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イベルメクチンに仕掛けられた虚偽情報作戦。実行者はアンソニー・ファウチ、FDAそしてCDCか?

<記事原文 寺島先生推薦>
Disinformation Campaign Launched Against Ivermectin Led by Anthony Fauci, the FDA and the CDC?
筆者:リチャード・ゲイル(Richard Gale)&ゲアリー・ナル博士(Dr.Gary Null)
出典:Global Research  2023年10月12日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年10月31日


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私たちの機関や、制度、そして民主政府の仕組みなどが利益を追求する集団に乗っ取られ、人々に対して武器として機能している場合、私たちは何をしたらいいのか? 新たなニュルンベルク裁判*を要求するのだ。
ニュルンベルク*裁判・・・第二次世界大戦において連合国によって行われたナチス・ドイツの戦争犯罪を裁く国際軍事裁判である。国家社会主義ドイツ労働者党の党大会開催地であるニュルンベルクで開かれた。日本の極東国際軍事裁判と並ぶ二大国際軍事裁判の一つ。(ウィキペディア)

過去3年間にわたり、FDA(食品医薬品局)や、CDC(疾病対策予防センター)、NIH(国立衛生研究所)、NIAID(国立アレルギー・感染症研究所)、AMA(アメリカ医師会)、アメリカ公衆衛生局、および3900以上のアメリカの地方メディアと時代遅れとなったメディア随伴者などが[1 2 3]、誤情報と目くらまし情報伝達を共謀した。それが原因で約340万人の人々が予防可能だったのに[4]死亡し、数百万または数十億人の人々が予防可能だったのに健康被害や入院を余儀なくされた。それは、ワクチンとして世界の市場に出回ったものの中で最も致死性の高い製品を135億回以上接種させる道を切り開いた[5]。

この誤情報陰謀作戦の一環として、イベルメクチンを意図的に抑えることが一部で行われた。 FDAが主導する意識的な偽情報作戦は、人間用のイベルメクチンと動物用のイベルメクチンの区別を取り去ってしまうことだった。 FDAの広報チームの「成功した」新しい戦略として、次のようなツイートがある[6 7 8 9]:「あなたは馬ではありません。あなたは牛ではありません。まじめな話です、みなさん。やめてください」。

この「戦略」は、医療[11]機関や、薬局委員会、および病院などに影響を与えた。彼らのプロパガンダは新聞や、雑誌、デジタルメディアの記事、医療および専門的注意書きなどで広く引用された。さらに、アメリカ全土で行われたイベルメクチンに関連する事件で、連邦および州の裁判所がこれらの投稿を引用し、訴訟関連の文書や裁判の意見書で言及したのだ。[12]

このキャンペーンは、明白な悪意を持った事前計画の上で実施された。これらの行為は、医療的な虐殺としか言いようのない結果に至った。近年の歴史の中で、これほどの規模と致死性を持つ詐欺が行われたことはない

アメリカのBryan Tyson博士George Fareed博士は、イベルメクチンで20,000人を治療し、99.9パーセントの改善率を報告し、これらの患者の誰もが病院に入院しなかったと報告した。南アフリカのShankara Chetty博士は、8,000人を治療し、死亡者はゼロで、改善率は100パーセントであると報告した。アメリカのJeff Davis博士は、6,000人を治療し、100パーセントの改善率とゼロの死亡者を報告した。アメリカのBen Marble博士は、150,000人を治療し、死亡者はゼロで、改善率は99.9パーセントであると報告した。

世界中からの39人の医師とそのチームに関する一連の症例[13]では、イベルメクチンを早期治療の一部として使用したすべての人々(先に挙げた医師を含む)合計237,521人の治療において、平均して94%以上の改善が見られたことが分かった[14]。

メアリー・タリー・ボーデン博士はCOVID-19のために3,900人以上の患者を治療し、成功率は99.97%以上だった。彼女が早期に治療した人々は、誰ひとり入院を必要としなかった。彼女や他の成功した医師たちは称賛されただろうか? いいえ。その成功の結果、ボーデン博士は病院の特権的な役割を辞任せざるを得なくなった[15]。

ウェブサイトc19early.orgは、異なる早期治療法の安全性と効果に関する証拠の総体を表示し、5,674種類の治療法データベースからの3,335の研究に関するリアルタイムの分析を提供している。これらの研究は、56件のCOVID早期治療法について行われている。

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資料: c19early.org

このウェブサイトによれば、COVID-19に対するイベルメクチンの研究が222件行われ、そのうち172件は同僚査読を受け、99件は治療を対照群と比較したものだ。これら99件の研究は、総計1089人の科学者によって行われ、28か国で137,255人の患者が参加した。

イベルメクチンは、死亡率と、人工呼吸器使用、集中治療室入院率、入院率、および感染症のリスクなど統計的に有意に低いことが分かった。全般的に、イベルメクチンを早期に使用した研究では、リスクが62%減少した。イベルメクチンを早期に使用した場合、死亡率は49%減少した。[16]

しかし、イベルメクチンを勧める代わりに、保健機関はそれを非難し、「馬の駆虫薬」と呼んだ。その代わり、アンソニー・ファウチは、ジリアドの薬物レムデシビルが標準治療となるだろうと述べた。c19early.orgによれば、レムデシビルは20か国で155,923人の患者を対象に、合計946人の科学者によって行われた58件の公表された[17]研究がある。全般的に、レムデシビルの研究は10%の改善を示している。明らかに、効果においてレムデシビルはイベルメクチンには及ばない。[18]

ただし、問題は効果だけではない。イベルメクチンは非常に高い安全性を持っている。一方、レムデシビルは一貫して急性腎不全を引き起こすことがわかっている[19 20 21 22 23]。また、後期治療として服用した場合に危険があるようだ。これに関する証拠が以下に示されている。イベルメクチンの研究では、レムデシビルのリスクに匹敵するリスクは示されていない。

シドニー・ウルフ(公共の利益を擁護する団体であるパブリック・シチズンに所属)は、2021年4月、FDAに宛てて手紙を書いた。その手紙で彼は、FDAが適切な審査手続きを迂回し、公開諮問委員会による審査を省略してレムデシビルの承認を急いでいると非難した[24]。

しかし、FDA(食品医薬品局)や、CDC(疾病対策予防センター)、NIAID(国立アレルギー・感染症研究所)、NIH(国立衛生研究所)、HHS(保健福祉省)および彼らの雇用したメディア随伴者たちなどは、イベルメクチンが危険で命を奪う可能性があると主張した。FDA/CDCが提携したアメリカ全土の毒物情報センターがイベルメクチンによる急増する「暴露」をうまく処理しているとの「ニュース」を大々的に報道した。偶然にも、それはCDCがイベルメクチンの処方箋が急増していることに懸念を示している「ニュース」にもなってしまった[25]。

「暴露」は「毒を飲んだ」ことにはならない。詳細の報告のない電話は、それ自体が有毒を示す事例であることを意味しない[26]。電話をかけた人は、ただイベルメクチンを他の5つの薬と一緒に摂取したか、または自分の犬に動物用のイベルメクチンを与え、指についてしまったかもしれない。ある人が「イベルメクチンを服用した後に入院した」と言っても、それはその人がイベルメクチンを服用したために入院したことを意味するわけではない。

私たちの調査によると、イベルメクチンに対する彼らのプロパガンダ[27]の根拠は、統計的な偽造に基づいていたと判断できる。実際、この記事を準備する際に、イベルメクチンに起因する中立で偏りのない情報源から報告された毒物中毒は一つとしてその証拠を見つけることはできなかった(詳細な分析は付録を参照)。一方で、アセトアミノフェン、またはタイレノールは、アメリカ合衆国では年間56,000回の緊急外来受診、2,600回の入院、および[28 29]500人の死亡を引き起こしている。[30]

3人のイベルメクチンを処方した医師が、FDAとHHS(アメリカ合衆国保健福祉省)および3人の保健官に対して、「馬の腸管虫薬」キャンペーンに関して訴訟を起こした。その訴訟で彼らの評判とキャリアに与えた損害、例えば停職や病院の権限喪失などを詳細に述べた。この事件に関して最近新たな判決が提示された。

裁判官たちは、FDA(米国食品医薬品局)の反イベルメクチン[31]メッセージが、「医学の実践」の領域に足を踏み込んだと判断し、健康機関としては許可されていない行為であると述べた。COVID-19を治療するためにFDAが反イベルメクチンキャンペーンをすることは、「国家主権による免責特権」(FDAが職務執行する間、訴訟の対象にされることを守る)によって保護されていなかった。

ここでは、FDA(米国食品医薬品局)やCDC(疾病対策予防センター)、HHS(米国保健福祉省)およびその共犯者たちがイベルメクチンに対する不法なプロパガンダ戦を仕掛けたことにより、全世界で340万人の人々が不当な死亡を被り、何百万人または何十億人もの人々が不当な健康被害や入院を経験してしまった証拠を提出する。イベルメクチンがブラックリスト化され実効性を持たなければ、早期治療での使用によって何百万人もの命が救われた可能性があっただろう。

イベルメクチンが安全かつ効果的な薬物療法であることを示す国立医学図書館の同僚査読済みの科学研究をここに提供する。これらの研究によれば、イベルメクチンの使用は疾患を最大62%まで減少させ、死亡率を49%減少させる可能性があることが示されている。[32]

私たちは、緊急使用が認可された処方(例えば腎毒性のある薬物であるレムデシビルを含む)が致死的であって、安全かつ効果的であると考えるべきではなかった(これは科学によってはっきり示されている)という証拠も提示する。

以下は、イベルメクチンがもたらす利点に関する、同僚査定学術論文からのいくつかの例だ。

イベルメクチンの効果、統計的に有意な結果を示した研究から

■Akhtarらは、イベルメクチンが死亡率を90パーセント減少させ、ICUへの入院率を72パーセント低減し、入院後の退院率を80パーセント向上させることと、結びついていることを発見した[33]。
■Thairuらは、イベルメクチンが入院後の退院率を55パーセント向上させることと、結びついていることを発見した[34]。
■Kerrらは、イベルメクチン治療が死亡率を92%低下させることと、別の研究では、同じ著者が[35]病院でのイベルメクチン治療が死亡率を45%低下させることが有意に関連していることを見出した。第三の研究では、Kerrら[36]は、イベルメクチン治療が死亡率を70%低下させ、入院率を67%低下させ、症例数を44%減少させることと関連していることを発見した。[37]
■Ascencio-Montielらは、イベルメクチン治療が死亡率/入院率を59%有意に低下させることと関連していることを見出した。
■Shimizuらは、イベルメクチンが死亡率を100%有意に低下させ、人工呼吸を48%低減し、ICU入院を43%低減し、一度入院した後のICU滞在時間を38%短縮し、人工呼吸時の胃腸合併症を78%減少させることと関連していることを見出した。[39]
■Zeinらは、イベルメクチンで治療された人々の死亡率が有意に低かったことを見つけた(61パーセント)。[41]
■Mayerらはイベルメクチンで治療された人々の死亡率が55パーセント低かったことを発見した。[41]
■Samajdarらはイベルメクチンで治療された人々の症例数が有意に低かった(80パーセント)ことを発見した。


同僚査読された文献から、レムデシビル後期治療の危険性のいくつかの例を以下に示す:

■レムデシビルの後期治療の危険性、統計的に有意な結果のある研究からの事例:日本で入院した18,566人の人々を対象とした、Mitsushimaらによる過去に遡った解析では、レムデシビルを後期使用した場合の死亡率が44%高いことが見つかった。[43]
■Leoらの発見では、レムデシビルを使った後期治療だと病気の進行は416パーセント高くなる。[44]
■Bowenらの発見では、レムデシビルを使った後期治療は死亡率が57パーセント有意に高くなる。
■Alshamraniらの発見では、レムデシビルを使った後期治療ではICU治療期間が43パーセント長くなる。[46]
■Archらの発見では、レムデシビルを使った後期治療の換気が必要な割合が68%高くなる。[47]
■Ohlらの発見では、レムデシビルを使った後期治療では入院日数が100パーセント延びる。
■Schmidtらの発見では、レムデシビルを使った後期治療では重症例(p=.000015)が509パーセント高くなる。[49]
■Kurniyantoらの発見では、レムデシビルを使った後期治療では死亡率(p = .0009)が460パーセント高くなる。
■Kimの発見では、レムデシビルを使った後期治療では死亡リスクは1612.4パーセント高くなる。ただし、この研究結果は統計的に有意ではなかった。[51]


これらの研究結果は、FDAやCDCの公式見解を科学的根拠(あったかもしれない)もまったく添えず、日々棒読みする共犯的メディアの視野に入らなかったのだろうか?

何千ものメディア機関が、公式に指示されたCovidの医療介入が安全で効果的であるという健康機関の主張を鵜呑みにし、イベルメクチンやその他の安全な早期治療が安全で効果がないと伝えた。真実はまったく逆だ。これらのジャーナリストや編集者の何人かは、わずか2時間でも調査すれば、私たちが見つけたことを見つけることができたのだ。

しかし、彼らはそうしなかった。代わりに、彼らは上からの命令に従い、暴君的で破滅をもたらす乖離した政府に足並みを揃えたのだ。明白な悪意を持った事前計画の上で、自身の職務を放棄し、アメリカ人に対する陰謀に加担し、それぞれがそれぞれのやり方で何百万もの不必要な死や健康被害をもたらした。

人工気道挿管、うそが暴かれた予防策、致死的なmRNA注射の緊急使用許可 (EUA)

腎毒性のあるレムデシビルが、不要かつ致命的な気管挿管治療と併用された。気管挿管を受けたほとんどの人が亡くなった。ある研究によれば、気管挿管の後に76%の人が亡くなったと記録されている。[52]

レムデシビルは、詐欺的な「予防策」に義務的に従って病気になり、体力を消耗した人々にも使用された。この「予防策」は熱狂的に推進され、イベルメクチンは逆に同じように熱狂的に非難された。こういったことのうそはすべて暴露されている。

「予防策」にはマスク着用や社会的距離(ソーシャル・ディスタンス)の確保、健康な人々の隔離、そしてロックダウンなどが含まれていた。イベルメクチンが抑圧されたのは、何よりも決定的に、緊急使用許可(EUA)としてのCOVID-19「ワクチン」として知られるmRNA遺伝子療法の注射の道を切り開くためだった。

これらの「ワクチン」は、伝統的なワクチンとはまったく異なる新しい技術だ。このmRNAの注射は、何百万人もの健康被害や死亡の原因となった。[53]

2023年3月時点で、元ブラックロック社の資産管理担当者であるエドワード・ダウドと博士号取得者およびデータサイエンティストから成る彼のチームによる障害や保険数理、およびその他の公式データソースの分析によれば、新型コロナウイルスのワクチンは30万人の超過死亡、2,660万件の健康被害、および136万件の障害を引き起こしている。また、彼はこれらのワクチンが2021年第3四半期にアメリカのミレニアル世代における死亡率の84%増加の原因であると考えている。

公式な死亡数: 注意点

世界中で合わせて約700万人が新型コロナウイルス(Covid-19)による死亡と推定されている。この数字は、新型コロナウイルスが前例のない規模の健康危機であったという説を正当化するために、時代遅れとなったメディアと健康機関によってぐいぐいと、かつうんざりするほど前面に押し出されている。

この言説が使われ、今も使われているのは、人々を恐怖に陥れ、人々の注意をあらぬ方向に逸らし、そして人々の動きを止めるためだ。何としても反乱を起こし、民主的政府や市民社会、および憲法的権利によって与えられる、わずかに糸くずのように残った保護を守ろうとする人々の動きを止めるためだ。

その後、人々はおとなしく立ちすくみ、他方、医療産業複合体は政府と他の自己利益を追求する関係者と協力して、わずかに残っていた社会的な保護措置や民主的な機関をさらに侵害し、解体した。そして、以前に存在していたものをはるかに上回る生物医学的ファシズムと専制主義の新しい総体制を導入した。

これらCOVIDに帰された700万の死は、細心の注意を払って検討される必要がある。これらの死者は、完全に欺瞞的な手法によって評価され、到底信じることができないものだ。最も重要なことは、これらの数値は、診断テストではなく、体内の遺伝子物質の断片を増幅するために設計されたPCR検査という詐欺的な検査に基づいて決められたことだ。

この(PCR)検査で、病原体活動や感染、または疾患の有無はわからない。この事実だけでも、この検査によって判定された死亡はCovid-19が原因だという考えは雲散霧消する。

ただし、この注意点を考慮に入れ、公式なCovid死亡数をそのまま受け入れると仮定する。本当にCovid-19による700万人の死亡があったと仮定するのだ。その場合、イベルメクチンは、最も深刻な結果に至る危険性を62%減少させ、死亡率を49%減少させている。

イベルメクチンの早期使用だけで最も深刻な結果の4,340,000件の事例を回避することができた。 3,430,000人の命が救えた。重要で心に留めておくべきことは、 実際にCovidを患った人や、入院した人、死亡した人などの正確な統計は実際にはない点だ。

保健当局やメディアはなぜこの薬を中傷したのだろうか? イベルメクチンは安全性と使用の長い履歴があり、ノーベル賞を受賞し、世界保健機関の[58 59 60]必須薬物リストに掲載されていた。これは、1988年にメルク社によって初めて市場に導入されて以来、人間に安全に処方されてきた。

健康機関は、この薬が、これまでは比較的安全かつ効果的な薬と考えられていたのに、今はその程度が劣るとどうやって人々を説得したのか?

彼らが使ったのは意図的な陰謀だ。虚偽のプロパガンダと「情報の氾濫」として知られるマーケティング手法を通じて、彼らはイベルメクチンが「馬の駆虫薬」であり、人間が摂取するのは危険だという誤った言説を広げた。

彼らは、偽の記事を大量にメディアに流し、誤解を招く矛盾した統計データを喧伝した。これらの統計データは、多くの人々がイベルメクチン中毒で病院に運ばれているかのように見せかけるために考え出された。しかし、実際にはこの記事の調査中に偏見のない情報源からは、一つの中毒例すら、ましてや入院や死亡例の証拠は提示されなかった。

その後、彼らは医師が患者にイベルメクチンを処方することをほぼ不可能にするために、その薬を薬局での提供を禁止するよう要求した。医師と薬剤師は、医療産業複合体のロビー団体であるアメリカ医学会(AMA)や、アメリカ薬剤師協会(APhA)、およびアメリカヘルスシステム薬剤師協会(ASHP)による威圧に屈服せざるを得なかった。

アメリカ医学会(AMA)は、アメリカ合衆国のすべての医師に関するデータを収集し、完全な処方履歴を把握している。医師がイベルメクチンを処方したときにはそれがわかるようになっている。医師の資格認定機関は、「誤情報と偽情報」に関与した医師の免許を取り消す脅迫をかけていた[62]。

彼らは、メリル・ナスピエール・コリー、そしてポール・マリックなどの何人かの医師の資格認定を取り消したり、免許を一時停止したりした。これは、他の「異端的な」医師が同じようなことをすれば、どんなことになるかを知らしめる意味があった。[63 64 65]

こういったことは、歴史的に終結し、もはや脅威が一切なくなった孤立した出来事ではない。公式に「Covid-19 パンデミック」は終了と宣言されたが、新たな「公衆衛生」および医療専制の仕組みは進行中であり、これらの惨状を簡単に引き起こす世界的な枠組みはいつでも復活し、新たな用途に供される可能性がある。これをどのように止めることができるのだろうか?

ここにその証明がある:緊急使用許可施策の下で、FDAが実験的などんなワクチンも迅速に承認する合法的な理由は一切存在しなかった。なぜなら、FDA自身の文献によれば、ある疾患に使用できるFDA承認済みの薬剤が存在する場合、その緊急使用許可を得るための他の薬剤やワクチンを持つことはできないとされているからだ。

しかしながら、イベルメクチンやヒドロキシクロロキン、モノクロナル抗体、アジスロマイシン、ビタミンC、ビタミンD3、亜鉛、およびクエルセチンなどの商業的な価値は、いずれもCovidの感染から病気や死亡への進行を防ぐ際に組み合わせて使用される際に支えになっている。しかしながら、これらの治療法は個人や、産業、または病院にとっては収益性がない。

これまでのところ、我々の知る限り、連邦政府の機構全体が、何十億回も寄生虫駆除薬として使用され、何十年にもわたって人間に提供されてきた薬物を攻撃し、中立的で高く尊敬されている主要な医師や科学者がその薬物を患者に成功裏に使用したことに対して攻撃し、中傷し、彼らの評判を台無しにしようとこれほど極端な手法を講じたことはない。

イベルメクチンおよびこれらの他の治療法は、同僚査読のある科学文献の中で多くの支持を受けている。しかし、イベルメクチンや他の治療法を台無しにしようとしたのは、それが利益を生まないし、それが自分たちの自由になる範囲を越えるものだったからだ。彼らがしたことは、悪意を持ってのことであり、私たちの意見では、とめどない貪欲、ということになる。

しかし、これら高官たちがこれらの選択を行なった際、メディアや政府機関には「やめろ、これは意味がない。私たちは数十万人の命を救うためにクリニックや医師が使用できる薬について話しているのだ。これに注意を払い、臨床研究を行うべきだ」と主張する声は存在しなかった。

その結果、科学を代表すると言った男、アンソニー・ファウチは、イベルメクチンやヒドロキシクロロキン、アジスロマイシン、単クローナル抗体、ビタミンC、ビタミンD、亜鉛、およびクワセチンなどを使用した臨床研究の資金を調達するあらゆる試みを妨害した。しかし、その後2年間、統計的に有意な、特筆に値すると言ってもいいような生命を救った結果を示す研究を、それぞれが個別的に行なう人々もいた。

これは、抜群の資産を有する支配的メディアに在籍する、非常に有能で知識豊富なジャーナリストたちは、私たちが行なったのと同じくらい簡単にこの情報を見つけることができたということを意味する。したがって、数百万人の防げた死亡や数千万人の防げた入院や健康被害、およびその他の苦しみに対して、メディア全体とワシントンの健康機関全体の責任を私たちは考えざるをえないのだ。

このコメントに含まれるすべての脚注や技術的な補足情報は、さらに進展させたいと考えている人々、特に集団訴訟のために利用できる。この情報は慎重に再検討されんことを。
*リチャード・ゲイルはプログレッシブ・ラジオ・ネットワークのエグゼクティブ・プロデューサーであり、バイオテクノロジーとゲノミクス産業における上級調査研究員の経験を持っています。
ゲイリー・ヌル博士は、代替と栄養健康に関する国内最長寿の公共ラジオ番組のホストであり、最新作「Last Call to Tomorrow」を含む、多くの賞を受賞したドキュメンタリー映画監督でもあります。 彼らはグローバルリサーチへの定期的な寄稿者です。

Notes
<注>
1 Media Partners. We Can Do This Campaign. U.S. Department of Health and Human Services. Accessed September 25, 2023. https://wecandothis.hhs.gov/sites/default/files/documents/ Paid%20Media%20List%20for%20Posting%207.12.22_508c.pdf
2 www.wecandothis.hhs.gov.
3 Celia Farber. THEY KNEW–FOIA Emails Sent To Daily Clout Team Reveal WH/CDC/NIH KNEW Covid Shots Were Causing Deadly Blood Clots And Myocarditis In MAY 2021—Senior WH Team Colluded To LIE To The American People. The Truth Barrier Substack. September 22, 2023. https://celiafarber.substack.com/p/they-knew-foia-emails- sent-to-daily
4 APTER v. DEPARTMENT OF HEALTH HUMAN SERVICES No. 22-40802 (U.S. District Court, Southern District of Texas Galveston Division, 2023). https://caselaw.findlaw.com/court/us-5th-circuit/115011736.html; No. 3:22-cv-184, June 2022 https://www.courthousenews.com/wp-content/uploads/2023/08/322cv184-three-doctors-sue-fda-over- ivermectin.pdf
5 “Globally, as of 6:32pm CEST, 27 September 2023, there have been 770,875,433 confirmed cases of COVID-19, including 6,959,316 deaths, reported to WHO. As of 19 September 2023, a total of 13,505,262,477 vaccine
doses have been administered”.WHO Coronavirus Dashboard. Accessed September 29, 2023. https:// covid19.who.int/?mapFilter=deaths
6 Why You Should Not Use Ivermectin to Treat or Prevent COVID-19. U.S. Food and Drug Administration. Content Current as of 12/10/2021. Accessed September 22, 2023. https:// www.fda.gov/consumers/consumer-updates/why-you-should-not-use-ivermectin-treat-or- prevent-covid-19
7 FAQ: COVID-19 and Ivermectin Intended for Animals. Content current as of April 26, 2021. archive.org Wayback Machine. Archived from the website of the U.S. Food and Drug Administration on December 1, 2021. https://web.archive.org/web/20211201192728/https:// www.fda.gov/animal-veterinary/product-safety-information/faq-covid-19-and-ivermectin- intended-animals?utm_medium=email&utm_source=govdelivery
8 August 21, 2021. U.S. FDA (fda): https://www.instagram.com/p/CS1giIfJ0sa/?hl=en
9 April 26, 2022. U.S. FDA (@US_FDA). https://twitter.com/US_FDA/status/ 1518942739639017472
10 APTER v. DEPARTMENT OF HEALTH HUMAN SERVICES No. 22-40802 (U.S. District Court, Southern District of Texas Galveston Division, 2023). https://caselaw.findlaw.com/court/us-5th-circuit/115011736.html; No. 3:22-cv-184, June 2022 https://www.courthousenews.com/wp-content/uploads/2023/08/322cv184-three-doctors-sue-fda-over- ivermectin.pdf
11 August 21, 2021. U.S. FDA (@US_FDA). https://twitter.com/US_FDA/status/ 1429050070243192839
12 APTER v. DEPARTMENT OF HEALTH HUMAN SERVICES No. 22-40802 (U.S. District Court, Southern District of Texas Galveston Division, 2023). https://caselaw.findlaw.com/court/us-5th- circuit/115011736.html; No. 3:22-cv-184, June 2022 https://www.courthousenews.com/wp- content/uploads/2023/08/322cv184-three-doctors-sue-fda-over-ivermectin.pdf
13 Physician Case Series Results. Version 215. August 10, 2023. Covid-19 Treatment Research. Accessed September 21, 2023. https://c19ivm.org/meta.html#fig_fpv
14 Physician Case Series Results. Version 215. August 10, 2023. Covid-19 Treatment Research. Accessed September 21, 2023. https://c19ivm.org/meta.html#fig_fpv
15 APTER v. DEPARTMENT OF HEALTH HUMAN SERVICES No. 22-40802 (U.S. District Court, Southern District of Texas Galveston Division, 2023). p. 6. https://caselaw.findlaw.com/court/us-5th-circuit/115011736.html; No. 3:22- cv-184, June 2022 https://www.courthousenews.com/wp-content/uploads/2023/08/322cv184-three-doctors-sue- fda-over-ivermectin.pdf
16 225 ivermectin COVID-19 studies, 175 peer reviewed, 99 comparing treatment and control groups. Covid-19 Treatment Research. Last accessed October 2, 2023. https://c19ivm.org/ meta.html#fig_fpv
17 Sue Hughes, Remdesivir Now ‘Standard of Care’ for COVID-19, Fauci Says, Medscape, Apr. 29, 2020, https:// www.medscape.com/viewarticle/929685 (accessed Aug. 5, 2020).
18 Remdesivir for COVID-19: real-time meta analysis of 58 studies. September 2023. Covid-19 Treatment Research. Accessed September 22, 2023. https://c19early.org/smeta.html
19 Zhou et al., Acute Kidney Injury and Drugs Prescribed for COVID-19 in Diabetes Patients: A Real-World Disproportionality Analysis, Frontiers in Pharmacology, frontiersin.org, doi.org.
20 Wu et al., Acute Kidney Injury Associated With Remdesivir: A Comprehensive Pharmacovigilance Analysis of COVID-19 Reports in FAERS, Frontiers in Pharmacology, frontiersin.org, doi.org.
21 Gérard et al., Remdesivir and Acute Renal Failure: A Potential Safety Signal From Disproportionality Analysis of the WHO Safety Database, Clinical Pharmacology & Therapeutics, wiley.com, doi.org.
22 Charan J, Kaur RJ, Bhardwaj P, Haque M, Sharma P, Misra S, Godman B. Rapid review of suspected adverse drug events due to remdesivir in the WHO database; findings and implications. Expert Rev Clin Pharmacol. 2021 Jan;14(1):95-103. doi: 10.1080/17512433.2021.1856655. Epub 2020 Dec 29. PMID: 33252992; PMCID: PMC7784780.
23 Veklury 100 mg powder for concentrate for solution for infusion remdesivir. Last revised in 01/2023. https:// www.medicines.org.uk/emc/files/pil.11597.pdf
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イスラエル-パレスチナ問題でロシアは「中立」のバレエを踊る

<記事原文 寺島先生推薦>
Russia’s Neutrality Ballet on Israel-Palestine
筆者:ペペ・エスコバル(Pepe Escobar)
出典: INTERNATIONALIST 360°  2023年10月18日
<記事飜訳 寺島メソッド翻訳グループ>   2023年10月29日


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イスラエルを敵対国家に仕立て直そうとするロシアの大物たちがいる一方で、クレムリンは立場を変えそうにない。むしろ、モスクワは西アジアへの影響力を最大化するために「中立」を維持し、アラブやイスラム世界との距離を縮めようとしている。

博愛主義者であるロシアのプーチン大統領は、イスラエルに対する地政学的評価をゆっくりと、しかし確実に見直しているのだろうか? これをモスクワの権力回廊における重要な謎と呼ぶのは、実は控えめな表現である。

少なくとも、難解なイスラエルとパレスチナのドラマに関して、公式には「中立」であるロシアの立場に関して言えば、そのような激変の表立った兆候はない。

先週の金曜日(10月13日)にビシュケク(キルギス首都)で開催された独立国家共同体(CIS)首脳会議で、プーチンがイスラエルのガザ封鎖の「残酷な方法」を非難し、それを「第二次世界大戦中のレニングラード包囲」になぞらえた。

「それは容認できない」とロシア大統領は宣言し、ガザの220万人の市民全員が「女性や子どもも含めて苦しまなければならないとき、誰もこれに同意することは難しい。」

プーチンのコメントは、苛立たしいほど不透明なロシアとイスラエルの関係において、進行中の変化を示すひとつのヒントだったのかもしれない。その次が、先週金曜日にクレムリンに近い安全保障戦略サイト『ブズグリャド(Vzglyad)』に掲載された非常に重要な記事である。

わずか6ヶ月前、ロシアの情報機関のほぼ一致するところを反映するように、『ブズグリャド(Vzglyad)』の編集者たちは、アラブ・イスラム世界にとっての第一の問題を支援することにモスクワの政治的比重を移すよう呼びかけていたことに注目する必要がある。

同記事は、プーチンがビシュケクで発言した重要な点に言及している:交渉に代わるものはない。テルアビブは残忍な攻撃を受けたので自衛する権利がある。真の和解は東エルサレムに首都を置くパレスチナの独立国家の建設を通じてのみ可能である、と。

ロシア大統領は、国連本来の「2国家」解決策を支持し、パレスチナ国家は「平和的手段によって」樹立されるべきだと考えている。しかし、今回の紛争が「中東におけるアメリカの失敗した政策の直接的な結果」であるのと同様に、プーチンはガザでの地上作戦を開始するというテルアビブの計画を拒絶している。

この的確な両賭けは、プーチンが参謀本部、いくつかの情報機関のシロビキ*、国防省がほぼ共通理解している方向性に振れている証拠ではないことは確かだ。 彼らは、イスラエルはウクライナ、アメリカ、NATOと同盟を結んだロシア連邦の事実上の敵かもしれないと考えている。
*シロビキは、ロシアの治安・国防関係省庁の職員とその出身者を指す。

お金を追って

テルアビブはウクライナでロシアと正面から敵対しないよう極めて慎重であり、これはプーチンとイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相との間の悪名高い友好関係の直接的な結果かもしれない。

しかし、地政学的なチェス盤においてイスラエルよりもはるかに重要なのは、モスクワとアラブ諸国、特にOPEC+に共に加盟しているサウジアラビアとの関係である。

また、シリアやコーカサスで利益を得ているイランとの戦略的友好関係も、ロシアの地域政策の中心的存在であり、米国の拡張主義を封じ込めるのに役立っている。最後に、ユーラシア大陸におけるロシアの経済的・地政学的野心にとって、モスクワとアンカラの複雑で多層的なやり取りは極めて重要である。

西アジアの3つの大国はいずれもイスラム教徒が多数を占める国家であり、自国にもかなりの数のイスラム教徒を抱える多民族国家ロシアにとって重要な関係である。

そして、これら3つの地域主体にとって、どの国にとっても、現在のガザへの集団的懲罰は、ありとあらゆるレッドラインを越えている。

イスラエルもまた、モスクワの経済的配慮からすれば、もはやそれほど重要な存在ではない。1990年代以降、膨大な量のロシア資金がイスラエルに流れていたが、今ではかなりの部分がロシアに戻っている。

億万長者ミハイル・フリードマンの悪名高い事例は、この新しい現実をよく物語っている。このオリガルヒは、アル・アクサ・フラッド作戦が開始される1週間前にイギリスの自宅を引き払ってイスラエルに移り住んだ。

フリードマンは、電気通信、銀行、小売、保険で大きな権益を持つアルファ・グループを率い、1998年の金融危機を生き延びた大富豪である。彼は、キエフの敵対政権に1億5000万ドルもの「献金」をしている疑いをロシア側からかけられている。

ヴャチェスラフ・ヴォロディン下院議長の反応は極めて激しく、この件に関するイスラエルの心情を少しも憂慮していない。

「国を離れ、ロシア領内での銃撃を祝ったり、ナチス・キエフ政権への勝利を願ったりと、非難されるべき行為に及んだ者は、ここで歓迎されないだけでなく、もし戻ってきたとしても、マガダン(スターリン時代の収容所への悪名高い中継港)が彼らを待っていることを理解すべきである」、と。

ロシア恐怖症と集団処罰

西側諸国集団が「今や我々はみなイスラエル人だ」という偏執狂に走ったので、クレムリンの戦略は、アラブ・イスラム世界だけでなく、グローバル・サウス/グローバル多数派のためにも、この紛争の仲介役として自らを目に見える形で位置づけることである。

今週、国連安保理でロシアが提出したガザ停戦を求める決議案の目的はそこにあった。

安保理の常任理事国であるアメリカ、イギリス、フランスの3カ国と、その新植民地である日本が反対票を投じたのだ。世界の他の国々には、この反対票を投じた三国はまさに理不尽な西側のロシア恐怖症と、イスラエルの民間人密集地ガザへの大量虐殺的砲撃を正当化するアメリカの傀儡国家のように映った。

オフレコだが、情報アナリストたちは、ロシア参謀本部、情報機関、国防省が、イスラエルの行き過ぎた侵略に対する世界的な感情にいかに組織的に同調しているかを指摘している。

問題は、ネタニヤフが右派のイタマール・ベン=グビル国家安全保障相やベザレル・スモトリッチ財務相とともに、精神病的な暴力の扇動を繰り返していることに対するロシアの公式・公的な批判が存在しないことである。

モスクワの内部関係者が主張するところでは、クレムリンの公式な「中立」の立場は、イスラエルがシリアでのロシア人殺害に直接関与したことを決して忘れない防衛・安全保障機関(特にロシア連邦軍参謀本部情報総局(GRU)とロシア対外情報庁(SVR))と正面から衝突しているという。

2018年9月、イスラエル空軍が、イリューシン20M電子偵察機をシリアのミサイルに対する援護機として使用し、シリアの防空ミサイルに誤って撃墜させ、搭乗していた15人のロシア人全員が殺害されて以来、その見方は強まっている。

権力の中枢におけるこの沈黙は、公共空間における沈黙と鏡のように同じである。イスラエルとパレスチナに関するロシアの立場について、議会で議論されたことはない。安全保障理事会での議論も10月初旬以来ない。

しかし、ロシア正教会の指導者であるキリル総主教は、「平和的共存」には「宗教的次元」があり、「公正な平和」が必要だと強調した。これは、ガザで発表された「人獣」(イスラエル国防省の言葉)の民族浄化とは全く一致しない。

ロシアがウクライナと取引する代わりに、アメリカがイスラエルと取引するという、モスクワとワシントンの複雑な影絵芝居の噂が、権力周辺の一部で憂慮されている。

これは、西側諸国がキエフの汗臭いスウェットシャツの俳優(ゼレンスキー)を降板させるという、すでに進行中の過程を封印することになるだろうが、クレムリンはアメリカのいかなる取引も信用しそうになく、戦略的な西アジアにおけるロシアの影響力を疎外するような取引は絶対に信用しないだろう。

この2国家解決策は死んだ

ロシアの「中立」のバレエは続くだろう。モスクワはテルアビブに対し、イランとの戦略的友好関係の枠内であっても、イスラエルを脅かす可能性のある武器、つまりヒズボラやハマスに行き着くような武器は輸出されないという考えを強調している。この取り決めの見返りは、イスラエルもキエフにロシアの脅威となるものを売らないことだ。

しかし、アメリカやイギリスとは異なり、ロシアはハマスにテロ組織としての指定はしない。クレムリンのドミトリー・ペスコフ報道官は、この問題について非常に率直に語っている。 モスクワはパレスチナ側ともイスラエル側とも接触を保ち、「最優先事項」は「パレスチナとイスラエルの両方に住むロシア国民の利益」であり、ロシアは「和解プロセスに参加する可能性のある当事者」であり続ける。

もちろん、中立は行き詰まるかもしれない。クレムリンが積極的に働きかけているアラブ諸国やイスラム諸国にとっては、シオニスト主導の入植者植民地主義の解体が「最優先事項」であるべきだからだ。

これは、2国家による解決は、現実的な目的から言えば、完全に死んで葬り去られたことを意味する。しかし、誰も、少なくともモスクワは、それを認める準備ができている証拠はない。
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米国はロシアの宇宙船の使用を継続すべし– NASA当局者の発言

<記事原文 寺島先生推薦>
US to continue using Russian spaceships – NASA official
「両国の協力関係によりをお互いが利益を得ているのだから、それを断つ理由はない」とNASA高官ショーン・フラー氏がタス通信の取材に発言
出典:RT  2023年10月6日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年10月27日



写真:2022年3月、ソユーズMS-19から見た国際宇宙ステーション© Roscosmos


 NASA高官ショーン・フラー氏は、米国宇宙機関は国際宇宙ステーションへの有人遠征においてロシアとの協力を打ち切るつもりはない、と述べた。フラー氏によれば、お互いの宇宙船を使用できるため、どちらにとっても探査がより安全になるからだ、とのことだ。

 タス通信は、アゼルバイジャンのバクーで今週、開催された第74回国際宇宙会議に出席中であった、以前NASA有人宇宙飛行計画モスクワ事務所の責任者を務めていたこのベテラン宇宙職員に話を聞いた。フラー氏は、宇宙飛行士らがロシアのソユーズ宇宙船の使用をやめる「理由はない」と述べた。

 NASAとロシアのロス・コスモス社は、互いの宇宙カプセルを使用できる協定を結んでいる。スペースシャトル計画を終了してからほぼ10年間、米国は国際宇宙ステーションへの乗組員の輸送には、ロシアのソユーズ宇宙船のみを使用してきた。


関連記事: Record-breaking Russian-American ISS crew returns to Earth (VIDEO)

 2020年以降、有人宇宙船であるクルードラゴン宇宙船が有人運行の許可を得た際、米露両者の相互乗り入れ協定は復旧した。ウクライナ紛争をめぐってロシア当局と米国当局の関係が悪化したにもかかわらず、この協定は2022年7月に最新の更新がおこなわれた。

 フラー氏は、国際宇宙ステーションが迅速な避難を必要とする緊急事態に遭遇した場合、米露の協力が極めて重要になる可能性がある、と強調した。同氏は、両国の宇宙探検隊員はドッキングしているどの宇宙船を使っても帰国できる、と説明した。

 スペースX社製エンデュランス宇宙カプセルは現在、軌道上にあり、8月下旬にロシアのコンスタンチン・ボリソフさんを含む4人の乗客を宇宙ステーションに送り届けた。これは、再利用が可能なこの宇宙カプセルによる3度目の活動だった。

 ソユーズ MS-23 は、ロラル・オハラ宇宙飛行士を含む ISS 乗組員を地球に帰還させた最新の宇宙船であり、9月下旬に地球に戻った。

 フラー氏は現在、NASA のゲートウェイ計画国際間協力事業の責任者として活動している。この事業の目的は、月を周回する宇宙ステーションを建設し、地球のすぐ近くではない離れた場所での宇宙事業も促進しよう、というものだ。
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ロバート・F・ケネディJr の選挙参謀がイスラエル‐パレスチナの対話を妨害。本人は同意していた。

<記事原文 寺島先生推薦>
RFK Jr Staff Block Israel-Palestine Dialogue after the Candidate Agreed
筆者:マックス・ブルーメンソール(Max Blumenthal)
出典:Internationalist 360°  2023年8月4日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年10月26日


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ロバート・F・ケネディ・ジュニア(RFK Jr)がマックス・ブルーメンソールとのイスラエル・パレスチナに関する公開討論に同意した1日後、彼の選挙陣営は彼の言葉を撤回した。RFK Jr.はイスラエルへの「無条件の支持」を誓い、他方、辛辣な反パレスチナ的言辞を吐いている。

民主党の大統領候補であるロバート・F・ケネディ・ジュニアが同意したイスラエル・パレスチナに関するマックス・ブルーメンソール(The Grayzoneの編集長)との公開討論(コメディアンでポッドキャスターのジミー・ドアが提案)を、ケネディの選挙陣営は、その翌日に拒否した。

8月1日、Grayzoneの特派員リアム・コスグローブとの電話で、RFK Jr.の選挙キャンペーン広報ディレクターであるステファニー・スピアは次のように述べた。「(ケネディ)はマックス・ブルーメンソールとの討論を行ないません・・・ 彼は誰とも討論しません。彼は大統領選に出馬しているのです」。

「私が言っていることを聞いていないのですね」と彼女は強調した。「私たちは、それはやらない。わかりましたか?」

コスグローブとの通話の数時間後、スピアは直接ブルーメンソールに連絡し、2024年の春、最初の5つの予備選挙が終了するまで、The Grayzoneの編集長である彼との公開討論にケネディは同意しないと説明した。

彼女は、ブルーメンソールにケネディとのオフ・レコ電話会話を申し出たが、それがご機嫌取りであることははっきりしていた。

ブルーメンソールは正式な討論ではなく、ケネディがDore、Glenn Greenwald、Briahna Joy Grayなど有名なメディア関係者に行なったようなライブインタビューを希望した。しかし、スピアはケネディ候補が米国大統領選の最初の5つの予備選挙が終了するまで、大統領以外の誰とも討論しないと繰り返し言明した。

「私たちが対象としている国民層は異なります。また、私たちが問題にしている内容も異なります」と、スピアは強調した。「つまり、いいですか、これは戦略の問題なのです。私たちはバイデン大統領と討論したいのです。彼は民主党候補ですから、それを待っているのです」。

しかし、この6月、ケネディはポッドキャスターのジョー・ローガンの提案を熱狂的に受け入れた。小児科医であり、Covid-19の制限とワクチンの義務化を最も熱烈に支持する国内の人物の一人であるピーター・ホテズとのライブ討論に参加したらどうか、という提案だ。ローガンは、ホテズが討論に参加するならば、ホテズが選ぶ慈善団体に10万ドルを寄付することを約束した。ホテズは、ローガンとRFKは「ワクチンの誤情報」のばらまき屋だと非難することでローガンの提案が出てきたのだが、討論を拒否したことから、広範な侮蔑と冷笑を招いたのだった。

しかし、今、ケネディ(RFK)は、最近自身の選挙運動の中心に置いた問題への関与を拒否している。そのことで、RFKは、戦争賛成の民主・共和両党合意に対抗する選択肢を提供していると信じていた多くの支持者が驚愕することになった。つまり、彼がイスラエル国とその軍占領下のパレスチナ地域での軍事行動を「無条件支持」したからだ。

ケネディの広報担当者スピアとの対話中、コスグローブは彼女に向けて、候補者の突然の尻込みは何なのか、と食いついた。「RFKはこれらのインタビューにはすべて出演し、人々と討論したいと言っています。だから、彼がなぜそんなことを言うのか、みなさんが討論を望まないのか、私はちょっと混乱します。それはあなたたちの決定なのか、それとも彼がそう言っているのですか」と彼は言った。

「これは選挙陣営の決定です、リアム」とスピアは言った。



「彼はマックスとの討論を求めませんでした」と彼女は困惑した調子で続けた。「だから、もう一度彼の言ったことを聞き直してみてください・・・討論はしません。何回申し上げたらいいのでしょう」


反ユダヤ主義の告発を浴びて、RFK Jrはイスラエル宣伝部隊へ

ロバート・F・ケネディ・ジュニアは「20年ぶりに最も強力な平和と自由の候補者」と自身を位置づけ、他方「ネオコンと戦争屋」を非難している。同時に、彼はイスラエルの軍事行動を熱心に擁護し、数十年にわたるパレスチニアンの占拠を正当化しており、軍事占拠など存在しないとの主張さえしている。



ケネディは、イスラエル・パレスチナ問題におけるリクード派の意見を彼の選挙メッセージの最前線に置いた。それはニューヨーク市で行われた7月14日の非公開イベントでの発言に関連した反ユダヤ主義の告発を浴びた後のことだった。夕食の席で、新型コロナウイルスの起源についての質問に答え、ウイルスはアシュケナージ系ユダヤ人と中国系の人々に対して「白人と黒人」と比べて影響が少ない可能性があるという見解を示したのだ。

「私たちにはそれが意図的に標的とされたかどうかはわかりませんが、人種や民族の差異と影響を示す論文が存在します」とケネディは述べた。

ニューヨーク・ポストの記者がその晩のケネディ候補者の発言を記事にしたとき、民主党上層部内のケネディ反対者たちから、人為的に起こされた怒りの嵐が渦巻いた。バイデン政権と多くのユダヤ系圧力団体はケネディを反ユダヤ主義者として非難し、議会の100人の民主党議員によって署名された手紙は、彼をアドルフ・ヒトラーに準(なぞら)えた。

ケネディが、7月20日、連邦政府の軍事利用に関する下院小委員会で証言するために議会に到着した際、民主党議員デビー・ワッサーマン・シュルツは、予測されたことだが、彼をユダヤ人嫌いと非難した。ケネディは超シオニストの主張を展開して対抗しようとした。

「私が唯一、バイデン政権がイランに行なおうとしている200億ドルの支払いに公然と異議を唱えた人間です。200億ドルは虐殺プログラムだからです。私は誰よりも猛烈にイスラエルのために戦ってきました」とケネディは主張した。

彼が明らかに指していたのは、イラクから(米国からではない)ガスおよび電力代としてイランが受け取った27億ドルだ。バイデン政権がイラクの制裁免除要求を許可した後のことだった。つまり、ケネディは2つの地域の主権国との間の国境を越えた貿易を「虐殺的」と位置付けていたのだ。

ケネディは、7月23日、ニューヨーク市で開催されたシュムレイ・ボティーチ(Shmuley Boteach)主催のイベントで、戦争的な言葉遣いをエスカレートさせた。ボティーチは、リクード*派オリガルヒである故シェルドン・アデルソンによって雇われたリアリティ番組のラビであり、アメリカ合衆国内で大イスラエルのための運動を進めるために活動したとされる人物だ。(アデルソンはドナルド・トランプの2016年と2020年の選挙運動の主要な資金提供者だった)。
リクード* ・・・リクード国民自由運動は、イスラエルの政党。党首は現在同国首相を務めるベンヤミン・ネタニヤフ。 通称リクード。リクードは「団結」を意味するヘブライ語である。(ウィキペディア)



ケネディは、反パレスチナの毒づいた発言とウルトラ・シオニストのプロパガンダが詰まった20分間の長い演説で、ヒジャーブ(イスラム教徒の女性が顔を隠すために用いるスカーフ)を「ハビブ」と呼び、チェチニアをまるでそのイベントの直前までその場所を知らなかったかのように発音した。大統領になった場合、中東の国々が核兵器を入手することを防ぐと約束しながら、ケネディ候補はイスラエルが秘密の核兵器を保有していることを知らないようだった。

シュムレイが頷いたのを見て、ケネディはイスラエル軍の旅団規模のジェニン占拠に対する熱烈な擁護を展開した。この占拠でイスラエルは戦闘機で建物を爆撃し、難民キャンプの中心部にブルドーザーを走らせている。彼はその都市全体を「爆弾工場」と呼び、その侵攻を正当化し、彼の言葉を使うと、「そこにいる人々のほぼ100%がテロを支援している」と述べた。

ケネディによれば、「ジェニンの誰もが爆弾の製造に関与している」。そこには一般市民は全くいないため、すべては正当な標的ということになる。彼は、パレスチナの自爆テロ作戦が15年以上前に終了したことを知らないようだった。また、イスラエルのジェニンにおける主要な懸念材料は入植者や軍の侵入から自分たちの領土を守る武装組織の拡大であることを知らないようだった。

そこからエスカレートしたこの半煮えの「ハズバラ」(イスラエル寄りのプロパガンダを意味するヘブライ語_英辞郎)は、ケネディがイスラエルのロビー活動からの講演料で生計を立てる元イギリス陸軍のリチャード・ケンプを引用して、「イスラエル国防軍(IDF)がパレスチナの領土に進入した際の行動は、世界中で類を見ないものだ」と主張するまでになった。彼はさらに、イスラエルの方針は「民間人の犠牲を避けること」だと主張し、ガザからベイルートまでの地域全体を月のような荒野に変えた事実を無視した。

予想どおり、ケネディのイスラエル・パレスチナに関する軍事的な強調は、アメリカの反戦陣営(以前彼の出馬に支持を表明していたメディアに登場する人物たちを含む)から大きな支持を失う結果となった。

その中にジミー・ドアがいた。彼はアメリカでもっとも人気のある政治的ポッドキャスターだ。

マックス・ブルーメンソールの「イスラエルに関する報道は疑問の余地がある」

ケネディとの2023年8月1日の生放送インタビュー中、コメディアンのドアは、彼のイスラエルに対する「無条件の支持」に食いついた。「アメリカにすらあなたは無条件の支持を与えていないですよね」と、ドアはケネディ候補に念を押したのだ。

ケネディは、シュムレイの隣に座っている間に彼が述べたシオニストの主張を繰り返した。ケネディが述べた、容易に否定できる念仏のような主張の中には、アメリカが資金提供しているパレスチニアン自治政府(イスラエル政府と直接協力関係にある)は、世界中のどこでもユダヤ人を殺すために「報酬」を支払っているというものが含まれていた。

次にケネディは、イスラエルの「奇跡的な」生存を、陳腐かつ不器用に歴史的な回想をしているが、その中で、1967年の戦争の後、「シリアはイスラエルの「存在の権利」を認めたら、ゴラン高原とシナイを取り戻した」と間違った主張をした。実際には、ゴラン高原は今もイスラエルによって違法に占拠されており、トランプ大統領がその地域でのイスラエルの主権を認めることを約束したことから、トランプ・ハイツという入植地がある。

シナイ半島については、エジプトは1973年の奇襲的な軍事作戦を通じて、イスラエルの占拠からその領土を解放したのだ。



インタビューの後半、ドアは、ブルーメンソールがツイートしたビデオを紹介した。そのツイートには、イスラエルの戦闘機がガザのショルーク・タワーを爆撃する映像が含まれていた。このタワーは、地元および国際メディアのスタジオが入居していたオフィスビルだった。 ブルーメンソールは、そのツイートで、彼がそのビル内でいくつかのインタビューを行ない、そこで働くパレスチナ人の同僚と協力していたことを説明していた。 ケネディは、The Grayzoneの編集者ブルーメンソールの信頼性に疑問を投げかけた。

「私はマックス・ブルーメンソールが大好きです」とケネディ候補は言い始めた。「しかし、彼はイスラエルについて客観的ではないと思います。彼のイスラエルに関する報道は疑問の余地があります」。

ドアは答えた。「わかりました。ではこうお願いします。ちょうどピーター・ホテズがあなたとジョー・ローガンを避けたように、私ではなく、このことについて話すべき人物はマックスです。マックスとのインタビューを受けていただけますか? なぜなら、彼の方が私よりもはるかに詳しく語ることができるでしょうから」。

「うん、喜んでマックスと話すよ」と、ケネディは一見、誠実そうな口調で言った。

しかしながら、24時間も経たないうちに、彼の広報担当ディレクターは、なぜそのような会話ができないのかを必死に説明していた。
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中露はパレスチナでの大虐殺と民族浄化を防がなければならない

<記事原文 寺島先生推薦>
Russia and China Must Prevent Genocide and Ethnic Cleansing in Palestine
出典:INTERNATIONALIST 360°   2023年10月18日
著者:カイ・アレクサンダー・シュレヴォート(Kai-Alexander Schlevogt)
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年10月26日





 この新たな多中心的な世界秩序において、正義が初めて勝つのだろうか? 中東の被害を抑えるための小さな手引書

 人類は軍事面と道徳面において非常に危険な絶壁の縁に立たされている。人類は、世界が認め、広く賞賛さえされている、記録に残っている中でも大規模なジェノサイド(大虐殺:ひとつの民族の破壊)と過激な民族浄化(ひとつの民族の強制追放)が起こってしまうかもしれない危機に直面している。さらに悪いことは、戦争犯罪がひとつの国家主体(イスラエル)によりおこなわれていることだ。そしてその国が、自国を「民主主義である」とし、権利を剥奪された人々(パレスチナ人)に対するこの戦いをダビデとゴリアテの戦いになぞらえているのだが、このたとえはもとの聖書の中の話とは筋書きが変えられている、と言えるだろう。

 2023年10月7日、ハマスの戦闘員の一団がイスラエルに洗練された攻撃を加えたが、この攻撃が世界に示したのは、脱近代敵反乱戦争という文脈で電撃戦をおこなう方法についてだった。イスラエルの軍事施設だけてはなく、この一団は無実の一般市民たちも殺害しただ―このような行為は言うまでもないが、決して正当化できるものではない。驚くことではないが、被害妄想癖のある西側の専門家たちは、 この攻撃の実行日がロシアのウラジーミル・プーチン大統領の誕生日と同日だったことに隠された繋がりがあることを即座に疑った。さらに、警備の専門家らは、このビックリさせられるような攻撃は、イスラエルの諜報機関と軍事的準備の失敗のせいで起こった、と解釈した。

 この束の間の侵略行為後すぐに、西側世界の指導者たちは、この攻撃を最も強い調子で非難した。西側の指導者らは、イスラエルに「何が何でも」軍事支援をすることを約束し、このユダヤ人国家に、パレスチナ人に対してイスラエルが望むことなら何をしてもいい許可を与えたのだ—その行為がどれだけ罪深く、どれだけ残忍であってしても、だ。米国のジョー・バイデン大統領は、ハマスによるこの攻撃を「全くの悪(sheer evil)」と断じたが、このことばは、ナチズムを非難する際に使われたことば(「完全なる悪」absolute evil) を反映させたものだった。

 アンソニー・ブリンケン米国務大臣がイスラエルの暴走を抑えることを求め、一般市民らに被害をもたらさないよう、「最高水準」を求めた後、同じような内容の主張をおこなった米国務省が出したSNSの投稿は、直ぐに削除された。西側各国の指導者たちへ、イスラエルを無条件に支援することを正当化しているが、その際、イスラエルには「自衛の」権利があることを指摘している。たしかに一国家には国境と国民を守る権利(と義務)があるのだが、その国家が享受できるままに振る舞えるような白紙委任状を与えられるべきでは決してない。国際法を軽視してはいけないのだ。しかし今回イスラエルは、この危機に対してそのような振る舞いを取ることを決めてしまった。「本気の」やりかたを使って、このユダヤ人国家は本当に見境がつかなくなり、ここほんの数日間だけでも、長時間にわたる、あらゆる種類の戦争犯罪をおかしまくっている。この征服政権は特に、集団処罰や復讐殺人に乗り出しているが、これらの行為は国際人道法により禁止された行為だ。

 たとえば、イスラエルは最も近代的な戦闘機(ハマス側がしばしば使用する自製武器と比べればとてつもなく近代的だ)を使用し、ガザ地区の人口密集地域を粉砕したが、これはパレスチナがこれまで経験したことのない規模の攻撃だった。事実上の無差別攻撃を展開したイスラエル側は、2000人の一般市民の命を奪ったと報じられている。これらの一般市民には全く罪は無いのに。

 このような戦略が第二次世界大戦中に取られていたと聞けば、いまの人々は驚愕するだろう。当時、進駐軍がゲリラ組織による攻撃の報復として非武装の村人たちを殺害することは、常に起こっていた。しかしイスラエルの今回の行動―しかもかなり大規模なものだ―に対して、西側各国の指導者層や大手報道機関の記者たちからは、道徳的な躊躇が引き起されていない。

 エコノミスト誌などの西側報道機関は、ハマスの攻撃は「大虐殺」であると報じたが、イスラエル側の攻撃については「報復のための攻撃をおこなった」と報じる。そして、イスラエル国民については、「殺害された」と報じるのに、パレスチナ人のことはただ「亡くなった」と報じる。

 イスラエル防衛軍の発表によると、たったの一日間(2023年10月11日)で、「ハマス側の標的」に対し、2400件の攻撃を加えた、という。衛星写真による攻撃前と攻撃後の画像(画像1を参照)を見ると、焦土作戦が取られた結果、街全体がめちゃくちゃに破壊されたことが分かる。 このような攻撃は戦争犯罪とされて然るべきだ。目撃者の証言によると、ガザ地区には被害を受けていない道路は全くない、という。(RT, 2023b)


