■ ACLの開幕戦2016年シーズンのACLの開幕戦。Jリーグ王者の広島はホームの広域公園陸上競技場でCリーグの山東魯能と対戦した。広島は2年ぶり4回目のACL出場となるが2年前の2014年大会で初めてGL突破を果たした。広島は4回連続でACLの初戦をホームで戦うことになったが過去の成績は0勝2敗1分け。ホームで行われるACLの開幕戦で結果が出ていないことがその後の戦いを難しくしているので是が非でも勝ちたい。
ホームの広島は「3-4-2-1」。GK林卓。DF塩谷、千葉、水本。MF青山敏、丸谷、柏、清水航、浅野拓、ピーター・ウタカ。FW皆川。森保監督は大胆なターンオーバーを行うことで良く知られているが2月20日(土)に行われたゼロックスのG大阪戦からDF佐々木翔、MF森崎和、MFミキッチ、MF茶島、MF柴崎晃、FW佐藤寿の6人がスタメンから外れてFW皆川やMF浅野拓やMF丸谷などがスタメンで起用された。
対するアウェイの山東魯能は「4-2-1-3」。GKワン・ダーレイ。DFジャオ・ミンジエン、ジウ、ダイ・リン、ジョン・ジョン。MFハオ・ジュンミン、ジュシレイ、モンティージョ。FWジエゴ・タルデッリ、ヤン・シュ、リュウ・ビンビン。ブラジル代表として10試合に出場して3ゴールを挙げているFWジエゴ・タルデリは右ウイングでスタメン出場。トップ下のMFモンティージョもアルゼンチン代表経験がある。
■ 先制した後に2ゴールを許して逆転負け・・・。試合の序盤はホームの広島がペースを握る。テンポよくパスが回ってチャンスシーンを作っていく。前半終了間際にはMFピーター・ウタカのスルーパスからMF浅野拓が抜け出してキーパーと1対1のチャンスを得るがループ気味のシュートはうまくヒットせずに相手にクリアされてしまう。前半のシュート数は広島が9本、山東魯能が4本。広島が優勢だったがゴールは奪えずに0対0でハーフタイムに突入する。
迎えた後半はオープンな展開となる。広島は不用意な形でボールを失うシーンが増えて山東魯能にカウンターを食らう場面が見られるようになる。嫌な流れだったが後半19分に右サイドの高い位置でボールを奪ってDF塩谷がクロス。これをファーサイドで待っていたMF清水慎が左足で豪快に決めて広島が先制に成功する。しかし直後の後半22分にCKからCFのFWヤン・シュに決められて山東魯能が1対1の同点に追いつく。
さらに後半33分にはカウンターから決定機を招くと最後はFWジエゴ・タルデッリに決められて1対2とリードを奪われる。途中出場のMFウー・シンハンに対応したDF水本の対応が甘かった。終了間際にはCKからDF千葉が決定的なシュートを放ったがキーパーのファインセーブで同点ならず。結局、2対1でアウェイの山東魯能が逆転勝ち。広島は黒星発進となった。2月27日(土)の開幕戦はホームで川崎Fと対戦する。
■ 試合を優位に進めたのは広島だったが・・・。最終的には広島は20本のシュートを放った。対する山東魯能は半分の10本だけ。チャンスシーンの数も広島が多かったので勿体ない試合であり勝たなければならない試合だったと言える。先のとおり、ACLは4回連続でホームで開幕戦を戦っているが通算では0勝3敗1分け。広島に限らずJリーグ勢はACLの1節の成績が極端に良くないが短期決戦なので初戦を落とすとGL突破の可能性はかなり低くなる。
前半の戦い方に大きな問題はなかったが後半の戦いぶりは広島らしくなかった。不用意な形でボールを失うシーンが多くて後半10分あたりからオープンな展開になった。山東魯能のFWジエゴ・タルデリやMFモンティージョなどが守備のときに戻らなくなるシーンが増えたので広島にもカウンターのチャンスが訪れたが「カウンターの応酬」のような試合に展開になることは広島にとってはあまりいいことではなかった。
非常に嫌な流れだったが後半19分にMF清水航のファインゴールが決まって広島が先制。勝ちパターンに持ち込むことができたかと思われたが直後にCKから同点に追いつかれた。その前にもCKでニアサイドに蹴られて危ないシーンを迎えていたが同じようなボールが入ってきて188センチのFWヤン・シュに合わされてしまった。先制した後にすぐに追いつかれてしまったことが試合のキーポイントだった。
FWヤン・シュのマークについていたのはDF塩谷だったと思うが先制した後に186センチのFW皆川に代えてMF柴崎晃を投入した選手交代が追いつかれた一因だった。森保監督は試合後のコメントで『交代のタイミングとして、交代の準備はしていたが、得点した直後に交代選手を入れることがよかったのか、私も考えなければいけない。』と語っている。FW皆川→MF柴崎晃の選手交代は結果的には成功しなかった。
■ 守備に回ったときのMFドウグラスの穴山東魯能は高さのあるチームであるがセットプレーの守備のときは186センチのFW皆川がストーンの位置に入っていた。MFピーター・ウタカは前線の残ってカウンターに備える役回りだったがFW皆川が抜けたので代わりにMFピーター・ウタカがストーンの位置に入った。ただ、失点シーンとその前のシーンではストーンの仕事ができず。あのエリアのボールはストーンのMFピーター・ウタカが処理して欲しかった。
広島は32試合で21ゴールを挙げたMFドウグラスが抜けてMFピーター・ウタカらが加入してきたが攻撃に関しては大きな穴にはならないと思う。当然、「21ゴール」という数字を誰か1人で埋めきるのはほぼ無理であるが、MF茶島、MF野津田あたりも控えている。致命的な穴にはならないと思うが184センチのMFドウグラスはセットプレーの守備でも貢献度は高かった。この穴を埋めるのはかなり大変である。
セットプレーの守備については簡単に跳ね返すことができると特にイメージに残らないが重要なポイントの1つである。ゼロックスのときは「FW佐藤寿+MF茶島+MF柴崎晃」のトライアングルだったがこの場合は「空中戦に強い選手は3バックの3人だけ」となる。今シーズンの広島は選手層が厚くて活きのいい若手も出てきているが「唯一」とも言える明確な弱点である。相手にとっては「付け入るスキ」と言える。
ACLのGLは「6試合」という短期決戦なので初戦を落としたのは痛恨である。苦しくなったのは確かであるが、先のとおり、日本勢のほとんどは過去のACLは初戦で大苦戦している。昨シーズンのG大阪のようにリカバーして決勝トーナメントに進むことができたチームも少なくない。ACLの2節は3月1日(火)にアウェイでFCソウルと対戦するが「最低でも引き分け。できれば勝ちたい試合」となる。早くも正念場と言える。
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