■ 「落選ジャパン」を考える。ブラジルW杯に出場する日本代表メンバー23人が決定したので、落選した選手にスポットライトを当てて、恒例の「落選ジャパン」を考えてみました。今回の選考のコンセプトとして重視したのは、「できる限り、ブラジルW杯に出場するザックジャパンに勝てそうなメンバーを選ぶこと」です。ザックジャパンと戦うことを重視して23人のメンバーを選出しました。
常々、ザッケローニ監督は「代表候補は60人ほどいる。」と語っており、落選ジャパンを考えると、どうしても、惜しくも外れた選手 or 待望論があった選手(DF塩谷、MF細貝、MF中村憲、MF原口、FW豊田など)が中心になってしまいます。そうなると、あまり面白くないので、ブラジルW杯の日本代表の候補と考えられていた64名は最初から外して、それ以外の選手で23人をチョイスしました。
そして、落選ジャパンなので、すでに代表から引退しており、「落選したわけではない選手」も候補から外しました。現役の中で、代表引退を正式に表明しているのは、DF坪井(浦和)、DF加地(G大阪)、GK楢崎(名古屋)の3人だと思いますが、復帰する意思が無いと考えられるMF中村俊(横浜FM)も外しています。よって、64人+4人=68人以外が「落選ジャパン」の候補となります。
ゴールキーパー → GK川島とGK西川とGK権田に加えて、GK東口(G大阪)とGK林卓(広島)とGK林彰(鳥栖)の3人も対象外なので、かなり候補は限られてくるが、GK曽ヶ端(鹿島)とGK菅野(柏)とGK櫛引(清水)の3人を選出する。GK曽ヶ端は2002年の日韓W杯のメンバーだったが、実力やタイトル数などを考えると今の日本サッカー界でもっとも過小評価されている選手の1人ではないかと思う。
GK曽ヶ端は今年の8月で35歳となるが、ずっと鹿島のゴールマウスを守っており、安定感もあるし、爆発力もあるし、ほとんと怪我をしない点も魅力である。GK菅野は179センチとキーパーとしては小柄であるが、こういう選手がトップレベルで活躍することは、日本各地にいる小型キーパーには大きな励みになるだろう。清水のGK櫛引はリオ五輪で日本代表のゴールを守る確率が高い。
GK 曽ヶ端準 (鹿島アントラーズ)
GK 菅野孝憲 (柏レイソル)
GK 櫛引正敏 (清水エスパルス)
センターバック → DF今野、DF伊野波、DF森重、DF吉田がW杯行きを決めて、DF中澤(横浜FM)とDF闘莉王(名古屋)とDF栗原(横浜FM)とDF水本(広島)とDF千葉(広島)とDF槙野(浦和)とDF山下(C大阪)とDF塩谷(広島)とDF鈴木大(新潟)とDF昌子(鹿島)は対象外。こうなると、メンバー選ぶも一苦労かと思われたが、意外とそうでもない。リオ世代の若手は有望なCBが目白押しである。
まず選んだのは94ジャパンで活躍したDF岩波(神戸)とDF植田(鹿島)の2人である。ともに186センチの長身で、高卒2年目となるが、J1で上位争いをするチームでレギュラーを掴みつつある。もちろん、脆さもあるが、空中戦に強くて、フィード力も武器となる。これだけ才能のある10代のCBは、Jリーグ発足以後は、横浜Mで活躍したDF松田と名古屋で活躍したDF古賀くらいである。
2人が非常に若いので、バランスを取るために、残りの2人はベテランを選出したい。真っ先に浮かんだのは、DF近藤直(柏)である。2012年にはザックジャパンでもプレーしている。最後の1人はボランチやSBでもプレーできるDF角田(仙台)とする。強さも上手さもあるので、ユーティリティー枠で日本代表に定着しても全くおかしくない選手だったが、ザックジャパンには縁が無かった。
その他では、2013年のJ1のベストイレブンのDF那須(浦和)、攻撃力が光るDF高橋祥(大宮)、188センチの大学生のDF大武(名古屋/福岡大学)、J2で見事なプレーを続けているリオ五輪代表のキャプテン候補のDF遠藤航(湘南)も頭に浮かんだ選手である。こうしてみると、攻撃力のあるCBが増えており、「CBだけでなくボランチでもプレーできる。」というタイプが増えている。
DF 近藤直也 (柏レイソル)
DF 角田誠 (ベガルタ仙台)
DF 岩波拓也 (ヴィッセル神戸)
DF 植田直通 (鹿島アントラーズ)
サイドバック → DF長友とDF内田とW酒井がW杯メンバーに選ばれて、DF駒野(磐田)、DF徳永(FC東京)、DF森脇(浦和)、DF安田(鳥栖)、DF今井(大宮)が除外となるSB。ただ、さすがに「SB大国」と言われるだけあって、他にも候補はたくさんいる。まずは、DF太田(FC東京)である。ザックジャパンにほとんど縁が無かったことが不思議に思うほどの実力者で、国内屈指の左SBである。
2人目はDF丹羽(鳥栖)をチョイスする。インターセプト王として知られているが、非常に堅実な右SBである。攻撃よりも、守備で目立つタイプであるが、職人肌の右SBである。3人目はDF佐々木(甲府)とする。2013年の前半はボランチでプレーして、昨シーズンの途中から左ストッパーでプレーするようになったが、プロ1年目の2012年は左SBがメインポジションだった。
特徴は左右両足を同じレベルで使える点と、176センチとは思えないほど、空中戦に強いことである。Jリーグでプレーする176センチの選手の中では、ダントツに空中戦が強い。4人目はバランス的に攻撃力のある右SBが必要となるので、謎の得点力を持つDF菅井(仙台)を選出したい。他にも、DF田中裕(川崎F)、DF松原(新潟)、DF丸橋(C大阪)、DF橋本和(柏)がいるので、層は厚い。
