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アマゾン、グーグル、そしてアップルは独占的地位を通り越して、政府と直接争うまでになっている。しかも勝利しつつある。

<記事原文 寺島先生推薦>下訳〉
Amazon, Google, and Apple have moved past monopoly status to competing directly with governments… and winning

RT ワールドニュース

2020年4月28日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>


 米国上院議員のジョシュ・ホーリー氏は、電子商取引の巨人の権力が強大になり、政府の力に匹敵するまでになっている現在、アマゾンの独占禁止法違反について調査するよう求めている。そして、グーグルやアップルも今や政府に命令している。

アマゾンは「オンライン・プラットフォームとしての立場を悪用し、商品に関する詳細なデータを収集して、アマゾン・ブランドで模倣品を作成できるようにした」とホーリー上院議員は、火曜日に米国司法長官ウイリアム・バー氏に送った書簡で告発した。ホーリー上院議員は、電子商取引の巨人に対しての犯罪捜査を要求し、独占禁止法に違反し「独占的立場を築き維持するため略奪的かつ排除的なデータ慣行」、それはつまり独占禁止法の条文違反である、とアマゾンを非難している。


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 アマゾンは、使用者から収集された膨大な量のデータを利用して前例のない独占力を手に入れ、それによって商品を複製して価格を引き下げている、とホーリー上院議員は告発している。アマゾンの「データ収集能力」を「すべての顧客の額にカメラを取り付けるレンガやモルタル小売業者」になぞらえた。コロナウイルス・パンデミックが、オンライン売買におけるアマゾンのシェアを押し上げており、アマゾンは全能に近い様相を帯びてきている。

今月初めに発表されたウォール・ストリート・ジャーナルの調査に由来するハーレイ議員の主張のすべてが、100%真実であると証明されたとしても、司法省がアマゾンを罰する意思があるかどうか(またはできるかどうか)は疑問である。

いくつかの点で、アマゾンは政府と少なくとも同じくらい強大で、従うふりをして政府の法律をやりすごす。アマゾンのクラウド・サーバーは、CIA、国土安全保障省、国防総省、およびその他の米国の機関を管理下においている。つまり、アマゾンが法的処罰に対応してかんしゃくを起こした場合(フランスで行うと脅したように)、政府の活動は深刻に妨害されることもあり得る。

 アマゾンは、使用者から収集された膨大な量のデータを利用して前例のない独占力を手に入れ、それによって商品を複製して価格を引き下げている、とホーリー上院議員は告発している。アマゾンの「データ収集能力」を「すべての顧客の額にカメラを取り付けるレンガやモルタル小売業者」になぞらえた。コロナウイルス・パンデミックが、オンライン売買におけるアマゾンのシェアを押し上げており、アマゾンは全能に近い様相を帯びてきている。

今月初めに発表されたウォール・ストリート・ジャーナルの調査に由来するハーレイ議員の主張のすべてが、100%真実であると証明されたとしても、司法省がアマゾンを罰する意思があるかどうか(またはできるかどうか)は疑問である。

いくつかの点で、アマゾンは政府と少なくとも同じくらい強大で、従うふりをして政府の法律をやりすごす。アマゾンのクラウド・サーバーは、CIA、国土安全保障省、国防総省、およびその他の米国の機関を管理下においている。つまり、アマゾンが法的処罰に対応してかんしゃくを起こした場合、別の独占禁止法の調査(すでにいくつかは進行中)がアマゾンの行動を正すことはありそうにない。

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 グーグルやアップルもまた大きく成長し強大になっているため、政府と争えるだけでなく、政府を自分たちの意のままにすることもできる。ドイツは、日曜日、オープン・ソース(ソースコードが公開され、無償で利用できるソフトウェア)の、プライバシー優先の(コロナウイルス)接触追跡システム「いわゆる汎ヨーロッパ・プライバシー保護近接追跡基本方針」の計画を、廃止せざるを得なかった。それは、アップルがiOSオペレーティング・システムに変更を加えることを拒否したためであった。その変更とは、プラットフォームに構築された公衆衛生アプリについて、中央サーバーからブルートゥース・データにアクセスできるようにする、というものであった。

アップルは、仲間である科学技術の巨人グーグルと協力して、独自の分散型接触追跡プラットフォームに取り組んでおり、その変更を拒否し、おそらく使用者のプライバシー保護の名目でドイツ政府と争っている。アップル・グーグルのプラットフォームは、中央サーバーではなく使用者の端末に接触先データを記録し、理論的にはアップルとグーグルの管理下とともに使用者の管理下に置くものである。

これらの大企業が、使用者のプライバシーを純粋に気にかけていると考えるのはよいことであるが、ドイツ政府の要求に対するアップルの反対理由は、市場配慮によって動機付けられたものであるのはほぼ確実である。 グーグルやアップルは、分散型プラットフォームには、心配する使用者が望むすべてのプライバシー保護が付属する、と主張しているが、両社のプライバシーに関する悲惨な経歴は、そのような約束に疑問を投げかけている。

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 ドイツ政府によって管理される中央サーバーは、アップルとグーグルから彼らの生命線である使用者データを奪うことになるであろう。それは-明らかに、1兆ドル規模の企業にとって受け入れられないシナリオである。そのような強力な反対に直面して、ドイツ政府筋は、ロイター通信に「方針を変える以外に選択肢はない」と語った。

ドイツのシステムに反対する者は、データの一元化により「社会全体への前例のない監視」が可能になると警告した。これは非常に現実的で正当な懸念事項である。しかし、同じ豊富なデータを、(ドイツまたは米国の)民間部門に提供することが本当に望ましいことであろうか。巨大科学技術企業は、ジョージ・オーウェルのビッグブラザーのように装うことに熱心で意欲的かもしれないが、強大な監視状態に置かれる側は、抑圧を行うのが公的部門か民間部門かに拘わらず、そのような抑圧を好むことはあり得ない。

