■ 2試合で計8得点/3失点欧州に遠征してドイツならびにトルコと対戦した日本代表だったが2試合で計8得点/3失点。特にドイツ戦の4対1の大勝劇は世界に衝撃を与えたが数少ない懸念材料は左SBになる。2試合ともにDF伊藤洋が任されたが攻守両面でインパクトを残せず。特に初戦のドイツ戦の前半はMFサネへの対応で苦労した。本職の左SBではないので技術とクイックネスを併せ持った選手に対応するときは不安が大きい。
トルコ戦は前半にGK中村航が負傷交代。後半の終盤にはDF町田が疲弊して交代となった。この2つの交代がなかったら2試合とも出場機会がなかったDF森下龍に出番が回ってきたと思われる。DF森下龍にとっては不運な代表活動となったが他のポジションと比べると人材が不足していることを否定するのは難しい。2008年からほぼずっとDF長友が左SBの主力だったが「最も手薄なポジション」と言うことが出来る。
「左SBの発掘」というのは当面のテーマになるが現状はDF中山雄(ハダースフィールド)とDF伊藤洋(シュツットガルト)の2人が1番手を争っていると考えられる。海外組のDF町田(ロイヤル・ユニオン)やMF旗手(セルティック)をこの位置で起用する手もあるがDF中山雄もDF伊藤洋もDF町田もMF旗手も本職の左SBではない。ビルドアップでの貢献も求められる時代になってさらに左SBは大変なポジションになっている。
ハマる選手はなかなか出てこないと思うが
・高さ
・ビルドアップ
・左利きというのは第2次森保政権が左SBを人選するときに重視しているポイントと考えられる。DF森下龍ももともとは2列目の選手。プロ入り後にSBやWBでプレーする機会が増えた。DF森下龍は168センチなのでサイズには恵まれていないが「サイズのないSB」を起用すると他の部分にしわ寄せがくる。CFやボランチの人選にもマイナスの影響が及ぶことを考えると「出来るだけサイズのあるSBを起用したい。」と言える。
J1のSBの平均身長は174cm程度。178cmだと「日本人のSBの中では長身」と言える。180cmを超えると「大型のSB」と言うことが出来る。DF伊藤洋のように188cmあると世界基準で考えても「超・大型のSB」と言うことが出来る。森保監督はDF伊藤洋のポテンシャルを買って我慢強く試しているが、今、Jリーグでプレーしている選手の中にも「日本代表の左SBの主力になることが期待される選手」は何人もいる。
1人目 : MF 東俊希 (サンフレッチェ広島) 2000年7月28日 180センチ/69キロ→ DF菅原(AZ)、DF瀬古(グラスホッパー)、MF久保建(Rソシエダ)、MF中村敬(スタッド・ランス)、MF平川怜(熊本)、FW宮代(川崎F)、GK谷(デンデル)など将来を嘱望されるタレントをたくさん擁して「新・黄金世代」と呼ばれた「00JAPAN」で左SBの主力の1人として活躍したレフティ。180センチとサイズに恵まれているが左足のキックは正確。左足の強烈なシュートも武器となる。3バックの広島では左WBで起用されているが中盤の位置でプレーする機会も少なくない。ユーティリティー性は武器の1つになっている。
今シーズンは25試合に出場して2ゴール1アシスト。目立った数字は残せていないがJ1有数の強豪クラブである広島で地位を確立している。U-17日本代表やU-20日本代表などで一緒にプレーした経験のある選手が現代表にたくさんいることは彼のモチベーションになっているはず。森保監督は古巣の広島の選手をたくさん招集してきたが同監督が広島を去った2017年の時点でDF東俊希は16歳~17歳。直接的な強いつながりはないかもしれないがすでに年代別代表として高評価されていたのでよく知っている選手の1人と言える。
2人目 : DF 佐々木旭 (川崎フロンターレ) 2000年1月26日 180センチ/72キロ→ 流通経済大出身。大卒1年目だった2022年はJ1で21試合に出場。「常勝軍団」と言われる川崎Fで1年目から存在感を発揮した。さらなる飛躍が期待されたが今シーズンは出番が減少。ここまで14試合の出場にとどまっている。32歳になって力は落ちてきたDF登里とのポジション争いでも劣勢。クラブならびにサポーターの期待を大きく裏切っているが180センチとサイズに恵まれており、川崎Fの選手らしい的確なポジショニングも光る。ヘディングも強くて「日本にはあまりいないタイプの左SB」と言うことが出来る。
