フェイスブックが検閲のスイッチを「オン」。言論の自由と真実追及権が最大の危機を迎えている。
フェイスブックが検閲のスイッチを「オン」。言論の自由と真実追及権が最大の危機を迎えている。
<記事原文 寺島先生推薦>
The switched-on, censorious billionaires of Silicon Valley are now the greatest threat to free speech and the pursuit of truth
Russia Today 論説面
ノーマン・ルイス(Norman Lewis)著
a writer, speaker and consultant on innovation and technology, was most recently a Director at PriceWaterhouseCoopers, where he set up and led their crowdsourced innovation service. Follow him on Twitter @Norm_Lewis
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2021年6月5日
フェイスブックの「真実追及大臣」が今アカウントを停止すると脅している相手は、正当な科学者だ。理由は、その科学者が、遺伝子組み換え食品反対派の活動家がついた嘘を批判したからだ。状況が非常に由々しき状態に進んでいると言えよう。
いまだに「フェイスブックは善意を守る組織であって、権力者たちがいい暮らしを続けられるための前衛組織なんかじゃない」と考えているお人好しの人たちでさえ、フェイスブックが著名な科学者のアカウントを停止するという先週(5月最終週)行われた発表に関しては、さすがに警告音が激しく鳴り響くのが聞こえただろう。
ALSO ON RT.COM
Facebook’s autocratic Trump ban has tightened big business’s grip on democracy & freedom of expression. We should shudder in fear
フェイスブック社によると、この問題は2015年(そうだ。6年前だ!!)の投稿についてのことだそうだ。その投稿を行ったのは、フロリダ大学のケビン・フォルタという遺伝学者だ。彼が何をしたかって?フォルタ氏は2人の反農薬派の活動家が間違った主張をしたことを批判していたのだ。その2名の主張は除草剤のグリホサートに関して「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(NEJM)」という科学誌に、意見記事として掲載されたものだ。この2名の活動家は、以下の2点について間違った主張をしていた、とフォルタ氏が批判したのだ。1つ目は、この除草剤に発がん性があるという主張であり、もう一つは、NEJMはその除草剤に発がん性があることを認識していたという主張だ。
フォルタ氏はただ、この2名の主張が2点とも間違いであることを指摘したに過ぎない。具体的には、グリホサートのことと、 2名が自分たちの間違った主張を正当化しようとNEJMと関連づけようとしたずるい手口についてだった。
指摘しておくべきことは、この2名のうちの1人であるチャールズ・ベンブルックは、複数の自然食品会社から「研究費」として、10万ドルを受け取っていたことが明らかにされていたことだ。自社の製品の印象を良くしてもらおうという魂胆だったのだ。
①意見記事に書かれていた内容が間違っていたこと、②NEJMがグリホサートが健康に良い効果を与えることを伝えるような編集をしていなかったこと、という2点を強調して指摘したフォルタ氏は、フェイスブックの「コミュニティ規定」から逸脱したとして非難されたのだ。「真実を述べるものたちにとっての御意見番」たるフェイスブックが警告を発したのは、再度同様の過ちを犯せば、フォルタ氏のアカウントを一時停止する、というものだった。
今回フェイスブックがとった振る舞いに関しては、重大な懸念が3点上げられる。
まず第一点。知識や資格がないのに、化学に基づく議論に介入するなど唖然とさせられるくらい傲慢な態度だ、ということだ。このことがなぜそんなに胸くそ悪いかというと、こんなことを許せばどこまで検閲が許されるかの制限がなくなってしまうだろうからだ。 著名な科学者をアカウント停止で脅しているという事実は、フェイスブックが真実をまるで存在しないかのように軽んじていて、さらに真実に対して全く節操がないということを雄弁に物語っている。
READ MORE
Doctors are not always right. But Twitter, Facebook & Google are pure evil for not even allowing alternative voices on Covid
