■ 2ndステージの第9節J1の2ndステージの第9節。4勝14敗7分けで勝ち点「19」の清水エスパルス(17位)がホームのIAIスタジアム日本平でFC東京(3位)と対戦した。残留争いに巻き込まれている清水は2ndステージの5節の横浜FM戦(A)の後、大榎監督が辞任。前大分監督の田坂監督が就任したが、3試合で0勝2敗1分けと結果が出ていない。一方のFC東京は15勝6敗4分けで勝ち点「49」。年間順位では3位と上位争いの真っただ中にいる。
ホームの清水は「4-2-2-2」。GK杉山力。DF六平、平岡、角田、ヨン・ア・ピン。MF本田拓、枝村、白崎、ミッチェル・デューク。FW鄭大世、ピーター・ウタカ。11ゴールを挙げているFW大前はベンチスタートで、FW鄭大世とFWピーター・ウタカというターゲットタイプを併用する形になった。新加入のDF角田は左CBでスタメン。オランダ出身のDFヨン・ア・ピンがCBから左SBに回ってスタメンとなった。
対するアウェイのFC東京は「4-3-1-2」。GK榎本達。DF徳永、森重、丸山、太田宏。MF高橋秀、羽生、米本、河野。FWネイサン・バーンズ、前田遼。守護神のGK権田はオーバートレーニング症候群と診断されたため欠場中。ベテランのGK榎本達が4試合連続スタメンとなった。日本代表に選出されたDF森重は出場停止明け。FWネイサン・バーンズはロシアW杯の二次予選のオーストラリア代表に招集されている。
■ FC東京が同点に追いついて1対1のドロー試合は前半15分にアウェイのFC東京が決定機を迎える。清水の最終ラインの不用意な横パスからFWネイサン・バーンズがキーパーと1対1の絶好機を迎えたが、判断よく飛び出してきたGK杉山力が阻止。前半は0対0で折り返す。迎えた後半5分に清水はエリア内でFWピーター・ウタカが右足でシュート。こぼれ球をFW鄭大世が押し込んで清水が先制する。元北朝鮮代表のFW鄭大世は待望の移籍後ゴールとなった。
1点を追うFC東京は怪我で長期離脱していた元日本代表のFW平山を投入。すると後半24分にロングボールに対して190センチのFW平山が競り勝ったボールに反応した途中出場のMF中島翔が絶好の位置でFKを獲得。これをW杯二次予選の日本代表には選出されなかった左SBのDF太田宏が得意の左足で鮮やかに決めて1対1の同点に追いつく。DF太田宏は今シーズン3ゴール目。いずれも直接FKでゴールを記録している。
後半48分に清水はFWピーター・ウタカのパスを受けたMFミッチェル・デュークがゴール前で決定機を迎えるが、切り替えしてから左足で放ったシュートは枠を捉えることができない。結局、試合は1対1のドロー。ホームで絶対に勝ち点「3」が必要な試合だったが、清水は勝ち点「1」止まり。当面の目標となる残留圏ギリギリの15位に位置する新潟がアウェイで仙台に勝利したため、新潟との差は「5」に広がった。
■ ようやく生まれたFW鄭大世の加入後初ゴール 残留争いに巻き込まれている清水にとっては痛すぎるドローと言える。90分を通して試合を優位に進めたのは清水だった。後半5分にFW鄭大世のゴールで先制。救世主となることが期待されながらもなかなか初ゴールが生まれずに苦しんだFW鄭大世のゴールでスタジアムは大いに盛り上がったが、古巣対決となるDF太田宏の直接FKで同点に追いつかれた。スピードもコースも完璧なシュートだったので防ぐのは難しかった。
新潟との差は「5」。苦しくなってきた清水であるが、FW鄭大世に初ゴールが生まれたのはポジティブなことである。川崎F時代や北朝鮮代表でエース級として活躍していた時期のFW鄭大世と比べると「パワフルさ」や「荒々しさ」は薄れているが、点の取り方をよく知っている選手である。この日はストライカーらしい「嗅覚」を発揮してこぼれ球を押し込んだ。このゴールで落ち着いてプレーできるようになるだろう。
