- 更新日 : 2025年1月16日
青色申告と白色申告の違いは?メリットやどっちを選ぶべきかわかりやすく解説!
2025年(令和7年)提出 確定申告まとめ
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初心者から経験者まで、毎年多く読まれている記事です。確定申告の必要性、やり方、簡単に済ます方法についてまるっと解説しています。
確定申告で青色申告と白色申告のどっちを選択すべきか迷っている方も多いのではないでしょうか。青色申告を選択する場合、事前申請や複式簿記での記帳が必要ですが、最大65万円の青色申告特別控除が受けられるなどの節税メリットが受けられます。
この記事では、青色申告と白色申告の違いや、青色申告のメリットについて初心者の方にもわかりやすく解説します。
目次
そもそも確定申告とは
確定申告とは、1年間の売上から経費を差し引いた所得にかかる税金を計算し、正しく納税するための手続きのことです。
毎年、1月1日~12月31日の所得と税金を計算し、翌年の2月16日〜3月15日(祝休日の場合は翌日)に確定申告書を提出する必要があります。
個人事業主・自営業で確定申告が必要な場合
個人事業主・自営業でも、必ず確定申告が必要な訳ではありません。確定申告の対象となる人は、次の通りです。
- 所得の合計から所得控除を引いても残額がある
- 公的年金に関する要件を満たす など
サラリーマンで確定申告が必要な場合
また、サラリーマンで確定申告の対象となる人は、次の通りです。
青色申告と白色申告の違い
確定申告の方法には、青色申告と白色申告の2種類があります。確定申告の最初のステップとして、どちらの方法で申告するかを選択しなければなりません。
では、青色申告と白色申告にはどのような違いがあるのでしょうか。対象者(所得の種類)や事前申請、帳簿の記帳方法、提出書類、税制上の優遇措置について、それぞれ詳しく解説します。
① 対象者(所得の種類)の違い
青色申告と白色申告の対象者(所得の種類)の違いは、次の通りです。
青色申告の対象者
- 不動産所得、事業所得、山林所得がある人
- 青色申告の承認を受けた人
白色申告の対象者
青色申告の対象者に該当しない人
白色申告は原則的申告方法なので、青色申告の対象者に該当しない人は白色申告を選択することになります。
② 事前申請の違い
青色申告と白色申告は、事前申請が必要かどうかが異なります。
青色申告をするためには、事前に「開業届」と「青色申告承認申請書」を提出しなければなりません。「開業届」は、事業を開始した日(開業日)から1カ月以内に、管轄の税務署へ提出します。「青色申告承認申請書」は、青色申告の対象となる年の3月15日までに、管轄の税務署へ提出します。ただし、その年の1月16日以後に事業を開始した場合には特例があり、事業開始から2カ月以内であれば3月15日の期限を過ぎても提出が可能です。
「開業届」について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
「青色申告承認申請書」について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
一方、白色申告に事前申請は不要です。青色申告の事前申請が期限内にできなかった場合は、白色申告で確定申告をすることになります。
③ 帳簿の記帳方法の違い
青色申告と白色申告は、帳簿の記帳方法も異なります。
青色申告には、所得税の節税効果がある「青色申告特別控除」という特典が受けられますが、最大65万円の控除を受ける場合は、複式簿記での記帳が条件となります。
複式簿記とは、収入と支出だけでなく、資産と負債の増減も同時に記録する仕訳方法です。具体的には、主要簿として「仕訳帳」と「総勘定元帳」を複式簿記の形式で作成しなければなりません。また、補助的な役割を担う帳簿として、「売掛帳」「買掛帳」などの補助簿も作成する必要があります。
※「マネーフォワード クラウド確定申告」なら、日々の仕訳を行うだけで複式簿記を自動で簡単に作成可能です(詳細はこちら)
一方、白色申告の場合は、単式簿記という簡易な方法で記帳すればよいとされています。単式簿記とは、収入と支出のみを記録する簡易的な仕訳方法です。家計簿のようにお金の出入りを記録できるため、複雑な簿記の知識も必要ありません。
④ 提出書類や用紙の見た目の違い(青色申告決算書・収支内訳書)
青色申告でも白色申告でも、確定申告書は同じ用紙を使用します。
確定申告書
出典:確定申告書等の様式・手引き等(令和6年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)|国税庁
しかし、確定申告書と同時に提出する書類が異なるため、注意が必要です。
青色申告で必要な書類「青色申告決算書」
青色申告で確定申告するときは、確定申告書だけでなく「青色申告決算書」の提出が必要です。「青色申告決算書」は「貸借対照表」と「損益計算書」で構成されており、複式簿記で記帳した内容を記載します。
出典:確定申告書等の様式・手引き等(令和6年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)|国税庁
「青色申告決算書」について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
