■ 準決勝の2試合目全国高校サッカー選手の準決勝の2試合目。初のベスト4入りを果たした京都府代表の京都橘高校と、神奈川県代表の桐光学園が国立競技場で対戦した。桐光学園は横浜FMのMF中村俊が3年生だった時以来、16大会ぶりのベスト4進出となった。
京都橘は「4-2-2-2」。GK永井。DF倉本、林、橋本、吉中。MF宮吉、釋、伊藤、中野。FW仙頭、小屋松。2年生のFW小屋松はここまで4ゴール、3年生のFW仙頭はここまで3ゴールを挙げている。ボランチのMF宮吉悠太は京都サンガのFW宮吉の弟で2年生ながらレギュラーで起用されている。
一方の桐光学園は「4-2-2-2」。GK長津。DF大田、諸石、小松、中島。MF松井、多田、橋本、菅本。FW市森、野路。「桐光のディマリア」と評されるMF橋本が右サイドハーフで、背番号「10」を背負うMF松井はボランチでスタメンとなった。
■ 京都橘が決勝進出!!!試合は開始早々に京都橘がFW仙頭のスルーパスからFW小屋松がGKと1対1のチャンスを得るが、桐光学園のGK長津が好セーブを見せて先制ならず。その後は、両チームともチャンスを作ることができず、膠着状態となるが、前半42分に京都橘はFW仙頭とFW小屋松とMF中野の絡みからクロスバーに当たって跳ね返ったボールをFW仙頭が押し込んで先制に成功する。
ビハインドとなった桐光学園はゲームメーカーのMF松井を中心に反撃を試みるが、なかなかチャンスを作れない。すると、後半31分に京都橘は右サイドの高い位置でプレッシャーをかけてボールを奪うと、最後はストライカーのFW小屋松が落ち着いて左足で決めて2点目を挙げる。FW小屋松は今大会5ゴール目となった。
さらに、後半39分にも京都橘はカウンターから3年生のMF伊藤が決めて3対0とリードを広げる。結局、試合は3対0で京都橘が勝利して決勝進出が決定。14日(月)に行われる決勝戦で宮崎県代表の鵬翔高校と対戦することになった。
■ 5ゴール目を挙げたFW小屋松スピードのある2年生のFW小屋松、テクニックとイマジネーションを兼ね備えた3年生のFW仙頭という今大会でも屈指の2トップを擁する京都橘が3対0で快勝して、決勝戦に駒を進めた。FW仙頭は先制ゴールを挙げて、FW小屋松は2点目のゴールを挙げたが、今大会は2人で9ゴールと十分過ぎるほどの結果を残している。
大きかったのは、前半42分の先制ゴールである。FW仙頭が少し下がってきてフリーで前を向いてボールを受けたときにチャンスを作っていたが、先制ゴールのシーンもそういう形で、FW仙頭のパスからチャンスが生まれた。2人にうまく絡んできたMF中野のプレーも良かったが、FW仙頭のパスを受けてペナルティエリアで強引なプレーを選択せず、後ろに戻してシュートをチャンスを作ったFW小屋松のクレバーな動きも光った。
FW小屋松は今大会は5ゴールを挙げているが、1点目のMF中野のシュートをお膳立てしたシーンにしても、2点目のゴールシーンにしても、ペナルティエリア内で落ち着いてプレーしており、判断の確かさが光っている。スピードタイプのフォワードは、スピードや勢いで勝負する選手がほとんどであるが、FW小屋松という選手は、クレバーさを持ち合わせており、それ故に、これほどの活躍ができていると考えられる。
■ テクニックが光るFW仙頭この試合は、桐光学園のMF松井と京都橘のFW仙頭の対決に注目が集まったが、この試合はFW仙頭の方がいいプレーを見せて、2人の出来が明暗を分けたと言える。MF松井も何度か見せ場を作ったが、ボールを受ける回数は少なくて、決定機を作ることはできなかったが、FW仙頭は前半から積極的にプレーして、京都橘のほとんどチャンスに絡んだ。
前半の半ばまでは、難しいプレーを選択しすぎて、危ないエリアでボールを失うシーンもあったが、ドリブルで打開することもできるし、決定的なパスを出すこともできるし、フィニッシュに絡むこともできるので、オールラウンドな選手である。FW小屋松とは、縦関係の2トップになることがほとんどで、1.5列目的なポジションでプレーしているが、創造力もあって、面白い選手である。
決勝は宮崎県代表の鵬翔高校との対戦となるが、鵬翔がボールを支配して、京都橘がカウンターでゴールに迫るという展開が予想される。決勝戦でも、FW仙頭とFW小屋松の強力2トップは要注目で、彼らの出来が試合の行方を左右するのは確実と言える。
■ MF松井は持ち味を発揮できず・・・一方の桐光学園は、16大会ぶりの決勝進出を目指したが、攻撃でも、守備でも、いいところを見せられなかった。これまでの試合は、ボランチのMF松井であったり、右サイドのMF橋本であったり、右SBのDF大田のところが突破口となって、攻撃的なサッカーを見せていたが、この試合は、決定機もほとんど作れなかった。
神奈川県というと、Jリーグのクラブがたくさんあって、選手を集めるのも大変な環境であるが、それでも、名門校は多いので、強豪県というイメージはあるが、驚くことに、神奈川県の高校が冬の選手権を制覇した経験はないという。したがって、神奈川県勢としての初優勝もかかっていたが、今回も頂点にたどり着くことはできなかった。
Jクラブのある都道府県は、優秀な選手がほとんどユースの方に流れてしまうのが現状であるが、これから先は、今以上に、高校サッカーは厳しい状況になっていくと予想されるが、高校サッカーには高校サッカーのいいところがあって、ユースにはユースのいいところがある。冬の選手権自体が「曲がり角」に来ているのは間違いないが、それでも、2万人を超える観衆を集めることができるビッグイベントであることに変わりはない。
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