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2021年12月15日 (水)

オリンピック金メダル獲得をいかに避けるか

ペペ・エスコバール
2021年12月8日
Strategic Culture Foundation

 外交年代史では、北京2022年冬季オリンピックを外交的にボイコットするホワイトハウスの公式確認は、ブーメラン効果で自分に当たった円盤投げ選手の資格を得るのが関の山だ。

 2022年2月4日に、北京の鳥の巣でショーが開始する、わずか二カ月前に介入する、この不当な挑発に意味を見いだそうと、現実政治は苦闘している。

 ホワイトハウスの理由によれば「中華人民共和国で継続中の新彊での大量虐殺や人類に対する犯罪や、他の人権侵害を考慮し、バイデン政権は、北京2022年冬季オリンピックとパラリンピックには、いかなる外交的あるいは公式代表も送らない」。

 そもそも、この政権のジョー・バイデン・ハンドラー連中も、他のいかなる当局者も、そもそも招待されていなかった。中国外務省の趙立堅報道官が、アメリカは「ゲームに招待さえされていないのに「外交的ボイコット」を誇大宣伝している」と述べた。

 趙は、このゲームは「政治的ジェスチャーのための舞台」ではないことを強調し「あからさまな政治的挑発」は「14億人の中国人に対する重大な侮辱」だと付け加えた。彼は「断固とした対応」の可能性を漂わせていた。

 それで言えば、最近の習-バイデン・バーチャル・サミットでも、外交的な友好協定促進の話となると、跡形もなく消えていた。予想通り、優勢になったワシントン政治家は、繰り返して人権問題の口実を使って北京を悪者にするのに取りつかれた連中だった。

 花形になったのはニュージャージー選出のポーランド系アメリカ人民主党上院議員で米下院外交委員会副議長のトム・マリノフスキーだ。

 マリノフスキーは危ない取り引きに不慣れではない。2021年10月21日、下院倫理委員会は、2020年早くから、彼が株取引を適切に開示し損ねていたことを確認する報告を公表した。彼が、Covid-19対応に利害関係を持っている医療とハイテク企業の株を100万ドルも売買していたのだ。これら取り引きは、実際は約320万ドルもの価値の売買騒ぎの一局面に過ぎなかった。

 2021年を通じて、複数の倫理問題や倫理調査が重なり、マリノフスキーは彼の金融顧問に株式市場不正行為を辞めるよう指示するのを強いられ、白紙委任信託をしたと発表した。

 だがマリノフスキーの主要な商売は、実は中国の悪魔化だ。

 6月、マリノフスキーは、マイク・ギャラガー(共和党-ウィスコンシン州選出)、グレゴリー・ミークス(民主党-ニューヨーク州選出)、マイケル・マッコール(共和党-テキサス州選出)と共に、国際オリンピック委員会(IOC)に、中華人民共和国政府が「ウイグル族の人々に対して継続中の犯罪」を辞めなければ、「北京から」2022年の大会を剥奪するよう促す決議の主な唱道者だった。アメリカは9つのヨーロッパ諸国の議員と欧州議会に支持された。

 当時「非政治的な大会などあり得ない。中国のような独裁国は、それらの人々に犯罪を行い続けながら、彼らの立場の正当性を立証するため、オリンピックを主催する。」とマリノフスキーは述べていた。

 マリノフスキーは熱烈ボイコット派のナンシー・ペロシ下院議長に非常に近い。この指令は民主党トップ指導部から来ているのだ。ホワイトハウス承認は形式的手続きに過ぎなかった。

 「大量虐殺」犯人

 香港で揺れたカラー革命が完に失敗したのを考えると、新彊の人権は、台湾への差し迫った「侵略」同様ありきたりの口実/標的のままだ。

 おそらく、本当の新彊状況についての最良説明はこれだ。「大量虐殺」の誤謬は、これや、この徹底的な独自分析で完全に論破されている。本質的に、ホワイトハウスは、極右宗教的変人、マイク「我々はウソをつき、だまし、盗む」ポンペオが最初に奉じた「分析」を繰り返しているのだ。政府の継続性について話そう。

 冷戦中、オリンピックは、外交的ボイコットの人質になった。1980年に、アメリカは当時のジミー・カーター大統領の下で、ソ連のアフガニスタン侵攻に反発して他の64の国とともにモスクワ・オリンピックを無視した。ソビエト社会主義共和国連邦は、鉄のカーテンに沿って、1984年のロサンゼルス大会をボイコットした。

