■ 開幕まであと2週間Jリーグの開幕まであと2週間。各チームの調整は最終段階に入っているが、レベルファイブスタジアムではアビスパ福岡とFC東京のプレシーズンマッチが行われた。元日本代表で日本サッカー界のレジェンドである井原監督を迎え入れた福岡はオフに守備的なポジションを中心に効果的な補強を行った。昨シーズンは16位と低迷したが、今シーズンはポジティブな話題が多くてサポーターの期待も高まっている。
ホームの福岡は「4-2-2-2」。GK神山。DF高准翼、濱田、堤、亀川。MF末吉、鈴木惇、城後、金森。FW坂田、平井。2008年以来のチーム復帰を果たしたMF中村北は欠場で、右SBにはDF高准翼が起用された。高さと速さを兼ね備えた若年層の中国代表経験がある19歳の有望株で非常に珍しい中国人Jリーガーとなる。G大阪でプレーしたDF賈秀全、札幌などでプレーしたMF徐暁飛に次ぐ史上3人目となる。
対するアウェイのFC東京は「4-3-1-2」。GK権田。DF徳永、カリーニ、森重、太田宏。MF梶山、三田、河野、米本。FW前田遼、武藤嘉。注目のFW前田遼は2トップの一角で起用された。日本代表として国際Aマッチは33試合で10ゴールを挙げている。アジア杯に参加したDF森重、DF太田宏、FW武藤嘉の3人は揃ってスタメンで、GK権田やFW前田遼も代表歴が豊富なので、非常に豪華なメンバー構成になっている。
■ 2対0でFC東京が勝利試合は立ち上がりから実力で優るFC東京のペースで進んでいく。組織的な守備が機能して高い位置でボールを奪うシーンが続いていく。すると、前半17分に左サイドで三角形を作ってパスワークから局面を打開すると、日本代表の左SBのDF太田宏のニアへのクロスを中に入って来たFW前田遼がうまく合わせてアウェイのFC東京が先制する。期待の新戦力のFW前田遼はいきなりゴールという結果を残した。
1対0で迎えた後半も基本的にはFC東京ペースで進むと、後半17分に日本代表のDF森重の左足の正確なフィードからフリーで左サイドを駆け上がったDF太田宏の鋭いクロスをスピードでマーカーを振り切ってゴール前に入って来たFW武藤嘉が合わせて0とリードを広げる。日本代表の左SBのDF太田宏はこの日は2アシストの活躍で、FW前田遼とFW武藤嘉という期待の2トップが揃ってゴールという結果を残した。
結局、試合は2対0でアウェイのFC東京が勝利した。福岡は前半37分に相手の不用意な横パスを奪ったFW平井がキーパーと1対1の大チャンスを得たが、決めることはできず。あいにくの雨模様であったにも関わらず6,000人を超えるサポーターが集まったが、ゴールを奪うことはできなかった。FC東京は開幕戦はアウェイで王者のG大阪と対戦して、福岡はホームでJ1昇格候補の1つに挙げられている京都と対戦する。
■ ポジティブな雰囲気が流れていたが…。福岡はニューイヤーカップに出場して宮崎ラウンドで鹿島や大分と対戦した。キャンプ中にかなりの試合をこなしているが、ホームのレベルファイブスタジアムで試合を行うのは今シーズン初めてだった。お披露目の試合で結果を出すことはできなかったが、スタジアムの雰囲気は昨シーズンとは全然違った。明らかに会場はポジティブな雰囲気になっており、福岡がチャンスになりかけると大きな声援が巻き起こった。
この「スタンドの空気」というのは意外と大事なことである。サッカーという競技は「メンタル」に左右されやすくて、ミスが生じたとき、ブーイングが起こるのか、落胆の声が上がるのか、次のプレーに期待する声が上がるのか、全然違ってくる。もちろん、スタジアムが「いい空気」になるためには選手やフロントが頑張りが必要になってくるが、この日のスタンドはいいプレーを引き出せそうな「いい空気」だった。
J1でも上位候補に挙げられるFC東京が相手なので0対2という結果は仕方がない。妥当なスコアと言えるが、福岡は攻撃の形がなかなか作れない点が不安材料で、ニューイヤーカップの鹿島戦や大分戦も流れの中でチャンスを作るシーンは少なかった。ボランチと最終ラインは優秀な選手が何人も加入して戦力アップを果たしたが、攻撃的なポジションの顔ぶれはあまり変わらず。「攻撃力が上がった。」という印象はない。
