Tense standoff around Kerch Strait between Russia & Ukraine: How it developed
RT /World News/ 2018年11月26日
(翻訳:新見明 2018年11月28日)
<記事原文>
https://www.rt.com/news/444857-russia-ukraine-kerch-strait-standoff/ © Ruptly
クリミア半島水域は、ロシア船とウクライナ船が緊張したにらみ合い状態。追跡劇や発砲もあり、戦闘機が飛び交う。モスクワとキエフ双方から厳しい非難の応酬がなされた。
ウクライナ船が、黒海のオデッサからアゾフ海のマリウポールまで、ウクライナの2港間を航行していた。これらをつなぐ唯一の航路はクリミアとロシア本土の間のケルチ海峡である。キエフは、前もって海軍の船がその地域を航行することをモスクワに通告したと言っている。モスクワは(通告がなかったので)警告が与えられた反論した。
2003年の条約で、ロシアもウクライナもケルチ海峡における航行の自由が保証されているが、船が狭く、複雑な航路を通過するには細かな技術的取り決めがある。その地域を通る全ての船は、クリミアのケルチ港によって管理されている。そして全ての船はその施設に連絡し航路と行き先を告げ、海峡を通る許可を得なければならない。
ケルチ海峡近辺のウクライナ船(黄色)の動き© Google Maps / edited モスクワ時間の午前7時頃(グリニッジ標準時GMT午前4時)に、ウクライナ海軍籍の2隻の艦船と1隻のタグボートが、黒海のロシアの海上境界線を越えて、ケルチ海峡に向かった。
これらの船は手続きに従わなかった、と境界において指令を出すロシア連邦保安サービスは述べた。
© FSB
ロシア当局はウクライナ船籍に繰り返しロシア領域水域から去るように求めたが、彼らはそれらの指示を無視した。そして船は一時的に航行が禁止されている水域に入った。
VIDEO 一方、モスクワ時間の午前11時30分頃(グリニッジ標準時午前8時30分)に、さらに2隻のウクライナ船がアゾフ海の港ベルジアンスクを出港し、反対側からケルチ海峡に接近した。しかしそれから向きを変え、港に戻った。
© FSB
巨大な貨物船が、数隻のロシア海軍に伴われて、保安を理由にケルチ海峡の唯一の航路を、封鎖した。またロシア軍は航空機を緊急発進させた。状況は緊迫していた。サイトのビデオはクリミア橋の下を通るロシアKa-52を写している。後にそれらは数機のSu-25爆撃機と合流した。
VIDEO ウクライナ船は、ロシア当局の警告にもかかわらず航行を続けた。ウクライナ海軍は、軍艦が通常の移動行動の一部として、オデッサの港町からアゾフ港マリウポールに航行していたと述べた。そして前もってその航行をロシア当局に通告したと主張した。
FSB(ロシア連邦保安局)はウクライナ船の行動を「挑発」として非難した。ロシア当局によるビデオでは、ウクライナ船がロシア船に接近して機動させていることを示している。
深夜FSB(ロシア連邦保安局)は声明を発表した。ウクライナ船が法律に沿った停船指示を無視して、危険な航行を続けたので、ロシア戦艦は発砲せざるを得なかった、と。
船が拿捕されたとき、3人のウクライナ水兵が怪我をしていて、医療援助が与えられた。アゾフ海から海峡に向かっていた船団は、彼らの港に戻っていった。
ビデオ[画像のみ]:ケルチ港のウクライナ船
キエフは目的を達成するために「盗賊手段」を用いる、とロシア外務相スポークスマン、マリア・ザハローバは、ケルチ海峡付近の事件の後に述べた。ウクライナは「まず挑発をする。それからパワー・ゲームをする。そして[最後に][相手側の]侵略を非難する」と彼女は続けた。
真夜中頃、ウクライナ大統領ペトロ・ポロシェンコは、ウクライナ国家保安・防衛委員会(NSDC)に戒厳令を出すように指示した。委員会は発令に向けた動きを開始した。ベルコーブナ・ラーダ(ウクライナ議会)は、月曜日臨時議会でその決定を承認するかどうか票決する。
ポロシェンコは、戒厳令は直ちに軍の動員を意味するものではなく、攻撃作戦は計画されていないと述べた。
一方ロシアは、同じく月曜日に国連臨時安保理事会開催を求めた。議題は「国際平和・安全の維持」の一つだけである。
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World’s top 5 ‘most evil’ corporations
RT Business News/ 2018年3月3日
(翻訳: 新見明 2018年11月25日)
<記事原文>
https://www.rt.com/business/420349-five-most-evil-companies/ アマゾンの創設者・CEOのジェフ・ベゾスは、南インドの都市バンガロールのショッピング・モールでトラックの上に立ってポーズをとる。© Abhishek N. Chinnappa © Reuters
アマゾンのほとんどの企業はきらめく評判のおかげで成功を収めている。しかしいつもというわけではない。RTビジネスは、インターネットで最も嫌われている企業を見つけるために徹底的に調査した。
モンサント モンサントは、紹介する必要もないがCCTやエージェント・オレンジの製造会社であり、世界最大の殺虫剤とGMO種子の製造会社である。モンサントは、殺虫剤や除草剤に耐性がある種子を遺伝子組み替えによって作り出した最初の企業として知られている。モンサントの除草剤は何百万エーカーの作物を枯らしてしまうので非難されている。またその化学薬剤はガンや多くの健康障害を引き起こす製品としてブラックリストに加えられた。
