米メディアはニューハンプシャーで勝利した「バーニーを無視」作戦、再度。しかしそれはうまくゆかない。
<記事原文 寺島先生推薦 US media tries another ‘Bernie blackout’ after New Hampshire win, but their game is not working
RT-Oped 2020年2月12日 ダニエル・リアン
Danielle Ryan
is an Irish freelance writer based in Dublin. Her work has appeared in Salon, The Nation, Rethinking Russia, teleSUR, RBTH, The Calvert Journal and others. Follow her on Twitter @DanielleRyanJ
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ 2020年3月2日>
バーニー・サンダースがニューハンプシャー州予備選で勝利したが、これはアメリカのメディアにとっては飲み込みがたい丸薬であり、無視するか、少なくとも勝ったことが悪いことだと思わせる枠組みにすることに決めたようだ。
その夜の主流メディアの報道を丹念に見ると、アメリカの政治を何気なく眺めている人は、エイミー・クロブッチャ-と呼ばれる素敵な笑顔の女性が番組のスターだと思っても仕方がないだろう。実際、中道志向のクロブッチャ-ミネソタ州上院議員は3位に入った―しかし、彼女のニュース報道での取り上げられ方には偏りがあった。
信じられないことに、その夜のヘッドラインの中には 「サンダース」 という言葉が全く入っていないものもあった。「エイミー・クロブチャーがニューハンプシャーで弾みをつける」とCNNは大げさにまくしたて、「ニューハンプシャーはクロブチャーに大きな支持を与え、バイデンとウォーレンは2020年彼女の大統領選でなくてはならない支援側へ回ったと」とFOXニュースは書いている。ロイター社のツイートには、「ピート・ブティジェッジはニューハンプシャー州予備選で2位、エイミー・クロブチャーは3位に入った」と記されている。
ちょっと待ってほしい。実際には誰が勝ったのか分かっているのだろうか?「強力な第3位」が新しい1位なのか?それが今のやり方か?MSNBCによると、そのようだ。
サンダースの勝利は、メディアに登場する評論家たちが何とか自分を慰めようとする動きによって暗い影を落とされた。と言うのも彼らは自分たちのお気に入りの言い分(=民主社会主義者のバーニーで「ほんとうにトランプに勝てるのか?」)が、バーニーの勝利で深刻な打撃を受けてしまったからだ。
バーモント州上院議員のバーニーは、アイオワ州党員集会とニューハンプシャー州予備選の両方で一般投票を勝ち取った。まあ、ニュースの見出しや、ケーブルニュースの専門家の話を聞いても、そのことはほとんどわからないだろう。
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2016年、一般投票で勝利したのだからトランプにほんとうに勝てるのはヒラリー・クリントンだと主張したコメンテーターたちを覚えているだろうか。おっと!2020年大統領選では、社会主義の候補者が先頭に立っているため、「今回のニューハンプシャー州での一般投票の結果は、何の影響力もない」に戻ってしまったかのようだ。あらあら、しっかりして。
クロブチャーが何の関連性もないところからニューハンプシャー州で3位になったことは、一定の成果であることは否定できないが、大地を揺るがすほどのことではない。こういうことはアメリカの予備選挙では起こり得る。ほんとうに特筆すべきことは、サンダースが一貫してトップランナーであり、少額の寄付しか集めてないのに全国世論調査でリードしていることだ―しかし彼は、当選には絡まない、「勝てない」目障りな脇役として扱われている。
その一方で、同じメディアが、あることないこと並べて、ジョー・バイデン元副大統領が「トランプに勝てる候補者」であることを、アメリカ人の頭に叩き込んできた。恐らく、バイデンが悲惨な5位に終わり、投票が終了する前にニューハンプシャー州から逃げ出した今、メディアは「バイデンは勝てる候補」という悪ふざけを止めることになるだろう。
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サンダースをメディア上で批判する人たちは、火曜日夜の現実に直面すると、新手の、以前よりばかげた言説を急に述べ始めた:彼が勝利したのはクロブチャーとブティジェッジが 「本当に」トランプに勝てる票を分け合ってしまったからだ、というものだ。サンダースが勝ったら、票に意味はなくなるのか?クロブチャーとブティジェッジへの投票は「トランプに勝てる」票という訳か?サンダースはそれ以上の票を獲得しているのに。ま、そんなことはどうでもいいということか。
サンダースに特に激しく敵対しているMSNBCでは、評論家たちが一丸となって彼の勝利にけちをつけようとした。ある場面で、クリス・マシューズはクロブチャーとブティジグはその票を合算するとサンダースを「圧倒している」ので、サンダースは実際には勝っていないと主張した。MSNBCのスタジオさん、そんな風にはなっていませんよ。
ローレンス・オドネルは、別の角度から考えてみようとした。同夜の本当の「話」とはサンダースが2016年にニューハンプシャー州で60%の票を獲得したが、それ以降同州での人気は「地盤沈下」している、というのが彼の議論だ。2016年にはクリントンという手強い対抗馬が1人だけいたが、2020年の今回は4人もいるということは気にしないで、ということか。
このレースにはまだ長い道のりがあり、何が起こるかわからないが、はっきりしていることがひとつある:もしこの4人の候補者のうちの誰かが今回のバーニー・サンダースのような勝者の立場に立ったとしても、メディアは必死に頭を絞り、その成功にケチをつけるようなことはしないだろう。
RT-Oped 2020年2月12日 ダニエル・リアン
Danielle Ryan
is an Irish freelance writer based in Dublin. Her work has appeared in Salon, The Nation, Rethinking Russia, teleSUR, RBTH, The Calvert Journal and others. Follow her on Twitter @DanielleRyanJ