[画像はreddit.com]

 すでに現時点で、ガザ地区は生命が危機にさらされる状況に置かれている。(BBC, 2023a)。ひとりのパレスチナ人医師が、自身が働いている病院内で生じている人道的大惨事を以下のように描写している:「死体がバラバラになった状態で運ばれてきます。わたしは外科医ですが、人が死んでいるこのような場面には全く耐えられません」と。同医師によると、パレスチナ人たちの住居は、中に人がいる状態で破壊され、家族全員が亡くなる状況や重傷を負った人が一人か二人取り残されている状況が生じている、とのことだ (BBC, 2023d)。これら全ての出来事が電光石火のように起こっている:国連によると、イスラエルはたった4日間で、1万8000人のパレスチナ人を野宿生活者に変えてしまった、という。

 さらにこのユダヤ人国家は、公式発表をおこない、ガザ地区に対して、中世に見られたような完全包囲戦略を迅速に取った。200万人のパレスチナ人が生活しているガザ地区に対して、だ。鉄とセメントと土でパレスチナ人の生活空間への経路を塞いだ(BBC, 2023b)のち、イスラエルはパレスチナの人々を―同じ人間なのに―水や食糧、薬、燃料、電気と通信施設、さらには救援物資から遮断しようとしている。パレスチナの人々を事実上、生き埋めにするかのごとく、イスラエルは何十万もの無実の一般市民を意図的に殺害し、想像できる中で最も野蛮な拷問を加えているのだ。餓死やけがの治療を受けない中で死なせるという恐ろしい拷問を。

 標的を絞ったイスラエル側の攻撃の性質からすれば、その結果生じた死を「巻き添え事故による被害」と婉曲的に表現することなどできない。この死は意図的な殺害行為の結果おこったものだからだ。ファシスト的な言い回し(人間の尊厳を傷つけるような言い回しだ)で、イスラエルのヨアヴ・ガラント国防相はこう述べた:「権力も食糧もガスも、全てが閉鎖されています。私たちは人獣(原文ママ)と戦っているのですから、彼らに対してはそれ相応の戦い方をします」と。自然法が完全に無視された状況(ギリシャ神話でアンティゴネ-の弟ポリュネイケースが受けた扱いにたとえられるだろう)の中で、パレスチナの人々の死体が放置され、日の当たる場所で朽ち果てていく。さらに悪いことに、イスラエルの運転手らは、これらのパレスチナの人々の死体の上を車で踏みつけることが日常茶飯事となっている。

 さらに、イスラエルはイスラエル領内への避難経路を封鎖した。イスラエル側の執拗で体系的な爆撃作戦により、エジプトも国境を封鎖せざるを得なくなった。なぜイスラエルが、人々が地上最も危険な場所から逃れようとすることを遮るのかをいぶかしく思う人もいるだろう。その問いに対するイスラエルからの答は以下のとおり:ハマスの指導者たちを逃がさないため、だ。

 しかし、特権を持つ軍団であるハマスはなんとか逃げることができると考えられる(おそらくエジプトに通じるトンネルを使って)が、一般のパレスチナの人々はガザ地区に封じ込められ、おそらく死を待つしかなくなるだろう。つまり、イスラエルは多くの無実の一般市民を意図的に殺害しようとしている、ということだ。特定の民族に属するパレスチナの人々を、だ。まさにジェノサイド(大量虐殺)だ。「逃がすこと」を許さないという唯一の手段を使ってパレスチナの人々を殺害することにより、イスラエルはパレスチナの難民たちの大集団が生じ、将来その集団がイスラエルに圧力を加えるようになることを避けているのだ。このスターリン的論法を一言でまとめると、以下のようになるだろう:一人でもパレスチナ人がいれば、問題が生じる;誰もいなくなれば、問題はなくなる。


ガザ地区 [画像は reddit.com]

 興味深いことに、この熱戦が開始されたとき、イスラエル側とパレスチナ側の死者数はほぼ並行して推移していた。10月7日以降にこの紛争に参戦したイスラエル側が、報復として十分な数のパレスチナの人々を殺害したことを確認したがっていたことは明らかだった。最初の攻撃後、ハマスは攻撃の手を緩め、逆にイスラエル側による攻撃は激しさを増したのだから、この数日間で、パレスチナ側の死者数はイスラエル側の死者数よりもずっと多くなるだろう。このようなことはこれまで何度も起こってきたことだ。

 さらに、イスラエルは国際間で決められた国境を完全に無視する姿勢を示した。一例をあげるとレバノンの標的を爆撃したのだ。総じて言えば、記憶にとどめておかなければならない事実は、ハマス側がおかした暴力行為は、ハマスをテロ組織であると考えている国々が存在するという前提で描かれるいっぽうで、イスラエル側の殺戮行為は公式に国家が命じた行為であり、民主的な行動であると感じさせたがっている意図が見えることだ。

 イスラエルのベンジャミン・ネタニヤフ首相によると、これら全ての過激な措置は、「ただの始まりに過ぎない」という。特筆すべきは、同首相が、ハマスの全ての構成員は、「死人」であると宣告していることだ。つまり、同首相の目的は領土や法律の範囲を超えて、少なくとも3~4万人(ハマスの構成員数と考えられている人数)の人々を殺害することにある、ということだ。実際にイスラエルの攻撃に参加した戦闘員の数はたったの数百人にすぎない、にもかかわらず。ハマスの構成員であるという定義をどうおこなうかによるが、イスラエルは、さらなる激しい殺害行為を行う可能性がある。例えば、ハマス関連の簿記係や清掃員なども殺害の対象にされる可能性もあるのだ。

 そのままにしておけば、ネタニヤフが誇大妄想にとりつかれて、「中東を変え」、現状では終わらないような新たな秩序を生み出そうとする可能性もある。その次の手順として、イスラエル軍はガザ地区、さらにはパレスチナ西岸にまでも全面的侵略攻撃をしかけると見られている。すでに現時点で、イスラエルはパレスチナとの国境に何万人もの部隊を送り込んでおり、そのような攻撃をおこなう準備は整っている。その数はイスラエルを攻撃したハマスの数百人からなる小集団を凌駕している。さらにありえることは、イスラエルが民族浄化行為をおこない、パレスチナ領内とその飛び地の両方に残っているすべての人々を追放し、これらの地域を併合することだ。パレスチナの人たちの最後の故郷が「公式に」イスラエルの一部になった際、パレスチナの人々は、かつてのユダヤの人々のような流民(diaspora)になってしまうことになる。

 なんということだろう。おそらく、イスラエルはそれでも飽き足らないだろう。イスラエルがもつ大きな夢は、イランやレバノンなどの大敵とのこの地域での戦争に米国を引き込むことだろう。そうなれば、他の地域の国々も参戦し、世界戦争に発展する可能性もある。いちばんありえそうなことは、そのような世界規模の戦いが、イスラム教徒の移民者が多い国々で大規模な内戦を引き起こすきっかけになることだ。例えば、英・仏・独などで、だ。これも、西側各国政府の指導者層が自国民の利益を考えていないことの証になろう。何度も起こってきたことなのだが、西側各国政府は、大きな被害が生じることを止めもせずに、後に-いかにも自国が民主主義に則って運営されているという姿を見せるために-イスラエルが実際におこなった破壊の規模についての情報の開示を許可するのだ。しかしその時点では、常に時はすでに遅し、だ。

 西側の権力者らが戦争を切望するという習慣から抜け出せず、イスラエルが、国家が支援する強姦といってもいいような行為や特定の民族を対象にしたやりたい放題の破壊行為にふけっているのだから、この状況に断固として介入するかどうかは、ロシアと中国にかかっている。もっと具体的にいえば、客観的な正義の基準が推奨されるような、多中心的な世界秩序の樹立を見据えているこの両国の指導者こそが、強力な和平実現者としてふるまうべきなのだ。ロシアが果たすことのできる役割はこの点において、特に重要だ。というのも、ロシアは今回の紛争に直接あるいは間接的に関わっているすべての国々との建設的関係を維持しているからだ。具体的には、イスラエル、パレスチナ自治政府、イラン、シリア、その他多くのアラブ諸国だ。


2018年、モスクワでのパレスチナ自治政府(PLO)のマフムード・アッバース代表とウラジミール・プーチン大統領。プーチン大統領の背後に立っているのはセルゲイ・ラブロフ外相 [画像は foreignbrief.com]

 以下に、この新しい多中心的世界の指導者らがしなければならないことを3段階に分けて記す:

1. 偽情報への対応
 露・中両政府の当局者らと報道機関は、事実と宣伝工作を区別すべきだ。そうすることにより、信頼できる情報基盤が構築でき、人類にとって利のある合理的な決定をおこなうことができる。例えば、イスラエルの宣伝工作員たちは、ハマスによる攻撃をイスラエルの歴史上最悪の日だ、と呼んでいる。これは大いなる誇張である。というのも聖書の記載を思い起こせば、どれだけイスラエルの人々が様々な場面でひどい目にあって苦しんできたかがわかるし、近代史においても同じだからだ。「偏った決めつけ」や「わかりやすい偏り」を駆使し、これらの偽情報画策担当者らは短期間におこなわれたハマスによる侵略行為を、イスラエルにおける真珠湾攻撃や9/11と結びつけ、米国が真珠湾攻撃や9/11のあとにとった行為を持ち出し、イスラエルによる攻撃を正当化しようとしている。

 またまた西側の人々はこんな心理作戦に麻痺させられ、イスラエル側の視点だけで考えている。そのいっぽうで、イスラエルはパレスチナの人々に対して残虐行為を行なっているのだ。客観的な分析のひとつとして、統計結果から物事をきちんと掴まなければならない:その事実とは、イスラエル側の死亡者数は—もちろん一つ一つの死には悲劇があるのだが―何十年も続いているこの紛争中にイスラエルにより殺害されたパレスチナの死者数の合計と比べれば、極端に少ない、という事実だ。

2. 誰が得をするか(cui bono)に疑問を持つ
 多くの人々が疑問の声を投げかけているのはもっともなことだが、イスラエルに対する攻撃は、イスラエルの諜報機関が仕掛けた偽旗工作ということはありえない。というのも、ハマス側は今回の目を見張るような攻撃を自慢しているからだ。ただし、cui bono(誰にとっての利益になるのか)について、犯罪捜査的な問いを投げかければ、現状出てくる関係者については、無視する訳にはいかない。特筆すべきは、イスラエルが今回の事象で得たものは非常に大きい、という事実だ。

 ネタニヤフ政権がかねてからパレスチナの人々に対して過激な立場を取ろうとしており、さらに厳しい措置を加えたがっていたが、ネタニヤフがイスラエルの法制度を「改革」しようとしていたことに対して国民から大きな反対の声が上がり、イスラエル国民から起こされた多くの抗議運動に直面させられていた点から考えると、ネタニヤフ政権が今回の悲劇から得た利益というものはとてつもなく大きい。だからこそ、エジプトなどから、ハマスからの攻撃が避けられないという警告を受けていたにもかかわらず、その警告を無視し、イスラエル国民をハマスによる虐殺から守ろうという断固とした行動をとらなかったことには明らかで強力な理由があった、と言える。

 皮肉っぽい人は、イスラエル政権なら少数の自国民を喜んで犠牲(生贄になった人の数は確認しにくいし、最悪の場合、その数が盛られることもある)にして、 もっと大きく普通なら叶えられそうもない目的を果たそうとするだろう、と主張するかもしれない:このようなハマスによる攻撃のおかげで、イスラエル国民をひとつにまとめることができたし、国民や西側の権力者ら(特に、これまであまり乗り気でなかった米国)を動かせる刺激を与えることになったのは確かだ。

 このような手を使い、かなり強力な力を手に入れたイスラエル政権なら以下のような目的を追求することができる:パレスチナ人をイスラエル領内から追い出し、ガザ地区と西岸地区を併合し、さらにはこの地域の敵であるイランなどを破壊(あるいは、少なくとも無力化)することまでおこなうことだ。そう考えれば、注目に値する事実は、イスラエル側がハマスによる攻撃に対してあんなにも迅速にかつ整然と対応できたことだ。あらかじめこんな偶発事件の発生にあわせた基本計画が作られていて、演習をおこなっていなければ、こんな対応はとれなかった、と思われる。

3. 自由を求める印象深い同盟関係の構築を主導

 露中は多中心的世界秩序維持の樹立を真剣に考えている国々による同盟関係を構築する必要がある。イスラエルが不法な行為をやめるよう求める声に耳を傾けないのであれば、この新たな「自由を求める同盟諸国」は、パレスチナに保護組織を派遣すべきだ。そのような取り組みをおこなえば、イスラエル側に殺害されるパレスチナの人々は確実にいなくなり、パレスチナの人々は自分たちの故郷を維持できるだろう。もちろん、パレスチナ側の指導者層も、国際的に通用している法理に則った振る舞いを見せなければならない。ハマスなどの武装勢力はパレスチナ正規軍に移行すべきだ。イスラエルの侵攻によりハマスの支持者がすべて殺害されるという可能性は低いからだ。そして最終的には、中東における恒久平和に関する交渉が持たれ、平和が樹立される必要がある。その平和の基盤は、両国間(つまりイスラエルとパレスチナ間)での解決でなければならない。さらには、中東に関する国連でのすべての決議の執行も、だ。

結論
 現代において、旧約聖書にある「目には目を(出エジプト記21:24)」という一文―すなわち ius talionis (報復に関する法律)にある特定の記載―は、野蛮で残忍だと非難されることが多い。しかしこの法律が作られた当時、この法は、法が合理化され、人間性が保たれるための進歩的な一歩を示すものであり、その後のキリスト教社会における法の教義において完全に明文化されたものだ。特筆すべきは、ユダヤ教の聖典トーラー第2書(シェモト)にこの一文が、互いに守るべきものとしてだけではなく、釣り合いを取るための法令として明文化されたことだ。そのため、この法令のおかげで、任意に「とてつもなく厳しい」罰を加えることはなくなり、はじめに加えられた損害を遥かに超えるような厳しい報復がおこなわれることは回避されることになった。

 それなのに、イスラエルという国家は、これまで何度もおこなってきたとおり、ならずものを地で行く振る舞いを続け、自分たちが信奉している聖書の記述にも敬意を示していない。敵側から最初に受けた攻撃を遥かに凌ぐ報復を敵に加えているのだから。実際イスラエルは、石器時代に取られていたような方法で、敵―今回は敵側の全ての人々―を石器時代の状態に送りこもうとしているのだ。

 今回のこの事象は、試験紙だと言える。そう、新しく公正な国際秩序がすでに出現しているかどうか、あるいは少なくともそのような国際秩序が表面に現れるよい機会となるか、の。多中心的世界の樹立を望んでいる正義に基づく多中心的な国際社会の樹立を望んでいる国々(つまりは2003年の米国が主導したイラク侵攻時の、悪名高い「有志連合」とは真逆の考えをもつ国々のこと)、特にロシアと中国は、ただ手をこまねいて、目をそらすだけではいけない。これらの国々こそ、パレスチナの人々の支援と解放に積極的に動くべきだ。パレスチナの人々は、ずっと長い間、イスラエルによる占領や抑圧のくびきの中で、ひどい扱いを受けてきたのだから。一言で言うと、よりよい世界に向かう軌跡は、以下のような気高い原理に従うべきなのだ:「相手が低次元でも、それにレベルを合わせず、品位を高く保ちなさい(ヒラリーとの大統領選挙期間中の2016年のトランプのことば)」

推奨文献
BBC. (2023a, 11 October). Gaza hospitals treating only life-threatening cases. https://www.bbc.com/news/live/world-middle-east-67073970/page/5
BBC. (2023b, 9 October). Israel imposes complete closure of West Bank. https://www.bbc.com/news/live/world-middle-east-67050350
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Reuters. (2023, 10 October). Israel pulverises Gaza after Hamas attack as it collects its dead. https://www.reuters.com/world/middle-east/hamas-threatens-kill-captives-if-israel-strikes-civilians-2023-10-09/
RT. (2023a, 11 October). Netanyahu wants US involved in war – ex-Pentagon official. https://www.rt.com/news/584669-maloof-israel-us-tonkin
RT. (2023b, 8 October). ‘We are completely shocked by the damage’: What are ordinary people in Gaza saying about Israel’s retaliation? https://www.rt.com/news/584328-we-are-completely-shocked/
The Economist. (2023, 9 October). Hamas’s carnage upends Joe Biden’s plans for the Middle East. The Economist. https://www.economist.com/united-states/2023/10/09/hamass-carnage-upends-joe-bidens-plans-for-the-middle-east

カイ・アレクサンダー・シュレヴォート教授は、国際的に認められている戦略的指導力及び経済政策の専門家。ロシアのサンクトペテルブルク国立大学の経営管理大学院正教授の経歴を持ち、 戦略的指導力学の寄附講座を担当。シンガポール国立大学や北京大学でも教授職を歴任。連絡先は [email protected].
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ゼレンスキー、汚職について箝口令-ウクライナのメディア

<記事原文 寺島先生推薦>
Zelensky orders reporters to keep silent about corruption – Ukrainian media
ウクライナ大統領がロシアとウクライナの紛争が終わるまで汚職について口をつぐむよう指示したと報じられている
出典:RT    2023年10月14日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年10月26日


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ウォロディミル・ゼレンスキーウクライナ大統領© Thomas COEX / AFP


ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ウクライナのジャーナリストたちに対して、汚職についての報道は避けるよう指示した、とウクライナのニュースメディアZerkalo Nedeli(「週刊鏡」)の編集長が述べた。

ウクライナ大統領は、ロシアとウクライナの紛争が終わるまで、ジャーナリストにその問題に触れないようにと指示した、とキエフの一流メディアが報じている。

「the National Media Talk 2023」で、ユリア・モストヴァヤ(Yulia Mostovaya)は、同僚たちが大統領とのオフレコ会議に出席し、このゼレンスキーの要求を知った、と語っている。

報道によれば、大統領がその要請をしたのは、ウクライナの報道機関が、国の武装部隊が支払った高額な食料価格について報道した後、とのことだ。

Zerkalo Nedeliを含むウクライナの報道機関によれば、国防省はその兵士の食料や衣類を市場価格の2倍から3倍の価格で購入していたとされている。例えば、国防省は1個の卵について最大で17フリヴニャ(0.47ドル)を支払い、1キログラムのジャガイモについては最大で22フリヴニャ(0.60ドル)を支払っていた。その一方、当時のキエフの店舗でのこれらの商品の平均価格は、それぞれ約7フリヴニャ(0.19ドル)と8フリヴニャ(0.22ドル)だった。

モストヴァヤは、ゼレンスキーがメディアの報道において腐敗の話題を避けるよう要請したことについて、もしゼレンスキーがそれを「バランスのとれた方法で」提示し、その報道がウクライナの戦闘能力に影響を及ぼす可能性を説明していたなら、ウクライナの報道機関はそれを考慮したかもしれないと述べた。

「もし大統領がこう言っていたら、私たちはこれらの条件を受け入れたでしょう:『ここに一人の人物がいます。彼の電話番号がここにあります。具体的な事実がある場合、どうかそれをこの人物に提供してください。彼はすぐに電話に出るでしょう。そして、私たちに1週間の猶予をください。1週間以内に何の反応もない場合、それを印刷に回してください。』」

しかし、ゼレンスキーはそのような提案を出さなかったとモストヴァヤは主張。代わりに大統領は報道陣に対して「勝利まで黙っているように」と指示した、とのこと。

「沈黙すれば勝利は訪れない」とZerkalo Nedeliの編集長は言った。

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Read more:Ex-EU boss says Ukraine too corrupt to join

ウクライナにおける汚職の問題は、国内外のジャーナリストや高官たちによって何度も取り上げられてきた。

先週、欧州委員会の元委員長であるジャン=クロード・ユンカーは、ウクライナが「社会のあらゆるレベルで腐敗している」ため、近い将来にはEUに加盟することが難しいだろうと述べた。彼はまた、既に「苦境に立たされている」ウクライナの人々に対して、ブリュッセル(欧州委員会本部)は「虚偽の約束をしないように」と促した。

ウクライナは長年にわたり、ヨーロッパで最も腐敗した国の一つと見なされ、2022年のTransparency Internationalの腐敗認識指数では180カ国中116位にランクされた。
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キエフの未就学児のうちウクライナ語を「積極的に話す」のはわずか15%―NGO

<記事原文 寺島先生推薦>
Only 15% of Kiev preschoolers ‘actively speak’ Ukrainian – NGO
また、20%はウクライナ語を全く話さず、首都の子供たちの間では依然としてロシア語が支配的である。
出典:RT   2023年10月14日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年10月26日


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ウクライナの国旗を持った少女がキエフ中心部で展示されているロシア製とされる破壊された装甲車の前を走っている。© Getty Images / SOPA Images / LightRocket / Aleksandr Gusev


キエフの就学前児童のうち、ウクライナ語を「積極的に使用している」のはわずか15%程度であることが、「言語状況を研究し、変える」ことを宣言目標とするNGO団体スピルノモワ(Spilnomova)の調査で明らかになった。

この調査結果は、スピルノモワの創設者であるアンドレイ・コヴァリョフ氏が、火曜日(10月10日)に掲載されたTexty.org.uaのインタビューで明らかにした。約20%の園児がウクライナ語を全く話さず、日常生活ではロシア語を使うことが判明した。

残りの園児はロシア語とウクライナ語を混ぜて使っているとのことである。ただ、コヴァリョフ氏は、調査結果に至る正確な方法論については触れていない。

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READ MORE:EU member sets conditions for Ukrainian accession talks

ウクライナ語の状況は、その幼稚園が積極的にウクライナ語化に取り組んでいるかどうかや、保護者の努力によって、幼稚園によって異なるようだ。しかし、ロシアとウクライナの紛争が始まって以来、子どもに話しかけるときにウクライナ語を使う保護者が増えたとコヴァリョフ氏は言う。

「このことを保護者に常に言い聞かせている幼稚園があります。そして、ウクライナ語を使う子どもの割合も増えています。しかし、残念ながらそのような幼稚園は少数派です。ほとんどの幼稚園は、この問題について何の方針も持っていません。何もしないのが普通です。

この活動家コヴァリョフ氏によれば、ウクライナ語の使用に関する状況は、十代の子どもの間でも決してよくはなく、どうやらさらに悪いようだ。市内の学校では子どもたちにウクライナ語を教えているが、その言語政策が実際の使用にはほとんど影響を及ぼしていないようだ、と同氏は語る。

「つまり、非常に特殊な状況なのです。就学前の子どもたちがロシア語の環境に身を置いているのを見かけるのですが、一方で学校の言語環境が変わる兆しはありません」。

「例えば、キエフに住んでいる十代の子どもが使うミーム(頻繁に使われて受け継がれていく言葉)のうち、ウクライナ語はわずか10%で、90%はロシア語か英語です。ここで疑問が生じます。それは、子どもは、自分にとって支配的でない言語で創造性を発揮できるのだろうかという疑問です」。

コヴァリョフ氏によれば、ウクライナの学校では公用語の普及に努めているにもかかわらず、現在のところ、子どもたちがウクライナ語を「受動的」にしか学べない、同国では言語問題が 「高度に政治化」されていることを考えると、教育当局者は実際に何かをすることを恐れているようであり、「何らかの形で解決される」まで待つことを選択している、ということだ。
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パレスチナ:ロバート・F・ケネディJrへの公開書簡

<記事原文 寺島先生推薦>
Palestine: An Open Letter to Robert F. Kennedy Jr.
筆者:ミコ・ペレド(Miko Peled)
出典:Internationalist 360° 2023年8月12日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年10月25日
 


拝啓 ケネディ殿
 
 シュミール・ボティーチとのインタビューを視聴して、私はあなたに手紙を書かねばならないと感じています。

 自己紹介させていただきます。私の名前はミコ・ペレドで、1961年にエルサレムで生まれました。私は愛国的なイスラエルの家族に生まれました。父はIDF(イスラエル国防軍)の将軍でした。祖父はイスラエル独立宣言に署名し、曾祖父の一人はイスラエルの大統領でした。私はもともと愛国心の深いシオニストでした。そして、軽蔑はしているものの、ベンヤミン・ネタニヤフは個人的に知っています。また、私自身もIDFで兵役に就きました。今ではそれを後悔しています。

 私の経験は私の本『将軍の息子、パレスチナを旅するイスラエル人』に記録されています。

 反ユダヤ主義ではないことを証明するために、シオニストの宣伝者であり、狂信的な反パレスチナ人種主義者で知られているシュミール・ボティーチとのインタビューを、あなたは決めたようですね。このインタビューで、あなたはイスラエルのパレスチナの都市であるジェニンへの攻撃を正当化しようと試み、それを「爆弾工場」と呼びました。悲しいですが、あなたがジェニンについて何も知らないことは明らかです。



 ボティーチに対して、あなたは次の2つのことを言いました。①ジェニンでは「実質的にほぼ100%の人々がテロを支持している」、また②「テロリストたちは民間人の後ろに隠れている」。この問題について、次の質問をさせてください。

 イスラエル陸軍本部は、繁華街テルアビブの中心部にあります。私の父である元イスラエル陸軍将軍マッティ・ペレドは、制服を着ていたとき、その建物に事務所を持っていました。それはテルアビブで最も人口が密集し、地価の高い地域の一つに位置しています。美術館や、住宅、そしてレストランに隣接しています。テルアビブに住む多くの人々はイスラエル軍を支持し、陸軍本部で働いており、あなたの言葉で言えば「爆弾工場」で働いています。パレスチナ人がテルアビブに爆弾を投下し、陸軍本部の支持者や働いている人々を殺す権利があると思いますか?

 ですが、ジェニンに戻ります。

 ご意見を煎じ詰めれば、ジェニンおよびそれを含むパレスチナ全体の経験を、パレスチナ人が残酷に攻撃され、生きるために戦わなければならない歴史的瞬間に辿り着きます。私はあなたに尋ねなければなりません。自国が奪われ、子供たちが殺され、人々が拷問され、投獄されるという状況では、爆弾工場を持つことは許容されるでしょうか?

 拷問についてです。イスラエルは「時限爆弾の時間が刻まれている」場合でも拷問を許可しない、とあなたは言いました。事実を確認すべきでした。誰であれ、これをあなたに伝えた人はあなたを誤らせました。そして、今となっては、この嘘をあなたが述べてしまったという記録が残ります。

 ジェニン市の事実を正確に伝え、ジェニンの誠実さと品位を強調するために、私はこの手紙を書くために3人の情報源と連絡をとりました。

ジェニンについて語ろう


モハマド・サバアネが描いたジェニン(花びらがアラビア語で「ジェニン」と形作られている)

 私はヌール・マサラ教授に手紙を書きました。彼はパレスチナの歴史家で、ロンドンに住み、教鞭を執りながら『パレスチナ、四千年の歴史』という決定的な書籍を著した人です。私はジェニンの歴史についてマサラ教授に質問しました。彼は快く多くの資料を送ってくれました。

 政治漫画家でジェニン出身の友人、モハンマド・サバーネにも質問しました。この書簡でこれは大事だと彼が感じることを訊く為でした。彼は私にいくつかの情報を提供し、彼の漫画をこの記事で使用することを許可してくれました。最後に、私はパレスチナの俳優兼監督であり、映画『ジェニン、ジェニン』(ぜひ時間を割いて観るべき映画です)を制作したモハンマド・バクリとのインタビュー(私がインタビューア)を見なおしました。

 モハンマド・バクリのジェニンに関する言葉は特に感動的だと思いますので、彼が制作した映画から始めます。2002年、イスラエル軍によるジェニン難民キャンプへの攻撃の直後、イスラエルは記者や赤十字団をキャンプに入ることを許可しませんでした。それにもかかわらずモハンマド・バクリは、イスラエルの侵攻中に何が起こったのかを見て記録するために、キャンプに入ることを決意しました。そして、命をかけて、彼と彼が率いる撮影隊はイスラエルの戦車の巡回を避けながら、英雄的にキャンプに忍び込むことに成功しました。彼らはキャンプに入り、イスラエル軍が犯した恐ろしい出来事を記録するために4晩5日を過ごしました。



 その結果、国際的に称賛された心を打つ記録映画が生まれました。イスラエルでは、この映画が禁止され、バクリは20年以上にわたり訴訟や魔女狩りの対象とされました。私とのインタビュー中、モハンマド・バクリは、最終的な編集に含まれなかったいくつかのシーンについて説明しました。「攻撃で10人の息子を失った女性に会いました。彼女には10人の息子がいました。そしてイスラエルの攻撃で全員が殺されました」と彼は私に語ったのです。

 彼は、この正気を失った母親について説明し続け、こう言いました。「彼女は笑いだし、気が狂ったのです」。当時、彼はそのインタビューを映画に入れることはできないと感じましたが、彼は「今ではそれを含めていればよかったと思っています」と述べています。

初期の文献や記録に残るジェニン市

 ジェニンは、北部の西岸地区に位置するパレスチナの都市です。北側には広大なマルジ・イブン・アムルがあります。水と肥沃な土地が豊富にあるため、ジェニンは地域のパンかごでした。イスラエルが土地と水を奪わなければ、今でも地域のパンかごのままだったでしょう。

 ケネディ殿、あなたはジェニンには紀元前14世紀にさかのぼる記録された歴史があることを知っておくべきです。ジェニンはアマルナの手紙として知られる、エジプトのテル・エル・アマルナで見つかったその時代の一連の文書に言及されています。

 また、アラビアの地理学者であり、1179年から1229年にかけて生きたヤクート・アル=ハマウィが、ジェニンについて記述していました。彼はエジプト、パレスチナ、シリア、イラク、およびペルシャを広く旅しました。彼の著書である『Mu’jam al-Buldan』、つまり『国の辞典』は、地理学、考古学、歴史、人類学を含む広範な百科事典で、彼が訪れた場所の座標さえ含まれています。

 この大量の著作の中で、ジェニン市について彼は記述しました。彼はそれを「小さな美しい町」と呼び、ナブルスとベイサンの2つの主要な都市の間に位置していると述べました。ベイサンは、パレスチナの中心都市でしたが、1948年のパレスチナの民族浄化の際に占拠され、住民は追い出されました。

 13世紀、マムルーク時代において、ジェニンは要塞都市として使用され、バリード、つまり郵便事業としてパレスチナの中心的拠点の1つでした。この郵便事業はカイロとダマスカスという2つのマムルークの首都間で展開していました。

 「サブ・アル・アシャ」(「盲人のための夜明け」)(「百科事典の傑作」と考えられている)は中世エジプトの学者アフマド・アル=カルカシャンディ(1356-1418)によって編纂されました。この百科事典は、1412年に書かれたと信じられています。アル・カルカシャンディは、この作品の中でジェニン市についても触れており、彼はそれを「マルジ・バニ・アマーの最上部に位置する古代で広大な町」と記述しています。ケネディ殿、どうぞご覧のとおり、「爆弾工場」という言葉はどこにも出てきません。

 16世紀を皮切りに、オスマン帝国は401年にわたりパレスチナを支配しました。その間、ジェニンは周辺の村々の行政地域の中心として設定されました。

今日のジェニン市

ジェニンへの襲撃中にイスラエルの軍隊によって射殺された14歳のクサイ・ワケッド。絵はモハマド・サバアネ

 シオニストたちは、マルジ・イブン・アムルの住民を排除し、ユダヤ人専用の農業コミュニティに入植しました。彼らは水源を転用し、市の土地と水を奪い、豊かな農業を破壊しました。マルジ・イブン・アムルでのシオニストの入植計画は、パレスチナで最も早期の入植計画の1つでした。この谷は改名され、現在はエメク・イスラエルとして知られています。

 1948年のパレスチナの民族浄化の際、ジェニンは、ハイファの北にある村々から追放された数千人のパレスチナ難民を受け入れました。今日、市民の約4分の1は1948年の難民です。

ジェニンへの旅

 数年前、私はエルサレムからジェニンへ旅行しました。ジェニン・フリーダム・シアターでのパレスチニアン映画祭を観ることが目的でした。ジェニンで見たかった2本の映画は、モハマド・バクリの「ジェニン、ジェニン」とジュリアーノ・メル=ハミス監督の「アンナの子どもたち」でした。これらの映画は、ジェニンの現代史の一部である大きな約束と残酷な破壊を示しています。各映画の上映後にはパネル討論が行われました。

 モハマド・バクリは、彼の映画「ジェニン、ジェニン」が上映された後に話しました。

 「アルナの子供たち」として知られる子供たちの一団の中で唯一生き残ったザカリア・ズベイデが、映画「アルナの子供たち」の上映後に話をしました。ズベイダは、2021年9月にメギド刑務所から脱走した6人のパレスチナ人囚人のうちの1人です。

 ケネディ殿、あなたはジェニン市とパレスチナの人々だけでなく、あなたを信じていた人々を侮辱しました。誰もあなたがアメリカ合衆国の大統領に選ばれるとは考えていないでしょう。もし「公的な言説に挑戦」したいのであれば、私と一緒にパレスチナに行きましょう。

 私は特権を持つイスラエル人で、どこにでも行け、旅行することができます。私はほとんどのパレスチナ人が持たない権利と旅行の能力を持っています。私はあなたに、ネゲブと改名されたナカブの勇敢な若いパレスチナ・ベドウィン、リド、ヤッファ、ナザレのパレスチナ市民、そしてアパルトヘイトの残酷さの下で生き抜こうとしている人々、そして武器以外の何も持たないけれども自由であろうとするヘブロン、ガザ、エルサレムの勇敢な男性と女性を紹介させてください。


ミコ・ピーレッドはMintPress Newsの寄稿ライター、発行人。エルサレム生まれの人権活動家です。彼の最新の著書はThe General’s Son. Journey of an Israeli in Palestine,” そしてInjustice, the Story of the Holy Land Foundation Five
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西側は国連安全保障理事会を「人質」に―モスクワ

<記事原文 寺島先生推薦>
West has taken UN Security Council ‘hostage’ – Moscow
西側の利害で、国連安全保障理事会は現在の中東の紛争に対処できなくなっている、とロシア特使
出典:RT 2023年10月17日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>2023年10月25日

ロシアの国際連合常駐代表、ヴァシリー・ネベンジャ © ゲッティイメージズ / マイケル・M・サンティアゴ

 ロシアの国際連合常駐代表であるワシーリー・ネベンジャは、火曜日(10月17日)、西側の利害によって国連安全保障理事会の作業が遅滞していると主張。彼の発言は、理事会がロシアのイスラエル・ガザ紛争に関する決議案を拒否した後のことだった。

 その決議案は、テロ行為および市民に対するあらゆる暴力行為を非難し、イスラエルとパレスチナの武装勢力間の即時停戦を求めた。また、すべての人質の解放を要求した。

 その決議案は採択に必要な9票を獲得できなかった。支持したのは、ロシアや中国、アラブ首長国連邦、およびモザンビークだった。一方、米国やイギリス、フランス、および日本は反対票を投じ、6つの国が棄権した。

 「国連安全保障理事会が再び西側諸国の意向にとらわれたことを遺憾に思います。これが、状況の緩和を目指す、明確で強力な集団メッセージを送ることができなかった唯一の理由です」と、ネベンジャは投票後に述べ、この紛争を「中東で数十年ぶりの最大規模の暴力の発生」と呼んだ。

 ネベンジャは、世界中が流血を止めるために安全保障理事会が行動を起こすのを待っているのに、西側代表団が「これらの期待に終止符を打った」と述べた。


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 ネベンジャ特使は、ロシアの提案に反対した国々のほとんどが、一つの代表団を除いて、何も「根拠のある基本的な異議」を提供していないと指摘した。そして、その一つの代表団ですら「具体的な意見」を表明していない、と述べた。

 米国国際連合常駐代表のリンダ・トーマス・グリーンフィールドは、ワシントンがロシアの起草した提案に反対投票したのは、ハマスを明示的に非難する部分がなかったからだと説明した。

 投票前、ネベンジャ特使は、この草案がハマスに言及していない理由は、主な焦点が紛争の人道的側面にあるためだと説明した。

 パレスチナの武装集団は、10月7日、イスラエルに数千発のミサイルを発射、ガザから国境を越えて戦闘員を送り込み、約1,400人のイスラエル人を殺害した。

 イスラエルはハマスに対して「戦争」を宣言、ガザ地区を封鎖した。前例のないほどの爆撃作戦を展開、近く地上戦に入ると予想されている。過去10日間で、パレスチナの公式発表によれば、ガザで2,800人以上の死者が報告されている。
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もはや過去の人:なぜゼレンスキーは米国から見放される危険に瀕しているのか?

<記事原文 寺島先生推薦>
Yesterday’s man: Why Ukraine’s Zelensky is in danger of being left behind by the US
キエフとイスラエルのどちら?であればワシントンは瞬時にイスラエルを選ぶ
筆者:チェイ・ボウズ(Chay Bowes)、ジャーナリストおよび地政学アナリスト、戦略的研究修士、RT特派員
出典:RT 2023年10月18日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>2023年10月24日

ファイル写真:ウクライナの大統領、ウォロディミル・ゼレンスキー、2023年7月8日、トルコのイスタンブールにて。 © Cemal Yurttas/ dia images via Getty Images」

今月初め、数百人のハマス戦闘員によるイスラエルへのテロ攻撃が世界を驚かせた。これは、ユダヤ人とパレスチナ人の古い対立の新たな拡大の始まりを示すだけでなく、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキーへの政治的および軍事的支援における転換点を示す可能性がある。

残忍なハマスの攻撃と聖書に描かれているようなイスラエルの過酷な反応以前、米国とそのNATOの同盟国は、ほぼウクライナにだけ焦点を当て、時折中国に不安げに目を向けていた。しかし、今、西側のメディアは過熱し、中東を注視、その焦点を中東に固定している。注目がキエフからイスラエル、パレスチナ、およびイランに移るにつれ、キエフの苦悶は増えるばかりだ。

ハマスの攻撃前、ウクライナへの支持の軌道は既に低下の兆候を示していた。数か月前、ポーランドなど、以前の堅固な同盟国が、戦争で引き裂かれた国(ウクライナ)への無条件の支援は果たして賢明なのか、とあからさまに疑問視し、ウクライナを「溺れる人」に例えることなど以前では考えられなかっただろう。これに加えて、広範なヨーロッパの戦争に対する疲労感、ウクライナの失敗した反転攻勢、西側での戦争への支持の崩壊があり、ウクライナは「パートナー」、自国民、そして最も重要なアメリカの政治的エリート層からの支持を維持するために既に厳しい戦いに直面していた。ゼレンスキーが最後に縋ったのは、ワシントンのためにロシアとの代理戦争を戦い、貴重な資源をさらに手元に引き寄せることになる中東での世界的戦火拡大だった。


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実際、穿った見方をする人であれば、ハマスの襲撃が、アメリカがウクライナへの約束から撤退するための魅力的で、以前なら利用できなかった道を提供していると指摘するかもしれない。間近に迫ったアメリカの大統領選挙を考えると、ハマスとの「善対悪」の対立は、長年の重要な同盟国でパートナーであるイスラエルに対する存立の脅威として簡単に括ることができる。それに対して、ウクライナでの代理戦争は、政治的にも財政的にもますます問題となっており、アメリカのジョー・バイデン大統領にとってだんだん厄介になってきている。この新たな(中東での)紛争は、野蛮な残虐行為を伴っているとの報道があり、売り込むことは、はるかに容易だ。

一方で、言葉とは裏腹に、ウクライナへの軍事支援の熱は冷めている。そして、言うまでもないことだが、西側には武器製造能力が、ない。ウクライナにおける大規模地上戦にすら武器供給はできない。さらに拡大した紛争などとんでもない。

ゼレンスキーの失敗した反転攻勢の甚大なコストも切実な問題となっている。この長らく予告されてきた作戦は、ロシアを打倒するはずだったが、キエフの人材、装備、そして西側での評判を消耗させ、戦場でのどんな進展ももたらさなかった。代わりに、これは避けられないと西側で静かに感じられるようになっていたことだが、キエフがモスクワとの合意を模索し、その過程で領土を譲歩せざるを得ないという感覚を増幅させるだけになってしまった。

はっきり言えるのは、中東で紛争が起こっているのに、ウクライナの代理戦争に対する物理的および「感情的」支援ははたして継続できるのか、ということだ。これはロシアに関わりがないということではない。関りはある。ただし、これはゼレンスキーにとっては良い兆候ではない。選挙を行う圧力が高まるにつれ、彼はますます脆弱で、絶望感が物語に漏れ出ている感じがある。これは、最近の新しいイギリス国防大臣であるグラント・シャップスが、同時に「2つの戦争」を戦えるか、と尋ねられた時のありきたりの回答に微妙に示されていた。彼はこう言ったのだ。「ゼレンスキーは、私たちすべてに、この戦いを続け、プーチンに勝たせないことが非常に重要であるかを思い出させてくれるでしょう。それだけでなくより広範な問題に気を取られないようにする必要があるかもしれないことも、です」と。彼はさらに、「ヨーロッパでの戦争は、私たちの心の最前線にあります」とも述べた。こういった発言は、もちろん、表舞台では不吉なことが起こりながら、舞台裏ではその正反対のことが次第に正しくなる、という類のものにほかならない。

イスラエルが、ウクライナが必要とするような種類の軍需品を限られた量しか備蓄していないのは、(中東とウクライナでは)紛争の力学が異なるからだ。しかし、(イスラエルが)今後の長期戦のために(武器を)備蓄する前提条件は満たされるだろう。このことは、アメリカにおける広範なイスラエルの国防と政治のロビー活動が、より小さなウクライナのロビーと対立することになり、前者(イスラエル)が常に上手に立つ可能性が非常に高いだろう。イスラエルに関しては、現職または潜在的なアメリカ大統領によって、運命に放置される可能性はまったくない。例として、表面的には「永遠の戦争に反対」とされる候補者のロバート・F・ケネディ・ジュニアを挙げると、最近、彼はハマスに対するイスラエルの報復を強力に支持しながら、ゼレンスキーへの支援を続ける政治的および経済的根拠に疑念を投げかけた。


Read more:The Israel-Palestine war is Washington’s fault

西側メディアでますます問題視されるウクライナのイメージと、アメリカの多くの市民から英雄的な文明と民主主義の島と見なされているイスラエルとを比較してみたらいい。すると、イスラエルをアメリカの軍事的および財政的支援の受け手として位置付けることは、腐敗と機能不全に悩むウクライナと比べはるかに容易だ。最近のBloombergのインタビューで、チャタムハウスのCEOであるブロンウェン・マドックスは、次のように状況を簡潔にまとめた。「イスラエルとウクライナの選択肢が与えられた場合、アメリカは一瞬でイスラエルを選ぶでしょう」と述べ、ワシントンが現時点でこの決定を直面していないとしても、彼女は「ゼレンスキー大統領が、苦慮しながら、アメリカの関心を引き留めるために戦っていた理由を理解できる」と明確に述べた。

したがって、ウクライナが西側メディアで注目されなくなる中、中東の戦火拡大に関連する他のいくつかの問題も、紛争の持続に影響を及ぼす可能性がある。ロシアの軍隊は陣地を守っており、原油価格が上昇する見込みで、これは世界市場を不安定化させ、キエフへの将来の資金供給への議会賛成が難しくなっている。そしてもちろん、ウクライナに懐疑的なロベルト・フィコの党がスロバキアで最近の選挙に勝利し、欧州の政治的状況も不安定だ。これに加えて、近づいている冬や、ますます対立が激しくなっているEUにもたらす諸課題は言うまでもない。

どうやら、ウラジミール・ゼレンスキーが今見据える先には困難が待ち受けているようだ。国民の最善の利益を心に留めた経験豊かな政治家なら、これに気づいて平和を求めることを選ぶかもしれないが、ゼレンスキーはこれらすべてをひたすら無視し、スポットライトの中心に留まろうと必死になるだろう。これがすべて起こる中、キエフはロシアが中東の苦境に責任があるかのように、数少なくなった聴衆を説得しようとしている。さらに馬鹿げているのは、ロシアが西側の武器をハマスに提供することでウクライナを「陥れよう」としているとさえ口にしているのだ。

キエフのロシアに対する代理戦争が刻々と時間切れになる中、今でも明らかになっていそうなのは、2023年10月7日のイスラエルでの悲劇が1つの紛争拡大ばかりでなく、もうひとつの紛争終焉の始まりを意味するかもしれないことだ。
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なぜ私はもうイスラエル側に立たないのか?なぜ二度と立つことはないのか?

<記事原文 寺島先生推薦>
Why I no longer stand with Israel, and never will again
筆者:スコット・リッター
出典:Scott Ritter Extra 2023年10月14日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>2023年10月25日

イスラエルの爆弾が、2023年10月、ガザを猛攻撃

ガザの門

「攻撃者たちは夜明けに襲来し、町をあっという間に占拠した。男性と女性は分けられ、そして撃たれた。攻撃者の1人は家の扉を開け、中に立っていた老人を見つけた。老人は撃たれた。その攻撃を目撃した一人は、「彼は老人を撃つのを楽しんでいた」と後に述べている。

     町はすぐに空になり、5,000人の住民は殺されるか追放され、生き残った者はトラックに乗せられ、ガザに連れて行かれた。空き家は略奪された 。「俺たちはハッピーだったよ。すごく」とこの襲撃に手を下した人間の一人が後で述べている。「取らなければ、他の誰かが取るよ。返さなければ、なんて感じないな。あいつらは戻ってこないだろうし」。

まるで今日の新聞の一面に掲載された話を引き裂いてきたようだ。ハマスが支配するガザ地区に隣接するイスラエルの町やキブツの市民住民に加えられた残虐行為を描いた、数えきれないほどたくさんある話のうちの1つのようだ。

しかし、実はそうではない。これはイスラエル(建国)の父の一人で、イスラエル独立宣言の署名者であり、イスラエルの初代外務大臣および2代目の首相であるモーシェ・シャレットの息子であるヤアコブ・シャレットの回想録からの抜粋
だ。ヤアコブ・シャレットは、1948年のイスラエル独立戦争中に、イスラエルの兵士によってアラブの町ベエルシェバが占拠された出来事を振り返っている。


スコット・リッターは、Ask the Inspectorの第106回エピソードでこの記事について話し、視聴者の質問に答えます。

1946年、ネゲブ砂漠に勤務する若い兵士として、シャレットは「11ポイント計画」と呼ばれる秘密の計画の一環として、ネゲブ砂漠にユダヤ人の前哨基地を設立し、イスラエルのシオニストとアラブとの予想される戦争が勃発した際にその地域での戦略的拠点となるための11隊の兵士チームのムフタル(連隊長)として任命された。

1948年以前のシオニズムは、聖書に記載されたイスラエルの領土にユダヤ国の再建を目指す運動だった。テオドール・ヘルツルの指導の下、政治運動としてのシオニズム組織は1897年に設立された。ヘルツルは1904年に亡くなり、その後、バルフォア宣言の採択を推進した報酬として、シオニスト組織はハイム・ワイツマンに引き継がれた。バルフォア宣言によってイギリスはユダヤ国家を創設することに関わることになった。ワイツマンは1948年のイスラエル建国までシオニスト組織の長として留まり、その後、彼はイスラエルの初代大統領として選出された。

1946年、連合国は英国のパレスチナ委任統治地をアラブとユダヤの区分に分ける分割案を採択し、ネゲブ地域をアラブに割り当てた。将来のイスラエル国家のシオニスト指導者であるダヴィド・ベン・グリオン、モーシェ・シャレットなどは、シオニズムの原則に献身的な人々と共に、「11ポイント計画」を策定した。これは、当時ネゲブに存在していた状況を変える手段だった。当時、3つの前哨基地に500人のユダヤ人が住み、247の村や町に住む25万人のアラブが存在していた。これにより、11つの新しい前哨基地がネゲブにおけるイスラエルの存在感を高め、パレスチナの歴史家ウァリッド・ハリディが指摘するように、「祖先の土地に住む先住民の多数派」が「一夜にして異なる支配の下での少数派に変わる」状況が作られることになった。

1946年10月5日の夜、ヨム・キプル*の直後、ヤアコブは彼のチームをネゲブに導いた。ヤアコブは語った。「私たちが荒涼とした丘の頂上に自分たちの土地を見つけたときのことを覚えています。まだ暗かったですが、私たちは柱を打ち込むことに成功し、すぐに私たちは塀の中に入りました。明るくなると、トラックがプレハブのバラックを運んできました。それは見事な早業でした。私たちは鬼のように働きました」。
ヨム・キプル*・・・贖罪の日。レビ記16章に規定されるユダヤ教の祭日。ユダヤ教における最大の休日の1つである。ユダヤ暦でティシュレー月10日にあたり、ザドク暦では第七のホデシュの10日で、グレゴリオ暦では毎年9月末から10月半ばの間の1日にあたる。(ウィキペディア)

ヤアコブがシオニスト青年運動に参加していたとき、彼はネゲブ全域を徒歩で旅し、アラブの村々を訪れ、聖書に記載されているヘブライ語の名前を覚えた。ヤアコブの丘の入植地であるハツェリム・キブツの隣にはアブ・ヤヒヤというアラブの村があった。ハツェリムのキブツニクス(キブツの住民)に与えられた使命の1つは、当時ネゲブからアラブ人を大規模に追放する準備をしていたイスラエル軍の計画者によって使用される地元のアラブ人に関する情報を収集することだった。

アブ・ヤヒヤのアラブ人たちは、ヤアコブと彼の仲間のシオニストに新鮮な水を提供し、しばしばキブツの住民が仕事で不在の間にその財産を守っていた。アブ・ヤヒヤの指導者とハツェリム・キブツの指導者との間には、イスラエルがネゲブを支配した際に彼らがその地に留まることを許されるという了解があった。しかし、戦争が勃発すると、ハツェリム・キブツの住民はアラブの隣人に襲いかかり、彼らを殺し、生き残った者たちを永遠にその住まいから追い出した。

生存者の大半は結果的にガザに住むことになった。

アブ・ヤヒヤ村、ベルシバの町、およびネゲブ地方の他の245のアラブの町村がイスラエルの入植者たちと兵士たちによって虐殺および物理的に抹消されたことは、ナクバ(「惨事」)として歴史に刻まれている。ナクバについて語るパレスチナ人は、1948年の出来事だけでなく、その後のすべての出来事を指し、それは現代イスラエルを定義するシオニズムの維持、拡大、防衛を名目としている。イスラエル人はナクバについて話すことはなく、代わりに1948年の出来事を「独立戦争」と呼んでいる。

「ナクバについての沈黙は、イスラエルの日常生活の一部でもある」と、このテーマに関わるある現代の研究者は指摘している。



生きるためにイスラエルの兵士や入植者たちから逃れるパレスチナ人。1948年。

1948年にイスラエルのユダヤ人国家が設立された後、ユダヤ人入植者の一団がダヴィッド・ベン・グリオン首相に近づき、彼らの入植地から男性が集団で軍に従事することを許可してほしいと要請した。その結果、軍事勤務と農業労働を組み合わせた「ナハル(Nahal)」プログラムが創設された。ナハル部隊は駐屯地を形成し、それが後にキブツに変わり、イスラエルへの将来のアラブの攻撃に対する最初の防衛ラインとして機能することとなった。1951年に、これらのナハル入植地の最初である「ナフライイム・ムル・アザ(Nahlayim Mul Aza)」がガザ地帯との国境に設立された。それに続いて、ナハルプロジェクトはガザをこれらの砦入植地で取り囲むことを目指してさらに多くの入植地が設立された。1953年に、ナフライイム・ムル・アザは軍事前哨地から市民のキブツへと転換し、ナハル・オズ(Nahal Oz)と改名された。

ナハル・オズの最初の入植者の一人は、ロイ・ルッテンベルクという男だった。彼は1948年の独立戦争中、13歳のとき伝令の仕事をした。彼が18歳になった1953年には、イスラエル国防軍(IDF)に入隊し、その後将校になった。彼の最初の役職は、ナハル・オズの安全担当士官だった。結婚し、1956年には幼い息子の誇らしい父となった。1956年4月18日、ロイはアラブ人に急襲され、殺害され、その遺体はガザに持ち去られた。国際連合の仲介により遺体は返還され、翌日、1956年4月19日に埋葬された。ロイの死はイスラエル国民を激怒させ、何千人もが彼の葬儀に集まった。



イスラエルの参謀総長モーシェ・ダヤンがロイ・ルッテンベルクのために追悼の辞を読み上げる。1956年4月19日。

イスラエルの参謀総長であるモーシェ・ダヤンは参列し、イスラエルの歴史を決定づけるようなスピーチの一つとして記憶されている追悼の辞を述べた。ダヤンは言った。「昨日早朝」と彼は始めた。彼の声は大勢集まった哀悼者たちの上に響き渡った。「ロイは殺されました。春の朝の静けさが彼を魅了し、溝の端で待ち伏せしている者たちに気づきませんでした」。



今日は、殺人者たちに非難を浴びせるのは控えましょう。どうして、彼らの私たちに対する燃えるような憎しみを公然と宣言すべきでしょうか?8年間、彼らはガザの難民キャンプで過ごしており、その間に私たちは彼らと彼らの先祖が住んでいた土地と村々を私たちの所有地に変えてきたのです。

私たちがロイの血を求めるべき場所は、ガザのアラブ人たちの中ではなく、私たち自身の中にあるのです。どうして私たちは目を閉じ、運命を真正面から見ようとせず、あらゆる残酷さの中で私たちの世代の運命を認識しなかったのでしょうか?そして、ナハル・オズに住むこの若者たちがガザの重い門を肩に担いでいることを、私たちは忘れてしまったのでしょうか?

