fc2ブログ

保守的な米国民のための「移民村」がロシア国内に建築される予定(ある弁護士からの報告)

<記事原文 寺島先生推薦>
‘Migrant village’ for conservative Americans to be built in Russia – lawyer
何千人もの西側諸国民は「過激すぎる自由主義」的世界から逃れたがっている、とロシアの移民弁護士は主張
出典:RT 2023年5月12日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年5月30日



資料写真 © Sputnik / Pavel Bednyakov



 保守的な考え方をもつ200家族からなる「米国民村」の建築が2024年モスクワ州で開始される。これは、モスクワに本拠地を置く移民弁護士であるティムール・ベスラングロフ氏の主張だ

 ビスタ法律事務所の一員であるベスラングロフ氏は、木曜日(5月11日)のセント・ペテルブルグ国際法律会議の一部会において、新たに移民集落を建築する提案を行った。

 「基本的には、これらの人々はキリスト教ロシア正教派の米国やカナダ国民であり、思想的な理由からロシアへの移住を考えています」と同氏は述べた。

 モスクワ州政府はこの計画を承認したが、移民を考えている人々は、自費で移住費用を賄おうとしている、とベスラングロフ氏は述べた。同氏の主張によると、この集落は、首都モスクワの南にあるセルプホフ地方に建築される予定だという。



関連記事:米国は伝統的なロシアの価値観を否定―プーチンの主張

 何万もの西側諸国民がロシアに移住したがっていて、中にはロシアに祖先がいない人々も含まれている、と同弁護士は述べた。

 「理由はわかっています。自由主義派の左派勢力による過激な価値観が社会に導入されようとしているからです。この導入にはきりがないのです。現在、人間には70種類の性別が認められています。それがこの先どうなるのか、誰にもわかりません」とベスラングロフ氏は会議で述べた。「普通の人々の多くは、このような状況を理解できておらず、国を出たいと考えているのです。多くの人々が出国先としてロシアを選んでいますが、ロシアに移民する法律に不備があることに関係する官僚的な多くの問題に直面しています。」

 ロシアに移住しようと考えている人々の一翼には、伝統主義カトリック派の信者らがおり、彼らは「子だくさんの白人米国民」であるが、このような国民を、米国政府は「国内におけるテロリスト集団である」と見なしている、とベスラングロフ氏は述べた。

関連記事:解説。プーチンが署名したロシアの「LGBTQ宣伝」法とは。

 2月に公表されたFBIによる文書には、「伝統主義カトリック派の過激派勢力」信者は、「人種・民族主義的な動機のもとでの暴力的な過激派になる可能性がある」と書かれていた。これに対して共和党派の19州の検事総長は、連邦政府に要求書を提出し、「反キリスト教的偏見政策」をやめるよう求めたが、そのような意図はない、とFBIは否認した。
関連記事

トランプは、ロシアゲート「作り話」について報道したニューヨーク・タイムズとワシントン・ポストに授与されたピュリッツァー賞を取り消すよう、ピュリッツァー賞委員会に要請した。

<記事原文 寺島先生推薦>
Trump calls for Pulitzer Prize Board to revoke award given to NYT & WaPo for reporting on Russiagate ‘hoax’
出典:RT 2021年10月3日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年5月30日


1040-1.jpg
© REUTERS/Dustin Chambers


 元大統領のドナルド・トランプは、ピュリッツァー賞委員会に対して、ロシアとの共謀という「ばかげた話」の報道で、2018年、ニューヨーク・タイムズ紙とワシントン・ポスト紙に授与された賞を取り消すよう要求した。

 日曜日(2021年10月3日)の声明で、トランプは、ロシアが2016年の大統領選挙に干渉し、トランプのチームと共謀したという理論について、両紙が報道した内容は、「事実として実際の証拠がない」と結論づけられたものであり、「虚偽の物語」と呼んだ。

 「広く報道されているように、その報道は政治的な動機に基づくばかげた話であり、私の選挙キャンペーンがロシアと共謀したという虚偽の物語を作り上げようとするものであり、この主張を裏付ける証拠などまったくないのです」と元大統領は、受賞の暫定管理者であるバッド・クリメットに宛てた手紙で述べている。彼は以前、2019年に受賞を取り消すよう要求していた。

同じRTの記事―「火と硫黄」:スティーブ・バノンが2024年の「壮大な」勝利のために共和党から「衝撃部隊」を出すよう要請していることに対してリベラル派は警戒心

1040-2.jpg


 トランプはまた、メディアが状況についてあやふやな知識を持つ情報源を使用することに対しても批判し、「'知識を持つ人々'、'現職および元職の高官'、'米国の一部の高官'など、だれかもわからないような個人」を引用した記事を批判した。

 彼は、マイケル・サスマンの起訴を引用して、ニューヨーク・タイムズ紙とワシントン・ポスト紙への告発の裏付けとした。サスマンは、ヒラリー・クリントンの選挙運動で働いていた弁護士であり、2016年にFBIに対してトランプの大統領選挙運動とクレムリンとの潜在的な関連を密告した際にFBIに嘘をついたことで訴追された。

 ニューヨーク・タイムズ紙とワシントン・ポスト紙は、2018年に「ロシアとの共謀」に関する報道に対して全国報道賞を受賞した。トランプは、両紙に対して、ピュリッツァー賞の受賞を「自発的に返上する」機会を与えるよう求めた。
 「ここでのように、ピュリッツァー賞受賞作品が不適切で疑わしく、明らかに虚偽な報道に基づいていることが明らかになった場合、ピュリッツァー賞委員会はそれに応じて対応しなければならない」と彼は書いている。

 元特別検察官のロバート・ミューラーの言によれば、ロシアとの共謀の疑いに関する彼の報告書は、(バイデン)大統領が主張するようにトランプを「無罪」とはしていないと述べている。しかし、この報告書は、メディアが報道したもっとセンセーショナルな話については、結局のところ、裏付けることができなかった。

 (バイデン)大統領は、ミューラーによる数年にわたる費用をかけた捜査をしばしば「魔女狩り」にしかなっていないと批判し、それが世界中で「笑われている」と述べてきた。

 「(これは)アメリカ史上最大の魔女狩り。共謀はなかった、民主党を含め、みんながそれを知っているのに、延々と(魔女狩りは)続いている。ロシアと世界は彼らが目にしている愚かさに笑っている。共和党が最終的に統制を取るべきだ!」と彼(トランプ)は2018年に(捜査は進行中)ツイートした。
関連記事

ウクライナ側の防空体制の現状とは:ウルフ大佐への聞き取りの取材

<記事原文 寺島先生推薦>
The Current State of Kiev’s Air Defenses: Interview with Colonel Wolf

筆者:ドラゴ・ボスニック(Drago Bosnic)
出典:INTERNATIONALIST 360° 2023年5月22日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年5月30日



ロシアの「キンジャール」超音速ミサイルが、ウクライナ側の米国製「パトリオット」防空システムを破壊


 ここ数週間、キエフ政権の防空施設についての記事が一面を飾っているが、実際に起こっている問題については報道がなされていない。西側諸国政府は、手下の大規模宣伝装置を動員して、ウクライナのネオナチ軍事政権に供給されたSAM (地対空ミサイル)システムをもてはやし、超音速ミサイルなどのロシア側の武器を撃ち落としたという馬鹿げた記事を報じた。西側じゅうでこのような嘘情報が溢れだし、それと同時に情報戦争といっていい空気が漂っていたが、好戦的な西側勢力は、有能な専門家たちにこんなトンデモ話を納得させることはできていなかった。そう言いきれる根拠の一つとして特筆すべき事実は、「撃墜された」という話の「決定的証拠」は完全に一笑にふされる話であり、ただの噂話にすぎない程度のものであるということだ。

 しかし、キエフ政権の防空体制の実情をよりきちんと理解するため、私たちは再度ウルフ大佐に話を聞くことにした。この大佐は、退役軍人であり、ユーゴスラビア(後にはセルビア)軍の防空隊の一員だった人物だ。ウルフ大佐は、軍で40年以上勤務し、職業上の経験や長年の戦闘体験(1990年代の米・NATOによるユーゴスラビア・セルビア侵攻に対する戦闘体験も含む)のおかげで、大佐は現状の詳細を理解することができている。以前私たちがウルフ大佐に行った聞き取り取材は、ちょうど一年前に記事になったのだが、その中で大佐はロシアによる特殊軍事作戦(SMO)に対する見解を示してくれていた。今回の主題は、SMOの主要な敵の動きについてであり、西側が最新の地対空ミサイル・システムを供給したことにより、戦場の状況にどう影響するかについて、だ。


 大佐、再度貴殿にお越しいただき、聞き取り取材に応じてくださり感謝しています。まずは基本的なことからお伺いします。キエフ政権軍の防空体制は今後弱まるとお考えですか? それとも、そうならないよう西側は武器の供給を続けるのでしょうか?

 まずは、皆さんと尊敬すべき読者の皆さんにお礼を言わせてください。再びみなさんと話せる機会が持てて光栄です。今回の話題は私の一番気になる話題だからなおさらです。この件に関しては、私は人生においていちばん力を入れて取り組んできたことなのです。言わせていただきたいのは、報道機関が防空体制について報じるのを聞くと、笑ってしまうことがよくあるということです。そして、防空システムをあんなにも強引に単純化して伝えているので、皆が(防空)体制というのはこんなにも重大で魔法のような効果があると考えてしまって、西側からあのような防空システムが届けば、最大限の範囲で効果を発揮して、すべてを破壊できる、と思わされている状況にも笑うしかないことがよくあります。
さらに、標的というのは様々であり、それぞれの対処法が必要だということもみなさんお分かりではないようです。例えば、弾道ミサイルを攻撃するのと、ドローンや戦闘機を標的にするのでは、やり方は全く異なります。防空システムというのはとても複雑なので、一度の聞き取り取材で語り尽くすことはできません。ですので私はなるべく簡単に、なるべく分かりやすくお話するように努めます。

 お伺いの件ですが、私が強く言いたいのは、各国の軍の様々な分野で使われている武器の相互通用性の重要性についてです。簡単に言えば、地対空ミサイル・システムの効果を最大限に発揮させるためには、防空体制内やそれ以外の軍組織において通用できる必要があるということです。この条件が満たされていなければ、通信の不具合や通信不足が生じ、誤作動が起こりやすくなり、職務上、このような不具合は命に関わる問題になります。
 これまでもウクライナ軍内部では、このような状況は比較的よく起こっていたことでした。かつてはウクライナの地対空ミサイル・システムのほとんどはソ連時代のものであり、長年使われていなかったため、使用法が忘れられていて、不始末もあったのですが、武器の相互通用性はしっかりとしていたのです。
 ウクライナ軍が自国の戦闘機やヘリコプターを撃墜した事例も少なからずありました。「自軍による誤爆事故」というものです。
 しかし、ウクライナが今NATOの防空システムをより多く手に入れたことで、このような問題は増える可能性があります。というのも、西側の防空システムとソ連時代の防空システムの間に相互通用性がない、あるいは通用性がないのに無理に通用させる場合も出てくる可能性があるからです。他の多くの武器と同様、この行為は非常に危険です。そうなってしまう主な理由は、NATOとソ連・ロシアの間には、防空に対する考え方に大きな違いがあることです。

 ロシアと西側の防空体制に対する考え方の違いについて、簡単にお話くださいますか?

 もちろんいいですよ。大きな違いは、防空をどれだけ優先しているかと、その考え方をどう進めているかの点にあります。地対空ミサイル・システムだけのことではないのです。

 NATOが主に力を入れているのは、制空権を確保することですが、ソ連(及び今のロシア)は、大規模な戦争においては、常に制空権を完全に確保しようとすることに力を注いでいるわけではありません。 その点において、西側諸国は通常防空を、軍において補助的なものとして捉えています。他方ロシア側は、防空を軍の方針の主要部として捉えています。具体的には、これらの防空能力を駆使して、大規模で複雑で十分に統合された体制がとれることを目指しているのです。そして何か問題が生じた時は、防空部だけで対応できるようにすることも目指しています。
 このようなことが、実際に戦争が起こった際や大規模な戦争が起こった際だけではなく、常時から目指されています。そのことを念頭に置けば、私が理解に苦しんだのは、西側の地対空ミサイルシステムは、ソ連時代のものよりウクライナ軍にとって役に立つものであると考える人々が存在することです。このことについては、私は今も理解できていません。

 その話についてはこの後すぐに必ず取り上げますが、その前にご意見をお伺いしたいのは、ウクライナの重要な基盤施設をロシア軍が攻撃することによる影響により、地対空ミサイルシステムの供給者という観点から、西側諸国政府の見通しがどう変わっているかという点についてです。

 そうですね。先ほど西側の防空に対する考え方について話しましたが、だからといって、西側の防空システムを過小評価してはいけません。このことは、NATOがウクライナ軍にNATOのミサイルを送ろうとしている点についても当てはまります。この先ミサイルの供給は必ず比較的安定化するでしょう。このような状況は、ロシア軍にとっては確実に脅威です。
 しかし、 ウクライナ軍の防空体制全般の能力は、 この先必ず激しく弱化するでしょう。その理由は単純、ミサイルにあります。ご存知の通り、ウクライナの地対空ミサイルシステムのほとんどはいまだにソ連時代のものであり、そのようなソ連時代のミサイルを大量生産できる国は、世界でロシアだけなので、ウクライナ軍がミサイル不足になることは避けられません。S-300PTミサイルやS-300PSミサイルなどについては、まさにそうです。そしてこれらのミサイルは、長距離地対空ミサイル・システムの中でウクライナがいちばん多く所有しているミサイルなのです。これはロシアの特殊軍事作戦の開始前の状況でしたが、これらのミサイルが大量に破壊された今も、その状況は変わっていないでしょう。
 これらの防空システムが大きく依存しているのが5V55系列ミサイルであるのは、この系列のミサイルが、ソ連軍や後のウクライナ軍の備蓄の中で一番多い型だったからです。

 ワシントン・ポスト紙ファイナンシャル・タイムズ紙など西側諸国の報道機関でさえ、このような状況を警告しています。興味深いことに、さきほど相互通用性の問題について触れられていましたよね。この問題はソ連時代の武器とNATOの武器との間の相互通用性に限られているとお考えですか?それとも、西側の様々な軍事システムについてもこの問題が拡大するとお考えですか?


 後者のように考えるのが正しい見方です。いま私たちの目の前で起こっていることは、私の良き友人が冗談めかして言っていたとおり、「戦時の武器万博」が開催されているようなものです。様々なNATOの軍事システムがウクライナ軍に送られている様子は、たしかに万博さながらです。「パトリオット」ミサイル、NASAMS(ノルウェーとアメリカが開発した中高度防空ミサイル・システム)、IRIS-T(ドイツの対空対ミサイル)、「Hawk(米国の対空対ミサイル)」など多種多様です。
 ソ連時代の様々なミサイルとこれらの「ミサイルの盛り合わせ」を合わせるということは、兵站上悪夢のようなもので、状況は悪くしかならないでしょう。
 よくしがちな間違いというのは、実際の数や様々な軍事システムを見比べるだけで、軍の実力を考えてしまうという見誤りです。しかし、兵站面や武器の操作のしやすさこそが、機械の「調子の良さ」にとって大事なことなのです。ソビエト社会主義共和国連邦の防空体制は広大な繋がりを有していて、防空面は非常に整ったものでした。その防空体制は現在でも(ウクライナ・ロシア両国で)存続しており、ロシア航空宇宙軍は、本質的には自国の防空体制と相対してしているということです。この防空体制はもう何十年も他に類を見ない優れものなのです。
 私が言い続けているのは、私の考えではNATOがこんな優れた防空体制に対抗できるわけがない、という点なのです。広大なSEAD (敵防空網制圧) という能力を有しているにせよ、です。これらの防空体制は昨年からずっと劣化の一途をたどっています。

もてはやされている米国の「パトリオット」地対空ミサイルについては、どのように評価されていますか?

 はい、書類上は、この「パトリオット」はとてもよい防空体制です。しかし、実際のところは、どんな武器も使ってみないとわからないのです。つまり、これまでのこのミサイルの実績を見てみると、そんなに褒められたものではないことがわかります。
 (湾岸戦争時の)「砂漠の嵐作戦」以来ずっと、米国は「パトリオット」に関して課題を持ち続けてきました。その課題の中には、様々なソフト面での課題が含まれていますし、さらには自国製の長距離ドローンやミサイルでさえ迎撃できないという課題もあります。
 加えて、最も基本的なミサイルであるS-300ミサイルと比べても、「パトリオット」にはいくつかの重大な欠陥があります。場所が検出されやすいこと、交戦距離の問題以外にも、「パトリオット」が迎撃できる標的の種類には限界があることもそうですし、 さらにもっと考慮すべき重要な問題があります。
 何より、S-300ミサイルのTEL(輸送起立発射機)がミサイルを発射する角度は90度ですので、このミサイルシステムを使えば、すべての地域を網羅できることになる点が重要です。他方、「パトリオット」が網羅できるのはたった120度の範囲だけなので、S-300と同範囲を網羅するためには、より多くの発射装置が必要になります。
 近年、この問題がサウジアラビアで露呈しました。 廉価で単純なドローンやミサイルが、「パトリオット」の守備範囲を乗り超える事象が生じたのです。その理由は、「パトリオット」は北・北西方向(イラン方面)を標的としていたのですが、実際の標的物が逆方向(イエメン方面)から飛来したからでした。
 もうひとつの重要な点は、「パトリオット」が持つ移動中の標的を撃墜する能力についてです。「パトリオット」のABM(弾道弾迎撃ミサイル)能力には、疑問が持たれていました。旧式のソ連型「スカッド」系統ミサイルに対しても、です。
 そしてこの場合、私たちが主に話題にしているのは、基本的な迎撃ミサイルのことですが、これらの迎撃ミサイルは進路が予測できるため、比較的簡単に動きの予測ができ、追跡もできます。
 しかし移動中の標的は、これらの予測をすべて無効化することができます。ミサイルが軌道を変えてしまえば、迎撃ミサイルの飛行通路に基づく計算がすべて使えなくなってしまい、新たに計算をし直し、ミサイルに反応する時間は減じられ、追加の迎撃ミサイルを発射しなければならなくなります。この点だけても、そのような移動中の標的に対して、このミサイル・システムの効果を大きく低下させる原因になります。   
 さらに、この状況に超音速速度という要素まで加われば、迎撃するという使命は事実上不可能になります。まさにこのような状況こそ、先日私たちが目にした状況なのです。ウクライナ軍は、ロシアの「キンジャール」ミサイルを撃墜したと発表した時のことです。
 出回っている動画を見れば、何十機ものミサイルが同時に発射されていたことがわかります。ロシア軍が本当に超音速ミサイルを使って、ウクライナ側が使用していた作動装置を攻撃したのであれば、ウクライナ軍の決定の裏にどんな状況があったかの説明になります。この日に発射された全てのミサイルが「パトリオット」からのものだったかどうか、私には確認できませんが、様々な報道が本当であれば、ウクライナ軍は、一年間に生産するミサイルの6%分をたった数分、あるいは数秒で使用したことになります。
 さらにこの件は、先述した別の問題も提起しています。 つまり、西側諸国は、ウクライナがこんなミサイルの使い方をして、供給を持続できるかという点です。したがって、この「軍事システム盛り合わせ」には、S-300系統ミサイルの際には生じなかった、費用面の問題が生じるということです。

 これら全ての状況を念頭に置けば、西側やウクライナ政権が、根拠なしにロシアの超音速武器に対する「パトリオット」ミサイルシステムの能力をもてはやしている持続不可能な裏にはどんな動機があるとお考えですか?

 はい。先述した私の友人が完璧なことばで総括したように、「戦時中万博」を開きたいという動機でしょう。大規模な戦争は全て、武器製造業者にとってみれば、自社の武器を売り込む最大の好機であり、今の危機的状況はまさにそういう状況です。実際今回の戦争はここ数十年なかった激しい戦争ですので、最も効果的であることが証明された武器システムは 、様々な業者にとって、この先長きに渡り大きな儲け口の契約を確保できることになるでしょう。「パトリオット」に特化して考えれば、情報戦争を起こせば、非常に必要とされているウクライナ軍の士気向上に繋がるだけではなく、これまで酷評されてきた「パトリオット」地対空ミサイルの評判の回復にもなるのです。そうなれば売上や株市場に貢献できます。

 ただしこの件には別の観点も存在します。ロシアの超音速武器が「標的に」されている理由は、世界からの名声や評判の問題と繋がります。
 アメリカ合衆国は、超音速武器については開発面でも配置面でもロシアによる大きく遅れをとっています。ロシア側が所有するこれらの超音速武器の評判を落とすことで、①米国はこれらのミサイルを「撃墜」する能力を有しており、②ロシアの超音速武器は「思われているほど優れたものではない」という2つの主張を支持してもらおうとしているのです。
 尊敬すべき読者の皆さんに、お考えいただきたいのは、ウクライナの防空体制はもう一年以上も稼働してきたのに、「パトリオット」ミサイルシステムが配置されるやいなや、ロシアの超音速ミサイルがやっと「撃墜された」という事実です。この件自体で、大きな疑問点が生じますし、撃墜したことを「証明」するために使われている「証拠」だけでも全く信頼の置けないものです。
 他方、「パトリオット」ミサイルシステムのまさに好敵手に当たるのが、S-300系統ミサイルなのですが、このミサイルは米国のSR-71「ブラック・バード」偵察機などが与える危険に対応するよう製造されています。その事実から、読者の皆さんによくお考えいただきたいのは、他の、特に西側の防空システムが、このS-300系統ミサイルと比べてどれほど効果があるのかという点についてです。

 大佐。,再度お越しいただき感謝いたします。ウクライナ軍の防空体制の現状について、お話を聞かせていただくという機会をくださり、ありがとうございました。

 こちらこそ、再度聞き取り取材を行ってくださり、ありがとうございました。皆さんと尊敬すべき読者の皆さんに再度お礼申し上げます。
関連記事

ウクライナにとって、米国に好印象を与えるための期間は「あと5ヵ月」―FT紙

<記事原文 寺島先生推薦>
Ukraine has ‘five months left’ to impress US – FT
The West cannot keep its military aid to Kiev flowing “forever,” several senior officials told the Financial Times
西側は、キエフへの軍事援助を「永遠に」続けることはできないと、何人かの政府高官がフィナンシャル・タイムズ紙に語った。
出典:RT 2023年5月18日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年5月30日


1039-1.jpg
資料写真. © Global Look Press / IMAGO / Vincenzo Circosta


 ウクライナがロシアとの紛争計画(がうまくゆくこと)をアメリカや他の西側の支援者たちに納得させるために、「進展」を示せる期限は5ヶ月だと、フィナンシャル・タイムズ紙は、木曜日(5月18日)、何人かの欧米の政府高官の話を引用して報じている。

 同紙はまた、ワシントンが選挙サイクルに入り、アメリカとその同盟国がウクライナに提供してきた大規模な軍事支援が無駄ではなかったことを示さなければならないとも述べている。

 「アメリカにとっては、この戦争を成功したものとして売り込むことが重要だ。同時に、ウクライナの進展の面で、それらの支援パッケージが成功していたことを証明する国内向けの目的もある」と、あるヨーロッパの高官がフィナンシャル・タイムズ紙に述べた。

 世論調査は、アメリカでウクライナへの国民の支持が低下していることを示しており、バイデン大統領政権はキエフへの支援に数百億ドルを費やしたことが戦線で大きな違いを生んだことを示さなければならないと、同紙は伝えている。

 フィナンシャル・タイムズ紙の情報源によると、ワシントンは次の5ヶ月が紛争の結果にとって重要だと考えている。「もし9月になってもウクライナが大きな進展を遂げていなければ、交渉に入れ!という[西側への]国際的な圧力はとてつもなく大きくなるでしょう」と、別の情報源が匿名を条件に同紙に語った。

1039-2.jpg

関連記事:ウクライナへの米国の資金が底をつく―ポリティコ

 9月には国連総会とG20首脳会議が連続して開催される。両イベントは、交戦中の当事者を交渉のテーブルに着かせるために利用される可能性がある、とフィナンシャル・タイムズ紙は伝えている。

 キエフへの西側の軍事支援も限界に近づいていると情報筋は警告している。「(キエフへの)メッセージは基本的に、支援としてはこれが精一杯、ということです。米国予算の柔軟性はもはやなく、ヨーロッパの兵器工場もフル稼働状態です」とあるとヨーロッパの高官が同紙に語った。

 アメリカは、兵器供給において、今もウクライナへの最大の支援国だ。ワシントンの同盟国は、その支援を維持する能力について懸念を抱いており、2024年のアメリカ大統領選挙にともない、支援が減少すると考えている。「我々は永遠に同じレベルの支援を続けることはできません」と、あるヨーロッパの高官は述べ、現在の支援レベルは1年または2年維持されるかもしれないが、それ以上は続かないと付け加えた。
関連記事

元独首相夫人が第二次世界大戦戦勝式典への出席を理由に職を剥奪される。

<記事原文 寺島先生推薦>
Ex-German chancellor’s wife fired for attending WWII victory celebration
So-yeon Schroeder-Kim was dismissed after visiting the Russian Embassy in Berlin to commemorate the defeat of the Nazis
ソー・イオン・シュレーダー・キム氏が職を剥奪されたのは、ナチスの敗北を記念するためベルリンのロシア大使館を訪問したからだった。
出典:RT 2023年5月16日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年5月30日



ソー・イオン・シュレーダー・キム夫人同伴のゲアハルト・シュレーダー元独首相© Getty Images / Sean Gallup


 ゲアハルト・シュレーダー元独首相夫人であるソー・イオン・シュレーダー・キム氏が、事業開発業者のNRW社で職を解かれたのは、同氏が戦勝記念日を祝福するため、ベルリンのロシア大使館を訪問したからだった。

 「シュレーダー・キム夫人はすぐに職を解かれ、当NRWグローバル・ビジネス社との雇用関係は無条件で終了しました」とNRWの報道官は火曜日(5月16日)ドイツの報道機関に述べた。

 同社の説明によると、同社は、韓国代表として勤務していたシュレーダー・キム夫人に、「微妙な問題、特にロシアやウクライナでの戦況について発言すべきではない」、と数回はっきりと伝えていたという。

 今回の措置は、シュレーダー・キム夫人と夫が、5月9日にロシア大使館を訪れ、第二次世界大戦でナチス・ドイツが敗北した78周年を祝う招待会に参加したことを受けてのことだった。この催しには、ドイツの複数の政治家も参加しており、右派大衆主義政党である「ドイツのための選択肢(AfD)」党の共同党首ティノ・クルパラ氏や「気候変動対策とエネルギーに関する委員会」の委員である左翼党のクラウス・エルンスト氏も参加していた。

 シュレーダー氏自身も、ロシア当局との繋がりを維持していることで、反発を受けている。元独首相のシュレーダー氏は、首相の座にいた1998年から2005年までの間、ロシアと良好な関係を構築し、ノルド・ストリームやロシアの国営石油会社であるロスネチフでそれぞれ幹部をつとめていた。



関連記事:独元首相が「ロシアとの繋がり」を理由に党を除名されそうになったが、その危機を回避した

 シュレーダー元首相はウクライナでのロシアの攻撃に対して何度も反対の声をあげてきたが、自身がプーチン大統領と距離をとることにも疑問の声をあげ、「何も良いことをもたらさないだろう」としてきた。ロシア側が軍事作戦を開始した直後、シュレーダー元首相は個人的にモスクワに赴き、プーチン大統領と面会した。それ以来同元首相は、ロシアは今の紛争について交渉による解決を模索していると主張し、 「プーチン大統領と話をする機会」を模索し続けると誓約している。

 元首相の立ち位置は、与党社会民主党(SPD)の他の議員らとは相いれず、先日、同党の複数の党員が、未遂には終わったが、シュレーダー元首相を除名処分にすることを求めたこともあった。しかし昨年、社会民主党は、シュレーダー元首相が持っていた議員特権を剥奪することには成功した。

 現職のオラフ・ショルツ首相政権下で、社会民主党は、ロシアとの繋がりや、ロシア原産のエネルギーへの依存を減らそうとしている。さらにショルツ首相の指揮の下で、ドイツ当局はウクライナ軍に何十億ドルにも相当する武器支援を供給してきた。
関連記事

ウクライナはお前たちが憎い、とゼレンスキーの最高位の側近がモスクワに語る。

<記事原文 寺島先生推薦>
Ukraine hates you, Zelensky's top aide tells Moscow
Top official has pledged to “persecute” Russians “always and everywhere,” echoing murder threats by Kiev's spy chief
最高位高官が、「常にどこでも」ロシア人を「迫害する」と誓った。これはキエフのスパイ主任による殺害の脅迫発言を反映している。
出典:RT 2023年5月18日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年5月29日



資料写真: ミハイル・ポドリャク、2022年3月、キエフにて。© Emin Sansar / アナドル通信社/ゲッティイメージズ

 ウクライナ大統領ウォロディミル・ゼレンスキーの最高顧問であるミハイル・ポドリャクは、彼の国はロシア国家の代表者たちを「憎んでおり」、「常にどこでも」迫害すると宣言した。彼のツイッター投稿は、キエフの軍事情報長官が彼の組織がロシア市民を標的にした暗殺を実行しているとの告白について、モスクワが国連に苦言を呈した後に行われた。

 ポドリャクは木曜日(5月18日)にTwitter上でロシアに対して怒りをこめた演説を展開した。これは、ウクライナ軍事情報部GURの長であるキリル・ブダノフ将軍が今週初めに記者に対し、彼の傘下の工作員が一部のロシアの公的人物を殺害し、そして「この世界のどこでもロシア人を殺し続ける」と誓ったことに対して、モスクワが非難したことへの反応だった。

 ロシア連邦国連大使は、ブダノフの発言を露骨なヘイト・スピーチの一例として非難した。しかしポドリャクはブダノフの発言に同意し、それに問題はないと語った。



関連記事:モスクワは、ウクライナが「ロシア人を殺害し続ける」と明言したことについて、国連に報告

 「それで? はい、ウクライナはあなたがたを憎んでいる。はい、私たちはあなたを迫害する。常にどこでも」と彼は誓った。ポドリャクはロシアを国連で「泣き言を言っている」と非難し、ロシアを「連続殺人犯の国」と呼んだ。

 「はい、ウクライナは法的にも身体的にも、あなた方一人ひとりを追い詰めます」とポドリャクは付言した。「そして、国連を利用するのをやめなさい―否定しようもない戦争犯罪者に国際法は存在しません」。

 ロシアの高官たちは、ロシア領土内でたくさんの「テロ攻撃」を企てたとキエフを非難している。例えば、クリミアの橋爆破事件、ジャーナリストのダーリャ・ドゥギナとブロガーのウラデン・タタルスキーの暗殺、作家ザハール・プリレーピンの殺害未遂などだ。

 キエフはこれらの犯罪のいずれに対しても責任を認めていない。しかし、西側メディアは、ウクライナ支援者たちがいくつかの事例についてモスクワの言っていることに同意したと報じている。ワシントン・ポストによれば、西側の高官たちはブダノフを秘かに称賛していて、「彼の大胆さは時に彼ら(ロシア)を不安にさせることがある」と述べている。

関連記事:「ロシアに関する全ては」クリミアから排除されなければならないーゼレンスキーの補佐官

 ロシア外務省の報道官であるマリア・ザハロワは、ブダノフの最新の発言は彼がテロリストを雇っていることを裏付けており、またキエフを支援する国々がこれを非難しないことで共犯となっていると主張した。
関連記事

「バフムート肉挽き機」の内部: ロシアはいかにしてウクライナ人をドンバスの「要塞」であるはずのアルチョモフスクから撤退させたのか?

<記事原文 寺島先生推薦>
Inside the ‘Bakhmut meat grinder’: How Russia forced Ukrainians to retreat from Artyomovsk, their supposed ‘fortress’ in Donbass
Nine months of fighting for a symbolic site in Kiev's attempt to regain control of the region have ended with another triumph for Moscow's forces
キエフがドンバスの支配権を取り戻そうとする中で、象徴的な場所をめぐる9カ月間の戦闘は、モスクワ軍の新たな勝利で幕を閉じた。
出典:RT 2023年5月21日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年5月29日


1036-1.jpg
ソーシャルメディア動画からのスクリーンショット

 アルチョモフスク(ウクライナ人はバフムートと呼ぶ)の戦いは2022年8月に始まり、次第にロシアとウクライナの戦闘の震源地と化していった。戦線の他の地域が比較的安定している中、双方がこの小さな都市に積極的に軍を投入した。2022年5月、アゾフスタルで敗北し、その印象を低下させたキエフにとって、アルチョモフスクは新しいマリウポリとなった。ウクライナのプロパガンダでは「バフムート要塞」というレッテルを貼り、そこで戦う人々に英雄的な雰囲気を与えようとした。

 この都市は西へ進むための戦略的重要性がないにもかかわらず、ロシア軍はウクライナのプロパガンダが突きつけた挑戦を受け入れた。では、9カ月に及ぶ「バフムートの肉弾戦」からモスクワは何を得たのだろうか。


地方都市から軍事要塞へ

 19世紀、アルチョモフスクはロシア帝国の地方都市であり、発展途上のドンバス地方の行政の中心地であった。しかし、他の都市が発展するにつれて、その役割は小さくなっていった。2022年2月のロシア軍の攻勢開始時には、この街の人口は約70,000人だった。2023年初頭に戦闘が行われたスパークリングワイン工場など、いくつかの工業施設がある。ウクライナ当局によると、その時点ですでに街の60%が破壊されていたという。

 この街の重要性は、2022年2月のロシアの軍事作戦開始後、飛躍的に高まった。当初、ロシア軍がポパスナヤ、ゾロトエ、リシチャンスク・セベロドネツクの集積地の第一線の要塞を破ったとき、アルチョモフスクは重要な輸送拠点となった。アルチョモフスクは、ウクライナの前線と他の地域とを繋いでいたのだ。

 ロシア軍がこの防衛線を破り、キエフ軍をルガンスク人民共和国(LPR)の領土から完全に排除した後、アルチョモフスクは輸送の拠点から、バフムトカ川周辺のウクライナ第二防衛線になった。このラインは、南はゴロフカ(2014年以降、ドネツク人民共和国(DPR)が支配)の反対側にあるウクライナ軍の拠点から北はセヴェルスクまで続き、ドンバスの主要河川であるセヴェルスキー・ドネツ川にまっすぐつながっている。

1036-2.jpg
アルチョモフスクの西部にある破損した高層ビル。© Sputnik / Yevgeny Biyatov

 アルチョモフスクは、この防衛線が破られることなく、占領されることはなかった。2022年7月以来、民間軍事会社(PMC)ワグナーの戦闘員たちは、まさにそのことに集中し、都市の包囲を成功させるための地ならしを行ってきた


アルチョモフスクの攻略

 アルチョモフスクの包囲に有利な条件が整い始めたのは、ポパスナヤでのロシアの勝利後、昨年5月のことである。月末には、ウグレゴルスク火力発電所の衛星都市で、ウクライナ軍が防衛拠点としたスヴェトロダースクを占領した。この都市の占領に2カ月を要したが、発電所には大きな損害はなかった。

1036-3.jpg

関連記事:テロの背後にある論理: なぜウクライナはドネツクの民間人地区を攻撃し続けるのか?

 ゴロフカの北側でも戦闘が続いている。アルチョモフスク方面への進撃という主目標に加え、住民の安全を確保するために、ウクライナ軍をさらに遠ざけることが重要だった。攻勢開始以来、ゴルロフカでは101人が死亡し、360人が負傷している。2022年の夏から秋にかけて続いたセミゴリエ、コデマ、ザイツェヴォという2つの村、マヨルスク、クルジュモフカ、オザリヤノフカという集落の戦闘の間に、ウ軍を遠ざけるという、この課題は部分的に達成された。ゴロフカの安全は北と北東から確保され、脅威は西と北西からしか残らなかった。

 ウクライナの要塞は、ゴルロフカ方面や南からのロシアの攻勢を抑止するために作られたものである。しかし、東からの再度の攻勢により、これらの要塞の戦術的価値は低下し、戦線の他の区域と比較して、すぐに襲撃された。

 12月までに、ロシア軍はアルチョモフスクの南郊外に到達し、これを封鎖した。10月当時、南郊外におけるロシア軍の存在は、オピツノエで戦う先遣部隊に限られていたが、12月には市郊外の畑での「予備作業」が完全に完了した。

 その頃、敵はアルチョモフスクの戦いに完全に参加しており、メディアはマリウポリやアゾフスタルの戦いのように、ウクライナ軍優勢の象徴として仕立て上げた。ウクライナ人は「バフムート要塞」の伝説を作り上げ、降伏する気にはなれなかった。実際、彼らは絶えず援軍を送り込んでいた。したがって、ロシアの次の目標は、アルチョモフスクの南西にある重要な要塞地域であるクレシェイエフカと、市の南部を覆うオピツノエとなった。

 これらの戦術的な目標は、1月末までにしか達成できなかった。その頃には、ウクライナ軍にとって状況はかなり悪くなっていた。南方ではロシア軍の進撃によりコンスタンチノフカとアルチョモフスクの間の道路が危険にさらされ、北方ではソレダルの陥落により、この都市はすぐに包囲されることになる。1月の展開では、ウクライナ軍は6ヶ月間の防衛が有利に働き、まだ安全に都市を脱出することができた。米国も同様の戦略を提案したというが、ウクライナのウラジミール・ゼレンスキー大統領は最後まで戦うことを好んだようだ。


市街地での戦闘

 2月中、ウクライナ側はコンスタンチノフカ・アルチョモフスク街道でのロシアの攻勢を封じ込めようとし、ワグナーグループのシャソフ・ヤールへの到達を阻止し、クラスノエ村の主要要塞地帯を占領した。ウクライナは予備兵をこの地域に移動させたため、これらの陣地を保持することができ、ロシア軍は北側から行動を起こすことを余儀なくされた。

 クラスノエの攻略に失敗したロシア軍は、アルチョモフスクの西の郊外に移動し、ソ連航空機の記念碑で知られる旧大砲部隊の地域へ移動した(ウクライナのジャーナリスト、ボランティア、軍人にとって人気の写真スポット)。この記念碑は、戦闘中に破壊された。噂によると、ロシア軍がこの地で戦勝記念撮影をするのを阻止するために、ウクライナ側が爆破したとも言われている。

 3月、この戦線ではウクライナ軍の予備兵力がより必要となり、以前クピャンスク近郊に駐留していた第92機械化旅団の部隊が導入された。しかし、その頃にはワグナーグループはアルチョモフスクの南西部郊外に深く進出していた。クヴァドラティ地区を占領し、チャイコフスキー通りに向かって進み、この地区を封鎖した。同時に、ロシア軍は市の南部で前進し、3月29日にブデノフカ地区とソバチェフカ地区の支配を確立した。

1036-4.jpg
資料写真: アルチョモフスク近郊のワグナーグループの軍人 © Sputnik / Viktor Antonyuk

 4月中、ウクライナ側はクラスノエ村/チャイコフスキー通りの線上でロシアの攻撃を抑止し続けた。ロシア軍が工業大学群を制圧し、チャイコフスキー通りとユビレイナヤ通りの交差点に到達できたのは、4月28日のことだった。その後、アルチョモフスクの防衛は実質的に2つに分断された。ウクライナ軍は、航空機記念碑付近の高層ビルが、ウクライナ軍が補給や避難に使う村道を監視するための観測拠点として使われることを恐れて爆破を開始した。

 2022年12月、ロシア軍はクレシュチェイエフカとオピトノエの攻略に加え、同市の工業地帯まで東進することに力を注いでいた。ワグナーグループはこれまで市街地近郊のみを支配していたが、12月には工業地帯と北側の森林地帯をほぼ完全に制圧した。これによりアルチョモフスクのミヤソコンビナート地区、ザバフムートカ地区への進出が可能となり、1月のソレダルの攻略にも役立った。

 ソレダルでの勝利により、ロシアはアルチョモフスクへの圧力を倍加させることができた。ロシア軍の戦線突破を阻止するため、ウクライナ軍はさらに予備軍を投入した。しかし、これは部分的にしか役立たなかった。ロシア軍はバフムトカ川を数カ所で渡河し、クラスノポル、サッコとヴァンゼッティ、ニコラエフカを占領してセヴェルスクに対する側面を確保した。その後、ジェレズニャンスコエ村付近でスラヴィアンスクに対する防壁を設置した。

 その後、ロシア軍は南西に向かい、クラスナヤ・ゴラとパラスコヴィエフカの最後の主要要塞を占領した。ソ連時代、パラスコヴィエフカの塩鉱山の跡地には、大規模な軍事倉庫があった。ウクライナ側はこのインフラを利用して防衛線を作ることができたが、これでは戦線を安定させることはできなかった。


ウクライナ軍の撤退

 この時点で、アルチョモフスク包囲網の南側がクラスノエのウクライナ側防衛線に突き当たったことが明らかになった。この時、ワグナーグループは砲弾が不足し、砲兵の行動が制限される事態に陥った。問題が解決すると同時に、戦闘員たちはアルチョモフスクから出る最後のルートの一つであるベルクホフカに移動した。

1036-5.jpg

関連記事:ウクライナの政治的暴力の100年は、今日の残虐行為にどうつながっているのか?

