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動物性食品はなぜ危険なのか(後半)

<記事原文 寺島先生推薦>
The USDA Permits the Dangers Lurking in Animal-Based Foods. Fish and Dairy Additives, Microplastics, Improper Meat Handling…Part II
魚や乳製品の添加物、マイクロプラスチック、不適切な食肉処理、等が引き起こす危険性を米国農務省も容認。
筆者:リチャード・ゲイル(Richard Gale)とゲアリー・ヌル(Gary Null)博士
出典:Global Research 2024年11月28日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年12月6日


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乳製品添加物

現時点では、牛乳に含まれる天然ホルモンの存在とその影響は、今日の畜産の過剰産業化による危険性に比べれば、ほとんど些細なことに思える。家畜の工業的飼育に伴う牛乳や乳製品のもうひとつの汚染物質は、乳牛に乳量を増やすために日常的に注射されている遺伝子組み換えウシ成長ホルモン(rBGH)である。

モンサント社(現バイエル社)は、おそらく世界で最も裕福で最大の農業開発企業であり、食品産業ロビイストであるが、長年にわたりrBGHをポジラックという商品名で販売してきた。同社はこの乳製品添加物の製造と販売で世界的独占を築き、その後この会社をイーライ・リリー社に3億ドルで売却した。それ以前、モンサント社は酪農家にポジラックを販売する自由を維持するため、FDAと全米酪農評議会に積極的に働きかけた。多くの人々が、このホルモンの使用について健康上の懸念を表明した。1999年には、101カ国を代表する国連食品安全機関が、モンサントの遺伝子組み換えホルモン乳に対する一時停止を全会一致で決定したほどである[31]。にもかかわらず、米国はこの禁止令を採択せず、rBGHは依然として乳牛の飼育における標準的なものとして使用されている。しかし、EU、カナダ、日本、オーストラリアなど多くの国では、何年も前にrBGHを禁止している。

なぜrBGHの使用に対してこのような懸念があるのか? 徹底的に調査された健康上の懸念の1つは、rBGHの有無による牛乳の比較で、rBGHは最終的な乳製品に多くの細菌を残すことが示されたことである。また、ホルモン注射後に発生した感染症の治療に使用された抗生物質を保存する手助けもしている。

しかし、このホルモンの健康への脅威に対する主な懸念はそれではない。国連がポジラックの使用禁止を決定した第一の理由は、結腸がん、乳がん、前立腺がんと関連があることである。癌やその他の病気の発症に関与する可能性のある物質として、IGF-1がある。IGF-1は重度の炎症性疾患に関連する生体分子で、rBGH処理された牛乳に含まれている。IGF-1の濃度は、未処理乳の10倍にもなる。また、処理乳に含まれるIGF-1は、ホルモンを投与していない牛乳に含まれるIGF-1よりもヒトのタンパク質と強く結合するため、より強力であるようだ。[32] このIGF-1分子、すなわちそれを運ぶrBGHが、糖尿病合併症や糖尿病性腎症の初期段階 (尿中の高タンパクによる腎障害) において主要な役割を果たしているという証拠がある。

『What's in Your Milk』の著者であるサミュエル・エプスタイン医学博士は、rBGHによる健康への脅威がどのようにして生じるのかについて、広範な研究を行なった。彼は、rBGHの痕跡は「腸から吸収され・・・腸から吸収されやすい高レベルのIGF-1と一緒になって・・・吸収される」と書いている。IGF-1は初期の微小がんに対する自然な防御機構を阻害する」ため、この分子は身体の防御力を弱める。そして、IGF-1は腸を拠点とする大腸癌発症の原因になり得るだけでなく、IGF-1は乳癌や前立腺癌の原因にもなりうるとエプスタインは警告している[33]。

牛にrBGHが投与されると、成長ホルモンの注入による感染を防ぐために、硫黄ベースの薬剤が投与される。この抗生物質の痕跡が牛乳から検出される可能性があり、これらの硫黄系薬剤は癌を引き起こす可能性がある。

さらに、一般的に動物に抗生物質を頻繁に投与すると、細菌が薬剤耐性を持つようになる傾向があり、これらの細菌はしばしば牛乳に混入する。さらに、ホルモン注射の影響か、牛の生活環境が不健康であることに関連して、細菌と戦うために、牛の体内で膿ができる。乳牛が乳腺炎に感染すると、その細胞の90%以上が膿を作る炎症細胞である[34]。これは当然のこととして、FDAもこれを牛乳の中にある許容される「添加物」として許容している。結局のところ、膿は天然の副産物であるというのがFDAのあげる理由である。FDAはこの点を考慮し、牛乳1リットルあたり7億5,000万個の体性膿細胞の存在を許可している[35]。対照的に、EUは1リットルあたり40万個の体性膿細胞の存在を許可している。

多くの抗生物質が牛に投与されているが、それが私たちの牛乳にどのような影響を与えるのだろうか? トロント・ベジタリアン協会が指摘しているように、「抗生物質、主にペニシリンは、乳腺炎(乳腺の炎症)の治療のために牛に投与される。ペニシリンを投与された牛は、48時間は搾乳しないことになっている。この予防措置が守られない(しばしば守られない)と、ペニシリンが乳汁中に混入してしまう」[36]。コンシューマーズ・ユニオンとウォール・ストリート・ジャーナル紙がニューヨーク大都市圏の牛乳サンプルを検査したところ、52種類の抗生物質が検出された。アイスクリーム、ヨーグルト、チーズのトッピングを食べれば、抗生物質も摂取することになる。

魚類添加物

魚を食べることは健康に悪い結果をもたらす可能性がある。だが、こんなことも考えてほしい。魚というのは、まともな人間ならあえてそこから飲むこともしないほど汚染された海や湖に生息しているのだ。

魚は汚染物質の海に浮かんでいるため、私たちは魚を食べるたびに、その肉とともに有害な化学物質や重金属、そして病気を媒介する生物を摂取していることになる。このことは、「責任ある医療を求める医師委員会(PCRM)」の責任者であるニール・バーナード医学博士のような一流の医師も指摘している事実であり、同医師は「人間が水生環境を汚染した結果、魚肉を食べることは大きな健康被害をもたらすようになった」と説明している[37]。

リチャード・シュワルツがその論文『Troubled Waters』で指摘しているように、今日私たちが食べている魚は、「有毒化学物質で味付けされた脂肪とタンパク質の混合物」にすぎない。コンシューマーズ・ユニオン(消費者組合)は、6ヵ月にわたる調査の過程で、ニューヨーク、シカゴ、サンタクルーズの市場で検査された魚の半数近くが、ヒトまたはヒト以外の糞便由来の細菌、病原性蠕虫、そして寄生虫に汚染されていることを発見した[38]。

多くの健康監視団体が、魚類摂取のリスクはプラス面を上回るという結論に達した。米国科学アカデミーの医学研究所の報告書によれば、「魚介類は人間がメチル水銀にさらされる主要な原因である」という。メチル水銀は、認知障害、記憶喪失、協調運動障害を引き起こすことで知られる強力な神経毒である。この研究の考察では、次のように指摘されている、

     「心臓発作を起こした人が魚介類を食べることによって将来の心臓発作のリスクを減らすことができることを示唆する証拠は、以前に考えられていたよりも少ない、と委員会は結論づけた。また、魚介類を摂取することで、糖尿病、がん、アルツハイマー病、その他の病気のリスクが減少するかどうかも明らかではない」[39]。

アメリカ人の大好物であるマグロには、微量のメチル水銀が含まれている。FDAとEPAの水銀問題に関する科学アドバイザーを務めたアリゾナ大学の毒物学者で分子細胞生物学と薬理学の教授であるヴァス・アポシアンは、ビンナガマグロの水銀濃度は非常に高いので、消費者はこの魚は絶対食べるべきではないと報告している。「少量の魚を食べること[さえ]、安全でない可能性がある」[40]。

FDAとEPAが、「子供と出産適齢期の女性は、ビンナガマグロを週に6オンス(1缶)以上食べないように水銀の摂取を制限すべきである」という国家保健勧告を出したとき、アポシアン博士は「危険なほど甘い勧告」と批判した。彼が見抜いたように、食品業界はFDAとEPAの水銀に関する警告を緩めるために影響力を行使したのである[41]。

アメリカ人が大好きな魚のもうひとつにサーモンがある。サーモンはオメガ脂肪酸を多く含むという評判で人気が急上昇した。しかし、サーモンは最も汚染された魚のひとつとしても有名である。発がん性物質として知られるPCBは、防水剤、塗料、その他多くの工業用途の冷却剤として使用されている。これらの化学物質は現在、工場や農場環境に広く浸透している。[42] 発がん性物質として知られているPCBは、防水剤、塗料、その他多くの工業目的で冷却剤として使用されている。これらの化学物質は今や工場や工場化した農場に蔓延している。

天然の魚を食べることだけが問題なのではない。魚の多くは養魚場で飼育され、水槽やその他の密閉された場所で生活しており、家畜の飼育場と同じリスクがある。実際、今日レストランで売られている魚の大半は、不健康な養魚場で育てられたものである。これは業界の利便性と経済的利益のためだけでなく、天然魚の資源が急速に枯渇しており、魚種によっては90%も減少しているからである。現在比率で天然魚を捕獲すれば、国連食糧農業機関(FAO)は2048年までに世界の魚類供給が完全に枯渇すると予測している。現在枯渇魚のカテゴリーに入っている魚は、もはや捕獲しようにも捕獲できないほど数が少ない。

枯渇の問題に拍車をかけているのは、今日世界で漁獲される鮮魚の多くが、豚や鶏、養殖動物用の魚粉として加工されていることだ。2024年、漁業日報(The Fishing Daily)は「漁獲された魚の約半分、4,900億から1兆1,000億が、主に養殖動物の飼料に利用される魚粉と油に還元される」と報告した[43]。家畜に与えられる魚粉は通常、カタクチイワシやイワシなどの小型飼料魚から生産される。これらの魚は、大型魚、海洋哺乳類、海鳥の主要な食料源となり、海洋食物としては底をつきかけている。その結果、小型魚を過剰に捕獲してしまうと、それらを餌とする魚種を損なうことになる。考えるべきことは他にもある。これらの小魚は、家畜の餌として養殖場に出荷されるよりも、栄養源として人間が直接消費する方が簡単なのだ。これは特に、人々が日々の生存を漁業に頼っている地域には当てはまる。実際、これは食用に動物を飼育することの非常識さを示すもうひとつの例である。

魚類資源が崩壊する懸念があるのは明らかで、代替家畜飼料は苦境にある魚類個体群にとって大きな助けになるだろう。しかし、問題は私たちが思っている以上に深刻だ。科学雑誌『ネイチャー』は、マグロ、メカジキ、カジキなどの外洋種と、タラ、オヒョウ、スケトウダラ、ヒラメなどの大型の地上魚の両方が、大型魚全体のわずか10%しか海に残っていないと報告している[44]。ひとつ確かなことは、私たちの子供の世代になれば、豊かで生き生きとした、健康な自然環境の中に生息する魚を経験する機会がますます減るということである。

家畜と同様、養殖水槽で育てられた魚も抗生物質の過剰投与を受けている。養殖のために作られたひどい環境条件のせいで、養殖魚はさまざまな細菌や寄生虫の病気にかかりやすくなっている。大規模な養殖場を保護・保全するために、養殖業者は大量の抗生物質を使用している。ある研究によると、これらの抗生物質は生分解性がなく、長期間漁場水域に残留するため、また新しい形態の病原性、薬剤耐性病原体が出現するための完璧な条件を生み出している[45]。

消費者は最終的に、魚に残った感染生物やバクテリアとともに抗生物質を摂取することになる。さらに、マラカイトグリーンとして知られる防カビ剤と染料も、こうした薬剤の存在を示す一例である。マラカイトグリーンはガンや遺伝子の突然変異、内分泌障害との関連性が指摘され、1990年代に使用が禁止されたが、現在でも水産工場で違法に使用されている。しかし、魚をより魅力的に見せるための合法的な人工染料は他にもある。そのひとつが合成色素のカンタキサンチンであり、眼球や網膜の損傷や欠陥との関連が指摘されている[46]。多量摂取は再生不良性貧血という致死的な血液障害を引き起こす可能性がある。

六カ国で使用された37のフィッシュペレット (魚から作られた動物飼料) のサンプルを対象とした三件の独立した研究では、各サンプルにPCB汚染があることが判明し、環境作業部会の研究では、天然で捕獲されたものよりも52%多くの脂肪を含む養殖サケが、おそらく最もPCB汚染されたタンパク質源であると報告された。[47] これらの魚はPCBを脂肪に蓄え、最終的には人間に移される。食料品店で一般的に販売されている魚の切り身を対象とした米国の研究では、多くの魚に不要な化学添加物が含まれていることが明らかになり、特に2種類の魚、すなわちブルーフィッシュとロックフィッシュにはPCBを含む健康を脅かす化学物質が最高レベルで含まれていることが指摘された。[48]

牛を飼育するためには、莫大な土地と飼料作物が必要である。養殖も同様だ。その結果、とんでもない逆説的なサイクルが生まれた。魚の養殖業者は、海の魚の資源が枯渇していることに気づいているからこそ養殖に目を向けるのだが、そうすることで、海の魚に頼って自社が飼育する生物を養うことになり、その結果、自由な資源の枯渇に拍車をかけるだけでなく、アメリカ国民をより大きな健康リスクにさらしているのだ。

動物性食品に含まれるマイクロプラスチック

マイクロプラスチックは、大きさが5ミリメートル以下の小さなプラスチック粒子で、破滅的な環境・健康問題となっている。1マイクロメートル以下のナノプラスチックも含むこれらの破片は、より大きなプラスチック破片が分解された結果であるか、化粧品などの製品に使用するために微細なスケールで製造されたものである。一旦環境中に放出されると、これらのプラスチックはなかなか自然分解しないため、何十年も残留する[49]。

関連記事:The Dangers Lurking in Animal-Based Foods:Harmful Additives, Synthetic Hormones, Colorings, Antibiotics,,Glyphosate
(参考映像)https://theoceancleanup.com/ocean-plastic-pollution-explained/

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マイクロプラスチックが食物連鎖に入り込む経路は数多く、深く懸念される。マイクロプラスチックは、不適切な廃棄物処理や不法投棄、産業排水、農業活動などを介して水生生態系に侵入する。魚類やその他の海洋生物は、これらのプラスチックを直接、あるいは獲物を介して間接的に摂取する。陸上では、マイクロプラスチックは土壌や水源を汚染し、しばしば空気中に浮遊して運ばれる。ウシ、ニワトリ、ブタなどの家畜は、汚染された飼料、水、飼料を通じてマイクロプラスチックを摂取する。貝類などの濾過摂食性海産動物は特に無防備であり、その自然な摂食方法によって、かなりの量のマイクロプラスチックを蓄積する[50]。

汚染の範囲は驚異的だ。海洋環境と淡水環境の両方から採取された魚種の30~60%にマイクロプラスチックが含まれているという研究結果がある。タラ、マグロ、タラなど、よく食される魚種が最も影響を受けている。貝類は最も高い汚染レベルを示している。マイクロプラスチックは、牛や家禽の消化管からも検出されている。筋肉組織に蓄積され、最終的に私たちの食物システムに入り込むという証拠もある[51]。

物理的には、これらの粒子は胃腸を閉塞させ、摂食能力の低下や栄養不良を引き起こす可能性がある。化学的には、内分泌かく乱物質として知られるフタル酸エステルやビスフェノールA(BPA)などの有害物質が含まれている。さらに、難分解性有機汚染物質(POPs)はマイクロプラスチックに付着し、毒性を増幅させる。これらの汚染物質は食物連鎖に蓄積され、動物の健康、寿命、生殖システムに重大なリスクをもたらす可能性がある[52]。

残念ながら、人間もマイクロプラスチック汚染による健康への影響を免れることはできない。研究によれば、魚介類の消費者は年間11,000個ものマイクロプラスチック粒子を摂取していると推定されている。マイクロプラスチックは食用魚介類の組織、特に丸ごと食べられる小型の魚介類に蓄積される。これらの有害プラスチックは腸内細菌叢を破壊し、炎症を引き起こす可能性があるため、人間に対する健康上の影響には胃腸障害が含まれる。毒物学的リスクはさらに懸念される。プラスチックから溶出した化学添加物は、時間の経過とともに、ガンや生殖障害、ホルモンバランスの乱れのリスクを高める可能性がある。さらに、ナノプラスチックは血流に浸透することが可能であるため、酸化ストレス、免疫抑制、その他の全身への影響も引き起こす[53]。

食物連鎖の中にマイクロプラスチックが蔓延していることは、プラスチック汚染を減らすために、より厳しい規制措置が緊急に必要であることを裏付けている。この問題に対処するには、廃棄物管理を改善し、産業廃棄物の処理方法を規制し、使い捨てプラスチックの生産を削減するための協調的な取り組みが必要である。水生および陸上の生態系をさらなる汚染から守ることは、環境の健全性にとって不可欠であるだけでなく、人間の健康と食料安全保障を守るためにも極めて重要である。

動物性食品:想像以上の事態が待ち受けている

健康でいるためには、肉、乳製品、魚、加工食品をたくさん食べることが健康的であると信じ込ませるために、多国籍食品産業は何百万ドルも費やしている。広告のほかにも、ロビー活動や政治家への献金にも費用がかかる。2022年、農業関連企業や業界団体は過去最高の1億6,500万ドルをロビー活動に費やし[54]、2024年には選挙献金総額が1億3,000万ドルを超えた[55]。これはもちろん、あらゆる健康リスクが過小評価され、市民をよりよく守る可能性のある(業界にとって)敵対的な法律が最小限に抑えられることを意味する。

1994年のクリスマスに発生した病気のニュースを覚えている人も多いだろう。英国では18万頭の家畜が感染し、発病した家畜の肉を食べた人間に感染する可能性のある病気にかかった。死者は165人に上った。海外でこの病気が発生したとき、牛肉のロビー団体はあわててアメリカ人にアメリカの牛肉は大丈夫だと保証した。

狂牛病の発生は、屠殺された家畜の一部を飼料に再加工する「レンダリング」が一因とされている。何の疑いも持たない草食牛を共食い牛に変え、草食動物を肉食動物に変えてしまう不愉快な行為である。草食動物を肉食動物に変えてしまったのである。英国のパニックと多数の犠牲者が出た後、このやり方は米国で禁止された。しかし、だからといって、病気の兆候がある牛は屠殺場に連れて行かれないし、売られないということではなかった。検査を受け、狂牛病でなければ問題なかったのだ。一部の州の政治家は食肉業界のポケットマネーに深く入り込んでいたため、安全性が証明されていない汚染肉を食べることへの恐怖を活動家が公に語ることを阻止する法律が制定された。

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CJD犠牲者の記念プレートは、プリンス・アルバート堤防のリバーサイド・ウォークに面したランベスの聖トーマス病院の境界壁に設置されている。その額には、死者を弔うために伝統的に墓に置かれてきた菊の花が型押しされている。碑文には「ヒトBSE (vCJD) の犠牲者を追悼します。いつも私たちの想いの中に。ヒトBSE財団」(CC BY-SA 4.0に基づいてライセンス供与)」とある。

結局、狂牛病の脅威が続いたため、2004年12月にこの慣行の禁止が法律で定められた。これらの病気の牛や「歩行困難」牛は連邦政府によって食品供給から禁止されているが、2つの大きな問題が残っている。いくつかの企業が禁止に注意を払わないことと、まだ若い歩行困難子牛を屠殺場に送ることを許す抜け穴が存在することだ。企業が禁止に注意を払わないことについて、米国動物愛護協会 (HSUS) は、カリフォルニア州リバーサイドのウェストランド・ミート社を摘発した。同州の学校給食プログラムへの国内有数の供給業者である同社は、病気の牛や歩行困難子牛の違法な屠殺と販売を行なっていた。これは、現場に8人のUSDA検査官がいたにもかかわらずであった。[56] それにもかかわらず、子牛は「温められた後、または休んだ後、立ち上がって歩くことができる」限り、屠殺されることが許されていた。[57] 悲しいことに、これは食品製造業者が、これらの病気の動物を屠殺室に連れて行くために、殴る、蹴る、電気棒の使用を含む残酷で非人道的な方法を使用することにつながった。

食肉業界のプロパガンダは、自社製品に関連する健康被害の可能性を軽視するだけではない。科学的根拠のない主張も行なっている。例えば、肉に脂肪が多いか少ないかという問題は、肉を食べようと考える人が考慮すべき唯一の問題ではないのだ。

不適切な食肉処理による疾病

CDCの集団発生監視の分析によると、動物性食品は年間約4,800万件の食中毒の原因となっている。その内訳は、128,000人の入院と3,000人以上の死亡である[58]。主な感染源は、鶏肉、牛肉、豚肉、卵といった、米国人が日常的に摂取する最も一般的な肉類をベースとしたあらゆる食品である。カンピロバクターサルモネラ菌の主要な感染源である家禽類は、最も多くの死亡者を出している。肉や乳製品に関連する細菌は、免疫系が弱っている人にとっては非常に危険である。リステリア菌は、一般的に惣菜や食べかけの製品に関連しており、自己免疫疾患を持つ人々にとって特に危険である。実際、リステリア菌は冷蔵や冷凍でも生き延びることができる。

一度食中毒を経験すると、最初の発作の後に再発することがある。メリーランド大学医療センターがその一部をリストアップした:

▪細菌性赤痢の後、白血球の問題、腎臓の問題

大腸菌感染後、腎および出血の問題
・ ボツリヌス症の後、1~2年間の疲労と呼吸困難を伴う長期入院 (1~10カ月)、または悪化すると呼吸不全
▪ サルモネラ症の後、ライター症候群(関節炎のような病気)と心臓の内膜の炎症が起こる。
▪ カンピロバクター症の後は、ギラン・バレー症候群(神経の病気)。

さらに、食中毒のもうひとつの危険性は、身体的な影響が何年も先まで現れないことが多いということだ。AP通信の記事によれば、以下のとおりである:

     「以下のことは、食中毒に関してあまり表に出されることのない事柄である: 大腸菌やその他の食品を媒介とする病気は、患者が最初の発作を乗り切った数ヵ月後、あるいは数年後に深刻な健康問題を引き起こすことがある。科学者たちは今ようやく、これまでほとんど気づかれることのなかった遺産を解明しつつある。彼らがこれまでに発見したことは厄介なことである。AP通信とのインタビューの中で、彼らは、子供の頃に重度の大腸菌感染を生き延びた人々の高血圧、腎臓障害、さらには10年から20年後に起こる完全な腎不全、サルモネラ菌や赤痢菌に感染した後に起こる関節炎、カンピロバクターに感染しただけの軽い症状の人々を襲う謎の麻痺について述べている・・・今のところ、最良の証拠のいくつかは、長年大腸菌に感染した子供たちを追跡調査してきたユタ大学から得られている。大腸菌感染者の約10%が、溶血性尿毒症症候群(HUS)と呼ばれる、腎臓や他の臓器が機能しなくなる、生命を脅かす合併症を発症する」。[59]

さらに、牛乳や乳製品を汚染する細菌のリストは、食肉に関連する細菌と同様である: サルモネラ菌大腸菌リステリア菌(チーズに多い)、カンピロバクター、そしてブドウ球菌などである。

このような長引く悪影響はあまり知られていないため、人々は汚染食品がもたらす最も厄介な結果のいくつかにまだ直面していない。さらに、最初の和解で法的権利が停止されることさえ知らないかもしれない。つまり、この先、万が一病気になったとしても、患者には追加の法的手段がないということである。食中毒に罹った人の大半は、実際の原因が分からないままである。

誤った検査体制

アメリカ人が消費する畜産物の中に、なぜこれほど多くの病原菌に感染した肉が混じっているのかについては、いくつかの説が提唱されている。ひとつは、石油価格がエタノールの増産を促し、トウモロコシの副産物が家畜の飼料として使われるようになっていることである。この飼料は家畜の消化管を有毒な大腸菌の温床にするようだ。これは、米国農務省現場運営局のケネス・ピーターセン行政官補の意見である。

