■ 残り5試合J2は残り5試合。25勝8敗13分けで勝ち点「88」のヴァンフォーレ甲府は、水曜日に行われたホームでの横浜FC戦に0対1で敗戦。昇格圏外の4位に転落した。一方のサガン鳥栖は23勝12敗11分けで勝ち点「80」。同じく水曜日の試合で4位だった湘南との直接対決に0対1で敗れてしまった。夢をつなぐためには勝ち続けるしかない。
ホームの鳥栖は<4-2-2-2>。GK浅井。DF柳沢、渡邉、飯尾、日高。MF下地、山瀬幸、武岡、島田。FWトジン、ハーフナー・マイク。MFホベルト、MF高橋、MF高地が欠場。MF下地が今シーズン3試合目のスタメン。FWトジンは39節以来のスタメン。GK浅井は35節以来のスタメン。
対するアウェーの甲府は<3-5-2>。GK阿部。DFダニエル、秋本。MF杉山、石原、林、大西、藤田。FW金信泳、マラニョン。
■ 2対1で勝利試合の前半は甲府ペース。中盤の構成がいつもとは違う鳥栖はやや戸惑いを見せて、思うようなサッカーが出来ない。すると、前半37分に甲府は自陣エリアからのMF杉山のロングパスに対応したFWマラニョンが抜け出して、落ち着いてネットを揺らす。FWマラニョンは17ゴール目。前半は1対0で甲府リードで終了。
しかし、後半開始から、追い込まれた鳥栖が猛反撃を見せる。開始早々の後半2分に右サイドからセットプレーを獲得。MF島田のボールをFWトジンがドンピシャで頭で合わせて1対1の同点に追い付く。FWトジンは11ゴール目。
これで勢いに乗った鳥栖は、この後、何度もゴール前に迫って、逆転のゴールを狙いに行く。しかし、何度かあった決定機に決め切れない。すると、後半22分に防戦一方だった甲府に勝ち越しのゴールが生まれる。鳥栖DFのクリアボールを拾ったFW金信泳がダイレクトで意表を突くミドルシュート。これが決まって2対1と勝ち越しに成功する。FW金信泳も11ゴール目。
勝たなければならない鳥栖は、同点&逆転を狙って最後まで攻めるが、甲府の守備陣が守り切って2対1で勝利。甲府はロアッソ熊本に敗れた湘南に代わって3位に浮上。一方の鳥栖は、期待された上位陣との3連戦を1分け2敗で終了。3位の甲府との差は「11」に広がってしまった。
■ 再び、3位に浮上前節、横浜FCに敗れてしまった甲府だったが、5位で難敵のサガン鳥栖を下して3位に浮上。4位の湘南との差は「1」のみであるが、再び、3位に浮上した。
甲府は残り4試合。福岡(A)、湘南(H)、岡山(A)、熊本(H)との対戦が残っているが、何と言っても49節に4位の湘南との直接対決が残っている。この試合で通算12枚目のイエローカードを受けたため、2試合の出場停止となったDFダニエルを欠くことになったのは非常に痛いが、これまでと同様に総力戦で戦うしかない。
どちらのチームも勝てば昇格に大きく近づくが、最悪、引き分けでもOKという状況を作り出すためにも、次節の福岡戦を確実に勝って有利な立場で試合に臨みたい。2週間後のアウェーの福岡戦が非常に大事になる。
■ 金信泳の決勝ゴール昇格の可能性は上位5チームに絞られていて、3位以内を目指す両チームの気迫と気迫がぶつかり合う試合となったが、敗れた鳥栖は数字上の可能性は残ったものの、昇格が絶望的になった。
決勝ゴールを決めたのが、FW金信泳だったことも1つのドラマだった。FW金信泳は昨シーズンまでの1年半、サガン鳥栖に在籍。FW金信泳のゴールはチームを3位に導くための非常に重要なゴールであり、それまでの試合展開を考えても値千金のゴールであったが、ゴールを決めたFW金信泳には笑顔はなかった。
サッカー界はシビアな世界であるとはいえ、全てを知る古巣のサガン鳥栖を突き落とすことになるゴール。気持ちは理解できる。
■ 高橋義希の不在第二クールから、破竹の快進撃を見せてJ1昇格争いに参加していたサガン鳥栖だったが、最後、息切れしてしまった。仙台、湘南、甲府との3連戦で、3連勝すれば一気に2位グループに接近することが出来たが、結果は2敗1分け。どの試合も五分五分の展開であったが、勝ち切れなかった。
鳥栖にとって誤算だったのは、中盤の要のMF高橋義希の欠場。43節の岐阜戦の前半早々に怪我をして負傷退場したMF高橋は全治6週間。MF高橋の飛び出しはチームの大きな武器であっただけに、シーズン終盤の大事な時期に中心選手を失った鳥栖はアンラッキーだった。
■ 岸野靖之監督の3年間①残り4試合を残して昇格が絶望的になった鳥栖は、岸野監督との契約更新を行わずに、新しい体制で次シーズンに臨むことが確実になっている。
2006年にクラブ史上最高の4位というセンセーショナルなシーズンを送った後、松本育夫監督が勇退。後任として監督に抜擢された岸野監督はその強烈なキャラクターでチームを引っ張ったが、無念のうちに監督の座を退くことになる。
岸野監督が全てにおいて優れた素晴らしい名監督だったというわけではなかったが、これだけ情熱を持ってクラブを指導できる監督は、ちょっと他には思い浮かばない。
■ 岸野靖之監督の3年間②資金力は乏しく、いい選手を育て上げても、すぐに他チームに買い取られていってしまうという難しいクラブ運営が続いているが、それでも、この3年間で8位、6位、5位。2006年オフにはエースストライカーのFW新居辰基がジェフ千葉に移籍したが、その後も、FW藤田祥史を育てて、FWハーフナー・マイクを育てた。いつからか、鳥栖は、「ストライカー養成所」と呼ばれるようになった。
