・コンゴ出血熱(CCHF)の症例も237件報告されており、2017年12月時点でそのうち41名が死亡した。アフガニスタン保健省によると、症例のほとんどは首都カブールで登録されており、71例が報告されている。死者数は13名、イランとの国境近くのヘラート州では感染者67名が報告された。

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アフガニスタンは、領土内に国防総省の生物研究所がある世界25カ国のうちの一つである。アフガニスタンでのこの計画は、国防脅威軽減局(DTRA)の資金提供を受けている米国の生物防衛計画、協力的生物活動計画(CBEP)の一環である。グルジアのルガー・センターやCH2Mヒル社、バテル社で働くDTRAの請負業者も、アフガニスタンでの計画と契約を結んでいる。 CH2Mヒル社は1040 万ドルの契約(2013 ~ 2017年)を獲得した。アフガニスタンとグルジアの国防総省の請負業者は同じであり、両国の地元住民の間で蔓延している病気も同様である。


国防総省がコウモリを収集し研究する理由

コウモリは、エボラウイルスや中東呼吸器症候群(MERS)、その他の致命的な病気の宿主であると言われている。しかし、これらのウイルスが人に感染する正確な経路は現在不明である。DTRA 協力生物学的関与計画(CBEP) のもとで、コウモリの軍事的に重要な致死性病原体の探索を目的として、数多くの研究が実施されてきた。

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2014年にルガー・センターでは研究目的で221匹のコウモリが安楽死させられた。

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アフリカでの致死性エボラ出血熱の流行(2014~2016年)はコウモリが原因だと考えられている。しかし、ウイルスがどのようにして人間に「感染」したのかを正確に示す決定的な証拠はこれまでに提供されておらず、自然感染ではなく意図的な感染の疑いが生じている。


致死性のウイルスを操作することは米国では合法

MERS-CoVはコウモリに由来し、人間やラクダに直接感染すると考えられている。しかし、エボラ出血熱と同様、ウイルスの正確な感染経路は不明である。 いまのところ、MERS-CoVによる感染者1980人、死亡者699人が世界15カ国で報告されている(2017年6月時点)。

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MERSで報告された患者10人につき、3~4人が死亡している(出典:WHO)

MERS-CoVは、インフルエンザやSARSと同様、米国によって開発され、国防総省によって研究されてきたウイルスの1つである。この慣行が裏付けられたのは、オバマ大統領が2014年にそのような「二重用途」研究に対する政府資金提供を一時的に禁止したことによる。2017年に一時停止は解除され、実験は続けられている。米国では、潜在大流行病原体(PPP)の強化実験が合法である。このような実験は、病原体の伝播性や毒性を高めることを目的としている。

生物兵器としての野兎病

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F. ツラレンシスは感染力が非常に高い細菌であり、エアロゾル攻撃により兵器化される可能性がある。

ウサギ熱としても知られる野兎病はバイオテロ要因として分類されており、過去に米国によりそのために開発された。しかし、国防総省は野兎病に関する研究と、この病気の原因となるダニや齧歯動物などの細菌の媒介の可能性についての研究を続けている。 DTRA は、グルジアの他の特に危険な病原体とともに野兎病に関する多くの計画を立ち上げた。特に危険な病原体(EDP)、または特定の病原体は、世界中の公衆衛生にとって大きな懸念事項となっている。これらの高病原性病原体は、以下の国防総省 の計画を通じて軍事的重要性の証拠として武器化される可能性を秘めている。その研究名は「グルジアにおけるヒト野兎病の疫学およびグルジアにおける特に危険な病原体のヒト疾患疫学とその精査」(未分化熱および出血熱/敗血症性ショックの患者における選択された薬剤の研究)、である。

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野兎病は、米陸軍が過去に開発した生物兵器の一つである。出典:1981米国陸軍報告書

国防総省の生物研究所によりウクライナで伝染病が蔓延

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国防総省国防脅威削減局(DTRA)は、ロシアと国境を接する旧ソ連のウクライナにある11の生物研究所に資金を提供している。

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米軍による計画は機密情報

ウクライナは自国領土内の軍事生物研究所を管理していない。米国防総省とウクライナ保健省との間の2005年協定によれば、ウクライナ政府は米国の計画に関する機密情報の公開を禁じられており、ウクライナは生物学的研究のために危険な病原体を米国防総省(DoD)に譲渡する義務を負っている。米国防総省は、この協定に基づく計画に関連して、ウクライナの特定の国家機密を知ることを認められている。

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外交という偽装に守られた生物兵器研究者たち

米国とウクライナの二国間協定の中に、ウクライナ科学技術センター(STCU)の設立がある。STCUは、かつてソ連の生物兵器計画に関与した科学者の計画を公式に支援している。過去20年間で、STCUは2億8500万ドル以上を投じて、大量破壊兵器の開発に以前携わっていた科学者たち約1850人の計画に資金を提供し、管理してきた。

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外交的偽装の下で働いているウクライナ駐在の米職員

364人のウクライナ国民が豚インフルエンザで死亡

国防総省の研究所のひとつはハルキウにあり、2016年1月には少なくとも20人のウクライナ兵がわずか2日間でインフルエンザのようなウイルスで死亡し、さらに200人が入院した。ウクライナ政府はハルキウで死亡したウクライナ兵について報告していない。2016年3月現在、ウクライナ全土で364人の死亡が報告されている(81.3%が豚インフルエンザA(H1N1)pdm09によるもので、2009年に世界的大流行を引き起こしたのと同じ株である)。

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ドネツク人民共和国の諜報機関の情報によると、ハルキウにある米国の生物研究所が致死性のウイルスを流出させた、という。


警察が難病感染を捜査

国防総省の生物研究施設が集中するウクライナ南東部では、わずか数ヶ月の間にA型肝炎感染が急速に拡大した。

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ウクライナの都市ミコライフで2018年1月現在、37人がA型肝炎で入院している。地元警察は「ヒト免疫不全ウイルスやその他の難病への感染」について捜査を開始した。3年前には同市で100人以上がコレラに感染した。どちらの病気も汚染された飲料水を通じて広がったとされている。

2017年夏、ザポリージャ市で60人のA型肝炎患者が入院したが、この集団感染の原因はまだ不明である。

オデッサ地方では、2017年6月に孤児院の子ども19人がA型肝炎で入院した。

ハルキウでは2017年11月に29例のA型肝炎が報告された。汚染された飲料水からウイルスが分離された。国防総省の生物研究施設の1つがハルキウにあり、そこは1年前に364人のウクライナ人の命を奪った致死性インフルエンザ流行の原因となった地域でもある。


ウクライナとロシアが新たな強毒性コレラ感染に見舞われる

2011年、ウクライナはコレラの流行に見舞われた。 33人の患者が重度の下痢で入院したと報告されている。2014年には2度目の流行がウクライナを襲い、ウクライナ全土で800人以上がコレラに感染したと報告された。2015年にはミコライフ市だけで少なくとも100人の患者が新たに登録された。

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コレラ菌

2014年、ウクライナで報告されたコレラ菌と高い遺伝的類似性を持つ、コレラ菌ビブリオ・コレラの新たな強毒型がモスクワを襲った。2014年のロシアの反ペスト研究所の遺伝子研究によると、モスクワで分離されたコレラ株は、隣国ウクライナで流行を引き起こした細菌と類似していた。

ウクライナの生物研究所で活動している米国の請負業者の一つである南部研究所は、コレラやインフルエンザ、ジカ熱に関する計画を持っている。

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サザン・リサーチ協会の他に、ブラック&ヴィーチ社とメタビオタ社という2つの米国の民間企業がウクライナで軍事生物研究所を運営している。

ブラック&ヴィーチ特殊計画会社は、1億9870万ドルのDTRA契約を獲得し、ウクライナ(2008年と2012年の2回の5年契約で総額1億2850万ドル)のほか、ドイツやアゼルバイジャン、カメルーン、タイ、エチオピア、ベトナム、アルメニアで生物研究所を建設・運営している。

メタビオタ社は、グルジアとウクライナにおける同計画の下で1840万ドルの連邦政府契約を獲得した。 この米国企業は、西アフリカのエボラ危機の前と最中にもDTRAの仕事を請け負っており、同社はシエラレオネでの仕事で310万ドル(2012~2015年)を獲得している。

サザン・リサーチ協会は2008年以来、ウクライナのDTRA計画の主要な下請け業者である。同社はまた、1951年から1962年にかけて16件の契約を結び、米国の生物兵器計画の下で生物試薬の研究開発を行なった国防総省の元請け企業でもある。

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出典:米陸軍の活動、生物兵器計画、第2巻、1977年、82ページ

ソ連亡命者が国防総省のために炭疽菌を製造

サザン・リサーチ協会は2001年、国防総省の炭疽菌研究プログラムの下請け業者でもあった。 主契約者はアドバンスト・バイオシステムズ社で、当時の社長はケン・アリベック氏(1992年に米国に亡命した旧ソ連の微生物学者で生物兵器専門家。カザフスタン出身)であった。

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ケン・アリベック氏

ケン・アリベック氏はバイオ・プレパラート社の第一副所長で、生物兵器施設の計画を監督し、炭疽菌に関するソ連の主要専門家であった。米国に亡命後、国防総省の研究計画に従事した。


ジェフ・セッションズ元上院議員に対する「米情報機関のための調査 」への働きかけの活動に25万ドル

サザン・リサーチ協会は、米国議会と国務省に「米国諜報機関の研究開発に関する問題」と「国防関連の研究開発」について強く働きかけた。この働きかけは、ウクライナや旧ソビエト諸国における国防総省の生物研究所計画の開始と時を同じくして行なわれた。

同社は2008年から2009年にかけて、当時のジェフ・セッションズ上院議員(現在はドナルド・トランプ大統領が任命した米司法長官)への働きかけに25万ドルを支払っている。

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ジェフ・セッションズ米司法長官、アラバマ州選出上院議員(1997~2017年)

2006年から2016年の10年間、サザン・リサーチ協会は米上院や下院、国務省、国防総省(DoD)への働きかけに128万ドルを支払った。ジェフ・セッションズ上院議員の側近だったワトソン・ドナルド氏は現在、サザン・リサーチ協会の上席理事である。


警察がウクライナでボツリヌス中毒を捜査

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ワトソン・ドナルド氏

ウクライナでは2016年に115例のボツリヌス中毒が報告され、12人が死亡した。2017年、ウクライナ保健省は、ボツリヌス毒素中毒(既知の生物学的物質の中で最も有毒なもののひとつ)の新たな症例をさらに90件確認し、8人が死亡した。地元保健当局によると、発生原因は食中毒で、警察が捜査を開始した。ボツリヌス毒素はすでに米国国防総省の生物兵器施設で製造されたバイオテロ剤の一つであるため、ウクライナの国防総省の生物研究所が第一容疑者に挙げられている。 (下記参照)

ウクライナ政府は2014年に抗毒素の供給を停止し、2016年から2017年にかけての大流行時にはボツリヌス症ワクチンの在庫はなかった。

ボツリヌス中毒は、ボツリヌス菌が産生する毒素によって引き起こされる稀で非常に危険な病気である。


1gの毒素で100万人が死亡する可能性がある

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ボツリヌス神経毒は、極めて強力で、製造や輸送が容易であるため、重大な脅威を持つ生物兵器となっている。 ボツリヌス毒素は筋肉麻痺や呼吸不全を引き起こし、直ちに治療しなければ最終的には死に至る。1グラムの結晶毒素を均一に分散させて吸い込むと、100万人以上が死亡する可能性がある。毒素はエアロゾルを介して、あるいは水や食品の汚染によって拡散する可能性がある。


国防総省は生きたウイルスや細菌、毒素を製造している

ボツリヌス毒素は、炭疽菌やブルセラ菌、野兎病菌と同様に、過去に米軍によって生物兵器として実験された。米国の生物兵器計画は1969年に公式に終了したが、軍事実験は決して終了していないことが文書で示されている。現在、米国防総省はかつてと同じ軍事施設であるダグウェイ実験場で生物兵器の製造と実験を行っている。

現在の実地試験
出典:ウェスト・デザート・テストセンター、2012年能力報告書

過去の実地試験
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出典:1977年米陸軍報告書135ページ

米国の生物兵器工場

米陸軍は、ダグウェイ試験場(ユタ州ウェスト・デザート・テストセンター)にある特別軍事施設で生物試薬を製造・試験している、と2012年の陸軍報告書に記載されている。この施設は陸軍試験評価司令部が監督している。

ダグウェイ試験場の生命科学部門(LSD)は、生物試薬の製造を任務としている。陸軍の報告書によると、この部門の科学者はローター・サロマン生命科学試験施設(LSTF)でエアロゾル化生物試薬を製造し、試験を行なっている、という。

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ローター・サロマン生命科学実験施設(LSTF)では、バイオテロ用薬剤が製造され、エアロゾル化される。 写真出典:ダグウェイ試験場

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米国ユタ州ダグウェイ実験場で米陸軍が製造した生物製剤、出典:2012年能力報告書、ウェスト・デザート・テストセンター

ライフサイエンス部門は、エアロゾル技術部門と微生物学部門で構成されている。エアロゾル技術部門は、生物剤と模擬剤をエアロゾル化する。 微生物学部門は、毒素やバクテリア、ウイルス、薬剤様生物を製造し、屋内試験や実地試験に使用する。

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生命科学試験施設の発酵実験室では、2Lの小型のものから1500Lの大型装置まで、さまざまな発酵槽で細菌を培養している。発酵槽は、微生物が最適な増殖速度を得られるよう、pHや温度、光、圧力、栄養濃度など、設計される微生物の要件に合わせて特別に調整されている。

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大型の1500L発酵槽

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生産後実験室では、テスト材料を乾燥・粉砕する。写真クレジット:Dugway Proving Ground

生物試薬が製造されると、科学者たちは封じ込めエアロゾル室でその試薬に挑戦する。

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識別感度テストのために生きた生物製剤をばらまく技術者たち(写真:ダグウェイ実験場)

ボツリヌス神経毒と炭疽菌のエアゾール実験

米陸軍が世界で最も致死性の高い毒素であるボツリヌス神経毒のエアロゾルを製造、保有、実験していることを証明する文書がある。2014年、陸軍省はダグウェイ試験場での検査のためにメタボロジクス社から100mgのボツリヌス毒素を購入した。