国境の溝を越えて、憎悪と復讐の欲望の海が膨らみ、それは平静さが我々の進むべき道を鈍らせる日を待っています。憎悪と復讐の欲望は、武器を置くようにと呼びかける邪悪な偽善の心を持った大使たちの声に私たちが耳を傾けようとする日を待っています。

ロイの血が、彼の裂かれた体から叫んでいるのは私たちに向かってなのです。私たちは何千回も誓ってきました、私たちの血は無駄に流れないと。しかし、昨日また私たちは気持ちが揺らぎました、私たちは耳を傾け、信じました。

今日、私たちは私たち自身のことを考えてみましょう。私たちは土地を開拓する世代です。そして鉄の兜と大砲なしでは、木を植えることも、家を建てることもできません。私たちを取り巻く何十万人ものアラブ人たちの生活を燃え立たせ、満たす嫌悪を正面から見ましょう。私たちの持つ武器が弱らないよう、私たちの目をそらすことはやめましょう。

これが私たちの世代の運命です。これが私たちの人生の選択です―準備をし、武装し、強く、決意し、剣が私たちの手から奪われ、私たちの命が打ち倒されることのないようにすることです。

テルアビブを出てガザの門に自宅を建てるために旅立った若いロイは、私たちのための壁となることを望みましたが、彼の心の中の光に目がくらみ、剣のきらめきを見逃しました。平和への憧れが彼の耳を聾し、待ち伏せする殺人の声が耳にはいりませんでした。ガザの門は彼の肩にあまりにも重くのしかかり、彼を圧倒してしまいました。」



このスピーチは、ガザに収監されているパレスチナ人たちがイスラエルに対する憎悪を公然と認識し、その憎悪の源とパレスチナの感情の正当性に対する理解を示す点で注目されている。

しかし、このスピーチは、また、イスラエルの大義の正しさを堂々と述べると同時に、パレスチナの大義の正当性も認めている。ダヤンは言った、「鉄の兜と大砲なしには、イスラエルは定着できない」と。彼はまた、「戦争はイスラエルの「生き方の選択」であり、そのため、イスラエルは軍事的な維持を余儀なくされ、「剣が手から取り上げられ、私たちの命が刈り取られることのないように」と述べた。

10月7日に、数百人の重装備のハマス戦闘員がガザから押し寄せ、ガザを囲む軍事基地とキブツに襲いかかった暴力行為について考える時、これらの施設の起源と目的を決して忘れてはならない。それは、事実上の屋外収容所へガザの人々を閉じ込めるためのものだった。そして、ガザに収監されたアラブ人の中で生まれた感情を忘れてはならない。これらの収容所で生活し、働き、奉仕したイスラエル人は、「ガザの重い門」を肩に担ぎ、周囲のキブツに住んでいた入植者が「彼らとその父が住んでいた土地と村々」をイスラエルのユダヤ人の自国に変えていく姿を目の前で見ながら、「燃える憎しみ」の下で働いていたのだ。

これらのイスラエル人は皆、シオニズムの剣をしっかりと手に握っていた。これらの収容所に住んで働いた大人は誰一人無罪とは言えない。彼らは、その存在と維持において何百万ものパレスチニアンを残忍な拘禁と支配に晒すことを要求する制度であるシオニズムの一部だった。彼らは、モーシェ・ダヤンが呼んだように、その固有の残酷性を持つ「運命」を生きてきた。彼らの世代にとって、「ガザの重い門」はその運命であり、それは、彼らの前のロイ・ルッテンベルクのように、門があまりにも重く彼らの肩に圧し掛かり、彼らを圧倒したのだ。

決して諦めるな

私はイスラエルの友人として自分を数えていた時期があった。湾岸戦争作戦中、イラクのスカッド・ミサイルがイスラエルに対して発射されないような作戦に従事し、1994年から1998年まで、私はイスラエルを広範に旅行し、イスラエル国防軍(IDF)の情報機関であるAMANと協力し、イラクが再び通常の高性能爆薬、化学兵器、生物兵器、核兵器を搭載したスカッド・ミサイルでイスラエルを脅かすことができないようにした。私はイスラエルの将軍、外交官、政治家に情報提供を行なった。

私は、イスラエルの写真解釈者、信号情報収集者、技術情報分析者、および人的情報担当者と長い時間を共にし、イラクの大量破壊兵器の能力が十分にかつ検証可能な形で報告されるよう、あらゆる手段を講じた。私は、イスラエル側担当者たちの驚異的な労働倫理と生得の知識に感銘を受けた。また、国際連合安全保障理事会によって設定された指令に従うという彼らの約束を超える彼らの誠実さにも感銘を受けた。私と国際連合特別委員会(UNSCOM)の仲間の検査官がイラクで行っていた作業に関して、彼らはその約束を充分に守った。

1998年8月にUNSCOMを去る時点で、私は自分自身をイスラエルの真の友人と考えていた(この関係にはマイナス面もあった。FBIは私をスパイ行為法の違反の嫌疑で調査しており、この調査が終了したのは2001年9月11日。私とFBIの工作員3人との面談の後、調査が終了した)。

イスラエルの発達過程で、正直なところ、私はイスラエルに対して少なからぬ矛盾した思いを抱いていた。私は根っからの贔屓ではなかった。最初のイスラエルに対する私の記憶は、1973年10月のヨム・キプル戦争であり、テレビで見た報道に魅了されたことだ。その後、1976年にはエンテベ国際空港の人質救出劇の大胆さと英雄的な行為にも同様に感銘を受けた。しかし、大学に通うようになると、この幼少期の魅了は薄れていった。イスラエル系アメリカ人の同級生が、イスラエル国防軍(IDF)での兵役を終えたばかりだった(私はアメリカ陸軍での勤務を終え、海兵隊の任官プログラムに参加しており、アメリカ市民がなぜ他国の軍隊に入隊するか、またはできるのかが理解できなかった)。また、キャンパス内で非常に活発なヒレル(ユダヤ系学生)組織が存在し、多くのアメリカのユダヤ人がパレスチナとアラブ世界全般に、「ゼロ容認」であることに違和感を覚えた。

私は、中東研究のアッシリア系アメリカ人の歴史学者であるジョン・B・ジョセフ教授に深く影響を受けた。ジョセフ教授は、イランとなる前のペルシャでアッシリア人虐殺を逃れた避難民を親としてバグダッドで生まれ育った。彼がアラブとイスラエルの関係についての授業を開放的な考え方で教える姿勢は、ヒレル団体の「嫌なら出て行け」というやり方とは対照的だった。1983年の春のある日、ヒレルはイスラエルの兵士の代表団をキャンパスに招待し、イスラエルによるレバノン南部への侵攻と占拠について講演を行わせた。私は海兵隊士官候補生課程に在籍しており、1984年5月の卒業時に委任される予定だった。

1983年2月、アメリカ海兵隊員とイスラエル国防軍(IDF)の戦車3両との対立が世界中の見出しを飾った。イスラエルの中佐が指揮する戦車隊は、海兵隊の陣地を通過しようとしたのだ。ベイルートへの進入を阻止するために配置された海兵隊の部隊を指揮するチャールズ・B・ジョンソン大尉は、戦車の前に立ち、IDFの将校に対して通過を許可しないと告げた。戦車が彼をひき殺そうとしたとき、ジョンソン大尉は拳銃を抜いて、先頭のイスラエル戦車に飛び乗り、中佐に対して、「私を殺してから通過しろ!」と告げた。イスラエル軍は引き下がった。


ベイルートにおけるイスラエルのセンチュリオン戦車。1982年

ベイルート外での対立は、アメリカとイスラエルの間で緊張を引き起こし、アメリカ国務省はイスラエルの臨時代理大使ベンジャミン・ネタニヤフを呼び出し、イスラエルの挑発行為に抗議した。この出来事により不協和音が生じ、イスラエル側はジョンソン大尉の口臭がアルコールの臭いがしたという噂を広めた。

この噂を、私が出席したキャンパスでの講演で、IDF(イスラエル国防軍)の兵士大使の一人が繰り返した。私は怒りを感じ、立ち上がって講演者に食ってかかった。あまり外交的ではない方法で、私はIDFの兵士に対して、米国の土地で、米国海兵隊の将校の評判を傷つけるのを黙っているつもりはないと言った。私の言葉に内在する暴力を感じ取り(私はすでにジョン・ヒンクリー、ロナルド・レーガン大統領の暗殺未遂犯がもっとうまく撃っていたらと願った学生を殴ったことで、キャンパスでは評判になっていた)、ヒレルの主催者が介入し、IDFの兵士をステージから外し、キャンパスから退場させた。

次にイスラエルと、間接的だが、関わりがあったのは、湾岸戦争(「砂漠の嵐」作戦)の時だった。アメリカ軍の任務はクウェートをイラク軍から解放することだったが、イラクは改造されたスカッド・ミサイルをイスラエルに発射した。それはイスラエルを紛争に巻き込む可能性があった。ジョージ・H・W・ブッシュ大統領が慎重に結成したイスラエルと同じ側で戦うことを拒否する多くのアラブ諸国から成る連合を崩壊させかねない行為だった。イラクのスカッド・ミサイル発射を阻止することが戦争の最優先事項となり、私はノーマン・シュワルツコフ大将指揮下のスカッド・ミサイルの専門家として、この取り組みに大きく関与した。(私は思い出すのだが、2007年にアメリカの主要なユダヤ人団体で、公然と敵意をむき出しにする聴衆に講演を行ったことがある。私はイスラエルのために自分の命を賭けていたのに、彼や他のユダヤ系アメリカ人たちは聖地を逃れるための切符を買っていたのだった)

戦後、私はイラクにおける国連の任務を支援する独立した情報機能を作成するためにUNSCOMに採用された。1994年、私はUNSCOMがイスラエルとの情報に関する協力に関して秘密のチャネルを開く提案をした。私の提案は承認され、私はUNSCOMがイスラエルに送った最初の代表団を率い、AMANの長官と研究分析部(RAD)の長官と会談し、UNSCOM-イスラエル情報協力の範囲と規模について話し合った。

1994年10月の私の初めてのイスラエル訪問中、私はイスラエル空軍の情報将校に紹介され、次の4年間、彼は私の主要な対話者となった。私たちの専門性を持った関係は申し分なかった。この将校(そのエネルギーや知識、そして経験は比類ない)がいたからこそ、UNSCOMとイスラエルとの関係が成功したことは間違いない。私がこの男性(友人としてだけでなく同僚として見るようになっていた)に最も感銘を受けたのは、彼が、私にイスラエルを理解し、評価することをどれだけ望んでいたか、の気持ちだった。彼は、私のような外国人が影響を受ける時は、イスラエルがテレビ向けに演出した喧伝ショーではなく、実際のイスラエルを理解してほしいと強調した。

そう、私はイスラエルのヘリコプターツアーを提供され、鳥瞰的にイスラエルがどれほど小さく、脆弱であるかを目にした。そう、ヘリコプターはマサダに着陸し、私はそのイスラエルの歴史におけるその時期の悲劇について教育を受けた。そう、私はゴラン高原に向かい、シリア軍の所在を、望遠鏡を通して見ることができる前方観測所に案内された。これらすべては事実だ。しかし、私のイスラエル側の応対役が賢明に指摘してくれたのだが、私が実際に興味を持っていたのは「スカッド博物館」であり、そこではイスラエルが砂漠の嵐作戦中に自国に落ちたすべてのスカッド・ミサイルの破片を展示していた。これは私の任務であるため、私はそれに興味を持っていた。

イスラエルと恋に落ちてはいなかった。

徐々に、私の応対役は、検査の予定から自由な時間にどこに行けるか、何を見るかに関する制約を緩和した。妻は私を訪ねてきて、私たちは長い週末をイスラエルで過ごした。私は彼女を、死海や、エルサレム(エルサレムで私たちは、処刑が行われたカルバリの丘までイエスが進んでいったビア・ドロローサを歩いた)、ナザレ、ガリラヤ湖、そしてヨルダン川に連れて行った。これらはすべて新約聖書にそのまま記載されている場所だ。信心深いジョージア正教徒である私の妻は忘我状態だった。一介の歴史家である私は深く感動した。応対役は私に言った、「足元でひっくり返すすべての石が物語です。この土地は歴史に満ちています」。


ビア・ドロローサ(エルサレム)

私たちはすぐに、イスラエルの歴史そのものについての議論に取りかかった。まずは私が働いていたイスラエルのイメージ宣伝部門があったサロナ(ドイツ人植民地としても知られている)から話し始めた。私たちは、エルサレムのキング・デビッド・ホテルを訪れながら、イギリスの委任統治についても議論した。このホテルは、1946年にメナヘム・ベギンが率いるイルグンテロリスト組織によって実行された悪名高いテロ攻撃の現場だった。ベギンは後にノーベル賞を受賞したイスラエルの首相だ。多くのイスラエル人は、ベギンやイルグンにそんなレッテルを貼ることに不快感を抱くだろう。私の応対役は言った。「いいですか、彼はテロリストでした。ヤーセル・アラファートとは多くの共通点がありました」。こういった率直な態度を示してくれたので、私はこの応対役がますます好きになった。

私たちは、カファー・アーザのキブツにある「マーオズ・ムル・アーザ(ガザの要塞)」博物館を訪れて、イスラエルの国家誕生に関する議論をした。炎の下で生まれる国家(この博物館は1948年にエジプト軍によって破壊されたサアド・キブツの場所に建てられている)に関するイスラエル側の言説と、家族が強制的に自宅(カファー・アーザ・キブツの周辺地域を含む)から立ち退かされたパレスチナの「ナクバ(大惨事)」を比較対照した。(このカファー・アーザ・キブツは2023年10月8日にハマスによって標的とされ、ハマスの戦闘員による暴力で多くの住民を失った場所のひとつだ)。

私たちは、イスラエルの初代大統領であるダヴィッド・ベン・グリオンの言葉について議論した。彼は「もし私がアラブの指導者なら、イスラエルとの合意に署名しないだろう。それは正常なことだ。私たちは彼らの国を奪った。それは真実だ。神はそれを私たちに約束したが、そんなことは彼らにとってどうでもいいことだ。私たちの神は彼らの神ではない。反ユダヤ主義、ナチス、ヒトラー、アウシュヴィッツがあったが、それは彼らの過失だろうか?彼らの視野にあるのはただ一つのこと。私たちは来て、彼らの国を奪った、ということ。どうして彼らがそれを受け入れられるだろうか?」と述べた。

ベン・グリオンのもうひとつの言葉は正鵠を射ている。「私たちの間で真実を無視してはいけない・・・政治的には、私たちが攻撃者であり、彼らは自己防衛をしているのだ」と彼は言った。「この国は彼らのものだ。なぜなら彼らがそこに住んでいるからだ。一方、私たちはここに来て定住したいと考えている。彼らから見れば、私たちは彼らの国を奪いたがっている、ということなのだ」。

「彼の言っていることは正しかった」と応対役はベン・グリオンについて言った。「イスラエルは非常に難しい歴史を抱えています」。

この難しい歴史の結果は、私の応対役や、彼の家族、そして彼のイスラエルの仲間たちにとって生存にかかわるものだった。私は、テルアビブとエルサレムを分ける丘に位置する彼の家によく招かれた。そこでは、特別な絆を共有する人から期待されるようなもてなしを受けた。バーベキューを楽しみ、彼の10代の娘が私たちの楽しみのために選んだ音楽を聞きながら、私の応対役は彼の地域を見下ろす丘を指した。そこには遠くに見える村があり、モスクの尖塔、それは紛れもなくアラブだ、ということを示していた。

「これが『グリーン・ライン』です」と彼はその丘を指さしながらいった。「グリーン・ライン」は、1948年のイスラエルの創設時に設定された、元の国境を表している。1967年の六日戦争の後、イスラエルは今日の西岸として知られる地域を制圧した。パレスチナ人は、自分たちの土地を取り戻し、イスラエルとパレスチナの国境を「グリーン・ライン」に戻すために戦っていた。

「あなたは軍人です」と彼は言った。「だから、お分かりですよね。家族や隣人たちがどうなるかを。もし敵があの辺を占拠したら、そこに迫撃砲や狙撃兵が配置されたら、です」。彼は、ほとんどささやくようにして言った、まるで妻や子供たちに聞かれないように、といった様子で。言葉を隠すかかのように、「みんな死んでしまいます」。

「私たちは平和が必要です」と応対役は締めくくった。「パレスチナ人に土地を返し、私の家族が恐れずに生活できるような平和が必要です」。

大半の軍人はそうだが、私の応対役は国内政治に関しては無関心の風だった。ある時、サロナ地区の近くの地元の食堂で座っていると、彼は少し離れたテーブルに座っている小柄な男を指差して、「あれはエフード・バラクです」と言った。バラクは1995年初頭にイスラエル国防軍を退役し、その軍歴を総参謀長として終えた。「彼は今政治の世界に足を踏み入れています」と応対役は指摘した。「今、彼は嘘をつくことを学ばなければなりません」。

応対役は彼の政治的所属を言わなかった(そして私も聞かなかった)が、私には2つのことがはっきりした。まず、彼はイツハク・ラビンを尊敬していた。ラビンは軍人から政治家になった人物だ。ある時、彼はこういった。「彼も他の政治家と同様に嘘をつきます。しかし、彼は平和のために嘘をつくのです。それなら受け入れられます」。

そして、彼はベンヤミン・ネタニヤフを心底軽蔑していた。応対役は警告した。「彼はイスラエルを破滅させるでしょう。彼はただ憎しみしか知りません」。

私のイスラエルへ何回も訪問したが、テロの脅威は常に起こる現実だった。1994年10月19日、私の最初のイスラエル訪問中に、ハマスの自爆テロ犯がテルアビブの繁華街ディゼンゴフ・ストリートに停車していたバスで自爆し、22人が死亡した。この場所は私のホテルから歩いてすぐの距離にあった。1995年7月24日、私の3回目のイスラエル訪問中に、別のハマスのテロリストがテルアビブ郊外のラマト・ガンでバスに乗って自爆し、6人が死亡した。4回目の訪問中、1995年8月21日に、別のハマスの自爆テロ犯がエルサレムの郊外であるラマト・エシュコルでバスを襲撃し、5人が死亡した。

ディゼンゴフ・バス爆破。1994年10月19日

これらの攻撃がイスラエルの人々に与えた影響は手に取るようにわかった。死者を悼む人々の目からは涙があふれ出た。私が思い出すのは1995年7月の攻撃の後のことだった。私はテルアビブの繁華街にあるイスラエル国防軍の本部キリヤ内での約束を取ってあった。IDFが派遣した運転手が迎えに来てくれた。私は尋ねた。「会議は中止ですか?」。彼は険しい表情で答えた。「いいえ、生きることを止めるわけにはゆかないでしょう」。

車は、応対役が事務所を構える建物に到着した。彼の下では何人かの女性IDF兵士が働いていた。彼女たちは私を待合室に案内し、お茶を勧めてくれた。私は彼女たちの目が赤く、顔に涙が流れているのに気づいた。応対役が部屋に入ってきたとき、私は尋ねた。「出直そうか?」。彼は女の子たちを部屋に呼び戻した。「スコットさんが出直そうかと言っているけど、どう?」と言った。

「もし諦めたら、テロリストの勝ちです」と一人の女性は答えた。「私たちは諦めません、絶対に。あなたも諦めないでください」。

1995年11月4日、応対役はキリヤから私をホテルまで車で送ってくれた。私たちはイスラエル王たち広場を通過した。これは政治的な集会が頻繁に開かれる大きな公共の場だ。その夜、1つの集会が予定されていた 。イツハク・ラビンの支持者による、オスロ和平プロセスを支持する平和の集会だった。ラビンは1995年9月28日にワシントンD.C.でPLO議長ヤーセル・アラファートと会い、そこで2人はオスロII協定に署名した。


イツハク・ラビン(左)がヤーセル・アラファート(右)と握手し、ビル・クリントン(中央)が見守ってる。

ハマスのテロ攻撃はオスロ和平プロセスを妨害するために計画された。しかし、イツハク・ラビンは、彼の主要なライバルであるベンヤミン・ネタニヤフからの国内政治的な抵抗にもかかわらず、この流れを成功に導く決意を揺るがさなかった。

ネタニヤフは、ラビンがユダヤ教の伝統と価値観から遠ざかっていると非難し、過激な右翼のユダヤ教宗教過激派を彼の大義に結集させた。しかし、ネタニヤフの行動は単なる政治的な言辞を超え、政治的な暴力に向かった。1994年3月、テルアビブ北部のラアナナ近くで、右翼の宗教団体であるカハネ・ハイ(Kahane Chai)が主催した抗議行進が行われた。ネタニヤフはカハネ・ハイの前を行進し、彼の後ろには「ラビンはシオニズムの死を招いている」と記された棺が運ばれた。1995年10月5日、イスラエルのクネセット(国会)がオスロIIを支持することを決議した日、ネタニヤフは10万人を超える大規模な反対デモを組織した。人々が「ラビンに死を!」と叫ぶ中、ネタニヤフは群衆に前進するよう促した。

「今夜、外出されるのだそうですね」と応対役は言った。私はRADの2人の若い大佐とその婚約者たちと一緒に夕食を取ることになっていた。「ここに近づいてはいけません」と、応対役は、イスラエルの王たちの広場を指さしながら言うのだった。「ラビンは今夜ここで演説する予定で、暴力沙汰になる可能性が非常に高いです。彼は中止すべきなのです」と応対役は続けた。「彼に危害を加えようとする人間があまりにも多く、ここではその機会があまりにも多すぎます」。

その夜、ちょうど午後9時30分を過ぎたころ、私と2人の友人、その友人たちの婚約者たちに、夕食が出されたばかりだった。これから食べようという時だった。レストランのオーナーが私たちの前に現れた。「イツハク・ラビンが撃たれました」とオーナーは涙を流しながら言った。「彼は病院に運ばれました。私たちの祈りが必要です」。

言葉を発することなく、みんなテーブルを立ち上がり、レストランを出た。支払いは一切しなかった。夕食を共にしようとした同行者が私をホテルに送り届けてくれた。ラジオを聞きながら最新のニュースを私に伝えてくれた。

その集会には10万人の人々が集まり、ラビンは情熱的な演説を行なった。「大半の人たちが平和を望んでおり、そのための危険を引き受ける心構えはできているということを疑ったことはありません」と、彼は彼を賞賛する群衆に語った。

イスラエルを裏切ったと信じた右派の宗教心を持つユダヤ人が、ラビ(ユダヤ教指導者の尊称)の指示に従い、ピストルの引き金を引き、ラビンの命を奪ったのだった。

午後11時15分、イツハク・ラビンの死がイスラエルの国民に発表された。テレビでその発表を見ていたホテルの部屋から、隣の部屋から、そして下の通りから泣く女性たちの嗚咽が聞こえた。

11月5日は国民的な哀悼の日となった。イスラエルは、翌日11月6日、暗殺された指導者を埋葬した。

11月7日、私の運転手はロビーにいて、私をキリヤへ連れて行った。私の応対役と配下の兵士たちは仕事に戻っていた。2日後の11月9日、イスラエルがロシアからヨルダンへのミサイル誘導および制御装置の出荷(搬送は、ヨルダンからイラクへ)について収集したとの情報が私にはあった。私はイスラエルとヨルダンを分けるアレンビー橋を渡り、ヨルダンの治安官に迎えられた。その夜、私はヨルダン国王の私設事務所の長であるアリ・シュクリと会い、彼とヨルダン情報機関の長に、ミサイル部品が保管されているとイスラエルが信じていた倉庫を強制捜索するよう説得した。強制捜索は実行され、翌日イラクに出荷される予定だった数百の誘導および制御装置が押収された。

次の夜、私はイスラエルに戻るのを待つ中、イスラエルの応対役たちの不屈の精神ついて考えた。彼らは諦めなかった、と私は思った。

私たちは諦めなかった。

私の応対役の取れる方策を示すために、強制捜索の結果を待つ間、アリ・シュクリが私に話してくれた彼の父親(今のテルアビブの隣のヤッファ市出身の裕福なパレスチナ人)の話を私は詳しく語った。ある通りには彼の父親の名前を冠せられているのだった。そして、彼は自分の代わりにその通りを訪れてほしいと私に依頼した。私はその話を応対役に伝えた。そして私たちは、ためらうことなく、応対役の車に乗り、古いヤッファ市を探索した。通りの名前はすべてヘブライ語に変わっていたが、応対役は幾人かの高齢の人々に声をかけ、古い通りの名前を覚えているかどうか尋ねた。彼らは覚えていた。やがて私たちは明るく照らされた大通りを歩いていた。

「私は、イツハク・ラビンはアリ・シュクリがこの通りを自分で歩けるようになることを望んでいたと思います」と私の応対役は述べた。「おそらくは、彼が家族と一緒に生きることすら、も」。

私たちは静かな通りを歩きつづけた。それぞれの思いに浸りながら。

「建国の父」の罪

1996年1月5日、イスラエルの治安部隊は「エンジニア」として知られるハマスのメンバー、ヤヒヤ・アイヤーシュを暗殺した。アイヤーシュはハマスの主要な爆弾設計者で、その爆弾はイスラエルに対するハマスのほとんどのテロ行為に使用された。イスラエルの治安部隊は、わずかな量の高性能爆薬が仕掛けられた携帯電話を手に入れることができた。アイヤーシュをその電話に出るよう誘導し、爆発を起こすことで、このハマス爆弾製作者を即座に殺害した。

通常、イスラエルはこのような性質の標的暗殺に対する責任を取ることについては口が重いのだが、私は応対役たちから非公式な説明を受け、アーヤッシュを殺す過程について説明されていた。おそらく、私のイスラエルでの仕事に彼の爆破が与えた影響を考慮して、私は知る必要があると思ったのだろう。

アーヤッシュの殺害は、ハマスから暴力的な反応を引き起こした。その後の数週間および数ヶ月にわたり、ハマスはイスラエルの市民に対する恐怖作戦を展開した。1996年2月25日から3月4日までの期間に、エルサレムでのバス2台とテルアビブのディゼンゴフセンター外での爆破事件を含む3つのテロ事件が発生し、55人が死亡し、数百人が負傷した。これらの事件は国を震撼させ、1996年5月29日に行われた総選挙でベンヤミン・ネタニヤフを首相に選出する一因となった。

ネタニヤフの選出から、私がUNSCOMを辞任するまでの期間、すなわち1998年8月までは騒乱と変化に満ちたものだった。ヨルダンでの傍受作戦の成功が、UNSCOMとイスラエルとのさらに深い関係の道を開いた。これは私とイスラエルの応対役との関係が円滑に進んだことにより実現したものだった。私たちは、情報融合細胞と同等のものを創り出すことができた。つまり、情報画像の解析や、SIGINT(信号情報)収集、および人を介した情報などを組み合わせたものだ。それはUNSCOMが、イラクが大量破壊兵器プログラムの真実を隠す過去の試みや、制裁に関する安全保障理事会の決議に違反する、大統領府と関連する現在のイラクの活動の証拠を明らかにするのに役立った。

AMANの新任長官であるモーシェ・ヤアロンとの仕事上の関係はこれ以上ないというほど強力だった。そしてイスラエルは私が支援を要請したすべての要求に応じるように格別な努力をしてくれた。そしてその結果は否定しようもなかった。私がイスラエル情報機関との関係を始めた1994年には、イラクがイスラエルに対する脅威のリストのトップにあった。しかし、1998年までに、イラクは極右の国内過激派、イラン、ヒズボラ、そしてハマスの下、5番目に低下した。この変化は、UNSCOM(国連特派団)とイスラエルの協力で、イラクの大量破壊兵器プログラムの真の能力についての理解に到達できた結果だった。

しかしながら、1998年に、私と私の応対役が1994年10月の最初の会合から慎重に育ててきたこの関係は突然終了した。アメリカ合衆国の圧力の下、イスラエルはUNSCOMとの情報提携を終了したのだ。1998年までに、この関係を機能させてきたAMANチーム全体が交代し、モーシェ・ヤアロン、ヤアコブ・アミドロール、そして私の応対役と続いてきた担当全員が交代した。新しいチーム、AMANの責任者としてアモス・マルキン、RADの責任者としてアモス・ギラド、そして新しい「応対役」は、UNSCOMの情報共有作業を直ちに停止させた。私は1998年6月初旬に最後のイスラエル訪問をし、そこで新しい状況について担当者から説明を受けた。

2ヵ月後、私はUNSCOMを辞任し、武装解除の使命を実行することはもはや不可能となった。


イスラエル軍情報の研究分析部門の責任者アモス・ギラド

イスラエル政府との専門的な関係が突然終了した状況にもかかわらず、私は常にイスラエルの人々、さらにはイスラエル国に対して心の中に特別な感情を抱いていた。イスラエル側の応対役とともに入念に行った事実に基づく調査結果をアモス・ギラドが一人で台無しにしてしまうのだった。彼は、イラクの脅威順位を引き下げることになった、事実に基づいた発見に見向きもしなかった。そして、再びイラクを戦争に値する脅威の地位に引き上げることになった。それでも、私はイスラエル全体を非難することはしなかった。しかし、関与した個人としてのイスラエル人、その中でもこの人間、イツハク・ラビンから首相の座を奪い取ったベンヤミン・ネタニヤフは非難する。

ネタニヤフは政治的指導者としては無能だったので、1999年、エフード・バラク(彼は明らかに、イスラエルの政治家としての役割に十分な程度で嘘をつくことを学んだようだ)に代えられることになった。2002年9月、ネタニヤフはイラクの核兵器プログラムについてアメリカ議会で証言した。彼は一人の市民として証言してはいるが、元首相という立場はその言葉にふさわしくない信頼性を与えることとなった。

「サダムは何の疑問の余地なく、核兵器の開発を探り、作業をし、そして進めています。サダムが核兵器を持つようになれば、テロネットワークも核兵器を持つことになるでしょう」とネタニヤフは述べた。

ネタニヤフの発言は、私と私のイスラエル側担当者が結論づけた調査結果と直接矛盾していた。これらの調査結果は、イラクの核プログラムの廃棄を監督する国際原子力機関(IAEA)によっても共有されており、イラクの核プログラムは消滅し、再構築の証拠はないというものだった。

しかし、ネタニヤフの仕事はイラクの核プログラムに関する真実を伝えることではなく、むしろイラクの核兵器の脅威によって生じた恐怖を利用し、サダム・フセインを権力から追放するためのイラクとの戦争を正当化することだった。「サダムとサダム政権を排除すれば、その地域に測りきれないほどの良い影響を及ぼすことを保証します」とネタニヤフは彼の話に膝を乗り出す聴衆に語った。「そして、イランの隣に座っている多くの若者や他の多くの人々は、そのような政権、そのような専制者の時代は終わったと思うでしょう」と述べた。


議会で証言するベンジャミン・ネタニヤフ。2002年。

今日振り返ってみて、アメリカの違法なイラク侵略と占拠の恐ろしい結果、そしてイラン政権が不退転の核プログラムを背後に確固として築いていることを考えると、ベンヤミン・ネタニヤフの言っていたことはすべてにおいて間違っていたことは明らかだ。しかし、それは最初から彼の手口だった。イスラエルが直面する威嚇を誇張し、嘘をついて、結局は大惨事をもたらす軍事行動を正当化することだった。

UNSCOMを辞任した後、イラクの大量破壊兵器に関する事実について上下両院議員を教育するために、アメリカのワシントンDCに頻繁に出張した。その過程で、アメリカ・イスラエル公共行動委員会(AIPAC)の工作員たちが常に私を尾行した。私がある議員の事務所を出ると、AIPACのチームは私の後に入り、その議員に、再選費用を支払った人物は誰か、と確認するのだった。

数年後、私は2001年の映像を観た。その中でネタニヤフは、アメリカがどれほど簡単に制御できるか、イツハク・ラビンの最大の遺産であるオスロ合意を公然と破壊できることを知っていることまで自慢した。アメリカが後退することを完全に知っていたのだ。「私はクリントンと対立することを恐れなかった」とネタニヤフは自慢した。「私はアメリカがどんな国かを知っている。アメリカは簡単に動かせるものだ。正しい方向に動かせる」。

アメリカがイラクとの戦争に入ったのはイスラエルのせいだ。ネタニヤフによる嘘とアメリカにおける代理人であるAIPACを通して行なわれたイスラエルの操作のせいだ。監督の責任をアメリカ人に負っている議会の義務も代理の対象となった。

AIPACが独自の意思で行動していたと思わないでほしい。FBIはAIPACの高官たちとイスラエルの外交官ナオル・ジロンとの間で機密情報の転送に関する共謀の証拠を発見している。

ナオル・ジロンは、ニューヨークの国連イスラエル代表部で私の連絡担当だった。

しかし、私とAIPACの違いは、私のすべての連絡担当が国連とCIAによって承認されていたことだ。

AIPACは、文字通りイスラエル側のスパイとして自由契約で活動していた。

アメリカの外交政策と国家安全保障政策にイスラエルが干渉したことに対して、私が怒り狂った、などという言い方では私の気持ちを尽くすには不十分だ。それにもかかわらず、私は自分がイスラエル側の立場に立っている姿勢を崩さなかった。

2006年11月13日、私はコロンビア大学の国際関係学部で講演した。テーマはイランの核プログラムだった。私は、「部屋の中にいる象」*と表現したものとして「イスラエル」に言及して演説を始めた。私は、イスラエルがアメリカの緊密な同盟国であり、イスラエルとイランが衝突した場合、イスラエルの「合法的な国家安全保障上の懸念」はアメリカのものでもあり、戦争さえも引き起こす可能性があると述べた。
「部屋の中にいる象」*・・・〔誰もが認識しているが〕話したくない[口に出したくない・無視している・見て見ぬふりをする]重要な問題[事実](英辞郎)

しかし、私の(イスラエルへの)支持は無条件ではなかった。クリントン政権とは異なり、私は簡単に動かされなかった。私は言った。「イスラエルは傲慢さと権力に酔っています。私は『友達というのは友達が酒を飲んだら運転させない』という言葉に従って行動しています。したがって、イスラエルの友人として、私たちは運転中のバスを止める責任があると考えており、そうしなければそのバスは崖へ向かって一直線だからです」

当時、私はイスラエルがイラク戦争の前段階で行なった行動を繰り返そうとしていることに大きな懸念を抱いていた。イスラエルは情報をでっち上げ(この時点でアモス・ギルドはイスラエルの「情報と安全保障」の皇帝となり、政治と軍事の事務局の長に異動していた)、そして米国の議員やIAEAなど国際機関に虚偽の物語を広めていたのだ。

しかし、他のことも私を悩ませていた。

1997年10月、私はロシアで新しい作戦をイスラエルと協力して行なっていた。その作戦は、ルーマニアの航空宇宙会社の支配株式を購入し、制裁に違反する形で弾道ミサイル技術を入手しようとしていたイラク代表団を追跡するものだった。1か月前、イスラエルのチームはヨルダンのアンマンでハマスの高官を暗殺しようとしたが、失敗した。暗殺者たちは彼らの標的であるハーリド・マシャアル(Khaled Mashal)に毒を盛ったが、マシャアルの護衛に捕まってしまった。怒ったヨルダンの国王は、捕らえられたイスラエルの工作員と引き換えにマシャアルに使用された毒の解毒剤を提供するようにイスラエルに要求した。この問題は解決されたが、イスラエルにとっては大きな恥辱となった。

ベンジャミン・ネタニヤフがハーリド・マシャアルを殺すことを命令していた、と応対役は私に語った。

「それは考えられることだ」と私は答えた。

「そうですか?」と応対役は訊いた。「ハマスはイスラエルが創ったことをご存知ですか?」

これには打ちのめされた。私はキリヤ内の博物館に連れて行かれた。そこにはハマス・テロリストから鹵獲(ろかく)された武器、制服、およびその他の装備品が展示されていた。私の滞在中、ハマスはイスラエル人に対して多くの暴行を犯し、私は彼らをイスラエルの敵と見ていた。

そして、イスラエルがハマスの創設に手を貸した、などということを応対役は口にしていたのだ。その目的はパレスチナの政治指導層内で政治的な分断を引き起こし、ヤーセル・アラファートのファタハ組織の力と影響力を弱めることだったと彼は説明した。これについて、イスラエルは明らかに成功したようだ。しかし、ハマスのオスロ合意への暴力的な反応により、イスラエルはこの関係を見直すことになり、やがてイスラエルは自身の創設物(ハマス)との公然とした戦争に突入した。

私はイスラエルとハマスの関係を政治的な実験の失敗として片付けようとしていた。この政治的な実験とは、2006年、イスラエルがハマスの過去の暴力行為を許したかのように見え、ハマスがパレスチナ議会で多数の議席を獲得するのを助ける条件を作り出そうとしていた時のことだ。しかし、2007年までに、ハマスとファタハとの関係はさらに悪化し、両派の内戦につながり、パレスチナの実体が2つに分かれる原因となった。一方はファタハが率い、西岸に位置し、もう一方はハマスが率い、ガザで活動した。

後に、明らかになったのは、このパレスチナ人同士の内戦は、パレスチナの政治的組織を分裂させ、弱体化させつつ、イスラエルには「敵の敵は味方」という理由でファタハとの関係を改善する機会を提供するために、イスラエルによって仕組まれた、ということだ。

次の十五年間、イスラエルがファタハを制御し、ハマスに対する敵意を利用して、絶え間ない暴力の連鎖に突入する様子を私はしっかり見てきた。この暴力は常にパレスチナの大義がより多くの妥協を強いられ、より多くの失われた領土と、より多くの犠牲者をもたらす結果となった。2014年と2021年のガザ紛争は、そこに住むパレスチナ市民に対する暴力が顕著で、西側では死んだパレスチナの子供たちの姿に対して免疫を持ってしまった人々によってほとんど無視された。

2023年10月8日のハマスによるイスラエルへの攻撃の直後、私の心と脳の筋肉記憶は、この非道な行為に対するイスラエルの対応を支持しなければならないと私に伝えた。

しかし、その後、イスラエルの将軍や政治家が国営テレビで戦争犯罪を公然と提唱し、パレスチナ人を「動物」と呼び、その殲滅を公然と訴えるのを見せつけられることになった。

イスラエル側がハマスの攻撃の性格について嘘をつくのを私はしっかり見た。以前は軍事化された入植地とガザという野外強制収容所を取り囲む軍事拠点への完璧な攻撃だったが、それは制御できない血の渇望の物語に変わり、そしてそれは迎合的なマスメディアによって、何の疑問も呈さない西側視聴者にあてがわれた。

40人の斬首されたイスラエルの赤ん坊という虚構によって引き起こされた衝撃に世界が立ち上がったのを私は見た。一方、イスラエルの空爆によって死んだ、いや、殺された400人近くのパレスチナの子供たちの実際の死に対して世界は沈黙したままだった。


イスラエル爆撃で死亡したパレスチナの子どもたち。ガザ。2023年10月。

そして私は決めた、もうイスラエルの側には立てない、と。

私はパレスチナの大義にたどり着くのが遅れた。イスラエルの物語に取り込まれすぎ、イスラエルの幻想に過度に熱中しすぎ、木を見て森を見ることができなかった。ハマスを嫌うのに忙しすぎて、ハマスにそんなことをさせることになったものを嫌うべきだと気づくのが遅かったのだ。ハマスが過去40年間犯してきた罪を犯すのを助長したものこそを嫌うべきだったのだ。

簡単に言えば、私にはパレスチナの人々の悲劇が見えなかった。

今日、私はイスラエルの物語において唯一の真の犠牲者はパレスチナの人々であることを知っている(明るく輝かしい未来を築いていると主張するが、死と破壊だけしかもたらさない大人たちによって押し付けられた悲劇的な出来事に巻き込まれているあらゆる階層の子供たちを除いて)。

少なくともイスラエル建国の父たちは十分誠実でこのことはわかっていた。

今日のシオニストたちは、イスラエルが生まれ、維持されるには、存続能力のある、自由で独立したパレスチナが犠牲となる必要があることを認める道徳的な資質を持っていないこと、イスラエルがそのようなパレスチナが存在することを決して許さないこと、そしてシオニストのイスラエルが存在するなら、独立したパレスチナは絶対に存在しないことを認めることができない。

建国の父たちの罪というのは架空のものではない。特にイスラエルの建国の父たちがパレスチナの人々に対して犯した犯罪についてはそうだ。モーシェ・ダヤンはこれを認めた。同様に、ダヴィド・ベン・グリオンも認めた。彼らは、基本的にそのイデオロギーや動機づけに欠陥を持った人間たちだったが、正直にそれを認めていた。

ベンジャミン・ネタニヤフと彼の現代のイスラエルの政治家仲間は、政治的所属に関わらず、そのような誠実さを持っていない。彼らは常習的な嘘つきで、男であれ女であれ、パレスチナの将来に関わる際、一つを約束してもすることは別、といった人間だ。同時にイスラエルを恒久的な戦争へ導いている。

私はパレスチナの大義にたどり着くのが遅れた。しかし今はたどり着いているので、これは言える。ハマスとシオニストのイスラエルの両方を打倒する最良の方法は、自由で独立したパレスチナ国家を支持することだ。

私はハマスの立場に立ったことはない。これからも絶対にないだろう。

私はかつてイスラエルの立場に立った。しかし、今後、同じ振る舞いをすることは絶対にないだろう。

この40年間、イスラエルとハマスの結託は悲劇的な経緯をたどってきた。お互いがお互いを破壊したいと主張しながらも、双方とも相手なしでは存在できないという恐ろしい真実を知っているのだ。

イスラエル・パレスチナ問題は、パレスチナ人の苦しみと苦難を糧にし、終わりのない暴力の連鎖となっている。この連鎖に終止符を打つ時が来たのだ。

この瞬間から、私は常にパレスチナの人々の側に立ち、中東に平和への唯一の道は、その首都を東エルサレムにしっかりと永遠に定着させ、存続能力のあるパレスチナの祖国を経由する道だと確信している。

このようにして、ハマスはテロ組織としての地位を奪われるだろう。合法的なパレスチニアン国家はハマスが作り上げてきた永続的な紛争国家を一掃するだろう。この状態は、シオニスト・イスラエルが存在を許容しない正当なパレスチニアン国家の追求で正当化されることになる。

合法的なパレスチナ国家は、本質的にパレスチナの人々の永続的な搾取によってのみ存在できるシオニスト・イスラエルの存在概念を非合法化する。ベンジャミン・ネタニヤフは、ハマスによる暴力の絶え間ないサイクルを通じて恐怖を煽り、現代版シオニスト・イスラエルを維持することができた。

ハマスによる脅威を取り除けば、シオニスト・イスラエルはもはやイスラエル市民や世界に対して現代版イスラエルにあるアパルトヘイトのような現実に目隠しすることはできない。基本的な人道的価値は、シオニスト・イスラエルにそのシオニストのイデオロギーを捨てるよう迫る。アパルトヘイトのような白人至上主義の恥ずべき遺産を捨て去った南アフリカのように、ポスト・シオニストのイスラエルは、必然的に、非ユダヤ人の隣人たちと平和的に、繫栄した共存関係を築くことを学ぶことになるだろう。植民地的なアパルトヘイトとしてではなく、イスラエルを故郷と呼ぶ人々が共に掴むであろう生活実験の等しい相手役としてだ。


ガザにひらめくパレスチナのの旗

ロジャー・ウォーターズの素晴らしい曲、The Gunner's Dreamの歌詞が、そんな場所を想像させる:

You can relax
on both sides of the tracks
And maniacs
don't blow holes in bandsmen by remote control
And everyone has recourse to the law
And no one kills the children anymore
お前には安らぎが、
立場を越えての安らぎが。
そして狂人の
遠隔操作も音楽奏者にゃ放心だ。
そしてだれもが法には抱擁。
もうだれも子どもを殺すことはない。


私はパレスチナの立場に立つ。なぜなら、私の住みたいのは、子どもたちがハマスの銃撃で荒らされたキブツの中の血まみれの家具から引き出されることなく、また子どもたちがイスラエルの爆弾によって粉々にされた家屋の残骸から、黒く煤けた状態で取り出されることのない世界だからだ。

もうだれも子どもを殺すことはない。

この歌詞は「The Gunner's Dream」からだとしても、それは人間性と共感の一片を守ろうと生きているすべての人間の夢の恒久的な一部であるべきだ。

私はパレスチナの立場に立つ。なぜなら、イスラエルとパレスチナの子供たちを支持しているからだ。十分わかっているのは、彼らが戦争で結ばれた敵ではなく、平和の中で隣人として共に生きる未来の唯一のチャンスは、自由で独立したパレスチナが存在することなのだ。
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ロシア国防省は、米国によるウクライナやその他の国々での軍事生物研究の分析を継続中

<記事原文 寺島先生推薦>Russian MoD Continues Analysis of the Military-Biological Activities of the United States in Ukraine and Other Countries
出典:International 360° 2023年10月10日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2023年10月日

  ロシア連邦の国防省は、ウクライナやその他の国々での米国による軍事的生物研究の分析を継続中である、とロシア軍放射線・化学・生物学的防衛隊を率いるイーゴリ・キリーロフ中尉が述べた。

 以下は、ロシア連邦軍の放射線、化学および生物防護軍の責任者であるイーゴリ・キリーロフ中尉の会見の要旨である。その内容は、ロシア連邦国防省「情報・マスコミ局」が提示した軍事的生物研究文書の分析についてであった。

 「私たちがすでに指摘しているのは、国家保健体系の開発支援、生物テロの脅威や生物兵器の拡散への対策であると装って、世界のさまざまな地域の多くの国々が米軍の利益のために利用されていることです。さらに米国国務省は、外国の領土で軍事的生物学研究を活発におこなっています。

 文書から明らかになったのは、いわゆる「生物学的脅威に対する安全性強化計画」に、国務省が直接関わっていたことでした。そしてこの計画が、オバマ前米大統領により開始されたことが確認できました。中東、東南アジア、アフリカの国々、そしてウクライナは、この計画を実施するための優先地域として特定されていました。

 米当局は、第三者を使うことにより、顧客と調査のねらいを隠しています。第三者とは、契約業社および仲介組織(メタバイオタ社、C-H-TU-EM-HILL社、エコヘルスアライアンスなど合計20社以上)です。

 非営利および非政府組織は、国務省の行動を「隠蔽」するために積極的に利用されています。入手した文書によると、たった1年以内で、少なくとも80社から参画許可費用として受け取った資金がこれらの研究施設に投じられたことがわかりました。
 ロシア国防省が提示した資料は、外国の報道機関で広く広まっています。

 多くの報道機関が注目して取り上げたのは、国防総省の軍事的生物学研究においてウクライナに割り当てられた重要な役割についてでした。ギリシャ語版「バイキング・ニュース」紙の報道は、「...ウクライナは中心的な位置を占めており、米国国務省の生物学研究において特別な地理的関心を集める地域になっている...」というものでした。

 ルーマニアの通信社である「Flax-24」は、バラク・オバマが海外でのアメリカの軍事的生物学研究の推進に関与していたことを報じました。同通信社の報道は以下のようなものでした。「...この米国大統領が軍事・生物学研究に支援をおこなったのは、国務省とこの研究活動を繋げる段階においてだった...」と。

 中東地域(レバノン、イエメン、シリア)の多くの報道機関は、外国におけるの米国の生物学研究所が不当に拡大している件について報じました。同時に、レバノンのアン・ナハー紙は、中東における米国の地政学的優先事項はイラク、イエメン、ヨルダンであると指摘し、米国の軍事的生物学研究をおこなう地域に特徴が見られることに注意を向けていました。

 中国の専門家らは、リドリー(カリフォルニア州)で地下に生物学研究所があることが発見された点に関する要点説明資料について声明を出し、「...米国は、軍民両用の目的を持つこれらの研究や開発の結果について適切に管理していない...」と述べました。

 注意したいのは、ロシア連邦がカリフォルニアの研究所での違法な生物実験に関するデータを公表した後に、米国政府が調査を開始した事実です。即座に3つの議会委員会が、プレステージ・バイオテクノロジー社の活動の調査を開始しました。この会社は、連邦法で禁止されている研究が行われた施設を借りていました。

 カリフォルニア行政当局は生物学研究所の活動を組織する責任を中国に押し付けようとしましたが、これに関する説得力のある証拠は提示されませんでした。

 私たちの情報によると、プレステージ・バイオテック社はネバダ州に登録されており、「偶然の」一致により、調査の対象となった生物学研究所はキングス郡の米海軍基地のすぐ近くにある、とのことでした。

 以前私たちは、米国内で軍事的生物学研究を組織するための計画があったという事実を提示しました。そして、その研究施設においては、海軍が主要な顧客となり研究の調整も行なっています。

 利用可能な文書によると、プレステージ・バイオテック社は20種類程度の病原性微生物や研究施設の設備、研究に使う動物を、目的を明らかにしない形で入手していた、とのことです。この件は、米国の人権団体「司法監視(Judicial Watch)」が独自におこなった調査資料から確認されました。

 この非政府組織「司法監視」が入手した文書から明らかになったことは、この施設に危険な生物学的資料や不適切な在庫が存在したこと、さらには 研究に使用される動物を扱う際の衛生基準を大きく逸脱していたことでした。

 FBIと米国保健省がこの研究施設の活動について情報開示を拒絶したことから、この研究活動が秘密にされるべき性質のものであるということを示唆しています。そして関連諸機関の代表者たちは、米国議会に召喚され、機密情報を開示するよう求められました。

 私たちが何度も繰り返し強調してきたことは、FBIやCIAなど米国の法執行機関が軍民両用目的のこの研究に関与していた事実です。さらには、米国当局がこれらの研究活動の結果を隠そうと努力してきたこともです。

 気をつけていただきたいのは、化学・生物学的保護に関する機密の出版物が置かれた図書館が建てられたと記載された文書があったことです。この図書館の建設準備に当たったのは、国防脅威削減局(DTRA)の職員であるモルガン・ミンヤード氏でした。

 国防総省の代表者は、この図書館の編集委員会の立ち上げを提案しています。この編集委員会は、米国諜報機関にとって問題がある化学的な研究論文の出版を「一掃し」、さらには「軍民両用目的の」研究を機密にするための組織です。そしてこの研究とは、「...国家安全保障に対して取り返しのつかない損害を与える可能性がある」研究であり、それらを別々の箇所に保管し、その保管箇所への立ち入りを制限しています。

 この図書館に資料として保管される研究例として、ネズミの天然痘ウイルスの致死性を強化する実験や、新種のボツリヌス毒素の遺伝子配列の確定などです。

 注意すべきことは、機密情報を納めた図書館を使用すれば、米国政府が「...化学的及び生物学的研究の結果をできるだけ詳細に研究するだけではなく、特定の研究者や協力者らとやり取りする...」ことができるようになるということです。このような情報の検閲をおこなっているという事実から推測されることは、米国政府が研究結果を人々に知られたがっていないということです。つまり、そのような研究結果が化学兵器や生物兵器に関して果たすべき国際的な義務から逸脱しているからだ、と言えます。

 ロシア国防省は、大量破壊兵器に対抗するための米国内での機密戦略作成についての情報を入手しています。その文書の開示(機密情報でないとされたもの)部分が、2023年9月27日に明らかにされました。その文書は、大量破壊兵器の使用に関する国家安全保障の脅威に対応した「国家防衛戦略」について詳述しています。

 国防総省によると、ロシア連邦や中国、イラン、北朝鮮は大量破壊兵器の所有を検討しており、その用途は米国の戦闘能力を制限し、戦争中や軍事紛争時における戦略的目的を果たすためだ、とのことです。

 その戦略からすると、ロシアは中長期的に見て、米国の安全保障における「深刻な脅威」の源になる、とされています。

 いっぽう中華人民共和国は、「拡大しつつある脅威」と記載されています。最近、中国政府が戦略的核兵器の近代化において目ざましい進歩を遂げていることも強調されています。また、北朝鮮やイランは、恒久的な脅威であると記載されています。

 開発者らによると、米国国防省の活動で優先的になされていることは以下のとおりだそうです。
① 大量破壊兵器の使用によっておこなわれる外国からの侵略行為から国の領土を守ることの保証
② 仮想敵諸国が米国やその同盟諸国に対して大量破壊兵器を使うことの抑止
③ 効果的な戦闘行為をおこない、B型肝炎感染(HCB)という状況でも勝つことが可能な連携組織の創設、です。
 同時にこの戦略がさらに取り組みを深めるよう課している司令は、新たな化学的及び生物学的脅威から身を守る措置を作り出すことです。

 したがって、米国政府は、生物兵器禁止条約で認められた枠内で研究の進め方をおこなうのではなく、攻撃を目的とした研究も含まれる軍民両用の使途がある研究の、管理上及び技術的しくみをつくり出そうとしています。

 お知らせしたいことは、米国による不法な軍事的生物学研究や、欧州内で生物学研究施設が置かれている地域での伝染病流行状況が悪化していることを、ロシアが広く知らせようとしているために、米国当局がこのような軍民両用使途目的の研究施設をアフリカ諸国に移動せざるを得ない状況が生まれていることです。

 私たちが開示した文書から、アフリカ大陸に関する国防総省の主要な契約国が明らかになりました。具体的には、コンゴ民主共和国やシオラ・レオネ、カメルーン、ウガンダ、南アフリカです。米国政府側の取引先は国防脅威削減局(DTRA)と国家安全保障局(NSA)、米国国務省です。

 以前、私たちはメタビオタ社の従業員らが行っていた非公認の研究標本についての話をしました。この会社は2014年に西アフリカでエボラ熱が流行した際の国防総省の主要な契約業社でした。この会社の不透明な研究方法については、すぐに世界保健機関(WHO)から疑問の声があがりました。研究標本の不法な輸出が行われた結果、最終的にはエボラ熱の生きたウイルスが米軍の「国立感染症研究所」に届きました。

 米国の生物研究施設のいくつかが置かれているこの地域で感染状況が自然に悪化していることから、多くのアフリカ諸国政府は米国と協力をする必要性や便宜に対して見方を変えるようになっています。だからこそ2022年、アフリカでのメタビオタ社の活動が中止され、同社の違法な業務方法に対する多くの疑問の声が

各国の政府段階から上がるようになってきました。

 世界規模で生物化学分野を支配しようとしている米国の取り組みにともなって、生物兵器禁止条約など普及している国際法の解釈を自国の法律にあった解釈に置き換えようとする動きがあります。このような動きは米国の国益のもとで進められ、西側連合により支援され、それ以外の国々で導入されようとしています。

 このような状況は国際的な諸機関の活動を追えば見えてきます。そしてそのような西側の代表的な諸機関がある決定をおこなうのは、西側にとって利があるときだけなのです。他の国々の優先事項などはおかまいなしです。それと同時に、世界からの注意が意図的に二次的な問題へと逸らされていきます。生物兵器不拡散に関する問題とは直接関係のない問題へと逸らされるのです。例えば、様々なデータベース作成や性的平等の確認、化学兵器禁止条約の催しへの青年諸団体の参加などです。

 思い起こしていただきたいのは、ロシア連邦が多くの効果的な取り組みを提案していることです。これらの取り組みの目的は、生物兵器不拡散体制の強化や生物兵器禁止条約のもとで信頼醸成手段を改善することにあります。

 ロシアが第一に提案しているのは、生物兵器禁止条約において法的に禁止されている研究手順の開発に関する交渉を再開することです。その際行われる効果的な検証の中身には、病原体微生物や毒物、専門装置に対するものが含まれ、包括的な検証であることが求められています。

 2つ目の提案は、米国外で行われている生物学的保護研究や開発の分野に関する情報を公開することにより、信頼を醸成する措置の進め方をひろげることです。

 3つ目の提案は、化学や技術の分野での業績を評価するための「化学諮問委員会」を立ち上げることです。この委員会により、幅広い地域からの声を集めることができ、参加諸国の平等権が確保できます。

 4つ目の提案は、生物兵器禁止条約の枠組み内で移動可能な生物医学派遣団を利用することです。

これらの提案を実際に導入すれば、全ての参加国が、各国の生物学研究の透明性や、生物兵器禁止条約が求めている要求を遵守することが高められることになるでしょう。米国も例外なく、です。

 すでにロシア国防省は、米国の軍事的生物研究の従事していた人々の名を明らかにしています。その中には、国防省の高官らや生物技術関連諸業社、国防総省の契約諸業社も含まれています。

 今日は、軍民両用研究に従事していた、これらの政府機関や米国やウクライナ民間企業一覧表に新たな構成員を加えたいと思います。

 トーマス・ウォール、ウクライナのブラック&ヴィーチ社の副社長及び公式代表。この人物は生物学的薬剤や素材の運営や管理のためのPAX電子システムの導入を監督しました。

 ケビン・オリバル、エコ・ヘルス協会の研究所副所長。この人物は、コウモリが媒介する人獣共通感染症の研究のための米国国防省の計画の導入に直接関わりました。

 ミハイル・ウサティイ。2018年以降、ウクライナ国軍の衛生及び感染症部の副部長。この人物は、ウクライナの米国軍脅威削減局の枠組みの中での組織的な研究を監督しました。

 タチアナ・キリヤーゾワ。ウクライナ公共医療政策協会の事務局諜報機関。この人物はウクライナの対ペスト研究協会を基盤にした米国との病原体の共同研究を監督しました。

 軍事的化学研究活動を組織していた人々や研究に従事していた人々について明らかにされた情報は、ロシア連邦の調査委員会に送られることになります。

 したがって、米国とウクライナによる軍事的生物学研究に関する疑問はまだ残存しており、さらなる事実が明らかになることでしょう。ロシア側は、化学兵器禁止条約の第5条に関する協議会を招集して以来、この状況を解決するような答えはまだ受け取っていません。

 私たちは今後入ってくる文書の分析を続け、その内容を皆さんにお伝えする所存です。


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ハマスによるイスラエルへのテロ攻撃は、さまざまな点で9/11に類似

<記事原文 寺島先生推薦>Hamas’ terror attack on Israel was similar to 9/11 in more ways than one


「想像力の欠如」のせいでイスラエルに対する大虐殺を予見できなかったのだろうか?

出典:RT 2023年10月13日
筆者:ロバート・ブリッジ(Robert Bridge)

ロバート・ブリッジは米国の作家兼ジャーナリスト。『米帝国の真夜中』『いかにして、企業と企業に奉仕する政治がアメリカン・ドリームを破壊しているか』の著者。
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>2023年10月20日

2023年10月8日、イスラエル南部のネティボット市上空で、ガザ地区から発射されたロケット弾を迎撃しようとする、アイアン・ドーム防衛ミサイル・システムから発射されたイスラエルのミサイル。 © MAHMUD HAMS / AFP

 これまでのところ、ハマスによる先週のテロ攻撃の残虐行為に対するベンヤミン・ネタニヤフ政権の唯一の対応は、暴力によるものしか取られていない。将来の予期せぬ事態を防ぐためには、それ以上のことを行う必要があるだろう。

 アントニー・ブリンケン米国務長官は、ハマスの襲撃を米国本土史上最悪のテロ攻撃と比較することまでした。「イスラエルの人口規模に比例して見ると、これは9/11攻撃10回分に相当します」と同長官は木曜日(10月12日)に述べた。この数字は多少誇張されているとしても、そんな大袈裟な誇張ではなく、このふたつの事件を比較することは、悲劇の規模だけで見る以上に正確だ。

 9/11委員会報告書においては、米国政府が攻撃を予期できなかったと記載されていたが、その最も重大な要因として挙げられていたのは、「想像力」だった。「最も重要な失敗は想像力の問題だった。指導者たちが脅威の重大さを理解していたとは思えない」と著者らは記載していた。

 同様に、イスラエル当局者も、長年にわたり自国への破壊を切望してきた敵対者を前に、同様の愚行を犯した可能性がある。

 「物事は常に、あとから振り返ることでハッキリと見える」ということわざのとおり、あらゆる可能性に合理的に備えることは誰にも不可能だが、イスラエルとパレスチナ間の緊張は長年にわたって蓄積しており、この地域で「火山の噴火」が起こることは、ずっと懸念されてきた。占領下のヨルダン川西岸地区にあるパレスチナ人とその財産に対するイスラエル人入植者による過激派攻撃の件数は近年増加しており、国連の記録によると、2023年上半期だけでそのような事件が591件あった、という。

関連記事:Hamas’ terror attack on Israel was not ‘unprovoked’

 いっぽう、ネタニヤフ首相の右翼国家主義政府は、パレスチナ指導部とのいかなる交渉も拒否し、ヨルダン川西岸のイスラエル人入植者数を2050年までに現在の50万人から100万人に倍増させる意向を表明した。そんなことをすれば大惨事が起こる火種にしかならないだろう。

 とはいえ、このことは、土曜日(10月7日)の襲撃以前からパレスチナ人自身が蛮行をおこなっていなかったことを意味するものではない。例えば6月には、ヨルダン川西岸のユダヤ人入植地近くで、パレスチナ人武装集団2人が17歳の少年を含むイスラエル民間人4人を射殺した。武装集団がハマスの武装組織の構成員であったと思われることは驚くべきことではないだろう。ハマスは、1年前の選挙で勝利し、2007年にガザ地区の支配権を掌握したイスラム過激派組織だ。

 戦闘の勃発が避けられなかったことを示すもう一つの重要な要因には、エルサレムにあるアル=アクサー・モスクという複合施設をめぐる論争も含まれる。ちなみに、このモスクの名前が、今回のハマスのテロリストによる「作戦」名の由来となった。このモスクは、何世紀にもわたってユダヤ人、キリスト教徒、イスラム教徒の間で論争を和らげる存在になってきたのだが、現在このモスクが真の懸念の原因となってしまった。(歴史的背景として、アル=アクサー・モスク複合施設内には有名な岩のドームがある。このドームは、西暦 692 年に建てられたイスラム教の神殿であるが、そこはユダヤ教正統派がユダヤ人の礼拝所として第三神殿の建設を望んでいたのと全く同じ場所だった)。

 4月には、イスラム教徒の崇拝者らとイスラエル治安部隊の間で暴力的な衝突が勃発したが、それは数百人のパレスチナ人がアル=アクーサ・モスクに立て篭もったからだった。それはパレスチナ側が、ユダヤ人らが神殿の丘に入り込み、捧げ物の儀式をおこなうことを警戒してのことだった。そのような儀式をおこなうことは禁止されていたのだが。最終的に、暴動鎮圧用装備に身を包んだイスラエルの警察がモスクに入り込み、50人が怪我をし、数百人が逮捕された。


関連記事:Scott Ritter: Are Hamas fighters using American weapons meant for Ukraine?

