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拷問、飢餓、処刑: 東グータの市民がテロリスト支配下の生活を語る

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Torture, starvation, executions: Eastern Ghouta civilians talk of life under terrorist rule
エバ・バートレット
2018.6.10

エバ・バートレットはガザ地区やシリアでの経験が豊かなフリーランスのジャーナリストで、人権活動家でもある。彼女の著作はブログ"Gaza"で読むことができる。


先週私が書いたのは、、化学兵器でグータ市民を攻撃したというのは証拠のない主張であると、グータ市民が私に話してくれたことです。そして彼らはテロリストによる犯罪やホワイト・ヘルメットの役割についても話してくれました。

サラフィー主義テロリストグループ、ジャイシュ・アル=イスラムは、企業メディアのよって親切にも「反逆者」と呼ばれていますが、シリアで自由や人権のために戦ってはいない。東グータをそれ以前に支配していた他のテロリストグループとも違う。

(さらに読む「爆心地のシリア市民は、化学兵器のでっち上げを暴露する」)

ジャイシュ・アル=イスラムは、爆撃に対してシリア市民を人間の盾として利用し、檻に閉じ込め、拘束したのであった。ジャイシュ・アル=イスラムは市民をミサイルや迫撃砲で攻撃し、1万人以上を殺したテロリストグループの仲間だった。

その地域を占拠しているファイラク・アル=ラーマンと他のテロリスト派閥は、恐怖政治で人々を支配し、男や女を斬首し、人々を餓死させた。

ジャイシュ・アル=イスララム:餓死と刀による処刑

私が東グータとダマスカスのすぐ南のホルジレ難民センター(今はほとんどがグータからの人々)を訪れた時、私はジャイシュ・アル=イスラムやその他の勢力下の生活や、なぜ市民が飢えに苦しまねばならなかったのかについて最初に尋ねた。答えは、私や他の人が東アレッポやマダヤやアル=ワエルで聞いたように、テロリストたちが援助物資を盗み、食料全てを管理していたからだ。そして普通の人々では買えないような不当な値段で売っていた。

サバ・アル=ムシュレフは、ハンムリエやザマルカのテロリストが子供達に対して非情であり、彼女の子供達が、食料が豊富なテロリスト指導者のゴミから腐肉をあさっていたことを話してくれた。

ホルジレ難民キャンプで、ジャイシュ・アル=イスララムの残虐さを語るサバ・アル=ムシュレフ

「私はザマルカに住んでいました。子供達は飢えでほとんど死にかけていました。私の娘は栄養失調で、皮膚は黄色くなりました」とサバは私に話してくれました。「私は娘を診療所へ連れて行きましたが、そこでは薬がないと言うのです。『娘は死にかけています。どうしたらいいですか』と私が言うと、診療所はドゥーマ市民だけのものだと言うのです。私はザマルカの代表者のところに行って頼みました。『どうか子供達のために何かしてください。子供達は飢えていて、二日間何も食べていないんです』。彼は『ここにあるものは、ザマルカ市民用だけです。あなたはマージ・アル=スルタンから来ました。』あなた方の代表者のところに行きなさい。ここにはあなた方のための援助物資はありません」と言われたことを私に話してくれました。

私がサバと話していたとき、彼女は東グータ地区から来た他の3人と一緒にいました。彼らの証言は止めどなく、みんなが体験した恐怖についてありったけを話してくれた。

28歳のドゥーマ出身マームード・スーリマン・キャレドは、ジャイシュ・アル=イスラムによる拘束や拷問について話した。

ホルジレでマームード・スーリマン・キャレドは拘束や拷問について話てくれた。

「私が夜に買い物に出かけたとき、彼らは私を尋問しました。彼らは私が政府軍の手伝いをしていて、体制のために働いていると疑ったのです。彼らは私をアル=タウバー刑務所に連れて行きました。そこで彼らは私を拷問したのです。彼らは私を椅子に縛り付け、手やつま先に電気ショックを与えたのです。彼らは2本の線を私のつま先に結びつけ、それからもう一方の端をインバーターに結びつけ、私に電気ショックを与えたのです。彼らは何か白状するまでそれを続けました。私は白状しませんでした。私は自白することなど何もありませんから、自白しませんでした。彼らは2日間わたしを拷問しました。彼らがしたことは、私をひどい近視にしたことです。わたしの目に電気が走ったように感じました。」

キャレドは、ドゥーマで見た処刑のことを話してくれました。「彼らはトラックで23ミリマシーンガン(対空)を持ってきて、頭を吹き飛ばしたのです。そのあと彼らはシリア軍が彼を殺したと非難しました」。携帯の写真は、椅子に座っている頭部のない男でした。銃撃の残骸さえなかった。

「ジャイシュ・アル=イスララムは食料を安く売ったために、彼の頭を吹き飛ばしたのです。彼らは高値で売りつけたかったからです。だから人々は貧しいままで、彼らのためにトンネルを掘ったり、彼らの戦闘に参加させられるのです。」