アップル かつてマイクロソフトを嫌う機種愛好家のお気に入りであったアップルは、最近雇用者を酷使したり、不当な低賃金で告発されている。また資金をオフショアに隠したり、税金を支払わなかったりしている。また健康や環境規制を犯したり、市場での独占状態を悪用していることでも告発されている。そして、そう、意図的に古いiPhoneを遅くしたり、製品が儲かるように高値を付けたりしている。
ネスレ 世界最大の食品飲料水企業ネスレは、生活の質を高めることに努力し、健康な未来に貢献していると言う。しかし奴隷労働を含むおびただしいスキャンダルに巻き込まれている。この多国籍企業は世界でもっともボイコットされている企業の一つである。様々な国の工場で労働者の権利が侵害されていると報告されているからだ。
フィリップ・モリス アメリカの多国籍タバコ製造会社の製品は、アメリカ以外でも180カ国以上で売られている。フリップ・モリスは、世界最大ブランドの一つであるマールボロを所有している。1999年にはフリップ・モリスはチェコ共和国の役人に、喫煙は市民が早く死ぬので保健コストを減少させ、実際に経済の助けになると説明して言い寄った。
マクドナルド アメリカのファスト・フード会社マクドナルドは1940年に設立された。会社は毎日イギリスの全人口より多くの客に提供している。しかしひどい労働慣行を行ってきた長い歴史がある。また健康問題を引き起こすジャンクフードを提供することで絶えず攻撃されている。マクドナルドのバーガーはそれ自体では分解しないことを研究者は解明した。
きわめて極悪な企業のトップリスト ([ ]内は訳注、ウィキペディア、コトバンク等より)
ゴールドマン・サックス [アメリカ合衆国ニューヨーク州に本社を置く金融グループ。 株 式・債券・通貨・不動産取引のブローカーであり、貸付・保険 ・投資銀行業務にくわえ、プライベート・バンキングも行う。 GPIF年金運用委託先の一つ] JPモルガン・チェイス [アメリカ合衆国ニューヨーク州に本社を置く 銀行持株会社である。商業銀行であるJPモルガン・チェース 銀行や、投資銀行であるJPモルガ社ンを子会として有する。 JPモルガン・チェース銀行は米国外を含む商業銀行業務を、 JPモルガンは米国外を含む投資銀行業務を分担している] エクソンモビル [アメリカ合衆国テキサス州に本社を置く、総合エネルギー企 業である。石油メジャー最大手であり、スーパーメジャーと呼ば れる6社の内の一社である] ハリバートン [資源サービスグループ(Energy Services Group) で、ESGは石油と天然ガス探査及び生産設備を製造する。また、 イラク戦争後のイラクにおける運輸事業などの各種復興事業や、 海外に展開するアメリカ軍のケータリングサービスの提供も行う など、様々な事業を展開している] ブリティッシュ・アメリカン・タバコ [イギリスのロンドンに本社を置く、タバコ製造・販売企業。略称BAT 又はBA。ロンドン証券取引所、JSE上場企業。 代表的な銘柄に ラッキーストライクなどがある] ダウ・ケミカル [アメリカ合衆国ミシガン州ミッドランドに本拠を置く世界最 大級の化学メーカー。 1897年に漂白剤と臭化カリウムの製造 メーカーとして誕生した。1999年にはユニオンカーバイドを930億 ドルで買収し、デュポンに代わり世界最大の化学メーカーとなっ た] デュポン [世界最大の米国の化学工業会社。1802年デュポン・ド・ヌムール が建てた火薬工場に発し,20世紀初めには米国火薬工業の支配 権を確立,第1次大戦で巨利を得て化学工業全般に拡大,第2次 大戦では原爆製造に当たり,戦後原子力産業に進出。この間, 1939年のナイロンはじめ合成繊維,合成樹脂の新製品を積極 的に開発,大手石油会社Conocoを所有,モルガン財閥,ロック フェラー財閥に次ぐ有力財閥である] バイエル [ドイツのノルトライン=ヴェストファーレン州レバークーゼンに本 部を置く化学工業及び製薬会社。アスピリンやヘロインなどを送り 出した世界的な医薬品メーカーとして知られる] マイクロソフト [アメリカ合衆国ワシントン州に本社を置く、ソフトウェアを 開発・販売する会社である。1975年4月4日にビル・ゲイツとポール・ アレンらによって設立された] グーグル [インターネット関連のサービスと製品に特化したアメリカの多 国籍テクノロジー企業である。検索エンジン、オンライン広告、クラウド コンピューティング、ソフトウェア、ハードウェア関連の事業がある] フェイスブック [アメリカ合衆国カリフォルニア州メンローパークに本社を置 くFacebook, Inc.が運営する世界最大のソーシャル・ネットワー キング・サービスである] アマゾン [アメリカ合衆国・ワシントン州シアトルに本拠を構えるECサイト、 Webサービス会社である。アレクサ・インターネット、A9.com、 Internet Movie Database などを保有している] ウォルマート [アメリカ合衆国アーカンソー州に本部を置く世界最大のスー パーマーケットチェーンであり、売上額で世界最大の企業である] 経済金融に関するさらなる話は、RTビジネスサイト
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What Do We Make Of The Midterm Election?
