<記事原文 寺島先生推薦>
Israel as a Landed Aircraft Carrier筆者:マイケル・ハドソン(ジャーナリスト ベン・ノートンによるインタビュー)
出典:マイケル・ハドソンの個人ブログ 2023年11月13日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年1月2日
文字起こし
ベン・ノートン(以下BN):なぜアメリカはそれほど強力にイスラエルを支持するのか?
今日のこのビデオでは、イスラエルが米国の外交政策の重要な部分であり、米国が中東地域だけでなく、実際には全世界を支配しようとしている地政学的・経済的理由を説明します。
この分析において、私は経済学者マイケル・ハドソンがご一緒していただける光栄に浴しました。後で彼にこのトピックに関する詳細を提供していただく予定ですが、最初にこの関係を理解するための非常に重要な基本的な内容を強調したいと思います。
イスラエルが、世界で最も重要な地域のひとつにおける米国の地政学的力の延長であることを強調することは極めて重要です。
実際、ジョー・バイデン現米大統領が上院議員だった1986年当時、「イスラエルが存在しないなら、米国がそれを発明するしかない」と発言したのは有名な話です:
映像はバイデン:
中東に目を向ければ、イスラエルを支持する(私たちの大半は支持しています)ことを謝罪するのはそろそろやめるべきだと思うのです。
謝ることはありません。謝罪する必要はありません。イスラエルは30億ドルの投資としては最高のものです。
もしイスラエルが存在しなければ、アメリカ合衆国は中東地域における自らの利益を保護するために、イスラエルを発明しなければならないでしょう。アメリカは出向いてイスラエルを発明する必要があるでしょう。
外交委員会の会議場にいる同僚たち共々私たちは、NATOについて、結局は、心配しています。NATOの東側の防衛線、ギリシャとトルコについて心配しているのです。これは非常に重要な問題です。他の問題はこれと比べると見劣りし・・・
それらはアメリカ合衆国に生じる利益の点で比較すると比較になりません。
BN: もちろん、いわゆる中東、より適切な表現として西アジアは、世界でも最大級の石油およびガス埋蔵地を有しており、世界中の経済インフラは化石燃料に依存しています。
我々は徐々に新しいエネルギー源へと移行しつつありますが、化石燃料は依然として世界経済全体にとって絶対不可欠です。そしてワシントンの目標は、世界の石油・ガス市場で安定した価格を維持できるようにすることなのです。
しかし、これは石油やガスよりもはるかに大きな問題です。冷戦の終結とソ連邦の打倒以来、1990年代以降の米軍の方針として、米国は世界のあらゆる地域を支配下に置こうとしてきました。
このことは、1992年にアメリカの国家安全保障会議がいわゆるウォルフォウィッツ・ドクトリンではっきりと述べています。アメリカ国家安全保障会議はこう書いています:
[米国の]目標は、いかなる敵対勢力も、わが国の利益にとって重要な地域を支配することを阻止することであり、またそれによって、米国とその同盟国の利益に対する世界的脅威の再来に対する障壁を強化することである。こうした地域には、ヨーロッパ、東アジア、中東・ペルシャ湾、ラテンアメリカが含まれる。このような重要な地域の資源を、非民主的な勢力が統合的に支配することは、わが国の安全保障に重大な脅威をもたらす可能性がある。
そして2004年、アメリカ政府は国家軍事戦略を発表し、その中でワシントンはその目標を「全領域支配(軍事作戦の範囲にわたって、あらゆる状況を制御し、あらゆる敵を打ち負かす能力)」であると強調しました。
さて、歴史的に中東に関しては、アメリカはいわゆる「2つの柱」戦略に頼っていました。西の柱はサウジアラビアで、東の柱はイランです。1979年のイラン革命まで、イランは独裁者である国王によって統治されていました。彼は米国の支援を受け、この地域における米国の利益に貢献していたのです。
しかし、1979年の革命によって、アメリカは二本柱の戦略の柱のひとつを失い、イスラエルはアメリカにとって、この極めて戦略的な地域の支配を維持するためにますます重要になってきました。
この地域には膨大な埋蔵量の石油とガスがあるというだけではありません。世界有数の石油・ガス産出国の多くが西アジアにあるという事実だけではなく、地球上で最も重要な交易ルートのいくつかがこの地域を通過しているという事実もあるのです。
エジプトのスエズ運河がいかに重要であるかを誇張することは難しいでしょう。この運河は、中東からヨーロッパへ、紅海から地中海へと向かう貿易を結びつけ、世界の輸送コンテナの約30%がスエズ運河を通過します。これは世界の全物品貿易の約12%に相当します。
そしてスエズ運河の真南、紅海がアラビア海に入るところに、イエメン沖のバブ・エル・マンデブ海峡という地政学的に重要な狭窄点があります。そこでは、毎日600万バレル以上の石油が通過しています。
歴史的に見て、アメリカはエネルギー供給だけでなく、グローバル化した新自由主義経済システム全体が構築している世界貿易ルートを確保するために、この地域を支配しようとしてきました。
そして、多極化が進む世界の中で、この地域におけるアメリカの影響力が弱まるにつれ、支配力を維持しようとするアメリカにとってイスラエルの重要性が増しています。
このことは、OPEC(石油輸出国機構)を通じた原油価格をめぐる議論にはっきりと表れています。OPECは実質的に拡大され、現在はロシアを含むOPEC+として知られています。
今やサウジアラビアとワシントンの宿敵ロシアは、世界の原油価格を決定する重要な役目を担っています。
歴史的に、サウジアラビアはアメリカの忠実な代理人でしたが、リヤド(サウジアラビア政府)はより非同盟的な外交政策を維持するようになっています。その大きな理由は、中国がこの地域の多くの国にとって最大の貿易相手国となっていることです。この10年間、中国はペルシャ湾からの石油とガスの最大の輸入国です。
さらに、中国は世界的な基盤整備プロジェクトである「一帯一路構想」を通じて、世界貿易の中心をアジアに戻そうとしています。そして「一帯一路構想」において、特に「道」とは新シルクロードを指しています。
