■ 2ndステージの最終節J1の2ndステージの最終節。年間成績は22勝6敗5分けで勝ち点「71」のサンフレッチェ広島(1位)がホームのエディオンスタジアムで8位の湘南ベルマーレと対戦した。湘南は13勝11敗9分けで勝ち点「48」。クラブ史上初となる「J1残留」を確定させている。2位の浦和は勝ち点「69」なので勝つと文句なしで年間1位が決定。さらには得失点差を考えると「引き分けでもほぼ確実」と言えるかなり有利な状況である。
ホームの広島は「3-4-2-1」。GK林卓。DF塩谷、千葉、佐々木翔。MF青山敏、森崎和、ミキッチ、清水航、ドウグラス、柴崎晃。FW佐藤寿。開幕からずっとスタメン出場が続いていたDF水本は怪我のため欠場。昨オフに甲府から移籍したDF佐々木翔が左ストッパーで先発起用された。MFドウグラスはリーグ3位となる18ゴールを挙げている。FW佐藤寿はJ1の最多ゴール記録に王手をかけているが7試合ゴールなし。
対するアウェイの湘南は「3-4-2-1」。GK秋元。DF遠藤航、アンドレ・バイヤ、三竿雄。MF菊地俊、永木、藤田征、菊池大、古林、高山。FW大槻。11月17日(火)に行われたロシアW杯の二次予選のカンボジア戦(A)でスタメン出場を飾った日本代表のDF遠藤航は右CBで先発出場。怪我で2試合を欠場したDFアンドレ・バイアがスタメンに戻ってきた。FWキリノ、FW藤田祥、MF山田直らがベンチスタートとなった。
■ 5対0で大勝して年間1位が確定試合の序盤はどちらかというとアウェイの湘南ペースとなる。3連勝中と好調の湘南が序盤は主導権を握ったが、前半24分に右WBのMFミキッチの折り返しを中央のMFドウグラスがシュート。これが相手DFに当たってコースが変わってゴールイン。広島が先制に成功すると、直後の前半25分にはカウンターからMF青山敏が思い切って放ったミドルシュートがコース隅に決まって広島がすぐさま2点目を奪う。
さらに前半42分には左サイドを突破したMF清水航のクロスをファーサイドで鋭い動き直しからフリーになっていたFW佐藤寿が頭で合わせて3点目。FW佐藤寿は今シーズン12ゴール目。2ndステージの9節の名古屋戦(H)以来なので約3か月ぶりのゴールはJ1通算157ゴール目。ついにJ1最多ゴール記録を保持していた元磐田のストライカーのFW中山に並んだ。前半は3対0とホームの広島がリードして折り返す。
後半も広島ペースは変わらず。後半16分にFW佐藤寿に代わって投入されたFW浅野拓がこの日も躍動。何度か見せ場を作ると、後半27分にはまたしても左サイドをドリブルで切り裂いたMF清水航のクロスから中央で待っていたMFドウグラスが豪快に合わせて4点目。後半44分には途中出場のMF柏のクロスからMFドウグラスが左足で決めて5点目。MFドウグラスは自身2度目となるハットトリック達成となった。
結局、5対0でホームの広島が圧勝。シュート数は広島も湘南も15本ずつ。湘南もいくつかキーパーのGK林卓を脅かすシーンを作ったが、2ndステージ制覇ならびに年間最多勝ち点まであと一歩に迫っていた広島の勢いを止めることはできなかった。広島は1994年の2ndステージ以来となるステージ制覇を達成。年間の勝ち点も「74」となってチャンピオンシップは第1シードとなることが決定した。
■ 冴えた両ウイングバックからのアタック圧倒的に有利な状況で最終節を迎えた広島。年間最多勝ち点を争う浦和はホームで神戸と対戦したが、前半2分と前半9分と前半13分にゴールを奪った。いきなり浦和が3対0とリードしたので途中経過の情報を得ていたサポーターは焦ったと思うが、フィールド上の選手は慌てていなかった。前半24分のMFドウグラスの先制ゴールが決まるまではどちらかというと湘南ペースだったが、その後は完全に広島ペースとなった。
この日は左WBのMF清水航が2アシストで、右WBのMFミキッチが1アシストで、途中出場した右WBのMF柏も1アシスト。WBが4つのゴールを演出した。広島はカウンターからチャンスを作るというイメージとコンビネーションからチャンスを作るというイメージを持たれることが多いが、今シーズンはMFミキッチとMF柏を中心としたサイド攻撃から多くのゴールが生まれている。一番の武器と言っても過言ではない。