それにもかかわらず、おそらく食品媒介細菌、特に毒性大腸菌の蔓延を防止するための第一の障害は、汚染が最も起こりやすい屠殺場での不十分な政府の検査と食肉処理の慣行である。「食肉処理場は大腸菌汚染の主な発生源であり、米国農務省は、より小規模なダウンライン加工施設での検査サンプリングで検出された汚染肉の記録と、その発生源の遡及にもっと資源を投入すべきだ」と議会公聴会で牛肉汚染について証言したモンタナに本拠を置く食肉包装・食肉処理会社の元経営者ジョン・マンセルは述べた。マンセルはモンタナ・クオリティ・フーズ社を所有していたが、彼の会社のハンバーガーが大腸菌に汚染されていることを農務省が発見したときに問題になった。しかし、彼は肉が工場に来る前にすでに汚染されていたと抗議した。そして、彼はその発生源を特定することもした。USDAの検査に合格したコナグラ・フーズ社だ。この経験が彼の精肉業への反感を買い、活動家になった。

専門家が指摘した安全システムのその他の欠点には、以下のようなものがある:

 ▪屠殺場では、枝肉が毎時390頭もの速度で移動するため、検査が困難になる。
 ▪大腸菌が検出された食肉は、ピザやタコスなど他の製品に使用するために調理することが認められている。徹底的な調理によって大腸菌は死滅するはずだが、汚染された食肉を転用することは、調理前に他の食肉に菌を移す二次汚染の余地を作ることになる。
 ▪大腸菌汚染の対象となる牛肉の大半は、政府や業界の検査ではなく、消費者の疾病がリコールの引き金となる。米国農務省によると、2024年には83.5トンの挽肉が大腸菌汚染の可能性によりリコールされた[60]。

米国史上最大のリコールでは、1億4300万ポンドの肉がリコールされた。厄介な問題は、衰弱した牛が一度も確定されなかった狂牛病にかかっていたことではなく、農務省はこれらの牛が衰弱した状態であっても、牛が保菌している可能性を検出しなかったことなのである。[61] これに国の注意を向けさせたのは動物愛護団体であり、農務省の検査官ではなかった。ホールマーク社の工場はその後閉鎖されたが、それはおそらくそのリコールの汚染された肉を食べた人々にたいした慰めにはならない。

2015年1月、国連食品安全機関は、2014年だけで94件の食肉リコールがあり、半数近くがアレルギー誘発物質であることの未申告によるもので、16件が大腸菌リステリア菌、あるいはサルモネラ菌汚染によるものであったと報告した[62]。 2018年、JBSトレソン社の牛肉リコールは、25州にわたり1210万ポンドのサルモネラ菌汚染牛肉製品にのぼった[63]。コナグラ・フーズ社は、2023年にボツリヌス毒素に汚染された260万ポンドの食肉缶詰製品が不適切な処理によりリコールされた[64]。

家畜検査を妨げるもうひとつの要因は、生産性を高めるために各社が増やし続けている「解体ライン」のスピードだ。屠殺場1カ所あたり平均1.25人の検査官しかいないため、毎日食肉処理される家畜の量が多すぎて、検査体制が圧倒される恐れがある。米国農務省の労働力は、毎年何十億ポンドもの食肉を食品店に供給している米国内2,850の屠殺場を適切に精査するのに十分とは思えない。

豚肉の加熱不足による寄生虫症が恐ろしい病気であるのには理由がある。旋毛虫の幼虫はまず腸管に侵入し、その後、ふくらはぎ、横隔膜、舌などの活動筋に侵入する。重症化すると、心臓の炎症、脳炎、呼吸器合併症を引き起こす。スーパーマーケットや精肉店、レストランで豚肉と牛肉のみじん切りが故意または不注意で混ざると、この細菌が他の肉に混入する可能性があるため、豚肉を食べない人でもこの病気にかかる可能性がある。連邦政府の監督や、寄生虫を死滅させるために豚肉を冷凍保存するという米国農務省のガイドラインがあるにもかかわらず、養豚や豚肉加工の監視にはまだ大きなギャップがあり、その結果、旋毛虫症の大発生や リコールが発生している。2018年には、汚染された生ソーセージが原因で旋毛虫症が発生し、48,000ポンドの豚肉が回収された。

スーパーマーケットの棚やレストランの食卓に並んだ肉から検出された他の致命的な細菌には、リステリア菌サルモネラ菌がある。リステリア菌が人間に感染することはめったにないが、感染した場合の致死率は25%とかなり高い。この菌はいったん細胞に侵入すると、細胞から細胞へと移動しながら増殖し、抗体によって検出される可能性のある血流への再侵入はしない。最も危険なのは、新生児、高齢者、妊娠中の母親、エイズ患者である[65]。その致死性の高さから、市販の食品に含まれているかどうかを調べるための特別な生化学的検出法が開発されている。

サルモネラ菌は、食中毒や食品を媒介とする病気にしばしば関連する腸内細菌である。腸チフスやパラチフスの原因となる。サルモネラ菌感染の可能性をなくすという現実的な望みはない。米国科学アカデミーは、「不本意ながら、現時点ではサルモネラ症を根絶することは不可能であることを認識せざるを得ない」と述べている。現在のCDCの数字によれば、毎年およそ135万人のサルモネラ中毒が発生しており、そのうちの26,500人が入院を必要とし、420人が死亡しており、その多くが高齢者や幼児である[66]。サルモネラ中毒の症状は、吐き気、嘔吐、下痢といった、生命を脅かすほどではないように見えるかもしれないが、細菌が免疫不全の人の血流に入ると、敗血症性ショック、髄膜炎、心内膜炎、反応性関節炎やライター症候群といった重篤な状態に陥る可能性がある。

また、食肉製品に1つの病原性細菌が存在したからといって、同じ製品に2つ目、3つ目、あるいはそれ以上の病原性細菌が侵入している可能性を排除できるわけではないことも強調しておきたい。実験室での研究によると、汚染された食肉には病気を引き起こす微生物が複数含まれている可能性が高い。例えば、動物から採取した培養液中の大腸菌は、多くの場合、腸内細菌科やサルモネラ菌などの兄弟菌によって汚染されている。

たとえ肉が工場の農場からきれいなまま出てきたとしても、それがあなたの皿に届くとは限らない。レストランや施設 (病院や学校のカフェテリアなど) で食事をする人には、まだ第2の危険がある。CDCによると、そのような場所での食品の不適切な取り扱いは、重篤な神経毒で食中毒の一種であるボツリヌス症の発生の主要な要因である。CDCは、食品媒介疾患につながる他の要因の中で、不適切な保存温度、不適切な調理時間、食品取扱者の個人衛生の悪さを指摘している。[67]
*
リチャード・ゲイルはプログレッシブ・ラジオ・ネットワークのエグゼクティブ・プロデューサーであり、バイオテクノロジーおよびゲノム産業の元シニア・リサーチ・アナリストだ。
ゲアリー・ヌル博士は、オルタナティブと栄養健康に関する全米で最も長く続いている公共ラジオ番組の司会者であり、最近のラスト・コールトゥ・トゥモローなど、数々の賞を受賞したドキュメンタリー映画監督でもある。
彼らはGlobal Researchに定期的に投稿している。



<原注>
[31] Epstein SS, “Monsanto’s rBGH Genetically Modified Milk Ruled Unsafe by the United Nations.” https://www.animallaw.info/article/you-are-what-your-food-eats-how-regulation-factory-farm-conditions-could-improve-human
[32] Ibid.
[33] Epstein SS, What’s In Your Milk? Trafford Publishing, 2006.
[34] “Is there pus cells in milk and what are the health risks?” GenV. February 22, 2022. https://genv.org/pus-in-milk/
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動物性食品はなぜ体にとって危険なのか!?

<記事原文 寺島先生推薦>
The Dangers Lurking in Animal-Based Foods: Harmful Additives, Synthetic Hormones, Colorings, Antibiotics, Glyphosate
有害な添加物、合成ホルモン、食品着色剤、抗生物質、除草剤グリホサート
筆者:リチャード・ゲイル(Richard Gale)とゲアリー・ヌル(Gary Null)博士
出典:Global Research 2024年11月25日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年12月3日


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米国農務省(USDA)は70年以上にわたり、アメリカ人の食生活の枠組みを形成し、国民の健康を維持するための食品ガイドラインを作成してきた。FDA(食品医薬品局)と並んで、食品の安全性を規制し、私たちの食事が信頼できる供給源からバランスよく摂取されたタンパク質、脂肪、炭水化物で構成されていることを保証する責任を担っている。しかし、前の世代の健康状況を振り返ってみると、当時と現在とでは対照的であり、公衆衛生と食生活の規範における不穏な軌跡を浮き彫りにしている。

1940年代から1960年代にかけて成人を迎えた団塊世代や X世代は、はしか、おたふくかぜ、水疱瘡といった小児期の病気が一般的だったが、大きな合併症を起こすことなく治癒し、子どもたちが生涯免疫力を保った時代を思い起こす。学校では家庭科の授業を通じて米国農務省の栄養ガイドラインが重視され、子どもたちは活動的な生活を送り、体力を養った。裏庭の「勝利の庭」*は、新鮮な農産物を栽培する文化的規範の一例であり、身体汚染(環境毒素が健康に与える累積的影響)という概念はほとんどなかった。肥満、自閉症、喘息、糖尿病、自己免疫疾患、慢性炎症性疾患はまれで、ほとんど存在しなかった。
「勝利の庭」*・・・戦時中の国々で行われた庭や公園を使用し、野菜・ハーブ・果物などを栽培する農園の事である。アメリカ、イギリス、カナダ等では、勝利の庭(Victory garden、ビクトリーガーデン)、戦時農園(war gardens)、防衛のための食料庭園(food gardens for defense)という語が使用される。(ウィキペディア)

対照的に、今日の若者は肥満の蔓延と、C、D、E、亜鉛、マグネシウムといった重要なビタミンやミネラルを含む栄養不足に直面している。肥満だけで年間33万5千人が死亡し、2千6百億ドル以上の医療費がかかり、数百万人の障害調整生存年数の損失につながっている。Lancet誌に発表された予測では、2050年までに成人の80%、15〜24歳の若者の40%近くが太りすぎか肥満になるという厳しい未来が予測されている。ティーンエイジャーはますます不健康になり、スポーツをしたり、兵役につくのに苦労するようになる。衝撃的なことに、今日の子供たちの多くは親より長生きできないかもしれない。

同様に厄介なのは、若者の間で精神衛生上の危機が急増していることだ。10代の自殺率は上昇を続けており、10代の20%が自傷行為を考えている。これは、それ以前の世代ではほとんど記憶に残っていない現象だ。しかし、セロトニン阻害薬の普及は、この流れを止めるにはほとんど役に立たず、より深刻なシステム上の問題を示している。

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ワシントンD.C.にあるジェイミー・L・ウィッテン・ビルは、現在のUSDA本部。(Licensed under CC BY-SA 3.0)

その主な原因は、食品の非自然化と工業的過剰加工である。今日の食生活には、有害な添加物、過剰な塩分、高フルクトース・コーンシロップのような不健康な甘味料、そして永遠の化学物質、マイクロプラスチック、遺伝子組み換え作物(GMO)など、多くの汚染物質が蔓延している。米国農務省や食品医薬品局(FDA)などの規制機関は、しばしば利益相反にまみれた諮問委員会の後ろ盾を得て、これらの疑わしい慣行を繰り返し支持し、保護してきた。莫大な富と権力を振りかざす民間企業が、アメリカ人の消費を支配し、食生活は新鮮で栄養価の高い食材を欠いた状態にしておく。

この危機は、連邦政府保健機関の指導者たちの問題パターンを浮き彫りにしている。多くの場合、権威ある研究機関出身の医療専門家がスタッフを務めているが、彼らは意味のある改革を実施できずにいる。こうした指導者たちは、本来すべきこともせず、食品供給を支配し、公衆衛生を損なう企業の支配に異議を唱えることができないか、あるいはその気がない。

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写真:ロバート・ケネディ・Jr

ロバート・ケネディ・ジュニアは、そのユニークな資質と数十年にわたる法学者・活動家としてのキャリアから、保健福祉省を率いる比類なき候補者である。前任者たちとは異なり、ケネディはアメリカの健康危機の核心である組織の腐敗を特定し、それに対抗してきた歴史を持つ。伝統的な医学者や学者としての肩書きはないが、連邦医療機関を悩ませている制度的問題に対する深い理解と、変革のためのビジョンを持っている。彼のリーダーシップがあれば、規制の不備に対処できるだけでなく、より健康的なライフスタイルを促進し、国の食料・農業政策をより厳しく監視することができるだろう。

この可能性を考慮すると、アメリカの食生活を支配している動物性食品がもたらす危険性を調べることは、より広範な健康への影響を理解するための重要な一歩である。肉食を中心としたアメリカ人の主食は毒素や化学残留物を含んでおり、以下の議論で検討するように、公衆衛生に広範な影響を及ぼす。

動物性食品に潜む危険性

食肉添加物

適切な言葉はないが、この国の食料品店やレストランで売られている食肉は、ホルモン剤、抗生物質、精神安定剤、防腐剤、添加物、殺虫剤で「散々」にされた家畜のものであり、栄養的というよりも、ほとんど医薬品である。これらの添加毒素は、健康への長期的な悪影響に関係している。例えば、猛毒の有機リン剤と脳障害である。ヒトの脳波から、たった一度の暴露が乳児の脳の電気的活動を何年にもわたって変化させ、異常行動や学習パターンを引き起こす可能性があることが示された。ハーバード・メディカル・スクールが行なった研究では、次のように結論づけられた。

     「有機リン系農薬は長期的な脳障害を引き起こす危険な可能性がある」。

余談だが、有機リン酸塩は性欲を減退させ、集中力を低下させ、記憶喪失、統合失調症、うつ病、神経過敏などを引き起こす。さらに、米国環境保護庁は、一般向けの入手を制限する措置を講じている。[1]

そのひとつが、食肉を美しく見せるための着色料である。おそらくこれらの着色料を使用することは、ヌルヌルした茶色がかった緑色の腐ったような肉をそのままの状態で売ろうとすれば、大勢の消費者を失うから、という業界の暗黙の了解なのだろう。葬儀屋のように、食肉加工業者もこの有機物を人工的に処理し、生命の色を与える。牛肉や豚肉には赤や紫の色素が添加され、鶏の肉色を良くするために鶏の飼料には黄色の色素が入れられている。

食品産業で使用される合成着色料の大半はコールタールから派生したものである。一部の色素は、政府の最低基準を満たしていることを意味する「米国認証」のラベルが貼られていても、安全性テストが十分に行なわれておらず、その一部は、発ガン率の増加や、動物の先天性欠損症、死産、不妊につながる生殖障害と関連している。ホットドッグやソーセージなどの加工肉に使用される赤色40号(アリュラ・レッドAC)は、小児多動性やじんましんとの関連が指摘されており、動物では発がん性の可能性が示されている。虫を粉砕して得られる天然色素で、加工肉にも使用されるカルミンは、紅斑、血管浮腫、気管支痙攣、アレルギー性細気管支炎など、さまざまな反応を引き起こす。

食肉業界にとって、より必要な化学物質群は、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)とブチルヒドロキシアニソール(BRA)という石油から得られる防腐剤である。これらは肉の脂肪が腐敗するのを防ぐ。ラード、鶏脂、バター、クリーム、ベーコン、ソーセージ、コールドカット、牛乳、植物油、ポテトチップス、ピーナッツバター、ショートニング、レーズン、朝食用シリアル、チューインガムなど、あらゆるところに含まれている。業界は製品の賞味期限を延ばすためにこの油脂に頼っているが、その毒性は皮膚の水ぶくれ、疲労、目の出血、呼吸器系の問題などに関連しており、安全とは言い難い。

問題のある他の添加物:

■人工香料(発がん性が証明されているものもある)
■油脂の酸化を防ぐために使用されるEDTAは、大量に摂取すると細胞を死滅させる可能性がある
■グルタミン酸ナトリウム(MSG):俗に「中華料理店症候群」と呼ばれる頭痛、胸のつかえ、集中力の低下、疲労感を引き起こす可能性のある旨味調味料で、MSGはどのような形であれ、がんを悪化させるという証拠もあり[2]、酸加水分解法で製造された場合はがんを引き起こす物質を含む[3]。

抗生物質

抗生物質の過剰使用は、医療や食肉・水産業界全体に蔓延している。私たちの多くは、抗生物質が脅威となる有害なバクテリアから命を救うという意味で「良いもの」だと考え、実際過剰に使用しても、私たちの体にとって危険なものではないという誤った考えを持っている。

関連記事:The USDA Permits the Dangers Lurking in Animal-Based Foods. Fish and Dairy Additives, Microplastics, Improper Meat Handling…

動物(牛、豚、鶏など)にも人間にも抗生物質が過剰に使用され、それに対処するための薬剤に対して厳しい耐性を持つ、より強力な新種の細菌が発生していることは、ニュースに関心のある方ならご存知だろう。生物の環境条件への適応能力は、継続的かつ現在進行中の活動であり、だからこそ科学の多くは、戦うべき新たな「虫」や「害虫」(農薬を考えてみよう)を中心に定期的に自らの組織を編成しているのである。薬剤耐性菌や 「スーパーバグ」は、こうして私たちの食品中に誕生するのである。

抗生物質は動物飼育に広く使われているため、典型的なアメリカ人のように1日3回肉を食べると、時間の経過とともに血流や組織にこれらの毒素が蓄積される。このような汚染された動物を食べる人は、その動物で発生した抗生物質耐性菌を摂取している可能性もあり、病気のリスクが高まる。

ある研究では、ミネソタ州の食料品店の製品が検査され、肉サンプル、特に七面鳥に耐性菌が検出された。消費者は、自分たちの「食品」がリステリア菌、大腸菌、サルモネラ菌に感染していることを知ったら驚くだろう。これらは、過去20年間に安価な食肉製品に混入された最も深刻な3つの汚染物質である。これらの細菌は、それらを抑制するための抗生物質に耐えるだけでなく、大規模な工場農場でのずさんな品質管理プロセスからもしばしば逃れている。このように、サルモネラ、ノロウイルス、ボツリヌス症、大腸菌の存在が、セーフウェイ、マクドナルド、ウォルマート、アービーズなどの信頼できるブランドの食肉製品から全国で報告されている。ちなみに、悲しいことに、栄養不足、不健康な生活環境、ワクチンを含む大量の薬に苦しんでいる子どもや高齢者は、これらの細菌に感染した肉に特に感染しやすい。

一般的に、抗生物質を服用すると、すでに体の組織に蓄積されている抗生物質を追加しながら、自分自身を直接攻撃する。同時に、他の病原体を撃退する身体の能力が弱まるため、より強力な抗生物質が必要になる。やがて、継続的な攻撃によって、体のシステムが機能しなくなる―心臓発作、脳卒中、がん、または封じ込められない細菌感染やウイルスなどが考えられる。

CDCは、毎年4800万人が病気になり、128,000人が入院し、3,000人が食品媒介疾患で死亡すると推定している。[4] ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに掲載された報告は、一人の命を奪い、11人を入院させた18件の食中毒と、薬剤耐性のサルモネラ菌に汚染されたハンバーガー肉とを関連付けている。汚染された牛肉を辿ると、抗生物質のテトラサイクリンで過剰に処理された穀物を家畜が消費していたサウスダコタ州の農場に行き着いた。

アメリカでは、これらの抗生物質を現在のように動物にまで使用するコストは非常に高いものになっている。米国で使用される抗生物質の80%は家畜用である[5]。豚が最も多く(43%)、次いで牛(41%)である。

食用動物に使用される大量の抗生物質には問題があるのだろうか? もちろんある。おそらく問題があるから、FDAが動物への抗生物質使用に関するデータの公表を拒否したことで訴訟を起こされたのだろう。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症が爆発的に増加した主な原因は、食糧供給と人口が抗生物質で飽和しているためである。年間約120万人の入院患者がMRSAに感染しており[6]、MRSAの集団感染による死亡率は36%である[7]。

この数字が示唆するように、これらの工場農場を経営する強硬な事業家たちは、家畜に抗生物質を軽々しく、あるいは注意深く管理された方法で投与しているわけではない。彼らは事業存続のため、抗生物質の投与に依存しているのだ。抗生物質は、食肉や酪農の家畜が不衛生で有害な環境で生活させられているために蔓延する病気を食い止めるために、定期的に投与される。もしこれらの家畜に大量の医薬品を投与しなければ、屠殺用の「健康な」家畜ははるかに少なくなっていただろう。しかし、子牛の場合、投薬には第二の理由がある。子牛の中には、子牛を調理して食べる人たちが好む白く淡白な肉を生産するために、鉄分を奪われ貧血状態にされる牛がいる。病弱な子牛はあらゆる感染症の餌食となるが、抗生物質がそれを食い止めるのだ。

その結果、アメリカ人は毎日何度も抗生物質を食事から摂取していることになる。これは、動物への抗生物質の使用管理が厳しいヨーロッパに比べ、はるかに高い数値である。抗生物質は予防的に使用されるだけでなく、動物が特定の病気、例えば、レプロスピラ症、パルボウイルス、丹毒、大腸菌感染症、アトピー性鼻炎、胃腸炎、ペルフリンゲンス菌、仮性狂犬病などにかかった場合にも供給される。

新しい耐性菌の中でも特に悪名高いのが腸球菌である。ある研究では、肉、乳製品、鶏肉を含む食品から検出された腸球菌の高い割合が、テトラサイクリン(30%以上が耐性)、エリスロマイシン(20%以上が耐性)、ストレプトマイシン(10%以上が耐性)といった一般的な抗菌剤に耐性を持っていた。さらにショッキングなことに、わずか0.7%の菌株が、市場で最も強力な抗生物質のひとつであるシプロフラキシンに耐性を示した。

世界保健機関(WHO)は、「感染症は近い将来、既存の薬では抑えきれなくなる」と警告を発している。抗生物質耐性はこの傾向の大きな要因のひとつであり、抗生物質を家畜に与え、それが肉食動物の食事に混入することは、超耐性病原体の発生傾向に少なからず関与している。

抗生物質であれ何であれ、動物に投与される薬剤の乱用がもたらす他の厳しい結果をいくつか挙げてみよう。そのひとつは、動物に投与される多くの添加物が、人間に対する安全性をテストされていないことである。もし動物が屠殺されるかなり前に抗生物質の投与を中止する、するとその痕跡が肉に残ることはないと誤って考えられているからである。例えば、市場に出荷される豚を大きくするために使用され、屠殺される1カ月ほど前に食餌から取り除かれるホルモン剤カルバドックスや、豚の生化学を脂肪生産から肉生産に移行させるために投与される薬剤ペイリーンである。もちろん、それは進取的な製薬会社や彼らが支配する政府の規制機関にとっては有益なものだ。

最もショッキングなことは、これらの抗生物質やその他の薬剤が陸上動物の肉を通して肉食動物に届かない場合、肉食動物が知らず知らずのうちに海から摂取している可能性があるということだ。産業廃棄物の流出や投棄によって、薬剤が海に流出し、その結果、漁獲される海洋生物はかつてないほど有毒になっている。そのため、魚介類が呼吸する水に抗生物質の痕跡を接触させている可能性があり、現在の抗生物質耐性を助長している可能性がある。

残念ながら、食肉・乳製品業界は、どの製品が抗生物質やその他の医薬品で処理され、どの製品がされていないかを消費者に知らせる義務はない。[8]さらに言えば、彼らは肉が工場で製造されたクローンから来ているかどうかを私たちに知らせる必要さえない。

