■ チーム内MVP級の活躍横浜FMは元オーストラリア代表のポステコグルー監督を招聘した。8節終了時点で2勝4敗2分けで16位。ホームではまだ未勝利なので十分な結果は出ておらず、J1の残留争いに巻き込まれている。16位が横浜FM、17位が名古屋、18位がG大阪なので、大都市で活動する名門の3クラブが下位に低迷しているのは今シーズンもJ1の最大のトピックスの1つに挙げられる。まさかまさかの展開になりつつある。
他にも浦和が開幕から5試合未勝利で、C大阪も開幕から4試合未勝利と苦しんだ。前評判が高かったチームが軒並み低調で、前評判があまり高くなかったチームの健闘が目立つのが今シーズンのJ1リーグの面白いところであるが、横浜FMに関しては思うような結果は出ていないが内容的には悪くない。攻撃的でアグレッシブなサッカーを披露しているので現時点は「我慢をして見守るべき段階」と言える。
攻め込む回数は非常に多くてボール支配率も非常に高い。なので「このままのサッカーを続けて行けばいずれは結果も付いてくるだろう。」と言えるが重要な役割を課せられているのはGK飯倉である。8試合全てでスタメンフル出場を続けているが目立った活躍を続けている。8試合で11失点なので失点数自体は決して少なくないが貢献度の高さはチーム内でも随一である。チーム内MVP級の活躍を見せている。
■ J1でも有数の活躍を続けているキーパーリーグ全体を見渡しても「最も目立っているキーパーの1人」と言えるがハイライン&ハイプレスのサッカーに取り組んでいる今シーズンの横浜FMのキーマンになっている。今シーズンの横浜FMは高いライン設定になっているが裏に出てきたボールに対してGK飯倉が判断よく飛び出してきてクリアをしたり、パスで味方につなぐ場面が1試合の中でたくさん見られる。スイーパーのような役割を担っている。
一方、横浜FMがポゼッションをしてボールを動かし始めたときは意図的に高い位置を取ってボール回しに参加しようとする。7節終了時点でのGK飯倉のパスCBP/90分は0.806。これは2位のGKキム・ジンヒョン(C大阪)の0.600を大きく上回ってJ1のキーパーの中では最高の数字となる。7節終了時点で150分以上のプレー時間を得ている選手はJ1で262人いるが、GK飯倉のパスCBP/90分は189位に相当する。
結局、フィールドプレーヤーの選手でパスCBP/90分がGK飯倉よりも下になる選手はたくさんいる。的確な判断で攻撃の起点として大きな存在感を発揮している。守備CBP/90分もキーパーの中では1位となる7.079。2位のGKカミンスキー(磐田)が6.127なのでこちらも2位以下に大きな差を付けている。先のとおり、失点数は決して少なくないが「J1でも有数の活躍を続けているキーパーの1人」と言うことが出来る。
■ 90分あたりの走行距離は脅威の7.00キロ今度は走行距離とスプリント回数に注目してみた。表1はトラッキングシステムが導入された2015年以降のGK飯倉の年度別の数字を示している。90分あたりの走行距離は2015年が4.43キロ、2016年が3.97キロ、2017年が4.08キロ。J1のキーパーの90分あたりの走行距離の平均値は4.5キロ前後。なので、昨シーズンまでは走行距離に関しては平均以下のキーパーだったが2018年は7.00キロを記録している。
当然のことながら、J1のキーパーの中では最高の数字となる。2位のGKランゲラック(名古屋)は5.71キロ、3位のGKク・ソンユン(札幌)は5.33キロなので、こちらも2位以下に大きな差をつけている。J1のフィールドプレーヤーの中で一番走行距離が少ないのはチームメイトのFWウーゴ・ヴィエイラ(横浜FM)で9.06キロ。さすがにこの数字は下回っているが「キーパーで7キロを走る。」というのは異例である。
同様に90分あたりのスプリント回数も3.50回でJ1のキーパーの中で最多となる。総スプリント回数は28回。2位のGKク・ソンユン(札幌)は8回なのでこちらも断トツ1位となる。GK飯倉の2015年の総スプリント回数は31回、2016年は6回、2017年は27回。8節終了時点で早くも自己最多に並びそうな勢いである。2017年はGK佐藤優(千葉)が似た役割を課せられて注目を浴びたがやりがいのある仕事である。
表1. GK 飯倉大樹の走行距離とスプリント回数 (8節終了時点)
年度 | 試合数 | 出場時間(分) | 走行距離 | スプリント回数 |
(キロ) | 90分換算 | (回) | 90分換算 |
