アイオワとニューハンプシャーの結果がどうでもいい理由と、候補者を決めているのは本当は誰かという件について
<記事原文 寺島先生推薦 Why Iowa and New Hampshire no longer matter, and who REALLY decides the nominee>
RT―Oped 2020年2月12日 スコット・リッター
low him on Twitter @RealScottRitter
スコット・リッター
Scott Ritter
is a former US Marine Corps intelligence officer. He served in the Soviet Union as an inspector implementing the INF Treaty, in General Schwarzkopf’s staff during the Gulf War, and from 1991-1998 as a UN weapons inspector. Follow him on Twitter @RealScottRitter
何十年もの間、アイオワ州とニューハンプシャー州は、選挙候補者に大規模な寄付金を流し込む2つの大きな通路であり続けた。今年の選挙レースは、その通路が人為的に作られたものであったことを明らかにしている。
アイオワ州が、大統領選挙の先がけとして位置づけられているのは、意図的であったというよりは、偶然の産物だ。1968年の民主党全国大会中に起こった暴力的な抗議運動の結果、民主党は州レベルでの指名スケジュールを進めることを決めた。アイオワ州では、手順が複雑だったため、早期に党員集会を開始することになった。それで、1972年の大統領選挙では、アイオワ州が指名プロセスに着手した最初の州になった。アイオワ州の党員集会に、主流メディアが注目し始めたのは、1976年に、ジミー・カーターがアイオワ州で指名された勢いにのって大統領にまで登りつめた時からだった。
アイオワ州での結果が、大統領選に大きく作用するという定評ができたのは、大統領候補に指名される者が、どのくらいの支持があるかを測ることができる最初の州だからだ。候補者が、前進する跳躍台として利用できる州なのだ。党員集会は、資金調達のプロセスのひとつであり、ほとんどの候補者は、限られた財源の大部分を州に注ぎ込み、ジョージ・ブッシュ大統領が「ビッグモー」と呼んだものを利用しようと躍起になる。「ビッグモー」とは、集団から抜け出して、将来の寄付者から注目を集め、その人達から、米国で政治を行うに当たり血肉となるもの、つまり、お金を手にいれることができる能力のことだ。
アイオワ州の役割は簡単だ。党員集会を実施し、投票を集計し、候補者をニューハンプシャーに送ることだ。その際、候補者は、「ビッグモー」という風を全面に帆に受けて前に進むか、無名の政治家と見なされて、行く手を阻まれるかどちらかになる。アイオワ州の勝者は、指名を受ける次の段階(つまりニューハンプシャー州の予備選挙)へと進んでいく。そして、国中から関心を集め、必要な資金を集めることになる。その資金は、指名を得るまでの長くて、お金がかかる道のりを生き残るためのキャンペーンを進めるのに必要な資金となるのだ。
Also on RT .Com The Democratic Party is ‘leftwing zombie land,’ says famed strategist James Carville, who preached lots but ignored Tulsi Gabbard
システム崩壊
この道程は、想定どおりに回っていた。先週、投票集計アプリが誤作動を起こし、最終集計が決まらないままになってしまう事件が起こるまでは。開会式では、何人かのトップ候補者が、勝利宣言をしたが、勝利の勢いを手にする機会は失われ、候補者達は、何よりも重要な「ビッグモー」を手にすることが出来なかった。
アメリカ人は政治に関してはお金にケチだ。政治家にお金を寄付することは、競馬場で馬に賭けをするのと多くの点で似ている。賭ける方は、勝てそうな馬にだけ賭ける。アイオワ州は、歴史の偶然によって、米国の政治のいわば「レーシングガイド」的役割を担わされている。つまり、どの候補者に賭ければいいかを選べる機会だ。賭ける方は、ここで、候補者が、最後まで走り抜けるだけの足と心臓を持っているかどうかを見定める。そして何十年もの間、この古風なシステムは、賭ける方、つまり政治援助者階級には、かなり役立っていた。
