- 更新日 : 2024年11月21日
確定申告とは違う?贈与税の申告義務者について解説!必要書類や方法も
2025年(令和7年)提出 確定申告まとめ
▽まずはこの記事から
初心者から経験者まで、毎年多く読まれている記事です。確定申告の必要性、やり方、簡単に済ます方法についてまるっと解説しています。
贈与税は、個人から資産の贈与を受けたときに課される税金です。贈与を利益と考えたら所得になるのでは?と思われるかもしれませんが、贈与は資産の移動と考えるため、所得ではなく相続の前倒しとして考えることができます。そのため、所得税の確定申告は必要ありません。代わりに、一定以上贈与を受けたら贈与税の申告をしなければなりません。この記事では、贈与税とは何か、贈与税の概要と贈与税の申告の流れについて解説していきます。
目次
フォームに順番に入力するだけで、控除や還付金を受け取るための確定申告も簡単に。「マネーフォワード クラウド確定申告」は、医療費控除・社会保険料控除、ふるさと納税・住宅ローン控除…などの各種控除がある方にも、多くご利用いただいています。
スマホのほうが使いやすい方は、アプリからも確定申告が可能です。
贈与税とは
贈与税とは、個人から財産をもらったときに課される税金をいいます。生前に贈与することで相続税の課税を逃れようとする行為を防ぐという意味で、贈与税は、相続税を補完する役割があります。
原則はすべての贈与財産が贈与税の対象ですが、例外もあります。例えば、法人から個人に贈与があった場合です。法人から個人への贈与は、一時所得として所得税が課税されますので贈与税は非課税となります。
ほかにも、扶養義務者から生活費や学費のために取得した財産などは非課税となり、贈与税の対象にはなりません。このように、例外もありますが、基本的に贈与があれば贈与税の課税対象になる可能性があります。
贈与税の申告義務者とは
「贈与税」の名前からは贈与する人が支払う税金のように見えますが、実際に贈与があった場合に申告義務があるのは、贈与を受けた人です。
贈与を受ける場合、選択する課税方法によって申告義務の要件が異なります。以下で、課税方法による申告義務の要件、また、例外的な場合について紹介します。
相続時精算課税
相続時精算課税とは、下記の条件をすべて満たすことで、贈与時の贈与税が通算2,500万円まで控除され、2,500万円以上の場合は税率が20%になるものです。また、この制度を適用する場合には、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日の間に一定の書類を添付した贈与税の申告書を提出する必要があります。
- 贈与が行われる年の1月1日の時点で贈与者が60歳以上
- 贈与が行われる年の1月1日の時点で受贈者が20歳以上
- 受贈者が贈与者の直系卑属(子や孫)である推定相続人又は孫
その分、相続時には相続分に加えて贈与分にも相続税がかかります。また、贈与額が2,500万円以下で贈与税が非課税の場合であっても、申告の義務があります。
暦年課税
上記の相続時精算課税を行わない場合は、暦年課税になります。暦年課税は110万円の基礎控除を引いたのち、超過累進課税となります。そのため、贈与額が110万円以下の場合は非課税となり、申告の必要はありません。ただし、贈与額が110万円以下の場合でも、贈与があったことを証明するためにも贈与契約書を作成しておくとよいでしょう。
贈与税の配偶者控除を使う場合
贈与税の配偶者控除とは、以下の条件をすべて満たす場合に基礎控除の110万円と2,000万円を加えた額まで控除される制度です。しかし、この控除を使う場合には、贈与額が2,110万円以下で非課税であっても申告の義務があります。
- 婚姻期間が20年以上であること
- 同じ配偶者につき1回までであること
- 配偶者が住むための住居や住居を購入するためのお金であること
- 贈与された年の翌年の3月15日までに居住していること
個人とみなされる場合
贈与税は原則として個人間の贈与のみにかかり、法人に対して贈与税が課されることはありえません。しかし、以下の場合には個人とみなし、贈与税の対象となります。
