- 更新日 : 2022年3月30日
個人事業主の退職金制度を知ろう
2025年(令和7年)提出 確定申告まとめ
▽まずはこの記事から
初心者から経験者まで、毎年多く読まれている記事です。確定申告の必要性、やり方、簡単に済ます方法についてまるっと解説しています。
フリーランスとして働く人が増えているなか、個人事業主の退職金制度について知りたい人も多くなっているのではないでしょうか。
中には、「個人事業主には退職金が出ない」と考えている人も多いと思いますが、個人事業主でも退職金を用意することができます。経営不振による廃業や健康的な問題でやむなく仕事ができなくなるリスクもありますので、きちんと退職金制度について知っておくようにしましょう。
「マネーフォワード クラウド確定申告」なら日々の取引入力→申告書の作成→申告作業が、オンラインで完結します。取引明細の自動取得と仕訳の自動作成に対応しており、手入力を減らしてカンタンに書類を作成。そのままスマホから提出することもできます。
PC(Windows/Mac)だけでなく、スマホアプリからも確定申告が可能です。
個人事業主の退職金制度について
個人事業主でも、退職金制度を用意することはできます。いくつか制度がありますので、それらを見ていきましょう。
小規模企業共済制度
この制度は、常時従業員を20名以下雇用している個人事業主や会社の役員などが加入できる制度です。国が昭和40年に発足したもので、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営しているため、安心して加入することができる制度です。
毎月1,000円〜70,000円の掛金を、500円単位で選び、退職金を積み立て、廃業時などに受け取ることができます。
途中で減額したり増額したり、前払いすることもできますので、将来的に経営に不安があったとしても、安心して加入することができる制度です。
特定退職金共済
各地の商工会議所などで運営している退職金共済制度です。商工会議所によって制度の細かな内容は変わりますが、毎月掛金を掛けることで、退職金を準備します。
また、掛金にかかった金額を経費や損金として計上でき、非課税で支払うことができるといったメリットもあります。過去10年までさかのぼって支払うこともできますので、長年個人事業主として働いてきた方も、今から退職金を準備することができます。
加入する際には年齢制限などがある場合もありますが、基本的には誰でも加入でき、従業員を加入させることもできることがほとんどです。個人事業主として加入したい場合や、雇用している人に退職金を用意したい人にもおすすめの共済制度ですので、一度、地域の商工会議所に相談してみてはいかがでしょうか。
上記では具体的な共済制度を紹介しました。しかし、中でも小規模企業共済は、受け取る理由で共済金の種類が変わりますので、注意しておきましょう。
例えば、廃業したり死亡したりした場合に受け取る共済は「共済金A」と呼ばれます。死亡時には、家族である配偶者や子、孫や祖父母などが請求することもできる共済金です。
個人事業主は、定年というものが実質無い人も多いのではないでしょうか。中には、世間一般的な定年である65歳を過ぎても、働いている人もいます。
それでも、以前のようにはバリバリ働けないという現状に悩んでいる人もいることでしょう。そんな人が受け取れるのが、「共済金B」で、満65歳以上、掛金の払込が180ヶ月以上の場合は、働きながら老齢給付を受け取ることができます。
最後にあげるのが、「準共済金」です。配偶者や子に事業を譲渡した場合、12ヶ月以上の掛金の納付をしていれば、受け取ることができる共済金です。
共済金は、自らが掛金を支払うことで受け取ることができます。そのため、掛金の額、共済金の種類によって、受け取ることができる共済金額が変わります。
小規模企業共済の税金面でのメリット
小規模企業共済のメリットは、退職金を受け取れるということだけではありません。
参考:事業主向けの退職金共済|川越商工会議所(掲載当時)
上記の表には、所得税と住民税の税額が記載されています。
一般的に、所得がある場合、所得税と住民税を支払わなければいけません。しかし、掛金を払い込むことで、その掛金の全額が所得控除の対象となり、結果、節税することができるのです。
例えば、所得が400万円あり、毎月1万円の掛金を支払っていた場合は、36,000円の節税が可能になります。掛金が大きくなればなるほど、所得が多くなればなるほどこの節税額は大きくなり、所得が1,000万円、毎月の掛金が70,000円の場合には、約36万円の節税ができることになるのです。
年間に数万円の節税ですが、これが毎年積み重なれば大きなものになります。
また、共済金を受け取る際にも、節税することが可能です。共済金を一括で受け取る場合には退職所得扱いになり、分割で受け取る場合には公的年金等の雑所得扱いとなります。
受け取るときにも退職所得控除などの対象となりますので、共済金をかけていれば、事業を営んでいる最中にも、退職してからも、2回に渡って節税効果を得ることができるのです。
マネーフォワード クラウド確定申告では、個人事業主やフリーランスの方が知っておきたい"経費"のキホンや勘定科目を分かりやすく1つにまとめた「個人事業主が知っておくべき経費大辞典」を無料で用意しております。
税理士監修で、経費の勘定科目や具体例だけでなくワンポイントアドバイスもついているお得な1冊となっていますので、ぜひ手元に置きたい保存版としてご活用ください。
その他のメリット
個人事業主の退職金として小規模企業共済制度に加入することは、節税のメリットだけではありません。
掛金を払い込むと、その掛金の範囲内ではありますが、事業資金等の貸付を、無担保、無保証人で受けることができるのです。この共済制度は国が運営しているものですので、信用度が高く、法人よりも資金調達が難しい個人事業主にとって、強い味方となってくれるでしょう。
