■ J1の2ndステージの第8節 2ndステージの第8節。5勝12敗7分けで勝ち点「22」のアルビレックス新潟(15位)がホームのデンカビッグスワンスタジアムでサンフレッチェ広島と対戦した。広島は15勝5敗4分けで勝ち点「49」。2ndステージは開幕5連勝を果たして年間の勝ち点でも浦和を追い抜いたが、連敗したことで年間首位からは陥落した。残留争いに巻き込まれている新潟にとっても、2連敗中の広島にとっても、非常に大事な試合である。
ホームの新潟は「4-2-2-2」。GK守田。DF川口尚、舞行龍ジェームズ、大井、コルテース。MF小泉慶、レオ・シルバ、山本康、加藤大。FW指宿、山崎亮。5試合連続スタメン中だったDF大野はベンチスタートで、ベテランのDF大井がスタメンで起用された。好調のFW指宿は2ndステージに入ってからは7試合で4ゴールと量産体制に入っている。高卒2年目のMF小泉慶は先日発表されたU-22日本代表に初選出された。
対するアウェイの広島は「3-4-2-1」。GK林卓。DF塩谷、千葉、水本。MF青山敏、森崎和、ミキッチ、柏、ドウグラス、野津田。FW佐藤寿。J1通算ゴール数が155まで伸びたエースのFW佐藤寿はここまで24試合で10ゴール。J1歴代最多のFW中山は157ゴールなのであと2つに迫っている。U-22日本代表にはFW浅野拓とMF野津田とMF吉野恭とDF宮原の4人が選出されている。MF野津田は14試合で4ゴール。
■ 2対0でアウェイの広島が勝利 試合の序盤は新潟ペースで進んでいく。2連敗中の広島は先日の柏戦(H)で前半3分という早い時間帯に失点してリズムを壊したこともあって慎重な入り方となる。一方の新潟はアグレッシブなサッカーで押し込んでいく。前からのプレスが効果的で、高い位置でボールを奪って好機を迎える場面が多くなる。ただ、新潟は最後のパスの精度やシュート精度を欠いてゴールにはつなげられず。前半は0対0で折り返す。
「攻め込みながらも点が取れない。」という新潟にとっては嫌な流れになったが、劣勢の広島は後半11分にFW佐藤寿に代えて日本代表のFW浅野拓を投入。すると後半15分にFW浅野拓からのリターンパスを受けた右ストッパーのDF塩谷がフォワード顔負けの見事なシュートを決めてアウェイの広島が先制する。怪我でしばらく離脱していたDF塩谷は今シーズン3ゴール目。FW浅野拓はアシストを記録した。
何とか追いつきたい新潟だったが、前半の序盤ほどはいい形を作れなくなる。すると後半40分に中盤でMFレオ・シルバからボールを奪った広島がカウンター。ドリブルで局面を打開したMFドウグラスのパスを受けたMF森崎和が左足でシュートを決めて決定的な2点目を挙げる。結局、2対0でアウェイの広島が勝利して連敗を「2」でストップさせた。新潟はこれで4試合勝ちなし。ここ4試合は0勝2敗2分けとなった。
■ 4試合勝ちなしとなった新潟 試合前の時点で残留圏ギリギリの15位に位置する新潟。ACLの関係で20日(木)に一足早く開催された柏 vs 松本山雅は柏が勝利したため、16位の松本山雅は勝ち点を伸ばせなかった。この試合で勝利できると精神的に楽になる新潟だったが、攻め込みながらもゴールは奪えず。2つのファインゴールを食らって0対2で敗れた。J1は早くも残り9試合。新潟のサポーターにとっては胃の痛い試合が続いていく。
新潟はここ5試合は連続して先制ゴールを奪っていた。しかも、早い時間帯に先制ゴールを奪うことが多かったので、「先制ゴールを奪っているにもかかわらず、なかなか勝利に届かない。」という流れだった。先制ゴールを奪った後の戦い方も課題になっているが、この日はたくさんあった先制のチャンスを生かせず。何度か「決まっていてもおかしくない。」というシュートがあったが、この日は決定力を欠いた。
この時期の4試合勝ちなしというのは非常に痛いのは確かだが、幸いにして残留争いをしているライバルクラブもなかなか勝てずに苦しんでいる。新潟のみならず、松本山雅も、山形も、清水も、「1つ勝つのも大変」という状況である。ハイレベルな残留争いになっているとは言い難いが、新潟のチーム状態は決して悪くない。どちらかというといい部類なので、こういう時期はきっちりと勝ち点を積み上げたい。