 2月24日にベルクホフカを占領し、ベルクホフスキー貯水池に到達したことで、ウクライナ軍はアルチョモフスクの北部地区であるストゥプキからの撤退を強いられ、アルチョモフスコエ村(クロモフ)への南西への道が開かれ、市から出る最後の比較的安全なルートとなった。

 ベルクホフカ解放の翌日、ウクライナ軍はヤゴドノエから撤退した。その後、セヴェルニ・スタフカ・ダムを爆破し、アルチョモフスク北西部の郊外からの反撃が制限された。2月はウクライナ軍にとって不運な結果となった。ロシア軍は市街から残る2本の道路を比較的安定した砲撃力で制圧し、ウクライナ軍は温暖な気候のため野原を脱出することが困難となった。

 一方、ロシア軍は東と南からアルチョモフスクの奥深くまで進軍を続けていた。市街戦は両軍の大きな戦力を拘束したが、ロシア軍の優れた大砲と突撃戦術によって勝利した。ワグナーグループのエフゲニー・プリゴジンは、この戦いの中で、「敵の兵力を押さえ込み、破壊することが主な任務である」と繰り返し強調した。

1036-6.jpg
資料写真: ドンバスでのワグナーグループの軍人 © Sputnik / Viktor Antonyuk

 3月2日、ウクライナのUAV(無人機)部隊の司令官(軍用コールサイン「マディヤル」)がビデオを撮影し、その中で、アルチョモフスクの状況を否定的に評価し、ウクライナ人はそこから脱出すべきだと述べた。また、ウクライナの若者は戦う気がないと非難した。部下の一人は、戦後、徴兵を免れた者をすべて殴り倒すと公言した。3月3日、「マディヤル」と彼の戦闘員たちは、司令官の命令を口実にアルチョモフスクから逃亡した。

 同日、プリゴジンはゼレンスキー宛てにビデオメッセージを録音し、ウクライナ軍守備隊の出口は残り1つであると述べた。彼はまた、3人のウクライナ人捕虜を映し出し、その中には職業軍人はおらず、老人1人と若者2人しかいなかった。

 3月8日には、街の東部全域がロシア軍に支配され、ウクライナ軍はバフムトカ川の西岸に押しやられた。ワグナーグループが進むにつれ、欧米メディアの論調は急速に変化した。それまでアルチョモフスクは戦略的に重要な地点と呼ばれていたが、3月6日には国防総省の長官が、この都市は戦略的価値よりも象徴的価値の方が高いと発表した。


春の戦い

 それにもかかわらず、ウクライナ軍は支配力を緩めることなく、ネオナチやウクライナ民族主義の思想で知られ、右派セクターの過激派部隊で編成された第67機械化旅団を含む追加予備軍を同市に移送した。プリゴジンによれば、これらの部隊はロシアの側面を包囲して攻撃することになっていた。

 ウクライナ予備軍は、ワグナー戦闘員との衝突でかなりの損害を被った。第67旅団の1つの大隊の司令官である有名なネオナチのドミトリー「ダヴィンチ」コツユバイロを含む何人かの将校が、ロシアの大砲によって殺害された。

1036-7.jpg
アルチョモフスクで壊れたウクライナの装甲車。© Sputnik / Sergey Averin

 しかし、キエフには、アルチョモフスクに配置された部隊と他のウクライナ軍を村道で結ぶボグダノフカ・アルチョモフスコエ区間を安定させるだけの資源が残っていた。このため、ロシア軍はスラビアンスクに向かうルートで圧力を北に移動させることになった。ドゥボボ・ヴァシレフカとザリズニャンスコはそれぞれ3月9日と3月15日に解放された。この進撃でいくつかの高台も占領され、スラビアンスク方面からの攻勢に対して北側の側面をかなり確保することができた。

 ロシア軍は、北からの襲撃を続け、アルチョモフスク金属加工工場(AZOM)の敷地を制圧することを目指した。3月10日に工場は襲撃され、3月14日には、2022年12月にゼレンスキーがウクライナ兵に表彰を行ったボストークマッシュ工場が攻略された。AZOMが完全に解放されたのは4月4日のことだった。

1036-8.jpg

関連記事:ウルフズエンゲル*の下で:ウクライナの過激な思想をめぐる不愉快な真実
*手前の兵士の首筋にある印。狼狩り用の罠をあしらったもので、ナチ党の最初のシンボル。

 その頃までには、PMCワグナーは北と南の陣地を利用し、市の中心部で大規模な攻勢を開始していた。廃墟と化した市庁舎は、4月2日までにロシア軍の支配下に置かれた。ロシア軍は市街地を完全に包囲することを断念し、敵を西に押しやることに専念した。

 突撃隊*の活躍にもかかわらず、ウクライナ軍による「ブロック分解」攻撃の危険は常にあった。この脅威を排除するため、ロシア軍の正規部隊の追加部隊がこの地域に移送された。4月の大半の間、ロシア軍はウクライナ最後の要塞地帯である市西部の高層ビル群、チェレマ地区とノヴィ地区への到達を試みた。
* 原文では storm troops 。「勇猛で知られるドイツのSturmtruppenを英語化した”storm troops”という言葉があってそれを連想させるように語を選んでいる」「ワグナーの中で更に勇猛な部隊による攻撃の恐ろしさを強調している」とのご指摘を読者の No Title さんからいただきました。

 突撃隊は東部、市の行政区、北部から攻勢を開始せざるを得ず、ポショロク住宅地区とバラの小路のそばでウクライナの防衛を突破した。バフムート2駅付近の鉄道が防衛線として機能した。

 4月22日、ウクライナ側の深刻な抵抗と幾度もの反撃にもかかわらず、この重要な場所をロシア軍が奪取した。これにより、東側から高層ビルが立ち並ぶ地区への進路が確保された。北側はクライナヤ通りに到達し、その南側にはソ連軍の大規模な基地がある。

 同時に、チャソフ・ヤールとアルチョモフスクの間の道路付近でも戦闘が激化した。この道路はロシア軍が定期的に攻撃していたが、ロシア軍が直接支配していたわけではない。ウクライナの要塞地帯がここを通り、南側の道路を覆い、アルチョモフスクからの残りの脱出ルートに対する視覚的な支配を制限していた。

1036-9.jpg
資料写真:ドンバスでのワグナーグループの軍人 © Sputnik / Viktor Antonyuk

 この2.5平方キロメートルを超える要塞地帯の攻略は、アルチョモフスクの長い戦いの最終章であった。5月初旬、プリゴジンは、弾薬の不足と新兵の確保が困難なため、自軍の攻撃力がほぼ枯渇していると発表した。彼は、ウクライナの反攻が迫っていることを警告し、部下に弾薬が必要であること、都市の北と南の陣地をロシア軍でカバーする必要があることを再度強調した。その頃、ワグナー軍の前進は1日平均150~200メートルで、ウクライナ守備隊を救うことができるのは、外からの包囲網を破る試みしか考えられなかった。


最後の一押し

 5月10日、ウクライナ軍はチャソフ・ヤールから南はクレシェイエフカ方面、北はベルホフスコエ貯水池方面の2方向への攻勢を開始した。その頃、アルチョモフスク周辺の側面を強化するために派遣されたロシア軍第9機動小銃連隊、第4、72、200旅団、第106空挺師団は、これらの地域に防御陣地を構えていた。

 当時、アルチョモフスクの北西と南西にあるロシアの前線陣地は、セヴェルスキー・ドネツ・ドンバス運河の西岸の足場を含め、脆弱と見られていた。ウクライナ軍のクラスノエ防衛により、ロシア軍は包囲網を完成させることができず、2つのロシア軍前哨基地はウクライナ軍の攻撃目標となった。

 ロシア軍は効果的な防御を行うため、前進陣地を前方防御線に変更した。ウクライナの反攻が始まると撤退し、攻めてくる敵に大砲を浴びせ、小競り合いを強いる。この戦略には、いくつかの弱点があった: 特に、アルチョモフスクの西にある、同市を包囲するために重要な高台の陣地が放棄されたことである。

 ウクライナ軍守備隊は安堵のため息をついて再編成しようとしていたが、その時、ワグナー部隊が市西部に残る3つの要塞地帯に対して最後の攻勢をかけたのである:グネズド、コンストラクター、ドミノである。激戦の末、5月18日にドミノを最後に陥落させることに成功した。それ以降、ウクライナ側が制圧したのは、クラスノエに向かう道路沿いにあるサモレ要塞の低層住宅地とわずかな高層ビルだけだった。ロシア軍は時間との戦いに事実上勝利し、ウクライナ軍がロシアの側面を突破する前にアルチョモフスクの支配権を獲得した。

 5月20日、ウクライナ軍は市内に残っていた要塞を失った。ワグナー兵は彼らをサモレットの拠点から追い出し、勝利を祝うとともに「バクムート肉弾戦」の終結を宣言した。


結論

 プリゴジンによれば、アルチョモフスクの戦いの重要性は、ロシアがウクライナの予備兵力を削り、キエフをアルチョモフスクに集中させ、戦線の他の地域、特にメリトポリ方面でのウクライナの攻勢を妨害できたという事実にある。2022年10月8日、セルゲイ・スロヴィキン陸軍大将とともに、ウラジーミル・ゼレンスキーを刺激してバフムートを保持するためにできるだけ多くの軍を投入させるために、バフムート村への攻撃「バフムート肉挽き」作戦を開始することを決定した。バフムートでは、ウクライナ軍を粉砕したので、『バフムート肉挽き』という名前になりました」とプリゴジンは語った。

1036-10.jpg
資料写真: アルチョモフスクのワグナーグループ軍人 © Sputnik / Yevgeny Biyatov

 いずれにせよ、アルチョモフスクでの9カ月以上にわたる戦闘は、紛争の認識を永久に変え、ウクライナとロシアの双方が、急ピッチの軍事作戦や大規模な打開策という考え方を放棄せざるを得なくなった。

 本稿で取り上げる戦闘は、前線から30キロメートルほど離れた場所で行われたものである。夏の暑さ、秋の泥濘、冬の霜という条件下で、それは第一次世界大戦に酷似していた。プリゴジンの予想では、ドネツク人民共和国の全領土の解放には、あと1年半から2年かかるという。

1036-11.jpg

関連記事:文字どおりの地雷原:ウクライナ紛争が数十年にわたり影響を及ぼす理由

 今後、ロシア軍はさらに西に進軍することになる。その途中には、2014年のロシアの攻勢が始まったスラビアンスク市や、クリボイ・トレツ沿いにあるウクライナの第三防衛線があるはずだ。セヴェルスクのウクライナ軍陣地も北側で対処する必要がある。

 一方、多くの軍事専門家は、ワグナー部隊は今後、他の重要な地域に配置転換されるだろうと示唆した。ウグレドールの町を襲撃するか、ウクライナ軍の反撃の可能性を撃退するためである。プリゴジンは、アルチョモフスクでの長い戦闘の後、部隊の回復と戦闘能力の回復のために25日間の休止を要求している。

 5月20日にアルチョモフスクの完全攻略を発表したビデオの中で、プリゴジンは、5月25日以降、ワグナー部隊は休息と再編成のために後方に出発すると述べている。

 しかし、5月の反攻の間に多くの陣地を奪ったウクライナ軍の大部分は、アルチョモフスクの西にまだ残っている。彼らはチャソフ・ヤールに足場を築き、クラスノエとミンコフカの間の線を保持しているため、ロシア軍がセヴェルスキー・ドネツ=ドンバス運河沿いの戦線を安定させるのを妨げている。アルチョモフスクにロシア国旗が掲げられ、ロシア兵が戦場を完全に掌握した今、最優先すべきことは、反攻のために集結したウクライナ軍に最大の損害を与え、運河西岸に追い出すことである。

筆者は、ウラジスラフ・ウゴルニ。ドネツク生まれのロシア人ジャーナリスト。
関連記事

ワクチンを食べよ:mRNA遺伝子療法が今月、食品供給に登場するだろう。

<記事原文 寺島先生推薦>
Eat Your Vaccines: mRNA Gene Therapy Is Coming to the Food Supply This Month
They’ve given up on a needle in every arm. Now they’re coming for what you eat.
彼らは腕の中に注射をすることを諦めた。今度は我々の食べ物を狙っている。
筆者:The Vigilant Fox(警戒キツネ)
出典:Global Research  2023年4月7日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年5月29日




***

 弁護士のトム・レンツがナオミ・ウルフ博士との驚くべきインタビューで述べたところによれば、「私はNIH(アメリカ国立衛生研究所)から2002年の文書を手に入れました。それはワクチンを食品に統合することについて書かれています。少なくとも20年以上にわたって、彼らはこれらのワクチンを私たちの食品供給に統合するために取り組んできました」。



 レンツ氏はSubstackの最新の記事を持ってきた。

 「これがNIHで発表された記事(政府が出版したものですね)です。食品を遺伝子組み換えして食用ワクチンにするための『申請中』の食品について話しています――2013年から。食品がワクチンとして機能するように変更されることは議論の余地がありません」と彼は書いている。

 そして、レンツ弁護士の最近のツイートによると、「数州の牛肉業者と豚肉業者のロビイストは、今月豚と牛にmRNAワクチンを使用するだろうことを確認した」とのこと。


 「ゲイツ、WHO、これら数多くの大学:彼らはすべて、食品の一部としてmRNAワクチンを含めることについて話しています。彼らはこれらの食品の遺伝子を変更して、それらをmRNAワクチンにします」と彼はこの映像で警告している。



 しかし、ミズーリ州の法案HB 1169はそのような取り組みに反対することを目指している。これは「歴史上最も論争のある法案の1つ」と形容されているが、それは単なる表示に関する法案だ。何も禁止していない。食品製品が遺伝子療法製品であるかどうかを知るあらゆる権利を私たちは持っている。したがって、この法案が可決されれば、情報提供に基づく同意と、おそらく私たちの福祉にとって重要な勝利となる。全文はDailyCloutで読むことができるが、以下に抜粋を示す:



関連記事:牛肉製造業者はmRNAワクチンのニュースで大混乱

 遺伝子療法として機能するために作成された製品、または製品が遺伝子療法として機能する可能性のある処理にさらされた製品、または製品の使用者、製品にさらされた個人、または製品を使用した他の個人に遺伝子物質または遺伝子変異を可能性として影響を与える可能性のある製品は、「潜在的な遺伝子療法製品」という言葉が目立つように表示されなければならない。ただし、製品が遺伝子療法製品であることが判明している場合を除く。 潜在的な購入者または製品の使用者がこの表示の存在を知るようにするために合理的な措置を講じなければならない。製品が遺伝子療法製品であることが判明している場合、製品は「遺伝子療法製品」という言葉が目立つように表示されなければならない。この項の規定は、潜在的な遺伝子療法製品の開示に資するよう広く解釈されなければならない。
*
 この法案は「できるだけ通過しやすく、できるだけ反対しにくいよう」に書かれた、とレンツ弁護士は述べた。

ミズーリ州法案HB 1169は3つのことが要点だ:

1.) 「遺伝子療法の特徴を持つ製品についての表示と開示が求める。」

2.) 「市場に出回っている遺伝子療法の特徴を持つ製品について、誰でも企業に電話をかけて『これはどのように広まるのですか?』『食品から取り除けますか? 接触を通じて広がりますか? 性的接触を通じて広がりますか? それとも他の方法で広がる可能性がありますか?』と尋ねることができる。そして企業はそれに開示しなければならない」。

3.) 「インフォームド・コンセント(治療や治療薬に対する患者の同意)が求められる。インフォームド・コンセントには、重大な出来事や特別な関心事項に関する不良事象が含まれる・・・そして、遺伝子療法または医薬品の特性を持つものを私たちに与える前に、インフォームド・コンセントが求められる。」

  「そう、これは難しくありません」とレンツ弁護士は強調した。

  「これは民主党の法案でも共和党の法案でもないと思います。共和党の代表(ホリー・ジョーンズ議員)が提案しましたが、普遍的に支持されるべきです」と彼は述べた。しかし、「これはミズーリ州史上最も論争を呼ぶ法案になってしまいました」と彼は嘆いた。「私たちが求めているのは透明性と開示だけです」。

 今や、製薬会社は透明性と情報公開に反対することはできない。だから彼らは農業界に味方してもらう必要がある。いいだろうか、ビル・ゲイツと中国共産党はアメリカの農業の最大の保有者なのだ。「だから、これらの人々(ゲイツと中国共産党)はこれらの人々(農業協会)にお金をばらまくのだ — これらの人々を買収するのだ。彼らは地元の農民を代表していない」と、レンツ弁護士は証言した。

 しかしこの法案がそれほど重要な理由はここにある。

 トム・レンツ弁護士がミズーリ州の法案HB 1169を成立させるのに手を貸すなら、「その情報開示と情報取得(私の食べ物には遺伝子療法が含まれているのか?)能力は世界的に適用されます。だから、もし私たちが1つの州で勝てば、ミズーリ州の真実はアイオワ州の真実にもなる。だから私たちは地球上の全ての人々に、これらの人々に電話して、これを通過させてもらわなければなりません — 我々人民のために立ち上がってもらわなければなりません。大事なことは、透明性と情報開示だけです。私たちはそれを禁止などしません。彼らは、禁止しても有害な食品を作ることができます。私としては、遺伝子療法が、私が食べているものに含まれているかどうか、知る必要があるだけです」と彼は説明した。

 そして、彼らが遺伝子療法を施した食品をそのように表示し、ラベルを付ける義務が生じれば、それで解決だ。そのような食品製品の摂取はできなくなる。

 だから、あなたがミズーリ州にいるのか、アイオワ州にいるのか、イギリスにいるのか、オーストラリアにいるのかに関わらず、法案HB 1169を最後まで押し進めるために手を貸す必要がある。

 トムが言ったように、もしアイオワ州でその法案が通れば、「その情報開示と情報取得の能力は世界的に適用されます」。だから、この法案をソーシャルメディアで共有し、地元の議員に電話をかけほしい — 自分の地域で法案HB 1169に似た法案が議論されていない理由を議員に尋ねてほしい。

 それを行う最も簡単な方法は、双方向的なDailyClout 'Billcam'で投票して、あなたの支持または反対を示すことだ。ソーシャル・メディアを通じて法案を送信し、法案の提案者やあなたの代表者にツイートすることもできる。

*

The Vigilant Foxは、12年間の医療経験を持つ市民ジャーナリストであり、グレート・リセット、世界の抗議活動、およびCOVID-19に焦点を当てている。COVIDに関する措置、命令、および医療差別に深く憂慮した後、彼は自身の自由な時間と努力を捧げ、世界中の一流の医師、科学者、思想的な指導者を特集した短い情報提供動画の制作に取り組んでいる。
関連記事

ウクライナにおける軍事状況―ジャック・ボー(2022年5月初出)

<記事原文 寺島先生推薦>
The Military Situation In The Ukraine. Jacques Baud
筆者:ジャック・ボー (Jacques Baud)
出典:Global Research   2023年5月20日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年5月29日




***

本記事は 2022年5月初出


第1部 戦争への道

 数年間、マリからアフガニスタンまで、私は平和のために働き、命をかけてきた。したがって、戦争を正当化することではなく、何が私たちを戦争に導くのかを理解することが問題なのだ。[・・・.]

 ウクライナの紛争の起源を考察してみよう。それは、過去8年間にわたって「ドンバスの分離主義者」や「独立主義者」と称されてきた人々から始まる。これは誤った呼称。2014年5月にドネツクとルハーンスクの2つの自称共和国で行われた住民投票は、「独立」(независимость)ではなく、「自決」や「自治」(самостоятельность)のための投票だった。無節操な報道関係者が主張するような「独立」のための住民投票ではなかったのだ。また、「親露」という修飾語は、ロシアが紛争の当事者であったかのような印象を与えるが、実際にはそうではなかった。「ロシア語話者」という表現の方がより正確なのだ。さらに、これらの住民投票はウラジーミル・プーチンの忠告に反して実施されている。

 実際、これらの共和国はウクライナから分離することを求めていたのではなく、ロシア語の公用語としての使用を保証された自治地域の地位を求めていた。なぜなら、アメリカの支援による(民主的に選出された)ヤヌコビッチ大統領の打倒によって生まれた新政府の最初の立法行為は、2012年のキヴァロフ・コレスニチェンコ法を廃止するものであり、これによってロシア語はウクライナの公用語ではなくなった。まるでドイツ語話者のクーデター派が、スイスでフランス語とイタリア語は公用語ではないと決定するようなもの。

 この決定はロシア語話者の人々の間で激しい反発を引き起こした。その結果、2014年2月以降、オデッサ、ドニプロペトロウシク、ハルキウ、ルハーンスク、そしてドネツクなどのロシア語話者地域に対して激しい弾圧が行われ、状況は軍事化され、ロシア人に対する恐ろしい虐殺(特にオデッサとマリウポリでもっとも顕著)が行われた。

 この段階では、ウクライナの参謀本部は作戦行動を取るにあたって、きわめて厳格で教条的なやり方に没頭し、敵を抑え込むことに成功したが、全面的な勝利というわけにはいかなかった。自治主義者による戦争は、軽量な手段で行われる非常に機動的な作戦・・・(で構成されていた)。より柔軟で教条的でないやり方を駆使することで、反乱軍はウクライナ軍の無気力を利用し、彼らを繰り返し「罠」にかけることができた。

 2014年、私がNATOにいた当時、私は小火器の拡散に対する戦いを担当しており、我々はロシアの反乱軍への武器供与を見つけ出そうとし、モスクワが関与しているかどうかを確認しようとしていた。当時、私たちが受け取った情報はほとんどがポーランドの情報機関からのものであり、欧州安全保障協力機構(OSCE)からの情報とは「整合性」が取れていなかった。そして、かなり乱暴な主張はあったが、ロシアからの武器や軍事装備の供給は一切なかった

 反乱軍は、ロシア語話者のウクライナ部隊が反乱軍へ寝返ったことによって武装化された。ウクライナの失敗が続くなか、戦車、砲兵、そして対空部隊が自治主義者の勢力を増大させた。これがウクライナをミンスク合意に取り組ませた要因だった。

 しかし、ミンスク1合意に署名した直後、ウクライナの大統領ペトロ・ポロシェンコはドンバス地域に対して大規模な「反テロ作戦」(ATO/Антитерористична операція)を開始した。NATOの将校たちのまずい助言もあり、ウクライナはデバルツェボで壊滅的な敗北を喫し、それで彼らはミンスク2合意への関与を余儀された。

 ここで重要なのは、ミンスク1合意(2014年9月)およびミンスク2合意(2015年2月)は、共和国の分離や独立を提供していないことを思い起こすことだ。そうではなく、ウクライナの枠組みの中での自治が提案されているのだ。これらの合意を実際に読んだ人は(実際に読んだ人は非常に少ない)、共和国の地位はキエフと共和国の代表者との間で協議され、ウクライナ内の内部的な解決策となることが記されていることに気付くだろう。

 そのため、2014年以来、ロシアはミンスク合意の履行を体系的に要求している一方で、交渉に参加することを拒否している。それはウクライナの内部問題だからだ。一方、フランスを中心とする西側は、常に「ノルマンディー・フォーマット」という形式でミンスク合意を置き換えようと試みた。これにより、ロシア人とウクライナ人が直接対峙することになったのだ。しかし、私たちは忘れてはならない。2022年2月23日から24日まで、ドンバスには一度もロシア軍が存在していないことを。さらに、それ以前にはドンバスにおいてロシア部隊のわずかな痕跡もOSCE(欧州安全保障協力機構)の監視員たちは観察していない。たとえば、2021年12月3日にワシントン・ポストが公開したアメリカの情報地図には、ドンバスにロシア軍がいるとは記されていない。

 2015年10月、ウクライナ安全保障庁(SBU)の長であるヴァシール・フリツァクは、ドンバス地域でわずか56人のロシア兵が確認されたと告白した。これは、1990年代に週末にボスニアで戦うために行ったスイス人や、現在ウクライナで戦うために行くフランス人とまったく同じだ。

 その時点で、ウクライナ軍は惨めな状態にあった。2018年10月、4年間の戦争の後、ウクライナの軍事検察総長であるアナトリー・マティオスは、ウクライナがドンバス地域で2700人の死者を出したと述べた。そのうち、891人が病気により、318人が交通事故で、177人がその他の事故で、175人が中毒(アルコール、薬物)により、172人が武器の不注意な取り扱いで、101人が安全規則の違反で、228人が殺人により、そして615人が自殺により死んだ。

 実際、ウクライナ軍は幹部の腐敗によって揺らぎ、人々の支持はなくなっていた。イギリス内務省の報告書によると、2014年3月/4月の予備役の呼び出しでは、最初の集会には70%が現れず、2回目には80%、3回目には90%、4回目には95%が現れなかった。2017年10月/11月の「2017年秋季」の予備役呼び出しでは、徴集された者の70%が現れなかった。これには自殺脱走(自治主義者の側に移ることが多い)は含まれておらず、ATO地域の労働力の約30%に達することもあった。若いウクライナ人はドンバスでの戦闘に行くことを拒み、移民を選ぶ傾向があった。これは、少なくとも部分的にはウクライナの人口不足の説明になっている。

 その後、ウクライナ国防省は自国の軍隊をより「魅力的」にするためにNATOに協力を求めた。私はすでに国連の枠組みで同様の計画に取り組んでいたため、NATOからウクライナ軍の印象を回復する計画に参加するよう求められた。しかし、これは長期的なプロセスであり、ウクライナ人は事を速く進めたいと考えていた。

 そこで、兵士の不足を補うため、ウクライナ政府は準軍事組織に頼ることにした・・・2020年時点で、これらの組織はウクライナ軍の約40%を占め、ロイターによれば約10万2000人の兵士がいた。彼らはアメリカ、イギリス、カナダ、そしてフランスによって武装化、資金援助、そして訓練されていた。参加している人々の国籍は19以上あった。

 これらの準軍事組織は、2014年以降、西側の支援を受けてドンバス地域で活動していた。「ナチ」という言葉については議論の余地があるかもしれないが、事実は、これらの組織が暴力的で嫌悪すべき思想を伝え、激しく反ユダヤ主義的であるということだ・・・[そして、]彼らは狂信的で残忍な個人から成っている。最もよく知られているのはアゾフ連隊で、その紋章は1943年にソ連からハルキウを解放し、その後1944年にフランスのオラドゥール=シュル=グラヌで大量虐殺を行った第2SS装甲師団ダス・ライヒを連想させるものだ・・・

 ウクライナの準軍事組織を「ナチス」または「新ナチス」と表現することは、ロシアのプロパガンダと見なされている。しかし、それはイスラエルのタイムズウェストポイントのテロ対策センターの見解ではない。2014年には、ニューズウィーク誌がそれらをむしろ「イスラム国」と結びつけるような記事を掲載していた。選ぶのはあなた次第!

 そのため、西側は2014年以来、民間人に対する多くの犯罪行為(強姦、拷問、大量虐殺など)を行って準軍事組織を支援し、武器を与え続けた・・・

 これらの準軍事組織をウクライナ国家警備隊に統合しても、「非ナチ化」には全くならなかった。そう主張する人もいる

多くの例の中でも、アゾフ連隊の紋章は示唆に富んでいる:



 2022年において、非常に図式的に言えば、ウクライナのロシアの攻勢に対抗するために戦ったウクライナ軍は、次のように編成されていた:

 ■ 陸軍は国防省に所属しており、3つの軍団に組織され、機動部隊(戦車、重砲、ミサイルなど)で構成されている。

 ■ 国家警備隊は内務省に所属し、5つの地域司令部に組織されている。

 したがって、国家警備隊はウクライナ軍に属さない地域防衛部隊だ。それには「義勇大隊」(добровольчі батальйоні)と呼ばれる準軍事組織、または「報復大隊」という刺激的な別名で知られる歩兵部隊が含まれている。彼らは主に都市戦闘の訓練を受けており、現在はハルキウ、マリウポリ、オデッサ、キエフなどの都市を防衛している。


第2部 戦争

 スイスの戦略情報部隊の元分析責任者として、私は悲しみはあっても、驚きはしないが、私たちの情報機関はもはやウクライナの軍事状況を理解することができなくなっている、と私は見ている。私たちのテレビ画面に現れる自称「専門家」たちは、ロシアやウラジーミル・プーチンは無分別だとの主張を変調させながら、同じ情報を倦むことなく流し続けているからだ。一歩引いて考えてみよう。

1.戦争の勃発

 2021年11月以来、アメリカは絶えずロシアがウクライナに侵攻する恐れがあると言っていた。しかし、最初の段階ではウクライナ人は同意しないようだった。なぜか?

 2021年3月24日に遡る必要がある。その日、ヴォロディミル・ゼレンスキーはクリミアの奪還のための布告を発し、国の南部に部隊を展開し始めた。同時に、黒海とバルト海の間ではいくつかのNATOの演習が行われ、ロシアの国境沿いでの偵察飛行の回数も増えていた。その後、ロシアはいくつかの演習を実施し、自国の部隊の作戦的な準備状況を確認し、状況の進展に注意を払っていることを明らかにした。

 事態は10月から11月にかけてZAPAD 21演習が終了するまで落ち着きを見せた。この演習における軍隊の動きは、ウクライナへの攻撃のための増強と解釈された。しかし、当のウクライナ当局は、ロシアが戦争の準備をしているという考えを否定し、ウクライナの国防大臣であるオレクシー・レズニコフは、春以来国境に変化はまったくなかったと述べている。

 ミンスク合意に違反して、ウクライナはドローンを使用したドンバスでの空中作戦を行っており、2021年10月にはドネツクの燃料貯蔵庫に対して少なくとも1回の攻撃が行われた。アメリカの報道はこれに注目したが、ヨーロッパは報道しなかった;これらの違反行為を非難する声は皆無だった。

 2022年2月、事態は山場を迎えた。2月7日、エマニュエル・マクロンはモスクワ訪問中にウラジーミル・プーチンに対し、ミンスク合意への約束を再確認し、翌日にはヴォロディミル・ゼレンスキーとの会談後にも同様の約束を繰り返した。しかし、2月11日にはベルリンで開催された「ノルマンディー・フォーマット」協議の指導者の政治顧問の会議が9時間にわたる作業の末、具体的な結果なしに終了した。ウクライナ側は依然としてミンスク合意の適用を拒否した。それはおそらくはアメリカの圧力。ウラジーミル・プーチンは、マクロンが空虚な約束をしたと指摘し、西側が合意を履行する準備ができていない(解決策に反対するのは8年間変わっていない)ことを指摘した。

 ウクライナの接触地帯での準備は続いていた。ロシア議会は懸念を抱き、2月15日にウラジーミル・プーチンに対し、共和国の独立を承認するよう求めたが、彼は最初これを拒否した。

 2023年2月17日、ジョー・バイデン大統領はロシアが数日以内にウクライナを攻撃すると発表した。彼がこれをどのように知ったのかは謎。しかし、2月16日以降、ドンバス地域の住民への砲撃が劇的に増加し、OSCE(欧州安全保障協力機構)の観察員日報によっても、それは明らかだった。当然ながら、メディアや欧州連合、NATO、そして他の西側諸国政府は反応せず、介入しなかった。後にこれはロシアの誤情報だと言われることになる。実際には、欧州連合と一部の国々はドンバス地域の住民の虐殺を意図的に黙認し、これがロシアの介入を引き起こすことは知っていたようだ。

 同時に、ドンバス地域での破壊活動に関する報告もあった。1月18日、ドンバスの戦闘員たちは、ポーランド語を話し、西側の装備を持った破壊工作員を捕らえた。彼らはゴルリウカ化学的な事件を引き起こすことを企てていた。彼らはCIAの傭兵である可能性があり、アメリカ人によって指導または「助言」を受けており、ウクライナ人やヨーロッパ人の戦闘員で構成されていた可能性がある。彼らはドンバス地域での破壊活動を行うために派遣されたのだ。

 実際、2022年2月16日には、ジョー・バイデンはウクライナがドンバス地域の民間人を激しく砲撃し始めたことを知っていた。これにより、ウラジーミル・プーチンは難しい選択を迫られた:ドンバス地域を軍事的に支援し、国際問題を引き起こすか、それともドンバスのロシア語話者が粉砕されるのを、一歩身を引いてただ見ているのか、という選択だ。

 もしプーチンが介入を決断した場合、彼は「保護責任(R2P)」という国際的な義務を行使することもできた。しかし、それがどのような性質や規模であっても、介入は制裁の嵐を引き起こすことを彼は知っていた。したがって、ロシアの介入がドンバス地域に限定されるか、ウクライナの立場を巡って西側への圧力を高めることになるのか、いずれにしても支払うべき対価は同じだった。彼はこれを2022年2月21日の演説で説明した。その日、彼はドゥーマ(ロシア連邦議会下院)の要請に応じ、ドンバス地域の2つの共和国の独立を認め、同時に両国との友好・援助条約に署名した。

 ウクライナ軍のドンバス地域住民への砲撃は続き、2月23日、2つの共和国はロシアに軍事支援を求めた。2月24日、ウラジーミル・プーチンは国際連合憲章の第51条を行使し、防衛同盟の枠組みでの相互の軍事支援を宣言した。

 ロシアの介入を一般大衆の目に完全に違法に見せるために、西側の大国は戦争が実際には2月16日に始まったことを意図的に隠した。ウクライナ軍は2021年からドンバス攻撃の準備をしており、ロシアやヨーロッパの一部の情報機関もこれについて十分に把握していた。

 2022年2月24日の演説で、ウラジーミル・プーチンは彼の作戦の二つの目的を述べた。「ウクライナの非武装化」と「ナチズムの排除」。したがって、ウクライナの占拠という問題ではなかった。まして(おそらく)占領することでもない。そしてもちろん破壊することでないことははっきりしていた。

 それ以降、作戦の進行に関する情報は限られている。ロシア側はその作戦に対して優れた安全保障対策(OPSEC)を持っており、計画の詳細は知られていない。しかし、比較的早い段階で作戦の進行状況が明らかになり、戦略的な目標が作戦レベルでどのように展開されたかが理解できるようになった。

非武装化
■ ウクライナの航空機、防空システム、偵察資産の地上破壊。
■ 指揮・情報構造(C3I)および主要な後方物流経路の無力化。
■ 国土の奥深くにおける大半のウクライナ軍を包囲すること。

ナチズムの排除
■ オデッサ、ハルキウ、そしてマリウポリの都市および領土内のさまざまな施設で活動している義勇軍の破壊または無力化。


2.非武装化

 ロシアの攻勢は非常に「古典的」な手法で行われた。最初は、イスラエルが1967年に行ったように、最初の数時間で地上の空軍を破壊した。その後、「流れる水」の原則に従って、複数の軸に沿って(作戦は)同時進行していった:抵抗が弱い場所ではどこでも前進し、都市(兵力面で非常に要求の高い地域)は後回しにされた。北部では、破壊工作を防ぐためにチェルノブイリ原子力発電所が直ちに占拠された。ウクライナとロシアの兵士が一緒に発電所を守っている映像はもちろん放映されない。

 ロシアが首都キエフを占拠し、ゼレンスキーを排除しようとしているという考えは、典型的には西側から出てきている・・・しかし、ウラジーミル・プーチンは決してゼレンスキーを撃つことや転覆させることは考えていなかった。そうではなく、ロシアは彼を権力に留めることで、彼を交渉の場に就かせ、キエフを包囲することを目指している。ロシアはウクライナの中立を獲得したいのだ。

 西側の評論家の多くは、ロシアが軍事作戦を行いながら交渉解決を追求し続けることに驚いていた。その説明は、ソビエト時代からのロシアの戦略的見方にある。西側にとって、政治が終わると戦争が始まるのだが、ロシアの進め方はクラウゼヴィッツの影響を受けている。戦争は政治の延長であり、戦闘中でさえも柔軟に立場を移行できるという考え方だ。これにより、相手に圧力をかけて交渉を促すことができるのだ。

 作戦の観点から見ると、ロシアの攻勢は以前の軍事行動と計画の一例だった:わずか6日間で、ロシアはイギリスと同じ広さの領土を占拠し、進撃の速さは1940年にヴェルマッハト(ドイツ国防軍)が達成したものよりも速かった。

 ウクライナ軍の主力は、ドンバスに対する大規模な作戦の準備のため、国の南部で展開されていた。このため、ロシア軍は3月初めからスラヴャンスク、クラマトルスク、そしてセヴェロドネツクの「包囲の釜」でそれを包囲することができた。また、ハルキウから東部からの突撃と、クリミアから南部からのもう一つの突撃が行われた。ドネツク(DPR)とルガンスク(LPR)の共和国の部隊は東部からの突撃でロシア軍を補完している。

 この段階において、ロシア軍は徐々に包囲網を狭めているが、時間的な焦りや実行計画の制約はもはやない。彼らの軍事的な非武装化の目標はほぼ達成され、残されたウクライナ軍はもはや作戦および戦略的な指揮構造を持っていない。

 「専門家」たちが物資の不足が原因だとする「停滞」は、目標の達成による結果に過ぎない。ロシアはウクライナ全土の占領を望んでいるわけではない。実際、ロシアは進撃をウクライナの言語的な境界に制限しようとしているように思われる。

 報道機関は、特にハルキウでの市民への無差別な爆撃について報じ、恐ろしい映像が広く放映している。しかし、ラテンアメリカの特派員であり現地に住むゴンザロ・リラは、3月10日11日の平穏な街の様子を私たちに伝えている。確かに、ハルキウは大都市であり、私たちはすべてを見ているわけではないが、ゴンザロ・リラの報道は、テレビ画面で繰り返し見せられるような全面戦争に今私たちが置かれているわけではないことを示唆しているようだ。ドンバス共和国に関しては、彼らは自分たちの領土を「解放」し、戦闘は今マリウポリ市で継続中だ。


3.ナチズムの排除

 ハルキウ、マリウポリ、そしてオデッサなどの都市では、ウクライナの防衛は準軍事民兵によって行われている。彼らは、「ナチズムの排除」という目標が主に彼らに向けられていることを知っている。都市化された地域を攻撃する側にとって、市民は問題だ。そのため、ロシアは人道的な通路を作り出し、市民を避難させて準軍事民兵だけを残し、より容易に戦うことを探っている。

 逆に、これらの準軍事民兵は、市民が避難することを邪魔し、ロシア軍がそこで戦うことを思いとどまらせようとする。そのため、彼らはこれらの通路を使うことに消極的であり、ロシアの努力が失敗するようにあらゆる手段を講じる。彼らは市民を「人間の盾」として利用する。マリウポリから脱出しようとする市民がアゾフ連隊の戦闘員によって暴行を受ける様子を捉えた動画は、もちろん西側の報道機関によって注意深く検閲される。

 Facebookでは、アゾフ集団はイスラム国(ISIS)と同じ枠に分類され、Facebookの「危険な個人や組織に関するポリシー」の対象となっていた。そのため、その活動を称賛することは禁止され、それに好意的な投稿は一貫して禁止されていた。しかし、2021年2月24日、Facebookはその指針を変更し、民兵団に対する有利な投稿を許可した。同じ精神で、2021年3月には、Facebookは旧東欧諸国で、ロシア兵士や指導者の殺害を呼びかける投稿を許可した。私たちの指導者たちを奮い立たせるような価値観はもう十分だ。

 私たちの報道機関は、ウクライナの人々による大衆的抵抗運動という感情的な印象を広めている。この印象が、欧州連合が市民に武器を配布することを資金提供する理由となった。私は国連の平和維持活動の責任者として、市民の保護に関する問題に取り組んできた。私たちは、市民に対する暴力が非常に特定の文脈で発生することを発見している。特に、武器が豊富で指揮統制構造が存在しない場合にそういうことが起こる。

 これらの指揮統制構造こそが軍隊の本質:その機能というのは、力の使用をある目的に向けることだ。現在のように無秩序に市民に武器を提供することで、欧州連合は彼らを戦闘員に変え、それによって彼らを潜在的な標的にしてしまった。さらに、指揮統制がなく、作戦目標がない状態では、武器の配布は必然的に個人の私闘や強盗行為、非効果的で致死的な行動へとつながる。戦争は感情の問題となり、力は暴力となる。これは、2011年8月11日から13日にかけて、リビアのタワルガで起きたことだ。そこでは、フランスが(違法に)空中投下した武器により、3万人の黒人アフリカ人が虐殺された。ちなみに、イギリスの王立戦略研究所(RUSI)は、このフランスの武器供与に付加価値を見出していない

 さらに、戦争中の国に武器を供与することで、その国は交戦国と見なされる危険にさらされる。2022年3月13日のロシアによるミコライウ空軍基地への攻撃は、武器輸送すれば敵対的な標的として扱われるというロシアの警告の後に行われた。

 EUはベルリンの戦いの最終段階で第三帝国がやった悲惨な経験を繰り返している。戦争は軍に任せるべきであり、片方が敗北した場合は認めるべきなのだ。そして、もし抵抗があるなら、それは指導され組織立てられるべき。しかし、私たちはまったく逆のことをしている―市民に戦いをけしかけ、同時にFacebookはロシアの兵士や指導者の殺害を呼びかけることを許可している。私たちを奮い立たせるような価値観はもう十分だ。