この実験は2007年に遡り、不特定多数の毒素が同じメタボロジクス社によって陸軍省に調達された。2012年のウェスト・デザート・テスト・センターの報告書によれば、この軍事施設はボツリヌス神経毒エアロゾルやエアロゾル化炭疽菌、エルシニア・ペスティス、ベネズエラ馬脳炎ウイルス(VEE)を使った検査を行なっている。

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出典:ウェスト・デザート・テスト・センター、2012年能力報告書

ダグウェイ実験場での屋外実地試験計画

米陸軍の文書や写真によれば、国防総省は爆発物によるものを含め、生物テロ攻撃のためのさまざまな拡散方法を開発していることがわかる。

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出典:ウェスト・デザート・テスト・センター、2012年能力報告書

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生物学的/化学的試験のための汚染物質の散布。 写真著作権:ダグウェイ実験場

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液体の散布

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粉末の散布

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実験場での散布。写真著作権:ダグウェイ実験場

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エアロゾル散布機

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試験区域での配布。写真提供: ダグウェイ試験場

米陸軍の報告書には、生物エアロゾル散布機など、数多くの散布技術が挙げられている。 マイクロネール散布機と呼ばれるこのような散布機はすでに米陸軍によって開発され、ダグウェイ実験場で検査されている。資料によれば、車両に搭載することも、後部に付帯させて背負わせることも可能で、放出精度を高めるためにポンプを取り付けることもできるという。ミクロネア噴霧器は、12Lの貯水機から1分間に50~500mLの生物液体模擬物質を放出できる。


米国はサダム・フセインの生物兵器工場からバクテリアを盗み出した

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バチルス・チューリンゲンシス

バチルス・チューリンゲンシスは、生物農薬として広く使用されている昆虫病原体である。BT(バチルス・チューリンゲンシス)アル・ハカムは、2003年に米国が主導した国連特別委員会によってイラクで採取され、イラクの生物兵器製造施設であるアル・ハカムにちなんで命名された。国防総省の実地試験とは別に、この細菌は米国でも害虫に強い遺伝子組み換えトウモロコシの生産に使われている。CIAが投稿した写真は、この細菌がイラクで米国によって収集されたことを証明している。CIAによれば、生物農薬の入った小瓶は、アル・ハカムの科学者の自宅から回収されたものだという。

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CIA:2003年、イラクの科学者宅から、単細胞タンパク質や生物殺虫剤、BW剤製造に使用可能な菌株など、アル・ハカムの偽装工作と一致する名札が貼られた小瓶を含む計97本が回収された。 写真著作権:CIA

米国連邦契約登録の情報によれば、国防総省はイラクのサダム・フセインの生物兵器工場から盗んだバクテリアを使った検査を行なっている。

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国防脅威削減局(DTRA)の連邦計画では、細菌を使った実験室分析と実地試験を行なっている。 出典:govtribe.com

実験はカートランド空軍基地(カートランドは空軍資材司令部の核兵器センターの本拠地)で行なわれる。ここでは兵器の実験が行なわれており、つまり生物学的模擬物質(バクテリア)を使った実地試験もこの一連の実験に含まれる。

この計画のDTRA請負業者であるラブレス生物医学・環境研究所(LBERI)は、生物研究安全性基準3(ABSL-3)の研究所を運営しており、これは選択薬剤(Select Agent)の基準を満たしている。 この施設は生物エアロゾル研究を行なうように設計されている。同社は、カートランド空軍基地での生物学的模擬物質を使った実地試験の5年契約を獲得している。

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写真の著作権。カートランド空軍基地

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風のトンネルの中でおこなわれる実験もある。写真の著作権。ダグウェイ実験場

生物学的模擬物質(バクテリア)による実地試験

米国防総省が現在行なっていることは、過去に行なっていたこととまったく同じである。米陸軍は、1949年からニクソン大統領が計画の終了を公式に発表した1968年まで、このような生物学的模擬物質を使った実地試験を、一般市民を巻き込んで27回行なった。

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出典:米陸軍の活動、生物兵器計画、第2巻、1977年、125-126ページ

チェチェンでの実地試験

グルジアのルガー・センターで米軍の計画を運営する国防脅威削減局(DTRA)は、すでにロシアのチェチェンで未知の物質を使った実地試験を行なったとされている。2017年春、地元市民は、グルジアとのロシア国境近くで白い粉を撒き散らす無人機を目撃した、と報告した。 グルジア国境警察も、グルジアとロシアの国境で活動する米軍関係者も、この情報については声明を出していない。


ロシア・グルジア国境での920万ドルの米軍による計画

DTRAは、「グルジア陸上国境警備計画」と呼ばれる軍事計画のもと、ロシアとグルジアの国境に全面的に立ち入ることができる。この計画に関する活動は、米国の民間企業パーソンズ・ガバメント・サービス・インターナショナル社に委託されている。DTRAはこれまでにも、レバノンやヨルダン、リビア、シリアの同様の国境警備計画でパーソンズ社と契約している。 パーソンズ社は、ロシアとグルジアの国境における国防総省の国境警備計画で920万ドルの契約を獲得している。

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チェチェンの地元市民は2017年、グルジアとのロシア国境付近で無人散布機に気づいた。

米国防総省が遺伝子組み換えウイルスを媒介する遺伝子組み換え昆虫を検査

米国防総省は遺伝子編集に少なくとも6500万ドルを投資している。米国防総省国防高等研究計画局(DARPA)は、DARPAの「安全な遺伝子計画」のもとで、昆虫やげっ歯類、バクテリアのゲノム編集のための手段を開発するために、新規のCRISPR-Cas9*技術を使用する7つの研究団を獲得した。
*ゲノム中で任意の領域を切断できる遺伝子改変手段

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別の軍事計画(「昆虫同盟」)では、遺伝子組み換え昆虫を操作して、改変遺伝子を植物に移植する。この1030万ドルのDARPAによる計画には、昆虫の遺伝子編集と昆虫が媒介するウイルスの遺伝子編集の両方が含まれている。「生態学的適所優先工学」は、昆虫のゲノム編集に関する現在進行中の第3の軍事計画である。国防総省の目的は、遺伝子組み換え生物が特定の温度に耐えられるようにし、生息地や食料源を変えられるようにすることである。

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出典: fbo.gov

人間の遺伝子操作

昆虫や昆虫が媒介するウイルスの遺伝子編集に加え、米国防総省は人間も遺伝子操作したいと考えている。 DARPA Advanced Tools for Mammalian Genome Engineering Project(哺乳類ゲノム工学のためのDARPA先進手段計画)は、人体内に生物学的装置を作り、それを使って新しい遺伝情報を送り込み、DNA段階で人間を改変しようとしている。

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DARPAは、さらに47番目の人工染色体をヒト細胞に挿入したいと考えている。この染色体は、人体工学に使用される新しい遺伝子を提供する。 シンプロイド・バイオテック合弁会社は、同計画の下、総額110万ドル(2015-2016年:研究の第一段階で10万600ドル、2015-2017年:連邦契約登録簿に明記されていない作業で99万9300ドル)の契約を2件獲得している。同社は従業員2名のみで、生物研究の実績はない。


合成ウイルスの極秘研究

2008年から2014年の間に、米国は合成生物学の研究に約8億2000万ドルを投資し、国防総省はその主要な貢献者であった。合成生物学に関する軍事計画のほとんどは機密扱いで、そのなかには米軍顧問の秘密組織JASON団による多くの機密研究(国防総省のための「新興ウイルスとゲノム編集」、国家テロ対策センターのための「合成ウイルス」など)がある。

JASONは、国防科学技術に関して米政府に相談事業を提供する独立した科学諮問団である。1960年に設立されたJASONの報告書の大半は機密扱いである。管理上、JASONによる計画は、国防総省やCIA、FBIと契約しているマイター社によって運営されている。2014年以降、マイター社は国防総省と約2740万ドルの契約を結んでいる。

JASON報告書は機密扱いであるが、「生物工学: 遺伝子操作された病原体」と題された米空軍の別の研究結果が存在し、その研究により、JASONの研究団がどんな研究をおこなっていたのかが明らかになっている。つまり、生物兵器として使用可能な遺伝子操作された病原体の5つの集団について、である。それらは、バイナリー生物兵器(2つのウイルスの致死的な組み合わせ)や宿主交換病(エボラウイルスのようにヒトに「飛び移る」動物ウイルス)、ステルスウイルス、そしてデザイナー病である。 デザイナー病は、特定の民族を標的にするように設計することができる。つまり、民族生物兵器として使用できるのである。


民族生物兵器

民族生物兵器(生物遺伝子兵器)とは、主に特定の民族、あるいは遺伝子型の人々に危害を加えることを目的とした理論上の兵器である。

公式に民族生物兵器の研究開発が確認されたことはないが、文書によれば、米国は特定の民族、つまりロシア人と中国人から生物材料を収集していることがわかっている。

米空軍は特にロシア人のRNAと滑膜組織の標本を収集しており、ロシア当局では米国の秘密民族生物兵器計画に対する懸念が高まっている。

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出典:fbo.gov

ロシア人とは別に、米国は中国の健康な患者とがん患者の両方から生体試料を収集している。米国国立癌研究所は、中国の林仙や鄭州、成都から300人の被験者の生体試料を収集した。いっぽう、別の連邦による計画は、「中国における食道扁平上皮癌の血清代謝バイオマーカー*探索研究」と題され、中国人患者から収集した349の血清標本の分析が含まれている。
*疾患の有無や、進行状態を示す目安となる生理学的指標のこと

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米国国立癌研究所は、北京の中国癌病院の患者から生体試料を収集している

中国の生物試料は、唾液やがん組織を含む一連の連邦計画の下で収集されている。その中には、リンパ腫症例と統制集団(健康な患者)からのDNA標本の遺伝子検査や乳がん患者からの乳がん組織の塊、3例以上のUGI(上部消化管)がん症例を持つ50家族の唾液標本、北京の癌病院からのDNA標本の遺伝子型50のスニップ**、北京の3000例の胃がん症例と3000例の統制集団(健康な患者)からの遺伝子検査などがある。
*個体差につながる身体的差異と、疾患の根底にある病理学的な変化の両方を含め、表現型に大きな変化をもたらす小さな遺伝的差異を検出する技術
**個人間の遺伝子情報の僅かな違い


タバコワクチン: 国防総省はいかにしてエボラ出血熱から利益を得るためにタバコ会社を支援したか?

国防高等研究計画局(DARPA)は、タバコ植物からのワクチン製造に1億ドルを投資した。この計画に参加している企業は、米国の大手タバコ会社によって所有されている。メディアカゴ社はフィリップ・モリス社の共同所有であり、ケンタッキー・バイオプロセシング社はブリティッシュ・アメリカン・タバコ社所有のレイノルズ・アメリカン社の子会社である。現在、これらの企業はタバコからインフルエンザとエボラ出血熱のワクチンを製造している。

1億ドル規模の計画「ブルー・エンジェル」は、2009年のH1N1大流行への対応として開始された。メディカゴ社は、1ヶ月以内に1000万回分のインフルエンザワクチンを製造するために2100万ドルを獲得した。

ブルー・エンジェルの計画部長のジョン・ジュリアス博士は次のように説明する:「代替タンパク質生産組織として、複数の植物種や他の生物が研究されていますが、米国政府はタバコを原料にした製造に投資を続けています」と。

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植物由来のワクチン製造法は、標的とするウイルスからヒトの免疫反応を引き起こす特定の抗原タンパク質を分離することで機能する。そのタンパク質の遺伝子をバクテリアに移し、それを植物に感染させる。その後、植物はワクチン接種に使用されるタンパク質の生産を開始する(写真:DARPA)

国防総省が、他のあらゆる植物種の中からタバコから製造されたワクチンに投資することを選んだ理由は明らかではない。フィリップ・モリス社が共同所有するメディカゴ社は、国防総省、連邦議会、保健福祉省に「公衆衛生への備えを支援する技術を進歩させるための資金援助」を求めて働きかけを行ない、49万5000ドルを支払った。国防総省は、新しい技術を開発し、ワクチンで利益を得るためにタバコ会社に資金を提供した。


生物実験は戦争犯罪である

国際刑事裁判所(ICC)のローマ規程第8条は、生物実験を戦争犯罪と規定している。しかし、米国はこの国際条約の締約国ではないため、戦争犯罪の責任を問われることはない。

筆者
ディリアナ・ガイタンジエバ
https://armswatch.com/
ブルガリアの調査報道記者、中東特派員。「アームズ・ウォッチ(兵器の監視)」の創設者でもある。彼女はここ数年、シリア、イラク、イエメンでのテロリストへの武器供給に関する一連の暴露報告書を発表してきた。現在の仕事は、世界中の紛争地帯への戦争犯罪と違法な武器輸出の記録に焦点を当てている。

米国は「万能」遺伝子組み換え生物兵器を開発中:ロシア議会の調査

<記事原文 寺島先生推薦>
US Working on 'Universal' Genetically Engineered Bioweapon: Russian Parliamentary Investigation
出典:スプートニク(Sputnic)2023年4月12日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年5月25日


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© AP Photo / トーマス・キエンツル


ロシアの議員らは、ロシアの放射線・化学・生物防衛部隊が過去1年間に公表した調査結果に基づき、ウクライナ全土の研究所における米国の軍事関連の生物学活動に関する調査を完了した。

ウクライナにある米国の生物兵器研究所を調査しているロシア議会の委員会は、米国は敵に「核の冬」に匹敵する深刻な被害を与えるよう設計された「万能」遺伝子操作生物兵器の開発に取り組んでいる、と結論付けた。

「米国は、人間だけでなく動物や農作物にも感染する能力を持つ、遺伝子操作による万能生物兵器の開発を目指している。その使用には、とりわけ敵に大規模かつ回復不能な経済的損害を与えるという目的が含まれる」と同委員会は最終報告書に記した。

「この先に起こりうる直接的軍事衝突の可能性を見越し、秘密裏に標的を定めて使用することで、たとえ他の大量破壊兵器を保有している相手であっても、米軍が優位に立てる可能性がある。米軍の見解では、このような非常に効果的な生物兵器の保有は、現代の武力紛争の性質を変えるための真の前提条件となる」と同委員会は付記した。