新シルクロードと一帯一路構想において、どの地域が絶対的に重要かおわかりになるでしょうか? もちろん、中東です。あるいは、繰り返しになりますが、「西アジア」という用語の方がいいのです。アジアとヨーロッパを結ぶこの地域の地政学的重要性をよりよく説明するからです。
これはまた、アメリカが新たな貿易ルートを構築しようとする独自の試みで「一帯一路」に挑もうと必死になっている理由も説明できます。特に、アメリカはインドからペルシャ湾に入り、イスラエルを経由する貿易ルートを作ろうとしています。
つまり、これらすべてのプロジェクトにおいて、イスラエルは世界で最も重要な地域のひとつにおけるアメリカの帝国権力の延長として、重要な役割を果たしています。だからこそバイデンは1986年当時、イスラエルが存在しなければ、アメリカが「イスラエル」を発明しなければならないと言ったのです。
2022年10月27日、バイデンがホワイトハウスでイスラエルのイツハク・ヘルツォグ大統領と会談した際、この言葉を繰り返したのもそのためです:
また、私たちは、私たちの原則、私たちの考え、私たちの価値観に基づいて、アメリカがイスラエルに対して持っている鉄壁の約束(私はこれを在職中に5000回言うことになるでしょう)についても議論します。(イスラエルとアメリカは)価値観としては同じものを持っています。
そして、私はしばしば言ってきました、ヘルツォグ大統領閣下、もしイスラエルが存在しなければ、私たちは「イスラエル」を発明しなければなりません。
そしてつい最近の2023年10月18日にも、バイデンはイスラエルで行なった演説で再び同じことを繰り返しました: 「イスラエルが存在しなければ、我々はそれを発明しなければなりません」。
2023年の演説でバイデンは、ガザで残忍な爆撃作戦を実施し、世界中の多くの専門家が「ジェノサイドの教科書的事例」と呼ぶパレスチナ人の民族浄化を行なっているイスラエルを支援するために、イスラエルを訪問しました。
国連トップの専門家が、パレスチナ人はイスラエルによる大量虐殺の危機にさらされていると警告しました。
アメリカは揺らぐことなくイスラエルを支持してきました。なぜなら、ジョー・バイデンが言ったように、イスラエルはアメリカの西アジアにおける帝国的な力の延長であり、もし存在しなければ、ワシントンが「イスラエル」を発明しなければならないからです。
それでは、この話題について、番組の友人であるマイケル・ハドソンとのインタビューに移ります。彼は優れた経済学者であり、『超帝国主義国家アメリカの内幕』など多くの著書があります。
まずはインタビューをいくつか抜き出します。
マイケル・ハドソン(以下MH):イスラエルは中近東の陸上に配備された空母です。イスラエルは、アメリカが中近東を支配するための離陸地点なのです・・・
アメリカは常にイスラエルを単なる外国の軍事基地と見なしてきました・・・イギリスが最初にイスラエルを設立すべきだと宣言したバルフォア宣言は、英国が中近東とその石油供給を支配したいと考えたためです・・・
そしてその後、もちろんトルーマンが登場すると、軍部はすぐにアメリカがイギリスに代わって中近東の最高責任者になることを察知した・・・
ウクライナ人最後の一人までロシアと戦い、イスラエル人最後の一人までイランと戦うと脅してきたアメリカが、台湾に武器を送り、台湾人最後の一人まで中国と戦いませんか、と言おうとしているのです。
そしてそれが、世界中でのアメリカの戦略なのです。自国の支配のために他国を煽って戦争をさせようとしているのです。
BN:マイケル、今日はありがとう。私たちは11月9日の話をしていますが、ガザでの戦争における最新の死者数は、イスラエルが1万人以上のパレスチナ人を殺害しています。
国連はガザを「子どもたちの墓場」と呼びました。4,000人以上の子どもたちが殺されています。犠牲者の約40%が子どもたちです。
そしてアメリカは、外交的、政治的にイスラエルを支援し続けてきました。例えば、国連安全保障理事会で停戦を求める決議に拒否権を行使するだけでなく、さらにアメリカはイスラエルに何十億ドルもの資金を送り続けています。
アメリカがイスラエルに毎年必ず供与している38億ドルの軍事援助だけでなく、それに加えて数百億ドルの援助もします。
イスラエルが明らかに戦争犯罪を犯しているにもかかわらず、なぜアメリカはイスラエルを支援として多くの資源を投入しているのか、あなたの分析を聞かせていただけませんか。
MH:まあ、確かにイスラエルを支援していますが、これは利他的な行為としてイスラエルを支援しているわけではありません。
アメリカにとって、イスラエルは中近東における陸上に配備された空母です。イスラエルは、アメリカが中近東を支配するための離陸地点なのです。
イスラエルを作ろうという話が持ち上がったときから、イスラエルは常に、最初はイギリス、次にロシア、そしてアメリカの中近東における前哨基地となるものでした。
ある逸話を紹介しましょう。ネタニヤフ首相のここ数年の主要な国家安全保障顧問はウジ・アラッドでした。私は1972年から76年までの約5年間、ハドソン研究所で働いていました。そこでウジと非常に緊密に仕事をしていたのです。
ウジと私は、国際金融について話すために韓国と日本を2度訪れました。だからお互いを知るいい機会となりました。ある旅では、ニューヨークからサンフランシスコに立ち寄りました。サンフランシスコでは、私たちのためのパーティーや集まりがありました。
アメリカの将軍の一人が寄ってきて、ウジの背中を叩いて、「君の国イスラエルはあそこでの我々の陸に配備された空母だ。君の国が大好きだよ」と言ったのです。
まあ、ウジが感じていることはわかりました。体は緊張し、戸惑いの気持ちから、何も言えなくなったのです。つまりアメリカは常にイスラエルをイスラエルではなく、単なる外国の軍事拠点としか見ていないということです。
だから、もちろんアメリカはこの軍事基地を守りたいと思っています。
しかし、イギリスが最初にイスラエルにバルフォア宣言があるべきだという法律を可決したのは、イギリスが中近東とその石油供給を支配したかったからです。
イスラエルが国際連合加入した際、最初にそれを承認した国はスターリンとロシアでした。ロシアがイスラエルに対して重要な影響を持つことになると考えていたのです。