アイオワ州とは違い、ニューハンプシャー州の予備選挙が、米国の政治プロセスにおいて重要になったのは、意図的だった。ニューハンプシャー州には、他の州よりも最低7日前に予備選挙を行わないといけないという法律があるからだ。アイオワとニューハンプシャーという「ワンツーパンチ」のせいで、これら二州での結果が、もとの重み以上に国内での影響力をもつようになったのだ。
米国の政治組織は、承認された候補者を金銭的に支える寄贈者を中心として構築されているが、アイオワ-ハンプシャーモデルを受け入れ、それがなければ何もできないくらいの信頼感が吹き込まれていた。
しかし、今回は、アイオワ州でビッグ・モーを届けることができなかったので、ほとんどのアメリカ人には、ニューハンプシャー州での結果の意味が薄れたように写り、「キングメーカー」であり続ける意義に疑問の声が上がってきた。
Also on RT. Com
Iowa caucuses fiasco is a ‘spectacular’ first step for Democrats to get Trump re-elected
お金で政策は買えるが、その逆はない
米国の政治におけるお金の役割には醜い現実があ下線文る。米国の政治キャンペーンは、世界で最も長く時間がかかり、お金もかかる。
実際、候補者は、大統領職落札の努力を維持するのに必要な資金を調達しなければならず、そのことが、米国の選挙プロセスが本来持つべき民主主義に則った価値観を損なうことになる。政治は政策の戦いであるはずだと考えられている。
ただし、そのプロセスにお金が投入されるとなると、政治は、大口資金提供者のドルを引き付けることができる政策だけの戦いになってしまう。資金を調達する能力があるかどうかが、すべての意欲的な政治家が通る最初の改札口となり、いい政策も、資金のめどがたたなければ、放っておかれる。
アイオワのビッグモーとそれに付随する資金調達の可能性が無効となったため、ニューハンプシャー州の予備選挙は、候補者間の資金源の格差に光を当てることになった。
最大の違いは、大部分が草の根資金によるキャンペーンを実施したバーニー・サンダースと、複数の多額の資金提供者によってキャンペーンが行われたピート・ブティジェッジとの間の違いだ。これら二人の候補者は、政策面でもキャンペーン資金面でも異なるが、実のところは、どちらも限られた量のキャンペーン資金を取り合うことになるということだ。アイオワ・ニューハンプシャー州の政治決戦を生き延びた他の候補者、エイミー・クロブシャー、エリザベス・ウォーレン、ジョー・バイデンも、同じ事だ。
大統領選挙の成否は、ドルがどう動くかにかかっているのであって、必ずしもどんな政策がいいかで決まるわけではない。良くも悪くも、これらの政策は、これまでは、アイオワとニューハンプシャーを組み合わせた結果で決まってきた。アイオワ州党員大会での失態と、それに続くニューハンプシャー予備選挙に重点が移る中で、米国は非常に難解な問いが与えられている。
それは、国政選挙で金が果たす役割についてと、アイオワ州とニューハンプシャー州が果たしてきた金を配分する役割についての問いだ。米国では、お金と政治を分けて考えるのはありそうもない。同時に、米国の政治に金を出している人々が、アイオワ州とニューハンプシャー州がこれまで果たしてきた大きな役割を、これからも認め続けることはなさそうだ。
大事なのは、金だ。アイオワ州とニューハンプシャー州ではない。
RT―Oped 2020年2月12日 スコット・リッター
low him on Twitter @RealScottRitter
スコット・リッター
Scott Ritter
is a former US Marine Corps intelligence officer. He served in the Soviet Union as an inspector implementing the INF Treaty, in General Schwarzkopf’s staff during the Gulf War, and from 1991-1998 as a UN weapons inspector. Follow him on Twitter @RealScottRitter
何十年もの間、アイオワ州とニューハンプシャー州は、選挙候補者に大規模な寄付金を流し込む2つの大きな通路であり続けた。今年の選挙レースは、その通路が人為的に作られたものであったことを明らかにしている。
