- 更新日 : 2022年2月22日
認定住宅新築等特別税額控除とは?計算式と必要書類
認定住宅新築等特別税額控除とは、住宅ローンを組んでいなくても利用できる税金の優遇制度です。適用できれば納める税金を数十万単位で減らすことができます。適用要件や必要書類などをチェックし、住居が制度の対象になるかどうか確認してみてください。
当記事では認定住宅新築等特別税額控除の概要や適用要件、控除額の計算例、必要書類を解説します。
目次
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認定住宅新築等特別税額控除とは
認定住宅新築等特別税額控除とは、国が定める「認定長期優良住宅」や「認定低炭素住宅」といった認定住宅を個人が新築・購入等した場合に、その住宅の面積に応じた金額を控除できる制度です(認定低炭素住宅は平成26年4月1日以降に住んだ場合のみ)。
所得税控除ではなく税額控除に該当するため、所得から算出した税額から控除額を直接差し引けます。例えば、納める所得税額が100万円で控除額が65万円の場合は、実際に納める税金を35万円まで減らすことが可能です。
また、控除しきれなかった金額がある場合は、その金額分を翌年の所得税額から控除できます。所得税額が50万円で控除額が65万円なら、控除できなかった15万円分だけ次の年の税金が安くなります。
以下では認定長期優良住宅と認定低炭素住宅の概要をみていきましょう。
認定長期優良住宅
「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に規定された条件を満たす住宅のこと。人が安全に長く住めることを目的とし、バリアフリー性や省エネルギー性、耐震性、一定以上の面積などの要件を満たしている。
認定低炭素住宅
「都市の低炭素化の促進に関する法律(エコまち法)」に規定された条件を満たす住宅のこと。二酸化炭素排出を抑制する措置が施された住宅の新築や増築、修繕、空気調和設備の設置などの要件を満たしている。また、同法規定の「低炭素建築物とみなされる特定建築物」に該当している。
住宅ローンを組まないと使えない「住宅借入金等特別控除(以下、住宅ローン控除)」と違い、ローンを組んでいなくても適用できるのが利点です。ただし、控除額を繰り越さない限り、適用した年のみの控除適用になります。
なお、控除できるのは所得税のみで、住民税には影響がありません。
認定住宅新築等特別税額控除の適用要件
認定住宅新築等特別税額控除を適用するには、適用要件をすべて満たした上で確定申告を行う必要があります。
主な適用要件
自宅が認定住宅として認められた場合、以下6つの適用要件をすべて満たすことで認定住宅新築等特別税額控除が受けられます。
床面積の広さは、マンションの場合は「登記簿上の専有部分」、店舗や事業所との併用の場合は「店舗や事務所を含めた建物全体の床面積」、夫婦や親子などで共有する住宅の場合は「ほかの人の共有持分を含めた建物全体の床面積」で判断します。
住宅ローン控除とは併用できない
認定住宅新築等特別税額控除は住宅ローン控除と併用できません。両方とも適用できる場合は、どちらを使うのか事前に選択します。ただし、選択後の変更はできないので注意しましょう。
住宅ローン控除とは、個人が住宅ローンを組んでマイホームの新築や購入、増築などを行ったとき、一定の要件を満たすことで「住宅ローン等の年末残高をもとにした金額」を、所得税額から控除できる制度です。
認定住宅で住宅ローン控除を適用する場合、一般住宅よりも控除額の上限が10万~20万円ほど高くなります。住宅ローン控除と認定住宅新築等特別税額控除のどちらが節税になるのかを考えて選択しましょう。
認定住宅新築等特別税額控除の計算方法
認定住宅新築等特別税額控除の金額は、住宅に住んでいた期間によって限度額や計算式が変わります。
計算式や詳細は次のとおりです。
<令和2年1月1日以後に住んだ場合>
- 1㎡当たりに定められた金額4万5,300円×認定住宅の床面積
- 認定長期優良住宅と認定低炭素住宅のどちらも対象
- 構造は問わない
<平成26年4月1日~令和元年12月31日までに住んだ場合>
- 1㎡当たりに定められた金額4万3,800円×認定住宅の床面積
- 認定長期優良住宅と認定低炭素住宅のどちらも対象
- 構造は問わない
<平成21年6月4日~平成26年3月31日までに住んだ場合>
- 1㎡当たりに構造ごとに定められた金額(以下の表を参照)×認定住宅の床面積