 匿名のイスラエル政府当局者は、「タイムズ・オブ・イスラエル」紙の取材に、警察がパレスチナの人々への対応を「やり過ぎ」てしまったため、「アル・アクーサが危険な状況にあるという主張を正当化し、(さらには)イスラエルの敵勢力を奮い立たすことになってしまった」と語った。

 これら全ての要因に想像力の欠如がある。ハマスによる攻撃については予測できたはずだ。イスラエルの外国向け諜報機関であるモサドの探知力からすれば、想像力を呼び起こす必要がないくらい目に見える無数の兆候があったはずなのだから。300億ドル(約4兆5千億円)の年間予算と7000人強の職員を有するモサドは、CIAについで西側で2番目に大きな諜報機関だ。このような巨大な影響力をもつ組織なのだから、このイスラエエルの諜報機関が複雑な諜報組織を駆使して、ガザ地区、少なくともハマス内部に何らかの規模で潜入していなかった、とは考えられない。となれば問うべき疑問:パレスチナの今回の軍事作戦の経過には、長い時間がかかり、多くの関与者があったはずなのに、なぜ誰も(例外はおそらくエジプト人だけ)この攻撃の気配を感じることができなかったのだろう?というものだ。誰が悪かったのかを決めつけるのはいささか時期尚早だが、ネタニヤフ率いるリクード党政権は、事態が落ち着けば、諜報機関の前線の動きについての説明をおこなわなければならなくなるだろう。

 さらにウクライナの状況もある。ウクライナの戦況を鑑みて、イスラエルは外からの援助が受けられない、とハマスは考えたのだろう。というのも、西側諸国政府は、ロシアと戦うウクライナの支援にずっと手をとられてしまっているからだ。この支援の中には、数十億ドル相当の武器支援や金融支援をウクライナに供給していることも含まれる。そしていまや、米国とNATOからの供給が急激に低下するところまできている。ウクライナでの混乱に関しては、イスラエルは中立の立場を取ると宣言しているが、ウクライナでの紛争により西側がイスラエルに与えている軍備も影響を受けているようだ。

 ハマスの指導者層がニューヨーク・タイムズ紙を読んでいるとすれば、今年の1月に出された記事から以下のことを知っていただろう。すなわち、「米国は、大量に存在するがほとんど知られていない、イスラエル国内にある米国の砲弾に触手を伸ばしていて、ロシアとの戦争のためにウクライナから切実に要求されている大砲の砲弾を賄おうとしている」という記事だ。

 この記事はさらに、武器の隠し場所には、「国防総省が中東での紛争で使うための武器や砲弾が置かれて」おり、「緊急時に」イスラエルが使用することも許されている、と報じていた。1300人以上のイスラエル人がすでに亡くなり、3300人以上が負傷しているが、ハマスの民兵たちはいまだにイスラエル領内から追放されていないと報じられている現状こそ、完全なる緊急事態といえるだろう。

関連記事: Mikhail Khodarenok: Israel’s war on Hamas could lead to the end of the Gaza exclave

 ハマスによる攻撃が、第4次中東戦争からちょうど50年たったという象徴的な日に、ウクライナでの紛争のせいで砲弾が不足しているためイスラエル防衛軍の対応力が一番弱くなっている状況で、ガザ地区での市街戦として起こされた、と言って間違いではないだろう。ここにも「想像力の欠如」が見られる。つまり、不倶戴天の敵にとれば、利を得る千載一遇の好機だ。イスラエル側からすれば、そんな状況はきっと見えていたはずなのに。

 イスラエル側でもう一つ警鐘が鳴らされていたはずの事実が、西側世界がウクライナで見せている無謀な姿だ。 つまり、代理戦争による軍事的冒険主義にもとづく動きだ。この動きのおかげで、世界中の民兵たちは危険な伝言を受け取ったのだ。その伝言とは、重大な結果を招くことを恐れずに、敵に対してめちゃくちゃな攻撃をしかけてもいい、というものだ。米国とその同盟諸国の目に余る失態や二重基準が、世界中の冷戦を熱戦地域に変える妨げとなっていたのに。イスラエルとガザ間の冷戦もそうだったはずだ。

 今こそ各国の指導者は想像力を駆使して、次なる世界の大混乱の発生を防ぐべきだ。そうしないと第3次世界大戦が勃発してしまう。

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ウクライナで「数十万人」が徴兵逃れ、とウクライナ国防省の副大臣

<記事原文 寺島先生推薦>
‘Hundreds of thousands’ dodging draft in Ukraine – minister
ウクライナ側のいわゆる「反転大攻勢」で、6月以降、9万人の戦死者が出ている、とロシア側は発表

出典:RT 2023年10月13日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>2023年10月19日


2023年9月22日、バフムート南の前線陣地の第24旅団のウクライナ軍人© Wolfgang Schwan/Getty Image

 ナタリア・カルミコワ国防副大臣は、動員が続く中、数十万人のウクライナ人男性が徴兵を忌避している、と述べた。彼女は、当局が「この問題の解決に役立つ法案の作成に取り組んでいる」と付け加えた。

 カルミコワ副大臣は金曜日(10月13日)、ウクライナのテレビ局のラーダ局の取材で、「残念ながら、国民が徴兵に応じたがらず、何とか避けようとしている状況が多く見られます。徴兵は国を守るために必要なのですが・・・」と語った。同副大臣によると、徴兵忌避者の数は「数万から数十万人に上る」とのことだった。

 イーゴリ・クリメンコ内務大臣は先週、ウクライナスカヤ・プラウダ紙のインタビューで、ウクライナ政府は、兵役を避けるために国外に逃亡した人々を処罰する方法を検討している、と警告した。同内務大臣は同紙に対し、そのような徴兵逃れをする人々には行政罰金が科せられる可能性が高い、と語り、ウクライナ出国を許可するために偽造書類を使用したり、不法に確保した書類を使用したりした者は刑務所に入れられる可能性がある、と付け加えた。


関連記事:Ex-Zelensky aide backs call to conscript youth


 ここ数カ月間、ウクライナ当局は国外に逃亡した兵役年齢の男性を帰国させる可能性を模索していると伝えられている。8月下旬、ウラジミール・ゼレンスキー大統領の与党に所属するディビッド・アラハミア上級議員は、ウクライナ政府はEUから徴兵忌避者の引き渡しを求める可能性がある、と述べた。

 ドイツ、オーストリア、ハンガリー、チェコ共和国を含む複数のEU諸国は、徴兵忌避者を一斉検挙してウクライナに送り返さないことをすでに明らかにしている。

 2022年2月にロシアがウクライナで軍事作戦を開始して以来、ウクライナでは総動員が繰り返し延長されている。新兵募集担当官は定期的に公共の場やカフェ、路上での臨時徴兵をおこなっている。地元報道機関は、当局が軍への参加を拒否した人々を武力で拘束した事例を報じた。

 ゼレンスキー大統領は、6月初めに開始されたウクライナの反撃が困難に陥っていることを公に認めた。同大統領は先月、ロシアが制空権を握っていることと ウクライナを支援する西側諸国が必要な武器を送れなかったせいで反撃が遅れている、と述べた。

 西側軍関係者らも、ロシアの防衛力は予想以上に回復力があることが証明された、と述べた。

 先週、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、反攻開始以来のウクライナ軍の戦死者数を9万人と発表し、1900台近くの装甲車両と557台の戦車も破壊された、と推定した。
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最新のファイザー社COVIDワクチン実験のために使われたのはたった10匹のマウスだけ

<記事原文 寺島先生推薦>
Ten Mice Used to Test the Newest Pfizer COVID Jab
筆者:ジョーゼフ・マーコラ(Joseph Mercola)
出典:GR 2023年9月26日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>2023年10月19日


話の要点は次のようになる
2023年9月11日、アメリカ食品医薬品局(FDA)は、12歳以上の個人に使用するために、ファイザーとモデルナによる改質された単一価COVIDワクチンのこの秋の使用を承認したと発表した。しかし、だまされてはいけない。COVID-19ワクチンのための公衆安全性及び緊急事態対応(PREP)法に基づく責任免除規定は、2024年12月31日まで継続されるのだ。
したがって、「承認された」か、どうかにかかわらず、ワクチンの製造業者、流通業者、および接種提供者は依然として傷害に対する責任を負わないことになる。また、FDAは、6か月から11歳までの子供たちに対する改質型ワクチンの緊急使用許可(EUA)も発行している。

改質型ワクチンは最初から旧型ワクチン

更新されたmRNAワクチンには、オミクロン変異体XBB.1.5に対応すると言われる1つの修正されたRNAが含まれている。このオミクロン変異体は、ほぼ2023年の1年間、アメリカで優勢だったが、その後他の変異体に置き変わった。

心臓専門医であるピーター・マクカロウ博士によれば、2023年9月2日時点でXBB.1.5は循環しているウイルス株のわずか3.1%であり、「アメリカ人このワクチンを接種するころには、このウイルスは絶滅するだろう」とのこと。

医師であり生化学者のロバート・マローン博士はこの意見に同意し、より新たな変異株は、「世界中で接種された不完全な『ワクチン』によって引き起こされた抗体の圧力を逃れるように進化したようだ」と述べている。

メリーランド大学薬学部の老年薬物療法の教授であり、ピーター・ラミー薬物療法と高齢者のための研究センターの研究部長でもあるリンダ・ワスティラ博士は、旧型ワクチンをさらに導入する決定にも批判的だった:

     「既に旧型となったワクチンを、公衆衛生と政治の指導者たちがどうして推奨するのか理解できません。ワクチンを認可し承認する様子を見ていると、自分の尻尾を追い回す犬のようです。深刻な疾患を緩和するのに役立つはずの軽度な変異株は既に衰退しています。今は、次世代の軽度な変異ウイルスに追い越されているのです」。

「ブースター(追加接種)疲れ」に対抗するため、「ワクチンは毎年接種を」に再構成

しかし、当局によれば、この株は以前のワクチンに含まれていた株と十分に異なっており、これまでのCOVIDワクチン接種歴にかかわらず、すべての人はそれを接種したほうがいい、と言っている。FDAの発表から数日後、ニューヨーク州知事キャシー・ホクルは、今後のCOVID到来に対しては、以前のワクチンでは「どうにもならない」と警告した。

     「既にワクチン接種を受けているかどうかは関係ありません。それに安心しないでください。過去にワクチン接種を受けてくれたことに感謝しますが、それは今日のあなたを守っているわけではありません。皆に伝えてください:過去にワクチン接種を受けたことに頼らないでください、今回は助けにはなりません」と、彼女は2023年9月13日の記者会見で述べた。

彼女が省略したのは、もちろん、新しいワクチンを接種しても助けにならない可能性が高い、たとえ助けになるとしても、得られる保護は数か月で薄れ、感染、入院、死亡のリスクが以前よりもさらに高くなるだろう、ということだ。

驚くべきことは、彼らは最初と同じ根拠のない話をまた使っていることだ。今や事実は誰もが見ることができる状態になっているのに。私たちはもはや推測で言っているわけではない。ワクチン接種は効果がなく、有害無益だ。私たちはもはや推測で言っているわけではない。ワクチン接種は心臓の問題を引き起こし、免疫機能を傷つける。そして、これらの影響は決して稀に起こるわけではない。

すべては科学文献に記録されている。それにもかかわらず、政府の指導者たちはそのデータが存在しないかのように振る舞い、何度も反駁された古い論拠を繰り返す。時間が経てば、アメリカ人が同じ嘘にもう一度騙されるほど愚かであるかどうかがわかるだろう。

ニューヨーク・タイムズ紙によると、アメリカ人の大部分はCOVIDのワクチン接種にうんざりしている。そのため、連邦高官たちは「過去のワクチンを新型ワクチンとするのではなく、インフルエンザワクチンのように「毎年打って免疫確保」として再構築しようとしているのだ。

この戦術は失敗する可能性が高い。その理由:FDAがすでにこの新しいワクチン接種は特定の年齢層には複数回接種する必要があると発表している。その後さらなる追加接種はないと考えたら、そんな人間は本当の甘ちゃんだ。

たとえば、以前に接種を受けた6ヶ月から4歳の子供たちは、2回の投与を受ける(どのワクチンを接種したかによって異なるが)予定であり、この年齢層の未接種の子供たちは最大3回の投与を受けることになる。 つまり、彼らは、ワクチン注射を初めからやり直そうとしている、しかもはるかに幼い年齢層に対して。

COVIDワクチン注射実験は、厳格さとはかけ離れたものだ

おそらく最もひどい嘘の一つは、ワクチンは人間を被験者にした厳格な実験を経ている、ということだ。ここで彼らが言っているのは、2020年に行われた人間を被験者にした実験のことだ。言っておくが、この実験に対照群はなかった。彼らは実験に入る数ヵ月前、全員に実際のワクチン接種をすることで、対照群を失くしてしまった。

それでも、情報の公開請求法(FOIA)に基づいてデータは公開された。それによれば、ファイザー社はその実験で15万8000件の「特に興味深い副作用」を記録していた。しかし、一貫して安全上の懸念はないと主張していたのだ。

文書には、ファイザー社がワクチン接種の導入の最初の3か月間(2020年12月から2021年2月末まで)に、4万2086件の有害事象報告を受け取り、その中には1223件の死亡報告も含まれていた。1976年の豚インフルエンザワクチンは、わずか25人の死者が出ただけで撤回された。

ファイザー社の改質型単一価ワクチン対XBB.1.5.の実験テストでは、たった10匹のマウスが使われた。一方、モデルナ社のワクチンは50人の成人を対象に実験が行なわれ、そのうち1人が有害事象のために医療対応が必要となった。これにより潜在的な重大な有害事象の割合は50人中1人ということになる。

その後に登場した混合ワクチンは、マウスだけを対象に実験されたため、その安全性については何も示していない。さらに、その効果は抗体価だけを基準に評価されたが、それでは実際の世界での効果については何も示さないことになる。これはファイザー社、モデルナ社いずれにも言える。

ファイザー社の新しいワクチンの実験対象はマウスのみ

新しいXBB.1.5.に対する改質された単一価ワクチンに関して、ファイザー社の実験は再びマウスのみ(正確には10匹のマウス)を対象として行なわれた。一方、モデルナ社のワクチンは50人の成人を対象に実験が行なわれた。

一部の報告によれば、この実験には100人の参加者がいたが、単一価のXBB.1.5ワクチンを受けたのはたったの50人で、現在導入されているものだ。また、別の51人はBA.4/5+XBB.1.5の混合ワクチンを受けた。したがって、対照群はまったく存在しなかった。

XBB.1.5治療群の1人が、報告によれば、深刻な有害事象を経験したとされ、これにより潜在的な深刻な有害事象率は50人中1人になった。さらに、ワクチン接種後14日以内に発生した副作用しか報告されておらず、長期的にはどのような影響があるかについてはわからない。次は2023年9月14日にニューヨーク・ポスト紙の報道:

     「もし新薬を服用した人々の中で50人に1人が『医師の治療を必要とする有害事象』を経験し、かつその複雑な合併症の詳細を製造元が明かさないと言ったら、あなたはそれを服用するだろうか?そして、仮にその理論的な利点が一時的で、約3ヶ月間しか続かず、その後あなたの感染されやすさが元に戻ってしまうとしたらどうだろうか?

そして、食品医薬品局(FDA)が人間の結果データなしで認可し、ヨーロッパの規制当局が米国疾病予防管理センター(CDCP)と異なり、全員には勧めていないことを申し上げたらどうだろう?それが新しいCOVIDワクチンについて私たちが知っていることだ。そんなワクチンををバイデン政権は年齢6ヶ月以上のすべてのアメリカ人に強力に勧めている。

この方向への喧伝活動は非常に強力で、元ホワイトハウスCOVID調整協力者のアシッシュ・ジャ博士とCDC長官のマンディ・コーエンが、新しいワクチンが入院率、長期のCOVID症状、およびCOVIDの感染拡大の可能性を減少させるという根拠のない主張をしている。これらの主張のどれも科学的な裏付けは一切ない・・・

今週承認されたモデルナ社の新しいCOVIDワクチンについての疑問は依然として消えていない。同じく今週承認されたファイザー社ワクチンも効力ゼロというデータがあり、人間に対する実験は一切ない。私たちが持っているのは10匹のマウスからの抗体生成に関するデータだけだ。

FDA、あるいはモデルナ社(正直言って、時折違いが分からなくなる)は、新しいワクチンを接種した患者が医療の介入が必要な合併症を起こした際の患者の状況を明らかにすべきだ。一般の人々は知る権利がある」。



Large + JIPÉMの著作権による許可を得て、この風刺漫画を使用する
Large + JIPÉMによるこの風刺漫画は私たちの苦境を説明している:
マウス1号:「ワクチンを受けるつもり?」
マウス2号:「バカじゃないか、人間への実験が終わっていないんだぞ」」


科学は何を教えてくれるのか?

ジョンズ・ホプキンス大学の外科医および公共政策研究者であるマーティ・マカリー博士と、カリフォルニア大学の流行病学および公共衛生研究者であるトレイシー・ベス・ホーグ博士が執筆した、ニューヨーク・ポスト紙の記事は、過去数年間に公表された、いくつかの研究および系統的メタ解析*を調査し、ワクチン接種についての結果を示している:
*メタ分析・・・「分析の分析」を意味し,統計的分析のなされた複数の研究を収集し,いろいろな角度からそれらを統合したり比較したりする分析研究法。https://www.isc.meiji.ac.jp/~metapsi/psi/2-9.htm
• (ワクチン接種は)COVIDに対する保護が数か月以上続かない。保護が弱まると感染、入院、および死亡のリスクが高まる可能性がある
• (ワクチン接種は)自然免疫を上回らない(実際、自然免疫のほうが優れた保護を提供するようだ)
• (ワクチン接種は)その安全性に関して恐ろしい様相を呈している — ドイツのパウル・エーリッヒ研究所は、これらの接種が5000回に1回の割合で重大な有害事象を引き起こすとの結論を出した。別の研究では、重大な有害事象の発生率は、ワクチン接種者556人に1人、という高い可能性を推定されている。

昨年、マカリーと彼のチームによるリスク便益分析も、大学でのワクチン接種の義務化が、次のような実質的被害をもたらしていると結論づけた。①COVID関連の入院を免れた人で言えば、最低18.5人に身体的被害があった、さらに②日常生活に支障をきたす副作用の症例が1430から4626件発生した。

「ワクチンは毎年接種を」の勧めは正気の沙汰ではない

アメリカ政府の安全に対する不可解な怠慢姿勢についての意見として、マカリーとホーグは次のように書いている:

「もし保健当局の提案通りに行くと、平均寿命通りでゆくと、健康な5歳の少年は、生涯で合計72回のCOVIDワクチン接種を受けることになり、毎回接種後に心筋炎になるリスクがある。説明は何もなし、科学に逆らって、CDCは、子どもが3週間前にCOVIDにかかっていたとしても、新しいCOVIDワクチンを受けるべきだと述べているのだ。

FDAの最も優れたワクチン専門家の2人が辞職した。FDAのワクチン局長であったマリオン・グルーバ博士とその副局長であるフィリップ・クラウス博士は、2021年、若者向けのワクチン接種を承認させた政治的な圧力に抗議してFDAを辞職した。

この2人のワクチン専門家がいなくなって以来、FDAのワクチン承認は、製薬会社とホワイトハウスとの、ずぶずぶの関係で一貫している。

人間への影響がどうだっだのか、の結果データなしに新しいCOVIDワクチンを推進することは、科学的方法と規制プロセスを嘲(あざけ)るものだ。実際、製薬会社との非公開会議で秘密のデータを議論した後、ホワイトハウスの医師が薬物を安全であると宣言することができるなら、FDAが存在する理由はどこにあるのか?

公衆衛生関連の高官たちが、COVIDワクチン注射を受けるアメリカ人の落胆を繰り返し聞きたくないのであれば、彼らは適切な医学的実験を要求して、アメリカ人にワクチン接種の利があることを示すべきだ。公衆衛生の指導者たちは、科学的な裏付けのまったくないまま、治療介入に対する信頼性をこれ以上損ねたり、予算をこれ以上無駄にする余裕はない。

非倫理的で、弁護しようもない決定

幸いなことに、科学的な根拠なしに改質されたCOVIDワクチンの承認および(EUAの下での)認可に反対する抵抗は広範で拡大している。ワスティラは、例えば、このFDAの決定に意見を述べた:

「パンデミックが消え去った状態でCOVID-19のmRNAワクチンを継続して承認および認可することは非倫理的です。これらのワクチン接種が安全かつ効果的であると宣伝することは明らかに非倫理的であり、ワクチンが相当な害を引き起こす証拠を政府が無視していることも非倫理的です。

これらのワクチンが、公衆衛生上の緊急事態がもはや存在しないときに子供たちに対して承認された事実は、良心に照らして許されない・・・

モデルナとファイザー両社は、以前のCOVID-19ワクチンに関する約束された販売後調査で成果を上げられなかった。妊婦における二価ワクチンの安全性調査の結果はまだ公表されておらず、若者における心筋炎調査も完了しておらず、ほとんどの結果が共有されていません」。

「米国救命救急専門医連盟(FLCCC)」の会長兼最高医務官であるピエール・コリー博士は、似たような声明を発表した:

「FDAが、子どもがどのように影響を受けるかに関するデータを持っていない状況で、政府が6か月の乳児にこのワクチン接種を推奨するのは良心に照らして許されることではありません。健康な子どもがCOVID-19用ワクチンを接種する必要はありません。実験も終了していないワクチンを接種させることは私たちが医師としての訓練を受けたことすべてに反することです」。

カナダの医師、ウィリアム・マキス博士も同意し、次のように述べている:

「子どもにとってCOVID-19の緊急事態は存在しないため、この年齢層に新しいCOVID-19ワクチン接種の『緊急許可』に正当な科学的根拠はありません。どんな医師も、いかなる年齢の子供に対してもCOVID-19 mRNAワクチンをまだ接種している場合、それは医療過誤になります」。

DNA汚染がはっきりした

2023年4月、微生物学者ケビン・マッカーナンは、彼のチームがファイザー社とモデルナ社の2価mRNA COVIDワクチンにサルウイルス40(SV40)のプロモーター遺伝子*を発見したと報告した。SV40は数十年にわたり、人間で癌を引き起こすことが疑われてきたので、これらのワクチンにSV40のプロモーター遺伝子が見つかったことは驚愕すべきことだった。
プロモーター遺伝子*・・・遺伝子のスイッチをオン・オフして発現を制御するとされる遺伝子_英辞郎)

しかしそれだけではない。彼らはまた、薬品瓶内にDNAの汚染物質を発見したのだ。これらの物質は、人間のゲノムを変化させる能力を持っている。COVIDワクチンにはRNAだけが含まれていると仮定されていたが、ケビン・マッカーナンはゲノム配列決定を使って、DNAの断片も含まれていることを発見した。しかも、これは、本来は含まれていてはいけないものだ。RNAは基本的にDNAからコピーされる、いわゆる「ゼロックスコピー」なので、最終製品に含まれるべきはRNAだけになるはずだ。その後、いくつかの他の研究所でもマッカーナンの発見物を確認している。

2023年9月13日、サウスカロライナ大学のフィリップ・バックホルツ教授は、サウスカロライナ州上院医療部門特別委員会において、健康環境管理部(DHEC)について証言した。

彼の証言は、この記事の一番上にある動画で紹介されている。バックホルツは分子生物学者、そしてがん遺伝学者であり、DNAゲノム配列決定に豊富な経験を持っている。その彼もまたCOVIDワクチンにも本来あってはならないDNAプラスミド*を見つけた。
プラスミド*・・・細胞内で染色体から独立して増殖できる環状の二本鎖DNA。通常バクテリア内に存在し、遺伝子組み換え研究においてDNAのベクター(vector)として使われる(英辞郎)

彼は証言で、なぜ、そしてどのようにしてこれらのDNA汚染物質が我々のゲノムに統合され、他の遺伝子の機能を長期または永続的に妨げる可能性があるかを説明している。このリスクは何十年も前から知られており、その一つの潜在的な結果はがんの誘発だ。

彼は、COVIDワクチンを接種した人々のさまざまな組織からDNAを収集し、分析することが重要であると強調している。少なくとも数百人分のデータを調査し、ゲノムの統合が行われているかどうか、および何らかの変化が起こっているかを明らかにする必要があるとのことだ。

バックホルツはまた、最初にDNAの汚染がどのように発生したかを説明し、それが可能になった「おとり商法」を検討している。要約すると、臨床試験中に使用された製品と商業用製品は同一の方法で作られていなかった。商業用製品は、DNAプラスミドと大腸菌を使用して修正されたRNAを育て、DNAが適切にろ過されなかった—これは劣悪な製造過程を明確に示している。

ワクチン接種は受けた?健康防衛のための行動を!

すでに1回以上のCOVIDワクチン接種を受け、健康について懸念がある場合、何ができるのか?第一に、COVIDワクチン接種、別のmRNA遺伝子療法の注射、または通常のワクチンを決して受けてはいけない。我々の体への攻撃を終わらせる必要があるのだ。

もし、ワクチン接種前に経験したことのない症状が現れた場合、専門家の助けを求めたほうがいい。現在、米国緊急救命専門医協会(FLCCC)は、ワクチン接種後の障害に対する最も優れた治療プロトコルの1つを提供しているようだ。それはI-RECOVERと呼ばれ、covid19criticalcare.comからダウンロードできる。

FLCCCの共同創設者であるピエール・コリー博士は、ワクチン接種後の患者をほぼ専門的に治療するようになった。詳細については、DrPierreKory.comを。また、ピーター・マクカロウ博士もワクチン接種後の治療について調査を行っており、その情報はPeterMcCulloughMD.comで見られる。

世界保健評議会(World Health Council)も、スパイクタンパク質(大半の専門家もこれが主犯であることに同意している)を抑制し、中和し、排除するのに役立つ薬剤のリストを公表している。これらについては、私の2021年の記事「世界保健評議会、スパイクタンパク質の解毒を明らかにする」で詳細に取り上げた。

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イスラエル・パレスチナ紛争:点をつなげば、ネタニヤフによる「偽旗作戦」などの陰謀が明らかに

<記事原文 寺島先生推薦>
The Israel-Palestine Conflict: Netanyahu’s “False Flag”, Connecting the Dots – and More
筆者:ピーター・ケーニッヒ(Peter Koenig)
出典:グローバル・リサーチ(Global Research )  2023年10月11日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年10月16日





第1部
ネタニヤフによる「偽旗作戦」


 両側(大手報道機関と非大手報道機関)の記者たちも含めて、大多数の人々は、この戦争は一回限りのもので、パレスチナの「擁護者」であるハマスによる奇襲だ、と考えているようだ。

 しかし実のところ、そうではない。

 この70年間のいくつかの点を繋げば、中東のイスラエル・パレスチナ間、さらには世界で今おこっていることの真相を理解する助けになるだろう。今回の血なまぐさいイスラエル・パレスチナ間の紛争をより大きな視点で見ると、どう捉えることができるだろうか?




 ハマスがイスラエルが直接創設したもの、あるいは英・米・イスラエルの諜報機関がイスラエルの利益のために創設したものだとしたらどうだろう? そして、まさに今この組織(ハマス)が 利用されている状況こそが、創設理由だったとしたら?:つまり、イスラエルが全面戦争に乗り出し、パレスチナ人たちを追い出し、領土を拡張し、現在の中東の3分の1あるいは半分を手に入れ、大イスラエル国に昇華させることを正当化できるための組織だとしたら?

 「選ばれし民族」にとっての幸福のためなのか?

 ハマスがこの戦争に勝てる好機はこれっぽっちもない。巨人ゴリアテに挑むダビデのようなものだ。ダビデ役がハマスで、ゴリアテ役がイスラエルとなり、ダビデが勝利するのは今回限りのことだ。ハマス側もイスラエル側もそのことは分かっている。

 ヒズボラも同じ悪役が同じ理由でつくられたものだとしたらどうだろう? その目的は、混乱を生み出し、最終的に中東で戦争を引き起こすことだとしたら? ヒズボラは公式にはレバノンの擁護者(パレスチナに対するハマスと同様だ)とされているが、ヒズボラがイスラエルに侵攻する可能性や今の戦争に参戦する可能性があるおかげで、レバノンがイスラエルが吸収しようとしている国のひとつにできる保証が確保されるという一面もある。米国から大量に軍事支援を受けているイスラエル防衛軍(IDF)がヒズボラを倒し、レバノンの地を手に入れる可能性があるのだ。

 このような計画は大多数の人々には知られていない。2022年12月に危うく負けそうになった選挙の結果で首相の座に復帰したネタニヤフは良く練られた詐欺師であり、よく知られた諜報機関やハザール系シオニストに支援され、中東におけるイスラエルの拡張を支持している。

 イスラエルが西側世界の黒幕であることを忘れないでおこう。イスラエルは世界規模で銀行や企業金融、通信、ハリウッド、芸術、教員体系、さらに多くの分野を支配している。

 すでに1815年、英国の金融家でありロスチャイル銀行一族のひとりであるネイサン・ロスチャイルドが、以下のような有名な言葉を残している:「どんな傀儡が英国の王位につき太陽が沈むことのない帝国を支配するかには興味はない。英国の通貨供給を支配するものが英国を支配する。そしてその供給を支配しているのはこの吾輩だ」と。

 そのネイサン・ロスチャイルドはもうひとつ、悪名高い迷言を残している:「街が血に染まる時が買い時だ」と。こちらこちらを参照。

 このことばこそ、我々が暮らしている今の世界をよく表していることばだ。人の上に立つことを際限なく求める。どれだけの金が使われ、どれだけの血が流されるかなどはお構いなしだ。

 ヒズボラの話に戻ろう:レバノンにもたくさんの天然資源、海洋石油、海洋底深くの淡水がある。いっぽう現在のイスラエル領には淡水はほぼなく、それがひとつの理由(他の理由も多々あるが)となり、イスラエルはいわゆる「西岸」を手に入れたがっている。そこでは、1948年以前の今より領土が広かったパレスチナの水資源の約8割が存在し、今イスラエルは事実上その水資源をパレスチナから盗んでいる。

 パレスチナには天然ガスもある。ガザ・マリンはガザ地区の海岸から40キロ以内しか離れていないところにある油田だ。 ガザ・マリン油田の埋蔵量は、350億立方メートルあると推定されており、これはイスラエルのヤム・テティス油田の埋蔵量を超えている。こちらを参照。

アル・カイダの役割

 ハマスやヒズボラと同じ目的で1980年代初旬に創設されたのがアル・カイダだ。アル・カイダはスンニ派の汎イスラム主義者の民兵組織だ;国際的な「テロ組織」であり、必要なときに世界で社会不安を生み出すことで、軍事介入―ほとんど英・米による―を正当化し、そんな動きがなければ安定した(しかもほとんどの地域で資源が豊富な)中東やアフリカを弱体化させる働きをしていた。さらにアル・カイダはアジアでも活動し続けている―アル・カイダが創設された場所であると考えられているパキスタンやインドネシアやマレーシアやフィリピンなどアジア各地で。

米軍の武器がハマスの手に

 ハマスが今回のイスラエルに対する「突撃」に使用した武器が米国起源であったことは偶然ではない。この武器は当初ロシアと戦うためにウクライナに送られたものだった。いまや米国やEUが供給した武器の約7割がウクライナには届かず、どこが出処か跡がほぼ見当がつかないようにされて闇市場に出回っている事実は秘密でもなんでもない。こちらの記事を参照。

 米国当局もEU当局―帝国になりたがっている米国の傀儡―も、供給した武器の大部分が闇市場にまわることは初めから承知の上のことだった。しかしそのことに対してなにか手を打つようなことはしなかった。これらの武器がハマス、後にはおそらくヒズボラにも武器を提供され、良く練られた、イスラエルとの「熱戦」を起こさせる秘密工作だったことを知っていたのだろうか?

 興味深いことに、ベンジャミン・ネタニヤフが再度首相の座についてから、法律の改正を進めようとしてきたが、このような改正はイスラエルの民主主義に害を与え、イスラエル国防軍を弱体化することにつながるとの非難を受けている。徴兵の可能性のある多く人々が従軍を拒絶している。専門家らは、この法改正によりイスラエル国防軍とその国家防衛力が破壊される可能性がある、と警告している。こちらの記事を参照。

 ネタニヤフはこの法改正によりイスラエル国防軍に危機が訪れることを知らなかったのだろうか?

第2部
点を繋いで、より大きい視野で見てみよう。


「ワシントン・コンセンサス」



 これらの「テロ」組織-米・英・イスラエルの諜報機関の創設による-と足並みを揃えるかのように、金融界の巨人らが自分たちの計画を画策し始めた。これらの巨人らは1989年に創設したいわゆる「ワシントン・コンセンサス」なるものを招集したのだが、その創設者は、米国を支配する以下の3大金融機関だった:それは、連邦準備銀行、国際通貨基金、世界銀行だ。



 「ワシントン・コンセンサス」の隠された目的は、いわゆる発展途上諸国を借金まみれにすることであり、まず手始めにラテン・アメリカ諸国(米国側は「米国の裏庭」と称している)が、米国に(完全に)依存するよう仕向けられた。

 貸付金はもはや、開発計画の根拠として貸し付けられるものではなくなり、「白紙委任状」として使われるようになった。この委任状は、この先、買われたり建築されたりする「商品」の一覧表と決められた時間内での分割支出条件に基づいて価格付けされるものだったが、貸付主が一覧表にどんな商品があり、分割支出条件が満たされたかどうかについて監督をうけることはほとんどなかった。

 両側-貸付主と債務者―で腐敗が蔓延しているので、お金が消えて各国の国庫内で借金が山積することが頻繁に起こった。

 ワシントン・コンセンサス政策が、同じ目的で世界中に採用された。これらの政策や「第3世界」に属するとされている国々の大多数の経済がドル化されたことにより、思うままに経済危機を起こすことができるようになった。これらの経済危機が、必要に応じて意図的に引きおこされ、それにテロリストたちが原因となった混沌や大混乱が起こり、資源や自然などが滅茶苦茶にされ、これらの第3世界の国々から世界の頂点に位置する国である米国と欧州主要国にお金が流れていった。

 この「経済的支配」と必要なときに社会を不安定にする目的で起こされるテロ行為により、グローバル・サウスの大部分を支配下におくことが保障される、と考えられていた。

諜報工作と「気候変動」

 ほぼ1950年代から90年代にかけて、グラディオ作戦がCIAや他の西側諸国の諜報機関により実行されたが、特に激しかったのは、イタリアやフランス、ドイツだった。この作戦は当時、力を持っていた社会主義や左派運動を抑え込む、あるいは転向させるための作戦だった。この作戦により、これらの勢力は欧州内で完全に無力化された。

 1980年代、左派の絶滅と軌を一にして、グリーン運動が、欧州、のちに米国で起こった。この運動の指導的立場にいたのは、「グリーンピース」や「世界自然保護基金」、「地球の友」といったNGOであったが、これらの組織が次第に左派の価値観を自然保護、いわゆるオゾン・ホール、「気候変動」との戦い、といったものに変節させた。1992年にリオデジャネイロで開催された「環境と開発に関する国際連合会議」には172カ国が参加し、それ以降、約27カ国の締結国が参加する「気候変動」に対する活動の基盤となっている。

 COPとは「締結国会議(Conference of the Parties)」の略語であり、この会議に参加している国が、「締結国」として、「国連気候変動枠組み条約」と呼ばれる国際協定に所属することになる。こちらを参照。

 「気候変動」-今やあらゆるところに浸透している気候変動説を使った計画が、それ以来宗教化してしまった。この説を宗教化するために必要であった、社会や精神の操作を成功させた主要因は、英国に本拠地を置くタビストック人間関係研究所とその研究所と密接に連携した国防高等研究計画局だ。この計画局は軍事・警備及び諜報活動に関する政策立案所であり、国防総省関連組織だ。

 社会主義的な思想をグリーン思考に転向させたのも、ほぼタビストック人間関係研究所と国防高等研究計画局の工作によるものだ。

 1940年代からずっと、タビストック人間関係研究所と国防高等研究計画局-さらには他の諸組織も-は、支配者層や「単一世界秩序」で教祖的役割を果たしたがっている人々の思うままの世界になるよう、如何(いか)にして人間の精神的及び社会的行動を変節させ、人々に「影響を与えるか」についての科学的知識を入手してきた。

冷戦とその余波

 この一連の出来事の中で主に先頭を走っていた勢力のひとつに、ローマ・クラブがある。このクラブは1956年にローマで初めて非公式の会合を持った。その後このクラブは、すでに第2次世界大戦で弱体化していたソ連を打ち破ろうとしていた冷戦により影が薄くなっていた。

 米国が資金提供したヒトラーにソビエト社会主義連邦共和国と戦わせることが、第2次世界大戦の主要目的だった。

 その魂胆は無様な失敗に終わった。その資金は米国の連邦準備銀行から直接、スイスのバーゼルに本拠地を置く国際決済銀行(BIS、ロスチャイルドの管理下にあった)に送られていた。この銀行はドイツ国境からほんの数キロメートルしか離れておらず、当時は現金をスーツケースで運んでいたのだが、ドイツ帝国銀行へ簡単に届けることができた。

 BISの初代頭取は、もと連邦準備銀行副頭取だった。

 ソ連を征服するというこの作戦が失敗したため、冷戦は全く間違った前提から導入された。最終的に冷戦は成功し、一時的(1991年~1999年まで)にソ連を崩壊させたが、それは米国を賞賛していた腐敗したエリツィン政権の協力があったからだった。その後ウラジミール・プーチンが現れ自国を救った。プーチンの業績の素晴らしさは驚愕に値する。

 西側の没落は激しく、ロシアや中国を征服することは不可能だろう。中露両国は、倫理面や士気面、人間性において西側とは違う側面を有している。

ローマ・クラブ

 ローマ・クラブはロックフェラー(彼は欧州人ではない)の考えのもと、ローマで1968年に正式に創設された。ローマ・クラブはそれ以来スイスのウィンタートゥールに本部が置かれているが、この都市にはスイスの法律により厚く守られた他の怪しげな組織も多く見られる。

 最初からローマ・クラブは統一された欧州を推進していたが、アメリカ合衆国のような主権を有する欧州連邦の創設を目指してはいなかった。そうなれば米国政府がこの組織(欧州連合:EU)を支配下におくことができないからだ。

 EUは米ドルの妹分としての共通通貨(つまり米ドル同様、金などの裏付けをもたない通貨)をもたなければならないが、もちろんそんな通貨がうまくいかないことはローマ・クラブ創設者たちにはわかっていた。法律や経済や文化が異なり、共通の憲法すなわち共通の金融政策や金融法を持たない欧州27カ国中19カ国で通用する単一通貨など失敗して当たり前なのだ。

 EUの崩壊は時間の問題だ。そしてこの問題は常に起こり続けている他の問題と相まって、加速され、何百万人もの死者を生むことになるだろう。

 第2次世界大戦以来、米国が起こした紛争と戦争により、世界中で2500万~3000万の人々が亡くなっていると推定されている。イスラエル・パレスチナ間の紛争は、そのような人殺し装置の最新版に過ぎない。

 多くの専門家が、核戦争となる第3次世界大戦が起こることを警告している。ウクライナでの戦争時にもそう警告し、いま起こっている血なまぐさいイスラエル・パレスチナ間の紛争でもそう警告している。

 核兵器は使われていないだけで、すでに我々は第3次世界大戦に巻き込まれているのだ。核兵器はもう必要ない。というのも核兵器を使えば近代的な生活基盤組織や地球上の生命体が破壊されるからだ。支配者層になりたがっている勢力が欲しいものばかりだ。さらにこれらの勢力が自分の命が危険にさらされる核戦争をおこすとは誰も考えまい。

 こんにちの生物兵器、指向性エネルギー武器(DEW-マウイやハワイ、カリフォルニアの例を参照)、とりわけ地球工学を使った気候変動を利用することにより、食料収穫や生活基盤組織、世界中の住居を、非常に激しい熱波や洪水、ハリケーン、地震さえ駆使して標的を絞って破壊すれば、核兵器を使用したのと少なくとも同程度の飢饉や貧困、死を与えることができるからだ。さらには、タビストック人間関係研究所による心理操作を使えば、このような被害は「気候変動」として簡単に片付けられる。

 1972年、ローマ・クラブは悪名高い「成長の限界」報告をだした。この報告書は未だに世界経済フォーラムが唱える「グレート・リセット」や国連の「アジェンダ2030」の青写真の主要目的として重宝されている:つまり世界人口や、クラウス・シュワブの親しい助言者であるイスラエルのユヴァル・ノア・ハリリのことばを借りれば、いわゆる「穀潰し」たちを削減できるというものだ。大規模な人口削減が、世界経済フォーラムの「グレート・リセット」と関連する国連の「アジェンダ2030」の主要目的の一つだ。

国連・世界経済フォーラム間の協力協定

 2019年、世界経済フォーラムのクラウス・シュワブ代表と国連のアントニオ・グテーレス事務総長は「協力協定」に署名したが、この協定は不当で、非道徳的で、巨大な利益相反行為にあたる。


クラウス・シュワブ(左)と国連のアントニオ・グテーレス国連事務総長

 国連はもはや信頼のおける国際機関ではない。193カ国が加盟し、世界平和醸成のために1945年に創設された機関ではあるのだが。

 今や国連は、それが示す不当さにより、信頼のおけない機関になってしまった。世界は今、指導者層のいう「ルールに基づく秩序」により導かれているが、このルールとは、法的根拠のない一連の規則であり、「支配者に」なりたいと思っている人々の要求によって採用される「ルール」に過ぎない。

 興味深いことに、国連と世界経済フォーラム間の汚らわしい協力関係に反対の声を上げる人がいないのだ。だからこそ、国連の「アジェンダ2030」や「グレート・リセット/第4次産業革命」が、顔の異なる同一物であり、それぞれ同じ目的と目標に向かっているのだ。

 まるで汚れた国連の顔を隠す化粧をケチって少し塗るかのように、国連の特別委員会がイスラエル・パレスチナ間の戦争中に行われた戦争犯罪の調査をおこなう可能性がある。その調査結果はおそらく、ほとんどの人々の予想どおりになることだろう-イスラエルが許されるだろう。こちらの記事を参照。

 先日、「成長への限界」報告を執筆したデニス・メドウズが、動画内で語っていたのは、世界は人口過多になっていて、良好な均衡を保つためには、住民を大規模(約86%)に減らさなければならない、というものだった。ただし、メドウズ自身はそのような「削減されるべき」人間の一人に自発的になる、とは言っていなかった。こちらの記事を参照。



結びに

 現在のイスラエル・パレスチナ間の戦争はすぐには終わらないだろう、とネタニヤフ首相は、戦争が始まった初日の2023年10月7日に、予見し、発表していた。どうやってそんなことがわかったのだろう?

 アフガニスタンやウクライナ、ソマリア、スーダン、そして言うまでもないことだが、未だにもめ事が絶えないイラクやその他多くの地域と同様、この紛争が終わることなく続くように思える。これらはすべて「死の崇拝(Death Cult)」の信仰に貢献することになる – 人口削減のための大量虐殺や混乱はどこでも目にする-さらには恐怖、恐怖、さらなる恐怖だ。この、人々を恐れさせる武器を使えば、人々はいいなりになり、経済は破綻し、最終的には下流階級から上流階級に資源が流れる。

 さらにこの新たな戦争は、追求不可能なものを追い求めることにも貢献している。つまり単一世界政府だ。さらにその企みの中にあるもう一つの企み、すなわち「選ばれし民」のための「大イスラエル」国の実現にも貢献している。

 しかしこの悪魔のような悪夢が消えるまで続く人々の苦しみは、恐ろしいものとなるだろう。

 我々人民は、別の社会の形成を計画しなければならない。自立し主権をもつ共同体に基づく社会だ。自分たちのお金と自分たちの地域の銀行をもち、お互いに貿易しあい、ゆくゆくは共同体同士で繋がり合える社会だ。そして何より、すべてがデジタルで管理されている社会からは距離をとる社会だ。

 この新たな社会が持つ活動力-命令で動くのではない-がいつの日にか、「新しい文明」となることを祈念し、この願いをこの先の道程を示す道しるべとしなければならない。
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ガザ-イスラエルの戦いは「偽旗作戦」? 黙認? 目的は「ガザを地図から消去する」こと?

<記事原文 寺島先生推薦>
Is the Gaza-Israel Fighting “A False Flag”? They Let it Happen? Their Objective Is “to Wipe Gaza Off the Map”?
筆者:フィリップ・ジラルディ(Philip Giraldi)、ミシェル・チョスドフスキー(Michel Chossudovsky)
出典:Global Research   2023 年10月9日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年10月15日


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2023年10月7日土曜早朝、ハマスはハマスの軍事長官モハメッド・デイフが主導した「アル・アクサ嵐作戦」を発動した。同じ日、ネタニヤフはいわゆる「臨戦状態」を確認した。

軍事作戦は必ず事前に計画される(下記2023年1月のネタニヤフの発言を参照)。「アル・アクサ嵐作戦」は「奇襲攻撃」だったのか?

アメリカの情報機関は、差し迫るハマスの攻撃情報を把握していなかったと述べている。

「ほとんど絶望的な甘ちゃんと言うしかないだろう、もし、ハマスの侵入はイスラエルの「諜報活動の不手際」だったという企業国家メディアの報道を鵜呑みにするならば、だ。モサドは、最も強力なとは言わないが、地球上で最も強力な情報機関の1つだ」。


ネタニヤフと彼の広範な軍事および情報機関(モサドなど)は、イスラエリとパレスチナ人の無数の死者をもたらしたハマスの攻撃について事前に知識を持っていたのか。

パレスチナ人への総力戦を注意深く策定したイスラエルの計画はハマスによる「アル・アクサ嵐作戦」の発動前に構想されていたのか? いや、これはメディアが伝えたようなイスラエル情報機関の不手際ではない。それとは真逆だ。

証拠と証言からは、ハマスの行動をネタニヤフ政府が予知していたことが示唆され、その結果、数百人のイスラエル人とパレスチナ人が死亡した。そして、「彼らはそれを黙認した」:

ハマスはイスラエルに2,000〜5,000発のロケットを発射し、数百人のイスラエル人が死亡し、また数十人のイスラエル人が戦争捕虜として捕らえられた。それに続くイスラエルの空爆で、ガザ地区では数百人のパレスチナ人が死亡した。(Stephen Sahiounie)


2023年10月7日のアル・アクサ嵐作戦の後、イスラエルの国防大臣はパレスチナ人を「人間の姿をした動物」と表現し、「それに応じて行動する」と誓った。その結果、戦闘機で230万人のパレスチナ人が住むガザ地区に大規模な爆撃を仕掛けた・・・」(Middle East Eye)。2023年10月9日、ガザ地区への完全な封鎖が開始され、食品、水、燃料、および必需品の搬入が遮断された。これは230万人のパレスチナ人に対する明白な人道に対する犯罪であり、大量虐殺になる。

注目すべきは、ネタニヤフの軍事行動がハマスを標的としていないことだ。真逆のことをしている:彼は230万人の、何の罪もないパレスチナ市民を標的にしている。それは「武力衝突の4つの原則(LOAC)」への露骨な違反だ:

「・・・民間人と民間施設(学校、病院、住宅地など)の尊重と保護について、紛争の当事者は常に、民間人と戦闘員、民間施設と軍事目標を区別し、そのためには彼らの行動は軍事目標へのみ向けられなければならない」。 [追加議定書1、第48条]


皮肉なことに、スコット・リッターによれば、ハマス軍はウクライナでアメリカ製の武器を入手している。

これは「奇襲攻撃」ではなかった。

ハマスの攻撃は「偽旗作戦」だったのか?

25年前、私はIDF(イスラエル国防軍)の情報部で勤務していた。イスラエルがこれから起こることを知らなかったはずはない。
塀に沿って猫が移動しただけでも、全ての部隊は動員される。それでこれ??

「世界最強の軍」に何が起こったのか?

なぜ国境線が広く開かれていたのか?? 何かが非常におかしい、非常に奇妙なことがここで起こっている、この一連の出来事は非常に異例で、イスラエルの防衛システムではあり得ない何かが起こっている。

この奇襲攻撃は計画された作戦のように私には思える。あらゆる戦線で。
もし私が陰謀論者だったら、これはディープ・ステート(闇国家)の仕業のように感じるだろう。

イスラエルとパレスチナの民衆は、繰り返しになるが、表舞台に出ない高位の権力に売られたような気がする。

(エフラット・フェニグソン元イスラエル国防軍情報機関、2023年10月7日の発言、強調は筆者)


皮肉なことに、メディア(NBC)は今、「ハマスの攻撃はイランの関与の可能性が高い」と主張している。

歴史:モサドとハマスの関係

モサド(イスラエルの情報機関)とハマスの関係は何か? ハマスは「情報スパイ」か? 長い歴史がある。

ハマス(イスラム抵抗運動、Harakat al-Muqawama al-Islamiyya)は、1987年にシェイク・アフマド・ヤッシンによって設立された。当初、この組織はイスラエルの情報機関によって支援され、パレスチナ自治政府を弱体化させる手段として利用された:

「モサド(イスラエルの「情報と特別任務の研究所」)のおかげで、ハマスは占領地域でその存在を強化することが許された。一方で、アラファトのファタハ解放運動やパレスナ左派は、最も残酷な弾圧と脅迫を受けた。」

忘れてはならないのは、実際にはイスラエルがハマスを創設したことだ。エルサレムのヘブライ大学の歴史家であるゼエヴ・ステルネルによれば、「イスラエルは、イスラム主義者をパレスチナ解放機構(PLO)に対抗させる賢明な策略だと考えていた」とのことだ(フランス語からの翻訳、L’Humanité)。


ハマスとモサド、および米国の情報機関とのつながりはアメリカの議員ロン・ポールが米国議会に対して述べた発言で認識されている:「ハマスはイスラエルによって設立された」のか?

「ハマスについて、歴史を調べると、ハマスは実際にはイスラエルによって奨励され、始まったことがわかります。彼らはヤーセル・アラファートに対抗させるためにハマスを必要としたからです・・・(ロン・ポール議員、2011年)」


この発言の意味は、ハマスが「情報スパイ」であり、今でもそうだということだ。つまり「情報機関にとってのスパイ」なのだ。

WSJ(ウォールストリートジャーナル)も参照のこと(2009年1月24日)「イスラエルはハマスの誕生をどう助けたか」

コーエンによれば、最初からガザのイスラム主義者を抑制しようとせず、イスラエルは長年にわたり、いくつかのケースでは彼らを許容し、世俗的国家解放機構(PLO)およびその主要派閥、ヤーセル・アラファートのファタハ党に対抗する要素として奨励していた。(強調はWSJ)



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ハマスとの連携がネタニヤフによって確認された。「秘密はばれた」

彼は2019年3月に行なわれたリクード党のクネセト議員たちとの会合で、「パレスチニア国家の設立を阻止したい人々は、ハマスを支援し、ハマスに資金を供給する必要があります」と述べた。「これは私たちの戦略の一部であり、ガザのパレスチナ人と西岸のパレスチナを孤立させることです」。(Haaretz、2023年10月9日、強調は筆者)


ネタニヤフが言ったことは、彼と彼の軍事情報組織が何の罪もないイスラエル市民の殺害に責任があることを示唆していないだろうか?

軍事行動拡大の危険性

いかなる幻想も私たちは持つべきではない。この「偽旗作戦」は数年にわたり注意深く計画され、米国の情報機関、ペンタゴン、およびNATOとの連絡・調整を含む複雑な軍事情報活動だ。

次に、パレスチナに対するこの行動は、中東の大部分を巻き込む可能性のある軍事行動拡大に既につながっている。

イスラエルは2004年以来、NATOの事実上のメンバー(特別な地位)であり、占領地に関連する積極的な軍事および情報連携、および協議に関与している。

イスラエル国防軍(IDF)は、ペンタゴンおよびNATOとの軍事協力を、「イスラエルを脅かす可能性のある敵(主にイランとシリア)敵に対するイスラエルの抑止力を向上させる」手段と見ている。

NATOとイスラエルの軍事協力の前提は、「イスラエルが攻撃されている」ということだ。このイスラエルのNATOとの協定は、ワシントン条約の「集団安全保障」の原則(第5条)に基づき、NATOはイスラエルを「救援する義務」を負うことになるのか?

最近の動向では、中東における米国の軍事展開は、戦火拡大を避けるためだとされている。

NATO事務総長ヤンス・ストルテンベルグによれば:

イスラエルに敵対的な国や組織が、状況を悪用しようと試みる危険性は常に存在します。それには、ヒズボラやイランなどの組織や国も含まれます。したがって、これはイスラエルに敵対的な国や組織に対する状況を悪用しようとしてはいけないというメッセージです。また、アメリカ合衆国は、この地域にさらに多くの軍隊を配備しています。とりわけ、状況の悪化を抑えたり、防止することが目的です。NATO記者会見、2023年10月12日、強調は筆者)



ネタニヤフのパレスチナに対する「長期戦」の次の段階

パレスチナの人々に対する75年にわたる戦争(ナクバ、1948年以来)の新しい段階を成すネタニヤフの述べた目標は、もはや「アパルトヘイト」や「分離」を含意しない。この新しい段階(平和を望むイスラエル市民にも向けられている)は「総取り」であり、パレスチナの人々をその故郷から完全に排除するものでもある:

「これは、私(ネタニヤフ)が率いる国民政府の基本方針です:ユダヤ人はイスラエルの全地域に対して排他的で疑いの余地のない権利を持っています。政府はイスラエルの全地域、ガリラヤ、ネゲブ、ゴラン、ユダヤ、サマリアを含むすべての地域で入植を奨励し発展させます」。(ネタニヤフ、2023年1月。強調は筆者)


次に、「偽旗作戦」の可能性を指摘するフィリップ・ジラルディ博士の鋭い分析に読者の皆様の注意を喚起させていただく。

ミシェル・チョスドフスキー、GR、2023年10月8日、上の記事は2023年10月12日に更新されたもの
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フィリップ・ジラルディ博士の以下の鋭い分析をお読みください。

ガザ-イスラエルの闘争は「偽旗作戦」か?
黙認か?
彼らの目的は「ガザを地図から消すこと」?