鳥栖に入団する選手は決してエリートではなく、他チームから関心を寄せられなかった選手や、他チームで出番が無かった選手がほとんどである。であるが、鳥栖の選手はみんな日を追うごとに上手くなっていくような印象がある。そして、いつの間にか、J2の中でも目立った存在になっていく。MF高橋義希しかり、MF高地系治しかり、DF飯尾和也しかり、GK室拓哉しかり・・・。
岸野靖之という指導者は非常に今のサガン鳥栖にマッチした監督だったと思うし、チームカラーにも合っていたと思う。ただ、岸野監督なしでサガン鳥栖というチームが、どれだけのことが出来るのかというのも、1つ興味のわくことであり、また、岸野監督が別の都会的なチームを指導した時に、変化が生まれるのかも、非常に興味がある。
[サガン鳥栖 2008-2009]1078 2008/05/29
【徳島×鳥栖】 藤田祥史の日本代表入りの可能性 1080 2008/06/01
松本育夫(サガン鳥栖GM)のサッカー人生 1081 2008/06/03
【鳥栖×福岡】 いつかの夢に向かって・・・ (生観戦記 #7) 1127 2008/07/06
【C大阪×鳥栖】 乾貴士のデビュー戦 1214 2008/10/23
【鳥栖×C大阪】 成長を続ける乾貴士と香川真司1242 2008/11/17
【天皇杯:神戸×鳥栖】 ベストメンバー問題に思う。 1259 2008/12/04
【鳥栖×仙台】 藤田祥史の左45度 1278 2008/12/20
【天皇杯:鳥栖×横浜FM】 ベスト4ならず・・・ 1357 2008/03/10
【C大阪×鳥栖】 左ウイングバックの新戦力・石神直哉 1365 2008/03/15
【鳥栖×札幌】 キリノの決勝弾 1602 2009/03/25
【鳥栖×岡山】 遠いゴールシーン 1614 2009/04/09
【鳥栖×湘南】 開幕6連勝はならず 1615 2009/04/11
【徳島×鳥栖】 右サイドバックの柳沢将之1647 2009/05/10
【福岡×鳥栖】 山瀬幸宏のデビュー戦 1681 2009/06/07
【札幌×鳥栖】 194cmのハーフナー・マイク1693 2009/06/21
【鳥栖×C大阪】 マリノスコンビの活躍1768 2009/09/10
【鳥栖×福岡】 大きなホベルトの加入1790 2009/09/24
【水戸×鳥栖】 吉原宏太に期待したいこと 1797 2009/09/29
【鳥栖×東京V】 急失速したヴェルディに足りないもの[ヴァンフォーレ甲府 2005-2009]0011 2005/11/30
レフティーモンスターが甲府を去る。 0021 2005/12/07
【入替戦:甲府×柏】 ヴァンフォーレ 夢への挑戦 0028 2005/12/13
【入替戦:柏×甲府】 ヴァンフォーレ 夢が実現した日 0105 2006/02/10
小倉隆史 レフティーモンスターがピッチを去る日 0304 2006/08/13
【名古屋×甲府】 不当な大勝劇 (生観戦記 #4) 0353 2006/09/19
【甲府×大宮】 J1探求中 0358 2006/09/24
【新潟×甲府】 ホームの力 0559 2007/04/14
【広島×甲府】 ポゼッションサッカーを考える。 0567 2007/04/22
【甲府×柏】 何が人々を惹きつけるのか? (生観戦記 #8) 0587 2007/05/19
【甲府×清水】 大事な距離感 0607 2007/06/10
【甲府×磐田】 前田遼一の存在 0613 2007/06/17
【千葉×甲府】 巻誠一郎の持つ才能 0733 2007/09/13
【清水×甲府】 俺達は甲府を信じて唄い続ける (生観戦記 #16) 0750 2007/09/22
【甲府×広島】 ドラマチックゲーム 0769 2007/10/08
【甲府×千葉】 切り札の差 0793 2007/10/27
【甲府×横浜FM】 いつもの変わらないスタイルで・・・ 0817 2007/11/19
【甲府×大宮】 ぬるい残留争い 0845 2007/12/01
Jリーグ クラブ別大総括(15) ヴァンフォーレ甲府編 1095 2008/06/15
【C大阪×甲府】 香川真司と柿谷曜一朗の未来 1105 2008/06/22
【甲府×山形】 右サイドバックのレフティDF輪湖直樹 1183 2008/08/04
【甲府×仙台】 マラニョンと鍋島レフェリー 1221 2008/10/30
もし、小倉隆史の大怪我がなかったならば・・・。 1235 2008/11/10
【甲府×C大阪】 背番号「8」の後継者 1355 2008/03/08
【岡山×甲府】 夢の舞台 デビュー戦 1612 2009/04/05
【C大阪×甲府】 大きなダニエルの加入 1628 2009/04/23
【甲府×TA】 TAKE ACTION FCの可能性 1671 2009/05/30
【札幌×甲府】 12試合無敗も・・・1698 2009/06/27
【甲府×福岡】 崩壊アビスパ1764 2009/09/06
【C大阪×甲府】 マラニョン弾でドロー 1789 2009/09/24
【甲府×仙台】 攻撃力に不安の残るヴァンフォーレ 1802 2009/10/03
【岐阜×甲府】 熾烈な昇格争いの中で・・・ 1813 2009/10/12
【東京V×甲府】 ドリブラーの河野広貴は大成するのか?
- 関連記事
-