空中戦に滅法強いMFドウグラスが加入した効果は大きかった。もともとサイドからの突破を1つの武器に戦っていたチームだったが、MFドウグラスが入ったことでアウトサイドの選手が直接的にゴールに絡むシーンが激増した。ハットトリックのMFドウグラスはチェコスロバキア代表でも活躍したFWハシェックが1994年に記録したクラブの外国籍選手の最多ゴール記録(=19ゴール)を更新。新記録を達成した。
■ クラブ史上5番目となる大観衆の前で・・・。まだチャンピオンシップが残っているが、今シーズンの広島の強さは「Jリーグ史上でも屈指」と言えるほどだった。1試合平均の得失点差「+1.26」は1998年のジュビロ磐田、2002年のジュビロ磐田に次ぐ歴代3位。FW中山が4試合連続ハットトリックを記録するなど異次元の攻撃力を発揮していた黄金期の初期の磐田、アルゼンチンから戻ってきたFW高原が大爆発した黄金期真っ只中の2002年の磐田に次ぐ数字である。
さらには得点数も失点数もリーグ1位だったが、これはJリーグ史上5チーム目。過去に達成しているのは黄金期のヴェルディ川崎(1993年と1994年と1995年)、2001年の磐田のみ。さらに1試合平均の得点が「2.00以上」でかつ1試合平均の失点が「1.00以下」となったのは史上4チーム目。1993年のヴェルディ川崎、2001年と2002年の磐田のみなので、レジェンド級のチームと肩を並べたことになる。
この日は33,210人という大観衆で埋まったが、3万人オーバーはクラブ史上7回目。3年前の2012年にリーグ初優勝を決めた33節のC大阪戦(H)は32,724人だったのでこれを上回った。観客数は1994年の川崎戦の42,505人、1993年の川崎戦の36,863人、1994年の鹿島戦の35,108人、1993年のG大阪戦の34,872人に次ぐ歴代5番目の数字。1995年以降では最多となる大観衆の前で最高の結果を得ることができた。
「広島に新スタジアムを作ろう。」という話も出てきているが、こういうお客さんがいっぱい集まった試合で見に来てくれたサポーターがスカッとする試合が出来たのは非常に大きい。12月5日(土)には同じエディオンスタジアムでチャンピオンシップの決勝戦の2試合目が行われるが、大半の人は「2週間後も見に来ようかな・・・。」と思ったのではないか。新スタジアム建設に向けて弾みが付くのは間違いない。
■ クラブが大きく生まれ変わる可能性のある湘南ベルマーレ大差で敗れた湘南は最終戦を飾ることはできず。14節はアウェイでFC東京に勝利して、15節はホームで鹿島に勝利して、16節はアウェイで新潟に勝利しているので、3連勝して広島に乗り込んできたが、予期せぬ大差がついた。序盤はどちらかというと湘南がペースを握っていたが、先制された直後に2点目のゴールを許したことが痛恨だった。前半42分に3点目のゴールを食らった時点で「勝負あり」となった。
試合前の時点で9位以内は確定しており、失うものは何もない状態だったので、0対3になった後はどうにか1点を返そうと前掛かりになったが、FW浅野拓を中心としたカウンターで再三ピンチを招いた。湘南もシュートチャンス自体は多かったので全く通用しなかったわけではないが、「決定機の数」や「決定機の質」という意味ではかなり劣ったのは否めず。「力負けだった。」と言わざる得ないだろう。
最終戦はショッキングな大敗となったが、最低限の目標だった「J1残留」を早い段階で確定させるなど2年ぶりのJ1の舞台で結構な存在感を発揮した。2014年のブラジルW杯の影響とハリルホジッチ監督が代表監督に就任した影響もあって曺貴裁監督の下、最初にJ1に昇格してきた2013年の頃と比べるとJリーグでも縦に速いサッカーを志向するチームが格段に増えてきたが、その中でも湘南は一味も二味も違った。
「J1に昇格して残留を果たす。」という1つの目標を達成したことも関係しているのか、現段階では曺貴裁監督の去就は微妙。「FC東京や新潟などが興味を示している。」と報じられており、主力のDF遠藤航やMF永木にはいくつかのクラブが関心を寄せている。チームが大きく生まれ変わる可能性があるが、2012年からの4年間で曺貴裁監督がJリーグ全体に与えたインパクトは相当なものがあったのは確かである。
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