 一部の情報機関は、この無責任な決定を、ウクライナの人々を戦争における砲弾のように利用し、ウラジーミル・プーチンのロシアと戦わせる手段と見ている・・・ 市民の安全に対する保証を得るために交渉に入る方が、火に油を注ぐよりも良かっただろう。他人の血で戦意を高めるのは簡単なことだ。


4.マリウポリの産科病院

 事前に理解しておくことが重要だが、マリウポリを守っているのはウクライナ軍ではなく、外国人傭兵で構成されたアゾフ民兵だ。

 2022年3月7日の状況報告書において、国連ロシア政府代表は「住民の証言によると、ウクライナ軍がマリウポリ市の第1産科病院の職員を追放し、施設内に射撃場所を設置した」とニューヨークで述べている。また、2022年3月8日、独立系のロシア報道機関Lenta.ruは、マリウポリの市民の証言を掲載した。それによると、産科病院はアゾフ連隊の民兵によって占拠され、市民の住民は武器で脅されて立ち退かされたと証言している。彼らは、数時間前に行われたロシア政府代表の発言が正しいことを確認している。

 マリウポリの病院は、対戦車兵器の設置や観測に非常に適した優位な位置を占めている。3月9日、ロシア軍はその建物を攻撃した。CNNによれば、17人が負傷したと報じられているが、映像には建物内での死傷者は見られず、被害者がこの攻撃と関連しているという証拠もない。子供たちについて話が出ているが、実際には何もない。それにもかかわらず、EUの指導者たちはこれを戦争犯罪と見なしている。そして、ゼレンスキーはウクライナ上空の飛行禁止区域を要求している。

 実際には、正確に何が起こったのか、私たちにはわからない。しかし、一連の流れを見ると、ロシア軍がアゾフ連隊がいる場所を攻撃したこと、そして、そのとき産婦人科病棟に市民はだれもいなかったことは確かなようだ。

 問題なのは、都市を守る準軍事組織が、戦争のルールは尊重しなくてもいいと国際社会から後押しされていることだ。ウクライナ人が1990年のクウェート市の産婦人科病院の事例を再演したように見える。それは、Hill & Knowlton社が1070万ドルで完全に演出し、国際連合安全保障理事会にイラクへの介入を説得するために行われた「砂漠の盾/嵐作戦」のことだ。

 西側の政治家たちは、ウクライナ政府に対していかなる制裁措置も講じずに、ドンバスでの市民への攻撃を8年間認めてきた。それ以降、私たちはずっと、西側の政治家がロシアを弱体化させるという目標に向けて国際法を犠牲にすることに同意しているという動的世界に入っている。


第3部 結論

 元情報機関の専門家として、まず私に印象的なのは、過去1年間における西側情報機関の完全な不在だ・・・ 実際、西側諸国の情報機関は政治家に圧倒されてしまっているようだ。問題は、意思決定者が耳を貸さない限り、たとえ世界最高の情報機関であってもそれは意味がないということだ。これが、今回の危機の中で起こっていること。

 とは言え、一部の情報機関は非常に正確かつ合理的な状況把握をしていた。しかし、他の一部情報機関は明らかに報道機関が広める情報と同じ(規模の)情報しか持っていなかった・・・ 問題は、経験から言えば、彼ら分析で非常に質が悪いことだ。彼らは教條主義であり、軍事的な「質」で状況を評価するために必要な知的・政治的な独立性が欠けている。

 第二に、一部のヨーロッパの国々では、政治家たちが意図的に思想に基づいて状況に対応しているようなのだ。それが、この危機を最初から非理性的なものにしている理由だ。この危機の間、公に提示されたすべての文書は、商業的な情報源に基づいて政治家たちによって提示されたことを忘れてはならない。

 一部の西側の政治家は明らかに紛争を望んでいた。アメリカでは、アンソニー・ブリンケンが国連安全保障理事会に提示した攻撃の筋書きは、彼のために働いていたタイガーチームの想像の産物でしかなかった。彼は2002年にドナルド・ラムズフェルドが行ったように、CIAや他の情報機関を「迂回」し、イラクの化学兵器についてはっきりしないと主張していた情報機関を無視した。

私たちが今目撃している劇的な展開には、私たちが知っていたが見ようとしなかった複数の原因がある:

■ 戦略段階では、NATOの拡大(ここでは取り扱っていない);
■ 政治段階では、西側のミンスク合意の実施を拒否したこと; そして、
■ 作戦段階では、過去数年間にわたるドンバスの市民への継続的かつ繰り返される攻撃と、2022年2月下旬の劇的攻撃増加。

 言い換えると、ロシアの攻撃を当然ながら遺憾に思い、非難することはできる。しかし、私たち(すなわち、アメリカ、フランス、そして主導する欧州連合)が紛争勃発の条件を作り出しだのだ。私たちはウクライナの人々や200万人の難民に同情の気持ちを示す。それは結構だ。しかし、自国政府によって虐殺され、8年間にわたってロシアに避難を求めた同じ数のウクライナの難民に対して、少しでも同情心を持っていれば、おそらく今回の出来事はまったく起こらなかっただろう。

[・・・]

 ドンバスの人々が受けた虐待に「ジェノサイド」という用語が適用されるかどうかは、議論の余地がある。一般的に、その用語はより大規模な事件(ホロコーストなど)に使用される。しかし、ジェノサイド条約で定義されている内容は、おそらくこの事例にも適用できるほど幅広いものだ。

 明らかに、この紛争は私たちを混乱状態に陥れた。制裁は外交政策の好まれる手段となっているようだ。もし私たちがウクライナに対してミンスク合意を順守させるよう強く主張していたなら、それは私たちが交渉し承認した合意であるのだから、今回の事態は起こらなかっただろう。ウラジーミル・プーチンの非難は私たち自身のものでもある。後から嘆いても意味はない―早く行動すべきだったのだ。ただし、エマニュエル・マクロン(保証人であり国連安全保障理事会のメンバー)、オラフ・ショルツ、ヴォロディミル・ゼレンスキーのいずれも、自分たちの約束を守らなかった。結局、真の敗者は声を持たない人々になってしまった。

 欧州連合はミンスク合意の実施を前に進めることができなかった。それどころか、ウクライナがドンバスで自国の人々を爆撃している際に何の反応もしなかった。もし反応をしていれば、ウラジーミル・プーチンも反応する必要はなかっただろう。外交面で不在だった欧州連合は、むしろ紛争を煽ることで自らを際立たせたのだ。ウクライナ政府は2022年2月27日にロシアとの交渉に入ることに同意した。しかし数時間後、欧州連合はウクライナに武器を供給するための4億5000万ユーロの予算を可決し、火に油を注いだ。それ以降、ウクライナ人は合意に達する必要がないと感じた。マリウポリのアゾフ民兵の抵抗は、さらに5億ユーロの武器供給をもたらした。

 ウクライナでは、西側諸国の祝福のもと、交渉を支持する者たちが排除されている。ウクライナの交渉代表の一人であるデニス・キレーエフは、ロシアに対してあまりにも好意的で、裏切り者と見なされたため、ウクライナの秘密情報機関(SBU)によって3月5日に暗殺された。同じ運命をたどったのは、ウクライナのキエフとその周辺地域のSBU主任副局長で、ロシアとの合意にあまりにも好意的だったため、2022年3月10日に「平和創造者(Mirotvorets)」と呼ばれる民兵によって射殺された。この民兵は、「ウクライナの敵」の個人情報、住所、電話番号を一覧表にして嫌がらせや暗殺の対象とするMirotvoretsウェブサイトに関連しており、これは多くの国では処罰される行為だが、ウクライナでは処罰されない。国連と一部のヨーロッパ諸国は、このサイトの閉鎖を要求したが、ウクライナ議会(ラーダ)はその要求を拒否した。

 結果的に、その代償は高くなるだろうが、ウラジーミル・プーチンはおそらく自身が設定した目標を達成するだろう。私たちは彼を中国の腕の中に追いやった。彼と北京との結びつきは強固になっている。中国は紛争の仲介役として台頭している・・・アメリカは石油に関してベネズエラやイランに頼らざるを得ず、エネルギーの行き詰まりから抜け出すために、アメリカは敵国に課した制裁を哀れな様子で撤回するしかない。

 ロシア経済を崩壊させ、ロシア人民を苦しめることを求めたり、さらにはプーチンの暗殺を呼びかける西側の閣僚たちは(言葉の一部は形を逆転させたかもしれないが、中身は変わらない!)、私たちが憎む相手と何ら変わらないことを示している―ロシアのパラリンピック選手やロシアの芸術家に制裁を科すことは、プーチンと戦うことと何の関係もない。

[・・・]

 ウクライナの紛争を他のイラク、アフガニスタン、リビアでの戦争よりも非難すべき要素は何だろうか? 国際社会に対して不正な、正当性のない、殺戮を伴う戦争を行うために故意に嘘をついた人々に対して、私たちはどんな制裁を課したのか?・・・イエメンの紛争に武器を供給している国々、企業、あるいは政治家たちに対して、私たちは一つでも制裁を課したのか?イエメンは「世界で最も深刻な人道的災害」と考えられているのだ。

 その問いを発することは、それに答えることだ・・・そしてその答えは美しくはない。

*

フランス情報研究センター(CFRR)
文献資料第27号 / 2022年3月
ウクライナの軍事情勢について
CFRRに感謝を表します。

ジャック・ボーは、スイス戦略情報の元メンバーであり、東欧諸国の専門家です。彼はアメリカとイギリスの情報機関で訓練を受けた。彼は国連平和維持活動の政策担当者として務めた経験もある。法の支配と安全保障機関の国連専門家として、彼はスーダンで初の多次元国連情報部隊を設計し指導した。彼はアフリカ連合で働き、NATOで小火器の拡散に対する闘いを5年間担当した。彼はソビエト連邦の崩壊直後に最高位のロシア軍および情報当局との協議に参加した。NATO内では、2014年のウクライナ危機を追跡し、後にウクライナ支援計画に参加した。彼は情報、戦争、テロに関する数冊の著書を執筆しており、特にSIGESTから出版された『Le Détournement』、『Gouverner par les fake news』、『L’affaire Navalny』などがある。彼の最新の著書はMax Miloから出版された『Poutine, maître du jeu?』である。 特集画像はTURから提供されている。


関連記事

FBIはトランプの捜査をすべきではなかった(報告書)

<記事原文 寺島先生推薦>
FBI should never have investigated Trump – report
Special counsel John Durham has concluded that the agency relied on biased information to spy on the former president
ジョン・ダーラム特別顧問の結論では、FBIは偏った情報に依拠して前大統領を嗅ぎ回っていた、とのことだ。
出典:RT 2023年5月15日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年5月27日



ウィスコンシン州ウォーキーショーで集会を開いたドナルド・トランプ。2022年8月5日© AP / Morry Gash


 米国司法省とFBIは、「自身が果たすべき使命を維持」できず、ドナルド・トランプ前大統領に対していわゆる「ロシア疑惑」についての捜査に着手した、とジョン・ダーラム司法省特別顧問は、長らく待たれていた報告書の中で明らかにした。

 月曜日(5月15日)に発表された300頁に及ぶ文書の中で、ダーラム特別顧問は、トランプ前大統領に関する犯罪情報を「厳密な分析なしに」取り扱い、特に政治的に偏りのある個人や組織から情報を得ていた」としてFBIを厳しく非難した。

 ダーラム特別顧問による宣告の中味は、主に「スティール文書」についての言及であるが、この文書は、前大統領についてや、彼が疑われていたロシアとの繋がりに関するでたらめな噂話をもとに書かれたものであり、元英国諜報機関の工作員が、ヒラリー・クリントンの選挙資金から支払いを受け、集めたものだった。

 この文書により、2016年、FBIはトランプ前大統領に対する諜報活動を始動させたが、その作戦名は「クロスファイア・ハリケーン」とされ、ロバート・ミュラー特別検察官の手による「ロシア疑惑」の捜査につながっていった。後にミュラー特別検査官は、トランプ前大統領の選挙運動とロシア政府の間に共謀はなかったという結論を出した。



関連記事:「ロシア疑惑」は終わったが、その結果米国政府が手にした、「ソーシャル・メディアの統制」は健在

 このスティール文書は、FBIがトランプ前大統領の選挙運動を捜査する許可を法廷から得るために利用された。FBIは、トランプ前大統領を監視する令状を申請する際に、「基本的で初歩的で深刻な間違い」を犯した、と司法省のマイケル・ホロウィッツ監察総監は2019年に明言した。

 「初動捜査において、トランプ前大統領の敵陣営が(直接または間接的に)提供した情報や、同陣営が資金を出していた情報に大きく依拠していた」とダーラム特別顧問は報告書に記載した。「司法省はこれらの情報や、これらの情報を提供した陣営の動機について十分精査し、疑問をもつこともしなかった。ほぼ同じ時期に、FBIの局長らは、このような情報とはおそらく逆の内容の情報を入手していた事実にもかかわらず、だ。」

「クロスファイア・ハリケーン作戦の報告書やそれに関連した諜報活動をもとに導き出した我々の結論は、司法省とFBIは法律上厳格に定められている使命を果たせなかった、というものだ」と同特別顧問は述べた。

 ただし、ダーラム特別顧問は、この件のように政治的に繊細な捜査の取り扱い方について、FBIが「大幅な変革」をすべきであるという助言は行っていない。



関連記事:トランプはピューリッツァー賞を非難の対象に

 「クロスファイア・ハリケーン作戦」とそれに続くミュラー特別検査官による捜査は、大統領任期中のトランプ大統領に長い影を投げかけた。ミュラー特別検査官が事実を支持する証拠を見つけることができなかったことが判明した後でも、「ロシアとの共謀」疑惑が、長々と報道機関を賑わせていたからだ。ダーラム特別顧問は、2019年、当時のビル・バー司法長官により任命され、トランプが「ロシア、ロシア、ロシアについてのでっち上げ」と称していた事例の起源の調査を執り行うこととなり、特別顧問という役職を与えられ、ジョー・バイデンが大統領職に就いた後も、その任務の継続が許されていた。

 ダーラム特別顧問の調査により、3件の刑事事件が立件されたが、そのすべてはFBIの上官や司法省の役人らから反発をうけることはなかった。クリントン陣営の弁護士であったマイケル・サスマン、イゴール・ダンチェンコ(スティール文書の情報源の一人)両容疑者は、米国の法廷から、FBIに嘘をついた罪状で起訴された。また、FBIのケビン・クラインスミス弁護士は、有罪判決を受け、地域奉仕活動を行うよう命じられたが、これは、同弁護士がトランプ前大統領のカーター・ペイジ前顧問に盗聴を使った捜査をする令状を保証した件に関してのことだった。

 ダーラム特別顧問の報告書について、CNNの司会者ジェーク・タッパーは月曜日(5月15日)、この文書は「FBIを弱体化させ、ドナルド・トランプをある程度無罪放免にする」ものとなった、と述べた。

「言い換えれば、米国市民が馬鹿にされたということだ」とトランプ前大統領はソーシャル・メディアのTruth上に投稿した。
関連記事

ウクライナ:ロシアは英国が提供した劣化ウラン弾を消し去ったのか?

<記事原文 寺島先生推薦>
Ukraine: Did Russia Obliterate Depleted Uranium Munitions Delivered by the UK?
出典:INTERNATIONALIST 360°
2023年5月16日
筆者:ドラゴ・ボスニック(Drago Bosnic)
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年5月27日





 5月13日、ロシア航空宇宙軍(VKS)は、大規模な全面的攻撃をキエフ政権の支配下にある多くの標的に向けて行った。中でも特筆すべきは、VKSが西ウクライナの複数の主要な弾薬貯蔵所を攻撃したことだ。その中には、テルノーピリ市内の貯蔵所も含まれていた。ロシア国防省(MoD)の5月14日の公式発表によると、ウクライナのネオナチ軍事政権軍の少なくとも1カ所の貯蔵施設が、フメリニツキー市のごく近くで破壊されたという。キエフ政権のエネルギー省も明言しているのだが、「ロシアによる大規模な集中砲火により、5月13日の早朝に同市のエネルギー施設が被害を受けた」という。

 同省の発表によれば、当該地域の電力供給がVKSの攻撃により影響を受けたとのことであり、標的とされた「エネルギー施設」が軍使用施設であったことを事実上認めていた。フメリニツキー市の軍当局も同様の内容を発表しており、「複数のドローン機がAFU(ウクライナ軍)の重要な基盤施設を標的にした」ともしていた。いっぽう、いつもの宣伝扇動的な見方を繰り返すよう指示を受けた、同市のオレクサンドル・シムチュシン市長は、「学校、住居家屋、産業施設が被害を受けた」と述べ、自身の発言が、「多くの一般市民を負傷させたテロ攻撃であった」と思わせるような内容の発言をした。

 このような根拠のない主張が行われることは予想通りだった。というのも、ロシアを悪魔化し、侮辱することが目的の情報戦争が、ほぼ10年にわたって続けられているからだ。この情報戦は、NATOの欧州内での侵略行為に対するロシアの反撃が起こる前から開始されていた。しかし、軍事当局がついつい認めてしまった事実は、一般市民はロシア軍の標的にはおそらくなってこなかったという事実だった。ロシアの特殊軍事作戦(SMO)の大部分は、1年以上たった今でもその基本線を守っている。ただし、弾薬貯蔵所がロシア軍にとって最優先となる標的であり、何の躊躇もなく攻撃対象とされて当然である。

 先述のとおり、同日(5月13日)、VKSの長距離ミサイル攻撃により、 フメリニツキー市の100キロ以上西に位置するテルノーピリ市内の弾薬貯蔵施設が破壊された。公式の情報においては、まだこの事件の真偽や、爆発が起こった箇所については明らかにされていない中ではあるが、両爆発の模様を表す動画は拡散されている。中国のテレビ局であるCCTVのものであると思われる動画によると、この爆発が同市内の施設を破壊した様子が映し出されている。この大規模な爆発は明らかに弾薬貯蔵所でおこったと示唆されるものであった。というのも、通常兵器の破壊ではこのような被害は出ず、今回起こった後続爆発は、貯蔵されていた砲弾により引き起こされた二次爆発であったと考えられる。

 動画で示されている爆発の程度については、ウクライナ国内の報道機関(特にウクライナ国内のテレグラムの番組上)で憶測を呼んでいる。その憶測とは、ロシアのVKSが戦略的核弾頭を用いて、貯蔵施設を破壊したのでは、というものだ。このような主張がさらに声高に叫ばれているのは、同地域での放射能検出器による放射能値が急増したという報道があったからだ。ただし多くの軍事専門家は、はっきりと口を揃えてこのような噂話を否定している。しかし放射能の数値が上がっているという報道が真実ならば、標的とされた貯蔵施設には英国が供給した劣化ウラン弾が保管されていた可能性を示唆させる。

 遡ること3月、英国当局は、ウクライナ軍が使用することになる「チャレンジャー2」主要戦車(MBTs)用として劣化ウラン弾を供給することを公式発表していた。報道によると、これらの14機のMBTsがすでにウクライナのネオナチ軍事政権に送致されているということだが、現在の状況は不明である。劣化ウラン弾は、徹甲弾(AP)力が強力なことで知られている武器であり、事実上どんな種類の武器でも貫通できるとされているが、その理由は、この爆弾がもつ強密度のためである。しかし、放射能物質を含む構造物により製造されているため、投下された地域のすべての生物や生態系の健康面に深刻な危険を生じさせる武器であるとされている。

 ロシア側は英国によるこの戦争激化行為に対して迅速に対応した。その中には、ロシアの戦略核兵器をベラルーシに公式に配置する措置も含まれていた。ただし、この措置は、ポーランドが米国の核兵器をポーランド国内に配置するよう主張したことと直接繋がるものであった。しかし、ロシア外務省が何度も警告を発してきたのは、劣化ウランを含む武器は健康上恐ろしい影響を与え、そのような影響をうけた地域を管理したり、被害の状況を正確に把握することさえ不可能になるであろう、という点だった。しかし、英国は全く意に介さない態度を取り続け、英国当局は、劣化ウラン弾が今後利用されることになってもその責任を負うつもりはないと公式に発表した。

 西側連合がこんな無責任な態度を取る(あるいはただ単にウクライナの人々にどんなことが起こるのかの想像力が欠如しているだけなのかもしれないが)中で、好戦的な態度を取ってきた西側にとっては、こんなことは初めてのことではない。 不幸な国ウクライナは、 「生物研究」の実地試験場として利用されてきたことは、ビクトリア・ヌーランドが遠回しではあるが認めたとおりだ。いっぽう、最近の発表で分かったことは、「機密扱いされている米国の原子力技術」でさえ、 ウクライナ国内のいくつかの原子力発電所で利用されてきたという事実だ。さらに悪いことには、米国と米国の手下であるNATO諸国が、原子力を使った偽旗作戦を準備し、その責任をロシアに擦り付けようとしているという報告もある。 この中には、米国の指示のもと、ウクライナ中に放射能測定装置を設置する動きも含まれている。
関連記事

2021年にCOVID-19のmRNAワクチンを接種後、突然または予期せずに亡くなった高校生。2021年の海外での死亡事例。

<記事原文 寺島先生推薦>
High School Students Who Died Suddenly or Unexpectedly After Taking COVID-19 mRNA Vaccines. Foreign Deaths in 2021
20 cases

筆者:ウィリアム・マキス (William Makis)
出典:Global Research 2023年5月10日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>2023年5月27日



***
ドイツ(バイエルン州ホルフェルト)- 15歳の少女が2021年11月1日に2回目のファイザーのmRNAワクチンを接種し、同年11月4日に重度の心臓発作を起こし、同年11月17日に死亡。



ブラジル(ロンドニア)- 13歳の少年、ウェバートン・シルバは2021年8月25日にファイザーのmRNAワクチンを接種し、2021年10月8日に心臓発作で死亡(動画はこちらをクリック)。



ガイアナ(カムワッタ、モルーカ)- 13歳の少年、ジョシュア・ヘンリーは2021年10月4日にファイザーのmRNAワクチンの2回目の接種を受けた後、2時間後に死亡(こちらをクリック)。



イギリス - 17歳の学生、アダム・アリはファイザーのmRNAワクチン接種後に突然死亡。検死結果は「不確定」とされ、CT検査では肺に血液が見られた。彼は2021年9月19日に死亡(こちらをクリック)。



ウクライナ・リヴィウ - 19歳のヴォロディミール・サロが2021年9月13日午後2時30分に1回目のPfizer COVID-19 mRNAを接種、午後8時15分に倒れ発作を起こし、午後9時までに死亡(こちらをクリック)



ブラジルの16歳のイザベリ・ボルジェス・ヴァレンティンは、私立のクリスチャンスクールの生徒で、2021年8月25日に初めてPfizerのmRNAワクチンを接種したが、血栓ができ、その後8日後の2021年9月2日に死亡(こちらをクリック)(こちらをクリック)。



イタリア - 16歳のカミラ・カネパは、2021年5月25日にアストラゼネカのワクチンを接種したが、2021年6月3日に入院し、その後まもなく死亡(こちらをクリック)

こちらをクリック)。



カリフォルニア - 16歳のカリフォルニアの少年(VAERS ID: 1466009)は、2021年4月3日に2回目のPfizerの接種を受けたが、27日後の2021年4月30日に、Zoomで数学の授業を受けている最中に死亡(こちらをクリック)(こちらをクリック)。



イギリス(バーンズリー) - 18歳の救急医療学生ケイシー・ターナーは、2021年2月11日にアストラゼネカのワクチンを接種したが、2月23日に激しい頭痛で入院し、2月27日に脳静脈血栓症のため死亡(こちらをクリック)。




ベトナム:5人の子ども死亡。ファイザー社mRNAワクチン接種後。

ベトナムが2021年11月23日にPfizerのCOVID-19 mRNAワクチンの接種を開始した後、わずか2週間で5人の子供が死亡、120人が入院こちらをクリック)。

17歳の少女トリエウ・フォン、12月2日にワクチン接種、12月9日に死亡)(こちらをクリック)
15歳の少年ソン・ラ、12月4日にワクチン接種、12月6日に死亡)(こちらをクリック)
12歳の少年ビン・フオック、11月29日にワクチン接種、11月30日に死亡)(こちらをクリック)
16歳の少年バク・ギャン、11月24日にワクチン接種、11月28日に死亡)(こちらをクリック)■14歳の少女ハノイ、11月27日にワクチン接種、11月28日に死亡)(こちらをクリック)
ベトナム、120人の子供が入院後にPfizerのバッチを一時停止(こちらをクリック)

韓国(3人のティーンエージャーが死亡)

17歳の少年が2021年10月15日にソウル近くの仁川で死亡(こちらをクリック)
高校の男子生徒が2021年8月13日にCOVID-19ワクチンを接種し、75日後の2021年10月27日に死亡。これは韓国での初めてのワクチン接種後のティーンエージャーの死亡例(こちらをクリック) 。
16歳の少年が2021年12月30日に2回のCOVID-19ワクチン接種後に死亡(こちらをクリック)

タイ(2人のティーンエージャーが死亡)

16歳の少女(ランパーン出身のタンフィット・サクンマットの娘)は、2021年10月27日に2回目のPfizer COVID-19 mRNAワクチン接種後数日後に肺の血栓のため死亡(こちらをクリック)。
15歳のウティデット・ナモは、学校で2日前に2回目のPfizer接種を受けた後、2021年11月26日にサムットプラカン病院で死亡(こちらをクリック)。

シンガポール

18歳の少年は、2021年10月13日にCOVID-19ワクチン接種後75日後に死亡(こちらをクリック)。


私の意見は・・・

 2021年でわかったことは、PfizerやModernaのCOVID-19ワクチン接種後に非常に早い段階で多くの死亡が報告されたということだ。

 これらの死亡のほとんどは、Googleや通常の検索用語を使用しても見つけることができない。

 Googleは、ほぼすべてのCOVID-19ワクチン関連の死亡情報を検索エンジンから検索できないようにしている。

 また、これらの死亡を報告していた一部のウェブサイトは現在オフラインになっている。

*
ウィリアム・マキス博士は、放射線学、腫瘍学、免疫学の専門知識を持つカナダの医師です。トロント大学のスカラーシップであるガバナー・ジェネラル・メダルを受賞しています。100以上の査読付き医学論文の著者です。
関連記事

COVID-19ワクチンで健康障害あるいは永久障害者になる高校生

<記事原文 寺島先生推薦>
High School Kids Injured or Permanently Disabled by COVID-19 Vaccines in 2021-2022
Here are 16 stories
筆者:ウィリアム・マキス (William Maxis)
出典:Global Research  2023年5月12日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年5月27日




***

2人の高校生が学校で自分の机に座っているときに心停止を起こした(左 - Justus Danielli Mar.2023(ここをクリック)、右 - Maddox McCubbin Feb.2023(ここをクリック))。



チリ、サンティアゴ - 15歳の少年、サンティアゴ・アビラ・ルビオは、COVID-19ワクチンSinovacの2回の接種後、2022年4月14日に心臓発作を起こし、13か月間入院(ここをクリック)。



記事全文はこちらをクリック

*

ウィリアム・マキス博士は、放射線科学、腫瘍学、免疫学の専門知識を持つカナダの医師です。トロント大学スカラーのガバナー・ジェネラル・メダル受賞者でもあります。100以上の査読付き医学論文の著者です。
関連記事

製薬業界に牛耳られて「殺人が起きる真の原因は薬物漬け」と報じないメディア

<記事原文 寺島先生推薦>
Drugged-Up and Ready to Kill
Is there a link between Psychiatric Meds and Mass Shootings?

精神科薬物と無差別射撃事件の関連性はあるのか?
筆者:マイク・ホイットニー (Mike Whitney)
出典:Global Research 2023年5月12日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年5月27日




***

 「精神医療と精神薬は、発砲事件や他の暴力行為の増加の共通要因であり、それは精神薬の処方箋の急増とともに急増している」。サイト、「精神薬を服用している殺人者たち」の記事から

 ここにアメリカ人なら誰でも答えられるような質問がある:アメリカ全土で無差別射撃事件を起こした殺人者のうち、何パーセントが強力な精神医薬品を服用していたのか?

a—1%
b—25%
c—50%
d—75% or more

 なぜこの質問の答えを知らないのか? アメリカは世界で最も多くの無差別射撃事件が発生している国ではないのか?

 そう、その通り。
 
 これらの射撃事件は、大きな苦しみと不安の源ではないのか?

 そう、その通り。

 そして、これらの孤独な犯人たちが、なぜ無関係な人々を殺すことに追い込まれるのか、真剣に知りたいと思っている人が大半なのではないか?

 そう、その通り。

 では、なぜ私たちは知らないか?これらの流血事件が始まってから20年以上経った今でも、次の、たった一つの簡単な質問について、確定的で徹底的に研究された答えを、なぜ私たちは持っていないのか:これらの精神的に不安定な殺人者の中で、どれくらいの人が危険な精神医薬品を服用していたのか?

 その代わり、報道機関は射撃手の行動について何の決定的な情報も明らかにしないような探索を次々と行っている。(大事なのは次のような問いだ)もし「白人至上主義」や「ナチス思想」がテキサスでの致命的な射撃事件に影響を与えたのであれば、なぜ彼は黒人街の公共施設やユダヤ教のシナゴーグ(教会)を標的にしなかったのか? そうした方が、彼の主張する思想により一致していたのではないのか?

 そう、そうなのだ。それは彼が掲げている思想が彼の行動を駆動する主要な要因ではなく、むしろそれは彼の脆弱な精神状態の症状であることを示唆している。これらの人々が狂ったような殺戮行為に走るのは、彼らが「傷ついた存在」であるためであり、ある思想を信奉する人間だからではない。そこには大きな違いがある。

 では、なぜ報道機関は「白人至上主義」や「ナチス的思想」によって射撃手の行動が影響を受けたというばかげた考えをくどくどと言い続けるのか? 実際のところ、射撃手自体は白人ではなく、彼の犠牲者も人種的に標的にされたわけではなかった。犠牲者は単に大規模商業施設を歩く無作為な通行人に過ぎなかった。つまり、報道機関が作り上げた事例を支持する証拠はない。つまり、ここが要だが、報道機関は証拠に興味がないのだ。なぜなら報道機関の真の目的は、暴力的な狂信的行動を人種に基づく極端な国家主義に結びつける政治的な課題を推進することだからだ。彼らがやろうとしているのは、冷酷な殺人者の不安定な行動と多くのトランプ支持者の心からの愛国心との間に潜在的な関連性を作り出すことなのだ。報道機関はこれと同じ主題について6年以上もコツコツ取り組み、1月6日の詐欺事件(訳注:2021年連邦議会襲撃事件)で頂点に達した。これは同じ退屈で政治的な心理作戦の最新版に過ぎないのだ。

 もし報道関係員たちがこの最新の流血事件の調査に真剣に取り組むつもりであるなら、彼らは犯行が行われる前にこの殺人者がFBIの監視対象になっていたかどうかを調査するはずだ(過去に多くの大量殺人犯がそうであったように)。そうだったのだろうか?(今月テキサス州の商業施設で乱射事件を起こした)マウリシオ・ガルシアはFBIが編纂した潜在的な「国内テロリスト」の一覧表に載っていたのか?

 おそらく私たちは永遠にそれを知ることはないだろう。なぜならそれは国内最高の法執行機関の内部の仕組みを暴露し、かなりの困惑を引き起こすことになるからだ。それ故、FBIはしっかり防戦体制を固め、それが起こらないようにする。つまり、この事件に関する真実の大部分はおそらく永遠に隠されたままになるだろう。さらに悪いことに、メディアは「ガルシアは非白人の白人至上主義者」だという、頭のネジが外れたような理論を相変わらず前面に押し出してくることが予想される。そんな主張はまったく意味をなさないのに、だ。ここで、分析家のマイケル・トレーシーは、皮肉を込めて、次のように要約した:

もしある非白人が「白人至上主義者」であるとすれば、それは自分の人種が先天的に劣っていることを彼が信じている、ということになるのだろうか?@mtracey

 理屈に合わないのに、聖杯のように報道機関が固執するミーム*の愚かさを暴露することはトレーシーに任せておこう。この種の商業主義的な言葉をだれでも真面目に受け止めてしまうことがあるのは実際、衝撃的だ。事実として、「非白人の白人至上主義者」という言い方のどこをとっても、これ以上愚にもつかないでっち上げの言葉はない。たわ言としか言いようがない。
*遺伝子によらず、模倣によって人から人へと伝えらえる情報の単位(英辞郎)

 では、どこで答えを見つけるべきなのか? これら散発的に起こる暴力行為の合理的な説明はどこで見つけることができるのか?

 私たちが目にできる唯一の場所は、犯人の精神状態だ。そこから始めなければならない。もし私たちが学校や大規模商業施設で無差別に人々を殺す男性の動機を理解したいのなら、犯人の心理について何かを知る必要がある。幸いにも、この主題については尊敬すべき専門家によって多くの書物が書かれ、研究が行われ、データが分析され、彼ら自身の知識に基づいた結論が得られている。以下を参照:

約17%のアメリカ人が、攻撃的な行動、怒り、暴力的な行動、危険な衝動を伴う副作用を持つ精神科の薬を服用している・・・

 抗精神病薬は、次のような副作用があるときはほとんど助けにならない悪化するうつ病、新たなまたは悪化する不安、興奮や落ち着きのなさ、パニック発作、新たなまたは悪化するイライラ、攻撃的な行動、行動、活動や話す量の極端な増加(躁病)、そしてその他の異常な行動や気分の変化、などだ。

 「個人を助けるどころか、抗精神病薬は彼らを孤立させ、ますます潜在的に危険な行動に追い込んでしまう」とフロリダ支部のCCHR(市民の精神的人権委員会)の会長であるダイアン・スタインは述べている。

 この状況は非常に酷いものだったので、2004年には米国食品医薬品局(FDA)が「ブラックボックス」の包装紙に警告を発行した。この警告は、特定の抗うつ薬の使用が思春期の重度のうつ病を治療する際に自殺、殺人、および他の暴力行為の危険性を増加させる可能性があることを示している。

 他人への暴力行為と関連する処方薬という題名の研究は・・・言明していた・・・報告期間69ヶ月で、薬物484種が特定され、それは総計78万169件の深刻な有害事象報告(すべての種類)に該当する薬だった・・・ 暴力の事例には、387件の殺人報告、404件の身体的暴力行為、27件の身体虐待を示す事例、896件の殺人的思考報告、および223件の暴力に関連する症状を示す事例が含まれている。」“精神科薬と副作用-アメリカにおける暴力の背後にある見えざる手”、人権に関する市民委員会


テキサス大規模商業施設銃撃の犠牲者たち

関連記事:銃と薬物を組み合わせてはいけない。向精神薬と暴力行為


 これは非常に深刻な状況ではないだろうか。規制当局がこれらの潜在的に致命的な薬物に対して規制を強化するために認識すべき内容だ。また、製薬業界は新聞からこれらの薬物とその引き起こす混乱との関連性を隠そうとするだろう。要するに、真実は権力と利益のために隠蔽されている。他に新しい情報は? 以下は別の記事から引用した背景情報:

精神科薬物の影響下にあるか、または薬物の離脱状態にある個人によって、増え続けている学校での銃乱射事件や他の銃乱射事件が引き起こされている。これらの薬物は躁病、精神病、暴力、そして殺人を引き起こすことで知られている。過去10数年で起きた13件の大量虐殺事件を考慮されたい。これらの事件では54人が死亡し、105人が負傷した。しかもこれは精神科薬物が関与しているとわかっている事件に限った数だ。他の事例では、医療記録が封印されたり、解剖報告が公開されなかったり、場合によっては毒物検査が精神科薬物を検査するために行われなかったり、一般には公開されなかったりし・・・

精神科薬物を服用していた射撃事件の犯人のリストが増え続けていること、22の国際的な薬物規制機関がこれらの薬物が暴力、躁病、精神病、自殺、そして殺人を引き起こす可能性があると警告していること、そして最近行われた主要な研究がこれらの薬物が人々をより暴力的にする危険性を高めることを確認していることを考慮して、CCHRインターナショナルは次のように主張している。「これら(精神科)薬物をさらに多くの人々、特に子供たちに投与するという、より多くの精神的健康『治療』に対するどんな推奨も、単なる過失ではない。起こり得る影響を考えると犯罪的でもある」。(「コロンバインの真の教訓:精神科薬物は暴力を引き起こす」)

 そこで、問題の核心に取り組もうではないか。 ダラス近郊の大規模商業施設での銃乱射事件の犯人は精神的に不安定であり、おそらく心理相談や治療の経歴があった可能性があり、強力な精神科薬を服用していた可能性があるというのは疑いない。もしもあなたがプロの報道関係者なら、孤立したソーシャルメディアの投稿にあるナチの記念品に基づいた過剰な理論を編み上げるよりも、そこが調査を始める場所ではないか?

 私たちは報道機関や有識者から「銃が問題である」と何度も聞かされているが、強力な精神科薬に反対する議論は同様に説得力がないだろうか? 重要なことは、銃自体は自動的に発砲されるわけではなく、通常、銃は不安定で狂気じみた人々によって大勢の人々に向けて発砲されることはないのだ。彼らの多くは診断を受け、心理相談や治療を受けた精神的な経歴がある。私たちが知りたいのは、彼らに処方された薬物の種類だ。それによって公衆の安全を守るためにその使用状況をより良く監視できるからだ。残念ながら、報道機関はこの情報を提供することに消極的だ。なぜなら、彼らには根本的な利益相反があるからだ。彼らは薬品会社から報酬を受け取っているからなのだ。アメリカ精神医学会の記事がさらにある:

最近の研究において、いくつかの種類の精神科薬と他者への暴力的な行動との関連が文献化されている・・・

2010年12月15日に発表された研究では、研究期間中に484種類の薬について78万169件の重大な有害事象が報告され、その中で1937件が暴力行為であったことがわかった。暴力行為とは、殺人、身体的な攻撃、身体的虐待、殺人的思考、または暴力に関連する症状のいずれかが含まれる事例報告である、と定義された・・・

「さらに、抗うつ薬は、抗精神病薬や気分安定剤と比較しても一貫して高い危険性を示した・・・」

 暴力行動の研究の専門家であり、APA(American Psychiatric Association)の前会長であるポール・フィンク博士はこう発言した。「長い間精神科医として仕事をしてきた私としては、[ヴァレニクリンと抗うつ薬]が他者への暴力と関連していることを知りませんでした・・・ 精神科医や精神医療の専門家は、この関連性を認識する必要があります」と述べた。この研究には外部から資金提供はなかった。関連記事と「暴力行為と関連付けられるいくつかの薬物」



 忘れてはならない。幸せな結婚生活を送り、ちゃんと職に就いている普通の、心の安定した男性は、無作為な殺人的な暴力行為を犯さないことを。それは深刻な心理的問題を抱えている人々であり、専門の助けを求めたり、(しばしば)さまざまな精神科の薬を処方された人々なのだ。

 これらの薬は、多くの人にとって有益だが、一部の利用者には過剰な暴力行為を引き起こす可能性がある。一般の人々は、公共の安全への危険性と利益との均衡を取るために、これらの薬について知る必要がある。これまで、これらの危険性が存在することさえ認められていない。代わりに、すべての非難が銃に向けられており、それによって報道機関や政治的な権力への不信感が高まっている。実際、今ではほとんどの銃所有者は、政治家たちが公共の安全に関心がなく、自分たちの狭い利益を促進するための場としてそれを利用していると信じている。表面的に見れば、その利益には今や第二修正条項の撤廃とアメリカ人の武装解除が含まれている。それが目標であり、ほとんどの銃所有者はそれが目標であることを知っている。ここに、ダグ・デールによる「精神科薬物は暴力の背後にある」と題された編集者への手紙の最後の一節がある:

議会が、武装警備員、金属探知機、チェーンリンクの柵、準軍事部隊に囲まれながら、市民個人の憲法上の銃所持権に関する侵害を議論しているのですが、そろそろこれらの大量殺人の根本原因に、本気で取り組むべきではないでしょうか?