フィリップ・ジラルディ博士
2023年10月8日


一週間ほど前のネタニヤフあるいは彼の内閣の誰かの演説を読んだのは私だけか?その中で、彼/彼らは「治安状況の進展」という言葉をぽろりと使っている。それは(私にとっては)ガザでの成り行きについて彼らが知っていたかもしれない、と受け取れるのだ。そして報復としてガザを地図から消すためにハマスの攻撃を黙認することを彼らは選んだのだ。おそらくイスラエルの「背後」を受け持つという米国の誓約に期待し、イランを巻き込み、攻撃しようとしている。

それとつながるものは見つけることができなかったが、それはパレスチナ人への更なる虐殺の口実として機能するだろうと考えながら読んだことをかなり鮮明に覚えている。

元諜報員として、私はイスラエルがガザに内部の情報提供者とともに、国境壁に沿って電子監視装置を備えており、グループや車両の動きを感知していなかったとはとても信じられない。

言い換えると、その全てが虚偽の事実である可能性があり、そんなことは今に始まったことではない。

そして、いつものように、ジョー・バイデンは、かわいそうな弱小イスラエルが自国を「防衛する」ために何十億ドルかの資金を送る準備をしている。
*
フィリップ・M・ジラルディ博士は、Council for the National Interestの執行理事です。これは501(c)3税控除可能な教育財団で(連邦ID番号#52-1739023)、中東における米国の利益に基づく外交政策を求めています。ウェブサイトはcouncilforthenationalinterest.orgで、住所はP.O. Box 2157, Purcellville VA 20134、電子メールは[email protected]です。
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ハーバード大学、国連で「言論の自由」に反対の声をあげた元NZ首相を特別研究員に抜擢

<記事原文 寺島先生推薦>
Harvard’s Jacinda Ardern Calls on the United Nations to Crack Down on Free Speech as a Weapon of War
筆者:ジョナサン・ターリー(Jonathan Turley)
出典:グローバル・リサーチ(Global Research)  2023年9月21日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年10月13日





 ジャシンダ・アーダーン女史はもうニュージーランドの首相ではないが、国連の場に戻ってきて、世界規模で検閲を行なうことをこれまでどおり求めた。アーダーン氏はいまや世界で言論の自由に反対する勢力の中で代表的な人物のひとりとなっており、世界の政界や学界の指導者層から支持を受け続けている。彼女が言論の自由に反対しておこなった直近の発言において、アーダーン氏は、言論の自由は事実上戦争の武器になっている、と断じた。同氏が求めたのは、世界が彼女の主張する「言論の自由との戦い」に参戦し、「偽情報」や「誤情報」と戦うことだった。言うまでもないことだが、このような同氏の観点は、権威主義的な国々からだけではなく、世界の政界や学界の指導者装置からも熱烈に歓迎された。

 この演説の中でアーダーン氏が述べた内容は、言論の自由により気候変動問題などとの戦いが阻害されることを許してはならない、というものだった。同氏の言い分では、世界の人々が根本的な問題に疑念を挟む限りは、気候変動との闘いには勝利できない、というものだ。そしてその解決法はそのような考え方に反対する声を黙らせることだ、といったのだ。なんと簡単な論法だろう。

 アーダーン氏の観点は言論の自由に対する攻撃だ、と考えている人々もいるが、ハーバード大学は急いでアーダーン氏に2件の特別研究員としての資格を授与した。アーダーン氏がこの天賦の人権に対する容赦ない攻撃を加えていることに非難の声を上げている言論の自由を擁護する勢力があるにもかかわらず、ハーバード大学はアーダーン氏を「強力で共感が持てる政治指導者」であると賞賛し、特に、「投稿内容の基準やオンライン上の過激な投稿に対する各種SNSが果たすべき説明責任の改善」を支援したことについて同氏を持ち上げた。

 アーダーン氏をハーバード大学の客員教授にすることに異論を挟む気はない。同女史は世界的な指導者であった人物でありながら、言論の自由に反対する動きを主導している。彼女を特別研究員に迎えることで、学生らがこの矛盾点を見つめ、考える材料にすべきだからだ。ただし、ハーバード大学が、アーダーン氏が言論の自由という権利に大きな敵意を持っていることを考慮することなしに、同氏を持ち上げていることには問題がある。これでは言論の自由を天賦の人権だと捉えている学内の他の特別研究員らとの均衡がほとんど取れなくなってしまう。むしろハーバード大学(ちなみに言論の自由に関する先日の調査で最下位に格付けされた)は、言論の自由に反対する研究者や主張者らの事実上の精算所のようなところになってしまっている。いまや言論の自由は、大学において有害なものとして扱われることが普通になっている。我々が持つ天賦の権利ではなく、実在の脅威として扱われているのだ。

 聞いていて背筋が寒くなる思いをさせられるのは、聞いていて背筋が寒くなるのは、アーダーン氏が言論の自由への忠誠を表明しながら、言論の自由を厳しく制限して国民が自国の政策や優先事項を台無しにしないようにすべきだと各国政府に呼びかけていることだ。同氏はむきだしの検閲や不寛容に対して「共感する」表情を保ち続けている。いまやアーダーン氏は、世界の言論規制および言論による犯罪の規制を司る事実上の特使の働きをしている。
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9-11偽旗作戦を彷彿とさせる、ハマスによる不可解なイスラエル攻撃

<記事原文 寺島先生推薦>
Hamas’ Attack on Israel Is Puzzling
出典:ポール・グレイグ・ロバーツの個人ブログ  2023年10月9日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年10月13日


 イスラエル・パレスチナ間の紛争について見解を聞かれる。確かにこの紛争は、ウクライナ・ロシア間の紛争から目を逸らせるもののように思える。人々(つまり「注意を払っている人々」)が不審に思っているのは、なぜパレスチナの人々がイスラエルにこんな風な攻撃を仕掛けたのか、だ。というのも、こんな攻撃を仕掛ければ、ネタニヤフ首相にパレスチナ人に残されていた僅かな土地を手に入れ、ガザ地区を破壊し、ひとつの国に2つの国家があるという問題を解決させる口実を与えることになるからだ。パレスチナの人々がイスラエルの人々を殺し、人質に取ったのだから、イスラエルを非難できる人などいようか?

 パレスチナ側が背信行為をおこなったという公式説明は耳にしたが、攻撃そのものについての説明は聞いていない。この行為は背信行為以上のものだったはずに違いないと思える。読者の皆さんと同意見なのだが、私もハマスがイスラエル側の作戦にまんまと嵌ってしまったことを奇妙に思っている。さらには、この攻撃について何か腑に落ちないところがあることについても、皆さんと同意見だ。ドローンやあんなにも多数のロケットが、イランから、あるいはウクライナからだという声もあるが、どうやってガザ地区に運び込まれたのだろうか? さらには、ハマスの戦闘員たちはどうやってイスラエルに入ることができたのだろうか?

 ハマスによる今回の攻撃は、9-11を彷彿とさせるものだ。国家安全保障体制が確立している米国のどの組織も、2001年9月11日の同時多発テロを防げなかったのと全く同様に、米国がイスラエルのために設置した防空システムであるアイアン・ドームはじめ、イスラエルの国家安全保障体制も全く機能しなかった。おかしなことに、ハマスの戦闘員たちは、全く検出されることなく、陸・海・空からイスラエルに侵入した。おかしなことに、大量の武器が、全く検出されることなく、イスラエルをとおってパレスチナに運び込まれた。こんな都合のいい落ち度があったとは到底信じられない。イスラエル国内で安全保障面全般のこの落ち度についての責任を取らされる人が出てくるだろうか? 見ものだ。米国では9-11の安全保障面での落ち度の責任を問われた人は誰もいなかった。この事実こそ、我々に様々なことを考えさせてくれるべきものだ。

 分かる術がないので、推測するしかない。イスラエル側に動機はある。イスラエルはパレスチナ人たちの残された土地を盗み取れる。それ以外の動機として考えられるのは、イスラエルがこの紛争をさらなる激しい戦争に拡大することにより、今度こそレバノン南部の水資源を手に入れることができるようになることだ。さらに、このイスラエルの動きにより、シリアやイランは煮え湯を飲まされることになるだろう。石油価格が高騰し、世界に混乱をもたらすことになるだろうからだ。戦争に勝利し、パレスチナ問題を終わらせることができれば、ネタニヤフが抱えている法的問題や政治問題が追及されることはなくなるだろう。考えてみれば、イスラエル側の動機はたくさんある。

 しかし、この攻撃を可能にした安全保障面での落ち度という点はどうなのだろう? なぜネタニヤフは、イスラエルの警備体制を止めることによって、ハマスがイスラエルを攻撃することを可能にさせたのだろう? そんなことを考えるのは意味のないことかもしれないが、イスラエルがこのような状況を利用して、残されたパレスチナの土地を手に入れられると考えれば、あながち意味のないことではない。9-11後の状況が、ネオコンがかねてより準備していた中東への戦争を仕掛けられる状況を作り出したのと同じように。

 難しい問いは、なぜパレスチナ人たちがイスラエルを攻撃するという自爆的行為にふみきったか、だ。ハマスにはイスラエルを打倒できる見通しなどなかったはずなのに。このことも推測するしかないが、今回のことは、初めから終わりまで全てイスラエルの工作だった可能性がある。イスラエルがハマスをけしかけたのかもしれない。ちょうど、FBIがトランプ支持者や愛国者勢力をけしかけることで彼らが国内テロリスト呼ばわりされるようになったのと同じように。イスラエルの工作員たちは、イスラエルがパレスチナ人たちを迫害していることを大きく宣伝する。ネタニヤフは神聖なモスクを爆撃することで、その工作に手を貸す。工作員らは、イランからの武器とイスラエルの警備体制を妨害するためにはイランからの装置、これがあれば可能になる攻撃計画を思いつく。工作員らは慎重にことを進める。その際、彼らが当てにするのは、パレスチナの人々の積年の怒りや傷であり、無理だと思っていたハマスの根拠を実行に踏み切らせられるという見通しだ。

 こんな推測で十分な説明がつく、などとは思っていない。だが、調査がおこなわれた結果、このような推測が、この先、展開されるであろうどんな公式説明よりもより真実に近いことが証明されたとしても、驚きはしない。
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イベルメクチンには少なくとも15の抗がん作用機序がある

<記事原文 寺島先生推薦>
COVID-19 mRNAワクチンが誘発したターボがんを治療できるか?
イベルメクチンに関する9つの論文を概観する
Ivermectin Has at Least 15 Anti-cancer Mechanisms of Action. Can It Treat COVID-19 mRNA Vaccine-Induced Turbo Cancers?
Nine Ivermectin papers reviewed

筆者:ウィリアム・マキス (William Makis)
出典:Global Research  2023年10月2日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年10月13日


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2023年9月23日 - Man-Yuan Li他 - イベルメクチンは腺がん細胞においてPAK1およびアポトーシス(細胞の自然死)を下方制御することにより非保護的自食作用を誘発する
2023 年 5 月 – Samy他 - エプリノメクチン:このイベルメクチンの誘導体は、β-カテニンシグナル伝達経路を標的として前立腺がん細胞の増殖と転移表現型(遺伝子型と環境との相互作用により、遺伝子型の一部が目に見える形で現れる生物組織の特質_英辞郎)を抑制する
2022 11月 - Lotfalizadeh 他―イベルメクチンの抗がん潜在能力: 作用機序と治療的意義
2022 年 10 月 - Jian Liu 他:イベルメクチンの抗腫瘍効果を支える分子メカニズムの解明の進展
2022 年 6 月 - Daeun Lee 他:イベルメクチンはミトコンドリア機能障害を介して膵臓がんを抑制する
2021 年 8 月 - Shican Zhou 他:イベルメクチンには大腸がん細胞増殖抑制に役立つ新たな実用性がある
2021 年 1 月 Mingyang Tang 他-イベルメクチンは抗寄生虫薬から派生した抗がん剤の可能性がある
2019 年 9 月 Intuyod 他- 抗寄生虫薬イベルメクチンがゲムシタビン耐性胆管がんに対して試験管内で強力な抗がん活性を示す
2018 年 2 月 - Juarez 他 ―マルチターゲット(多標的)薬イベルメクチン:抗寄生虫薬から再配置された抗がん剤へ

2018 年 2 月 - Juarez et al - マルチターゲット薬イベルメクチン:抗寄生虫薬から再配置されたがん治療薬へ

北里研究所の大村智氏は1979年にイベルメクチンを発見し、この発見により2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞した。
▪ イベルメクチンは、クロバエ媒介寄生虫回旋糸状虫によって引き起こされるオンコセルカ症(河川盲目症としても知られる)の経治療薬として、1987年にFDA(米国食品医薬品局)からヒトへの使用が承認された。 ▪ イベルメクチンは毎年ほぼ2億5千万の人々によって服用されている。
▪ イベルメクチンで治療されたほとんどの患者には、発熱、そう痒症、皮疹、倦怠感など、寄生虫に対する免疫反応や炎症反応によるもの以外に副作用はない
▪ 血漿中濃度は経口投与後4~5時間で最大になる。
半減期は約19時間で、肝臓でチトクロームCYP1AおよびCYP3A4複合体によって代謝され、主に脱メチル化および水酸化された10種類の代謝物が生成される。
▪ その排泄は主に糞便であり、尿中に排泄されるのはわずか1%である。 ▪ イベルメクチンは様々なタイプのがんで抗腫瘍効果を発揮する。



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これは医学的にどういう意味を持つのか:

▪ 塩素チャネル ― 急性骨髄性白血病 -が細胞死を 誘発した。
▪ Akt/mTOR経路 ―グリオブラストーマ、腎がん細胞株―ミトコンドリアの生合成または機能の抑制、酸化ストレス、DNA損傷
▪ P2X7(ICD)の過剰発現は、腫瘍の成長と転移を促進する―イベルメクチンは三重陰性乳がん細胞における免疫原性細胞死(ICD)を増強する。
▪ PAK1(自食作用)-神経膠芽腫および卵巣がん細胞株-イベルメクチンはこの経路を通じて自食作用を促進する。
▪ WNT-TCF経路-神経膠芽腫、結腸がん、黒色腫-イベルメクチンはこの経路を通して抗増殖機能を発揮する(乳がん、皮膚がん、肺がんのようなWNT-TCF依存性のがんを遮断するためにイベルメクチンが使用できる可能性)。
▪ SIN3ドメイン-乳がん(イベルメクチンは後生的変調装置として作用し、遺伝子発現を変化させ、腫瘍の増殖を減少させる)
▪ NS3ヘリカーゼ-グリオーマ細胞-イベルメクチンはヘリカーゼ阻害剤として作用し抗腫瘍効果を示した。


試験管内研究:

乳がん、卵巣がん、前立腺がん、結腸がん、膵臓がん、頭頸部がん、メラノーマ ― 細胞増殖抑制、アポトーシス誘発、自食作用、タモキシフェン耐性の回復、転移抑制
膠芽腫(こうがしゅ) -成長抑制、アポトーシス、血管新生阻害

インビボ(生体)研究(免疫不全マウスで実施):
急性骨髄芽球性白血病 — 腫瘍体積を最大70%減少させる
膠芽腫 - 腫瘍量を最大50%減少させる。
乳がん-腫瘍量を最大60%減少させる。
神経膠腫-腫瘍体積を最大50%減少させる(0.24mg/kgの場合)が、0.8mg/kgに相当するヒト投与量では腫瘍は検出されなかった!
結腸がん - 腫瘍量を最大85%減少させる。
▪ 10~42日間(経口、腹腔内または腫瘍内)投与した場合の中央値はヒトで0.4mg/kgに相当した。
▪ イベルメクチンの試験管内および生体内での抗腫瘍活性は、健康な患者および寄生虫感染患者を対象としたヒト薬物動態試験に基づき、臨床的に到達可能な濃度で達成される。


2019 年 9 月 Intuyod et al 抗寄生虫薬イベルメクチンがゲムシタビン耐性胆管がんに対して試験管内で強力な抗がん活性を示す

▪ 化学療法(ゲムシタビン)耐性の胆管がん細胞でイベルメクチンを研究
イベルメクチンは用量と時間に依存して(!)がん細胞の増殖とコロニー形成を阻害した。
▪ イベルメクチンはS期細胞周期停止と細胞死を引き起こした。

結論 「イベルメクチンは、胆管がんの代替治療として、特に化学療法に反応しない患者に有用かもしれない」。


2021 年 1 月 - Mingyang Tang 他イベルメクチン、抗寄生虫薬から派生した抗がん剤の可能性

腫瘍細胞におけるIVM(イベルメクチン)による細胞毒性の具体的な機序(メカニズム)は不明である;それは、IVMがさまざまな信号伝達経路に及ぼす影響に関係しているのかもしれない。
IVMは腫瘍細胞において混合細胞死を誘発するようだ。


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結論: イベルメクチンは正常細胞に毒性を示さない用量で腫瘍の増殖を選択的に阻害し、腫瘍のMDR(多剤耐性)を逆転させることができる。
▪ 健康な志願被験者では、投与量を2mg/kgに増量したが、重篤な副作用は認められなかった。
▪ 残念ながら、抗がん剤としてのIVMの臨床試験の報告はない
▪ 多くの研究結果が示唆しているところによれば、イベルメクチン(IVM)は腫瘍細胞内の複数の信号伝達経路に影響を与え、増殖を抑制する。IVMは特定の標的を介して腫瘍細胞で抗腫瘍活性を引き起こす可能性がある。
イベルメクチンは腫瘍の微小環境を調節し、腫瘍幹細胞の活動を抑制し、腫瘍の血管新生と腫瘍の転移を減少させる。
IVMが細胞の状態とがんの種類に依存して、アポトーシス、自食作用、およびパイロプトーシスを含む混合細胞死モードを誘発できることがますます明らかになっている。
IVMは化学療法薬の感受性を高め、耐性の発生を減少させることができる。それゆえIVMは他の薬剤と組み合わせて使用するべきだ。これにより最良の効果が得られる。


2022 年 6 月 - Daeun Lee他 ―イベルメクチンはミトコンドリア機能障害を介して膵臓がんを抑制する

▪ 韓国のポスター発表
▪ イベルメクチンが膵がんにおいてゲムシタビンと併用された。
▪ イベルメクチンとゲムシタビンの組み合わせは、膵臓がん細胞の増殖を細胞周期のG1期での停止を通じて抑制した。
▪ 生体実験では、ゲムシタビン単独と比較して、イベルメクチン—ゲムシタビンが膵臓がんの腫瘍成長を有意に抑制した。
▪ 結論:「イベルメクチンは膵臓がん治療のための反腫瘍薬として機能する可能性がある」



2021 年 8 月 - Shican Zhou 他:イベルメクチンは大腸がん細胞増殖抑制に新たな応用性を持つ

▪大腸がんは世界で3番目に最も一般的ながんであり、効果的な治療が不足している。
▪大腸がん株で実験したイベルメクチン
イベルメクチンは用量に応じて大腸がんの成長を抑制した。
    ▪細胞アポトーシスを促進した
    ▪全体的そしてミトコンドリアROS(reactive oxygen species活性酸素種)産生を促進した
    ▪大腸がん細胞S-phase停止を誘発した
結論:イベルメクチンは人間の大腸がんにとって新しい抗がん治療薬となるかもしれない。


2022 年 10 月 - Jian Liu 他:イベルメクチンの抗腫瘍効果を支える分子メカニズムの解明の進展

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PAK1(自食作用) - イベルメクチンは、PAK1阻害剤として作用し、乳がん、卵巣がん、グリオブラスチョーマとNF2腫瘍の成長を抑制し、鼻咽頭癌とメラノーマにおける細胞死に関与している。
▪ アポトーシス(カスパーゼ依存性)-イベルメクチンは、グリオブラストーマ、慢性骨髄性白血病細胞、また乳がん、卵巣がんにおいてアポトーシスを誘発する。
▪ 免疫原性細胞死(ICD - P2X7シグナリング)-イベルメクチンは三重陰性乳がんにおいて細胞死を誘発する。
▪ YAP1の阻害-肝細胞がん、胆管がん、大腸がん、卵巣がん、胃がん-イベルメクチンは抗腫瘍効果を発揮する。
▪ WNT経路(がんの進行-分化、転移、細胞の老化、腫瘍の発生、腫瘍の成長)-イベルメクチンはこの経路を阻害する-結腸がんと肺がんを阻害し、イベルメクチンはがん幹細胞の形成も制限する。
▪ TF3 Path – イベルメクチンはメラノーマ細胞のアポトーシスを促進する。
▪ RNAヘリケースの阻害 - イベルメクチンはグリオーマ細胞の浸潤と増殖を抑制する
▪ SIDペプチド(SIN3A/B)-イベルメクチンが乳がんの進行を抑制、タモキシフェン感受性も回復
▪ Akt/mTOR阻害-イベルメクチンはミトコンドリア呼吸を阻害する- 神経膠芽腫、CML白血病(乳がん、白血病、リンパ腫のような一部のがんは代謝が活発でミトコンドリアに依存している -イベルメクチン阻害に対してより反応性が高い)
▪ イベルメクチンは血管新生阻害剤である。
▪ イベルメクチンには抗微生物活性がある。


ヒトにおいて、イベルメクチンの毒性は非常に低く、健康な志願被験者を対象に行なわれた研究では、最大で120 mg(体重2 kgあたり約2 mg)の用量まで摂取しても重大な有害反応は見られなかった(参考文献: Guzzo CA、Furtek CI、Porras AG、他。安全性、忍容性、および健康な成人対象のイベルメクチンの高用量を増やす際の薬物動態。J Clin Pharmacol. 2002; 42(10): 1122-1133)。

2023 年 5 月 – Samy他 エプリノメクチン:このイベルメクチンの誘導体は、β-カテニンシグナル伝達経路を標的として前立腺がん細胞の増殖と転移表現型(遺伝子型と環境との相互作用により、遺伝子型の一部が目に見える形で現れる生物組織の特質_英辞郎)を抑制する。

▪ イベルメクチン(誘導体)は前立腺がん細胞の生存率、遊走能を阻害する。
▪ イベルメクチンはアポトーシス、自食作用を誘発する(ROS活性酸素種を通して)
▪ イベルメクチンはがん幹細胞マーカーの発現を低下させる。
▪ 結論: イベルメクチンは転移性前立腺がん細胞を標的とする大きな可能性を持っており、進行前立腺がんに対する治療方法に新たな道を提供する。


2023年9月23日 - Man-Yuan Li他 - イベルメクチンは肺腺がん細胞においてPAK1およびアポトーシス(細胞の自然死)を下方制御することにより非保護的自食作用を誘導する。

▪イベルメクチンは肺腺がん細胞に関して研究された。
▪イベルメクチンは、がん細胞のコロニー形成と生存能力を著しく阻害し、細胞増殖とともにアポトーシスを引き起こし、自食作用を促進した
▪イベルメクチンはヌードマウスの生体内で肺腺がん細胞の細胞増殖を効率的に抑制した


私見

イベルメクチンは、試験管内と生体の両方で、医学文献で証明されている少なくとも15の異なる経路を通じて抗がん作用を発揮する!

これら15の経路についてすばらしい要約は Mingyang Tang 他による2021年論文で入手できる)

まず、抗がんメカニズムを簡単にまとめてみよう(簡単な要約はLoftalizadeh他の2022年の論文にある):

イベルメクチンは腫瘍細胞の死を誘発する:アポトーシス、自食作用、ピロプトーシス
イベルメクチンは腫瘍の発生と進行を阻害する(WNT阻害、YAP1阻害を介して)
イベルメクチンは腫瘍の成長と増殖を阻害する(Akt/mTOR阻害、MAPK阻害を介して)
イベルメクチンは、がん細胞の遊走、浸潤、転移を阻止する(PAK1阻害(全がんの70%に見られる)、EMT阻害、RNAヘリカーゼ阻害を介して)
イベルメクチンはがん細胞のミトコンドリア機能障害を引き起こす(ミトコンドリアの生合成を阻害し、がん細胞でのみ選択的に活性酸素種を増加させる)
イベルメクチンは腫瘍微小環境を制御する(P2X7経路、ICD-免疫原性細胞死を介し、腫瘍の成長と進行を抑制する)
イベルメクチンはがん幹細胞(腫瘍の発生、進行、再発の原因となる)を阻害する。
イベルメクチンは腫瘍の血管新生(腫瘍の血管が作られること)を阻害する。
イベルメクチンには抗有糸分裂活性がある(哺乳類のチューブリンと相互作用する)
イベルメクチンは、がんの後成的制御因子であり、がんの進行を抑制する(がんの進行を抑制するために遺伝子発現を変化させる、SIN3A、EMT)
イベルメクチンは腫瘍の多剤耐性を克服できる。



どんな癌(がん)をイベルメクチンは治療できるのか?

COVID-19 mRNAワクチンによって誘発されるターボがんの上位5つ:リンパ腫、脳腫瘍、乳がん、大腸がん、および肺がん(白血病、肝胆管がん、精巣がん、肉腫、および悪性黒色腫でも兆候が見られた)

イベルメクチンはこれらのがん細胞を殺すことが示されている(試験管内または生体で):

乳がん、特に三重陰性がんはCOVID-19 mRNAワクチン接種女性にしばしば見られ、予後が最悪である。
膠芽腫および神経膠腫(膠芽腫はCOVID-19 mRNAワクチン接種者にしばしば認められる)
白血病、AMLとCMLの両方(これらは最も攻撃的で致死性の早いmRNAターボ癌である)
大腸がん(COVID-19 mRNAワクチン接種者に多いステージ4の大腸がん)
肝胆膵がん:肝頭蓋がん、胆管がん、膵がん(COVID-19 mRNAワクチンとの主要な関連兆候)
肺がん(COVID-19 mRNAワクチン接種者のステージ4の肺がん)
▪ メラノーマ(COVID-19 mRNAワクチン接種者の明確な兆候)
腎細胞がん(mRNAターボがん兆候の可能性)および尿路上皮がん
卵巣がん(mRNAターボがん兆候の可能性)
胃がん ▪ 前立腺癌
上咽頭がん



イベルメクチンと、おそらくCOVID-19 mRNAワクチンのターボがんとして最も一般的なリンパ腫に関する文献はほとんどない。これは調査する必要がある。

COVID-19 mRNAワクチンターボ癌を治療するためのイベルメクチンの投与量は?

Guzzo 他は2022年に「健康成人被験者におけるイベルメクチンの漸増高用量の安全性、忍容性、薬物動態」に関する論文を発表した。
▪ 副作用がなく安全であると試験された最高用量は2mg/kgであった。
▪ 血漿中の最大濃度は経口摂取後4時間
半減期は18時間
バージニア州ブラックスバーグのDavid E. Scheim博士も2021年9月7日にイベルメクチンの安全性について興味深い記事を書いている。(出典
▪ いくつかの研究で、イベルメクチンの抗がん作用には用量依存性があることが示されている(用量が多いほど反応がよい)


警告:医学的アドバイスとして受け取られないように-仮定の状況:もし私がCOVID-19ワクチン誘発ターボがんまたは進行期のがんに直面した場合、イベルメクチンの投与量2mg/kgを毎日または2日おきに経口投与することを考えている。

ジャスタス・ホープ医学博士は2023年8月29日の論文で、ステージ4の大腸がん、ステージ4の卵巣がんがイベルメクチンに反応し、腫瘍マーカーが劇的に低下した劇的症例について論じた。

また、ステージ4の胆嚢がんの医師が1日2mg/kgの「イベルメクチン大量投与」を1年以上続けたが、当初は数日間の視覚的副作用があり、その後、消失したことも紹介した。

また、がんが疑われる前立腺肥大の症例で、イベルメクチン45mg/日を5週間投与したところ、PSAが89.1から10.9に低下し、夜間頻尿も解消した症例も紹介されている。体重100kgの男性の場合、これは0.45mg/kgの投与量であり、Guzzoらが発表した2mg/kgの安全量よりかなり低い。

この論文では、頸部腫瘍と肺転移を有し、1日2.45mg/kg高用量イベルメクチンを投与されているがん患者について述べている。

私は、COVID-19 mRNAワクチンターボがん患者が、2mg/kgのような高用量イベルメクチンによる治療から恩恵を受ける可能性があるというのは妥当な仮説であり、この分野でのさらなる研究が緊急に必要であると考えている。

(mRNAワクチン誘発ターボがん、例えば白血病、神経膠芽腫、乳がん(三重陰性乳がんを含む)、大腸がん、肝胆膵がん、肺がん、メラノーマ、腎細胞がん、卵巣がん、前立腺がんなど-すでに文献に証拠があるように)。
*
ウィリアム・マキス博士は、放射線学、腫瘍学、免疫学を専門とするカナダ人医師。トロント大学奨学生。100以上の査読付き医学論文の筆者。
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WHO(世界保健機関)修正案は、人為的なパンデミックを増加させる可能性がある―メリル・ナス博士

<記事原文 寺島先生推薦>
The WHO’s Proposed Amendments Will Increase Man-Made Pandemics. Dr. Meryl Nass
筆者:メリル・ナス博士 (Dr.Meryl Nass)
出典:Global Research  2023年9月15日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年10月12日


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この報告の意図するところは、読者にいくつかの重要な話題について考えていただく一助とするためだ。具体的には、①パンデミックと生物戦に本当に対処する方法、②WHOとその成員たちが提案しているパンデミックへの対応を評価する方法、および③道理にかない、それが人々に手を差し伸べることになると言いながら、健康保健分野を渡り歩く高官たちを私たちは信頼できるのかどうか、についてである。

まず生物兵器管理の歴史から始める。次いで、駆け足でCOVIDパンデミックに移り、最後は私たちの未来を守る計画について、となる。



大量破壊兵器:科学/生物兵器

伝統的に、大量破壊兵器(WMD)は、化学や、生物学、放射線学、そして核(CBRN)などの表示(ラベル)が貼られてきた。

世界の人々は、大量破壊兵器が自分たちに使用されることを望んでいない—なぜなら、それらは多くの人々を迅速に殺傷できる安価な手段だからだ。だからこそ、国際条約が新たに創られ、大量破壊兵器を開発させない(後の条約においてのみ)、そして使用させない(すべての生物兵器管理条約で)という努力をしたのだ。最初は1925年のジュネーブ議定書で、第一次世界大戦で毒ガスと限定された生物兵器の使用があった後、戦争での生物化学兵器の使用を禁止した。アメリカと多くの国々が署名したが、アメリカはそれを批准するまでに50年かかった。そしてその50年の間、アメリカはその条約に拘束されていないことをその行動で示した。

アメリカは、その50年間で生物兵器と化学兵器の両方を使用した。アメリカ朝鮮戦争で生物兵器を使用したことはほぼ間違いない(ここ、ここ、ここ、そしてここを参照)。おそらくベトナム戦争でも両方の兵器を使用している。その際には奇妙な疫病の発生もあった。ナパームや、白リン、そしてエージェントオレンジ(そのダイオキシン混合剤により、多くの先天異常やその他の悲劇を引き起こした)などの化学兵器、おそらくBZ(幻覚剤/無力化剤)なども使っている。多くの反対行動を引き起こした。私たちはジュネーブ議定書に署名しているし、文明人と考えられていたから、なおさらだった。


1968年と1969年に、アメリカの大規模な化学物質および生物兵器の備蓄と使用に関するアメリカの精神に大きな影響を与えた重要な2冊の本が出版された。最初の本は、若いシーモア・ハーシュがアメリカの化学物質および生物兵器計画について書いた:『化学物質と生物兵器; アメリカの秘密の武器庫Chemical and Biological Warfare; America’s Hidden Arsenal』。1969年には、ニューヨーク州バッファロー出身の元新聞記者であるリチャード・D・マッカーシー議員が、化学物質および生物兵器のアメリカでの生産と使用についての本『究極の愚行:疫病、窒息、そして枯葉化による戦争The Ultimate Folly: War by Pestilence, Asphyxiation and Defoliation』を書いた。以下はマシュー・メゼルソン教授の書評:

私たちの作戦、「フライング・ランチ・ハンド」は、マサチューセッツ州とほぼ同じ面積、その耕作地の10%以上に抗植物化学物質を散布した。「ランチ・ハンド」は、伏兵襲撃の防止のためとする公式見解とはあまり関係がない。それはむしろ、我々の航空偵察を促進するために広大な森林地帯を壊滅させる一種の環境戦争となっている。また、私たちの「スーパー催涙ガス」(これは強力な肺刺激物でもある)の使用は、「騒動制御のような状況で生命を救う」という最初に発表された目的から、ガス砲弾、ガスロケット、およびガス爆弾の全面的な戦闘使用に発展している。これにより、通常の高性能爆発物と火炎兵器の殺傷力が向上した。これまでにベトナム全土に1,400万ポンドが使用された。ベトナムすべての田畑を汚染するのに十分な濃度だ。我々の同盟国も含む多くの国々が、この種のガス戦はジュネーブ議定書に違反するという意見を表明しており、これはマッカーシーも共有している見解だ。




生物兵器条約

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ベトナムでのアメリカの行動に対する大きな抗議行動の中で、そして自身の大統領職権を磨き上げようと、リチャード・ニクソン大統領は1969年11月に、アメリカは生物戦計画を終了する(ただし、化学戦計画は終了しない)と世界に発表した。(生物系)毒素は除外していたではないか、と指摘されると、1970年2月に、蛇や、巻貝、カエル、魚、細菌、真菌などの毒素など、暗殺や他の目的に使用できる毒素兵器も廃棄することを発表した。

言われていたのは、これらの宣言は、アメリカが化学兵器と核兵器の技術面でほとんどの他の国よりもはるかに進んでいるという注意深い計算があるからだ、ということだ。しかし、生物兵器は「貧しい人の原子爆弾」と考えられ、製造にはそれほど洗練された技術が必要ではなかった。それ故、アメリカは生物兵器の分野で他国に抜きんじていたわけではなかった。したがって、この種の兵器を禁止することは、アメリカにとって戦略的利点となるのだ。

ニクソンは世界に対して、アメリカはこれらの兵器を二度と使わないための国際条約を発議すると述べた。そして、私たちはそのとおりにした:1972年細菌(生物学的)および毒素兵器の開発、生産、蓄積の禁止に関する条約、または略して生物兵器条約(BWC)。これは1975年に発効した。

しかし、1973年にアメリカ人のハーバート・ボイヤーとスタンリー・コーエンによって遺伝子工学(組み換えDNA)が発見され、これは生物戦の算法を変えた。これにより、アメリカはこの種の取り組みに対して技術的な優位性を取り戻したのだ。

生物兵器禁止条約は、5年ごとに開催される会議を設立し、その条約を強化することを目指した。期待されていたのは、各国の不正行為を防ぐために「挑戦的検査」を求める手段を追加し、条約に違反した場合の制裁(罰則)を追加することだった。しかし、1991年以来、アメリカは不正行為に影響を持つような協定の追加を一貫して拒否してきた。今では、誰もが不正行為は起きているし、広範に行なわれている可能性があることを受け入れている。

ソ連のスヴェルドロフスクにある炭疽菌生産施設での漏出事故(1979年)は、約60人の死者を出した。ソ連はいいかげんな隠蔽工作で、闇市の汚染された肉を非難した。が、これは炭疽菌に詳しい人々にとっては明らかな生物兵器禁止条約(BWC)違反だった。

ジュディス・ミラーらが2001年の著書『Germs(細菌)』で詳細に述べたように、クリントン政権時代のアメリカによる炭疽菌生産の実験もまた、専門家によって生物兵器禁止条約(BWC)に違反したと考えられた。

40年以上かかったが、2022年、アメリカや、ロシア、および他の193の加盟国などが、宣言されたすべての化学兵器を廃棄した。化学兵器禁止条約には、抜き打ち査察と制裁の規定も含まれている。

現在は2023年、生物兵器禁止条約が発効してから48年が経過したが、その生物兵器の開発や、製造、そして使用などに対する壁は着実に侵食されている。一方、特に2001年の炭疽菌郵便事件以来、各国(アメリカが先頭)は「生物防衛」および「パンデミック対策」能力を強化してきた。

生物戦およびパンデミックに対する自衛のための準備を装いながら、各国は「二重用途」(攻撃と防御の両方)の研究開発を実施し、より致死的かつ伝染性の高い微生物の創造につなげた。また、この取り組みを監視から遮蔽するために、生物戦研究は「機能獲得」研究と改名された。


生物兵器はどのように作られるのか?

「機能獲得」は、生物兵器研究、すなわち細菌兵器研究の婉曲語だ。これは非常に危険性が高いため、それに資金提供することをアメリカ政府は2014年に禁止(SARSコロナウイルスと鳥インフルエンザウイルスに対してのみ)した。何百人もの科学者からの公然の抗議の声が上がったからだ。しかし、2017年にトニー・ファウチ博士とフランシス・コリンズ博士は、実質的な安全策のないまま、この機能獲得研究の禁止を解除した。ファウチとコリンズは、この機能獲得研究の危険性は「それだけの価値がある」と厚かましくも公言さえしたのだ。

「機能獲得」とは、実際にどういう意味なのか? これは、科学者がさまざまな技術を使用して、通常のウイルスや病原菌を生物兵器に変えることができることを意味する。この研究は、科学者が自然に先立って未来のパンデミックの脅威となる可能性があるもの、または他の国が生物兵器として使用する可能性があるものを予測できるという主張に基づいて正当化される。ウイルスや他の微生物が生物戦争兵器に変わるために取得する機能は、2つのカテゴリーに分かれている:伝播性増強または病原性(疾患の重症度)増強、だ。

1) 伝播性の改良の原因となる例:
  a) 感染を引き起こさせるウイルスや細菌量を少なくさせる、
  b) より高いウイルス力価または細菌力価を生成させる、
  c) 以前は体液を介してのみ拡散していたウイルスに空気感染を加えるなど、新たな拡散様式を追加する、
  d) 感染しやすい臓器の拡大(すなわち組織親和性):例えば、呼吸器からの分泌物だけでなく、尿や便からもウイルスが感染する可能性がある。これはSARS-CoV-2で見られた。
  e) 拡大された宿主範囲; 例えば、コウモリを感染させる代わりに、ウイルスはヒト化マウスを通して伝播される。それによってヒトのACE-2受容体に順応する。これはSARS-CoV-2で見られた。
  f) 細胞への改善された入り口;例えば、フューリン切断部位を追加することによって。これはSARS-CoV-2で見られた。

2) 病原性の増加、つまり、軽度の病気を引き起こす代わりに、さまざまな方法を使用して、病原体が重度の病気または死を引き起こすようにすること。SARS-CoV-2は、人間の組織やHIVウイルスと類似性(同一の短い断片)を持っており、これが疾患の遅い自己免疫段階、免疫応答の障害、および「長期COVID」の原因または貢献因子となった可能性がある。


毎年のインフルエンザを含む(自然)パンデミックに対する予算は、生物学的防衛予算と一括りにされていた。

おそらく、この資金の混同は、議会や一般の人々が資金提供の内容や、納税者の資金が機能獲得研究にどれだけ振り向けられているかを理解しにくくするために考えられたものだ。理解されてしまえば、そもそもそんなことがなぜ行なわれるのか、という疑問を抱かせる可能性が出てくる。それは生物兵器禁止条約で禁止されているし、機能獲得研究の価値ついての追加的疑問も出ているのだから。 元CDC(疾病対策管理センター)長官である医師でウイルス学者のロバート・レッドフィールドは、2023年3月に議会で、機能獲得研究が彼の知識に、薬剤、ワクチン、または治療法に何ひとつ有益なものをもたらしていないと述べている

エコヘルス・アライアンス*やカリフォルニア大学に併設されているデイヴィス獣医学校のような非営利団体や大学は、アメリカの納税者が中国を含む多くの外国で科学者を支援しており、その研究にはコロナウイルスの機能獲得(gain-of-function)に関するものも含まれている事実を隠すための仲介者として利用された。
*米国に本拠を置く非政府組織で、人、動物、環境を新興感染症から守るという使命を掲げている。この非営利団体は、パンデミックを防止し、世界中のホットスポット地域の保全を促進することを目的とした研究に焦点を当てている。(ウイキペディア)

おそらく収益性の高い資金提供を続けるために、過去数十年にわたりパンデミックに関する恐怖感が意図的に増幅されてきた。連邦政府は過去20年間、多くの連邦および州の機関を通じてパンデミックの予防に巨額の資金を支出してきた。バイデン大統領が提案した2024年予算案には、「パンデミック対策のためにDHHS全体で200億ドルの強制的な資金提供」が含まれ、DHS(国土安全保障省)、DOD(国防総省)、および国務省も国内外のパンデミック予防のための追加予算を持っている。

20世紀は3つの重要なパンデミック(1918-19年のスペイン風邪、1957年と1968年の2つのインフルエンザパンデミック)しか経験していないが、マスメディアは21世紀に入ってからほぼ絶えずパンデミックを報じている。SARS-1(2002-3年)、鳥インフルエンザ(2004年以降)、豚インフルエンザ(2009-10年)、エボラ(2014年、2018-19年)、ジカ(2016年)、COVID(2020-2023年)、およびサル痘(2022-23年)などだ。そして、私たちは絶えず、これからもっとパンデミックが起こり、それがより悪化する可能性があると言われ続けている。

感染症への深い恐怖感を誘発するために、私たちは20年以上にわたり警告や脅威にさらされてきた。それはうまくいったようだ。

SARS-CoV-2および2022年のサル痘(MPOX)ウイルスのゲノムは、両方とも研究所に起源を持つ、生物工学で作られた病原体である可能性が疑われている。ファウチ博士とファラー博士によって組織されたウイルス学者の一団は、2020年2月1日にSARS-CoV-2ゲノムの6つの異常(おそらく研究所由来)の部分を早くも特定し、その後もさらなる異常が提案されているのだ。

これらのウイルスが偶然に漏出したのか、意図的に放出されたのかは分かない。が、私は両方とも意図的に放出されたという結論に傾いている。その根拠は①それらが最初に現れた場所、②これがCOVIDだと、マスメディアがよく統制のとれた偽映像を流したこと、および③それぞれのウイルスに対する公的な対応がちぐはぐで有害だったこと、の3点だ。どちらの場合も、感染の重症度や治療に関する正確な情報は一般に提供されず、西側政府の対応は科学的に説明できないものだった。他のケースであればどんな医師でもするように、どうして早期の治療をしないのか? どうやら、アメリカ政府と州政府は、ウイルスと治療についての知識が不十分で、与えられた情報を独自に評価する能力を持つ人がほとんどいないという事実を利用しているようだ。

しかし、2021年8月までに、対応策の修正は一切なかった。代わりに、連邦政府は措置を強化し、2021年9月、1億人のアメリカ人にワクチン接種の義務化強制した。「科学」などどこ吹く風だった。空気感染するウイルスにマスクは何の効果もない、空気感染するウイルスに社会的距離は何の効果もない、およびCOVID治療用(医師の処方箋すらない)に米国政府が購入した2つの危険な経口薬(パクスロビドモルヌピラビル)がもたらす危険性とほとんど効果ないことについて、いかなる連邦機関からも正確な発言がまだされていない。

連邦機関がCOVIDワクチンの安全性と効果に関する真実を認めたことは一度もない。代わりに、CDCは定義上および統計的に複雑な議論を展開し、それによってワクチンが「安全で効果的」であると主張し続けている。さらに悪いことに、私たちみんな(その問題性を)知っているにも関わらず、第三世代のCOVIDワクチンがこのに導入される予定であり、FDA(Food and Drug Administrationアメリカ食品医薬部局)は年次の追加接種(ブースターショット)を計画していると発表した。

これらのことはすべて今も進行中だ。次の2つことが分かって(裏付け証拠は続々出ている)1年経過しているのに、だ。①子供や働く年齢の成人が期待される平均値よりも25%以上高い死亡率で亡くなっている、②ワクチンの血管系の副作用としか、合理的な説明ができない、の2つだ。


心筋炎による身体の不具合

アメリカで利用可能な2つのサル痘/天然痘ワクチン(Jynneos(ジンネオス) と ACAM2000)の両方が、現在アメリカで利用可能な3つのCOVIDワクチンと同様に、心筋炎を引き起こすことが知られている。これらのCOVIDワクチンには、PfizerとModernaのCOVID-19 mRNAワクチン、およびNovavaxワクチンが含まれる。Novavaxワクチンは、その臨床試験中に心筋炎と関連付けられた最初のワクチンだったが、これは軽視され、認可され、導入された。その対象者は、その製造で胎児組織が使用されるため、mRNAワクチンを拒否した人々だった。

FDAの審査官がジンネオス(Jynneos)の臨床試験で記載された心臓の副作用について書いた内容は次のとおり:

2つの試験において、被験者の最大18.4%がワクチン接種後にトロポニン(心筋障害を示す心筋酵素)の上昇を示した。しかし、これらのトロポニン上昇はすべて無症状であり、臨床的に関連する事象や心筋炎の他の徴候はなかった。p.198

申請者は、日常的な 商品販売後調査(PVP) の一環として、市販後観察研究を実施することを確約している。スポンサーは、日常診療の一環として発生し評価される心臓事象に関するデータを収集する。P.200



言い換えると、トロポニンレベルを上昇させる唯一の方法は心筋細胞を分解することだが、FDAはワクチンの2019年の許可を発行した際、ジンネオス(Jynneos)が引き起こす可能性のある心臓の損傷の程度を評価する特定の研究を求めなかった。

これらのワクチンの後に心筋炎はどのくらい頻繁に発生するのだろうか? 心臓酵素の上昇を指標(マーカー)として使用する場合、ACAM2000は初めて接種される人の30人に1人で心筋炎が引き起こされた。 心臓MRIやエコーなどの他の指標を使用する場合、CDCによればワクチン接種者の175人に1人で発生するとされている。 ジンネオス(Jynneos)の心筋炎に関する発生率の研究は見当たらないが、FDAのウェブサイトで入手可能な未公表の承認前研究の2つにおいて、ジンネオス(Jynneos)の受容者の10%と18%で心臓酵素の上昇が報告された。 mRNA COVIDワクチンに関して、私の推測ではこれらはおおよそこの一般的な範囲内で心筋炎を引き起こすと考えられる(1回の接種あたり10人から250人に1人の間)。ほとんどの場合はおそらく無症状であり、診断の対象になることは絶対にない。

なぜ政府は、心筋炎を引き起こすことが知られている5種類のワクチンを、COVIDのリスクが極めて低い若者に押し付けるのだろうか? サル痘は、感染者が重度の免疫不全でない限り、(帯状疱疹のような)数個の発疹を1~4週間引き起こすだけである。

なぜ危険なワクチンが、若くて危険性の低い人々、すなわち、ワクチン接種による健康被害が病気による危険性よりもかなり大きい人たちに対して押し付けられるのか、これは重要な問題である。そんなことは医学的に見て理にかなっていない。効果が疑問視されるワクチンなどはとくにそうだ。

ジンネオスはテストされたサルでは感染を防げなかったし、人でもうまくいかなかった。そして、CDCは2017年にコンゴの医療従事者〜1,600人を対象としたジンネオス・ワクチンの有効性と安全性の試験を公表していない。CDCはこの試験を実施していることを発表し、規定どおりその情報をclinicaltrials.govに掲載した。しかし、ワクチンを審査した諮問委員会にも一般の人にも試験結果を知らせていない。もしワクチンが唯一の実地試験で安全かつ効果的であったなら、CDCの諮問委員会や一般市民にも知らされていただろうと推測できる。

次のことははっきり言える:アメリカの諸健康機関は不正行為や、情報の歪曲、そして自国民に対して意図的に害を与えたことについて有罪だ。

アメリカの健康諸機関がやったこと:①まず、黙示的な予測で恐怖を煽った、その後、②患者たちを医療的には見るな、と要求した、最終的に、③医療過誤に等しいワクチン接種や治療を強制した。


COVIDワクチン:鶏?卵?

我が国の健康当局は単に無知だった可能性もある。そう考えればCOVIDワクチンが導入された最初の数ヶ月を説明できるかもしれない。しかし、いったん理解し、さらに2021年8月にはワクチンがCOVIDの感染を防ぐわけでも感染を広げるわけでもないことを発表したにも関わらず、なぜアメリカの健康当局は、COVIDよりもワクチンの副作用の危険性が明らかに高い、CIVIDの危険性が低い世代にCOVIDワクチンを推進し続けたのだろうか? 特に新たな変異株の毒性はますます低くなっている状況があったのだ。

これらの基本的な事実を認識しさえすれば、ワクチンはパンデミックのために作られたのではなく、むしろパンデミックはワクチンを導入するために作られた可能性があることに気付くだろう。確実なことはわからないが、少なくとも疑いは持つべきだ。そして、アメリカが1人あたり10回分の契約を結び、欧州連合とカナダも同様に契約した事実(こちらこちらこちらこちらこちらで確認できる)から、私たちはさらに疑いを持つべきだ。ワクチンが感染と伝播の防止能力に疑問があり、その安全性が懸念される時点で、なぜこれほど多くのワクチンを購入するか、その合理的な根拠はない。

なぜ連邦政府州政府は1人あたり10回分のワクチンを望むのだろうか? 3回分ならわかる。10回分? たとえ毎年、追加接種があるにしても、急速に変異するウイルスに対して今後9年間のワクチン供給契約を結ぶ理由など皆無だ。オーストラリアは1人あたり8回分のワクチンを購入した。2020年12月20日までに、ニュージーランドは必要なワクチンの3倍の量を確保し、近隣国と共有することを申し出た。前面に出て、これらの過剰なワクチン購入の理由を説明する人など、まだだれ一人いない。

さらに、ワクチンパスポート(別名デジタルID、別名ヨーロッパで電子支払いシステムの仕組みを含んでいた携帯アプリ)は必要ない。定期的な追加接種を申し出るというなら、話は別だ。ワクチンは、私たちのワクチン接種、健康記録、公式文書、そして最も重要なことに、財務取引をオンラインで管理する手段として考案されたのだろうか? これは個人情報(プライバシー)への攻撃となるだろう。同時に西洋社会における社会信用システム(構築)への一歩を可能とするだろう。興味深いことに、ワクチンパスポートは2018年までにはすでに欧州連合で計画されていた


パンデミック条約と改正案:過去3年間、運営を誤った同じ人々によって私たちの前に提出された。その彼らから私たちを救うため?

またしても同じアメリカ政府や、州政府、そしてWHOだ。これらの組織は市民にワクチン接種を強制し、危険で高価な実験的な薬を服用させるという過酷な手段を押し付けた。そのアメリカ政府や、州政府、そしてWHOは効果的な治療法を隠し、COVIDでICU治療が必要な多くの人々がビタミンD不足であること、ビタミンDを摂取するとCOVIDの重症度が軽減されることを教えなかった。こんな輩が、なぜか2021年に国際的なパンデミック条約が急に必要だと主張した。なぜか? 将来のパンデミックや生物兵器攻撃を防ぎ、軽減するため・・・私たちがCOVIDパンデミックで経験したような苦痛を再び受けないように、と彼らは主張した。それを管理するのはWHOなのだろう。

ロナルド・レーガンの言い方を借りる。「私はWHOから来ました。そして私は(みなさまを)お助けするためにここにいるのです」との言葉は、COVIDの失敗以降耳にする、背筋も凍る恐ろしい英語となるだろう。

世界保健機関(WHO)や連邦政府、州政府が自分の都合で言及しなかったのは、彼らの医療の誤管理と連邦政府や州政府の非情な経済の封鎖と誤管理のために私たちがひどく苦しんだことだ。世界銀行によると、2020年だけでさらに7000万人が極度の貧困に追い込まれた。これは、我が国の支配者たち、そのエリート階級の助言者、およびWHOなどが発布した政策によるもので、ほとんどの国が疑問を抱かずに採用した。WHOは経済の封鎖の結果を痛いほどわかっており、次のような情報を公表している

栄養失調はそのすべての形態で続いており、子供たちは高い代価を支払っている:2020年には、5歳未満の子供のうち約1億4900万人が発達阻害(年齢に対して身長が十分でない)、4500万人以上が消耗(身長に対して痩せすぎている)していると推定されている。



飢餓はCOVIDよりも多くの人々を殺した可能性があり、その被害を受けたのは最年少者であり、最高齢者ではなかった。それにもかかわらず、WHOは公平性や、多様性、そして連帯などについておしゃべりを続けている。WHO自体が、この時代で最悪の食糧危機を引き起こしたのだ。自然的なものではない。それは人為的なものだ。

どうしたら、COVIDの措置を誤った政府高官たちの主張を真剣に受け取ることができるだろうか? 彼らは前回の災害を陰で操った後、COVIDに適用したのと同じ戦略を使って、私たちを別の医療災害および経済災害から救おうとしていると主張している。また、政府や健康当局が自身の誤りを認めていないのだ。私たちは彼らに何も管理させてはならない。どうして、私たちは、WHOの命令に私たちの政府を永遠に従わせることになる国際条約や既存の国際健康規則(IHR)の新しい修正の策定を彼らに許していいのだろうか?

ちなみに、それらの命令には、猛スピードでのワクチン開発、どの薬物を使用するかおよびどの薬物を禁止するかを指示する権力、およびメディアでの「誤情報」の監視と、WHOの公衆衛生の言い分だけが一般に伝えられるようにするための検閲が含まれている。

WHOのパンデミック条約草案は、潜在的なパンデミック病原体の共有を求めている。これは生物兵器の拡散のための婉曲な表現だ。

はっきりしているのは、次のパンデミックを回避するための最善の方法は、即座に「機能獲得」(GOF)研究への資金提供を停止し、すべての既存のGOF生物を廃棄することだ。同時に、すべての国に巨大な焚き火を起こさせ、彼らの邪悪な創造物を焼却し、他の国が彼らの生物学的施設と記録を検査できるようにすることだ。

しかし、2023年6月のWHOの「パンデミック条約草案の事務局文書」における計画はまったく逆のものになっている。WHOの条約草案では、ほとんどの国の指導者が賛同したように、すべての政府は「パンデミックの潜在的可能性」を持つと判断されたウイルスと細菌を、そのゲノム配列をオンラインで公開する形でWHOや他の政府と共有することになる。いいえ、これは私のでっち上げではない(以下の条約草案を参照)。その後、WHOや世界中のファウチ一派は、新たに特定された危険なウイルスにアクセスすることになる。ハッカーたちもその(遺伝子)配列にアクセスできる可能性はあるのだろうか? このパンデミック計画は、我々を安心させるものとは程遠いものだろう。

ファウチや、テドロス、WHOの同類たち、そして国家のために生物兵器防衛と生物医学を管理している人々は、潜在的な生物兵器をますます利用できる側面に立っており、残りの私たちはそれとは反対の側で彼らの意向に従うことになる。

この貧弱な概念構造を持つ計画は以前、大量破壊兵器の拡散と呼ばれており、違法であることはほぼ確実だ(たとえば、2004年に採択された安全保障理事会決議1540を参照)。しかし、これがWHOと多くの指導者の計画だ。各国政府はこれらの兵器をすべて共有することになる。


ゲノム配列決定の難問

各国政府は、ゲノム配列決定を必ず含む生物研究所の構築に取りかかることになる。なぜ各国が独自のゲノム配列決定研究所を設置する必要があるのかについての説明は一切ない。当然ながら、WHOの条約案に従って各国が実施しなければならない病原体監視活動の結果として検出される多くのウイルスの配列決定をするだろう。しかし、同じ技術は人間のゲノム配列決定をするためにも使用できる。EU英国、米国が現在、約200万人の市民のゲノムの配列決定する事業に取り組んでいるという事実は、彼らがアフリカ人、アジア人、および他の人々の追加のゲノムを収集したい願望があることを示唆している。

これは、単に最新の科学情報を発展途上の隣国と共有することとして通用するのかもしれない。しかし、奇妙なのは、ゲノミクス(ゲノムの構造や機能の解析)に対する強調が非常に多い一方、パンデミック向けの再利用可能な薬剤の開発について議論は、条約草案にもIHR改正にもおいても一切ないことだ。

私たちが決して忘れてはならないのは、事実上すべての先進国がパンデミックの最中、安全なジェネリックのヒドロキシクロロキンとイベルメクチンの使用、および関連する薬剤の使用を制限したことだ。振り返ってみると、この前例のない行動の唯一の論理的な説明は、高額な特許取得可能な薬剤とワクチンの市場を保護し、おそらくパンデミックを引き延ばすことだった。

アメリカの法律は、使用許可がない状態で、緊急使用が許可された(EUA)ワクチンや薬剤は、同じ目的のための適切な承認済み(ライセンス取得済み)かつ利用可能な薬剤が存在しない場合にのみ使用できるようにしている。もしアメリカ政府が既存の承認済み薬剤がCOVIDを予防および/または治療できることを認めた場合、COVIDのためのすべてのEUAワクチンと薬剤を即座に取り下げる必要がある。これは、なぜこれらの薬剤が州および連邦機関によって中傷され、抑圧されてきたかの一つの説明となる。

ゲノムは巨大な利益をもたらす可能性があり、またデザイナー・ベイビー(親が望む性質を持つよう遺伝子操作された赤ん坊_英辞郎)などを含む超人間主義*者の実験の基盤としても機能する。
*トランスヒューマニズム。科学技術の力によって人間の精神的・肉体的能力を増強し、けが、病気、老化などの人間にとって不必要で望ましくない状態を克服しようとするもの。この言葉はすでに1957年にまでさかのぼれるが、1980年代になってマックス・モア(Max More)がこのような意味で使うようになった。(英辞郎)


パンデミック条約の最新版(別名、WHO事務局草案)はこちらからアクセスできる。以下に、追加のポイントを説明するスクリーンショットを掲げる。

1594-3 w

草案p.10とp.11

1594 最後のピース

<上のスクリーンショット訳>
3. 当事者は、流行病遺伝学的監視と世界的な新興病原体(パンデミックの潜在的な要因を持つ可能性のあるものや薬剤耐性を持つ病原体)の共有を行なうために、遺伝学、リスク評価、および研究ネットワークを設立または既存のものを強化することを誓約する。

(d) 持続的な国内および/または地域の研究室能力(ゲノム配列決定およびその情報の共有を含む)についての能力。
<スクリーンショット訳終了>

WHO(世界保健機関)の条約草案は、機能獲得研究を奨励

条約には他に何が書かれているのか? 機能獲得研究(微生物をより伝播しやすく、またはより病原性を高めるための研究)は、おおっぴらに奨励されている。この条文は、そのような研究に対する行政上の障壁を最小限に抑え、同時に予期しない結果(つまり、パンデミック)を防ぐことを要求している。しかし、この種の研究を行なうと、病原体の漏出や紛失は発生する可能性は常にある。CDC-USDA共同の Federal Select Agent Program(FSAP)は、潜在的なパンデミック病原体に関する研究を追跡している。FSAP自体が次のように説明している:

「Federal Select Agent Programは、公衆、動植物の健康、または動植物製品に対して深刻な脅威をもたらす可能性のある生物学的選択病原体および毒素の所持、使用、および転送を監督している」。



FSAPの報告によれば、アメリカにある研究所から年間約200件の事故、あるいは漏出が発生している(アメリカ国外での事故については記録がまったくない)。2021年のFSAP年次報告には次のように記載されている:

「2021年、FSAPは損失の報告を8件、漏出の報告を177件、盗難の報告は0件受け取った」。



科学者たちは自分の身を守り、実験室の安全を維持しようと全力を尽くしているが、致死性の病原体に関する研究は、研究者自身と外界の両方に危険性が伴うことなしにはとても実行できない。

草案p.14
1594 草案 14

<上のスクリーンショット訳>
5. 各当事者は、パンデミックの潜在的な病原体の病原性と伝播性をよりよく理解するための研究を行なう研究施設に対する生物危機管理に関連する国際標準を実施および適用し、そのような研究の予期せぬ結果を防ぐ一方、研究に不必要な行政的障壁を最小限に抑えるものとする。
<スクリーンショット訳終了>


ワクチンは簡略化された将来の実験協定の下で迅速に導入されるだろう

通常、ワクチンの開発には10年から15年かかる。COVIDワクチンが導入されるのに時間がかかりすぎると思われないように(ウイルスの配列が利用可能になってから米国での最初のCOVIDワクチンの認可まで326日かかった)、WHOの条約草案ではテストの短縮計画がある。新しい臨床試験場が登場するだろう。各国は臨床試験能力を増強しなければならない。(これは、例えばアフリカなどの辺境の地域で人々に人間の被験者となることを義務づけることを意味するのか?)また、臨床試験のデータを迅速に解釈するため「データ解釈の迅速化を促進する仕組み」と「責任を負う危険を管理する戦略」も新しく出てくるだろう。

草案p.14:
ワクチンは簡略化された将来の実験協定の下で迅速に導入されるだろう。

1594 草案 14 その2

<上のスクリーンショットの訳>
7. 各当事者は、国内および地域の法的および規制的な枠組みと文脈に従い、必要に応じて、特に途上国において、臨床試験能力を増強し、臨床試験の方針枠組みを強化することとし、適切に設計され、適切に実施された臨床試験を実施できる多くの臨床試験サイトを可能にし、関連する規制と国際的に調和された基準を満たす既存の、新しい、または拡大された臨床試験ネットワークを通じての試験の調整のための準備をし、効率的で倫理的な臨床試験の設計および実施に関する情報と成功事例の共有を促進し、人間被験者の保護を確保する臨床試験の設計、準備、実施を行なう。
<スクリーンショットの訳終了>

1594 素案 その3

<上のスクリーンショットの訳>
(b) 国際的な臨床試験に関する協調と協力を既存の仕組み(十分に考えられ、きちんと実施される試験を支援する体制が確立されている)通じてさらに強化する。さらには多国籍の足跡の上で操作する新たな医療試験の場も含まれる。ここでは、科学的に適切な場合には、感染症および非感染症の優先項目に取り組む。そして、必要かつ適切な場合にはパンデミック対応を支援する協定を主軸に切り替える機構を備えている。

(c) 臨床試験からのデータを迅速に解釈し、必要に応じて関連する臨床指針を開発または修正するための新しいおよび既存の仕組みをパンデミック中も含め支援する;そして
(d) 健康緊急事態中に実施される臨床試験が公平であり、地理的、経済的、および健康格差に対処し、人種、民族、および性別の多様性を促進して、母集団の下位グループにおける新しいワクチンや治療法の安全性と有効性をより良く理解するための措置を講じることを確実にする。

第10条 責任リスク管理

1.当事者は、既存の関連モデルを参考にして、遅くともXXまでに、パンデミックへの対応として開発されたワクチンの使用および/または投与に起因する傷害に対する、透明性がありかつ他の責任保護および/または他の責任リスク管理の仕組みを補完する地域または国際的なワクチン傷害補償制度を設立しなければならない。
<スクリーンショットの訳終了>

ワクチンによる傷害に対する製造業者および政府の責任は『管理』されなければならない

各国は、パンデミックワクチンに起因する損傷の補償のために「既存の関連するモデル」を参考にすべきだ。もちろん、ほとんどの国はワクチンに起因する損傷の補償制度を持っておらず、持っていても給付は通常最小限だ。

アメリカ政府の事業計画は、国際的に実施されるモデルとなれるか?