白色申告で必要な書類「収支内訳書」
一方、白色申告で確定申告するときは「収支内訳書」の提出が必要です。「収支内訳書」には、簡易な方法で記帳した帳簿をもとに、所得の根拠となる売上や必要経費を集計して記載します。
出典:確定申告書等の様式・手引き等(令和6年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)|国税庁
「収支内訳書」について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
⑤ 税制上の優遇措置の違い
青色申告では、10万円・55万円・65万円のいずれかの青色申告特別控除を受けられますが、白色申告に税制上の優遇措置はありません。
控除(こうじょ)とは、「差し引く」という意味で、所得金額から青色申告特別控除を差し引くことで所得税額が安くなります。
※青色申告の65万円控除は、e-Taxによる電子申告、または優良な電子帳簿保存を行っている場合にのみ適用されます。
青色申告特別控除について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
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青色申告は手続きが煩雑な分、メリットが多い!
青色申告は、複式簿記で記帳する必要があるなど手続きが煩雑ですが、その分多くの節税メリットを受けられます。
青色申告のメリットは、こちらの記事でも詳しく解説しています。
最大65万円の青色申告特別控除が受けられる
青色申告の一番のメリットは、最大65万円の青色申告特別控除を受けられることです。
基本の青色申告特別控除額は55万円
青色申告特別控除の金額は、基本的には55万円です。平成30年に法律が改正され、令和2年分の申告から、これまでの65万円から55万円へ変更されました。
65万円の青色申告特別控除の条件
65万円の特別控除を受けるためには、複式簿記で記帳して確定申告に貸借対照表と損益計算書を提出するほか、確定申告の電子申告もしくは優良な電子帳簿の保存が必要です。
10万円の青色申告特別控除の条件
青色申告の事前申請をしていても、複式簿記で記帳をしない場合は、青色申告特別控除額が10万円となってしまいます。「開業届」と「青色申告承認申請書」の提出を忘れないようにしましょう。
赤字を3年間繰り越しできる
青色申告では、赤字を翌年以降の確定申告に繰り越すこともできます。赤字は最大3年間繰り越しでき、黒字の年に損失を計上して所得からの控除が可能です。これを、純損失の繰越控除と呼びます。
さらに、前年度が黒字で今年が赤字の場合、赤字を前年度の黒字から繰り戻して控除することも可能です。繰り戻しにより、前年度分の税金が還付されます。
青色申告専従者給与を必要経費にできる
青色申告では、配偶者や親族に支払った給与を必要経費にすることもできます。これを「青色事業専従者給与」と呼び、経費として所得から控除することで節税が可能です。
「青色事業専従者給与」を利用するためには、給与を支払う年の3月15日までに「青色事業専従者給与に関する届出書」を所轄の税務署に提出する必要があります。
ただし「青色申告承認申請書」と同様に、その年の1月16日以後に事業を開始した場合は、事業開始から2カ月以内であれば3月15日の期限を過ぎても提出が可能です。
青色事業専従者給与として認められる要件
「青色事業専従者給与」を経費計上するには、事前申請だけでなく、次のような青色専従者に関する要件も満たす必要があります。
- 青色申告者と生計を一にしている配偶者や家族であること
- その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること
- 1年間で6ヶ月以上、青色申告者の事業に専従していること
家事関連費を必要経費にできる
青色申告では、自宅をオフィスにしている場合の光熱費など、家事関連費を経費に計上できます。白色申告でも家事関連費の計上はできますが、主たる部分を事業に使用していなければなりません。
青色申告者の場合は少しでも仕事で使っていることが明らかであれば経費にできますが、白色申告では業務で半分以上使っていなければ経費に計上できないため、注意が必要です。
貸倒引当金を設定できる
青色申告では、未回収が予想される債権を貸倒引当金として計上できます。
貸倒引当金とは、後日代金を受け取る約束をした売掛金が回収できないと思われる場合に、回収の見込みがないものとして計上するものです。
青色申告では貸倒引当金を計上して本年度の所得から控除することができ、代金が回収できた場合は次年度の所得に加える処理を行います。
減価償却の特例が受けられる
青色申告では、減価償却の特例が受けられるというメリットもあります。
価格が10万円以上の備品を購入した場合は一括で経費にはできません。減価償却として、毎年一定のルールのもとに経費に計上していきます。
ただし、青色申告の場合、取得価格が30万円未満であれば、取得した年に一括で経費に計上できます。ひとつが30万円未満であれば、年間で合計300万円まで計上が可能です。
なお、青色申告については以下の記事でくわしく解説しています。
白色申告のメリットはほぼない!?