今年5月2日カフル・バトナでは、通りは日常の生活で賑わっていて、清掃作業をしていたり、電気工事作業員が町の電力を復旧させていました。シャワルマ*を売る店の外で、ムータズ・アル=アフダルは、お米を売ったかどでジャイシュ・アル=イスララムに15日間拘留されたことを話してくれました。
(*訳注:肉を、鉄串に突き刺した状態で直火で焼き、薄く切ったものを生地で包んだレパントの食べ物)
カフル・バトナでムータズ・アル=アフダル

「彼らは我々の商品を没収して、我々を投獄したのです。彼らの統制下でしか誰も仕事をすることが許されません。」
刀で処刑することや、子供や大人の誘拐のことや、臓器をなくして戻ってきたものもいることを彼は話してくれました。

「私たちは小さな町に住んでいます。人々は話し始めました。一人の子供がここで誘拐されました。もう一人がそこで・・・。誘拐された人たちの中には、彼らの臓器が取り去られていた人もいたのです。一人の子供は埋められ、納屋でわらに覆われて死んでいました。彼はまだ生きているのに、縛られ、わらで覆われていました。誰がやったかわかりません」とグータから来たほかの市民は臓器泥棒のことを話してくれました。

さらに私はムハンマド・シェイカーに出会いました。彼は中央のロータリーを指して、そこでテロリストの処刑が行われたことを話してくれました。

テロリストが市民を処刑したカフル・バトナ広場を示すムハンマド・シェイカー

「彼らはよく人々をここに連行してきて処刑したのです。ときどき刀で、また銃で。彼らにとってはごくありふれたことでした。今シリア軍がここに来てからは、人々は歩き回ったり、自由に移動することができます。しかし以前は、道路には誰も見かけることはありませんでした。」

広場近くのアイスクリーム店で、アブダラ・ダルボウもそんな処刑を見かけたと言いました。彼は抗議行動のことも話してくれました。

「私たちは何度もテロリストに抗議しました。私たちは飢えていて、彼らは我々を殺していたからです。抗議しているとき、ときどき彼らは我々を銃撃しました。彼らは私たちを殺しました。彼らは私たちを本当に殺したのです」。シリア政府は我々にそんなことはしませんでした。軍隊がここに入ってきたとき、彼らは私たちにパンを配ってくれました。それより前には、私たちは写真でしかパンを見たことがなかったのです。

4月9日私はドゥーマを歩いていると、手押し車でオレンジを売っているヤーヤ・ムハンマド・ハモに会いました。私がジャイシュ・アル=イスラム支配下の生活はどうでしたかと尋ねると、彼は答えてくれました。「飢え、飢え、飢えだ。もし彼らに宗教があるなら、そんな宗教などくそくらえ。宗教はみんなを飢えさせはしない。」

テロリストは自分たちを餓死させると、ドゥーマのヤーヤ・モハメド・ハーモは語った

青果売りの男たちに化学兵器について尋ねたところ、一斉にノーの答えが返ってきた。そしてドゥーマに送られてくる援助物資についても話してくれた。年配の男の人が語気を強めて語ったことは、ドゥーマにはたくさんの食料があり、5年は十分暮らせるが、それをテロリストたちは奪ってしまったのだという。

私がドゥーマに入るとき見た農場についても聞いてみた。その答えは、ジャイシュ・アル=イスラムが農地も家畜もすべてを支配したという。一人の若者が私に語ってくれたことは、テロリストがバスでドゥーマを離れる前に、動物はすべて撃ち殺したという。

男たちは、のどをかき切るジェスチャーをしながら処刑について話してくれた。一人の若者は、別の殺害について説明してくれた。処刑者は人の口にピストルを当てて、引き金を引いたという。

「テロリズムとは、文字通り恐怖政治のことなのだ」と屋台売りのトウフィク・ザーラは話してくれた。

ホワイト・ヘルメットは好意的どころか、テロリストと共謀していた。

ホワイト・ヘルメットは人々を助けていたかどうかという私の質問に、ザーラは答えてくれた。

「市民防衛はテロリストグループのためだけ、ただ彼らのためだけ、ジャイシュ・アル=イスラムのためだけに活動した」。これは通りの店で働いているマフムド・マフムド・アル=ハムリが繰り返し言ったことでした。「ホワイト・ヘルメットは市民防衛と呼ばれています。彼らは市民のためと言われていますが、それは逆です。彼らはジャイシュ・アル=イスラムのために活動していたのです」と言った。

カフル・バトナでシャワルマ露天商のムータズ・アル=アフダルは、「ジャイシュ・アル=イスラムは、ある日ホワイト・ヘルメットをかぶって私たちを攻撃してきました。翌日ヘルメットが残っていました」と話してくれました。アイスクリーム売りの若者アブダラは、一般市民がホワイト・ヘルメットに近づくことができないので、何も知らないと答えました。

カフル・バトナのムタズ・アル=アグダール

それ自体奇妙なことだ。ホワイト・ヘルメットの狙いが、市民を救済することとされていて、またホワイト・ヘルメットのセンターがドゥーマやザマルカやサクバにあるのだから。