米国法律において、EUA製品からの傷害に対する補償を受ける方法は一つしかない。これは、PREP法*により、ワクチンや薬を製造した製造業者、政府の管理者、および薬剤を投与した医療従事者に対する訴訟が禁止されているためだ。
*アメリカ合衆国議会が可決し、ジョージ・W・ブッシュ大統領によって2005年12月に署名された「Public Readiness and Emergency Preparedness Act(PREPA)」は、公衆衛生非常事態の宣言が行われた際にワクチン製造業者を金融リスクから保護することを意図した、論議のある不法行為責任の盾になっている。(ウイキペディア)

COVIDパンデミック製品に起因する傷害に関する唯一の米国政府制度は、「Countermeasures Injury Compensation Program」またはCICPと呼ばれている。 このプログラムを通じてどんな恩恵を得るのも至難の業だ。たとえ担当医師がEU許可製品からの傷害だと主張してもそれは難しい。 そのため、ほとんどの人は申請をする手間をかけることもなく、ほとんどの人はこの制度が存在することすら知らない。

CICPの時効期間は12ヶ月という短さだ。つまり、医療製品を受けた後12ヶ月以内にあなたの傷害がワクチンまたは薬物に起因することを文書で証明しなければならないということを意味する。 連邦保健機関がそのような傷害が存在することを否定すれば、その困難さは度外れになる可能性がある。

さらに、このプログラムは、保険で補償されていない失業手当または医療費のみを支払う。CICPは「最後の手段の支払い者」であるため、健康保険が怪我を補償し、障害保険が失業手当を補償した場合、給付金を受ける資格がない。CICPは弁護士の費用や、専門家の証人費用、文書の準備費用、そして苦痛に対する補償は提供しない。ただし、連邦の小児ワクチン傷害補償制度はこれらの費用を支払う。判決が下るまでの期限はないのでで、ほとんどの事件は何年もの間、判決が下らずに放置されている。この制度は純粋に行政的なもので、給付金の資格に関する決定は連邦保健福祉省(DHHS)によって行なわれる。裁判所や判事は存在せず、公表された基準もない。

すべてのパンデミック緊急使用許可(EUA)薬剤およびワクチンは、その製造業者およびそれらの使用に関与するすべての関係者の法的責任が免責される

2023年8月1日現在、CICPはCOVID製品関連の傷害に関する申請のうち、正確に12,000件のうち4件(そう、4件)を補償している。最初の4件の補償請求のうち、3件に支払われた総額は4,635ドルで、平均して1,600ドル未満だ。

1,000件を少し超える請求が裁定されたが、10,887件が審査待ちだ。

要約すると、CICPによって審査されたCOVIDの申請のうち2%が給付の対象と見なされたが、すべてのCOVID傷害申請のうちわずか0.2%しかCICPからの支払いを受けていない。ほとんどの人が申請すらしないのも当然だ。


規制強化

パンデミック条約草案では、非常事態時における医薬品やワクチンの厳格な国内規制を緩和することも求められており、それは「規制強化」という枠組みの下で行われる。最近イギリスで発表されたように、「信頼できる友好国(パートナー)」の承認が医療製品の認可を迅速化するために使用される。つまり、ある国の薬やワクチンが友好国で承認された場合、イギリスは独自の規制機関による独立した分析を回避し、友好国の認可の決定を採用することができる。これにより、各国は単一の規制機関による承認や認可の方向に進むことになり、他の国々にすぐに採用される可能性がある(p 25)。

1594 草案 14 その3 

<上のスクリーンショットの訳>
14条.規制強化
1. 当事者は、技術的および規制上の要件および手続きを整合し、可能な場合には調和させ、規制の依存性および相互承認を促進し、共通の技術文書を使用し、規制承認が付与された後も、パンデミック関連製品の品質、安全性、有効性に関する関連情報と評価を共有すること。

2. 当事者は、 パンデミック関連製品の規制を目的として、規制承認と許可の迅速化を促進し、パンデミック関連製品の品質、安全性、有効性を確保するために、技術支援を含む手段を通じて、関連する国内および地域の規制当局の能力と実行力を強化すること。

3. 各当事者は、パンデミック中にパンデミック関連製品の使用を承認または認可するための国内および/または地域での手続きに関する情報を、関連法規に従って一般に提供し、パンデミック中に効率を向上させるために実行される可能性のある追加の関連規制経路についても提供し、このような情報が適時に更新されるように確保するものとする。

4. 各当事者は、必要に応じて、隣接国間の既存の、基準に満たない、並びに偽造されたパンデミック関連製品に対する迅速な警戒制度を監視し、規制し、強化し、既存の加盟国の劣悪および偽造されたパンデミック関連製品に対する機構を通じて、基準以下および偽造された医療製品に関する既存の加盟国の制度を通じて行なう。

5. 各当事者は、パンデミック時に効果的かつ迅速な規制承認を支援するための法的、行政的、財政的な枠組みを整備するための措置を講じるものとする。

6. 各当事者は、国内法に従って、適切な場合には製造業者に対して関連データを生成し、WHOの一覧表に掲載された機関、その他の優先機関、およびWHOによるパンデミック関連製品の規制認可および承認を熱心に追求するよう奨励するものとする。
<以上でスクリーンショットの訳終了>

最も厳格でない規制機関が製品メーカーによって迅速に選択され、自社の製品の使用許可を決定してもらうことになるだろうと予測されるかもしれない。ほとんどの国の薬剤規制機関は、製薬会社から資金を提供されている。そしてその製薬会社が評価のために金を支払っている。それが薬の承認の割合と直接関係していることは驚くことではない。評価の品質が低下するにつれて、製薬会社が支払う評価の価格が上昇する可能性さえある。以下は、世界中の薬品とワクチンの規制機関、およびそれらが受ける公的および私的な資金に関する興味深い情報だ。

1594-6 p


次の記事:100日で開発されるワクチン

ワクチンを100日で開発し、さらに30日かけて製品化するという計画は非営利団体であるCEPIが広く公表している。CEPIは、2017年、ビル・ゲイツと現在はWHOの主任科学者であるジェレミー・ファラー博士が設立したものだ。この計画は、アメリカイギリスの政府によっても支持され、2021年にはG7からも一部賛同を得た。この時間枠では、ヒトでの非常に短い使用実験しか許容されないか、それが動物に制限される可能性がある。どうしてこんなものに賛同する国があるのだろうか? 世界中の人々にワクチンを接種し、その後で悪いニュースが判明する、そんなことを私たちは望むのか?

さらに、この計画は、ワクチンが疾患を実際に予防するかどうかではなく、抗体を誘発する能力、すなわち免疫原性と呼ばれるものを実験しただけのワクチンに依存している。少なくとも初期のワクチン導入時にはそれが実際に病気を防ぐことなど示されてはいない。FDA規制に関する私の理解では、抗体レベルが保護と相関があることが示されていない限り、それは免疫性の代替物として受け入れられないことになっている。

ただし、FDAの最近のワクチンに関する決定は、その要件を無視し、ワクチンは今では抗体段階だけに基づいて承認されている。しかし、抗体の誘導は感染を防ぐかどうかを示さない。時には感染を促進することさえあるのだ。

FDAのワクチン諮問委員会は、COVIDワクチンに関して、抗体段階だけでなく、効果のより優れた指標を求めた。しかし、そのようなデータがないにもかかわらず、諮問委員会は過去1年間にわたり、実際に効果があるかどうかを知らずにワクチンを承認または認可する投票をした。私はこれを、FDAワクチン諮問会議のやり取りを視聴して知った。私はそれをライブブログに載せ、しばしば詳細な要約を私のサブスタックに載せた。

私たちは全員知っていることだが、COVIDワクチンが感染防止にはならず、わずか数週間から数か月の期間だけ症例を予防しただけ、ということが公に知られるのにどれほどの時間がかかったのか! 2021年8月6日にCDC(疾病対策予防センター)の長官であるロシェル・ワレンスキーがPfizerワクチンの発売から8か月後にWolf BlitzerのCNNで感染の真実を語ったにも関わらず、米国政府はまだ公式にこれを認めていない。発売されたワクチンが100日で実際に効果が出るのかどうか、それを知るのにどれほどの時間がかかると言うのか?


100日ワクチンのための安全性試験などない

安全性試験は動物ではなく、人間でしか実施できないことを一般の人々が理解することは非常に重要だ。動物は、薬物やワクチンに対して人間とは異なる反応を示すのだ。だから、動物での限られた試験をしても、それは真の安全性試験が存在することにはまったくならない、ということなのだ。かと言って、人間に対する短期間ワクチン試験も、同様、許容できるものではない。

ワクチンの短期間の試験(ファイザーの試験では、ワクチンが承認された時点での中央値での追跡調査期間はわずか2か月だけだった)により、COVIDワクチンが深刻な副作用を引き起こす可能性があること、特に心筋炎や突然の死の危険性があることを一般の人々が認識しないままにワクチンを導入することが可能になった。


100日ワクチンの製造過程の健全さを評価することは不可能

最終的に、この迅速な製造計画に従うと、製造過程の潜在的な障害に対する徹底的な実験は不可能になった。 試験生産から大規模な製造への規模拡大には、完全に新しい評価が必要なのだ。 すべての人に平等にワクチンを提供するために必要とされる遠隔地に分散した製造施設の現行計画に関して言えば、ワクチン製造メーカーを検査する方法を知っている十分な数の規制監督官はどこにもいない。


WHOは人権を尊重するだろうか?

現行の国際健康規則(IHR)だけでなく、他の国際連合の条約においても、「人権、尊厳、および個人の自由を尊重する必要性」が組み込まれている。しかしながら、人権、尊厳、および個人の自由を保障する言葉が、提案されたIHR改正から急に削除された。説明は何もない。この人権保護の削除は見過ごされことはなく、WHOは広範な批判に晒されている。

WHOは、表向きこれらの批判に対応しており、国際健康規則の草案から削除された人権を保障する言葉が、パンデミック条約の最新版に挿入された。


結論

長らく科学小説予測してきたとおり、バイオテクノロジーや、サイバー技術、そして監視の成果はついに私たちの手の届かないところへ行ってしまった。私たちは100日でワクチンを製造し、130日で製造することができる。しかし、その製品が安全で効果的で適切に製造されることは保証されることは一切ないだろう。そして、大きな利益は期待できるが、一般の人々へ損傷があっても製造業者にその責が問われることは一切ない。

もし、またパンデミックに直面した場合、再利用可能な薬物を入手できることが唯一の迅速かつ安全な解決策となるだろう。既存の薬物は、WHOのIHR修正と条約草案から意図的に排除されている。なぜなら、特許が取れなくて入手可能な古い薬物では誰も富を得ることができないからだ。

私たちの遺伝子はゲノム配列決定によって解読でき、個別の医療の成果が私たちに提供されるかもしれない。または、私たちの遺伝子が特許化され、最高額で売却されるかもしれない。私たちは子供たちの特別な特性を選択することができるかもしれないが、同時に試験管ベビーの人間の下層階級が創造される可能性もある

私たちの電子通信は完全に監視および検閲され、すべての人に均一なメッセージを強制できる。しかし、こんなこと、誰にとっていいことになるのか?

新たな生物兵器が発見または工学的に創造される可能性がある。これらは共有されるだろう。私たちは、これらの生物兵器を研究し、開発した機能獲得(GOF)研究が、一般の人々のためのワクチンや治療薬の開発を加速することを期待できるが、まだそんなことにはまったくなっていない。

機能獲得(GOF)ペテンから本当に利益を得るのは誰か? それは私たちを支配しようとする輩だ。研究費は一般の人々が支払い、そして事故や意図的な漏出で再度一般の人々が支払うことになる。資金を制限したり研究所を閉鎖したりして、機能獲得研究を完全に終了させる方がよくはないか? 生物兵器拡散を奨励するなど、言語道断! もし私たちが真っ当な未来を望むのであれば、これらの兵器を拡散させるのではなく、それらを制御することは非常に、非常に重要だ。

これらは人類全体にとって重要な問題だ。皆さんにはぜひ、これらに注意を払っていただきたい。考えていただきたい。そして、この非常に重要な対話に参加していただきたい。

*
Dr. Meryl Nassは国家優秀生奨学金受賞者です。彼女は高校を卒業する前にMITに入学し、1974年に生物学の学士号、1980年に医学博士号を取得し、1986年に内科の認定医となりました。彼女は41年間医学を実践しており、50以上の国を訪れた経験があり、2人の子供を育てる母子家族です。彼女は世界で初めて流行病を研究し、それが生物戦に起因するものであることを示した最初の人物です。
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米国、旧ソ連共和国のアルメニアに介入:生物研究所に多額資金を投入しているCIA代行組織USAIDを使って

<記事原文 寺島先生推薦>
‘CIA Cutouts’, Big Money Grants and Biolabs: The Depth of US Interference in Armenia
出典:INTERNATIONALIST 360° 2023年9月27日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年10月12日



アルメニアの首都エレバンのUSAID(米国国際開発局)のサマンサ・パワー長官(左)と面会するアルメニアのニコル・パシニャン首相。2023年9月25日 © AP / Tigran Mehrabyan


米国政府は何百万ドルものお金をコーカサス地方にあるこの国につぎ込んできたが、この国はロシアと同盟条約を結んでいる国だ。



 ナゴルノ・カラバフでの停戦から数日以内に、米国国際開発庁(USAID)のサマンサ・パワー長官がエレバンに到着し、「アルメニアの主権を支持する」ことを約束した。RT は、USAID が親西側の首相の援助を受けてどのようにこの国を再建しようとしているかを検証する。


これまでのいきさつは?

 アゼルバイジャン軍による軍事的猛攻撃に直面した、紛争が生じたナゴルノ・カラバフ州のアルメニア人指導部は先週、武器を放棄し、この領土がアゼルバイジャンに編入されることを認めることに同意した。アルメニアのニコル・パシャニン首相は、アゼルバイジャンの攻撃を阻止できなかったとしてロシアの平和維持軍を非難したが、同首相はすでにこの領土をアゼルバイジャンのものと認識しており、伝統的な同盟国であったロシアから距離を置き、米国に取り入ろうと、米軍と合同軍事演習をおこなったり、ウクライナに援助金を送ったりしている。


USAIDは何をしているのか?

 パワー長官と米国国務省のヨーロッパ・ユーラシア問題担当次官補代理のユーリ・キム氏が月曜日(9月26日)にエレバンを訪問した。国務省の記者発表によると、今回の訪問の目的は、「アルメニアの主権、独立、領土の確保、民主主義に対する米国の支持を確認し、最近のナゴルノ・カラバフでの紛争に起因する人道的問題への対応を支援する」ことだという。

 USAIDのウェブサイトには、昨年USAIDはアルメニアに3370万ドル(約50億円)を支出しており、この金額のほぼ半分は政府および市民社会の取り組みに向けられた、と記載されている。USAIDによると、同組織の目的は、アルメニアを「より包括的で民主主義的で経済的に弾力性のある社会に戦略的に移行させる」ことにある、という。USAIDは米国政府が民間を通して外国支援をおこなう主要な組織である。年間予算が300億ドル(約4兆5000億円)に達するこの組織は、世界100カ国以上で活動している。USAIDの使命は、発展途上諸国に食物や薬品を提供することとされているが、危険な生物学研究に資金提供をしていることについて批判を受けてきており、ロバート・F.ケネディ・ジュニア次期大統領候補からは、「CIAの代行機関」と評されている。USAIDは現在、旅行業者や災害対策業者、広報活動計画をアルメニアで模索中だ。しかし既に米国政府の別の諸機関が何百万ドルも投資し、アルメニア政府や市民社会を米国の意に沿う形で再建しようとしている。


米国の影響

  米国政府の関連サイトによると、現在、国務省は、弁護士を雇いアルメニアの労働諸法の改正を計画しており、150万ドル(約2億2000万円)を投じ汚職を禁じる施策を取り、銃器を用いた演習を架空におこなう装置をアルメニア警察のために購入する、という。この演習装置については、パシニャン首相が、抗議活動者らに対して「強く出る」ために使用する、と誓約している。

 すでに国務省はUSAIDとEU、英国が資金提供したシンクタンク(政策立案所)に3万ドル(約450万円)を支払っており、その目的を「アルメニアでの情報操作工作や政府に対する中傷行為を暴くため」とし、さらにアルメニアの報道関係者らに「喧伝行為」に対応する訓練に必要な資金も提供している。くわえて7万ドル(約1000万円)が投じられ、アルメニアのテレビで米国報道機関が流され、2万5000ドル(約370万円)が「LGBT支援」計画に当てられている。また国防総省も現在、アルメニア国内に「生物学的脅威を減じるための」施設の建築を求めている。国防総省によるこの施設についての説明は不明瞭であるが、 ロシアは、米国がウクライナ国内にある同じような施設を使って生物兵器の研究や製造をしてきた、として非難している。


ロシアの対応

 アルメニアは元ソ連国内の共和国であり、集団安全保障条約機構(CSTO)加盟国だ。この機構は、ロシアが主導する防衛同盟であり、おおざっばに言えばNATOと似た機構だ。 ロシア外相は月曜日(9月27日)、パシニャン首相は西側に視線を向けるという「大きな間違いをおかしている」と警告し、 ロシアとアルメニアには、「安全保障面、開発面において多くの共通の利益がある」が、米国がアルメニアに関心を示しているのは、「ロシアに戦略的な損害を与え」、「ユーラシア地域を弱体化」させるためだけだ、と断じた。

(この記事の初出はRT)



 サマンサ・パワー長官とユーリ・キム次官補代理がアルメニアを訪問した目的は、 ナゴルノ・カラバフ地域からアルメニア人を移動させることを見届け、首相退陣を求める市民による抗議活動に直面しているパシニャン首相を救うためだ!



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中国社会主義の成功

<記事原文 寺島先生推薦>
The Success of Chinese Socialism
出典:INTERNATIONALIST 360°  2023年9月23日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年10月11日


1556  


ケイト・ウールフォードとレアーズ・コシルナウは、英国の青年共産主義者同盟の『チャレンジ』誌に掲載された以下の記事で、中国の発展をめぐる最も根強い神話の誤りを暴いている。

最初の誤解は、中国は非民主的で「権威主義的」な国家だというものだ。著者は、中国の全過程の人民民主主義制度であると指摘する。「これは、西側諸国のように時々の選挙で投票するだけでなく、人民代表大会(全人代)という制度を通じて、市民があらゆるレベルの政治過程に参加できるようにするものである」。この社会主義的民主主義の仕組みには、全国人民代表大会(全人代)や中国人民政治協商会議(人民政協)だけでなく、地方人民代表大会(「村から省までのあらゆる階層に存在する」)が含まれる。(この問題については、ローランド・ブールの記事『中国の社会主義的民主主義についてもっと語る必要がある』も参考になるだろう)。

中国の外交政策について、ケイトとレアーズは、「攻撃的」で「膨張主義的」な戦略に関する西側メディアの非理性的な主張と、平和的共存と他国の問題への不干渉という中国の長年の行動の現実とを対比させている。彼らは、中国のアフリカへの関与が、植民地支配や新植民地支配によって長らく低開発の状態にあったアフリカ大陸の発展と近代化を支援する上で、大きな変革をもたらしてきたと次のように指摘する。

アフリカで中国は、欧米の資本家が採算が合わないと考える重要な生活基盤施設(インフラ)の建設事業に資金を提供し、ジブチ、エチオピア、ソマリア、エリトリアに緊急食糧支援を行ない、27カ国に1億8900万回分のワクチンを提供し、17カ国に対して23の無利子融資を免除してきた。中国は、「一帯一路」構想のような生活基盤施設の建設事業への双方利得(ウィンウィン)の投資を通じて、発展途上国の共同繁栄に積極的に貢献しており、この構想は発足から10年間で150カ国以上、30以上の国際機関が参加している。

さらに筆者は、ジブチにある中国の1つの海外軍事基地(主に海賊から貿易回廊を守るために存在する)と、80カ国以上にまたがるアメリカの750の海外軍事基地、そして42カ国にまたがるイギリスの145の海外軍事基地を比較している。

最後に、筆者は中国経済が資本主義路線で動いているという主張を考察している。その主張は、中国経済が国有企業によって支配されており、その総資産がGDPの70%近くを占めていることを指摘し、「国有部門が経済の主導的役割を占めていることは議論の余地がない」という。また、土地の公有権や、国家が経済の方向性を定め、民間部門は従属的な役割を果たすという経済計画の重要な役割も指摘している。この記事は、「国有経済の指導の下に民間経済を存在させるという手法」は1978年改革の革新ではなく、1950年代初頭の「新民主主義時代」に起源を持つという重要な指摘をしている。

筆者らは次のように結論づけている。

中国の特色ある社会主義は、マルクス主義の原則を放棄したのではなく、マルクス主義の創造的解釈を中国独自の物質的条件に適用したものである。これは、国有部門と私有部門の間の矛盾が中国に存在しなくなったという意味ではないし、さらなる挑戦が生じないという意味でもない。しかし、マルクス主義の科学で武装した中国共産党は、これらの挑戦に立ち向かい、克服することができるということである。
「社会主義中国の友人たち」



外国勢力の手による侵略と屈辱の100年を経て、中国は世界で最も貧しい国のひとつであった。1949年の中華人民共和国建国後、中国人民の生活環境と生活水準は急速度で改善された。後進的で半封建的な、事実上、工業のない経済を受け継いだ中国共産党は、人々を養い雇用し、商品価格を安定させ、金融と生産労働を一体化させるという途方もない問題を解決した。

この間、平均寿命は31歳延び、これは人類史上主要国で最速の伸びであった。平均摂取カロリーは2倍になり、年間所得は600億元から3,000億元へと5倍になった。平均摂取カロリーは倍増し、年間所得は600億元から3,000億元へと5倍になった。経済は10年ごとに64%成長し、54%にとどまったソ連の経済成長をも上回った。1949年以来のこのような大きな進歩にもかかわらず、1970年代の中国は依然として大規模な貧困に直面していた。工業の拡大は衰え、こうした経済的後退は大躍進と文化大革命によってさらに悪化した。

中国共産党は、生産力を発展させ貧困に取り組むためには、ソ連のやりかたを模倣し続けるのではなく、独自の道を切り開く必要があると判断した。1978年からは、小規模な民間部門の再出発を認め、外国からの投資にも門戸を開いた。こうした変化の後、中国は低所得国から高中所得国へと変貌を遂げ、1981年以降、国境内で8億人が国際的に定義された貧困から脱却し、この期間における世界の貧困削減の75%を占めることになった。

こうした驚異的な成果を前にして、左右両派の皮肉屋たちは、現代の中国を誤って表現し、非難し続けている。本稿の目的は、中国が非民主的であること、国際的な侵略者であること、改革以降、社会主義でなくなったことなど、主な非難のいくつかを取り上げることである。


中国の民主主義

欧米の学者によくある誤解は、中国には民主主義が存在しないというものだ。シュタイン・リンゲンの著書『完璧な独裁』によれば、「中国の現体制は、世界がこれまで見てきたよりも強くない。中国の現体制は、世界が信じたがっているほど強くはなく、独裁的で、独自のものを持っている」。彼は、中国の習近平国家主席が「集団的指導体制を縮小し、最高指導者を中心とした個人崇拝的な要素を備えた新しい種類の一人支配体制をめざした」と主張している。

リンゲン氏が中国を「独裁国家」と呼ぶのは正しいが、この言葉が西洋で伝統的に理解されている意味、つまり、一個人または少数の集団による絶対的な支配という意味では、間違っている。(今の)中国は、マルクス主義者が「プロレタリアート独裁」と呼ぶものである。それは労働者のための民主主義であり、労働者の方が今や疎外された搾取者たちに独裁を押しつけるのだ。習近平自身がこう説明している「ある国が民主主義であるかどうかは、その国の人民が本当にその国の主人であるかどうかにかかっている」、と。

中国は、「全過程の人民民主主義」によってこの基準を満たしている。「全過程の人民民主主義」では、西側諸国のように時々の選挙で投票するだけでなく、人民代表大会の制度を通じて、市民があらゆる階層で政治過程に参加することができる。地方人民代表大会(LPC)は、村から省までのあらゆる階層に存在し、国家権力の地域的機関として機能している。

すべての地域、民族、社会集団を代表する260万人の代議員で構成されるLPCは、憲法、法律、行政法規の施行を保証する。また、決議を採択し、地方の経済、文化、公共サービスの発展計画や予算を決定する権限もある。LPCは、知事、市長、副知事、区長、その他多くの重要な政府役職を選出・罷免する権利を有している。民族自治区のLPCはまた、その地域の民族の政治的、経済的、文化的特徴に沿った地域固有の規則を策定する権限も持っている。

中国の最高統治会議は全国人民代表大会(NPC)であり、あらゆる階層から集められた約3,000人の代議員で構成され、第一線の労働者と農民が全体の15.7%を占め、56の全民族が代表されている。全人代(NPC)の主な機能は、憲法の改正とその施行の監督、基本法の制定と改正、大統領と副大統領を含む高官の任命と罷免である。

中国人民政治協商会議(CPPCC)はもうひとつの重要な民主化実現手段であり、8つの民主政党、華僑を含むすべての民族と地域、さまざまな人民組織と特別に招待された個人の代表で構成されている。中国人民政治協商会議(人民政協)の協議を通じて、国家の主要な政策や決定に対して、各界各層の人々から意見が寄せられ、社会集団や少数民族の様々な視点が国家の政策に反映される。

政策決定領域における政府の中央集権化は、党幹部の仕事における地方分権化によって相殺されている。党幹部はすべての地理的地域に任命され、人々の要求を募り、それを満たすことを任務としている。幹部はその結果を党に報告し、中央が決定した決定や経済計画が社会の要求と一致するようにする。

全国人民代表大会出張所、中国人民政治協商会議(人民政協)、党幹部会は、大衆と中国人民代表大会(全人代)を結ぶ連絡網として機能し、国家が全国段階で人民の意思を完全に代表することを可能にしている。同時に、地方段階では、地域人民会議が草の根の意思決定の実践を支援している。中国の体制が非民主的である、あるいはもっと馬鹿げた「一人の支配」であるという主張は、根本的に間違っていることは明らかだ。


中国の外交政策

欧州議会最大の政治集団である欧州人民党*は、次のように主張する。「北京は全地球的な利益ただ乗り者(フリーライダー)として振る舞い、国際的規則を無視し、冷酷に自国の利益を追求する攻撃的で敵対的ですらある競争政策を追求している......(中国は)近隣諸国や規則に基づく世界秩序だけでなく、欧州の利益や同盟国をも脅かしている」。このような物言い(レトリック)は、中国に対して、攻撃的な欧州外交政策を支持する世論を結集するためによく使われる。
*欧州人民党(European People’s Party)は、1976年創設の中道右派に位置する欧州規模の政党。

中国の外交政策を真に理解するためには、マルクス主義の労働の社会化理論に源を持つ『人類の共有する未来』という概念を把握する必要がある。マルクスが「循環資本」と呼んだ中間財の生産が、生産性の向上に寄与する主な要因であることは、数多くの研究で確認されている。中間財は、分業によって、つまり複数の生産者が最終製品に貢献することによって生産される。したがって、労働が高度に社会化されると、生産性も高くなる。

この論理にしたがえば、労働の国際的社会化の進展、言い換えれば世界一体化(グローバリゼーション)は、国際社会全体の生産性を高め、生活水準を向上させることにつながる。したがって、国家間の相違は不利にはならない。労働は分割された方が生産性が高くなり、その結果、相違が生じるからである。(この主題については、ジョン・ロスの著書『中国の偉大なる道』の第4節を参照)

中国共産党は、「人類の共有する未来」という見通しを指導原理とし、国家間のより大きな協力に基づく国際社会の構築を目指している。1953年以来、中国の外交政策は周恩来の平和共存5原則に支えられてきた。この5原則は憲法に明記されており、主権と領土保全の相互尊重、相互不可侵、相互の内政不干渉、平等と互恵、平和共存である。これらの原則にしたがい、中国は近隣14カ国のうち12カ国との土地境界問題を平和的に解決し、東南アジア諸国連合加盟国間の南シナ海での紛争に外交的に対処するための行動規範を制定した。

アフリカでは、中国は欧米の資本家が採算が合わないと考える重要な生活基盤建設事業に資金を提供し、ジブチ、エチオピア、ソマリア、エリトリアに緊急食糧支援を行ない、27カ国に1億8900万回分のワクチンを提供し、17カ国に対して23の無利子融資を与えた。中国は「一帯一路」構想のような生活基盤建設事業への相互利得(ウィンウィン)の投資を通じて、発展途上国の共同繁栄に積極的に貢献しており、この構想は発足から10年間で150カ国以上、30以上の国際機関が参加している。

こうした政策は、国際通貨基金や世界銀行のような機関が、略奪的な融資慣行を用いて米国の経済的利益を新興国に押し付け、新興国に負債を負わせ、融資の条件として新自由主義的な緊縮財政の採用を要求するのとは対照的である。

中国が経済支配によって他国に自国を押し付けているのではなく、むしろ経済協力を支持しているのだとしたら、欧州人民党は中国が象徴する深刻な軍事的脅威を暗示しているのではないだろうか? 確かに、中国が主に海賊対策のためにジブチに軍事基地を置いているのは事実だが、米国は80カ国以上に750の海外軍事基地を、英国は42カ国に145の海外軍事基地を置いている。米国と英国は中国に対する軍事的包囲網を構築し続けており、米国は東アジアだけで313の軍事基地を、英国はシンガポール、ブルネイ、オーストラリア、ネパール、アフガニスタンに基地を維持している。

さらに、中国が紛争や問題に対処する際、軍事的な対立よりも外交的な話し合いを好むのに対し、西側諸国は、しばしば「人権侵害」という偽りの口実で、破壊的で致命的な軍事介入を通じて意見の相違に対処している。今日に至っても、不法な拘束、拷問、民間人の無差別殺戮など、イラクにおける人道に対する罪の責任を問われたアメリカ高官はいない。中国が国際的な侵略者であるという西側の高官や政治団体の非難は、明らかに偽善である。


中国は社会主義から転向したのか?

改革開放以来、中国経済の社会主義的性質は疑問視されてきた。多くの反社会主義的識者は、中国経済の成功を資本主義に不当に帰結させ、中国政治経済の構造と本質を歪めてきた。これは1999年に日本総合研究所によって次のように表明された。「国有企業が社会主義経済の礎石であるという見解を受け入れるならば、現代中国はすでに社会主義の主軸を失なったと結論づけることができる」とし、改革開放期以降の国有企業の市場占有率の低下を指摘して、この点を示している。この主張は、最近のフォーブスの記事でも繰り返し述べられている。「中国の成功は資本主義の力の明確な証拠である」と。

国有企業が「溶けてなくなった」のではなく、中国経済の礎石であり続けていることに変わりはない。2021年現在、国有企業とその資産の合計は、中国のGDPの70%近くを占めている。国有部門が経済の中で主導的な役割を占めていることは議論の余地がない。

20世紀初頭の中国では、国内の資本家(ブルジョワジー)は帝国主義、封建主義、官僚資本主義に反対する運動で重要な役割を果たしただけでなく、中国の経済再建にも積極的に関与した。1949年に、「国家の福祉と人民の生活に有益なすべての民間経済企業の積極的な運営を奨励し、その発展を援助する」という政策が採択された。同時に、国有経済は主導的な役割を維持し、国内の資本家が中国を資本主義へと導くことを不可能にした。このやり方は、毛沢東が国内の資本家の経済資本の収用と政治資本の収用の区別を尊重したものである。後者は最後まで実行されるべきだが、前者は明確な制限の範囲内に収めなければ、生産力の発展を損なう危険がある。国内の資本家の経済資本が、経済の発展、ひいては社会主義の大義に役立つならば、その全面的収用は不必要である。明らかに、国有経済の指導の下で私有経済を存続させるという手法は、鄧小平時代だけのものではなく、毛沢東思想にその源がある。

中国経済における国有企業の主導的役割は、広範囲に及ぶ。中国共産党は投資水準を規制することができ、景気低迷時に必要とされる投資や、生活基盤、公共施設、科学技術革新のような危険性の高い分野など、民間企業によって採算が取れないと拒否された事業への投資を可能にする。中国共産党はまた、ミクロ経済、すなわち個人や企業の活動に対して、西側資本主義諸国よりも大きな影響力を持っている。国有部門は通常、集団、協同組合、混合といったさまざまな所有構造の下で運営される企業の活動に影響を与える権限を与えられている。さらに、民間部門の活動を指導するために、中国共産党は民間企業内に党細胞を積極的に維持している。中央組織部が実施した調査によると、2016年までに68%の民間企業に党細胞があり、外資系企業では70%が党細胞を持っていた。中国共産党の指導方針にしたがわない企業は、完全に閉鎖され、党に吸収される危険性がある。その一方で、より革新的な事業に取り組む企業には減税を行なうなど、共栄の建設という目標に貢献する企業には優遇措置が示されている。また中国共産党が罰則を課しているのは、外国投資や株式保有、公的資金の借り入れ、個人持ち株の隠蔽、株の売買に関する規制に違反した億万長者個人に対してである。

自由市場資本主義経済とは異なり、中国の経済発展は中長期的な経済計画を堅持しており、それは社会経済的傾向と経済全体の業績予測に基づいて決定される。その一例が、中国の経済発展の青写真である五カ年計画であり、現在、都市化政策と農村の活性化を推進している。

中国の銀行機構も国家規制の重要な分野であり、中国共産党は個人や利益団体に有利になるような操作を防止する措置をとっている。その結果、過去数十年にわたる中国の国富の大幅な増加は、一部の富裕層ではなく、社会を豊かにするために役立っている。

さらに、中国の土地は公有地である。都市部では、土地は国が直接所有しており、一定期間賃貸することは可能だが、中国共産党の承認が必要で、さらに政府の規定がある場合に限られる。農村部では、土地は集団によって所有され、農業用に限定されている。

社会主義的市場経済と自由市場経済の違いは、同程度の発展と人口を誇っている中国とインドを対比させれば一目瞭然である。1978年以来、中国はインドの2倍の平均成長率を維持し、国民の貧困からの脱却に成功している。

明らかに、中国は批評家が主張するように「社会主義の主軸を失なった」わけではなく、国有企業が引き続き経済界で主導的な役割を果たし、社会主義の実現に向けて発展を方向づけ、民間資本は依然として中国共産党に従属したままである。


中国の特色ある社会主義の理論的基礎

左派の中にも、「中国の特色ある社会主義」はマルクス主義の核心的原則を放棄しているとの考えを打ち出す者がおり、その証拠として中国共産党が私営企業と市場を受け入れていることを指摘している。

江沢民の言葉を借りれば、「『中国的特色ある社会主義』は、マルクス・レーニン主義の基本的信条と現代中国の現実および現代の特殊性との統合の産物であり、毛沢東思想の継承と発展であり、全党員と全中国人民の集合的知恵の結晶であり、全党員に属する知的宝物である」

「滅びゆく資本主義」と「萌芽的な共産主義」の間の移行期として、社会主義がとる形態は、それぞれの国の特殊性とその物質的条件によって異なる。マルクスとエンゲルスは弁証法的な手法をとり、社会主義の硬直的で不変の定義を否定し、エンゲルスはこう書いている 「他のすべての社会的形成と同様に、(社会主義は)絶え間ない流動と変化の中で構想されるべきである」。マルクスとエンゲルスは、『共産党宣言』の中で、社会主義の発展は「あらゆる場所において、いかなる時も、現存する歴史的条件に左右される」と詳しく述べている。『ゴータ綱領批判』の中で、マルクスは共産主義を2つの異なる段階に分かれる過程として概説した。下位の段階は資本主義の「生みの跡」の一部を残し、上位の段階は完全に発展した共産主義社会を表す、と。

マルクスは明らかに、より高い発展段階が、より低い段階を迂回したり、急いだりすることによって達成されるとは考えていなかった。この理解に基づき、中国の経済学者たちもまた、社会主義を多段階の過程として想定してきた。その結果、生産力を発展させ、社会の最も貧しい人々の生活水準を向上させるという緊急の課題に重点が置かれるようになった。

『共産党宣言』の中で、マルクスとエンゲルスは再びこう主張している。「労働者階級(プロレタリアート)は、その政治的優位性を利用して、資本家階級(ブルジョアジー)からすべての資本を少しずつ奪い取り、すべての生産手段を国家、すなわち支配階級として組織された労働者階級の手に集中させ、総生産力をできるだけ急速に増大させる。ジョン・ロスがその著書『中国の大道』で明らかにしているように、「ある程度」という言葉の使用は、マルクスとエンゲルスが共産主義への移行を、中国経済のように、国有財産と私有財産が共存する長期にわたる期間と想定していたことを示している。エンゲルスは1890年にこのことを再確認し、社会主義社会の段階的な建設は「かなり実現可能」だと考えた。レーニンは1918年、社会主義に関する独断的な概念を批判し、次のように述べた:「資本主義から共産主義への移行には、歴史的な新時代が必要である」。明らかに、社会主義が一筆書きで構築できるという考えは、マルクスとエンゲルスの著作から逸脱しており、その逆ではない。

マルクスによれば、社会主義社会における分配は「各人はその能力に応じて働き、各人はその働きに応じて受け取る」、共産主義社会における分配は「各人はその能力に応じて働き、各人はその必要に応じて受け取る」という原則に基づいて行なわれる。中国では、特に国有企業で働く人々の場合、分配は主に仕事の質と量に対応している。中国の憲法は次のように定めている「国家は、公有が支配的で多様な所有形態が並存し発展する基本的な経済制度を堅持し、労働に応じた分配が支配的で多様な分配形態が共存する分配制度を堅持する」

中国の特色ある社会主義は、マルクス主義の原則を放棄したのではなく、マルクス主義の創造的解釈を中国独自の物質的条件に適用したものである。これは、国有部門と私有部門の間の矛盾が中国に存在しなくなったという意味ではないし、さらなる克服課題が生じないという意味でもない。しかし、マルクス主義の科学で武装した中国共産党は、これらの挑戦に立ち向かい、克服することができるということである。
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フランスで『トコジラミ緊急宣言』が発令される

<記事原文 寺島先生推薦>
French authorities acknowledge bedbug ‘emergency’
パリ五輪が迫る中、フランスが長年抱えてきた虫問題がさらなる大問題になりつつある
出典:RT  2023年9月29日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年10月11日



資料写真 © Global Look Press / H. Duty



 フランス政府は来週、公共交通機関において蔓延しているトコジラミ問題を提起する、と同国の交通大臣であるクレマン・ボニュー交通大臣が金曜日(9月29日)に発表した。

 X (旧ツイッター)上での投稿において、ボニュー交通大臣は、交通関連諸組織との異例の会合を招集するとし、その目的を「旅行者向けにこれまで既に取られている措置やこの先とられるであろう措置に対する情報を提供するため」であり、さらには一般市民に「安心を与え、保護するため」とした。

 この異例の会合の発表がおこなわれたのは、パリ市役所がフランス政府に対して公的に不満を述べたことを受けてのことであったが、同市はフランス政府に公共交通機関や公共施設、住居にはびこっているトコジラミに対し対策を打つよう促した。

 市当局の幹部らは、国が特別対策機関を立ち上げ、当局が血を吸う虫と呼ぶこの虫を「厳罰に処す」よう求めた。


関連記事:Parisians must live with rats – mayor

 「本当に国家的緊急事態です。市民が利用する全ての施設におけるパリ特有の問題なのです」とパリ市のエマニュエル・グレゴワ第1副市長は述べ、2024年のパリ五輪が迫る中、このトコジラミ問題は特に重要である、と主張した。

 「トコジラミは公共医療問題であり、そのように報告されなければならない問題です。政府は緊急にすべての関係機関を招集して、この問題を打開するための総括的な対策計画を打ち出さなくてはなりません。フランスが国を挙げて2024年のオリンピック・パラリンピックを主催するのですから」と同副市長は述べた。

 トコジラミはフランスの長年の悩みの種であり、フランス家屋の10軒に1軒がこの虫に侵入されている、と考えられている。トコジラミは柔らかい家具や衣服に寄生することを好み、夜になると、寝ている人々を餌食にして、血を吸う。

 フランスが長年抱えてきたこの虫の問題が、最近、悪化の一途をたどっているようで、オンライン上であげられている多くの動画には、この虫がバスや電車などの公共交通機関で群れを成し、映画館などの公共施設で蔓延している様子が映されている
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西安交通大学が英語の必修を廃止

<記事原文 寺島先生推薦>
Top Chinese university scraps English requirements – media
英語運用能力は、「多くの人々にとって実用的価値はほとんどない」と一人の国会議員が今年初旬に主張
出典:RT /2023年9月22日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年10月11日



中国湖北省襄陽の大学で卒業写真のためにポーズをとる女学生たち。2015年6月3日© Getty Images / Jie Zhao/Corbis via Getty Images


中国の代表的な公立大学のひとつが、学生に入学や卒業条件として課していた「大学英語試験」の必修受験を撤廃することを発表した。

中国の北西部の陝西省に位置する西安交通大学がこのような一歩を見せたのは、中国の大部分の学生にとっての英語学習の実用的価値について議論が高まる中でのことだ、とサウス・チャイナ・モーニング・ポスト紙が、金曜日(9月22日)に報じた。

この動きは、「現状に合わせて当学が取った通常の施策である」との同大学の学務課からの発表を同紙は報じた。なお、中国で上位5パーセントに入るとされている西安交通大学当局は、「大学英語試験」の受験が必修とされる英語コースは、教育課程に残ることも発表した。

学生の英語学習に関する必修措置を減じる計画は、ここ数年広がっている。全人代の廬慶明副議員が今年上旬、北京での立法議会において、英語を流暢に話せることは「多くの人々にとってほとんど実用的価値はありません」と述べた。


関連記事:English language booted from press conference in China

廬副議員はさらにこう述べた:「かなり多くの人々にとって、外国語を学ぶことは高等教育を受けるための道具にすぎません。学ばれている内容は実際テストで点を取るためのものです。仕事や生活において、外国語を使うことはほとんどありません」と。

ただし香港大学の言語学専門家である於曉宇氏は、英語を必修から減じる動きに懸念を表明している。同氏の主張によると、世界で最も話されている言語のひとつである英語の言語能力は、労働市場において利点となる、という。

「変わっていないことは、大学卒業生向けの多くの労働市場においては、英語能力は今でも利点になっている、という点です。ですので、より高い英語運用能力を持つ学生、特にその能力が高いとテストで証明されている学生の方が、よりの多くの就労機会を得られることになるでしょう」との於氏の発言をサウス・チャイナ・モーニング・ポスト氏は金曜日(9月22日)に報じた。

さらに於氏は自身の考えとして、現在の「大学英語試験」の内容を改善する余地があると述べた。 同氏の主張によると、今のテストでは、英語できちんと意思疎通ができなくても、学生がテストで高得点を取ることが可能である、とのことであり、さらに「英語学習に重きを置かなくなり始めている傾向が見られる中での各大学の決定に口を挟むべきではありません」とも述べた。
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カナダ政府が元ナチス兵を賞賛したことで暴露されたカナダ政府の長年の対ウクライナ政策の真実

<記事原文 寺島先生推薦>
Canada’s Honoring of Nazi Vet Exposes Ottawa’s Longstanding Ukraine Policy
筆者:マックス・ブルメンタール(Max Blumenthal)
出典:INTERNATIONALIST 360° 2023年9月27日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年10月11日





ナチス・ドイツの武装親衛隊の志願兵だった人物を「英雄」として祝福したことで、カナダの自由党は、カナダによる長年の対ウクライナ政策に光を当てることになった。これまでカナダ当局は、ウクライナのファシスト民兵に軍事訓練を施してきたし、第二次世界大戦後、ナチスの元親衛隊を国内に何千人も引き受けていたのだ。


 カナダで2番目の権力者の座に就いているクリスティア・フリーランドは、ナチス・ドイツのもとで働いていたウクライナの代表的な宣伝広報担当者の一人であった人物の孫娘だ。

 1943年春、ヤロスラフ・フンカ氏は新兵として第14SS武装擲弾兵師団『ガリーツィエン』に入隊した。当時この師団はナチス・ドイツで大量虐殺(ジェノサイド)政策を構想した人物であるハインリヒ・ヒムラーの訪問を受けていた。この大隊の結成式で司会をつとめていたヒムラーは、第三帝国の政策に支援するために志願兵となったウクライナの人々に対する誇りをあからさまに示した。

 それから80年後。カナダ下院のアンソニー・ロタ議長も、ウラジミール・ゼレンスキー大統領歓迎式典に招待されたフンカ氏に対して、称賛のことばを矢のように浴びせかけた。ゼレンスキー大統領は、ロシアとの戦争に必要なさらなる武器と金融支援を求めてカナダを訪れていた。

 「本日議会にお迎えしているのは、第二次世界大戦時にウクライナの軍人であった方です。この方はウクライナがロシアから独立するために戦われた方で、98歳になられた今でも、ウクライナ軍への支持を続けておられます」とロタ議長は9月22日にオタワで開かれた議会での催しで高らかに述べた。

 「この方は、ヤロスラフ・フンカさんです。私が誇りに思うのは、フンカさんが私の選挙区であるニピシング—ティミスカミング地区のノースベイ市にお住いである、ということです。フンカさんはウクライナの英雄でもありカナダにとっても英雄です。フンカさんの軍でのあらゆるご活躍に感謝の意を表します」とロタ議長はことばを続けた。

 聴衆から万雷の拍手が湧き起こり、ジャスティン・トルドー首相、ゼレンスキー大統領、クリスティア・フリーマン副首相、カナダ軍ウェイン・エア参謀総長やカナダの各政党の党首が立ち上がって、フンカ氏の戦時中の活躍に対する賞賛の意を示した。


 フンカ氏がナチスの協力者であったという記録が暴露された後に―その事実は議長がフンカ氏の紹介をした時点で明らかになっていたはずなのだが―カナダの指導者層が―なぜかエア参謀長官は例外だが―急いで保身のための表面的な釈明に走ることになったのは、カナダのユダヤ人協会から非難の声を浴びせられて、しゅんとさせられたからだった。

 この出来事は、今や国家上の大問題に発展し、カナダの諸新聞が一面で大きく取り上げ、トロント・サン紙はこんなおどけた見出しの記事を出した。「あのナチが帰ってきた」と。さらにポーランドの教育省大臣は、犯罪者としてフンカ氏を引き渡すことまで要求した。

 自由党は今回の件を偶然の間違いであるとして火消ししようと躍起になっており、一人の自由党国会議員は党員らに、「この件が政治問題になることを回避するよう」促していた。カナダのメラニー・ジョニー外相はロタ議長の解任を強行したが、これは議長を生贄にして自身の党が取った集団的な行為の責任を有耶無耶にするためだった。

 いっぽうトルドー首相は、今回の出来事は、「深く恥ずべき」行為であったと認め、その理由を「ロシアによる喧伝行為に反撃する」ためだ、とした。こんな言い方をすれば、まるでロシア当局が90代のナチス協力者をカナダ議会に潜り込ませて、映画『クライシス・オブ・アメリカ*』よろしく、首相や側近らを、フンカ氏を英雄として迎えるよう洗脳したようにとれる。
*2004年の米国映画。湾岸戦争から帰ってきた兵たちの体にマイクロチップを埋め込み、政治を我がものにしようとする陰謀があった、という筋書き


 この出来事がただの間違いでないことは明らかだ。カナダ政府と軍の幹部がフンカ氏を議会に歓迎する前から、ファシストのフーリガンらの戦闘組織に外交上の支援を施し、キエフに国粋主義者による政権を樹立させることに手を貸し、明らかにナチスの考え方を推進している現在のウクライナ軍諸部隊への訓練を監督してきたのだから。

 カナダ政府がフンカ人を賞賛したことにより、カナダの第二次世界大戦後の政策に掛けられていた覆いも外された。カナダ政府は、ウクライナのナチス協力者を国内に匿い、武器を与えることで、カナダ国内の共産主義勢力に対する突撃部隊として徴用していたのだ。戦後、カナダへ移住した多くの一団の中にクリスティア・フリーランド副首相の祖父もいた。この人物は、ナチス占領下のポーランド内部で、ヒトラー配下のウクライナ人宣伝広報担当者のひとりとして役割を果たしていた。

 カナダの官僚らはこの無様な記録を抑え込もうと画策してきたが、フンカ氏が議会に現れたことと彼のオンライン日記の不穏な内容によって、その記録は劇的に再浮上したのだ。


第14SS武装擲弾兵師団『ガリーツィエン』の一員として前列中央にいるヤロスラフ・フンカ氏


「我々はドイツ兵を喜んで歓迎する」

 2011年3月、米国の元ウクライナ戦闘員協会が出した記録には不穏な記述があったが、その内容は最近まで気づかれないままだった。この記録はヤロスラフ・フンカ氏が執筆したものであり、第14SS武装擲弾兵師団『ガリーツィエン』に志願兵として入団していたことを誇り高く回想していた。ドイツ国防軍が故郷のベレジャニに初めて入った際、フンカ氏はそのナチスの国防軍を、「神秘的なドイツの騎士」と表現し、自身が14SS武装擲弾兵師団に入隊していた時期は、人生で最も幸せな日々だった、と回想していた。



 「6年生の時、40名の級友のうち、6人がウクライナ人、2人がポーランド人、残りはポーランドから逃げてきたユダヤ人の子どもたちでした。なぜ、ドイツという文明の発達した西側の国からユダヤ人たちが逃げ出しているのだろう、ってみんなで話していました」とフンカ氏は記載していた。

 サイト「ユダヤ人のウェブ図書館」では、「文明化された」ドイツ人の手により虐殺されたベレジャニ在住のユダヤ人たちについて、以下のように詳述されている:「ソ連による占領が終わった1941年にベレジャニには1万2千人のユダヤ人が住んでいたが、そのほとんどはヨーロッパでのナチスの軍事機構を恐れて逃げてきた人々だった。1941年10月18日におこなわれたホロコーストの際、500~700人のユダヤ人が近郊の石切場でドイツ人により処刑された。さらに12月18日には、「ユダヤ人評議会*」が貧者であると報告した1200人が森で射殺された。1942年、ユダヤ教の祭日であるヨム・キプルの日(9月21日)、1000~1500人がポーランドのべウジェツ強制収容所に追放され、何百人もが市街地や自宅で殺害された。同じくユダヤ教の祭日であるハヌカーの日(12月4・5日)には、さらに何百もの人々がべウジェッツ強制収容所に送られ、1943年6月12日、ゲットーや強制収容所に残っていた最後のユダヤ人1700人が殺害され、逃げ出せることができたのはほんのひと握りの人々だけだった。この戦争を生き延びることができたベレジャニのユダヤ人は100人にも満たなかった」と。
*ナチス・ドイツ占領下の東欧でのユダヤ人自治組織

 フンカ氏によると、ソ連軍がベレジャニを占領した時、フンカ氏や近所の人たちは、ナチス・ドイツの到来を待ちわびた、という。「毎日、私たちは辛抱強くポモニャールイ(リヴィウ)の方を見て、あの神秘的なドイツ軍騎士たちがやって来て、あの憎たらしいリャークス(ウクライナ人が使うポーランド人に対する蔑称)に銃弾をぶち込んでくれる日を待ちわびていたのです」 とフンカ氏は回想している。

 1941年7月、ナチス・ドイツ軍がベレジャニに入った時、フンカ氏は安堵のため息をついたという。「私たちは喜んでドイツ兵を歓迎しました。人々は開放されたと感じ、もう二度と真夜中に玄関のドアが叩かれるような恐ろしいことは起こらないと思いました。少なくとも、やっと夜に安心して寝られるようになった、と」とフンカ氏は記載している。

 その2年後、フンカ氏は14SS武装擲弾兵師団の第一師団に入団した。この師団はハインリヒ・ヒムラーの個人的な命により結成されたものだ。ヒムラーが1943年5月にウクライナ人志願兵(以下の写真参照)を調査した際、オットー・フォン・ヴェヒターというナチスが任命したガリツィア地区知事が同伴していたが、この人物はクラクフ市内にユダヤ人ゲットーを作った人物だった。



 「皆さんの故郷は前よりもずっと美しくなりました。というのも、我々の力によりと言わねばなりますまい、あのような住民たちを消したからです。連中がこのクラクフの良き名を汚していたのですから。そうです、あのユダヤ人たちが、です。私がポーランド人たちを抹殺するよう命じれば、あなた方がずっと熱望していた行為を行なう許可を与えることになりますね」とヒムラーがウクライナ兵たちに言った、と伝えられている。


「ヒトラー配下で虐待や殺人を犯してきた指導者層が、カナダ憲兵隊の命により受け入れられてきた」

 第二次世界大戦後、カナダの自由党政権は何千ものユダヤ人難民を「敵国人」と分類して、元ナチスとともに一連の捕虜収容所に収容した。その収容所には有刺鉄線が張られていたが、このような措置を取ったのは、これらのユダヤ人難民が移民先のカナダで共産主義の種を撒くことを恐れてのことだった。同時にカナダ政府は、何千ものヒトラー配下にあった元ウクライナ兵には即座に市民権を与えた。

 このような状況を憂いて、「カナダ在住ウクライナ人」という通信社は1948年4月1日に以下のような記事を出した。「(新たにカナダ国民となった)人々の中には、ドイツ軍やドイツの警察で働いていた正真正銘のナチスがいる。報道によると、ヒトラー配下で虐待や殺人を犯してきた恐ろしいSSの刺青を入れた指導者層が、カナダ憲兵隊の命により受け入れられてきた、という。彼らは欧州各国で受け入れが拒否された人々だ」と。

 この記事では、改心していないナチスを反共産主義の突撃隊であると報じ、彼らの「思想的指導者たちは、すでに第三次世界大戦を起こすことに躍起になっており、世界規模での新たなホロコーストを起こそうと広報活動に勤(いそ)しんでいる。こんなことを許せば、カナダは滅んでしまう」と論じた。

 1997年、 サイモン・ウィーゼンタール・センター*のカナダ支所は、14SS武装擲弾兵師団に所属していた2000人以上の元兵士を受け入れたとして、カナダ政府を訴えた。
*ロサンゼルスに本拠地を置く反ユダヤ主義監視団体

 同年、米国のドキュメンタリー番組である「60分」は、「カナダの暗黒の秘密」という特集番組を出し、バルト諸国出身の1000人ほどのナチスの元親衛隊員が第二次世界大戦後カナダ政府から市民権を付与されていた事実を明らかにした。カナダの歴史家であるアーヴィング・アベジャ氏はこの「60分」の取材に対して、カナダに入国するもっとも安易な方法は、「親衛隊の刺青を見せることでした。そうすれば反共産主義者であることが一目瞭然ですので」と述べた。