このすべてについて最初に疑問に思うかもしれないのは、なぜ私たちの健康を守る責任を負っている政府機関がこれについて何もしないのかということだ。

信じられないかもしれないが、FDAは実際に抗生物質を禁止しようとしたことがある。1977年、FDAは畜産業における抗生物質の使用を禁止しようとしたが、当時最大の畜産用抗生物質メーカーであったアメリカン・サイアナミッド社[9]をはじめとする強力な畜産・製薬企業のロビー活動によって、その努力は失敗に終わった。それは、政府が裕福で自由にお金を使う企業に腰砕けになった残念な話だ。彼らは当時も現在も同じ主張をしている―業界寄りの米国農務局連盟が言うように―抗生物質の広範な使用を制限することは肉のコストの跳ね上がりを引き起こす、というものだ。そして、これらの化学物質の広範な使用に起因する追加的な病気で不必要に苦しんでいる人々が負担している膨大な医療費を算入しないことを私たちは知っている。そうすることは彼らの利益にならないから、もちろん、彼らは算入しない。

最近の抗生物質候補としては、鶏の飼料に広く使われているバンベルマイシンがある。全米ブロイラー協会によれば、この抗生物質には健康上のリスクはないという。ちなみに、これは人間の健康や体の仕組みについてほとんど知らない業界擁護者から得られる典型的な回答である。しかし、これらの薬剤が導入されたとき、その短期的あるいは長期的な健康リスクについて確実に知っている者はいない。全米資源保護評議会の生化学者は、「すべての抗生物質は(新しいものであっても)いずれ耐性が生じる可能性がある」と考えている[10]。また、新しいもののひとつであるクロラムフェニコールは、低用量であっても、骨髄での赤血球の産生を妨げる致命的な病気である再生不良性貧血をヒトに誘発することがすでに示されている[11]。

食肉産業がなぜ自慢できるのか、よく理解できるようになった:感染症にかかっても、もう医者に行く必要はありません。私たちの製品を一口食べれば、あらゆる種類の抗生物質が手に入るのですよ。

ホルモン

食肉の安全性についての議論は、かつてFDAが合成ホルモンDES (ジエチルスチルベストロール) の食肉産業での使用を許可したことに触れずには終わらないだろう。DESは牛のサイズと体重を急速に増加させた。平均すると、子牛の体重は約80ポンドで、わずか14日から16日の間に700ポンドから1,200ポンドまで成長する必要がある。対照的に、ホームステッド・オーガニックス社によると、天然の草で育てられた牛が市場に出るには2~4年かかる。[12] FDAが流産や早産のリスクを減らすためにDESを女性に処方することも承認したことを思い出してほしい。子宮内でこの薬剤に曝露した女性および女児では、滅多に発症しない膣腫瘍が40倍増加した。乳癌も有意に増加した。FDAは1971年に女性へのDESの使用を禁止し、その後1972年に同じ理由で牛の飼料へのDESの使用を禁止した。しかし、FDAは、エストロゲン、プロゲステロン、テストステロンなどの合成ステロイドホルモンの牛への使用を許可した。更年期症状の治療のために何百万人もの女性に処方されているこれらのホルモンと全く同じものが、特定のがん、心血管疾患、認知症のリスクを高めることが示されていることが、多くの臨床試験の結果わかってきた。

ホルモンは、繁殖を調節したり、体重増加を促進したりするために米国で使用される主要な添加物の1つである。肉を売る側はともかく、私たちにとってのマイナス面は、合成ホルモンが受け手の動物にがんを引き起こす可能性があることだ。これは通常、肉の市場性に影響を与えないため、畜産のビジネス面ではマイナスにはならない。

家畜によく与えられるエストロゲンホルモンのひとつは、女性が子宮がんや乳がんにかかる確率を高め、子どもの思春期を早める可能性がある。さらに、エストロゲンに似た化合物であるライグロ、女性の月経周期を乱し、妊婦を流産させる可能性のあるプロスタグランジン(家畜全体が同時に排卵するように投与されることが多い)であるルタリゼ、そして最後に、肝臓がんを引き起こす可能性のあるアンドロゲンも挙げられる。

DDTや他の添加物

肉を調理することで、シェフは健康を害する化学物質(HCA)を作り出す。これは例えば、いくつかの文化圏で行われているように、牛肉を生で食べることで回避できるかもしれない。しかし、そんなことをすれば虫、寄生虫、生命を脅かすバクテリアのために、恐ろしい事態になり、結局は死んでしまうかもしれない。さらに言えば、着色料、抗生物質、ホルモン剤などの化学物質や、繁殖段階で家畜に導入される添加物から守るために、(肉食を控える以外に)できることはない。家畜や乳牛は生きている間、化学処理された飼料を大量に与えられている。食肉は分析が難しいだけでなく、政府は500種類以上の化学添加物の使用を許可しながら、これらの化学物質がどのように投与されているかをほとんど監視していないため、特定の食肉にこれらの添加物の痕跡があるかどうかを判断するのは難しい。

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食肉を汚染する有害な化学物質の一例として、DDTを見てみよう。この農薬は非常に危険なもので、レイチェル・カーソンの『沈黙の春』によって、この農薬の発ガン性やその他の危険性が世間に知られるようになり、1972年に禁止された。この農薬は40年代に普及し、30年近くにわたって広範囲に使用された。植物に侵入したDDTは、虫を殺すために散布されたDDTからではなく、土壌から植物に侵入したDDTであることを多くの人は知らない。何十年もの間、毎年DDTが植物に散布され続けた結果、土壌はDDTで飽和状態になった。つまり、農家が植物への散布をやめても、DDTの存在は残り続け、最長で2年から15年続くということだ[13]。次の段階として、家畜が作物を食べ、化学物質を濃縮する。DDTは非常に残留性が高く、世界の他の地域でも、その農業慣行や病害虫防除プログラムの中で、作物や土壌にまだ存在している可能性がある[14]。アメリカ国外でオーガニックでない製品を購入する際には、この点に注意する必要がある。

DDTは食物連鎖によって不注意に家畜に侵入する物質だが、その他にも多くの好ましくない化学物質が意図的に家畜に投与されている。食品添加物の硝酸ナトリウムは、ホットドッグ、ボローニャ、生ハム、ベーコン、ミートスプレッド、ソーセージ、ハムなど、ほとんどの加工肉に発色固定剤として使用されているが、健康にひどく有害である。硝酸塩を摂取すると、ニトロソアミンと呼ばれるガンを引き起こす可能性のある物質が生成される。ビタミンCは一部のニトロソアミンの生成を阻害することが判明しており、ベーコン製造業者の中には、ガンの脅威を少なくするために製品にビタミンCを添加しているところもあるが、ビタミンCの持つ力の約3分の2は調理中に失われてしまう。

そして、こうした医薬品の影響を示す動物性食品は肉だけではない。乳牛に与えたり散布したりした化学物質は乳に入り、鶏に与えたものは卵に入る。つまり、どんな動物性食品を食べるにしても、別メニューの医薬品を摂取せずにはいられないのだ。

その他の添加物

養鶏で使用される特定の添加物の1つは、モネンシンおよびサリノマイシンのようなイオノフォアである。これらの薬は、原虫のアイメリアによって引き起こされる寄生虫症であるコクシジウム症の管理によく使用されている。抗生物質と同じように成長を促進するわけではないが、飼料効率を改善するためにも用いられる。養鶏業者は、消費者に届く前に肉からイオノフォアの残留物を除去するために、回収期間を設けることになっている。高いイオノフォア残基を含む鶏肉の摂取による過剰な暴露は、イオノフォアが細胞内イオン輸送に影響を及ぼすことから、不整脈や神経学的問題など、ヒトに深刻な健康リスクをもたらす可能性がある。これらの化合物は、筋機能および心拍リズムに影響を及ぼす正常なイオン勾配を乱す。農家だけが、適切な休薬期間に関するFDAガイドラインに従うことに責任を負う。しかし、典型的な大規模な工場農場や加工施設では、1日に25万羽から100万羽の鶏を処理能力があり、タイソン・フーズのような最大の施設では、生産のピーク時には1日に200万羽の処理能力があることを考えると、これは希望的観測にすぎない。[15]

動物性食品に含まれる健康を害する添加物のリストをさらに見ていくよりも、動物性食品に含まれる毒素の影響はすぐには現れないという考えを強調することが重要である。ベーコンを一切れ食べて翌日病気になることはない。ルドルフ・バレンタイン博士が説明するように、毒素はゆっくりと、しかし陰湿に作用する。博士は、病気は細胞レベルの毒性から始まると書いている。細胞の毒性と死は、小器官の段階、細胞の段階、臓器の段階と進んでいく。

「ある臓器を構成する細胞のうち、十分な数が死ぬと、その臓器は病気になる」[16]。

グリホサートと遺伝子組換え飼料

ラウンドアップとして知られるグリホサートは、遺伝子組み換え(GM)作物栽培に広く使用されている除草剤である。この除草剤を人間が直接、あるいは大豆やトウモロコシのような遺伝子組み換え穀物を与えた家畜の肉を通して間接的に摂取した場合、重大な健康被害をもたらすことが明らかになっている。土壌の質、温度、微生物の活動にもよるが、数ヶ月の寿命を持ち、動物の組織、特に脂肪、肝臓、腎臓に蓄積される。グリホサートが多く残留する遺伝子組み換え穀物を食べた家畜の肉や内臓を人間が食べると、これらの化学物質が再凝集するという研究結果もある[17]。

ロバート・ケネディ・ジュニアは、グリホサートの製造元であるモンサント社に対する画期的な訴訟や、グリホサートとガンとの関連性に関する訴訟において、極めて重要な役割を果たした。グリホサートに長期間さらされ、非ホジキンリンパ腫に罹患した原告に陪審員が数百万ドルの損害賠償を命じたケースなど、画期的な評決の獲得に貢献した。最も注目すべき勝訴例は、グリホサートへの長期暴露後に非ホジキンリンパ腫を発症した学校の校庭管理人、デウェイン・ジョンソンのケースである。陪審団は、モンサント社が悪意を持って行動し、消費者にグリホサートの発がんリスクを警告しなかったとして、ジョンソンに2億8900万ドルの損害賠償を命じた(後に減額)。会社の内部文書により、モンサント社が科学的研究を意図的に抑制し、規制機関を操作しようとしていたことが明らかになった。彼の訴訟活動は、モンサント社がグリホサートの安全性に関する証拠を抑圧し、世論を操作してきた長い歴史を浮き彫りにした[18]。

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非ホジキンリンパ腫やその他の癌に加えて、グリホサートは、過敏性腸症候群(IBS)、炎症性腸疾患、リーキーガット症候群に関連する状態である腸内細菌叢の形成異常(dysbiosis)につながる腸内細菌叢を破壊することによって、胃腸障害の一因となることが示されている。シダーズ・サイナイによると、IBSの有病率は、アメリカの子供や青年において着実に増加している。IBSは小児の約10~15%が罹患しており、その主な原因は食事と有害な腸内細菌叢の変化である[20]。

この除草剤はまた、正常な発育を阻害し、生殖能力を低下させる可能性のあるホルモン分泌経路に干渉することが示されている[21]。アメリカの子どもの約10%が何らかの内分泌かく乱作用の影響を受けており、例えば思春期の始まりに影響を及ぼしているが、これは環境や食事に含まれる化学内分泌かく乱物質の多さと確実に関連している[22]。さらに、小児の非アルコール性脂肪性肝疾患は2020年以降30%急増し、慢性腎臓病は今や子ども1,000人に1人が罹患している。この疾患もまた、食事性毒素、グリホサートの生物濃縮、不適切な食生活、代謝症候群と関連している[23]。

同様に、グリホサートが豊富な遺伝子組み換え穀物を食べた動物は、肉に高い残留物を蓄積する。遺伝子組み換え穀物に見られる変化したタンパク質プロファイルは、アレルギーを誘発し、病原性細菌を増殖させることで腸内細菌叢を乱す可能性がある[24]。

グリホサートと遺伝子組み換え穀物飼料で飼育された食肉は、ヒトの健康に重大なリスクをもたらすため、公衆衛生を改善するための食生活と政策改革が緊急に必要であることを浮き彫りにしている。オーガニックで遺伝子組み換えでない畜産物を摂取することで、グリホサート残留物とそれに関連するリスクへの暴露を軽減することができる。

農薬...そして水供給との関連

農薬は小さな健康問題ではない。アメリカでは、農場や家庭の庭、事業所、公園などで毎年10億ポンド以上の農薬が使用されている。監視団体Beyond Pesticidesによると、「UA農場では、トウモロコシおよび大豆にクロチアニジン、チアメトキサム、イミダクロプリドの三つのネオニコチノイド (ネオニクス) を260万ポンド使用した。ファーマは150万ポンド近くを飼料生産だけに費やした。」[25] 米国では年間10万人以上が農薬中毒にかかっていると推定されており、農家や農場労働者だけでなく、毎日の食事で知らず知らずのうちに農薬を摂取している他の数え切れない数の人々がいる。肉や乳製品を汚染する最も一般的な農薬は、グリホサート、アトラジン、ジカンバ、2, 4-D、ネオニコチノイド、ビフェントリンである。

では、私たちはどれだけの農薬をどこから得ているのだろうか? そしてそれはどこから来るのだろうか?

平均的なアメリカ人の1日の農薬摂取量は2.5 mgから5.0 mgの間であり、毎年1.8グラム以上に蓄積される。[26] このうち約4 mgが脂肪組織に貯蔵され、頭痛、疲労、筋肉痛、発熱などの毒性症状を引き起こす可能性がある。肉食をよしとする人たちは異議を唱えるかもしれない。「菜食主義者たちだって植物性食品からこれだけの致死的残留物を摂取しているかもしれない」と言って。しかし、微量の農薬を含む大豆やトウモロコシの飼料を牛が摂取すると、毒の多くが動物の脂肪組織に恒久的に定着することを考慮してほしい。この牛のTボーンを食べた人は、濃縮された量の有毒な残留物を摂取する。比較すると、農薬で処理された大豆を直接食べたほうが、毒素の濃度ははるかに低くなる。

政府の報告書によれば、米国で食べられている肉や鶏肉の6分の1が、「潜在的に有害な動物用医薬品、農薬、環境汚染物質の残留物 」を含んでいると推定されている。報告書はさらに、食肉や鶏肉製品から検出される約200種類の既知の薬物や農薬のうち、「42種類がガンの原因、またはその疑いがある、20種類が先天性異常の原因、6種類が突然変異の原因、6種類が胎児への悪影響の原因、その他が同様の毒性作用の原因である」と指摘している。

これらの毒はまた、湖、小川、河川への流出を通じて水供給を汚染する。The New Farm誌によると、この膨大な量の流失は、「約3900万人が暮らすアメリカの農村部の63%に浸透しており、そこでは安全でない可能性のある水を飲むことになる」という。これと同じ水が、屠殺と消費に供される動物に与えられるのだ。

さらに調査を進めると、農薬に汚染された水を飲んでいる人たちが全国に広がっていることがわかった。西部の農村部では4分の3が、南部と北中部の州では65%が、北東部では45%が、この過度に汚染された飲料を飲んでいる。さらに悪いことに、これらの農薬とともに、以下のような健康を破壊する物質も含まれている:

■リンデン:中枢神経系に作用する有害な殺虫剤。
■水銀:腎臓や神経に障害を起こすことが知られている。
■カドミウム:高血圧や腎臓障害を引き起こす有毒金属。
■鉛:神経系と腎臓を損傷することが知られている。
■硝酸塩:ガンの原因となるニトロソアミンの化学的前駆体。

肉や乳製品に含まれるこれらの汚染物質を、これまで詳しく調べ上げてきたが、今度は連邦政府の保健当局者に、代替食品ピラミッドを作成し、その上で販売している製品の「特徴」を強調するよう提案することができるかもしれない。それには肉や乳製品といったカテゴリーの代わりに、農薬、染料、抗生物質、防腐剤も加えなければならないだろう。
     
「自然な」毒素

肉に細菌が入る可能性を無視したり、他の汚染物質を考えない、ということがあってはならない。

動物は、人間もそうだが、組織や細胞から老廃物を周囲の血液に排出し続けている。この自然なプロセスは、動物が屠殺されると突然止まる。その時に存在していた老廃物はそのままで、私たちはその肉を食べるときにそれを摂取する。肺、膀胱、腎臓、汗腺、肝臓など、私たちの体のさまざまな排泄器官は、そのような老廃物を処理するのに長けているはずだと言うかも知れない。しかし、使い古された細胞や消化の副産物を取り除くためにすでに消費されている彼らの仕事量を増やすのは賢明なことだろうか? 私たちの臓器は、過負荷になると、いくつかの変性疾患のいずれかを発症することによって反応するだろう。[27]

肉が消化管に長く残りすぎることの危険性が知られている。腐敗し始め、有害ガス、頭痛、嗜眠などの症状を引き起こす可能性がある。しかし、肉は食べる前に外で腐敗することもある。果物や野菜とは異なり、肉は動物が死んだ瞬間から劣化し始め、加工、包装、市場や肉屋への輸送中に劣化し続ける。屠殺後、去勢牛は切断され、冷蔵倉庫に移される。肉の一部はその後、柔らかくするためにしばらく熟成させることがある。肉は最終的に包装のためにスーパーマーケットに送られる前に、倉庫で保管されることがある。もちろん冷蔵されると劣化は遅くなるが、処理するための一定時間は冷やされない。

重要なのは、肉を冷蔵庫から出したままにしていた時間は、細菌が狂ったように増殖していたということだ。室温で20時間保存されたソーセージはグラム当たり7000万個、牛肉はグラム当たり6億5000万個、スモークハムはグラム当たり7億個も生菌が増加する。ミシガン州立大学の人間生態学科は、再加熱した食品には、以前に食品に含まれていた細菌の毒素が含まれている可能性があると警告したことがある。調理によって細菌は死滅するかもしれないが、毒素はまだ存在している可能性があると警告した。[28]

さらに悪いことに、一部の細菌は調理しても死滅しない胞子を形成する。そして、残り物を取っておくと、胞子が発芽して成長する。新しい細菌は、2回目の加熱に耐えられるほど強いかもしれない。さらに、新しい細菌が増殖しなくても、彼らが放出する毒素が周囲に残ってダメージを与える可能性がある。Texas Agricultural Extension Serviceのアル・ワグナー博士は、特定の細菌について、「調理によって細菌は破壊されるが、生成される毒素は熱に安定であり、破壊されない可能性がある」と述べて、この考えを支持している[29] 。肉に残された細菌毒素は、ウイルスや細菌などの脅威を攻撃するために不可欠な細胞メカニズムに影響を与えることによって、体の免疫反応を停止させる場合がある。[30]

動物性食品の摂取によって私たちが直面する危険よりも、さらに大きな危険がある。それは、動物性食品を含まない、より健康的な植物ベースのライフスタイルに向けて私たちが行動しないことである。そう、現在の工場農業の慣行に終止符を打つことには非常に現実的な健康上の理由がある。しかし、国民はだれでも、食事に関連する病気のリスクを減らすために肉の摂取量を減らすことができるのだ。

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リチャード・ゲイル(Richard Gale)はプログレッシブ・ラジオ・ネットワークのエグゼクティブ・プロデューサーであり、バイオテクノロジーおよびゲノム産業の元シニア・リサーチ・アナリスト。
ゲイリー・ヌル(Gary Null)博士は、オルタナティブと栄養健康に関する全米で最も長く続いている公共ラジオ番組の司会者であり、最近のラスト・コールトゥ・トゥモローなど、数々の賞を受賞したドキュメンタリー映画監督でもある。
彼らはGlobal Researchに定期的に寄稿している。


Notes
[1] Than K, “Organophosphates: A common but deadly pesticide,” National Geographic (National Geographic Society), July 2013
[2] Blaylock R (ed). “The Great Cancer Lie: It is Preventable and Beatable,” Blaylock Wellness Report. October, 2008.
[3] Pommer K, “New Proteoloytic enzymes for the production of savory ingredients,” Cereal Foods World, 40 (1995):745-748.
[4] FDA. “Estimates of foodborne illness in the United States.” https://www.cdc.gov/foodborneburden/index.html
[5] “Around 160,000 tons of antibiotics are fed to farm animals annually in 2020” The World Counts. https://www.theworldcounts.com/challenges/consumption/foods-and-beverages/antibiotics-used-for-livestock
[6] “MRSA: Methicillin Resistant Staphylococcus aureus,” South Carolina Department of Public Health. https://dph.sc.gov/diseases-conditions/infectious-diseases/insect-or-animal-borne-disease/mrsa-methicillin-resistant
[7] University of Florida. “Silent MRSA carriers have twice the mortality rate of adults without the bacteria.” UFHealth. March 29, 2021. https://ufhealth.org/news/2021/uf-study-silent-mrsa-carriers-have-twice-mortality-rate-adults-without-bacteria
[8] Barnard N. “Meat Too Tough to Eat,” The Hartford Courant, 28 Aug. 2006.
[9] “Antibiotics Can Lead to Tainted Meat,” USA Today, 6 Sept. 1984.
[10] “Chloramphenicol Use by Cattlemen Said to Be Dangerous,” Vegetarian Times. September 1984: 6.
[11] Ibid.
[12] “From Field to Feeder: Beef Cattle,” Homestead Organics, 2003.
[13] “Pesticide Environmental Fate One Line Summary: DDT,” (Washington, DC.: US Environmental Protection Agency,1989); Augustijn-Beckers et al., “SCS/ARS/CES Pesticide Properties Database for Environmental Decisionmaking II,” Additional Properties Reviews of Environmental Contamination and Toxicology, 1994; Vol. 137.
[14] “Persistent Bioaccumulative and Toxic (PBT) Chemical Program: DDT,” US Environmental Protection Agency, http://www.epa.gov/pbt/pubs/ddt.htm.
[15] USDA National Agricultural Statistics Service (NASS). Poultry Slaughter Report 2023. U.S. Department of Agriculture.
[16] Ballentine R, “Dietary Suggestions for Chronic Pain,” http://www.holistichealthservices.com/research/chronic_pain.html.
[17] Swarthout JT, Loiseau G, Laurent S, et al. (2021). Residues of glyphosate in food and dietary exposure. Comprehensive Reviews in Food Science and Food Safety, 2021; 20(5): 5226–5257.
[18] Gillam C. Dewayne Johnson’s Case Against Monsanto: A Landmark Trial Over Roundup Weed Killer and Cancer. The Guardian. 2018
[19] Antoniou MN, Habib ME, Howard CV, et al. I”mpacts of dietary exposure to pesticides on faecal microbiome metabolism in adult twins.” Environmental Health, 2022; 21(1), Article 46.
[20] Cedars-Sinai. “Study: Prevalence of IBS Exceeds Previous Estimates”. Cedars-Sinai Newsroom. 2022
[21] Schoeters G, Baeyens W, Colles A. “Glyphosate and AMPA in human urine of HBM4EU-aligned studies: Part B Adults.” Toxics, 2022; 10(10), Article 552.
[22] Kishi R. ”Environmental Chemical Exposure and Its Effects on Infants’ Reproductive Hormones”. Nihon Eiseigaku Zasshi, 2018; 73(3): 313–321.
[23] Małyszko J., et al. “Cognitive impairment in patients awaiting kidney and liver transplantation: A clinically relevant problem?” Brain and Behavior, 2024; 14(8), e3647.
[24] European Food Safety Authority (EFSA). Assessment of genetically modified oilseed rape 73496 for food and feed uses, under Regulation (EC) No 1829/2003 (application EFSA-GMO-NL-2012-109). EFSA Journal, 2021; 19(6), e06610.
[25] “Pesticide use on crops for meat and dairy feed further threatens endangered species.” Beyond Pesticides, March 1, 2022.
[26] Swarthout JT, et al. “Residues of glyphosate in food and dietary exposure.” Comprehensive Reviews in Food Science and Food Safety, 2021; 20(5), 5226–5257.
[27] Liebstein AM, Ehmki NL. “The Case for Vegetarianism,” American Mercury (April 1950): 27.
[28] Fraser A, et al., “What you can’t see, can’t hurt. Your kids and you! Preventing food-borne illness in your child care center or day care home,” Michigan State University, 1995. http://web2.msue.msu.edu/bulletins/Bulletin/PDF/E2568.pdf.
[29] Wagner AB, “Bacterial Food Poisoning,” Texas A&M University. http://aggie- horticulture.tamu.edu/extension/poison.html.
[30] University of Pennsylvania School of Medicine, “Bacterial Toxin Closes Gate On Immune Response, Researchers Discover,” Science Daily, 2008.