ホルジレ難民センターのマルワ-ン・クレイシェは、ホワイト・ヘルメットについてたくさん語ってくれた。

ホルジレ難民センターのマルワーン・クレイシェは、ホワイト・ヘルメットの攻撃について語ってくれた。

「3・4年前グータにやってきた最初の市民防衛メンバーは外国からやってきました。彼らはアラブ人ではなく、アラビア語も話しませんでした。彼らはテロリストの防衛隊でした。彼らはしばしばテロを行いました。彼らはたくさんのお金を持っており、市民防衛隊に加わって、人々を攻撃するのにそのお金を使いました。

ホワイト・ヘルメットがどこかへ行きたいと思ったとき、テロリストはよく彼らと行動を共にして、彼らのために道を開けさせました。彼らが偽旗攻撃をする場所に到着した瞬間、彼らは10個の発煙弾を投げ、ひどい煙を出して、何も見えなくしました。彼らはしばしば人々を射撃しました。そして煙がなくなったあとで、彼らは撮影を始めます。彼らは銃弾が空になるまで撃ちまくって人々を殺すので、一言もしゃべることはできませんでした。

サクバのホワイト・ヘルメットセンター

もし誰かの腕の血管が切れたら、彼らは直ちに切断して、傷口を縫います。その間に撮影するのです。もし誰かの足が弾丸やガラスなどで傷ついたら、最初の治療は切断でした。」

クレイシェの切断に関する話は、サクバから来たハナディ・シャクルの話とも一致した。彼女は、ジャイシュ・アル=イスラムに加わった夫が彼女を辞めさせるまで1年間看護婦として働いていた。

サクバの兵器工場

「ややひどい怪我の場合はいつでも、この人は切断しなければならないと彼らはよく言いました。我々は薬の供給が不足している、だから切断が一番よい選択だとよく言いました。彼らは人々を治療しなかったのです。ほんの少しの治療ですむ人でさえ、彼らはよく切断するだけだったのです。」

医薬品の欠如という主張は、東アレッポの時のように嘘であることがわかりました。サクバの地下病院だけでも、医薬品や盗まれた医療機器がいっぱいある部屋を私は見ました。シリアのジャーナリストは、東グータの他の場所でもそのような貯蔵庫があることを報告していました。

ハナディ・シャクルによれば、「運び込まれる医療食料援助は、すべて消えてしまいます。彼らはそれを売り、お金にするのです。すべてはテロリスト指導者の懐に入ってしまった」ということです。

東グータが解放されていた時、企業メディアは虐殺の偽情報を掻き立てるのに忙しかった。ちょうど企業メディアがアレッポが解放される時も偽情報を流していたように。彼らはテロリスト支援者から流される話を作り出し、いつもシリア政府を飢餓のかどで責めるのだ。そして東グータを占拠していた過激派グループの犯罪やテロリズムをごまかそうとしてしていたのだ。

実際、逮捕者の犯罪やシリア軍に解放された時の開放感について、グータ市民は言うことはたくさんあった。しかし企業メディアはそれには興味を示さず、そんな話は彼らの政権転覆にはふさわしくないのだ。
(翻訳:新見明)
<記事原文>https://www.rt.com/op-ed/429349-syrians-tell-terrorists-white-helmets/

<新見コメント>------------------------
東グータで化学兵器が使われたという偽情報のことを、何度かこのブログでも紹介してきた。そしてホワイトヘルメットが欧米・反政府勢力の偽の情報発信源になっていることも明らかになっている。
「テロリストの実行可能性が、東グータ化学兵器工場で明らかになる」
 http://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-39.html

しかし欧米メディアでは、未だにアサド政権が化学兵器を使って、シリア住民を虐殺しているという情報が、ホワイトヘルメットを使って流されている。そしてホワイトヘルメットはアメリカNED(全米民主主義基金)から税金を使って資金援助されているという情報もある。

櫻井ジャーナル2018.06.16
 「アル・カイダ系集団と一心同体の白ヘルに米政権は660万ドルを払い続けると宣言」
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201806160001/

この翻訳記事は、著者が実際に解放された東グータに入り、住民から聞き取った情報ということで、生々しく、しかも真実味がある。

支援物資が全てテロリスト指導者に渡ってしまって、しかもその支援物資を高く売りつけてもうける。医薬品はたくさんあるのに、すぐ切断するだけの治療であったりする。極めつけは偽情報がどう作られるかも具体的に語られている。

「彼らが・・到着した瞬間、10個の発煙弾を投げ、ひどい煙を出して、何も見えなくししました。・・・そして煙がなくなった後で、彼らは撮影を始めます」と偽情報が作成場面が語られています。

日本のメディアが、現場から直接取材しておらず、欧米情報の受け売りであることは、この記事をよむとよくわかる。

なお登場するアラビア語の氏名については、できるだけ調べたり、アラビア語を勉強していた後輩に聞いたりしたが、まだ不正確な点があることをご容赦願いたい。
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ジュリアン・アサンジの救出に動く人気女優

    Business
‘They’re trying to kill him’: Pamela Anderson wants Kanye’s help to free Assange

Published time: 12 May, 2018 00:56 Edited time: 12 May, 2018 14:30
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© Reuters
人気女優のパメラ・アンダーソンは、ジュリアン・アサンジの救出を最も声高に叫ぶ支援者の一人になった。ジュリアン・アサンジはウェブサイト「ウィキリークス」を立ち上げた人物。そしていま、彼女は大物ミュージシャンのカニエ・ウェストにアサンジ解放のための助力を求めている。