Paul Craig Roberts
- PaulCraigRoberts.org - https://www.paulcraigroberts.org -
(2018年11月7日)
(翻訳: 寺島メソッド翻訳グループ 2018年11月22日)
<記事原文>
https://www.paulcraigroberts.org/2018/11/07/what-do-we-make-of-the-midterm-election/ 中間選挙の結果について、私の意見を求める声が読者からあります。
CNNが番組で流した選挙結果の地図を見てみます。北東海岸、西海岸の狭い地域、南西部と南部のヒスパニック、そして黒人の居住地域を除くと、アメリカ全体としては圧倒的に共和党に票が流れました。
私見です。アメリカ中部で票が共和党に流れたのは「哀れな人々」(2016年大統領選におけるヒラリー候補の言葉)がトランプを守りたかったからです。理由は二つあります:
①一つはトランプが経済的苦境に陥った人々に語りかけたことが理由です。
そもそもアメリカの企業が海外に仕事を輸出し、アメリカの労働者と中産
階級の首を締め上げた結果生じた経済的苦境でした。
②もう一つは民主党が「アイデンティティー政治」を取り込んだことです。そ
の結果民主党は白人をヘイトの対象とする政党になってしまいました。と
りわけ異性愛だけをよしとする白人男性へのヘイトです。彼らは、自分た
ちが少数者集団、ゲイそして女性たちの犠牲者だと考えています。そんな
彼らが白人を問題視する民主党に投票するはずがありません。
クリントン夫妻の時代以前、民主党は労働者階級を代表していました。民主党は実業界を代表する共和党の動きを牽制する政党だったのです。それでいろいろなことのバランスが保たれていました。ところが、クリントン夫妻の時代になって異変が起こりました。民主党選挙区の人たちの仕事を海外に移そうとする共和党の動きにOKサインを出したのです。自分たちの選挙区を売り払った代償として、クリントン夫妻が得たものは共和党の金庫です。それを民主党も使えるようにしました。民主党も共和党も今ではウォール街や軍産複合体に操られています。
労働者階級は、民主党に見捨てられたため、今では共和党に投票します。
民主党の選挙区に、行き場のなくなった労働者階級は、もはや含まれません。民主党は方向をヘイトに向けました。民主党は現在「ヘイト政党」です。民主党はアイデンティティー政治の「犠牲者グループ」にヘイトを教え込んでいます。この動きで一般の白人は民主党の犠牲者になっています。かくして、民主党は白人票を失い、「犠牲者」の票を獲得することになります。 移民が増えれば結局は「犠牲者」票が確実に一般白人票を上回るでしょう。その場合、民主党のアイデンティティー政治支配下でアメリカの一般白人は、今度は犠牲者グループとなります。実際多くの民主党員が語っていることに注意を払えば、それが彼らの意図するところだとわかります。
2、3時間前から種々のレポートに目を通していますが、民主党員の75%はトランプを弾劾したいと考えています。理由についての記述は何もありません。私が思うに、その唯一の理由はヘイトです。トランプは「女は男のおもちゃ」と考える億万長者白人男性の典型です。
これで事情はお分かりでしょう。
特筆すべきはトランプが今回は共和党で当選しましたが、出馬は民主党からでした。彼はロシアとの和平賛成派でした。労働者階級の仕事を何とかしようとしていました。平和と職の安定は民主的なスローガンです。しかし、民主党はトランプを嫌悪しました。何故ならトランプは抑圧的な白人男性の典型だからです。この理屈に合わないヘイト感情が民主党を軍・安保複合体との同盟関係に誘導しました。この軍・安保複合体はロシアとの和平に強力な異を唱えています。和平は彼らの予算と権力を脅かすからです。民主党は「闇の国家」と手を携えながらロシアとの和平を妨害しました。そして第三世界からアメリカへ大量の移民が流入することを支持しました。そんなことをすれば労働者階級の経済的な基盤はますます危うくなります。目的は第三世界からの移民票を獲得し、失った労働者階級の票を埋め合わせることです。
この第三世界からの移民にあてがわれる仕事は、アメリカ中産階級労働者層の収入に依存していることを、民主党ははっきり言って分かっていません。この収入が消滅すれば、第三世界からの移民はもはや存在しない仕事のためにやって来ません。彼らは生活の糧を失ったアメリカ人が支払っている社会保障費の恩恵を受けに彼らはやって来るのです。
アメリカの一般的白人が罪の意識に屈して崩壊しない限り、民主党は終わりだと思うのです。今回の中間選挙は民主党の有終の美となりました。
だからと言って未来がバラ色というわけでもないでしょう。民主党の動きのせいでトランプは世界に対して攻撃的なスタンスを取ることになりました。アメリカはこの攻撃をとうてい支持できません。トランプの「いじめっ子」的性格の旗は降ろすことが可能なのでしょうか?トランプは、イスラエルと深い繋がりをもつユダヤ教徒の娘婿を排除することなのできるのでしょうか?
