■ 決勝のカードはFC東京 vs 清水第40回となる日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会の決勝戦が8月4日(木)に味の素フィールド西が丘で行われた。対戦カードはFC東京U-18 vs 清水ユース。FC東京は2001年・2008年・2009年・2014年に次ぐ5度目の決勝進出となる。MF馬場のいた2001年、MF三田のいた2008年に頂点に輝いている。勝つと3度目の日本一となる。一方の清水は2002年以来でクラブ史上2度目の決勝進出となる。
FC東京は「4-2-3-1」。GK波多野。DF岡庭、蓮川、岡崎、坂口。MF平川怜、鈴木、生地、内田、伊藤。FW半谷。2017年のU-17W杯出場を目指すU-16日本代表の中心選手であるMF平川怜は高校1年生ながらボランチでスタメン出場となった。同じくU-16日本代表の中心選手でバルセロナの下部組織でプレーしていたMF久保建は中学3年生ながらここまで5ゴールを挙げて得点ランキングの首位タイと活躍中。
対する清水は「4-2-2-2」。GK水谷。DF吉田峻、立田、伊藤駿、伊藤研。NF梅村、佐野、望月、滝。FW中野、平墳。年代別代表に召集された経験のある189センチの大型CBのDF立田が守備の要となる。U-16日本代表のDF監物はベンチスタート。DF監物も186センチの大型CBで将来を期待されている。準決勝の神戸U-18戦で2ゴールを挙げてヒーローインタビューになったFW鈴木魁はベンチスタートとなった。
■ 2対0で勝利したFC東京が3度目の日本一試合は序盤からFC東京が主導権を握る。1トップのFW半谷を中心に攻め込むと前半32分に左サイドの裏でボールを持ったMF伊藤のパスを受けたボランチのMF鈴木がシュート。これはポストに直撃するがキーパーのGK水谷の体に当たってゴールイン。ややラッキーな形でFC東京が先制に成功する。さらに前半45分にはDF岡崎の縦パスを受けたFW半谷が落ち着いたコントロールから右足で決めて貴重な2点目を奪う。
2対0で迎えた後半も序盤はFC東京ペースとなるが徐々に清水が攻撃の形を作るようになる。右サイドの10番のMF望月のところから決定機が生まれそうな雰囲気が出てくる。流れを変えたいFC東京は中学3年生にして切り札になっているFW久保建を投入。大きな注目が集まったがなかなかいい形でボールを持つことが出来ない。攻め込んだ清水も最後の精度を欠く場面が多くて決定機は作れない。
結局、2対0でFC東京が勝利。3度目の日本一に輝いた。大会の得点王には5ゴールを挙げたFW久保建(FC東京U-18)、MF滝(清水ユース)、FW小柏(大宮ユース)の3人が輝いた。大会のMVPには決勝戦でもゴールを挙げたFW半谷(FC東京U-18)が選出された。2008年のMF三田(FC東京U-18)、2009年のDF杉本健(C大阪U-18)、2010年のMF小林祐(東京Vユース)など歴代のMVP受賞者はプロでも活躍している。
■ 2002年以来の日本一を目指した清水だったが・・・。2002年以来の決勝進出で2度目の優勝を目指した清水は力を出し切れなかった。FC東京の攻撃陣はドリブラーが多くて前半から積極的な仕掛けに手を焼いた。CBのDF立田、キーパーのGK水谷を中心にして何とか持ちこたえていたが、前半32分にややアンラッキーな形から失点。前半終了間際に決められたFW半谷の2点目のゴールも清水にとっては痛恨だった。集中しなければいけない時間帯に失点した。
試合終了後は日本一に輝いて喜んでいるFC東京の選手とは対照的に清水の選手のほとんどは暗い表情だった。結果は残念なものになったが、有力チームがたくさんある中で決勝までたどり着いたというのは立派なことである。この大会は毎年7月下旬から8月の初めにかけて開催されるが1年の中でも一番暑い時期に試合が行われる。昼間の試合も多いので選手にとってはタフなスケジュールである。
若いとは言っても「11日間で最大7試合」というのはタフな日程である。総合力が問われる大会なので勝ち進んできたチームは正当に評価される必要がある。清水の選手で目立ったのはやはりDF立田。ボールコントロールのミスから決定機を招くなどつなぎの部分で安定感を欠いたが189センチのサイズは大きな武器であり、189センチのサイズはひときわ目立つ。順調に成長していくことが期待される。
攻撃陣では右サイドハーフのMF望月のプレーが目立った。柔らかいドリブルができる選手でボールを持ったときの姿勢が良いのでいいタイミングでスルーパスも出てくる。攻撃的な資質に恵まれた選手と言える。一方、5ゴールを挙げて大会得点王に輝いた左サイドハーフのMF滝は決勝戦に関しては目立つ場面はほとんどなかった。清水は右サイドからはそれなりにチャンスを作れていたが、左サイドはおとなしかった。
■ 5ゴールを挙げた久保建英が得点王に輝く。一方、FC東京は2001年と2008年に次ぐ3度目の日本一に輝いた。日本クラブユースサッカー選手権は40回大会となるが決勝進出の回数は東京Vユースが17回で断トツ1位、2位は横浜FMユースで9回、3位は三菱養和SCユースで10回。5回目の決勝進出を果たしたFC東京U-18はG大阪ユースと並んで4位タイとなる。本格的に活動を始めてからそれほど年数が経過していないことを考えるとかなりのハイペースである。
自分で仕掛けてチャンスを作ることが出来るタレントをたくさん抱えている攻撃力の高いチームだったが大会のMVPに輝いた1トップのFW半谷の活躍が光った。2014年の秋に行われたU-16アジア選手権のメンバーにも選ばれているが、ドリブルはキレがあって推進力もある。前半45分の2点目のゴールシーンは裏への飛び出しとDF岡崎の正確なロングパスも光ったが、何と言ってもボールコントロールが最高だった。
FC東京の選手はすでにFC東京U-23の一員としてJ3の試合を経験している選手も多いが、CBのDF岡崎に至ってはFC東京U-23の全試合でスタメンフル出場を果たしている。FC東京U-23自体は4勝10敗5分けで14位と苦しんでいるが、高校年代にしてJ3のリーグ戦を経験できるのは大きい。もちろん、チーム作りは難しくなるが、FC東京U-23の存在がU-18の日本一に大きく関係しているのは間違いないところである。
注目のFW久保建は後半17分に途中出場を果たした。終了間際にドリブルで仕掛けてから右足で強烈なシュートを放ったシーンがあったが見せ場はこのワンシーンのみ。ボールに触る回数はあまり多くなかった。決勝は不発だったがそれでも今大会は5ゴールを挙げて得点王に輝いた。特に準決勝の川崎F戦で決めた直接FKでの同点ゴールは圧巻だった。川崎Fは古巣となるが試合の大きく流れを変える一撃となった。
単独での得点王は逃したが「中学3年生が高校年代の大会に出場して得点王に輝く。」というのは普通では考えられない話である。FC東京のような有力クラブになると中学生が試合に出場するだけでもかなりの快挙と言えるが切り札として起用されて通算5ゴール。また1つ伝説が加わった。FC東京は他にも196センチのキーパーのGK波多野やボランチのMF平川怜も将来を嘱望されているのでチームの未来は明るい。
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