残念なことに、この委員会の報告書の指摘によると、遺伝子工学や生物工学、毒物学、合成生物学の分野における現代の科学的進歩により、これらの科学が新世代の高度な生物兵器の製造に使用される可能性が高まっているいっぽうで、従来の診断方法でこれらの物質の使用を検出し特定することが極めて困難になっている、という。「このような状況の悪化が見られるのは、生物兵器の生産が産業界の様々な企業で広まることが容易になっていることにある。それは、これらの生物兵器が平和目的のためであると偽装されているからである」と同報告書は指摘している。

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関連記事:WHO Chief Hopes COVID-19 Pandemic Ends This Year

新しくさらに進化した生物兵器の開発によって、従来の生物兵器がもたらす危険性がなくなるわけではない、と同報告書は強調している。これらの生物兵器には「天然痘や炭疽菌、野兎病、ペストなどがあり、いずれも致死性を高めるために改変できる。これに加えて、自然発生と人為的の両方の感染症の発生の真の原因を客観的に特定することが難しい」という問題がある、とのことだ。

米国の生物兵器がもつ危険性

ロシア下院委員会によるこの報告書は、世界中に点在する米国の生物兵器計画がロシアと世界の生物学的安全に対する最大の明白かつ差し迫った脅威である、と指摘した。

「米国の軍事生物兵器計画は縮小されていないばかりか、逆に近年では規模の拡大を見せている。その焦点は攻撃行動に置かれているが、これらの計画は、生物兵器禁止条約やテロ対策として認められている活動である、と偽装されている。米国は生物兵器の製造能力、そして必要であればそれを使用する能力を支援、開発している。ただし、地政学的競争における生物兵器の役割やその使用方法に関しては、米国政府の戦略的見解に変化がみられる」とこの報告書にはある。

米国の生物兵器計画は長期にわたるもので、その起源は第二次世界大戦中に日本帝国がソ連市民を含む民間人や捕虜に対して行なった残酷な実験にまで遡る。「我が国では、捕らえられた日本の軍国主義者はハバロフスク裁判の枠組みの中で裁きを受けたが、米国ではそのような『専門家』は身の安全を保障され、彼らの研究は事実上、米国の生物兵器開発計画の中でこんにちまで生き続けている」とこの報告書にはある。

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この議会委員会によると、従来の生物兵器計画と国防総省が現在進めている計画の重要な違いは、後者は死亡率が高く、潜伏期間が長く、一般的な病気に典型的な症状を伴う、ほとんど研究されていない自然感染の病原体を使用する傾向があることだ、という。このため、敵対者がそのような兵器の使用を発見し、攻撃者を迅速に特定することが困難になっている、とこの報告書は指摘している。

同委員会によると、最大の脅威の一つは、解読されたヒトゲノムの研究に基づく軍事生物学研究であり、これは世界の地政学的および軍事的状況全体を「根本的に」変える恐れがあり、その重要性は1940年代と1950年代の「原子力時代」の始まりに匹敵するものである、という。

下請け業者が果たす「重要な役割」

この委員会は、過去1年間にロシア軍がウクライナやカザフスタン、コーカサス、アフリカやアジアの国々で米軍の生物兵器活動に関して提供した証拠に基づき、国防総省の生物兵器計画の実施において海外の施設が「重要な役割」を果たしている、と指摘した。

「米国政府は、国家管轄権を超えた生物学研究所の広範な連絡網を組織的に構築しており、医療生物学計画であると装って、幅広い軍事指向の生物学研究を実施することが可能になっている。これは事実上、工場全体の『軍事生物学的占領』を意味し、米国はホスト国の健康、微生物学的、生物学的インフラの状態に関する情報に無制限にアクセスできるようになる」とこの報告書にはある。

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関連記事:US Resumes Construction of Biolabs in Ukraine, Russian MoD Says

外国の国々が米軍の生物兵器研究者たちの格好の「実験場」になり、研究者たちは病原体をその生息地の気候条件下で研究し、その分布と突然変異を監視し、その危険な性質を強化できるのかどうかを決めることになる。このような研究に対する国際的な統制がないため、米国は道徳的・法的規範や人間主義的原則に拘束されることなく、かつまたその国の国民らの意思にもとらわれることなく、他国で行動する機会を得ている」とこの委員会は指摘している。これらの研究は、非軍事省庁や民間企業に業務が移管されることによって、さらに国民の目から隠されている、とこの報告書にはある。

さらにこの報告書によると、米国の生物兵器研究が特に関心を持っているのは、昆虫や哺乳類、野鳥を利用して伝播させるヒトを攻撃する病原体についてであり、その研究には、これらの動物の移動経路や移動経路の特定も含まれている、という。

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関連記事:Russian MoD: Fever-Carrying Mosquitoes Studied in Ukrainian Labs May Have Been Used by US in Cuba

「この研究の結果、米軍の生物学者たちは、特定の地域で伝染病が蔓延する展開の予行をおこなうだけでなく、その伝染病を管理する機会を得ることができた。彼らはまた、第三国を経由して関心のある地域に非定型的な病気が侵入する可能性のある『生物学的経路』を調べている」と同委員会の報告書にはある。

「国防・安全保障分野における米国の戦略文書を分析したところ、その管理下にある生物研究所での活動は、米軍に潜在的な軍事的優位性を提供すること、および合成生物学を用いて作り出された望みどおりの性質を持つ病原性微生物を用いて軍事作戦を遂行することに焦点が当てられていることがわかった」とこの報告書にはある。

同委員会の見解によると、米国の生物兵器の研究基盤施設がどの国に置かれるかの選択は、地政学的な考慮に基づき、紛争が発生した場合にその国が敵に対する潜在的な「橋頭堡」となる展開を想定している、という。

同委員会によると、この点が特に当てはまるのは、旧ソ連諸国における米軍の生物学的研究である、とのことであり、これらの研究施設の存在により、「国防総省は幅広い研究に取り組むことが可能になっている。具体的には、特に危険な感染症の病原体の収集や、地域住民の免疫系の反応の調査、大規模な米軍隊を展開するための旧ソビエト共和国領域の防疫的準備などだ」という。


報告書は、ユーラシア経済共同体、独立国家共同体、集団安全保障条約機構を含む地域全体の人と物の自由な流れ、労働力の移動、動物と鳥の移動、空気の流れ、川の流れを考えると、旧ソ連地域における国防総省の生物軍事計画の継続的な実施は、重大な安全保障上のリスクであると考えている。

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推奨

米国の活動を踏まえ、同委員会が強調しているのは、「我が国の生物学的安全保障体制を強化し、現代の現実に合致させることを目的とした、緊急かつ効果的な複合的措置」を策定・実施する必要性である。これには、生物学的安全・保安の分野における政府の規制・法律行為の再検討が含まれ、「既存の監視」活動の同期化や「生物学的危険性の単一監査網の構築」が提案されている。

この報告書では、「ロシア連邦における生物学的安全性の状況」について大統領と議会に提出する年次報告書の作成、生物学的安全性の分野における義務的要求事項の不遵守に対する罰則の明確化、感染症およびそれに対するワクチンが人の健康に及ぼす長期的影響の特定と評価を容易にするための措置が提案されている。委員会は、公共の安全を確保するために必要な製品の登録簿と、これらの品目を製造できる企業の一覧表を作成することを推奨している。

「同委員会は、国家の生物学的安全保障は一元化し、感染症の検出や診断、治療、予防における体系的な能力を持つべきである、と指摘している」。この報告書が強調しているのは、非流行性ウイルスに対するワクチンを作り、試験し、認証し、「伝染病の脅威が認識された後、できるだけ早く」対応し、「新しい病原体に適応するために、これらのワクチンを迅速に修正する」ことを可能にする方策を作る必要性を強調している。

さらに同委員会は、生物工学や合成生物学、およびその関連分野の研究において、「管理の枠組み」の創設を提案している。そしてその対象は、助成金による資金提供を含む外国資本の関与のもとで行なわれる活動に対するものである、とされている。さらには、ロシアからの生物材料の輸出規制の強化も提案されている。さらに同文書が強調している点は、「ロシアの薬学関連製品における外国製造業者からの技術的依存を軽減するための研究を強化し、国内で薬品や医療機器、保護具の生産ができる体制を形成する」必要性である。

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関連記事:Russian Defense Ministry Probes 240 Dangerous Diseases Pathogens Found in 4 Ukrainian Labs

米国が人体実験の資料と引き換えに日本の戦争犯罪者の裁判逃れを手助けしていたことが公文書で明らかに

<記事原文 寺島先生推薦>
Archives Reveal US Helped Japanese War Criminals Escape Trial in Exchange For Bio Materials
出典:スプートニク(Sputnic)2021年8 月17日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年5月25日


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© スプートニク / パベル・リシツィン


第二次世界大戦中に日本軍が細菌を使った残虐行為をおこなっていたことを示す証拠が、戦後、米国に対して日本軍細菌戦部隊の指揮官がおこなった自白が中国北東部の黒竜江省で公開されたことで、さらに明らかになった。

この自白書は、1946年に米国により上海の刑務所から日本に引き渡された後、米国フォート・デトリック軍事生物学研究所の捜査官による尋問を受けた日本軍731部隊の2代目司令官、北野政次によって書かれたもの。中国北東部黒竜江省ハルビン市に位置する中国侵略日本軍第七三一部隊罪証陳列館から中国の報道機関である環球時報が得た情報によると、北野は戦時中、中国で731部隊が人体実験や細菌戦を行なっていたことを認めたという。同報道機関は自白書の写しを入手している。

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関連記事:US Develops Individual Biological Weapons Plans for Different Countries, Russia Says

この自白は、日本軍が中国を侵略した際に人道に対する罪を犯したことを明らかにするものである、と同陳列館の金成民学芸員は環球時報に語った。

北野の自白は、731部隊の創設者である石井四郎や同部隊の任務、構成、研究、細菌戦兵器に関する内容に及んでいる。環球時報が同陳列館から得た情報によると、北野は人体実験や細菌戦に関する情報を米軍に秘密裏に提供し、戦後の裁判を逃れるための交渉材料として利用していた、という。

1945年から1947年にかけて、米国はフォート・デトリックから4人の捜査官を日本に派遣し、日本の731部隊の少なくとも25人の隊員を尋問した。彼らに裁判を免除する機会を提供することで、米国は人体実験や細菌戦、毒ガスの実験のデータを入手した。

731部隊が人体実験を行なったことを北野が認めたにもかかわらず、第二次世界大戦中に出版された学術論文では、実験で使用されたのは人体ではなく、「猿」に置き換えられていた。金学芸員によると、当時の学術界は医の倫理に違反するようないわゆる「学術研究」を黙認していた、という。

金学芸員は、731部隊からの情報の恩恵を受けて、米陸軍はフォート・デトリックで生物兵器の研究開発を加速することができた、と述べた。

1942年8月から1945年3月までの北野の在任期間中、731部隊は攻撃時間や細菌戦の規模、細菌戦の激しさ、および細菌戦の死傷者の程度の点において、細菌戦に向けた装備をさらに強化していた。

この記事の初出は「環境時報」。

ウクライナ軍は「化学兵器禁止条約」違反、米国製の化学兵器を使用

<記事原文 寺島先生推薦>
Ukraine has used US-made chemical weapons – Russia
ロシアは、米国とウクライナが化学兵器禁止機関(OPCW)の条項に違反している、と主張
出典:RT 2024年2月19日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年3月6日


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ロシア軍放射能・科学・生物防衛部隊長官イーゴリ・キリロフ中将。ウラジーミル・フェデレンコ氏撮影

米国とウクライナは化学兵器禁止機関(OPCW)の条項に違反している、それはウクライナ軍が戦場で不法な弾薬を使用したからだ、とロシアのイーゴリ・キリロフ中将が主張した。

ロシア軍放射能・科学・生物防衛部隊長官である同中将は、ウクライナが禁止されている化学兵器や非軍事用化学物質を使用したとされるいくつかの事例をあきらかにし、同中将はそれらは米国から入手したものである、とした。

キリロフ中将の主張によると、2023年12月28日、ウクライナはドローン機を使って、米国製のガス手榴弾を投下したが、その手榴弾には「CS」という化合物が含まれていた、という。その複合物は、暴動鎮圧用として分類されている化学薬品であり、高濃度で使用されれば、目や上気道を刺激し、皮膚の火傷や呼吸麻痺、心停止を引き起こす作用がある。

同中将によると、そのような武器を米国がウクライナに送付した行為は、OPCWの規定の直接違反となる、という。その規定には、各国は、「いかなる状況においても、他者に直接あるいは間接的に化学兵器を輸送しては決してならない」とあるからだ。

さらに同中将によると、2023年6月15日に、ロシア軍はドローン機による攻撃を受けたが、そのドローン機はクロルピクリンでいっぱいになったコンテナを積んでいた。この薬品は、化学兵器禁止条約で第3類に分類されており、警察上の目的で利用することさえ、厳しく禁止されている化合物だ。さらに、これと同じ薬品をウクライナは2023年8月3日と11日に、ラボチナ付近の村で使用した、とキリロフ中将は述べた。

同中将はさらに、ウクライナ側がロシア軍人らに対して有害物質を使用した事例だけではなく、2022年8月には、ロシア領ヘルソン市のウラジーミル・サルド市長のような高官らにも使用した事例も示した。

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関連記事:Moscow loses seat on chemical weapons council

キリロフ中将によると、ロシアの諜報機関の考えでは、ウクライナ軍は、西側の支援諸国の指導のもと、あらたな軍事作戦を展開しているが、その中で「化学ベルト」が使用されるようだ。この化学ベルトには、シアン化水素とアンモニアが入れられたコンテナを爆破することで、ロシア軍の進軍を妨げる作戦も含まれているという。

同中将はさらに、そのような毒物化学薬品を大規模に使用する計画の証拠として、2024年にウクライナがEUに何万もの解毒剤やガスマスクなどの個人の保護装置を送るよう依頼している事実があげられる、とも述べた。それは、2023年にNATO諸国が提供した、60万アンプルの有機リン化合物の解毒剤や75万瓶のマスタードガス解毒剤、ルイサイト誘導体やヒドロキサム酸誘導体に追加されたものだった、という。

「明々白々な事実は、ウクライナが要求したこれらの化学薬品が、化学兵器を必要としていない国にしては量が過ぎているということです」とキリロフ中将は述べた。

4ヶ月前にこのようなすべての証拠が提示されていたにもかかわらず、OPCWは何の対応も見せていない。同中将は、OPCWが米国政府により運営されており、米国の政敵を標的にする道具にされている、とした。