アサンジはロンドンのエクアドル大使館の一室に閉じ込められ、大使館の外には出ない。アメリカに送還される可能性を恐れてのことだ。こんな状況の中で、国連は、アサンジが大使館内に何年も居住させられているのは「恣意的拘束」で違法だとみなした。

かつてヒットテレビドラマ『ベイウォッチ』で人気を博した女優パメラ・アンダーソンは、アメリカの国家機密を暴露したオーストラリア人ジュリアン・アサンジを支援する活動を最近始めた。さらに彼女はネットで公開されたメールで、著名人仲間である大物ミュージシャンのカニエ・ウェストに(この二人の取り合わせはちょっと変わっているが)、アサンジの解放をもたらす動きに手を貸すよう懇願した。

READ MORE: Ecuador cut Assange’s internet over Catalonia crackdown tweet – source close to WikiLeaks
メールは、エクアドル大使館がアサンジのネットへの接続を遮断して40日以上経ってから送られている。

カニエ・ウェストは最近アメリカのリベラル派からはのけ者扱いされている。というのも長い間ツイッターから遠ざかっていたのだが、急にトランプ大統領への強烈な支持を声高に唱え始めたからだ。このとんでもない言論行動で数百万人のフォロワーが彼のツイッターから離れたし、たくさんの論説が堰を切ったように彼の「裏切り」を書き立てた。実はアサンジはトランプ反対陣営にもそれほど人気があるわけではない。トランプ反対陣営はアサンジがロシアのハッカー達と共謀して民主党予備選挙のメールをリークしたと考えているのだ。

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Assange ‘more than a nuisance’ – Ecuadorian president


2013年のヒットアルバム『イーザス』に寄せた小文で、アメリカ政府がジュリアン・アサンジを拷問し殺そうとしているとパメラは告発している。また彼女はカニエ・ウェストに「政府の腐敗をさらけ出す」アサンジの仕事について、「勇気ある声」となって公然と語らないかと提案している。

パメラのメールはこんな風に始まっている:「ハ-イ!カニエ!お元気のことと思います。
ジュリアン・アサンジのことをどう考えているのかしら。私はいま彼の支援者よ。あなたが「言論の自由」を大事に考えていることはわかっているわ。彼のことをみんなに見えるようにしておくことが大事なの。アメリカではとくにそうだわ。だって、アメリカがやろうとしていることは、彼をずっと監禁しておくこと。いや、さらに悪いことには政府の腐敗を暴露したことで彼を殺そうとしていると思うわ。それって拷問よね。」

メールはさらに続いている:「ジュリアンはロンドンのエクアドル大使館の小部屋にほぼ6年監禁状態よ。今では訪問客も許されていない。電話もネットもダメ。締め付けがどんどんきつくなっている。彼は天才よ。若者達が愛する本物の世界的指導者だわ。だからもっともっとみんなの声が欲しい。彼の闘いをもっともっと知ってほしい。みんなの支援があれば彼を自由にすることができるわ。」

アメリカ政府はアサンジの嫌疑が政府文書をリークしたことに関連してのことなのかについては口をつぐんでいる。チェルシー・マニング文書はウィキリークスが公にしたものだから、アメリカ司法長官ジェフ・セッションは「アサンジの逮捕が『優先事項』だ」と語っている。
(翻訳:大手山茂、新見明)
(記事原文) https://www.rt.com/usa/426524-pamela-anderson-kanye-letter/

<新見コメントと訳注>------------------------------------
ジュリアン・アサンジがイギリスのエクアドル大使館に閉じ込められ、危機的な状況にあることはRTやグローバル・リサーチでもよく報じられています。その中のRT記事を大手山さんが翻訳してくださいました。

私たち日本人にとっては、パメラ・アンダーソンもカニエ・ウェストも知らない人が多いのではないでしょうか。私もその一人です。ですからネットから二人の簡単な説明を下に載せておきます。

もう一つ、理解しづらいのは、進歩的と言われるカニエ・ウェストがトランプ支持に回って、周りから猛攻撃をうけたという部分です。私が想像するに、トランプは大統領選挙中、ロシアと協調して、ISIS勢力を撲滅すると公言していた。しかしヒラリー・クリントン陣営がISIS勢力を使ってアサド政権を倒そうとしているのだから、それよりまともな方針だということでカニエはトランプを支持したのではないだろうか。ポール・クレイグ・ロバーツなどもその点でヒラリーよりもトランプをと主張していた。カニエはそのような意味合いを込めてトランプを支持していたのではないだろうか。しかし、今はトランプもダーク・ステイツの力に抗しきれずにシリア爆撃に手を染めているが。

<斜め上からこんにちは>より
パメラ・アンダーソン

パメラ・アンダーソンの波乱万丈の生い立ち!性的虐待に耐え続けた壮絶な過去!!