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ 2020年3月2日>
バーニー・サンダースがニューハンプシャー州予備選で勝利したが、これはアメリカのメディアにとっては飲み込みがたい丸薬であり、無視するか、少なくとも勝ったことが悪いことだと思わせる枠組みにすることに決めたようだ。
その夜の主流メディアの報道を丹念に見ると、アメリカの政治を何気なく眺めている人は、エイミー・クロブッチャ-と呼ばれる素敵な笑顔の女性が番組のスターだと思っても仕方がないだろう。実際、中道志向のクロブッチャ-ミネソタ州上院議員は3位に入った―しかし、彼女のニュース報道での取り上げられ方には偏りがあった。
信じられないことに、その夜のヘッドラインの中には 「サンダース」 という言葉が全く入っていないものもあった。「エイミー・クロブチャーがニューハンプシャーで弾みをつける」とCNNは大げさにまくしたて、「ニューハンプシャーはクロブチャーに大きな支持を与え、バイデンとウォーレンは2020年彼女の大統領選でなくてはならない支援側へ回ったと」とFOXニュースは書いている。ロイター社のツイートには、「ピート・ブティジェッジはニューハンプシャー州予備選で2位、エイミー・クロブチャーは3位に入った」と記されている。
ちょっと待ってほしい。実際には誰が勝ったのか分かっているのだろうか?「強力な第3位」が新しい1位なのか?それが今のやり方か?MSNBCによると、そのようだ。
Third place is better than first place pic.twitter.com/yLFZUCe1kA
— Sam Sacks (@SamSacks) February 11, 2020
サンダースの勝利は、メディアに登場する評論家たちが何とか自分を慰めようとする動きによって暗い影を落とされた。と言うのも彼らは自分たちのお気に入りの言い分(=民主社会主義者のバーニーで「ほんとうにトランプに勝てるのか?」)が、バーニーの勝利で深刻な打撃を受けてしまったからだ。
バーモント州上院議員のバーニーは、アイオワ州党員集会とニューハンプシャー州予備選の両方で一般投票を勝ち取った。まあ、ニュースの見出しや、ケーブルニュースの専門家の話を聞いても、そのことはほとんどわからないだろう。
ALSO ON RT.COM ‘Too perfect’: Iowa Dem Party sign falls off podium as chair struggles to explain caucus flop, Twitter sees a metaphor
2016年、一般投票で勝利したのだからトランプにほんとうに勝てるのはヒラリー・クリントンだと主張したコメンテーターたちを覚えているだろうか。おっと!2020年大統領選では、社会主義の候補者が先頭に立っているため、「今回のニューハンプシャー州での一般投票の結果は、何の影響力もない」に戻ってしまったかのようだ。あらあら、しっかりして。
クロブチャーが何の関連性もないところからニューハンプシャー州で3位になったことは、一定の成果であることは否定できないが、大地を揺るがすほどのことではない。こういうことはアメリカの予備選挙では起こり得る。ほんとうに特筆すべきことは、サンダースが一貫してトップランナーであり、少額の寄付しか集めてないのに全国世論調査でリードしていることだ―しかし彼は、当選には絡まない、「勝てない」目障りな脇役として扱われている。
その一方で、同じメディアが、あることないこと並べて、ジョー・バイデン元副大統領が「トランプに勝てる候補者」であることを、アメリカ人の頭に叩き込んできた。恐らく、バイデンが悲惨な5位に終わり、投票が終了する前にニューハンプシャー州から逃げ出した今、メディアは「バイデンは勝てる候補」という悪ふざけを止めることになるだろう。
ALSO ON RT.COM ‘Unhinged’: MSNBC host Chris Matthews goes on bizarre rant about mass executions & ‘the Reds’ while discussing Bernie Sanders
サンダースをメディア上で批判する人たちは、火曜日夜の現実に直面すると、新手の、以前よりばかげた言説を急に述べ始めた:彼が勝利したのはクロブチャーとブティジェッジが 「本当に」トランプに勝てる票を分け合ってしまったからだ、というものだ。サンダースが勝ったら、票に意味はなくなるのか?クロブチャーとブティジェッジへの投票は「トランプに勝てる」票という訳か?サンダースはそれ以上の票を獲得しているのに。ま、そんなことはどうでもいいということか。
サンダースに特に激しく敵対しているMSNBCでは、評論家たちが一丸となって彼の勝利にけちをつけようとした。ある場面で、クリス・マシューズはクロブチャーとブティジグはその票を合算するとサンダースを「圧倒している」ので、サンダースは実際には勝っていないと主張した。MSNBCのスタジオさん、そんな風にはなっていませんよ。
Chris Matthews says he's "a little frustrated" with Bernie Sanders' NH victory, brushing it off because Klobuchar and Buttigieg combined "trounced Bernie tonight," and finally comparing Sanders' campaign to Pat Buchanan's in 1996. pic.twitter.com/YLRY7Axg3R
— Justin Baragona (@justinbaragona) February 12, 2020
ローレンス・オドネルは、別の角度から考えてみようとした。同夜の本当の「話」とはサンダースが2016年にニューハンプシャー州で60%の票を獲得したが、それ以降同州での人気は「地盤沈下」している、というのが彼の議論だ。2016年にはクリントンという手強い対抗馬が1人だけいたが、2020年の今回は4人もいるということは気にしないで、ということか。
このレースにはまだ長い道のりがあり、何が起こるかわからないが、はっきりしていることがひとつある:もしこの4人の候補者のうちの誰かが今回のバーニー・サンダースのような勝者の立場に立ったとしても、メディアは必死に頭を絞り、その成功にケチをつけるようなことはしないだろう。
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