今シーズンから長きに渡ってDF谷口彰(アル・ラーヤンSC)が背負ってきた5番を託されているのでクラブの期待は大きいが伸び悩み気味。プレーに迷いが感じられる。スランプ気味と言えるが左SBの主力候補のDF伊藤洋やDF中山雄とは全く違った系統の左SBなのでMF三笘の個人技に頼りがちな今の日本代表の左サイドアタックに面白みを加えることが出来る。まずは調子と自信を取り戻して川崎Fで定位置を奪回する必要があるが3年後に迫った2026年のW杯に向けてどこかで試してほしい選手の1人に挙げられる。
3人目 : DF 舩木翔 (セレッソ大阪) 1998年4月13日 178センチ/65キロ→ C大阪には実績のあるDF丸橋とDF山中がいるが最近はDF舩木翔が左SBのレギュラーとして起用されている。10代の頃は年代別代表の主力として活躍したがプロ入り後は出番に恵まれず。期限付き移籍先の磐田やSC相模原でも出場機会に恵まれなかった。伸び悩んだが2022年にC大阪に復帰すると持ち味である左足のキックに加えてヘディングでも貢献。課題だった守備面でのレベルアップも著しい。逆サイドでプレーするDF毎熊が日本代表に選ばれてトルコ戦で好プレーを見せたことは刺激になっているだろう。
最大の武器は左足のキックになるが正確無比な左足を持っている。左足のキックに関してはDF丸橋やDF山中と比べても見劣りしないレベルにある。最近はチーム内で「偽SBの働き」が出来るようになってきた。J1屈指のサイドアタッカーであるMFカピシャーバが同サイドにいるのでDF舩木翔が中に入ってきてMFカピシャーバのスペースを作るケースが増えてきた。また、裏のスペースに走った選手に出すミドルパスの精度の精度は折り紙付き。このままC大阪で主力として起用されるようだと代表候補に浮上するのは確実。
4人目 : DF 中塩大貴 (ザスパクサツ群馬) 1997年6月8日 181センチ/67キロ→ 浦和ユース出身。2020年にJ2の甲府でプロキャリアをスタートさせたがわずか1年でJ1の横浜FCに完全移籍となった。ただ、横浜FCで出番に恵まれず。2022年の後半戦はJ3の北九州でプレーした。評価は下がっていたが昨オフにユース時代の恩師である大槻監督率いる群馬に完全移籍すると才能が開花。可変システムを導入する群馬のキーマンの1人になっている。群馬は4バックを採用しているがボールを保持したときは右SBのDF岡本一(or DF川上エドオジョン智慧)が高い位置を取るので3バック気味の布陣になる。
左SBのDF中塩が「3バックの左ストッパー」のような働きをすることになる。戦術上のキーマンになっているがもともとCBなので守備は問題なし。左足のフィードは甲府時代から定評があった。群馬のサッカーにはまって自身の評価と価値は大きく高まっている。森保監督はCBタイプのDF中山雄やDF伊藤洋を左SBで起用するケースが多くなっているがDF中塩はそういう役割に適した選手と言える。1997年生まれなのでトルコ戦で代表デビューを飾ったDF毎熊(C大阪)と同学年。チャンスが回ってきても不思議はない。
5人目 : DF 三浦颯太 (ヴァンフォーレ甲府) 2000年9月7日 178センチ/74キロ→ 大卒1年目の左SB。J2で14試合のみ。Jリーグでの実績はほとんどないので「代表入りのためには実績を積み上げる必要がある。」と言えるが高さがあってスピードがあって左足のキックは正確。ポテンシャルという意味では日本人の若手の左SBの中では屈指と言える。甲府はACLに出場するのでこれから外国人選手を対峙する機会が多くなる。強力なサイドアタッカーを擁するクラブはたくさんあると思うので彼らとマッチアップしたときにどんなプレーが出来るのか?は興味深い。国際的な評価が急上昇する可能性はある。
最大の武器はスピードになる。「スピードのある選手」というのはFW岡野(浦和など)が活躍した時代も含めてずっと大きな武器になっってきたが現代サッカーでは「どのポジションでもスピードのない選手が活躍するのは難しくなっている。」と言える。日本代表もDF冨安を筆頭にサイズとアスリート能力を兼ね備えた選手が次々に台頭しているが左SBの選手でこれだけスピードがある選手というのは珍しい。甲府でいい経験を積んで順調に成長してくれないと困る選手である。2022年にU-23日本代表に選ばれている。
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