■ リプレーを見ると明らかな誤審である。2018年のロシアW杯のアジア最終予選が開幕。初戦でUAEと対戦した日本だったが1対2で逆転負け。黒星スタートとなった。前半11分にFKからMF本田圭のゴールが決まって先制に成功したが前半20分に直接FKで1対1の同点に追いつかれると後半9分にはPKで失点。同点FKにつながったファールの場面の判定とPKにつながったファールの判定はどちらも日本にとってはかなり厳しいジャッジだったと言える。
「痛恨の敗戦」と言わざる得ないが、後半32分のFW浅野拓のゴールが認められなかったジャッジは痛かった。ゴールが認められていたら2対2の同点。残りはアディショナルタイムを含めると15分強。この時間帯で同点に追いつくことができると勢いに乗れるので十分に勝ち点「3」を狙える流れになったと思うがノーゴールの判定。逆に絶体絶命のピンチを防ぐ結果になったUAEのイレブンは元気を取り戻した。
リプレーを見ると明らかにFW浅野拓のシュートはゴールラインを超えている。近年はゴールラインテクノロジーが導入されたり、両方のゴール前に追加審判が配置されるなどいろいろな対策が立てられているが「ゴールラインを割ったのか否か」の判定は非常に難しい。当然のことながら主審が判断することは出来ない。副審が判定を行うことになるが肝心のエリアまでは距離があるので見誤るケースは多い。
■ 「副審に問題があった。」と言える理由しかも、「リプレーで見てもゴールラインを割っているのか否かを判断するのは難しい。」と言えるケースも多い。『この判定について審判団を責めるのは酷だろう。』と思えるシーンは多いが先のUAE戦の判定についてはいくつかの理由から「審判団に問題があった。」と言える。1つ目の理由としては「リプレーを見てもどちらなのかが判断できない。」というほど際どいシーンではなかったことが挙げられる。
2つ目の理由としてはゴール前が密集状態になっているわけではなかったので副審の視界を遮る障害は何もなかった点が挙げられる。通常はゴール前が密集していて肝心のエリアが副審の立ち位置からは見えないケースが多い。「この状態だとボールが両チームの選手の体で隠れてしまって副審の位置から判断するのは不可能に近い。」というシーンは多いがUAE戦に関しては副審にとっての障害物はなかった。
さらにFW浅野拓がシュートを打つことは予見できたのでこの場面での副審は「ゴールラインを割っているのか否か?」のジャッジに全神経を集中させることが出来た点が挙げられる。ゴールラインを超えているのか否かを判断することは副審の仕事の1つであるがオフサイドではないのか?ファールが発生していないか?も見極める必要がある。仕事量は多いがこのシーンはオフサイドやファールとは無関係だった。
■ 防ぐことが難しい誤審も少なくないが・・・。結局、いろいろなことを考えなければいけない状況になるとミスジャッジが起こりやすくなる。サッカーに限らずどんなスポーツでも誤審が起こりやすいのはジャッジを下す人がいろいろなことを考える必要が生じて注意力が散漫になっている状況であるがここでは「ゴールラインを割っているのか否か?」のジャッジを注意すればいい状況だった゚。副審にとって決して難しいシチュエーションではなかったといえる。
まとめてみると
・ギリギリでゴールラインを割っているというシュートではなかった点。
・副審の視界を妨げる障害物となりうる選手はいなかった点。
・副審はゴールラインを割っているのか否かに集中できる状況だった点。
という3つの理由から副審の判断ミスについては批判されても仕方がないといえる。誤審にもいろいろな種類があって「状況を考えると判断ミスを冒しても仕方がない。」という種類の誤審もたくさんあるが、本件に関しては「この程度を見極めることが出来ないのであれば副審の力量に問題があった。」と言わざる得ない。審判団のレベルの問題はアジアサッカー界の抱える問題点の1つであることは言うまでもない。
関連エントリー
2012/11/09 家本政明レフェリーについて考える。 (上)
2012/11/10 家本政明レフェリーについて考える。 (下)
2013/05/15 Jリーグの審判員はレベルアップしているのか?
2013/10/08 なぜ、Jリーグの審判のレベルは下がっていると錯覚するのか?
2013/10/10 審判員にブーイングするメリットは?
2014/05/20 Jリーグの主審20名を評価する。 (前編)
2014/05/21 Jリーグの主審20名を評価する。 (後編)
2014/05/22 【Jリーグ】 覚えておくべき主審のジャッジの傾向 (上)
2014/05/22 【Jリーグ】 覚えておくべき主審のジャッジの傾向 (下)
2016/06/01 【Jリーグ】 「評価の高い主審」というと誰になるだろうか?
2016/09/02 J3+(アンテナ) ・・・ 人気のあるサッカーサイトの最新記事 (4つ)
2016/09/02 全記事一覧(2005年-2016年)
- 関連記事
-