- 更新日 : 2024年11月14日
青色申告で扶養控除が受けられない場合
2025年(令和7年)提出 確定申告まとめ
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初心者から経験者まで、毎年多く読まれている記事です。確定申告の必要性、やり方、簡単に済ます方法についてまるっと解説しています。
「青色申告」とは、個人事業主など事業所得がある人、山林所得もしくは不動産所得がある人が、所得金額と税額を正確に計算して納税するための手続きです。
青色申告制度を利用すると、さまざまな特典を受けられます。
ただし、納税者(青色申告者)が青色事業専従者給与を支払っている場合には、扶養控除が受けられません。
ここでは、青色申告において扶養控除が受けられないケースについて説明します。
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扶養控除とは何か
納税者は、所得税法上の「控除対象扶養親族」を持っている場合に、一定の所得控除を受けることができます。
これが「扶養控除」と呼ばれるものです。扶養控除の対象となる扶養親族とは、年齢が16歳以上(年末時点)で、下記の条件に該当する人のことです。
・都道府県知事より養育を委任された児童(例えば里子など)、市町村長養護を委任された老人であること
・納税者と生計が同一であること
・年間の合計所得金額が38万円以下であること (2020年分以降、扶養家族の年間所得が48万円以下の場合)
(参照:No.1080 扶養控除|所得|国税庁)
ただし、これらの人々が生計を同一とする納税者と一緒に事業を行っている場合、納税者から給与を支払われることがあります。
例えば、父の経営している会社で自分の子どもがアルバイトをするなどして、父が子どもに給与を払うケースなどです。
このときに支払った給与が「青色事業専従者給与」に該当すると、納税者が青色申告をしても扶養控除を受けられませんが、かわりに必要経費として計上できる場合があります。
青色事業専従者と青色事業専従者給与
「青色事業専従者」とは、下記の条件に該当する人のことです。
・年末時点で年齢が15歳以上であること
・年間6カ月以上(一定の場合には、事業に従事することができる期間の2分の1以上)、納税者(青色申告者)の営む事業に従事していること
(参照:No.2075 専従者給与と専従者控除|所得税|国税庁)
そして、青色事業専従者に支払われる給与を「青色事業専従者給与」といいます。
ただし、青色申告において「青色事業専従者給与」として認められ、必要経費として計上するためには、しかるべき手続きが必要です。
納税者が事業専従者に支払った給与を、税務的に「青色事業専従者給与」として扱ってもらうには、まず「青色事業専従者給与に関する届出書」を、提出期限までに納税地の所轄税務署に提出しなくてはなりません。(届出書は、国税庁のサイト「青色事業専従者給与に関する届出手続き」のページからダウンロードすることもできます。)
その提出期限とは、青色申告をする年の3月15日までです。
ただし、同年の1月16日以降に開業した人、新しく専従者が増えた人は、その開業日、または専従者が働き始めた日から2カ月以内に提出すればいいと定められています。
この届出書には、青色事業専従者の氏名、職務の内容・従事の程度、給与や賞与の金額、支給期などを記載します。
(参照:No.2075 専従者給与と専従者控除|所得税|国税庁)
このときの給与の額は、専従者の労務の期間や性質、ほかの使用人などの給与、事業の種類や規模、収益の状況などを踏まえて相当であると認められる範囲でなくてはいけません。
過剰とされる部分については、必要経費にすることは難しくなります。
そして、納税者がこうして事前に提出した届出書に記入している金額の範囲内で支払ったときのみ、その給与額が必要経費として認められます。
より詳しくは「専従者控除について」からご確認いただけます。
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青色事業専従者と扶養控除、節税効果が高いのはどちらか
それでは、青色事業専従者と扶養控除では、節税効果が高いのはどちらかを考えてみましょう。
例えば、子どもに仕事を手伝ってもらったとき、子どもを青色事業専従者にすると、扶養控除38万円を受けることはできなくなります。
この場合、子どもに年間で支払う額を38万円よりも多くなるようにしないと、結果的に扶養控除を受けていたほうが得になってしまいます。
青色事業専従者で節税効果を高めたいと考えるときには、以下のようなことに気を付けましょう。
・年間の給与を38万円以上にすること(2020年分以降、扶養家族の年間所得が48万円以上にすること)
・給与額に応じて、青色申告者及び青色事業専従者が支払うべき所得税を計算すること
・青色事業専従者給与を必要経費として計上することによる、節税効果を計算すること
ケースで見る税額の違い
例えば、所得が1,000万円である青色申告者のケースを考えてみます。
申告者が青色事業専従者給与を一切払っていない場合の所得税額は、以下のとおりとなります。なお、所得税率、税額控除の額は、所得額に応じて変わります。
一方で、事業を手伝ってくれている子どもに400万円の青色事業専従者給与を払っている場合の所得税額は、以下のとおりです。
さらに、子どもの所得に対する税金は、以下のとおりです。
つまり、申告者と青色事業専従者の所得税を合わせても82万7,000円で、青色事業専従者給与を支払わない場合と比較すると、68万6,200円も節税することができます。
(※) 基礎控除は2020年分以降、所得2,400万円以下で控除額48万円。また扶養控除は2020年分以降、扶養家族の年間所得が48万円以下の場合に対象。
まとめ
このように、納税者(青色申告者)が青色事業専従者給与を支払っている場合には、その給与を受け取っている親族は扶養控除の対象にはなりません。
しかし、事前に税務署に「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出するなど、しかるべき手続きを取れば、扶養控除を受けられなくとも、適正な金額を必要経費として算入することができます。
青色申告で扶養控除するかを検討するときには、十分に注意しましょう。
なお、青色申告については以下の記事でくわしく解説しています。
関連記事:
マネーフォワード クラウド確定申告の導入事例
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ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
もっと読むよくある質問
扶養控除とは?
納税者は、所得税法上の「控除対象扶養親族」を持っている場合に、一定の所得控除を受けることができます。これを扶養控除といいます。詳しくはこちらをご覧ください。
「青色事業専従者」に該当する条件は?
「納税者(青色申告者)と生計が同一であること」や「年末時点で年齢が15歳以上であること」などがあります。詳しくはこちらをご覧ください。
青色事業専従者と扶養控除、節税効果が高いのはどちらか?
ケースによって異なります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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