- 人格なき社団
- 公益法人
権利能力のない社団(人格なき社団)のうち代表者・管理者が定めてあり、収益活動を行わない団体の場合は、法人税ではなく贈与税の対象となります。これには、PTA、同窓会、町内会などが含まれます。
公益を目的としている、学校法人・宗教法人などが贈与を受けた場合に、贈与者の親族等の贈与税が不当に減少する結果となるときには、贈与税が課税されます。
国外にいる場合
贈与により財産を取得したときに日本国内に住所がない人の贈与税については、課税対象となる財産の範囲が、日本国内に住所がある人と異なります。
なお、留学や海外出張などで一時的に日本国内を離れている人は、日本国内に住所があることになります。
課税対象となる財産の範囲は、贈与者と受贈者の贈与時の住所や、日本国籍の有無、国内の滞在期間等により判定することとなります。
マネーフォワード クラウド確定申告では、個人事業主やフリーランスの方が知っておきたい"経費"のキホンや勘定科目を分かりやすく1つにまとめた「個人事業主が知っておくべき経費大辞典」を無料で用意しております。
税理士監修で、経費の勘定科目や具体例だけでなくワンポイントアドバイスもついているお得な1冊となっていますので、ぜひ手元に置きたい保存版としてご活用ください。
贈与税の申告に必要な書類
贈与税の申告にあたっては、以下のような書類の作成または添付が必要です。
(暦年課税申告の場合)
- 贈与税の申告書(兼贈与税の額の計算明細書) 第1表
贈与税の申告書 第1表は、暦年課税のほか、すべての贈与税の申告で必要な書類です。
(相続時精算課税申告の場合)
- 贈与税の申告書(兼贈与税の額の計算明細書) 第1表
- 贈与税の申告書(相続時精算課税の計算明細書) 第2表
贈与税の申告書の書き方をより詳しく知りたい方は、こちらの記事もご参照ください。
特例の適用を受ける場合で別途必要になる書類
(配偶者控除の特例(暦年課税)の適用を受ける場合)
- 受贈者の戸籍謄本など
- 受贈者の戸籍の附票写し
- 登記事項証明書など(居住用財産を取得したことを証明する書類)
(相続時精算課税の適用を受ける場合)
- 相続時精算課税選択届出書
- 一定の内容を証明する受贈者の戸籍謄本など
(住宅取得等資金の非課税の適用を受ける場合)
- 贈与税の申告書(住宅取得等資金の非課税の計算明細書) 第1表の2
- 一定の内容を証明する受贈者の戸籍謄本など
- 合計所得を明らかにする書類
- 取得する住宅に関する証明書など
(住宅取得等資金の贈与を受け相続時精算課税の適用を受ける場合)
- 一定の内容を証明する受贈者の戸籍謄本など
- 合計所得を明らかにする書類
- 取得する住宅に関する証明書など
(教育資金の非課税の適用を受ける場合)
- 教育資金非課税申告書(※取扱金融機関経由で提出)
(結婚・子育て資金の非課税の適用を受ける場合)
- 結婚・子育て資金非課税申告書(※取扱金融機関経由で提出)
贈与税の申告の方法
贈与税申告の流れ
- 贈与税の申告が必要か確認する
- 贈与税の申告に必要な書類を用意する
- 贈与税の申告書を作成する
- 贈与税を申告・納税する
暦年課税の場合、贈与を受けた額が基礎控除額の110万円を超えないときは、贈与税申告の必要はありません。相続時精算課税などそのほかの特例を適用する場合は、贈与の額にかかわらず贈与税の申告が必要です。
贈与税の申告で特例を適用する場合は、申告書以外に書類を添付しなければならないこともあります。必要書類は前項でも紹介しましたが、申告書作成の前に準備しておくとスムーズです。
贈与税の申告書第1表のほか、必要に応じて第2表などを作成します。
贈与税は、管轄である税務署の窓口のほか、郵送、電子申告により申告できます。納税方法は、金融機関の窓口で納付、コンビニで納付、クレジットカードで納付、e-Taxを経由して納付のいずれかを選択できます。
*申告時期は例年2月1日から3月15日ですが、変更や延長の可能性もあるため、最新情報を確認しましょう。
贈与税の計算
暦年課税では、一般贈与財産と特例贈与財産に分けて贈与税を計算します。