WHO「国別保健政策・システム部」部長が「ゲーム脳」について警告、「携帯その他の使いすぎは危険、喫煙と同じように規制を!!」

<記事原文 寺島先生推薦>
WHO calls for legislation against smartphones
保健政策担当者は、各国は若者の電子機器類の使用を制限することを検討すべきだと発言
出典:RT 2024年10月4日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年10月17日


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ジャスティン・パジェット / ゲッティイメージズ


世界保健機関(WHO)の幹部は、若者に及ぼす危害を減らすため、各国はスマートフォンやその他の携帯機器の使用を制限すべきだ、と述べた。

WHOの国別保健政策・システム部門長ナターシャ・アゾパルディ・マスカット博士は、通信機器の過剰使用をタバコ中毒に例えた。

「デジタル機器を使用するのが適切な場所について考える必要があるかもしれませんし、特定のデジタル機器を使用すべきでない場所についても考え始める時期なのかもしれません」と彼女は水曜日(10月3日)、オーストリアのガスタインで開催された欧州健康フォーラムの傍らでポリティコ誌に語った。

同博士は、この措置には、特定地域での喫煙禁止と同様の年齢制限や「立ち入り禁止区域」の設定が含まれる可能性がある、と述べた。

「他のものと同様、これらの機器をうまく効果的に使うことは可能です。しかし、問題のある使用を報告する国民もいるので、注意が必要です」とアゾパルディ・マスカット博士は指摘する。

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関連記事:Russian MPs to back groundbreaking smoking ban – speaker

この専門家は、場合によっては電子機器類が精神衛生に悪影響を及ぼし、教育や「労働力の生産性」を損なう、と強調した。

「証拠を体系的に収集し、何が効果的か、どのような手段を講じるべきかを検討する必要があります」とアゾパルディ・マスカット博士は述べ、「そのための行動や決定をおこなうことは待ったなしの状況にあります」とも付け加えた。

多くの国の医療専門家や政府関係者は、特に十代の若者の間でスマートフォンやソーシャルメディアがほぼ普遍的に使用されていることを踏まえ、電子機器が子どもに与える影響について懸念を表明している。

欧州委員会のウルズラ・フォンデアライエン委員長は、デジタル時代に蔓延する「過度の画面視聴時間と中毒的習慣」と闘うための対策を策定する、と誓った。同委員長は7月に「若者がネット上の虐待で自傷行為をしたり、自殺したりする話を聞くと、胸が痛みます」と述べた。

いくつかの国では、子どもの画面視聴時間を減らす対策を講じており、オランダ、ハンガリー、フランス、ギリシャ、イギリスなどの国では、教室でのスマートフォンの使用を禁止している。

ウイルス学というよりは毒物学。ロックフェラー研究所とポリオ犯罪詐欺

<記事原文 寺島先生推薦>
Toxicology vs Virology: The Rockefeller Institute and the Criminal Polio Fraud
筆者:F. ウィリアム・エングダール(F. William Engdahl)
出典:Global Research  2024年9月5日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年9月12日


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2019年に公に現れた、新型SARSコロナウイルスとされたウイルスの成果の1つは、ウイルス学という医学の専門分野が報道機関でほとんど神のような地位にまで高められたことだ。しかし、ウイルス学の起源と、それが今日の医療現場で主導的な役割にまで昇格したことを理解している人はほとんどいない。このことを理解するには、米国初の医学研究機関であるロックフェラー医学研究所(現在のロックフェラー大学)の起源と政治、そしてその研究所がポリオ・ウイルスであると主張したウイルスに関する研究に目を向ける必要がある。

1907年、ニューヨーク市である病気が大流行し、ロックフェラー研究所所長のサイモン・フレクスナー医学博士は、彼が独断でポリオと呼んだ病気によって引き起こされる目に見えない「ウイルス」を発見した、と主張する絶好の機会を得た。ポリオという言葉は、単に脊髄の灰白質の炎症を意味する。その年、麻痺や死亡を含む何らかのポリオに罹患したニューヨーク市民は 2500人ほどで、そのほとんどは子どもだった。

フレクスナー所長による詐欺

20世紀前半の米国におけるポリオ騒動全体の中で最も衝撃的な点は、この事業のあらゆる重要な段階が、後にロックフェラー医療陰謀団となった組織と結びついた人々によって支配されていた、という事実である。この詐欺は、ロックフェラー研究所所長サイモン・フレクスナーによる、彼と彼の同僚ポール・A・ルイスが、目には見えず、細菌よりも小さい病原体を「分離」し、それが米国で発生した一連の麻痺性疾患の原因である、と主張したことから始まった。彼らはどのようにしてこの考えに至ったのだろうか。

1909年に米国医師会雑誌に発表された論文で、フレクスナーは、自身とルイスがポリオの原因ウイルスを分離した、と主張した。フレクスナー は、ポリオを数匹のサルにサルからサルへと「感染」させることに成功した、と報告した。両名は、おそらくウイルスが原因で死亡したと思われる少年の病気の脊髄組織をサルの脳に注入することから始めた。サルが病気になった後、その病気の脊髄組織の懸濁液を、同じく病気になった他のサルの脳に注入した。

二人は、ロックフェラー研究所の医師たちが、この謎の病気の原因がポリオ・ウイルスであることを証明した、と主張した。しかし実際のところ、医師たちはそのようなことは何もしていなかった。フレクスナーとルイスは、次のことを認めることさえしていた。

「我々は、フィルム標本でも培養物でも、この病気の原因となり得る細菌を全く発見できなかった。また、我々がサルを用いてウイルスを増殖させた長期にわたる一連の研究において、病変部に以前の研究者らが述べた球菌が見られた動物は1匹もいなかったし、我々が研究したヒトの標本からはそのような細菌を得ることができなかったため、それらは検討対象から除外できる、と感じた」と。

そこで二人がおこなったのは、奇妙な仮説、つまり思い込みであり、科学的な主張ではなかった。二人は、ウイルスの外因性因子という仮説を、何の証拠もなく事実にしたのだ。二人は次のように主張した。「したがって、流行性ポリオの感染因子は、これまで顕微鏡下で確実に証明されたことのない、微小で濾過可能なウイルスの分類に属します」と。ということは?

サイモン・フレクスナーは、他の説明がつかなかったため、サルを殺したのは「ポリオ・ウイルスに違いない」と主張したにすぎなかった。実際、フレクスナーはこの病気の別の原因を探さなかった。これは科学的な隔離ではなく、荒唐無稽な推測だった。いわく「…これまで顕微鏡で確実に証明されたことはない」と。二人は、1909年12月18日付けのJAMA誌の「流行性ポリオ・ウイルスの性質」と題する続編でこの事実を認めていた。

二人がサルに注入していたいわゆる「ウイルス」は、純粋なものとは程遠いものだった。また、不確定な量の汚染物質も含まれていた。「脊髄や脳、排泄物のピューレ、さらにはハエまでもが粉砕され、麻痺を誘発するためにサルに注入された」のだ。ジョナス・ソークが1955年4月に米国政府からポリオ・ワクチンの承認を得るまで、ポリオ、または一般に小児麻痺と呼ばれていたものを引き起こすウイルスの存在は科学的に証明されていなかった。それは今日まで変わらない。医学界はみな、それが「ウイルスに違いない」というフレクスナーの言葉を鵜呑みにしてきた。

ロックフェラー研究所とフレクスナーと米国医師会

ロックフェラー研究所は、1901年にジョン・D・ロックフェラーのスタンダード・オイル社の財産から、米国初の生物医学研究所として設立された。この研究所は、フランスのパスツール研究所 (1888年) やドイツのロベルト・コッホ研究所 (1891年) を手本にしている。初代所長のサイモン・フレクスナーは、米国で承認された医療行為の発展において極めて重要かつ最も犯罪的な役割を果たした。ロックフェラーの目標は、米国の医療行為を完全に支配し、少なくとも当初は、ロックフェラーの利益によって承認された医薬品を促進するための手段に変えることにあった。その頃までに、これらの組織は石油でおこなったように、石油精製から生産される医薬品を独占しようとしていた。

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サイモン・フレクスナー

ロックフェラー研究所所長サイモン・フレクスナーが、結論は出ていないものの高く評価されているポリオに関する研究を発表していたとき、サイモンは医学の経歴を持たない学校教師である弟のエイブラハム・フレクスナーに、米国医師会(AMA)とロックフェラー総合教育委員会、そしてロックフェラーの親友アンドリュー・カーネギーが設立したカーネギー財団による共同研究を主導するよう手配した。

1910年の調査は「フレクスナー報告書」と題され、その表向きの目的は米国のすべての医学部の質を調査することだった。しかし、報告書の結果は事前に決まっていた。資金力のあるロックフェラー研究所と AMA(米国医師会)の関係は、腐敗したAMAの長、ジョージ H. シモンズを通じて築かれた。

シモンズは米国全土の医師約8万人に配布される影響力の大きい雑誌「米国医師会雑誌」の編集者でもあった。この雑誌は、医師会に対して絶対的な権力を握っていたと伝えられている。シモンズは、自身の雑誌で AMA の医師に自社の薬を宣伝するための製薬会社の広告収入の増加を管理していた。これは非常に儲かる事業だった。シモンズは、容認できる医療行為を治療的または予防的治療から、しばしば致死的な薬や高額な手術の使用へと完全に再定義するという、ロックフェラーの医療におけるクーデターの主要構成員だった。AMAの代表としてシモンズは、当時認められていたカイロプラクティックやオステオパシー、ホメオパシー、自然療法を含む医学校の急増との競争が AMA の医師の収入を減少させていることを認識していた。医学校の数は 1880 年の約90校から1903年には 150 校以上に増加していた。

元私立校長のエイブラハム・フレクスナーは、1909年に米国のさまざまな医学校を視察し、165校ある医学校の半分を「標準以下」として閉鎖するよう勧告した。この措置により、病気を治療する他の治療法との競争が減った。エイブラハムらは、当時広く普及していた自然療法医学校やカイロプラクティック医学校、整骨医学校、およびAMA体制に加わることを望まない独立した対症療法医学校を容赦なく標的にした。

その後、ロックフェラーの資金は、教授陣がロックフェラー研究所の審査を受け、教育課程が治療として薬と手術に重点を置き、予防や栄養学、毒物学が原因や解決策として考慮されないという条件付きで、選ばれた学校に渡された。学校は、1つの細菌に対して1つの病気、という還元主義を主張するパスツールの細菌説を受け入れなければならなかった。ロックフェラーが支配する報道機関は、あらゆる代替医療やハーブ療法、天然ビタミン、カイロプラクティックなど、ロックフェラーの特許医薬品によって管理されていないものすべてに対して組織的な魔女狩りを開始した。

1919年までに、ロックフェラー一般教育委員会とロックフェラー財団は、ジョンズ・ホプキンス大学やエール大学、ワシントン大学セントルイスの医学部に500万ドル以上を支払っていた。1919年にジョン D. ロックフェラーは、「米国の医学教育の発展のため」にさらに2000 万ドルの証券を寄付した。これは今日の約3億4000万ドルに相当する巨額である。つまり、ロックフェラーの金権は1920 年代までに米国の医学教育と医学研究を乗っ取っていた、ということだ。

ウイルス学の創造

最も影響力のある医師団体である米国医師会とその腐敗した長、シモンズに支えられたこの医療業界の乗っ取りにより、サイモン・フレクスナーはまさにロックフェラーの決まりの下で現代のウイルス学を創造することができた。非常に物議を醸した人物であるトーマス・ミルトン・リバーズは、ロックフェラー研究所のウイルス学研究所所長として、1920年代に細菌学とは別の独立した分野としてウイルス学を確立した。リバースらは、目に見えない細菌や「ウイルス」が致命的な病原体である、と主張できれば、はるかに簡単に操作できることに気づいた。皮肉なことに、ウイルスの語源はラテン語で「毒」を意味する言葉から来ている。

還元主義的な医療詐欺であるウイルス学は、ロックフェラーの医療陰謀団が作り出したものだ。この極めて重要な事実は、今日の医学史の中に埋もれている。天然痘や麻疹、ポリオなどの病気は、特定のウイルスと呼ばれる目に見えない病原体によって引き起こされる、と宣言された。科学者がその目に見えないウイルスを「分離」できれば、理論的には人々を危害から守るワクチンを見つけられる。それが彼らの理論だった。これは、当時、痔のプレパレーションHや鎮痛剤のアドビルなど、効果の証明がない薬を偽って宣伝していたアメリカン・ホーム・プロダクツ社、第一次世界大戦後にドイツのバイエルAGからアスピリンを含む米国の資産を買収したスターリング・ドラッグ社、ウィンスロップ・ケミカル社、アメリカン・シアナミッド社とその子会社レダール・ラボラトリーズ社、スクイブ社、モンサント社などを含む製薬会社のロックフェラー・カルテルにとって大きな恩恵となった。

やがてロックフェラー研究所のウイルス研究者たちは、ポリオ・ウイルスの発見に加え、天然痘やおたふく風邪、麻疹、黄熱病を引き起こすウイルスを発見した、と主張した。その後、これらの研究者らは肺炎と黄熱病の予防ワクチンの「発見」を発表した。しかし、研究所が発表したこれらの「発見」はすべて虚偽であることが判明した。ウイルス学という新しい分野の研究を統制したロックフェラー研究所は、AMAのシモンズおよび同様に腐敗した後継者であるモリス・フィッシュバインと共謀して、米国のすべての会員医師に配布される影響力のあるAMA誌で、特許取得済みの新しいワクチンや薬物「治療薬」を宣伝することができた。AMA誌への広告費の支払いを拒否した製薬会社は、AMAによって締め出された。

ポリオ研究の管理


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ヨーク アベニューにあるロックフェラー大学の正門 (CC BY-SA 4.0 ライセンス)

サイモン・フレクスナーと非常に影響力のあるロックフェラー研究所は、1911年に、ポリオと呼ばれていた症状を「空気感染ウイルスによって引き起こされる伝染性の感染症」として米国公衆衛生法に組み入れることに成功した。しかし、彼らでさえ、この病気が人間の体内に入る仕組みを証明していないことを認めていた。ある経験豊富な医師が 1911年に医学雑誌で指摘したように、「感染の可能性のある方法に関する現在の知識は、ほぼすべてこの街のロックフェラー研究所でおこなわれた研究に基づいて」いたのだった。 1951年、ロックフェラー家がポリオの伝染について急いで判断を下したことに対する批判者ラルフ・スコビー博士は、「これはもちろん、臨床調査ではなく動物実験に頼ることになった…」と指摘した。スコビー博士はまた、ポリオが伝染性であるという証拠がないことを指摘し、「…この病気にかかった子どもたちは一般病棟に収容されたが、その病院の病棟の他の入院患者でこの病気にかかった人は一人もいなかった」と述べた。当時の一般的な態度は、1911年に次のように要約されている。「絶対的な証拠がないにもかかわらず、この病気を伝染性の観点から見ることで、業界の最大の利益が守られる、と思われる」(原文ママ)。

ポリオの症状を、目に見えない、いわゆる外因性または外部ウイルスによって引き起こされる、非常に伝染性の高い病気として分類することで、ロックフェラー研究所と米国医師会は、化学農薬やその他の毒素への曝露など、主に非常に幼い子どもたちに起こる季節的な病気や麻痺、さらには死亡の原因を説明する代替説明を求める真剣な研究を阻止することができた。この動きにより、現在まで続く致命的な結果をもたらすことになる。

DDTの登場

1952年に食品中の化学物質の危険性を調査した米国下院への声明で、ラルフ・R・スコビー医学博士は次のように述べた。

「ほぼ半世紀にわたり、ポリオの調査は、人体に入り込んで病気を引き起こすとされる外因性ウイルスに向けられてきました。現在の公衆衛生法の規定では、この種の調査のみが義務付けられています。いっぽう、いわゆるポリオ・ウイルスが人体にまったく入り込まず、単に食中毒などの外因性要因から生じる土着の化学物質であるかどうかを判断するための徹底的な研究はおこなわれていません」と。

膨大な証拠があるにもかかわらず、原因としての毒素は調査されなかった。

1930年代の経済不況とその後の戦争の間、ポリオの新たな大規模な流行はほとんど見られなかった。しかし、第二次世界大戦の終戦直後、ポリオの騒動は爆発的に拡大した。1945 年以降、毎年夏になると米国全土でますます多くの子どもたちがポリオと診断され、入院した。しかし実際に血液検査や尿検査を受けたのは、症例の1%未満だった。残りの約 99% は、四肢の激しい痛みや発熱、胃のむかつき、下痢などの症状があるだけでポリオと診断された。

1938年、ポリオ被害者と推定されるフランクリン・D・ルーズベルトの支援を受けて、ポリオ研究資金を調達するための非課税寄付を募る全米小児麻痺財団(マーチ・オブ・ダイムズ)が設立された。ドイツ人の医師で研究者のヘンリー・クム博士は米国に渡り、1928年にロックフェラー研究所に加わり、1951年に全米財団のポリオ研究部長に就任するまでそこに留まった。クムは、もう一人のロックフェラー研究所の重要なベテランで、いわゆる「ウイルス学の父」であるトーマス・M・リバーズと全米財団で一緒に働き、リバーズは財団のワクチン研究諮問委員会の委員長を務め、ジョナス・ソークの研究を監督した。ロックフェラー研究所のこの2人の重要人物は、ワクチン開発を含むポリオ研究の資金を管理していた。

第二次世界大戦中、ヘンリー・クムはロックフェラー研究所に在籍中、米陸軍の顧問としてイタリアでの現地調査を監督した。クムはそこで、ローマとナポリ近郊の沼地におけるチフスやマラリア蚊に対するDDTの使用に関する現地調査を指揮した。DDT は 1940年にスイスの製薬会社ガイギーとその米国支社によって殺虫剤として特許を取得しており、1943 年にアメリカ陸軍兵士に対して初めてアタマジラミや蚊、その他多くの昆虫に対する一般的な消毒剤としての使用が認可された。戦争が終わるまで、米国における DDT の生産のほぼすべてが軍に提供された。1945 年、この化学会社は新しい市場を熱心に探し、それを発見した。

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Beyond Pesticidesより

1944 年初頭、米国の新聞各紙は、歴史上あらゆる大戦の後に続いた恐ろしい疫病であるチフスが、軍の新しい「シラミ駆除」粉末であるDDTのおかげで、もはや米軍とその同盟諸国にとって脅威ではなくなった、と勝ち誇って報道した。ナポリでの実験では、米兵が 100万人以上のイタリア人に灯油で溶かしたDDTを散布し、チフスを広めるコロモジラミを殺した。

ロックフェラー研究所のヘンリー・クムと米軍は、ある研究者が述べたように、「DDT は毒物だが、戦争では十分安全だ。DDTで傷ついた人は、戦闘の犠牲者として認められるだろう」ということを知っていた。米国政府は、1944年に科学研究開発局が発行した、人間と動物に対するDDTの蓄積的な毒性効果について警告した殺虫剤に関する報告書を「制限」した。モリス・ビスキンド博士は1949年の記事で、「DDT は蓄積性の毒物であるため、米国民が大規模に中毒になるのは避けられない」と指摘していた。1944 年、国立衛生研究所のスミスとストールマンは、DDT の蓄積毒性に関する広範な研究をおこなった後、「DDTの毒性とその蓄積作用および皮膚からの吸収性により、DDT の使用は明らかに健康に危険を及ぼす」と指摘した。しかし、二人からの警告は上層部によって無視された。

その代わりに、1945年以降、米国全土でDDTは奇跡的な新しい「安全な」殺虫剤として宣伝された。ちょうどその30年後のモンサント社のグリホサート入りラウンドアップと同じ様な感じだったのだ。DDT は人体に無害だと言われていた。しかし、政府内でその主張を真剣に科学的に検証する人は誰もいなかった。1 年後の1945年に戦争が終わると、米国の新聞は新しい DDT を「魔法の」物質、「奇跡」として称賛した。タイム誌はDDTを「第二次世界大戦の偉大な科学的発見のひとつ」と報じた。

未検証の副作用や、食物連鎖の中で容易に蓄積する持続性のある有毒化学物質であるという警告が散発的にあったにもかかわらず、米国政府は1945年にDDTの一般使用を承認した。ロックフェラーとAMA(米国医師会)、製薬業界が支配する食品医薬品局 (FDA) は、誰も証明していなかったにもかかわらず、食品中のDDT含有量が 7ppm までであれば「安全」である、と定めた。DDT 化学会社は、写真や逸話をマスコミに流した。新聞は、新しい奇跡の化学物質であるDDTが、マラリア媒介と考えられている南部の蚊に対して米国で治験されている様子や、「アリゾナのブドウ園やウェスト・バージニアの果樹園、オレゴンのジャガイモ畑、イリノイのトウモロコシ畑、アイオワの酪農場」を保護する効果について熱心に報道した。1940年代後半、DDTは米国のいたるところに存在していた。

米国政府は、DDTは戦前に使用されていたヒ素や他の殺虫剤とは異なり、乳児を含めた人間に無害であり、自由に使用できる、と主張した。1945年初頭、シカゴなどの都市では公共のビーチや公園、プールにDDTが散布された。主婦たちは家庭用のエアゾールスプレーDDT噴射器を購入し、台所、特に子ども部屋、さらにはマットレスにまで散布した。農家は作物や家畜、特に乳牛にDDTを散布するよう指示された。戦後の米国では、アメリカン・ホーム・プロダクツ社のブラック・フラッグ・エアゾールDDTスプレーやモンサント社など、ロックフェラー系の製薬会社がとりわけDDTの推進に努めた。1945年から1952年にかけて、米国のDDT生産量は10倍に増加した。

1945年以降、ポリオの疑いのある症例がまさに米国全土で爆発的に増加したため、証拠もないまま、ポリオという身体に障害をもたらす病気は、DDTのような有毒な殺虫剤ではなく、蚊やハエによって人間、特に幼児に伝染するという説が唱えられた。その説は、DDTは身体に障害をもたらすポリオから家族を安全に守ることができるというメッセージを伝えるものだった。公式に記録されたポリオ症例は、米国でDDTが民間で使用される前の1943年の約2万5千件から、最高潮時の 1952年には 28万件を超え、10倍以上に増加した。

1945年10月、前述のようにロックフェラー研究所のヘンリー・クムの監督下で米軍が使用していたDDT が、米国政府によって蚊やハエに対する殺虫剤としての一般使用が認可された。DDT が人間や動物に有毒な影響を及ぼすと警告する反対派の科学者は沈黙させられた。家族には、DDT が恐ろしい昆虫を殺すことで子どもたちを恐ろしいポリオから救うことができる、と伝えられた。

米国農務省は、蚊やハエを駆除するために、農家に乳牛をDDT溶液で洗うよう勧告した。トウモロコシ畑や果樹園には、DDTが空中散布された。しかし、DDT は極めて持続性が高く、植物や野菜に対する毒性は洗い流すことができないほどだった。1945年から1952年にかけて、米国全土で散布されるDDTの量は年々増加した。注目すべきことに、ポリオの症例数も増加していた。

最悪のポリオ流行

1950年代初頭までに、米国議会や農家の間では、DDTだけでなく、さらに毒性の強いBHC(ベンゼンヘキサクロライド)など、大量の農薬使用の危険性に対する関心が高まった。1951年、DDT中毒の患者数百人を治療した医師モートン・ビスキンドは、麻痺性ポリオと毒素、特にDDTとBHCとの関連の可能性について米国下院で証言した。彼は次のように述べた。

「殺虫剤DDT(クロロフェノタン)と、それに続く一連のさらに致死的な物質が一般大衆に無制限に一般使用されるようになったことは、歴史上前例のないことです。疑いの余地なく、人類が知る物質の中でこれほど急速に開発され、これほど短期間にこれほど広い範囲に無差別に広がった物質は他にありません。DDTが一般大衆向けに発売された当時、この物質が多くの異なる動物種に極めて有毒であり、体脂肪に蓄積され、ミルクに現れることを示す大量のデータがすでに医学文献に掲載されていたことを考えると、これはさらに驚くべきことです。当時、DDTによる人間の中毒例もいくつか報告されていました。これらの観察はほぼ完全に無視されるか、誤解されていました」と。