「ディープ・ステート」による世界再編成の電気プラグは抜かれる


<記事原文 寺島先生推薦>The Global Reset – Unplugged. “The Deep State”

グローバル・リサーチ 2020年7月24日

ピーター・ケーニッヒ


初出2020年6月17日 グローバル・リサーチ初版

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2020年8月8日



 想像してみてください、あなたは民主主義だと言われている世界に住んでいると。そして、あなたはそれを信じているかもしれない。しかし、実際には、あなたの人生と運命は、超富裕で、超強力で、超非人間的な少数独裁者の手に委ねられている。彼らは「闇の国家(ディープ・ステイト)」と呼ばれることもあれば、単に「けだもの」と呼ばれることもあるし、「正体不明で追跡不能なもの」などと呼ばれることもある。しかしそんなことはどうでもよい。重大なのは、彼らが全世界人口の0.0001%以下だということだ。

 もっと的確な表現が思いつかないので、当面は彼らを「正体不明な闇のひとたち」と呼んでおこう。

 私たちの世界をあえて運営しようとするこれらのひとたちは「闇の世界」のひとたちだから、選挙で一度も選出されたことはない。名前をつける必要もない。彼らが何者で、なぜ有名なのかを理解しようにも、その中には公の場に全く姿をあらわさない者もいる。彼らは組織をつくりだしてきたが、それは法的規範をもたない有機体だ。彼らは完全に国際法の埒外にいる。彼らは「けだもの」の最前線だ。おそらく、競合する「けだもの」が何匹かいる。しかし、彼らは同じ目的をもっている。新世界秩序(NWO)すなわち単一世界秩序(OWO)だ。
 
 これらの「闇のひとたち」が世界を動かしている。例えば、WEF(世界経済フォーラム[1]、巨大産業・巨大金融・超有名人の代表者たち)や、G 7やG 20(経済的に「最も強い」国々の指導者たち)の他に、小さいが「裏」世界を動かす団体もある。例えば、ビルダーバーグ会議[2]、米国を含めた超党派組織であるCFR(外交問題評議会)[3] 、イギリスのチャタムハウス(王立国際問題研究所)[4]などである。

 それらのすべてのメンバーは重複している。ここまで広げた最前線をすべて合わせても世界全人口の0.001%に満たない。にもかかわらず、彼らが君臨しているのが、主権国家の選挙で選ばれた憲法上の政府と、国際機関すなわち国連である。

 実際、彼らは国連を取り込んで、彼らの命令に従わせている。国連事務総長および複数の国連傘下機関の事務局長は、たいていの場合、米国が選ぶ。欧州の家臣たちの同意を得たうえで、かつ候補者の政治的略歴・心理的略歴を考慮して米国が選ぶのだ。そして選ばれた彼らが、国連事務総長として、あるいは国連下部機関の事務局長としての「任務遂行」に失敗をした場合には、彼らは解任されることになる。

 「けだもの(たち)」によって取り込まれかつ創設されたものには、EU(欧州連合)、ブレトンウッズ機関[5]、WB(世界銀行)、IMF(国際通貨基金)もある。WTO(世界貿易機関)もしかりであり、そして間違いなく、ハーグの国際刑事裁判所(ICC)もそうだ。ICCは見掛け倒しで実権をもたない。ただ法律が常に無法者の味方であることを確かにするためだけに存在する。

 主要な国際金融機関であるWB(世界銀行)やIMF(国際通貨基金)に加えて、いわゆる地域開発銀行や同様の金融機関も存在するが、それぞれの地域の国々が勝手に行動しないように牽制しているのだ。

 最終的には、金融と債務経済がすべてを支配する。西側の新自由主義的な強盗行為がシステムを作り上げたのだから、そのシステムのもとでは、西側に対して政治的に不服従であった場合には、国際的領域で経済的に抑圧が加えられたり、あからさまな国有資産の強盗行為を受けることによって罰せられるのだ。そのシステムの共通基準は(今だに)現存する米ドルだ。

「選挙で選ばれていない人たち」

 選挙で選ばれていないこれらの「闇のひとたち」の優位性が、これまで以上に暴露されるようになってきた。私たち民衆は、主権国家や国民の意思で選出された政府が、「闇のひとたち」によって牛耳られているのを「正常なことだ」と考えてしまって、自分たち民衆が支配するものではないとか、あるいは昔は自分たち民衆が支配していたことを誇りにしていたということすら忘れてしまっている。民衆は従順な羊の群となってしまった。「闇のひとたち」は、じわじわ、こっそりと権力を奪ってきた。そのことに私たちは気づいていない。それはサラミ戦術とも呼べよう。つまり、サラミを一切れずつ切り落とし、サラミがなくなった時には、自分たちには何も残っていないことに気づき、自分たちの自由、市民権、人権がなくなっていることに気づくのだ。そのころにはもう手遅れだ。その代表例が米国愛国者法である。9/11以前から準備されていたが、9/11が「起こる」とすぐに愛国者法は議会を通過した。国民の将来の保護のためだ。人々が恐怖のためにその立法を求めたからだ。そしてまさにそのとおりになった! 愛国者法はアメリカ国民の自由と公民権の約90%を奪ったのだった。永久にだ。

 私たちは「けだもの」の奴隷にされてしまった。「けだもの」たちは今やすべてを牛耳っている。私たちの経済が景気になるか不景気になるか、誰が負債に縛られるべきか、いつ・どこでパンデミックが発生するべきか、そしてパンデミックを生き延びるための条件たとえば社会的監禁状態など、すべてだ。揚げ句の果てに、「けだもの」が使う道具は、とても巧妙で、小さな目に見えないウイルスという敵であり、巨大ではあるが目に見えない恐怖という怪物だ。それが、私たちを通りから遠ざけ、友人との再会から遠ざけ、社交的な娯楽・劇場・スポーツ・公園でのピクニックから遠ざけている。

