■ 「走らなくても、点さえ決めてくれればOK」か?もちろん、「走らなくても、点さえ決めてくれればOK」という見方もできる。今のやり方でG大阪はこれ以上ないほどの結果が出ており、FW宇佐美も結果を出している。『とやかく言うな。』、「結果を出している選手に文句を言うな。」と主張する人は一定数はいると思うが、個人的にはFW宇佐美のこれからのサッカー人生を考えると「7.8キロでOK。」、「結果さえ出せればOK。」と許容するのはマイナスだと思う。
もちろん、現代サッカーでは「量」だけではダメで、「質」も伴わなければならないが、「動きの質さえよければ、量が少なくてもOKか?」というと、これも「No」である。今回のW杯のときも言及しているが、個人的にはFWメッシであっても「7.8キロ」というのは絶対にダメだと思うし、それが許されるような環境というのは宜しくないと思う。FWメッシほどの圧倒的な個人技を持たない選手であればなおさらである。
FW宇佐美はそもそもとしてのアスリート能力は低くはないので、走行距離を稼ごうと思ったら、ある程度は距離を稼ぐことができると思うが、そうなるとプレーの質が落ちてしまう。ホッフェンハイムのときは体力をセーブしながらプレーしていることが多かったが、「運動量が多くなるとプレーの質が落ちてしまうので、質を維持するために量をセーブせざるえない。」というのが当時のFW宇佐美だった。
2013年シーズンの途中にJ2だったG大阪に戻って来たときに言及しているが、FW宇佐美に必要なのは試合中に走り回って試合の中で体力を付けていくことだと思う。試合終了後に倒れてしまうほど動き回ることを何度か繰り返すことで自然とスタミナが付いてきて、力をセーブしなくても、ある程度の質を維持できるようになるのでは?と思っているが、今、G大阪で与えられている役割だと難しい。
■ 長年の課題は解消されているのか・・・。FW宇佐美はまだ22歳である。ドイツでの1回目の挑戦は残念な結果に終わったが、当然、近い将来、もう一度、欧州に渡って今度は成功したいと考えているだろう。「ずっとこのままG大阪でプレーする。」とは考えていないと思うが、今のままだと欧州では難しいだろう。以前、Jリーグでプレーしていた時よりも結果を出しており、攻撃的な部分では凄みを増しているが、長年の課題は解消されていない。
「海外ではプレーしない。」、「日本代表でプレーすることも興味がない。」というのであれば、今のままで全然OKであるが、本人はそのように考えていないと思うし、周りも「日本代表に入ってほしい。」、「もう一度、海外でプレーしてほしい。」と思っているだろう。今のような役割でチームとしてこれ以上ないほどの結果が出ていることは「彼の成長」という点ではマイナスに働いている部分もあると思う。
もちろん、チームを率いる監督は選手のストロングポイントが最大限に発揮されて、かつ、選手のウイークポイントがなるべく出ないようにチームを作っていくことが求められる。そういう意味ではG大阪の長谷川監督は最高の仕事をしていると言えるが、長谷川監督も、FW宇佐美自身も、現状で満足はしていないと思う。来シーズンはそのあたりの「変化」に期待したいところである。
関連エントリー 2007/08/11
【U-16日本×U-16米国】 君は宇佐美貴史を見たか? (生観戦記#14) 2008/08/12
【U-16日本×U-16ルーマニア】 天才・宇佐美貴史の未来(生観戦記#12) 2009/02/21
日本サッカーの未来を担うタレント60人 寸評(中) 2009/02/21
日本サッカーの未来を担うタレント60人 寸評(上) 2009/02/22
日本サッカーの未来を担うタレント60人 寸評(下) 2011/07/15
【G大阪×神戸】 宇佐美貴史 世界を魅了せよ!!! (生観戦記#2) 2014/07/13
日本代表は32カ国中で19番目 ~ブラジルW杯の走行距離について~ (上) 2014/07/14
日本代表は32カ国中で19番目 ~ブラジルW杯の走行距離について~ (下) 2014/09/24
【清水×G大阪】 日本代表&欧州リーグでの活躍はノルマと言える宇佐美貴史
- 関連記事
-