■ Jリーグ勢を3連破したHonda FC天皇杯はラウンド16が終了した。勝ち残っているのは8チームのみとなったが準々決勝のカードは鹿島 vs Honda FC、神戸 vs 大分、鳥栖 vs 清水、長崎 vs 甲府となった。J1で上位争いをしているFC東京や横浜FMや川崎Fや広島やC大阪や札幌などはすでに敗退しており、J2の長崎と甲府がベスト8に進出したのも大きなトピックスと言える。この2チームが準々決勝で対戦するのでどちらかはベスト4に進出できる。
長崎 vs 甲府というJ2対決も大きな注目を集めることになると思うが、やはり、準々決勝の4試合の中で最も注目が集まるのは鹿島 vs Honda FCになる。アジア王者の鹿島とJFLで首位を走るHonda FCの対戦になるが「Jリーグ勢を撃破してベスト8進出を決めたHonda FCが名門相手にどんな試合を見せるのか?」は興味深い。準々決勝は10月23日(水)に予定されているがこの試合は別格の注目度になるだろう。
Honda FCはラウンド16で浦和と対戦した。埼玉スタジアム2002での試合だったが後半38分と後半42分に連続ゴールを奪って2対0で勝利した。終了間際に浦和はFW杉本健が倒されてPKを獲得したがFW杉本健のキックをHonda FCの守護神のGK白坂が好セーブで防いだ。平日開催にもかかわらず11,953人のサポーターがスタジアムに集結したがHonda FCのサポーターも3,500人ほどが集結。お祭り騒ぎになった。
■ 試合後には「バス囲み」が行われた。「JFLの門番」と言われるHonda FCの快進撃は観ている人を熱くさせている。2回戦ではJ1の札幌、3回戦ではJ2の徳島に勝利しているので「Jリーグ勢を3連破」したことになるが大変な状況に陥っているのは浦和である。試合後に挨拶に来た選手に対してサポーターから容赦ないブーイングが浴びせられたが試合後には選手やスタッフを乗せたバスがサポーターに取り囲まれるという騒動があったと報じられている。
日刊スポーツによると「試合後はサポーターが出口に集結。選手バスも約45分間、停車した。最後は大槻監督が降り、求められた闘う姿勢をさらに選手に伝えることを約束した。」という。J1の残留争いに巻き込まれている浦和は9月28日(土)にアウェイの鳥栖戦を控えているが中2日というタイトなスケジュールになる。一刻でも早く体と心を休ませないといけない中での「バス囲み」はクレージーと言うしかない。
確かにHonda FC戦は酷い試合だった。最後の最後に得たPKも相当にラッキーなPKだったことを考えると「浦和がいい形で攻撃を仕掛けたシーン」はほとんどなかった。高卒1年目のMF池高をシャドーの位置で起用するなどサブ組中心のメンバー構成になったがポジティブな印象を残した選手はほぼいなかった。誰か1人の責任というわけでもなく、試合に出場したほぼ全員が標準以下のプレーに終始した。
対してHonda FCは前半の立ち上がりから意図を感じる攻撃をたくさん見せた。最後の精度が不足していたので「惜しくもシュートまで持ち込めない。」というシーンが続いたが頑張って0対0のスコアを維持できたことが終盤の2ゴールにつながった。2ゴールともアシストを記録したのは右SHのMF佐々木俊輝だったが大卒3年目のドリブラーがGIANT KILLINGの主役になった。切れ味鋭いドリブルは魅力いっぱいだった。
■ 理解しにくい「バス囲み」浦和がメンバーを落としてサブ組中心のスタメンだったのは間違いないが「チームとしての完成度の差」は大きかった。GIANT KILLINGであることは間違いないが「同じ条件で10試合戦った場合、Honda FCは3勝~4勝くらいは出来るのでは?」と思えるほど総合力の差は無かったと個人的には思う。「大サプライズと言えるほどではない。」と思うが格下相手の敗戦なので浦和のサポーターが怒り狂うのは理解できる。
サポーターが怒り狂うのは理解できる。サポーターが試合後に挨拶に来た選手たちにブーイングをするのも理解は出来る。サポーターが試合後に挨拶に来た選手たちを罵倒するのはあまり理解できないがサッカーの世界ではよくある話になる。対して「試合後にバスを囲む。」というのは全く理解できない。「バスが囲まれたのは45分くらいだった。」と報じられているが「バス囲みの時間」としてはかなり長いと言える。
「それくらいサポーターは真剣なんだ。」、「それほどサポーターは危機感を抱いているんだ。」という風に擁護する意見も当然あるとは思うが同様に全く理解できない。先のとおり、天皇杯以上に大事なのは次の鳥栖戦(A)である。15位の浦和と16位の鳥栖の勝ち点差は「4」のみ。残留争いの行方を大きく左右する大一番である。大の苦手にしているベアスタで鳥栖に敗れるようなことがあるといよいよ非常事態になる。
■ すべては台無しになる行動Honda FCとの試合でスタメンでプレーした選手の多くは普段は控えの選手になる。次の鳥栖戦(A)でスタメン起用される可能性があるのはGK西川とDFマウリシオくらい。MF阿部勇は出場停止で、26節のC大阪戦(H)ではスタメンだったMF汰木はあまり良さを出せていないのでスタメン落ちする可能性の方が高いと思うがそれでも一刻でも早く体と心を休ませないといけない状況での「45分間のロス」というのは痛い。
「何とかして意思を示したい。」という気持ちは理解できる。そして、浦和レッズというクラブのことを選手以上に大事に思っているサポーターも少なくないと思う。リーグ戦で低迷している中、「このタイミングで何かアクションを起こさないといけないのでは?」という気持ちになったこと自体も理解できるがそれでも試合後にバスを囲んで、45分もの間、選手やスタッフなどを拘束してしまったらすべては台無しになる。
最近のJリーグならびに各クラブは「サポーターの起こした問題騒動」に関してはかなりナイーブであり、かなりデリケートである。「そこまで厳しく対応しなくてもいいのでは?」と思うケースが増えているが「バスを囲んで選手たちの移動を邪魔する。」という行動の悪質度は相当に高いと個人的には考える。5分程度のバス囲みであったとしても悪質だと思うが45分となると情状酌量の余地はないと個人的には考える。
今はネット社会である。自分たちの思いをクラブ側に訴える手段はたくさんある。「バス囲み」という誰も得をしないどころか、選手やスタッフにとって大きなマイナスになる行動は絶対に認められるべきではないと思う。どのくらいの数の人が「バス囲み」に関わったのか?は分からないがJリーグもしくはクラブは関わった人たち(少なくとも首謀者の数人 or 数十人)には厳しい処分を下すべきだと個人的には考える。
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