- 更新日 : 2024年10月29日
少額減価償却資産の特例が個人事業主にもたらすメリットは?
2025年(令和7年)提出 確定申告まとめ
▽まずはこの記事から
初心者から経験者まで、毎年多く読まれている記事です。確定申告の必要性、やり方、簡単に済ます方法についてまるっと解説しています。
個人事業主が30万円未満の減価償却資産を購入した場合、一定の要件を満たせば「少額減価償却資産の特例」が適用され、取得価額の相当額を費用・損金処理することができます。
この記事では少額減価償却資産の特例の対象や償却方法を個人事業主向けに解説します。
目次
少額減価償却資産の特例とは?
少額減価償却資産の特例とは個人事業主を含む中小企業等を対象に、30万円未満の減価償却資産を購入後に一定の条件を満たせば取得価額すべてを経費として即座に算入することが認められている制度です。
たとえば、事業年度末に減価償却資産を取得した場合、通常は1ヶ月分しか減価償却費を計上できません。しかし、少額減価償却資産の特例を利用すれば、たとえ事業年度末だったとしても、全額を経費処理できるわけです。
通常、個人事業主が事業用に購入した減価償却資産は、固定資産として計上します。それらは、法定の使用可能期間をもとに分割して減価償却されます。
また、20万円未満の減価償却資産の場合には、全額損金算入または3年で均等償却できる制度があります。
注意点として、減価償却資産は取得した年に実際に使用を開始したものに限られ、この制度の適用を受けるためには、確定申告書に少額減価償却資産の取得価額に関する明細書を添付することが必要です。
少額減価償却資産の特例の適用期限
少額減価償却資産の特例の適用期限は2026年3月31日までとなっています。
少額減価償却資産の特例の適用対象
「少額減価償却資産の特例」の対象となるのは、以下のとおりです。
- 青色申告をしている個人事業主・中小企業
- 従業員が500名以下の中小企業 ※出資金等が1億円を超える組合は300名以下
個人事業主(フリーランスを含む)の場合は、青色申告をしていることが条件です。白色申告をしている個人事業主適用されません。
少額減価償却資産の特例の適用に必要な手続き
個人事業主の場合は、青色申告決算書の「減価償却費の計算」の「摘要」欄に「措法 28 の2」と記載する必要があります。
法人の場合は、法人税の確定申告書に別表(少額減価償却資産の取得価額に関する明細書)と適用額明細書を添付する必要があります。
少額減価償却資産の取得価額に関する明細書の書き方は国税庁が公開するPDFファイルで解説されています。
適用額明細書も国税庁の公式サイトからダウンロードが可能です。
「少額減価償却資産の特例」の対象となる資産
「少額減価償却資産の特例」の対象となるのは、新品・中古にかかわらず、その取得価格が30万円未満の減価償却資産です。
機械や装置、工具、器具について、1台または1個ごと、あるいは1そろいごとに、取得価格が30万円未満かどうかを判断します。
消費税については、税込みで会計処理をしている課税事業者は税込みで、税抜きで処理している事業者は税抜きで判定します。
消費税が免税されている事業者の場合には、税込みで30万円未満かどうかを判断することになっています。
「少額減価償却資産の特例」の上限
「少額減価償却資産の特例」は、事業年度中に購入した少額減価償却資産の取得価額をすべて合わせて300万円までが対象となります。
事業年度が1年に満たない場合には、300万円を12で割り、その事業年度の月数を掛けた金額が上限となります。
少額減価償却資産の償却方法の違いについて
償却資産の償却方法は、取得価額ごとに決められています。どのような償却資産でも申告が必要です。
詳しくは下記の表をご参照ください。
償却資産 | 少額減価償却資産 | 一括償却資産 | 少額減価償却資産の特例 |
---|---|---|---|
資産の取得価額 | 10万円未満 | 20万円未満 | 30万円未満 |
経費処理可能な金額 | 全額可能 | 取得価額の1/3 | 300万円以下なら全額可能 |
経費処理の有無 | 必要 | 必要 | 必要 |
確定申告時の明細書 | 不必要 | 必要 | 必要 |
固定資産税の有無 | 非課税 | 非課税 | 課税(資産の課税対象額が150万円以上の場合) |
取得価額が10万円未満の償却資産の場合
「少額減価償却資産」と呼ばれ、対象者を限定せず、取得価額全額を損金算入できます。
取得価額が20万円未満の償却資産の場合
「一括償却資産」と呼ばれ、これも特に対象者を限定せず、事業年度ごとにその取得価額の全部または一部を3年間で均等に償却できます。
取得価額が30万円未満の償却資産の場合
先に述べている「少額減価償却資産の特例」のとおり、全額償却できる対象者が限られています。
特例を使って全額を経費処理した場合、対象となった償却資産は固定資産台帳に記載する必要があり、固定資産税(都・市町村)の課税対象となるのでご注意ください。
しかし、償却資産の合計額が150万円未満の場合には固定資産税は課税されません。
マネーフォワード クラウド確定申告では、個人事業主やフリーランスの方が知っておきたい"経費"のキホンや勘定科目を分かりやすく1つにまとめた「個人事業主が知っておくべき経費大辞典」を無料で用意しております。
税理士監修で、経費の勘定科目や具体例だけでなくワンポイントアドバイスもついているお得な1冊となっていますので、ぜひ手元に置きたい保存版としてご活用ください。