パメラ・アンダーソンは、1967年7月1日生まれで、カナダのブリティッシュコロンビア出身のモデル兼女優です。アメリカの男性誌「PLAYBOY」のプレイメイトとして人気を博し、セレブへの階段を上っていきましたが、近年、その壮絶すぎる生い立ちでも話題となっています。

2014年5月、動物愛護団体PETAの支持者としても知られるパメラ・アンダーソンは、フランスのカンヌで、動物愛護と環境保護を目的とした「パメラ・アンダーソン基金」設立を発表しました。その記者会見の場で初めて語られたのが、パメラ・アンダーソンが性的虐待を受けたという幼少期についてです。
http://anincline.com/pamela-denise-anderson/

カニエ・ウェスト / Kanye West (VOGUEより)

1977年6月8日、アメリカ・ジョージア州アトランタ生まれの音楽プロデューサー・ミュージシャン・ヒップホップMC「カニエ・ウェスト(Kanye West)」。レイ・ウェスト(Ray West)とドンダ・ウェスト(Donda West)の間に生まれる。
3歳の時に両親が離婚し、母と共にイリノイ州のブルーアイランドへ移住。
シカゴ州立大学の英語学部主任を務めた母の南京大学留学に伴い中国で過ごす。
中国滞在時にいじめにあい、絵を描くことに夢中になったという。
カニエの人気の高ぶりとともに、母ドンダは教師を退職し、カニエのマネージャーとなる。
2007年、ドンダとベストセラー作家カレン・ハンターの共同執筆でカニエの半生を描いた自伝『Raising Kanye: Life Lessons from the Mother of a Hip-Hop Superstar』を出版。
カニエ・ウェストは、1990年代半ば音楽プロデューサーとしての活動を開始。ヒットする楽曲はなかったが、2000年にJay-Zのロッカフェラ・レコード(Roc-a-Fella Records)とプロデューサーとして契約を結ぶ。カニエ・ウェストは、2001年、ジャクソン5のデビューアルバム『帰ってほしいの (I Want You Back)』を大胆にサンプリングしたJay-Zの『Izzo (H.O.V.A.)』をプロデュースし、全米8位のヒットを記録。その年、2000年代の名盤の一つに選ばれたのJay-Zのアルバム『The Blueprint』に携わり、音楽プロデューサーとして一躍その名を知られる存在となる。プロデュース業が忙しくなったカニエはシカゴ州立大学を中退したが(2004年のアルバムのタイトル『The College Dropout』になる)、2015年にシカゴ美術館附属美術大学 (The School of the Art Institute of Chicago)より名誉博士号を授与され、“Dr. West”となった。

2002年10月23日、LAのレコーディングスタジオから自宅までの道中、居眠り運転で大事故を起こす。砕けた顎を修復するために入れられたワイヤーを題材にして2013年に生み出された曲が、チャカ・カーン(Chaka Khan)の名曲『Through the Fire』をサンプルした『Through the Wire』。
https://www.vogue.co.jp/tag/celebrity/kanye-west
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アメリカで貧困であることは、信じられないほど高くつく

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--- 「リダクティッド・トゥナイト」

2018年6月2日

© Lucy Nicholson / Reuters

「リダクティッド・トゥナイト」チームは、アメリカという世界で最も豊かで、最も成功を収めた国の一つだと言われる国にもかかわらず、4000万人という恐ろしい数の貧困者がいることを紹介する。

「約4000万人が貧困層で、そのうち1850万人が極貧層で、530万人が第三世界の絶対的貧困状態である」と貧困と人権に関する国連特別報道官フィリップ・アルストンは彼の新たな報告で書いている。

「4000万人が貧困状態で生活を続けている。4000万人だって!それはほぼフランスの人口と同じじゃないか。それはひどく多い。アイルランド7個分だよ!」と番組のホスト、ジョン・F・オドンネルは応じた。

報告では、アメリカは世界で最も強力で技術発展した国であるのに、不平等レベルはほとんどのヨーロッパ諸国よりも高く、「アメリカ人は他の全ての先進国と比べても、寿命が短く、病気がちである」と述べられている。同時にアメリカは、世界の2208人の億万長者の25%以上を占めている。

オドンネルは「これは私にはショックだ!アメリカは世界で最も偉大な国だといつも聞いてたのに。アメリカが貧困層を最も抱えた偉大な国だとは、誰も私に言ってくれなかった。めちゃくちゃだ!」と述べた。

オールソンは警告する。ホワイトハウスがメディケイドの利用を削減し、フードスタンプ(食料配給券)や住宅支援を廃止する計画に従っている限り、貧困層の苦境はさらに悪化するだけだ、と。

オドンネルは国の状況について述べた。「何千人という貧困者が軽い違反通知[ホームレスの不法占拠など]を受け、支払い不能の負債に陥り、投獄され、市の金庫を補充するように意図的に仕組まれていると私は聞いた。悲しいかな、アメリカでは貧困であるということは信じられないほど高くつくのだ。それは最悪の矛盾語法だと思うんです。」

