■ イラン戦広州アジア大会の準決勝。勝てば2002年大会以来の決勝進出となる日本はイランと対戦。2002年の大会の決勝でもイランと対戦しており、そのときは1対2で敗戦。0対2となった終盤に、現水戸ホーリーホックのFW中山悟志のゴールで追い上げたが及ばなかった。
日本は<4-2-3-1>。GK安藤。DF實藤、鈴木、薗田、比嘉。MF山口、山村、水沼、東、山崎。FW永井。怪我のFW永井、MF東もスタメンで、今大会のベストといえるスタメンとなった。対するイランは「U-23+オーバーエイジ」のフルメンバーで、すべての選手がA代表を経験しているという。
■ 逆転勝利 試合は開始早々に日本が左サイドを崩されてイランのFWアフシンに決められてしまう。今大会初失点で日本が初めてリードを許す展開になる。
これで浮足立つかと思われたが、日本のイレブンは冷静で、その後は日本がリズムをつかむ。すると、前半38分に左サイドでボールを持ったFW永井がスピードで相手を振り切って突破。中央に折り返したボールをMF東がスルーして、最後はMF水沼が左足でシュート。これが決まって1対1の同点に追いつく。MF水沼は今大会2ゴール目。1対1で前半を終える。
後半も引き続いて日本がペースをつかむと、後半15分にMF山村がボールを持ってFW永井にパスを送る。バイタルエリアでボールを受けたFW永井がドリブルで相手をかわしてペナルティエリアに侵入すると、最後は右に流れてDFを振り切って右足でゴール。2対1と逆転に成功する。FW永井は今大会5ゴール目。
その後はイランが仕掛けてきて、日本は守備一辺倒になる。絶体絶命のピンチも何度かあったが、オフサイドの判定やポストに救われてゴールは許さず。結局、2対1で日本が見事な逆転勝利。決勝で金メダルをかけてUAEと対戦することになった。
■ イランから金星相手はフル代表クラスのイランとなって、厳しい戦いが予想されていたが、関塚ジャパンは見事な結束力で「金星」を挙げた。イランの選手はフル代表経験者ばかりということで、ザックジャパンと戦っても、いい勝負になりそうなメンバー構成であるが、戦前の予想を裏切って、落ち着いた試合運びで勝利をもぎ取った。
これで、決勝でUAEと対戦することになった。準決勝のもう一つのカードはUAEと韓国の対戦で、新潟のFW曹永哲やモナコのFWパク・チュヨンらを揃えた韓国が金メダルの最有力と思われていたが、UAEが延長戦の末に1対0で勝利。中一日で決勝となるのでUAEは疲労しているはずであり、関塚ジャパンに追い風が吹いてきている。
■ 粘った守備陣試合を重ねるごとに熟成をしているセンターラインで、6試合目にして初の失点を喫したが、失点で動揺することはなかった。2対1とリードした後、イランの猛攻にさらされて、GK安藤が不安定なプレーを見せることもあったが、ミスをカバーし合って同点ゴールを許さなかった。終盤にDF當間を投入し、5バック気味に戦ったことは、攻め込まれる要因となってしまったが、何とか守り切ったといえる。
良かったのは、アルビレックス新潟のDF鈴木。守備だけでなく、ビルドアップがきわめて正確で、ミスがなかった。イランのプレッシャーが厳しい時間にもあわてずにパスをつなげたのは、DF鈴木の存在による部分も大きい。タイ戦では不安定だった両サイドバックの出来も良くて、特に守備では、集中して守って確実に1対1に勝利した。
中盤では、MF山村のパフォーマンスも見事だった。MF山村も守備で貢献するだけでなく、攻撃でもパス出しでFW永井のゴールをおぜん立てし、積極的な攻め上がりでシュートチャンスも多かった。184㎝と長身であるが、あれだけ攻撃に関与できる選手は珍しく攻撃にも魅力がある。センターバックなのか、ボランチなのか、今後、どちらを選ぶのか、非常に難しいだろう。
■ 永井が決勝ゴール決勝ゴールは大学生のFW永井。バイタルエリアでうまくパスを受けてドリブルで仕掛けられる体勢を作ると、ドリブルで一人、二人とかわしてペナルティエリアに侵入。最後はスピードでぶっちぎってシュートコースを作って確実に右足でネットを揺らした。スピードではだれにも負けないということはすでに証明していたが、ドリブルワークで作ったゴールは、彼の価値をさらに高めることになるだろう。
MF香川、MF宇佐美らアタッカー陣が充実しているのと比べて、この世代はストライカーが不足していて、リーグ戦で結果を残している選手は柏のFW工藤ら、ほんの数名であるのが現状である。ブラジルで暮らした経験があって、異色の存在のFW永井がフルメンバーが揃ったときも、エースストライカーを任される可能性は高いといえる。
■ 同点ゴールは水沼貴重な同点ゴールを決めたのは栃木SCにレンタル中のMF水沼。今大会は、右サイドで起用されているが、試合を重ねるごとにプレーの質が上がってきている。この日は、怪我の影響なのか、トップ下のMF東の出来が悪くて、ミスが多かったが、MF水沼のゴールシーンではMF東もうまく絡んできた。
元日本代表のMF水沼貴史の息子ということで、ユース時代から注目を集めてきたが、華やかなドリブラーだった父とは異なり、息子は運動量を武器にチームを支える黒子タイプである。ただ、このタイプの選手のなかでは、キックの精度が高いという魅力がある。味方に生かされるタイプなので、味方の出来にも左右されるが、相手が強くなればなるほど、効いてくるタイプであり、決勝戦での活躍も期待したいところである。
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