もちろん、その後、トルーマンが就任すると、軍はすぐにアメリカがイギリスに代わる中近東における主要な国として存在すると認識しました。これは、1953年にイランでモサッデグ政権が転覆された後でもそうでした。
アメリカから見れば、イスラエルがアメリカにこびを売っているわけではありません。逆になります。あなたはアメリカがイスラエルを支援していると述べましたが、私は全くそのようには思いません。大半のイスラエル人や大半の民主党支持者もそうは思っていません。
アメリカはネタニヤフ首相を支持しているのです。イスラエルではなくリクードを支持しているのです。イスラエル人の大多数は、イスラエル建国以来の中核にある非宗教的イスラエル人は、リクードとその政策に反対しています。
つまり、アメリカにとってネタニヤフ首相は、ウクライナにおけるゼレンスキーのイスラエル版なのです。
そして、ネタニヤフ首相のような不愉快で、日和見主義者で、賄賂と汚職で起訴されている人物がいることの利点は、ガザで起きている攻撃に驚愕している全世界の注目が、アメリカを非難しないことです。
彼らはイスラエルを非難しています。ネタニヤフ首相やイスラエルを非難していますが、爆弾や銃を次から次へと飛行機で送り込んでいるのはアメリカです。アメリカでは販売が禁止されている22,000丁の機関銃や自動小銃が、ヨルダン川西岸で入植者が使うためにアメリカから送られているのです。
だから、良い警官、悪い警官のふりの使い分けがあります。ブリンケン氏はネタニヤフに、病院を爆撃するときは、必ず戦争のルールに従って行うようにと言っています。ガザの子ども10万人を殺すときは、それがすべて合法で戦争中であることを確認してください、そして、民族浄化と人口追放について話すときは、すべてが合法的に行われていることを確認してください、と言っているのです。
まあ、もちろん、これは戦争の規則などではなく、戦争犯罪が現に進行中です。表向きアメリカはネタニヤフとイスラエル政府に対して、より小さな爆弾を使えか、病院で子供たちを爆撃する際にはもっと優しくしろと言います。実際にはこれはすべて見せかけです。
アメリカは、「我々は同盟国を援助するためにそこにいるだけだ」と主張しています。世界中が気づいていますが、アメリカは今、地中海の中近東岸のすぐそばに2隻の空母を有し、ペルシャ湾近くには原子力潜水艦を配置しています。
バイデン大統領と議会は、アメリカ軍がガザでハマスと戦うことはないと言っています。関与しない、と。では、軍が関与しないなら、なぜ空母と潜水艦はそこにいるのでしょうか?
アメリカの飛行機が何をしているかはわかっています。昨日、その飛行機でシリアのさらにもう一つの空港と燃料基地を空爆しました。シリアを空爆しています。イスラエルを守るためではなく、イランと戦うためであることは明らかです。
何度も何度も、アメリカのどの新聞も、ハマスについて語るとき、ハマスはイランのために行動していると言います。ヒズボラの話をすると、レバノンから北イスラエルへの介入があるのか、ヒズボラはイランの操り人形だと言います。
彼らが中近東の指導者について話すときはいつも、これらの指導者はすべてイランの操り人形であり、ウクライナや中欧と同じように、ハンガリーや他の国はすべてロシアのプーチンの操り人形であると話しています。
彼らの焦点は実際には――アメリカはウクライナを守るために戦っているのではありません。彼らは、ロシアの軍事力を消耗させることを期待して、最後のウクライナ人が疲弊するまで戦っています。しかし、それはうまくいっていません。
まさに同じことがイスラエルでも起きています。もしアメリカがイスラエルとネタニヤフに対してエスカレートしろ、エスカレートしろ、エスカレートしろと圧力をかけて、ナスララ*が「もう我慢できない」と言わせようとするなら、彼らは言うだろう。「我々は介入して、ガザの人々や西岸の救出を手助けする。そこでは特に戦闘が激しいからだ。だから我々は介入する。」と。
*ナスララ・・・ハサン・ナスララは、レバノンのシーア派イスラム主義組織、ヒズボラの第3代現書記長であり、レバノン南部に多いシーア派信徒らの指導者的存在。(ウィキペディア)そうなれば、その時にはアメリカは、レバノンだけでなく、シリア、イラクを経てイランにまで進軍する自由を感じるでしょう。
今日、ガザやヨルダン川西岸でわれわれが目にしているのは、ネオコンが「イランを征服するのに今以上のチャンスはない」と言っていることのきっかけ、引き金にすぎません。
ここが対決点です。もし、アメリカが中近東の石油を支配し、中近東の石油を支配することで、それをアメリカの支配下に置ければ、世界の大部分のエネルギー輸入を支配することができるのです。
したがって、これによりアメリカの外交官には、石油やガスの供給を中断し、米国の単極的な支配に抵抗しようとする国、多極化しようとする国に対して制裁を課す権限が与えられます。
BN:ええ、マイケル、あなたは本当に重要なポイントを指摘していると思います。それは、ここが世界で最も地政学的な地域の一つであることです。特に炭化水素に関しては。
世界経済全体は依然として石油とガスに大きく依存しており、特にアメリカがOPECに加盟していないこと、そしてOPECが実質的にOPEC+に拡大し、現在ではロシアも加盟していることを考えると、なおさらです。
これは、サウジアラビアとロシアが実質的には世界の石油価格をコントロールする手助けをすることができる、ということを意味しています。実際、過去数年間には、アメリカで消費者物価の上昇という形でこれが実証されています。
バイデン政権は、特に中間選挙に向けてガソリン価格を懸念していることがわかりました。そして、バイデン政権は、米国の戦略石油備蓄から多くの石油を放出しています。
そして、特にブッシュ政権に戻って見てみると、次のような発言がありました。ブッシュ政権やいわゆる「対テロ戦争」の関係者の中には、米国がこの地域を支配することがいかに重要であるかを公然と語った人が数多くいます。
2007年に米軍の最高司令官でNATOのウェズリー・クラーク司令官が、ブッシュ政権が5年間で7カ国を転覆させる計画を立てていたことを明らかにしたことは有名です。北アフリカと西アジアの国々です。