 間もなく「けだもの」が、文字どおり、誰が生き、誰が死ぬかを決めるだろう。私たちがそれを許すならば。これはそう遠いことでないかもしれない。パンデミックの第二波がやってくれば、人々は懇願し、大声を上げ、金切り声をあげるかもしれない。「ワクチンをくれ」とか、「弔いの鐘をならせ」とか。そして巨大製薬企業の巨大なぼろもうけを望み、そして、あからさまに世界をのさばり歩く優生学者の目的に寄与するのだ。しかし、これに対して集団でNOと言う時間はまだ残されている。集団的に団結してだ。
(ビル・ゲイツの2010年のTEDでの講演「ゼロへのイノベーション」を参照)

 
 あからさまな詐欺の最新事例を見てみよう。便利なことに、グローバル・ノース(北の先進諸国)は少なくとも世界の主要な決定が下されるところなので、コロナウイルスの第一波が過ぎ去った後の2020年6月初旬に、選挙で選出されていないWEF(世界経済フォーラム)議長クラウス・シュワブ[6]が「世界の再編成」を発表した。経済の崩壊(ナオミ・クライン著『ショック・ドクトリン――惨事便乗型資本主義の正体を暴く』[7]の中にあるようなクライシス・ショック)に乗じて、「けだもの」の旗手であるシュワブ氏は、2021年1月に開催される次回のダボス会議で世界経済フォーラムが「来たるべき世界(将来の世界)」のために何を議論し何を決定するかについて、何の隠し立てもせずにヌケヌケと発表している。詳細はこちらを参照。

私たち民衆は、選挙で選ばれてもいないWEF(世界経済フォーラム)の行動計画を受け入れるのだろうか?

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 WEFの行動計画の焦点は、折よく母なる地球に残されたものの保護に当てることになり、その中心にくるのは明らかに人間のつくりだしたCO 2に基づく「地球温暖化」となるだろう。自然と人類の保護のための手段は「国連アジェンダ2030」となり、それは国連持続可能な開発目標(SDGs)[8]とそっくり同じものだ。それは故意に破壊された世界経済をいかに再建するかに焦点を当てることになるだろう。17目標あるSDGsの中の(「環境関連」の)グリーン原則を尊重しつつ。

 しかし、気をつけてくれ。すべてがつながっているからだ。偶然の一致というものでは決してない。悪名高いアジェンダ2021は、いわゆる国連アジェンダ2030と一致し、これを補完している。そのアジェンダ2021は、2021年1月にWEF(世界経済フォーラム)が「世界の再編成」の公式宣言をすることによって正式に開始される。同様に、世界の再編成アジェンダの実施は、2020年1月、コロナ・パンデミックの開始によって開始された。それは数十年前から計画されていた。よく知られた最新のものとしては、2010年のロックフェラー報告書「ロックステップのシナリオ」[9]とコロナ・パンデミックをシミュレートした2019年10月18日のニューヨークでの「イベント201」[10]がある。「イベント201」は、実際のコロナ・パンデミックの開始のわずか数週間前に実施された。そのシュミレーションでは、18か月以内に6500万人が死亡し、経済が崩壊することになっていた。 COVID-19, We Are Now Living the “Lock Step Scenario” and this and thisを参照。こちらこちらも参照。

頻発する人種暴動

 人種暴動は、「ブラック・ライブズ・マター(BLM、黒人の命は大切)」運動によって始められた。とはいえBLM運動は、フォード財団とソロスのオープン・ソサエティ財団から資金提供を受けていることは記憶しておいてほしい。この人種暴動が始まったのは、アフリカ系アメリカ人ジョージ・フロイド氏が暴力団のようなミネアポリス警察によって残忍に殺害されたあとのことであった。人種暴動は、瞬く間に、最初にアメリカそしてヨーロッパの160以上の都市に広がった。しかし、この人種暴動は単に「けだもの」のアジェンダ(行動計画)と関連しているだけではない。COVID-19によって置き去りにされた人間の大惨事から好都合にも目を逸らさせるものでもあったのだ。こちらも参照。


 
 国連アジェンダ2030の背後に実際に存在するものを実施しようという「けだもの」の邪悪な計画は、ほとんど誰も聞いたことのない行動戦略ID2020[11]である。 The Coronavirus COVID-19 Pandemic: The Real Danger is “Agenda ID2020”参照。行動戦略ID2020は、ワクチン接種の教祖であるビル・ゲイツによって創設され、資金提供を受けている。GAVI(世界ワクチン予防接種同盟)、巨大製薬会社協会も同様だ。これらはみなコロナワクチンの開発に関与しており、ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団(BMGF)とともに世界保健機関(WHO)の予算の大部分の資金提供をしている。

 「世界の再編成」はWEF(世界経済フォーラム)のクラウス・シュワブが発表しているものだが、おそらくは行動戦略ID2020によって実施されている。それは見た目以上のもの(つまり隠された事実なのだ)。行動戦略ID2020は、SDGs(国連持続可能な開発目標。17目標、169ターゲットがある)のなかにある、SDG 16.9(「国連持続可能な開発目標」目標16のターゲット9)は、「2030年までにすべての人々に無料の出生登録を含む法的な(電子)身分証明を提供する」となっている。これはSDGsの目標16の全体的な目標に完全に合致している。目標16「持続可能な開発のための平和的で包括的な社会を推進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルで効果的で責任ある包括的な制度を構築する