そんなことはできそうもありません。そんなことをすれば、彼はエルサレムへのアメリカ大使館移転や他の決定を撤回せざるを得なくなるでしょう。そして彼や娘婿クシュナー大統領上級顧問とイスラエル首相ネタニヤフとのいろいろな近しい関係は、もし彼がアメリカはイスラエルのコントロールから自由だと言明すれば、音を立てて崩れ去りますし、それは外交上の問題ばかりでなく、彼の家族問題ともなるでしょう。
トランプがイスラエルに対して従属的姿勢を取ることは奇妙です。そんなことをしてもユダヤ人民主党員から得られる政治的利点は何もないからです。中間選挙においてユダヤ人の票は圧倒的に民主党に流れました。トランプがアメリカ大統領として初めて、おそらくは国家元首としてただ一人、エルサレムをイスラエルの首都として認定しても関係ありませんでした。
ユダヤ人で下院の権力の座に登り詰めた民主党員のアダム・シフは、トランプ大統領の調査を手ぐすね引いて待っていると発言しています。シフはトランプの首根っこを掴まえる自信がありそうです。実際、ユダヤ人はアメリカの人口に占める比率は極小であるにも拘わらず、議会で最重要な委員会の5つのポストを占有しています。
①Jerrold Nadlerは司法委員会
②Eliot Engelは外交委員会
③Nita Loweyは歳出委員会
④Adam Schiffは諜報特別委員会
⑤John Yarmuthは予算委員会
アメリカの歴史の中で最もユダヤ的な大統領であるトランプが国内のユダヤ人の標的にされていることをどう説明したらいいのでしょう?たぶんこうです。ユダヤ人は非ユダヤ人社会を崩壊させることにより強い関心を抱いているのです。ユダヤ人にとって、その偏執狂的な見方では、非ユダヤ人社会は脅威です。トランプがイスラエルの中東政策(=「パレスチナ人ジェノサイド」)を全面的に支持していることなど眼中にありません。
ドナルド・トランプ以前のアメリカの大統領がこれほど完璧にイスラエルに身売りしたことは一度もありません。トランプはあのちっぽけで、取るに足らないイスラエルという国に対してそんなことをしているのです。
トランプが「偉大なアメリカを再び!」を実現することはあり得ません。アメリカをイスラエルに従属させていては無理です。
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Mass migration brought down the Roman Empire. Can it bring down the American Empire?
John Wight
ジョン・ワイトは、様々な新聞やウェブサイトに寄稿している。インディペンデント紙、モーニング・スター、ハフィントン・ポスト、カウンターパンチ、ロンドン・プログレシブ・ジャーナル、フォーリン・ポリシー・ジャーナルなど。
RT Op-ed 2018年11月1日
(翻訳: 新見明 2018年11月21日)
<記事原文>
https://www.rt.com/op-ed/442864-american-empire-migrant-caravan/ © Getty Images
中央アメリカからアメリカに北に向かっている移民キャラバンは、旧世界が死につつあり、新しい闘いが生まれているさらなる証拠である。
古代世界が我々に教えてくれることがたくさんある。その最も顕著な教訓は、大量移民というものは、紛争、社会崩壊、または極端な貧困の産物であるが、それが最も強力な帝国を破壊することができるということである。
ローマを考えてみよう。その軍隊は千年のあいだ巨像のように古代世界を支配した。そしてその偉大で残酷な、そして最も華々しい名前は、シーザー、ポンペイウス、アウグストス、ネロ、ハドリアヌス、ウェスパシアヌス、コンスタンチヌスなど、いまだ何千年が過ぎたにもかかわらず畏怖と驚嘆の念を引き起こす。
その最盛期、ローマは、イタリア半島からはるか西ヨーロッパに到り、北アフリカや中東にまでわたり、その帝国が歴史のページから消されうると主張することは愚の骨頂だったはずだ。
Read more © Reuters / Eric ThayerAmerican breakdown: Uncle Sam pays an overdue visit to the psychiatrist couch アメリカの崩壊:精神科医を訪れるのが遅すぎたアンクル・サム。
しかしローマが消滅したのは476年だった。西ローマ帝国として当時知られていたものは、ついにゲルマン民族からなる蛮族の度重なる侵入に屈服し、ついに崩壊に到った。
ローマの権力の象徴である帝国の正服、王冠、紫のマントは、当時帝国の東半分を支配していたコンスタンチノープル(イスタンブール)に追いやられた。それは何百年もの歴史の幕を下ろし、どんな帝国も経済力や軍事力にも関わらす、永続することはないことを確認することとなった。
実際、ローマの崩壊はなかなかやって来なかった。帝国は奴隷制や貢ぎ物や略奪を下に成り立っていたが、その矛盾があまりに大きかったので、克服できなくなっていた。ローマの支配下では、何百万人が貧困と惨めさの中で暮らしていて、彼らがエリートの汚れきった富や虚飾を支えていたので、ますます維持できなくなった。
ここまでは、多少理解いただけたのではないか。
威圧と支配と過度の搾取に基づいた経済システムは抵抗を引き起こす。それがまた、帝国を維持するために、さらなる軍隊の派遣に到る。それはさらなる抵抗を刺激するだけで、それによって不安定化する。この不安定化が、自国民や他国民の大量移動をを引き起こすのだ。