DF 菅井直樹 (ベガルタ仙台)
DF 丹羽竜平 (サガン鳥栖)
DF 太田宏介 (FC東京)
DF 佐々木翔 (ヴァンフォーレ甲府)
ボランチ → MF遠藤とMF長谷部とMF青山敏とMF山口蛍がW杯メンバーに選ばれて、MF細貝(ヘルタ・ベルリン)、MF高橋秀(FC東京)、MF扇原(C大阪)、MF柴崎岳(鹿島)は対象外となる。ただ、このポジションも層は厚いので、問題は無い。1人目に選んだのはMF米本(FC東京)である。今シーズンは精力的な動きが目立ちに目立っている。フィッカデンティ監督との相性は良さそうだ。
2人目はMF大谷(柏)で、リーダーシップと対人の強さとバランス感覚は魅力である。結局、ボランチほど、監督の好みが色濃く出るポジションも無いだろう。他にも、MF森崎和(広島)、MF中町(横浜FM)などがいるが、MF大谷やMF森崎和やMF中町らが、ザックジャパンの常連となったMF細貝やMF高橋秀らと比べて、総合力で大きく劣るかというと、そういうわけではない。
3人目はMF藤田直(鳥栖)を選出したい。J1で首位を走る鳥栖のキャプテンで、言うまでもなく、ロングスローという武器を持っている。最後の4人目はJ2で圧倒的な存在感を示しているMF永木(湘南)を選びたい。4人とも、ボランチとしてのタイプは異なるので、バランスはいいだろう。高さのあるボランチがどうしても必要なときは、CBで選出したDF角田をボランチで起用することもできる。
MF 大谷秀和 (柏レイソル)
MF 藤田直之 (サガン鳥栖)
MF 永木亮太 (湘南ベルマーレ)
MF 米本拓司 (FC東京)
2列目 → MF本田圭、MF岡崎、MF香川、MF清武、MF齋藤学の5人がW杯メンバーに選ばれて、MF中村憲(川崎F)、MF高萩(広島)、MF柏木(浦和)、MF乾(フランクフルト)、MF長谷川アーリアジャスール(C大阪)、MF山田大(磐田)、MF工藤壮(柏)、MF原口(浦和)、MF南野(C大阪)が除外となる2列目も層の厚いポジションであり、選ぶ人の好みが色濃く反映されるポジションである。
そんな中で、今回は、MF遠藤康(鹿島)、MF大前(清水)、MF森岡(神戸)、MF小川慶(神戸)、MF大島(川崎F)という若い選手を5人選出した。バランス的に左利きは絶対に必要で、左利きのアタッカーというと、やはりMF遠藤康となる。MF森岡は言うまでもなく国内屈指のファンタジスタで、同じく神戸のMF小川慶の運動量とスピードは日本人の2列目の中ではトップレベルである。
MF大島は川崎Fではボランチでプレーしているが、今シーズンの充実ぶりは目を見張るものがある。ポスト・憲剛の有力候補で、リオ五輪代表チームの中心になるのは間違いない。一方、清水のMF大前に関しては、関塚ジャパンにも、ザックジャパンにもほとんど関わることができなかった。ただ、Jリーグでの実績は上位レベルである。ここまで敬遠されるのは、謎としか言いようがない。
MF 遠藤康 (鹿島アントラーズ)
MF 大前元紀 (清水エスパルス)
MF 森岡亮太 (ヴィッセル神戸)
MF 小川慶治朗 (ヴィッセル神戸)
MF 大島僚太 (川崎フロンターレ)
フォワード → FW大久保(川崎F)、FW柿谷(C大阪)、FW大迫(1860ミュンヘン)の3人がW杯メンバーに選ばれて、FW前田(磐田)、FW佐藤寿(広島)、FW石原(広島)、FW李忠成(浦和)、FW豊田(鳥栖)、FWハーフナー・マイク(フィテッセ)、FW小林悠(川崎F)、FW川又(新潟)、FW宇佐美(G大阪)は除外となる。そうなると、かなり候補選手は限られてくるが、いい選手はいる。
1人目はFW興梠(浦和)である。2013年に浦和に移籍したが、「これほどポストプレーが上手かったのか・・・。」と驚かされた。当然、裏に抜けるスピードもあるので、ザックジャパンに入ってきても全くおかしくない選手だった。2人目はFW永井(名古屋)である。最近の活躍度を考えると、全く候補に挙がらなかったのも当然であるが、圧倒的なスピードは世界トップレベルである。
最後の3人目はバランス的に大型選手がいい。ただ、FW渡邉千(FC東京)はあまり調子が上がっておらず、FW長沢(清水)は大怪我で離脱中で、FW杉本(C大阪)もまだまだ大成するまでに時間が必要。となると、サイズのあるフォワードを選出するのは難しいので、FW田中順(柏)を23人目に選出したい。一度、ザックジャパンにも召集されているが、非常に魅力的な左足を持っている。
これで23人となったが、こうしてみると、最終的にザックジャパンの候補とは言えなかった選手だけでチームを作っても、それなりの顔触れになることが分かる。年々、層が厚くなっており、代表候補は60人どころか、100人程度は「日本代表に入ってきてもおかしくない。」という選手がいることが分かる。今回は、制約が多い中でチームを作ったが、非常に魅力的なチームになったと言える。
FW 興梠慎三 (浦和レッズ)
FW 田中順也 (柏レイソル)
FW 永井謙佑 (名古屋グランパス)
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