彼は具体的に、ジャーナリストのエイミー・グッドマンとのDemocracy Nowでのインタビューで、ワシントンの計画はイラク、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、スーダン、そして最終的にイランの政府を転覆させることであると明かしました。
ウェズリー・クラーク(以下WC):9/11から約10日後、私はペンタゴンを通り、ラムズフェルド国防長官とウォルフォウィッツ副国防長官を見かけました。私はただ、以前私の部下であった合同参謀本部のスタッフの中に挨拶しに行くために階下に降りました。
そして、ある将軍が私に声をかけ、「お願いです、ちょっとだけお話しさせてください」と言いました。
「君は忙しすぎるだろう」と私は言いました。彼曰く、「いいえ、そんなことはありません。私たちは決定をしました。イラクとの戦争です」と彼は言うのです。
これは9月20日か、その辺のことでした。私は「イラクとの戦争だって。理由は?」と言いました。彼は「わかりません。上層部は他の選択肢はないと考えていると思うのです」と言いました。
そこで私は言いました。「それじゃ、上はサダムとアルカイーダを繋ぐ情報を何か得たということか?」と私は言いました。「いいえ。その線での新しい情報は何もありません。上層部はイラクとの戦争をただ決定しただけです」と彼は答えました。
彼曰く、「テロリストについて私たち軍部は何もわかっていないと思います。ですが、装備は十分で政府を崩壊させることはできます」。
そして彼は言うのです、「もし私たちの手にしている道具がハンマーだけなら、すべての問題は釘みたいなものになります」と。
そこで数週間後私は彼に会いに戻りました。そしてそのころにはアフガニスタンの爆撃は行なわれていました。
私は言いました、「さらにイラクとの戦争になるのかね?」そして彼は言いました「ええ、もっとひどいことになります」と。
彼はそう言って、デスクの上に手を伸ばし、一枚の紙を拾い上げました。「これはさっき上から(今日は国防長官の事務所ということになります)もらったものです」。それから彼は言いました「これはイラクから始まり、次にシリア、レバノン、リビア、ソマリア、スーダン、そして最後にイランまで、5年で7つの国を攻撃する計画を示したメモです」と。
「これは極秘文書かね?」と私は言いました。「はい、そうです」と彼は言いました。「だったら私に見せてはいけない」。
そして1年後かそこいらに彼と会いました。「例のもの、覚えているかね?」と私は言いました。「申し訳ありません。あのメモを私はあなたにお見せしていません!お見せしてはいないのです!」と彼は言いました。
エイミー・グッドマン(以下AG):すみません。彼の名前を何と言いましたか?(笑)
WC:彼の名前はお教えしませんよ。(笑)
AG:それでは国の名前をもう一度お願いします。
WC:イラクから始まり、次にシリア、レバノン、リビア、ソマリア、スーダン、そして最後にイランです。
BN:それ以降、もちろんイラクとの戦争がありました。シリアにおける代理戦争が、もちろんあり、それはいろいろな面で今でも続いています。アメリカはシリア国土の三分の一(石油の豊富な地域を含む)を占領しています。
そしてドナルド・トランプ大統領は、2020年のFOXニュースのホストであるローラ・イングラハムとのインタビューで、石油を奪うために米軍を残すつもりだ、と自慢げに語っていました。
ドナルド・トランプ(以下DT):そして彼らは言っています。「かれはシリアに軍隊を残した」と。私が何をしたかわかりますか? 私は石油を奪うために軍隊を残したのです。私配下の軍だけが石油を奪っています。彼らは現地の石油を守っているのです
ローラ・イングラハム(以下LI):私たちは石油を奪っているわけではありませんよ。奪っているわけではありません。
DT:まあ、そうかもしれないし、そうでないかもしれない。
LI:軍は施設を守っているのです。
DT:わからないが、石油を奪うことになるだろうな。現に、我々は今現在その石油を手にしているのだ。
だからみんな言っている、「トランプはシリアに軍隊を残した」と。いや、私は、軍隊は全部引き上げるよ。ただし石油を守る軍隊は別だ。その石油は我々のものなのだから。
BN:アメリカはレバノンに制裁を課すこともあり、これがレバノン経済のハイパーインフレーションと崩壊につながりました。その主な理由は、ヒズボラが政府の一部であるためであり、アメリカはレバノン政府に対してヒズボラを排除した新しい政府を作るよう圧力をかけていました。
もちろん、NATOが2011年にリビア国家を破壊したことも見てきました。ソマリアもまた破綻国家です。そして、スーダンが大きく分断されたのは、米国とイスラエルが、宗教的セクト主義を利用して、民族と宗教の境界線上で南スーダンの分離運動を支援したことが少なからず影響しています。
2006年にウェズリー・クラークが挙げた国のリストを見ると、彼が言及した7つの国は、イラク、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、スーダン、最終的にイランでした。アメリカによって完全には破壊されていない、国家としての安泰を維持できている唯一の国は、イランです。
もちろん、5年以上かかりましたが、アメリカはかなり成功しました。そしてもちろん、イスラエルは、この地域の政府を不安定化させるという米国の目標において重要な役割を果たしてきました。
MH:では、これがどのように行われたかを見てみましょう。9/11にアメリカが攻撃された後、ホワイトハウスで会議がありましたが、パイロットがサウジアラビア人であることは誰もが知っていました。パイロットの何人かは、アメリカのロサンゼルスにあるサウジアラビア大使館に滞在していたと思います。
しかし、9/11の後、閣僚会議が開かれ、ラムズフェルドはそこにいる人々に対して、「どんなにわずかな関連性でも、サウジアラビアを忘れてイラクに結びつけろ。問題ない、イラクが鍵だ」と言いました。そして、彼はそれを見つけるように指示し、9/11はサウジアラビアではなくイラクを攻撃する口実となり、その線で事態は進行しました。