そして、この制度で受け取ることのできる共済金額は、掛金納付月数によっても違います。毎月1万円を納付していた場合には、5年の納付月数では、共済金Aは約62万円ですが、納付月数が30年の場合には、約430万円となります。
また、受取方法も一括と分割の2種類があり、退職後のライフスタイルに合わせて受け取ることが可能です。ただし、同条件では受取金額に差がでますので、注意してください。
同条件で、一括受取の場合は603万円ですが、それを10年分割受取にした場合は約630万円、15年分割受取にした場合は約651万円と、分割で受け取った場合のほうが、受取額がアップします。
まとめ
個人事業主は、自分が働くことをやめてしまうと、無収入になるというリスクがあります。
退職金というと、健康的に高齢まで働いてもらうものというイメージもありますが、途中で働けなくなる将来のリスクをしっかりと認識しておきましょう。その上で、制度の概要をきちんと把握し、堅実に無理がない方法で掛金を選ぶなど、計画的に制度を利用していきましょう。
関連記事
・退職金制度はどうやってつくる・廃止するのか 制度比較や注意点を詳細解説
・経営者の救世主!?「小規模企業共済」とは
・個人事業主は知っておきたい福利厚生費の活用
はじめての確定申告もラクラク安心に済ませる方法
確定申告がはじめての方や、簿記の知識に不安がある方、確定申告書類の作成を効率よく行いたい方は、確定申告ソフトの使用がおすすめです。
個人事業主向け会計ソフトの「マネーフォワード クラウド確定申告」は、確定申告の必要書類が自動作成でき、Windows・Macはもちろん、専用アプリも提供しています。
①取引明細は自動で取得
銀行口座やカードを登録すると、取引明細を自動取得します。現金での支払いに関しても、家計簿のようなイメージで、日付や金額などを自分で入力することが可能です。
②仕訳の勘定科目を自動提案
自動取得した取引明細データや、受領後にアップロードした請求書・領収書などの情報をAIが判別し、仕訳を自動で入力します。学習すればするほど精度が上がり、日々の伝票入力が効率化されます。
③確定申告必要書類の自動作成機能
白色申告・青色申告の両方に対応しており、確定申告に必要な書類が自動で作成できます。また、マネーフォワード クラウド確定申告アプリで、スマホから直接の提出も可能です。印刷しての提出やe-Taxソフトでの提出にも対応しています。
追加料金なしで確定申告以外のサービスが使える
有料プラン(パーソナルミニ・パーソナル・パーソナルプラス)に登録すると、基本料金だけで請求書や契約のサービスを含む11サービスを利用することができます。日々の業務や作業をまとめて効率化しましょう。
合わせて読みたいおすすめ資料
マネーフォワード クラウド確定申告では、さまざまなお役立ち資料を用意しています。 無料登録するだけで資料がダウンロード可能なので、ぜひ読んでみてください。会社員の確定申告 丸わかりガイド
青色申告1から簡単ガイド
個人事業主が知っておくべき経費大辞典
マネーフォワード クラウド確定申告の導入事例
データ連携機能を使って、銀行やクレジットカードの明細データを自動で取り込むようになってからは、会計ソフトへの入力作業が減ったので、作業時間は1/10くらいになりましたね。
ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
もっと読む※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
確定申告の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
退職の関連記事
新着記事
個人事業主は労働基準法が適用される?労働時間のルールや判断基準を解説
労働基準法は、労働者を守る法律です。原則として、個人事業主には労働基準法が適用されませんが、例外として適用されることもあります。個人事業主に労働基準法が適用される場合の判断基準や適用される場合の個人事業主の権利、個人事業主を保護する法律につ…
詳しくみる個人事業主は賃貸物件を借りられる?審査に通過するポイントも解説
個人事業主は、賃貸物件を借りるのが難しいといわれることがあります。実際に審査で落ちることもありますが、なぜ個人事業主は賃貸物件を借りるのが困難なのでしょうか。個人事業主が賃貸物件を借りるために押さえておくべきポイントや必要書類、事務所を開設…
詳しくみる個人事業主は消費者金融で融資を受けられる?デメリットや注意点も解説
個人事業主は、ビジネスローンやカードローンなどの消費者金融の融資を利用できます。ただし、融資を受けるには審査を通過する必要があるため、必ず借りられる訳ではありません。個人事業主が消費者金融で融資を受けるメリットやデメリットについて紹介します…
詳しくみる個人事業主がAmazonビジネスを利用するメリットは?必要書類や登録手順も解説
Amazonビジネスは、法人や個人事業主の購入者向けに拡充されたサービスです。個人のアカウントとは、ビジネスに特化している点で違いがあります。個人事業主がAmazonビジネスを利用するメリットは何か、登録時の必要書類や登録の手順もあわせて紹…
詳しくみる個人事業主が軽バンリースをするメリットは?黒ナンバーや審査についても解説
個人事業主が事業用に車を取得する方法として、カーリースを利用する方法もあります。自動車を購入するのではなく、カーリースを利用することにはどのようなメリットがあるのでしょう。個人事業主が軽バンをリースするメリットやデメリット、カーリース利用時…
詳しくみる個人事業主が妻を従業員として雇う手続きは?節税メリットや注意点も解説
個人事業主が妻を従業員として雇う場合、給与について問題になる可能性があります。妻を雇う場合、個人事業主の確定申告にどのような影響があるのでしょうか。個人事業主が妻を雇う場合の手続きや給与をいくらまで経費にできるのか、生計を一にしない家族の取…
詳しくみる