要するに、これがローマを終焉させたことだ。我々の時代は、変化の初期段階であり、多くの難民危機が明らかに徐々に増加していて、欧米ヘゲモニーの基礎を次第に切り崩している。2015年の難民危機は、ヨーロッパを苦しめ、未だ解決されておらず、重大な問題である。そして後に述べる移民キャラバンは、現在中央アメリカからメキシコを通ってアメリカ国境に向かっている。
Read more 中央アメリカの移民はアメリカに向かう。2018年10月21日、メキシコ。Ciudad Hidalgo © Global Look Press / Ivan Sanchez 共和党も民主党も大声で吠え、かみつくが、移民キャラバンは進む。
ここで我々は急いで寄り道をして、陰謀論を見に身にまとっている輩のことを考えてみよう。彼らの多くが、意識を高めるのでなく、狂気を高めている。
移民キャラバンが、ソロスに資金援助された芸当であるとか、アメリカの中間選挙前段階の民主党の計画であるという考えは、ばかげていなくとも無意味である。何世代にもわたってアメリカの軍国主義や経済支配のために、中米の人々が被ってきた苦悩は、途方もないものであり続けている。だから犠牲者達の活動を拒否することは、尊厳を拒否することに等しい。
移民キャラバンが発生したホンジュラスで、2009年にクーデターが起こった。そのクーデターで民主的に選ばれたマヌエル・セラヤの左翼政権を転覆させるのに成功した。
クーデターはロメオバスケス・ベラスケス将軍に率いられた。彼は悪名高いアメリカ陸軍米州学校(スクール・オブ・アメリカ)の卒業生だ(今は西半球安全保障協力研究所と2001年に改名)。中南米からの何千という軍事・保安要員が、第二次世界大戦以来そこで拷問、暗殺、鎮圧の訓練を受けてきた。
アメリカ外交の専門家スティーブン・ズネスズ教授によれば、ホンジュラスのクーデターは、オバマが見守る中、ヒラリー・クリントンが国務長官の地位にあるとき起きた。それは「恐ろしい抑圧と、何万にもの難民が安全を求めて逃亡するといううなぎ登りの殺害率の時期を導くこととなった。」
Read more FILE PHOTO © Instagram / US ArmyMigrants, militias, protesters & drug cartels: Pentagon braces for explosive clash at Mexico border ペンタゴンはメキシコ国境で爆発的衝突に備える。
ズネスは控え目に、ワシントンのクーデターへの関与を言っていないが、その後の合法的大統領の地位回復をはっきり拒否していることは、我々が知るべきあるあらゆる事を物語っている。その計画では、遅れた地域の諸国家を、帝国の完全子会社化されたものと何世紀にもわたって見てきた。
だから移民キャラバンが北に向かって進んでいるとき、ワシントンのドナルド・トランプ大統領はそれを侵略といい、5000人の軍隊を国境に配備した。ホワイトハウスのどの住人も大昔から不正をしても居直ってきた。トランプを見ていると、ローマ時代の哲学者セネカの言葉が特に思い浮かぶ。「貪欲にとって、あらゆる自然は小さすぎる。」
家や権力や地位や名声の貪欲が、トランプのあらゆる策略をつき動かし、決定する。それは病んだ社会の兆候であり、彼を生み出した文化的価値である。それは移民キャラバンに責任がある価値観であり、やがて帝国の没落を生み出す価値観である。ローマが支配した世界のように。
たとえ国のプロパガンダが逆の報道をしようとも、アメリカの大量の貧困層と抑圧された人々が、彼ら自身の支配者階級よりも、この移民キャラバンの人々とははるかに共通点があることは否定できない。彼らが置かれ続けている危うい状態が解放に到らないように、彼らが決してこの事実を理解しないように仕組まれているのだ。それはこの大陸でも世界全体でも当てはまることは言うまでもない。
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How the world still embraces Karl Marx's socialist ideals after 200yrs
RT World News 2018年5月5日
(翻訳:新見明 2018年11月14日)
<記事原文>
https://www.rt.com/news/425918-karl-marx-socialism-global/ 2018年5月1日スリランカのコロンボで社会主義戦線党により組織されたメーデー集会のカール・マルクス© Dinuka Liyanawatte © Reuters 革命的哲学者カール・マルクスの生誕200年後も、彼の仕事は未だ有効である。社会主義が復活していて、世界中の人々がマルクスの理想を受け入れている。
欧米世界で社会主義の政治家が最近人気を得ていることは、当然、資本主義からの変化を願っていることだ。アメリカでは自称社会主義者バーニー・サンダース上院議員が大統領候補の選挙運動中、社会主義革命を公言した。一方イギリスでは誇り高き社会主義指導者ジェレミー・コービンの下、労働党が昨年の選挙で大きな躍進を遂げた。
READ MORE: Karl Marx at 200: RT looks at the British political figures who still hold him dear Meanwhile in Greece, the anti-austerity Syriza party – a radical left-wing coalition which promoted itself on its commitment to Marxism – swept to power in 2015 as the country was in the midst of a debt crisis. カール・マルクス生誕200年:RTはマルクスを重視するイギリス政治家たちを考察する。一方、ギリシャでは、反緊縮のシリザ党がマルクス主義を推進し、極左連合を形成して、2015年の国が金融負債危機の最中に、政権の座についた。