 SDGsを達成するための国連アジェンダ2030の正式な道筋に従いつつ、行動戦略ID2020の「実施」は、現在バングラデシュの学童に試験的におこなわれているのだが、強制的予防接種プログラムによってナノチップを埋め込むという形で電子化したIDを提供し、貨幣の電子化と5G[12]の本格的展開を促進するものだ。5Gの本格的展開は、ナノチップの個人データをアップロードしたり監視したり、民衆を支配したりするために必要とされるものだ。行動戦略ID2020には、ワクチン接種を通じて世界人口を削減する「プログラム」も含まれる可能性が高い。優生学は、新世界秩序NOWまたは単一世界秩序OWOの下での未来の世界人口の制御における重要な構成要素である。1980年に謎に包まれて建設されたジョージア・ガイドストーン Georgia Guidestones[13]も参照。



 支配エリートは、この計画を実行する手段としてロックダウンを利用した。その実施は当然に大規模な抗議行動に直面することになり、ブラック・ライブズ・マターBLM抗議行動やデモと同じように組織され資金も提供された。それらは平和的ではないかもしれないし、平和的なものとして計画されていないかもしれない。なぜなら、米国と欧州の人々を統制するためには、そこは社会不安の大半が予想されるので、警察の全面的な軍事化が必要だからだ。これはたぶん準備万端整っている。

 ジョン・ステップリングはエッセイ「ザ・ビッグ・プランテーション」の中で、ニューヨークタイムズ紙にこう書いている。

 「2006年以降、米国では少なくとも9万3763丁の機関銃、18万718個の弾薬筒、数百個の銃の消音装置、および数不明のグレネード・ランチャー(擲弾発射筒)が州および地方の警察署に提供されている。これにはさらに少なくとも533機の飛行機とヘリコプター、および432台のMRAP(エムラップ、耐地雷・伏撃防護車両)が含まれる。MRAPは、高さ9フィート、30トンの砲塔を備えた装輪式対地雷装甲車である。また、4万4900個以上の暗視装置も提供されている。これらはアフガニスタンやイラクの夜間襲撃で定期的に使用されたものだ」

 彼はまたこうも付け加えている。この警察の軍隊化はより大きな流れの一部であると。1990年後半以降、人口5万人以上の米国の警察署の約89%がPPU(警察準軍事組織)をもっており、これは1980年代半ばのほぼ二倍の数である。彼はこの準軍事組織化した警察を新しいゲシュタポと呼ぶ。

 コロナ以前でさえ、米国では人口の約15%から20%が貧困ライン以下であった。ロックダウンによるコロナ後の経済崩壊により、この比率は少なくとも二倍になり、それに比例して市民の混乱や当局との衝突の危険性が高まり、警察を軍事組織化するという根拠がさらに強まるだろう。

中国の暗号通貨の人民元[14] 

 もちろん、これらのシナリオはどれも2021年1月のWEFによって公表されることはない。これらは「けだもの」のための、主要当事者たちによって密室でおこなわれる決定である。しかし、巨大再編というこの壮大な計画は起きてはならないことだ。世界人口の少なくとも半分と、中国やロシアのような経済的にも軍事的にも最も強力な国の一部が、それに反対しているからだ。「再編」は確かに起きるかも知れないが、この西側的な用語においてではないだろう。実際、中国では既にいくつかの種類の再編が起きており、中国はブロックチェーン[15]を基礎とする暗号通貨[16]、クリプト人民元に支えられた新しい中国人民銀行を展開しようとしている。人民元は、厚みのある経済に基づいている強い通貨であるだけでなく、金によっても支えられている。

 トランプ大統領は中国を、不正な貿易、コロナ・パンデミックの不適切な管理、財産権を盗んだとして厳しく非難し続けている。こうした中国バッシングには終わりがない。トランプ大統領は、中国は米国に依存しているので、米国は中国との貿易関係を断つか完全につながりを断つぞと脅して、中国を非難し続けているのだが、中国はトランプの虚勢に対して「やれるものならやってみろ」と言っているのだ。中国は、ASEAN諸国プラス日本(そうなのだ、日本だ!)と韓国への方向に静かに方向転換している。それらの国々の貿易は、現在すでに中国の貿易総額の約15%を占めていて、今後5年間で倍増すると予想されている。

 ロックダウンと貿易の中断にもかかわらず、中国の総輸出額は回復しており、4月には3.2%増加した(2019年4月と比較して)。この中国の輸出の全体的な伸びは、しかしながら米中間の貿易では大幅に減少している。中国の対米輸出は4月に7.9%減少した(2019年4月と比較して)。

 米国の産業の大部分が中国のサプライチェーンなしでは生き残れない[17]ことは明らかである。西側諸国の中国医薬品への依存は特に強い。中国が米国の消費者に依存していることは言うまでもない。2019年では、米国の総消費額は、GDPの約70%に相当し、13兆3000億ドルである。そのかなりの額は中国から直接輸入されているか、中国からの原材料に依存している。

 世界経済フォーラムの主催者たちは、本質的なジレンマに直面している。彼らの計画は、ドルの優越性に大きく依存している。ドルの優越性は、米国支配に反対する国々に制裁を発動したり資産を没収したりすることを可能にし続けるものだ。ドル覇権さえあれば、世界の巨大再編計画の構成要素を押し付けることが可能となるからだ。上述したとおりに。

 しかし、現在のドルは、不換紙幣[18]であり、何もないところから創られた借金まみれのお金である。裏づけるものが全くない。そのため、準備通貨としてのドルの価値はますます低下している。特に中国が新たに導入した暗号通貨の人民元に対しては。中国の人民元に対抗するためには、米国政府は1913年の連邦準備制度法[19]から離脱し、米国経済を裏づけとして、おそらく金を裏づけとする(暗号化された)独自の貨幣を発行することによって金融詐欺体制から脱却しなければならない。現在のような連邦準備銀行FEDの不換紙幣ではだめである。つまり、100年以上続いているロスチャイルド一族[20]が所有する連邦準備銀行FEDとのつながりを断ち切り、民衆が所有する本当の中央銀行を創設することを意味する。ただしこれは不可能ではないが、ほとんどありそうもない。なぜなら、このアメリカでは二匹の「けだもの」が衝突するかもしれない。大国のアメリカが危機に瀕しているからだ。