アイオワ州が、大統領選挙の先がけとして位置づけられているのは、意図的であったというよりは、偶然の産物だ。1968年の民主党全国大会中に起こった暴力的な抗議運動の結果、民主党は州レベルでの指名スケジュールを進めることを決めた。アイオワ州では、手順が複雑だったため、早期に党員集会を開始することになった。それで、1972年の大統領選挙では、アイオワ州が指名プロセスに着手した最初の州になった。アイオワ州の党員集会に、主流メディアが注目し始めたのは、1976年に、ジミー・カーターがアイオワ州で指名された勢いにのって大統領にまで登りつめた時からだった。
アイオワ州での結果が、大統領選に大きく作用するという定評ができたのは、大統領候補に指名される者が、どのくらいの支持があるかを測ることができる最初の州だからだ。候補者が、前進する跳躍台として利用できる州なのだ。党員集会は、資金調達のプロセスのひとつであり、ほとんどの候補者は、限られた財源の大部分を州に注ぎ込み、ジョージ・ブッシュ大統領が「ビッグモー」と呼んだものを利用しようと躍起になる。「ビッグモー」とは、集団から抜け出して、将来の寄付者から注目を集め、その人達から、米国で政治を行うに当たり血肉となるもの、つまり、お金を手にいれることができる能力のことだ。
アイオワ州の役割は簡単だ。党員集会を実施し、投票を集計し、候補者をニューハンプシャーに送ることだ。その際、候補者は、「ビッグモー」という風を全面に帆に受けて前に進むか、無名の政治家と見なされて、行く手を阻まれるかどちらかになる。アイオワ州の勝者は、指名を受ける次の段階(つまりニューハンプシャー州の予備選挙)へと進んでいく。そして、国中から関心を集め、必要な資金を集めることになる。その資金は、指名を得るまでの長くて、お金がかかる道のりを生き残るためのキャンペーンを進めるのに必要な資金となるのだ。
Also on RT .Com The Democratic Party is ‘leftwing zombie land,’ says famed strategist James Carville, who preached lots but ignored Tulsi Gabbard
システム崩壊
この道程は、想定どおりに回っていた。先週、投票集計アプリが誤作動を起こし、最終集計が決まらないままになってしまう事件が起こるまでは。開会式では、何人かのトップ候補者が、勝利宣言をしたが、勝利の勢いを手にする機会は失われ、候補者達は、何よりも重要な「ビッグモー」を手にすることが出来なかった。
アメリカ人は政治に関してはお金にケチだ。政治家にお金を寄付することは、競馬場で馬に賭けをするのと多くの点で似ている。賭ける方は、勝てそうな馬にだけ賭ける。アイオワ州は、歴史の偶然によって、米国の政治のいわば「レーシングガイド」的役割を担わされている。つまり、どの候補者に賭ければいいかを選べる機会だ。賭ける方は、ここで、候補者が、最後まで走り抜けるだけの足と心臓を持っているかどうかを見定める。そして何十年もの間、この古風なシステムは、賭ける方、つまり政治援助者階級には、かなり役立っていた。
アイオワ州とは違い、ニューハンプシャー州の予備選挙が、米国の政治プロセスにおいて重要になったのは、意図的だった。ニューハンプシャー州には、他の州よりも最低7日前に予備選挙を行わないといけないという法律があるからだ。アイオワとニューハンプシャーという「ワンツーパンチ」のせいで、これら二州での結果が、もとの重み以上に国内での影響力をもつようになったのだ。
米国の政治組織は、承認された候補者を金銭的に支える寄贈者を中心として構築されているが、アイオワ-ハンプシャーモデルを受け入れ、それがなければ何もできないくらいの信頼感が吹き込まれていた。
しかし、今回は、アイオワ州でビッグ・モーを届けることができなかったので、ほとんどのアメリカ人には、ニューハンプシャー州での結果の意味が薄れたように写り、「キングメーカー」であり続ける意義に疑問の声が上がってきた。
Also on RT. Com
Iowa caucuses fiasco is a ‘spectacular’ first step for Democrats to get Trump re-elected
お金で政策は買えるが、その逆はない
米国の政治におけるお金の役割には醜い現実があ下線文る。米国の政治キャンペーンは、世界で最も長く時間がかかり、お金もかかる。