- 長期優良住宅のみ対象
構造の区分 | 1㎡当たりの金額 |
---|---|
・木造 ・鉄骨造 | 3万3,000円 |
・鉄骨鉄筋コンクリート造 ・鉄筋コンクリート造 | 3万6,300円 |
上記以外の構造 | 3万3,000円 |
また、控除できる額は年度ごとに限度が定められています。認定住宅の認定基準に適合するために必要となる「標準的なかかり増し費用の10%」です。具体的には次のとおりです。
住んでいた年 | 限度額 (標準的なかかり増し費用) | 控除率 |
---|---|---|
平成21年6月4日から 平成23年12月31日まで | 1,000万円 | 10% (最大100万円) |
平成24年1月1日から 平成26年3月31日まで | 500万円 | 10% (最大50万円) |
平成26年4月1日から 令和3年12月31日まで | 650万円 | 10% (最大65万円) |
同上で8%または10%の 消費税が含まれていない場合 | 500万円 | 10% (最大50万円) |
※控除額の100円未満は切り捨て
具体的な計算例をみていきましょう。
<計算の条件>
- 令和2年1月1日以降に居住開始
- 居住期間は平成26年4月1日から令和3年12月31日まで(8%と10%が含まれている場合)
- 床面積50㎡
- 所得税額50万円
計算したものは次のとおりです。
- 45,300円×50㎡=226万5,000円
- 限度額は650万円であるため、226万5,000円はそのまま
- 226万5,000円×10%=控除額22万6,500円
- 所得税額50万円-22万6,500円=27万3,500円
上記の条件の場合、22万6,500円の節税になります。
認定住宅新築等特別税額控除のための必要書類
認定住宅新築等特別税額控除のための必要書類は、次のとおりです。
- 認定住宅新築等特別税額控除の計算明細書
- 家屋の床面積が50㎡以上であることを証明する書類
- 「新築年月日または取得年月日」や「8%の消費税額」について証明する書類
- 認定住宅の区分に応じた書類
上記を揃えた上で、納税地の税務署へ提出します。期限は確定申告書の提出期限と同じです。ただし、会社の年末調整では手続きできないため注意しましょう。
認定住宅新築等特別税額控除額の計算明細書
認定住宅新築等特別税額控除額の計算明細書は、計算した控除額や認定住宅の面積、氏名などを記入する書類です。国税庁の公式サイトよりダウンロードできます。
<1枚目>
<2枚目>
前見出しの具体例を当てはめて記載したものが、以下になります。
共有者の氏名は、住宅が共有の場合のみ記入します。
①には住み始めた年月日、②には登記事項証明書に書いてある床面積、③にはそのうち居住用の床面積を記載します。⑤は住宅が共有のときのみ、あなたの持分を記入してください。
上記にはそれぞれの計算結果や確定申告書の税額を記入します。
家屋の床面積が50㎡以上であることを証明する書類
家屋の床面積が50㎡以上であることを証明する書類は「家屋の登記事項証明書」が当てはまります。最寄りの登記所やオンライン申請で手続きを行い入手してください。
「新築年月日または取得年月日」「8%の消費税額」について証明する書類
新築年月日や取得年月日、8%の消費税額などについて証明する書類は「工事請負契約書」や「売買契約書」が当てはまります。写しでも問題ありません。
認定住宅の区分に応じた書類
住宅が認定住宅であるかを証明するための書類も必要です。それぞれ見ていきましょう。
<認定長期優良住宅>
- その家屋に係る長期優良住宅建築等計画の認定通知書の写し
- 住宅用家屋証明書、もしくはその写し、または認定長期優良住宅建築証明書
<認定低炭素住宅>
- その家屋に係る低炭素建築物新築等計画認定通知書の写し
- 住宅用家屋証明書、もしくはその写し、または認定低炭素住宅建築証明書
<低炭素建築物とみなされる特定建築物>
- 特定建築物用の住宅用家屋証明書
認定住宅新築等特別税額控除で税金をお得にしよう!
認定住宅新築等特別税額控除を適用することで、数十万単位で支払う税金を減らせます。自宅が認定長期優良住宅や認定低炭素住宅、低炭素建築物とみなされる特定建築物のいずれかに該当していないか確認してみましょう。
適用する際は確定申告が必要です。確定申告の方法について詳しく知りたい場合は、以下の記事もぜひご覧ください。
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