アメリカのような豊かな国で極貧困率が高いのは、権力者達の「政治的選択である」とオールストンは国連に報告している。だから政治的意思があったならば、それらはすでに解消されていたはずだ。オドンネルはさらに疑問を提起した。「だから我々はなぜ貧困を撲滅していないのか。政治的意思はどこにあるのか。さらにお金は全てどこへ行っているのか。ヒントをあげましょう。それは「不合理なナンセンス」のことです。そう、わかったでしょう。国家の防衛費ですよ。」
<記事原文> https://www.rt.com/usa/428559-redacted-tonight-extreme-poverty/
(翻訳:新見明)
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ワシントンのユーラシア地政学を形作るブレジンスキーの亡霊

2018年5月14日
F. William Engdahl



これまで実に一匹狼として振る舞ってきたトランプ大統領だが、その最も顕著な特徴の一つは、ツイートやスキャンダルという意図的な煙幕を消し去ると、実際の政策展開が、少なくとも1992年にさかのぼるワシントン地政学の基本戦略に、どれほど忠実に従っているかという点だ。これはイラン核合意離脱という最近の嘆かわしい、全く違法で一方的な決定にも当てはまる。ロシアに対する容赦ない冷戦的な悪魔化キャンペーンや、陰険な新経済制裁の実施もそうだ。トランプ政権が中華人民共和国に対して徐々に始まった貿易戦争もそうだ。

アメリカのトランプ大統領は、衝動だけで行動するとか、予測できないとかいう、広く信じられている考えとは逆に、事実は逆だろうと私は考えている。トランプ政権の戦略的地政学的政策は、大統領本人のものではなく、権力者、つまり実際に支配をしていて、時に陰の政府と呼ばれる恒久的支配体制によるものなのだ。その政策の地政学が、一体誰を大統領にするのかかなりの程度まで決定しているのだ。

現在のワシントン外交政策が最初、公式に構築されたのは、1992年、父親ブッシュの下で、ディック・チェイニーが国防長官だったときのことだ。ソ連が崩壊し、ブッシュは意気揚々とアメリカが唯一の超大国だと宣言した。チェイニーの国防副長官、ポール・ウォルフォウィッツが、1994年-1999年の防衛戦略ガイダンスの策定責任者だった。それは無遠慮なもので、後にテッド・ケネディ上院議員によって、帝国主義者的と批判されたほどだ。編集されていないウォルフォウィッツ・ドクトリンの中で、“我々の第一の目的”は“旧ソ連地域であれ、他の地域であれ、かつてソ連がもたらした脅威のような新たなライバルの再出現を防ぐことだ。… 統合的に管理すればグローバル・パワーを生み出すに十分な資源がある地域を、いかなる敵対的勢力にも支配させないよう、我々は尽力しなければならない”とある。ジョージ・W・ブッシュの下、2002年のイラク戦争の準備段階で、単独覇権主義と予防戦争の行使がアメリカ政策の中心だと宣言することによって、ウォルフォウィッツ・ドクトリンはブッシュ・ドクトリンとして再浮上した。

基本的地政学

この記事の題名に戻って、現在のトランプの下でのアメリカ外交・国防政策が一体何であるかを解き明かすために、故大統領顧問ズビグニュー・ブレジンスキーの1997年の著書『ブレジンスキーの世界はこう動く―21世紀の地政戦略ゲーム』から引用しよう。これは、ブッシューウォルフォウィッツ・ドクトリンの基になるブレジンスキーの地政学的挑戦と予防戦争という考え方を、現在アメリカ一極支配に抵抗する勢力が現れているという文脈のなかで、適応したものに他ならない。

もちろん、ブレジンスキーは、ジミー・カーターの対ソ連軍アフガニスタン戦争の立案者だった。つまりその戦争は、CIAとサウジアラビア諜報機関とパキスタンISIがムジャヒディン・イスラム主義テロリストを訓練して行われたのだ。

1997年ブレジンスキーは、“ユーラシアを支配したり、アメリカにも挑戦するユーラシアの挑戦者が決して出現したりしないようにすることが極めて重要だ”と書いていた。彼は更に言明した。“最も危険なシナリオの可能性は、イデオロギーではなく、不満を互いに補完し合いながら団結した‘反覇権’同盟だ。つまり中国、ロシア、おそらくはイランの大連合だ。この不測事態を避けるため、ユーラシア外周の東西と南から同時に、アメリカは戦略地政学的手腕を発揮する必要がある。”

これに、ロシアと中国が、アメリカ覇権に対する最大の潜在的脅威と規定する最新のペンタゴン国家防衛戦略文書を加え、その後2015年にイラン経済制裁を解除して以来、ロシアと中国とイランの間の、特にシリアでのつながりが深まっていることを考慮すると、ワシントンが一体どう対処しているのかが明確になる。この三国は、私が言うところの「唯一の覇権国アメリカに敵対するユーラシアの挑戦」なのだから、連中はロシア・中国・イランを粉砕するために総力を挙げて取り組んでいるのだ。

ブレジンスキーが指摘した通り、支配継続というアメリカの目的にとって、ロシアと中国とイランの間に、人種的、宗教的、あるいは他の差異があることは問題ではない。2001年9月以来アメリカ外交政策は、この三国が国家主権の防衛のため、こうした差異にもかかわらず一層協力せざるを得ないように強いている。