白色申告は、青色申告に比べて日々の記帳が簡単です。しかし、領収書や請求書、納品書など、各種取引に関する書類を管理して記帳しなければならず、一定の手間がかかる点では青色申告とそれほど変わりません。
手間がかかるにも関わらず青色申告のようなメリットは得られず、青色申告の場合よりも税金を多く支払うことです。白色申告を選ぶメリットは、ほとんどないといってもよいでしょう。
青色申告には多くのメリットがあるため、「手続きが煩雑なのも仕方ない」と考える方も多いでしょう。しかし、確定申告ソフトを使えばそのような手間も省くことができます。確定申告ソフトで簡単に記帳しながら、青色申告特別控除をはじめとする多くの節税メリットが受けられるのです。
不動産所得の事業規模で変わる青色申告特別控除額の違い
青色申告において、不動産所得が事業規模として認められるかどうかで、65万円(55万円)の青色申告特別控除を受けられるか、それとも10万円の控除となるかが変わります。
アパートは10室以上・独立家屋は5棟以上の貸付けを行っている場合、事業規模として認められ、65万円(55万円)の青色申告特別控除が可能です。
それ以外(例:マンション1室の貸し出しなど)は、青色申告特別控除は10万円しか認められません。
参考:No.1373 事業としての不動産貸付けとそれ以外の不動産貸付けとの区分|国税庁
法人の青色申告・白色申告の違いについて
法人の確定申告にも、青色申告と白色申告の2種類があります。
青色申告は事前申告が必要で、正規の簿記の原則で帳簿を作成する必要があるなど、個人事業主の青色申告・白色申告の違いと基本的には同じです。
個人事業主と異なる点としては、法人の青色申告には「青色申告特別控除」がありません。
また、青色申告・白色申告のどちらを選択した場合も、法人の確定申告の期限は、決算日の翌日から2か月以内と決まっています。なお、株式会社においては、株主総会の承認を得て決算が確定しなければ確定申告ができないため注意しましょう。
確定申告ソフトを使って青色申告を簡単に
青色申告は白色申告にないメリットが多く、節税のために利用したい制度です。青色申告するためには申請が必要で、期限を過ぎるとその年は白色申告になるため注意しましょう。
青色申告は複式簿記で記帳しなければならないのがデメリットともいえますが、近年は便利な確定申告ソフトが手軽に利用でき、複式簿記の記帳も簡単に済ませることが可能です。確定申告ソフトを活用し、青色申告で上手に節税を行いましょう。
マネーフォワード クラウド確定申告の導入事例
データ連携機能を使って、銀行やクレジットカードの明細データを自動で取り込むようになってからは、会計ソフトへの入力作業が減ったので、作業時間は1/10くらいになりましたね。
ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
もっと読むよくある質問
青色申告と白色申告の違いは?
事前申告の有無、日々記帳する帳簿の種類と確定申告で提出する書類に違いがあります。帳簿が複雑になる分、青色申告は特別控除をはじめ複数のメリットがある点が特徴です。 詳しくはこちらをご覧ください。
青色申告のメリットとは?
青色申告は最高65万円の特別控除が受けられる点をはじめ、赤字の繰り越しや専従者給与を必要経費にできるなど、さまざまなメリットがあります。詳しくはこちらをご覧ください。
白色申告にはメリットがない?
白色申告の場合も、簡易ではあるにしろ帳簿を付ける義務はあります。日々の記帳や領収書などの管理が必要であるにも関わらず、青色申告のようなメリットはありません。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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