■ 第7節J1の第7節。2010年シーズンは4位に終わって、リーグ4連覇を逃した鹿島アントラーズが横浜Fマリノスと対戦。鹿島は震災の影響で当分の間、カシマスタジアムが使用できないため、ホームゲームは国立競技場で行われることになっている。
鹿島は<4-2-2-2>。GK曽ヶ端。DF新井場、岩政、中田浩、アレックス。MF青木、小笠原、遠藤、野沢。FW興梠、カルロン。怪我のためMFフェリペ・ガブリエルが欠場し、23歳のMF遠藤がスタメン出場。怪我が回復してきたFWカルロンはリーグ戦初先発。怪我明けのFW大迫もベンチに入った。一方、メンバー入りの噂もあったアルシンドJrことFWイゴールはベンチ入りは果たせなかった。
アウェーの横浜FMは<4-2-2-2>。GK飯倉。DF小林祐、栗原、中澤、波戸。MF小椋、谷口、兵藤、中村俊。FW渡邉千、小野。FW大黒がスタメンから外れて18歳のFW小野がリーグ戦初スタメン。怪我のため開幕戦はスタメンを外れたMF中村俊がスタメンに復帰。MF長谷川アーリアジャスールがベンチスタートとなった。
■ マリノスが完勝試合は開始3分に横浜FMが先制する。相手のロングボールをカットしてパスをつなごうとした鹿島のDFアレックスから、ボランチのMF小椋がボールを奪うと、右足でミドルシュート。これが、鹿島のDF中田浩に当たってコースが変わってゴールに吸い込まれる。MF小椋はJ1で通算2ゴール目。ファースト・シュートで横浜FMが先制する。
その後は、鹿島がボールを支配して横浜FMが守る展開となる。しかし、ACLから中3日の鹿島は動きが鈍く、なかなかチャンスを作れない。前半は1対0で横浜FMがリードして折り返す。
ビハインドの鹿島は、後半開始からMF遠藤とFWカルロンを下げて、MF本山とFW大迫を投入。<4-2-3-1>に変更する。しかし、試合の流れは大きく変えられない。1点リードの横浜FMは、後半31分にコーナーキックを獲得すると、MF中村俊のキックを途中出場のFWキム・クナンが頭で落とすと、DF栗原が強烈なシュートを決めて2点目を挙げる。さらに、ロスタイムにも横浜FMはカウンターから完全に崩してMF野沢のオウンゴールを誘発。ダメ押しの3点目を奪う。
結局、再開初戦は3対0という思わぬ大差で横浜FMが勝利。横浜FMは1勝1分けとなって2位に浮上。対する鹿島は1敗1分け。16位に転落した。
■ 安定した守備陣この試合で横浜FMが放ったシュートは4本だけ。オウンゴールもあったが、シュート4本で3ゴールと非常に効率がよかった。ただ、試合中は「シュートが少ない。」ということはあまりに気にならず、開始3分に先制ゴールを奪ったこともあって、終始、横浜FMのペースで試合は進んでおり、「完勝」といえる試合であった。
目立つのは「堅い守備」。DF中澤、MF栗原という強力センターバックコンビに加えて、柏レイソルからDF小林祐、川崎フロンターレからMF谷口が加入。DF波戸、MF小椋も含めて、守備陣には「個の強さ」を感じさせるメンバーが揃っており、しっかり守られると、崩していくのは容易ではない。
正GKとなって2年目を迎えるGK飯倉も、開幕戦に続いて好パフォーマンスを披露して完封勝利。一度、目測を誤る「危ないシーン」もあったが、それ以外は全く問題なかった。身長が180㎝なので、J1のキーパーの中では最も低いクラスの身長になるが、「小ささ」は感じさせない。
■ 飛躍する右SB・小林祐三昨オフに、FW坂田、MF山瀬功、MF河合、DF松田といった中堅・ベテラン選手を戦力外とした横浜FMは、変革の時代に入っているが、新加入のDF小林祐、MF谷口の二人が期待どおりレギュラーに定着しており、スタメンもほぼ固定されて、いいスタートを切っている。
MF谷口は、相手の攻撃をつぶす能力の高いMF小椋とボランチを組むことで、「持ち前の攻撃力が存分に生きる。」と思われていたが、守備に重きを置いてプレーしており、攻撃で良さを見せるシーンはほとんどないが、対人の強さを生かして、中盤の守備力アップに貢献している。DF小林祐も同様で、高いスプリント力を生かして、右サイドバックのレギュラーをつかんだ。
DF小林祐は、以前は、センターバックでプレーすることが多かったが、昨シーズンから右サイドバックで起用されるようになって、いいパフォーマンスを見せている。176㎝という身長なので、センターバックとしてはサイズ不足で、センターバックのときは「高さ」でやられることもあったが、サイドバックになると176㎝でも問題はない。さらに上を目指すには、サイドバックの方がベターであり、右サイドバックのポジションであれば、十分に日本代表を狙える選手といえる。
日本では、サイドバックのポジションは「専門職」になっており、サイドバックしかできない選手も多いので、DF小林祐のように「センターバックもこなすサイドバック」というのは珍しく、大きなアピールポイントになる。サイドバックとしては経験が不足しており、攻撃のときにどれだけ効果的なプレーができるかが課題となってくるが、「スピードと守備力のあるサイドバック」として、非常に面白い存在だといえる。
■ FWキム・クナンが2ゴールに絡む横浜FMは、後半15分にFW渡邉千に代えて長身のFWキム・クナンを投入したが、これが大当たりで、FWキム・クナンは2ゴールに絡む活躍を見せた。
FWキム・クナンの本職はセンターバックであり、負けているときのパワープレー要因として終盤に投入されることは多かったが、まだ30分も残っている段階で起用してくるというのは意外であり、木村監督の見事な采配だったといえる。ベンチにはFW大黒も控えてたが、横浜FMはフォワードだけはし烈なポジション争いが繰り広げられているが、バラエティに飛んだメンバーであり、どう使い分け行くかも注目される。
■ 攻撃陣が不振対する鹿島は、オリベイラ監督がベンチ入り禁止処分だったため、奥野コーチが指揮を執ったが、早い時間に失点した影響もあって、思い通りの試合運びができずに終わった。これで、ACL、ゼロックスを含めて公式戦は7試合で1勝1敗5分け(PK負けは引き分けにカウント)。シドニーFCにアウェーで勝利しただけで、苦戦が続いている。
スタメンに抜擢されたMF遠藤、FWカルロンは見せ場を作ることなく、前半のみで交代し、後半から登場したMF本山、FW大迫も効果的なプレーはほとんど見せられなかった。ここまでの試合では、FW興梠の相方となるフォワードを除くと、新戦力でスタメンに起用されているのはジェフ千葉から加入のDFアレックスだけであるが、MF西、MF本田拓といった選手も回復してきているので、うまく使っていきたいところである。
関連エントリー 2008/12/01
【横浜FM×東京V】 松田直樹というディフェンダー (生観戦記 #18) 2009/11/07
ミスターマリノス・木村和司氏の監督就任 2010/05/27
Jリーグ元年を彩った外国人プレーヤー達の思い出 2010/11/29
横浜Fマリノスの危機に関して 2011/04/07
【J1/J2】 期待の新戦力チェック (新外国人編) 2011/04/10
FWマルキーニョス選手 ベガルタ退団 2011/04/20
【ACL:シドニーFC×鹿島】 FWカルロンはハズレなのか?
- 関連記事
-