ビスキンドは1950年後半に議会でさらに証言した。
「昨年の初め、私はDDT中毒に関する一連の観察論文を発表しました。先の戦争の直後から、全国の医師が一連の症状が現れる症例を多数観察していましたが、その最も顕著な特徴は、胃腸炎、持続的に再発する神経症状、極度の筋力低下でした...」

彼は、DDT や関連毒素への曝露がなくなると麻痺などの重篤な症状が消失した患者の症例をいくつか挙げた。

「昨年初めに報告した200件以上の事例に関する私の最初の経験は、その後かなり拡大しました。その後の観察により、DDTが、他の方法では説明できない多くの人間の障害の原因であるという見解が裏付けられただけでなく…」

また、ポリオの症例は、昆虫に対するDDT散布が最大となる夏季に常に最も多く発生していた、という事実も指摘された。

ロックフェラー研究所の工作員と米国医師会は、米国政府内の工作員を通じて、1946年から1952年にかけて米国でポリオと呼ばれる健康上の緊急事態を作り出した。彼らは、恐れられている病気を広めるとされた架空の昆虫を駆除する安全な方法として、毒性の高いDDTを故意に宣伝することで、この事態を引き起こしたのだ。彼らの喧伝工作により、DDTがポリオの蔓延を阻止する鍵である、と米国民を確信させた。

ポリオが突然減少

ロックフェラー研究所の二人の医師、ヘンリー・クムとトーマス・リバーズの指導の下、全米小児麻痺財団(NFIP)はビスキンドやスコビーのような批判者を退けた。小児麻痺にビタミンCの静脈注射などを用いる自然療法は「いんちき療法」として即座に退けられた。1953 年4月、ロックフェラー研究所の DDT コンサルタントのヘンリー・クム博士が NFIP のポリオ研究部長に就任した。同博士はジョナス・ソークのポリオワクチン研究に資金を提供した。

ノースカロライナ州の勇敢な医師、フレッド・R・クレナー博士は化学と生理学も学んでいたが、患者は毒素中毒の被害者であり、ビタミンCは強力な解毒剤であるという仮説に基づいて、大量のアスコルビン酸(ビタミンC)を静脈注射するという考えを思いついた。これは、ライナス・ポーリング博士がビタミンCに関する研究でノーベル賞を受賞するよりずっと前のことだった。クレナー博士は、 1949年から1951年にかけての夏の流行で、200人以上の患者において数日以内に驚くべき効果をもたらした。ロックフェラー研究所と米国医師会は、治療の見通しには関心がなかった。彼らとロックフェラーが支配する全米小児麻痺財団は、ポリオは環境毒の結果ではなく伝染性ウイルスであるという証明されていないフレクスナーの主張に基づいて、ポリオワクチンの開発に資金を提供していただけだった。

その後、1951年から1952年にかけてポリオの症例が史上最高に達した頃、予想外の現象が起こり始めた。米国でポリオと診断される症例数が減少し始めたのだ。ポリオの犠牲者の減少は、国立財団とジョナス・ソークのポリオワクチンが一般の使用に承認され、広く普及するずっと前の1955年まで、年々劇的に減少した。

ポリオ症例が急激に減少する約1年前、DDTの深刻な影響に苦しんでいた乳牛を飼育する農家に対し、米国農務省は DDTの使用を減らすよう勧告していた。1951年に米国上院でDDTとポリオに関する公聴会が開催されたことなど、DDTが人間にとってどれほど安全であるかに関する国民の懸念が高まったため、DDT が米国で正式に禁止されたのは 1972 年になってからだったが、1955 年にかけてDDTへの曝露は大幅に減少した。

1952年から1956年にかけて、いわゆる「ポリオ」の症例は3分の2ほど減少したが、これはDDTの使用減少と驚くほど相関している。その減少からかなり後の1955年後半から1956年にかけて、ロックフェラーが開発したソークポリオ・ワクチンが初めて大規模に接種された。ソークとAMA(米国医師会)は、このワクチンの功績をすべて認めた。ソーク・ワクチンによる死亡や麻痺は隠蔽された。政府はポリオの定義を変更し、公式症例をさらに減らした。同時に、急性弛緩性麻痺や慢性疲労症候群、脳炎、髄膜炎、ギランバレー症候群、筋硬化症など、ポリオに似た脊髄神経疾患の症例が著しく増加した。

なにが問題なのか

1世紀以上前、世界一の富豪で石油王のジョン・D・ロックフェラーと彼の顧問団は、米国および世界のその他の地域で医療がどのように実践されていたかを全面的に再編しようとした。ロックフェラー研究所とサイモン・フレクスナーのような人物の役割は、目に見えない伝染性の外来細菌であるポリオ・ウイルスが若者に急性麻痺や死を引き起こすという主張をめぐる巨大な医療詐欺の発明をまさに監督した。彼らは、DDTやヒ素系農薬、さらには汚染されたワクチン中毒による毒素中毒とこの病気を関連づけるあらゆる取組を政治的に禁止した。彼らの犯罪工作には、AMA の指導部との密接な協力、新興の製薬業界および医学教育の支配が含まれていた。1930年代のドイツのカイザー・ヴィルヘルム研究所や米国優生学会でのナチスの優生学に資金を提供したのも、このロックフェラー・グループだった。1970年代、彼らはロックフェラー家の化学農薬会社団(モンサント、デュポン、ダウ)によって開発された特許取得済みの遺伝子組み換え種子の作成に資金を提供した。

現在、公衆衛生と医療産業複合体に対するこの統制は、デビッド・ロックフェラーの弟子で優生学の提唱者、ビル・ゲイツによっておこなわれており、ゲイツはWHOと世界のワクチンの独裁者を自任している。NIAID(米国立アレルギー・感染症研究所)のトニー・ファウチ所長は、証拠もなくワクチン接種を義務化している。第二次世界大戦後のポリオ・ウイルスの醜聞の背後にある詐欺は、今日ではコンピューターモデルやその他の策略を利用して洗練され、COVID19からサル痘、HIVまで、次々と致命的なウイルスとされるものを作り上げている。ポリオと同様に、これらのウイルスはどれも科学的に分離され、主張されている病気を引き起こすことは証明されていない。ひとつとして。

同じく非課税のロックフェラー財団が今日、慈善団体を装い、COVID19の背後にある世界的な医療暴政と世界経済フォーラムのグレート・リセットの優生学工作の中心となっている。

これらの組織によるポリオ・ウイルスを使った手口は、この暗黒世界的な医療専制政治を生み出すのに役立った。その上で私たちは「科学を信じなさい」と言われているのである。
*

F. ウィリアム・エングダールは戦略危機相談家兼講師であり、プリンストン大学で政治学の学位を取得しており、石油と地政学に関する著書でよく読まれている作家でもある。
グローバリゼーション研究センター (CRG) の研究員。

日光不足が喫煙と同じくらい危険な理由

<記事原文 寺島先生推薦>
Why Sunlight Deficiency Is as Deadly as Smoking
筆者:Sayer Ji
出典:Global Research   2024年4月24日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2024年8月16日


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 Journal of Internal Medicine誌に掲載された画期的な研究によって、人間の健康における太陽の役割について、まったく驚くべきことが明らかになった。日光不足は、タバコを吸うのと同じくらい人間の健康に有害である可能性がある、というものだ。

 「主要死因の危険因子としての日光浴回避:南スウェーデンにおけるメラノーマ*患者集団の競合リスク**の分析」と題されたこの研究は、スウェーデンの研究者らによって、約3万人の女性を対象に実施された。
*メラノーマ:皮膚癌の一種である悪性黒色腫
**競合リスク:複数の別の種類のイベントがあり、最初の1つしか観察できないことを競合リスクの問題といい、注目している以外のイベントによる観察の終了が起こることに起因する。具体的には、悪性腫瘍の再発に注目しているとき、「死亡」が競合イベントとなる。


 研究者らは、南スウェーデン メラノーマ患者集団(Miss:Melanoma in Southern Sweden)の20年間の前向き調査*において、全死因死亡の危険因子としての日光曝露の違いを評価した。女性は研究開始時に25~64歳で、1990年から1992年に募集された。彼女たちの日光浴の習慣を最新の生存統計を用いて分析したところ、いくつかのことが判明した。
*前向き調査:疫学調査の一手法で、ある一定の時点から将来に向って調査を進めていく手法。他方、「後ろ向き、前向き調査」(Retrospective prospective study)とは、現時点から将来に向けて調査するだけではなく、一度過去にさかのぼってから現時点まで(または、さらに将来に向かって)おこなう調査。

 第一に:積極的に日光浴をする習慣のある女性は、日光浴を避ける女性と比較して、主に「心血管疾患(CVD)*による」死亡、および「癌による」死亡のリスクが低かった。
*CVD:脳血管障害、cerebrovascular,disease

 第二に:生存期間が延長した結果、これらの女性では癌死亡の相対リスク*が増加した。つまり、女性では癌による死亡が増加した。
*相対リスク:ある原因により、それを受けた個人のリスクが何倍高まるか、ということを表したリスク。疫学で普通にリスクといった際には、「相対リスク」のことを指していることが多い。

 この所見を理解するのは少し難しいかもしれないので、もう少し詳しく見てみよう。

 癌のリスクは生物学的年齢とともに上昇するため、長生きすればするほど癌のリスクは高くなる。したがって、日光を浴びる機会が増えれば寿命が延びるため、一見すると癌のリスクも高まるように見える。しかし、このことは、太陽光には本質的に「発癌性」があるということを必ずしも意味しない。

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 心臓病は先進国の死因の第一位であり、日光はこの最も一般的な早死の原因を減少させる。その結果、第二位の死因(癌)リスクを増加させることになる。しかしいずれにしても、日光浴の正味の効果は長寿である。

 また、膨大な数の癌が過剰診断され、過剰治療されていることも念頭に置いてほしい。このような「癌」は統計を大きく膨れ上がらせている。とくに乳癌、前立腺癌、甲状腺癌、肺癌、卵巣癌など、何百万ものいわゆる早期癌が、誤って診断され治療されている。

関連記事:より健康的な生活を送るための5つの習慣

 さらに、太陽光の長寿促進効果に関する指摘は、次の三つ目の主要な観察によって強く印象づけられる:「日光浴を避けた非喫煙者の平均余命は、日光浴が最も多いグループの喫煙者と同程度であり、日光浴を避けることが喫煙と同程度の死亡の危険因子であることを示している。」

 これは深い意味をもつ強力な発見である。

 日光浴がつねに致命的な脅威であると一般には認識されているが、「日光浴を避けることが喫煙と同程度の死亡の危険因子である」ということは、有害な合成日焼け止めを全身に塗りたくることを正当化しない。むしろ日光浴が私たちの健康にとって不可欠であるということを指摘するものである。

 じっさい、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)によれば、喫煙は年間600万人の不必要な死亡の原因となっている。また、「アメリカにおける男女喫煙者の死亡率は、喫煙をしない人の死亡率の約三倍である」という。したがって、日光を浴びることは、人間の健康に不可欠で必要な強力な要素であり、日光を浴びる機会を与えないこと、あるいはもっと日常的に日光を浴びるようにと勧めないことは、医学的に非倫理的とすらいえよう。

 第四に、つまり研究の最後の観察は、以下のとおりである:メラノーマの患者でさえ、最も日光を浴びたグループと比較して、日光を避けたグループの平均余命は0.6~2.1年短くなった。

日光は健康にとって不可欠な要素であった。

 太陽光の欠乏は喫煙に匹敵する致死的な結果をもたらし、太陽光は、清潔な食物や水と同様に人間の健康にとって重要である。

 実際、太陽からのエネルギーが、ATP(アデノシン三リン酸*)に依存しなくとも、(つまり太陽光エネルギーだけで)私たちの身体の生体機械の細胞生体エネルギーを駆動していることを、説得力のある研究が示唆している。
*ATP(アデノシン三リン酸):人間の細胞内にあるミトコンドリアが産生する。「生体のエネルギー通貨」とも呼ばれ、細胞内の生命活動のエネルギー源である。

 『水の第四相』の著者ジェラルド・ポラック博士の研究を考えてみよう(以下のビデオを参照)。人体は何兆個もの細胞からできているが、その細胞のなかの分子のなかにまるで電池があるかのように、太陽の赤外線エネルギーが私たちの体内の水分子(体細胞の分子の99%は水である)をどのように充電するかを、博士は説明している。

 心臓血管の健康に関して言えば、赤外線で帯電した水分子形態の太陽光エネルギーは、排除帯水(EZ水*)と呼ばれる高度に構造化されエネルギー化された水を生成する。それが、血管全体に血液を送り出す心臓の仕事をサポートする。
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https://tanaka-y.net/ez-water-and-structured-water

*EZ水:ジェラルド・ポラック博士の要点
① EZ水は親水性物質の表面に薄く(1ミリ以下)形成され、他の微粒子を排除する。
② EZ水の分子構造はH3O2で、負の電荷を帯びている。
③ EZ水は水が氷になったり、氷が水になったりするときにも形成され、「水の第四の相」と言える。
④ 血管内に形成されるEZ水のおかげで血液は循環し、血流は光(とくに赤外線)によって促進される。

   

 また、挑戦的な研究によると、体内には、さまざまな光受容体/発色団(チトクロームCオキシダーゼなど)が存在するという。それは太陽光を受け入れて利用し、いわゆるATP(アデノシン三リン酸)の「特別な合成」を生み出す。

 さらに、メラニンは太陽の電磁スペクトルを広範囲に吸収し、有用なエネルギーに変換する。おそらく生物学的に重要な情報にも変換し、有害なガンマ線さえも生物学的に有用なエネルギーに変えてしまう。

 クロロフィル(葉緑素)のような緑色の植物食品は、人間の食事にありふれたものである。それでさえ動物細胞の集光特性を高める手段として作用することが、最近判明した。

 実際、微生物が介在する消化プロセスの後、細胞内のミトコンドリアの栄養になるクロロフィル代謝産物(=糖分)の仲介によって、(活性酸素の産生を伴わずに)ATP産生が促進される。このような研究成果が、最近われわれによって発表された。

 自然な健康を擁護するひとたちは、太古の昔から健康のために太陽光を賛美してきた。
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  https://www.rakuten.ne.jp/gold/pycno/special/about_chlorophyll.html

 しかし、現代では日光恐怖症が蔓延しており、とくに肌の色の薄い民族の親たちは、子どもたちに宇宙服レベルの全身防護服を着せ、極めて有毒な石油化学製品(ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレングリコールなど)や、癌を促進する可能性のあるナノ粒子金属*を散布したり塗りつけたりしている。その一方で、われわれには「食料形態・エネルギー・情報」としての太陽が必要だという認識が高まりつつある。
*ナノ粒子:曝露臓器からの容易な吸収による体内侵入と、その後の全身循環系や免疫系等への影響を否定できない。

 もちろん、ビタミンDがすべてではない。日光の健康効果をこのような物質のみに還元するのは、オレンジの健康効果をアスコルビン酸の分子構造にのみ依存していると言うのと同じくらい還元主義的*である。
*還元主義とは物質を細かく分解してその機能を理解し、その上で全体を理解するという立場である。

 太陽光の特定の波長「赤外線」が、私たちの体のすべてのシステムに関連する、生来の遺伝的・エピジェネティック(後成遺伝子的)なプログラムを幅広く活性化する。私たちはこのことを学び始めている。

 例えば、日没時に発生する光の波長は、私たちの種としての進化にとって非常に重要であった可能性があり、私たち人間の無毛や巨大な脳は、何十万年、何百万年ものあいだ、毎日その光を浴びることなしには進化しなかったかもしれない。
 
 フォト・バイオ・モジュレーション*とも呼ばれるこの現象は、人間の健康と病気における太陽の役割について、根本的に新しい視点を切り開くものである。
*フォト・バイオ・モジュレーション:特定の波長の光エネルギーを利用し、ミトコンドリア内で光化学的変化を引き起こすこと。細胞レベルにおいて、近赤外光(810-1064nm)のエネルギーはミトコンドリアのチトクロームC酸化酵素に吸収・調節される。

 もし日光不足がタバコを吸うのと同じくらい致命的だとしたら、自然光を定期的に浴びない人はもはや真の人間ではなく、生物学的・精神的・霊的な設計図を最適に実現することができないとも言える。

 基本的な権利、そして健康法は、屋外で毎日、太陽光を浴びることだろう。オフィスワーカー、太陽光を浴びることのない制度化された教育システム、夜勤労働、刑務所の現状を考えたことがある人はどれほどいるだろうか。今回の新たな知見に照らせば、日照不足は重大な人権侵害といえるだろう。

 この研究は、人間が真に健康であるために何が必要かをより深く理解する道を開くかもしれない。

 日光不足は、主に屋内に集中する生き物である現代の私たちが、肉体的・精神的な退化を招き、最も間違っていることの典型例である。

 細胞の生体エネルギーに関する新しいモデルが登場し、身体が太陽のさまざまな光の波長を直接または間接的に利用できることが考慮されるようになると、日光を毎日、直接あびることは、少なくとも「ビタミンを摂取する」ことや「運動する」ことと同じくらい、健康を維持するために重要なステップと見なされるようになるかもしれない。

 逆に、日照不足や日光不足は、喫煙と同じくらい危険で致命的であるとみなされるだろう。


セイヤー・ジ(Sayer Ji)氏はGreenmedinfo.comの創設者であり、国際的なベストセラー『REGENERATE: Unlocking Your Body's Radical Resilience through the New Biology』の著者であり、 Stand for Health Freedom (501c4) およびUNITE.liveの共同創設者でもある。UNITE.liveは、意識の高いクリエイターとそのコミュニティのための国際的なマルチメディア・プラットフォーム。

太陽光は必須栄養素である

<記事原文 寺島先生推薦>
Natural Light Is an Essential Nutrient
筆者:AMD(A Midwestern Doctor)
出典:Global Research 2024年8月9日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年8月15日

メルコラ付記:本校の著者AMD(A Midwestern Doctor)は中西部の認定医であり、私のサイトMercola.comの長年の読者である。幅広いトピックに関する彼の卓越した洞察力に感謝し、それを共有できることに感謝している。また、彼は現在も最前線で患者を治療しているため、匿名でありたいという彼の希望も私は尊重している。AMDの仕事については、SubstackのThe Forgotten Side of Medicineをぜひご覧ください。


筆者注:以下の論考は、太陽光が生物に及ぼす驚くべき影響について深く考察した長編記事の省略版である。より具体的な詳細と出典の注番号を含む全文は、こちらをクリックしてください。


太陽光の葬られ隠された恩恵――太陽光は私たちの健康にとって極めて重要であり、死亡や癌リスクを劇的に減少させる。

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ビタミンDを超える凄さ――太陽光に当たることで身体に必要なビタミンDが生成されるという重要性は認識されつつあるが、植物・動物・人間における太陽光の他の多くの重要な機能はほとんど知られていない。

現代の人工的な光(蛍光灯・LED・パソコン画面など)に曝されること――人工的な光に絶え間なく曝されることは無害であると誤解されているが、葬られ忘れ去られた研究によると、それこそが現代の多くの身体的・行動的問題の根本的な原因となっている。

光と血液――血液は太陽光を全身に伝える重要な役割を担っている。このプロセスが阻害されると(例えば、光スペクトルの特定の部分を遮断するメガネ、たとえば紫外線UVカットメガネをかけることによって)、深刻な健康問題につながる可能性がある。

*

 私は次第に、太陽光は私たちの体にとって最も重要な栄養素のひとつであると確信するようになった。例えば、アフリカから北に移動した人類は、太陽光を浴びる機会が減るにつれて皮膚が薄くなった。

 既得権益をもつ産業界は、真の原因を隠蔽するためにロビー活動をおこない、安易なスケープゴートに注意をそらす。つまり太陽を敵視する。太陽光は利益を生まないため、私たちが耳にするのは、その危険性ばかりである。

 例えば、皮膚科医は、自らを癌と闘う医師としてブランド化し、定期的な、しばしば高額な皮膚癌検診と、高額な皮膚癌切除の必要性を強調することで、皮膚科の医者を人気のない職業から、憧れの(そして驚くほど儲かる)専門職へと変貌させた。彼らは良性の癌を致命的なものとして描き、太陽光不足が致命的な皮膚癌につながることを隠して、皮膚癌の原因を太陽光のせいにした。1

 このような恐怖を煽っても皮膚癌の死亡率2 は減少しなかったが、効果的で手ごろな治療法が一般大衆から隠されたまま、有害な診断や治療が増加している3。その結果、多くの人々が「皮膚科の巨大詐欺」4(詳細はこちら)の犠牲になっている。例えば、コメディアンのジミー・ドーアの最近の体験5を考えてみよう。



ビデオ(ジミー・ドーアの最近の体験35分。ドーアは、皮膚癌「基底細胞癌」だ、メラノーマ「悪性黒色腫」だと診断されたが、実際はそうではなかった。基底細胞癌は皮膚がんの一種で、皮膚の外側の層(表皮)にしこり・隆起・病変を形成する。これらのしこりは、太陽光に多くさらされる皮膚の部分に形成される、と一般に言われているし、皮膚科の医師もそう述べている。しかしドーアはそれを「皮膚癌詐欺だった」と述べている。皮膚科医は皮膚癌だと言って治療することが売り上げを伸ばせるからである。このビデオの中でドーアは次の論文を詳しく紹介している。
Dermatology's Disastrous War Against the Sun



見過ごされてきた太陽光の力

 太陽光は無料で、非常に有益であるにもかかわらず、病気で利益を得る産業は太陽光に直接反対している。本論では、葬られ忘れ去られた光の重要性と、それが体内で果たす驚くべき作用について探ってみたい。

 皮膚科学が太陽との壮絶な戦争を始める以前6、太陽光の価値は医学の分野で広く認識されていた。例えば、1900年代初頭、ヘリオセラピー(太陽光浴)は、1918年のインフルエンザ7、結核8、その他多くの病気など、多くの(そうでなければ不治の)症状の治療に用いられ、大きな成功を収めていた9。以下の点を考えてみよう:

1)癌予防――太陽光を浴びることで癌のリスクは劇的に低下する。大規模な研究によると、紫外線(UVB)を多く浴びることで、乳癌と前立腺癌のリスクが半減した10
 
2)長寿――2万9518人の女性を対象とした20年にわたる綿密な研究11では、太陽光を避けると死亡する可能性が60%高まることが示された。定期的に太陽光を浴びることで、心臓病による死亡やその他の一般的な病気が大幅に減少した。
原注:この省略版の論考ではなく完全版の論考12では、太陽光を十分に浴びている人ほど、他の一般的な病気もかかりにくいという結果も載せられている。

3)メンタルヘルス――太陽光は、とくに季節性情動障害のようなうつ病の予防など、精神的な健康のために極めて重要である13。多くの労働者、とくに夜勤の従業員は、日照不足に悩まされている。例えば、中国の手術室看護師を対象とした研究では、精神的健康の悪化は日光浴不足と相関していることが明らかになった14
原注:私の医療インターン時代、蛍光灯の下での長時間の夜勤は臨床うつ病につながった。1ヵ月後、フルスペクトル(全波長域)の電球15を浴びたところ、ほとんど即座に気分が良くなった。

4)概日(がいじつ)リズム*――太陽の光は、休息と修復に不可欠な概日リズムを整えるのに役立つ。現代の不眠症は人工的な光への曝露と関連していることが多く、一日の始まりに太陽光の下を散歩することが効果的な治療法のひとつである。
*概日リズム(サーカディアン・リズム):日周性、24時間ごとの生活リズム。24時間周期で回帰する規則的な生物学的サイクル。


光とは何か?