 一方、中国は、無限の創造という哲学をもっているので、21世紀の巨大な社会経済開発計画であるBRI「一帯一路」[21]を絶え間なく推し進めるだろう。この「一帯一路」は、世界を結び付け橋渡しをするものだ。陸上・海上交通のインフラで、共同研究や産業プロジェクトで、文化交流で、そしてとりわけ「両者がともに利益をえる」という特徴とすべてのパートナーの平等とを備えた多国間貿易で。そして、多極化した世界、人類共通の未来をもつ世界に向かうだろう。

 今日すでに120を超える国々が「一帯一路」に加盟しており、他の国々の参加にも広く門戸を開いている。それは、「西側による世界の再編成」に抵抗し、その正体を暴露し、その電源を切るのだ。


ピーター・ケーニッヒは、経済学者で地政学アナリスト。水資源と環境の専門家でもある。30年以上にわたって世界銀行や世界保健機関に勤務し、環境と水の分野で働いてきた。アメリカ、ヨーロッパ、南米の大学で講義をしている。次のところに定期的に寄稿している。Global Research、ICH、 New Eastern Outlook (NEO)、 RT、 Countercurrents、 Sputnik、 Press TV、The 21st Century, Greanville Post, Defend Democracy Press; The Saker Blogやその他のインターネットサイト。『Implosion-An Economic Thriller about War, Environmental Destruction and Corporate Greed』の著者。その本は、事実に基づき、世界中の世界銀行での30年間の経験に基づいたフィクション。『The World Order and Revolution―Essays from the Resistence』の共著者。グローバル化研究センターCentre for Research on Globalizationの研究員。