 こういった事件は、数十年前にFDAがより多くの精神科薬を承認し始めるまで聞いたことがありませんでした。2004年から2009年まで、FDAの有害事象報告システムから情報を得た研究者たちは、31種類の異なる精神科薬に関連して1537件の暴力事件が報告されたことを明らかにしています。

 他の専門的な研究は、患者はこれらの薬を服用した後まで殺人的な思考を持っていなかったとの結論を出しています。1992年から2017年までの間に、37件の学校での銃乱射事件がこれらの薬と関連付けられています。2014年に上院に提出された報告書では、学校での銃乱射事件の犯人のうち90%が抗うつ薬を使用していると推定されています。明らかに、この暴力の原因は個人の精神的健康ではなく、薬物にあるのです。

 製薬業界の政治に圧力をかける勢力は、連邦法を制定する議会の議員らに数億ドルを寄付しています。これらの薬物が大量殺人の根本原因であると認めない人は誰でしょうか? 銃規制というエリキシル剤*に酔っている教養のない政治的ミーハー族、製薬業界の政治に圧力をかける勢力から選挙運動資金の寄付を受ける政治家、製薬業界やこの有害物質を一般の人々に売り込む医師。もしそうなら、なぜ?・・・
*《医》甘味と香りを付けたアルコール水溶液で、薬剤を飲みやすくするために用いられる。(英辞郎)

 2001年に、ある薬品製造業者は31人の死亡と関連しているとされるコレステロール薬を市場から撤退させました。大量殺人の件数は、その数を遥かに超えています。

 議会は、これらの薬物が処方されている人々からの銃の所持を禁止する必要があります。さらに、少なくとも新たな処方箋を書くことを連邦犯罪とするべきです。それ以外の対応をすると、議会がどれだけの副次的被害を引き起こしても構わないと考えているとしか結論できません。



 無差別射撃を止めたいのであれば、それらを引き起こしている精神科薬物厳しく規制する必要がある。

*

マイケル・ホイットニーは、ワシントン州を拠点とする著名な地政学および社会分析者です。彼は2002年に独立した市民報道関係者としての経歴を開始し、誠実な報道、社会的正義、世界平和への取り組みを持っています。 彼はグローバリゼーション研究センター(CRG)の研究員でもあります。 この記事のすべての画像はTURから提供されたものです。
関連記事

「放射能のキノコ雲」が西側を恐れ戦(おのの)かせているーロシア安全保障会議書記の警告

<記事原文 寺島先生推薦>
‘Radioactive cloud’ threatening western Europe – Russian security chief
The hazard was produced by depleted uranium munitions destroyed in Ukraine, Nikolay Patrushev has claimed
この危機は、ウクライナで劣化ウラン弾が破壊されたことにより生じた、とロシアのニコライ・パトルシェフ連邦安全保障会議書記が主張
出典:RT 2023年5月19日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年5月25日



ロシア連邦安全保障会議書記ニコライ・パトルシェフ氏。© スプートニク/セルゲイ・グネエフ


 ウクライナでの劣化ウラン弾破壊により、放射能のキノコ雲が生じ、風に乗り西欧までその放射能が流されている、とロシア連邦安全保障会議書記ニコライ・パトルシェフ氏が主張した。英国はこの種の軍需品を、英国製のチャレンジャー戦車から発射できるよう、ウクライナに供給していた。

 同書記が、上記の警告を明らかにしたのは、金曜日(5月19日)の政府会議でのことであり、その中で同書記は米国を非難し、同盟諸国を操って他諸国を「援助」の手を差し伸べさせることが、結果的に被援助諸国に害を与えることになっている、と述べた。

 「米国やその同盟諸国は、このようなやり方で、ウクライナを「援助」し、衛星諸国に圧力をかけ、劣化ウラン弾を供給させました。そしてこれらの劣化ウラン弾が破壊された結果、放射能のキノコ雲が西欧にまで届くこととなりました。ポーランドで放射能の数値が増加していることが検出されています」とパトルシェフ書記は述べた。

 未確定の報道が、ウクライナ国内で拡散されているが、それは先週の土曜日(5月13日)にロシアが行った攻撃の対象物についてのことだった。このことに関して、ロシア側はフメリニツキー市内の弾薬補給処を破壊したと表明している。ロシア側の主張によると、この軍事施設は英国が供給した劣化ウラン弾の保管庫として使用されていたという。保管されていた劣化ウラン弾の原料が、貯蔵庫に対する激しい攻撃により、塵と化したと推定されている。



関連記事:米国はウクライナ国内に放射能測定器を設置―報道から

 ロシアが以前から警告していたのは、劣化ウラン弾を使用すれば、長期にわたる環境上や公共医療上の危険を生じることになる、という点だった。その根拠には、かつて劣化ウラン弾が使用されたことがあるセルビアやイラクなどの国々で行われた研究がある。英国側は、そのような危険性を否定している。

 放射能はそれほど高くない劣化ウラン弾だが、主に健康面において劣化ウラン弾の危険性が懸念されているのは、この物質の原料が毒性のある重金属であるからだ。爆発によりウランや酸化ウランの粒子が生じれば、被爆した人々がそれを吸い込んだり、環境汚染が起こる可能性がある。

 ポーランド当局は、月曜日(5月15日)に東部ルブリン市で放射能値が急激に上がったという主張を否定している。

 フメリニツキー市内で起こった爆発についての情報は、ウクライナ軍の巡回部隊が動員されたという報道からも支持された。その巡回部隊は同市内や周辺で標本を集めていたという。その近辺に原子力発電所はあるが、報道によるとウクライナ軍の巡回部隊が通常監視しているのは、その原子力発電所周辺の状況であり、今回は、通常の巡回経路から離れた部分の巡回をおこなっていたことが目撃されている。
関連記事

AIは「とんでもない過ちをするかもしれない」-チャットGPTの発明者

<記事原文 寺島先生推薦>
AI ‘could go quite wrong’ – ChatGPT inventor
Sam Altman has told US Congress that the technology could cause “significant harm”
サム・オルトマンは、米国議会に対して、チャットGPTが「重大な損害」を引き起こす可能性があると述べた。
出典:RT 2023年5月17日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年5月25日



上院委員会にて人工知能の規制に関する証言を行うOpenAIのCEO、サミュエル・オルトマン© Getty Images / Win McNamee


 チャットを開発した企業であるOpenAIのサム・オルトマン代表取締役は、米国の立法者に対して人工知能に関する規制を制定するよう求めた。オルトマンは火曜日(5月16日)に、「この技術はかなりの問題を引き起こす可能性がある」と警告し、このAIプログラムの出現を印刷機の発明に喩えた。

 上院司法委員会での5時間にわたる審問の中で、チャットGPTの発明者オルトマンはAIチャットボットの潜在的な危険性とそれらが人類の歴史を変える能力について質問攻めにあった。オルトマンは、彼の最も恐れることはその技術によって「重大な損害」が引き起こされる可能性であると認めた。

 「もしこの技術が誤った方向に進んだ場合、それはかなりまずいことになる可能性があります。私たちはそれについてはっきりと発言したいと考えています」と彼は述べた。さらに、OpenAIは「政府と協力してそれを防止するために取り組んでいる」と付け加えた。 上院議員たちは、チャットGPTや類似型がもたらす具体的な脅威についてオルトマンに質問した。ミズーリ州のジョシュ・ホーリーは、その技術が選挙に影響を与える可能性があるのか尋ねた。

 「調査結果を予測し、それに基づいて組織や機関が戦略を微調整し、有権者から特定の行動を引き出すための手助けをすることができる型について心配すべきでしょうか?」とホーリーは尋ねた。

 これに対して、オルトマンはAIの説得力が彼の「最も懸念している領域」の一つであると述べ、2024年の米国大統領選挙の前にこの技術を規制するために重要な作業を行う必要があると主張した。

 コネチカット州のリチャード・ブルメンタール上院議員は、AIが労働市場にもたらす潜在的な危険性について指摘し、それを国民が直面する「最大の悪夢」と呼んだ。

 オルトマンは、一部の職業が将来的に自動化されて存在しなくなることを認めたが、技術の進歩に伴い新しい仕事も生まれる、とした。



関連記事:AIの方が、気候問題よりも、「喫緊の課題」ーグーグル社の元技術員の発言

 火曜日(5月16日)の審問は、チャットGPTなどのAIプログラムを規制する方法を見つけることを目的とした計画された連続尋問の最初のものだった。昨年末に発表されて以来、このアプリは史上最も急速に成長し、わずか2ヶ月で1億人を超える利用者を獲得した。AIが近い将来に制御を失う可能性があるという懸念の中で、米国の立法者はそれを制御するための措置が早くから開発されるべきだったと強調している。

 「AIのゴッドファーザー」とも称されるジェフリー・ヒントンは、先月、人工知能の出現が気候変動よりも「さらに緊急な」人類への脅威をもたらすと警告した。テスラのCEOであるイーロン・マスクや、アップルの共同創業者であるスティーブ・ウォズニアックを含む他の科学技術業界の指導者たちは、未規制のAI競争の潜在的な影響について警告する公開書簡にも賛同した。彼らはシリコンバレーに対し、6ヶ月間の技術の開発休止を要請した。
関連記事

G7は戦争扇動首脳会議で広島原爆の記憶を汚した。

<記事原文 寺島先生推薦>
G7 Desecrates Hiroshima A-Bomb Memory With Warmongering Summit
出典:Strategic Culture  2023年5月19日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年5月25日


1034.jpg


 G7は、戦争の恐ろしさと邪悪さの象徴である広島で、事実上の戦争首脳会議を開催した。

 アメリカ主導の「グループ・オブ・セブン」の陰謀集団は、この週末、日本の広島市でますます意味のなくなっている祭りを開催した。戦争を煽る指導者たちが、アメリカ帝国主義の究極の野蛮さを象徴する場所で、厳粛さを装うことは、その偽善と冒涜において吐き気がするほどだ。これらの詐欺師たちの明白な無自覚さと恥知らずさは、彼らの特権的な歴史的な仮面劇が終焉に向かっていることの確かな兆候だ。

 アメリカ大統領のジョー・バイデンは、自国の崩壊する経済や彼の家族の腐敗に関するスキャンダルから一時離れて、日本で開催されたG7首脳会議に出席した。彼と席を同じくしたのは、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、カナダのいわゆる指導者たちと、開催国の首相である岸田文雄だ。これら追従者たちに加わったのは、欧州連合の首席腹話術人形であるウルズラ・フォン・デア・ライエンと、ウクライナのコメディアン出身で武器商人となったいわゆる「大統領」、ウォロディミル・ゼレンスキーだった。

 式典は、皮肉と偽善に満ちた「献花」から始まった。その場所は広島平和記念公園であり、その中心には1945年のアメリカによる原爆投下によって生じた象徴的な幽霊のような廃墟、原爆ドームがある。この神聖な場所に集まった指導者たち自身が、世界を別の大災害へと犯罪的に突き進めているのと同じ人間なのだ。

 バイデン大統領と彼の仲間たちは、「平和」と「核軍縮」といった空虚な話はさっさとやめ、G7サミットをロシアと中国に対する、より敵対的な呼びかけをする場にした。モスクワに対する経済戦争(制裁)のさらなる計画がなされた。モスクワは、いつものようにウクライナに対して「いわれのない攻撃」をした、と中傷の対象となったためだ。米国とNATOの友好諸国はウクライナで作り出した火薬庫への武器供与の約束をした。中国やラテンアメリカ、そしてアフリカの国々から提案されている国際的な外交努力を高飛車に退ける姿勢も見られた。

 アメリカ主導のG7顧問団は、彼らの憎悪の催しを、中国に対するさらなる敵対心を煽る場とし、北京は核兵器を増強し、世界を脅かしていると非難した。

 要するに、グループ・オブ・セブンは、戦争の恐怖と邪悪さを象徴する広島で、事実上の戦争首脳会議を開催したのだ。

 78年前の1945年8月6日の朝、午前8時15分、アメリカ空軍のエノラ・ゲイB-29爆撃機が市内に原子爆弾を投下した。その結果、市民を中心に14万人の死者が出た。多くの人々が即座に焼死し、他の人々は恐ろしい火傷や放射能中毒によって亡くなった。3日後には長崎にも第二の爆弾が投下された。

 歴史は、そのような大量破壊兵器を使用する軍事的な必要性は存在しなかったことを示している。アメリカの公式の理由は、太平洋戦争の終結を早めるというものであったが、今では明白な嘘と見なすことができる。これらの爆弾は、アメリカによって戦時同盟国であるソビエト連邦に特に向けられた国家テロの一環として意図的に使用された。これらの異常な虐殺的犯罪は、冷戦の始まりを決定づけたと言えるだろう。この恐ろしい境界設定は、それによって米国主導の西側帝国主義体制が戦後の世界を支配するためだった。

 同じ悲惨で犯罪的な冷戦の考え方は、アメリカの支配者や彼らの西側の取り巻きたちの間に今も続いている。ワシントンは、自らと同様に共犯関係にある西側の従属する国々と共に、だれも認めない覇権的な野望を維持するために戦争と紛争が必要なのだ。野蛮な権力構造は、「敵」と「脅威」と指定した「思想・意識体系的な投影」によってのみ維持され、それによって本来受け入れがたい野蛮さと戦争扇動が正当化される。ソビエト連邦が「敵」であり、それから「イスラム過激派テロリスト」となり、今ではロシアと中国になっている。

 思想・意識体系的な投影は、アメリカとその西側の同盟国を慈悲深く、平和を愛し、民主的で法を守る存在として自己陶酔的な姿で描き出す。これは、まるで信じられないほどのグローバルなgaslighting(心理的操作)であり、現実の逆転だ。これは主に、西側の企業報道機関/宣伝扇動体制を通じた大量のディスインフォメーション(情報操作)によって可能になっている。幸いなことに、その茶番も徐々に化けの皮がはがれつつある。

 今週、敬愛すべきブラウン大学のCost of War計画による調査では、過去20年間の米国主導の戦争による死者数を450万人と推定した。第二次世界大戦終結以来、米国の侵略戦争による死者数の推定は、合計で2000万~3000万人に達している。歴史上いかなる国もこの米国の破壊力に近づいた国はない。それなのに、笑ってしまうが、米国は「自由世界の指導者」、「ルールに基づく秩序を守る民主主義の担い手」などと自称しているのだ。

 アメリカは、企業資本主義経済を支えるために戦争、紛争、大量殺戮、さらには絶滅の脅威にまでその中毒症状を呈し、巨大な帝国主義的な暴走国家に堕落している。蓄積された31兆ドルの国債は、その慢性的な病状と瀕死のドルを物語っている。

 とはいえ、ワシントンの思想・意識体系的な自負心は、協力的な企業報道機関/宣伝扇動体系によって維持され、広まっている。そしてロシアや中国など他の国々を国際平和への「脅威」として描くという愚かな大胆さも持っているのだ。

 ウクライナの戦争は少なくとも9年以上の準備期間を経ている。NATOのジェンス・ストルテンベルグ事務総長ですら、2014年のCIA支援によるキエフでのクーデター以来、ロシアに対する戦争の準備が行われていることを恥ずかしげもなく認めている。この戦争は、アメリカの支配者とその西側の取り巻きたちの精神異常的論理を鮮明に示している。イギリスは戦争の激化を引き起こすためのアンクル・サムの右腕として浮上し、最新のロシアへの挑発行為としてクリミアを攻撃可能な長距離のストーム・シャドウ巡航ミサイルを供給した。既に、これらのイギリスの兵器によってロシアの市民が被害を受けている。これは、クリミア戦争(1853-1856)におけるイギリスの「軽旅団の突撃」の殺戮狂乱の第二章のようだ。イギリスの首相リシ・スナクも多様性など眼中にない軽蔑に値する人物だ。彼やバイデン、ショルツ、トルドー、マクロン、メローニ、フォン・デア・ライエンのような愚か者たちは、戦争犯罪の告発を受けるべきだ。

 アメリカの覇権的な野望によって強制される戦争の容赦のない論理は、世界を再び世界大戦の瀬戸際に追いやっている。以前の2つの世界大戦を引き起こした帝国主義的傾向が再び高まりつつある。

 広島は、戦争、特にアメリカ主導の戦争の忌まわしい記念だ。アメリカの大統領や西側の支配者層の下僕たちが、原子爆弾による大量虐殺の被害者に敬意を表しながら、同時にロシアと中国に対する攻撃の強化を計画しているという事実は、本当に憂慮すべきだ。

 傲慢なアメリカの支配者たちは、広島と長崎について謝罪したことなど一度もない。むしろ、彼らは正義を主張し続けている。バイデンは週末にさらなる侮辱を加え、日本がアメリカの「核の傘」による「保護」を受けると宣言した際に、中国の拡大主義を理由にした。これは、中国を軍事基地、ミサイルシステム、海軍の火力、核兵器を搭載可能な爆撃機で囲み込んでいる国の指導者が述べたものだ。日本の卑屈な首相、岸田文雄は、こともあろうに、バイデンに感謝し、アメリカが世界の平和のための力であると宣言した。

 いずれにせよ、G7の世界的な重要性は下落している。それは過去のアメリカ帝国主義の名残だ。この「富裕層の会合」はかつて世界経済の半分を支配していたが、現在は30%以下に減少し続けている。中国、ロシア、グローバルサウス、BRICS、ASEAN、ALBA、EEA、SCOなど、新興の多極化する世界は、アメリカ帝国が衰えつつあることと、ドルの支配力が急速に衰退していることの証明になっている。G7は、世界経済や開発を助けるというふりすらしない。G7は崩壊しつつある覇権的体制による絶望的な戦争扇動を発する戦争手段になってしまった。

 西側の報道機関/宣伝扇動の童話の世界だけが、広島でのこのような茶番を取り上げることができている。しかし、世界の他の地域にとっては、この茶番はまったく胸くそ悪いものとして映っている。
関連記事

ロシアが国際刑事裁判所(ICC)の検察官の逮捕を命じる。

<記事原文 寺島先生推薦>
Russia orders arrest of ICC prosecutor
The British lawyer who charged President Vladimir Putin with “war crimes” is now facing charges himself
「戦争犯罪」でウラジミール・プーチン大統領を告発したイギリスの弁護士が、現在自ら告発されている。
出典:RT  2023年5月19日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年5月25日



国際刑事裁判所(ICC)の検察官、カリム・アサド・アフマド・カーン© Ebrahim HAMID / AFP


 ロシア内務省は金曜日(5月19日)、ハーグの国際刑事裁判所(ICC)の現職最高検察官であるイギリスの弁護士、カリム・アサド・アフマド・カーンに対する逮捕状を発行した。

 3月に、カーンはロシアのウラジミール・プーチン大統領と児童権利委員のマリア・ルヴァ・ベロワに対し、「ウクライナの占領地域」からロシアへの「違法な追放と移送」に関する戦争犯罪の容疑で逮捕を請求した。

 ICCは、ロシアがウクライナ軍の攻撃下にある民間地域からの子供の避難させたことは強制的な人口移転とみなされ、それは第四次ジュネーブ条約における犯罪と定義されるというキエフ政府の主張に基づき行動した。



関連記事:クレムリンはプーチンに対するICCの逮捕状には無関心―報道官

 カーンの発表から3日後の3月20日、ロシア捜査委員会は彼のほか、彼の逮捕状を承認したICCの3人の判事、赤根智子、ロサリオ・サルバトーレ・アイタラ、そしてセルヒオ・ヘラルド・ウガルデ・ゴディネスに対して捜査を開始した。この調査は、ロシア刑法の299条および360条、つまり明らかに無実であると知られている人物に対する犯罪容疑の提起と、国際的な保護を受けている外国の代表者への攻撃の準備によって国際関係を複雑化させることに焦点を当てている。

 モスクワは、ロシアがこの裁判所の設立に関わるローマ規程の締約国ではないため、プーチン大統領とルヴァ・ベロワに対するICCの逮捕状を無効として退けた。同様に、アメリカ、中国、インド、および数十の他の国も締約国ではない。
関連記事

ウクライナが、米国に好印象を持たせるために残された時間は「5ヵ月」—FT紙

<記事原文 寺島先生推薦>
Ukraine has ‘five months left’ to impress US – FT
The West cannot keep its military aid to Kiev flowing “forever,” several senior officials told the Financial Times
複数の高官がフィナンシャル・タイムズ紙(FT)に対して、「西側はキエフへの軍事援助を永遠に続けることはできない」と述べた。
出典:RT 2023年5月18日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年5月25日



FILE PHOTO. © Global Look Press / IMAGO / Vincenzo Circosta


 ウクライナは、5か月以内に何らかの「進展」をアメリカや他の支援国に示す必要がある。それはロシアとの紛争に関する計画をそれらの国々に説得するためだ、とFT紙は木曜日(5月18日)、欧州とアメリカの複数の高官の話を引用して報じた。

 「ワシントンは選挙運動期間に入り、アメリカとその同盟国がウクライナに提供してきた大規模な軍事支援が無駄ではなかったことを示さなければならない」ということも、FT紙の記事は記している。

 「アメリカにとっては、この戦争を成功したものとして売り込むことが重要です。また、国内向け目的としても、それらの一連の援助がウクライナの進展に成功したことを証明する必要があります」と、ある欧州の高官がFT紙に語った。

 同紙は、「世論調査によれば、アメリカ国民のウクライナへの支持は低下しており、バイデン大統領の政権は、キエフへの支援に数百億ドルを費やしたことが、前線で大きな違いを生んだことを示さなければならない」と述べている。

 FTの情報源によると、ワシントンは次の5か月が今回の紛争の結果にとって重要だと考えている。「もし9月になってもウクライナが大きな進展を遂げていない場合、(西側諸国)に対する国際的な圧力は非常に大きくなるでしょう」と、別の情報源がFTに匿名で語った。



関連記事:ウクライナへ送る米国の資金は枯渇ーポリティコ誌の報道

  9月には、国連総会とG20首脳会議が次々に開催される。どちらの会合も、戦闘中の当事者たちを交渉卓に座らせるために活用される可能性があると、FT紙は述べている。

 複数の情報源は、キエフへの西側の軍事支援も限界に近づいていると警告している。「(キエフに対して)伝えたいことは、基本的に、現状がウクライナの手にできる最善のものだということです。アメリカの予算にはもはや柔軟性がなく、支払いのための小切手を書き続ける余裕がなく、またヨーロッパの軍需工場も全力で稼働しています」と、ある欧州の高官が同紙に語った。

 アメリカは、ウクライナにおける武器供給において最大の支援国であり続けている。ワシントンの同盟国は、その支援を維持する能力について懸念を抱いており、2024年の米国大統領選挙によりその支援が減少することを予想している。「私たちは永遠に同じ規模の支援を続けることはできません」と、ある欧州の関係者は述べた。また、現在の支援水準は1年または2年間維持されるかもしれないが、それ以上は続かないとも付け加えた。
関連記事

米国はウクライナ紛争を「凍結」したいと思っている―Politico

<記事原文 寺島先生推薦>
US wants to ‘freeze’ Ukraine conflict – Politico
Officials believe that a division much like that in Korea would cost Washington less money and political capital, the outlet claims
高官たちは、朝鮮半島のような分割がワシントンにとって費用と政治的資本の面でより負担が少ないと信じている、というのがPolitico*の論点だ。
出典:RT 2023年5月18日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年5月25日

* 政治に特化した米国のニュースメディアである。主にワシントンD.C.の議会やホワイトハウス、ロビー活動や報道機関の動向を取材し、テレビやインターネット、フリーペーパー、ラジオ、ポッドキャストなどの自社媒体を通じてコンテンツを配信している。( ウィキペディア)


資料写真。ウクライナの兵士たち© Vincenzo Circosta / Anadolu Agency via Getty Images


 木曜日(5月18日)にPoliticoが引用した情報源によれば、アメリカ大統領ジョー・バイデン政権は、ウクライナの勝利を追求するのではなく、将来の見通しにおいてウクライナの紛争を「凍結」することを検討している。

 アメリカの3人の現職、そして1人の元高官が、現在ホワイトハウスでは「長期的な低強度の膠着状態」について議論が行われているとPoliticoに語った。

 元高官は、あり得る筋書きとして、1950年代初頭の朝鮮戦争が休戦協定終結した事例をなぞらえた。公式の平和協定はまったくなかった。ただ、平壌とソウルの両者が朝鮮半島全体の主権を主張し、非武装地帯が両地域を隔てていた。

 「朝鮮式の停戦は、政府内外の専門家や分析家たちによって確かに議論されているものです。それは考えられる筋書きです。なぜなら、両者とも新たな国境を認識する必要はなく、合意すべき唯一のことは、ある線に沿っての射撃停止だけだからです」と元高官は述べた。

 凍結状態の紛争は西側諸国にとってより費用がかからず、公衆の注目も集めず、その結果、キエフへの支援に対する圧力も少なくなるとPoliticoは説明している。



関連記事:クレムリンは朝鮮半島型のウクライナ分割案についての「でっち上げ話」を全面的否定

 ウクライナは依然としてワシントンと同盟関係を維持し、いつかはNATOに加盟することを目指して軍事をNATO基準に切り替え続けるだろう。

 ウクライナにおける「朝鮮戦争的な筋書き」は、1月に報道機関の注目を浴びた。モスクワは最高位の高官を欧州各国に派遣し、その筋書きを推進しようとしている、とウクライナの国家安全保障会議書記であるアレクセイ・ダニロフが語った後のことだ。

 クレムリンはこの報道を否定し、ダニロフがウクライナの政治家であるカザクと、ロシア政府の同名の人物を混同した可能性があると主張。つまりダニロフは(ウクライナの)カザクを(ロシアの)カザクとしたのだ。

 ロシア安全保障会議の副議長であるドミトリー・メドヴェージェフは、ダニロフの発言は「国内向け」であり、ウクライナ政府がそれに対する公衆の反応を測定するためのものだと主張した。メドヴェージェフは、ウクライナにとっては「分裂することが最善の筋書き」と述べ、現状況下での理想的な状態であると考えた。

 モスクワは、NATOのヨーロッパにおける拡大と、ウクライナを正式な手続きなしにじわじわと手中にしていることを、隣国ウクライナへ軍隊を派遣する主要な理由の一つとして挙げた。ロシアは、この紛争がアメリカによるロシアへの代理戦争の一環であり、ウクライナ人が砲弾の生け贄として利用されていると主張し続けている。
関連記事

西側の武器は十分でないかもしれない、とウクライナ軍がNYT紙に語る

<記事原文 寺島先生推薦>
Western arms may not be enough, Ukrainian troops tell NYT
Russia has the battlefield advantage despite Kiev’s foreign backing, soldiers on the frontline have told the newspaper
NYT紙によれば、最前線の兵士たちは、キエフへの外国からの支援にもかかわらず、ロシアが戦場で有利な立場にあると述べている。
出典:RT 2023年4月28日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年5月23日


1025-1.jpg
資料写真.ロシアの黒海艦隊の海兵隊員。©スプートニク/アレクセイ・マイシェフ


 ニューヨーク・タイムズ(NYT)紙は、紛争最前線にいるウクライナの部隊は、キエフの支援者が送った大規模な軍事支援にもかかわらず、ロシア軍がまだ優位に立っていることに懸念を抱いていると報じている。

 「ロシアがどこからそんなに多くの砲弾を手に入れているのか、分からない」と、ドンバス地域のウグレダル市周辺に配置された43歳のウクライナ人私設部隊の兵士であるパヴェルは、NYT紙に語った。

 「それにタンクやヘリコプター、ジェット機もあります。兵士たちは激しい砲撃の中で陣地に入ることも、出ることもできません。ライフルだけでは彼らに立ち向かえません。私たちは陸上での重火器と空中支援が必要です」と彼は不満を述べた。

 キエフは、西側から提供された戦車、装甲車両、および他の重火器を利用して、数週間以内にロシアに対する反攻を開始する予定だ。ウクライナの国防相アレクセイ・レズニコフは金曜日(4月28日)に、部隊が攻撃命令に備えて準備ができていると述べた。

1025-2.jpg

関連記事:ウクライナ軍、反攻に「おおむね準備」(大臣)

 「ドルフィン」というコールサインを使用する中隊長は、彼の部下たちの士気が高く、数的に不利であっても攻撃に出たがっている、とNYT紙に語った。

 「私たちは最も優れた人材を失いました――亡くなった人々と、負傷のために戦闘から離脱した人々を含めて」と彼は部隊が最近ロシア軍との戦闘で経験したことについて述べた。

 「しかし、しかしです。彼らは、数は多いですが、私たちのほうが強力です」と彼は付け加えた。

 もう一人の戦士で、23歳の軍曹であるマイケルは、西側武器の操作訓練の不足を説明した。彼は彼の中隊で唯一、正しくアメリカ製小火器のMk-19 グレネードランチャーを使用する方法を知っている、とこのNYT紙の記事に記されている。

 「この武器がウクライナ軍に導入された当時、それを操作する方法を説明できる指導者はいませんでした。マニュアルは英語のみであり、ウクライナ軍では英語を話す者はほとんどいません」と彼は述べた。

 マイケルは、NYT紙によれば、この小火器グレネードランチャーの使用経験を5年持ち、それを他の人と共有しているところだ。

関連記事:ロシア、フランス人傭兵の犯罪疑惑を調査へ
 
モスクワは、ウクライナへのNATOの徐々の拡大とそれに伴うロシア国家安全保障への増大する脅威を、2022年2月に軍事作戦を開始した主要な理由の一つとして挙げている。
関連記事

ウクライナに供給されたイタリア製武器は、戦闘用になっていない(FT紙)

<記事原文 寺島先生推薦>
Italian weapons supplied to Ukraine not battle-ready – FT
The paper, citing an unnamed official in Kiev, claims that none of the 20 howitzers provided earlier this year were operable
フィナンシャル・タイムズ紙は、キエフの匿名の高官の話を引用し、今年早く提供された20門の榴弾砲のいずれも稼働可能ではないと書いている。
出典:RT 2023年4月29日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年5月23日


1024-1.jpg
資料写真 © Chris McGrath/Getty Images


 FTは、今年早々、イタリアからウクライナに提供された軍事装備の一部は戦闘に即した状態ではなっていないと土曜日(4月29日)に報じた。匿名のウクライナ国防省顧問の話を引用し、同紙はローマがキエフに提供した20台の自走榴弾砲のいずれも即座に使用するには適していないと報じた。

 今週初め、ウクライナ大統領ウォロディミル・ゼレンスキーの最高顧問の一人が、予想される反攻を成功させるためにはさらに多くの武器が必要であることを明らかにした。

 同紙はまた、キエフがアメリカに対してより長射程のミサイルやF-16戦闘機の供給を説得しようとした試みが、現時点ではうまくいっていない、とも指摘している。

 その記事によれば、もしウクライナの反攻が西側の期待に応えられない場合、アメリカや他の国の批判者たちはさらなる軍事支援の実現可能性に疑問を呈することになるだろう。西側各国政府は最終的にはキエフに、交渉による解決を受け入れさせることを決定するかもしれないと、同紙は記している。

 同紙は、ロシア軍に対して大規模な領土獲得を確保することは、おそらくキエフにとっては非常に困難な任務であると結論づけた。

1024-2.jpg

関連記事:西側の武器では不十分かもしれない、ウクライナ軍がNYT紙に伝える

 水曜日(4月26日)、ゼレンスキー大統領の上級補佐官であるミハイル・ポドリャクは、ウクライナがまだ武器や装備を必要としていると主張し、NATOのヨーロッパ軍司令官であるクリストファー・カヴォリ将軍と話が食い違っている。カヴォリ将軍は、ウクライナへの約束された戦闘車両の98%が既に提供されたと、下院軍事委員会で述べていた。

 先週、Foreign Policy誌は、8つの国からウクライナに提供されたドイツ製のLeopard戦車がキエフの軍事にとって物流上の課題となる可能性があると報じた。その戦車は、異なる種類の弾薬を使用しており、ウクライナは大量の弾薬をまとめて調達することができない、とのことだ。

 ワシントンが今年早々、キエフに提供することを約束したAbrams戦車は、実際に戦場に到着するまで数ヶ月かかる可能性がある。
関連記事

ドイツの戦車はウクライナに問題を引き起こしている(米オンライン紙 Foreign Policy)

<記事原文 寺島先生推薦>
German tanks pose problems for Ukraine – Foreign Policy
The hardware donated by eight countries reportedly fires different rounds, making it impossible for Kiev to buy munitions in bulk
報道によれば、8つの国が寄付した武器は異なる弾薬を使用するため、キエフが弾薬をまとめ買いすることは不可能となっている。
出典:RT 2023年4月22日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年5月23日


1023-1.jpg
レオパルド2戦車で訓練するポーランドとウクライナの兵士(2023年2月13日、ポーランド・スウィエトスゾフ軍事基地)© AFP / Wojtek RADWANSKI / AFP


 米国オンライン日刊紙『外交政策(Foreign Policy)』によると、ウクライナが西側の支援国から供給されるドイツ製Leopard戦車は、単一の種類ではなく、さまざまな弾薬を調達しなければならない可能性がある、とのことだ。

 木曜日(4月20日)、同紙は、8つの国からキエフに提供された戦車が、発射する弾丸の点では統一性がないと記している。また、この記事は、既に供給された防空手段の不十分さも指摘している。

 Foreign Policy紙は、「8つの異なる国からやってくるLeopard戦車は、異なる弾薬を使用している。そのためウクライナ人は新たに装備された地上軍のために大量の弾薬をまとめ買いすることはできない」と記している。

 さらに同紙は、アメリカが寄付する予定のAbrams戦車について、実際に戦場に到着するまで数ヶ月かかる可能性があると指摘した。

関連記事:西側諸国、ウクライナへの供給で「不足」(NYT紙)

 この記事によると、ウクライナは現代的な防空システムの深刻な不足に直面している。国内にはわずか数都市をカバーするだけのシステムがあるだけだとされている。さらに悪いことに、ワシントンが提供したホークミサイルシステムは、レーダーなしで出荷されている、とForeign Policyは報じている。

 報道によれば、これらの不手際がキエフの計画している春の反攻を遅らせ、ウクライナの指導者たちの不満を引き起こしているようだ。

 同紙は、ウクライナのゼレンスキー大統領が先月末に西側諸国に対して軍事支援を強化するよう呼びかけたことを記している。

 その考えに同調する形で、ウクライナ国家安全保障・国防会議の秘書であるアレクセイ・ダニロフは、今週の早い段階に、AP社に対して、ウクライナの支援国の中には「約束とはまったく別のことをする」人々もいると嘆いた。アレクセイ・ダニロフはまた、計画されている反攻に言及しながら「誰も、何の準備のないまま、何かを始めることはない」と明確に述べた。

 Foreign Policy紙に引用されたウクライナの国会議員は、この攻勢は元々4月に計画されていたが、それを実行するために必要な武器の不足のために無期限に延期されなければならなかったと語っている。

 ニューヨーク・タイムズ紙は金曜日(4月21日)の報道で、2月末現在、キエフは、アメリカの軍関係者が成功する反攻に十分と考えた253両の戦車のうち、わずか200両しか保有していない、と書いている。この記事は、ペンタゴンから漏洩した文書を引用し、多くの武器がソビエト設計であることを指摘している。

 ニューヨーク・タイムズ紙はまた、アメリカとその同盟国がウクライナの砲弾需要に追いつくことに困難を抱えていると記述している。
関連記事

NATOメンバー国がウクライナの重要軍事問題について分析

<記事原文 寺島先生推薦>
NATO member theorizes on Ukraine military’s key problem
Western-supplied weapons turn into “warehouse goods” due to lack of ammo, Czech President Petr Pavel says
チェコ共和国の大統領、ペトル・パヴェルは、弾薬不足のため、西側供給の武器は「倉庫の商品」となると述べている。
出典:RT 2023年5月1日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年5月23日


1022-1.jpg
ウクライナの大統領、ヴォロディミル・ゼレンスキーがキエフでの会談中にチェコ共和国のペトル・パヴェルと握手を交わしている。©Twitter/Petr Pavel


 チェコ共和国のペトル・パヴェル大統領は、弾薬の不足がウクライナのロシア軍に対する自衛能力を制限するか、計画中の反攻を成功させることを妨げていると述べた。

 パヴェルは、ウクライナへの3日間の訪問から帰国した後、日曜日(4月30日)にメディアと話し合った。その訪問中に、彼はウクライナの大統領であるウォロディミル・ゼレンスキーやキエフの他の関係者と会談した。モスクワとキエフの紛争の勃発から1年以上経過して、彼は東部の都市ドニプロ(Dnepr)への外国の首脳の最初の訪問者となった。

 パヴェル大統領は、「ウクライナの多くの関係者との議論から明らかになったのは、現在ウクライナが防衛を成功させるために最も必要としているのは弾薬です」と述べた。

 「もちろん、装備も不足していますが、弾薬の深刻な不足は、ウクライナの効果的な自衛能力を制限するだけでなく、成功的反攻を行う能力も、ある程度、限られてしまっています」と彼はチェコのメディアであるCeske Novinyに語った。

関連記事:ウクライナの弾薬列車を破壊(ロシア国防省)

 情報部門の経験を持ち、2015年から2018年までNATO軍事委員会の議長を務めたパヴェルによれば、ロシア軍は弾薬の質と量の両方で優位に立っており、ウクライナ軍よりも1日に4〜5倍の弾薬を発射することができる、と述べている。

 キエフの西側支援者は、ドイツ製のLeopard 2やイギリスのChallengerなどの主力戦車を含む「効果的な装備」をウクライナに供給しているが、共に提供される弾薬の数は限られていると彼は述べた。

 ウクライナ軍は、これらの武器をわずか数日間しか現場で展開できず、その後は弾薬がないため、「基本的には倉庫の商品となる」と大統領は述べた。さらに、大統領はこの状況は「実際にはあまり意味がありません」と付け加えた。

 パヴェルによれば、プラハ(チェコ政府)は自らの供給源を通じてウクライナ軍への弾薬供給を増やすために、「創造的な方法」を模索し続け、同盟国との協力も行うだろう、とのことだ。

 ゼレンスキー大統領は金曜日(4月28日)、Nordicメディアとのインタビューで、彼は「反攻が行われる」と明言し、それが成功することを期待していると述べた。しかし、Politicoの先週の報道によると、ウクライナの主要な支援国であるアメリカは、大いに宣伝された反攻の影響が期待に達しない可能性に懸念を抱いている、とのこと。

関連記事:ロシアの防衛力から考えると、ウクライナの反攻は難しいとの見方(CNN)

 現在はロシアの安全保障会議の副議長を務めている、元ロシア大統領のドミートリー・メドヴェージェフは、もし反攻が本当に行われるならば、ロシア軍がそれを鎮圧し、ウクライナ軍に「最大限の軍事的敗北」を与えると強調している。

 モスクワは、西側の軍事物資がキエフに供給されることは紛争を長引かせると主張している。クレムリンはまた、NATOに対して、より高度なシステムをウクライナに提供することは、ウクライナが紛争により深く関与し、それによってロシアとの直接的な対立を生じさせる可能性があると繰り返し警告している。
関連記事

イムラン・カーンの逮捕: パキスタンのファシズムの素顔とは

<記事原文 寺島先生推薦>
The Arrest of Imran Khan: The Naked Face of Fascism in Pakistan
出典:INTERNATIONALIST 360° 2023年5月11日
筆者:アースマ・ワドゥド(Aasma Wadud)
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年5月23日



イムラン・カーンの人気は政権交代後うなぎ登りであり、 今やパキスタンで最も愛され、親しまれ、信頼されている指導者となった。

 
 政権交代が強制的に行われて、イムラン・カーンやパキスタン正義運動党(PTI)の指導者たち、同党に投票した人々、支持者、報道家、ソーシャル・メディア上で活動する人々、一般市民が辛い時間を迎えることになってから、野党連合「パキスタン民主運動(PDM)」が権力を握り、恥知らずにも、ファシスト的な考え方を持って権力を振るおうとしている。

 パキスタンの民主主義は最近ずっと弱体化してきているが、真の民主主義への願いはかつてなく強まっている。パキスタンは、イムラン・カーンの指導のもとで団結し、断固とした態度で立ち上がり、自国の主権や、繁栄、敬意を追求しようとしている。パキスタン元首相のカーンは、新しい方法で、パキスタンの政界を再構築しているのだ。その一例が、2023年5月6日に出された判決に連帯する国家規模の集会への呼びかけだった。

 パキスタン最高裁は憲法を守れるかの瀬戸際に立たされている。現政権は何としてでも、選挙を避けたがっていて、パキスタン最高裁や大統領の職務権限において決定的な変化が生じるまで、選挙を避ける構えのようだ。

 他方、パキスタン憲法第224条においては、議会解散後90日以内に重要な二州(パンジャブ州とカイバル・パクトゥンクワ州)において選挙をしなければならないとされている。ウマー・アタ・バンディアル最高裁長官はスオ・モト*を発令し、両州での州選挙を90日以内に行うよう命じた。政府側はあらゆる手を尽くしてこの選挙を遅延させようとしている中で深刻な影響が刻々と生じており、事態は風雲急を告げている。
*インドやパキスタンの裁判所が持つ、裁判所が独自の判断で下すことの出来る職務命令のこと

 「パキスタン正義運動党」は、パキスタン各地の4千を超える地域で平和的な反対運動を24時間以内で組織することに成功した。しかし、このファシスト政権においては、あらゆる政治的取努力は結果が伴う。今回の政権奪取の成功に伴い、政治上の犠牲者がたくさん生まれていることが、パキスタンで急速に日常茶飯事になっている。パキスタンでは、女性たちが警察により残忍に連行され、肌を日光に露出させられ、公衆の面前で衣服を破られていた。さらには、男性用の囚人護送車で運びさられていた。パキスタン正義運動党の指導者層や同党に投票した人々や支持者、支援者は嫌がらせを受け、拉致され、偽の供述調書を書かれていた。この反対運動は現政権に大きな打撃を与え、国家権力を混乱させているが、これはこの20年で最大の誤算に基づくものだった。イムラン・カーンは、翌週の選挙へ出馬を表明したので、イスラマバード高等裁判所の敷地内で、国家行政機関の命を受けた警備員らに逮捕された。国家権力に対して、恐れることなく対決したために、このような手荒な対応をされ、屈辱を受けることになったのだ。悲しいかな、こんなことは氷山の一角に過ぎない。

 カーンの逮捕は、国家規模の反対運動を引き起こし、その運動において民衆は、このような暴挙を行った軍を非難していた。このような衝突はパキスタンの歴史上例を見ないものだ。 それだけではなく、イムラン・カーンの逮捕に対する民衆の激しい怒りは、不穏な事態となっている。さらに問題なのは、イムラン・カーンは逮捕されたのか拉致されたのかどちらなのかが、未だに明らかになっていないことだ。


昨日のパキスタンのペシャワールでの抗議活動において、警察はイムラン・カーン元首相の支持者たちに対して催涙弾を発射した。Credit…Abdul Majeed/Agence France-Presse — Getty Images

 政権交代が強制的に行われて、イムラン・カーンや「パキスタン正義運動党(PTI)」の指導者たちや、同党に投票した人々、支持者、報道家、ソーシャル・メディア上で活動する人々、一般市民は辛い時間を迎えることになってから、「パキスタン民主運動(PDM)」はファシスト的な考え方で権力を握り、恥知らずにそれを実行した。「パキスタン正義運動党」の指導者たちや、同党に投票した人々、支持者たちは、拉致され、嫌がらせを受け、強姦され、危害を加えられ、拷問された。彼らは橋の上から落とされ、平和的な政治集会を行っているところを射撃され、集会から連れ去られ、留置所で殺された。

 イムラン・カーンは暗殺されそうになりながらも辛くも逃げることができたが、負傷し、何ヶ月も自宅で監禁された。報道界においては、アーシャド・シャリフ記者のような尊敬される記者が亡くなった。今パキスタンでは、これまでにない規模で政治上の犠牲者が生まれており、「パキスタン正義運動党」の指導者たちはパキスタン国内の至る所をまわり、 国内各地で多くの事態に対処している。イムラン・カーンには、150件以上の罪状が掛けられている。愚かにも政府当局は、法的正当性を無視して行動を起こし、カーンを逮捕しようと企んでいた。警察権力はカーンの自宅を家宅捜索した。 「パキスタン正義運動党」の支持者、同党に投票した人々、男性、女性、子どもたち、老いも若きもが、催涙弾を発射され、警棒で殴られ、放水砲を浴びせられた。個人的な電話も盗聴され、あろうことか内閣の記者会見内でその内容が明かされた。個人情報も人権も言論の自由もあったものではない。

 権力の座に居座り続けることが、現政権の主要目的だ。汚職の伝統と実体があるという理由だけで連立が成立している「パキスタン民主運動」政権は、13の政党からなる連立政権だが、成立したのは2020年9月のことであり、その目的は、自分たちの利権に奉仕する権力を確保することだった。不信任動議のやり直しをさせるという手口の策謀でイムラン・カーンを退陣させて権力を得た後、この不浄な連立政権は自分たちの汚職を正当化させ、法律や制度を都合のいいように変えようとしてきた。

 イムラン・カーンの人気は政権交代後うなぎ登りであり、 今やパキスタンで最も愛され、親しまれ、信頼されている指導者となった。他方、「パキスタン民主運動」政権は徐々に政治的資産を失い、権力を傘に来た横暴な態度をとるようになった。「パキスタン民主運動」政権がイムラン・カーンを恐れているという事実は、公然の秘密である。カーンが、パキスタンの国家規模で、唯一全国的に有権者や支援者、支持者からの信頼を得ている指導者だからだ。ただしそれは、自由で公正な選挙を確立させることができるなら、の話だ。そのような選挙が実現できれば、カーンは3分の2の支持票を集め、これまで妨害されてきた、「国民に対して説明責任が持てる政府」の再興を成し遂げられるだろう。そうなれば、今回カーンに与えられる政治的活動領域の画布はこれまでで最大のものとなろう。これまでは手をつけることが出来なかった聖域にまで踏み込めるようになる。

 イムラン・カーンが最大の脅威であることを考えれば、カーンを懐柔し、拘束し、身柄を抑え込み、力を削ごうとすることは、現政権にとって必須のことだ。反逆罪であれ、外国人から贈り物を得ていた件であれ、事実をよく調べることなく罪をでっち上げようとしたが、全く上手くいっていない。それでもまだ、カーンの身辺にのしかかる脅しは、終わることがない。

 「パキスタン民主運動」政権が権力者として支持を失うのは時間の問題だ。「分割して統治せよ」の手法を用いて、現政権は意図的に衝突を演出してきた。現政権は、支配者層と民衆の間の乖離を拡げている。現在、最高裁が現政権の主要な槍玉に挙げられている。今パキスタンで最も尊敬されていて、愛されている組織は、軍なのだが、この軍が、現在最も混乱している政治上の対立劇の渦中に置かれている。それだけではなく、現政権はパキスタン憲法を改悪して選挙をさせない構えだ。少しずつパキスタンが世界から孤立しつつある中で、好調な経済界は政界の安定を求めているが、パキスタン民主運動政権は何としてでも、2023年9月までの選挙実施を阻止しようとしている。

 他方、イムラン・カーンは波に乗り、民衆からの支持や愛情や賞賛を集めている。口先で妥協するつもりのないカーンの態度が、カーンと民衆を強く結合させている原動力になっている。現政権は最高裁が出した(カーン逮捕無効の)判決に抵抗していることは、イムラン・カーンとパキスタンの民衆の結束力を強め、共に努力して憲法を守ろうという動きに繋がっている。カーンや民衆は、どんな困難に直面しても、目的を達成するつもりだ。その目的とは、自立し、民主的で、繁栄あるパキスタンの実現だ。 腐敗し、王権的政治の旗手である現政権の「パキスタン民主運動」政権は、上手くいかない施策を弄して追い込まれている。 イムラン・カーンが逮捕されたことがきっかけとなり、民衆の中で鬱積されてきた怒りが爆発したのだ。カーンが拘留され続けるならば、状況は悪化の一途を辿るだろう。正当な民主主義に則った手順が取られたのであれば、このような状況は友好的・政治的に対処できていただろう。ファシズムという炉の中で燃やされるという試練を受けた後に、パキスタンの民主主義は、真の色で燃え盛ることだろう。
関連記事

プリゴジンの申し立て:神々の黄昏*か、それともマスキロフカ(偽装)なのか?