11月、ロシアはこの組織の他の加盟諸国から十分な票を得られず、OPCWの執行委員会の一員からはずされた。キリロフ中将は、ロシアが事実上この組織からはずされ、ウクライナとポーランド、リトアニアがその代わりに加入した、と語り、これらの国々は、反ロシア政策を求めている国々である、と主張した。

米国の生物学研究所に関するロシアの調査が終了

<記事原文 寺島先生推薦>
Russia’s investigations about US biolabs concluded (infobrics.org)
出典:BRICS INFORMATION PORTAL   2023年4月17日
筆者:ルーカス・レイロス 
(ジャーナリスト、地政学研究センター研究員、地政学コンサルタント)
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年12月25日


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ついに、ウクライナ国内での米国の生物学的活動に関するロシアの調査が完了した。ロシア軍が発見し無力化した軍事生物学研究所での生物兵器の製造などの犯罪の証拠を慎重に分析するため、特別議会委員会が設置された。この議会グループは、ロシアの放射線・化学・生物兵器防衛部隊に関連する専門家たちと1年以上にわたって協力した。その結果、実際にワシントンが違法な生物学軍事活動を続けていることが判明した。

研究者たちが指摘したのは、米国は「核の冬」に匹敵する深刻な被害をもたらすように、遺伝子組み換えされた一種の「万能生物兵器」の作成に向けて動いているだろうということだった。ロシアが収集したデータによれば、ワシントンは、戦争シナリオの中で敵の兵士だけでなく、動物や農作物にさえダメージを与えることができる兵器の開発を計画している。これによって、これらの病原体の拡散によって影響を受けた国を完全に破壊し、民間人、食糧安全保障、環境にも影響を与えることを目的としている。

実際には、この種の兵器を秘密裏に今後使用することは、どのような紛争シナリオにおいても、米軍に事実上圧倒的な戦略的優位を保証することになり、敵側が非軍事的な理由で米軍を打ち負かすことは不可能になる。調査官たちは、この種の兵器を保有することは、現代の武力紛争のあり方を完全に変えるものであり、軍事的、法的、人道的な幅広い懸念が生じることを明らかにした。

「米国は、人間だけでなく、動物や農作物にも感染する万能の遺伝子操作生物兵器の開発を目指している。その使用は、とりわけ、敵に大規模で回復不可能な経済的損害を与えることを目的としている(......)このような兵器を、現実の不可避な直接軍事対決を想定して秘密裏に目標を定めて使用することは、たとえ他の種類の大量破壊兵器を保有する相手であっても、敵対国に対して米軍に大きな優位をもたらす可能性がある(......)このような非常に効果的な生物兵器を保有することは、米軍の見解では、現代の武力紛争の本質を変える真の前提条件を生み出す」と報告書は述べている。

しかし、科学者たちは、この米国のプロジェクトが存在するからといって、「天然痘、炭疽菌、野兎病、ペスト」といった従来の生物兵器の使用の深刻さが軽減されるわけではないことを強調している。これらはすべて、殺傷能力を高めるために改良することができる。これに加えて、感染症の発生原因を特定することが客観的に困難である。それらの感染症は自然なもの、人工的なものでもあり得るからだ。このように、同時に監視・管理すべきリスクは相当数にのぼる。

ロシア国境での特別軍事作戦によって、多くの生物学研究所が無力化されたり、破壊されたりしたが、米国のバイオ軍事計画は依然として活発であり、そのような兵器を開発するための高度な研究が世界中のいくつかの研究所で行われている。最近の報道では、ネオナチ政権に占領されたウクライナの地で、アメリカは再びこのような活動を行うだろうとさえ言われている。

ロシアのチームは、これらのプログラムがいかに米国のファシズムの遺産であるかを説明している。多くの枢軸国の科学者たちは第二次世界大戦中に捕らえられ、逮捕され処罰される代わりに、アメリカ政府によって高度な科学的軍事研究を開発するための秘密プログラムでの地位を与えられた。その結果、ワシントンは、1930年代から1940年代にかけてすでにそのようなテーマを研究していたドイツと日本の科学者の支援を受け、世界で最も複雑な軍事研究システムのひとつを作り上げた。

ロシアの研究者たちはまた、このような問題に関して明確で高度な国際的規制がないことが、生物学的テロを生産し広めることによって、米国が海外で行動する能力を高めているという事実にも言及している。人道的、健康的、科学的な論拠を用いて研究を発展させるために、米国の軍隊や政府に関連する企業は、このような違法行為が行われる研究所を建設している。

「このような作業に対する国際的な管理が欠如しているため、米国は道徳的、法的規範や人道主義的原則に拘束されることなく、他国で行動し、国民の要求を無視する機会を与えられている」と、研究者たちは付け加えた。

最後に、科学者たちは、ロシア当局が生物学的問題を国防と安全保障の重要課題として扱うよう勧告している。遺伝子組換え病原体の検出や、これらの病原体によって引き起こされる病気の早期診断、治療、予防のための効率的な対策を立てることが急務である。報告書では、この問題の解決策として、生物工学と合成生物学の研究のための「管理メカニズム」の創設を提案している。

実際、ロシアは長い間、米国国防総省の深刻な生物兵器問題を警告してきた。しかしこの問題は、西側諸国や国際機関によって無視されてきた。西側諸国や国際機関は、このような態度が生み出す危険性を理解していないようだ。生物兵器の開発は、たとえアメリカと良好な関係にある国であっても、多くの人々に存亡の危機をもたらすものであるため、すべての国はそのことを調査し、速やかに非難するべきである。

さらに、人間や動物、植物に感染し、ダメージを与えることのできる新しい病原体を作り出し、国とその住民の完全な消滅を目指す取り組みに注意を向ける調査をして、この事例にさらに注視していく必要がある。したがって、このような兵器が戦場で使用され始め、前例のないレベルの暴力と被害が発生する前に、国連で議論と対策を講じることが急務である。

ウクライナ領内での米国による生物兵器開発

<記事原文 寺島先生推薦>
Military-Biological Activity of the United States on the Territory of Ukraine
出典:INTERNATIONALIST 360°   2023年8月17日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年8月25日





ロシア連邦放射線・化学・生物学的防衛部隊長イゴール・キリロフ中尉による米軍生物兵器開発に関する記者会見から(2023年8月16日)
 
 ロシア連邦国防省は、米国とその同盟諸国によるウクライナやその他の国々での軍事生物研究の分析を継続しています。

 以前の報告のとおり、米国の軍事生物研究は、世界中の多くの国々にとっての脅威となっています。



 米国のこの研究計画の表向きに伝えられる目的は、疫病の発生を監視し、発展途上諸国に支援を提供するためだ、とされていますが、実際のところは、国防総省が BTWC(生物兵器禁止条約)のもとで国際的に従わなければならない規制から回避する形で、軍民両用の研究を際限なくおこなっている状況があります。



 米国軍部の計画の主要目的は、生物兵器になりうる病原体の研究です。具体的には、炭疽菌、野兎病、種々コロナウイルス、さらには経済的に重大な感染を起こす病原体である病原性鳥インフルエンザやアフリカ豚熱です。

 明白な流れがあります。それは、Covid-19や鳥インフルエンザ、アフリカ豚熱など国防総省が関心を示していた病原体が、その後に界的流行を引き起こし、米国の製薬諸業者がその恩恵を受ける、という流れです。

 以前、米国国際開発局(USAID) が新型コロナウイルスの発生に関わっている可能性がある、と報告しました。

 エコヘルス財団という仲介組織がこの病原体の研究計画導入における主要な役割を負っています。2015年以来、この財団の専門家らがコウモリの生息数の多様性について研究し続けており、コロナウイルスの新しい菌株や動物からヒトへの感染の仕組みを調査してきました。総計2500を超える病原体が調査されてきました。

 新型コロナウイルスの感染が中国で報告される2ヶ月前の2019年10月18日に、ジョン・ホプキンス大学がニューヨークでイベント201という演習をおこなった、と記憶しています。

 この演習は、これまで知られていなかったコロナウイルスの流行を想定していて、その筋書きによると、豚を媒介にして、コウモリからヒトにウイルスが感染した、というものでした。

 この筋書きでパンデミックが進展するという想定は、エコヘルス財団による計画の導入という点も含めて、Covid-19が意図的に放出されたかもしれない、そしてこの件に関して米国の関与があるのでは、との疑問を引き起こします。

 世界規模での生物研究の統率(とうそつ)権を打ち立てる戦略的計画実現のための米国による次の一手が、「疫病の世界的流行の準備及び対策局」の創設でした。



 同局の創設が正式に発表されたのは、2023年7月21日、大統領官邸のサイト上でした。

 この新しい組織が責任を持つのは、既知あるいは未知の生物学的脅威に対して対処法を定め対策を打ち出すことだとされました。その脅威の中には、世界規模で緊急事態を引き起こすような新たな病原体も含まれます。

 同局が優先的に取り組む課題には、ウイルスやその変異体を緩和するワクチンや薬品の研究及び生物生産における最新技術の導入も含まれます。

 大統領補佐官及び国家安全保障会議の世界健康安全保障・生物防御部の上席課長である米国のポール・A・フリードリヒス退役空軍少将が、この局の長をつとめることになるそうです。したがって、2019年と同様に、米国はウイルスの変異を探すことにより、新たな世界的流行の準備を既に始めているのです。米国がいわゆる防衛のための技術を攻撃する目的で使用しない、とは言いきれません。さらには、世界を統治するという目的で、生物学上危険な状況を作り出すこともないとは言えません。

 そのような意味合いで、大統領官邸は新たな政府機関を立ち上げ、同時に米国の不法な生物学研究についての世界各国からの懸念をしずめようともしているのです。



 米軍感染症研究所の所長は、現在コンスタンス・ジェンキンス大尉がつとめていますが、この研究所が、軍部の生物兵器計画において主要な役割を担うことになるでしょう。

 気をつけておくべきことは、この研究所は、生物兵器関連施設があるフォート・デトリック基地で設立され 、生物学上の安全基準段階が最大の4段階(BSL-4)研究室があることです。

 この研究所は、国防総省が設立した電子による疾病監視総合体系(EIDSS)の主要部になります。

 特殊軍事作戦中に入手した文書からわかったことは、この研究所が、世界の様々な地域での危険な病原体の収集や未登録の種々の薬品や軍民両用の計画の導入に直接関わってきたことです。そしてそれらの行動を命じていたのは米国防省国防脅威削減局(DTRA)でした。

 米陸軍感染症研究所は、ウクライナでの米国の生物学研究に関わってきました。したがって、この研究所の代表者たちは、積極的にUP-1やUP-8という暗号名で呼ばれていた作戦を積極的に行ってきました。これらの計画においては、節足動物を媒介に使い、リケッチアやダニ媒介性脳炎ウイルス、コンゴ・クリミア出血熱、ハンタウイルスを広める可能性についての研究をおこなっていました。

 この研究所の代表者たちは、南アフリカ、アフリカ、トランスコーカシア、東南アジアで積極的に活動しています。海軍の医療研究施設やウォルター・リード陸軍研究施設が、この研究に試用されています。

 2014年から2016年のウガンダ、ケニア、ギニア、リベリアでのエボラ熱の流行により、アフリカ諸国での米陸軍の感染症研究所の駐在人員数が大幅に拡大され、恐ろしい病気の生きているウイルス標本を手に入れました。

 したがって、この研究所の生産および実験基地が各地にできたことで、生物学的な現状を世界規模で監視することが可能になり、恐ろしい病原体を使った軍が取り組む研究を最大限に実行できるようになったのです。具体的には、生物兵器の研究であり、その中には人や動物の危険な病気の病原体の病原特性を強化する研究も含まれていました。

 ロシア連邦の国防省は、ウクライナ軍による生物研究の拡大を許可する書類を認可する文書を入手しています。



 今日、ウクライナ国家機関や複数の私企業の代表者らが載せられた一覧表について追加補足を行います。これらの人々は、米国の軍による生物研究計画の導入に関わっていました:具体的には、

ナターリア・デュードゥコ。STCU(ウクライナ化学技術センター)の管理・運営係で主任技術官。25年間、様々な科学分野における250件以上のSTCUの計画を管理してきた。

 リュードミラ・チェルネンコ。ウクライナ保健省の公共保健センター長。米国が資金提供した研究計画に参加したウクライナ側の専門家一覧の中に名を連ねています。

 アレクサンドル・マツコフ。ウクライナ保健省公共保健センター副センター長。米国が資金を出したCovid-19に関する軍民両用研究計画の導入全般を監督しました。

 ロシア国防省は、生物工学関連企業の重役らや国防総省と契約していた人々の名前を今後も公表し続けます。これらの人々が、ウクライナ領内で米国の軍事・生物研究計画の導入に関わっていました。


米国は外国で未承認の薬物の試用実験を実行

<記事原文 寺島先生推薦>
US Planned to Test Unregistered Drugs Abroad – Russian MoD
出典:スプートニク   2023年7月18日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>   2023年8月1日



© AP Photo / John Minchillo


 モスクワより(スプートニク) –米国は、軍を使って、未承認の医薬品の治験を国外の国々の人々を対象に行い、巨大製薬業界の利益拡大をはかろうという計画を立てていた、とロシアの放射線・化学・生物防衛部隊隊長のイゴール・キリロフ中尉が、火曜日(7月18日)に発表した。

 同将軍によると、国防総省は再び、米国の巨大製薬業界の利益を拡大しようとしているという。そして、これらの巨大製薬業界は民主党の選挙運動の主な資金提供者となっている、という。

 同将軍は、米国防省の「公用のみ」と書かれた文書に注意を払うよう述べた。この文書は、2015年以来のロシアによる軍事作戦により解放されたウクライナ領内で見つかったものであるが、この文書にはウイルス性の熱病に対する薬品の臨床実験のことが記載されていた。

 「この文書の執筆者の中には、米陸軍感染症医学研究所 (USAMRIID)の職員らもいたのですが、そこには、世界中の米軍駐留地域での新薬の治験に対して、迅速に対応できる移動部隊を創設する計画が書き込まれていました。この計画には、移動可能な研究基盤施設の創造や医療従事者の訓練も含まれていました」と同将軍は報告した。