2点目。この事件からわかることは、フェイスブック社は環境活動家たちからの言いがかりを無批判に受け入れているということだ。このような環境活動家たちには、フォルタ氏のような正当な科学者たちをアカウント停止に追い込めるべく、彼らの過去の投稿を嗅ぎ回って不適切な投稿と思われるものを捕まえるだけの時間的余裕が十分あるのだ。
3点目。フェイスブックが、環境活動家たちの情報網からの情報に基づいて行動していないのであれば、フェイスブック社自身が真実と見なしていない投稿を排除しようとしていることになる。環境問題についての懸念などはどうでもよく、だ。この方がより由々しき状態だと言える。そうであるとしたら、フェイスブックが、政治的な検閲を行うSNSへと変貌を遂げたことになるからだ。本来は、「真実が大切にされ、激しい議論が自由に行われる空間の提供」という主張を掲げたSNSであるはずなのに。
さあ、しっかりして、コーヒーの香りを確かめながら考え直さないと。ソーシャル・メディアというのは非常に強力な手段だ。いまやソーシャル・メディアは、民主主義の過程のひとつに組み込まれている。いわば公共の場のひとつとなったのだ。だからこそ、極少数ではあるが強力な力を持つひと握りの金持ち連中が、ソーシャル・メディアを支配し、取り締まることを許せば、これは未来に向けての大きな脅威となるのだ。
フェイスブックがすることには、全て疑問の目を向けなければいけないのだ。フェイスブックが繰り出しているよく分からない今どきの「コミュニティ規定」とは、得手勝手で、偏りのある検閲の飾りに過ぎない。言い換えれば、フェイスブック社と、差別や環境問題にうるさいフェイスブックの応援団が、 おかしいと決めつけた人たちを排除するためのマニフェストに過ぎないのだ。
フェイスブック社は、耳あたりの良い言葉を使ってこんなことを利用者に求めている。「自分たちに関わる問題について、オープンに話し合ってもらいたい所存です。他人が賛成できない意見や、他人から見てあまりよく思えない意見がでることもあるかもしれませんが」と。 専制政治の独裁者のごとき慈悲の心で、フェイスブック社は恩着せがましくも以下のような希望を述べている。「ある種の市民意識についての内容の投稿は認められる場合もあります。それは投稿を認めなければコミュニティの標準規定に反することになる場合です。つまり知っておく価値のある内容であったり、公共の利益になる場合です。そのような投稿を認めるのは、有害となる可能性よりも、公共の利益の方が勝る場合のみです」。 なんと慈悲深い!!帽子を脱いでフェイスブック様の寛大なお心に感謝申し上げないと。
ALSO ON RT.COM
Twitter and Facebook transformed US politics into a shouting match. Has it saved their monopoly status, or doomed it?
ジョージ・オーウェルが生きていたら、こんな体制を限りない虚無として祝福しただろう。フェイスブック社が、厚かましくも、公共の利益とは何かを決定する方法を設定できる世の中になったのだ。さらにフェイスブック社には、誰を検閲し、何を検閲できるかの決定権もある。さらにもっと寒気のする話だが、フェイスブック社は、どの情報が有害なのかも決めつける力を有しているのだ。
こんな傲慢さは理解できない。2015年に、1人の著名な科学者が真摯な気持ちを持って、一般市民たちに、賛否両論ある科学の問題について教えてくれようとしていただけなのに。それが規定違反にされるなんて。本当に理解に苦しむ。
公共の利益に対する脅威となるのはケビン・フォルタ氏ではない。結局のところ、科学の分野においては、公に議論を戦わせることが、知識を深めるための血肉となるものなのだから。私たちの未来にとって脅威になるのは、議論することや、偽情報を批判することではなくて、フェイスブック社が自ら検閲を行うという傲慢さなのだ。フェイスブック社は、自分たちが裁判官であり、陪審員であり、死刑執行人であり、著名な科学者たちに対してさえも横柄な態度を取れると思い込んでいる。となれば、一般庶民の私やあなたたちに対する態度がとうなるかは、言うまでもない。
科学者たちに対してこんな態度なのだから、安全な人は誰もいなくなることは確実だろう。 今はフェイスブック社を排除すべき時なのだ。 フェイスブックに変わる新しい公共の場が必要なのだ。成熟した大人たちが、自由に意見を交換し、意見を戦わせ、真実を得るために公に議論が出来る公共の場が。
さあ、フェイスブック社と、その武器である「コミュニティ規定」を批判しようではないか。そんな規定なんて、フェイスブック社が、自分たちが儲けるために作ったに過ぎないのだから。私たちの個人情報を悪用しようとしているだけなのだから。彼らにとっては真実なんてまるっきりどうでもいいことなのだから。