マルクス生誕200年に先立ち、イプソスによって行われた世界的調査では、2万人の大人にマルクス主義の理想に関して調査した。例えば無償教育、医療の無償、ユニバーサル・インカムの権利についてである。
調査によると、10人中9人が、教育は無償で、医療も無償であることが人権であるべきだと考えている。ロシア人はどちらの項目にも最も支持が多く、次がセルビアだった。
無条件のベイシック・インカムの権利に関して、回答者の3分の2以上がその施策を支持した。28カ国すべてで約10分の8が、貧困層を支えるために富裕層がさらに多く課税されるべきだと考えている。最も多かったのはスペイン、セルビア、中国だった。
しかし、世界で3分の2の人々が、自由市場の競争は人々に最もよいものをもたらすと考えており、ほぼ70%が、才能のない人より、才能のある人が多く儲ける権利があると考えている。
中華人民共和国の人々はほとんど、社会主義の理想が社会の発展に大きく寄与するという主張に賛成であり、そしてインド、マレーシアが続いている。回答者は全般的に、社会主義の今日的可能性について意見が分かれている。半数が社会の発展に大きな貢献をすると答え、ほぼ半数が社会主義を抑圧の手段と考えている。
中国はマルクス生誕200年に大きな祝典を計画し、偉大な思想家の巨大なブロンズ像をマルクスの生誕の地ドイツのトリーアに贈った。
そのブロンズ像は、当然ドイツの意見を分断した。ドイツの東半分は1949年から1990年の再統一まで、共産主義ソ連によって支配されていた。論争があっても、記念碑は欧州委員会委員長のジャン・クロード・ユンケルによって除幕された。しかしその除幕式は「共産主義幹部会の米議会犠牲者」によって非難された。
「マルクス主義体制は少なくとも1億人を虐殺した責任がある。中国では6500万人、ソ連では2000万人以上、北朝鮮では200万人以上が犠牲になった」とそのグループはユンケルに再考を促し、もしくはマルクスの名でなされた「暴虐」に反対するように手紙を書いた。ユンケルの返事では「マルクスは全ての虐殺に責任があるわけではない。彼の後継者と自称する者が答えなければならない」と述べた。
マルクスは論争のタネになる人物であり続けている。しかしマルクスはソ連崩壊により死んで葬り去られた、という主張にもかかわらず、彼のイデオロギーは世界中で重要性を増している。
活動家達は、よりよき労働状態を求めた集会に参加する。2018年5月1日パキスタン、カラチ © Akhtar Soomro © Reuters /
このいつまでも残る影響は、世界中の労働組合が街頭に出て、よりよい労働者の権利を求めるメーデーの日に特に明かだ。カール・マルクスは、しばしば活動家が彼の写真を掲げているように、これらの集会で呼び覚まされている。 そしてよく「共産主義の父」として描かれる伝説の男が、今日も生きていることを資本主義者に思い出させるのだ。
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Can President-elect Lopez Obrador pull Mexico out of slumber?
アンドレ・ベルチェック
RT Home//Op-ed 2018年10月6日
(翻訳:新見明 2018年11月3日)
<記事原文>
https://www.rt.com/op-ed/440491-mexico-future-obrador-us/ アンドレ・ベルチェックは哲学者、小説家、映画制作者、調査ジャーナリストである。彼は多くの国の戦争や紛争を報道してきた。彼の最近の三つの著作は、革命的小説『オーロラ』と二つの政治的ノンフィクションのベストセラー作品、『帝国のウソを暴く』と『欧米帝国主義との闘い』である。彼のその他の著作はここで見られる。アンドレは、テレスール・テレビやアル-アヤディーンのために映画を制作している。ベルチェックは、ラテンアメリカ、アフリカ、オセアニアで過ごした後、現在は東アジアや中東を拠点にして、世界中で仕事を続けている。彼のウェッブサイトやツイッターを参照。
何十年もの停滞と腐敗、そしてアメリカへの致命的な依存状態にあって、アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドールは、多くの庶民からも知識人からも、メキシコの最後のチャンスと考えられている。
二つの重要なニュースが、北アメリカ中に行き渡っている。まずアメリカ大統領ドナルド・トランプは、当選した左派大統領アンドレアス・マヌエル・ロペス・オブラドールの就任式に出席しないこと。そして、そう、いろいろな対立と意見の相違にもかかわらず、NFTAに変わる新しい交渉が合意したこと。それはUSMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)と呼ばれる。
逆説的に、もしオブラドールが選挙公約の少なくとも半分でも実現させようとすると、必然的にメキシコはアメリカやカナダと衝突せざるを得ないだろう。アメリカはメキシコの80%輸出を吸収している。多くのメキシコの知識人は、彼らの国はこれまで、北における「ビッグ・ブラザー」の植民地にすぎなかったと考えている。カナダの鉱山会社はメキシコの自然資源を残虐に搾取している。そして地元政治家や議員と結びつきほ、とんど無防備な先住民を苦しめている。
何十年もの停滞と腐敗のあと、メキシコは劇的で本質的な変化を準備している。それは今度は赤旗と革命歌の下にやってくるのではなく、チェス・プレーヤーの注意深く計算された、正確な動きで行われると多くの者が言っている。