標的ロシア…

最近の色々な出来事を、1997年ブレジンスキーによるユーラシアへの警告の視点から見てみよう。何の証拠も無しにロシアのせいにされたイギリスの偽スクリパリ毒ガス攻撃事件を、ワシントンは支持していた。またダマスカス郊外での偽化学兵器攻撃は、国連憲章や国際法のあらゆる前例を無視して、違法なアメリカ爆撃急襲の口実に利用された。あれは思い返して見れば、ロシアのあり得る反応を探るためのテストに他ならなかった。アメリカ・トマホークや他のミサイルが命中しようとしまいと、イスラエルや他のアメリカ同盟国が、シリア国内のイラン攻撃をエスカレートする前例が確立されたのだ。

更に、“壊滅的打撃を与える極悪非道の新たな経済制裁が、プーチンのオリガルヒ”に対して行われている。つまり世界第二位のアルミ・メーカー、ルサールのデリパスカのような者に対する経済制裁だ。ワシントンは、新経済制裁の口実をでっちあげようとさえしていない。連中の理由は、ロシア政府が“世界中で様々な悪意ある活動”に関与しているからだと言っているだけだ。

新経済制裁は、たとえ新経済制裁の前に購入したものであれ、制裁対象のロシア企業の株を保有している全ての欧米の銀行や投資家を罰するのだ。これは、あらゆる点で、戦争より酷くはないにせよ、武力戦争と同様、アメリカ財務省による極めて破壊的な新型金融戦争なのだ。911のすぐ後この手が開発され、以来、破壊兵器にまで磨きをかけられてきた。つまり経済的グローバリゼーションの下、世界が依然圧倒的に、貿易や中央銀行準備通貨で、USドルに依存しているという事実を利用しているのだ。

まずロシア人オリガルヒや企業に対する最新のアメリカ経済制裁では、将来、欧米資本市場で借り入れることが阻止されるだけではない。近年、対象にされたロシア企業に、何十億ドルも投資した非ロシア人投資家は、ロシア資産を保有しているかどで、精算を強いられ、二次的経済制裁の目に会っている。だから一体誰が買うというのだろうか? 既に主要EU証券決済機関の二社クリアストリームとユーロクリアは、制裁対象のロシア証券の決済を拒否するよう強いられている。彼らはロシア株を保有しているかどで、経済制裁にも直面する。たとえば、中国国営銀行が市場からドルを借りていれば、彼らは今や事実上、制裁対象のロシア企業と事業をすることを禁じられていることになるのだ。

標的中国…

ワシントンは、シリアとウクライナを巡って、プーチンのロシアに対する圧力を強化しながら、同時に、中国との貿易を最初の梃子として利用して、壊滅的経済戦争の初期段階を開始した。私が前の記事で指摘したように、ワシントンは、今後十年で主導的ハイテク製造国という立場に押し上げようとする中国の戦略を解体させることを狙っているのだ。この戦略は「中国製造2025」と呼ばれるもので、習近平の戦略目標、つまり一帯一路構想、経済シルク・ロード・プロジェクトの中核をなすものだ。

「中国製造2025」のもとで、ハイテクで世界のリーダーになろうとする中国の動きを標的に、ワシントンが一体何を計画しているかの一端が、アップル社に対する有力な挑戦者となる、中国の主要通信機器メーカーZTEと華為技術に対する扱いだ。4月、ZTEは通信機器をイランに売ったとされることで、ワシントンによる制裁対象となった。アメリカのサプライヤーは、極めて重要な部品を、中国ハイテク集団に供給することを禁じられている。だからアメリカから猶予を勝ち取ろうとしながらも、STEは一時的に操業を中止している。

標的イラン…

ドイツやフランスや他のEU諸国の猛烈な抗議にもかかわらず、トランプは一方的にイラン核合意を破棄した。狙いが、壊滅的打撃を与える経済制裁をイランに再び課して、2015年以来始まったかすかな進展を破壊させることなのは明らかだ。EUがイランとの合意を破棄するのを拒否しているにもかかわらず、アメリカによるイラン経済制裁が、イランと商売をしているEU企業の経済制裁もすると脅しているので、最終的にはEUの拒否は大して意味をなさない。

最近のトランプによるイランとの核合意破棄の一環として、アメリカは、中国や日本やEU諸国など他の国々に、イラン石油のあらゆる購入契約をやめるのに180日間の猶予を与えた。イランからの何十億ドルの航空機購入注文があったエアバスなどのヨーロッパ企業は、キャンセルを強いられるだろう。8月6日にUSドル購入や金や他の金属による貿易は、航空や自動車産業と同様に制裁される予定だ。11月4日以降、アメリカの経済制裁は、イランの金融・石油企業を標的にして、以前アメリカ財務省経済制裁リスト対象だった個人に対しても経済制裁が再開される。

明かな狙いは、正確に狙を定めた経済制裁という壊滅的新兵器を使用することだ。これはアメリカ財務省によって、イランの脆弱な経済を危機に陥れるべく計画されたものだ。同時に、NSC顧問ジョン・ボルトンは、新たなカラー革命のこころみを開始するため、イランのテロ組織、ムジャヒディン・ハルク(MEK)のを再活性化を主張しているという報道もある。MEKは2012年、クリントン国務長官によって、アメリカ国務省のテロ・リストから外されている。