 今起きていることは、様々な領域、主にハイブリッド戦略による、冷戦2.0と、中国の悪魔化に分類できる。

 ウイグル族問題ゆえではなく、西中国から、中央アジアや南アジアや西アジアを通り、遙々ヨーロッパまで、一帯一路構想(BRI)回廊の戦略的な接続部なので、新彊は主要標的なのだ。(予見可能な将来、中国の対外政策概念の中心要素である)BRIは、ワシントンにとって実に忌まわしいものなのだ。

 アメリカが、イスラム教国のアフガニスタンや、イラク、リビア、シリア、イエメンや更に他の国々で、直接的にも間接的にも、高価で、破壊的な無数の人道的帝国主義の逸脱を演じてきたのに、新彊でのウイグル族イスラム教徒の運命には、突然涙ぐんでいる事実は、それ自体が雄弁に物語っている。

 わずかに扮装したCIAプロパガンダ・フロント組織である「人権」団体は、予想通り、NATOスタンの婉曲表現である「国際社会」に、北京オリンピックをボイコットするよう促し、休みなしに金切り声を上げている。連中は、どうでもよい。各国政府こそ大問題だ。

 中国でのオリンピック休戦に署名するのを20カ国が拒否している。この伝統は、古代ギリシャから始まり、政治的大変動がスポーツを妨げないよう保障するものだ。欧米による更なる挑発の正当化。我々は北京に「メッセージを送って」いるのだ。

 イギリスでは、最近ジェイコブ・リース=モグ庶民院院内総務が、オリンピックの「切符は予約されていない」と述べた。今週早々、外務省は、当局者の北京派遣は「まだ決定されていない」と述べた。

 大統領官邸が「我々は人権を懸念しており、3月、中国に、新彊に制裁を課したと言った」と強調したが、フランスは他のEUメンバーと「調整する」と言っている。これは「大量虐殺」とホワイトハウスが公式に表現する明白なエセ・ニュースで、一部の中国当局者を制裁するアメリカ、イギリス、EU、カナダと少数の他の同盟国への言及だった。

 だから、本質的にNATOスタン・メンバーと、もちろんAUKUSも、来る2月のホワイトハウス指令を厳守するだろう。それと対照的に、アジア中や南の発展途上諸国、誰も懸念しないはずだ。例えば、韓国外交部の崔瑩三(Choi Young-sam)報道官は韓国がオリンピックを支援すると強調した。

 プーチン大統領は習近平から個人的招待を受け入れ、就任式に参加予定だ。

 オリンピック中、極めて厳しいCovid-19抑制措置が適用されるだろうから、組織委員会にとって、欧米から来る公式客が少ないのは、コスト的に、実際は恩恵だ。

 それで結局、このヒステリーの発作から一体何が残るのだろう?イーロン・マスクは今週のCEOカウンシル・サミットで、中国経済は間もなくアメリカ経済の規模の二乃至三倍になり得ると述べて、核心を突いたのかもしれない。これは悩ましい。どんなボイコットでも、それを解決できないのだ。

 ペペ・エスコバール 独立地政学アナリスト、著者、ジャーナリスト

 個々の寄稿者の意見は必ずしもStrategic Culture Foundationのものを意味しない。

記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2021/12/08/how-not-to-win-an-olympic-gold-medal/

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 書店で平積みの本を見かけ購入した。雑誌『選択』の連載記事。
 『日本の聖域』ザ・コロナ
 『日本のコロナ対策はなぜ迷走するのか』は拝読したが、ここまで詳しく個人名をあげての、インチキ暴露はなかった。新聞・テレビを含め、提灯マスコミが決して触れない尾身や岡部らの犯罪がずらり。日本人必読書。

 日刊IWJガイド

<本日のタイムリー再配信>本日午後8時から、今年9月14日収録「『戦場で勝って戦争に負けた』9.11以来の米国の対テロ戦争! その『見果てぬ夢』の続き・対中戦争における日米同盟の危険性! ~9.14岩上安身によるインタビュー 第1052回 ゲスト 元内閣官房長官補・国際地政学研究所理事長柳澤協二氏」を公共性に鑑みフルオープンで再配信します!

視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured

明日16日は岩上安身による柳澤協二氏インタビューを生配信!!

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