メンバーも定まってきており、FW指宿が最前線で存在感を発揮している。3バックを採用していた時期は影を潜めていたアグレッシブな守備も復活しつつある。いい兆しが感じられる点はポジティブに考えることができるが、ほとんどの場合、いい時期というのは長くは続かない。必ず調子が落ちてくる時期があるので、今の「チーム状態が良い。」と言える時期に勝ち点を伸ばせなかったことが終盤に響く可能性はある。
その一方で2ndステージの序盤はFC東京やG大阪や浦和や広島といった上位クラブとの対戦が多かったことも考慮する必要があるだろう。G大阪戦と浦和戦と広島戦はホームゲームだったが、こういったチームを相手に勝利するのはかなり大変なことである。裏を返すと「上位クラブとの対戦はほぼ終わった。」と言えるので、残り試合は中位以下のクラブとの試合が大半である。この点は新潟に有利な点である。
■ チームを救ったキーパーのGK林卓人 広島は連敗が「2」で止まった。2ndステージの6節は鹿島戦(H)で、7節は柏戦(H)。急激に調子を上げてきた強豪チームとの対戦が続いたことは不運だったが、2ndステージは開幕から5連勝。全く隙の無い戦いを続けていた広島がホームで連敗するとは全く予想できなかった。予期せぬ連敗だったが、アウェイで新潟を下したことで少しだけリカバーすることができた。広島にとっては大きな勝利と言える。
この日は苦しい展開になった。連勝が続いていた時期はゴールラッシュで相手を圧倒する試合が多かったが、この日は劣勢だった。慎重な試合運びを見せたことも関係しているが、防戦一方になる時間帯もあった。内容的にはあまり良くなかったが、こういう難しい試合で勝ち点「3」を奪うことができるのは広島の強さの理由の1つと言える。ある部分ではしたたかな広島らしい試合だったといえる。
この日は守備陣の頑張りが目立った。キーパーのGK林卓はヒーローの1人と言える。柏戦(H)の1失点目と2失点目はGK林卓の能力であれば止めることができたシュートだった。悔しい試合になったが、直後の試合で挽回した。新潟は試合を通してキーパーとの1対1に近い状態を3度ほど作ったが、ことごとくGK林卓が立ちはだかった。決勝ゴールを決めたDF塩谷とキーパーのGK林卓の活躍がこの日は目立った。
■ 34歳になってもプレーの質が落ちないMF森崎和幸 駄目押しの2点目を決めたMF森崎和のプレーも見事だった。中盤でMFレオ・シルバからボールを奪ってカウンター。最後は切り返してから左足で豪快にネットを揺らした。昨シーズンまでは前線に駆け上がるシーンはほとんど無かったが、今シーズンは意図的に前に出るプレーを増やしている。シュート数が17本になったが、昨シーズンは年間で9本だったので早くも倍近くになっており、ようやく初ゴールも生まれた。
日本代表や五輪代表に選ばれている選手がたくさんいるチームなのでMF森崎和にスポットライトが当たることはほとんどないが、彼がチームを支えているのは間違いないところである。今シーズンは1試合を除く全試合でスタメン出場を果たしている。若い頃から中心として活躍してきたMF森崎和も今年の5月で34歳になった。大ベテランと言える年齢に差し掛かっているが、プレーのクオリティは全く落ちてこない。
どの試合でもプレーの質が全く落ちない点は驚異的と言える。「今日はMF森崎和の出来が悪かった。」と思った試合はほぼ無い。ポジショニングや状況判断の部分でミスを犯すことがほとんどないので、ボランチでプレーする小学生や中学生や高校生には本当にいいお手本になるだろう。フル代表でプレーしたことがない点が大いに関係していると思うが、彼は過小評価されているJリーガーの1人と言えるだろう。
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