『2トップの組み合わせをどうするのか?』が悩みどころになっている。『タイプを考えるとFW大前は決まり。FW鄭大世か、FWピーター・ウタカのどちらかを相方として起用する。』というのがもっとも自然な考え方。さらには守備力はFWピーター・ウタカよりもFW鄭大世の方が上。よって、「FW大前とFW鄭大世の2トップがベター」と言えるが、これまでの数試合を見る限り、この2人は絶望的に息が合っていない。
FW大前の出すパスがFW鄭大世の欲しいタイミングではなかったり、FW鄭大世にはコントロールするのが難しいパスだったり・・・。呼吸が合わずにチャンスを潰す場面が数多く見られる。当然、FW鄭大世は新加入選手である。練習や試合を重ねるごとに良くなるケースもあるが、どれだけ一緒にプレーしてもどうにもならないケースも多々ある。相性というのは「時間が経てば必ず良くなる。」というわけではない。
結局、この日はFW大前がベンチスタート。FW鄭大世とFWピーター・ウタカの2トップだったが、FWピーター・ウタカのプレーが非常に良かった。2トップが「ターゲットタイプ+ターゲットタイプ」の組み合わせになると機能しないケースは多いが、この日は問題はなかった。FW大前はサイドハーフでもプレー可能なので、FW鄭大世&FWピーター・ウタカの2トップをファーストオプションにするのもアリと言える。
■ 抜群の精度を誇るDF太田宏介の左足一方、浦和や広島と激しい上位争いを展開しているFC東京はアウェイで1対1のドロー。GK権田やMF梶山など主力に欠場者が続出している中、相手に先制ゴールを許したことを考えると悪くない結果と言える。どちらかという劣勢の展開だったが、相手のシュートミスにも助けられて1失点のみ。2つほど「やられてもおかしくない。」と思われたシュートを止めたベテランのGK榎本達がヒーローの1人と言える。
FC東京はFW平山が約11か月ぶりに戦列に戻ってきた。エースのFW武藤嘉が抜けたが、FW前田遼が調子を上げてきており、FWネイサン・バーンズも相当なレベルの選手である。ターゲットタイプのFW前田遼とドリブル等で局面を打開できるFWネイサン・バーンズの組み合わせは良好。当面のFW平山の仕事は「途中出場で流れを変えること」になると思われるが、長期離脱明けとは思えないほど動きはシャープだった。
後半24分に投入されたばかりのFW平山が起点となってゴール前の絶好の位置でFKを獲得すると、これをDF太田宏が直接決めて1対1の同点に追いついたが、DF太田宏のような左利きのプレイスキッカーにとっては最高の位置でのFKだった。スタメン起用が続いている清水のキーパーのGK杉山力はいいプレーを続けているが、あのコースにあれだけのスピードで蹴り込まれるとキーパーとしてはノーチャンスである。
■ DF長友とのポジション争いは熾烈これで今シーズン3ゴール目となったがいずれもFKでのゴールである。「Jリーグ史上屈指のフリーキッカー」と言われる元横浜FのMF三浦淳や横浜FMのMF中村俊やG大阪のMF遠藤あたりでも年間の直接FKの本数というのは1本~2本のペースである。1シーズンで3本というのは普通ではない数字である。ここ2年ほどで「現役の日本人選手の中では最高峰のプレイスキッカー」と言えるような選手に成長した。
今回は怪我の影響でコンディションに不安があるため日本代表には招集されなかったが、DF太田宏が国内屈指の左SBであることは間違いないところ。さらには度重なる怪我の影響で全盛期と比べると力が落ちてきたDF長友との差も徐々に小さくなっている。ハリルホジッチ監督は「左利きの左SBが欲しい。」ということを何度も繰り返しているが、DF太田宏が左SBのレギュラーを勝ち取る可能性はそれほど低くない。
先のカンボジア戦(H)ではMF香川が左CKを蹴ることが多かったが、プレイスキックを蹴るのは決して得意ではない。左利きのキッカーとしてはMF本田圭がいるが、彼はサイズがあるので中央で待っていた方が効果的であるケースが多い。MF柴崎岳がいると話が変わってくるが、MF柴崎岳がベンチスタートになるとプレイスキッカー不足が深刻になる。なので、左足のスペシャリストのDF太田宏にかかる期待は大きい。
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