<記事原文 寺島先生推薦>
* 『神々の黄昏』(かみがみのたそがれ)は、リヒャルト・ワーグナーが1869年から1874年までかけて作曲し1876年に初演した楽劇。彼の代表作である舞台祝祭劇『ニーベルングの指環』四部作の4作目に当たる。(ウィキペディア)。なお、「ワグネル」は「ワーグナー」のロシア語よみ。
The Prighozin File: Twilight of the Gods or Maskirovka?
筆者:ペペ・エスコバル(Pepe Escobar)
出典:INTERNATONALIST 360°2023年5月6日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年5月23日


1017.jpg


 取るに足らない2機のドローン攻撃(アングロサクソン・ネオコンの複合挑発)はモスクワに完璧な贈り物を提供した:紛れもない開戦の大義だ。

 私的軍事会社ワグネルのマエストロであるエヴゲニー・プリゴジンは、コミュニケーションの達人/トローラー*/心理戦の専門家として、決して誰にも引けは取らない。
*インターネットの掲示板・チャット・メーリングリストなどで騒動を起こすため、あるいは多くの反応を得るため、場を荒らすためなどの目的で挑発的メッセージを投稿をする人(英辞郎)

 だから、彼が最近ミサイルのような言葉遣いを発表した(「ゴンゾ戦争について」、ロシア語でここ)ときには、かなりの人が驚いた。

 戦争の最中であり、絶え間なく神話化されているウクライナの「反攻」(無数の自殺的な形で起こるかもしれない、起こらないかもしれない)の前夜に、プリゴジンはロシア国防省(MoD)とショイグ大臣、そしてクレムリンの官僚制度を絶対に破壊すると公式発表したのだ。

 この爆弾発言によって、ロシアの専門家の間で連続的な波紋が広がった。しかし、英語を話す人々の間ではそれほど大きな影響を与えなかったようで、ロシアの内部関係者は私に詳細にインタビュー全体を分析した結果を伝えてくれた。ここに、重要なポイントに焦点を当てた注目すべき例外がある。

 プリゴジンは、証拠のない、次のようないくつかの不合理な主張に茶々を入れた。例えば、

・ ロシアは2つのチェチェン戦争に勝利しなかった、
・ プーチンはカディロフの父親に賄賂を支払って、全てを取り繕った、また、
・ ドンバスのデバルツェボ・コールドロンでの戦いは存在せず、代わりにポロシェンコの軍が整然と撤退した、

などという主張に対してだ。

 しかし、以下のような無視できない深刻な告発もある。

・ SMO(戦略的多層評価)は、ロシア軍が基本的に組織されておらず、訓練も受けておらず、規律もなく、士気も低下していることを証明した、
・ 実際の指導力は存在しない、
・ ロシア国防省は戦場で何が起こっているか、およびワグネルの行動についても定期的に嘘をついている、

などだ。

 プリゴジンは、ウクライナが反攻に出た後、ロシア軍が混乱状態で撤退した際、戦線を安定化させるための作戦を開始したのはワグネルだと、一徹に主張している。

 彼の話の要点は、

・ ロシアは素早くかつ決定的に勝利するために必要なものはすべてを持っている、
・ しかし、「指導層」がその資源を必要としている行動者(たぶん、ワグネル)から意図的に遠ざけている、

ということだ。

 そして、それはバフムート/アルテミウスクでの成功と結びついている:ワグネルと「アルマゲドン将軍」と呼ばれるスロビキン将軍が共同で計画を立てた。


「私を殺せ。その方が嘘をつくよりいいだろう」。

 プリゴジンは、今後6ヶ月間戦うのに必要な軍需品がどこに保管されているかについての自身の知識に自信を持っている。ワグネルは少なくとも1日に8万発の砲弾が必要。それを手にできないのは、ひとえに「政治的な妨害行為」があるからだ。

 ロシアの官僚制度(国防省からロシア連邦保安庁まで)のせいで、ロシア軍は「世界第2の軍から最悪の軍隊になり果てた。 ロシアはウクライナにすら対処できなくなっている。兵士たちに物資を供給しない限り、ロシアの防衛は維持されないだろう」。

 プリゴジンはインタビューで、ワグナルが物資を受け取らなければ撤退せざるを得ないかもしれないと不吉な言い方をしている。彼はウクライナの反攻を不可避として予見し、可能性として5月9日(勝利の日)をその開始日としている。

 今週の水曜日(5月5日)、彼はさらに語調を強めた:「反攻」は既にアルテミウスクで「無制限の人員と弾薬」を持って始まっており、供給不足のワグネル部隊を圧倒する脅威となっている。

 プリゴジンは誇らしげにワグネルの情報能力を称賛している;彼のスパイや衛星情報によれば、キエフの部隊はロシアの国境に到達することさえありうる。彼はまた、第五列の非難を激しく否定している:国家プロパガンダを乗り越える必要性を強調し、「今の事態に対して血の代償を払わなければならなくなるだろうから、ロシア人は、(現実を)知る必要がある。官僚たちは単に西側に逃げるだけだ。彼らこそが真実を恐れている人々なのだ」と述べている。

 つまり、金ということなのだろう:次は引用

「私には、将来この国で生きなければならない人々に嘘をつく権利はない。もし、望むなら私を殺してもいい、嘘をつくよりもマシだ。私はこのことについて嘘をつくことを拒否する。ロシアは大惨事の瀬戸際にいる。このゆるんだボルトをただちに締めなければ、この(ロシアという)飛行機は空中で崩壊する」。

 彼はかなり妥当な地政経済的な指摘もしている:なぜロシアがインドを通じて西側に石油を売り続ける必要があるか? 彼はこれを「裏切りだ。ロシアのエリートは西側のエリートと秘密裏に交渉している」と述べている。これはイゴール・ストレルコフの重要な論点でもある。


「怒れる愛国者クラブ」

 疑問の余地はない:もしプリゴジンが本質的に真実を語っているのであれば、これは文字どおり「核」だ。プリゴジンがほとんどの人が知らないことをすべて知っているのか、あるいは、これが見事なマスキロフカ*であるか、だ。
*古くはソ連時代から存在する「情報偽装工作」のこと。 あらゆる手段を駆使し、真の目的を相手に悟られないこと。

 が、2002年2月以降の現地の事実は、彼の主な非難を裏付けるように思われる:ロシア軍は、国防省のトップから大臣ショイグに至るまでの、完全に腐敗した官僚集団のせいで、適切に戦闘することができない。彼らはすべて、大儲けのみに興味を持っているのだ。

 さらに事態は悪くなっている:ガチガチに官僚主義化された環境の下では、前線の指揮官は自律して決定を下し、迅速に適応する権限がなく、遠くからの命令を待たなければならない。これがキエフの反攻が劇的な動揺をもたらす可能性がある主な理由だろう。

 ロシア愛国者の中で、プリゴジンだけが自分の分析を声に出しているわけではない。実際、これには何も目新しいことはない:彼はただ今回、より強い口調で語っているだけだ。ストレルコフは戦争の開始以来、まったく同じことを言っている。それはさらに4月19日に爆弾的な映像を公開する「怒れる愛国者クラブ」へと融合した。

 ここでは、小規模ながら、信頼性の高い愛国的な資質を持つグループが声高に深刻な警鐘を鳴らしている:劇的な変化がすぐに起こらない限り、ロシアはこの代理戦争に完全に負けてしまう危険にさらされている。

 もしくは、繰り返しになるが、これは見事なマスキロフカ(偽装)である可能性もある。それは敵を完全に惑わせることになる。 もしそうであるならば、それは見事に機能している。キエフのプロパガンダ機関は、「ロシアは敗北の瀬戸際にある。ストレルコフがクレムリンにクーデターの脅し」というような見出しでストレルコフの非難を勝ち誇るように採り上げたのだ。

 ストレルコフは語調を強めて続け、ロシア政府がこの戦争を真剣に受け止めておらず、実際に戦わずに取引をする計画を立てていると主張し続けており、ウクライナの領土を譲る可能性さえあると言い張っている。

 彼の証拠は次のとおり:「腐敗した」(プリゴジンの言葉)ロシア軍は、訓練や物流の面で、攻撃のために経済や世論を準備するための真剣な努力を行っていない。そしてそれはクレムリンと軍のエリートたちはこの戦争を本当に信じておらず、望んでいないからなのだ。彼らはむしろ戦前の現状に戻りたいのだ。

 ここで話は振り出しにもどる。マスキロフカ(偽装)なのか? それともワグネルに対する国防省の復讐のようなものなのか? SMO(特別軍事作戦)の開始時には、ロシア軍は正確には共同歩調を取ってはおらず、彼らは本当にワグネルを必要としていたことは事実だ。しかし、今の状況は全く異なる。国防省は、ロシアが決定的な攻撃を開始する際に、プリゴジンの部隊がすべての栄光を手中に収めることがないよう、徐々にワグネルの役割を減らしているかもしれない。


クレムリンの床に打ち落とされた

 そして、この白熱した対立の最中に、真夜中にクレムリン上空に、ちっぽけな神風カミカゼ・ドローンが突入してきたのだ。

 これはプーチンを暗殺しようとしたわけではない。むしろ安っぽい見世物の一環だった。ロシアの情報機関はおそらくすでに全体の経緯を把握しているだろう。ドローンはおそらくモスクワ内またはその近郊から、市民服をまとい偽造IDを持っていたウクライナの攻撃部隊によって発射されたのだ。

 今後も車爆弾や罠、即席地雷など、このようなPR的な事件は増えるだろう。ロシアは内部の安全対策を本格的な戦時体制に向けて強化することが必要になるだろう。

 しかし、「テロ攻撃」への「対応」(クレムリンの用語)はどうなるのだろう?

 Russtrat.ru のエレーナ・パニーニは、非常に貴重で、ヒステリックにならない評価を提供している。「ビデオ映像から判断すると、夜間の攻撃の目的はクレムリンそのものでも、参事院宮殿のドームでもなく、ロシア連邦大統領の紋章旗を複製した円屋根の旗用ポールだったのだ。この象徴的なゲームは、もう純粋に英国的なものだ。イギリスからの「お知らせ」であり、チャールズ3世の戴冠の前夜に、ウクライナの紛争が依然として英米の筋書きに従って展開され、彼らが設定した枠組み内で進行していることの『お知らせ』だ」。

 そう、そうなのだ:あのキエフ・ネオナチの馬鹿どもはただの道具だ。重要な命令は常にワシントンとロンドンから出される。特にレッド・ライン*を越える場合にはそうだ。
* 越えてはならない一線、平和的解決から軍事的解決へと移るその一線(英辞郎)

 パニーニは、クレムリンが決定的な戦略的主導権を握る時が来たと言っている。それには、SMOを本格的な戦争の状態に引き上げ、ウクライナをテロ国家と宣言し、ドゥーマで既に議論されていることを実行する必要がある。具体的には、「キエフのテロリスト政権を停止し破壊することができる武器の使用への移行」だ。

 取るに足らない二機のドローン攻撃(アングロサクソン・ネオコンの複合挑発)はモスクワに完璧な贈り物を提供した:紛れもない開戦の大義だ。

 プーチンへの「暗殺未遂」と5月9日の勝利記念日パレードの妨害を組み合わせる? 「愚者計測器」(The Stupid-O-Meter) によれば、それはネオコンたちだけがそんな素晴らしいアイデアを思いつくのだ。だから、これからは彼らの使い走りである、汗ばんだTシャツの戦争扇動役者(ゼレンスキー)は彼の身近なオリガルヒ連中もろとも、全員死刑囚ということになる。

 しかし、それすら、結局は見当違いだ。モスクワは、2022年10月のケルチ橋攻撃の直後にウクライナをテロリスト国家と認定することができた。しかし、そうしても、NATOは生き残っただろう。

 プリゴジンの「神々の黄昏」シナリオは、クレムリンが本当に望んでいるのは蛇の頭を追い求める(息の根を止める)ことであることを忘れているかもしれない。プーチン大統領は、1年以上前に重要なヒントを提供した:

 「集団的な西側の干渉は、あなたがたが歴史上で経験したことのないような結果をもたらすだろう」。

 それがNATOのパニックを説明している。ワシントンの一部の知能指数が室温(訳注:セ氏20華氏68。IQの平均値は100)を超える人々は、霧を通して見抜いたかもしれない:したがって、挑発行為(クレムリンへのこれ見よがしのドローン攻撃も含め)繰り返し、モスクワにSMOを迅速に終わらせるように迫ったのだ。

 いや、いや、そんなことは起こらない。

 モスクワにとっての現状は見事なうねりとなっている。NATOの武器や財政は測り知れないブラックホールへと止まることなく落ち込んでいる。クレムリンがさり気なく出す yes を合図に、「はい、私たちは応答しますが、それは私たちが適切と判断した時です」と。

 さあ、これが、親愛なるプリゴジン同志よ、究極のマスキロフカ(偽装)だ。

________________________________________
ラムザン・カディロフ、ワグネル部隊を自分の部隊で置き換えることを提案
Kadyrov_95
https://t.me/RKadyrov_95

 私はロシア国防相セルゲイ・ショイグ、ロシア軍参謀総長、そしてPMC「ワグネル」の創設者に呼びかけます。

 国家の運命に無関心でないすべての人々と同様に、私もエフゲニー・ヴィクトロヴィチの最新の発言を聞くのは嫌です。なおかつ、ロシア国防省の指導部がPMC「ワグネル」との意思疎通や説明のために会合を開かず、意見を出さないことはさらに不快です。何だかんだ言っても、プリゴジンはワグネル隊の貴重な貢献は尊敬に値します。もし不足しているのであれば、砲兵に頼らず、少なくともワグネル部隊のさらなる戦術がどのように調整されるのかを基準に説明し、示す必要があります。

 私はマリウポリでのチェチェン部隊の経験を思い出します。歩兵を支援するために国防省から5両の戦車が必要でしたが、割り当てられたのは1両だけでした。その戦車の乗組員も最初の戦闘で車両を離れてしまいました。その後、戦車兵は再び戦闘に向けて調整され、車両に戻され、アゾフの悪魔崇拝者たちの少なくとも1つの位置を砲撃で抑える必要がありました。他の装備にも問題がありました。SSOの開始以来、私たちは30門の砲を交換することができませんでした。私は個人的にモスクワに電話し、指揮官や上官と話しました。1か月後、問題は解決しました。最初の電話ではうまくいかなかったかもしれませんが、私たちの部隊は一撃を受けることもなく、敵に楽しい情報エンターテイメントを提供することもありませんでした。

 ・・・ところで、人々の反応を考えれば、戦友の死体を撮影することは正しくありません。私たちは決してそれを行わないようにしましょう・・・

 たとえば、私の親愛なる兄弟であるアプタ・アラウディノフは、特殊部隊「アフマト」の指揮官であり、ロシア軍第2軍団の副司令官として、敵との接触線に100キロ以上の責任範囲を持っています。彼にとって問題のない日はありません。しかし、アプティ・アロノヴィッチはインターネット上でそれを公に発表したことは一度もありません。彼は内部のコミュニケーションを通じてのみ問題を伝えています。指摘しておきます(まれには例外もあります)が、国防省と参謀本部は常にチェチェン部隊に対して協力的で支援的でした。一般市民生活には常に誤解が生じます。戦争は言うに及ばず、です。この戦争において弾薬の不足が常に存在しています! セルゲイ・クズゲトヴィッチに私の訴えが聞き入れられ、参謀本部に現地に行って問題を解決するよう命令が出されることを私は願っています。これが兵士のやり方であり、状況からの唯一の正しい道です。

 チェチェン部隊はワグネル部隊とともに、ポパスナ、セヴェロドネツク、リシチャンスクなどのドンバスの最も困難な地域で肩を並べて戦いました。彼らは国籍や信仰の区別なく、母国に対する神聖な使命を共に果たしました。国家の利益と国家の安全は常に最優先されるべきです。そして、USO(特別戦争作戦)が終わった時、私たち全員、戦士も指揮官も、ロシアの愛国者全員が勝者であることを願います。一緒に。

 はい、もし兄であるプリゴジンと「ワグネル」が去るのであれば、参謀本部は経験豊富な戦闘部隊を失い、弟であるカディロフと「アフマト」がアルテモフスクにその位置を引き継ぐでしょう。もしもそれが予定通り進むなら、私たちの戦士たちは移動し、市を占拠する準備がもうできています。それは時間の問題です。しかし、市の残りの2キロメートルが兵士たちの命を犠牲にせず、相互理解と支援、指揮部と戦士たちの決意によってロシアの最高司令官、ウラジーミル・ウラジミロヴィッチ・プーチンの命令を遂行する結果として奪取されるとしたら、それは素敵なことでしょう。

t.me/RKadyrov_95/3600
2.0MviewsMay 5 at 12:02





関連記事

英国が供給したストーム・シャドー・ミサイルが撃墜されたーロシア当局の発表

<記事原文 寺島先生推薦>
Seven UK-supplied Storm Shadow missiles shot down – Moscow
Other Western-made munitions and 22 drones have also been intercepted, Russia’s Defense Ministry claims
新たに別の西側製の武器と22機のドローンが迎撃されたとロシア国防省は主張
出典:RT  2023年5月16日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年5月21日



資料写真:ドバイの航空機見本市でのシャドー巡航ミサイル © AFP / Rabih Moghra


 最近英国からウクライナに供給されたストーム・シャドー・ミサイルの何機かが、この24時間以内にロシア防空システムにより撃墜された、とロシア国防省は発表した。

 「7機の長距離ストーム・シャドー・巡航ミサイルと、3機のHARM対レーダーミサイルと、7機のHIMARS多連装ロケット砲が迎撃された」と同省の報道官、イゴール・コナシェンコフ中尉は、火曜日(5月16日)の記者会見で明らかにした。同中尉は迎撃が行われた場所については言及しなかった。

 コナシェンコフ中尉によると、ウクライナの22機のドローンも、ロシアが新たに併合した地域の上空で破壊されたという。具体的には、ドネツク人民共和国、ルガンスク人民共和国、ザポリージャ州、ヘルソン州の上空だ。

 同中尉によると、ロシアによる夜を徹したウクライナの軍事施設や、西側が供給した武器や装置の貯蔵庫に対するミサイル集中砲火は、「目的を達した。意図されていた全ての標的に着弾した」とのことだ。

 これらの標的の中には、米国が供給したパトリオット・ミサイル・システムも含まれており、このシステムがキエフで、キンジャール超音速ミサイルにより破壊された、とコナシェンコフ報道官は述べた。



関連記事:ロシア側は英国製長距離発射台を迎撃したと主張

 ロシアが初めてストーム・シャドー・ミサイルを撃墜したと発表したのは、月曜日(5月15日)のことであり、そのようなミサイルを一機迎撃したとしていた。ルガンスク市当局の以前の主張によると、ここ数日間で、ウクライナは英国の武器を使って、ルガンスク市を攻撃しているとのことであり、住居家屋が損害を受けたという。

 英国は先週ウクライナにストーム・シャドー空中発射巡航ミサイルを送致したと明言している。CNNの以前の報道によると、ウクライナ当局は公式発表がある前からこれらの武器を受け取っていたという。300キロ(200マイル)までの距離に対応できるストーム・シャドー・ミサイルは、西側の支援諸国がこれまでウクライナに供給した武器の中で、最も長距離に対応した武器となった。英国のベン・ウォーレス国防大臣の主張によれば、これらのミサイルがあれば、「ウクライナはウクライナが領域主権を持つ地域において、ロシアに反撃を加えることが可能となる」としていた。

 ロシア当局によると、ウクライナにストーム・シャドー・ミサイルを供給するという決定は、ロシアに対する英国の「非常に非友好的な態度である」とし、今回の戦争において、英国が「これまでにない規模で介入」することになったとした。 英国によるこの動きは、ウクライナでの戦況を「激化」させることになる、とロシア国防省は警告し、ロシアには、新たな武器により講じられた「脅威を、いかなる手段を用いても無力化する権利がある」とも付け加えた。

関連記事:巡航ミサイルの件に関して、ロシアは英国に警告

 一年以上継続しているこの戦闘の間、ロシア当局が何度も指摘してきたのは米・英・その同盟諸国が、ウクライナにより洗練された武器を送ることは、「超えてはいけない一線」を越えてしまうかもしれないということだ。 ロシア当局は、武器や弾薬の供給、さらには戦時情報の共有、ウクライナ軍に対する軍事訓練の実施を行っている時点で、既に西側諸国は事実上この戦争に加担している、と主張している。
関連記事

ロシアの「キンジャール」超音速ミサイルがウクライナの米国製「パトリオット」防空システムを破壊

<記事原文 寺島先生推薦>
Russian ‘Kinzhal’ Hypersonic Missile Destroys Kiev’s US-Made ‘Patriot’ Air Defense System
筆者:ドラゴ・ボスニック(Drago Bosnic)
出典:INTERNATIONALIST 360° 2023年5月17日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年5月21日





 今月はほとんど毎日、大手報道機関という宣伝扇動機は、何度も何度も同じ話をオウム返しに報じ続けている。つまり、ロシアの9-A-7660「キンジャール」 超音速ミサイルが、米国製の「パトリオット」SAM(地対空ミサイル)防空システムに撃ち落とされたという話だ。しかし、西側諸国政府から示されたその「決定的な」証拠というものは、一笑に付されるべき程度のものであるのに、武器というものが実際どう作動するのかの知識がない人々を納得させるには十分なようだ。その人々の中には、世界のほとんどの市民たちも含まれている。ロシア側は西側からのこの主張に対して声明を出していない。いや、より正確に言えば、5月16日の午前中までには、という意味だ。 実はこの時、「直接言及しない」方法で、ロシア側は反応したのだ。

 ロシア航空宇宙防衛軍(VKS)は、ウクライナ側に対して、SEAD (敵防空網制圧)作戦を構じ、その中には2機の「キンジャール」超音速ミサイルを擁する作戦も含まれていた。 このミサイルは「パトリオット」SAM(地対空ミサイル)防空システムの少なくともひとつの砲兵隊を無効にする為に使用された。両側とも破壊された米国製防空システムがどんなものであったかについて声明を出していないが、動画による証拠が残っており、それによると、最新型のひとつであるPAC-3 MSE(ミサイル部分能力向上型)であったようだ。このシステムには、広くもてはやされているCRI (Cost Reduction Initiative:費用削減作戦)ミサイルも搭載されている。 CRIミサイル一機分の現状価格はほぼ530万ドルであるので、ウクライナ政権側が32機の迎撃ミサイルを発射したということは 1億7000万ドル近い費用がかかった計算になる。




 このような大量の迎撃ミサイルをもってしても、ロシアの超音速兵器を止めるのには全く効果がなかった。ただし、ウクライナのネオナチ軍事政権の発表では、ロシア航空宇宙防衛軍が発射したミサイルほとんどを迎撃したとしており、6機の「キンジャール」ミサイルを無力化したとも主張している。ただし、ロシア軍は今回の攻撃においては、たった2機のミサイルしか発射しなかったという事実がある。ロシア側はミサイルを何機発射したかについて公式見解を出してはいないが、ロシアのセルゲイ・ショイグ国防大臣が出した声明から実情は伝わった。ウクライナ当局が出した偽情報に対して、ショイグ国防大臣は手短にこう語っている:
「ウクライナ側が示すロシアのミサイルに対して行った迎撃についての数値は、(たいてい)実際に我が軍が使用した(武器の)3倍高い数値になっている」

 数名の軍事専門家の推定によると、ロシア航空宇宙防衛軍は、様々な種類のおとり攻撃を行い、キエフ市内及び周辺の防空を惑わそうとしていたという。そのことから、ウクライナの地元当局が、ロシアの攻撃は、「とんでもなく密集した」攻撃だったと証言していることの説明が着く。ウクライナのネオナチ軍事政権当局は、ロシアによる攻撃には、巡航ミサイルやドローンも含まれていたとしていた。地元防空軍は18機のミサイルと9機のドローンを撃ち落とし、その中に6機の「キンジャール」ミサイルも含まれていた、としていた。この主張は軍事専門家たちやテレグラム上の多くの投稿で嘲笑の的となっており、何十人ものテレグラム利用者や書込み者たちから、書き込みや悪ふざけの投稿がなされている。

 首都キエフの軍当局の長であるセルゲイ・ポプコ氏はこう述べた。「この集中攻撃は集中度という面において尋常ではない規模であり、最短の時間内で撃てる最大数のミサイルが発射された。ただしキエフ市内上空でほとんど大多数の敵標的は検出され、破壊された。」

 大手報道機関の宣伝扇動機の騎手たるCNNは、即座に事後処理的記事を出し、「パトリオット」の評判を守ろうとした。その内容は、「パトリオット」がウクライナに到着したのは先月であり、実際に稼働し始めたのはつい最近のことで、「米国製「パトリオット」は被害を受けたようだが、破壊はされていないようだ、この被害は、現地時間火曜日(5月16日)の朝に、ロシア軍がキエフ市内及び周辺に対して行ったミサイル攻撃の結果により出たものである」というものであり、米国当局関係者からの話として報じた。さらにこの記事によると、「米国はこのシステムの被害状況の規模を調査中である」とし、「その調査が済み次第、この防空システムを完全に取り替えなければならないのか、あるいはウクライナ軍による一部の修理で済むのかが決定される」とのことだった。さらにこの記事の記載によれば、「米国国家安全保障会議の報道官はCNNに対して、ウクライナ政府からの声明を求めているところだと語った」という。

 米国政府からのこのような助言があったことから推察される事実は、米国当局でさえウクライナのネオナチ軍事政権によるこのような馬鹿げた主張と関わりを持ちたがっていないということだ。明らかに問題となっているのは、このような一笑に付すべき宣伝扇動に全く根拠がないという事実だけではなく、米国自体も世界から笑いものになってしまうという事実だ。米国でそれほど宣伝扇動に与していない報道機関の報道に目をやれば、特にこのような状況が浮き彫りとなるだろう。一例をあげると、ザ・ナショナル・インタレスト誌(TNI)だ。TNIに最近分析記事を出した一人であるジェフ・ラミア記者は、「パトリオット・ミサイルはウクライナを守れない」とし、以下のように解説している:
「パトリオット防空システムの効果は、主要な軍事施設の中での一点集中的な防衛に限られており、より高いあるいはより低い高度において標的を捉える防空システムと連携している前提で配置されている。そのような補佐がなければ、「パトリオット」を配置するには、危険が多すぎ、穴だらけの防衛体制しか取れずに、軍事資産は守れず、迎撃ミサイルがなくなれば、パトリオットの防衛力は急激に下がる。さらに、「パトリオット」防空システム自体が、脆弱なシステムなのだ。「パトリオット」のレーダー・システムを用いれば、パトリオットの配置場所が特定されてしまい、ロシア側はから自由に狙われる対象となる。つまり、「パトリオット」はウクライナの軍事施設やウクライナ国民の保護を一手に引き受けられるようなシステムではない、ということだ。」

 確かに「パトリオット」は、長距離防空システムなど他の種類の防空システムや迎撃ミサイルも含めた、米国防空・ABM(弾道弾迎撃ミサイル)構想の中の一部門に過ぎない。しかし、防空体制の契約が大きな利益を産むことを考えれば、 西側政府はこのもてはやされてきた防空システムの破壊についての情報を出すことに制限をかけようとすることはまちがいないだろう。そのうえで、ロシアの超音速武器がまさにこの地対空ミサイルに撃墜されたなどという馬鹿げた話をオウム返ししているのだ。このような推測が行われているのは、米国当局の首脳でさえ、繰り返し超音速で操縦されている標的に対して、防御できる術はない、と繰り返し主張しているにも関わらずのことだ。ジョー・バイデン大統領自身も、昨年、「キンジャール」ミサイルを止めることできない、と発言している。
関連記事

キエフ、鍵となるドンバス市で前進と主張

<記事原文 寺島先生推薦>
Kiev claims progress in key Donbass city
Ukrainian troops have gained ground in Artyomovsk, according to the deputy defense minister
ウクライナ副国防相によれば、ウクライナ軍はアルチョーモフスクで地盤を拡大している。
出典:RT 2023年5月12日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年5月21日



資料写真: BMP-3軍用車両に乗るウクライナ兵。© Vincenzo Circosta / Anadolu Agency via Getty Images


 キエフの高官によれば、ウクライナ軍は戦闘中のドンバスの都市アルチョーモフスク、またはバフムートとしても知られる地域で2キロメートル進撃したと主張している。ただしそれよりも前に、ロシア軍は戦線の状況は安定していると述べ、ウクライナの進展の報道を否定した。

 ウクライナの副国防相であるアンナ・マリヤールが金曜日(5月12日)に述べたところによれば、キエフの部隊は今週、アルチョーモフスクで領土を一切譲っておらず、実際には前進していると述べた。彼女はさらに、ロシアの軍隊が大きな損害を受けていると主張した。

 「敵はまた、武器の不足についての誤情報を流しており、おそらく実際の状況を言い訳するためのものだと思われます」とマリヤールは述べた。

 マリヤール副国防相の発言は、ロシアの民間軍事会社ワグネル・グループの責任者であるエフゲニー・プリゴジンが行った矛盾する発言を指しているようだ。彼は先週、弾薬の不足を訴えたが、後にロシア軍から新たな補給が約束されたと述べた。キエフは、プリゴジンがワグネルの実力に関して誤解を抱かせようとした、と非難している。



関連記事: ロシア軍、ウクライナの前線状況を明らかにする

 アルチョーモフスクの前線において大きな存在感を保っているプリゴジンは、また、一部のロシア軍部隊が陣地から退くことでワグネル部隊を遺棄したと非難した。

 先行報道によると、キエフは長らく予想されていた反攻を開始し、アルチョーモフスクを含む一部の進展を達成したとされている。

 ロシア国防省は最新の情報でこれらの主張を否定し、前線は安定していると報告した。それによれば、突撃部隊は航空部隊と砲兵の支援を受けながら「アルチョーモフスクの西部の解放」を継続していると述べた。

 ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、今週、西側の報道関係員たちに対して、自国の軍隊がロシアに対抗する準備を整えるためにはまだ時間が必要だと述べた。
関連記事

ウクライナの「反攻」―神話か真実か?

