- 更新日 : 2024年12月3日
マイナポータル連携の確定申告のやり方は?事前準備からわかりやすく解説
マイナンバーカードを有効に活用する方法として、マイナポータル連携があります。確定申告をe-Taxで行う場合、画面上で多くの情報を入力しなければなりませんが、マイナポータル連携を利用することによって手間を削減できます。この記事では、マイナポータル連携のやり方について、わかりやすく解説します。
目次
「マネーフォワード クラウド確定申告」なら日々の取引入力→申告書の作成→申告作業が、オンラインで完結します。取引明細の自動取得と仕訳の自動作成に対応しており、手入力を減らしてカンタンに書類を作成。そのままスマホから提出することもできます。
PC(Windows/Mac)だけでなく、スマホアプリからも確定申告が可能です。
そもそもマイナポータル連携とは
マイナポータル連携とは、マイナンバーカードを活用した控除証明書等の自動入力のことです。マイナポータルサイトは、日本政府が運営するオンラインサービスの窓口で、行政手続を簡単に行ったり、税務署や市役所といった行政機関からの通知を確認したりできるWebサイトです。
マイナポータルサイトで提供される具体的なサービスには、次のものがあります。
- 手続の検索・電子申請
自治体が提供している行政機関の手続を検索できる
オンライン申請ができる - 自分の情報の確認
行政機関などが持っている自分の特定個人情報を確認できる - 行政からの通知確認
行政機関などから配信されるお知らせを確認できる - 行政機関とのやりとり履歴や外部サイト連携
今までの自分と自治体の情報のやり取りの記録を確認できる
登録により日本年金機構などの外部サイトへのログインが可能になる
所得税の確定申告作成において、マイナポータルサイトを介して情報を取得することを「マイナポータル連携」と言い、この連携によって申告書の各項目への自動入力が可能になります。
マイナポータル連携を活用し電子申告することで、確定申告書の作成における入力の手間を省いて簡単に済ませることが可能です。
マイナポータル連携で確定申告書に自動入力できる情報
マイナポータル連携により、確定申告書で自動入力ができる情報について解説します。
なお、マイナポータル連携で取得できる情報のうち、一部の情報については、民間送達サービスを利用する必要があります。民間送達サービスとは、従来は紙で郵送されてきた書類などを、電子的に受け取る仕組みを提供するサービスのことです。インターネット上に自分用の受け渡しポストを作り、外部からの控除情報を受け取ることができます。民間送達サービスにはe-私書箱、民間送達・e-Tax連携サービス、My Postなどがあります。
医療費通知情報
医療費通知情報が必要となるのは、医療費控除を受ける場合です。毎年原則2月9日以降に、前年の1月〜12月以降の保険診療分の医療費の情報を一括で取得できます。
連携の概要については、次のとおりです。
- 健康保険組合や医療機関が管理する医療費情報をマイナポータル側に提供します。この医療費情報は、医療機関等から審査支払機関に出された診療調剤報酬明細書から抽出されています。
- 納税者はマイナポータル上で、医療費控除に関するデータを取得することができます。
ふるさと納税の寄附金控除に関する証明書
寄附金の控除証明書が必要となるのは、ふるさと納税(寄付金控除)を受ける場合です。控除証明書等の発行自治体やふるさと納税支援サイトがマイナポータル連携に対応していることが必要です。
連携の概要については、次のとおりです。
- 自治体等では寄付者の寄付情報を管理しており、マイナポータル側に寄付金受領情報を提供します。
- 納税者はマイナポータル上で、民間送達サービスを経由してふるさと納税に関するデータを取得することができます。
生命保険料控除証明書
生命保険料控除証明書の取得もマイナポータル連携で可能です。証明書の電子データ発行が可能な保険会社かを確認して、マイナポータル連携により、民間送達サービス経由で控除データを取得することができます。
参考:マイナポータル連携可能な控除証明書等発行主体一覧|国税庁
地震保険料控除証明書
地震保険料控除についても、生命保険料控除と同様、マイナポータル連携で民間送達サービス経由によりデータ取得が可能です。損害保険会社が共同で開発したオンラインサービスなどを経由します。
社会保険料(国民年金保険料・国民年金基金掛金)控除証明書
国民年金保険料については、マイナポータルの「お知らせ」で日本年金機構からの電子データを受け取れる電子送付サービスがあります。サービスを受けるためには「ねんきんネット」の利用登録が必要です。
また、国民年金基金の掛金についての納付証明は、「国民年金基金オンライン手続きサービス」の利用登録後に、e-私書箱という民間送達サービスを介してマイナポータル連携が可能です。
参考:確定申告に必要な通知書をマイナポータルで受け取る|日本年金機構、国民年金基金オンライン手続きサービス|国民年金基金
iDeCo・小規模企業共済等の掛金控除証明書
マイナポータル連携により、iDeCo(個人型確定拠出年金の掛金)や、小規模企業共済法に規定された共済契約に基づく掛金の情報を取得できます。
iDeCoの場合は、「iDeCoオンライン手続きサービス」の利用登録後に、民間送達サービスを介してマイナポータル連携が可能です。小規模企業共済等掛金については、各発行主体にご確認ください。