訳注
[1] WEF(世界経済フォーラム):
 通称ダボス会議。世界の大手企業などで組織する民間団体,世界経済フォーラム (本部ジュネーブ) が毎年1月,スイスのダボスに世界を代表する企業家や各国の政治家,学者,非政府組織 NGOを招いて開催する年次総会。(出典:ブリタニカ国際大百科事典)
参考:世界経済フォーラムの日本語版のホームページは、以下からアクセスできる。「Great Reset」の記事も読める。
https://jp.weforum.org/press/2020/06/the-great-reset/
[2] ビルダーバーグ会議:
1954年以来、毎年1回開催され、欧米の有力者が招待されて世界が直面している重要問題について話し合う完全非公開の会議。国家元首や政府首脳、財界や主要な軍需企業のトップが集まるこの会議は、その秘密主義が原因で長い間、疑いの目を向けられてきた。
出典:https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/web/15/120700019/121600002/
[3] CFR(外交問題評議会):
 アメリカの外交問題研究機関。第1次世界大戦後,イギリスの王立国際問題研究所 (チャタム・ハウス) の姉妹機関として設立された。おもな目的は,アメリカの外交政策にかかわる諸問題についての研究と啓蒙にある。活動は,研究グループによる報告書作成,討論グループによる意見交換,著名人を招いての晩餐会,報道関係者や学界,実業界の専門家へのフェローシップ授与,経営者セミナー開催,地方支部活動などのほか,世界的に知られる『フォーリン・アフェアーズ』 (季刊) や『世界政治ハンドブック』 (年刊) などを刊行している。(出典:ブリタニカ国際大百科事典)
[4] チャタムハウス(王立国際問題研究所):
 国際情勢に関する情報交換・分析を専門とする英国の政策研究機関。非政府・非営利組織。1920年創設。機関紙『インターナショナル・アフェアーズ』、雑誌『ワールド・トゥディー』を発行。(出典:デジタル大辞泉)
[5] ブレトンウッズ機関:
 IMF(国際通貨基金)とIBRD(国際復興開発銀行)を指す。1944年に締結されたブレトンウッズ協定により両機関が設立されたことに由来する。(出典:デジタル大辞泉)
[6] クラウス・シュワブ:
 ドイツ人の父とスイス人の母との間に生まれる。1971年以来スイスの寒村ダボスで開かれている国際シンポジウム・ダボス会議の生みの親として知られ、スイスの公益法人・世界経済フォーラム(WEF=ワールド・エコノミック・フォーラム)会長を務める。1972年~2002年ジュネーブ大学教授。(出典:現代外国人名録2016)
[7] ナオミ・クライン著『ショック・ドクトリン――惨事便乗型資本主義の正体を暴く』上・下巻(岩波書店)、映画『ショック・ドクトリン』http://www.jicl.jp/old/now/cinema/backnumber/20160509.html
[8] 国連持続可能な開発目標(SDGs):
 人々が地球環境や気候変動に配慮しながら、持続可能な暮らしをするために取り組むべき世界共通の行動目標。国際連合に加盟する全193カ国が合意し、2015年9月の国連総会で採択された「持続可能な開発のための行動戦略2030」で掲げられている。貧困の解消や環境保全、格差の是正など17の目標と、169の関連付けられた達成点からなる。
 SDGsの17分野とは、(1)貧困の根絶、(2)飢餓の撲滅、(3)健康と福祉の促進、(4)質の高い教育の実現、(5)ジェンダー平等、(6)適切な水の利用と管理、(7)再生可能エネルギーの利用、(8)生産的で、働きがいのある雇用の促進、(9)強じんなインフラと持続可能な産業、(10)国内・国際間の不平等の是正、(11)持続可能なまちづくり、(12)持続可能な生産と消費、(13)気候変動への対策、(14)海洋資源の保全、(15)陸域生態系と森林資源の保全、(16)平和で包括的な社会の促進、(17)グローバル・パートナーシップによる目標達成、をいう。(出典:知恵蔵)
[9] ロック・ステップ:
 ロックフェラー財団が2010年に出した「技術と国際開発の未来のためのシナリオ」(Scenarios for the Future of Technology and International Development)というレポートの中に出てくる近未来の4つのシナリオのうちのひとつ。この10年前のシナリオが、気味が悪いほど現在のコロナウイルスのパンデミックの世界に類似しているので、今回のコロナウイルスのパンデミックはロックフェラー財団の陰謀かもしれないという声もある。
 ピーター・ケーニッヒ「コロナの暴虐行為、その後に来るのは『飢餓による死』だ」という論考を参照されたい。
http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-297.html
[10] 世界経済フォーラム・ビルゲイツ財団「パンデミックシミュレーション」2019.10.18
(「イベント201」の様子を伝える動画が視聴できる) https://note.com/yamatopress/n/nbb92835db031
[11] 行動戦略ID2020:
 国連機関や市民社会を巻き込んだ官民提携の行動綱領であり、全員強制のワクチン接種を踏み台にして、身分証明書の電子化を全世界的に実現しようとする壮大な戦略。(出典:アジア記者クラブ通信325号2020年3月号のケーニッヒの翻訳記事p.20) 
[12] 5G:
 「第5世代移動通信システム」が日本語の呼び方で、高速大容量など特徴とする無線通信システム。このシステムは、市民監視システムとして機能するだけでなく、大きな健康被害をもたらすと研究者は警告し、その導入に反対する動きがある。
[13] ジョージア・ガイドストーン:
 1980年にアメリカ合州国ジョージア州エルバート郡に建てられた岩の巨大なモニュメント。8つの言語で書かれたメッセージ「10のガイドライン」で知られ、その1番目には「大自然と永遠に共存し、人類は5億人以下を維持する」との記述があることなどから、陰謀論的な憶測を呼んでいる。誰が建てたのかも分かっていない。
 関連TV番組 https://www.youtube.com/watch?v=KkDitxQaINw
[14] 暗号通貨の人民元:
 日本経済新聞2019年12月30日「デジタル人民元へ法整備 中国「暗号法」1月1日施行」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53993800Q9A231C1FF8000/
[15] ブロックチェーン:
  仮想通貨「ビットコイン」などの取引を、ユーザー同士で共有する分散型台帳。取引情報を一定量(ブロック)ごとにまとめて記録し、鎖(チェーン)のように連結して管理する。(出典:英辞郎)
[16] 暗号通貨:
不正防止のため、高度な暗号技術を用いる仮想通貨。クリプトカレンシー。クリプトコイン。→ビットコイン (出典:デジタル大辞泉)
[17] サプライチェーン:
 製品が原材料の調達から、生産・物流・販売を経て、消費者の手に届くまでの全過程(出典:英辞郎)
[18] 不換紙幣:
 金貨・銀貨などの本位貨幣と交換できない政府紙幣や銀行券。 ⇔ 兌換(だかん)紙幣 (出典:大辞林第3版)
[19] 連邦準備制度:
 1913年の連邦準備法に基づく米国独特の中央銀行制度。全国を12の連邦準備区に分け,各区に1行ずつ連邦準備銀行を設置,その頂点にある連邦準備制度理事会Federal Reserve Board(略称FRB。財務省からは独立)が公定歩合や支払準備率の変更等の権限をもち,各連邦準備銀行を監督する。FRB議長は大統領が指名し,上院の承認をへて就任する。(出典:百科事典マイペディア)。しかし、これは民間機関であって、日本や欧米諸国のような公的機関ではない。
[20] ロスチャイルド一族:
 ユダヤの国際金融財閥。18世紀、ドイツのフランクフルトで古銭商を始めたマイヤー・アムシェル・ロートシルトMeyer Amschel Rothschild(1743―1812)を始祖として、ナポレオン戦争の混乱期にヨーロッパ最大の金融王国を築いた。一族は幾多の革命、戦乱、恐慌を乗り切って今日も地球規模で金融業務だけでなく、石油や金、ダイヤモンド、ワインなど多くの事業を展開している。(出典:日本大百科全書)
[21] 一帯一路:
 中国の習近平(シー・チンピン)国家主席が提唱・推進している経済圏構想。略称はOBOR(One Belt, One Road)。中国を起点として、アジア~中東~アフリカ東岸~ヨーロッパを、陸路の「一帯」(シルクロード経済ベルト)と海路の「一路」(21世紀海上シルクロード)で結び、ゆるやかな経済協力関係を構築するという国家的戦略である。(出典:知恵蔵)。最近ではBRI(Belt and Road Initiative)と呼ばれている。

米国における刑務所産業:ビッグビジネスか?それとも、新しい奴隷制度か?

<記事原文>The Prison Industry in the United States: Big Business or a New Form of Slavery?
グローバルリサーチ 2019年12月15日
ヴィッキー・ペラーエス

<記事翻訳>寺島メソッド翻訳グループ  2020年3月24日

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  鋭くかつ慎重に調査された本記事は、11年前の2008年3月にGlobal Researchによって初めて公開された。最近の進展で、カリフォルニア州は、民営刑務所の州内活動を禁止する法律を採択した。

  「おそらく、こうなったことで、一度に最大4,500人を収容できる4つの大規模な移民収容施設も閉鎖されるでしょう」

  この法律は、刑事司法改革の大きな勝利として歓迎されている。牢獄から利益を得ようとする動機を取り除くことになるからだ。また、州の公営刑務所の混雑を減らすために民営刑務所に依存していたカリフォルニア州が、その過去から劇的な出発をしたことになる。

  民営の刑務所産業は、これまで、カリフォルニアを最も急成長している市場の1つと見なしていた。 (ガーディアン紙、2019年9月13日)