<記事原文 寺島先生推薦>
Ukraine’s ‘Counteroffensive’ – Myth or Reality?
筆者:スコット・リッタ―(Scott Ritter)
出典:INTERNATIONALIST 360° 2023年5月15日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年5月20日





 5月中旬に近づくにつれて、皆が頭に抱える疑問は「大規模なウクライナの反攻はどこにあるのか?」だ。

 この大々的に宣伝されている出来事は、2022年の秋に始まり、ウクライナ軍の指導者であるヴァレリ・ザルージニーが、ドイツのラムシュタインで行われた米国とNATO主導のウクライナ防衛問題調整委員会の会議で、ウクライナがロシア軍をウクライナ領土から駆逐するために必要な軍事装備の一覧を伝えたことから、西側の主要報道機関やソーシャルメディアで広まっている。それ以来、西側諸国は時間をかけてこの物資支援の大部分を準備するだけではなく、ウクライナ軍が標準的なNATO合同兵器攻撃作戦および戦術教義を用いてこれらの軍事物資を使用できるための必要な訓練を提供してきた。

 NATOの事務総長であるイェンス・ストルテンベルグは、2023年4月末に、NATOが昨年の秋にウクライナに約束した装備のうち、98%以上を提供したことを発表した。これには1550台以上の装甲車、230両の戦車、そして「膨大な量」の弾薬が含まれている。また、議論の的となっているが、英国のチャレンジャー2主力戦車に使用される劣化ウラン弾薬や、英国供給の「ストーム・シャドウ」空中発射巡航ミサイルも含まれている。ストルテンベルグによれば、NATOはまた、3万人以上の兵士に対して訓練を行い、ウクライナがロシア軍に対して打撃を与える能力を持つ9つの新たな戦闘旅団を編成することが可能となった。

 ただしすぐにことは進まない。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領によると、ウクライナ軍はロシアに対する反攻を実施するために十分な訓練を受けた兵士を持っているが、これらの兵士が必要とする一部の装備はまだウクライナに到着していない。ゼレンスキー大統領は、大規模な攻撃作戦を実施するためにはウクライナにはもう少し時間が必要だと述べている。現在、ウクライナ大統領はヨーロッパを訪れており、NATOの同盟国に対してさらなる軍事支援を要請している。アメリカ、ドイツ、フランスはすべて、ウクライナへの軍事支援を増やすことを約束している。残る問題は、ウクライナが成功する攻撃作戦を実施するために十分な軍力を持つと考える時期はいつ来るか、ということだ。答えはおそらく、十中八九そんな時期は「絶対に来ない」だろう。

 ウクライナによる攻撃が成功するか失敗に終わるかを測るために使用される基準は非現実的に高い――たとえば、2022年9月のハルコフ攻勢。ここでは、ウクライナは不適切に配置され、十分に準備されず、意味のある防衛深度を持たないロシア軍の防御陣地を利用することができた。土地と引き換えに命を守る選択をしたロシア軍は撤退し、宣伝戦においてウクライナは大きな勝利を収めた一方で、軍事的な成果はなかった。ウクライナはヘルソンの右岸でも同様に成功した作戦を実施し、ロシアは防御が困難な領土を守ることを選択すれば、多数の戦死者が発生するため、約3万人の兵士を撤退させた。

 NATOが訓練と装備支援を行った9つのウクライナ旅団は、ハルコフやヘルソンで使用されたNATO訓練を受けた部隊よりも能力が高いと言える。しかし、これに対峙しているロシア軍も同様。ハルコフとヘルソンの作戦の成功後、ロシアは部分徴兵により約30万人の兵士を動員し、志願兵の動員とあわせて、ロシア軍の指揮下にある兵力を約70万人に増やした。これらの兵士は大部分が訓練を終え、すでに前線に投入されているか、将来の軍事作戦のために予備に保持されている。ロシアの防御陣地は、接触線の密度、十分な火力支援の提供、そして潜在的なウクライナの突破を阻止するための第2および第3戦線の防御の準備など、ロシアの方針に従って準備されている。要するに、ウクライナが攻撃を行った場合、ウクライナは2022年秋に直面したものとは大きく異なる鉄壁に突き当たることになるだろう。

 さらに、ロシアは現代の戦場の現実に適応している。ウクライナが使用するアメリカ提供の火砲システム、特にHIMARS(高機動火砲ロケットシステム)は、改善されたロシアの作戦戦術によってほとんど無力化されている。この戦術はHIMARSの潜在的な標的を減らすために設計されており、GPS信号を妨害するための電子戦能力の活用や、ウクライナが発射するHIMARSロケットの大部分を撃墜する改良された防空能力など、新たな戦術行動が含まれている。

 ロシアは同様に、「神風」ドローンの使用を改善しており、特に「ランセット」システムを使用してウクライナの重要な軍事機器や指揮統制能力を追跡し、破壊している。また、ロシアは自身の新技術も取り入れており、ウクライナの兵力集中地に対して壊滅的な効果を持つ精密誘導「滑空爆弾」を使用している。さらに、ロシア空軍と海軍は長距離ドローンと精密誘導ミサイルを使用して、ウクライナの後方にある兵器や物資の集積地に対して効果的な攻撃を行っており、ウクライナが意味のある、かつ持続的な軍事攻撃を実施するために必要な弾薬や燃料の蓄積を破壊している。これに加えて、ウクライナが火砲弾や防空システムの不足に直面している現状を考慮すると、現時点でウクライナがロシア軍に対して成功する攻撃を行うことは難しいだろう。

 ウクライナ紛争は、その激しさと死者数に関して、アメリカとNATOにとっては寝耳に水だった。結局のところは、これらは経済的、物質的、そして人命的にはこれまでのような近代戦を戦うのと同じ損害になっていた。損害は相互的である、つまりロシアもまた膨大な人的および経済的損失を被っていると言えるが、最終的な問題は西側全体の痛みの限界がどこにあるか、だ。1年前にアメリカの国防長官ロイド・オースティンは、アメリカのウクライナにおける目標はロシアに対して激しい苦痛を与え、将来のロシアの「侵略」行為を抑止するものであると述べたが、現在ではアメリカ自身が苦境に立たされつつあることが明らかになっている。それは、①ウクライナへの継続的な支援がアメリカの軍事準備に与える影響、そして②ウクライナの戦争継続能力を支えるための高い費用(現在は1300億ドル以上で増加傾向にある)という2点で、アメリカは苦境に立たされている。

 ジョー・バイデン大統領が再選を目指すにあたり、ウクライナで続く「凍結」した紛争がアメリカの軍事と経済資源を消耗し続けることで、国内政治的な結果が政治的な負債となるだろう。ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は反攻の準備を完全に整えるためにさらなる時間を求めているが、ウクライナの最大の支援国であるアメリカにとって時間は味方となっていない。結局のところ、ウクライナはアメリカから決定的な打撃を与えるように圧力を受けているが、それはウクライナが達成できないものだ。ウクライナが慎重に集めた3万人の兵士は、何を送り込んでも十分に対処できる能力を持っているロシア軍との戦闘で失われるだろう。これは、ウクライナが一時的な戦術的優位性を一部の戦場で得ることができない、またはロシアが損失を被らないということを意味しない。そんなことではなく、結局のところ、ウクライナの反攻が起こるにしても、いつ起こるにしても、その結果に対処する準備は、ロシアの方がウクライナとNATOよりも、はるかに整っているということなのだ。
関連記事

ウクライナの銀行家がロシアでのドローン・テロに現金を提供

<記事原文 寺島先生推薦>
Ukrainian banker offers cash for drone terror in Russia
筆者:アレキサンダー・ルビンシュタイン(Alexander Rubinstein)
出典:the grayzone   2023年5月2日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年5月20日





 プーチンを標的にしたドローン暗殺計画が失敗する数日前、ウクライナの銀行王ヴォロディミール・ヤツェンコは、迫っているモスクワの戦勝記念パレードの期間中にドローンを赤の広場に着陸させることができる武器製造業者に対して、50万ドルの懸賞金を提示した。

 4月23日、ウクライナのドローンがカナダ製のC4爆薬30個を積んでモスクワのルドネヴォ工業公園付近に墜落した。ウクライナ拠点の操作員たちは、ロシアのプーチン大統領を暗殺するために37LB兵器を使用しようと試みたが、失敗に終わった。その日、プーチン大統領はルドネヴォを訪問する予定だった。

 そのドローンは最終的に目標に命中することはなく、予定地からおよそ12マイル離れた場所に墜落した。ロシアの報道機関によると、当局は周辺地域で同様の無人機を3機発見したと報じている。カナダ製の爆弾がモスクワに到着した時点で、カナダ政府はウクライナのロシアとの軍事戦に支援を提供するために約60億ドル相当の援助をキエフ政府に提供していた。


 ウクライナのUJ-22ドローンの飛行は同国のハルキウ地域から出ている。キエフの情報機関と密接な関係を持つ政策立案機関の共同創設者であるユーリイ・ロマネンコは、ウクライナの秘密情報機関(SBU)が暗殺未遂を指揮したと述べた。ロマネンコはTwitterで次のように書いている:

「先週、我々の情報部門はプーチンがルドネヴォの工業公園への訪問に関する情報を入手した・・・ そのため、我々は特攻ドローンを発射し、それはロシア連邦の全ての防空システムを飛び越え、工業公園からそれほど遠くない場所に墜落した」。


 「プーチンよ、一歩近づいたぞ」とロマネンコは警告した。

 そのドローンは、カナダ、アメリカ、イギリスなど、いくつかの国で使用されているM112爆発物を搭載していた。ロシアのメディアによれば、失敗した攻撃から回収された爆発物はカナダ製であったとのこと。

 プーチンの命を狙った未遂事件は、最近数か月間にわたる一連のロシア領空へのドローン侵入の波の中で起こった。4月23日の攻撃が失敗した翌日、ロシアの報道機関であるSHOTは、ベルゴロド国境地域で10件のドローン攻撃を記録した。その中にはフランス製のLU-213破片手榴弾やアメリカ製のスイッチブレードドローンも含まれていた。スイッチブレードは以前にもこの地域への空爆に使用されている。

 ロシア領内でのドローン攻撃の増加は、キエフ政権が2022年7月に「ドローン軍」作戦を開始した後のことだ。この作戦は、ウクライナが外国製の無人機の調達を支援するために、「ドローネーションdro-nations」(訳注:donation「寄付」)という名前の資金調達の公式な取り組みとなっている。


サイト訪問者に対して彼らの目的に「ドロネート」するよう促すウクライナ世界会議ウェブサイトのスクリーンショット


 この資金調達作戦は、西側が支援するオンライン上でトロール行為(迷惑行為)を行う組織であるNAFOとウクライナ世界会議を正式な提携先としており、著名な『スター・ウォーズ』俳優のマーク・ハミルを、その顔として起用している。


『スター・ウォーズ』俳優のマーク・ハミルが、ウクライナの「ドローン軍」の資金調達作戦の公式代表となっている


 「ドローン軍の大使として任命され、可能な限りの方法でゼレンスキー大統領とウクライナの人々を支援できることを光栄に思います」とハミルは2022年9月にツイートし、自身がウクライナ大統領とビデオ通話をしている写真を添付した。


 ウクライナがロシア領内で行ったドローン攻撃は秘密に行われているので、それを公式な基準で評価することは困難だ。英国が出資するBBCの記者は、キエフの関係者にそのようなデータを提供するよう求めたが、無駄だった。しかし、彼はキエフの郊外の秘密の場所で行われた「最新のドローン操縦士のための講習会」には参加している。BBCは、ウクライナの「ドローン軍」の中心地からの記事を、ロシア大統領へのSBU指導の空中暗殺未遂とされる事件からわずか2日後の4月25日に報道した。

 BBCによれば、ウクライナの「ドローネーション」作戦を主導しているのは、デジタル変革担当大臣のミハイロ・フェドロだ。彼は「兵士や戦車などの標的に突撃するために設計されたこれらのドローンの致死的な性質を隠そうとはしません」とBBCは述べている。

 「しかし、ウクライナ政府内の他の人々と同様に、彼はロシア領内での最近のドローン攻撃について話すことは拒否している」とBBCは続けた。

 一方、非政府の関係者は、それほど口は堅くない。実際、ウクライナのテレビは、4月23日のプーチンの命を狙った空中攻撃の数日前に、将来のロシア領内でのドローン攻撃を促す私的な構想を打ち出した。


(上記の動画については原文サイトからご覧下さい。訳者)


ウクライナの横領容疑者が、ロシア内でのドローン・テロに対する懸賞金を提示

 2023年4月6日、ウクライナの財政と武器産業の大立者であるヴォロディミール・ヤツェンコが、キエフに拠点を置くTSNネットワークに出演し、近づくロシア戦勝記念日祝典期間中にドローンをモスクワの赤の広場に着陸させることに成功した国内の武器製造業者に対して、約54万9000ドル相当の現金提供を申し出た。

 毎年行われるロシアの戦勝記念日は、ナチス・ドイツが1945年にソビエト連邦の赤軍に降伏した記念日。毎年5月9日、数百万人のロシア市民が国中で行進を行い、ファシズムに対する国家の勝利を称える。モスクワでは、市民と政府関係者が赤の広場に集まり、ロシアの国家軍楽隊による音楽演奏や国の部隊や軍事装備の派手なパレードを楽しむ。式典には通常、ロシア大統領とロシア軍司令官による演説も含まれる。

 今年の初めから国境地域でのドローン活動が急増したことを受けて、モスクワは今年4月の戦勝記念日パレードを国境地域では中止することを発表した。

 2023年5月2日、ザ・ガーディアン紙は、ロシアでのウクライナのテロ暴力の脅威を軽視し、次のように述べている。「戦勝記念日の軍事パレード中の赤の広場でのウクライナのドローン攻撃はプーチンにとって屈辱的なものになろう」。しかし、彼の政府が戦勝記念日の行進を中止するのは、「公共の安全を心配して」ではなく、「市民が現在の戦争について声明をするために集会を乗っ取る」という「偏執的な妄想」があるためである、と。

 ザ・ガーディアン紙は、プーチンを非合理的な行動者として描くための証拠を提供しなかった。さらに、イギリス中道左派の新聞であるザ・ガーディアン紙は、ウクライナの「ドローン軍」作戦や、強力なウクライナの寡頭政治家であるヤツェンコが赤の広場の催しへの空中攻撃に賞金を提供しているという事実に触れることをしなかった。

 4月6日のTSNへのインタビューで、ヤツェンコは、赤の広場の近づく祝典を「非常に正当な」軍事標的と表現し、自身の兵器会社であるドヴブシュが既にその催しのために「準備を進めている」と明らかにした。彼はさらに、3月28日にモスクワ近くの鉄道で発見されたドローンをドヴブシュが操作していたと述べた。当時、ウクライナの報道機関は、そのドローンにキエフのナチ時代の戦闘の叫び声である「栄光あれウクライナ」が刻まれている、と報じていた


ウクライナの財政および武器の大立者であるヴォロディミール・ヤツェンコは、今年3月にロシアのニューモスクワで発見されたドローンの操作は自分がしたことを自慢げに主張している。

 ヤツェンコは、3月の飛行を戦勝記念日のための試運転と説明し、もしドヴブシュが5月9日にドローンを赤の広場に着陸させたとしても、「規約に従い、私自身には賞金を支払うことはない」と主張した。

 「ヨーロッパで最も腐敗が進んでいる国」とされるウクライナ国内の金融規制にヤツェンコが従わない可能性についての懸念は根拠のないものではなかった。この銀行業界の大立者は、1991年のソビエト連邦の崩壊後に設立されたウクライナの金融機関であるプライヴァト銀行で自らの地位を築いた。ウクライナのマイダン政府は2016年にこの銀行を国有化したが、その前に55億ドルが謎のように消えてしまった。ある投資銀行家は、後に、ヤツェンコを告発し、米国支援のラジオ・フリー・ヨーロッパ局に対し、彼は「プライヴァト銀行の国有化に関連する問題において非常に重要な存在であり、企業向け融資の指導的立場にあった」と述べた。この情報源であるセルゲイ・フルサは、ヤツェンコをプライヴァト銀行の所有者であるウクライナの寡頭政治家イゴール・コロモイスキーに現金を流し込んだと非難した。コロモイスキーはウクライナの大統領ゼレンスキーとネオナチのアゾフ大隊の悪名高い後援者だ

 「朝には、一般のウクライナ人がプライヴァト銀行にお金を持ち込み、夜にはイゴール・コロモイスキーがその同じお金を使いジュネーブでシャンパンを飲んでいました。ヤツェンコが、この預金者のお金がコロモイスキーに流れるようにする責任を負っていました」とフルサは述べた。

 後にウクライナの国家反汚職局は、ヤツェンコが2016年にプライヴァト銀行の国有化の前夜に「銀行からほとんどの資金を引き出した」と申し立てた。それを彼は妻と娘に転送したのだ。ヤツェンコの娘ハンナに移された資産の中には、農業会社が所有していた「23の不動産、500の土地、17台の車」が含まれていた。2021年2月、ウィーンへ向かう途中、ヤツェンコを乗せた不定期便はウクライナ上空で「方向転換され、強制着陸させられた」。ウクライナ当局はすぐにヤツェンコを逮捕し、プライヴァト銀行での役割に起因する横領と横領の罪で告訴した。ウクライナの反汚職検察官事務所は、彼の事件に関し、2022年9月に手続きを進める予定だ。

 モスクワで予定されている5月9日の戦勝記念パレードに向けて、ヤツェンコはドローン攻撃大会を発表する際、優勝機は赤の広場に着陸するだけでなく、ウクライナのものとして認識可能でなければならないと宣言した。

 「『ウクライナ万歳』のようなウクライナのスローガンが書かれている必要があります」と、この銀行業界の重鎮は主張し、キエフ政権のナチスのスローガンを引き合いに出した。

 「彼らのために『祝日』を作りましょう」とヤツェンコは言葉を締めくくり、エアクォート*で「祝日」という言葉を強調するために手を上げた。
*人の言葉や発言を引用して話す際に、両手の人さし指と中指を出して目の高さに挙げて、2回折り曲げるジェスチャー。英語の引用句をかたどっている。皮肉やからかいを込めて言葉を引用する際に使われることがある。(英辞郎)


新興財閥のヴォロディミール・ヤツェンコは、エアクォートを使って、ウクライナのドローン製造業者が、今後の5月9日の勝利記念日の祝祭の際にロシア人に対して「祝日」を作るべきだと強調

 第二次世界大戦におけるソビエト連邦の勝利、ロシアでは「大祖国戦争」として知られているものは、現在でも国家の誇りの源泉となっている。一方、西側からの支援を受けたキエフ政府は、ネオナチの大隊を軍に取り入れ、ウクライナの第二次世界大戦時のナチ協力者を公式の国家栄誉で讃えてきた。

 キエフのモスクワに対する戦場での勝利の見込みがか細くなる中、その指導者層は公然とロシア連邦内での空中テロ戦略を推進している。ナチス・ドイツの敗北を祝う催しは、彼らにとって最も自然な標的かもしれない。
関連記事

ウクライナ軍からの反撃を待ちながら

<記事原文 寺島先生推薦>
Waiting for Counteroffensives in Ukraine
筆者:ゴードン・M.ハーン(Gordon M. Hahn)
出典:INTERNATIONALIST 360° 2023年5月8日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年5月20日





 ロシア当局の主張や明らかな意図やほとんど全ての専門家(私も含めて)の意見にもかかわらず、ロシアによる冬の攻撃は一度も起こらなかった。ずっと遅延されたままだ。なぜだろう? その答えは、今はウクライナ側の反撃が予測されている時期だからであり、もっとありきたりの戦争上の理由として、兵站や気候の問題があげられる。

 最も論理的な説明としては、ロシア側の文官や軍の幹部が軍の準備が十分ではないと判断していたことだと言える。さらには、ウクライナの春季に訪れる「泥濘期」という名で知られている時期に泥で溢れている現状にもある。この時期に効果的な攻撃を加えることは見込めず、こんな時期にそのような攻撃を起こす合理的な理由がないからだ。またそんな中でも、敵側のウクライナは、バフムートやあちこちから攻撃を仕掛け続けているからだ。泥濘期の規模は、ロシアのセルゲイ・ショイグ国防大臣が南部戦線を訪問した際の動画から窺い知れる。そこでは何百もの戦車や何百もの戦闘車両が膝の高さまである泥の中で配列している様子が映し出されていた。 この南部戦線訪問は、ワグネル社のエフゲニー・プリゴジン代表が、ロシアのショイグ国防大臣とゲンナージ・ゲラシモフ参謀総長に対して、バフムート攻撃に十分な武器の安定供給を怠ったことを非難する発言をしたことを受けてのことだった。ショイグ国防大臣がこの動画に託した伝言は、再度計画されている春から初夏にかけて行われるより大規模な反撃のほうを優先したいというものだった。ただし、プーチン大統領は両者の中に入り、事態を沈静化させようとしていたようだ。具体的には、プーチン大統領はワグネル社に対してバフムート制圧に必要な軍事供給を増やすよう指示を出したのだ。この事件に先立って、1ヶ月余り前に、プーチン大統領はロシア軍の兵站の司令官を罷免していた。このことから示唆されるのは、ロシア軍内においてこの件はまだ問題が残っているということだ。

 ウクライナ側は何としてもバフムートを守ろうと事実上の攻撃をかけ、大部分がほとんど訓練を受けていない防衛兵たちをワグネル社との戦闘に次から次へと投入している。バフムートは陥落し、ロシア側が領土の98%を抑え、ウクライナ側は徐々に撤退し、殺害され、包囲され、少数ではあるが降伏したものも出ている。11月以降のバフムート付近や市内でのウクライナ軍の死傷者数は優に20万人を超え、負傷者のほとんどは戦場に戻ることはないだろう。普通は防衛側に対して攻撃側が3~4倍の死傷者を出すものだが、今回の場合、真逆の現象が起こっている。それはロシアの大砲や航空戦力が尋常ではない規模だからだ。ウクライナ側の頑強で勇しい、ただし愚かで失敗しているバフムート防衛戦を続けるよう、ウクライナのヴォロデミル・ゼレンスキー大統領は主張しているが、将校らからは疑問の声が上がっていた。しかしこの防衛戦はもう終わっている。

 両側がバフムート攻防戦に過度に力を注ぎながらも、それぞれが攻撃を起こせる準備もしていた。ウクライナやウクライナを支援する西側諸国は常々ウクライナ側の反撃が差し迫っていることを宣告し続けてはいるが、泥濘期が反撃の機会に待ったを掛けているのは、ロシア側だけではなく、 大袈裟に宣告を繰り返しているウクライナ側についてもそうなのだ。それでなくても、ウクライナ側は防空体制や空軍力(ドローン機や今やロシア側のあちこちに向けられたHIMARS*は例外として)や不十分な装甲や訓練を受けた兵の不足に悩まされるだろうからだ。ウクライナや、西側の報道機関、政府当局からの反撃に対する期待は萎みつつある。というのも、ウクライナ側は空軍力の強化が見込めなかったからだ。特に攻撃に必要なF-16機や地上軍事設備の量が確保できなかったのだ。ウクライナの参謀本部の警告によれば、このような攻撃は危険度が高く、「良くない方向」に状況が進む、ということだった。敵側のロシアといえば、防御の構えがしっかりと取られている様子が見受けられ、ウクライナ側がどんな攻撃を加えたにせよ、南部のバフムートやメリトポリ、マリウポリで、クリミアと地続きにさせることを阻止しようとしてロシア軍が成し遂げてきた戦果が繰り返されることが予想される。クリミア奪還をいま本気で語っているのは、煽られて冷静さを欠いているウクライナと西側の喧伝家たちだけだ。ウクライナ側は先手をとって、ケルチ橋(クリミア大橋)を電光石火の如く破壊することに成功したことで、今回の反撃も上手くいくと思っているようだ。クリミア大橋の破壊により、ロシア軍が混乱し、クリミアからとっとと撤退してくれるものと思っていたのだ。そうなれば、ロシア軍は軽率で脆弱な防衛体制しか取れなくなると踏んでいたのだ。広報と強がりが好きなゼレンスキーならば、反撃の命を出すのは5月9日のように思われる。それはロシアの戦勝記念日だ。ロシアの偉大な愛国軍が大祖国戦争に勝利したことを記念する日だ。この時ロシアは、西側と同盟関係にあった。今となってははるか昔のことだが。
* 高機動ロケット砲システム

 ロシア側からすると、南部の守りを固める構えを取っているようだ。その後すぐに、東においてはザポリージャ地方、北においてはクラマトルスク市からセヴェルスク市までとリマン市の方面での大規模な反撃を、40万のしっかりと訓練を受けた追加兵、何万ものドローン機やミサイル、何千もの戦車を繰り出して展開するだろう。ロシアは航空戦においては完全に優位であり、黒海艦隊の強力なミサイル集中砲火能力は勝利への決定的要因となろう。そして今年の夏は、ロシア側が完全勝利を収め、ドニエプル川超えという警告のもと、交渉が強行されることになるか、膠着状態が続くにせよ、来年の新年までには両側が交渉の席につかざるを得なくなる状況が生まれるだろう。この「望ましい」方向性が確保されるには、外部からの軍事干渉により、戦闘が長引かされ、激化されないことが条件となる。そちらの方向に進んでしまえば、何十万人ものさらなる戦死者を生み、死傷者総数はおそらく数百万となるだろう。 そしてこの方向性には、第三次世界大戦か核戦争、あるいはその両方がおこる可能性も含まれているのだ。
関連記事

ワグネルは「必要なだけの武器」入手予定―プリゴジン

<記事原文 寺島先生推薦>
Wagner to get ‘as much ammo as we need’ – Prigozhin
The private military company had recently said it would fall back from Artyomovsk due to munitions shortages
民間軍事会社ワグネルは最近、弾薬不足のためにアルチョーモフスクから後退すると発表していた。
出典:RT 2023年5月7日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年5月20日



ロシアの民間軍事会社ワグネルグループの軍務員。© スプートニク/ヴィクトル・アントニュク


 ロシアの民間軍事会社ワグネル・グループの責任者、エフゲニー・プリゴジンは、日曜日(5月7日)、ドンバスのアルチョーモフスク(バフムート)でウクライナ軍と戦っている同社に、戦闘を継続するために十分な弾薬が約束されたと述べた。

 この発言は、プリゴジンがロシアの国防省による弾薬不足の解消がなければ、彼の戦闘員が5月10日に市から撤退せざるを得ないと警告した後に行われた。

 プリゴジンは、自身のテレグラムチャンネルに投稿した音声メッセージで、「私たちには継続的な活動をするために必要なだけの弾薬と武器が約束された」と述べた。

 「アルチョーモフスクで、私たちが必要と思う活動を行うことができると告げられた」と、プリゴジンは語った。



関連記事:前線突破:ウクライナが待ち望んだ「反攻」が失敗に終わる可能性がある理由

 また、彼はロシアのウクライナにおける軍事作戦の副司令官であるセルゲイ・スロビキン陸軍大将には、「ワグネルPMCの軍事活動に関連するすべての決定を、国防省との調整を行いながら進める」という任務が課されていると述べた。

 先週金曜日(5月5日)、プリゴジンは、ワグネルの人員が弾薬の不足率が70%であるため、重大な損失を被っていると述べた。後に彼は、ワグネルが占拠している拠点をロシア連邦内チェチェン共和国の先鋭部隊であるアフマト特殊部隊に引き渡すことを発表した。

 ウクライナ人にはバフムートとして知られる鉱業都市アルチョーモフスクでの激しい戦闘が数ヶ月にわたって続いている。プリゴジンは、彼の部隊がほぼ全市を制圧したと主張しており、ウクライナ軍は西部の小地域で持ちこたえている。

 重要な物流拠点であるアルチョーモフスクを占拠することによって、ロシア軍はドンバス地域でさらなる進撃を行うことが可能となるだろう。
関連記事

中国はNATOのユーゴスラビアにおける「野蛮な」行為を決して忘れない―外務省

<記事原文 寺島先生推薦>
China won’t forget NATO’s ‘barbaric’ acts in Yugoslavia – Foreign Ministry
The remarks came on the anniversary of the 1999 embassy bombing that killed three Chinese journalists
この発言は、1999年の大使館爆破事件の記念日に行われた。この事件では、3人の中国のジャーナリストが亡くなった。
出典:RT 2023年5月8日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年5月19日



資料写真: 2010年11月10日、ベオグラードの廃墟と化した中国大使館の解体作業。© Andrej Isakovic / AFP Japan


 中国外務省の報道官である汪文斌(おうぶんひん)は、月曜日(5月8日)に記者団に対して、北京は1999年5月のベオグラードでの大使館爆撃を忘れたり許したりしていないと述べた。汪は、アメリカ主導連合が防衛同盟を装いながら紛争を引き起こしていると非難し、それに対して「真剣に反省」するよう求めた。

 汪は、5月7日が大使館攻撃の記念日であり、3人の中国の報道関係者が亡くなり、20人の外交職員が負傷したことを指摘した。「中国人民は、真実、公正、正義を守るために彼らが犠牲になったことを決して忘れません。また、アメリカ主導のNATOによって犯されたこの野蛮な暴行も私たちは忘れません」と彼は記者団に語った。

 汪は、「地域の防衛連合であると主張しながら、NATOは世界中のさまざまな地域で度々火種を引き起こし、紛争をもたらしてきました。ボスニア・ヘルツェゴビナからコソボ、イラクからアフガニスタン、リビアからシリアまでです」と指摘した。

 数十万人を殺し、数千万人を追い立てる戦争に参加したNATOは、現在、「アジア太平洋地域に東進し、この地域の対立を扇動し、地域の平和と安定を損ねている」と報道官は付け加えた。

 アメリカ主導のNATOは、自らが犯した罪について真剣に反省し、時代遅れの冷戦の考え方を捨て、地域での緊張を扇動することを止め、分裂と不安定を引き起こすことを止めるべきだ。

 大使館への攻撃は、コソボの民族アルバニア人の分離独立運動を支援するために行われたNATOによるユーゴスラビアへの空爆戦の開始から6週間後に発生した。5つの爆弾が施設に命中し、邵雲環、許杏虎、そして彼の妻である朱瑛(えい)が亡くなった。北京はこの爆撃を「野蛮な行為」と非難した。



関連記事:NATOのアジア進出に対して、中国は何ができるのか。

 アメリカは、セルビアの首都に関する「古い地図」を使用して、誤って大使館を攻撃したと主張した。ワシントンは、本当の標的は約500メートル(1640フィート)離れたユーゴスラビアの軍需庁であったと述べた。この攻撃はB-2ステルス爆撃機によって実行され、JDAM爆弾が使用された。これらの爆弾は目標から14メートル(46フィート)以内の精度を持っている。CIAの長官であるジョージ・テネットは後にアメリカの議会で証言し、この78日間の作戦中でCIAが計画したのはこの攻撃だけだったと述べた。報道によれば、1人のCIA工作員が解雇され、6人が厳重注意処分を受けた。

 アメリカ合衆国のビル・クリントン大統領は公に謝罪した。その後、ワシントンは中国政府に2800万ドル、犠牲者の家族に450万ドルの補償金を支払った。 かつてのユーゴスラビアに対するNATO支援の戦争犯罪法廷は、これらの事柄とCIAの処分措置を、この爆撃事件に対する捜査の開始や告発しない理由の一部として引用した。
関連記事

ウクライナが化学兵器を使用とロシア人ジャーナリストが主張

<記事原文 寺島先生推薦>
Ukraine using chemical weapons, Russian journalist claims
Banned substances were reportedly deployed in Zaporozhye Region
報道によれば、禁止物質がザポリージャ地域で使用されたとのこと。
出典:RT 2023年5月11日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年5月19日



資料写真:ウクライナ兵士 © Muhammed Enes Yildirim / Anadolu Agency via Getty Images


 ウクライナ軍が化学兵器を使用し、吸引後に意識喪失を引き起こした者も出た、とロシア軍の情報筋を引用して、木曜日(5月11日)にコムソモリスカヤ・プラウダ紙のアレクサンダー・コツ記者が報告した。情報筋が伝えたこの攻撃はザポリージャ地域のオレホフ近くで発生した。

 コツ記者は、国際的な条約で禁止されている物質の使用が、ほぼ間違いなくウクライナの攻勢の一部で行われたように見える、とTelegramで書いている。

 コツ記者によると、ハルキウの外で西側から供給された戦車が目撃されているとのことだ。同時に、ウクライナ軍はアルチョーモフスク(ウクライナ側はバフムートと呼称)の北と南において、ロシアの陣地に攻撃を開始した。

 ロシア国防省は木曜日(5月11日)の夜、ザポリージャの前線では「活発な作戦は行われていない」と述べ、また「特別軍事作戦地域の一般的な状況は管理下にある」と述べた。

 先週の間に、複数の西側の関係者が述べたところによれば、ウクライナの大規模反攻に必要なすべての武器、弾薬、および物資が既に供給されているとされている。木曜日(5月11日)には、イギリスが長距離の「ストーム・シャドウ」ミサイルをキエフに供給したことを確認した。



関連記事:キエフ、反攻の前に「もっと時間が必要」―ゼレンスキー

 しかし、ウクライナのゼレンスキー大統領は、犠牲者を避けるためには、攻撃を開始する前に、もっと時間とより多くの装甲車両が必要だと主張した。同じインタビューで、ゼレンスキー大統領は、ウクライナは先週クレムリンを攻撃したドローンとは無関係であると主張した。

 昨年、数ヶ月間キエフ側でボランティアをしたというロバート・F・ケネディ・ジュニア氏によれば、ウクライナは約30万人の軍事的犠牲者を出しており、ロシアよりも遥かに高い割合で損害を受けているとのこと。

 ドネツク人民共和国当局は、ウクライナ軍が2月にドローンから化学兵器を投下したと非難、ウクライナ人がソーシャルメディアで共有した前線の報告や映像を示した

 2月下旬、ロシア軍は、クラマトルスクのウクライナ軍が、暴動鎮圧剤のCS(クロロベンジリデンマロノニトリル)およびCR(ジベンゾキサゼピン)を含む16個のコンテナを受け取ったと警告した。また、ウクライナ軍と共に「外国の市民」が同行しており、モスクワはアメリカがドンバスで「偽旗作戦」を計画している可能性があると示唆した。

 化学兵器は、ウクライナとロシアの両国が署名している国際的な条約である化学兵器禁止条約(CWC)によって禁止されている。この条約は1997年に発効した。
関連記事

米国の生物研究所についてロシアによる調査完了

<記事原文 寺島先生推薦>
Russia’s investigations about US biolabs concluded
筆者:ルーカス・レイロス(Lucas Leiroz)
出典:BRICS 2023年4月17日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年5月19日

998 画像


ルーカス・レイロスは報道関係者、地政学研究センターの研究員、そして地政学専門の助言者である。

 ついに、ウクライナの領土でのアメリカの生物研究活動に関するロシアの調査が完了した。特別な議会委員会が編成され、ロシア軍によって発見され、無力化された軍事生物研究所での生物兵器の生産などの犯罪の証拠を、委員会は注意深く分析した。この議会の特別委員会は、ロシアの放射線、化学、生物防衛部隊に関連する専門家と1年以上にわたって協力した。結果は、ワシントンが実際に違法な生物軍事活動を続けていることを示している。

 調査官たちは、アメリカが「核の冬」と同等の深刻な被害を引き起こすように遺伝子組み換えされた「普遍的な生物兵器」の生成に取り組んでいる可能性があると指摘した。ロシアが収集した情報によれば、ワシントンは戦争時における敵兵士だけでなく、動物や農作物さえも被害を与える兵器の開発を計画しているとのこと。これにより、これらの病原体の増殖によって影響を受けた国を完全に破壊し、国民、食糧安全保障、そして環境にも影響を与えることが目的とされている。

 実際、この種の兵器が秘密裏ではあれ使用が予期されることにより、アメリカ軍はほぼ打ち勝ちがたい戦略的優位性を確保することになる。そしてこのような状況により、敵勢力がアメリカ軍を打ち負かすことが非軍事的理由により不可能になる。調査官たちは、この種の兵器を保有することが、武力衝突の現代的な性質を完全に変えることを明確にした。これは、多くの軍事的、法的、そして人道的な懸念を生じさせる。

 「アメリカ合衆国は、人だけでなく動物や農作物に感染する能力を持つ普遍的な遺伝子組み換え生物兵器の開発を目指している。その使用には、敵に大規模で修復不可能な経済的被害を与えるという目標が含まれている。(中略)このような兵器を秘密裏かつ対象を絞って使用し、明白な直接的軍事対決が起こる前に利用することで、アメリカ軍は敵対勢力に対して重要な優位性を有する可能性がある。これは、他の大量破壊兵器を保有している勢力に対してさえも当てはまる。(中略)アメリカ軍の見解では、このような効果的な生物兵器を保有することは、現代の武力衝突の性質を変えるための実際の前提条件を作り出すものだ」と報告書は述べている。

 しかし、科学者たちは、このアメリカの計画の存在が「天然痘、炭疽病、ツラレミア(野兎病)、そしてペストなどの通常の生物兵器の使用の重大さを軽減するものではない」と強調した。これらの兵器は、致命性を高めるために改変される可能性がある。加えて、感染症の本当の発生原因を特定することの客観的な困難さもある。感染症の発生は天然のものである場合も人為的なものである場合もあるからだ」と述べた。したがって、同時に監視および制御するためにはかなり多くの危険性が存在することになる。

 ロシアの国境地域での特別軍事作戦により、多くの生物研究所は無力化されたり、または破壊されたりしたが、アメリカの生物軍事作戦は依然として活動中であり、世界各地のいくつかの研究所では、このような兵器を開発するための先進的な研究が行われている。最近の報告には、アメリカがウクライナの領土で、つまりネオナチ政権が占拠している地域で再びこのような活動を行っているという内容もある。

 ロシアの調査団は、これらの作戦がアメリカのファシストの遺産であると説明している。第二次世界大戦中に多くの枢軸国の科学者が捕らえられ、逮捕や処罰を受ける代わりに、アメリカ政府によって秘密の作戦で高度な科学的軍事研究の職に就かされた。その結果、ワシントンは、1930年代と1940年代に既にこれらの主題を研究していたドイツと日本の科学者の支援を受けて、世界で最も複雑な軍事研究体系の1つを作り出したのだ。

 ロシアの研究者たちはまた、このような問題に関する明確で先進的な国際的な規制の欠如が、アメリカの生物テロの生産と拡散能力を増大させるという事実に言及している。アメリカの軍隊および政府と関連する企業は、人道的、健康上、そして科学的な論拠を用いて研究を推進し、こうした違法な活動が行われる研究所を建設している。

 「こうした取り組みに対する国際的な統制の欠如は、アメリカに対して他の国での行動の際に、道徳的および法的な規範や人道的な原則に制約されず、一般市民の要求を無視した活動の機会を与えている」と、調査官たちは付け加えた。

 最後に、科学者たちは、生物学的問題が防衛と安全保障の議題において中心的な問題として扱われるよう、ロシア当局に推奨している。遺伝子組み換え、病原体の検出、およびこれらの病原体によって引き起こされる疾患の早期診断、治療、予防のための効果的な対策が急務だ。報告書では、問題の解決策として、生物工学と合成生物学の研究に対する「管理の枠組み」の創設が提案されている。

 実際、ロシアは長い間、米国国防総省の深刻な生物兵器問題に警告してきた。この問題は西側諸国や国際機関によって無視されており、彼らはこのような態度がもたらす危険性の程度を理解していないようだ。生物兵器の開発は、全ての国によって調査され、迅速に非難されるべきなのだ。それはアメリカと良好な関係を持つ国々でさえも、多くの人々にとって存在の危険性をもたらすからだ。

 さらに、新たな病原体の創造によって人間、動物、そして植物に感染し被害を与える能力が開発されており、ある国やその人口を完全に壊滅させることを目指している、との調査結果の指摘にさらなる注意を喚起する必要性を今回の事例は求めている。したがって、このような兵器が戦場で使用される前に、国際連合での議論と対策が急務だ。それにより、前例のない規模の暴力と被害が引き起こされることを防ぐ必要がある。
関連記事

ベラドンナ作戦:ウクライナ民族主義へのCIAの関与

<記事原文 寺島先生推薦>
Operation Belladonna: CIA Involvement in Ukranian Nationalism
出典:INTERNATIONALIST 360°2023年1月16日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年5月18日

レット・ストリート・メディア・コレクティブ


1010-1.jpg


ベラドンナ作戦

1010-2.jpg

【注意】CIAの用語と暗号名を解読するには、研究支援を使用のこと。

 もし私たちが中央情報局(CIA)公開された非機密文書を分析するなら、アメリカ合衆国とウクライナ民族主義の歴史的発展におけるCIAの役割に関して多くのことを学ぶことができる。2022年2月のロシアとウクライナの紛争を、それだけ取り出して見ることは間違いだ。

 CIAの機密解除された文書には「ベラドンナ作戦」の詳細が示されており、ソビエト連邦に対抗してアメリカと提携したいと熱望していたウクライナ民族主義者と、アメリカ合衆国は既に接触していたことが分かる。アメリカは、主に、ウクライナ最高解放評議会(UHVR)の発展に影響を与えることを通じて、連携を図っていた。この文書で議論されているテーマは、ソビエト連邦および国内外でのソビエトの活動に関する情報収集のために利用された。

 
1010-3.jpg

 文書の後半では、CIAが認識していたUHVRの所属関係が明示されており、具体的にはウクライナ民族主義者組織(OUN)のバンデラ派とメルニク派、さらにはウクライナ蜂起軍(UPA)が挙げられている。文書では、UHVRの組織の規模も詳細に説明されており、そのメンバーが駐在する国の数や提案された報告の範囲が明記されている。

1010-4.jpg

1010-5.jpg

 CIAがウクライナでの活動を拡大するにつれて、追加のプロジェクトが明らかになった。特に注目すべきは、1949年から1970年まで運営されたプロジェクトAERODYNAMIC(以前はCARTEL、ANDROGEN、AECARTHAGEとして知られていた)であり、1970年にプロジェクトQRDYNAMICとして再分類され、その後1974年にPDDYNAMICとなり、最終的には1991年まで運営されたQRDYNAMIC/QRPLUMB(以前はAEBEEHIVE)となる。

これらのプロジェクト名や関連する活動に関する機密情報を含む文書は数千ある。これらはアメリカ合衆国の歴史の宝庫であり、主流メディアの注目からは逃れたようだ。1950年の機密解除された文書には、CARTELの初期のプロジェクト概要の一部が記載されている。

1010-6.jpg

ここに書かれているとおり、1950年代までには既に、CIAはウクライナの地下ナショナリストとの対諜報ネットワークを成功裏に確立していた。プロジェクトCARTELの下では、各文書がCartel-1、Cartel-2などという名前の対象リストを参照していることに注目する価値がある。

1010-7.jpg

1010-8 (前) (1)

 研究支援を参照すれば、いくつかのコードネームを解読して、この事業の初期にCIAが誰と協力し、彼らの暗号名が何であったかを理解することができる。

 イヴァン・フリニオフミコラ・レベドなどは、CARTEL内で重要な役割を果たしているいくつかの対象者だ。この特定の文書では、彼らの関与が記述されており、CARTELの他のメンバーと共に通信チャンネルの設立や武器の調達に関与している。この文書では、CARTELの異なるメンバーのための供給リストも記載されており、項目名と関連する費用が明示されている。

 1966年の機密解除された文書には、当時のAERODYNAMICの目標が記載されている。それによると、基本的な目標はソビエト連邦全域、特にウクライナでの「民族主義者の再燃」となっている。この文書では、反ソ連の亡命者をZP/UHVRと協力して利用し、目標達成を図ることが明示されている。また、イヴァン・フリニオフとミコラ・レベドも再登場しているが、この文書では異なる暗号名で言及されている。

1010-8(前)(2)

1010-8 (後) (2)

この文書の興味深い情報の一つは、ZP/UHVRがニューヨークのProlog Research and Publishing Association, Incを通じて秘密裏に活動していたことを認めていることだ。AECASSOWARY-2(別名、ミコラ・レべド)がPrologの社長に任命され、Project AERODYNAMICの主要な代理人となった。

1010-9.jpg

 その作戦は単にニューヨークに限定されているわけではなかった。別の機密解除された文書によると、プロジェクトAERODYNAMICの追加目標のいくつかは、ギリシャのアテネにあるKUBARK(CIAの暗号名)ラジオ局で利用可能な放送時間を活用することだ。この作戦は、ウクライナの反乱軍(UPA)や先住民族の構成員など、複数の団体に対して通信を送達し、国家意識を維持し、彼らの文化の伝統と個性に誇りを持つことを促すことを目的としていた。

 民族主義的傾向を煽ることに加えて、その文書はウクライナの軍人たちに対してソ連に対する不満を生み出す明確な意図も明らかにしている。

画像 1010-9 の後

 もし、CIAのウクライナのナショナリズムへの関与と発展に関するさらなる疑問がある場合、私たちには1958年の文書以上のものはない。以下は引用:

 私は、私たちがAECASSOWARYの支援を行う主な理論的根拠は、ウクライナの民族主義の全体において足場を確立し、それを世界のさまざまな地域で利用し、当然のことながらウクライナSSR(ソビエト社会主義共和国)を最終的な標的とすることであることを強調した。

1010-11.jpg

1010-12.png

 重要なことは、プロジェクトAERODYNAMICと並行して多くの事業が運営されていることだ。その中の一つがCAPELINである。CAPELINの作戦地域はドイツのミュンヘンであり、最初に主な目的とされていたのはCASSOWARIESおよびCAVATINAS関連の対諜報情報だ。私たちの研究支援資料を参照すれば、これらの対象が誰であるのかわかるが、その中にはStefan Banderaの暗号名が含まれている。

1010-13.png
 
1010-13 の後

 この文書には、事業の対象の一つであるCAPELINが1946年に早くも募集されたことが示されている。文書はさらに、事業の見積もり費用や特殊装備、隠れ家などの複雑な詳細を明らかにしている。

 この事業の主要な工作員は、反諜報/対諜報の情報提供者として注目されており、彼らは多くの異なる国のウクライナ移民組織、個人、情報機関に関する貴重な情報を提供していると述べている。この文書の興味深い部分は、民族主義的傾向を利用する意図を再び認めていることだ。

 彼のSB(ウクライナの国家保安機関)への浸透は、CE部門にとって特に価値があった。彼はZCh/OUN(ウクライナの民族主義活動に関する情報だけでなく、場合によってはそれらの活動を直接的に指導または影響する機会を提供したのだ。

1010-14.png

1010-14.png

 この記事はCIAの機密解除された文書のごく一部しかカバーしていないが、重要なことは、これらの事業がウクライナの民族主義への半世紀にわたる支援を明示しており、まだ数千もの文書が分析されるべきだ、ということだ。

 アメリカ合衆国がウクライナの民族主義の歴史的発展に果たした役割と、それに伴う醜悪な副次的影響については、注意深く検討されるべきだ。インターネットの大規模な共同の取り組みによって、この歴史についてより多くの光が当たるだろう。

1010-15.png
ニューヨーク・タイムズ紙(2022年2月24日)の一面


ウクライナ侵攻

 2022年2月下旬、ロシア連邦はウクライナに対して軍事作戦を発表し、その目的はウクライナの完全な「非武装化」と「ナチの排除」だった。ウラジーミル・ウラジーミロヴィチ・プーチン大統領は、軍事作戦の発表と共に、ルハンスク人民共和国ドネツク人民共和国の独立を承認した。

 軍事作戦の直後、西側メディアはすぐに、プーチン大統領が述べた「ナチの排除」に関する主張に反論しようとする意見記事や記事の嵐を掲載し始めた。

 一連の記事は、プーチン大統領がウクライナのナショナリズムが新ナチ思想を煽っているという主張は誇張だ、と描かれた。もし2022年にウクライナという国について初めて知ったのであれば、この情報の嵐をそのまま受け入れるのは容易だろう。

1010-15.png
ワシントンポスト、ポリティコ、NPR、そしてMSNBCの見出しのスクリーンショット


侵攻以前

 ウクライナ侵攻前、西側メディアはウクライナの一般市民の新ナチズムや民族主義の傾向に関して完全に逆の視点を持っているように見えた。2022年2月以前、主流メディアはウクライナの白人至上主義と民族主義の問題について十分に認識しているようだった。例えば、タイム誌は極右の白人至上主義民兵がソーシャルメディアを利用して訓練やメンバーの募集を行っていることを報じている。また、別の記事では、ザ・ネイション誌が2019年以来、この地域での新ナチズムの台頭を報じている。

1010-16.jpg

 実際、ウクライナにおける新ナチズム民兵の突出した存在は、西側メディアで広く報じられた話題であり、彼らに対して風刺的なミーム*が大量に作成され、急激な物語の変化をからかう対象となった。もちろん、ロシア人自身もザ・ガーディアンが報じたようにその楽しみに参加した
* 遺伝子によらず、模倣によって人から人へと伝えらえる情報の単位。イギリスのオックスフォード大学の動物行動学者リチャード・ドーキンス(Richard Dawkins)が1976年に著した『利己的な遺伝子』(The Selfish Gene) で提唱した言葉で、ギリシャ語のmimeme(模倣する)とgene(遺伝子)掛け合わせている。(英辞郎)

ロシア外務省の広報担当者であるマリア・ザハロワは、外国メディアをからかうことが好きであり、「アメリカとイギリスの大手誤情報メディアであるブルームバーグ通信、ニューヨーク・タイムズ紙、ザ・サン紙などに対して、私たちの『侵略』のスケジュールを来年のために発表してください。私は休暇を計画したいので」という要請を認(したた)めた。

前日に彼女は次のように書いていた。「2022年2月15日は、西側の戦争プロパガンダの失敗として歴史に残るでしょう。一発も撃たずに恥をかき、破滅した日です。」出典:The Guardian紙


アゾフ大隊

1010-17.png

 ウクライナは、国家警備隊や国家保安庁(SBU)内に多数の大隊を保有している。ウクライナのネオナチに関する話題の中心には、アゾフ大隊がある。アゾフ大隊ウクライナ国家警備隊の正式な部隊であり、2014年のマイダン抗議活動以来、メディアの論争の中心になっている。西側、主にアメリカ、カナダ、イギリスは、ロシアの軍事作戦中にウクライナを支援していることは明白だ。この支援はどこまで及んでいるのだろうか?

