町田ゼルビア→ 2015年シーズンは昇格1年目の金沢が前半戦のJ2の主役となった。一時は首位に立つなど快進撃を見せたが今シーズンも同じ昇格組の山口と町田が前半戦のJ2を盛り上げている。18節終了時点で町田は9勝4敗5分けで6位、山口は8勝6敗4分けで9位。どちらも開幕前は「降格候補」と言われていたが残留争いとは無縁のシーズンになっている。「J1ライセンス」の問題はあるが楽しみの広がるシーズンになっている。
中でも町田は18節終了時点で6位とプレーオフ圏内に位置する。首位の札幌との差は「4」。相馬監督は「自分たちは22番目のチームだ。」と結構な頻度でコメントするが謙虚な姿勢が好成績につながっている。18節終了時点でわずか13失点。これは札幌と松本山雅と全く同じ数字でリーグ最少タイとなる。前半の早い段階で先制ゴールを奪ってそのまま1対0で逃げ切るのが町田の必勝パターンになっている。
攻撃陣は2人合わせて17ゴールを挙げているFW鈴木孝とFW中島裕の2トップの活躍が目立つ。エースのFW鈴木孝は怪我で戦線を離脱した時期もあったがここまで10ゴール。山形から加入したFW中島裕も7ゴールを挙げている。フォワードとしての系統は全く異なるが2トップに関して「J2屈指の2トップ」と言える。FW鈴木孝は決定力が高くて、FW中島裕は豊富な運動量とスピードが相手の脅威になっている。
近年はJ1でも昇格チームが1年目から優勝争いに加わるケースが増えている。2009年の広島しかり、2011年の柏しかり、2014年のG大阪しかり。ただし、これらのチームはすでにJ1で確固たる実績を残した経験のある昇格チームである。いずれもが「まさかの降格でJ2に落ちたチームがJ1に戻ってきて1年目から好成績を残す。」というパターンである。昇格組とは言ってもJ1の中では規模の大きなクラブである。
「近年の唯一の例外」と言えるのは2012年の鳥栖である。このときがJ1初昇格だったが5位に入って周囲を驚かせた。ほとんどの人が降格候補に挙げていたので大サプライズと言えたが、2014年の徳島、2015年の松本山雅などJ1初昇格の年は苦戦することが多い。「J1の壁」に阻まれるケースが多いがJ2に関しては2013年の長崎、2015年の金沢、2016年の山口など昇格初年度から好成績を残すチームが増えてきた。
いろいろ理由があると思うがサッカーの裾野が広がってきて下部リーグ(=3部や4部)のレベルが上がってきていることがまず挙げられる。また、現状のレギュレーションではJ3で優勝するか、2位になって入れ替え戦を制するしか道はないのでハードルは高い。相当に頑張らないとJ2には上がれないレギュレーションなのでJ2昇格を果たした勢いそのままにJ2初年度の開幕から突っ走るケースがここに来て増えてきている。
前年度の勢いを持って新シーズンに入ることが出来るのはJ2からJ1に昇格したときも同じであるが、J2の注目度は何だかんだで上がってきているのでJ1昇格に大きく貢献した選手は資金力のあるJ1のクラブに狙われてしまって戦力ダウンするケースがある。松本山雅から川崎Fに移籍したときのMF船山貴が典型例と言えるがその一方でJ3の注目度はそこまで高くないので2015年のFW岸田(山口)のように残留するケースが多い。