■ 第21節9勝7敗4分けの横浜Fマリノスと、9勝4敗7分けのアルビレックス新潟の対戦。ホームの横浜FMは20節で京都サンガに2対1の劇的な勝利を飾った。一方の新潟はMF曹永哲の2ゴールの活躍で2対1で勝利。上位を狙える位置をキープしている。
ホームの横浜FMは<4-2-2-2>。GK飯倉。DF天野、栗原、中澤、波戸。MF小椋、松田、中村俊、兵藤。FW小野、山瀬功。不調のFW渡邉千はベンチ外で、MF狩野が久々のベンチ入り。
対するアウェーの新潟は<4-2-3-1>。GK黒川。DF西、千葉、永田、酒井。MF本間、小林、マルシオ・リシャルデス、ミシェウ、曹永哲。FW大島。ドイツのフライブルクへの移籍が決定したFW矢野に代わってFW大島がスタメン出場。FW大島の周りをMFミシェウが動き回るスタイルである。
■ マリノスが快勝試合はホームの横浜FMがペースをつかむ。急な展開でFW矢野がいなくなった新潟は古巣との対決となったFW大島がフォワードで起用されたが、タイプの違う選手が1トップに入ってチームが混乱気味。FW大島になかなかボールが集まらない。横浜FMはFW渡邉千をベンチからも外してFW山瀬功とFW小野という小柄な2トップでスタートするが、この2トップがまずまず機能し、前半は0対0ながら押し気味で終了する。
後半開始早々に横浜FMはショートカウンターからMF中村俊がラストパス。そのパーフェクトなスルーパスFW山瀬功が確実に決めて先制する。FW山瀬功は第3節の川崎F戦以来となる久々のゴールでシーズン3ゴール目。さらに横浜FMは後半26分に左サイドから中に切れ込んだMF中村俊が右足でカーブをかけたシュートを放つと、これがネットの隅に決まって追加点。MF中村俊も3ゴール目。
ビハインドの新潟は後半33分にMF曹永哲がMF中村俊と接触して腕を痛めるアクシデント発生。後半40分にもセットプレーからFW長谷川にゴールを許して0対3と劣勢となる。
結局、ホームの横浜FMが3対0の快勝。新潟を抜いて7位に浮上した。
■ 中村俊輔 1ゴール1アシスト横浜FMは調子を上げてきているMF中村俊が1ゴール1アシストの大活躍。3点目のFW長谷川のゴールの起点にもなっていて、3ゴール全てに絡んだ。
1点目のFW山瀬功に出したパスはMF中村俊ならではの「パス」であり、コースもスピードもタイミングもパーフェクトであり、パスを受けたFW山瀬功は左足で軽く合わせるだけで良かった。チームの2点目となった自信のゴールは、左サイドからカットインして決めたゴール。得意ではない右足でまいたシュートだったが、こちらも素晴らしいコースに飛んで行って、GK黒川はどうすることも出来なかった。最近は前半はまずまず、後半にパフォーマンスが落ちる試合が多くて、スタミナ面でどうなのか?という気もしていたが、この日は後半にきっちりと仕事をした。
前節のアウェーの京都戦は動きが重くてイマイチの内容であったが、この日はほぼ完ぺきな出来。まだ波はあるが、コンディションは確実に上向いてきている。となると、ワールドカップ前の極端な不調は何だったのかという気にもなるが、それがワールドカップ特有のプレッシャーなのだろうか?
もともと「キレ」が命の選手であり、自らドリブルで仕掛けられるコンディションにあるときのMF中村俊はやはり相手にとっては脅威である。すでに日本代表からの引退を表明しているが、Jリーグの後半戦は多くの人に、「もう一度、俊輔に代表に戻ってプレーしてほしい。」と思わせるようなプレーを見せてほしいところである。
■ ボランチの小椋祥平スタメンで出場した時は負けないという不敗神話を続けていた新潟のMFミシェウをどう止めるのかが最大のポイントであったが、横浜FMはうまくMFミシェウを封じた。動きの量の多いFW矢野から、ボックス内で勝負するタイプのFW大島にフォワードが変わったことも影響したかもしれないが、MF松田とMF小椋のダブルボランチがうまくMFミシェウを監視し、この試合のMFミシェウはパスミスが多くて、本来のプレーではなかった。
横浜FMのダブルボランチはMF小椋とMF松田のダブルボランチで、J1の中でもかなり守備能力を重視したコンビであるが、MFミシェウというアバウトなポジショニングをする選手を捕まえるには効果的なコンビであり、逆に新潟にとっては、スタイル的な意味での相性は良くない相手だったともいえる。
そのMF小椋は相方が守備力の高いMF松田になったことで、攻撃面でも良さを発揮し始めている。もともと守備力に定評があるが、経験を重ねるごとにプレー範囲が広がっていて、楔のパスや前線への飛び出しでの貢献も光っている。新しい日本代表にはボランチ候補として浦和レッズのMF細貝が選ばれているが、MF小椋が選ばれていても不思議ではなかった。
■ 曹永哲の怪我結果的にも、内容的にも、非常に厳しい試合となった新潟であるが、気になるのはMF曹永哲の怪我の具合。後半33分に負傷退場したが、かなり痛がっていて長期離脱も考えられる状況である。ここまでリーグ2位タイの11ゴールを挙げているFW曹永哲がいなくなるのは大きなマイナスである。
これまでは、FW矢野、MFミシェウ、MF曹永哲、MFマルシオ・リシャルデスという4人の前線が躍進の原動力になっていたが、FW矢野が移籍し、MF曹永哲までいなくなると新しく攻撃陣を組み直す必要が出てくる。幸いにして天皇杯の試合があるため、リーグ戦は休みとなるが怪我の状況が気になるところである。
代わりにスタメンに入ったFW大島は、FW矢野が抜けたことで大きなチャンスを得たが、あまり機能しなかった。動き回るFW矢野と、動きの少ないFW大島。タイプは全く異なるのでアジャストが必要であるが、準備時間も少なくてうまくモデルチェンジは出来なかった。新潟はフォワード陣は非常層は薄く、しばらくは辛抱が必要かもしれない。
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