アメリカ中央軍(CENTCOM)

各国の具体的な詳細や、各国に対するワシントンの行動から離れて全体を俯瞰すると、ユーラシアの三大国ーロシア・中国・イランは、系統的に標的にされており、これまでのところ、程度の差はあれ成功していることが見えてくる。

2月末、アメリカ中央軍(CENTCOM)の司令官ヴォーテル陸軍大将が、DoD Newsのインタビューに応じた。そこで、ロシアを取り上げ、特にロシアのシリア関与や、中国の新一帯一路構想や、ジブチや他の場所の中国軍事基地を例にあげるのに加え、ヴォーテル大将は、両国のイランとの結びつきに触れた。ヴォーテル大将は「ロシアも中国も、イランと多次元のつながりを開拓している。そして包括的共同作業計画のもとでの国連経済制裁解除が、イランが上海協力機構加盟申請を再開する道を開いた」と述べた。

皮肉にも、事実上の三正面戦争の同時開始は、現時点では経済戦争のレベルだとは言え、三大国が、一層密接に協力するという戦略原則を生み出している。中国はイラン石油の最大購入国だ。ロシアは、軍事備品を供給しており、それ以上のことも交渉中だ。この三国(中国・イラン・ロシア)のいずれにとっても、ワシントンの地政学的三正面戦争を目の前にして、不信や差異がどうであれ自己保存の目的で、これまでになかった以上に協力する以外に選択肢はないのだ。

F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師で、プリンストン大学の学位を持っており、石油と地政学に関するベストセラー本の著書で、オンライン誌“New Eastern Outlook”に独占寄稿している。

<記事原文>
<New Eastern Outlook>
https://journal-neo.org/2018/05/14/brzezinski-s-ghost-shapes-washington-eurasia-geopolitics/
<グローバル・リサーチ>
https://www.globalresearch.ca/brzezinskis-ghost-shapes-washington-eurasia-geopolitics/5640506
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<新見コメント>ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
F. William Engdahl「ワシントンのユーラシア地政学を形作るブレジンスキーの亡霊」2018.5.14を「寺島メソッド翻訳NEWS」のアップしました。
 
今回も「マスコミに載らない海外記事」から非常に重要な記事だったので、翻訳し直してみました。長い修飾語句を短くしたり、二つの文に分けてみたりしましたが、果たしてどれだけ読めるようになっているか心配です。皆様のご指摘をお待ちしております。

次になぜこの「ブレジンスキーの亡霊」の記事が重要かという点です。

前回の翻訳はProf. James Petras「帝国の征服への道: 和平と軍縮協定」でしたが、ここでは「和平合意」が武装解除の手段になっている点を、リビア、イラク、シリア、イラン、コロンビア革命軍(FARC)等を例に解き明かしてくれました。

現在、米朝和平会談が、「リビア方式」行われるかどうか問題になっています。「リビア方式」とは、武装解除してから制裁を解除する方式で、カダフィが軍を解体し、長距離弾道ミサイルなどを放棄した見返りに2003年外交的合意が調印されました。しかしアメリカはトリポリを狙った米軍基地を縮小することはなく、2011年にリビアは米・NATOによって破壊され、破綻国家にされてしまいました。

北朝鮮はそのことがわかっているから、段階的非核化を主張しています。

今回の翻訳「ブレジンスキーの亡霊」では、アメリカによる経済制裁がどのような形で行われているかを明らかにしてくれます。

経済制裁といっても、ロシアだけ、イランだけを経済制裁するだけではない。ロシアやイランと取引している国や企業をも巻き込んで行われる。現在EUがアメリカのイラン核合意破棄に反対しているが、イランと取引している企業も現在の取引をキャンセルさせられるのだ。アメリカに反対して取引を続ければいいではないかと考えがちだが、そういう場合アメリカから取引停止やドルの決済ができなくする制裁が加えられる。アメリカとの大きな取引を犠牲にしてまで、イランと取引するのはリスクが大きすぎる。だからイランと取引する国や企業は、イランとのエアバス契約をキャンセルしたり、イランとの石油取引をやめざるを得なくさせられるのだ。

ジョン-パーキンス『エコノミック・ヒットマン』ではアメリカは、まずは経済援助によって借金漬けにして言うことをきかせ、それでもだめなら、「ジャッカル」という暗殺者が従わない指導者を抹殺する。最終的な従わせる手段として「戦争」を仕掛けるということが著者自らの体験から書かれている。

しかしこの間の二つの翻訳は、上記3段階の侵略方法に加えて、「和平合意」が武装解除の手段となり、「経済制裁」によって他の国をも巻き込んで敵対国の弱体化を図るアメリカのやり口を明らかにしてくれる。このことを理解しておかないと、米朝会談による和平の進展を見誤ることになる。

アメリカにとっては「和平」が目的ではない。経済侵略か、軍事侵略しかあり得ない。だからトランプの「経済制裁」と「和平合意」は、彼の気まぐれのアメリカ第一主義だけから見るのではなく、ブレジンスキーのユーラシア一極支配の一環として、ロシア、イラン、中国を封じ込めるために行われていることを理解しておく必要がある。
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