■ クラブW杯の準々決勝の2試合目クラブW杯の準々決勝の2試合目。初戦はオセアニア代表のオークランド・シティと対戦して2対0で勝利した開催国王者のサンフレッチェ広島がヤンマースタジアム長居でアフリカ王者のTPマゼンベと対戦した。マゼンベは3度目のクラブW杯出場となるが、2010年大会は準優勝に輝いて世界を驚かせた。このときは決勝戦でインテルに0対3で敗れている。日本代表のDF長友がインテルに加入したのはこの直後となる。
広島は「3-4-2-1」。GK林卓。DF塩谷、千葉、佐々木翔。MF青山敏、森崎和、ミキッチ、柏、ドウグラス、茶島。FW佐藤寿。オークランド戦で負傷交代したMF野津田とMF柴崎晃はスタンド観戦。残り試合の出場は絶望的となった。一方で左WBのMF清水航の怪我は重症ではなかったのでベンチ入りを果たした。2試合連続スタメンはGK林卓、DF塩谷、DF千葉、MF青山敏、MF柏の5人だけ。6人が初スタメンとなった。
マゼンベは「4-2-3-1」。GKグボウオ。DFフリンポン、キムワキ、クリバリ、ボアテング。MFディアラ、シンカラ、シングルマ、アサレ、トラオレ。FWサマルタ。ユニークなダンスで人気者になったスター選手のGKキディアバはベンチスタート。GKグボウオが先発で起用された。GKキディアバは長きにわたってコンゴ民主共和国代表を務めてきたが2014年末に代表引退を表明している。来年2月で40歳となる。
■ 3対0で勝利したサンフレッチェが準決勝へ・・・。試合は開始2分に左WBのMF柏がカットインから右足で強烈なシュートを放つが惜しくも枠を捉えることができない。最初にビッグチャンスを作ったのは広島だったが、その後はアフリカ王者のマゼンベが主導権を握る展開になる。前半14分にはFWサマルタが抜け出してキーパーと1対1に近い形を作るが戻って来たDF千葉が何とか防いで先制ゴールとはならず。PKを取られても仕方がないような攻防はあった。
劣勢の展開になった広島だったが、終了間際の前半44分に右サイドのCKを獲得するとスタメン抜擢のMF茶島のキックをニアでDF佐々木翔がすらすと最後はフリーになっていたDF塩谷が難なく押し込んで広島が先制に成功する。DF塩谷は初戦のオークランド・シティ戦に続いて2試合連続ゴールとなった。前半は広島のシュートが4本でマゼンベは10本。数字どおりの試合展開だったが、広島が1対0とリードして折り返す。
迎えた後半はやや前掛かりになったマゼンベを先制したことで精神的な余裕が出てきた広島がいなすシーンが増えてくる。前半11分に見事なパスワークからCKを獲得するとMF茶島の蹴ったボールをDF千葉が頭で合わせて2点目を挙げる。さらに後半33分にはMF青山敏の絶妙な右サイドへのパスを起点にサイドを切り崩したMFミキッチのクロスを途中出場のFW浅野拓が頭で合わせて試合を決める3点目を挙げる。
結局、先制した後は自分たちの戦いを存分に見せることができた広島が3対0でアフリカ王者のマゼンベに完勝。12月16日(水)にヤンマースタジアム長居で行われる準決勝の1試合目で南米王者のリーベル・プレートと対戦することになった。準々決勝の1試合目はアジア王者の広州恒大が勝利したのでアジアのチームが2つとも準決勝に進出したことになる。5位決定戦はクラブ・アメリカ vs マゼンベというカードになった。
■ 世界にアピールする絶好のチャンス前半は非常に苦しい展開になった広島だったが、前半44分のDF塩谷の先制ゴールで試合の流れがガラッと変わった。「まずは守備を固めて先に失点をしない。」ということに主眼を置いて戦うのが森保監督になってからの広島のパターンではあるが、前半のマゼンベの攻撃はなかなか鋭かった。前半14分にFWサマルタが抜け出してキーパーと1対1になった場面など危ないシーンは少なくなかった。
この場面でのDF千葉の対応はPKを取られていても不思議は無かった。いくつかの幸運が重なったことで広島は0対0のスコアを維持することができたが、先制した後は一転して広島のペースになった。マゼンベの選手が思うように攻撃が出来なくてイライラし始めたことも広島にとってはプラスだった。前半はミスが少なくなかったMF青山敏を中心に後半は広島らしいパスワークでチャンスを作っていった。
クラブW杯は結果も大事であるが内容も大事である。Jリーグのクラブが普段どんなサッカーをしているのか?を知ってもらえる機会はほとんどないのが現状である。普段のリーグ戦はもちろんのこと、ACLで勝ち上がって準決勝や決勝まで進んだとしても実際に試合をチェックするのは当該国のファンくらい。滅多にないアピールのチャンスであるが、「なかなかやるな・・。」と思った外国のファンは多いのではないか。
押し込まれた時間帯もあったが、自分たちのサッカーを貫いてリーベル・プレートと対戦する権利を得たことは選手にとっては大きな自信になるだろう。南米のチームはネームバリューなどはバルセロナ等と比較すると雲泥の差があるが、したたかさを持っている。相手にすると非常に厄介である。相当に難しい試合になると思うが、さらに視聴者が増えるだろうリーベル・プレート戦でも広島のサッカーを見せつけてほしい。
■ スタメン抜擢で好プレーを見せたMF茶島雄介初戦のオークランド・シティ戦でMF野津田とMF柴崎晃が負傷交代。MF野津田は全治8週間で、MF柴崎晃は全治3週間と診断されているのでクラブW杯の出場は絶望的。MF野津田に関しては来年の1月に行われるU-23アジア選手権の出場も絶望的。広島のみならず、日本サッカー界にとっても大きな痛手であるが、2人が欠場したことでスタメンのチャンスを得た大卒2年目のMF茶島がシャドーの位置で躍動した。
今シーズンはJ1では3試合の出場のみ。スタメン出場は1回だけ。MF野津田とMF柴崎晃が離脱しなかったら出番は巡ってこなかったと思われるが、いいところでボールを受けて攻撃のリズムを作った。唯一のスタメン出場だった1stステージの3節の浦和戦(H)ではかなりいいプレーを見せたので「ある程度はやれるだろう。」と思っていたがここまでやるとは驚きだった。素晴らしい経験になったと言える。
広島はフェアプレーを重視しているクラブであることも関係しているのか、基本的には怪我人の少ないクラブである。代役の選手に出場機会が巡ってくることはあまり多くはないが、それでも数少ないチャンスを生かして森保監督へのアピールに成功する選手が多かった。3節の浦和戦(H)のMF茶島もそうだったが、MF丸谷、DF宮原、MF清水航なども出番が来たときにしっかりとしたプレーを見せることが出来ていた。
「サブ組の充実」というのは今シーズンの広島の大きな特徴であり、連覇した2012年・2013年との一番の違いとも言える。初戦のオークランド・シティ戦で大幅にメンバーを入れ替えることができたのも「サブ組を出しても大丈夫」という信頼があったから。GK林卓、DF千葉、DF塩谷、MF青山敏といった軸の選手を代えることは難しいが、それ以外のポジションは「誰が出ても大丈夫」と言えるレベルになりつつある。
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