■ 大観衆の中での試合調布市にある味の素スタジアム。「ガーロでいいのか?」「フロントはよく考えろ!」という2つの横断幕が、東京のサポーター席に大きく掲げられた中での試合。スタジアム内は、31684人の大観衆で、バックスタンド側は満員で、座れる場所がないくらい。なので、仕方ないので、いろんなところに移動しながら、立ち見席で観戦することにする。
FC東京は、FWルーカスとDF伊野波が警告累積で欠場。<3-6-1>の布陣。FW川口が左ウイングバック、MF石川が右ウイングバック、トップ下がMF栗沢とMF梶山、1トップでFW馬場という配置。広島はDF戸田が復帰して3バックの中央に入る。
FC東京 スタメン(広島戦)■ 石川を封じた服部試合は、終始、FC東京がボールをキープして、広島がカウンターで応戦する展開。しかしながら、FC東京は、攻撃の要のFWルーカスが不在で、前線で全くポイントを作れない。石川に対しては、広島の左ウイングバックの服部が密着マークでこの試合では、一度も石川に縦への突破を許さなかった。(この試合のMVPは服部で決まり。)攻撃が手詰まりとなったFC東京は、結局、ほとんどチャンスを作れずに、無得点に終わった。
一方の広島は、試合前のビジョンどおりの試合だっただろう。FWウェズレイとFW佐藤に早めにボールを当てて、そこから展開する攻撃が、その数は少ないながらも効果的で、シュート数は東京の13本を上回る14本を放った。2得点はいずれも、佐藤寿人。ディフェンスラインとの駆け引きに勝って裏へ飛び出して決めた見事なゴールだった。
■ 融合することができないFC東京の攻撃陣東京の攻撃陣は、うまい選手(梶山、馬場、栗沢)と速い選手(石川、リチェーリ、川口)をどう融合させるかの意図が全く不明確。ボールを大切にしようという考え方は分かるが、ボールを奪っても安易な横パスが多い。スタジアムの観客は、昨シーズンまでのイメージで、ボールを奪ったら、とにかく「前へ」、「前へ」の声援を送る。そこで横パスが入ると、すかさず、野次が飛ぶ。全く、ピッチ上のサッカーとスタンドの気持ちがかみ合っていない。
東京の昨シーズンまでのサッカーが、完璧だったとは思わない。多分、あのスタイルのサッカーだと、いい内容の試合はできても、シーズンを通して安定した試合運びをして優勝争いに食い込むことは難しかったのではないかと思う。そのために、原監督からガーロ監督にシフトチェンジしたわけだが、これまでのところ、成績はそれなりのものを残しているが(昨シーズンの成績と同じくらい)、ここまで、スタジアムのサポーターに支持されていないことを考えると、本当に「ガーロでいいのか?」と思う。
実は、この試合を、スタジアムから見ていて、一番感じたのは、意外と東京の人はせっかちなんだなと感じた。だったら、そのせっかちな気質にあったサッカーをしなければ、せっかく、これだけのサポーターがいるのに、そのサポーターを失ってしまいかねない。
■ ファンタスティックな2ゴールこの試合のサンフレッチェ広島の試合運びは、素晴らしかった。守備陣はもちろん良かったが、中盤の森崎浩二、青山、中里もいいプレーをして勝利に貢献したと思う。シーズンのスタートダッシュには失敗したが、中断期間を経て、ようやくチームがまとまってきたように思う。この勝利は、今後に向けて大きな勝利だと思う。
それにしても佐藤寿人。こんな試合展開になるのなら、サンフレッチェのサポーター席に混じって観戦して、その中で、一緒に、寿人のゴールに声援を上げたかった。
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