2015年 | 25 | 2250 | 110.7 | 4.43 | 31 | 1.24 |
2016年 | 12 | 1035 | 45.7 | 3.97 | 6 | 0.52 |
2017年 | 34 | 3060 | 138.8 | 4.08 | 27 | 0.79 |
2018年 | 8 | 720 | 56.0 | 7.00 | 28 | 3.50 |
表2. キーパーの走行距離とスプリント回数 (8節終了時点)
名前 | 所属 | 試合数 | スタメン | 出場時間(分) | 走行距離(キロ) | スプリント回数 | 走行距離 | スプリント回数 |
(キロ) | 順位 | (回) | 順位 |
飯倉 大樹 | 横浜Fマリノス | 8 | 8 | 720 | 56.009 | 28 | 7.00 | 1 | 3.50 | 1 |
ランゲラック | 名古屋グランパス | 8 | 8 | 720 | 45.678 | 4 | 5.71 | 2 | 0.50 | 9 |
ク ソンユン | コンサドーレ札幌 | 8 | 8 | 720 | 42.614 | 8 | 5.33 | 3 | 1.00 | 2 |
秋元 陽太 | 湘南ベルマーレ | 8 | 8 | 720 | 40.094 | 2 | 5.01 | 4 | 0.25 | 14 |
増田 卓也 | V・ファーレン長崎 | 4 | 4 | 360 | 19.318 | 2 | 4.83 | 5 | 0.50 | 9 |
六反 勇治 | 清水エスパルス | 8 | 8 | 720 | 38.538 | 4 | 4.82 | 6 | 0.50 | 9 |
三浦 龍輝 | ジュビロ磐田 | 1 | 1 | 90 | 4.809 | 1 | 4.81 | 7 | 1.00 | 2 |
カミンスキー | ジュビロ磐田 | 7 | 7 | 630 | 33.172 | 4 | 4.74 | 8 | 0.57 | 7 |
関 憲太郎 | ベガルタ仙台 | 7 | 7 | 630 | 32.537 | 4 | 4.65 | 9 | 0.57 | 7 |
東口 順昭 | ガンバ大阪 | 8 | 8 | 720 | 36.762 | 5 | 4.60 | 10 | 0.63 | 5 |
西川 周作 | 浦和レッズ | 8 | 8 | 720 | 36.578 | 1 | 4.57 | 11 | 0.13 | 19 |
徳重 健太 | V・ファーレン長崎 | 4 | 4 | 360 | 17.835 | 0 | 4.46 | 12 | 0.00 | 20 |
林 彰洋 | FC東京 | 8 | 8 | 720 | 35.500 | 2 | 4.44 | 13 | 0.25 | 14 |
シュミット ダニエル | ベガルタ仙台 | 1 | 1 | 90 | 4.405 | 0 | 4.41 | 14 | 0.00 | 20 |
新井 章太 | 川崎フロンターレ | 1 | 1 | 90 | 4.383 | 1 | 4.38 | 15 | 1.00 | 2 |
クォン スンテ | 鹿島アントラーズ | 8 | 8 | 720 | 34.161 | 2 | 4.27 | 16 | 0.25 | 14 |
林 卓人 | サンフレッチェ広島 | 8 | 8 | 720 | 33.389 | 0 | 4.17 | 17 | 0.00 | 20 |
キム スンギュ | ヴィッセル神戸 | 8 | 8 | 720 | 33.216 | 5 | 4.15 | 18 | 0.63 | 5 |
キム ジンヒョン | セレッソ大阪 | 8 | 8 | 720 | 32.702 | 2 | 4.09 | 19 | 0.25 | 14 |
権田 修一 | サガン鳥栖 | 8 | 8 | 720 | 31.059 | 4 | 3.88 | 20 | 0.50 | 9 |
桐畑 和繁 | 柏レイソル | 3 | 3 | 270 | 11.372 | 0 | 3.79 | 21 | 0.00 | 20 |
チョン ソンリョン | 川崎フロンターレ | 7 | 7 | 630 | 25.603 | 1 | 3.66 | 22 | 0.14 | 18 |
中村 航輔 | 柏レイソル | 5 | 5 | 450 | 15.896 | 2 | 3.18 | 23 | 0.40 | 13 |
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