 2014年、当時の上院議員であるジョン・マケインはウクライナを訪れ、ウクライナへのアメリカ合衆国の支持を再確認した。アメリカ合衆国はウクライナの貴重な支持者であり、その隣国であるカナダもウクライナのネオナチの訓練支援を提供している。The Nationの記者であるジェームズ・カーデンが2016年に書いているように、アメリカ合衆国政府は年末支出法案からネオナチへの資金提供禁止を撤回した。


矛盾

 民族主義の拡大が引き続き高揚していることに火をつけられて、ウクライナにおいてネオナチの残虐行為があるというのはプーチン大統領による誇張や嘘である、とする話を西側メディアは作り上げようとしていた。結果として、西側はウクライナにおけるネオナチの台頭を全く知らないと主張したり、完全に否定したりする一方で、同じメディアは過去にウクライナにおけるネオナチの台頭について詳細に報道してきたという矛盾が生じている。

 過去10年間見るだけでも、西側はウクライナの民族主義を支援してきたし、現在も支援し続けていることがわかる。さらに遡ると、この過去10年間は、アメリカをはじめとする支援とその後に続いた数々の残虐行為が続いてきた半世紀に比べてほんの一部に過ぎないことが見えてくる。
















関連記事

NATO諸国の情報機関が入手した動画、ブチャでの民間人殺害の責任がウクライナ軍にあることを暴露。

<記事原文 寺島先生推薦>
Videos Obtained by a NATO Nation’s Intelligence Agency Allegedly Expose Ukrainian Military as Responsible for Killing of Civilians at Bucha
筆者:ラッセル・ベントレー(Russell Bentley)
出典:Posted by INTERNATIONALIST 360° 2022年9月26日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年5月17日



ブチャの衛星映像 2022年3月19日 [出典: bbc.com]

 動画には、ウクライナのBDU(戦闘服)*を着た軍人が、非武装の地元住民を射殺し、遺体を地面に置いている様子が映っています。
 *BDU=battle dress uniform(戦闘服)

 以下の書簡は、最近、ウクライナ/NATOの支配下にないドンバスの地域で活動している主な国際ジャーナリストたちに、電子メールで広く配布されました。

 以下は、その手紙と、それに対する私の意見です。

 この文章をよく読んでください。広く報道するためには、報道関係者の助けが必要です。

 今年(2022年)の4月、私は法医学専門家として国際的な専門家団に加わりました。キエフ近郊のウクライナの町ブチャで活動するためです。この地域は、2月下旬からウクライナ軍とロシア軍の激しい戦闘に見舞われています。

 私は、市民が処刑された現場で活動していました。この悲劇は、私たち誰もが言葉を失うほどでした。当時、この犯罪がロシア人によるものであることを疑う人は誰もいませんでした。今でも、多くの人がロシア兵が加害者だと信じています。しかし、私は調査の過程で、NATO諸国の諜報機関がブチャ事件の動画を入手していることを発見しました。

 これらの動画は、民間人殺害の責任がウクライナ軍にあることを完全に暴露し、ウクライナ軍がロシア側に罪を着せるために偽の証拠動画を作ったことが確認できました。それらは、民間人への超法規的処刑を記録しています。ウクライナのBDU(戦闘服)の制服を着た軍人たちは、非武装の地元の人々を射殺し、その後、地面に遺体を配置していきました。これらの映像は現在、機密扱いとなっています。当局も公表する気はないようです。

 確かに、これはウクライナの同盟国に損害を与えかねませんが、私個人としては、捏造や挑発に加担することは不可能であると考えます。私は皆さんに、この情報を広めるためにできる限りのことをするよう呼びかけます。ジャーナリストはこの問題を調査し、人々に真実を伝えなければなりません。どうぞ、関係する政府や国連に正式な要請をしてください。キエフをかばうようなことはさせないでください。残念ながら、私は安全上の理由から名前を明かせず、堂々と行動することができません。


 まず第一に、この手紙の情報は全く新しい情報ではないということです。ブチャで市民を殺害したのはウクライナ・ナチスであるという反論の余地のない証拠は、世界中の責任あるジャーナリストによって、すでに何ヶ月も前に発表されています。[ブチャに関するCAMの記事はこちら]。

 私も、ウクライナ兵や宣伝担当者がブチャの大通りで殺されたばかりの死体を配置している動画や画像を見たし、裏通りでロシアの人道支援食糧小包を所持していたという「罪」でウクライナ兵に殺された一般人の写真も見たことがあります。


[出典:写真提供:ウクライナ政府]

 上記の写真をよく見ると、ブチャで殺害された市民は、ロシア軍とその支持者が身に着けている白い腕章を着けていることがわかります。これらの殺害された市民はまた、ロシア軍の食糧配給の箱を持っています。どうしてロシア軍が、自分たちの支持者に食料を与え、そして彼らを殺すのでしょうか?

 衛星写真も、最後のロシア兵が去った数日後に遺体が置かれたことを証明しており、誰がこの恐ろしい犯罪と明らかな偽旗に関与したのか、有能な人なら疑う余地はありません。

 ゼレンスキーの調査団は、少なくとも1つの愚かな過ちを犯しました。ウクライナ大統領府のトップであるアンドレイ・イェルマクは、ハリコフ地方の大量墓地の写真を公開しました(下図)。彼は(ウクライナや西側の大手報道機関の宣伝家全般と同様に)ロシア軍を「拷問と殺人」で非難しています。


[出典:写真提供:ウクライナ政府]

 墓標のプレートには死亡日―3月9日が記載されていますが、ロシア軍がイジュム*の支配権を確立したのは4月1日のことでした。ウクライナ軍は3月以前もこの地域を支配していました。では、家族全員もろともこの地域の人々を「拷問して殺した」のは誰でしょうか? 間違いなく、それはウクライナです。
*ブチャはキエフ西北部、イジュムはキエフ東部、ハリコフ南部で相当離れている。

 では、ブチャでのナチスの大虐殺から数ヶ月経った今、なぜこの手紙が脚光を浴びているのでしょうか。それは、同じことが、最近ロシア軍と共和国軍が避難させたハリコフ地区でもすでに起こり始めているからです。

 すでに、ハリコフ州の多くの町、バラクリア、イジウム、クピアンスクから、市民への報復や殺人の報告、動画、写真が届いています。これらの犯罪は、ウクライナ・ナチスとその西側の宣伝担当者たちによって、まもなく「ロシア軍と共和国軍によって行われた」と発表されるでしょう。

 彼らは嘘つきです。


ハリコフでの戦争犯罪の調査 [出典: wsj.com]

 またしても、ブチャと同じように、洗脳された無脳な人々によってのみ信じられる、皮肉で明白な偽旗です。戦争犯罪と残虐行為を犯しているのはどちら側か、そうでないのはどちら側か、有能な人ならもう疑う余地もなく明らかでしょう。

 一方は意図的に学校や病院、民間地域を重砲(しかも違法な重砲)で狙い、もう一方はそうはしません。一方は違法な「花びら」地雷やクラスター弾を民間地域に投下し、もう一方はそうはしません。


ウクライナが投下した花びら地雷。[出典: dw.com]

 一方は捕虜を拷問し殺害し、それを行っている動画や写真を作って公表していますが、もう一方はそうではありません。一方は鉤十字の入れ墨や旗を身につけ、「スラバ・バンデラ(バンデラに栄光を!)」や「ハイル・ヒトラー」といったナチスの掛け声を叫んでいますが、他方はそうではありません。


ウクライナの極右の脅威 - POLITICO
アゾフ旗はナチスの旗にさえ似ている。[出典:politico.eu]


 一方は、21世紀のナチス、南米からシリア、レバノンからリビア、そしてその間のあらゆる地点でテロ攻撃を行う国家支援者によって支持されています。もう一方は、それらに対抗する立場にあります。

 どちらが正しいか、疑う余地はないでしょう?

 ナチスは単なる嘘つきではなく、病的な嘘つきであり、自分たちの言うことが文字どおりすべて嘘であるばかりか、真実とは180度正反対であることを何度も何度も証明してきました。

 そして、チンパンジーも騙せないような嘘をつき続けています。なぜなら、彼らは、愚かで臆病で嘘つきな人たちが、少なくともそれを信じるふりをすることを知っているからです。

 最悪の愚か者は、真実を知ろうともしないし、最悪の臆病者は、真実を知るために必要な何かをする責任を恐れるし、最悪の嘘つきは、自分自身に嘘をつくからです。そして、自分自身に嘘をつくことを厭わない人たちは、ナチスたちの嘘に加担しているのであり、したがって、彼らの犯罪にも加担しているのです。なぜなら、人間はホモ・サピエンスであり、「サピエンス」とは「賢い」という意味です。そして、真実を見ようとしなければ、賢くなることは不可能です。

 ハリコフ地方では今、すでに「(民族)浄化」が行われています。ロシア軍との「協力」という罪で、人々は連れ去られ、家の外や中でさえも即刻処刑されています。ロシア軍はこの地域を数ヶ月間支配しましたが、その間、残虐行為の信頼できる報告は全くありませんでした。もし突然、ウクライナや西側諸国の宣伝担当者が、殺害された民間人(実際はウクライナ側が殺害したのだ)のことを報じ、これらの殺害はロシア人がやったのだ、と言われたら、彼らの見え透いた嘘を信じるほど愚かな人がいるのでしょうか。


人道支援を行うロシア人兵士-西側報道機関ではほとんど紹介されない写真だ。[出典: tass.com].

 偽旗の残虐行為は、世界の世論に影響を与えるために意図的かつ明確に行われます。「嘘は、真実がまだ靴を履いている間に、世界の半分を旅することができる」と言われているとおりです。戦争犯罪に関する明らかな偽情報を批判的な目で見て声高に糾弾することは、こうした犯罪を暴くだけでなく、予防するためにも欠かせないことです。

 人々の命がかかっているのです。これらの皆さん、そしてすべての善良な皆さん、明白な嘘から真実を見分ける知恵を持ち、それを伝えることは、あなた方にかかっています。そして何よりも、私たちがこれらの嘘を食い止めない限り、それは簡単に、そしていつの日か、彼らの代わりにあなた方が被害者になる可能性があることを理解し、記憶にとどめておいてください。「明日は我が身(There but for the Grace of God go I)」なのですから。

ラッセル・「テキサス」・ベントレー
ドネツク人民共和国
2022年9月15日
関連記事

EUのトップ外交官:「ウクライナ紛争を『直ちに』止める方法を知っている」

<記事原文 寺島先生推薦>
EU’s top diplomat says he knows how to stop Ukraine conflict ‘immediately’
Kiev will have to surrender in “days” as soon as the West stops supplying weapons, Josep Borrell has predicted
キエフは、「数日」以内に、降伏せざるを得ないだろう、それは西側が武器供給を停止するとすぐだ、とジョゼップ・ボレルは予測している。
出典:RT  2023年5月10日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年5月17日



資料写真:EUのトップ外交官ジョゼップ・ボレル © Global Look Press / dpa / Philipp von Ditfurth


 ロシアとウクライナの間の紛争は、EUの外交政策担当者であるジョゼップ・ボレルが水曜日(5月10 日)にスペインの放送局La Sextaに語ったところによれば、わずか数日で終結する可能性があると主張した。すべてはキエフへの西側の軍事支援にかかっていると彼は主張した。

 「私は即座に戦争を終結させる方法を知っています」とボレルはLa Sextaの番組El Intermedioに語った。「ウクライナへの軍事援助を停止すれば、ウクライナは数日以内に降伏せざるを得なくなります。それだけで、戦争は終わります」とEUのトップ外交官は主張した。

 ボレルは、それがEUや他の西側諸国が望む結果ではないことを認めた。EUの外交政策担当者であるボレルは、このような条件での即時の紛争終結は、ウクライナが「占拠され」そして「傀儡国家」となり、「自由を奪われた」状態になるだろうと主張した。

 「こんな風に私たちはこの戦争を終わらせたいのでしょうか?」とボレルは修辞的な問いかけをした。ボレルはその後、持続する敵対行為をモスクワのせいにし、ロシアは軍事作戦の目標をすべて達成するまで停止しないと繰り返し主張していると述べた。また、中国やブラジルによる平和努力を批判し、それらは現実離れしていると主張した。



関連記事:国連、中国がウクライナ紛争終結に協力することに懐疑的

 「平和を望むと言う人は、『ロシアがウクライナから撤退することを望む』と言うべきだ」とEUの外交政策担当者ボレルは主張し、そうでないと言う人の気持ちがわからない、と付け加えた。「平和を望み、それを実現するためにヨーロッパがウクライナへの支援を停止すべきだと言う人々は・・・正直言って、彼らがどんな世界に生きているのか、私にはわかりません」と述べた。

 キエフはボレルの発言に即座に反応し、彼の演説に「誤った強調」があると非難した。ウラジミール・ゼレンスキー大統領の補佐官であるミハイル・ポドリャクは、西側の軍事援助の撤回は「紛争を即座に終結させることはできない」とTwitterで述べた。彼は具体的には説明しなかったが、これにより敵対行為が「他の領土」に広がり、さらなる激化が起こるだろうと主張した。



関連記事:クレムリン、紛争終結のためのキエフとの接触を支持

 ボレルの発言は、国連事務総長アントニオ・グテーレスがブラジルと中国の平和努力についても懐疑的な意見を表明したわずか1日後になされた。彼は火曜日(5月9日)のスペインのEl Paisに対して、「紛争当事者の両方が依然として戦闘に「完全に関与している」ため、現時点ではどんな仲介努力も無駄だろう」と述べた。

 クレムリンは4月末に、紛争の平和的な解決を目指す国際的な取り組みを支持していると述べたが、今回の作戦目標を達成しなければならないと主張した。

 ロシアのウラジミール・プーチン大統領は、2022年2月にウクライナ軍に対するロシアの作戦を開始する理由として、ドンバスの人々を保護する必要性と、キエフが2014年から2015年にかけてのミンスク平和合意を履行しなかったことを挙げた。彼はまた、ロシアはウクライナの「非武装化」と「ナチス化の解消」を目指していると述べた。

 モスクワはまた、ウクライナがロシアに対し、最新の2022年秋の住民投票を含む、住民投票によって参加したすべての地域を放棄するよう要求しているため、いかなる交渉の可能性も無意味な状態にしていると非難した。
関連記事

プーチンはゼレンスキーを殺さないことを約束―イスラエルの元首相の発言

<記事原文 寺島先生推薦>
Putin promised not to kill Zelensky – former Israeli PM
The Ukrainian leader sought assurance before posting a video declaring he wasn’t “afraid of anyone,” Naftali Bennett claims
ウクライナの指導者ゼレンスキーは、自分は「誰のことも怖くない」と宣言する動画を投稿する前に、身の安全の保証を求めていた、とナフタリ・ベネットは主張
出典:RT 2023年2月5日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年5月17日



2021年10月22日、ロシアのソチでの面会で会話中のナフタリ・ベネットとウラジーミル・プーチン© AP / Evgeny Biyatov


 ナフタリ・ベネット元イスラエル首相が、イスラエルの報道機関に明らかにしたところによると、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領を暗殺する気はないことをベネット元首相に伝えていたという。ベネット元首相はゼレンスキーの要請を受けてモスクワ入りしたのだが、ゼレンスキー大統領が、自分は「誰のことも怖くない」と宣言したのは、プーチン大統領がゼレンスキー大統領の身の安全を保証する発言をした後になってのことだった、という。

 昨年3月、ベネット元首相がイスラエル首相としてモスクワ入りしたのは、(結果的には失敗に終わったのだが )ロシアとウクライナ間の早期の停戦に向けた仲介に入るためだった、元首相は2月5日(日)、イスラエルの「チャンネル12」という番組で語った。

 報じられたところによると、ロシア軍がキエフを包囲するなか、ゼレンスキー大統領はベネット元首相との面会を非公開の場所で行ったという。ベネット元首相が同番組で述べたところによると、ウクライナの指導者であるゼレンスキー大統領が、ベネット元首相に託したのは、プーチン大統領からゼレンスキー大統領の身の安全を保証するという言質をとることであったという。つまり、プーチン大統領はゼレンスキー大統領を暗殺の対象としていないという言質だ。

 「ゼレンスキー大統領を殺すおつもりですか?」とベネット元首相はプーチン大統領に尋ねた。これに対してロシアのプーチン大統領は、そのつもりはないと答えた。その後、ベネット元首相は、ウクライナの大統領を殺害させる気はないのか念を押した。それに対してプーチン大統領は、そうであると確約した、とベネット元首相は語った。



関連記事:マクロンがプーチンに電話をかけた裏にはゼレンスキーがいたーパリからの報告

 ベネット元首相によると、元首相はクレムリンを後にした直後にゼレンスキー大統領に電話をかけ、同大統領に「プーチン大統領には貴殿を殺す気はありません」と伝えたという。そして、確約を求めてきたゼレンスキー大統領に対しベネット元首相は、「100パーセント」、プーチン大統領がゼレンスキー大統領を消す気はないことを確信している、と語ったという。

 その2時間後、ゼレンスキー大統領はキエフの大統領事務所からの動画を投稿したのだが、その動画の中で語った内容は、自身が「逃げ隠れもせず」、「誰のことも怖くない」というものだった。この動画でのゼレンスキー大統領の発言を、「堂々とした態度である」と西側報道機関は報じたが、今になって初めて分かったことは、実はゼレンスキー大統領が(ベネット元首相を通じて)プーチン大統領の許しを乞うた後で自身の居場所を明らかにし、声明を出したという事実だ。

 ベネット元首相はプーチン大統領を評して、「賢明で鋭い人物」で、ユダヤ人の支援者であると語った。しかし元首相によると、ロシアの指導者であるプーチン大統領の態度は、ゼレンスキー大統領とウクライナ当局についての話になると冷淡になり、プーチン大統領はウクライナ側を「ナチ」や「戦争亡者」であると述べたという。

 強硬保守派であるベンジャミン・ネタニヤフ首相が、昨年12月に政権を奪還するまでの間、首相退任後もヤイル・ラピド首相のもと政権の座に着いていたベネット元首相は、こう述べた。すなわち、自身のモスクワ訪問時に行った「全てのこと」は「米・独・仏と連携が取られて」いた、と。

 ベネット元首相の聞き取り取材が行われたのは、フランスのアン=クレア・ルジョンドル外務省報道官が声明を出した翌日のことだった。 同報道官が明言したのは、ゼレンスキー大統領の要請を受けたエマニュエル・マクロン大統領が、プーチン大統領と電話会談を行ったということだった。フランスやイスラエルの指導者に自身の伝言をプーチン大統領に伝えさせているにも拘わらず、ゼレンスキー大統領自身はプーチン大統領とは決して話をしないと公言しており、ウクライナ当局者らに対しても、プーチン大統領といかなる交渉も持たないよう指示している。
関連記事

ウクライナ、世界中でロシア人の殺害を続けると誓う。

<記事原文 寺島先生推薦>
Ukraine vows to continue killing Russians worldwide
Spy chief Kirill Budanov suggested that his military intelligence unit was responsible for the murder of Darya Dugina in Moscow
モスクワで起きたダリヤ・ドゥギナ殺害事件で、スパイ部長キリル・ブダノフが自身の軍事情報部門に責任があると示唆した。
出典:RT 2023年5月7日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年5月17日



資料写真: ロシア・サンクトペテルブルクで爆弾テロに遭い死亡したロシア人軍事ブロガー、ウラドレン・タタルスキーの追悼式で花を手向ける男性(2023年4月2日) © AFP / Olga Maltseva


 ウクライナの情報機関GURのトップであるキリル・ブダノフ将軍は、Yahoo Newsに対して、彼の組織はロシア人に対するテロ活動を「この世界のどこでも」継続すると述べた。クレムリンは、そのような攻撃には「無策ではいない」と誓った。

 ブダノフは、ウクライナ国防省の情報総局を率いており、先月、モスクワの裁判所からテロ容疑で起訴された。ロシア当局は、彼を一連の破壊工作や暗殺作戦に関連付け、最近ではクリミアでのロシア最高級官僚を殺害する未遂に終わった陰謀事件と結びつけている。

 先月に行われたが、今週早くに公開されたYahoo Newsのインタビューで、ブダノフは、ロシアが「テロリズム」と呼ぶものは我々にとっては解放」だと宣言した。ロシアのジャーナリストで政治活動家のダリヤ・ドゥギナが昨年モスクワで殺害された事件について、GURが責任を持っているのかと尋ねられた際、彼は意味深長な回答をした。

 「その話題はやめてください」と彼は言った。「私が言えるのは、私たちはロシア人を殺しており、ウクライナの完全な勝利が訪れるまで、この世界のどこでもロシア人を殺し続けるでしょう、ということだけです」と述べた。



関連記事:ロシア人作家の自動車爆破事件の容疑者、ウクライナのために働いていたことを認める。e

 ブダノフの自慢にも関わらず、ワシントンはGURを厳しく監視しているようだ。最近漏洩したペンタゴンの文書によれば、ブダノフが2月に部下に対して「大規模な攻撃の準備をするように」と命じた際、彼の通信を監視していたアメリカのスパイが介入し、作戦を中止させたとの内容がある。

 ブダノフがYahooに話した後、クレムリン上空で2つの爆発物搭載ドローンが撃墜され、ロシアの記者兼活動家であるザハール・プリレーピンは車爆弾によって重傷を負った。プリレーピンへの爆撃事件の容疑者は、ロシアの法執行機関に対して、彼が不特定のウクライナの情報機関から雇われたことを認めている。一方、モスクワはこれらの事件について、アメリカが最終的な責任を負うべきだと述べている。

 「我々は、こうしたテロ行為を実行する決定はキエフではなくワシントンでなされていることを非常によく知っている」と、クレムリン報道官のデミトリ・ペスコフはプーチン大統領の事務所への攻撃について述べた。「このような犯罪行為は報復なしには置かれない」とロシア外務省は声明で述べ、さらに「キエフ政権」は「厳格かつ避けられない罰」に直面するだろうと付け加えた。
関連記事

ロシア軍、ウクライナ前線の状況を明らかにする。

<記事原文 寺島先生推薦>
Russian military clarifies frontline situation in Ukraine
Moscow has denied earlier social media reports of advances by Kiev
モスクワは、以前のソーシャルメディアの報道によるキエフの前進行動についての情報を否定した。
出典:RT 2023年5月11日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年5月17日



資料写真:アルチョーモフスク(バフムート)のウクライナ陣地への砲撃(2023年4月24日)© Sputnik


 ロシア国防省は、大規模なウクライナの反攻の噂を否定した。木曜日(5月11日)の声明で、最前線の大部分が比較的穏やかであり、激しい戦闘がアルチョーモフスク(バフムートとも呼ばれる)およびその周辺でのみ行われていると述べた。

 「一部のTelegramチャンネルの報告によると、接触線のいくつかの場所で『防御の突破』があったという報道は正確ではありません」と、同省はモスクワ時間の午後11時頃に述べた。「特別軍事作戦地域の総合的な状況は制御されています。」

 ロシア軍によると、アルチョーモフスクの最後の残りの部分は、航空部隊と砲兵支援を受けて急襲されていた。また、市の北西に位置するマロ・イリンコフカ方面でウクライナ部隊の攻撃を撃退するための「継続的な戦闘」が行われており、「多数の敵の死傷者と装備の損失」が報告されている、とのこと。

 ロシア軍は、ドネツク戦線では8回のウクライナの攻撃と3回の偵察試行を撃退したと述べた。ロシア軍は引き続きマリンカの全域を制圧し、アフデーエフカを包囲するための努力を行っている。



関連記事: ウクライナの反攻が始まった―メディア

 ウクライナ軍はクレメンナヤ方向に2度攻撃を試みたが撃退され、さらに北のクピャンスク近くで3つの偵察部隊が敗北した。ロシア国防省はまた、ヘルソン戦線でのウクライナ軍の損失一覧表を公表し、HIMARSロケット12発とSu-25地上攻撃機1機を撃墜したと報告した。

 その日の早い段階で、複数の軍事特派員がウクライナの反攻が始まった可能性があると報じ、アルチョーモフスク近くでの「突破口」と前線に沿った複数の攻撃が行われたと伝えた。また、ある記者は軍事情報源を引用して、ウクライナ軍がザポリージェ戦線の一部でも化学兵器を使用したと主張した。

 キエフは、木曜日(5月11日)の動きについてはまだ声明を出していない。その日の早い段階で、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、長い間待った春の反攻に先立ち、軍はまだ準備に時間を要すると述べた。
関連記事

月面着陸が行われた「証拠なし」―元ロシアの宇宙開発首脳の発言

<記事原文 寺島先生推薦>
'No proof' US landed on moon – Ex-Russian space boss
Dmitry Rogozin says that while many in Roscosmos defended Washington’s version of events, no one could produce irrefutable proof
ドミトリー・ロゴージンによると、ロシアの国営宇宙開発社のロスコスモス社には米国側の主張を擁護しようとするものは多いが、反論の余地のない証拠を示せる人は皆無だったという。
出典:RT  2023年5月7日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年5月16日


ミトリー・ロゴージン© Sputnik/Sergey Mamontov


 ロシア国営宇宙開発社ロスコスモスの元首脳であるドミトリー・ロゴージンは、1969年に米のアポロ11号が本当に月面着陸したのかについて疑念を表明し、自身はまだその事実を示す反論の余地のない証拠を見てはいない、と述べた。

 日曜日(5月7日)、自身のテレグラムに投稿した内容によると、ロゴージンがこの件の真偽についての調査に着手したのは「10年ほど前」のことであり、当時ロゴージンはまだロシア政権内で働いており、米国が本当に月面に足を踏み入れたかどうかの真偽に関する疑念を深めるようになったのは、ソ連の宇宙飛行士たちが宇宙飛行から戻ってきた際に疲労困憊した姿を見せていたのと比べて、アポロ11号の乗組員たちは疲れた様子を見せていなかった事実からだとのことだった。

 ロゴージンによると、当時彼はロスコスモス社に証拠を示す要請書を送付したという。その要請書に対してロゴージンが受け取ったのは、ソ連の宇宙飛行士アレクセイ・レオーノフが書いた本だけだったという。その本は、米国側の宇宙飛行士たちとどんな話をし、彼らから月面着陸時の様子を聞いた話について書かれていた。

 ロゴージンの記載によると、彼はその取り組みを続け、2018年にロスコスモス社の首脳と面会する約束を取り付けたという。しかしロゴージンによると、その面会の際、なんの証拠も示されなかったとのことだ。逆にロゴージンは、数名の科学者から、「我々とNASAの神聖な協力関係に」ケチをつけたと怒りに満ちた非難を受けたという。

 さらにロスコスモス社の元首脳であるロゴージンによると、「最高位段階の当局者から怒りに満ちた電話」が掛かり、米露間の国家関係を複雑にする行為になる、とロゴージンは叱責されたという。



関連記事:月面着陸作戦は「不時着」

 ロゴージンは最後に、彼自身いまだに米国があのような偉業を達成できたとは信じれらないと述べた。というのも、月面着陸という偉業は、1960年後半当時よりも信じられないほど技術が進歩した今でも、不可能なものだからだ。

 しかしロゴージンは、米当局は、「(ロシア)政権内に工作員たちを」配しているという事実を発見したと主張している。

 アポロ11号は、月への初めての有人宇宙飛行計画であり、ネイル・アームストロングとバズ・オルドリンの2名が、人類で初めて月面を歩いた人物として歴史に名を残した。

 この飛行は、月探検に道筋をつけたソ連による無人宇宙飛行であるルナ2計画に続くものだった。

 昨年の4月、ウラジーミル・プーチン大統領は、ロシアによる月計画の再開を誓約した。
関連記事

ウクライナ:第四帝国の建設「白人ヨーロッパが我々の目標」

<記事原文 寺島先生推薦>
Ukraine: Constructing the Fourth Reich “White Europe is Our Goal”
出典:INTERNATIONALIST 360° 2023年1月21日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年5月16日

原典:レッド・ストリート・メディア


アゾフ大隊

西側マスコミが紹介するウクライナで展示されているナチズムの概要

 2022年2月にロシア連邦が特殊軍事作戦を開始した後の西側マスコミの最大の虚構の一つは、ウクライナにはナチスが存在するという主張はロシア連邦によって誇張されたものだ、というものである。


ワシントンポスト、ポリティコ、NPR、MSNBCのヘッドラインの画面写真

  以下は、2022年2月以前の西側報道機関による報道



 西側報道機関の偽善については、別の記事で以前にも触れており、その詳細は以下の記事で読める。この記事では、ウクライナの国粋主義の台頭と、その台頭が旧ソ連内の不満を煽るために中央情報局(CIA)の影響を受けていたことを深く掘り下げている。


マリウポリでのアゾフ連隊の軍事パレード 2016.06.12


現代のヒトラー・ユーゲントキャンプ

 数年前から、ウクライナは現代のヒトラー・ユーゲント・キャンプの本拠地となり、子供たちにウクライナ民族主義のバンデラ的思想を教え込み、次世代のウクライナ・ナチスを育てる繋ぎ役として機能している。

 典型的な西側のやり方で、主要報道機関はこの問題を認識しており、特別軍事作戦の何年も前にこのキャンプを取材している。

 上の2つの動画では、子供たちがライフルの使い方を教わったり、ステファン・バンデラ支持者の視点からウクライナの歴史について講義を受けたりしているのがわかる。反LGBTQの表現も目立ち、ロシア文明を破壊するような呼びかけもある。

 AP通信は、2018年にこれらのキャンプについて行った取材で、この国粋主義の表現を観察している。施設の講師の中には、これらの子どもたちがどのような主題を教えられているのかを垣間見せてくれる人もいた。

 チェルカシンは、ウクライナ東部の親ロシア派分離主義者との戦いで負傷し、その後、スヴォボダ党の青年団であるソキル(ファルコン)を率いるようになった退役軍人である。プーチン率いるロシアや、ヨーロッパ文明を「完全に破壊しかねない課題」と戦うために、若者たちに国粋主義の思想を植え付けることが重要だと彼は言う。

 その課題のひとつ: 講師たちが西側の退廃の象徴として非難するLGBTの諸権利。



 「そのすべてを意識する必要がある」と講師のルスラン・アンドレイコは言った。「性のことは、現代のボルシェビキの倒錯した人間すべてだ。それはヨーロッパで権力を持ち、今ではゲイたちによるプライド・パレード*など、LGBTのことをすべての教育課程に組み込もうとしている」。
* 元々、差別、偏見、嫌がらせに暴力に曝され日陰者意識の強かった同性愛者の人々が、”恥ずかしがることじゃない、胸を張れ、誇りを持て”と集まって始めたデモンストレーション。それが同性愛者から幅が広がってLGBTQが参加するレインボー・パレードというお祭り的なものに発展した。

 講義中、居眠りをしている若者もいれば、真剣に聞いている若者もいる。明らかに、受容的な人もいた。

 訓練の合間に、10代の若者がギターで民族主義的な行進曲を演奏した。そのギターには、モスクを襲う白い爆弾のステッカーが貼られ、標語が書かれていた、

「白人のヨーロッパが我々の目標だ。」









 特別軍事作戦が開始された後も、欧米のマスコミはナチス問題を時折、それとなく報道している。



国粋主義者たちの紋章

 東ウクライナで起きている紛争で、ナチスの紋章の影響を軽視するあり得ない試みが行われている。ソーシャル・メディア上では、ウクライナの支持者たちは、ナチス・ドイツで使われていたものとは違うという名目で、これらの紋章の使用を擁護している。もちろん、これは簡単に反証できる。




 アゾフ大隊の紋章を取り上げれば、注意深く分析することができる。


ウクライナの戦争犯罪



 欧米の報道では、ウクライナは邪悪なロシア人に対する西側民主主義の防衛という枠組みで報道されている。しかし現実には、ウクライナ軍は少なくとも2014年から残虐行為を行っている。

 国連は、ウクライナのドンバス地方の人々に対する残虐行為の規模を示すいくつかの研究をすでに発表している。

 現在進行中の紛争において、ウクライナは捕虜に対する残虐行為を行っていることが何度も確認されている。以下の映像は非常に生々しいものであることを、読者に警告しておく必要がある。

 この動画が投稿された直後、ウクライナ支持者はインターネット上でこの動画もロシアのプロパガンダの一例であると主張した。

 また、ヒューマン・ライツ・ウォッチという団体も、この動画が本物だとわかったら戦争犯罪になると指摘した。ニューヨーク・タイムズ紙は結局、この映像が本物であることを認めた。

 ソーシャル・メディア上でよく見かけるのは、戦争の残虐性を喜ぶ親ウクライナ支持者の姿だ。20万人以上のフォロワーを持つ認証済みのTwitterユーザーが、悪い「普通のロシア人」を良いロシア人(死んだロシア人)に変えることを嬉々として自慢しているのが、その蛮行を物語っている。


取り繕うのは止めよ

 ウクライナのナチズムを軽視しようとする試みは無責任であり、国粋主義者たちが野放しにされることで、不必要な死と破壊を引き起こす。

 私たちの報道機関であるレッド・ストリートが欧米の情報源を使う理由のひとつは、私たちの仕事をロシアのプロパガンダと決めつけようとする動きに反論するためだ。この戦略的な報道方法は、地政学的な利害関係によって話がどのように変化するのか、読者に考えてもらうためだ。
関連記事

「ロシアに行こうとする者は射殺すると言われた」:今年初めにウクライナから奪還された町ソレダルを見てみよう。

<記事原文 寺島先生推薦>
'They said they’d shoot anyone who wanted to go to Russia': A look at Soledar, the town captured from Ukraine earlier this year
Famed for having the largest salt deposits in the former USSR, Soledar is free from Kiev's control but fighting continues nearby
旧ソ連最大の塩鉱脈で有名なソレダルは、キエフの支配から解放されたが、近くで戦闘が続いている。
出典:RT 2023年5月7日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年5月15日


8-1.jpg
ソレダルに残る最後の2人の住民が住む廃墟となった建物の近くに立つPMC(民間軍事会社)ワグネル戦闘員。© RT / Arseniy Kotov, special report for RT

 ソレダルの解放は、2023年におけるロシア軍の最大の成功の1つである。ドンバスの町での砲撃戦は昨年5月に始まったが、この街への最終攻撃はすぐに起こった―2023年1月に攻勢を開始したPMCワグナーの戦闘員は、1カ月も経たないうちにウクライナ軍(AFU)を撤退に追い込んだ。

関連記事:写真による報告―撤退するウクライナ軍によって荒廃したルガンスク地方の重要な都市が、どのように甦りつつあるのか

 しかし、ソレダルはまだ平和な生活に戻るにはほど遠い。この町は前線に位置し、ウクライナ側からの絶え間ない攻撃を受けている。RTのアルセニー・コトフ特派員は、少し前まで激しい戦闘の中心地だったソレダルがどのような状況なのか、最近現地に赴いた。


ソレダルへの道

 ソレダルへの道は、ルガンスク人民共和国の西郊に位置するペルボマイスクを経由する。ウクライナは2014年にこの街の支配権を失った。それ以来、3万人以上の現住者がいて多かれ少なかれ普通の生活に戻っているが、地元の人々は戦争や定期的な砲撃に慣れているのも事実だ。ソレダルから約60km(40マイル)に位置し、私はここでPMCワグナーの保安兵の出迎えを受けた。

8-2.jpg
ペルヴォマイスク市の入り口にある古い給水塔の上にあるソ連の記念碑 © RT / Arseniy Kotov, special report for RT

 ペルヴォマイスクはウクライナの砲撃にたびたび見舞われているが、ソレダルから逃れてきた数百人の難民にとって、安全への道のりの最初の停留所であった。

8-3.jpg
HIMARSロケットで破壊されたペルヴォマイスクのアパート © RT / Arseniy Kotov, special report for RT

 ワグナー・グループの装甲車に乗り、ポパスナヤのこの世の終わりを表すかのような黙示録的な風景を通り過ぎた。この町は―人口2万人以上―かつて前線のすぐ近くにあり、2014年からウクライナ軍によって要塞化されていた。しかし、2022年の初めには、約4千人の住民しか残っておらず、この1年間で、その大多数も去っていった。

8-4.jpg
ペルヴォマイスクからソレダルへ向かう途中、廃墟と化したポパスナヤの街並みを望む © RT / Arseniy Kotov, special report for RT

 戦争の後遺症は、都市や町だけでなく、田舎でさえもいたるところに見られる。道路には戦車や武器の残骸が散乱しており、そのほとんどがウクライナ軍の置き土産である。

8-5.jpg
ポパスナヤからソレダルへの途上にあるウクライナ戦車の残骸 © RT / Arseniy Kotov, special report for RT

 ようやく到着した目的地は、道中と同じように荒涼とした雰囲気だった。道路がまた曲がるとき、ソレダルの住宅地が初めて見えた。ウクライナ軍は数カ月間ここに配置されていたが、撤退後もウクライナ軍はこの街の住宅街への攻撃を止めなかった。