リビアでは、おそらく首都ではなく郊外の都市のひとつにいる原理主義者が問題を引き起こしていると言われていました。そして、無実の人々を[ムアンマル・カダフィ]から守る必要があり、そのためにリビア国内に入り、すべての正貨(金)準備、彼らのお金を押収し、フランスの石油独占権に代わって石油を掌握することになります。
さて、こんな風に今日のガザでの戦闘が行なわれています。ネタニヤフのガザとの戦いは、アメリカがそこに軍艦を移動させ、潜水艦を移動させ、イスラエルとともにシリアの空港を爆撃し、シリア人が武器やいかなる種類の軍事支援も西のレバノンや東のイランに移動できないようにするための口実として利用されています。
これまでの情報から明らかですが、今見ているすべての情報は、まるで私たちはかつての9/11のためにイラクに侵攻しなければならなかったように、今度はついにイランの石油精製所や科学研究所、原子力研究を行っている可能性のあるどんな実験室も攻撃して取り除かなければならないという事実に対して、一般の意見を柔らかくするためのようです。
イランはこれに気づいています。先週、イランのプレスTVは、イランに対する攻撃があれば、それがイスラエルによるものであろうと、あるいは他の誰かによるものであろうと、アメリカとその外国の基地が激しく攻撃されるだろうと、彼らの国防大臣が述べたと報じました。
イラン、ロシア、中国は、ガザの状況をイスラエルの行動としてではなく、アメリカの行動と見ています。この三国はすべて、それがすべてイランに関係していると正確に見ています。アメリカの報道では、ガザやハマス、ヒズボラなどのグループについて話すとき、常にイランの道具等々としか言いません。
イランに対して行われているのは、ネオコンがロシアを悪魔化してアメリカが宣戦布告なしの宣戦布告の準備をしてきたのと同じ手法です。そして、彼らは実際に戦争を宣言する可能性さえあります。
昨夜、11月8日に、共和党はトランプを除いて大統領候補討論会を行いました。ニッキ・ヘイリーは、「イランと戦わなければならない、征服しなければならない」と述べ、フロリダ州知事のデサンティスは、「そうだ、彼らを全て殺せ」と言いました。彼は具体的な対象を言及しませんでした。それがハマスなのか、ガザに住む全ての人なのか、中東のアラブ全てなのかは不明です。
そして、私たちは本当に十字軍のようなものをここで見ています。誰がエネルギーをコントロールするのかは本当の戦いです。なぜなら、繰り返しになりますが、これが鍵です。世界のエネルギーの流れをコントロールすることができれば、昨年アメリカがドイツにノルドストリームのパイプラインを爆破したことを全世界に行なうことができるからです。
もしその国々がアメリカの一極支配に同意しないならば、アメリカはその国の化学産業、製鉄産業、つまりどんなエネルギー集約型産業でも停滞させることができます。そのためアメリカはこれらの地域を支配しようとしているのです。
まあ、ここのワイルドカードはサウジアラビアですね。2日後にイランの大統領がサウジアラビアを訪れる予定で、今後何が起こるかを見守ることになります。
サウジアラビアは、その役割が重要である一方で、サウジアラビアは単に「私たちは中東からアメリカが撤退するまでもう石油を輸出しない」ときっぱり言うことはできるでしょう。しかし、そうは言っても、サウジアラビアのほぼすべての財政的な蓄えはアメリカに投資されているのです。
米国は、石油、ガス、エネルギーを支配するだけでなく、金融を支配することによって、世界を人質にしています。マフィアの銀行やBankman-Fried*の仮想通貨投資信託にお金を預けているようなものです。彼らはそれを使って何でもすることができます。
*Bankman-Fried・・・サム・バンクマン=フリードはアメリカ合衆国の起業家、投資家、そして元ビリオネアである。SBFというイニシャルでも知られる。バンクマン=フリードは、暗号通貨取引所FTXと暗号通貨取引会社アラメダ・リサーチの創設者兼CEOであった。(ウィキペディア)だから、何が起こるかというと、アメリカがサウジアラビアを人質にすることになるので、サウジアラビアが表向きアメリカと決別する可能性は非常に低いと思います。
でも、私が考えるに、サウジアラビアがすることは、1960年代以来、イランで同様の問題が発生して以来、ずっと話されてきたことでしょう。そして、イランの切り札は、いつでもホルムズ海峡で船を沈めることができるということです。そこは非常に狭い海峡で、そこでタンカーまたは軍艦を沈めれば、サウジアラビアとのすべての海上貿易が遮断されることになります。
もちろん、それによって、まず、サウジアラビアは次のように言って肩の荷を下ろすでしょう。「どうしようもないのです。もちろん、私たちは石油を輸出したいですが、アメリカがイランを攻撃したから、イランは自衛のために船を沈めたのです。航路はすべて封鎖されています。だから、アメリカはイランを攻撃するために航空母艦や潜水艦を送ることができません」。十中八九はこんな流れになるでしょう。
しかしアメリカは世界危機の原因となっています。
まあ、明らかに、米国はそれが起こることを知っています。なぜなら、それは文字通り50年間議論されてきたからです。私はハドソン研究所で国家安全保障の仕事をして以来、イランがホルムズ海峡で船を沈めたときにどうするかが議論されていました。
アメリカは、まあ、石油価格は上がるだろうと考えています。そして、イランがこの方法で反撃すれば、我々は2022年にドイツに対して行なった(ノルドストリームのパイプライン爆破)ように世界に対して同様の行動を取る力を持つことになります。ただし、この場合、アメリカは責任を負うことはしません。
サウジとアラブの石油取引を遮断したのは、私たちではなくイランだとアメリカは言うでしょう。だから、イランを爆撃するのです、と。それができると前提しています。
それは緊急時対応策だと思います。アメリカはまさにそのような危機管理計画を持っていて、9/11のような機会を待っていたように、彼らはきっかけを必要としていて、ネタニヤフはそのきっかけを提供しました。だからこそ、アメリカはネタニヤフを支持しているのです。
もちろん、イランは「我々にはイスラエルを完全に消滅させる能力がある」と言っています。そして、議会では、ミリー将軍や他の関係者たちが皆、「イランがイスラエルを消滅させる可能性があることを我々は知っている。だからこそ、イランを攻撃しなければならない」と述べています。