- 特例贈与財産
- 一般贈与財産
特例贈与財産は、1月1日時点で20歳以上の人が父母や祖父母など直系の家族から受けた財産のことです。特例贈与財産は、特例税率を用いて計算します。
一般贈与財産は、特例贈与財産にあたらない兄弟などそのほかの人からの贈与、直系尊属からの贈与でも受贈者が未成年の場合の贈与財産のことです。一般贈与財産は、一般税率を用いて計算します。
(贈与税計算の基本的な流れ)
課税贈与額×贈与税の税率-税率に対応する控除額= 贈与税額
*1年のうちに特例贈与と一般贈与の両方がある場合は、下のケース2のように按分計算します。
(ケース1)祖父から1,000万円の贈与を受けた。受贈者は30歳である。
890万円×30%-90万円=177万円(贈与税の額)…直系尊属なので特例税率を適用
【特例税率】
出典:No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁
(ケース2)母から600万円、兄から400万円の贈与を受けた。受贈者は40歳である。
1,000万円-110万円(基礎控除額)=890万円
890万円×40%-125万円(控除額)=231万円
231万円×400万円(一般財産の額)÷1,000万円(すべての贈与財産の額)=92.4万円(1)
【一般税率】
出典:No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁
890万円×30%-90万円=177万円
177万円×600万円(特例財産の額)÷1,000万円(すべての贈与財産の額)=106.2万円(2)
【特例税率】
出典:No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁
一般財産と特例財産が混在するときは、一旦贈与財産の総額を用いて、それぞれ贈与税額を出した上で按分計算しなければならないため、少し複雑な計算になります。
*なお、暦年課税でなく相続時精算課税を選択した場合は、2,500万円を限度に相続時まで課税を繰り延べられます。2,500万円を超えた場合は、超過分に一律20%の税率をかけて贈与税を計算します。
贈与税のしくみを知って正しく申告・納税しよう
贈与と所得は異なるものです。一定の贈与を受けた場合、贈与を受ける際に特例を適用する場合は、所得税ではなく贈与税の申告が必要です。特に、特例を受けたい場合は適用要件をよく確認して申告を行うようにしましょう。
贈与税の申告ではなく、所得税の確定申告について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
【参考】
- No.4103 相続時精算課税の選択|国税庁
- No.4405 贈与税がかからない場合|国税庁
- No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁
- No.4429 贈与税の申告と納税
- 贈与税の申告|国税庁
- 【贈与税の申告等】|国税庁
はじめての確定申告もラクラク安心に済ませる方法
確定申告がはじめての方や、簿記の知識に不安がある方、確定申告書類の作成を効率よく行いたい方は、確定申告ソフトの使用がおすすめです。
個人事業主向け会計ソフトの「マネーフォワード クラウド確定申告」は、確定申告の必要書類が自動作成でき、Windows・Macはもちろん、専用アプリも提供しています。
①取引明細は自動で取得
銀行口座やカードを登録すると、取引明細を自動取得します。現金での支払いに関しても、家計簿のようなイメージで、日付や金額などを自分で入力することが可能です。
②仕訳の勘定科目を自動提案
自動取得した取引明細データや、受領後にアップロードした請求書・領収書などの情報をAIが判別し、仕訳を自動で入力します。学習すればするほど精度が上がり、日々の伝票入力が効率化されます。
③確定申告必要書類の自動作成機能
白色申告・青色申告の両方に対応しており、確定申告に必要な書類が自動で作成できます。また、マネーフォワード クラウド確定申告アプリで、スマホから直接の提出も可能です。印刷しての提出やe-Taxソフトでの提出にも対応しています。