8-5.jpg
ソレダルの住宅地の様子 © RT / Arseniy Kotov, special report for RT

 街の入口ですぐに気づいたのは、アパートの地下室の間に掘られた広範な塹壕の連絡網だった。AFU軍はこれらの地下室を壕として使用し、民間人は上のアパートの一部に住み続けていた。

8-7.jpg
街の入り口にあるウクライナの塹壕 © RT / Arseniy Kotov, special report for RT


廃墟化した都市

 現在、ソレダルには事実上、民間人は残っていない。ほとんどの人が昨年出て行った。わずかに残った住民は、ロシア軍の入城を待ち、その後、国内の他の地域へ避難した。

8-8.jpg
ソレダルの廃墟となったアパート © RT / Arseniy Kotov, special report for RT

 地元の人たちは、勇気を振り絞って兵士の到着を待つしかなかった。荒れ果てた街にも、住民への敵意が感じられる。いくつかの家の壁やフェンスには、「裏切り者用―スーツケース、鉄道駅、ロシア」と刻まれている。これは、ウクライナの民族主義者が、かつてキエフ政権に属していた土地でロシア人に向けてよく発せられる言葉の一つである。

8-9.jpg
碑文: ソレダルの壁に描かれたウクライナ国旗と民族主義部隊「ウクライナ反乱軍」の色で描かれた「裏切り者用―スーツケース、鉄道駅、ロシア」 © RT / Arseniy Kotov, special report for RT

 ワグネルの戦闘員の一人が私に言った:「私たちがソレダルに入ったとき、驚いたことに、街にはまだ多くの市民が残っていた。ウクライナ側は、全員を避難させることを申し出たが、それは一方向だけ、ウクライナの方へだけだった。ロシア (の他の地域) に行きたい人は誰でも後ろから撃つと言っていた。だから、人々は地下室で私たちを待った。私たちは、夜にバスで避難させた。日中は危険で避難できない。撤退した後、敵が倍返しで街を攻撃してくるからだ。避難者全員に心理的支援を行い、ペルヴォマイスクやルガンスク人民共和国の他の都市に仮住まいを提供した。避難を拒否したのは2人だけだった。彼らは今もこの5階建てのアパートの4階に住んでいる」。

8-10.jpg
ソレダルの東地区。© RT / Arseniy Kotov, special report for RT

 ソレダルは決して大きな町ではなかった。2022年の開始時点では、約1万人の人口しかいなかった。

8-11.jpg
ソレダルの住宅街の東側からの眺め© RT/Arseniy Kotov, special report for RT

 ソレダルの休養・娯楽施設のほとんどはソ連時代に建設された。ソリャニク競技場は1980年のモスクワオリンピックに合わせて開設された。文化施設、スポーツ、音楽学校もあった。

8-12.jpg
ソリヤニク・サッカースタジアムでの「競技者への挨拶」の碑文 © RT / Arseniy Kotov, special report for RT

 他の旧ウクライナ領ドンバスの都市と同様に、路上には事実上、近代的な車はない。ほとんどの車両はソビエト製のジグリ型である。

8-13.jpg
ソレダルの民間車両の残骸 © RT / Arseniy Kotov, special report for RT

 市内の多くの建物や家屋が修復不可能な損傷を受けており、近隣の小さな村も同じ運命をたどっている。ソレダル郊外も6ヶ月間にわたって双方から砲撃を受けたからだ。

8-14.jpg
ソレダル東郊の破壊された村。そこにはウクライナ軍の砲兵部隊が配置されていた。© RT / Arseniy Kotov, special report for RT


塩と戦争

 ソレダルは主に塩鉱床で知られている。この鉱物は19世紀末からここで採掘されてきた。1991年までは、有名なドイツの社会主義者カール・リープクネヒトにちなんで名付けられていた。地元住民のほとんどは、旧ソ連最大かつヨーロッパ最大級の鉱床であるアルテムソル塩採掘コンビナートで働いていた。

8-15.jpg
塩鉱山の管理棟にあるアルテムソルの看板 © RT / Arseniy Kotov, special report for RT

 ここの塩の埋蔵量は13トンから160億トンと言われている。1884年、帝政時代にロシアの実業家が最初の施設を建設して以来、採掘を続けてきた。120年間で2億1800万トンの塩が抽出された。

8-16.jpg
塩の結晶が描かれた石碑は、アルテムソル社の企業の象徴。土台は土嚢で補強されており、発砲地点として使用された。© RT / Arseniy Kotov, special report for RT

 塩の事業の再開について話すのは早すぎる。近隣が廃墟と化しているからだ。軍用ヘリコプターが街を飛び交い、わずか十数キロ先ではアルチョモフスク(バフムート)の戦いが繰り広げられている。24時間、大砲が頭上で鳴り響く。

8-17.jpg
ソレダルの遺跡の上を飛ぶロシアのヘリコプター © RT / Arseniy Kotov, special report for RT

 ソレダルでの生活は、もはや塩の採取ではなく、戦闘である。前線は、1月13日からロシアの支配下にあるソル鉄道駅からわずか5kmしか離れていない。

8-18.jpg
ソル駅でのロシア軍の戦闘員 © RT / Arseniy Kotov, special report for RT

 かつて塩の採掘で栄えた町は、巨大な地雷原と化した。地面には砲弾やロケット、爆弾が散乱し、爆発による窪地で荒らされている。

8-19.jpg
ガソリンスタンド付近の空爆による窪地 © RT / Arseniy Kotov, special report for RT

 制圧戦の際、ウクライナの大砲部隊は体育学校の近くに配置されていた。兵士たちは、鬱蒼としたモミの木の枝の下に使用済み弾薬筒を無造作に投げ込んだ。

8-20.jpg
ソレダルの体育学校付近の使用済み弾薬筒© RT / Arseniy Kotov, special report for RT

8-21.jpg
ソレダルの路上でグラッドロケット*の隣にいる子犬 © RT / Arseniy Kotov, special report for RT
* 旧ソ連が開発したロケットの名称

 ロシア軍は地雷の問題に取り組んでいる。今のところ、撤去班が主要な道路すべてで作業をしているが、一歩脇に入れば、多くの不発弾が見つかるだろう。ここでは、自分がどこに向かっているのかを注意深く見ることが不可欠である。

8-22.jpg
ソル駅付近の田舎道にある82mm砲の不発弾 © RT / Arseniy Kotov, special report for RT


ある教会の物語

 ウクライナ東部の他の都市と同様、ソレダルでは2014年以降、新しい建物は建設されていない。危険度の高い環境を恐れて、投資家や建設会社はこの地域での作業を避けた。この街のソビエト時代の建築物の中で、聖なる変容教会は唯一の新しい建築物だった。

8-23.jpg
ソレダルの聖なる変容教会 © RT / Arseniy Kotov, special report for RT

 この教会は、教区民や地元企業からの寄付によって建てられた。2007年に建設が始まった。激化する紛争や多くの教区民の離脱にもかかわらず、工事は続けられた。2015年、戦争のさなか、新教会のドームが立てられた。

8-24.jpg
聖なる変容教会の鐘楼 © RT / Arseniy Kotov, special report for RT

 「私たちが近づくにつれ、ウクライナ人は自分たちがこの街を支配し続ける見込みがないことを知った。撤退するとき、彼らは手持ちの武器すべてから発砲した。彼らは教会や文化財などの遺産を気にしなかった」と、ソレダルの襲撃に参加した戦闘員の1人は語った。

8-25.jpg
聖なる変容教会内のロシア軍兵士 © RT / Arseniy Kotov, special report for RT

 教会の壁は砲弾で裂けている。聖障は爆発で破壊されたが、ほとんどの聖画像は生き残り、破片で破損したのは一部だけだった。

8-27.jpg
夕日に照らされた被災した教会の様子 © RT / Arseniy Kotov, special report for RT

 私が話を聞いた兵士のほとんどは信者で、キリスト教正教会の神社を敬虔な気持ちで扱っている。しかし、被害を受けたため、現在は教会の礼拝や祈りは行えない。前線があまりにも近く、ウクライナ軍が定期的に街を攻撃しているため、復興は今のところ不可能である。

8-28.jpg
教会内部の様子/砲撃で穴が開いた教会西側の壁の様子/聖コンスタンティンとエレナのイコン © RT / Arseniy Kotov, special report for RT


街の新しい住人たち

 ソレダルを案内してくれたのは、かつてロシア軍に所属していた将校だった。

関連記事:写真で見るマリウポリ:ロシアの支配下に置かれた8カ月後、戦禍に見舞われた街はどう変わったか。


 「私たちは祖国を守るためにここにおり、どんな犠牲を払ってもその仕事をする。私たちは、わずか9日間でこの街を占領し、解放した。そして、プロスコヴェイエフカ、ブラゴダトノエと続き、クラマトルスクとバフムートを結ぶ道を進んだ...」。

8-29.jpg
ソレダルの学校にいるロシア兵 © RT / Arseniy Kotov, special report for RT

 エカテリンブルク出身のサーシャは、元囚人でありながら、国への貢献によって予備釈放を得るためにPMCワグネルに志願したと話してくれた。

 「生命を脅かす」という条文で有罪になり、あと6年刑務所に入ることになった。私は付き合っていた彼女と喧嘩をして、怒って怒鳴ったので、彼女がその件を警察に届けた。再犯だったので、あまり調べてもらえなかった。8年間のうち2年間は服役し、ワグネルグループに入った。仕事は運がよくて、軍司令部で働いている。だから、2週間後には無事に帰国して、戦後の新しい生活を始められる可能性が高いんだ。1カ月ほど休んでから、またここに戻ってくるつもりだ。ここではみんな仲間だし、仲間を放っておけないし、仕事も面白いしね」と語った。

8-30.jpg
第266アルチョモフ小銃師団のソ連兵=解放者の記念碑のそばに立つサーシャ © RT / Arseniy Kotov, special report for RT

 ソレダルは、ワグネルPMCの一種の軍事基地と化している。ここでは、戦闘員たちが新しい戦いの前に、使用済みの武器を試して、充電する。私は数人の軍人と一緒に郊外に行き、ウクライナのウクロップ社がアメリカ製の民間用ライフルZ-10を改良して開発した半自動狙撃銃UAR-10を試射するところを見た。

8-31.jpg
押収したウクライナの武器を試すワグネル・グループの戦闘員 © RT / Arseniy Kotov, special report for RT

 訓練は長くは続かなかった。AK-74ライフルから数発の挿弾子を発射し、ウクライナの武器を試した後、戦闘員たちは伝言を受け取り、作業の続きに急いだ。

8-32.jpg
ソレダル郊外のロシア軍兵士 © RT / Arseniy Kotov, special report for RT

 ワグネルの戦闘員は、小火器に加えて、戦利品としてウクライナの装甲車も押収している。例えば、M113は1960年から使用されているアメリカ製の装甲兵員輸送車である。

8-33.jpg
ウクライナ軍から押収したM113装甲兵員輸送車 © RT / Arseniy Kotov, special report for RT

8-34.jpg
ワグネル・グループが押収したウクライナの紋章の収集物 © RT / Arseniy Kotov, special report for RT

 ソレダルのソ連時代の文化・娯楽公園の入口で、戦闘員の一人を撮影した。 彼はRecreationと刻まれた石柱の前に立っている。Recreationはロシア語で「休息」を意味し、「休息を与えよ」と読むことができる。半年間の契約後、多くの戦士が休息を取るために故郷に帰ることを夢見る。

8-35.jpg
ソレダーの文化・娯楽公園にいるPMCワグネルの戦士 © RT / Arseniy Kotov, special report for RT

 ソレダルの平和な生活への復帰を議論するのはまだ早いが、地元当局はすでに復興計画を練っている。ドネツク人民共和国のデニス・プシリン代表代行によると、ソレダルは全く新しい方法で再建され、最大の企業であるアルテムソルが操業を再開する予定だという。前線が都市からさらに遠ざかると同時に、これらすべてが可能になる。

8-36.jpg
日没時にソレダルの中央通りを歩く一組のロシア兵 © RT / Arseniy Kotov, special report for RT


写真および報告は、独立系フォトジャーナリスト、アルセニー・コトフ。
関連記事

CIAはJFK暗殺に関与―ロバート・ケネディJr.

<記事原文 寺島先生推薦>
CIA involved in JFK’s murder – Robert Kennedy Jr
US presidential candidate said the agency’s culpability in his uncle's murder was “beyond a reasonable doubt”
米大統領候補ロバート・ケネディJrは、叔父であるJFKの殺害に対するCIAの罪責は 「合理的疑いの余地なし」と発言した
出典:RT 2023年5月7日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年5月15日



© Getty Images / Alessandro Bremec


 民主党の大統領候補ロバート・F・ケネディ・Jrは、1963年に叔父のジョン・F・ケネディ・ジュニア米大統領が暗殺された背景にはCIAがあり、1968年に射殺された父親のロバート・F・ケネディ米司法長官殺害にも関与した可能性が高いと主張した。

 ロバート・F・ケネディ・Jrは、日曜日(5月7日)にWABCラジオの司会者、ジョン・カティマティディスとのインタビューの中で、「CIAが(JFKの)殺害に関与したという圧倒的な証拠がある」と述べ、「現時点では合理的疑いの余地はない」と述べた。

 「CIAがこの殺人とその隠蔽に関与したという証拠はあまりにも多い」と大統領候補者であるロバート・F・ケネディ・Jrは続け、この説を否定する取り組みを「60年にわたる隠蔽」と表現した。彼は、暗殺とCIAの疑惑の役割について書かれた著作は、数百はなくとも数十はあるが、このテーマに関する証拠を最もよくまとめたものとして、ジェームズ・ダグラスの著書『JFK and the Unspeakable』を挙げた。



関連記事:大統領候補ケネディ、米国の重大な間違いについてロシアと意見を共有

 1963年11月22日、ダラスを通過中の大統領を射殺したのは、米海兵隊の退役軍人リー・ハーヴェイ・オズワルド一人だったというのが、翌年ウォーレン委員会の報告書として発表された米国政府の公式見解である。

  オズワルドは裁判を受ける前に殺害されたことは有名だが、逮捕後すぐにジャーナリストたちに、彼は「ただのカモだ」と語った。単独犯とされたオズワルドは、ダラス警察本部から郡刑務所に移送される途中、ナイトクラブのオーナー、ジャック・ルビー(本名ジェイコブ・ルビンシュタイン)に射殺された。

  ロバート・F・ケネディ・Jrは、1968年の父である司法長官兼大統領候補ロバート・F・ケネディの暗殺にCIAが関与していたことを「非常に説得力のある状況証拠がある」とし、カティマティディスとの対談を行った。彼は、パレスチナの馬の手入れをするサーハン・サーハンの仕業とされる暗殺の公式見解を物理的に不可能とし、軍事請負会社ロッキードに兼務していたホテルの警備員、セイン・ユージン・シーザーが実際にケネディを殺害する発砲を行ったと主張した。

  JFK殺害から4年後、アメリカ国民の半数近くが、オズワルドの単独犯行を信じていなかった。CIAはこの事実を十分に懸念し、1967年にウォーレン委員会の結論に疑問を呈するいわゆる「陰謀論者」の信用を失墜させる方法について指令を出している。「陰謀論者」という言葉が蔑称として使われるようになったのは、この1967年の報告に端を発している。
関連記事

「狂気の沙汰」― ルーラ・ブラジル大統領がアサンジの投獄を批判

<記事原文 寺島先生推薦>
‘Crazy thing’ – Lula criticizes imprisonment of Assange
The Brazilian president described the prolonged detention of the WikiLeaks founder as an affront to freedom of expression
ブラジル大統領は、ウィキリークス創設者の長期勾留を表現の自由への冒涜と評した。
出典:RT 2023年5月8日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年5月15日



ブラジルのルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ大統領。© Mauro Pimentel / AFP


 ブラジルのルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ大統領は、ジュリアン・アサンジに対する英国の扱いを批判した。ウィキリークス創設者がジャーナリストとしての職業的な活動のために投獄されたとし、政府に釈放を求めた。

 「ある国家による別の国家に対する策略を告発したジャーナリストが逮捕され、刑務所で死を宣告され、彼を解放するために何もしないのは恥ずべきことである。狂気の沙汰だ」とルーラは、土曜日(5月6日)にロンドンで行われた国王チャールズ3世の戴冠式に出席した後、記者団に述べた。

 また、記者団に対し、アサンジの事例は表現の自由の事例であり、オーストラリア人である彼が獄中にあるのは、単に「不正行為を糾弾したから」であると付け加えた。ルーラはまた、同僚を支持しない報道機関を非難した。

 一方、同国のアンソニー・アルバネーゼ首相は4日、ロンドンからオーストラリアのABC放送の取材に応じ、アサンジを獄中に置いて「服役させる理由が何もない」と主張した。



関連記事:バイデン氏のライバル(R.F.ケネディJr.)はアサンジ恩赦を公約

 「これは結論を出す必要がある」と彼は述べ、オーストラリア政府は「外交ルートを通じて動いており、我々はアサンジ氏の件に関して我々の立場を一点の曇りもない状態にしている 」と付言した。

 以前から何度かアサンジの投獄を非難していたアルバネーゼは、この手続きが「苛立たしい」ものであることを認めている。

 金曜日(5月5日)、2019年からロンドンのベルマーシュ最高警備刑務所に収容されているウィキリークス創設者アサンジは、国王チャールズ3世に手紙を書いた。特に、国王に同施設を訪問するよう呼びかけた。

 「困惑している外国の主権者に代わって、陛下のご意向で拘束されている政治犯である私は、この世界的な施設の壁の中に住めることを光栄に思います」と、このジャーナリストは書いている。

 アサンジは、エクアドルが亡命資格を取り消し、英国警察がロンドンにある同国大使館から彼を連れ出すことを許可したため、英国当局に逮捕された。ウィキリークス創設者は2012年以来、大使館の敷地内に身を寄せていた。

 逮捕当日、米国司法省はアサンジにスパイ活動法に基づく17件の告発を行い、175年の獄中生活を強いられる可能性がある。彼の弁護団は現在、米国の身柄引き渡し要求と戦っている。

 この告発は、イラクとアフガニスタンにおける米国の戦争犯罪を主張する機密文書を含む、内部告発者によって入手された機密資料を彼が公表したことに起因している。アサンジはこれらの資料を個人的にハッキングしたわけではなくても、それを公表した役割で起訴されたのだ。
関連記事

ウクライナ軍によるドネツク市場への攻撃はテロ行為―西側メディアは完黙

<記事原文 寺島先生推薦>
Ukrainian strike on Donetsk market was a terrorist act
When artillery hit a busy public space in Donetsk, it brought flashbacks of attacks in Gaza and Syria
ドネツクの賑やかな公共スペースを砲撃が襲ったとき、ガザやシリアの攻撃が思い返された。
筆者:エヴァ・バーレット(Eva Barlet)
出典:RT 2022年4月30日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年5月15日



エヴァ・バートレットは、カナダの独立系ジャーナリストである。中東の紛争地、特にシリアとパレスチナ(4年近く居住)に長年取材してきた。@evakbartlett


© Eva Bartlett


 木曜日(4月27日)にロケット砲を受けたドネツクの市場がキエフの支配する都市であったなら、死亡した5人の市民の名前と顔はすべての主要ニュースサイトに掲載されていただろう。しかし、それはドネツク人民共和国(DPR)の市民に対する新たなウクライナ軍の攻撃だったため、死者とさらに23人の市民負傷者はほぼ確実に報道されないだろう。それは、政権による8年間のドンバス支配と政権が攻撃したことを西側報道機関が8年間無視してきたことと同じだ。

 DPRの医療省によると、「キーロフスキー地区のテクシルシク地区での攻撃で、4人がその場で死亡した。患者1名は搬送中の救急車の中で死亡した」。

 もう一人のジャーナリストと一緒に、タクシーで爆撃された市場に向かった。私たちが到着したとき、2人の死者がまだ地面に横たわっていた。他の遺体はすでに運び出されていたが、地面には血痕が残り、近くのドアは破片で穴が開き、あたりは爆撃の瓦礫だらけだった。


© Eva Bartlett

 おそらく、救助隊員はまず負傷者に対処し、ウクライナのさらなる攻撃の可能性があるため、すべての死者を回収することを優先しなかったのだろう。私はガザでこのような経験をした。イスラエル軍は攻撃現場に人が来るのを待ち、その後再び爆撃をしたのだ。

 区の安全委員会の現地職員であるゲンナディ・アンドレヴィチによると、午前11時40分、グラッドミサイルが、遺体のあった野菜・衣料品市場と、向かいの家庭用化学品・建材市場の2カ所に落下したという。後者の方がはるかに被害が大きく、屋台は完全に焼け落ちたが、死者は出ていない。

 ゲンナディは私たちと一緒に野菜市場まで歩き、2014年以来続いているウクライナの攻撃について話してくれた。最近の砲撃は、市場外のガソリンスタンド付近、市場の向こうの住宅、そして自分の市場の管理棟を襲い、2人の同僚を殺害した。

 この時間帯なら市場は人で溢れていたはずで、ウクライナは何を撃っているのかよく分かっている、と彼は指摘した。

 「ここに市場があること、10時から13時までは人がたくさんいることを彼らは知っています」と、店の前を通りながらゲンナディは言った。

 ここは完全に民間の地域で、軍事施設はない。
動画はこちらからご覧ください。訳者)

他に誰が市場と公共区域を攻撃しているか?

 一日のうちで最も人通りの多い時間帯に、混雑した市場や通りを攻撃することは、西側メディアが沈黙する中、シリアのテロリストが何年も前から行ってきたことである。イスラエルもまた、地球上で最も人口密度の高い場所のひとつであるガザの住宅地や公共施設を攻撃し、長い間行ってきたことだ。

 2009年のガザ戦争では、イスラエルはモスク病院、避難民が住む建物などを空爆した。特に注目すべきは、1500人近くが避難しているジャバリヤの国連運営の学校をテルアビブが攻撃したことである。少なくとも40人が死亡した。ザイトゥーン地区では、イスラエル兵が銃でサモウニ一家100人近くを一軒の家に押し込め、その後爆撃し、一族の48人を殺害した。

 戦争中、私は救急車に乗っている衛生兵に同行し、イスラエルの戦争犯罪を記録していた。ある日、私が同行した衛生兵(アラファ・アブド・アルダイム)は、イスラエル軍が、禁止されているフレシェット(矢)弾を彼と彼がそばにいた救急車に向けて直接発射し、殺害された。翌日、イスラエルは、アラファの死を悼むために狭い場所に集まっていた親族や友人たち6人を、同様にフレシェット(矢)弾を使って殺害し、25人を負傷させたのだ。

 ダマスカスの旧市街は、曲がりくねった路地、重なり合う家々、教会、モスク、学校、混雑した屋外の飲食店、市場などが迷路のように入り組んでいる。東グータを占領しているテロ集団は、子供たちが学校に行くときや、人々が市場に行くときに最も頻繁に砲撃した。

 旧市街の東門やトーマス門に長く滞在したため、砲撃を経験し、悲しいけれども、テロリストが混雑した場所に砲撃を行ったという証言を多く得た。

 今でもダマスカス旧市街を歩けば、迫撃砲の跡を見つけることができる。そして、その路地を歩けば、普段からいかに混雑しているかがわかる。つまり、1回の迫撃砲の爆発で多くの人々が負傷し、死亡しただろう。

関連記事:マイダン分断から7年、ウクライナはドンバスへの砲撃を強化しているが、西側メディアはそれを全く報じない。

  例えば、2014年4月中旬には、小学校と幼稚園を攻撃し、1人の児童が死亡、65人の児童が負傷するなど、長年にわたって砲撃によって殺傷された無数の児童の一部に過ぎない。

 ちなみに、私がこの負傷した子供たちを見た同じ病院にBBCが来ていて、テロリストが毎日迫撃砲を撃っているとはっきり言われたことを後で書いた。その後に掲載されたBBCの記事には、こんな一節があった:「政府はまた、支配下にある地域に発射したと非難されている」。

 また、アレッポのテロ爆撃については、私が滞在していた2016年11月のある日を引き合いに出して、その日のうちに18人が死亡し、200人以上の市民が負傷したことを書いた。これらは、アレッポだけで家や公共の場へのテロ攻撃によって殺された約11,000人の市民の一部であった。

 シリアやパレスチナ、その他の場所でのテロ行為を挙げ続けることもできるが、私が言いたいのは、ウクライナが混雑した市場を爆撃するのは、意図的なテロ行為であるということである。ウクライナが過去8年間、ドンバス共和国の家々を執拗に爆撃してきたのと同じだ。

 欧米の報道機関はこれを報道せず、欧米の政治家はこれを非難せず、美徳の看板を掲げる人々はこれについて語らない。そして、あなたが実際に行ってそれを記録すると、彼らはあなたを容赦なく黙らせるだろう。


© Eva Bartlett

 市場襲撃に関する私の最初のツイートは予想どおり荒らされ、遺体は偽物だ、爆破事件は起きていない、「それを証明しろ」というような書き込みで埋め尽くされた。

 私の観察と写真、そしてゲンナディの証言だけでは十分な証拠にはならないので、私の映像には、爆撃されたときに市場にいた地元の人が撮影した、爆撃直後の様子を収めた映像も入れた。ゲンナディ自身も、携帯電話で炎を消す消防士の姿や、新たな爆弾の残骸に囲まれた負傷者や死者の姿を映した写真を見せた。

 しかし、今日、私たちは次のような状況に至っている: ウクライナは、しばしば西側から入手した武器を使って、ドンバス共和国の人通りの多い民間地域を爆撃し続け、さらに多くの民間人を殺している。西側の偽善者たちは、ロシアの戦争犯罪をしきりに非難するだけでなく(彼らは決して証明できず、しばしば矛盾を生じる)、報道機関とトロールファーム*は連携して、国民をガス抜きしてウクライナの戦争犯罪をごまかすことに取り組んでいる。
* ,トロールファクトリーとも言う。政治的意見や意思決定に干渉しようとするインターネット・トロールの制度化されたグループ。 ある調査によると、世界中の30の政府が、プロパガンダを広め、批評家を攻撃するために、そのキーボード軍に支払いをしている。なお、「トロール」の由来は、北欧神話に登場する怪物「トロール」。森や洞窟に住む邪悪な存在とされている。(ウィキペディア等)
関連記事

ドネツクの市民がウクライナ軍の砲撃におびえ続ける中、現地にいる記者がその恐怖を詳しく報告

<記事原文 寺島先生推薦>
As Donetsk civilians live in constant fear of Ukrainian shelling, a reporter on the ground details the terror
Documenting Kiev’s attacks on residential areas is becoming a horrible, tragic routine
キエフの住宅地への攻撃を記録することは、恐ろしくて悲劇的な日常になりつつある。
筆者:エヴァ・バーレット(Eva Barlet)
出典:RT 2023年5月11日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年5月14日



エヴァ・バートレットは、カナダの独立系ジャーナリスト。中東の紛争地、特にシリアとパレスチナ(4年近く居住)に長年取材してきた。@evakbartlett



ロシア、ドネツク人民共和国のドネツクでウクライナの砲撃により破壊された旅客バス。© Sputnik / Taisija Voroncova


 4月28日にドネツク中心部で行われたウクライナ軍の激しい砲撃により、8歳の少女とその祖母を含む9人の市民が死亡し、少なくとも16人が負傷した。犠牲者は乗っていたミニバスに砲弾が当たり、生きたまま焼かれた。

 この攻撃は、大病院、アパート、住宅、公園、道路、および歩道も標的とした。すべて民間の地域であり、軍事目標ではない。

 JCCC(Joint Monitoring and Co-ordination Center on Ukraine’s War Crimesウクライナの戦争犯罪に関する合同監視調整センター)のドネツク人民共和国(DPR)代表事務所によると、キエフ軍は「スロバキア製でNATO諸国がウクライナに移送した」高爆発性破片ミサイルを発射した。同日の以前の砲撃について、JCCCは、米国製のHIMARSシステムが使用され、「専ら都市の住宅地、中心地区」を標的としたと指摘している。



関連記事: ウクライナによるドネツク市場への攻撃はテロ行為だった。

 私はドネツクの郊外でアルチョモフスク(別名バフムート)からの避難民にインタビューしていた時、午前11時過ぎに激しい砲撃が始まった。午前11時過ぎに始まった最初の砲撃で、私は焼け焦げたバスがまだ煙を上げ、乗客の黒焦げの死体がバスの骨組みに溶けている惨状を目の当たりにした。この悲惨な光景は、悲しいかな、一度だけの出来事ではなかった。

 他の場所では、市の職員がすでに瓦礫を撤去し、道路の損傷部分の舗装を始めていた。今年1月1日、ウクライナが市街地に25発のグラッド(訳注:ソビエトが開発したロケット)を撃ち込んだのをはじめ、ウクライナの砲撃の後にこのような光景を何度も目にしてきた。同様に2022年7月、ウクライナの砲撃で市街地の市民4人が死亡し、うち2人は同様に炎に包まれた車の中にいた。約1時間後、私が現場に到着すると、作業員が道路の被災箇所を舗装していた。

 共和国外傷センター病院の被害はすぐに片付けられたが、砲撃直後にTelegramで共有された動画には、壁の1つにぽっかりと穴が開いている様子が映っている。その部屋には、ドネツクで唯一のMRI装置があったようだ。

 ドネツク中心部の大通り、アルティオマ通りは、ウクライナの攻撃で数え切れないほど狙われており、破壊は明らかだった: 爆撃に巻き込まれた2台の車、粉々になった窓やドアを塞ぐアパートの住民、ガラスや瓦礫が吹き飛ばされる聞き慣れた音。その日最初に標的となった住宅地では、ある家の裏の巨大なくぼみに、別の家の壁や屋根がロケットの破片と混じっていた。



ウクライナの戦争犯罪はさらに続く

 2022年4月、ドネツク西部のキーロフスキー地区にある大きな市場地区が攻撃され、民間人5人が死亡、23人が負傷した。私はその余波を記録するために現地に向かったが、5人のうち2人がまだ近くの路地に横たわっているとは思っていなかった。この砲撃は昼前で、この辺りでは人通りの多い時間帯である。このような時間帯に爆撃を行うことは、より多くの市民を傷つけ、殺すための陰湿な戦術である。

 同じ地域を二重三重に叩くのも、ウクライナ軍が使う手法の一つだ。昨年のインタビューで、DPR緊急事態省消防救助隊局のセルゲイ・ネカ局長は私に、「我々の部隊が現場に到着すると、ウクライナは砲撃を開始するのです。多くの機材が損傷し、破壊されました」と語った

 同じくウクライナの攻撃を受けているドネツクのキエフスキー地区の救急部主任、アンドレイ・レフチェンコはこう語る:「彼らは私たちが到着するのを30分も待っている。私たちはそこに到着し、人々の支援を始めると、砲撃が再開される。私たちが外に出て、火を消し、人々を助けると、砲撃が再開されます」。


 私は6月中旬にドネツクに滞在していたが、その日はウクライナによる中心部への砲撃が特に激しく、少なくとも5人の市民が犠牲になった。ドネツク人民共和国(DPR)当局の報告によると、「2時間以内に、300発近いMLRSロケット弾と砲弾が発射された」そうだ。グラッドロケット1発が産科病院に命中し、屋根を切り裂いた。

 翌月、ウクライナは国際的に禁止されている「花びら」地雷を含むロケット弾を発射した。ドネツク中心部、西部、北部、その他の都市の通りには、踏むと致命傷にはならないが、グロテスクな損傷を与えるように設計された、見つけにくい地雷が散らばっていた。この地雷は、今日まで新たな犠牲者を生み続けている。前回この記事で紹介したときには、この14歳の少年を含め、104人の市民が負傷し、3人が死亡した。その後、犠牲者の数は112人に増えている。


 8月、ドネツク中心部に対するウクライナの激しい砲撃が、他のジャーナリストやカメラマン数十人とともに、私が滞在していたホテルの真横を直撃した。その日、ホテルの外にいた女性1人と子供1人を含む6人の民間人が殺された。その女性は、まもなくロシアに留学する予定の優秀なバレリーナで、祖母とともに、その日、バレエの先生も殺されたが、彼女は世界的に有名な元バレリーナであった。

 9月のわずか5日間に3回行われたウクライナ軍による市街地への砲撃で、26人の市民が死亡した。9月17日には4人が殺され、そのうちの2人は同じ中心部のアルティオマ通りで車の中で生きたまま焼かれた。その2日後、16人の市民が殺され、遺体は通りに散乱し、あるいは認識できないほどの肉の山となっていた。3日後、ウクライナは中央市場の隣を攻撃し、6人の市民を殺害した。2人はミニバスの中で、残りは路上にいた。

 その後、11月と12月にドネツクとその周辺都市を訪れ、ドネツクの市民地域と北のゴロフカ集落に対するウクライナ軍の砲撃(HIMARS使用)の余波を撮影した。11月7日のドネツク中心部への砲撃は、私がインタビューした若い母親の幼児を殺してしまう可能性があった。幸い、最初のロケット弾の音を聞いた後、彼女は息子と一緒にトイレに駆け込んだ。穏やかな気持ちが戻ると、息子のベッドに破片が落ちていた。



関連記事:西側メディアは、ウクライナがNATOの兵器を使ってドンバスで罪のない市民を殺害していることを無視し続けている。

 11月12日のゴロフカへの砲撃で、美しい歴史的文化的建造物が被害を受け、屋根の一部と中の劇場ホールが破壊された。同センターの館長によると、この建物はドネツク州で最も優れた映画館のひとつであり、この街で最も古く、最も美しく、最も愛されている建物のひとつだったそうだ。彼は、HIMARSシステムは非常に精密な兵器であるため、今回の攻撃は偶発的なものではなかったと指摘した。

砲撃は続く

 16日早朝、復活祭のミサの最中に、ウクライナ軍はドネツク中心部の聖なる変容の聖堂の近くに20発のロケット弾を発射したと、フランス人ジャーナリストのクリステル・ネアンが報告し、民間人1人が死亡、7人が負傷したと指摘した。砲撃は大聖堂のすぐ後ろにある中央市場にも及んだ。ちょうど1週間前の4月7日、この市場に対する別の砲撃で、民間人1人が死亡、13人が負傷し、市場自体にもかなりの被害が出た。

 ウクライナはドネツク西部と北部地区への砲撃を続け、ゴロフカやドネツク北部のヤシノバティア(数日前に民間人2人が死亡)にも砲撃を加えている。

 4月23日、ドネツク西部の被害が大きいペトロフスキー地区で砲撃が行われ、男性1人が死亡、5人が負傷した。同日、ドネツク北東部の村では、ロケット弾により30代の女性2人が死亡した。防犯カメラの映像には、女性たちが身を隠そうとした瞬間が映っている。彼女たちを殺した弾薬は、彼女たちが集まっていた場所のすぐ隣に命中した。

 数日後、別の都市に避難しているアルチョモフスクの難民にインタビューに行く途中、私は彼女たちが殺された小さな村の近くを通りかかった。なだらかな丘、美しい川、美しい教会など、静かで穏やかで風光明媚な地域で、何十回となく通った道だ。前線からは遠く離れている。この2人の女性の殺害は、ウクライナのさらなる戦争犯罪である。

 ここの人々は、2014年にキエフがドンバスで戦争を始めて以来、ウクライナの砲撃やその脅威によって常に恐怖にさらされている。
関連記事

ポーランド軍トップが語るNATOとロシアの代理戦争に関する不評の真相

<記事原文 寺島先生推薦>
Poland’s Top Military Official Shares Unpopular Truths About the NATO-Russian Proxy War
筆者:アンドリュー・コリブコ(Andrew Korybko)
出典:INTERNATIONALIST 360° 2023年4月29日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年5月14日





 ポーランド軍参謀総長ラジムンド・アンジェイチャク将軍の意図を疑ったり、彼がいわゆる「ロシアの工作員」であると疑ったりしてはならない。彼は、ウクライナにおけるロシアとの代理戦争に西側が勝つことを心から望んでいるが、自分が今話した不評な真実を西側が認めなければ、キエフが敗北することになるかもしれないので、この代理戦争の負けを非常に心配しているのである。

 ポーランド軍参謀総長のラジムンド・アンジェイチャク将軍が、前回メディアの注目を集めたのは1月下旬のことで、その時はロシアがいかに手強い存在であるかを詳しく説明したが、今回は現状の具体的な評価について立論したことで再び話題になっている。ポーランドのDo Rzecy紙は、彼が最近、国家安全保障局との戦略会議に参加し、ウクライナにおけるNATOとロシア代理戦争について不人気な真実を語ったと報じた。

 アンジェイチャクは、この紛争の経済力学を考慮すると、キエフにとって状況は全く良いとは言えないとし、特に金融、インフラ問題、社会問題、技術、食糧生産などに注目している。この観点から、ロシアがその活動を抑制する構造的圧力を感じ始めるまで、あと1~2年は特殊作戦を継続できると予測している。

 それに対して、キエフは数百億ドルもの援助を受けながら、最大限の目的を達成するにはまだほど遠い状況にある。2月中旬にNATO総長が宣言した「兵站(へいたん)競争」/消耗戦を含め、ポーランドの西側友好諸国はウクライナの勝利を阻む課題を適切に評価していない、とアンジェイチャクは率直に語った。もう一つの深刻な問題は、難民がいつまでも祖国に帰りたがらないということだ。

 経済的、物流的、そして国民的な要因が重なり、「ウクライナに安全な未来を築く機会を与える」ために、これらの問題に対する認識を早急に高める必要があると彼は明言した。この動機は、彼が共有した文脈では、欧米のさらなる援助のための婉曲表現である。また、「兵士として、私は最も不利で実行が困難な場合を提示し、ウクライナを助けることができる、また助けるべきすべての人々に場を提供する義務がある」とも付け加えて、詳しく説明した。

 彼はウクライナにおけるロシアとの代理戦争に西側諸国が勝つことを心から望んでいるので、アンジェイチャクの意図を疑ったり、彼がいわゆる「ロシアの工作員」であると疑ったりするべきではない。しかし、彼は、自分が今話したような不都合な真実を西側諸国が認めなければ、ウクライナが敗北するかもしれないということも非常に心配しているのである。彼の考えでは、それを認めなければキエフが敗北することになる。しかし、ポーランドがやろうとしているように、この紛争をいつまでも長引かせることは、もっと悲惨なことになるかもしれないという議論も説得力がある。

 結局、彼が注目した3つの課題は、いずれもすぐに克服できるものではない。唯一の例外は国民の問題かもしれないが、そのためには難民の国外追放を可能にするためにEUの法律を変える必要があるが、それは起こりそうにない。経済的、物流的な要因は、ウクライナだけでなく、欧米全体に関わる体系的なものだ。紛争が長引けば、欧米のウクライナに対する多角的な援助の速度、規模、範囲を維持することは不可能である。

 アンジェイチャク自身も認めているように、「弾薬がないのだ。ウクライナに機材を送るだけでなく、枯渇しつつある在庫を補充する準備もできていない」。ポーランドがウクライナにとって英米枢軸に次ぐ3番目の重要な支援国であることを考えると、他のNATO加盟国も同じように支援の速度、規模、範囲を維持するのに苦労していることがよくわかる。

 つまり、キエフの迫りくる反攻作戦は、ロシアとの和平交渉の再開の前の「最後の砦」となる可能性が高いということである。アンジェイチャクはこの「政治的に不都合な」事実を強く認識しているようで、だからこそ、作戦終了まで代理人たちにできる限りの猶予を与え、協議再開までに比較的に有利な立場に立つことを望んでいる。

 彼と、彼と同じような考えの人々は次の2つの危険極まりない賭けをすることになる:1)今度の反攻作戦が、少なくとも地歩を固めるのに多少なりとも成功すると期待する、2)この作戦が最終的に終了すれば、ロシアが和平交渉の再開に同意すると期待する。それに対応する危険は、以下の通り明白である: 1)反攻作戦が大失敗し、ロシアがその失敗を利用して不明確な地盤を獲得する、あるいは2)キエフが要請してもモスクワが協議再開に応じない可能性がある。

 責任ある政治家であれば、これらの2つの選択肢を当然だと考えることはないだろう。それゆえ、キエフが反攻を断念し、中国の停戦提案を受け入れる方が、失敗したり、ロシアが欧米の支援がまもなく終わるかもしれないと知りながら戦い続けたりする危険性を取るよりも、間違いなく良いのである。アンジェイチャクが指摘した経済的、物流的な課題により、こうした相互に関連する最悪の筋書きの可能性は高まっており、ロシアの不手際がその確率を均衡させるだけである。

 しかし、あらゆる兆候は、それに内在する深刻な課題にもかかわらず、反攻がまもなく開始されることを示唆している。そして、この決定は、1500億ドルを超える援助が具体的な何かに使われたことを西側諸国の国民に示す必要性と政治的要因に関連しているのだ。たとえ悲惨な光景に終わったとしても、意思決定者はそのリスクを負うことを厭わない。アンジェイチャクのように、和平交渉を再開する前に最後の勝利を収めたいという必死な思いから、全力を尽くすことを望む者もいる。
関連記事

プロフィール

tmmethod

Author:tmmethod
FC2ブログへようこそ!

検索フォーム
リンク
最新記事
カテゴリ
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

月別アーカイブ
最新コメント