イランを攻撃すれば、そのミサイルがイスラエルに向けられ、再びイスラエルがウクライナ中東版になる可能性があります。こんな計画だろうと私は考えています。多くのイスラエル人たちはこれを認識し、心配しており、ネタニヤフを批判し、イスラエルが抵抗できない一連の軍事的な交戦を引き起こさないようにしようとしています。
そして、イランに対しては、おそらくいくつかの場所を爆撃できるでしょうが、今ではロシア、中国がすべて上海協力機構を通じてイランを支持しているので、線引きが非常に明確になっています。
このシナリオは不可避のようですね。ミアシャイマー*(Mearsheimer)は指摘しましたが、イスラエルとパレスチナの間に交渉による解決策や合意を持つことは不可能です。彼は、パレスチナ国がアメリカのインディアン居留地のように、あらゆる方面から切り離され孤立したものになるため、二国家解決は実現不可能だと述べています。
*ミアシャイマー・・・ジョン・ジョゼフ・ミアシャイマーは、アメリカの国際政治学者、空軍軍人。シカゴ大学教授。国家が他国に対してパワーの拡大を試みる行為主体だと想定して安全保障を研究する攻撃的現実主義の代表的論者。(ウィキペディア)そして、単一の国を持つことはできません。単一の国は神権政治の国のようなものです。繰り返しになりますが、それは19世紀のアメリカの西部での状況のようです。
そして、これを大局的視点で捉えるための方法は、今日私たちが世界を分裂させようとしているものは、言い換えれば、まさに12世紀と13世紀の十字軍と同様であることを認識することです。
BN:ええ、マイケル、あなたはとても重要なポイントをたくさん挙げていますね。そして、あなたが十字軍と歴史的な類似性についてさらに話したいのは知っています。そして、あなたはアメリカ帝国が新しい十字軍として立っていることについて、本当に良い指摘をしたと思います。
より現代的な政治議論から離れる前に、私はあなたが強調した非常に重要な2つの点に焦点を当てたいと思いました。
ひとつは中東の炭化水素埋蔵量のことがあります。これは世界経済にとっても、米国が石油およびガス供給、特にエネルギー価格の制御を試みる上でとても重要です。
2024年には選挙が控えており、アメリカはガソリン価格とインフレを心配しています。もちろん、エネルギー価格はインフレの重要な要因の一つです。
しかしさらに、この地域は貿易ルートがあるため戦略的でもあります。世界経済フォーラムのデータによれば、世界の輸送コンテナ量の30%がスエズ運河を通過し、世界貿易の12%がスエズ運河を通過する商品で占められています。
そしてこれは2021年に大きなメディアのスキャンダルがあった時にも起きました。アメリカの船がスエズ運河で立ち往生した時のことです。そして、これはもちろん、世界がパンデミックから抜け出しつつあり、サプライチェーン・ショックがあった時期にも起こりました。
私たちは、世界経済がグローバルなサプライチェーンの小さな問題に対してどれほど敏感であるかを見ることができます。そして、船舶の航路について話すとき、私たちはスエズ運河だけでなく、南方の紅海にも言及しています。
バブ・アルマンダブもありますね。これはイエメン沖の非常に重要な海峡です。2014年と2015年に始まったイエメン戦争では、この戦争における米国の反撃の多くは南部のバブ・アルマンダブ沖で行われました。なぜなら、この海峡は毎日何百万バレルもの石油が通る重要な海峡だからです。
そして、これはまた、マイケル、あなたが歴史的背景について話していたことを思い出させてくれました。1956年にはイスラエルがエジプトに侵攻しました。そして、それはなぜだったのでしょうか? イスラエルがエジプトに侵攻したのは、エジプトの左派大統領ナセルがスエズ運河を国有化したからです。
その時、非常に興味深かったのは、イギリスとフランスがエジプトに対するこの戦争でイスラエルを強く支持していたことでした。なぜなら、彼らはナセルによるスエズ運河の国有化に懸念を抱いていたからです。その当時、アメリカはさほどイスラエルに強く賛成していたわけではありません。
もちろん、1967年の六日戦争では、イスラエルは隣接するアラブ諸国に攻撃を仕掛け、エジプトの一部であるシナイ半島を占領し、その後、ガザ地区も占領しました。イスラエルはシリアのゴラン高原も占領し、それは今もなお違法に占拠されたシリア領土です。そして、イスラエルは西岸も占領しました。今日、我々が「西岸地区」と呼んでいる地域です。
しかし、1967年の戦争の後、イスラエルはますますアメリカの同盟国となりました。
イスラエルの指導者の第一世代の多くはヨーロッパ人でしたが、イスラエルの次世代は本当のアメリカ人でした。
つまり、ネタニヤフのような人物はアメリカ人であるということです。彼はアメリカで育ちました。彼はフィラデルフィアで高校に通い、ちなみにレジー・ジャクソン*と一緒に高校に通っていました。彼の最大の人格形成期はアメリカで過ごしました。彼はMITで大学に通いました。
*レジー・ジャクソン・・・レジナルド・ション・ジャクソンは、アメリカ合衆国のプロバスケットボール選手。イタリアのポルデノーネ出身。NBAのデンバー・ナゲッツに所属している。ポジションはポイントカード。( ウィキペディア)その後、彼はボストンで働き、ミット・ロムニーやドナルド・トランプのような多くの共和党員と友達になりました。そして、彼がイスラエルに戻った際、彼は外交官としてアメリカ合衆国へ派遣されました。
ですから新しい世代のイスラエル指導層は以前の世代に比べはるかにアメリカ的なのです。本質的にそうです。
イランに関して言及されたもう一つの重要な詳細は、1979年のイラン革命まで、つまりシャー時代のアメリカ支援の君主制のイランがその地域で非常に重要な同盟国であったことです。
実際、サウジアラビアとイランは「2つの柱」と呼ばれたことは有名です。サウジアラビアが西の柱であり、イランが東の柱でした。かつて、アメリカはこの地域を支配しようとし、もちろんイスラエルの支援も受けていました。
さて、1979年のイラン革命で、米国はその重要な東の柱を失いました。これは、米国帝国主義の観点から、イスラエルがこの地域の支配を維持するためにさらに重要になったことを意味します。