 さらにアベジャ氏によると、ピエール・トルドー首相(ジャスティン・トルドー現首相の父)が、アベジャ氏にした話として、同首相政権がナチス移民者について沈黙を保っていたのは、「カナダ国内のユダヤ人と東欧出身者層の間の関係が拗れることを懸念していたから」だったという。

 ヤロスラフ・フンカ氏は戦後にカナダ政府が歓迎したウクライナ人元ナチス兵の一団の中の一人だった。ベレジャニ市議会のサイトの記載によると、フンカ氏がオンタリオ入りしたのは1954年のことで、即座に「ウクライナ民族会議(UNA)第一師団兵協会の一員になったが、この組織は『自由なウクライナ人世界会議』という団体の関連組織だった」という。

 この新たなウクライナ系カナダ人の中に、マイケル・チョミアックがいた。この人物はカナダ当局で2番目の権力者であるクリスティア・フリーランド副首相の祖父に当たる。報道関係者そしてカナダの外交官としての彼女の経歴をとおして、フリーランド副首相は祖父が唱えた反ロシア論という遺産を前進させてきた。またそのいっぽうで、戦時中のナチス協力者らを公的行事の際は褒め称えてきた。


2020年3月2日の集会時に、誇らしげに「ウクライナ擁護者協会(Ukrainian Partisan Organzation)ののぼりを掲げるクリスティア・フリーマン副首相。この団体は、第二次世界大戦時にナチス・ドイツと共闘していた


カナダ政府、ヒトラー配下のウクライナの代表的な広報活動家らを歓迎

 ナチス・ドイツがポーランドを占領下に置いていた間ずっと、ウクライナ人報道関係者であったクラクフ在住のマイケル・チョミアックは、「クラクフスキーヴィスティ(クラクフ通信)」という名の出版物を編集していた。この通信は、ナチスによるソ連侵攻を応援していた。「ドイツ軍が我々に自由という宝物をもたらしてくれようとしている」と同通信は1941年に報じ、ヒトラーを賛美し、 第14SS武装擲弾兵師団『ガリーツェン』の志願兵に対してウクライナ国民の支持を集めようとしていた。

 チョミアックは戦時中のほとんどの日々をクラクフ市内の広々とした2つの邸宅で過ごした。これらの邸宅はナチス占領者がユダヤ人家主から押収したものであった。チョミアックの記載によると、「フィンケルシュタイン博士」という人物が所有していた多くの家具を自身の管理下にある「アーリア化された」別の邸宅に移しかえたという。


パーティで、ナチス占領下ポーランドの報道関係者の代表エミル・ガスナーと共にいるマイケル・チョミアック

 カナダでチョミアックは、ウクライナ・カナダ協会(UCC)に参加した。この団体は、ウクライナから移住してきた人々の中に過激な国粋主義を植え付ける組織であり、強硬な反ロシア政策をとるよう、カナダ政府に政治的な圧力をかけていた。ウェブサイト上で、このウクライナ・カナダ協会は、第二次世界大戦中にカナダ政府から直接支援を受けていたことを以下のように自慢している:「(同ウクライナ・カナダ協会の樹立に対する)最終的かつ決定的な推進力の源はカナダ国軍からのものでした。カナダ国軍は、ウクライナ出身の若者たちが軍に入隊するかどうかを案じていたのです」と。

 ウクライナ・カナダ協会の初代代表のヴォロディミル・クビヨヴィチは、クラクフでチョミアックの上司だった。クビヨヴィチはさらに、第14SS武装擲弾兵師団『ガリーツィエン』の創設にも関わっており、創設時には、「この歴史的な日を迎えられたのは、ガリツィアのウクライナ人が、英雄であるドイツ軍の兵や武装親衛隊と腕を組み合うことができたという好機があったからこそです。そしてその共通の恐ろしい敵は、ボリシェヴィキでした」と語った。


ソ連時代のウクライナでの政権交代工作員という影の姿をもったフリーランド現副首相は報道関係者としての経歴を培っていった

 1984年のチョミアック没後、孫娘であるクリスティア・フリーランド現副首相は祖父の足跡を追うかのようにウクライナ国家主義者向けの様々な出版物の記者として活動していた。フリーランド現副首相は、クビヨヴィチが残した「ウクライナ百科事典」に当初から寄稿していたが、この百科事典には、ステパン・バンデラといったナチス協力者らがもつ負の歴史を有耶無耶にする意図があり、バンデラのことを「革命家」であると評した。その後、フリーランド現副首相は、 エドモントに本拠地を置く「ウクライナ通信」という通信社の職員となったが、その通信社は祖父が編集者をしていた通信社だった。

 1988年に編集された「ウクライナ通信」(以下の写真を参照)では、フリーランド現副首相が共著者となっている記事が掲載されていた。その記事には『自由のための闘争』という著書の広告が載せられているが、この本の内容は、ウクライナのSS武装擲弾兵師団『ガリーツィエン』を賛美するものだった。

リヴィウ留学中に、フリーランド現副首相は、後に報道関係者として華々しい活躍を見せる基盤を築いた。ハーバード大学でロシア文学を専攻していたという姿の裏で、フリーランド現副首相はウクライナ内での政権交代工作に協力しており、世界的な大手通信諸社で反ロシア論説を展開していた。

 「フリーランド女史は、ソ連国内の人々の生活、特に非ロシア人らの生活についての『偏向した』記事を無数に出すことで、報道界から将来有望な記者になるであろう人物として目を向けられるようになるきっかけを作った」とカナダ放送協会(CBC)は報じた。

 KGB(ソ連国家保安委員会)の文書を引いて、カナダ放送協会は以下のように、フリーランド現副首相を、事実上の工作員だった、と評した:「多くの厄介事を引き起こしていた当時学生だったフリーランド女史は、ソ連を忌み嫌っていたが、ソ連の法律については熟知しており、法律をうまく使って自身の利益に繋げる術を知っていた。同女史は自身の行動を上手に隠し、監視の目から逃れ、(さらにはその知識をウクライナ関係者らにも流し)、巧みに『偽情報』を流していた」と。

  1989年、ソ連の警備組織であるKGBは、フリーランド現副首相のビザを抹消したが、その理由は、同女史が、ウクライナの国家主義者の候補者らのために「選挙に出馬する正真正銘の指南書」をソ連国内にこっそり運び込んでいたからだった。

 同女史は即座に報道の世界に逆戻りし、ソ連崩壊後のモスクワで仕事を手にし、ファイナンシャル・タイムズ紙やエコノミスト紙、そして最終的にはロイター通信の特別編集員の座についた。この通信社は英国を本拠とする巨大通信社であり、現在ロシアに対する英国の諜報機関工作の代理人のような役割を果たしている会社である。


マイダン後のウクライナで、カナダ政府はナチスを訓練し、保護してきた

 フリーランド女史は2013年、カナダ議会で自由党員として議席を獲得したが、このことは同女史がロシアでの政権転覆を煽るための最も強力な武器を手にしたということだ。報道界にもつコネを利用して、同女史は代表的な伝統的諸新聞に論説記事を発表した。一例を挙げると、ニューヨーク・タイムズ紙ではウクライナのいわゆる「尊厳の革命」に関して西側各国政府に軍事支援を行なうよう促す記事を出した。この2014 年の「革命」により民主的に選出された大統領が暴力的に排除され、その代わりに親NATO政府である国家主義者がその座に就くことになった。

 この武力政変のさなか、C14という組織に属するネオナチ勢力の一団がキエフ議会を占拠し、その建物にウクライナ国家主義者の紋章と白人至上主義の象徴を飾り付けた。その中には米国南北戦争時の南部連合の旗もあった。2014年2月18時、暴動鎮圧の機動隊がファシストのフーリガンを追い払った際、暴徒らはカナダ大使館に逃げ込んだが、この時は確実にカナダ保守党政権からの承認を受けていた。「カナダ政府は、(ウクライナ)政権以上に抗議活動者らに共感を感じていました」とウクライナ内務省当局者はカナダ放送協会の取材に答えた。


2014年、カナダ外務省はキエフ市役所を占拠し破壊したネオナチ勢力(上記写真を参照)に逃げ場所を提供

 ネオナチ民兵に対するカナダ政府による公的な支援は、2015年の選挙で自由党のジャスティン・トルドーが首相に就任した後、さらに強化された。 2017年11日、カナダ軍と米国防総省は、キエフに数名の役人を派遣し、ウクライナのアゾフ大隊に多国籍訓練を施した。(それ以来、アゾフ大隊はその記録を自身のサイトから抹消している)。

 当時のアゾフ大隊は「白人の指導者」と自称していたアンドリー・ビレツキー氏の管理下にあったが、この人物はこう宣言していた。「この危機的状況における我が国の歴史的使命は、白人が生き残るための白人による最後の聖戦を主導することです...そしてこの聖戦の相手は、ユダヤ人率いる劣等人種たちです」と。


家族がナチスだったことが明らかになるや、フリーランド女史は人々に嘘をついた

 いっぽうカナダでは、問題の多いフリーランド女史の家族経歴が報道機関により初めて取り上げられた。 2017年1月に、外務大臣(フリーランド女史はその職を利用して、ロシアに対する制裁とウクライナへの武器の輸送を大声で主張するもの、と見られていた)に任命された数週間後、 同女史の祖父がナチス占領下のポーランドでナチスの広報活動の仕事をしていたという事実が、独立系報道諸機関からの多くの記事のネタとなった。

 この事実の報道に対するトルドー政権の対応は、サイバー戦争をけしかけている、としてロシアを非難することだった。「現状は明らかに警戒すべき段階に達しています。だからこそ首相は、ほかの何を差し置いてでも我が国のサイバー上の安全体制の再確認を奨励したのです」とラルフ・グッデール公安相(当時)は明言した。

 チョミアックの経歴を掘り起こして報じた通信社の中で、ロシア政府と繋がっていた通信社はあったとしてもほんの数社に過ぎなかった。チョミアックがナチスに協力していたという事実を初めて報じた報道機関には、米国に本拠地を置く独立系報道機関であるコンソーシアム通信社がある。フリーランド女史側は、報道官を通して、「外相の祖父がナチス協力者だった」という事実をキッパリと否定した。

 カナダの報道機関がこの件に関する数名のロシア外交官の話を報じた際、フリーランド女史は即座にこれらの外交官の国外追放を命じ、外交官という立場を利用して、「我が国の民主主義を妨害しようとしている」と非難した。

 しかしその頃には、フリーランド女史の家族の秘密が明るみになり、カナダの大手報道機関が取り上げるようになっていた。 2017年3月7日、グローブ・メディア通信社は、1996年の『ウクライナ研究誌』の記事を取り上げたが、その記事では、フリーランド女史の祖父が本当にナチスの広報活動担当者であったことがハッキリと記されており、彼女の祖父が書いた文章が、ユダヤ人大虐殺を焚きつける助けになったとも記載されていた。なおこの記事を書いたのは、フリーランド女史の叔父のジョン=ポール・ヒムカであり、ヒムカはその記事の序文で、「問題点の指摘と文書の明確化」の手助けをしてくれた、として姪に感謝のことばを綴っていた。

 「フリーランド女史は20年以上も前から、自分の母方の祖父が。ナチス占領下のポーランドでナチスの新聞社の編集長をしていたことを知っていた。この新聞は第二次世界大戦中ユダヤ人を貶(けな)し続けていた」とグローブ・メディア通信社は報じた。

 今年の9月、何百人もの同胞とともに、多大なる熱意を持ってヒトラー親衛隊の決死隊員だった人物に拍手喝采を与えた後、フリーランド副首相は再び自身の権力を発動することにより、この出来事を記録から消し去った。

 恥ずかしい場面が繰り広げられた3日後、フリーランド副首相は議会に再登場し、ある提案に無言で頷き承認の意を示した。その提案とは、カリーナ・グールド下院政府総務が出したものであり、アンソニー・ロタ議長がヤロスラフ・フンカ氏を承認した事象を「下院の補遺議事録」と「複合媒体に残されていた音声や映像記録」から抹消する、というものだった。

 ホロコースト教育が何十年ものあいだ公的に支援されてきたおかげで、市民たちに「決して忘れてはならない」ことを求める呪文がリベラル派民主主義の追いかけるべき道標になっていた。しかし今のカナダ政権においては、この目指すべき道徳的道標が、目の上のたんこぶになってしまっているようだ。この道標のせいで、個人の輝かしい経歴に傷が付けられ、ウクライナでの戦争が下火にされてしまう恐れがある。


筆者マックス・ブルメンタール(MAX BLUMENTHAL): オンラインサイトのグレーゾーン(The Grayzone)編集長。受賞歴のある報道関係者であり、数冊の著書の著者であり、『共和党のゴモラ』『ゴリアテ』『51日戦争』『凶暴性の管理』などのベストセラーも出している。多くの出版印刷物や動画報告、『ガザの殺人』など数編のドキュメンタリーを発表しておる。ブルーメンタールがグレーゾーンを設立したのは、2015年のことで、米国による終わることのない戦争とその反動として米国内で起こっている影響について光を当てる報道をおこなっている。
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元EU委員長いわく「ウクライナは腐敗の極致で加盟は不可能」

<記事原文 寺島先生推薦>
Ex-EU boss says Ukraine too corrupt to join
https://www.rt.com/news/584082-jean-claude-juncker-ukraine-corrupt-eu-membership/
欧州委員会の元委員長、加盟交渉の行方が報じられる中、キエフとの非現実的な約束に警鐘を鳴らす
出典:RT   2023年10月 5日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年10月10日


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ジャン=クロード・ユンカー前欧州委員会委員長。Andreas Arnold/picture alliance via Getty


元欧州委員会委員長のジャン=クロード・ユンカー氏は、根深く蔓延する汚職は、ウクライナがすぐに欧州連合(EU)に加盟できないことを意味すると述べた。さらに今週(10月第1週)初め、『ポリティコ』紙は、アメリカ政府がキエフに対し、より効果的に汚職を撲滅するよう圧力をかけていると報じた。

木曜日(10月5日)に掲載されたドイツのAugsburger Allgemeine紙とのインタビューの中で、ユンカー氏は、ブリュッセルは「苦しみに首まで浸かっているウクライナの人々に偽りの約束をしてはならない」と警告した。そして、「ウクライナ人にすぐに加盟国になれると信じ込ませている」EU内の人々を批判した。この元委員長によれば、そのようなシナリオはEUにとってもウクライナにとっても不利になるという。

「ウクライナと付き合いのある人たちは、この国が社会のあらゆる階層で腐敗していることを知っている」とユンカー氏は告発した。同氏は、この東欧の国はまず「大規模な」改革を行なう必要があると指摘した。

ユンカー前欧州委員会委員長は、「部分的加盟」に賛成する考えを示した。この考えは、欧州統合を目指す国々が改革の道を歩むことを条件に、欧州統合の恩恵の一部を享受できるようにするものである。

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READ MORE:Ukraine demands ‘full’ EU membership

ユンカー氏の警告は、『ポリティコ』が匿名の複数の外交官からの話として、現職のEU指導部が早ければ12月にもウクライナとの加盟交渉開始を正式に発表すると報じた直後のことだった。

一方、今週初め、同誌は米国務省のウクライナに関する「国別統合戦略」の「取扱要注意だが国家機密ではない」文書を見たと主張した。その中でアメリカ政府高官は、キエフの指導者たちに「かなり酷い汚職にまみれているという認識」「ウクライナ国民と外国の指導者たちからの戦時政府に対する信頼を損なう」可能性があると警告したとされている。

ポリティコの情報筋によると、ジョー・バイデン米大統領はウクライナに対し、既存の汚職撲滅活動を強化するよう迫っているが、汚職の懸念からキエフへのアメリカからの援助を差し控えたいと考えている共和党議員に政治的な弾薬を渡すことを避けるため、秘密裏にそれを行なっている、という。

バイデン政権は、将来の経済援助は「ウクライナを民間投資にとってより魅力的な場所にする」改革と結びつけることができると明らかにしたと伝えられている。

月曜日(10月2日)、ウクライナのヤロスラフ・ゼレズニャク議員は、自国がアメリカから汚職の「イエローカード」を出されたと主張した。

ウクライナは長年、ヨーロッパで最も腐敗した国のひとつと見なされている。「トランスペアレンシー・インターナショナル」の腐敗認識指数によると、2022年現在、ウクライナは180カ国中116位である。
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ナチス、CIA、そして「自由な国家のポスト・ロシア」フォーラム

<記事原文 寺島先生推薦>
Nazis, the CIA and the Post-Russian Forum of Free Nations
筆者:ティエリ・メイサン(Thierry Meyssan)
投稿者: INTERNATIONALIST 360°  2023年9月12日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年10月10日


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「自由な国家のポスト・ロシア」フォーラムは、ロシア連邦を41の独立国家に解体することを意図している。


この「自由な国家のポスト・ロシア」フォーラムは、ロシアのウクライナへの軍事介入に対応してCIAによって創設された。1年半の間に、ポーランド、チェコ共和国、アメリカ、スウェーデン、ヨーロッパと日本の国会で、すでに7回の会合が開かれた。


19世紀、ドイツ帝国とオーストリア・ハンガリー帝国は、宿敵であるロシア帝国の滅亡を計画した。この目的のために、ドイツとオーストリア・ハンガリーの外務省は共同で秘密作戦を開始し、ロシア同盟(Liga der Fremdvölker Rußlands - LFR)を設立した[1]。

1943年、第三帝国はソビエト連邦を解体するために反ボリシェヴィキ諸国連合(ABN)を創設した。第二次世界大戦末期、イギリスとアメリカはナチスとその協力者を引き取り、ABNを維持した[2]。しかし、ABNが引き起こした何百万人という死者を鑑み、CIAのナンバー2であったフランク・ウィスナーはABNの歴史を書き換えた。彼は、ABNは解放時に創設されたと主張する小冊子を何冊も印刷した。彼は、中欧とバルト海沿岸の人々はみな、団結してナチスとソビエトの両方と戦ったのだと主張した。これは大嘘である。実際には、中欧の多くの政党はナチスに味方してソビエトに対抗し、ナチス親衛隊の師団を結成し、ナチスの絶滅収容所のほとんどすべての看守を提供したのである。

米司法省の一部門である特別捜査局の特別検察官ジョン・ロフタスは、1980年にニュージャージー州の小さな町サウス・リバーに元ベラルーシ親衛隊の移住地があることを発見したと証言した。町の入り口にはSSの紋章で飾られた戦没者慰霊碑があり、別の墓地にはベラルーシのナチス首相ラドスラフ・オストロフスキーの墓があった[3]。

アメリカはナチスと戦い、ニュルンベルクと東京で彼らを裁いたとしばしば信じられている。しかし、これは真実ではない。ルーズベルト大統領が厳格なリベラル派であったなら、裏切り者を集めて自分のために働かせることは可能だと考えたはずだ。しかし、ルーズベルトは紛争が終結する前に死去したため、彼を取り巻いていた犯罪者たちは高官に上り詰めた。彼らは自分たちの目的を推進するために特定の政権を乗っ取った。これがCIAがやったことだ。

50年代と60年代にCIAの犯罪を明らかにしたチャーチ委員会と議会の努力は無駄だった。不透明な世界全体は地下に潜ったが、その活動を止めることはなかった。

ドミトロ・ドンツォフとその子分のステパン・バンデラ、ヤロスラフ・ステツコのウクライナ「統合民族主義者」はこの道をたどった。前者はすでにカイザー・ヴィルヘルム2世の秘密工作員であり、のちにアドルフ・ヒトラー総統の秘密工作員となったが、CIAに拾われてカナダに住み、ウィキペディアの記述とは異なり、実際は1973年にニュージャージー州サウス・リバーで死んだ。彼は第三帝国最悪の大量犯罪者の一人だった。戦争中にウクライナから姿を消し、プラハのラインハルト・ハイドリヒ研究所の管理者となった。彼はジプシーとユダヤ人問題の「最終解決」の立役者の一人であった[4]。

ドンツォフの子分のステパン・バンデラとヤロスラフ・ステツコはミュンヘンでCIAに雇われた。彼らはラジオ・フリー・ヨーロッパにウクライナ語の放送を提供し、ソ連での破壊工作を組織した。ステパン・バンデラは数々の虐殺を行ない、ナチスとともにウクライナの独立を宣言した。しかし、彼も戦争中にウクライナから姿を消した。彼は絶滅収容所の「名誉ある捕虜」として投獄されたと主張している。彼は1944年に再登場し、第三帝国からウクライナの統治とソビエトとの戦いを任されたのだから、これはあり得ないことだ。オラニエンブルク・ザクセンハウゼンの収容所管理本部で暮らし、アーリア人を堕落させることになっている「人種」を絶滅させるというナチスの事業に携わっていた可能性がある。冷戦時代、彼は「自由世界」を放浪し、ドミトロ・ドントソフに彼の組織の代表になることを提案するためにカナダに来た[5]。

時は流れ、これらの大量犯罪者は責任を問われることなく死んでいった。彼らの組織であるOUNとABNも消滅しているはずだった。しかし、そうはならなかった。OUNはウクライナ戦争中に再結成された。ABNもそうだ。現在、ABNはウェブサイトを開設している。ここでは、この組織は帝国崩壊前には存在しなかったと主張する戦後の宣伝用小冊子を読むことができる。ABNは今日も、9月26日、27日、28日にロンドン、パリ、場合によってはストラスブールで開催される「自由な国家のポスト・ロシア」フォーラムを続けている。その目的は、ロシア連邦を41の別々の国家に分割することである。このフォーラムの出自に疑いの余地はない。ロシア人民の代弁者を名乗りながら、モスクワを非難するだけでなく、中華人民共和国、北朝鮮、イランを攻撃している。その文書はベネズエラ、ベラルーシ、シリアにも触れている。しかし、ABNは、世界の独裁者のほとんどが集う世界反共産主義連盟 [6](現在は「自由と民主主義のための世界連盟」という上品な名称になっている)の創設と運営に参加した。

この「自由な国家のポスト・ロシア」フォーラムは、ロシアによるウクライナへの軍事介入を受けてCIAによって創設された。この集まりは1年半の間に、ポーランド、チェコ共和国、アメリカ、スウェーデン、ヨーロッパと日本の国会で、すでに7回開催された。同時にCIAは、イラクやシリアと同じように、ベラルーシとタタールスタンにも亡命政府を作った。まだ誰も承認していないが、欧州連合(EU)はすでに敬意を持って受け入れている。これらの亡命政府は、長年続いているイツキリア(チェチェン)の亡命政府に加えている。

現在のシステムは、その目的を達成するようには設計されていない。米国は、核保有国であるロシア連邦を解体するつもりはない。そのような事態は国際関係を完全に不安定化させ、核戦争の引き金になりかねないことを、ほとんどの指導者は認識している。そうではなく、ロシアを解体するというありえない目標を達成することを望む米国のために、人々を動員することの方が問題なのだ。

多くの政治家がこのゲームに参加している。元ポーランド外相のアンナ・フォティガがそうだ。2016年、彼女は欧州議会にEUの戦略的コミュニケーションに関する決議を提出した。彼女はEUのすべての主要メディアに影響を与える制度を考案し、それは効果的に機能した。フランスの中道派議員、フレデリック・プティの例もある。2014年、彼の党の広告塔(フランソワ・バイルーとミレイユ・ド・サルネズ)はキエフのマイダン広場に行き、「統合民族主義者」と一緒に写真に収まった。元ロシア議員のイリヤ・ポノマレフについては触れるまでもない。

ジェームズタウン財団のような頭脳集団(シンクタンク)もそうだ。CIA長官ウィリアム・J・ケーシーの協力を得て、ソ連からの著名な亡命者を機に設立された。2020年(つまりウクライナ戦争前)にロシアでは活動禁止とされた。ロシア解体に関する資料をすでに印刷していたからだ。最後に、ハドソン研究所は世界自由民主連盟(旧世界反共産主義連盟)を通じて台湾から資金援助を受けている。これにより、同研究所は「自由な国家のポスト・ロシア」フォーラムの集まりを主催することができた。


翻訳:ロジャー・ラガセ

参考文献

[1] 『第一次世界大戦中、ドイツがロシアの異民族の間で行った反ロシア宣伝戦への貢献』、セッポ・ツェッテルベリ、アカテミネン・キルヤカウッパ(1978)
[2] 『MI-6、女王陛下の秘密情報部の隠密世界の内部』、スティーブン・ドリル、フリー・プレス (2000)
[3] 『ベラルーシの秘密:アメリカにおけるナチスとの関係』、ジョン・ロフタス、アルバート・クノップフ(1982)
[4] 『極端な時代のウクライナ民族主義 ドミトロ・ドンツォフの知的伝記』、トレバー・エルラッハー、ハーバード大学出版局 (2021)
[5] 『ステパン・バンデラ: ウクライナ人民族主義者の生涯とその後: ファシズム、大量虐殺、そして狂信』、グジェゴシュ・ロッソリンスキー=リーベ、イビデム・プレス (2015)
[6] 『世界反共同盟:犯罪の国際化』、ティエリ・メイサン著、アヌーシャ・ボラレッサ訳、ヴォルテール・ネットワーク、2004/05/12
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合衆国はもはや国として存在しない

<記事原文 寺島先生推薦>
The United States No Longer Exists as a Nation
筆者:ポール・クレイグ・ロバーツ
出典:本人ブログ  2023年9月29日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年10月8日


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 「米国への年間のすべての入国者を数えると、約50万人の移民がCBP(Customs and Border Protectionアメリカ合衆国税関・国境取締局)を通じて入国し、新しい特例プログラムにより、さらに約50万人のベネズエラ人が入国するだろう。また、別の新しいプログラムにより、20万人の移民が亡命を申請するためにアメリカの各都市に直接、飛行機で入国するだろう。既存の合法移民は約100万人で、約200万人の不法な国境越えが発生している。これに、国境越えと移民に関する過去のすべての記録を破る年間400万人以上の移民が加わる。2024年には800万人の移民が到着するのもあり得ないことではないだろう。経済危機やグローバルサウスでの食糧不足、連鎖移民の影響など、移民危機はますます加速するだろう。実質的には、世界中で移住したいと考えている人数が約9億人であることを考えれば、これは開放的な国境のための慣らし運転と言える。白人がアメリカで少数派となる日付は、2045年から2035年に簡単に前倒しになる可能性がある」。https://www.unz.com/article/the-case-for-enclave-based-immigration-over-nationalism/

PCRのコメント:
 米国、英国、西ヨーロッパは生活水準の下降螺旋に閉じ込められている。自動化とAIが人間の雇用を脅かし、大規模な移民が賃金を下げ、失業率を上昇させるだろう。(政府による)社会扶助と課税が増加するだろう。製造業を海外に外注化した米国経済において、ドルは下落し、物価が上昇する。企業幹部と取締役会の短期的な利益に焦点を当てる姿勢は、彼らが国境を開放し、生産を海外に移すことによって引き起こされた賃金の低下と失業率を見えなくさせている。これにより、国内経済の購買力が低下し、長期的な影響として利益を減少させることになる。米国の経済政策は完全に失敗した。高生産性で高賃金の経済を構築する代わりに、米国は購買力の低下への道を歩んでいる。既に多くの人々が自分の裁量で支出できる力を失なっている。彼らの収入全体が食品や、公共料金、住宅ローン、車、そしてクレジットカードの借金返済などに吸収されているのだ。

 この危機に焦点が当てられていない。 民主党を支配する覚醒イデオローグたちは、異性愛者である白人を悪魔化し、蔑視することに集中しており、プロパガンダ省と化したメディアと教育システムがこの意図を支えている。共和党は経済問題を赤字だと考え、ポリティカル・コレクトネス(政治的正しさ)に束縛され、白人を守ることができない。共和党が「覚醒」革命のような無意味で破壊的なものに主導権を奪われたことの意味を考えてみたらいい。

 この状況に対処しようとした唯一の指導者の運命を見てほしい:ドナルド・トランプは、民主党が持ち出した偽の重大な告発で現在、起訴されており、ニューヨークの検察官と裁判官はトランプの不動産帝国を没収した。

https://www.coffeeandcovid.com/p/overvalued-wednesday-september-27?utm_source=post-email-title&publication_id=463409&post_id=137448994&utm_campaign=email-post-title&isFreemail=false&r=15k3qo&utm_medium=email

 法的制度は、これらの告発が真実であると、トランプ嫌いの民主党の検察官、裁判官、および陪審員が決定することを手放しで喜んでいる。

 反トランプ派は大喜びだ。 彼らはこれが自分たちにとって何を意味するのか理解していない。 想像上の過ちに対する復讐がアメリカの法制度を支配している。トランプへの攻撃は、われわれが彼らの手中にあり、立ち上がり、われわれを解放するリーダーは許されないことを伝える支配者集団の手法である。

 そして無頓着なアメリカ人は親指をしゃぶって座っている。馬鹿な弁護士たちがこの告発の利点を議論する。リベラル過ぎる共和党議員たちは、支配者集団の手中に舞い戻る意味を込めて、「そろそろ前へ進む時だ」と言う。
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南北戦争の真因は「奴隷解放」ではなく「南部の連邦離脱による関税支払い拒否」だった。

<記事原文 寺島先生推薦>
原題:南北戦争の理解
マイク・ホイットニによるポール・クレイグ・ロバーツへのインタビュー
Understanding the American Civil War. Dr. Paul Craig Roberts
Mike Whitney Interviews Paul Craig Roberts

出典:Global Research  2023年9月26日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年10月8日


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ポール・クレイグ・ロバーツ(以下PCR):質問に答える前に、私の回答は単なる私の意見ではなく、歴史的な記録で裏付けられた厳密な事実であることを明確に述べておく必要があります。ジョン・メイナード・ケインズのように、私は自分の意見を事実に合わせて保ちたいと考えています。いわゆる「南北戦争」に関する事実は十分に明確です。

 リンカーンと共和党は、1861年3月2日のモリル関税法が南部諸州の脱退を引き起こす結果になることを理解していました。同じ日に、脱退を防ぐために共和党はコーウィン修正案を可決し、エイブラハム・リンカーン大統領もこれを支持しました。コーウィン修正案は奴隷制を廃止することを不可能にするものでした。

「1861年3月2日、議会は奴隷所有州の脱退を防ぐために、奴隷制が存在する州で奴隷制を保護するために設計された憲法修正案を提案し、批准のために各州に送ったが、その試みは失敗した」。



 もし共和党が奴隷制を廃止するために南部に侵攻したのなら、なぜ彼らは奴隷制を永遠に続けることを許す憲法修正案を通過させたのでしょうか? もし南部が奴隷制を守るために戦争をしたのなら、なぜ南部はコーウィン修正案を批准して連邦に残ることをしなかったのでしょうか?

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写真:ポール・クレイグ・ロバーツ博士

 これらの質問は南北戦争が終結して以来ずっと、誠実さを欠いた歴史学者たちによって避けられてきました。

 この戦争は血みどろの戦いでした。連邦の将軍ウィリアム・テカムセ・シャーマンとフィリップ・シェリダンは、南軍だけでなく、市民や彼らの避難所、食料供給も標的にしました。戦争が終わりに近づくにつれて、南部の荒廃した状態は北部で同情を呼び起こしました。それは「レコンストラクション」(南北戦争後の南部の合衆国への再統合期by英辞郎)の下でより多くの罰と屈辱を押し進めようとする共和党急進派が望まないものでした。共和党員は、この戦争の説明を南部白人の不正から奴隷を解放する道徳的な事業に変える必要があると考えました。「レコンストラクション」は南部の敗北だけに止まらず、残虐な屈辱を与えるものでした。こういった事情を克服するためには南部は人々を奴隷状態にしておくために戦ったという道徳的に不正なイメージの創り出すことが必要でした。

 「勝者が歴史を書く」という原則に基づき、再構築された説が広まりました。

マイク・ホイットニ(以下MW):南北戦争の起源を理解したいのです。私は連邦が奴隷制を終わらせるために戦争に行き、奴隷制が南北戦争の主要な原因であると教えられました。それは本当ですか?

PCR:すべての歴史的な文書が示すように、奴隷制はいわゆる南北戦争とほとんど関係がありませんでした。まずこのことを明確にしましょう。それは内戦ではありませんでした。内戦は、政府の支配権を巡る戦いです。南部は政府を奪取しようと戦ったわけではありません。南部は単に合衆国からの離脱という憲法上の権利を行使しただけです。

 連邦離脱が結果的に戦争となりました。なぜなら、リンカーンは「連邦を保護する」と決意しており、南部に侵攻したのは「連邦を保護するため」であり、奴隷を解放するためではないと彼は何度も宣言しました。彼はアメリカ合衆国憲法が奴隷制を州の権利の問題として規定しているため、奴隷を解放する権限がないと述べています。

就任演説でリンカーンは次のように述べました。「私は、奴隷制度の存在する州において、直接的にも間接的にも干渉する意図はありません。私はそうする合法的な権利がないと信じており、そうする意向もありません」



 北部は奴隷制に関して戦争を起こす意図はありませんでした。共和党議会が関税法を可決した同じ日、共和党議会は奴隷制に対する憲法上の保護をさらに強化するためのコーウィン修正案も可決しました。

 リンカーンは、南部諸州が関税を支払う限り、南部が望むだけ奴隷制を持つことができると述べました。北部は奴隷制について戦争を起こすつもりはないが、関税を徴収するためには戦うことになるだろう。リンカーンは①「関税や輸入税を徴収するために、流血や暴力は必要ない、②「税を徴収するためには政府権力を行使するだろう、と述べました。

 南部は北部を侵攻していません。北部が南部を侵攻したのです。

 リンカーン大統領は何度もその理由を明確にしました。北部の侵略戦争は、連邦を維持し、北部産業化の資金調達が目的の、関税を南部諸州に支払わせるためでした。南部は南部が侵略されたために戦ったのです。

 現代に至るまで、イデオロギー的な戦いをしていなかった、例えばチャールズ・ビアードのような真剣な歴史家たちは、北部と南部の州との間の対立を経済的なものと説明しました。北部は、イギリスからの輸入品に関税を課すことを望んでおり、それによってイギリスからの輸入品の価格を、同じ商品が北部の工場で生産される価格よりも高くすることを望んでいました。

 南部諸州は、より高価な北部製品を補助するためにお金を支払わされることに反対しました。南部諸州はまた、報復としてイギリスが南部の綿花とタバコの輸出に関税を課す可能性に懸念を抱いていました。

 先住民から領土を奪い、州として組み込んだので、北部と南部の違いは、例えば「ミズーリ妥協*」に見られるように、奴隷制の拡大についてではなく、北部が南部に関税を課すことができないよう議会での北部と南部の均衡を維持することを巡ってでした。
*1820年にアメリカ合衆国議会において、奴隷制擁護と反奴隷制の党派の間で成立した取り決めであり、主に西部領土における奴隷制の規制を含んでいた。(ウィキペディア)

 何度も述べたことですが、リンカーン大統領は、奴隷制は州の権利の問題であり、廃止するための連邦の権限は存在しないと述べ、奴隷制を廃止することで自身の権限を超えるつもりはないと述べました。北部では、リンカーンの話にあまり耳を傾けない奴隷廃止論者だけが、この戦争は奴隷制を終わらせるための作戦だと見ていました。

 関税法が議会を通過したので、南部の州は連邦離脱をしようとしました。また北部共和党はリンカーン大統領の就任前夜、奴隷制を永遠に廃止することを不可能にするコーウィン修正案を可決しました。リンカーンはこの修正案を支持しました。今日、歴史家たちは南北戦争についての自説を守るために、この事実を曖昧にしなければなりません。彼らは、リンカーンがコーウィン修正案を支持も反対もしなかったと言います。しかし、ここに就任演説で修正案を受け入れたことを示すリンカーン自ら発言した言葉があります:「修正案が明らかに廃止できなくなることに、私は何の異論もありません」と述べています。

 リンカーン大統領は南部に対して明確な取引をしました:連邦にとどまれば、奴隷制はアメリカ合衆国政府によって永遠に保証される、と。

 もし南北戦争が奴隷制を巡っての戦いであれば、なぜ南部はリンカーンの保証を受け入れることで戦争を避けなかったのでしょうか? 実際、リンカーンは、奴隷制は州の権利の問題であり、連邦政府の問題ではないと認めていたのです。なぜその保証が必要だったのでしょうか? 南部は奴隷制の廃止に対する2つの保証を持ちながらも、奴隷制のために戦いを望んだと言うのですか?!

 もし奴隷を解放するために連邦政府が南部に侵攻したのなら、なぜ連邦政府は奴隷制の永続性を保証するコーウィン修正案を通過させたのでしょうか?

 それははっきりしています。奴隷制が問題ではなかったのです。


 戦争は関税法の成立と南部の連邦離脱による関税の支払い拒否によって引き起こされました。南部を、コーウィン修正案を使って連邦にとどまらせることができなかった時、リンカーンは侵攻したのです。

 南北戦争は奴隷制を巡って戦われたとする説を支持する歴史家たちは、南部が連邦離脱のために展開する議論を支えにします。南部は戦争を避けるために憲法的な根拠に基づいて連邦を離脱しようとしました。北部は憲法を尊重するだろうと考えたのですが、それは南部の考えの甘さでした。


 アメリカ合衆国憲法では、関税は州の権利の問題ではなく、連邦政府の問題です。南部は関税反対を基礎に連邦離脱の憲法的正しさを主張することはできませんでした。しかし、南部は奴隷制度の問題を根拠に脱退を主張することはできました。なぜなら、憲法は北部の州に逃亡奴隷を返す義務を課しており、一部の北部州はこれを拒否し、アメリカ合衆国憲法に違反して逃亡奴隷を返さなかったからです。したがって、北部州はアメリカ合衆国憲法を破っていたため、南部州には連邦離脱の憲法的根拠がありました。南部は、北部州が憲法の契約を破ったと主張しました。

 南部は憲法に従って行動したのであり、連邦離脱によって反逆や反乱を起こしていたわけではないことを示すために、一部の州の離脱文書では、逃亡奴隷を返さない北部州が憲法の契約を無効にしたとする主張が展開されています。これが、南北戦争は奴隷制度を巡るものであると歴史家たちが主張する根拠になっています。私はこれについて詳しく書いています。詳細は(こちら)と(こちら)を参照してください。

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MK:1863年1月1日、エイブラハム・リンカーン大統領は奴隷解放宣言を発表し、「奴隷の身分に留め置かれていたすべての人々は今後自由になる」と宣言しました。アメリカ人は学校で教わらなかった奴隷解放宣言についてどのような知識が必要でしょうか? リンカーンは本当に描きだされたような「偉大なアメリカの英雄」だったのでしょうか?

PCR:奴隷解放宣言は戦争の方策であり、奴隷の自由を実現する方策ではありませんでした。

リンカーン大統領政権の国務長官が言っています:「私たちは支配していない領土で奴隷を解放し、私たちが支配する領土では奴隷は奴隷状態のままにしておいた」。



 戦争の最初の2年間、南軍の将軍であるロバート・E・リーストーンウォール・ジャクソンは、はるかに少ない兵士を率いてリンカーンの大規模な軍に一貫して敗北させていました。リンカーンは将軍を一人また一人と交代させ、すべてが北バージニア軍の小さな軍によって打ち負かされたのです。

 リンカーンと彼の補佐官たちは、南部の領土にいる奴隷たちを解放する連邦宣言を布告すれば、奴隷たちは反乱を引き起こすだろうし、リーの無敵の軍隊は自分たちの妻や子供を守るために帰宅するだろうと確信したのでした。

 しかし、そのような奴隷反乱はおこりませんでした。

 北部の侵略戦争を、リンカーンによる奴隷解放の戦争だとする間違った考えは、黒人に対するリンカーンの見解と一致しないことになります。ここに本人が述べた「偉大な解放者」の記述があります:

「私は、(白人と黒人の)人種の分離が混血を防ぐ唯一の完璧な手段であると述べた・・・そのような分離・・・は植民地化によって実現しなければならない」(黒人をリベリアや中央アメリカに送ること)。(エイブラハム・リンカーン選集、第II巻、409ページ)。

「アフリカ人を彼の故郷に転送することが・・・道徳的に正しい、・・・我々の利益にとって好ましい、と信じられるようにしよう。」(選集、第II巻、409ページ)

(Lincoln)「私は、白人と黒人の社会的および政治的平等をどのようにしても実現させることに賛成したことなど一度もない。また、黒人を有権者や陪審員にすることに賛成したことは、一度もない。彼らに公職を務めさせることや、白人と結婚させることに賛成したことは、一度もない」(選集、第III巻、145-146ページ)



 どうして実際のリンカーンが「偉大な解放者」になったのでしょうか?

MW:あなたの著書『嘘の帝国(Empire Of Lies)』で、南北戦争を「北部の侵略戦争」と呼んでいますね。正直、私はその言い方を耳にしたことは一度もありませんでした。が、歴史的事件の解釈は、解釈者の出身地によって解釈が大きく異なるのですね。勉強になりました。北部の人間が犯す南北戦争について紛れもない間違いは何ですか?

PCR:それは北部が南部を侵略したことです。南部は侵略されたからこそ戦ったのです。リンカーンは南部の憲法にかなった連邦離脱の主張を拒絶し、南部を反乱者と宣言し、連邦を維持するために侵略しました。

 シャーマンとシェリダンの指揮下の連邦軍は戦争犯罪を犯しました。彼らは民間人を攻撃し、飢えさせ、家畜を虐殺し、家を焼き尽くしました。一方で、リー将軍は北バージニア軍を連邦領土に進出させ、紛争を終結させようとした際、ゲティスバーグの戦いに先立って、兵士たちに、自分たちの目的は敵軍を打ち負かすことであり、南部の民間人に連邦軍が行なったことへの報復をすることではないことを忘れないように、と忠告しました。

 南部の奴隷解放のために連邦軍が戦っていたという誤った主張は、戦争終結時に同じ連邦軍とその将軍シャーマンとシェリダンがプレーンズ・インディアン*に放たれ、彼らの食料供給源であるバッファローを絶滅させ、女性や子供を虐殺したという事実を知ると、明らかに馬鹿げています。これに関しては多くの本が書かれ、映画が制作されています。私の心に常に浮かぶのは、南部の植民地で黒人を救うことが偉大な道徳的使命であるなら、同じ軍隊がプレーンズ・インディアンに放たれた時、その道徳的使命はどうなったのかという疑問です。なぜ一方の「有色の人々」は救い、他の「有色の人々」は殺してしまうのでしょうか?
*アメリカロッキー山脈東部の大平原プレーンに居住したインディアン(英辞郎)

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MK:ご著書で私がとくに興味をもったのは、次のところです:

「歴史が政治的になる前、歴史家たちは北部が工業と製造業の発展のために南部に費用を負担させる意図を持っていたことを理解していた。農業中心の南部は、イギリスからの商品は安いほうがよかったのだ。南部にはわかっていたのだ。イギリス製品に関税を課すことで、輸入価格は北部の高い価格を超え、南部の生活水準が下がり、北部は生活水準が上がることが目的だったことを。この紛争は完全に経済的なものであり、奴隷制度とは何の関係もなかった。奴隷制は、北部でも存在していたのだから・・・」。



 これは特筆すべき記述で、私たちの基本的な南北戦争観が誤りであることを示しています。

 一連の出来事の公的な見方は、戦争が人道的な理由(奴隷制度の終了)のために、慈悲深い指導者(リンカーン)によって発動され、彼の行動は彼の原則への揺るぎない献身に導かれていたとなっています。あなたの意見は、こういった歴史観が誤っており、紛争が奴隷制度よりも関税、産業、生活水準と関連があるとおっしゃっています。

 述べられたご意見を敷衍して、あなたのご意見で結構ですから、次の質問に答えていただけませんか? 米国は、リンカーンが南部の連邦離脱を許し、二つの分離した国に永久になっていたら、今よりもよい状態になっていたのでしょうか?

PCR:「公式見解」は公式なものではありません。それは歴史的文書で全く支持されていない修正主義者の見解です。「公式見解」の目的は、北部の戦争犯罪を隠蔽し、「レコンストラクション」を正当化することです。

 もし南部が勝利していた場合、今日のアメリカはより小さな国でしょう。南部は北部から身を守るために西部の領土への拡大競争を行なったでしょう。メキシコは奪われた領土の一部を保持し続けることができたかもしれません。

 より小規模な存在として、アメリカは世界の覇権を主張することができないでしょう。そうなれば、私たちは攻撃的な外交政策からの核破壊の恐れに直面することはないでしょう。

*
マイケル・ホイットニーは、ワシントン州を拠点とする著名な地政学および社会分析家です。彼は2002年に独立した市民ジャーナリストとしてのキャリアをスタートし、誠実なジャーナリズム、社会的正義、世界平和へのコミットメントを持っています。彼はCentre for Research on Globalization(CRG)の研究員でもあります。

ポール・クレイグ・ロバーツは、著名な著述家であり学者であり、The Institute for Political Economyの議長です。ドクター・ロバーツは以前、The Wall Street Journalの副編集者およびコラムニストを務めていました。彼はレーガン政権時代に経済政策の補佐官を務めたこともあります。彼はGlobal Researchへの定期的な寄稿者でもあります。

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ロシア外相ラブロフの国連演説(全文): 「効果的な多国間協調主義を通し、国連憲章の目的と原則を守る:ウクライナの平和と安全の維持」

<記事原文 寺島先生推薦>
Foreign Minister Sergey Lavrov’s remarks at the UN Security Council meeting “Upholding the purposes and principles of the UN Charter through effective multilateralism: maintenance of peace and security of Ukraine”
出典:Permanent Mission of the Russian Federation to the United Nations  2023年9月20日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年10月7日


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議長、事務総長、そしてみなさま

 今日、存在する国際秩序は、第二次世界大戦の廃墟から生まれ、その巨大な悲劇の結果として出てきたものです。国連憲章はその基盤として機能し、現代の国際法の鍵的な源泉となっています。核の大惨事につながる新たな世界大戦が回避されたのは、主に国連のおかげです。

 残念ながら、冷戦が終わった際、米国主導のいわゆる「西側諸国」は、全人類の運命を支配する権利を私物化し、その「例外主義」感情に駆られて、国際連合の創設者たちの遺産を無視し始める回数がますます増え、その規模も大きくなっています。

 現在、西側諸国は国連憲章の規範や原則を、個別の事例ごとに選択的に使用し、それが自身の地政学的利益に奉仕する場合にのみ利用しています。これにより、世界の安定が不安定になり、既存の緊張の火種が悪化し、新たな火種が生まれ、結果的には世界的な紛争の脅威が高まっています。これらのリスクを相殺し、出来事が平和な形で進展するようにするため、ロシアは国連憲章のすべての規定が選択的ではなく、相互に関連する性質を適切に尊重して完全に遵守されるよう要求し続けています。これには、国家の主権平等の原則、内政不干渉、領土の保全への尊重、および民族自決権の原則も含まれます。しかし、国連憲章で規定された要件のバランスが、米国とその同盟国による行動によって踏みにじられているのです。

 アメリカとその同盟国は、ソビエト連邦の崩壊後、独立国家がそれに代わるようになって以来、ウクライナの国内事情に露骨にかつ公然と干渉してきました。2013年末に、国務次官補ヴィクトリア・ヌーランドは、ワシントンがキエフの政治家たちを育てるために50億ドルを使ったことを、公然と、さらにはいくぶん自慢げに認めました。

 ウクライナ危機がどのように仕組まれたかに関するすべての事実は、かなり以前から暴露されています。一方、それらを闇に葬り去ろうとするあらゆる試みが行なわれています。まるで2014年以前の出来事を帳消しにしたいかのようです。このため、アルバニア大統領が提案した本日の集まりのテーマは非常に時宜にかなっています。この提案は、鍵となる関係国(者)が国連憲章の趣旨と原則を実行してきた文脈において、出来事の連鎖を回復する機会を私たちに提供するものだらです。

 2004年と2005年に、西側は親米候補を権力の座に就けようと、ウクライナ憲法がそのようなことを規定していないにもかかわらず、ウクライナ憲法裁判所に違法な決定を採用させることで、キエフで最初の政府クーデターに青信号を出しました。西側は、2013年と2014年の第2次マイダン運動でウクライナに内政干渉した際、さらに荒っぽい手法で行動しました。その時、ウクライナを訪問した西側の人々は、反政府デモに参加している人々に暴力を振るうようにあからさまに煽りました。またしても同じヴィクトリア・ヌーランドが、将来の内閣はこれらの犯罪的暴徒たちがキエフの米国大使と協議して形成されるべきと話したのでした。同時に、彼女は、ワシントンの考えとして、EU連合が国際政治舞台で実際にはどの位置に属しているのかを示しました。我々は彼女が述べた2語*を覚えており、EU連合がそれを飲み込んだことは非常に示唆的です。
*「Fuck the EU!」

 アメリカによって厳選された鍵となる人物たちが、2014年2月に血なまぐさいクーデターに参加しました。いいですか、これらの動きが組織されたのは合法的に選ばれたウクライナ大統領ヴィクトル・ヤヌコヴィッチが、ドイツ、ポーランド、フランスが保証人となり、野党指導者と合意に達した翌日のことなのですよ。内政不干渉の原則は何度も踏みにじられました。

 クーデター直後、その首謀者たちは、ウクライナのロシア語話者の権利を制限することが彼らの最優先事項であると述べました。彼らは、クリミアと東南部の地域で、反憲法クーデターを受け入れない人々をテロリストと指定し、それらに対する懲罰作戦を展開しました。クリミアとドンバスは、国際連合憲章第1条第2項で規定されている平等な権利と民族の自決の原則に完全に適合する形で住民投票を実施することで応じました。

 ウクライナに関して、西側の外交官や政治家は、国際法のこの基本的な原則を無視し、これらの出来事とその意味を単なる領土保全の侵害として描こうとしています。この文脈において、私は1970年の国連による国際法(国家間の友好関係と協力に関する)原則宣言を思い起こしたいと思います。この宣言は、領土保全の原則が「平等な権利と民族の自決の原則を遵守し、したがってその領土に属する全ての人々を代表する政府を持つ国々」に適用されると述べています。言うまでもなく、キエフで権力を掌握したウクライナのネオナチは、クリミアやドンバスの人々を代表していなかったことは明らかです。西側各国政府が犯罪的なキエフ政権に提供した疑問の余地がない支援については、内政干渉になっているばかりか、自己決定原則の侵害にもなることは言うまでもありません。

 政府のクーデター後、ウクライナは、ペトル・ポロシェンコとヴォロディミル・ゼレンスキーの大統領任期中に、教育、メディア、文化を含むあらゆるロシア関連のものを取り消す差別的な法律を採用し、書籍や記念物を破壊し、ウクライナ正教会を禁止し、その財産を接収しました。これらのすべての行動は、国連憲章の第1条第3項に明記されている、人種、性別、言語、宗教に関係なくすべての人に対する基本的な人権と自由の尊重を奨励するという内容を明確に侵害していました。言うまでもなく、これらの行動は、ウクライナ憲法にも明記されている「国家にはロシア人や他の民族少数派の権利を尊重する義務がある」という事実に明白に反していました。

 いわゆる平和の方針に従い、ウクライナを1991年の国境線に戻すよう呼びかける声を聞くと、次の疑問が湧きます:この呼びかけをしている人たちは、ウクライナ指導部がこれらの地域に住む人々に対してどんなことをしようとしているのか、わかっているのでしょうか? これらの人々は、法的または身体的な手段で絶滅されるという公然の脅迫に晒されているのです。そしてそれは、公式レベルで行なわれています。 西側は自分たちが保護しているキエフの人間たちのそういう動きを制止しようとしないばかりか、彼らの人種差別的な政策を熱心に支持しています。

 同様に、EU(欧州連合)とNATO(北大西洋条約機構)は何十年もの間、ラトビアとエストニアを支援し、数十万人のロシア語話者に対して非市民と指定し、彼らの権利を否定する動きの後押しをしてきました。現在、彼らは母国語を使用することに対する刑事責任を導入することについて真剣に議論しています。高官たちは、地元の学生が遠隔でロシア語の学校カリキュラムに従う機会について情報を広めることは、国家安全保障に対する重大な脅威として、法執行機関の関心を持つ事柄だ、と公然と述べています。

 しかし、話をウクライナに戻しましょう。国連安全保障理事会は、憲章第36条に完全に準拠して、2015年2月のミンスク協定を承認するために特化した決議を採択しました。この憲章は、「当事者たちによって既に採択された紛争解決の手続きを支持する」と規定しています。この場合、当事者にはキエフ、DPR(ドネツク人民共和国)、およびLPR(ルガンスク人民共和国)が含まれていました。しかし、昨年、ミンスク協定に署名したすべての人々、つまりウラジミール・プーチン以外の人々、すなわちアンゲラ・メルケル、フランソワ・オランド、およびペトロ・ポロシェンコは、公然と、ある程度の満足感を持って、この文書を署名した際にその文書を履行する意図がなかったと認めました。実際に彼らが望んでいたのは、ウクライナの軍事能力を強化し、ロシアに対抗するためにより多くの武器を供給するための時間を稼ぐことでした。これらの年月の間、EUとNATOは、ミンスク協定を妨害するためにキエフを支援し、キエフ政権に対してドンバス問題を武力で解決するよう促していました。これはすべて、憲章の第25条に違反して行なわれました。第25条は、すべての国連加盟国は安全保障理事会の決定を「受け入れ、実施しなければならない」と規定しています。

 ご記憶でしょうか、ミンスク合意の中身には、ロシア、ドイツ、フランス、ウクライナの指導者によって署名されたある宣言が含まれていました。この宣言では、ベルリンとパリは多くのことを行なうことを約束し、その中にはドンバスの銀行システムの復旧を支援することも含まれていました。しかし、彼らはそのために指一本も動かさなかったばかりか、これらの約束にもかかわらず、ペトル・ポロシェンコがドンバスに貿易、経済、輸送の封鎖を課すのを見守るだけでした。同じ宣言の中で、ベルリンとパリは、EU、ロシア、ウクライナ間の三国間の協力を促進し、ロシアの貿易に関する懸念を解決し、また「大西洋から太平洋までの共同の人道的および経済的領域の創設」を推進することを約束しました。そして、これらの約束も、私がすでに述べたように、国連憲章の第25条に基づいて、安全保障理事会によって採択され、拘束力を持つものとされました。しかし、ドイツとフランスの指導者によるこの約束は実質的に無効となり、国連憲章の原則へのさらなる違反となりました。

 伝説のソビエト連邦外相アンドレイ・グロムイコは、非常に正当なことを言っていました。それは、「1日の戦争よりも10年の交渉が良い」というものでした。この格言に従って、私たちは多くの年月を交渉に費やし、ヨーロッパの安全に関する合意を求めました。1999年と2010年に最高水準で不可分な安全保障に関するOSCE(欧州安全保障協力機構)宣言を採択し、ロシア-NATO創設文書を承認しました。2015年以来、私たちはミンスク協定が交渉中に合意されたとおりに全面的かつ免除なしで実行されるように主張しています。これらのすべてにおいて、私たちは国連憲章に完全に従って行動しました。この憲章は、「正義と条約および国際法から生じる義務を尊重する条件を確立する」と述べています。西側が、この原則を踏みにじったのは、またもや、すべての文書に署名はしたものの、始めからそれらを履行する気はないことを承知の上でした。

 交渉を私たちは今も拒否していません。プーチン露大統領は、これまで何度もこのことを述べています。私は国務長官に思い出してほしいのですが、ウクライナのゼレンスキー大統領は、ウラジミール・プーチン政府との交渉を禁止する大統領令に署名しました。アメリカがそのような交渉に興味を持っているのであれば、ゼレンスキーの命令が取り消されるよう合図を出すことは是が非でも必要だと思います。

 今日、私たちと対抗する人たちの言葉遣いは、「侵略」や「攻撃」、そして「併合」といったスローガンで満ち溢れています。彼らは、今回の問題にどんな内的な原因があるのかや、長年にわたり彼らがまぎれもないナチ政権を育て上げ、第二次世界大戦の結果や彼ら自身の国民の歴史を公然と書き換えている事実について一言も触れません。西側は、事実に基づき、国連憲章のすべての要件を尊重した実質的な議論をすることは望んでいません。おそらく、西側には、正直な対話のための議論が欠落しているからなのです。

 西側の代表者たちは、自分たちの空虚な言葉遣いが暴かれてしまう可能性がある専門的な議論を恐れているような印象を受けます。ウクライナの領土の保全についての呪文を唱えながら、元植民地国の代表者たちは、フランスにマヨット島をコモロスに返還するように求め、英国にチャゴス諸島から撤退し、フォークランド諸島(マルビナス諸島)の問題を解決するためにアルゼンチンとの交渉を再開するように求めている国連の決定には完全に沈黙したままです。ウクライナ領土の保全を「主張する者たち」は、ミンスク協定の本質を忘れているふりをしています。その協定によれば、ドンバスはウクライナに再統合されるのは、すべての基本的な人権、特に言語の権利の保証という条件の下でした。その実施を妨害した西側は、ウクライナの分裂と内戦の扇動に直接的な責任を負っています。

 国連憲章の他の原則について、それらを尊重することがヨーロッパにおける安全保障危機を防ぎ、利益の調和に基づく信頼措置を調整するのに役立ったかもしれないという点について、私は国際連合憲章第VIII章第2条を引用したいと思います。この条文は、地域機関を通じた地域紛争の平和的解決の実践を発展させることを呼びかけています。

 この原則に従い、ロシアとその同盟国は、1999年および2010年のOSCE(欧州安全保障協力機構)サミットで採択された安全保障の不可分性に関する決定の実施を推進するために、CSTO(集団安全保障条約機構)とNATOの間の接触を一貫して奨励しています。これらの決定は、「いかなる国、国の連合体、または組織もOSCE地域における平和と安定の維持に対する優越的な責任を持つことはできず、OSCE地域のどの部分もその影響圏と見なすことはできない」と一部で規定しています。どなたもご存知のように、NATOがまずヨーロッパで、そして今はアジア太平洋地域でもその完全な優越性を作ろうとしてきたことは明白です。CSTOからの数々の呼びかけはNATOに無視されました。アメリカとその同盟国がそんな傲慢な振る舞いをするのは、今日、だれの目にも明らかなように、誰とも平等な対話を行ないたくないからです。NATOがCSTOとの協力提案を拒否しなかったら、現在のヨーロッパ危機につながった多くの否定的な過程を防いだかもしれません。彼らはロシアの意見を聞かず、何十年もロシアを欺いてきたということがあるのです。

 今日、議長の提案に基づいて「効果的な多国間主義」について議論している際に、西側はどのような形式の平等な協力も拒否した多くの事実を思い起こすべきです。ホセップ・ボレルの「ヨーロッパは庭園であり、残りの世界のほとんどはジャングルである」という衝撃的な言葉があります。これは明白な新植民地主義の症候群であり、国の主権平等を軽視し、私たちが今日、議論している国連憲章の原則を守るために効果的な多国間主義を利用する目的を無視している証拠です。

 国際関係をより民主的にする取り組みを妨げようとするアメリカとその同盟国は、ますます公然とかつ厚かましく国際機関の事務局を掌握しています。そして強制力を持った命令権を持つ機構を創り出そうとする手続きを台無しにしています。そうすることで、彼らはワシントンに合わない人間は誰でも、どんな理由をつけてでも非難するためにこの国際機関の事務局を制御し、利用できるようにしているのです。

 この点において、私は、加盟国だけでなく、国連事務局も国連憲章を厳格に順守しなければならないことをお伝えしたいと思います。国連憲章の第100条によれば、事務局は偏見を持たず、「任意の政府からの指示を求めたり受けたりしてはならない」とされています。

 私はすでに国際連合憲章第2条に触れましたが、その主要な原則である「1. 国際連合は、そのすべての加盟国の主権平等の原則に基づいている」に焦点を当てたいと思います。この原則に従って、国連総会は1970年10月24日に宣言を採択し、以前に触れた通り、「すべての国は他の国によるいかなる形態の干渉も受けずに、政治、経済、社会、文化の制度を選択する不可侵の権利を有している」こと再確認しました。この点に関して、私たちは2023年3月29日に国連事務総長アントニオ・グテーレスが述べた発言について重大な疑問を抱いています。彼は、「独裁的な指導は安定の保証ではなく、混乱と紛争の触媒である」と述べましたが、「強固な民主社会は、自己修正および自己改善が可能な場所だ。彼らは流血や暴力なしにさえ、根本的な変革を実現できる」とも述べました。これは、ユーゴスラビアや、アフガニスタン、イラク、リビア、そしてシリアなど、多くの国で「強固な民主社会」の行動から生じた「変化」を思い起こさせます。

 アントニオ・グテーレスはさらに、「彼ら(強固な民主社会)は、平等、参加、連帯の原則に根ざした広範な協力の中心地である」と述べました。これらの発言は、アメリカ合衆国のジョー・バイデン大統領が主催し、その参加者がワシントンではなく、支配政党である民主党に対する忠誠心の原則に基づいてアメリカ政府によって選ばれた「民主主義のサミット」で行なわれたことに注目すべきです。このようなフォーラムを、国際連合の枠組み外での、友好的な会合ではなく、国際的な問題を議論するための閉鎖的な集まりとして利用しようとする試みは、国際連合憲章第1条第4項に直接的に対立しています。第4項には、国際連合の目的は「これらの共通の目標の達成において国々の行動を調和させる中心である」ことが記されています。

 この原則に反して、フランスとドイツは数年前に多国籍主義の同盟を設立することを発表し、従順な国々を招待しました。これは、発起者の植民地主義的な考え方と、今日、議論している効果的な多国籍主義の原則に対してどういう姿勢を取るか、について確認することになりました。同時に、彼らはEUを「多国籍主義」の理想的な例として宣伝しました。今日、ブリュッセルは、特にバルカン半島においてできる限り速やかなEUの拡大を求めています。さらに、主な焦点は、何十年も無駄な加盟交渉を行なってきたセルビアやトルコではなく、ウクライナに置かれています。ヨセップ・ボレルは、欧州統合の思想的先導者を自任しており、最近、キエフ政権の加速度的なEU加盟を求めるまでに至りました。彼によれば、戦争がなければ、ウクライナの(EU加盟)候補国としての地位が確立するのに数年かかるでしょうが、今では条件なしに受け入れることができ、すべきだと述べています。セルビアや、トルコ、および他の候補国は待っていられますが、ナチス政権は順番を待たずに受け入れられるというのが彼の主張です。

 ちなみに、国連事務総長は「民主主義のためのサミット」で以下のように述べました。「民主主義は国連憲章から生まれます。その冒頭の『私たち人民』という言葉は、正統な権威の基本的な源泉を反映しており、それは統治を受ける人々の同意です」。私はその主張を、キエフ政権の「これまでの実績」と対比することを提案します。キエフ政権は、ネオナチやロシア嫌悪者によって統治されることに同意をあたえなかった何百万もの人々に戦争を仕掛けました。ネオナチやロシア嫌悪者たちはウクライナの権力を奪い、国連安全保障理事会で承認されたミンスク協定を破棄し、そのことによってウクライナの領土の保全を滅茶滅茶にしたのです。

 国連憲章に反して、世界を「民主社会」と「独裁国」と二分する人々は、キエフ政権がどちらに属するかを考えるべきです。しかし、私は彼らが答えるとは思っていません。

 国連憲章の原則について話す際、国連安全保障理事会と国連総会の関係についても議論すべきです。西側の「チーム」は「拒否権が濫用されている」という考えを長年、積極的に主張し、拒否権が行使されるたびに、総会の開催を求める決議を採択させようと他の国連加盟国に圧力をかけてきました。もっとも拒否権をますます頻繁に行使するようになっているのは西側であるのですが。拒否権を私たちは問題だとは考えていません。ロシアは議題にある全ての問題についての私たちの立場を公にしており、何も隠す必要はありませんし、また、私たちにとっては再び自分たちの立場を表明することは難しくないからです。さらに、拒否権は国連憲章に規定された、国連を分裂させる決定の採択を防ぐための完全に合法な手段です。しかし、すべての拒否権を総会で議論する手続きが承認されて以降、なぜ国連憲章第25条の規定に反して採択されたが実施されていない多くの安全保障理事会決議も含め、過去何年も前から採択された安全保障理事会決議について議論しないのでしょうか? なぜ国連総会が、たとえばパレスチナに関する安保理決議や中東および北アフリカに関連する一連の問題、JCPOA(イラン核合意)、またウクライナのミンスク合意を承認した決議2202について、その理由を議論できないのでしょうか?