 この文書によると、米国は人間に対する臨床実験や新薬の登録申請に関する標準的な手順を設定していた、という。そして計画されていた治験手順は、 米軍アフリカ司令部が駐留する地域で実行され、その後、米海軍医学研究センター(NMRC)の全ての外国支所にも拡大するものとされていた。

 「このように、国防総省は米軍を使って、未承認の医薬品の治験を当該地域の住民を実験台にして行い、その後、規制当局によりその医薬品が承認され、いわゆる「ビッグ・ファーマ(巨大製薬会社)」の利益拡大に繋げようと計画していました。これらの目標を達成するために、傘下の複数の生物研究所やメタビオタ社などの中間組織の繋がりを利用することが提案されていました」と同将軍は語気を強めた。

 キリロフ中尉はさらに、「機密事項」と書かれたメタビオタ社の商品提案書にも注目するよう促した。この文書はウクライナ内の生物研究所で見つかった文書の中にあったものであり、宛先は米軍感染症研究所だった。この文書には、ケニアやウガンダで感染症の専門家を訓練する問題が記載されていた。

 「この文書の記載内容から、米国国防脅威削減局(DTRA)や国土安全保障省、米国国際開発庁、欧州連合のいくつかの組織が、「人道的な協力」という印象を与えるために、アフリカ諸国での病原菌の研究に関わっていたことが判明しました」ともキリロフ中尉は強調した。

 さらに、この文書により明らかになったことは、メタビオタ社が鳥インフルエンザA(H7N9)の研究に関わっており、「予言」計画において主導的な役割を果たしてきたことだった。この計画においては、新たなコロナウイルスの菌株の研究と自然界でこれらのウイルスを媒介するコウモリの捕獲が行われていた。同将軍は、メタビオタ社は、米国の現大統領の息子であるハンター・バイデンや米国政府組織と深い関係にあることも言及した。

 「それと同時に、メタビオタ社の重役らが自ら認めていることですが、彼らが特に重点を置いていたのはコネを作ることだったのです。その目的は、国防総省やその他の米国の外国組織からの仕事を確実に得るためでした。ウクライナ科学・技術センター(USTC)や米国防省と契約を結んだその他の組織の職員らは、この研究に積極的に取り組んでいました」と同将軍は付言した。

国防総省が、生物兵器を使った戦争と世界中の人々を実験台にした人体実験を巨大製薬業界のために実行した手口とは

<記事原文 寺島先生推薦>
How the Pentagon Conducted Biological Warfare, Human Experimentation on the World on Behalf of Big Pharma
出典: INTERNATIONALIST 360°2023年7月18日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>   2023年7月30日





記者会見でウクライナやその他の国々において行われていた生物兵器に関する米国の活動について語るロシアの放射線・化学・生物防衛部隊隊長のイゴール・キリロフ中尉。 (訳註:キリロフ氏の発言は青色で示しました。)

 ロシア国防省は、ウクライナやその他の国々おける米国の生物兵器に関する活動についての分析を継続している。

 西側による厳格な検閲にもかかわらず、我が国が提示した情報が、外国の報道機関で取り上げられるようになってきたことを、お伝えしたい。



 タイムズ誌、ガーディアン紙、ニューヨーク・ポスト紙、スカイ・ニュースなど世界的に権威のある通信社が、最も人目を引く話題についてのいくつかの記事を出している。具体的には米国の生物研究所における安全基準違反、ボストン大学出の病原菌の機能強化実験、ウクライナで完遂できなかった研究計画の他の国々の領内への移転、などだ。

 同時に、米国国務省は、活発な情報および宣伝作戦に着手し、米軍の生物研究者らが、「米国は生物兵器禁止条約を逸脱している」というロシアからの非難を無力化しようとしている。米国の管理下にある国際科学技術センター(ISTC)が、この努力において重要な役割を果たしている。

 この組織は、ウクライナにおける米国の生物研究所に関する情報に対抗するインターネット上の活動に資金を出し、旧ソ連領内での米国政府によるこれらの計画にいい印象を抱く世論の育成につとめている。このISTCという組織は、米国のコンサルティング(助言提供)会社である、「木馬作戦(Wooden Horse Strategies)」という会社と契約を結んでいる。この契約により、少なくとも月に8回、関連した話題に関する投稿を行っており、さらにはこの件に関する「親露」派のオンライン上の投稿を監視し、アクセスを閉鎖するなど、即座の対応を取っている。



 さらに、ウクライナでの米国による生物研究活動については、米国内の一般市民や政治家たちからますます多くの疑問の声が上げられている。

 例えば、米国の大統領候補であるロバート・ケネディ・ジュニア氏は、米国政府による生物兵器に関わる活動を激しく批判しました。

 ケネディ氏の発言によると、ニクソン元米大統領は、1969年に生物兵器計画の終了を一方的に宣言したが、当時存在していた開発事業が全廃されることはなかった、と言います。

 米国の軍の上層部の関与を排除するために、すべての利用可能な情報や資料は米国国立衛生研究所に移送されました。

 ケネディ氏は、生物兵器に関連した工作の実行における中央情報局の役割を強調しました。その最初の工作が、「紙ばさみ作戦」でした。この作戦のために、日本やナチスドイツの専門家らが第2次世界大戦後米国に連行され、軍の生物研究における「これまでの体験を移行」するよう命じられました。この作戦の目的は以下のとおりでした。(引用開始):「 兵器の実験計画の開発するため、これまで唯一生物兵器を使った体験がある日本の科学者たちを連行した」(引用終わり)


 覚えておいていただきたいのは、日本の生物兵器開発者らが生物製剤使用問題に特別な注意を払っていた点だ。さらには、節足動物媒介性の病気の伝染と拡散についても注目していた。

 この点において、米国国防省の研究施設が、感染学上重要な感染病を媒介する蚊やダニの主要な種に関心を持っていることは偶然の一致ではない。具体的には、リフトバレー熱、西ナイル熱、デング熱などだ。

 前述の通り、このような研究は、米国内や外国にある研究施設などの専門施設で行われている。これらの研究施設では、100種以上の蚊やダニが研究対象として集められている。ビル&メリンダ財団が資金提供している生物工学会社のオキシテック社のような民軍両目的に使われている施設で、媒介動物が大量生産されている可能性がある。



 米軍の専門家らは、自然の生息地で収集された媒介動物を適応させ成長させるための技術を首尾よく習得した。彼らが開発した方法を使えば、実験室でアルボウイルスに感染した蚊やダニを生産することができる。

 注意していただきたいのは、上記のような研究活動が行われれば、病気の流行状況の悪化や、媒介動物の生息地の拡大につながりかねないことだ。つまり、自然界での病巣感染が、人工的に作られるということを言っている。媒介動物の拡散が制御されていない状況から考えると、国や地域全体が流行に巻き込まれる可能性がある。

 例えば、南欧と中欧において、その地域にはもともと生息していないアジア原種のトラ蚊の数の増加が記録されている。ドイツでは、このトラ蚊の個体群が定着していることが、5つの連邦区で確認されている。さらに、西ナイル熱の媒介者である別の蚊種(アカイエカ)がスウェーデンとフィンランドで確認されている。

 同時に、動物が媒介しない感染病の発生率の増加がEU諸国で認められた。欧州疾病予防管理センターによると、2022年にヨーロッパでは過去10年間よりも多くのデング熱感染者が記録されたという。

 西ナイル熱の発生率も頂点に達し、1000人以上が感染し、そのうち92人が死亡した。蚊に刺されたことにより感染するジカ熱感染があったことが、フランスで初めて記録された。
 
 つまり、米国の軍生物研究者たちの活動目的は、「人工的に感染病の流行を作り出すこと」であり、生物兵器禁止条約(BTWC)の枠組みや国連事務局の仕組みの中で生物兵器を使用しているという事実調査から統制されない状態にあるということです。

 ロシアによる特別軍事作戦が進行する過程において、米国防相がウクライナ領内で行っていた専門的な研究活動が確認できる多くの文書が発見されました。


 以前、ウォルター・リード軍事研究施設についてすでにお伝えした。その報告によれば、多くの支所を有しているこの軍事研究施設は、感染学上重要な病原体の「供給源」となっているとのことだった。諸文書により確認がとれていることだが、この施設の職員の参加のもと、2014年から2020年の間のドンバスでの戦争期に、ウクライナ国民AFU(ウクライナ軍)の軍人たちから生体材料が回収されていた事実も明らかにされた。

 今日私は、米国海軍生物兵器研究所(NAMRU)について詳しく記したい。海軍所有の7つの生物兵器研究上の中の3カ所が、米国外に置かれている。それは、イタリア、カンボジア、ペルーである。NAMRUの組織は、感染が懸念される地域に位置する駐在所や相互結合された支所が基盤となっている。

 プノンペンにあるアジア支所のNAMRU-2だけで、年間5千点以上の病原菌の標本を分析しており、同じほどの数の生体材料が、南米で回収されている。

 NAMRU-6支部では、2023年4月以来、民間施設であると装いながら、疾病管理予防センター・ラテンアメリカ支所の支援のもと、研究活動が行われている。

 NAMRU-6支部での研究活動はアルゼンチンにまで拡大される見込みである。アルゼンチンには、同施設の研究所のひとつが、生物研究施設の安全度を表す最大基準のBSL(Bio Security Level)-4に格上げされることになっている。この新たな施設での研究の訓練が、米国の非政府組織である「健康安全協会(Health Security Partners)」により施されている。



 NAMRU-3支部は、2019年、 イタリアのシゴネラ空軍基地に設置された。同時に、昆虫学者や微生物学者や感染病の医師らを含むこの研究所の職員は、エジプトやガーナ、ジブチで、非常に危険な感染症(エボラ熱、デング熱、マラリア)の自然界の病巣に関する研究をおこなっている。

 注意しておくべきことは、イタリア駐在の海軍生物兵器部隊が米国の3つの戦略軍の支援をしていることです。中央戦略軍、欧州戦略軍、アフリカ戦略軍です。そしてこの部隊の主要な使命は、CITATA、つまり「軍事的に重要な疾病の研究、監視、検出」なのです。

 つまり、NAMRUの外国諸支所の研究活動組織は、米国の国家利益や国家戦略、生物学上の安全面における計画文書と完全に合致しており、その目的はNATO軍が駐留している地域での生物学研究の状況を管理することにある、ということです。


 同時に、NAMRUの海外諸支所での研究活動は、病原体の収集や輸出にとどまらない。

 再び、国防総省は米国の巨大製薬企業の利益拡大を促進しようとしているのだ。これらの巨大製薬企業は民主党候補の選挙運動の主要な資本提供者となっている。

 米国内務相が「公用」という印を付けた文書を見ていただきたい。この文書は、ロシアによる特別作戦により解放されたウクライナ領内で入手されたものだ。日付は2015年と記載されており、ウイルス性の熱病に対する臨床医療行為の体制に関するものだった。この文書の著者の一人に、米軍感染症研究所の職員がいたのだが、この文書によると、米軍が駐留する世界各地で新薬の検査をするために、素早い対応ができる移動部隊の創設が計画されていた。

 この計画の中には、移動式研究施設の設立や、医療従事者に対する訓練も含まれていた。そして、ヒトに対する臨床実験や医療製品の登録申請についての標準的な対処法が開発されていた。

 活動の手順は米国のアフリカ戦略軍の管轄地域において実行され、その後NAMRUのすべての海外支所に拡大されるものであると考えられていた。

 つまり、国防総省が計画していたのは、米軍を利用して、当該地域の住民を対象に、まだ登録されていない医療製品の臨床実験を行い、その後で規制当局から承認をうけることで、いわゆる「巨大製薬業界」に利益をもたらそうとしていた、ということです。

 下部組織である複数の生物研究所やメタバイオータ社などの中間組織の繋がりを利用して、これらの目的を達成することが、提起されていました。


 もうひとつ注目していただきたいのは、メタバイオータ社の商品申込書に「機密書類」と記載されていたことだ。この書類はウクライナ国内の生物研究所のひとつで見つかったものだ。 宛先は、米軍の感染症研究施設であり、ケニアとウガンダの感染症専門家の訓練に関するものだった。

 この文書が示しているのは、米国国防脅威削減局(DITRA)や国土安全保障省国際開発省、多くの欧州関連組織がアフリカ大陸のこれらの国々での病原菌の研究に絡んでいることだ。



 メタバイオータ社がH7N9鳥インフルエンザウイルスの研究に関わっていた事実や、さらには同社が「プレディクト計画」において主導的な役割を果たしていた事実が確認されました。この計画は、新種のコロナウイルスや自然界でそのウイルスを媒介している捕獲されたコウモリの研究をおこなうものでした。

 当サイトで何度も取り上げてきたとおり、メタバイオータ社は、米国現大統領の息子のハンター・バイデンや政府諸組織と繋がりがある。同時にメタバイオータ社の複数の代表者自身が認めていることだが、実際この会社は国防総省やその他の米国の外国の諸機関の活動を確実に行うための繋がりに加わっていたのだ。



 ウクライナ科学技術センター(USTC)やその他の米国国防省の契約組織の構成員らは、この活動に積極的に関わっていた。

 当サイトは今後、米国の生物兵器計画において、これらの組織が果たしてきた役割についてのさらに詳しい内容を焦点的に追いかける所存だ。次回は、これらの研究が、世界の多くの地域で感染状況の悪化に繋がった点を取り上げる。

ウクライナが化学兵器を使用とロシア人ジャーナリストが主張

<記事原文 寺島先生推薦>
Ukraine using chemical weapons, Russian journalist claims
Banned substances were reportedly deployed in Zaporozhye Region
報道によれば、禁止物質がザポリージャ地域で使用されたとのこと。
出典:RT 2023年5月11日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年5月19日



資料写真:ウクライナ兵士 © Muhammed Enes Yildirim / Anadolu Agency via Getty Images


 ウクライナ軍が化学兵器を使用し、吸引後に意識喪失を引き起こした者も出た、とロシア軍の情報筋を引用して、木曜日(5月11日)にコムソモリスカヤ・プラウダ紙のアレクサンダー・コツ記者が報告した。情報筋が伝えたこの攻撃はザポリージャ地域のオレホフ近くで発生した。

 コツ記者は、国際的な条約で禁止されている物質の使用が、ほぼ間違いなくウクライナの攻勢の一部で行われたように見える、とTelegramで書いている。

 コツ記者によると、ハルキウの外で西側から供給された戦車が目撃されているとのことだ。同時に、ウクライナ軍はアルチョーモフスク(ウクライナ側はバフムートと呼称)の北と南において、ロシアの陣地に攻撃を開始した。