ここで、バブ・アルマンダブ海峡やスエズ運河のような交易路戦略的な重要性について詳しく触れてみたいと思いました。また、イラン革命がアメリカの政策に根本的な変化をもたらし、アメリカ帝国主義の観点からイスラエルをますます重要にした事実もあります。
今、アメリカは、あなたがおっしゃったように、サウジアラビアでも制御を失いつつあります。したがって、ワシントンがイスラエルを支持し続けるのは、アメリカが2つの柱を失いつつあるためです。この状況においてアメリカはなりふり構わずイスラエルを支えようとしています。イスラエルが現在実施している入植植民地主義的政策や民族浄化政策(世界中がその様子を注視している)に中東全体が反対しているという事実などどこ吹く風です。
MH:アメリカの外交官にとって、いわゆる「イスラエルへの支援」と呼ぶものは実際には「アメリカが中近東の他の地域を軍事的に制御できるよう支援する」ということです。
全ては石油のことです。アメリカがイスラエルにこれほどのお金を与えるのは、単にイスラエルを愛しているからではなく、イスラエルはアメリカがシリア、イラク、イラン、およびレバノンを攻撃するための軍事基地だからです。つまり、それは軍事基地なのです。
そしてもちろん、親イスラエル、親ユダヤの政策という観点からこれを組み立てることができますが、これは国務省の広報のためのものにすぎません。
アメリカの戦略が中近東のエネルギーに基礎を置くなら、イスラエルは単なる手段であり、目的ではありません。それは単なる手段であるため、アメリカは攻撃的なイスラエル政府を必要としました。
ネタニヤフは、ある意味でアメリカの操り人形と見なすことができます。ゼレンスキーもまったく同様です。彼らの立場は、アメリカに依存することで自国の大多数の国民に対抗しようとするのです。
あなたはアメリカのイスラエル支援についてずっと話しています。しかし、アメリカはイスラエルへの支援などまったくしていません。アメリカはイスラエル軍を支援しているのであって、イスラエルの社会や文化を支援しているわけではありません。ユダヤ教とは無関係です。これは純粋な軍事政治であり、軍や国家安全保障関係者たちの間でそういった話が常にされてきたのを私は耳にしています。
だから、カバーストーリーに惑わされないように注意が必要です。
もう一つの制御手段を申し上げたいと思います。それは、過去1か月ほどでアメリカからのさまざまな発言があり、ロシアがウクライナを征服し支配を確立すると、アメリカは即座にロシアに対して戦争犯罪、人道に対する罪状を追及するだろう、というものです。
アメリカは歪んだ裁判制度を利用しようとしています。国際刑事裁判所は国務省のペンタゴンの支部で、いわゆるカンガルー法廷(いかさま法廷)です。要は、カンガルー法廷を尊重する人々のどこに行ってもプーチンは逮捕されると宣言したように、カンガルー法廷は何らかの形でアメリカにプーチンに不利な判決を与えることができ、他の場所ではロシアの財産に対するあらゆる種類の制裁を与えることができるということです。
彼らは、ロシアに対する戦争犯罪の主張をいったいどのように正当化するつもりなのでしょうか? 今現在イスラエルとガザの間で起こっている出来事を見ても、そして実際、ガザに対して使用されている兵器や爆弾はアメリカのものです。アメリカが火に油を注ぐようなことをしているのです。
アメリカは、自らがロシアを非難しようとしていることを基準にして、なぜ自国を戦争犯罪で告発できないのだろうか? アメリカが実際イランを爆撃できるかどうかに関わらず、世界が分裂する一環として、並行裁判所の設立と、アメリカだけでなくヨーロッパが孤立する状況が見られるでしょう。
基本的に、現在は世界を支配するための争いがあり、だからこそ私は十字軍に言及しました。
私は金融政策の進化に関する歴史を書いています。すでに2巻完成しており、1巻は青銅器時代の近東に焦点を当て、『…そして彼らの債務を許し、(…and forgive them their debts)』と題されています。もう1巻は古代の崩壊に焦点を当て、『古代の崩壊(The Collapse of Antiquity)』と題されています。現在、第3巻に取り組んでおり、これは十字軍から第一次世界大戦までを扱っています。
経済力がほとんどなかったローマが、キリスト教の5つの司教区をすべて乗っ取ろうとしたのです。コンスタンティノープルは本当に新しいローマでした。それがキリスト教正統派の最高権威となりました。
コンスタンティノープルの皇帝は、キリスト教世界全体の皇帝でした。アンティオキア、アレクサンドリア、そして最後にエルサレムがその後に続きました。
「第一回十字軍」は実際には11世紀に始まりました。彼らが中近東を攻撃する以前のことでした。最終的にローマはフランスの一部を手中に収め、イタリアに進出していたノルマン軍によって攻撃されました。
ローマ教皇はノルマン戦争の軍団と取引をし、こう言った。「私たちはあなたに統治の神聖な権利を与え、あなたをキリスト教の王と認め、あなたの敵を全て破門しますが、あなたは私たちに封建的な忠誠を誓い、私たちが司教を任命し、教会を支配し、あなたの土地の大部分を管理することができるようにしなければなりません。そして、私たちに貢納金を支払わなければなりません」。
10世紀のローマ教皇は、ローマ周辺の貴族の小グループによって支配されていました。彼らはローマ教皇を、都市の地方政治市長や地方行政官と同じように扱っていました。
この教会は家族によって運営されているだけで、キリスト教の宗教とはまったく関係ありませんでした。単に、これは教会の所有物であり、私たちの親戚の一人を常に教皇として置いておく、というだけのことでした。
さて、11世紀末、教皇たちは軍隊を持っていませんでした。そのため、ノルマン人との取引によって軍隊を得ることになりました。そして、彼らは理想を掲げ、十字軍を起こすことを決定しました。そして、「異教徒」であるイスラム教徒からエルサレムを救出することを目指しました。
問題は、エルサレムが救援を必要としていなかったことです。中世の世界全体、イスラム全体を通じて、統治階級の宗教が何であれ、宗教的な寛容がありました。それはオスマン帝国の下で何百年も続きました。