***

  人権団体は、社会的団体も政治的団体も、これらの団体が「米国での非人道的な搾取の新しい形態」と呼んでいるものを非難している。これらの団体によれば、米国には、200万人以上の囚人がおり、そのうちほとんどが黒人やヒスパニックなのだが、その囚人達が、様々な産業のためにわずかな手当で働いている。
 刑務所産業に投資した大企業にとって、夢のような大金を見つけるようなものだった。刑務所産業なら、ストライキや失業保険、休暇、代休などを心配する必要はない。すべての労働者はフルタイムであり、家族の問題のために遅刻したり欠勤したりすることはない。さらに、労働者が1時間25セントの給与が気に入らず、仕事を拒否しても、独房に閉じ込められて終わりだ。

  全国の州、連邦、民営刑務所には約200万人の囚人がいる。囚人の人権を守る団体である「カリフォルニア刑務所フォーカス」によると、「人類史上、これほど多くの自国民を投獄した社会は他にない」。

  数字を見ると、米国が他のどの国よりも多くの人々を刑務所に閉じ込めていることがわかる。これは中国よりも50万人多い。中国の人口は米国の5倍あるのに、だ。
 統計によると、米国には世界の囚人のうちの25%の囚人がいる。米国の人口は、世界人口のわずか5%しかないのに。1972年には、囚人は30万人未満しかいなかったのに、2000年には200万人に増加した。1990年には100万人だったのに。
 10年前、州内には5つの民営刑務所しかなく、そこにいる囚人数は2,000人だった。現在、100の民営刑務所があり、そこに6万2000人の囚人がいる。今後10年でその数は36万人に達すると、複数の報告は予想している。

この10年で何が起こったのか? なぜそんなに多くの囚人がいるのか?

  「囚人との私的な労働契約を結ぼうとすれば、もっと多くの人々を牢屋に閉じ込めようという動機につながる。刑務所は、この収入に依存している。刑務所産業で利益を得ている企業株主たちは、刑の執行機関を長くするよう、ロビー活動を行う。労働力を増やすためだ。そういうおいしいシステムなのだ」。これは、進歩的労働党の研究結果だ。進歩的労働党は、さらに、「刑務所産業は、“強制奴隷労働と強制収容所という点で、ナチスドイツの模倣”だ」と非難している。

  刑務所産業複合体は、米国で最も急成長している産業の1つであり、それに投資する投資家はウォール街にいる。「この数百万ドルの業界には、独自の見本市、協議会、ウェブサイト、通信販売/インターネットカタログがあります。また、以下のものも所有しています。ダイレクトメールを使った広告キャンペーン、建築会社、建設会社、ウォール街にある投資会社、配管供給会社、食料供給会社、武装警備、暴れる囚人を癒やすための多種多様な色を取り入れた独房も」。

犯罪は減少しているのに、刑務所は増えている

  複数の人権団体の報告によると、以下の内容が、刑務所産業複合体に投資する人々の利益の高める可能性がある。

・非暴力的な犯罪で有罪判決を受けた者を拘留し、顕微鏡的量の違法薬物所持で長期の禁固刑を宣告するようになったこと。

・連邦法は、5グラムのクラックコカインまたは98gのヘロインの所持については仮釈放の可能性がない5年の懲役、56g未満のコカインまたはクラックコカインの所持については10年の刑を規定している。
 粉末コカインならば、500グラムの所持でないと5年の刑にはならない–それは、同量のロックコカインの100倍の量だ。粉末コカインを使用するのは、ほとんどが白人、中流階級、または金持ちで、ほとんどの黒人とラテン系住民はロックコカインを使用している。 
 テキサス州では、112gのマリファナを所持していると、最大2年の禁固刑を宣告される場合がある。ここニューヨークでは、1973年のネルソン・ロックフェラー反薬物法により、112gオンスの違法薬物の所持に対して、15年の懲役刑が定められている。

・「悪事3回」法(重罪で有罪判決を3回受けると、無期懲役になる法律)が、13州で通過したことで、新しい連邦刑務所を20カ所建設しなければならなくなったこと。この法律のせいで起こった最もびっくりさせるような事例の1つは、車と2台の自転車を盗んだ罪で25年の刑を3回受けた囚人の事件だった。

・刑期が長くなっていること。

・犯罪が起こった状況を考慮しなくても最低限の判決を要求できる法律が通過したこと。

・囚人による仕事が大規模に拡大したことにより、利益が発生し、それが、より多くの人々をより長期にわたって投獄したいという動機につながっていること。

・刑期を延長するため、囚人をさらに処罰するようになったこと。

アメリカ合衆国の刑務所労働の歴史

  刑務所労働は、奴隷制にルーツを持っている。1861-1865年の南北戦争後、奴隷制度の伝統を継続するために「囚人雇用」システムが導入された。解放された奴隷は、以下のような理由で起訴された。
 一つは、小作農に従事しなかったこと(収穫の一部と引き換えに他の小作地を耕作したのがその理由とされた)、あるいは、ちょっとした窃盗行為(ほとんどは罪が証明されなかった)。
 そのような理由で起訴された後、彼ら解放された奴隷は、綿花摘み、鉱山での作業、鉄道建築に「雇われ」た。1870年から1910年まで、ジョージア州で雇われた囚人の88%が黒人だった。
 アラバマ州では、「雇われた」鉱山労働者の93%が黒人だった。ミシシッピ州では、囚人の雇用システムの代わりに、古い奴隷農園に似た巨大な刑務所農場が機能していた。悪名高いパーチマン農園は1972年まで存在していた。

  南北戦争後、ジム・クロウの人種差別法がすべての州で課され、学校、住居、結婚、および日常生活の他の多くの面で法的な差別が行われた。「今日、著しく人種差別的な新しい法律が、現在“刑務所産業複合体”という名で知られるきちんとした刑事司法制度の上にどんと乗っている。」と、ニュースレター「レフト・ビジネス・オブザーバー」はコメントしている。

誰が投資しているのか?