追加料金なしで確定申告以外のサービスが使える
有料プラン(パーソナルミニ・パーソナル・パーソナルプラス)に登録すると、基本料金だけで請求書や契約のサービスを含む11サービスを利用することができます。日々の業務や作業をまとめて効率化しましょう。
合わせて読みたいおすすめ資料
マネーフォワード クラウド確定申告では、さまざまなお役立ち資料を用意しています。 無料登録するだけで資料がダウンロード可能なので、ぜひ読んでみてください。会社員の確定申告 丸わかりガイド
青色申告1から簡単ガイド
個人事業主が知っておくべき経費大辞典
マネーフォワード クラウド確定申告の導入事例
データ連携機能を使って、銀行やクレジットカードの明細データを自動で取り込むようになってからは、会計ソフトへの入力作業が減ったので、作業時間は1/10くらいになりましたね。
ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
もっと読むよくある質問
贈与税とは?
個人から財産をもらったときに課される税金のことです。詳しくはこちらをご覧ください。
贈与税の申告義務者とは?
実際に贈与があった場合に申告義務があるのは、贈与を受けた人です。詳しくはこちらをご覧ください。
贈与税の申告に必要な書類は?
すべての贈与税の申告で必要な贈与税の申告書第1表に加え、場合に応じていくつかの書類が必要になります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
確定申告の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
贈与税の関連記事
新着記事
個人事業主は労働基準法が適用される?労働時間のルールや判断基準を解説
労働基準法は、労働者を守る法律です。原則として、個人事業主には労働基準法が適用されませんが、例外として適用されることもあります。個人事業主に労働基準法が適用される場合の判断基準や適用される場合の個人事業主の権利、個人事業主を保護する法律につ…
詳しくみる個人事業主は賃貸物件を借りられる?審査に通過するポイントも解説
個人事業主は、賃貸物件を借りるのが難しいといわれることがあります。実際に審査で落ちることもありますが、なぜ個人事業主は賃貸物件を借りるのが困難なのでしょうか。個人事業主が賃貸物件を借りるために押さえておくべきポイントや必要書類、事務所を開設…
詳しくみる個人事業主は消費者金融で融資を受けられる?デメリットや注意点も解説
個人事業主は、ビジネスローンやカードローンなどの消費者金融の融資を利用できます。ただし、融資を受けるには審査を通過する必要があるため、必ず借りられる訳ではありません。個人事業主が消費者金融で融資を受けるメリットやデメリットについて紹介します…
詳しくみる個人事業主がAmazonビジネスを利用するメリットは?必要書類や登録手順も解説
Amazonビジネスは、法人や個人事業主の購入者向けに拡充されたサービスです。個人のアカウントとは、ビジネスに特化している点で違いがあります。個人事業主がAmazonビジネスを利用するメリットは何か、登録時の必要書類や登録の手順もあわせて紹…
詳しくみる個人事業主が軽バンリースをするメリットは?黒ナンバーや審査についても解説
個人事業主が事業用に車を取得する方法として、カーリースを利用する方法もあります。自動車を購入するのではなく、カーリースを利用することにはどのようなメリットがあるのでしょう。個人事業主が軽バンをリースするメリットやデメリット、カーリース利用時…
詳しくみる個人事業主が妻を従業員として雇う手続きは?節税メリットや注意点も解説
個人事業主が妻を従業員として雇う場合、給与について問題になる可能性があります。妻を雇う場合、個人事業主の確定申告にどのような影響があるのでしょうか。個人事業主が妻を雇う場合の手続きや給与をいくらまで経費にできるのか、生計を一にしない家族の取…
詳しくみる