 ロシア国防省は木曜日(5月11日)の夜、ザポリージャの前線では「活発な作戦は行われていない」と述べ、また「特別軍事作戦地域の一般的な状況は管理下にある」と述べた。

 先週の間に、複数の西側の関係者が述べたところによれば、ウクライナの大規模反攻に必要なすべての武器、弾薬、および物資が既に供給されているとされている。木曜日(5月11日)には、イギリスが長距離の「ストーム・シャドウ」ミサイルをキエフに供給したことを確認した。



関連記事:キエフ、反攻の前に「もっと時間が必要」―ゼレンスキー

 しかし、ウクライナのゼレンスキー大統領は、犠牲者を避けるためには、攻撃を開始する前に、もっと時間とより多くの装甲車両が必要だと主張した。同じインタビューで、ゼレンスキー大統領は、ウクライナは先週クレムリンを攻撃したドローンとは無関係であると主張した。

 昨年、数ヶ月間キエフ側でボランティアをしたというロバート・F・ケネディ・ジュニア氏によれば、ウクライナは約30万人の軍事的犠牲者を出しており、ロシアよりも遥かに高い割合で損害を受けているとのこと。

 ドネツク人民共和国当局は、ウクライナ軍が2月にドローンから化学兵器を投下したと非難、ウクライナ人がソーシャルメディアで共有した前線の報告や映像を示した

 2月下旬、ロシア軍は、クラマトルスクのウクライナ軍が、暴動鎮圧剤のCS(クロロベンジリデンマロノニトリル)およびCR(ジベンゾキサゼピン)を含む16個のコンテナを受け取ったと警告した。また、ウクライナ軍と共に「外国の市民」が同行しており、モスクワはアメリカがドンバスで「偽旗作戦」を計画している可能性があると示唆した。

 化学兵器は、ウクライナとロシアの両国が署名している国際的な条約である化学兵器禁止条約(CWC)によって禁止されている。この条約は1997年に発効した。

米国の生物研究所についてロシアによる調査完了

<記事原文 寺島先生推薦>
Russia’s investigations about US biolabs concluded
筆者:ルーカス・レイロス(Lucas Leiroz)
出典:BRICS 2023年4月17日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年5月19日

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ルーカス・レイロスは報道関係者、地政学研究センターの研究員、そして地政学専門の助言者である。

 ついに、ウクライナの領土でのアメリカの生物研究活動に関するロシアの調査が完了した。特別な議会委員会が編成され、ロシア軍によって発見され、無力化された軍事生物研究所での生物兵器の生産などの犯罪の証拠を、委員会は注意深く分析した。この議会の特別委員会は、ロシアの放射線、化学、生物防衛部隊に関連する専門家と1年以上にわたって協力した。結果は、ワシントンが実際に違法な生物軍事活動を続けていることを示している。

 調査官たちは、アメリカが「核の冬」と同等の深刻な被害を引き起こすように遺伝子組み換えされた「普遍的な生物兵器」の生成に取り組んでいる可能性があると指摘した。ロシアが収集した情報によれば、ワシントンは戦争時における敵兵士だけでなく、動物や農作物さえも被害を与える兵器の開発を計画しているとのこと。これにより、これらの病原体の増殖によって影響を受けた国を完全に破壊し、国民、食糧安全保障、そして環境にも影響を与えることが目的とされている。

 実際、この種の兵器が秘密裏ではあれ使用が予期されることにより、アメリカ軍はほぼ打ち勝ちがたい戦略的優位性を確保することになる。そしてこのような状況により、敵勢力がアメリカ軍を打ち負かすことが非軍事的理由により不可能になる。調査官たちは、この種の兵器を保有することが、武力衝突の現代的な性質を完全に変えることを明確にした。これは、多くの軍事的、法的、そして人道的な懸念を生じさせる。

 「アメリカ合衆国は、人だけでなく動物や農作物に感染する能力を持つ普遍的な遺伝子組み換え生物兵器の開発を目指している。その使用には、敵に大規模で修復不可能な経済的被害を与えるという目標が含まれている。(中略)このような兵器を秘密裏かつ対象を絞って使用し、明白な直接的軍事対決が起こる前に利用することで、アメリカ軍は敵対勢力に対して重要な優位性を有する可能性がある。これは、他の大量破壊兵器を保有している勢力に対してさえも当てはまる。(中略)アメリカ軍の見解では、このような効果的な生物兵器を保有することは、現代の武力衝突の性質を変えるための実際の前提条件を作り出すものだ」と報告書は述べている。

 しかし、科学者たちは、このアメリカの計画の存在が「天然痘、炭疽病、ツラレミア(野兎病)、そしてペストなどの通常の生物兵器の使用の重大さを軽減するものではない」と強調した。これらの兵器は、致命性を高めるために改変される可能性がある。加えて、感染症の本当の発生原因を特定することの客観的な困難さもある。感染症の発生は天然のものである場合も人為的なものである場合もあるからだ」と述べた。したがって、同時に監視および制御するためにはかなり多くの危険性が存在することになる。

 ロシアの国境地域での特別軍事作戦により、多くの生物研究所は無力化されたり、または破壊されたりしたが、アメリカの生物軍事作戦は依然として活動中であり、世界各地のいくつかの研究所では、このような兵器を開発するための先進的な研究が行われている。最近の報告には、アメリカがウクライナの領土で、つまりネオナチ政権が占拠している地域で再びこのような活動を行っているという内容もある。

 ロシアの調査団は、これらの作戦がアメリカのファシストの遺産であると説明している。第二次世界大戦中に多くの枢軸国の科学者が捕らえられ、逮捕や処罰を受ける代わりに、アメリカ政府によって秘密の作戦で高度な科学的軍事研究の職に就かされた。その結果、ワシントンは、1930年代と1940年代に既にこれらの主題を研究していたドイツと日本の科学者の支援を受けて、世界で最も複雑な軍事研究体系の1つを作り出したのだ。

 ロシアの研究者たちはまた、このような問題に関する明確で先進的な国際的な規制の欠如が、アメリカの生物テロの生産と拡散能力を増大させるという事実に言及している。アメリカの軍隊および政府と関連する企業は、人道的、健康上、そして科学的な論拠を用いて研究を推進し、こうした違法な活動が行われる研究所を建設している。

 「こうした取り組みに対する国際的な統制の欠如は、アメリカに対して他の国での行動の際に、道徳的および法的な規範や人道的な原則に制約されず、一般市民の要求を無視した活動の機会を与えている」と、調査官たちは付け加えた。

 最後に、科学者たちは、生物学的問題が防衛と安全保障の議題において中心的な問題として扱われるよう、ロシア当局に推奨している。遺伝子組み換え、病原体の検出、およびこれらの病原体によって引き起こされる疾患の早期診断、治療、予防のための効果的な対策が急務だ。報告書では、問題の解決策として、生物工学と合成生物学の研究に対する「管理の枠組み」の創設が提案されている。

 実際、ロシアは長い間、米国国防総省の深刻な生物兵器問題に警告してきた。この問題は西側諸国や国際機関によって無視されており、彼らはこのような態度がもたらす危険性の程度を理解していないようだ。生物兵器の開発は、全ての国によって調査され、迅速に非難されるべきなのだ。それはアメリカと良好な関係を持つ国々でさえも、多くの人々にとって存在の危険性をもたらすからだ。

 さらに、新たな病原体の創造によって人間、動物、そして植物に感染し被害を与える能力が開発されており、ある国やその人口を完全に壊滅させることを目指している、との調査結果の指摘にさらなる注意を喚起する必要性を今回の事例は求めている。したがって、このような兵器が戦場で使用される前に、国際連合での議論と対策が急務だ。それにより、前例のない規模の暴力と被害が引き起こされることを防ぐ必要がある。

ジョージアとウクライナにある米国生物研究所:若手兵士は今でもモルモットとして使われているのか?

<記事原文 寺島先生推薦>

US Biolabs in Georgia and Ukraine: Are Young Soldiers Still Being Used as White Rats?

ヘンリー・カメンズ(Henry Kamens)

INTERNATIONALIST 360°

2023年3月21日

<記事原文 寺島メソッド翻訳グループ>

2023年4月9日

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 いったん何かが否定されると、しかもむきになって否定されると、それが真実であるのか、あるいは不都合な問題がありすぎるのか、どちらだろうかと思うことがある。たとえば米国がウクライナの実験室で製造したサリンガスがシリアで使用されたといった古いニュースなどは、無人機から投下された毒ガスの入った容器で、恐ろしい死を遂げたロシア兵の生々しい映像を見れば、これはまさに今現在の時事的な問題になる。

 問題のニュースは、2014年にさかのぼる。トビリシ(ジョージア)で、米国が出資するルガー研究所で働いた後、複数の米国人防衛契約者が、同じ症状で死亡したことが明らかになったのだ。彼らの死は公式には食中毒とされ、ジョージア人ジャーナリスト(複数)は、ジョージア情報局から取材はするな、と脅された。

 しかし、複数の情報源(オンラインニュースサイトNEOに頻繁に寄稿している米軍情報誌Veterans Todayのゴードン・ダフやジェフリー・シルバーマンなどを含む)が、2014年に偽旗攻撃の一環としてシリア政府のせいにした「シリア化学兵器攻撃に米国の契約者(複数)が関わっていた」ことを、労を惜しまず記事にしたのだ。

 ダフは、ジョージアからシリアに化学兵器が海上輸送される仕組みを詳細に説明した。シルバーマンは、ダフが提供した情報が信頼できる情報源に基づいていることを確認し、ダフとアメリカの退役軍人のチームが、シリアの化学兵器の供給がトルコ経由で外から入ったことを突き止めた。

 実際、シルバーマンは、彼が数年前にボルジョミのBP(英国の石油会社)の倉庫からトルコ国境までトラックで運ばれていた貨物を追跡したため、ジョージア治安当局に拘束されたことがある。その貨物は、羊飼いを装ったトルコ情報機関(MIT)の手に渡り、最終的にはシリアの反政府勢力が使用するために移送されたことは明白であったという。

 次のことは、認識しておくべき事実である。つまり、①シルバーマンは、ケンタッキー大学に在学中、米国の化学兵器保管場所であるケンタッキー州リッチモンドのブルーグラス陸軍基地に駐在したことがあり、そのような兵器がどのように保管、輸送、配備されるかを内部関係者として知っていたこと、そして、さらには、②ベクテル・ナショナル社(米国の多国籍総合建設業者)との繋がりや、ジョージアや旧ソ連における米国の生物兵器研究所、研究施設、(これらの施設の表向きの任務はそうだとされている)公衆衛生の三者は繋がっているという主張についても彼は知っていた。


ウクライナもしかり!

 「ブルーグラス陸軍基地(BGAD)は、全領域の軍事作戦を支援するため、米国の統合戦闘員に、信頼性が高く、タイムリーで費用対効果の高い軍需品と化学防御装置の提供に尽力している」と自負している。その中にはウクライナも含まれている可能性が高いが、そのことには触れていない。

 しかし、BGADにあるのは化学兵器の備蓄だけではない。イグルーと呼ばれる土で覆われた弾倉が902基あり、そのうちの853基は、世界中の米国の共同戦線に送られるさまざまな通常弾薬を保管するために使用されている。

 ダフとシルバーマンは、地下壕や特殊な化学・生物・核研究施設の建設に使用できる重金属が、2010年にジョージアに輸入された経緯についても、詳しく説明している。

 ロシア国営テレビのイズベスチヤは2月下旬、米軍がバイオ資材(ESP、特に危険な薬剤)の一部をウクライナから移設したことに関する一連の調査報道を行い、ジョージアの首都で、若い新兵を含む住民に対して、危険なウイルスのナチス式実験が今も行われていることを詳細に伝えた。

 これに対する大衆の憤りは、すでにトビリシで燃え上がったと言われている。ペンタゴンが管理するルガー・センターで今も行われている危険な実験について、ジョージア在住の自由契約の特派員、ゲオルギー・ジャビシュヴィリが、ますます多くのことが分かってきたと報じた。


ジョージア、ウクライナ、そしてNATO加盟国における米国の軍事プロジェクト

 ジャビシュヴィリは最近、ジョージア、ウクライナ、そしてNATO同盟国における米国の軍事プロジェクトの間の、不都合なつながりを調査するために協力している複数の回答者にインタビューを行った。ジェフリー・シルバーマンとゴードン・ダフによる以前の調査に続き、ジョージアの調査員と共同で、ウクライナ軍が使用する化学・生物兵器の証拠も入手することに成功した。

 例えば、作戦行動中の2人のロシア兵が痙攣を起こす短い映像があるが、これは苦痛を伴う死をもたらす神経ガスによるものであろう。この映像は上のリンクから見ることができるが、閲覧には十分な注意が必要である。

 ジョージア退役将軍のトリスタン・チテラシビリによると、反応は、見たところ、毒殺でしか生じないもので、「見るからに怖い」ものだという。生物・化学兵器は使用が禁じられており、米国もウクライナと同様、これらを禁止する条約や文書にすべて署名している。

 「軍人として、どうしてこのような兵器を使うことになるのか、想像もつかない。全員、ハーグ裁判で裁かれるべきだ。全員だ! 組織した者も、この種の兵器を使用した者も、だ」と、ジョージア元将軍のチテラシュヴィリは語った。

 ウクライナから急遽持ち出され、その後リチャード・ルガー研究所に届けられた「試験管」(水筒、シャーレ)の経路を追跡した秘密文書のコピーを受け取っていることから、将軍は自分の主張に自信を持っているのである。

 「少なくともコンテナ1個分が、ここに持ち込まれたことは確かだ。例えば、ウクライナでは、兵士が戦車の下に身を投げ出すような特殊な錠剤や、ウクライナ軍ですでに使用されている窒息性ガスが製造されていた」と彼は言った。

 プーチン大統領が2週間前の連邦議会演説で、その脅威が特別軍事作戦を開始する理由の一つであると述べたのは、ウクライナなどにあるそうした研究所を指していたのである。

 アメリカの生物学者たちの仕事の成果は、研究所の開設からわずか1年後の2012年には、トビリシで広く知られていた。シルバーマンは、2ヶ月前にいくつかのTVインタビューで同じことを示唆し、「歴史が書かれるとき、ウクライナにおけるロシアの特殊作戦の主な理由の一つは、ロシアの国家安全保障と国際公衆衛生と安全に対するバイオの脅威のためである」と詳しく述べた。