 光は、光速で空間を伝わるエネルギーの波(電磁放射またはEMRと呼ばれる)である。その波の長さや周波数によって、その性質は大きく変化する。例えば、波長の長さが380nm~700nmの場合、肉眼で見ることができ、さまざまな色に広がるが、この範囲外では他の種類の光(赤外線や紫外線など)が現れる。

可視光領域 電磁スペクトル
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原注:先駆的な実験により、ある種の敏感な人は可視光線スペクトル以外の波長を見ることができることが示されている16

可視スペクトル
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 光(および他の種類の電磁波EMR)は私たちの環境全体を満たし、多くの重大な生物学的影響を及ぼす。一般に、これらの影響は、電磁波がどれだけのエネルギーを含んでいるかの結果として捉えられる。そして、もしそのエネルギーが生体分子をつなぎ止めている結合力を電離・イオン化させる(バラバラに切断する)のに十分ならば、上記スペクトルのガンマ線側(上記の図の右側)に行くほど、何かおかしなことが頻繁に現れる。

 しかし、このように言うことは、左側の波長の長いはるかに低いエネルギーの波も生物学的システムに影響を与える可能性があることを無視することになる。もしその波長が生物学的構造と一致し、なおかつその中にある共振力によるならば、低いエネルギーでも生物学的システムに影響を与える。例えば、レーダーマイクロ波*がアブラムシに与える影響を考えてみよう:

ビデオ(レーダーマイクロ波が照射されたアブラムシが徐々に死に絶えていく)

原注:多くの人はマイクロ波(レーダー、携帯電話、Wi-Fi)に過敏である。

 同様に、身体は自然光に含まれる多くの固有の波長を必要とするが、残念ながら人工照明には身体に必要な固有の波長は含まれていない。
 例えば、紫外線*にはさまざまな種類(UV-A、UV-B、UV-Cなど)があり、それぞれに固有の生命維持機能がある。
*紫外線:「老化のもとになる」「皮膚がんの原因になる」といった負のイメージが一般に広く知れ渡っており、シミ・ソバカス・乾燥の原因となると一般に広く喧伝されている。しかしじつは人が健康に過ごすためになくてはならないものであり、たとえばビタミンDの生成に紫外線が深く関与していることもその一つである。ビタミンDは①丈夫な骨の生成と維持、②免疫力の強化に欠かせない。


バイオフォトン(生物光子)とマイトジェニック・レディエーション(微弱な紫外線、MGR、Mitogenic Radiation)

 生物物理学によれば、細胞は微弱な紫外線光子(フォトン)を放出し成長を制御し、コミュニケーションをとっている。このようなバイオフォトン(生物光子)の伝達が阻害されると病気につながる可能性があり、癌のような病態では異常発光が見られる。例えば、発癌性物質はこれらのバイオフォトン(生物光子)を著しく乱すが、非発癌物質ではバイオフォトン(生物光子)の乱れはない17

 1923年、アレクサンダー・グルウィッチュ18は、細胞がMGRと呼ばれる微弱な紫外線を放出し、隣接する細胞の分裂を誘導することを発見した。この光は非常に微弱であったため、数十年後に高度な光電子増倍管装置で検出されるまで、検出することはできなかった。グルウィッチュの研究から得られた主な知見は以下のとおりである:

1)二次発光――MGR(微弱な紫外線)に暴露された細胞は、最適な生物学的反応に必要な周波数と正確に一致するように、MGR(微弱な紫外線)を再放出する。

2)傷害反応――傷害を受けた細胞や死にかけた細胞は短時間のMGR(微弱な紫外線)フラッシュを放出する。

3)高発光領域――脳組織、角膜、視神経、活動的な筋肉、血液はより多くのMGR(微弱な紫外線)を放出する。

4)血液伝導性――心臓の電荷の影響を受けた血管や通電した組織は、MGR(微弱な紫外線)を効率的に伝導する。

5)加齢と治癒――MGR(微弱な紫外線)の排出量は加齢とともに減少し、治癒に影響を及ぼす可能性がある。初期の研究では、高齢者の血液中のMGR(微弱な紫外線)を回復させると老衰が改善した。

 その可能性にもかかわらず、MGR(微弱な紫外線)の研究はあまり知られていない。
 興味深いことに、上級の瞑想者はしばしば体内で光を感知していると報告されている。バイオフォトン(生物光子)研究者は高感度機器を用いてそれを確認している。
 この分野は、細胞コミュニケーションと健康診断の未知の世界が探求されるのを待っていることを示唆している。例えば、MGR(微弱な紫外線)が再生医療で使われている多くの治療法の基礎になっていることは、ここで紹介した。

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ジョン・ナッシュ・オット

 植物はゆっくりと成長するため、その過程を通常は目で見ることができない。コマ撮り写真の登場だ。この微細な動きをスピードアップすることで、植物の動きを見ることができる。この分野のパイオニアであるジョン・オットは、高校在学中の1927年にタイム・ラプス*写真の実験を開始した。
*タイム・ラプス:写真を1枚ずつつなぎ合わせて、コマ送り動画にする撮影手法。

 タイム・ラプス撮影は簡単な作業ではなかった。何カ月、あるいは何年にもわたって一貫したフレーミングと照明が要求されたからだ。オットは、その卓越した技術と忍耐力で、他の人がしばしば失敗するような事象で素晴らしい結果をもたらし、引っ張りだこの専門家となった。

 ディズニーのために制作した映像19や、鉢植えのサクラソウにクラシックなワルツを踊らせる(そしてお辞儀をさせる)このビデオ20など、彼の作品は絶大な人気を博した。

ビデオ(Dancing Primrose:鉢植えのサクラソウにクラシックなワルツを踊らせ、お辞儀をさせる映像)


 オットは実験を通じて、撮影に使用する光に植物が反応することに気づいた。この光に対する感受性は、植物だけでなく、動物や人間にも及んだ(例えば、ピンク色の眼鏡をかけると著しい心理的障害が起こる)。

 重要な発見のひとつは、必要不可欠な紫外線はガラスを通さないということで、オットは特殊な窓を使って自然光を取り入れた。

 オットの研究によって、光に対する植物の微妙な反応が可視化され、光がすべての生物に与える重大な影響を浮き彫りにする、魅力的な世界が開かれた。

「科学界では、二重盲検法*によって大きな進歩を遂げた人はいない。大発見・大進歩は注意深い観察によってもたらされる」―― ジョン・オット
*二重盲検法:とくに医学の試験・研究で、対象としている薬や治療法などの性質を、医師からも患者からも不明にして行なう方法。


 彼の画期的な研究は、科学界から注目される一方で、とくにタイム・ラプス写真では、主流機関からの抵抗に直面していた。

 危険なテレビを市場から排除し、フルスペクトル照明を普及させるなど、いくつかの成功にもかかわらず、彼は絶えず障害に遭遇した。しかし、彼の研究は自然医学の世界にも浸透していった。


主な発見――紫外線も含めた太陽光の効用

1. 植物――周期的な自然光は植物の健康に不可欠であり、成長サイクルを導き、収穫量を増やし、致命的な感染症から回復させる21。また、微小な宇宙線や人工X線(ブラウン管テレビや蛍光灯など)が、植物が成長する方向を決定し、人間にも大きな影響を与える(神経過敏や慢性疲労を引き起こすなど)ことも発見した22

2. 目と光――オットは、目(身体の中で最も透明な部分)が、自然光を体内に取り込み、下垂体や松果体のような重要な腺に影響を与えることで、身体に栄養を与える重要な役割を果たしていることを発見した23。この洞察は、適切な光の照射がホルモンの健康維持に不可欠であることを示唆している24

3. メガネ―― 一般的なメガネやコンタクトは、必要な波長(紫外線など)を遮断する。オットは、自然光を目に戻すと多くの健康問題が改善することを発見した25

4. 光による運動――オットは、自然光が植物や動物の細胞に自発的で整然とした運動を引き起こすのに対し、不自然な光はその運動と細胞の繁殖を凍結させることを観察し、光が生物学的システムに動的な影響を与えることを示している26

5. 日照不足――オットをはじめとする科学者たちは、日照不足が慢性的に蔓延し、深刻な健康問題を引き起こしていると考えた27

6.周波数感受性――異なる身体の部位が特定の光の周波数に反応すること、光アレルギー性の薬物や病原体が体内に吸収されたりまたは反射する光に基づいて身体に影響を与える可能性があるのではないかと、オットは発見した28。その後のカラーセラピーの研究によって、オットの発見の多くが裏付けられた29

7. 行動―― オットは、光が動物や人間の行動に影響を与えることを常日頃から観察していた(例えば、不自然な光は動物をはるかに攻撃的にする一方、健康的な光は動物を子孫に対してより慈しむようにした)30。人間においては、「気分を明るくする」ためにピンク色の照明が導入されると職場が崩壊するのをオットは目の当たりにし、紫外線を背面光(UVバックライト)として導入すると労働者の健康と行動が並外れて良くなるのを観察した31

 同様に、自然光が子どもたちの学校での行動や学力を著しく向上させることを彼は発見した32

8. 繁殖――オットは、照明が動物の繁殖力(例えば、不自然な光は魚の産卵を止める可能性がある)33と子孫の男女比の両方に大きな影響を与えることを発見した(例えば、健康的な光の下で、チンチラというネズミはより多くのメスを出産した)。それで多くの農家や畜産家がオットの提案を実施し始めた34。同様に、彼らは健康的な照明が農業の収量を大幅に増加させることを発見した(例えば、鶏はより速く成長し、より多くの卵を産んだ)。

9. 癌――不健康な照明には発癌性があった(例えば、オットは「不可解な」白血病の集団の原因が有毒な教室の照明にあること、動物に癌を引き起こしたり悪化させたりするのが有毒な照明にあることを示す研究に光を当てた)35。逆にオットは、病院に健康的な照明を導入することで、数多くの癌患者の治療に成功した36

10. その他の病気――健康的な光が感染症や虫歯を予防し、動物の生存率を高め、糖尿病、関節炎、アレルギー、その他の自己免疫疾患など、多くの人間の慢性病を改善することも、オットは発見した37

関連記事:太陽光不足が喫煙と同じくらい致命的な理由

 要約すると、オットは、共振によって特定の波長を集中させた人工光が生物学的プロセスを混乱させ、特定の機能の過剰活性化または過小活性化を引き起こす可能性があることを強調し、自然界にある微量の放射線でさえ重大な生物学的影響を及ぼす可能性があることを示した。


液体結晶の動き

 生物学における大きな謎は、液体の流れを促進する圧力勾配(例えば、ポンプによって作られる圧力勾配)が存在しないにもかかわらず、どのようにして流体が生体内を絶えず動き続けることができるのかということである。例えば、血液が毛細血管から戻るとき、静脈内では血圧がない状態であるにもかかわらず急激な流れで心臓に向かって移動する。このような観察から、ある流派の医学者たちは、心臓の主な機能は血液を全身に送り出すことだけではない(つまり血液を心臓へと引っ張りこむ)と考えるようになった38

 ジェラルド・ポラックは、この厄介な疑問に答えを与えた39。歴史上、多くの人が、水がしばしば液体でも固体でもない状態になることを観察してきた。ポラックは、水が磁性表面*やエネルギー源と相互作用すると、次のようなユニークな性質をもつ新しい状態「第四の相**」を形成することを発見した40
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https://4thwater.com/waterlife/the-fourth-phase-of-water/
*磁性表面:プラス・マイナスなどの磁気・極をもつ表面。
**情報を記憶する水の「第四の相」:ポラック博士は「水の『第四の相』はエネルギー変換装置である」と考えている。リュック・モンタニエ博士は、①DNA情報は電磁波信号として水に転写できる。②このようにして水に転写されたDNA情報は再物質化できる。③これらの結果から、波動水を用いた波動カウンセリングが本物であることが示唆される、とした。


1)ゲル状構造――ゲル*や液体結晶のようにふるまい、コーティングした表面(血管や筋膜など)を絶えず安定させ、保護する41
*ゲルとゾル:コロイド溶液(ゾル)が流動性を失ってゼリー状となった物。例えば固まった寒天、豆腐などがその例。

2)電荷勾配(電気化学勾配*)――このゲルには電荷勾配が組み込まれており、生理的な必須プロセスに力を与える42
*電荷勾配(電気化学的勾配):電気化学ポテンシャルの勾配であり、通常は膜を越えて移動するイオンについてのものである。勾配は、化学的勾配(膜を挟んだ溶質濃度の差)と電気的勾配(膜を挟んだ電荷の差)という2つの部分から構成される。透過性の膜を挟んだ両側のイオン濃度が不均等であるときには、イオンは高濃度側から低濃度側へ単純拡散によって膜を越えて移動する。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%BB%E6%B0%97%E5%8C%96%E5%AD%A6%E7%9A%84%E5%8B%BE%E9%85%8D
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3)自然発生的な流れ――このようなゲルがチューブ(管の内側)を被覆すると、ゲルが放出する水素イオンが互いに反発し合い、植物、細胞、血管において天然の流体ポンプとして働く自然発生的な流れが生じる43
原注:この自然発生的な流れとその重要性については、ここでさらに詳しく説明する。

 太陽の光は、次のような形で体循環に重要な役割を果たしている:

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1)液体のゲル状態を生成し、流体運動を促進する44

2)コレステロール硫酸塩の合成を触媒し、液体のゲル状態を形成する磁性表面を作り出す45

3)紫外線がゼータ電位*を向上させ、体液を分散させる46 (微小血栓の除去などをおこなう)。 https://www.face-kyowa.co.jp/science/theory/what_zeta_potential.html

4)一酸化窒素の生成を促進する――血管を拡張し、血液循環を改善する47

 以上のことは、体液の流れと心臓血管の健康を維持するために、身体が太陽光を利用するように設計されていることを示唆している。


血液が光を伝える

 オットの研究の多くは、私たちが必要とする光を体内に取り込むことを中心に展開されていた。これと並行して、他のさまざまな革新者たちが、「光を体内に取り入れるとさまざまな有意義な効果が得られること」を発見した48
 同様に、オットと同じように、彼らはしばしば、身体が必要とする光を体内に取り込むことができないために病気が生じることを発見した(例えば、オットが観察した、メガネが目に必要な波長を遮ることによる重大な健康問題を考えてみよ)。

 体内に光を取り込むための最も古いアプローチのひとつは、体内から血液を取り出し、それを再び輸血することで、血液が体内に入る前に光(典型的には紫外線)にさらし、それによって皮膚が体内に入る光に対して作るバリアを迂回させることだった。

 1928年以来、血液バイオ・フォト・セラピー(血液紫外線照射療法、UVBI)は一貫して奇跡的な結果を生み出し続け、現在では医療行為が独占されていない国々で広く使われている。

 私が血液バイオ・フォト・セラピー(UVBI)を使い始めたとき、あまりにも早く急速な改善が、しばしば見られることに気づき始めた。それは、単に照射された血液が体内を循環し、それが直接に接触したものに影響を与えたというにはあまりにも早すぎたのだ。

原注:このような急速な変化は、MGR(微弱な紫外線)を放出する他のいくつかの治療法でも観察された(例えば、ある種の幹細胞製剤)49

 実験してみると、治療中に外部の紫外線をオンにしたりオフにしたりすると、即座に全身の反応が起こることがわかった(血液が循環に入るまでおよそ30秒かかる)。つまり、血液の一部分を照らせば、すぐに全身に影響を及ぼす可能性があるということだ。現在のところ、私はこの伝導性は以下によるものだと考えている:

1. 二次的紫外線放射――紫外線を浴びた血液は、二次的紫外線を放射することがある。これは、紫外線を浴びた血液が印画紙を現像させる実験によって確認された50

2. ポルフィリンと光伝達―― ポルフィリン51*は、ヘモグロビンやクロロフィルに含まれるものと同様に、光エネルギーを伝達する52
*ポルフィリン:生体内の酸化還元反応に重要な役割を果たしているヘモグロビン(血色素)、チトクロム類(呼吸色素)、クロロフィル(葉緑素)類などの色素部分を構成する化合物。

3. 光の吸収――血液細胞は特定の波長の光を吸収する53

4. 他の伝導体――神経や「鍼灸のツボ」54も光を伝導する。


 血液がじっさいに光を伝導すると仮定すると、このことは、これまでに概説した多くの考え方に重要な背景を与えることになる。

 これを理解することで、局所的な光治療がなぜこのような幅広い効果をもたらすのかが明確になる。

 逆に、もしあなたが光アレルギー(光線過敏症)に苦しんでいるのであれば、それは次のようなことが原因かもしれない:

1) 微小循環の問題――ゼータ電位55が低いと、紫外線で加熱された体液の体内への移行が妨げられ、過剰な光照射による日焼けを引き起こす可能性がある。

2)ミトコンドリア機能不全――ミトコンドリアが光エネルギーを使用可能なエネルギーに変換できない場合、還元的ストレス56*と光照射による潜在的ダメージの両方が生じる。
*体内の活性酸素が自分自身を酸化させようとする力を「酸化ストレス」という。 これに対して「還元ストレス」という新たな概念が近年提唱されている。活性酸素を還元・無毒化する抗酸化システムのことで、これは細胞の生存維持に重要な役割を担っている。
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https://opeth.co.jp/relax/


 こうした点を改善することで、日光に対しる対応能力を高めることができる。例えば、食生活の問題を改善したり、生理的なゼータ電位を回復させたりすることで、太陽光に対応能力が高まる、と多くの人が感じている。


結論

 トランプの大統領就任で最も物議を醸した瞬間のひとつは、紫外線を体内に入れ、1分以内に肺を消毒できる新しい治療法COVID-19について質問したことだった57

 トランプがこのように発言した後、メディアや多くの政治家は、トランプが漂白剤を体内に注入することを提唱したという誤った主張を繰り返し続けた(それは今日に至るまで続いている)。その結果、彼の支持者の多くは、この事件のメディアの描きかたに異議を唱えた。

 私の場合、それに対して強い感情を抱いた理由は二つあった。

 第一に、COVID-19の治療に鼻腔消毒剤(ヨウ素、過酸化水素、次亜塩素酸など)を使うことに汚名を着せたことだ。発病初期に使えば、これらの消毒薬はCOVID-19に対する最も安全で効果的で、最も広く利用できる治療法のひとつであったからである。

 第二に、体内に光を入れるという考えに汚名を着せたことである。体内に光を入れることはこれまでに開発された医学療法の中で最も有用なものだったからである。

 本論の続編(こちらでお読みいただけます)では、UVBI(血液紫外線照射療法)がどのようにおこなわれるのか、UVBIがさまざまな難しい症状にもたらす驚くべき効果、そしてこの療法が日の目を見るのを医療業界がどこまで阻止したのかについて述べている。

 それゆえ、メルコラ博士のようなこの分野のパイオニアやこれを読んでくださった読者が、自然光が細胞の健康にとって極めて重要であり、光の驚くべき特性がもはや「医学の葬られ忘れ去られた存在」ではないことを一般の人々に知らしめてくださることを、心から望んでいます。

原注:この記事は、光が生物に及ぼす驚くべき影響について深く考察した長編記事の省略版です。より具体的な詳細と出典を含む全文は、こちらをクリックしてください。

「食の移行」政策は食料や農家、そして世界中の人々に対する戦争だ

<記事原文 寺島先生推薦>
The ‘Food Transition’ Is a War on Food, Farmers and Everybody Worldwide
筆者:コリン・トッドハンター(Colin Todhunter)
出典:グローバル・リサーチ(Global Research) 2024年3月4日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年3月19日


食の危険


この記事は、研究者のサンディ・アダムス氏のインタビューにもとづいた短い動画から始まる。アダムス氏は、イングランド北西部のサマセットという田舎の郡や英国全体における農業のために取られている計画について話してくれている。この映像が重要なのは、アダムス氏が話してくれている内容が、国連によるより広大な計画の一部を指しているように思えるからだ。そしてこの計画をおろしてきているのは、自分たちがやったことに責任を持たない、選挙で選ばれたわけではない超富裕層だ。

この超富裕層は、自然に頼るよりも、食の本質や食料供給の遺伝子核を変える(合成生物学や遺伝子工学)ほうが効果が得られる、と考えている。

さらにこの計画に含まれている内容は、農地から農家を排除(AIが運用する、農家の存在しない農地)することや、地方の大地を風力発電所や太陽光パネルで埋め尽くすこともある。たしかに食糧体系には手を入れる必要のある問題点があることは事実だが、こんな方向性の間違った計画は、食の問題を不安定にし、だれも賛同できないだろう。



オランダからインドまで、世界中で農民たちは抗議活動をおこなっている。これらの抗議活動は、共通点がほとんど見いだせないように見える。しかし実際のところ、共通点はあるのだ。それには、農民たちはますます、生計を立てることが困難になっていることもあるし、それ以外にはたとえば、新自由主義的貿易政策による国外からの農産物の輸入、国内農産物の生産の弱体化、価格の暴落、国家による農民救済措置の停止、非現実的な目標を掲げている排出ゼロ政策などがあげられるだろう。

これらの抗議活動の理由となっている共通の糸は、なんらかの形で、農業が意図的に不可能である、あるいは金銭的に生き残れないよう追いやられている点にある。その目的は、ほとんどの農民を農地から締め出し、とある計画を強行突破させることだ。そしてその計画の本質は、食料不足を生み出し、食の安全保障を弱体化することにあるようだ。

「ひとつの世界の農業」という名の世界規模の取り組みを推し進めているのは、ゲイツ財団や世界経済フォーラムといった組織だ。その取り組みは農業や食に対する視座に関わるものであり、その視座は、バイエル社やコルテバ社、シンジェンタ社、カーギル社などの農業関連企業がマイクロソフト社やグーグル社などの巨大テック業界と結びつき、AIが運営する農家のいない農地や研究室で操作された「食物」、アマゾン社やウォルマート社が支配する小売業の促進、というところに向けられている。

この取り組みを発案したのは、デジタル・企業・金融複合体であり、この複合体が望んでいるのは、生活や人間の行動の全ての面の形を変え、支配することだ。この複合体は、権威的な世界規模の特権階級層の一部として機能しているが、この階級層は、国連や世界経済フォーラム、世界貿易機関、世界銀行、国際通貨基金、影響力のあるシンクタンクや基金(ゲイツ財団やロックフェラー財団など)を含むそれ以外の多国籍組織を通じて自分たちの取り組みを調整する力を有している。

食と農業のためのこれらの特権階級層の取り組みは、「食の移行」という遠回しなことばで表現されている。巨大農業関連企業と「慈善」基金は、自分たちがまるで人類にとっての救世主であるかのような立ち位置をとるために、大々的に広告されている計画を利用している。具体的には、ハイテクを駆使した「精密農法」や「データに基づく」農業、「グリーン(排出ゼロ)」な農産物により「世界に食料を提供する」という売り込み文句だ。「持続可能性」というお題目を唱えながら、だ。

関連記事:金持ちの腹は飢餓の裏でさらに膨らむ

この「食の移行」政策に不可欠なのが、「気候変動緊急事態」言説だ。この言説に対する注釈は、慎重に作り出され、促進されてきた(調査記者であるコリー・モーニングスター氏の記事を参照)。さらに排出ゼロ思想が炭素農業*やカーボン・トレード・システム**と結び付けられている。
*大気中の二酸化炭素を土壌に取り込んで、農地の土壌の質を向上させ温室効果ガスの排出削減を目指す農法のこと
**二酸化炭素ガスによる地球温暖化防止のために、各国の二酸化炭素発生量の限度量を決め、それを超える国は他の超えていない国から二酸化炭素発生の権利(carbon credit、カーボン・クレジット)を買う、という取り決めのこと(英辞郎)


「食の移行」には、農民たち(少なくともこの先も農業を続ける農民たちのことになるが)を企業支配のもとでの農業にさらに釘付けにしてしまうことも含まれる。こんな農業のもとでは、農地たちの富が搾取され、世界的企業の市場の必要やカーボン・トレード・システムという投資詐欺や組織的な投資家や投機家に応じた農業がおこなわれることになる。これらの投資家や投機家たちは、農業と全く関係を持たず、農業や食料品、農地のことを単なる金融資産としか考えていない。これらの農民は企業から利益を吸い取られる存在となってしまい、全ての危険性を引き受けねばならなくなるだろう。