ただひとつ不寛容なグループがありました。それはローマ人で「イタリア貴族の一族が再び支配するのを防ぐためには、キリスト教をすべて支配しなければならない」と言ったのです。
彼らは十字軍を起こし、名目上はエルサレムに対してでしたが、結局コンスタンティノープルを略奪し、2世紀後の1291年には、キリスト教徒はアッコで敗北しました。
中近東への十字軍はすべて失敗した。
これから私が素描することとの類似点を見ることができるでしょう。
ですから、大半の十字軍遠征はイスラムと闘ったわけではないのです。イスラムは強大すぎました。
十字軍は他のキリスト教徒と戦ったのです。また、ローマのキリスト教の戦いは、過去10世紀にわたって存在していた原キリスト教に対して行われました。
そう、今日、同じようなことが起こっています。ローマがノルマン人たちを任命して封建制度の支配者、シチリアのウィリアム征服王として任命したように、アメリカはゼレンスキーを任命し、ネタニヤフを支持し、ロシアのクライアント寡頭政治家を支持し、ラテンアメリカの独裁者を支持しています。
つまり、アメリカの世界観は一極的であるだけでなく、一極的なアメリカの世界支配を得るためには、アメリカは外国の国家や外国の大統領を封建的な農奴として扱わなければならないし、基本的には、彼らはアメリカのスポンサーに封建的な忠誠を負っているということです。
そして、独立した南フランスや独立したイタリア、スペインのアラブ科学に対抗してローマへの服従を強制するため12世紀に異端審問所が形成されたように、今日アメリカは国家民主主義基金(NED)を使用し、ビクトリア・ヌーランドがクッキーを使ってコントロールする組織を通じて支援しています。
さあ、これがローマの乗っ取り戦略の全体像です。どのように他の国を乗っ取ろうとしていたのか、どのように他の国がローマから独立するのを防ごうとしていたのか、の全体像です。どのように他の国を支配するかに関するアメリカの国家安全保障報告書のほぼ一文一文が、これに対応しています。そして、それが現実に私たちの眼前で展開している戦いなのです。
それに対して、他の国々、つまり世界の多数派の戦いがあります。ただし、1204年にコンスタンティノープルが略奪され、第四回十字軍によって破壊されたのに対して、ロシア、中国、イランなどの他の国々は略奪されていません。
現在、アメリカができる唯一のことは、イランへの軍事計画の構築です。例えば、インドの役割は何でしょうか? イランへの攻撃や石油への攻撃は、同時に中国主導の一帯一路構想、すなわち相互の成長、相互の利益、相互の貿易のための世界の多数派による輸送の制御への攻撃でもあります。
アメリカは、これに代わる計画を立てようとしています。その計画は主にインドを経由し、イスラエルを通り抜け、大まかにはガザ地区を横切り、現在議論されている大きな問題の一つである、イスラエルのガザ制御地域を通過し、その先に広がる沖合の石油やガスを制御することになります。
つまり、アメリカの計画には複数のワイルドカードがあります。インドやサウジアラビア、そしてトルコです。トルコもこの地域の石油とガスにも関心を持っているからです。イスラム諸国が本当に攻撃を受けていると判断し、キリスト教西側によるイスラムに対する攻撃が本当に死闘であると判断した場合、トルコはサウジアラビアや他のすべての国、シーア派、スンニ派、アラウィー派と一緒になって、自分たちの共通点はイスラム宗教であると言うでしょう。
これは現実的にアメリカの対中・対ロシアの戦いへと実質的に拡大するでしょう。
そろそろまとめようと思います。私たちが実際に見ているのは、ロシアとの戦いでウクライナ人は最後の一人まで戦わせ、イランとの戦いでは最後のイスラエル人まで戦えと脅しています。アメリカは台湾に武器を送り、台湾人は最後の一人まで中国と戦ったらどうですか?と言っている、ということです。そしてこれがアメリカの世界中での戦略なのです。
アメリカは自らの支配のために他国に戦争をけしかけようとしています。それはローマがノルマン軍を使い、南イタリア、イングランド、ユーゴスラビアを征服した方法と同じです。
イスラエルとガザでの攻撃に関するニュースは、単なる開戦の初動であり、この戦争のきっかけにすぎません。サラエボでの射撃が第一次世界大戦を引き起こしたように、セルビアでの出来事がすべての始まりとなったこととまったく同じです。
BN:マイケル、あなたは非常に多くの興味深い指摘をしてくれました。あなたの分析は非常に新鮮でユニークで、非常に洞察力に富んでいると思います。これらのトピックについてもう少し時間があればいいのですが、すでに1時間ほど話しています。
ということで、ここで終わりにしようと思います。でも、マイケル、参加してくれてありがとう。もちろん、すぐに戻ってきてもっと詳細な分析をしましょう。
興味がある方のために、申し上げます。最近、私は古典古代やローマ、ギリシャに関するインタビューを彼におこないました。彼はまた、彼の著書『…そして彼らの債務を許し、(…and forgive them their debts)』でキリスト教の創設までの借金の歴史についても書いています。そして現在は、十字軍の政治的、経済的、唯物史に関する著作に取り組んでいます。
MH:1980年代にこの本の執筆を始めたとき、私はローマ教皇庁がどれほど重要であり、今日の国務省やCIAやばか者たちが世界征服の計画にどれほど類似しているかを理解していませんでした。
BN:そうですね、今後、その研究について議論する機会がたくさんあると思います。もちろん、マイケルの非常に重要な分析をもっと知りたい人は、彼がこのサイトで友人のラディカ・デサイと共同司会をしている番組、「地政学経済アワー」をチェックしてみてください。
もしも当社のウェブサイト、geopoliticaleconomy.com にアクセスするか、または当社のYouTubeチャンネルを訪れると、Geopolitical Economy Hourの異なるエピソードをすべて収めたプレイリストが見つかります。ですので、再度ありがとうございます、マイケル。そして、近いうちにぜひまたお戻りいただければと思います。
MH:こちらこそありがとう。
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