■ 4試合目ロンドン五輪のアジア最終予選の4試合目。3連勝スタートのU-23日本代表は、U-23シリアと対戦した。シリアとは、11月27日に国立競技場で対戦しているが、このときは、ボルシアMGのMF大津が後半41分に決勝のヘディングシュートを決めて、2対1で日本が勝利した。今回は、シリアで対戦する予定だったが、シリアは国内情勢が不安定のため、中立地のヨルダンでの開催となった。
U-23日本代表は「4-2-3-1」。GK権田。DF酒井宏、濱田、鈴木、比嘉。MF山口蛍、山村、東、山田直、山崎。FW永井。キャプテンのMF山村が怪我から復帰してスタメン出場。MF清武は怪我のため欠場。MF大津は招集できず、国内組オンリーのメンバー構成となった。FW大迫、MF扇原はベンチスタートで、他に、GK安藤、DF大岩、DF吉田、MF山本康、MF齋藤学、MF高橋もベンチから出番を待つ。
■ 終了間際に決勝ゴール・・・試合の序盤はシリアのペースとなる。日本はボールの落ち着きどころが見つからず、単調な攻撃が多くてリズムをつかめない。対するシリアは、国立での試合でもゴールを決めたFWアルスマにボールを集めて、チャンスを作っていく。アクシデントが起きたのは前半15分あたりで、相手のディフェンダーと競り合ったMF山崎が肘を痛めて負傷交代。急遽、FW大迫が投入されるが、直後のセットプレーで、FW大迫のクリアボールがオウンゴールとなって、シリアに先制ゴールを許す。
その後も、リズムをつかめない日本だったが、前半終了間際にFW大迫のキープからFW永井が裏に抜け出すと、FW永井が落ち着いて決めて前半終了間際に同点に追いつく。FW永井は五輪予選は初ゴール。前半は、シリアが主導権を握ったが、日本が、最後に追いついて1対1で終了する。
後半になると、シリアも動きが落ちてきて、日本も意図のある攻撃を見せるようになる。後半30分にMF山村に代えてMF扇原を投入すると攻撃の流れも良くなって、後半36分には、MF山口蛍を起点に、MF山田直のパスからFW大迫が抜け出して決定機をつかむが、相手GKにセーブされて逆転ゴールはならず。試合は同点のままで進んで、終了間際に、シリアのDFアルサリフが右足でミドルシュートを放つと、ドライブ気味のシュートとなって日本のゴールに突き刺さって、シリアが勝ち越しに成功する。
結局、2対1でシリアが勝利し、勝ち点「9」。日本とシリアは同じ3勝1敗で、得失点差も同じ「+4」となったが、総得点の差でシリアがグループ首位に浮上し、日本は2位に転落した。第5節は、2月22日(水)にアウェーでマレーシアと対戦し、最終戦は、3月14日にホームでバーレーンと対戦する予定になっている。
■ 痛い終了間際の勝ち越しゴール試合前の時点で、2位のシリアとの勝ち点差は「3」だったので、引き分けでもOKという試合だったが、終了間際にミドルシュートを決められて、勝ち点を獲ることはできなかった。試合は前半からシリアのペースで進んでいたが、前半終了間際のFW永井のゴールで追いついて、後半はテンポも良くなっていたので、「1対1」で終わることができていれば、ロンドン五輪に大きく近づいたが、これで、ふりだしに戻ってしまった。
残り2試合を残して、シリアとは、得失点差は同じで、総得点の差で「1」劣るので、2位に転落したが、まだまだ、取り返すことのできる差で、マレーシア戦(A)とバーレーン戦(H)は、1つでも多くのゴールを決めることが必要になってくる。全勝で予選を突破できれば、それに越したことはないが、若い世代は、タフな試合を経験することが何よりも大切なので、しびれるような試合を経験する機会ができたと、ポジティブにとらえたいところである。
失点シーンは、共にGK権田にとっては、悔いの残るプレーとなった。2失点目のシュートに関しては、これだけのシュートを決められてしまっては仕方がないという気もするが、1失点目は、GK権田クラスのキーパーなら、防いでほしいボールだった。不運にも、FW大迫の頭に当たってゴール方向にボールが飛んできたので、処理するのが難しいシーンではあったが、反応できないボールではなかったと思うので、残念なプレーだった。
■ MF山村和也の起用が裏目オフ明けということで、多くの選手がコンディションに問題を抱えており、序盤はエンジンがかからなかったが、怪我上がりで、ブランクの長かったMF山村をスタメンで起用してきたのは、疑問に感じた。MF山村は、関塚ジャパンが発足した当初から、キャプテンとしてチームを引っ張ってきた選手で、不動のレギュラーとして起用されてきたが、周りの選手がプロの世界で試合経験を積んでいく中で、取り残されている感じは否めない。