地方におけるこの略奪的商業主義は、間違った前提や気候変動という不必要な警告を利用して、技術の導入を正当化しようとしている。その技術が、気候崩壊や(人口の増加が地球の危機を招くという)マルサス主義的崩壊から私たち全てを守ってくれるという前提で。

一般社会では、公式言説に疑念を唱えれば、落胆させられ、検閲の対象となり、軽視される。同じような状況を目にしたのは、政策や「科学」が、COVID-19に関連した各国の対応を正当化するために使われたときのことだ。富裕層が科学界に資金提供をおこなう状況がますます増加し、何をどう研究し、その研究結果がどのように流布され、生み出された技術がどう使われるかについての決定権をもつようになっている。

この富裕層がもっている力により、真になすべき討論は封鎖され、支配的な言説に異論を唱える人々は中傷され検閲を課されている。その結果、「人類が直面している諸問題は、すべて技術革新により解決できる」という考え方が普及してしまっている。そしてその考え方を決めたのは、金持ち連中と中央集権的各国政府だ。

こんな自分勝手な考え方(完全な傲慢性といってもいいだろう)により、権威主義の兆候が導かれる、またそのような兆候がすでに生じている。そしてその権威主義は、民主主義を考慮に入れないまま、人類に様々な技術を課そうとしている。その技術には、自己感染力のあるワクチンや植物や食物の遺伝子操作、トランスヒューマ二ズム(科学の力により人間の身体や認知能力を向上させようとする工学)が含まれる。

私たちが目にしているのは、権力を集中させ、技術科学の専門知識(技術官僚がもつ専門知識)が特権を与えられるという間違った判断のもとでの環境道徳主義的観点である。同時に、世界規模における文化内あるいは文化間での歴史的な勢力関係(それはしばしば農業や植民地主義に起源をもつ)や負の遺産については都合良く無視され、政治的色合いを失わされている。技術は貧困や不平等、強奪、帝国主義あるいは搾取を解決できる特効薬ではない。

農業分野において導入されている技術や政策についていえば、こうした現象はさらに強化され、定着していくだろう。私たちが食べる現代食や、「食の移行」を推進する企業によってすでに使用されている農薬や慣行の結果、著しく増加している病気や不健康もそのひとつだ。しかし、農業と医薬品の両方に投資するブラックロック社のような投資家にとっては、生命科学分野の技術を駆使した解決法に資金を投じる機会が生まれることになる。

しかし、新自由主義的な民営化経済では、支配的な富裕層特権階級の台頭がしばしば促進されてきた。その特権階級の人たちは、世界がどのように機能し、今後も機能し続けるべきかについて、ある種の前提を持っている、と考えるのが妥当だろう。その世界とは、規制が緩和され、監視の目は制限され、民間資本が覇権謳歌する世界である。さらには、ビル・ゲイツのように「我こそが一番の物知りである」と考える民間人が主導する世界である。

例えば、生命体の特許化や炭素取引、市場(企業)依存の定着、土地投資などを通じて、これらの特権階級の人々が提唱する環境・近代化政策は、彼らにとってさらなる富を生み出し、蓄積し、支配を強固にするための隠れ蓑として機能している。

であるので、民主主義の原理を軽視する権力をもつものたち(普通の人々もそうかもしれない)が、自分たちは神聖な権利を有していて、食の安全を悪化させたり、議論する余地を閉ざしたり、技術や政策の恩恵を受けて自分たちをさらに富ませたり、人類の未来を勝手に賭け事の対象にしたりできる、と考えているとしても、ほとんど驚かされることはないのだ。



上記の問題に対してさらに詳しくお考えになりたいのであれば、食糧体系の問題に関する同記事筆者の2冊の電子本(こちらこちら)をご参照いただきたい。

著名な作家コリン・トッドハンターの専門は開発、食糧、農業。グローバリゼーション研究センター(CRG)研究員。

ロックフェラーはいかにして現代医学を創立し、自然療法を殺したのか

<記事原文 寺島先生推薦>
How Rockefeller Founded Modern Medicine and Killed Natural Cures
筆者:クリス・カンサン(Chris Kanthan)
出典:グローバル・リサーチ 2023年3月9日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年2月26日


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この記事の初出は2015年10月

最近では、植物の治癒特性などの全体観的治療法による治療について話す人は、変人扱いされる。しかし、すべて似たり寄ったりだが、現代の医療体系の背後には多くの政治と資金が存在する。

そのすべての始まりはジョン D. ロックフェラー(1839–1937)だ。 彼は、石油王であり悪徳資本家であり、米国初の億万長者であり、生まれついての富の独占者だった。

20世紀初頭までに、彼は自身の石油会社スタンダード・オイル社を通じて米国の全製油所の90%を支配した。なおこの会社はのちに、シェブロン社、エクソン社、モービル社などに分裂した。

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時を同じくした1900 年頃、科学者たちは「石油化学」と呼ばれる、石油からあらゆる種類の化学物質を作り出す能力を発見した。たとえば、ベークライトと呼ばれる最初のプラスチックは1907年に石油から作られた。科学者たちはさまざまなビタミンも発見し、多くの医薬品が石油から作れるのではないかと推測した。

この発見は、ロックフェラーにとって素晴らしい機会となった。石油や化学、医療産業を同時に独占できる可能性が生まれたからだ。

石油化学製品の最も優れた点は、すべてが特許を取得できるため、販売すれば高い利益が得られることだった。

しかし、医療業界に対するロックフェラーの計画には問題が1つあった。当時の米国では天然薬や漢方薬が非常に人気があったことだ。米国の医師と医科大学のほぼ半数は、ヨーロッパとアメリカ先住民の知識を活用して全体観的治療法を実践していた。

独占企業であるロックフェラーは、最大の競争相手を排除する方法を見つけなければならなかった。そこで彼は、「問題-反応-解決」という古典的な戦略を採用した。つまり、問題を作り出して人々を怖がらせてから、(事前に計画された)解決策を提供するという手口だ。(テロの恐怖を煽ったあとで「愛国者法」を制定したのと同じ手口)。

彼は友人のアンドリュー・カーネギー(鉄鋼産業の独占で儲けたもう一人の金権政治家)のところへ行き、カーネギーはある計画を立てた。著名なカーネギー財団から、エイブラハム・フレクスナーという男性が全国を周り、医科大学や病院の状況を報告するよう委託された。

この報告がフレクスナー報告につながり、私たちが知っているような現代医学が誕生した。

言うまでもなく、この報告書では医療機関の再編と一元化の必要性が言及されていた。そしてこの報告に基づいて、全医科大学の半数以上がすぐに閉鎖された。

全体観的治療法と自然療法は嘲笑され、悪者扱いされた。投獄された医師さえいた。

この移行を支援し、他の医師や科学者の考えを変えるために、ロックフェラーは大学や病院に1億ドル以上を寄付し、「一般教育委員会(GEB)」と呼ばれる慈善団体を設立した。これは古典的なアメとムチの手口だ。

非常に短期間のうちに、医科大学はすべて簡素化され、均質化された。学生は全員同じことを学び、医学とは特許薬を使用することだけになった。

科学者たちは植物が病気をどのように治すかを研究するために巨額の助成金を受け取ったが、その目標は、まず植物内のどの化学物質が効果的かを特定し、次に特許を取得できる類似の化学物質(ただし同一ではない)を研究室で再現することだった。

「ひとつの病気にひとつの薬(A pill for an ill)」をあてがうことが、現代医学の信条になった。

コーク兄弟(米国の富裕一族)は悪者だと思われただろうか?

つまり、100年後の今、私たちは栄養やハーブ、あるいは全体観的治療法の利点について何も知らない医師を大量に生み出しているのだ。私たちの社会全体が、企業の利益のために奴隷にされているのだ。

米国はGDPの15%を医療に費やしているが、これはまさに「シックケア(病気治療)」と呼ぶべきものだ。治療ではなく症状のみに焦点を当てているため、同じ病気が何度もくり返される。がんや糖尿病、自閉症、喘息、さらにはインフルエンザさえも治療法はない。

なぜ本当の治療法が存在するのにこうなっているのだろうか?その理由は、このような体系を設立したのは医師ではなく、財閥や金権政治家たちだからだ。

そうそう、がんに関して言えば、米国がん協会が1913年に設立されたのは、他ならぬロックフェラーによってだった。

乳がんに対する啓発を高めるこの月に、人々が化学療法や放射線、手術について洗脳されているのを見るのは悲しいことだ。その件については、あらためてブログの別の投稿で触れることにする...この記事は、ジョン D. ロックフェラーが米国民をどう見ていたかについて要約したものだ…
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この記事の元の情報源はWorld Affairs

イタリア、世界初の合成食品禁止法案を議会に提出

<記事原文 寺島先生推薦>
Italy Planning to Become First Country to Ban Synthetic Food
筆者:ポール・アンソニー・テイラー(Paul Anthony Taylor)
出典:グローバル・リサーチ 2023年11月10日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>2023年11月24日





 イタリアは、世界で初めて合成食品を禁止する国になろうとしている。実験室で製造された食品の製造、輸入、販売を禁止する法案が、同国の下院で審議されている。フランチェスコ・ロロブリジーダ・イタリア農相がアイルランドのキルケニーで開催された最近の催しで発表したこの動きは、予防原則に基づくもので、一部の特権階級だけでなく、すべての人に高品質の食品を確保することを目的としている。実験室生まれの食肉は環境に優しいと宣伝されているが、最近の調査によると、そのカーボン・フットプリント(生産に伴う炭素排出量)は従来の食肉よりも桁違いに高いようだ。

 イタリア政府は、合成食品をどのように規制するかについて模範を示したいと述べ、フランチェスコ・ロロブリジーダ農相は、すべての人がきちんとした食生活ができるべきであり、高品質の食品は裕福な特権階級のためだけに生産されるものではないと主張した。ロロブリジーダ農相は、実験室で生産される肉はイタリアのような国にとっては「自殺行為」であり、イタリア政府は自国の食をユネスコの無形文化遺産に登録するための取り組みをおこなっている、と語った。

 ロロブリジーダ農相は、実験室で生産される食品を承認することは、最終的に畑や農場を消滅させることになりかねず、環境破壊につながると考えている。生化学反応装置を使った食品生産は、環境に悪影響を与えるだけでなく、人間の健康にも危険をもたらすと同農相は主張している。

通常の牛肉より高いカーボン・フットプリント

 合成食肉は、牛を飼育するよりも土地、水、温室効果ガスが少なくてすむとして、環境にやさしいと宣伝されているが、最近の研究によれば、そのカーボン・フットプリントは、従来の牛肉よりも桁違いに高くなる可能性が高い。カリフォルニア大学デービス校で行われた研究で、研究者たちは、現在および近い将来の生産方法に基づき、実験室で栽培された食肉の製造を拡大すると、エネルギーを大量に消費し、地球温暖化係数は小売牛肉の平均の最大25倍になることを発見した。

 この発見を考えると、ビル・ゲイツが実験室生産食肉の最大の支持者の一人であることは皮肉なことかもしれない。気候変動の危険性に対する警告を支持するゲイツは、豊かな国々は合成牛肉に全面的に移行すべきだ、と主張している。ひねくれた見方をすれば、ゲイツがこのような製品を支持するのは、地球温暖化を回避するためというよりも、特許と利益を確保するためだと考えているからかもしれない。このように考えると、ゲイツが獲得した米国最大の個人農地所有者という新たな地位は、あらゆる疑問を投げかけることになる。

 これまでのところ、食用として実験室で作られた食肉を認可しているのは米国とシンガポールだけである。しかし、事情通の人々が指摘しているように、もしEUで認可が下りれば、EUの持つ商品と事業の自由な移動に関する法律により、イタリアがこれらの製品に対して国内禁止令を施行することは実質的に不可能となる。

地中海食に感化されて

 イタリア政府の閣僚の何人かは、新法案の着想として、自国の有名な地中海食を挙げている。過去70年間で最も研究された食事法であることは間違いないが、地中海食が歴史的に基盤としてきた主な構成要素は、大量の果物と野菜、全粒穀物、豆類、ナッツ類、オリーブオイル、ヨーグルト、適量のチーズ、週に最大4個程度の卵、少量の肉、魚、ワインなどである。地中海食は、糖尿病、心血管疾患、がん、アルツハイマー病、その他の慢性疾患の予防だけでなく、健康増進と長寿につながるという研究結果が数多く発表されている。

 2014年10月、南イタリアの歴史的な町バルレッタで行われた基調講演で、マティアス・ラート博士は、新しい予防的な医療的対策の礎を説いた。微量栄養素の欠乏が慢性疾患の主な原因であることを説明し、私たちが毎日の食事から必要とする物質の大部分は、私たちの庭や農場で育つ果物、野菜、植物に含まれていることを指摘した。この理解は、今日の最も一般的な病気を自然に抑制する道を開くものである、と同博士は説明した。

 科学的な研究により、自然に生産されたオーガニック食品の健康効果がますます確認されつつある。同時に、超加工食品の寿命を縮める影響も急速に明らかになりつつある。実験室で育てられた肉やその他の超加工食品は、主に億万長者の支持者の利益のために設計されている。現代の多国籍食品産業が「病気ビジネス」の一部であることがますます明らかになる中、人類は危険と隣り合わせの危険な合成食品を消費している。

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この記事の初出は、『Dr. Rath Health Foundation

Dr. Rath Health Foundationの事務局長であり、爆発的な反応を呼んだ著書『The Nazi Roots of the 'Brussels EU'』の共著者の一人であるポールは、コーデックス委員会の専門家でもあり、公式オブザーバー代表として、コーデックス委員会の会合を目撃した経験がある。ポールのツイッターは @paulanthtaylor
当サイト、グローバル・リサーチの常連寄稿者。

レタスでワクチンを培養?- 米議員、FDAとUSDAに食用GMOワクチンへの資金提供禁止を議会に要請

<記事原文 寺島先生推薦>
Vaccines Grown in Lettuce? Rep. Massie Asks House to Bar FDA, USDA From Funding Transgenic Edible Vaccines
筆者:マイケル・ネヴラダキス(Michael Nevradakis)
出典:Global Research  2023年9月29日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年11月10日


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米国下院は、火曜日(9月26日)、遺伝子組み換えされた植物で育てられた、人間や動物が摂取するための遺伝子組換え食品ワクチンへの資金提供を禁止する修正案を可決した。

農業予算法案H.R. 4368への提案として、トーマス・マッシー議員(共和党、ケンタッキー州選出)が提案したこの改正案は、2024会計年度において、米国農務省(USDA)と米国食品医薬品局(FDA)がワクチンに資金提供を行わないよう規定している。

この記事執筆時点では、下院での完全な法案の投票はまだ行われていない。

The Defender(Children’s Health Defenseの広報サイト)とのインタビューで、マッシーが修正案を提出したのは、最近カリフォルニアであるプロジェクトのことを知ってからだったと語った。この事業は、国立科学財団から50万ドルの助成金を受け、レタスを育て、それを人間が消費することを意図したmRNAワクチンを作るレタスを獲得しようとするものだ。

マッシーは懸念していると語った。

「植物は交雑し、これらの改変された食用植物からの花粉が風に運ばれ、他の畑に飛び移り、それらを汚染する可能性があります。そして、どれだけ処方されるかわからない、どれだけの量かわからないワクチンで、私たちの食品供給を大幅に汚染する可能性があります」。

「植物は花粉を放出し、風や昆虫と一緒にどこへでも行ってしまう可能性があります。ちょっと考えただけでもとんでもないことです」と彼は付言した。




 「マッシー議員が懸念を持つのは正しいことです」とGMWatchの編集長であるクレア・ロビンソンはThe Defenderに語った。「食用植物に強力な免疫原を遺伝子工学的に導入することは、極めて無責任です」と彼女は付言した。

 「遺伝子組み換え(GM)植物— GM変換過程におけるDNAへの損傷効果が、遺伝子発現と植物の生化学に変化をもたらし、それには毒物やアレルゲン(アレルギー誘発物質)の生成も含まれる可能性があります—通常の危険性すべてがこれらのワクチン生産植物にも生じ、さらに追加のリスクが存在します。」

「ワクチンを製造する植物の場合、植物を免疫反応が起こるように意図的に設計します。これにより危険段階が指数関数的に増加します。」

「それらは、機能しないか、安全ではないか、あるいはその両方の問題があるのですよ」


2013年の科学論文によれば、遺伝子組み換え食用ワクチンは「暗号化されたタンパク質を製造するため、選択された望ましい遺伝子を植物に導入し、これらの遺伝子組み換え植物を誘発させることによって準備される」。

この論文によれば、このようなワクチンには、従来のワクチン製造技術に比べて「いくつかの潜在的な利点」がある。たとえば、開発途上国に合った製品の生産コストが潜在的に低くなるなど、だ。

遺伝子組み換えの食用ワクチンの開発に向けた取り組みは昨日今日始まったものではない。このテーマに関する科学文献は少なくとも1999年まで遡る。

現在の遺伝子組み換えの食用ワクチンの試みの中で新しいのは、mRNAワクチンを経口で処方しようとすることだ。

「これらはすべて遺伝子組み換え作物です」とマッシーは語った。「それらはmRNAで注入されたか、DNAと結合され、そのRNAまたはDNAのコピーを作成する意図で行なわれています。これらの植物はその点において非常に効果的です」。

ロビンソンが言うには、このやり方は昨日今日に始まったものではない。

 「科学者たちは多年にわたり、植物で摂取可能なワクチンを製造しようと試みており、動物および人間での一部のテストが行なわれています」。

しかし、彼女は付言した。「これまでのところ、私の知る限り、植物で生産されたワクチンはどこでも承認されていません。これは何を示しているのでしょうか?それらは効果がないか、安全ではないか、またはその両方ではないか」とロビンソンは述べた。



カリフォルニア・プロジェクトは「完全な狂気」

カリフォルニア大学(UC)、リバーサイド校の科学者たちによって実施された、マッシーの注意を引いたカリフォルニアのレタス・プロジェクトは、「ワクチンの未来」を開発しようとする試みとされており、これにより「接種ではなく、サラダを食べるようなものになるかもしれない」と説明されている。これは、「食用のレタスなどの植物をmRNAワクチンの工場に変える」ことを通じて行なわれる。

READ MORE:mRNA Vaccines in Farm animals: Pork, Beef, Shrimp. Self-amplifying mRNA Vaccines for Livestock

「このプロジェクトの目標は…三つあります」とカリフォルニア大学リバーサイドは言っている。「①mRNAワクチンを含むDNAを複製する植物細胞の適切な部分に成功裏に送れることを示し、②従来の注射に匹敵するほど十分なmRNAを植物が生成できることを実証し、③最適な投与量を決定することです」。

これは、mRNAワクチン技術に現在直面している課題、すなわち「輸送および保管中に安定性を維持するために冷蔵が必要である」という課題を克服するのに役立つかもしれない。

植物由来のmRNAワクチンは、「室温で保存できる能力を持つ」と、大学の研究者たちは述べた。

Juan Pablo Giraldo博士は、カリフォルニア大学リバーサイド校の植物学と植物科学の学部で准教授を務め、カリフォルニア大学サンディエゴ校とカーネギィー・メロン大学の科学者と共同でこの研究プロジェクトを指導している。彼は「理想的には、1つの植物が1人分のmRNAワクチンを生産するだけの量を産み出すでしょう」と述べた。

「私たちはこの手法をほうれん草とレタスでテストしており、長期的な目標は人々が自分の庭でそれを育てることです」と彼は付言した。「農家は最終的にはそれを栽培することができるかもしれません」。

ロビンソンはそのような試みを「完全な狂気」と呼び、The Defenderに次のように語った:

 「科学者たちは、人々がワクチンを含む植物を自分の庭で育て、農家がそれらを自分の畑で育てることについて話しています。このように、未制御の状況でそうした植物を放出する提案は、まったくの狂気だと言えます。

ワクチンは薬剤であり、その使用と用量は注意深く管理されなければなりません。どんな薬剤でも、対象の患者だけが、インフォームド・コンセントを得た上で治療されるべきです。人々が庭や野外で食用作物にワクチンを育てている場合、これらの保護策はどのように確保されるでしょうか?」

フランシス・ボイル法務博士、医学博士(Francis Boyle, J.D., Ph.D.,) (バイオウェポンの専門家であり、1989年に制定された生物兵器対テロ法案を起草したイリノイ大学の国際法教授)は、こうした研究が国際法や国際的に認識されている倫理基準に違反する可能性があると述べた。

彼は、「これらの遺伝子組み換え食品ワクチンを配置することは、医学的実験に関するニュルンベルク法の厳重な違反になります。したがって人道に対する犯罪となるでしょう」と述べた。「それらを環境に放出することは、国際環境法の通例における慎重主義の原則に違反するでしょう。また、これらは遺伝子組み換え食品(その数は膨大で、すべて一覧にしろと言われても私には無理です)に、人間の健康の観点から反対する声に、同様、晒されるでしょう」。

「交雑受粉や交差汚染についてはどうなのか?” ロビンソンは尋ねた。「人々は、自分の同意や知識なしに免疫原を摂取することになるでしょう」。


プリオン病のリスク、「危険な免疫反応」

ロビンソンは、遺伝子組み換え食用ワクチンの使用から人間の健康に対してもいくつかの予期せぬ影響があるかもしれないと述べた。

彼女は語った:

「植物によって生産されるワクチンには、その意図したタンパク質製品に翻訳語修飾(post-translational modifications)として知られるものが含まれます。病原体の本来の形態で存在するような、望ましいタンパク質製品だけでは終わりません。これらの翻訳語修飾は植物固有であり、ヒトや他の動物では危険な免疫反応を引き起こす可能性があります。

求めていたタンパク質製品(「ワクチン」)への応答さえも、人によって異なります。なぜなら、人々は異なるタンパク質に異なる反応を示すからです。また、毒性のあるタンパク質や適切に折りたたまれていないタンパク質ができる可能性もあり、後者の性質はプリオン病を引き起こす可能性があることを意味します」。

米国疾病対策予防センター(CDC)によれば、プリオン病は「進行性の神経変性疾患であり、人間と動物の両方に影響を与える」とされ、クロイツフェルト・ヤコブ病、ゲルストマン・シュトラウスラー・シンカー病、致命的な家族性不眠症、クル病、および動物では慢性消耗症という疾患もそうだ。

「加えて、新しいタンパク質が人々を他のものに過敏にさせる可能性があるかもしれません。食品アレルギーが急速に増加している今日、この傾向を悪化させる危険性はあってもいいと言うのでしょうか?」とロビンソンは述べた。

マッシーは、植物ベースのワクチンによって人間の食料供給が汚染される可能性が他にもあると述べた。動物が植物を食べることで、「最終的には人間が食べる食品を汚染する可能性がある」と指摘したのだ。

「食べ物に入ったワクチンの投与量はどのように制御するのですか?」とマッシーは尋ねた。「ワクチン全般に反対していなくても、こんな風に人や動物にワクチンを与えるというのは考えただけでもぞっとします」と彼は述べた。

彼は付言した:

「私たちが手にした教訓を学ぶべきだったのだと私は思います。COVID-19が実験室から漏れたものであり、その結果人体実験になった(私も、大半のアメリカ人もそう考えている)のなら、屋外の実験施設について心配すべきだと思います・・・ここで言っているのは、温室や野外の実験施設のことです」。

同じ趣旨の内容をボイルも言っている。

「COVID-19 mRNAワクチンが多くの死亡者と有害事象を引き起こしたことが、専門文献で詳細に文書化されていることはわかっています」。

「これらの遺伝子組み換えの食品ワクチンは、無駄どころか危険である可能性が高いため、私はマッシーの修正案を全面的に支持しています」と彼は付言した。


「COVID-19」とのさらなる類似点を描く中で、マッシーはUCリバーサイドの研究を「SF小説のようだ」と例えた。

「他の動物用ワクチンのための植物で育てる研究とは異なり、カリフォルニアのこのプロジェクトは、人間用のワクチンを開発することを意図しています・・・ この材料をどのように使用しているのか全くわかりません。まるでSF映画のようなものです」と彼は言った。

彼は付言した:

「COVIDウイルスから学んだことは、この種のことには慎重であるべきだということです。神のように振る舞い、遺伝子を修正し、これまでに結びついたことのないDNAを組み合わせ始めると、予期しない結果が生じる可能性がありえます。そして、それらが漏れ出すと、非常に悪い影響や結果が生じる可能性があるということです」。

同様の実験が失敗した

マッシーによれば、過去には政府の資金と支援を受けながら、遺伝子組み換えの食用ワクチンを用いた類似の実験が行われたことがあった。例えば、食用ワクチンの生産のために遺伝子組み換えのアルファルファ植物を開発するプロジェクトだ。

この2016年にジョージアのフォートバレー州立大学によって開始された5年間のプロジェクトは、「植物ベースの食用ワクチンシステムで使用できるCTB遺伝子を発現する遺伝子組み換えアルファルファの開発」を目指していた。

このプロジェクトは、国立食品農業研究所(NIFA)からの不特定の資金支援を受けており、少なくとも1本の科学論文が発表された。

「それから、もう一つの事例があって、非常に悪い結果に終わっています」とマッシーは言った。「約20年前、彼らは豚の下痢を防ぐワクチンを育てようとして、このワクチンを育てるためにトウモロコシを使用していました。翌年、その畑は大豆を育てるために使用されましたが、トウモロコシが再び発芽したのです」。

マッシーによれば、

「余っていたとうもろこしの粒がありました・・・とうもろこしが大豆と混ざり、それが500ブッシェル(1ブッシェルは約27.2キログラム)の大豆を汚染し、それがさらに50万ブッシェルの大豆を汚染したのです。それによって、それらの大豆はすべて廃棄されなければなりませんでした」。

ニューヨークタイムズ紙は2002年12月に、遺伝子組み換えのトウモロコシを開発したバイオテクノロジー企業であるProdiGene社が、薬物を生産するために遺伝子組み換えされたとうもろこしが食品供給に入り込まないような適切な手順を踏んでいなかったとして、米国政府に300万ドルの罰金を支払うことに同意したと報じた。

この特定のプロジェクトがアメリカ政府から資金提供されたかどうかは不明だが、この研究を主催したテキサスA&M大学の食品タンパク質研究開発センターの2007年ウェブサイトのアーカイブ版によれば、このセンターは「州および連邦研究機関と・・・契約協力関係にあり」、また「テキサス食品および繊維委員会から一部の資金を提供されていた」となっている。

2000年11月、ProdiGene社は、「エイズワクチンの経口投与システムとして機能する遺伝子組み換えの食用ワクチンの開発」のために、国立衛生研究所からの不特定助成金を受けた。

2000年10月、ProdiGene社は、人間および動物の摂取用の植物で製薬製品を開発するための米国政府特許(特許番号6,136,320)を取得した。この企業は、2000年代中盤以降活動停止したようで、2004年以降は記者発表もなく、ウェブサイトも2006年2月に更新されなくなった。

政府の資金供与を止めるために更なる行動を

マッシーはThe Defenderに対して、私的団体がこの研究を行うのを防ぐ法律を提案しているわけではない、「ただ、今週の予算プロセスを利用して、納税者のお金を使ってこれらのものを開発することに予算を割り当てないようにしているのです」と述べた。

彼は、修正案は制限協定の形をとっていると述べ。「法律を制定するものではありません」と彼は言った。「政府の資金がこんなことに使われるのを禁止するだけです。したがって、成功しても、それは予算法の期間である1年間だけ有効です」。

「予算手続きを通じてこれを止めることに成功した場合、毎年これを行わなければならなくなります」とマッシーは述べ、さらに「この修正はFDA(米国食品医薬品局)とUSDA(米国農務省)にのみ制約をかけるもので、実際にはNSF(国立科学財団)には制約をかけません」と付言した。



マッシーは、「それが実現するためには、別の予算法案に別の修正を加えて、NSFがこの研究を資金提供しないようにしなければならないでしょう」と述べた。

もしそんなことが起きれば、同じような修正案を提出するとマッシーは誓った。

「もしその予算案が議会に提出されるなら、私はそれに修正案を提案し、この種の研究への資金を制限するつもりです。もしNSF(国立科学財団)への資金を提供する予算案が議会に上程されるなら、私は同じ修正案を提出し、それらへの資金提供を阻止します」と彼は言った。

*
マイケル・ネヴラダキス博士は、ギリシャのアテネを拠点とするThe Defenderの上級記者であり、CHD.TVの「Good Morning CHD」のホストを担当している。

市場に登場する3Dプリントされた魚

<記事原文 寺島先生推薦>
3D printed fish set to hit the market
Around a third of global stocks are currently overexploited, analysts say
世界の魚の約3分の1は、現在、過剰に漁獲されていると分析家たちは言っている。
出典:RT 2023年5月1日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年6月27日



売り手がガザ市のガザ地区のアル=ムアスカル魚市場でいわしを見せている。いわしはその風味と手頃な価格から最も需要のある商品だ。2023年4月27日撮影。©ゲッティイメージズ/アリ・ジャダラ/アナドル通信社/Getty Images経由


 釣り竿を持って湖へ行かない時のために、あるイスラエルの会社が3Dバイオプリンティングを用いた独自の「新鮮な」魚を作る方法を開発した。この方法によると、魚はすぐに調理できるとのこと。

 Stakeholder Foods社は、幹細胞から3Dプリントされたハタのフィレを開発した。このフィレは、バイオプリンティング技術を用いて魚の形状に加工される。この製品は、Umami Meats社との協力のもと開発され、天然の魚と同じ味と食感を再現しており、今年後半にはスーパーマーケットの棚に並ぶかもしれない。

 「数ヶ月以内に、この世界規模で培養された魚を市場に提供する計画を発表する予定です」と先週のイスラエルでの試食会で、Umami Meats社のCEOであるミヒル・パーシャドは、The Telegraphを通じて語った。「最初の試食では、素晴らしい魚のようにフレーク状になり、口の中でとろけるような、まさに絶品の魚と同じ味がしました」と彼は説明した。



関連記事:研究者らは、自然の珊瑚礁を救い、温室ガス削減もできる可能性のある人工珊瑚に3Dプリントを施す

 この技術の発展には、特に食料不足という点で多くの利点がある。それだけではなく過剰操業という世界的な問題にも関係している。海洋の専門家たちは、世界の魚の約3分の1が現在過剰に漁獲されていると推定している。特にハタ科は絶滅の危機に瀕している、と考えられている。

 さらに、生物工学的に作られた魚は、従来の漁獲された海産物に影響を及ぼす可能性があるマイクロ・プラスチックなどの汚染物質が含まれていない。

 ハタのフィレは、魚の幹細胞と様々な栄養素を組み合わせて作られ、その後、生体インクに加工され、プリンターで印刷される。印刷の工程はわずか数分で行われ、その後、製品は直ちに調理して食べることができる。

 Stakeholders社は、ステーキやウナギなどの他のシーフードを含む、完全な切り身の3Dプリントされた肉にも取り組んでいる。2020年、ファストフード大手のKFCは、ロシアのバイオプリント企業と提携して人工のチキンナゲットを生産した。

毎日歩くと体に何が起こるか?

<記事原文 寺島先生推薦>
What will happen to your body if you walk every day?
筆者:ヴィディ・ヴィヤス(Vidhi Vyas)
出典:369Rocks 2023年6月3日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年6月19日

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毎日歩く:歩くことは過小評価されがちですが、心身の健康を増進させる素晴らしい可能性を秘めています。この記事では、毎日歩くことが体に与えるさまざまな影響についてご紹介します。病気の予防や筋肉の引き締めなど、ウォーキングはあらゆる年齢層や体力レベルの人に役立つ、簡単で強力な運動であることがわかります。


1. 脳を活性化させる10の効果

ウォーキングは、脳の健康に大きな効果があることが分かっています。定期的なウォーキングは、認知症の早期発症を予防し、アルツハイマー病の発症リスクを軽減する効果があるという研究結果があります。脳の健康に関わる化学物質の生産を刺激し、神経細胞の成長と生存を促進します。さらに、ウォーキングはストレスを軽減し、エンドルフィンを分泌させ、全体的な精神的幸福を向上させます。

2. 視力の向上

信じられないかもしれませんが、ウォーキングはあなたの視力に良い影響を与えます。ウォーキングは、眼圧を下げることで緑内障を予防し、視覚障害になるリスクを軽減します。低強度のウォーキングも高強度のウォーキングも、脳の視覚野を刺激し、目から送られる映像の処理を強化します。ウォーキングを日常に取り入れることで、視力を向上させ、将来起こりうる問題から目を守ることができます。

3. 心臓病の予防

ウォーキングは、心臓病や脳卒中の予防に関して、ランニングと同じくらい効果的です。1日30分歩くだけで、高血圧やコレステロール値を下げ、血液の循環を良くし、冠状動脈性心臓病の危険性を減らすことができます。ウォーキングを毎日の習慣にすることで、健康な心臓を維持するための大きな一歩を踏み出すことができるのです。


4. 肺活量の増加

有酸素運動であるウォーキングは、血液中の酸素量を増やし、毒素や老廃物の排出を促します。その結果、肺の機能が向上し、呼吸が深くなることで、肺の病気に伴う症状にも良い影響があります。また、ウォーキングをしながら屋外で過ごすことは免疫力を高めることにもつながるため、呼吸器系全般の健康維持に最適な活動です。

5. 膵臓への効能

ウォーキングは、ランニングよりも糖尿病予防に効果的であることが示されています。耐糖能と血糖吸収を改善し、膵臓のインスリン分泌量を減らし、膵臓に必要な休養を与えることができます。定期的なウォーキングを日常に取り入れることで、糖尿病のリスクを減らし、より良い膵臓の健康を促進することができます。

6. 消化の改善

毎日30分歩くだけで、大腸がんの発症リスクを下げ、消化を良くし、便通を整えることができます。また、ウォーキングは、大腸がんと診断された後でも生存する可能性を高めることが分かっています。負担の少ないこの運動は、胃腸全体の健康を促進し、慢性的な便秘に悩む方にも効果的です。

7. 引き締まった筋肉

一般に信じられていることとは異なりますが、ウォーキングは筋肉を鍛え、体重減少に役立ちます。1日1万歩歩けば、ジムでの激しい運動と同じような効果を得ることができます。インターバルや上り坂のウォーキングを取り入れると、より効果的です。正しい姿勢と速度を保ちながら歩くことで、筋肉を痛めることなく低負荷の運動ができ、継続的にウォーキングを行うことができます。

8. 骨と関節を丈夫にする

ウォーキングは、関節の可動性を高め、骨密度の低下を防ぎ、骨折のリスクを軽減します。また、関節周囲の筋肉を強化し、脊椎構造の血行を促進することで、姿勢と柔軟性を向上させます。定期的なウォーキングは丈夫な骨を作り、骨粗しょう症や骨量減少の可能性を低減させます。

9. 腰痛の緩和

負荷の大きい運動で腰痛を感じる方にとって、ウォーキングは負荷の少ない代替手段となります。ウォーキングは、脊椎構造内の血液循環を改善し、重要な栄養素を軟部組織に送り込み、痛みの緩和につながります。また、背骨を支える筋肉を強化し、より良い姿勢と背骨の安定性を促進します。

10. 心を落ち着かせる

ウォーキングは精神衛生に良い影響を与え、うつ病や疲労の症状を緩和するのに役立ちます。定期的にウォーキングをすることで、うつ病の人の状態が大幅に改善されるという研究結果も出ています。気分が落ち込んだり、疲れ切っている人でも、毎日のウォーキングで気分を高めることができるのです。友人や恋人と一緒に歩けば、その効果はさらに高まり、気分も高揚することでしょう。

関連記事:ジムでの1時間を4分で置き換える運動

まとめ
ウォーキングは、簡単かつ強力な運動で、体に大きな影響を与えます。脳の健康から心臓の健康、消化、精神的な健康まで、毎日の散歩を日課にすることは、小さな変化でありながら大きな効果をもたらします。まずは小さなことから始め、自分に合ったペースを見つけ、徐々に歩く時間や強度を上げていきましょう。ウォーキングの力を取り入れ、身体と心にもたらす前向きな変化を楽しんでください。

出典画像:discord.com

太陽光不足が喫煙と同じくらい致命的である理由

<記事原文 寺島先生推薦>
Why Sunlight Deficiency Is as Deadly as Smoking
筆者:セイヤー・ジャイ (Sayer Ji)
出典:GR 2023年4月25日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年5月9日



***

科学会誌に掲載された画期的な研究により、人間の健康における太陽の役割について、非常に驚くべきことが明らかになった。太陽光の不足は、タバコを吸うのと同じくらい人間の健康に害を及ぼす可能性があるというのだ。

 スウェーデンの研究者たちは、「主要な死因の危険因子としての日光浴の回避:南スウェーデンのメラノーマ(悪性黒色腫:皮膚がん)群の競合リスク分析」と題する研究を、約3万人の女性集団を対象に実施した。彼らは、Miss(Melanoma in Southern Sweden)群の20年間の追跡調査の中で、全死因死亡の危険因子としての日光への当たり方のいろいろな違いを評価した。女性は、研究開始時に25~64歳で、1990年から1992年にかけて募集された。彼女たちの日光浴の習慣を現代の生存統計学で分析したところ、いくつかのことが判明した。

まず :
「積極的な日光浴の習慣がある女性は、日光浴を避けている女性と比較して、主に心血管疾患(CVD)および非がん・非CVD死の危険性が低いことがわかった」。

2つ目:
「生存期間が延びた結果、これらの女性ではがん死亡の相対的影響が増加した」。

 この発見は少しわかりにくいかもしれないので、もう少し詳しく見てみよう。

 がんにかかる危険性は生物学的年齢とともに増加するため、長生きすればするほどがんにかかる危険性は高くなる。したがって、太陽光を浴びる機会が増えれば、実際に寿命が延びるので、発がんする危険性も高まるように見える。しかし、これは必ずしも、一般に考えられているように、太陽光が本質的に「発がん性がある」ことを意味するものではない。


 
 先進国の死因の第1位は心臓病であり、太陽光は、第2位の死因(がん)の危険性を高めるとしても、この最も一般的な早死(心臓病)の原因を減らすので、太陽光浴のもたらす純粋な効果は、長生きさせることになり、これは、しばしば見られる「がんにかかる危険性の増加」状況を中和してくれるのに一役買う。また、非常に多くのがんが過剰診断や過剰治療を受けているが、その責任は医療機関によって十分に認識されておらず、その責任に言及されることはほとんどない、ということも忘れてはならない。このような「がん」は、統計値を大きく膨らませる。特に乳がん、前立腺がん、甲状腺がん、肺がん、卵巣がんなどのいわゆる早期がんが数百万件も誤った診断や治療を受けており、この問題の複雑さゆえに、太陽光浴とがんにかかる危険性の関係を明らかにすることがより一層難しくなっている。

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 続いて、太陽光の長寿効果については、3つ目の重要な観察結果によって、明確に理解することができる:

「日光浴を避けた非喫煙者の平均余命は、日光浴最高群の喫煙者と同程度であり、日光浴の回避が喫煙と同程度の死亡する危険性の要因であることが示されている」。

 これは、深い意味を持つ有力な発見である。「日光浴を避けることは、喫煙と同程度の死亡の危険因子である」ということは、日光浴はむしろ、我々の健康に不可欠であることを示すものである。日光浴は、いつでも致命的な脅威であると考えられる、(だから)有害物質への接触となることがほぼ確実な合成日焼け止めを全身に塗りたくることは正しい、ということにはならないのだ。実際、CDCによると、喫煙は年間600万人の不必要な死亡の原因となっており、「米国では男女とも喫煙者の総死亡率は、喫煙をしない同様の人々の死亡率の約3倍である」とされている。つまり、日光浴が、人間の健康に不可欠で必要な要素として非常に大きな力を持っているため、日光浴をしない、あるいは、もっと日常的に日光浴すべきと勧めないことは、医学的に非倫理的と見なされるかもしれない。

この研究の四番目、そして最後の見解:

「日光浴最高群に比べ、日光浴回避者の平均余命は0.6~2.1年短くなっていた」。

太陽光は、やはり、健康維持に欠かせない

 太陽光の欠乏が喫煙と同程度の致命的な結果をもたらす可能性があると言えるが、太陽とその光は清潔な食べ物や水と同じように人間の健康にとって重要かもしれないと断言することで、情報を肯定的に言い換えることができる。実際、太陽からのエネルギーは、ATP*に依存しない方法で、私たちの体の生命維持装置の細胞生体エネルギーを駆動することを、説得力のある研究が示唆している。『水の第4相』の著者であるジェラルド・ポラック博士の研究を考えてみよう(以下の動画を参照)。彼は、太陽の赤外線エネルギーが、何兆もの分子電池のように、私たちの体内の水分子を充電する(私たちの体内の分子数の99%は水である)ことを説明している。
* アデノシン三リン酸(adenosine triphosphate)。筋肉の収縮など生命活動で利用されるエネルギーの貯蔵・利用にかかわる。「生体のエネルギー通貨」と呼ばれる。(厚労省)

 心臓血管の健康に関して言えば、赤外線を帯びた水分子の形をした太陽光のエネルギーは、排除帯水(EZ水)と呼ばれる高度に構造化されエネルギーを与えられた水を作り出すことによって、血管を通して血液を送り出す心臓の働きを支援し、一般成人の体内の1.2~1.5ガロンの血液を文字どおり何キロもの血管に送り出すのに必要な生体力学的エネルギーの99.9%以上を実際に提供すると考えられている。 興味深い研究によると、体内には、太陽光を受け入れて利用し、いわゆるATPの「追加合成」を行うことができるさまざまな光受容体/発色団(チトクロームCオキシダーゼなど)が存在することも分かっている。さらに、メラニンは、太陽の電磁スペクトルを幅広く吸収し、有用なエネルギーや、おそらく生物学的に重要な情報に変換し、有害なガンマ線を取り込んで生物学的に有用なエネルギーに変換することもある。クロロフィルのような人間の食事にありふれたものでさえ、最近、動物細胞の集光性を高める手段として機能することが分かってきた。実際、私たちは最近、微生物が介在する消化過程によって細胞のミトコンドリアに到達するクロロフィル代謝物の仲介によって、ATP産生が促進される(活性酸素の産生を伴うことはない)ことを発見した研究結果を報告した。

 自然健康論者は、太古の昔から太陽光を健康に役立てると説いてきた。現代では、日光恐怖症が蔓延し、特に肌の白い民族の親は、子供に宇宙服ほどの全身保護具を着せ、極めて毒性の高い石油化学誘導体や発ガン性のあるナノ粒子金属を吹き付けたり、塗ったりしている。しかし、食料、エネルギー及び情報の形態として、太陽が必要だという認識が広まってきているのである。

 もちろん、ビタミンDがすべてではない。太陽光の健康効果をこのホルモン様化合物に求めるのは、オレンジの健康効果がアスコルビン酸分子の化学骨格を構成する原子の分子構造にのみ依存し、それに還元されると考えるのと同じことである。私たちは、太陽光の特定の波長が、私たちの体のすべての体系に関連する、古くからある、強固に組み込まれた遺伝子や EP(epigenetic program)を幅広く活性化することを学び始めている。例えば、夕暮れ時の光の波長は、私たちの種としての進化にとって非常に重要であったかもしれない。私たちの無毛や巨大な脳は、何十万年、何百万年もの間、毎日その光を浴びなければ進化しなかったかもしれない。生物光変調とも呼ばれるこの現象は、人間の健康と病気における太陽の役割について、根本的に新しい視点を切り開くものだ。もし、日光不足がタバコを吸うのと同じくらい致命的だとしたら、自然光を定期的に浴びない人は、もはや真の人間ではなく、生物学的、精神的、霊的な青写真の最適な発現を体験することができないとも言える。基本的な権利、そして健康法として、毎日屋外に出ることが必要なのだ。会社員、窓のない教育体制、夜勤の仕事、刑務所の現状を考えたことがある人はどれくらいいるだろうか。今回の新知見に照らし合わせると、日光の遮断は、人間の健康に対する重大な権利の侵害と考えられるのではないのだろうか。

 この研究は、人間が真に健康であるために必要なものをより深く理解する道を開くかもしれない。日光不足は、主に屋内に集中する生き物である現代の私たちが、肉体的・精神的な退化につながる最も間違ったことの代表例である。細胞の生体エネルギーに関する新しいモデルが登場し、身体が太陽のさまざまな光の波長を直接または間接的に利用する能力を考慮するようになると、毎日直接の太陽光を浴びることは、少なくとも「ビタミンの摂取」や「運動」と同じくらい、健康維持に重要な過程と見なされるようになるかもしれない。逆に、太陽光の不足や欠乏は、喫煙と同じように危険で致命的なものとみなされるだろう。

セイヤー・ジャイはGreenmedinfo.comの創設者、国際的ベストセラー『REGENERATE:新しい生物学を通して身体の劇的な柔軟性を解放する』の著者、 Stand for Health Freedom (501c4)の共同設立者であり、コンシャス・クリエイターとそのコミュニティのためのグローバルなマルチメディア・プラットフォームであるUNITE.liveを運営している。

「野菜バーガー」や「菜食ソーセージ」という商標にEUがお墨付き

<記事原文 寺島先生推薦>
EU lawmakers vote for ‘veggie burgers’ & ‘vegan sausages,’ rejecting demands by farmers
RT ワールドニュース
2020年10月23日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2020年11月23日


 EUで販売されている植物ベース製品は、肉がまったく含まれていなくても「バーガー」、「ソーセー
ジ」、「ステーキ」と呼ばれることは、許可されて当然だ、と欧州議会は表明した。

 10月23日に、欧州議会議員(MEP)は、農家の提案、つまり、通常肉製品に関連する表現を野菜だけの代替品に使うことは消費者に誤解を与えるものだ、をしりぞける採決を行った。いっぽうこれを受けて、欧州農業生産者団体の欧州農業組織委員会・欧州農業協同組合委員会(Copa-Cogeca)は、野菜由来の食品にソーセージなどという名前をつけることを続けることは、混乱を招く言葉遣いという「パンドラの箱」を開くことになるだろう、と警告した。

 スウェーデンのEU議員ジッテ・ギュウーテラン(Jytte・Guteland)氏は、同僚議員がヨーロッパのレストランのメニューや店の棚に「ヴィーガンバーガー」、「ヴィーガンソーセージ」、「大豆ステーキ」という用語を残すことを決めた後、「ヴィーガンバーガーで祝うつもり」と述べた。

 欧州消費者団体(BEUC)もこの決定に喜んでおり、欧州議会議員(MEP)たちの「常識」を称賛した。欧州消費者団体(BEUC)は、植物ベース製品の推進は地球温暖化阻止のEU方針に沿う、というグリーンピースや世界自然保護基金、他の環境団体の立場を共有している。

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100% beef: EU meat lobbyists want BAN on terms ‘veggie burger’ & ‘veggie sausage’ for plant-based food, claim ‘cultural hijacking’


 「消費者は、ベジタリアン(野菜だけ)やヴィーガン(完全菜食主義)と明確に表示されている限り、大豆ステーキやひよこ豆ソーセージという商標で決して混乱することはない」と欧州消費者団体(BEUC)は声明で述べた。そのような表示は、肉を含まないそれらの製品を食事にとり入れていくことをより容易にするだけだ、と欧州消費者団体(BEUC)は主張している。

 しかし、欧州消費者団体(BEUC)は、日用品の植物ベース代替品に対する表示規則を強化したり、「~ミルク」または「~チーズ」などの用語の禁止を支援する欧州議会の決定を遺憾としている。

 2017年、欧州司法裁判所は「大豆ミルク」や「ヴィーガンチーズ」という用語をそれらの製品に使用することを禁止し、「ミルク」、「バター」、「チーズ」、「ヨーグルト」などの用語は野菜由来の食品の表示には使用できないと決定している。

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 ただし、表示規則はより大きなEU農業一括法案の一部であるため、欧州議会議員(MEP)による投票は最終的なものではない。10月23日の午後に予定されている議会によるこの一括法案の承認後、ブリュッセルは最終方針についてEUの27の加盟国と合意に達する必要がある。



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