天才のみが打ち破ることができる。ひどい虐殺行為なしで、アメリカの致命的な支配なしで。そして選ばれたオブラドール大統領がまさにそんな指導者なのだと多くの者は思っている。
© Andre Vltchek
「ポーカーのプレーヤーではなく、チェスのプレーヤー」 左派指導者の勝利にもかかわらず、メキシコは「険悪なムード」である。何十年もの不況や腐敗やアメリカへの致命的な依存はきわめて否定的な影響を国に与えてきた。
ジョン・アッカーマンは、メキシコに帰化したUNAM(メキシコ国立自治大学)の伝説的学者であるが、コヨアカンで私たちが会ったとき次のように説明した。
「これは長年待ちに待ったことだ。ラテンアメリカ中で大きな変革があったが、メキシコは違った。メキシコは、1946年PRI(制度的革命党)が創設されて以来変わっていない。教育、健康保険、社会システムに対する重要な対策、インフラなど、彼はこれらすべてを改革すると約束している。労働者階級の人々の言葉で。彼は組合民主主義に大きな関心を示している。それは革命の真の手段となる。組合は国の民主的な参加を作り出すために使われ得る。」
Read moreMexico chooses new left -leaning president who may give US 'sleepless' nights選ばれたメキシコ大統領マヌエル・ロペス・オブラドールは2018年7月1日勝利を祝う。© Pedro Pardo
メキシコはアメリカに「眠れない」夜を与えるかもしれない新たな左翼大統領を選ぶ。
オブラドールはフィデルでもチャベスでもないことに我々は同意する。彼はプラグマティックで、メキシコがアメリカに隣接していることがいかに危険かわかっている。いろんな政府がアメリカによって転覆させられた。そしてすべての社会主義的システムは頓挫させられ、うち破られた。
アッカーマン教授は指摘する。「オブラドールはトランプのようなポーカー・プレーヤーではなく、チェス・プレーヤーなのだ。」
彼は極めてすぐれた学識がある。彼自身もそうだが、彼の妻も著名な左翼家族入間・サンドバル・バレステロスからでた才能豊かなメキシコの学者である。彼女は間もなくオブラドール政権の公共行政大臣に就任するだろう。そして彼女はメキシコの風土病である腐敗と闘うことになるだろう。これは疑いものなくその国の最も重要な仕事の一つになるだろう。
メキシコはOECDメンバー国の中で極貧層と超富裕層の経済格差が二番目にもっとも激しい国である。政府によれば2016年、メキシコ人1億2200万人の中で約5,340人が貧困層であった。
犯罪は放置されたままで、腐敗も野放しだ。メキシコのNGOシチズン・ウォッチ・ドッグのSeguridad Justicia y Pazによると世界の高犯罪率10都市の5都市がメキシコにある。ロス・カボス(1位)、アカプルコ(3位)、チジュアナ(5位)、ラ・パス(6位)、シウダー・ビクトリア(8位)。
約46万人の子供たちがメキシコの麻薬組織にリクルートされている(次期オブラドール政府公共安全相による)。メキシコ警察は絶望的に腐敗し、機能不全であり続けている。
アメリカ・メキシコの壁建設© Andre Vltchek
困窮はいたるところに 古きアシエンダ*の一つである優雅さや様式は、ユカタン半島のジャングル中で失われた。約20年前この場所の近くで、私は自ら流浪の身において、小説を書きながら暮らしていたものだ。ユカタンは貧しく、保守的で、伝統的であった。しかしその村の極貧の中にあっても誇りと威厳があった。
[訳注]アシエンダ制 アシエンダとは、かつてのスペイン領のラティフンディオの一 形態で、特にメキシコ、中米の一部、アンデス諸国で一般的 にみられた伝統的な大農園を指す。ラプラタ地域ではエスタ ンシアとも呼ばれた。アシエンダの所有者は、アセンダードや パトロンと呼ばれた。ブラジルにおけるこれに似た形態はファ ゼンダと呼ばれる。 (ウィキペディアより) 物事は劇的に変化したが、よくなったわけではない。今やむき出しの貧困がいたるところにある。ハシエンダからちょうど2キロのところにテモゾンという昔ながらの田舎家の屋根には穴が開いている。そして多くの住民はすでにそこを見捨ててしまった。人々は飢えてはいない、まだ。しかしそれはユカタンでは、まだコミュニティとか連帯という大切な感覚があるためである。
セノーラ・コンスエロ・ロドリゲスとドン・アルフレド・ロペス・チャム© Andre Vltchek
ドン・アルフレド・ロペス・チャムはシフンチェン村に住んでいる。彼の家の屋根は半分なくなっている。彼は目が見えない。彼は全く貧乏だ。私は彼に尋ねた。私が去ってから、ここの暮らしはどうですかと。彼はただ絶望的にうなずいた。
「あなたは私の家を見たでしょう。あなたは想像できるはずです。私は全然修繕できません。何年も仕事がありません。それに私は年を取っています。」
彼の隣人であるセノーラ・コンスエーロ・ロドリゲスが割り込んできた。彼女は率直で、たくましく、心の良い未亡人でいつも鶏の群れに囲まれている。
「御覧なさい。彼は本当に文無しですよ!ほら、私たちは困っている人を助けようとしているのですが、私たち自身が文無しに近いのです。2・3年前、政府は私たちの家の修繕を手伝いに何人かを派遣しました。しかし彼らは二度とやって来ませんでした。」
理論上、メキシコは無償の教育や医療が受けられる。しかし実際はそれは政府を握っていて、よい民間企業の仕事を持っている人々だけだ。次期大統領AMLO(オブラドール)はそれらすべてを改革すると約束している。しかし国中の人々はセノーラ・コンスエーラを含め懐疑的でる。
「もしわれわれが病気にかかったら、仕事の保険がなかったら支払いをしなければならない。そして我々のほとんどが、ここでは安定した仕事はないのです。」