   少なくとも37の州が、州の刑務所内で事業を展開する民間企業による刑務所労働の契約を合法化している。そのような民間企業からのうまい汁を吸っているのは、米国企業界の以下の面々だ。
 IBM、ボーイング、モトローラ、マイクロソフト、AT&T、ワイヤレス、テキサスインストゥルメント、デル、コンパック、ハネウェル、ヒューレットパッカード、ノーテル、ルーセントテクノロジーズ、3Com、インテル、ノーザンテレコム、TWA、ノードストローム、レブロン、メイシー、ピエールカルダン、ターゲットストアなど。
 これらの企業はすべて、刑務所労働者による経済ブームの発生に興奮している。1980年から1994年の間に、利益は3億9200万ドルから13億1000万ドルにまで増加した。
 州の刑務所に収容されている受刑者は、普通、最低賃金を受け取っているが、すべての刑務所がそうではない。コロラド州では、1時間あたり約2ドルで、最低賃金を大きく下回っている。

   また、民営刑務所では、1日に最大6時間の勤務で、時給はわずか17セント、月額でいうと20ドルだ。給料の最も高い民営刑務所はテネシー州のコレクショナル・コーポレーション・オブ・アメリカ(CCA)であり、そこでは囚人は「高度なスキルを備えた仕事」と呼ばれる労働で1時間あたり50セントを受け取っている。
 そのくらいしかもらえていないので、囚人達が、連邦刑務所の給料を、非常に気前が良いと感じることは驚くことではない。そこでは、囚人達は1時間あたり1.25ドルを稼ぎ、1日8時間、時には残業することもできる。囚人達は月に200〜300ドル、家に仕送りできる。
 
  刑務所労働のおかげで、米国は、第三世界の労働市場向けに設計された労働へ投資されていた投資の新しい魅力ある投資先地域として再浮上している。
 マキラドーラ(国境近くのメキシコの組立工場)を運営していた会社は、そこでの事業を閉鎖し、カリフォルニア州のサンクエンティン州刑務所に移転した。
 テキサスでは、工場が150人の労働者を解雇し、民営刑務所であるロックハートテキサス刑務所から囚人労働者のサービスを請け負い、IBMやCompaqなどの企業向けの回路基板組み立て作業に従事させている。

  [元]オレゴン州代表国会議員のケビン・マニックスは、最近、ナイキ社にインドネシアでの生産を削減し、オレゴン州に工場を誘致するよう促す際、こんなことを言った。「輸送費はかかりません。こちらでは、競争力のある刑務所労働を提供しますよ。」

民営刑務所

  刑務所民営化ブームは、ロナルド・レーガンとブッシュ・シニア政権の1980年代に始まった。ビル・クリントン政権下の1990年代に、そのブームは頂点に達し、民営刑務所の株はウォールストリートで飛ぶように売れた。
 連邦刑務所を削減するというクリントンの政策のために、司法省は民営刑務所会社と契約し、不法就労者や厳重警備の必要な囚人を収容してもらうことになった。
 
  民営刑務所は、刑務所産業複合体における最大の事業だ。約18の企業が27州で10,000人の囚人を監視している。最大の2つは、コレクショナル・コーポレーション・オブ・アメリカ(CCA)とウエケンハットであり、両社で囚人の75%を管理している。民営刑務所は、各囚人に対する保証金を受け取る。刑務所の維持費とは別に。
 バージニア州の民営刑務所管理者であるラッセル・ボラスによると、「運営費を抑える秘訣は、最大数の囚人に対して最小限の数の警備員を持つこと」だそうだ。CCA刑務所には、バージニア州ローレンスビルに超近代的な刑務所があり、そこでは、日中は5人、夜は2人の警備員が、750人以上の囚人を監視している。
 これらの刑務所では、受刑者は「良い行動」を理由に減刑される場合があるが、逆に、違反があった場合は30日間刑期が追加される。そうなると、コレクショナル・コーポレーション・オブ・アメリカ(CCA)の利益が増える。ニューメキシコ州の刑務所の調査によると、CCAの囚人は州の刑務所の8倍の割合で「良い行動による減刑」が少ないことがわかった。

囚人の輸出入

   刑務所産業での利益は非常に良く、今では新しいビジネスが始まっている。それは、最悪の犯罪者つまり、長期の刑を受けた囚人を輸入することだ。
 連邦刑事がテキサスの刑務所が、過密すぎて、そこでの交流が、残酷で異常な刑罰になっているという裁定をしたとき、CCAは貧しい郡の執行官と契約を結び、新しい刑務所を建設して運営し、州と利益を分配しようとした。
 1998年12月のアトランティック・マンスリー誌の記事によると、このプログラムは、メリル・リンチ、シアーソン・リーマン、アメリカン・エクスプレス、オールステートの投資家に支えられており、事業はテキサスの田舎中に散らばっていった。
 その州の知事であるアン・リチャーズは、ニューヨークのマリオ・クオモの例に従い、非常に多くの州刑務所を建設したので、囚人労働市場があふれ、民営刑務所の利益を食いつぶすことになった。 

  1996年にクリントンによって署名された法律(裁判所の監督と決定を終了するという内容)が連邦刑務所の過密状態と暴力的で危険な状態を引き起こした
 そこで、テキサスの民営刑務所企業は、刑務所が過密状態にある他の州と連絡を取り、テキサスの小さな町にあるCCAの刑務所で独房レンタルを提供し始めた。独房レンタル手数料は、1泊2日で2.50ドルから5.50ドルだ。郡は囚人一人につき1.50ドルを受け取る。

統計

  12万5000人の連邦囚人の97%が非暴力犯罪で有罪判決を受けている。市または郡の刑務所に収容されている62万3000人の受刑者の半数以上は、彼らが告発されている犯罪について無実であると考えられている。これらのうち、大半は裁判を待っている。100万人の州の囚人の3分の2が非暴力犯罪によるものだ。米国の200万人の囚人の16パーセントは精神疾患に苦しんでいる。 

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