FC東京→ 城福監督が約5年ぶりにチームに戻ってきたFC東京は開幕前の時点では「優勝候補の一角」と言われていたが1stステージの優勝争いには絡めなかった。結局、1stステージは6勝6敗5分けで9位と微妙な順位で終了した。その一方でACLはグループリーグを突破して「ベスト8まであと一歩」というところまで迫った。アジアでの戦いは正当に評価される必要があるがJ1のリーグ戦では苦戦をすることが多かった。
17試合で16得点/18失点という成績だった。失点数はリーグ5位タイ。フィッカデンティ監督時代の特徴だった「堅守」は継続されているが得点数はリーグワースト3位の少なさだった。オフにMF阿部拓とMF水沼を獲得。攻撃のバリエーションアップが期待されたがMF水沼は(ACLでは活躍が目立ったが)国内リーグでは力を出せず。開幕直後にFWムリキを獲得したが当初はコンディション不良で戦力になれなかった。
その一方で守備陣に関しては一定以上の評価が出来る。昨オフに日本代表クラスの実力を持つGK権田がオーストリアのSVホルンに電撃移籍したが湘南から加入したGK秋元がまずまずの活躍を見せてGK権田の抜けた穴を埋めている。もちろん、日本でも有数のキーパーだったGK権田と比べるといくつかの部分で見劣りするのは確かであるがフィード力はGK権田よりも上。連携面でも大きな問題は生じなかった。
ACLの負担がなくなる2ndステージは当然のことながら「ステージ制覇」が大きな目標となるが開幕節(=鳥栖戦(A))は2対1とリードして後半のアディショナルタイムを迎えながら後半49分と後半50分に連続失点。まさかの大逆転負けで黒星スタートとなった。流れの中で鳥栖が多くのチャンスを作れていたわけではなかったので「大逆転劇が起こる予兆」はほぼ無かった。精神的なダメージの大きい敗戦と言える。
早く気持ちを切り替える必要があるが課題は攻撃に尽きる。城福監督というと1回目にFC東京を率いたときは攻撃的なスタイルで多くのサポーターの支持を集めたが再登板後は思うようなサッカーができずにいる。甲府を率いた2012年から2014年までの3年間は「3-4-2-1」でブロックを作る守備を重視したサッカーで「J1昇格」と「J1残留」という結果を残したが本来はアグレッシブなサッカーを好む指導者である。
なかなか点が取れないことに一番イライラしているのは城福監督だと思うがポジティブな要素と言えるのはようやくFWムリキの状態が上がってきたこと。1stステージは9試合で1ゴールという成績に終わったが6月あたりから徐々に違いを発揮するようになってきた。点を取るだけでなく周りを使うプレーも上手なので彼がエースとして相手のマークを引き連れてくれると周りの選手が楽にプレーできるようになる。
1stステージのチーム内得点王はFW平山で8試合で4ゴールという成績だった。FW前田遼は16試合で3ゴールを挙げているが、それ以外の選手で複数ゴールを記録しているのはDF森重とMF橋本拳の2人だけ。MF阿部拓は動き自体は悪くなかったが11試合で1ゴール、MF水沼は(プレーオフを含めた)ACLでは目覚ましい活躍を見せたがJ1のリーグ戦では11試合でノーゴール。わずか325分の出場時間にとどまった。
五輪の10番であるMF中島翔は怪我の影響もあってJ1では2試合の出場のみ。FC東京U-23が主戦場になった。こうして見ていくと攻撃陣の中で及第点以上の活躍が出来ているのは8試合で4ゴールのFW平山のみ。FWネイサン・バーンズは鳥栖戦(A)で2アシストを記録するなど調子を上げてきているが1stステージは7試合で1ゴールにとどまった。力を出しきれていない選手が多くてなかなかメンバーも定まらなかった。
どう考えても「戦力が不足しているから点が取れていない。」というわけではない。「過密日程の影響もあってメンバーを固定することができなくて攻撃陣の熟成が進まなかった。」というのが実際のところなので今夏に慌てて補強を行う必要はないだろう。現時点では怪我等の影響もあって出場機会に恵まれなかったMFハ・デソン(→名古屋)、MF幸野(→山口)、DF駒野(→福岡)の期限付き移籍が発表されている。
他には同様にJ1のリーグ戦では全く出場機会が得られなかったFW林容平に対して『C大阪が獲得に興味を示している。』と報じられた。『出来ることならば大卒ルーキーのFW澤上はC大阪U-23で試合経験を積ませたい。』と首脳陣は考えていると思うのでC大阪が攻撃的なポジションの補強を考えていても不思議はないが、その後、続報はない。『進展しなかった。』あるいは『ガセネタだった。』と考えるのが自然か。
現段階でMFハ・デソン、DF駒野、MF幸野の期限付き移籍が決まっており、さらにリオ五輪のメンバーにDF室屋とMF中島翔が選出されたことを考えると「どのポジションも選手層はJ1の中で屈指」と言えるFC東京と言えども手薄感は出てくる。「緊急時にはMF橋本拳が対応できる。」と言ってもシーズン序盤はSBで大いに苦労した。DF駒野が抜けてDF室屋も離脱する夏場はSBが不安。補強があるとすればSBだろう。
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