住宅ローン関連の控除証明書【税額控除】
電子申告による確定申告書の作成時に、住宅借入金等特別控除額の計算明細書の「控除証明書についてe-Taxによる交付を希望します」欄を選択しe-Taxで送信すると、「e-Taxホームページ」にて住宅ローンの控除証明が確認できます。年末残高等証明書については各金融機関等にご確認ください。
給与所得の源泉徴収票
給与所得の源泉徴収票のデータ取得については、勤務先が税務署にe-Taxやクラウドにて「給与所得の源泉徴収票」を税務署に提出していること等が前提になります。まずは、勤務先に確認しましょう。
マイナポータルとe-Taxの連携およびe-Taxマイページで「e-Taxからの情報取得を希望する」などの登録をすると、源泉徴収票情報を取得できます。
参考:給与所得の確定申告がさらに簡単に!【利用者用ページ】|国税庁
公的年金等の源泉徴収票
公的年金等の発行主体がマイナポータルに連携していれば、公的年金等のデータ連携も可能です。日本年金機構の発行する「公的年金等の源泉徴収票」については、「ねんきんネット」との連携を行うと、マイナポータルサイトにお知らせが届きます。
参考:確定申告に必要な通知書をマイナポータルで受け取る|日本年金機構
株式の特定口座年間取引報告書
マイナポータル連携のためには、契約している控除証明書等の発行主体となる証券会社等がマイナポータル連携に対応していることが前提となります。マイナポータル連携で民間送達サービス経由により特定口座年間取引報告書のデータが取得可能です。
マイナポータル連携で確定申告書を作成するメリット
マイナポータル連携を部分的にでも行うことによって、確定申告書に入力する手間を省けるだけでなく、他にも種々のメリットがあります。一度にすべてを連携できなくても、毎年少しずつ充実させていく方法もあります。
医療費の計算や領収書の収集が不要になる
医療費控除に係る情報は家族分を入力することもあるため、多くのデータを処理することになります。医療費控除の明細書は、医療を受けた人ごと、医療機関ごと、医療費の区分ごとに必要となるため、データで一括取得すると大幅な時短になるでしょう。
控除証明書などの書面の保管が不要になる
基本的には、マイナポータル連携で取得した電子データは公的に認められた取得方法によるものなので、書面の控除証明書と同じ効力を持ちます。したがって、理論上は保管不要になりますが、一定期間(確定申告期限等から5年を経過する日)は書面の控除証明書を保管しておくことをおすすめします。
作成した確定申告書をe-Taxで送信できる
マイナポータル連携で取得した情報はe-Taxの各項目に反映されるので、そのままe-Taxにて電子申告することが可能です。電子申告は、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」やe-Tax、または申告用ソフトなどから送信することができます。
令和6年分の確定申告からはスマホ用電子証明書にも対応
従来、スマホで確定申告をする場合は、その都度マイナンバーカードの読み取りが必要でした。令和7年1月からは「スマホ用電子証明書」の利用によりマイナンバーカードを読み取らなくても、申告書の作成もe-Tax送信ができるようになります。
ただし、今のところAndroidのスマホでのみ利用できるようです。限定的にはなりますが、スマホでの確定申告をよりやりやすくするツールになりそうです。
参考:令和6年分の確定申告はスマホとマイナポータル連携でさらに便利に!|国税庁
マイナポータル連携で確定申告書を作成するデメリット
マイナポータルサイトを開設すれば、そこに欲しい情報が揃っているわけではありません。それぞれの控除情報等によって取得する手続きが異なるため、連携により取得したいデータが多い人は、初めからすべてのデータをマイナポータル連携すると大変手間がかかります。
また、「外部サイトとの連携」が必要な生保、年金基金、ふるさと納税などの情報は、民間送達サービスとの連携が必要です。民間送達サービスと控除証明書発行主体の結びつけができて初めて連携が可能となります。
マイナポータルサイト、e-Tax、控除証明書発行主体、民間送達サービス、それぞれの指示に従い連携手続きを始めますが、パソコン等に不慣れな人にとっては、かえって手間がかかるでしょう。また、控除証明書等発行主体と民間送達サービスとを結びつけるまでに、日にちがかかる場合があります。
さらに、各自治体が運営する国民健康保険料については、控除証明書データは明示されておらず、すべての所得控除や税額控除についてマイナポータル連携ができているとは言えません。
したがって、パソコンや携帯電話に不慣れな人や、急いで確定申告したい人にはあまり向いていないと言えます。ただし、一度設定をしておくと、翌年からはスムーズに連携可能です。
マイナポータル連携による確定申告に必要なもの
ここで、マイナポータル連携に係る準備として必要なものを紹介します。
マイナンバーカード
自分自身のマイナンバーカードが必要です。マイナンバーカードについては、電子証明書の有効期限が5年のため有効期限を確認しておきましょう。
マイナンバーカード読取対応のスマホ
マイナンバーカードを読み取るためのスマホが必要となりますが、ICカードリーダライタがあれば問題ありません。また、マイナンバーカード対応するスマホであるかどうかは、下記でご確認ください。