 制裁の問題にも注意を払うべきです。国連安全保障理事会(UNSC)がある国に対する制裁を採択した後、長い議論と国連憲章に厳密に従って、アメリカとその同盟国はしばしば、安全保障理事会の承認なしで、またはそれらの制裁を調整された内容の枠組みで理事会の決議に組み込むことなく、その同じ国に対して「追加の」一国単独の制限を採択することが標準的な手法となっています。遺憾なことに、最近、ドイツや、フランス、そしてイギリスなど、UNSC決議2231に基づく10月に期限切れとなるイランに対する制限を「拡大」するために、国内法を使用するという決定を下したことが挙げられます。言い換えれば、ヨーロッパ諸国とイギリスは、UNSCの決定が期限切れになったことを気にせず、彼ら自身の「ルール」を持っていると発表したということです。

 だから、どの国も自国の、法に基づかない制約を採用することによって、UNSCの制裁に関する決議を低く評価する権利を持つことはないという決定を考慮することが非常に重要になるのです。

 さらに、国連安全保障理事会が採択したすべての制裁体制は有効期限を持つべきです。なぜなら、期限のない制裁は、制裁対象国の政策に影響を与える能力において、安全保障理事会の柔軟性を損なうことになるからです。

 「制裁の人道的な限界」という問題にも取り組む必要があります。安全保障理事会に提出される制裁提案の草案に、(制裁をすれば)どんな人道的影響が出てくるのかについて、国連人権機関による評価を含めることは道理にかなうものでしょう。西側諸国の、「一般の人々は苦しまないだろう」といった空虚な言葉ではだめなのです。

みなさん、

 国際関係における深刻な危機と、西側諸国がこの危機を克服しようとする意欲や意志を持っていないことを事実(複数)は示しています。

 この状況からの脱出策が存在し、それが見つかることを願っています。しかし、まず、私たち全員が、私たちが創り出した国連と世界の未来への責任を、歴史的文脈の中で捉えるべきです。どの国連参加国も、自国の、目先に迫った人気取り選挙にかまけていてはなりません。私は繰り返したいと思います。約80年前に世界の指導者が国連憲章に署名したとき、彼らは大国でも小国でも、豊かな国でも貧しい国でも、君主国でも共和国でも、すべての国の主権平等を尊重することに同意しました。言い換えれば、当時、人類は安定した安全な発展の保証として、平等で多極性の世界秩序の重要性を認識していたのです。

 したがって、今日の問題は「ルールに基づく世界秩序」に私たちの同意を与えることではなく、国連憲章に署名し批准することによって私たち全員が、すべて何の例外もなく、身に帯びた義務を果たすことなのです。

映像はこちら
2023年9月20日
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露外相ラブロフ、国連憲章と法の支配への回帰を呼び掛ける

<記事原文 寺島先生推薦>
Lavrov Calls for a Return to the UN Charter and the Rule of Law
出典:INTERNATIONALIST 360°  2023年9月24日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年10月4日





 セルゲイ・ラブロフ(ロシア連邦の外務大臣)は国際連合第78回総会の一般討論演説(2023年9月19日から26日、ニューヨーク)で発言した。

 ラブロフは本日(9月23日)国連総会で、次のように述べた:「未来は、世界の利益をより公平に分配し、文明的な多様性を支持する世界の大多数と、新植民地主義的な統治手法を行使し支配を維持しようとするわずかな者たち――その支配は彼らの手から滑り落ちようとしていますが、その2つの勢力の間の闘いによって形作られつつあります。」

 ロシア外相は述べた:「冷戦終結以来前例のないこととして、最近の出来事の中には、アメリカと欧州のNATO同盟国との間で行なわれた数多くの共同演習があります。それは、ロシア連邦での核兵器使用シナリオを策定することを目的としています」。

 彼は次のように付言した:「ロシアに戦略的な敗北を与えることが目的であると明言しています。アメリカとそれに従属する西側連合は、人類を敵対的な陣営に人為的に分け、全体的な目標の達成を妨げる紛争に火を注ぎ続けているのです」。

 彼は強調した:「彼らは、真に多極的で公平な世界秩序の形成を阻止するためなら何でもやり、世界を自己中心的な規則に従わせようとしています。私は西側の政治家たちに再度呼びかけ、国際連合憲章を注意深く再読するようお願いしたいと思います」。

 ロシアの外相はまた述べた:「ワシントンとそのアジアの同盟国が、米国の戦略的能力が増強している朝鮮半島でヒステリーを煽っていることに私たちは懸念を抱いています。また、露―中が主導する人道的および政治的な課題を優先とするという提案が拒絶されています」。

 彼は続けた:「スーダンの状況は悲劇的です。それは、西側が同国に自由主義と民主主義の教義を輸出しようとした実験に失敗した影響以外の何物でもありません。私たちは、スーダン国内の紛争を速やかに調整、と言うより解決するための建設的な提案を支持しています」。

 ラブロフは語った:「西側と最近のアフリカでの出来事、特にニジェールとガボンに対する緊張した関係を見ると、2014年2月のウクライナでの血みどろのクーデターにワシントンとブリュッセルがどのように反応したかを思い出さざるを得ません」。

 彼は説明した:「EUの保証の下で問題を解決する合意が達成された翌日に、残念ながら、米国やその同盟国に支えられて、まさに土足で踏み荒らすような反対の動きがこのクーデターを支持し、それを民主主義のデモとして称賛しました」。

 ラブロフは続けた:「セルビアのコソボ地域で続く悪化する状況に懸念を抱かざるを得ません。NATOがコソボに武器を供給し、軍を設立する手助けをしていることは、安全保障理事会1244号決議の重要な規定に甚だしく違反しています。バルカン半島で、ウクライナのミンスク協定のような悲しい話が繰り返されているのが全世界で見られます。そこでは、特別な地位の規定があったことを思い出します」。

 ラブロフの結論はこうだ:「そこで、WTO(世界貿易機関)紛争機関の業務を解除することも重要です。安全保障理事会の構成を拡大させる必要性が増しています。それは安全保障理事会理事の不足分を解消すればいいのです。不足の理事は世界多数派の国々と安全保障理事会の常任理事国から構成され、アジアやアフリカ、そしてラテン・アメリカに常置することになります」。



 ロシアの外相セルゲイ・ラブロフは、今日(9月23日)語った:ウクライナの大統領ヴォロディミル・ゼレンスキーが「世界中を回ったり、お金を求めたり、注目を要求したり、武器を求めたり、そして他もろもろのものをねだっている」。そんな彼の提案は「まったく実現不可能だ」と付言した。

 ラブロフは言った:「ゼレンスキーと彼をブリュッセルやロンドンから指導しているすべての人々は、ひと言で言えば、ゼレンスキーのやり方以外には平和のための他の基盤は存在しないと断言しています。他にはこの基盤は存在せず、ゼレンスキーのやり方は違った言い方もできますが、それは完全に実現不可能です。これを実行することはできません。それは現実的ではないことは誰もが理解しています」。

 ラブロブは言った:「何が起こっているのかの理解を真剣に示そうと思う人は皆無です。理解しているひとで、そのことを大っぴらにしたくない人もいます。そして、このような状況下で、もし彼らが、それじゃ戦場で、と言うなら、結構、それは戦場で、ということになります」。

 ラブロフは言った:「安全保障理事会の会議での事務総長の発言に多くの人が驚かれたと思います。彼は突然かつ予期せず、ウクライナで起きていることに関する他の根拠のない非難に加えて、行方不明の子供たちや拉致された子供たち、飢えと飢餓に苦しむ子供たちなどについて、幅広い話をすることを決意したのです」。

 ラブロフは言った:「私にとっては特に子供たちについてこれを聞くのは驚きでした。なぜなら、国連事務総長の武装紛争における子供に関する国連特別代表であるヴァージニア・ガンバ女史が、ちょっと前に私たちを訪れています。彼女は詳細な議論に数日間参加し、彼女が関心を持っていた問題に光を当て、すべての回答が提供されているのです」。

 外務大臣ラブロフは言った:「これらの子供たちは、そのほとんどが様々な理由で孤児院に送られていた子供たちであることを申し上げます。そして、特別な軍事作戦が始まったとき、当然ながら私たちは彼らを安全な場所に運びましたが、これらの子供たちの名前を隠そうとは全くしませんでした」。

 アルメニアとアゼルバイジャンの紛争に言及して、彼は述べた:「アルメニアで起こっていること、および他のいくつかの旧ソビエト加盟国では、非常に強力なロビー活動が存在し、西側諸国に支持されたNGOを通じて、アメリカとその同盟国の利益を前進させており、これらの利益にはロシアの影響を弱体化させることも含まれています」。

 黒海穀物構想について尋ねられた際、ラブロフは次のように答えた:「この協定のウクライナに関する部分*はかなり効果的かつ迅速に実施されましたが、ロシアに関わる部分*はまったく実施されませんでした。そして、同時に、この構想のウクライナに関する部分がまだ機能している間、彼らは、私たちの海軍関係者が野菜を運ぶ船の安全な航行を可能にするために開いた黒海通路を何度か利用し、海洋空域上空に無人航空機(UAV)を発進させ、ロシアへの攻撃を行なったのです」。

* ロシア、トルコ、ウクライナ、国連の4者が2022年7月末に締結。黒海経由のウクライナ産穀物の輸出に関する協定と、ロシアと国連の間で合意したロシア産食品及び肥料の輸出制限解除に関する覚書の2つから成る。ロシア産食品及び肥料に関する覚書の有効期間は3年と定められたが、ロシア側はこの覚書が履行されていないと主張している。(スプートニク)
(訳註:本文中の「ウクライナに関する部分」は「黒海経由のウクライナ産穀物の輸出」に関する覚え書き、「ロシアに関わる部分」は「ロシア産食品及び肥料の輸出制限解除」に関する覚書のことだと思われる。)


国際連合安全保障理事会でのウクライナ周辺の危機に関するラブロフ外相が演説。ロシア

文字起こし: Foreign Minister Sergey Lavrov’s remarks at the UN Security Council meeting “Upholding the purposes and principles of the UN Charter through effective multilateralism: maintenance of peace and security of Ukraine,” New York, September 20, 2023
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一斉に降伏するウクライナ軍―TASS通信の報道

<記事原文 寺島先生推薦>
Ukrainian troops surrendering en masse – TASS
出典:RT  2023年9月27日
ここ数週間でウクライナ軍1万人以上が、ロシア軍と連絡を取るための特別な周波数を使った無線を使用して、降参を選んだ、との報道
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年10月3日



資料写真。ウクライナの軍人。© ゲッティイメージズ/アナドルエージェンシー/ヴォルフガングシュヴァン


 ここ数週間で、降参して武器を置くこと選択する兵士たちのために用意された特別な周波数の無線を使用し、ロシア軍に降伏するウクライナ軍人が多く出ている、とTASS通信が報じた。

 呼び出し符号が周波数149.200である「ヴォルガ」という無線がロシア側から設置されたのは、夏のことだった。これまでのところ、1万人以上のウクライナ兵がその無線を利用し、その後ロシア側に拘留された、とTASS通信が報じた状況を把握している情報筋が述べたという。さらにその情報筋は、その無線周波数は前線全体で利用可能である、とも伝えた。

 「一万人以上のウクライナ兵が生きるという道を選択をし、「ヴォルガ」の149.200の周波数を使用して降伏しました。捕虜たちは十分な栄養を与えられ、必要なすべての医療を受けています」とその情報筋は述べた。


関連記事:US pushing Ukraine towards ‘self-destruction’ – Moscow

 「ウクライナ兵の降伏が最近、増加の気配にあるのは、ウクライナ兵が個人としてではなく、団体で降伏しているからであり、特にその動きがラボティノ村周辺で顕著である」とTASS通信の情報筋は述べている。ザポリージャ地方にあるこの村は、ここ数週間、ロシア軍とウクライナ軍の間の激しい戦闘の舞台となっている。

 ラボティノ村は依然として紛争の主要な発火点の1つであり、この地域は6月初旬に開始された長い間予告されていたウクライナの反撃中に繰り返し攻撃にさらされている。これまでのところ、この反撃は具体的な戦果をもたらすことができておらず、逆にウクライナ軍は、その過程で大量の人員と物資の損失を被っている、という報告が出されている。

 ロシア側の最新の推計によれば、ウクライナ側は今月だけでも1万7千人以上の軍人を失なった、という。ロシア軍によると、反撃が始まって以来、殺されたウクライナ軍の総数は現在8万3千人を超えており、戦闘用重装備も1万個以上破壊されている、とのことだ。
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私たちは2度と欺されない

<記事原文 寺島先生推薦>
We Won’t Be Fooled Again
出典:ジェームス・クンスラー(James Kunsle)氏の個人ブログ 2023年8月21日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>2023年10月3日


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 「善き信念を持つ人々は間違いを訂正されることを厭わない(というのも、このような人々にとって大切なことは真実だからだ); もちろん嘘つきはそんなことはない(自分が間違っていることを承知しているからだ)し、夢想家もそうだ。したがって、夢想家は善き信念のもとで行動しているわけではないことになる。自分では善き信念にもとづいて動いていると思ってはいるのだが」―トルーマン・ベルド

  COVID-19工作に関する悪質な全ての嘘の中で最も有害なものは、イベルメクチンを中傷しようという企みだった。この薬はノーベル賞を取った真の魔法の薬であり、これまでに知られている医薬品の中で最も安全であり、病気の原因となる寄生虫に効果があり、抗ウイルス薬の効能もある。これらの点こそが、CDC(米国疾病予防管理センター)やFDA(食品医薬品局)が厄介者扱いした理由だった。COVID-19の感染の封じ込めに効果のある薬だ。

 つまり、イベルメクチンは効く、ということだ。 そしてそのことが理由となって、これらの機関はイベルメクチンには価値がなく有害であることにしておかないといけなかった。そうすることであの素晴らしいmRNA諸ワクチンを緊急使用許可(EUA)で使えるようにしてきたのだ。しかしそのワクチンといえば、効果はなく、多くの人々に害や障害、ときには死さえ与えることにしかならなかったのだが。 効果があると証明されたどんな治療法も、緊急使用許可の承認は受けず、EUAによって付与される信頼を得られることなく、ワクチン製造業者が訴訟を起こされることは回避されてきた。

 1週間前、COVID-19に対する治療法に関する制限をかけたことに対して、3名の医師がFDAに対して起こした裁判において、司法省のアシュリー・オノルド弁護士は、ルイジアナ州第5巡回区控訴院に対してこう述べた。「FDAが、医師はCOVIDの治療法としてイベルメクチンを処方する権限を有している、と認識していることは明らかです」と。本当なのか? 一般向け広報では、この3年間ずっと悪く言われてきたあのイベルメクチンが。馬や牛のための駆虫剤であり、人間は使うべきではない!とされてきたあの薬が。米国医師会に使用しないよう、処方箋を書かないように言われていたあの薬が。その結果、多くの州では使用することが、公的には許されず、… 多くの不誠実な事象を呼ぶことになった。一例を挙げると、メイン州医事当局による生物兵器の専門家であり疫学者でもあるメリル・ナス医師に対する、理解に苦しむ狂気のような迫害行為(ナス博士はその行為に対して裁判を起こしている) … さらには他の多くの州で医師免許の剥奪行為がおこなわれている….

 司法省のオノルド弁護士による大放言の数日後、ワシントンDCにいるFDAの幹部らは同弁護士の発言内容を撤回し、こう述べた。「...FDAはCOVID-19の予防や治療としてイベルメクチンを使用することを認可あるいは承認したわけではありませんし、FDAはイベルメクチンをそのように使用することが安全であり、効果があるとは述べていません」と。その後FDAは、この裁判に対して以下のような一連の嘘の言い訳をおこなった:イベルメクチンの効果の研究はまだ結論が出ていないと・・こんな言い訳は本当に馬鹿げている。というのも、ご存知のとおり、FDAがイベルメクチンに緊急使用許可を出すことは決してなく、COVID-19ワクチンを様々な手段を駆使して守ろうとするということは決定事項だからだ。さらにFDAは、その立場を守るために、嘘の公式発表を駆使するつもりだろう。

 2019年にCOVID-19が発生したときも、同じようなことが起こった。当時アンソニー・ファウチ博士が所長だったNIAID(国立アレルギー感染症研究所)やフランシス・コリンズが所長をしていたNIH(国立衛生研究所)という2つの機関が、武漢ウイルス研究所でのコロナウイルスの機能獲得研究に資金を出し支援をおこなっていたのだが、この武漢ウイルス研究所は、COVID-19病原菌に対するmRNAワクチンの開発に一役噛んでいた「使用料」として何百万ドル(噂では総額3億ドル[約450億円])を受けとっていた、という。その鼻薬の効果はご覧の通りだ。

 まだ知性をなくしていない側に所属している人であれば、公共医療当局には全く権威がないことを見抜いているだろう。当局はCOVID-19に関する全てのことについてとんでもない嘘をついてきた。そしてその嘘がばれたなら、また嘘に嘘を重ねて、もともとの嘘を隠そうという無駄な努力をしてきた。だからこそ、連中が今から言おうとしていることをきちんと捉えることなど馬鹿げたことになる。関連者の一掃には手を付けず、まっとうな裁判も行なわれるなどなかったのだから。連中の言い分を聞く必要も、連中に従う必要などもない。

 ご承知のとおり、権威とは、信頼できる人々にのみ生じるものだ。なんと単純なことか。権威が嘘ばかりついていて、そのうそがばれているのであれば、その権威からは、権威が失なわれることになる。いまそのことが、巨大組織であり大きな予算が使われている米国の公共医療当局で発生しているのだが、この機関はさらに大きな機関であり、さらに多額の予算が使われている米国政府の一部門にすぎない。その米国政府と言えば、もう何年ものあいだ、政府の他の全ての組織から権威を奪うような仕事に明け暮れてきて、いまや政府関連の全ての業務が信頼をなくしてしまっていて、大規模な入れ替えが必要なところにまでその権威は失墜している。選挙が政府関係者を入れ替える良い機会だとこれまでされてきたのだが、我が国の選挙制度までもが権威を失墜させている。そう? どんな手口で? 選挙を取り仕切っている信頼のおけない当局が、投票を集めるのに、怪しげな方法を利用しているのだ:それが郵便投票制度であり、この制度を使えば、不正をおこなったり、ネットに繋がった投票集計機のハッキングも簡単におこなえる。

 これらの選挙制度の欠陥はあまりに明らかであるため、無視するわけにはいかない。その対応策も一目瞭然で簡単だ:紙媒体の投票を人間の手で票を数えられるくらいの小さな規模の選挙区ごとにおこない、投票日を1日ですますようにして、その日を「投票日」とすればよい(さらにその日を国民の祭日にすればよい、そうすれば働いている人々も投票所に来られるから)。 しかしなぜか、このような対応策をとることができなくなっている。その理由はおそらく、そんな真っ当な選挙制度にしてしまえば、信頼を置けないような人たちがこれまで享受してきた職や権力の座から追われてしまうことになるからだ。だから、そんなことはしないでおこう、と連中が決めたのだ。

 信頼のおけない医療当局は、秋に向けて、新しく新鮮味のあるCOVID-19による恐怖をでっち上げようとしているようだ。その目的は、特別な郵便投票制度を強化するためだ。この制度は(連中にとって)都合がいいし、人々の知性をそこなわせることにより、人々を恐れさせ、政府の他の全ての機関が本当に堕落しているという事実から目をそらさせようとするためのものだ。これらの機関はこの国の人々に対して果たすべき責任を放棄している。 新たなCOVID変異種とそれを見事にやっつけられる(実際はそんなことはないのだが)素敵なワクチンを使う気だな。やってみるがいい。上等だ。同じ手に二度は引っかからないぞ。

 2023年4月、認定看護助産師であるキャシー・ブレオーさんがアメリカ合衆国連邦東部裁判所に、「米国を欺く陰謀をおこなった」として起訴された。彼女は、ワクチン接種証明書をCOVID-19のワクチンを打っていない人々に渡したのだ。キャシーさんの反論は、このワクチンには効果がなく、有害であり、このようなワクチンを接種させれば、医療従事者が守るべき(何よりも患者に害を与えてはいけないという)ヒポクラテスの誓いに背くことになると考えたからだ、というものだった。不誠実で執拗な連邦政府に対して起こしたキャシーさんの訴訟においては、彼女自身が用意できる金額以上の弁護士費用を出すよう求められている。「訴訟を起こすこと自体が、罰を受けているのと同じことだ」と思わせるためだ。

 さらにキャシーさんは、ニューヨーク州の医師免許委員会から、遠隔治療でイベルメクチンを処方するという「業務上過失」を起こしたとして非難されてきた。他の多くの米国じゅうの医療従事者も、同じように迫害を受け、医療に従事する免許を失効させられたりしている。キャシーさんは、2022年3月から、ニューヨーク州の「専門領域委員会」から捜査を受けているが、2023年5月の時点で何の決定も下されていない。

キャシー・ブレオーさんを訴訟から守る基金への登録先はこちら。
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新たな世界大戦への準備:ナチス・ニッポン枢軸の再構築

<記事原文 寺島先生推薦>
The Preparation of a New World War: Reconstituting the Nazi-Nippon Axis
筆者:ティエリ・メイサン(Thierry Meyssan)
出典:INTERNATIONALIST 360°  2023年3月28日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年10月3日


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岸田首相、キエフに支援を申し出る


 米国は欧州連合(EU)の同盟国に対し、第三次世界大戦に備えるよう促している。「トゥキディデスの罠*」から抜け出して勝利したいのであれば、同盟国は第三次世界大戦に参戦するしかない。南米、アフリカ、アジアの多くの国家が「中立」を宣言する一方で、この騒ぎが同盟国を「味方につけておく」ためのただの演出にすぎないのでなければ。いま、この軍靴の音が日本の軍国主義者たちを煽り立てている。彼らは、ウクライナの「過激な民族主義者」たちのように、また戻ってきたのだ。
*古代アテナイの歴史家トゥキュディデスにちなむ言葉で、従来の覇権国家と台頭する新興国家が、戦争が不可避な状態にまで衝突する現象を指す。アメリカ合衆国の政治学者グレアム・アリソンが作った造語。(ウィキペディア)

 多極化世界の提唱者たちによる進展に直面し、「アメリカ帝国主義」の擁護者たちの反応は鈍くない。ここでは、ヨーロッパ共同市場の軍事構造への転換と、第二次世界大戦中の枢軸国の改革という2つの作戦を分析する。この第二の側面は、新たなアクターを登場させる: 日本である。


欧州連合の変化

 1949年、アメリカとイギリスは北大西洋条約機構(NATO)を創設した。NATOにはカナダと、西ヨーロッパで解放した国々が含まれていた。NATO諸国にとっては、自国を守ることではなく、ソ連への攻撃を準備することが問題だった。ソ連は、ワルシャワ条約機構を創設することで対抗した。

 1950年、朝鮮戦争が始まると、アメリカは紛争をドイツ民主共和国(通称「東ドイツ」)まで拡大することを計画した。そのためには、フランス、ベルギー、ルクセンブルクの反対にもかかわらず、ドイツ連邦共和国(通称「西ドイツ」)を再武装させる必要があった。そのため、彼らは欧州防衛共同体(EDC)の創設を提案したが、ゴーリストとフランス共産主義者の抵抗に遭い、失敗に終わった。

 同時に彼らは、マーシャル・プランによって西ヨーロッパの再建を支援した。この計画には、ヨーロッパ共同市場の建設を含む多くの秘密条項が含まれていた。ワシントンは西ヨーロッパを経済的に支配し、かつ共産主義の影響やソ連の帝国主義から政治的に守りたかったのだ。欧州経済共同体(後の欧州連合)は、軍事面ではNATOを擁するアメリカの建前上の民間側を形成している。欧州委員会は、欧州連合における国や政府の首脳の行政機関ではなく、首脳と大西洋同盟との接点である。軍備や建設だけでなく、装備、衣服、食料などに関する欧州の基準は、最初はルクセンブルクで、次にベルギーで、NATO諸機関によって制定される。それらは欧州委員会に送られ、現在は、欧州議会で承認される。

 ソビエト連邦が崩壊しつつあった1989年、フランスのフランソワ・ミッテラン大統領とドイツのヘルムート・コール首相は、西ヨーロッパをアメリカの支配から解放し、ワシントンに対抗できるようにしようと考えた。この条約の交渉は、ドイツ四分割占領の終結(1990年9月12日)、両ドイツの再統一(1990年10月3日)、ワルシャワ条約(政治部門)の解消(1991年7月1日)と時期が同じだった。ワシントンは、マーストリヒト条約*がアメリカの軍事支配を認めるという条件で、この条約を受け入れた。西ヨーロッパ諸国もこの原則を受け入れた。
*1991年12月、オランダのマーストリヒトにおけるEC(欧州共同体)首脳会議で合意された欧州連合条約の通称。ECの経済・政治統合の推進を目的として、EU(欧州連合)の創設、経済・通貨同盟の設定、共通の外交・安全保障政策、欧州市民権などを規定。のちにアムステルダム条約やニース条約へ発展した。

 しかし、ワシントンはミッテラン・コールのペアに不信感を抱き、土壇場でEUにワルシャワ条約の旧加盟国すべて、さらには旧ソ連から生まれた新しい独立国家を含めるよう要求した。これらの国々は、マーストリヒト交渉団の願望を共有していなかった。実際、これらの国々は交渉団を疑っている。これらの国々はドイツとロシアの影響から自由になりたいと考えているのだ。彼らは自国の防衛を「アメリカの傘」に頼っている。

 2003年、ワシントンはスペインのEU議長国(社会党のフェリペ・ゴンサレス)とハビエル・ソラナ共通外交・安全保障政策上級代表を利用して、ジョージ・W・ブッシュ米大統領の国家安全保障戦略に倣った「欧州安全保障戦略」を採択させた。フェデリカ・モゲリーニ上級代表は2016年にこの文書を改訂した。

 2022年、ウクライナ戦争中、米国は朝鮮戦争の時と同様に、ロシア(ソ連の後継国)に対するドイツの再軍備の必要性を再び感じた。そこで彼らは、今度は慎重にEUを変革しようとしている。フランスのエマニュエル・マクロン大統領の任期中に、彼らは「戦略的羅針盤」を提案した。これが採択されたのは、ロシアのウクライナ介入からわずか1カ月後のことだった。EU加盟国は、協力するのか、それとも統合するのか、いまだに正確にわかっていないからだ。(ヘンリー・キッシンジャーが言うところの「建設的曖昧さ」だろう。)

 2023年3月、ジョゼップ・ボレル現欧州連合(EU)外務・安全保障政策上級代表は、第1回「安全保障と防衛に関するロバート・シューマン・フォーラム」を開催した。EU加盟国の国防相や外相が多数参加している。親米派の非EU欧州諸国に加え、アンゴラ、ガーナ、モザンビーク、ニジェール、ナイジェリア、ルワンダ、セネガル、ソマリア、エジプト、チリ、ペルー、グルジア、インドネシア、日本など、多くの国々が閣僚レベルで参加している。NATOに加え、ASEAN、湾岸協力会議、アフリカ連合も参加している。とりわけアラブ連盟は事務総長を派遣する。



 このフォーラムの明確な目的は、「多国間主義と規則に基づく国際秩序」を擁護することであり、また「国際法に基づく多極化世界」というロシアと中国の事業計画を糾弾する上品な方法でもある。

 COVIDの流行に伴い、欧州連合は既存の条約で予想されていなかった健康分野における権限をすでに自分のものとしている。私はこの流行の冒頭で、健康な人々の監禁という措置は歴史上前例がないと説明した。この措置は、ギリアド・サイエンシズの前代表であり、ドナルド・ラムズフェルド前国防長官の要請により、CEPI(Coalition for Epidemic Preparedness Innovations)の監督者となったリチャード・ハチェット博士によって考案されたものであり、世界的にこの措置を開始した人物である[1]。残念ながら、この報告書が引き起こした反応からしか知ることができないが、2005年の彼の機密報告書によれば、健康な一般市民を自宅に閉じ込めることで、移転可能な仕事を特定し、西側諸国の消費財産業を閉鎖し、労働力を防衛産業に集中させることになっていた。しかし、欧州連合はまだその段階には達していないが、既存の条約で予想されていなかった公衆衛生権限を自分のものとし、何の抗議も引き起こすことなく、今、軍事大国になれるように条約の文面解釈の作業中である。

 先週のシューマン・フォーラムで、ジョゼップ・ボレルは「戦略指針」の実施に関する最初の報告書を発表した。この構想は、情報機関を含む各国の軍隊を、協力ではなく統合の精神で調整することである。エマニュエル・マクロンの事業計画は、シャルル・ドゴールとフランス共産党の事業計画を葬り去った。「国防のヨーロッパ」は今や、EU加盟国の作戦部隊を欧州連合軍最高司令官(SACEUR)、現在のクリストファー・G・カヴォリ米大将の権限下に置くだけでなく、以前は各国議会の責任であったすべての資金調達に関する決定、さらには加盟国の行政機関の責任であった軍備や組織に関する決定を掌握することを目的とした活動理念のように見える。こうして連邦は、誰が指揮を執るのかわからないまま、共通の軍隊を組織することになる。


ナチス・日本枢軸の再構築

 第二次世界大戦といえば、ヨーロッパでは1939年と1945年を思い浮かべる。これは絶対に間違っている。戦争は1931年、日本の将兵が満州で中国兵を攻撃したことから始まった。これは軍国主義派による日本の文民権力の最初の行き過ぎであり、その数ヵ月後、軍人集団による文民首相の暗殺によって増幅された。数年後、日本は軍国主義的で拡張主義的な大国へと変貌した。この戦争は、1945年のソ連赤軍による満州解放では終わらなかった。実際、アメリカは日本のソ連への降伏を阻止し、降伏が自国の将兵の前でしか行なわれないようにするため、2発の原爆を使用した。1946年まで戦い続けたのは、それまで太平洋であまり戦ってこなかったアメリカに降伏することを多くの日本人が拒んだからだ。第二次世界大戦は1931年から1946年まで続いた。もし我々がこのような日付の間違いを犯すとすれば、その理由は、ローマ・ベルリン・東京枢軸国(「三国同盟」)が、ハンガリー、スロバキア、ブルガリア、ルーマニアがすぐにそれに加わったことで、初めてグローバル化したからである。

 枢軸国の根底にあったのは、メンバーの利害の不一致ではなく、強さという妄信だった。今日、枢軸を改革するためには、この妄信を共有する人々を団結させなければならない。

 1946年にアメリカが日本を占領したとき、最初に考えたのは、日本から軍国主義的な要素を一掃することだった。しかし、朝鮮戦争が勃発すると、アメリカは共産主義と戦うために日本を利用することを決めた。当時、進行中だった裁判を終わらせ、5万5千人の高官を免罪した。ヨーロッパにおけるマーシャル・プランに相当するドッジ・プランを実施したのだ。この政策変更の幸運な受益者の一人が池田勇人で、彼は首相に就任し、日本経済を回復させた。彼はCIAの助けを借りて自由民主党を結成した。この政党から安倍晋三首相(2012-20年)と後継者の岸田文雄(2020年-)が誕生した。

 岸田はこのほどウクライナを突然に訪問した。戦争が始まって以来、アジアの首脳がウクライナを訪問するのは初めてである。彼はブチャの集団墓地を訪れ、「ロシアによる虐待」の犠牲者の家族に哀悼の意を表した。多くの分析家は、この訪問は日本で開催されるG7サミットの準備だと解釈している。ただし、それがはるかに先を行く可能性はある。

 岸田文雄首相とヴォロディミル・ゼレンスキーは最終コミュニケで、「欧州大西洋とインド太平洋の安全保障の不可分性」と「台湾海峡の平和と安定の重要性」を強調している。彼らにとっては、ウクライナをロシアから守るだけでなく、日本を中国から守ることも問題なのだ。このコミュニケは、ウクライナの「完全な民族主義者」[2]であるナチスの後継者たちと、昭和時代の民族主義者の後継者たちとの新たな同盟の基礎を築くものである。今日のウクライナは、人種差別を明文化した憲法を持つ世界で唯一の国家である。1996年に採択され、2020年に改正されたこの憲法は、第16条で「ウクライナ人の遺伝的遺産の保存は国家の責任である」と述べている。ウクライナのナチス首相ヤロスラフ・ステツコの未亡人がこの条項を書いている。

 対照的に、日本国憲法は第9条で戦争を放棄している。しかし、安倍晋三と岸田文雄はこの条項を撤廃するための闘いを始めた。とりわけ、殺傷力のある防衛装備品の移転は不可能であるため、岸田はキエフに約71億ドルの人道的・財政的援助を申し出た。彼が今週できたのは、殺傷力のない軍備に関して、3000万ドル相当の備蓄品の出荷を発表することだけだった。

 このような日本の再軍国主義化は、すでにウクライナを支持する側にいるワシントンによって支持されている。ラーム・エマニュエル駐日米国大使は、「岸田首相は、ウクライナの人々を守り、国連憲章に謳われた普遍的価値を促進するために、ウクライナへの歴史的訪問の最中だ......約900キロ離れたモスクワでは、別の、より邪悪な協力関係が形成されつつある」(プーチン-習近平首脳会談を指す)とツイートした。

 一方、中国外務省の王維斌報道官は逆に、首相の外遊について「日本が事態の宥和を求めることを望むが、その逆ではない」と述べた。ロシア側は、戦略爆撃機2機を約7時間にわたって日本海上空に飛ばした。


翻訳:ロジャー・ラガセ

この記事は「中東は西側から脱却しつつある」(2023年3月14日)の次のものである。

[1] 「Covid-19と赤い夜明けの電子メール」、ティエリ・メイサン著、ロジャー・ラガセ訳、ヴォルテール・ネットワーク、2020年4月28日。
[2] 「ウクライナの完全な民族主義者とは何者か」、ティエリ・メイサン著、ロジェ・ラガセ訳、『ヴォルテール・ネットワーク』、2022年11月15日
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イベルメクチンは効果があった:査読済みの新研究がそれを証明

<記事原文 寺島先生推薦>
Ivermectin Worked: New Peer-Reviewed Study Proves It
筆者:ジョーゼフ・マーコラ (Joseph Mercola)
出典:The Liberty Daily   2023年8月30日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年10月3日


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・ペルーでのイベルメクチンのCOVID-19の有効性を示す査読前論文により、医師団は、2020年10月のパンデミックはイベルメクチンの広範な配布で終息したことを確信した。
・この論文はまだ査読前の論文であったため、無視された。COVID-19治療としてのイベルメクチンは非難され、イベルメクチンを敢えて処方した医師たちも非難された。
・現在、その研究は査読を経てCureusに掲載され、イベルメクチンはCOVID-19の治療法として正当なものとされている。
・イベルメクチンはCOVID-19に対してのみ効果的であるだけでなく、イベルメクチンが最も強力に使用されたペルーの10つの州では、過剰死亡率が74%減少したほど非常に効果的だ。
・イベルメクチンが広く利用可能であった時期には、国全体で過剰死亡が14倍減少し、イベルメクチンの使用が制限された後の2か月間には過剰死亡が13倍増加した。


 新型コロナウイルスのパンデミックが進行中で、潜在的な治療法が不明とされる中、ニューヨークの呼吸器科医、ピエール・コリー博士を含む他の医師たちは、イベルメクチンについて情報を広めようとした。イベルメクチンは、世界保健機関の必須薬物リストに掲載されており、アメリカ食品医薬品局によって承認されている寄生虫薬で、幅広く使用され、入手が容易でコストが低く、安全に使用されている長い歴史がある。

 実際、1987年以来、世界中の人間に37億回以上のイベルメクチンの投与が行なわれたが、それはすぐに非難された。イベルメクチンを処方した者たちも同様だ。しかし、今では状況は逆転した。イベルメクチンはCOVID-19に対して効果的であり、最も強力に使用された10州では、超過死者数が74%減少した。


イベルメクチンは劇的にCOVID死者数を減らした

 コリーと他の医師たちは、パンデミックの最中、イベルメクチンや他の治療法を用いて患者を早期に治療することで成功を収めた。彼のこの治療手続きに関する情報を広めようとする試みは、検閲や嘲笑、そして公的な見解に洗脳され、科学を受け入れることを拒んだ同僚たちによる抵抗によって阻まれた。

 ペルーにおけるイベルメクチンのCOVID-19への効果を示す査読前論文は、「2020年10月のパンデミックが広範なイベルメクチンの配布で終結させることができたと、私やポール[Marik]、およびFLCCCを確信させる最後の証拠となった」とコリーはツイートした。 「2年かかったが、今は同僚の査読を経て主要な学会誌で公表されている」。

 この研究は、Cureusで発表され、COVID-19の治療としてイベルメクチンが正当であることを立証している。「ピーク死亡後の30日間の過剰死亡率は、イベルメクチンを最も積極的に使用している10つの州で平均74%減少した」。これはこの研究の発見だ。この研究では、ペルーの25州からのペルー国民健康データを使用して、イベルメクチンの効果を評価した。

 2020年5月、ペルーがCOVID-19の治療にイベルメクチンを認可したことで、自然の実験が始まった。研究者は、「過剰死亡の著しい減少は、イベルメクチンの使用の程度と密接に相関している」と述べた。


世界中での成功例で、イベルメクチンの潜在力に焦点が当たっている

 ほとんどの人が知らないのは、インドのウッタルプラデーシュ州でのイベルメクチンの驚くべき成功だ。ウッタルプラデーシュ州では、COVID-19患者や、患者の身近な接触者、および医療従事者に対して、大規模な予防的および治療的なイベルメクチンの使用が採用された。

 イベルメクチン(IVM)の予防効果と治療効果の両方の可能性は、COVID-19の危険にさらされた人々にイベルメクチンが大規模に配布されたもう一つ地域の結果によって高められた。このイベルメクチンの配布は、インドの最大の州であるウッタルプラデーシュ州(人口が2億2900万人)で行なわれた」とこの研究は付言した

 この州では、広範なイベルメクチンの配布で、イベルメクチンを使用していない地域と比較して、COVID-19の死亡率が著しく低くなったようだ:9

「2021年7月7日から2023年4月1日までの期間における人口百万当たりのCOVID-19死亡累積総数は、ウッタルプラデーシュ州では4.3。これに対してインド全体では70.4、アメリカ合衆国では1,596.3だった・・・この期間におけるインド全体とアメリカ合衆国の人口当たりのCOVID-19死亡数の大幅な差は、インドの一部の他の州でも同じくイベルメクチンや、ドキシサイクリン、そして亜鉛などを含む自宅治療キットを使用していたことが反映しているのかもしれない」。

 同様の出来事がブラジルのイタジャイ市で発生した。イタジャイ市は人口22万人の都市。2020年6月、同市はイベルメクチンを使用した予防計画を導入した。この計画は地元メディアで宣伝され、人々は参加を奨励され、1日、2日、15日、16日の4回、イベルメクチンを摂取するように促された。

 決められた日に、彼らはテントやセンターを設置し、人々が薬を手に入れることができるようにした。実施状況は全て電子データベースに注意深く記録された。合計で、15万9千人のブラジル人が参加し、そのうち11万3千人がイベルメクチンを摂取することを選択した。

 コリーと8人の共同執筆者は、その結果を示す論文を発表した。その論文によれば、「イベルメクチンの定期的かつ予防的な使用で、COVID-19の感染率や入院率、および死亡率などが著しく低下した」という結果が示された。10

 イベルメクチンを使用した人々は、使用しなかった人々と比較してCOVID-19感染率が44%減少、COVID-19死亡率が68%減少、そして入院率が56%減少した。11

 一方、日本のある研究では、COVID-19患者に医師がイベルメクチンを法的に処方できるようになってからわずか12日後、症例が急激に減少したことが示された12。東京医師会13の会長は、アフリカではCOVID-19による感染症と死亡者が少ないことに気付いた。そこでは多くの地域で、オンコセルカ症(河川盲目症)を治療するための主要戦略としてイベルメクチンを予防的に使用していた14


政府のイベルメクチン制限が死者を増加させた

 驚くべきことに、イベルメクチンはペルーでCOVID-19に対して4か月間使用されたが、新大統領はその使用に制限を設けた。その間に「全国的な過剰死亡数が14倍減少していたのが、その後イベルメクチンの使用が制限された2か月間で13倍増加した」15という結果がある。

 アメリカ食品医薬品局(FDA)は、その有名なツイートで「あなたは馬ではありません。あなたは牛ではありません。本当に、みんな、やめてください」16と述べながら、イベルメクチンを適用外使用しないようにアメリカの一般市民や医師に命じてきた。皮肉なことに、アメリカの処方箋の約40%が適用外使用されている。17

 しかし、イベルメクチンを長年にわたって非難してきたFDAは、いまや、正しいことは正しいと認めざるを得なくなった。つまり、医師はCOVID-19の治療としてイベルメクチンを処方する権限を持っていると認めたのだ。Boyden Gray & Associatesの弁護士であり、医師たちが医療行為に干渉するFDAを訴えている代表のジャレド・ケルソン(Jared Kelson)は、これについて説明した:18

「根本的な問題は明快です。FDAが人間用の薬を販売承認した後、その薬が医師と患者の関係内でどのように使用されるかに対して影響を及ぼす権限を持っているか? 答えは「持っていない」です」

 それにもかかわらずFDAはその持っていない権限を振るい続けていたが、しかし最終的には、2023年8月16日に真実を認め、次のようにツイートした。「一般的に、医療専門家は、未承認の用途が個々の患者にとって医学的に適切であると判断した場合、承認された人間用薬を未承認の用途に処方することを選択することがある」19

 2021年9月に、アメリカ医学会(AMA)は医師たちに対してCOVID-19の治療にイベルメクチンの処方を停止するように指示した。AMAは、アメリカ薬剤師協会(APhA)およびアメリカ健康システム薬剤師協会(ASHP)と共同で発表し、次のように警告した:20

「パンデミック前から外来でのイベルメクチンの処方および配布が24倍増加し、過去数か月で指数関数的に増加しているとの報告に驚いている。そのため、臨床試験の外でのCOVID-19の予防および治療におけるイベルメクチンの処方、配布、使用を即時に中止するよう呼びかけている。

さらに、我々は医師、薬剤師、および他の処方医療専門家である地域社会の信頼される健康ケア専門家に対して、FDAが承認した適応およびガイダンスの外でのイベルメクチンの使用、人間または動物用として意図された場合を問わず、オンラインストアでのイベルメクチンの購入について患者に警告するよう促している」。


 これらの命令の結果、何人、死ぬ必要もないのに死んだのか? ジャーナリストのキム・アイバーセンによると、FDAが医師にCOVID-19の治療にイベルメクチンを処方することを許可するという動きさえ、あまりにも遅すぎると指摘している。「今、2、3年後、あまりにも(情報が)少なすぎる、あまりにも遅すぎる・・・結局、公的に査読されたこの研究があり、それにはCOVID-19[の死亡率]が有意に、有意に、有意に低下することが示されている」21


イベルメクチンはCOVIDにどのように作用するのか?

 イベルメクチンはSARS-CoV-2のスパイクタンパク質に結びつき、ウイルスの病原性と感染力を制限する。22 イベルメクチンは、その抗寄生虫効果で最も知られているが、抗ウイルスおよび抗炎症の特性も示している。試験管の研究では、イベルメクチンの単回治療が48時間の細胞培養でウイルスの量を効果的に5,000倍減少させることが示された。23

 複数の研究によれば、イベルメクチンはウイルスの複製を抑制することによりウイルス量を低減させるのに役立つことが示されている。24イベルメクチンの単回投与は、48時間以内にウイルスの99.8%を殺すことができる。25また、アメリカン・ジャーナル・オブ・セラピューティクス(アメリカ治療学誌)に掲載されたメタ分析でも、イベルメクチンを予防的に使用した場合、感染を平均して86%減少させることが示された。26

 イベルメクチンはまた、一部では炎症を抑制し、臓器の損傷を防ぐことによって回復を促進することが示されている。27この点で入院や死亡のリスクも低下させる。メタ分析では、死亡率の平均減少率は75%28から83%29,30の間となっている。

 さらに、イベルメクチンは、感染前または感染後31に摂取した場合にもSARS-CoV-2の伝播を防ぐ。Cureusの研究が指摘したように、最新のデータは、イベルメクチンがCOVID-19の治療において重要な役割を果たすという証拠をさらに補強している:32

「これらのデーター、すなわち、ペルーでのイベルメクチン治療の元気が出る結果とインドのウッタルプラデーシュ州からの似たような前向きな兆候は――人口はそれぞれ3300万人と2億2900万人であるが――COVID-19の治療と予防のためのさらなる大規模なイベルメクチンの展開に向けて有望なひな形を提供している」。

 また、イベルメクチンは著しい抗腫瘍効果も持っており、これにはがん細胞の増殖、転移、および血管新生活動の抑制が含まれている。33それはがん細胞を制御することによって腫瘍細胞の増殖を抑制するようであり、薬理学研究誌(Pharmacological Research journal)で研究者が説明したように、「イベルメクチンは非常に大きな潜在能力を持つ抗がん薬である可能性がある」34と示唆されている。


なぜイベルメクチンは抑圧されたのか?

(※訳者:ここに動画があります。原サイトからご覧下さい。)

 イベルメクチンの平均治療費は58.35ドル35。これはイベルメクチンが誹謗中傷されること何か関係があると思われるだろうか? Cureusの研究の著者たちは間違いなくそう考えている。36

「イベルメクチン(IVM)の優れた安全性と低コストは、ペルーのメガオペレーション・タイタ(Mega-Operación Tayta)およびウッタルプラデーシュでのCOVID-19の緩和のための魅力的な国家政策としての使用を支えている。ペルーとウッタルプラデーシュで実現した死亡率の著しい低下は、国内でのIVMの展開の影響が比較的短期間内に観察可能であることを示唆している。

しかしながら、過去の数十年において、特許付きの医薬品に対する競争でジェネリック薬はしばしば不利な状況に置かれてきた。これは、科学が不幸にして商品化や規制の固定観念に対して弱いことに基づいている・・・イベルメクチンについて偏った見方が潜在的にあることは、メルク社の2021年2月4日の新聞発表によって示唆された。当時、メルク社は独自の特許付きCOVID-19治療薬を開発しているから、イベルメクチンには「安全性データについて懸念すべき不足」があると言っていたのだ。

しかし、イベルメクチンはメルク社が開発した薬物であり、いくつかの研究で標準用量よりもはるかに高い用量でも安全であることが確認されている。COVID-19のIVM治療の背景についての章でも引用されている。また、ノーベル賞委員会は、この薬物の発見を称えて2015年の医学賞でイベルメクチンの安全記録を特に指摘した。


 COVID-19の使用可能性について詳しく知りたい場合、FLCCCのI-CAREプロトコルを完全にダウンロードできる。37これにより、COVID-19の初期症状を予防および治療する方法についての段階的な指示が提供される。

<原注>
1 WHO March 31, 2021
2, 5, 6, 8, 9, 15, 22, 32, 36 Cureus August 8, 2023
3 WND August 19, 2023
4 Substack, The Vigilant Fox August 15, 2023
7 Indian Express May 12, 2021
10, 11 Cureus. 2022 Jan; 14(1): e21272
12 YouTube, November 23, 2021 Min 1:25
13 Tokyo Web, August 13, 2021
14 World Health Organization, Onchocerciasis
16 Twitter, Broken Truth August 13, 2023
17, 18 Courthouse News Service August 8, 2023
19 Twitter, U.S. FDA August 16, 2023
20 AMA September 1, 2021
21 Twitter, FLCCC August 15, 2023
23 Antiviral Research, 2020;178(104787)
24, 31 FLCCC Summary of Clinical Trials Evidence for Ivermectin in COVID-19 (PDF)
25 News-Medical.net, April 6, 2020
26 American Journal of Therapeutics, 2021;28(4) Therapeutic Advances
27 Front Line COVID-19 Critical Care Alliance, August 29, 2021
28 FLCCC January 7, 2021 Press Release (PDF)
29 Swiss Policy Research December 31, 2020
30 Evidence-Based Medicine Consultancy Ltd. Rapid Review and Meta-Analysis January 3, 2021 (PDF)
33, 34 Pharmacol Res. 2021 Jan; 163: 105207
35 JAMA 2022;327(6):584-587
37 FLCCC Alliance, I-CARE
Article cross-posted from Dr. Mercola’s site
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さらなる戦争激化を招くプーチンの座視無策

<記事原文 寺島先生推薦>
Putin’s Butt-sitting Leading to More Escalation
出典:ポール・クレイグ・ロバーツ(Paul Craig Roberts)ブログ  2023年9月23日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年10月2日


 ロシアのメディアは今、座して動かぬ大統領に、際限のない挑発の奨励に終止符を打つことを要求している。

 ロシア国営テレビ局『RT』、ロシヤ・セゴドニャ通信社、スプートニク通信社のマルガリータ・シモニャン編集長は、今日のセヴァストポリでの攻撃の後、ロシアは軍事衝突への西側の直接的な関与に目をつぶるのをやめるべきだと考えている。

 「キエフだけでなく、NATOの後援者に対しても、最も厳しい形で最後通牒を突きつける時だ」と彼女は言う。

 その攻撃には、西側の諜報機関とフランスのミサイルが関与していた。出典:https://halturnerradioshow.com/index.php/en/news-page/world/russwian-black-sea-fleet-hq-hit-by-scalp-missiles-ukarine-admits-west-involved-in-targeting

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 バイデンは長距離ミサイルATACMSとM1A1エイブラムス戦車をウクライナに送る。 プーチンがそれに対応しないことで、ロシア全土がミサイル攻撃の対象となった。プーチンが紛争を終わらせるために十分な武力を行使しようとしないことから、戦争激化が進んでいる。 プーチンとラブロフは、言葉だけで戦争しようとするのをやめるのだろうか?

 ワシントンは、旧ソ連の中央アジア諸州でロシアに新たな問題を引き起こしている。プーチンの無策は、制御不能な状況を生み出している。

 プーチンの無為無策の結果、ロシア人に与えられた屈辱はさらに増える:

 「選挙で選ばれたわけでもない欧州委員会は、ロシア人がEUに入国する際に「西側の価値観」を守ることを誓約し、私物を持ち込むことを禁止する法令を出した。フランス人、ドイツ人、イタリア人、ポーランド人、ハンガリー人と同じヨーロッパ人でありながら、ロシア人はもはや自分の車でEU加盟国に来ることができず、ノートパソコン、携帯電話、シャンプー、その他何十もの必要な品物を置いていかなければならない。これは、本質的に、お前たちは無力なんだと思い知らせるために、「欧州ソビエト連邦(EuSSR)」(本部はブリュッセル)の政治局人民委員たちがEUを訪問したい、または訪問する必要があるロシア人に屈辱を与えるよう命じたものだ」出典:https://www.unz.com/article/how-the-us-through-the-greens-and-the-reds-is-destroying-europe/。

 プーチンは戦争指導者として失格だ。

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