 ウクライナにこうした生物学的研究室が存在することは、8日、米国が公式に確認した。ビクトリア・ヌーランド国務副長官は、生物学的研究がロシア軍の手に渡ることがあってはならないと述べた。これらの研究がロシア軍の手に渡ることがあってはならないと、彼女は言ってしまったのだ。つまり、研究所が存在しないのであれば、そんなことが起きることはないということだ。


自国(アメリカ)に持ち帰れ

 ロシア軍の手に渡らないように、米軍とその民間業者が協力して、生物研究所(複数)をウクライナからジョージアへ移送していることが明らかになりつつある。ジョージアの首都では現在、危険なウイルスの実験が行われている。

 これらの研究所が実際にどのようなことに関与しているのか、多くの主張がある。そのため、これらすべてがどこへ向かうのか、言い切ることは難しい。5月、ジェフリー・D・サックスは、コロンビア大学のニール・L・ハリソン教授とともに『米国科学アカデミー紀要』に論文を書き、COVID-19が研究所で生まれたとする見解を示した。

 ある人には当たり前のように見えることに疑問を持つことは、自分の評判やキャリアのことがあるから、難しいことだ。しかし、「6月、(サックスは)スペインのシンクタンクでの公的発言でさらに踏み込み、COVIDウイルスはおそらくアメリカ起源であると述べ、NIHと中国の間には、エコヘルス・アライアンスを経由したつながりがあることを考えると、パンドラの箱は空けられるのを待っているようだ」と述べている。


真実は我々を自由にする

 FBI長官は、COVIDパンデミックは中国の研究所から発生した可能性が高いと今では発言し、また エネルギー省も、COVID-19パンデミックは、中国の研究所からの漏洩が原因とする可能性が高い、と結論付けている。

 彼らはこれが「ニュース」であるかのように振る舞っている。これまで3年間沈黙し、それを口にした人たち全員を黙らせてきたというのに。それは隠しようもなかった事実なのに、今になって、FBIとエネルギー省は、実際に知られていたことをようやく認めたのもこれが明らかな事実だからだ。そう言ってきたのに、彼らに黙らせられてきた人たちはどうなのだろう。謝罪を手にすることになるのだろうか?

 ジョージアとウクライナで、合計3,000人の若い新兵が、しばしば強要され、適切なインフォームド・コンセントなしに、民間研究という薄っぺらなベールで覆われたペンタゴンの攻撃的なプログラムの一部として、自分の血を使われたことが米軍の文書からわかっている。この研究については、「ジョージアCBR(生物化学兵器)/DTRA(アメリカ国防脅威削減局)における人間疾患疫学とEDPs(電子情報処理)調査」(GG-21)と記載されているだけで、公的な言及は殆ど見当たらない。

 クリミア・コンゴ出血熱(CCHF)、西ナイルウイルス(WNV)ブルセラ症、野兎病、炭疽病、Q熱など、人類が媒介する感染症や人獣共通感染症に関する研究も行われている。これらが公衆衛生にとって重要であると言われているにもかかわらず、GG-21プログラムは脚注として言及されるだけで、その不穏な目的はすべてインターネット上から消去されてしまっている。

 筆者は、ルガー研究所で働く関係者(米国人とジョージアの両方)から提供された、この研究に関連する危険な文書を持っている。これらには、その目的が次のように記されている:

(1) 過去に資金提供を受けたCBEP(共同生物学関与プログラム)プロジェクトから収集したサンプルやヒトサンプル(GG-21)を用いて、患者集団におけるCCHFV(クリミア‐コンゴ出血性熱)およびハンタウイルス(Hantaviruses)の有病率と血清学的多様性を決定する。選択されたサンプルは、安全実験室(BSL-3)または高度安全実験室(BSL-4)という密閉された研究所でウイルス特異中和試験(ワクチンの効果を確かめるための試験)を行うために、米国陸軍感染症研究所(USAMRIID)に送られる予定。

 これらすべては、ジョージア軍病院と米国陸軍研究連合(USMRU-G)との間で、特に危険な病原体(EDP)を標的とした戦略的研究協力を確立するための取り組みの一環であるとされている。この研究の実験的性質は、軍自身の文書によって確認されており、研究に使用された材料のほとんどが、米国食品医薬品局の認可を受けておらず、あまり正確ではない酵素免疫吸着測定法(ELISA)の迅速検査であることが記述されている。

 この研究は、先行被爆に関連する疫学的危険因子を特定し、特に危険な病原体(EDS)に関する科学的研究のために軍の疾病監視システムを利用するものだ。1,000人の若い新兵(多くは徴兵された人)の血液サンプルは、ウクライナからのいわゆる新兵2,000人も参加する、米軍の広範なプロジェクトの一部として使用されることが見込まれている。得られた知識は、14種類の病原体の基準値を確立し、調査や医学的審査とともに、軍事目的に使用される予定だ。

 シルバーマンが最近のテレビインタビューで語ったように、より平易な言い方をすると、「彼らは何百人もの兵士、つまり契約書にサインすることを許されない若い素朴な人々を連れて行き、保険に加入させ、インフォームド・コンセントを提供したと称し、彼らから血を抜き、そして彼らがその気になれば拒否できること、そして「おそらく」拒否できないことについて、彼らを検査したのだ。

 「国際学習到達度調査(PISA)の結果やさまざまなメディアの報道によると、ジョージアでは例年、15歳の60~70%が、十分に読み書きができるようになっている。2009年のPISAプラス報告書によると、ジョージアの生徒のうち、生活において効果的かつ生産的に参加するために必要な基準値以上の読み書きの能力を有する、と推定されたのは、わずか38%だった。

 「当然ながら軍隊に入ることになる人の多くは、大学に進学したり、医療や支払いを含む他の革新的な方法を見つけたりして、強制的な兵役を回避することができなかった人々です。当然、彼らの読み書きレベルは低く、若い兵士として、権威や訓練中の強い仲間にひどく怯え、言われたとおりにしないと、少なくとも彼らの想像の中では、兵舎に戻ったときに酷い目に合わされるかもしれない、ということなのです」。


これは生物兵器の実験だったのか?

 米軍の機密文書によると、ジョージアでの研究期間はおよそ5年と考えられている。 アメリカ国防脅威削減局によって記録が無期限に保管されるため、遅かれ早かれ、この明らかに違法な研究がやろうとしたことについて、歴史に記されることになるだろう。

 この研究の研究者は、ニュルンベルク綱領と臨床研究における被験者保護の法的根拠を無視したようであり、同じ法的根拠に基づく法的賠償に直面する可能性がある。ニュルンベルク綱領は、1947年にニュルンベルクで行われた医師裁判の最後に起草され、過去60年間、医学・研究倫理の基礎として機能してきた。

 それを精査すると、1931年の「人体実験ガイドライン」に基づいていることがわかる。ドイツ軍は、ウクライナや旧ソ連の一部で、戦傷者のために子どもたちから血を抜いたのではなかったか。

 プロジェクト報告書によると、「この研究で各ボランティアから採血される量が、貧血の症状につながる可能性は非常に低い」ということを知ることができるのは良いことだ。しかし、報告書はまた、「この研究調査に参加することで、個々のボランティアに直接的な利益があるわけではない」とも述べている。

 したがって、この研究の唯一の目的は、国際条約法上違法な生物兵器関連の研究である。除外基準はすべて自己申告とし、年齢確認は行わず、記載された副作用は一切考慮しない。

 新兵の多くは、識字能力がないことはさておき、ジョージアの少数民族の出身である。このことは、米国国防総省の規則やジョージアの公衆衛生規則で規定されているインフォームド・コンセントが求められなかったことと相まって、この研究はヨーゼフ・メンゲレ式の戦争犯罪に近いものとなっている。


インフォームド・コンセントの翻訳

 本研究の規定にはこう書かれている:「ボランティアがインフォームド・コンセント文書(ICD)を読めない場合は、研究チームメンバーが読み聞かせ、ボランティアは署名欄に印または指紋を付け、研究チームメンバー以外の立会人がその過程を観察し、ICDに署名と日付を記入する」とある。しかし、この文書はジョージア語で書かれており、アゼリやアルメニアなどの民族に属する新兵が全員知っているわけではない。

 ジョージア語をよく知らない人への対応については言及されておらず、すべての翻訳は訓練を受けた翻訳者が行い、英語版をジョージア語に翻訳するとだけ説明されている。ナチスの死の収容所ではこうだったのだろうか。

 当然のように、この研究に関連した死亡はCOVIDに起因するものとして片付けられてきた。報告書の最後のセクションである9:0 予期せぬ問題や死についての報告では、これら予期せぬ問題や死の定義に当てはまる条件について、非常に制限的な基準が設定されている。すなわち:

・承認された研究手順および被験者集団の研究内容に照らして、(性質、重大性、あるいは頻度の点で)予想外であること
・被験者の研究参加に関連する可能性があること;そして
・研究により、対象者または他者が、これまで知られていた、または認識されていたよりも大きな危害(身体的、心理的、経済的、または社会的困難)を受ける危険性があることが示唆されること。

 これらの文書は、軍やルガー研究所で働く人たちが調査ジャーナリストと共有している。一部の事実確認サイトは、これらを偽ニュース、ロシアによる偽情報と見なし、関係するジャーナリストを批判したいと考えている。

 ジョージアの生物兵器プログラムを暴露した主要な調査ジャーナリストには、脅迫や物理的な攻撃さえある。これでもこの研究は、公衆衛生に関わる内容なのだろうか?

西側はウクライナの生物研究所を隠蔽しようとしている。コソボでの臓器闇取引と同じことを繰り返している。

<記事原文 寺島先生推薦>

West Will Brush Ukraine Biolab Allegations Under the Carpet Just Like Those of Kosovo Organ Trafficking

筆者:アレクサンダー・パヴィック(Aleksandar Pavic)

出典:INTERNATIONALIST 360°

2022年8月13日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2023年4月2日




 欧米の言説統制は、責任を転嫁し、犯人をごまかし、都合の悪いことは追及されないようにするために、フル回転する。

 アメリカのナンシー・ペロシ下院議長が最近台湾に降り立った直後、ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は、アメリカのニコラス・バーンズ駐中国大使を「不遜で馬鹿げた行為」に関して「恥ずかしげもなく沈黙している」と非難した。

 この沈黙は、わずか1カ月前に北京で開かれた世界平和フォーラムで、声高なバーンズが中国に対し、ウクライナ紛争を「NATOが始めたと非難」する「ロシアの宣伝扇動」の伝達行為を止めるよう要求した時とは、打って変わった態度だった。このときバーンズは、中国外務省の報道官が「ウクライナに存在しないアメリカの生物兵器の研究所について嘘を言っている」と非難したのだ。

 しかし、それはその時のこと。今は西側の「ルールに基づく秩序」において、その都度新しいルールが必要になっている。したがって、当分の間、バーンズは別の重大事件になりそうな件についても「ばつの悪い沈黙」を守ることになるだろう、ということは言うまでもない。8月4日にロシア国防省が発表した、ウクライナで米国が運営する生物実験施設の疑いに関する最新の、米国をさらに追い込むような声明である。ロシア軍の核・生物・化学防護部隊の責任者であるイーゴリ・キリロフ中将は、モスクワはCovid19の大流行にアメリカが関与している可能性を検討しており、アメリカが資金提供している他のさまざまな病原体の研究についても調査していると述べた。

 バーンズの沈黙の理由は推測に難くない。キリロフの発表にあった重大な疑惑は、もし適切に調査されて真実であることが証明されれば、アメリカがウクライナを広大な病原体の実験場として利用する可能性を告発するものとなりうるからである。そして、西側報道機関はほとんど無視を決め込んでいたため、バーンズ大使は、西側報道機関が引用しなければならないような声明を出すことなど絶対にするはずもなかった。そんなことをすれば、この問題に注目を集まってしまうからだ。そして今、ツイッターは、Covid19の起源の可能性に関するキリロフのメディア発表の重要な部分をあえて引用したことで、ロシア外務省のアカウントを停止した。バーンズたちはまったく何も言う必要がない。ソーシャルメディアによって記憶封印されたのであれば、それはなかったことになるからだ。

 それが、西側支配者層の手口だ―-大事なのは真実ではなく、人々の心に疑いの余地を残さないように、うまく言説を管理すること。つまり、自分たちは、したいことは何でもできると思っている。

 冷戦後の西側諸国が2000年代初頭の浮かれた時期に発表した公式を思い出すべきかもしれない。この時代は、もう一つの有名なアメリカ政治家の言葉、カール・ローブの「我々は今や帝国であり、我々が行動するとき、我々は自らの現実を創造する」という言葉に特徴付けられる時代だった。トニー・ブレアの政策顧問であるロバート・クーパーは、2002年4月の『ガーディアン』紙上で、平然とこう言い放った: 「近代後の世界への挑戦は、二重基準という考え方に慣れることだ。私たちは、自分たちの間では、法律と開かれた協力的な安全保障に基づいて行動している。しかし、近代後のヨーロッパ大陸の外にある、より古風な国家を相手にするときは、以前の時代の荒っぽい手法に戻る必要がある。武力、先制攻撃、欺瞞など、いまだに19世紀の「各自のための国家」の世界に生きている人々に対処するために必要なものは何でもある。自分たちの間では法律を守るが、ジャングルで活動するときは、ジャングルの法律も使わなければならない」。

 20年後、中国とロシアが台頭し、世界が後戻りできない多極化に向かいつつあるにもかかわらず、帝国主義の習慣はなかなか消えない。現在ウクライナで起きているように、また台湾でも必ず起こるであろう現実の壁にぶつかるまでは、だいたいはそうである。しかし、バーンズの話に少し戻ろう。バーンズが「ジャングル」で二重基準を強要するのは、今に始まったことではない。台湾に関しては龍(北京)、そしてほぼすべての面に関しては熊(モスクワ)、をつつくようなことを今やっているが、その前に、バーンズは1990年代にNATOがセルビアに対して行った違法な侵略、つまりコソボを一方的に分離独立させたことの当事者であり、代弁者として名を馳せていたのである。