ここの人々は新しい政府を信頼していますか。彼女は肩をすくめ、「さて、どうかしら」と言う。
これは私が至る所で聞いたことだ。この巨大で豊かな潜在力がある国の海岸から海岸で。それは世界で15番目の経済力がある国だ。しかしほとんど興奮はない。大多数の人々は「待って、やり口を見てみよう」という構えだ。
ドン・ルディ・アルバレス© Andre Vltchek
ドン・ルディ・アルバレスは、ユカタンの豪華ホテルの一つで20年以上働いてきたが、将来について警戒しながらも楽観的である。「多国籍企業で永久の仕事を持っている我々でさえ、大きな夢を抱くことはできません。そして私は息子の一人を大学で法学を勉強するために送り出すことができます。しかしそれ以上大きな夢はもてません。私の家族は車やその他の贅沢をする余裕はありません。オブラドール(AMLO)が書てくれることを希望します。ここでは多くの人々思いは、ユカタンが観光客に「マヤのディズニーランド」として売り出されています。我々の文化をほとんど尊重することなく。」
メキシコは西半球でアメリカに次いで2番目に観光客の多い国です。しかし観光客からの収入はめったに地元の人々の生活をよりよくしません。
© Andre Vltchek
犯罪と麻薬戦争が唯一の懸念材料ではない。オアハカの先住民の歴史的都市の中心では、軍隊が政府宮殿に入るのを阻止している。なぜか?多国籍企業による先住民の強制退去や、活動家の失踪と無法な殺害に対して抗議する落書きのためだ。
リゼッタさんは、宮殿の真正面にテントをはって抗議する多くの人たちと暮らしてきたが、「9年間私たちには家がありません。民兵と政府軍がやってきて、我々をサン・ジュアン・コパーラの住居から追い出したのです。殺された人々もいます。女性はレイプされ、多くが失踪しました。私たちは正義を求めてここにいるのです」と説明した。彼女は私に傷跡を見せてくれた。
「最近、警官がやって来て、私の携帯を壊し、それから私の腕を傷つけたのです・・・」
マヌエル・アルバレス・ブラボイン・オアハカの写真の中央に、レオさん(名前のみ教えてくれた)は断言した。「それらの人々に起こったことはひどいものです。考えてみてください。家にいて突然だれかが武装してやって来て、追い出されたのです。多国籍企業、特にカナダの企業が、この国の鉱山の約80%を支配しているのです。人々は、特に先住民は残虐に扱われています。メキシコはスペインの植民地主義にひどく苦しめられましたが、事態はあまりよくなったとは思っていません。私たちは自分たちの国をしっかり治めることができていないのです。」
グアダラハラの社会の家© Andre Vltchek
そして新しいオブラドール政権だって?レオと彼の同僚は少しだけ楽観的である。
「彼が本質的問題に敢えて手を付けるかどうか確かではない。つまり、この国の北への依存問題や、貧富の恐ろしい格差、つまりヨーロッパ人の子孫と先住民からなる大多数との格差である。それは今日まで至る所に見られる。西欧人と彼らの会社がやってきて、彼らがしたいことをする。ところが先住民には何も残されていない。」
しかし他の多くは希望を捨てていない。AMLO(オブラドール)の左翼モレノ党はすぐにPT(労働党)や保守の社会結集党との連立を行うだろう。メキシコがキューバやベネズエラの道を歩むことはないだろう。しかしボリビアモデルはかなりありうる。それは静かな革命であり、きわめて進歩的で真に社会主義的憲法(それははるか1916年までさかのぼる)に基づいた革命である。
ユカタンの壊れた屋根 © Andre Vltchek
メキシコの学者イグナシオ・カストゥエーラはカリフォルニアのクレアモント大学で教えているが、こう説明する。「オブラドールは彼が達成したいと思うことのいくつかを実行するため、いくつかの党派と連合しなければならないと思う。個人だけでは国の問題を解決できない。彼の周りに多くのが結集して欲しい。それが起これば意義深い変革がもたらされるだろう。アメリカ政治と企業の長年の陰が大きな影響を発揮し続けるだろう。」
ティフアナで私はひどい困窮状態を見ている。私は労働者に週55米ドル相当しか支払わない多国籍企業を訪れる。私はなんとかして暴力団地域に入る。そしてアメリカが二つの国の間に重苦しい壁を建設している。
壁に向かうスラ・レティシア© Andre Vltchek
私はスラ・レティシアの話を何時間も聞く。彼女は壁からほんの1メートルのところに住んでいる。
「彼らは我々の土地を分断している。そしてここに住んでいる多くの生き物を傷つけている。また自由に循環している水をも遮っている。」
「これらは全てかつてはメキシコであった。北アメリカ人が我々からいくつかの州を盗んだ。いま彼らはこの壁を建設している。私は何度かこの国を訪れた。そしていいですか。私たちの全ての問題点にもかかわらず、私は今いるところが好きです。こちら側が!」
それから夜遅く、私が聞くのは、北から南まで、東から西まで自分の国を知っている男の話である。私達は小さなカフェに座っている。サイレンが近くで鳴っている。また殺人がちょうど起こったところだ。彼は私を真正面に見て、ゆっくりと話す。
「メキシコは壁を背にしています。この状況は続きません。アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール、これは私達の最後のチャンスです。私達は彼の元に結集します。私達は彼を助けます。もし彼が約束したことを行えば素晴らしいことだ。そしてメキシコは変わり、繁栄します。もしそうならなかったら、私達は武器を取るしか他に選択はないのです。」
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