参考:マイナポータルアプリに対応しているスマートフォン等を教えてください。|マイナポータル
マイナンバーカードのパスワード
確定申告においては、マイナンバーカードについて、次のパスワードの準備が必要です。
- 署名用電子証明書のパスワード(6-16桁の英数字)
本人確認や電子署名に利用します。 - 利用者証明用電子証明書のパスワード(4桁の数字)
e-Tax等のログインに利用します。
これらのパスワードを忘れてしまった場合には、住民票がある市役所等でパスワード再設定の手続きを行います。また、「スマホ用利用者証明用電子証明書パスワード」(4桁の数字)もあるため、スマホ用電子証明書利用の際には注意して保管しておきましょう。
参考:マイナポータルと連携した所得税確定申告手続|国税庁、「マイナポータル連携に係る事前準備(全体図)」
マイナポータル連携による確定申告のやり方
マイナポータル連携による確定申告に必要なものが準備できたら、この連携を利用した手順で確定申告の送信まで進めましょう。なお、全体の概要図は以下のとおりです。
【マイナポータル連携概要図】
参考:医療保険情報取得API|マイナポータル、マイナポータルと連携した所得税確定申告手続|国税庁、「マイナポータル連携に係る事前準備(全体図)」
マイナポータルの利用者登録を行う
まずは、マイナポータルで利用者登録をします。スマホまたはパソコン等で「マイナポータル」にアクセスし、画⾯案内に従って利用者登録をします。
マイナポータルへログインするには、数字4桁の利用者証明用電子証明書のパスワードを⼊⼒します。スマホの場合はスマホ裏⾯(カメラ側)にマイナンバーカードをかざして読み取ることでログインすることが可能です。
確定申告の事前準備ページで取得したい証明書等を選択する
マイナポータルの「確定申告の事前準備」ページで、マイナポータル連携により取得したい証明書等および証明書等を発行する企業を選択します。
マイナポータルとe-Taxを連携する
マイナポータルとe-Taxを連携します。マイナンバーカードを使ってマイナポータルにログインして、マイナポータルの「外部サイトとの連携」で初期設定をします。
マイナポータルと民間送達サービスを連携する
取得したい証明書等の種類に応じて、マイナポータルと民間送達サービスを連携します。さらに、ねんきんネット等も連携します。連携したい情報ごとに、マイナンバーカードによる本人認証が必要です。
民間送達サービスで証明書等を発行する企業と連携する
まずは、証明書を発行する企業サイトで利用者登録や電子交付への同意をします。登録時には、契約中の証券番号等が必要となり、証明書の情報が電子交付されるまでには数日かかることもあります。
次に、民間送達サービスと証明書を発行する企業の連携をします。こちらも証明書の取得までに時間がかかることがあります。
e-Taxのマイページで情報取得希望の登録を行う
e-Taxのマイページで「e-Taxからの情報取得を希望する」を登録し、パスワードを入力すると、「給与所得の源泉徴収票」などの情報も得られます。
e-Taxで確定申告書を送信する
e-Taxにおいて、マイナポータル連携の選択画面が出てきたら、「マイナポータルと連携する」を選んで進みます。連携されたデータを確認して確定申告書等を作成し、送信します。
なお、下記サイトでもe-Taxの詳細を説明していますので、ぜひご参照ください。
確定申告でマイナポータル連携しないとどうなる?
確定申告書に記載する情報については、マイナポータル連携をせずに書類や証明書などで確かめて従来どおりに入力すれば問題ありません。確定申告を電子申告で行った上で、生命保険料控除などの添付資料を書面で別途送付しても構いません。
さらに、確定申告書を書面で提出しても、影響を受ける青色特別控除額がなければ税額は同じです。
マイナポータル連携をするには、それぞれの連携先を登録する手間がかかります。急いで確定申告書を作成したいときは、確定申告書の諸項目に手入力しても問題はありません。しかし、一度マイナポータル連携した場合は、外部との連携も保たれるため、スピーディーに確定申告書を作成できます。
マイナポータルは少しずつ連携しよう!
マイナポータル連携を上手に利用して、時間のかかる確定申告の入力をスピーディーに終わらせられれば非常に便利です。
しかし、複雑な所得税の仕組みに合わせたデータ連携なので、連携すべき箇所が非常に多く、初回は外部との連携が確立するのに時間がかかります。利用者の操作性を踏まえると、マイナポータル連携は今後に期待すべきことが多くあると言えるでしょう。
一方、家族の医療費控除情報や源泉徴収票といった項目の多いデータが一括で連携できるのは非常に便利です。毎年少しずつマイナポータル連携を増やしていくぐらいの気持ちで取り組まれてはいかがでしょうか?
マネーフォワード クラウド確定申告の導入事例
データ連携機能を使って、銀行やクレジットカードの明細データを自動で取り込むようになってからは、会計ソフトへの入力作業が減ったので、作業時間は1/10くらいになりましたね。
ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
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