 また、バーンズは2009年、米国の政治問題担当次官時代に、プリシュティナ(コソボの首都)の独立承認は、米国の「セルビアとの良好な関係への関心」の表現であると報道機関に説明している。やがて、中国や台湾に対しても、同じような表現をするのだろうか。西側の外に出れば、バーンズとその一派にとっては、まだすべてがジャングルであり、「原住民」にはそれなりの対処が必要である。つまり、バーンズに言わせれば、ペロシが台湾に滞在し、米国が台湾を支援し続けることを約束したのは、実は米国が中国との良好な関係に関心を抱いていることのしるしなのである。

 旧ユーゴスラビア国際刑事裁判所(ICTY)の検察官として国際的に有名になった英国人ジェフリー・ニースは、コソボ-中国-ウクライナの危機的状況の中で、西側に影響された多国籍国家の流血による崩壊の責任をセルビア人にのみ押し付けることを唯一の目的とした人物である。セルビアのスロボダン・ミロシェビッチ元大統領を「人道に対する罪」で、選び出しして起訴したことに加え、ニースのICTYでの実績には、コソボでの人間の臓器売買に関する証拠隠滅の嫌疑も含まれている。

 ニースはその後、コソボ前大統領のハシム・タチに法的な支援を提供した。タチは、人身売買だけでなく、主にセルビア人囚人の臓器を「強制的に摘出」した疑いがあり、欧州評議会の2011年報告書「コソボにおける人身売買と非人道的扱い」に記載された主要な人物の1人である。この報告書はまた、「少なくとも5カ国」の麻薬対策機関が、タチが「ヘロインやその他の麻薬の取引を暴力的に支配していた」と述べていることを紹介している。しかし、この報告書を信用させまいとするニースのその後の試みは、アメリカの記者、ダイアナ・ジョンストンによって見事に論破され、「不罰の文化」の特権を自分たちとその顧客のためだけに確保しようとする「独善的な西側民主主義」の代表者による最新の試みであると暴露された。もちろん、「ジャングル」の顧客は、帝国的な「ダブル・スタンダード」の傘の代償を払わなければならないので、結局、ニースは、コソボ政府のために働いたタチに「50万ユーロ近く」の貸しがある、と訴えたと報じられている。

 ザハロワはつい最近、タチがしていたとされる恐怖の館をより詳細に説明した:コソボは 「闇」 の移植の地である。人々は生きたまま解剖され、西側にいる人々に売るために内臓を取り出される...西側では臓器移植手術のために行列ができた。そして、コソボが、人々が消えていく恐ろしいブラックホールになったとき、西側の人間はこれらの臓器を受け取り始めたのだ。消えた人々はただ殺されただけでなく、内臓を売るために殺されている。

 ニカラグアの独裁者アナスタシオ・ソモサへの米国の支援を正当化したフランクリン・D・ルーズベルトの不朽の名言を借りれば、彼らは<ろくでなし>かもしれないが、彼らは<西側が生んだろくでなし>である。

武漢の研究所で米国が資本を出して行われていた「非常に危険な」研究とは?


武漢の研究所で米国が資本を出して行われていた「非常に危険な」研究とは?

<記事原文 寺島先生推薦>

Deadly bat caves & humanized mice tests: Released docs describe ‘HIGHEST RISK’ involved in US-funded coronavirus research in Wuhan

Russia Today ワールド・ニュース 2021年9月3日

<記事翻訳寺島メソッド翻訳グループ>
2021年10月15日
 

 米国のインターネットメディアである「The Intercept(インターセプト)」社が入手した文書によると、米国政府はこのパンデミックが起こるずっと以前に、武漢におけるコウモリの体内のコロナウイルスの研究に資金を投じていた、とのことだ。その提案書の記載によれば、米国はその研究に携わる研究者たちに感染の危険があることを承知していたようだ。

 この研究に関する900頁以上からなる文書が、8月31日に非営利のメディアであるインターセプト社から公表された。この文書は米国の現行の法律である「情報自由法」を根拠に、インターセプト社が米国国立衛生研究所に対して、開示請求した文書の中の一部だった。

 この文書が詳細に明らかにしているのは、米国を拠点としたNPO法人である「エコヘルス・アライアンス」という協会の動きだった。この協会は、感染症の予防を専門にしており、コロナウイルスに関して中国の提携団体と共同して、特にコウモリ起源の感染症の予防に関して力を入れていた協会である。


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Deadlier than Covid-19, but less contagious: What we know about Nipah bat-borne virus threatening to become new scourge in India

 さらにこの文章が詳しく明らかにしていたのは、エコヘルス・アライアンスが合計310万ドルの補助金を米国政府から受けていたことであり、うち59万9千ドルが武漢ウイルス研究所に流れていた、ということだ。武漢で受け取られた資金は、コウモリ由来のコロナウイルスを特定し、そのコロナウイルスを遺伝子操作することに使用された。そしてそのウイルスは人間に感染する恐れもあった。

 エコヘルス・アライアンスのピーター・ダスザック(Peter Daszak)協会長は、その研究の一つを指揮していた。その研究のタイトルは「コウモリからの新しいコロナウイルス発生の危険」だった。この研究の目的は、何千というコウモリを調べて新型コロナウイルスを特定することだった。さらにこの研究の目的には、生きた動物を扱っている人々を調べることも含まれていた。

 しかし公表された文書には、その計画によってもたらされる危険が認識されていたことを示唆する内容が記されていた。「フィールドワークを行うことは、SARSなどのコロナウイルスに感染する可能性が最も高い行為である。コウモリが密集し、コウモリの糞尿を吸い込む可能性がある洞窟の中で研究活動を行うことになるからだ」と研究の助成金請求書類には記載されていた。

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 「この提案書において、研究者たちが実際に指摘していたことは、この研究活動が非常に危険なものである、ということです。研究者たちは、コウモリにかまれる危険性についてずっと話していました。そしてコウモリにかまれた人についての記録をずっと残していました」と、米国のブロード研究所(the Broad Institute)所属の分子生物学者のアリーナ・チャン(Alina Chan)氏は、この文書の公開を受けて、インターセプト社にこう語っていた。

 ほかに明らかになったことは、ヒト化マウス(つまり、人間の細胞や、遺伝子や、組織、さらに器官と同じ機能を持つネズミのこと)を使った実験が、武漢大学の動物実験センターで行われていた事実だった。この実験所のバイオ・セイフティレベルは3だった。そしてこの実験所は武漢ウイルス研究所内にはない実験所だった。ちなみに武漢ウイルス研究所が、中国本土で初めてバイオ・セイフティレベルが4とされた研究所と考えられている。

 この研究は、2014年から2019年に行われ、2019年に更新されたが、前トランプ米大統領により中止された。エコヘルス・アライアンスの報道担当ロバート・ケスラー(Robert Kessler)氏は、この件に関して発言できることはほとんどないと語っている。「研究を行うための補助金を出してもらう申請を行っただけです。関連当局が、我々の研究が重要なものであると認めたために、資金を出してくれた、それだけです」とだけケスラー氏は語っている。

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href="https://www.rt.com/russia/533861-golikova-sanitary-shield-project/" >Russia building 'sanitary shield' network of labs working with dangerous viruses, to understand pathogens & develop new vaccines

 COVID-19に関するすべての情報を公開していないとして、米国は中国を非難しているが、インターセプトによれば、今回の開示された情報の開示請求を米国当局に対して行ったのは遡ること2020年9月のことだったという。

 この文書からは、COVID-19が中国の研究所から流出したという決定的な証拠を引き出すことはできていない。しかし、この文章から分かったことは、コウモリ由来のコロナウイルスに関する危険な研究が行われていたという事実である。しかもそれはこのパンデミックが起こる数年前から実施されていたという事実だ。さらに米国はそのような研究が行なわれた事実を把握していただけではなく、その研究に資金まで出していた、という事実である。しかも、ウイルスが動物由来であるとすれば、コウモリがその原因であるとずっと考えられてきたのだ。 

 世界保健機関の専門家たちは、中国で今年1月にほぼ1ヶ月間かけた調査を行った。その報告書によると2019年に武漢で発生した症例は、「動物由来」であると考えられるということだった。それは「(最初に感染した)多くの人々が、武漢華南海鮮卸売市場に行ったことがある、あるいはそこで働いていた、と答えているから」という話だった。

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Scapegoating China cannot whitewash the US’: Beijing blasts Washington ahead of American report into Covid-19 origins

 中国政府は二度目の調査を行うことを拒絶し、研究所から流出したという説を否定しようとしている。そして逆に、中国は米国の軍の生物兵器研究所の調査を行うよう求めている。

米国は旧ソ連の国々に生物化学研究所を配置。それに対するロシアの反応は?

<記事原文 寺島先生推薦>
US Biolabs in Former Soviet States. Moscow Reacts.

Global Research 2021年5月13日

アンドリュー・コルブコ(Andrew Korybko)著

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2021年6月28日


 ロシア連邦安全保障会議ニコライ・パトルシェフ書記が今週(5月第2週)初旬にスプートニク紙に語ったところによると、米国はいくつかの生物化学研究所において、秘密裏に生物化学兵器を開発している、とのことだ。そして、その生物化学研究所は世界中に存在し、その研究所に対して米国は資金援助を行っているとのことだ。同書記は以前、旧ソ連諸国内にあるそのような研究施設が、ロシアや、世界の他の国々に与えている脅威についてすでに告発していたのだが、今回はその告発をより広げる声明であった。

 生物兵器については、昨年のCOVID-19の流行以来、人々の話題の的となっている。このウイルスが中国の研究所から偶然流出した生物兵器ではないかと考えられたからだ。世界保健機関が最近この件に関して、「研究室から流出した」と考えることはほとんどあり得ないとの研究結論を発表したのではあるが、いまだにこの言説はなくなってはいない。この推測が正しいか、正しくないかにかかわらず、「研究所から流出したかもしれない」という推測が、「生物兵器計画が人類に与える脅威」についての関心を広めることになった。このような状況を念頭において、ロシア連邦安全保障会議ニコライ・パトルシェフ書記が、最近触れざるを得なかった脅威について耳を傾けるべきだ。

 パトルシェフ書記が、今週(5月第2週)スプートニク紙に語った内容によると、「近年、米国と米国の同盟国であるNATO諸国が、世界中の多くの国々で生物科学の研究を深めている。米国は、各国で生物科学研究の必要性に応じた行動計画を開発しているが、特に力を入れているのは軍関連の研究だ」とのことだ。この発言は、先月彼がロシアで人気のある経済日刊紙の「コメルサント」紙とのインタビューで語った内容から、さらに一歩踏み込んだものだ。そのインタビューでパトルシェフ書記は、ロシアや中国に近い場所でそのような兵器を開発している事に対して、米国を非難していた。

 パトルシェフ書記はCOVID-19の流行を政治利用している、という西側の専門家たちの主張はあるが、Russia Todayの取材によれば、パトルシェフ書記はすでに2015年からこのような脅威について警告を発していたのだ。

 ロシアはこの脅威を深刻に受け止めており、ラブノフ外相は、最近南コーカサスにあるアルメニアを訪問した際、生物科学に関する協定を結ぶことに同意した。アルメニアは米国の研究施設のひとつを招き入れているというあまり良くないことで有名だ。ロシアはさらに、米国がロシア国境付近で挑発的に行動することを許している他の旧ソ連諸国とも、同様の協定を結ぶことを望んでいる。ロシア外務省のトップであるラブノフ外相が5月に語ったところによると、「我々はタジキスタンと政府間覚書を交わすことができました。さらに我々は、ウズベキスタンの同朋とも同様の協定が結べるよう努力しています。さらに、カザフスタンやアルメニアなどの他の旧ソ連の近隣諸国とも協議を行っています」

  ロシアにとって長年の懸念になっているのが、近隣国であるジョージアに位置する米国の研究所だ。ロシア政府は、2013年にも、さらに2018年にも、この施設についての懸念を表明している。この間ロシア政府が主張していたのは、この研究所が、70人以上の死者が出たことと関連があるということだった。南コーカサスにあるジョージアの元国家保安相は同年、その研究所は生物兵器秘密研究所ではないかという推測を口にした。米国とジョージアは両国ともその推測を否定しているが、COVID-19が中国の研究所から流出したかもしれないという不確定な情報(世界保健機関の最新の調査ではその推測はありえないとされてはいるが)が流布する中で、ロシアがそのような流出事故が、自国の国境付近で起こって欲しくないと考えるのは、理解できることだ。

 私が2020年の4月に中国のCGTN紙の論説面で書いた通り、「米国は旧ソ連諸国にある生物科学研究所についての情報を開示する必要がある」のだ。そうするしか人々の当然の心配をなくす方法はないし、米国がそれらの施設で研究している対象が何であれ、そのものが流出してしまう事故を防ぐ方法はない。しかし、このような熟考した上での懸念は、西側大手メディアによって「偽情報である」と間違って報じられるため、このような研究施設について何か発言すれば、ロシアの国家安全保障省の意を受けて撒き散らされたと思われ、「ただの陰謀論」扱いにされてしまうのだ。これはおかしいことだ。というのも、もし米国の国境付近にロシアが研究施設を建築したとすれば、これは、一般の米国人たちがその施設についての情報開示を求めることと同じく、正当な行為だからだ。

 パドルシェフ書記は、この施設が軍の研究所であったかどうかについては発言していない。ただそのような秘密の研究施設に関して国家保安上の正当な懸念があることを公表しただけだ。そしてライバル国である米国が、ロシアの裏庭にこれらの研究施設を建てたことに対する懸念を述べたまでだ。これらの研究施設は、米国や当該国の主張のとおり様々な病気などの検査をしている無害な研究所かもしれないし、本当に秘密の生物兵器研究所かもしれない。米国と当該国である旧ソ連諸国の両者、あるいはそのいずれかが、そこでどんな研究を行っているかの情報をやがては開示しない限り誰にも分からないのだ。 ロシアは全世界を代表して回答を要求しているのだ。そしてゆっくりであっても確実な答えを期待して待っているのだ。そのような施設のひとつが流出事故を起こして手遅れになる前に。そんな事が起こってしまえば、今のCOVID-19の騒ぎなど、子どもの遊びに見えてしまうかもしれない。
*

この記事の初出はOneWorldのこちらの記事。

Andrew Korybko is an American Moscow-based political analyst specializing in the relationship between the US strategy in Afro-Eurasia, China’s One Belt One Road global vision of New Silk Road connectivity, and Hybrid Warfare. He is a frequent contributor to Global Research.

 

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