もちろん、MF城後、FW平井、FW坂田、MF金森、FW酒井宣など実績のある選手や期待されている選手は多い。攻撃的なポジションもまずまず層は厚いが、大エースと呼べるような選手はいない。当然、生え抜きでキャプテンを任されたMF城後が攻撃的なポジションで起用されてJ2の得点ランキングの上位に入って来るような活躍ができると希望が見えてくるが、充実した後ろの陣容と比べると物足りなさは感じる。
■ J1屈指のタレント軍団となったFC東京一方のFC東京はフィッカデンティ監督になって2年目となるが、前評判はかなり高い。昨シーズンは終盤戦に勝ち点が伸び悩んで「9位」とかなり平凡な成績に終わったが、今のところ、G大阪・浦和・鹿島・川崎Fに次ぐ5番手の評価を受けており、優勝候補の一角に挙げる人も少なくない。「ここ数年ではもっともサポーターの期待値が膨らんでいる。」と言えるが、それも納得の豪華メンバーになっている。
DF森重、DF太田宏、FW武藤嘉の代表トリオ以外にもGK権田がいて、FW前田遼がいる。DF徳永、MF高橋秀、MF東などは2013年にザックジャパンに招集された経験があって、FW平山やMF石川直やMF米本やMF羽生にも代表歴がある。さらには五輪代表のエースのMF中島翔がいて、DF奈良やMF幸野やMF橋本拳なども五輪代表入りが期待される選手なので、タレント力ではJ1でも有数どこか、一番上なのではないか。
しかも、単に代表歴があるだけでなくスター性のある選手が多い。FW武藤嘉がその象徴と言えるが、これだけのメンバーが集まることはなかなかないと思うので、今シーズンは是が非でもタイトルを獲得したいところで、特にリーグタイトルが最大のターゲットになるだろう。J1では2003年の1stステージの4位が最高なので、3位以内に入ったことはないが、今年は大きなチャンスと言えるだろう。
■ カギを握るのはMF三田とMF河野中でも注目はFW前田遼とFW武藤嘉の2トップである。この日はともに左SBのDF太田宏のアシストからゴールを挙げたが、長らくザックジャパンの1トップとして活躍したFW前田遼と、アギーレジャパンの常連だったFW武藤嘉の2トップというのは話題性も抜群で、「どういうコンビネーションを見せてくれるのか。」、「2人でどのくらいのゴールを決めてくれるのか。」とわくわくさせてくれる2トップである。
もちろん、全く違うタイプの点取り屋である。FW前田遼はポストプレーが得意で中央で起点になれる選手で、FW武藤嘉はスピードがあって単独で突破することもできる。ともに運動量が多くて、献身性もあって、セルフィッシュな部分はないので、組み合わせ的にも問題はない。むしろ、FW前田遼は味方の良さを引き出すプレーが巧みなので、FW武藤嘉のいいところをさらに引き出してくれるのではないか。
豪華な2トップだけでなく各ポジションに日本代表のレギュラークラスのタレントを抱えているが、カギを握るのは右サイドのMF三田とトップ下のMF河野の2人だと思われる。今シーズンも「8位前後」というそこそこの順位で終わるのか、それとも、タイトル争いに絡んでくるかどうかは、「MF三田とMF河野の2人がどこまでレベルアップできるか」、「攻撃のときに仕事ができるか」にかかっていると思う。
FC東京のサッカーのベースとなるのは組織的な守備である。就任2年目となる今シーズンは組織的な守備がさらに威力を発揮すると思うが、「ボールを奪った後のプレーの質」というのは課題として残っている。テクニックがあって、運動量も多くて、打開力もあるMF三田とMF河野がうまく絡んで質の高いプレーができると大チャンスになるが、そうならないと単発な攻撃に終わってしまう。
他のポジションはある程度以上の計算が立つ選手がほとんどである。裏を返すと、そこまで劇的なグレードアップは期待しにくいが、ともに24歳の2人は大きくレベルアップする可能性を持っている。当然、ロンドン五輪代表の10番だったMF東、リオ五輪代表チームの中心になっているMF中島翔も控えているので、ポジションが約束されているわけではないが、この環境でこの2人がどれだけのプレーができるか。
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