愛媛FC→ 愛媛FCは2015年は19勝15敗8分けで5位。クラブ史上初となるプレーオフ出場を果たした。2006年にJ2に昇格してから勝ち越したことすらなかった愛媛FCの快進撃は2015年のJ2の最大のサプライズの1つだったが、今シーズンは18節終了時点で4勝5敗8分け。熊本地震の影響で1試合消化は少ないが15位。6位の町田との差は「12」、21位の北九州との差は「6」。現時点では残留争いに巻き込まれる危険性もある。
17試合で12得点/16失点。得点数はリーグ最少となる。2015年は42試合で47得点。躍進したシーズンも高い得点力があったわけではないが1試合平均の得点が「0.71」となると上位争いに加わるのは難しくなる。むしろ、このくらいの得点力で(現時点では)残留争いに巻き込まれていないのが不思議に思うほどである。GK児玉を中心とした守備陣は頑張っているので、MF河原を中心とした攻撃陣の奮起が期待される。
「初のJ1昇格」を目標に掲げてシーズンに入ったことを考えるとかなり不本意な成績になっているが、メンバー的には昨シーズンの後半とほとんど変わっていない。オフの入れ替えは最小限にとどまったが、主力級の流出はMF岡崎建(→G大阪)くらい。彼にしても2015年の後半戦は怪我で長期離脱したので大きな戦力ダウンとは言えなかった。FW阪野やDF茂木を獲得して「戦力は若干のプラス」と思えたが苦労している。
昨シーズンとの一番の違いは「相手からの警戒度」だろう。これまでの愛媛FCは対戦相手からすると「出来る限り取りこぼしたくない相手」だった。ホーム・アウェイ問わず、勝ち点「3」を狙ってくるチームが多かったが、躍進したことでリーグ内での地位が上がって「リスペクトすべき相手」となった。こうなると特にニンジニアスタジアムでの試合は「引き分けでも良し」という意識で準備してくるチームが多くなる。
愛媛FCはバルバリッチ監督のときからどちらかというと「引き分けの多いチーム」だったが、今シーズンは17試合で早くも8引き分け。これは東京Vと並んでリーグ最多の引き分け数となる。昨シーズンの引き分け数に早くも並んでいる。もちろん、アウェイの清水戦の引き分けやホームの松本山雅戦やC大阪戦の引き分けなどは「価値のある引き分け」と言えるが、『取りこぼし』に分類される引き分けも目立つ。
中でもスコアレスドローが5試合もある。昨シーズンの途中に湘南から期限付き移籍してジョーカー的な存在になったMF白井は今シーズンも試合の終盤に投入される切り札として起用されているが相手のマークが厳しくなっているので昨シーズンのような「違い」を見せることは出来ていない。『膠着した展開になったときに流れを変えることが出来る選手』というのは夏の移籍市場での補強ポイントの1つになる。
守備陣は17試合で16失点のみ。今シーズンも頑張っている。DF林堂とDF浦田は178センチ、DF西岡は180センチ。最終ラインの高さ不足は気になる要素ではあるが、セットプレーからの失点数は(17節終了時点で)わずかに4つだけ。熊本に次いでリーグ2位タイの少なさとなる。「高さのあるCBがいない。」という点はここ数年の愛媛FCの弱点の1つであることは確かであるが、現状は大きな問題は生じていない。
愛媛FCのようなスモールクラブの場合、「限りある資金をどこに費やすべきか?」は大事になってくる。お金のあるクラブとは違って補強の失敗は致命傷になり得る。昨シーズンは夏の移籍市場で獲得したMF内田健、MF小島秀、MF白井などがシーズンの後半戦に素晴らしい働きを見せた。初のプレーオフ出場の原動力になったが同様にチームに活力をもたらすことが出来る選手を2人くらいは加えたいところである。
ただ、現状でも攻撃なポジションはかなり良い選手がいるので「彼らよりも上」と言える選手を夏の移籍市場で獲得するのは簡単な話ではない。FW阪野、FW瀬沼、MF河原、MF近藤貴の4人が「1トップ+2シャドー」のレギュラーポジションを争っており、前述のとおり、ドリブルが武器のMF白井は大半の試合で途中出場でピッチに立つが、各々が特徴を持った選手である。個々のクオリティ自体はかなり高い。
その上、(順調に回復しているのであれば)長期離脱しているストライカーのFW西田も夏あるいは秋あたりには戦列に復帰してくるだろう。こうなると「1トップ+2シャドー」の組み合わせのバリエーションはさらに増える。同じポジションの選手が新たに加わると既存の選手には大きな刺激となるが、思うような成績を残せていない愛媛FCが今夏の移籍市場でどういう動きを見せるのか?は興味深いところである。
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