個人事業主が少額減価償却資産の特例を適用するメリット
個人事業主が少額減価償却資産の特例を適用するメリットは、即座に経費として計上できる点です。
利益が多い年度であれば、減価償却をせずに一括で経費として計上してしまうことで、その年度に支払う税金を抑えることができます。
少額減価償却資産の特例の恩恵を活用しよう
「少額減価償却資産の特例」には、個人事業主ならではのメリットがあります。
しかし、確定申告における明細書の添付や市区町村への償却資産の申告といった手続きが必要になります。
とはいえ、個人事業主にとって節税の大きな味方となる制度です。償却資産を購入予定の個人事業主、中小企業経営の方は、ぜひこの特例を有効活用してください。
はじめての確定申告もラクラク安心に済ませる方法
確定申告がはじめての方や、簿記の知識に不安がある方、確定申告書類の作成を効率よく行いたい方は、確定申告ソフトの使用がおすすめです。
個人事業主向け会計ソフトの「マネーフォワード クラウド確定申告」は、確定申告の必要書類が自動作成でき、Windows・Macはもちろん、専用アプリも提供しています。
①取引明細は自動で取得
銀行口座やカードを登録すると、取引明細を自動取得します。現金での支払いに関しても、家計簿のようなイメージで、日付や金額などを自分で入力することが可能です。
②仕訳の勘定科目を自動提案
自動取得した取引明細データや、受領後にアップロードした請求書・領収書などの情報をAIが判別し、仕訳を自動で入力します。学習すればするほど精度が上がり、日々の伝票入力が効率化されます。
③確定申告必要書類の自動作成機能
白色申告・青色申告の両方に対応しており、確定申告に必要な書類が自動で作成できます。また、マネーフォワード クラウド確定申告アプリで、スマホから直接の提出も可能です。印刷しての提出やe-Taxソフトでの提出にも対応しています。
追加料金なしで確定申告以外のサービスが使える
有料プラン(パーソナルミニ・パーソナル・パーソナルプラス)に登録すると、基本料金だけで請求書や契約のサービスを含む11サービスを利用することができます。日々の業務や作業をまとめて効率化しましょう。
合わせて読みたいおすすめ資料
マネーフォワード クラウド確定申告では、さまざまなお役立ち資料を用意しています。 無料登録するだけで資料がダウンロード可能なので、ぜひ読んでみてください。会社員の確定申告 丸わかりガイド
青色申告1から簡単ガイド
個人事業主が知っておくべき経費大辞典
マネーフォワード クラウド確定申告の導入事例
データ連携機能を使って、銀行やクレジットカードの明細データを自動で取り込むようになってからは、会計ソフトへの入力作業が減ったので、作業時間は1/10くらいになりましたね。
ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
もっと読む※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
確定申告の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
保険の節税効果とは?個人事業主と法人が節税に活用できる保険まとめ
保険は、非常事態の備えとして必要です。でも、いざというときにしか使えないと思っていませんか?実のところ保険は、節税にも一役買っています。 控除とは、課税所得から差し引くことが認められたもので、保険料はこの対象になることがあります。つまり、課…
詳しくみる確定申告の時期に“引越し”で住所変更 提出先はどこ?必要書類や注意点も解説!
個人事業主が提出する所得税や消費税の確定申告書には、納税者本人の住所を記載する欄があります。所得税であれば「現在の住所」欄、消費税であれば「納税地」欄がそれにあたります。住所や納税地は、所得税や消費税を納税する税務署の判定だけではなく、住民…
詳しくみる確定申告がわかるおすすめの本をご紹介
確定申告は資金的に余裕があれば税理士に頼んで作成してもらうこともできますが、まだそれほど規模が大きくない個人事業主やフリーランスの確定申告は、自分で行なわなければなりません。 そんな時にサポートしてくれる本があれば、難しいと思っていた確定申…
詳しくみる震災特例法の控除をわかりやすく解説
平成23年3月11日、我が国は震災により甚大な被害がもたらされました。あまりにも悲劇的な東日本大震災の実情に対し、同年4月27日に東日本大震災の被災者等による負担の軽減を図るため、急遽、所得税法その他の国税関係法律の特例を定めた「東日本大震…
詳しくみる分離課税は確定申告したほうが得?「申告分離課税」と「源泉分離課税」について解説
分離課税には「源泉分離課税」と「申告分離課税」があり、「申告分離課税」では、一部の所得に関して他の所得とは別に各所得区分で税額を計算し確定申告を行います。 「申告分離課税」の税率は、所得税の計算で原則使用することになっている税率よりも低い場…
詳しくみる個人事業主・フリーランスが抑えておきたい経費計上4つのポイント(節税シミュレーション付き)
はじめに 組織や場所に捉われず、働き方の多様化が進む昨今、フリーランス、ノマドという言葉をよく耳にするようになり、そういった働き方をされる人も実際増えているようです。 しかし、企業に属していないが故に、税金の支払いや確定申告など、ご自身でや…
詳しくみる