実際、候補者は、大統領職落札の努力を維持するのに必要な資金を調達しなければならず、そのことが、米国の選挙プロセスが本来持つべき民主主義に則った価値観を損なうことになる。政治は政策の戦いであるはずだと考えられている。
ただし、そのプロセスにお金が投入されるとなると、政治は、大口資金提供者のドルを引き付けることができる政策だけの戦いになってしまう。資金を調達する能力があるかどうかが、すべての意欲的な政治家が通る最初の改札口となり、いい政策も、資金のめどがたたなければ、放っておかれる。
アイオワのビッグモーとそれに付随する資金調達の可能性が無効となったため、ニューハンプシャー州の予備選挙は、候補者間の資金源の格差に光を当てることになった。
最大の違いは、大部分が草の根資金によるキャンペーンを実施したバーニー・サンダースと、複数の多額の資金提供者によってキャンペーンが行われたピート・ブティジェッジとの間の違いだ。これら二人の候補者は、政策面でもキャンペーン資金面でも異なるが、実のところは、どちらも限られた量のキャンペーン資金を取り合うことになるということだ。アイオワ・ニューハンプシャー州の政治決戦を生き延びた他の候補者、エイミー・クロブシャー、エリザベス・ウォーレン、ジョー・バイデンも、同じ事だ。
大統領選挙の成否は、ドルがどう動くかにかかっているのであって、必ずしもどんな政策がいいかで決まるわけではない。良くも悪くも、これらの政策は、これまでは、アイオワとニューハンプシャーを組み合わせた結果で決まってきた。アイオワ州党員大会での失態と、それに続くニューハンプシャー予備選挙に重点が移る中で、米国は非常に難解な問いが与えられている。
それは、国政選挙で金が果たす役割についてと、アイオワ州とニューハンプシャー州が果たしてきた金を配分する役割についての問いだ。米国では、お金と政治を分けて考えるのはありそうもない。同時に、米国の政治に金を出している人々が、アイオワ州とニューハンプシャー州がこれまで果たしてきた大きな役割を、これからも認め続けることはなさそうだ。
大事なのは、金だ。アイオワ州とニューハンプシャー州ではない。
- 関連記事
-
- ベテラン活動家の一喝。「BLM(黒人の生命も大事だ)運動はのっけから民主党の選挙の道具だった。邪な企みのために、何百万ドルものカネが草の根運動に回されている!!」 (2020/08/30)
- 影の政府がトランプを嫌っているのは、帝国に対して醜い表情を見せるからだ。 (2020/07/29)
- 民主党は真の改革にむけた運動を吸収し亡きものにするために存在する (2020/07/28)
- ミシガン、ミズーリ、ワシントン、ミシシッピ、アイダホ、そしてノース・ダコタの各州の選挙人が直面する選挙遅延、事前チェックもされていない新しい選挙手順 (2020/04/13)
- 「国外駐在国家主義」への道「国民-国家」の勃興と衰退のテクノロジー的、心理的要因 (2020/04/04)
- MITの研究:「エボ・モラレスをボリビア大統領に選出した――結果的に軍事クーデターで失脚――選挙に不正はあったとするOAS(米州機構)の報告は証拠ゼロで、民衆を惑わすもの」 (2020/03/13)
- 民主党はまたぞろ「ロシアゲート」持ち出し、トランプとバーニー・サンダースを攻撃し、自分たちの選挙不正を隠蔽しようとしている (2020/03/12)
- アイオワとニューハンプシャーの結果がどうでもいい理由と、候補者を決めているのは本当は誰かという件について (2020/03/09)
- 米メディアはニューハンプシャーで勝利した「バーニーを無視」作戦、再度。しかしそれはうまくゆかない。 (2020/03/02)
- 「反BDS法は言論操作と検閲が目的」と語るのはジャーナリストのアビイ・マーティン。自身の講演を拒絶されたことでジョージア州を告発。 (2020/02/26)
- 正義は盲目、あるいは肩書きで盲目にされる?――『アンドリュー王子とジュリアン・アサンジの物語』 (2019/12/27)
- アメリカ億万長者達の不安と焦り (2019/12/16)
- 「シーガニズム」――次々と紹介される食事法にどう対処するか? (2019/12/13)
- アメリカは、中東へ1000人の増派-----ペンタゴン (2019/06/22)
- アメリカの制裁は転換点に! 脱ドル化とアメリカに対する結託 (2018/10/10)