後半30分にMF山村に代わって、MF扇原が入ってからは、明らかに攻撃のリズムが良くなったが、バーレーン戦とシリア戦でゴールに絡んでいて、ボランチとしてゲームを作る仕事を任されていたMF扇原をスタメンから外してまで、怪我明けのMF山村をスタメンで起用するというリスクを冒す必要があったとも思えず、理解しがたい選手起用となった。
MF扇原も、タフな試合になると消えてしまうこともあって、絶対的な存在になっているとはいえないが、味方からも信頼されているのか、彼がボランチに入ると、MF扇原のところにボールが集まってきて、前の選手の役割分担も明確になるので、クリアな攻撃になることが多い。一方で、MF山村の場合、ボールをさばくことはできるが、積極的にボールをもらおうとする動きが少ないので、彼にボールが集まることもなく、2列目の選手にも負担がかかってしまう。
■ 同点ゴールのFW永井ここ最近、ベンチスタートが増えていたFW永井は、久々に先発で起用されると、スピードを生かしたプレーで同点ゴールをマークした。1トップに入っていたときは、ほとんどボールがおさまずに苦しんだが、FW大迫が投入されて、左サイド(=2トップ気味)に移ってからは、持ち味のスピードが生きるようになった。
同点ゴールのシーンは、FW永井らしいゴールで、相手を振り切ったあと、落ち着いてゴールに流しこんだ。世界トップレベルのスピードがクローズアップされることが多いが、GKと1対1になったときに、落ち着いてゴールに流し込むことができる点が、彼のもう一つの魅力であり、シュートテクニックも相当なレベルにある。
欲をいうと、もっと強引さが欲しいところである。性格的な問題なのかもしれないが、ゴール前で、自分でもいけそうなシーンでも、パスを選択することが多くて、ラストパスが引っ掛かるシーンも目立つ。それほど、パスセンスのある選手ではないので、今以上に、セルフィッシュになった方が、効果的だと感じる。いずれにしても、大きな武器を持っている選手なので、残り2試合は、彼に期待したいところである。
■ FW大迫は前線で奮闘も・・・一方、途中出場のFW大迫にとっては、良くも悪くも、目立つ試合となった。残念だったのは、投入されてすぐのプレーでクリアしきれずにオウンゴールを記録したことで、試合に入りきれないままで、ファーストプレーが失点の原因となってしまった。ただ、その後は、前線で起点となって、FW永井の同点ゴールもアシストした。2列目やボランチでボールを保持できずに、おさまりどころがなかったが、FW大迫が入ってから、攻撃の流れも少し良くなった。
したがって、動き自体は悪くなかったが、後半36分の決定機を逃したのは、マイナスである。後半はカウンターでいい形を作っており、FW大迫のシュートが決まっていれば、勝ち点「3」を獲得できていた可能性は高いが、相手GKに防がれて、逆転はならなかった。五輪予選が始まってから、スタメンでプレーすることが出場機会が増えてるが、チャンスがありながらも結果を残すことができず、攻撃陣が物足りない要因になっている。
■ マレーシア戦に向けてこれで、2位に転落したので、次のマレーシア戦では勝利するのはもちろんのこと、大量得点が必要となる。シリアは、最終戦がホームのマレーシア戦なので、4点あるいは5点程度のゴールを決めてくると想像できるので、日本もアウェーであるが、4点あるいは5点程度は欲しいところである。
注目したいのでは、どういう選手を起用してくるかである。今回のメンバーから、MF清武とMF山崎が離脱しているので、2列目の補充が必要となるが、MF宇佐美、FW宮市、MF大津、MF高木善といった海外組の招集はあるのか?国内組に関しては、オフ明けなので、コンディション的に厳しいので、マレーシア戦、バーレーン戦は、海外組に頼るという選択肢も悪くないだろう。
また、パフォーマンスが優れなかったMF山村、DF比嘉あたりを継続して起用するのか、どうなのか?招集されたことはないが、サガン鳥栖のMF岡本あたりは、サイズもあって、ゲームを作ることのできる選手なので、チームに大きなプラス効果をもたらすことのできる選手であるが、抜擢はあるのか。いずれにしても、初黒星を喫して、チームのムードは下がっていると思われるので、早く切り替えて、準備をしてほしいところである。
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