- 更新日 : 2025年1月7日
個人事業主は賃貸物件を借りられる?審査に通過するポイントも解説
2025年(令和7年)提出 確定申告まとめ
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個人事業主は、賃貸物件を借りるのが難しいといわれることがあります。実際に審査で落ちることもありますが、なぜ個人事業主は賃貸物件を借りるのが困難なのでしょうか。個人事業主が賃貸物件を借りるために押さえておくべきポイントや必要書類、事務所を開設する場合の賃貸物件以外の方法について紹介します。
目次
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個人事業主は賃貸物件を借りられる?
個人事業主は、会社員などと比べて収入が安定しにくいことから、賃貸契約ができないのではという不安もあるかもしれません。信用情報や収入の安定性などの理由で賃貸審査に落ちる可能性はありますが、個人事業主が賃貸物件を借りること自体は可能です。
個人事業主が賃貸物件を契約する方法
個人事業主の賃貸物件の契約は2パターン考えられます。個人の居住用に個人契約を結ぶパターンと、事業用に個人事業用契約を結ぶパターンです。
住居用に賃貸物件を借りる場合は「個人契約」
個人事業主が、賃貸物件を居住用として借りる場合の契約形態です。個人名義で、貸主と賃貸借契約を結びます。賃貸物件の大家と直接契約を締結することもありますが、不動産会社を通じて契約を締結するのが一般的です。
事業用に賃貸物件を借りる場合は「個人事業用契約」
個人事業主が、事業での使用を目的として賃貸物件を借りる場合には、個人事業用契約を結びます。個人名義で契約する点は、個人契約と変わりません。個人事業用契約を結ぶ具体例としては、物件を事務所として使用する場合などが考えられます。
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個人事業主が賃貸物件を契約する際の必要書類
個人事業主が賃貸物件を契約する際に求められる可能性のある書類について紹介します。
本人確認書類
本人確認書類は、契約者本人であることを証明する書類です。身分証ともいわれており、マイナンバーカードやパスポート、運転免許証、健康保険証などが本人確認書類に該当します。身分証の種類によっては、2点以上の提出を求められることもあります。
収入証明書(確定申告書の写し)
収入証明書は、賃貸物件の審査の際に、支払い能力があるかどうかを不動産会社などが確認するための書類です。個人事業主の確定申告書の控えの写しや納税証明書が収入を証明できる書類に挙げられます。確定申告書の控えがない場合は、税務署に請求することで確定申告書の写しを取得できます。個人事業用契約の場合は、事業概要の資料などが求められることもあるため、不動産会社に確認しておきましょう。
現在の住民票・印鑑証明書
現住所を確認するための書類として、住民票や印鑑証明書などの提出が求められることもあります。住民票などの各種証明書は、マイナンバーカードを取得している場合、コンビニエンスストアでも自動交付により取得できます。
個人事業主が賃貸物件の審査に落ちる理由
個人事業主が賃貸物件の契約を申し込んでも、複数の理由で審査に落ちることがあります。個人事業主が賃貸物件の審査に通過できない主な理由を紹介します。
会社員よりも収入の証明が難しい
個人事業主の賃貸審査の際に重視されるのが、確定申告書に記載される事業収入ではなく事業所得です。事業所得は、事業収入から必要経費を差し引いた金額をいいます。実質的に、家賃の支払いなど生活費や社会保険料の支払いに充てられる金額です。
個人事業主の支払い能力は、このように主に確定申告書などで確認されますが、確定申告書は納税者自らが作成して提出するものです。会社員のように、会社が納税者に代わって申告する性質ではありません。そのため、恣意(しい)的な操作もしやすく、会社員よりも収入の証明が難しい面があります。
開業から間もない個人事業主は確定申告書の提出がなかったり、すでに提出している場合でも確認できる年数が少なかったりして、収入証明の判断材料としては弱い可能性があります。
オーナーに事務所としての利用が禁止されている場合がある
個人事業主が、個人事業用契約により事務所として使用したい場合には、さらにハードルが高くなります。賃貸物件のオーナーが、事務所としての利用を禁止しているケースもあるためです。外部からの出入りが激しい場合は物件の住民や周辺の住民に迷惑がかかる可能性があること、物件が傷みやすいことから禁止されていることがあります。事業用で使用できる個人向けの物件は限られているため、賃貸契約がうまくいかない可能性があります。
個人事業主が賃貸物件の審査に通過するためのポイント
個人事業主が賃貸物件の審査に通過するためには、何を重視するとよいのでしょうか。賃貸物件の審査に通過するために押さえておきたいポイントを紹介します。
賃貸物件の利用目的を明確にする
居住用なのか事業用なのか、あいまいな状態で契約を締結すると、賃貸物件の利用について後々トラブルに発展する場合があります。トラブルを防止するためにも、申し込みの段階で利用目的を明確にしておきましょう。
賃貸物件を事業用に利用できるか相談する
賃貸物件を事務所などの事業用に使用したい場合は、事前に相談しておきましょう。事業利用が明確になっていない状態で申し込むと、後々トラブルになる可能性もあります。また、事務所として利用できる物件であっても、人の出入りが激しい業種など、事業の業態によっては利用できないこともあります。事業利用については、申込み前に確認しておくことが重要です。
家賃の支払い能力を証明する
賃貸物件のオーナーが個人事業主と契約する場合に、不安要素としてあるのが収入の変動による家賃の滞納です。個人事業主が入居後も家賃を支払っていけるだけの能力を証明するには、確定申告書や納税証明書などで収入を証明する必要があります。開業したばかりで必要な書類が揃わない場合は、現状や事業の見通しなどを伝えておくと信頼を得やすくなります。個人事業主の収入の不安定さがネックで賃貸物件の審査に落ちてしまう場合は、希望する物件の家賃を下げて検討してみましょう。
必要であれば連帯保証人を立てる
個人事業主は、安定した収入のある連帯保証人を立てることで賃貸契約の審査に通りやすくなります。連帯保証人は、契約者が家賃を滞納した場合に、契約者に代わって家賃の支払い義務を負う個人です。会社員などの安定した収入のある親族などに連帯保証人をお願いすることも検討してみましょう。
賃貸借契約書の内容をしっかりと確認する
賃貸物件の申込みなどの際に確認する賃貸借契約書には、賃貸借契約のルールが記載されています。特に、個人事業主が事業用として賃貸物件の契約をしたい場合は、用途が居住用などに限定されていないか確認するようにしましょう。トラブル回避やトラブルが発生した場合の対策として、契約解除に関する事項や更新に関する規定についても確認しておくことをおすすめします。
身なりを整えて誠実な対応を行う
すでに入居している住人とのトラブル回避などを理由に、申込時の服装や態度は入居審査で見られることがあります。相手に悪印象を与えると、トラブルを引き起こしそうだと先入観をもたれるかもしれません。審査申込みの際にも、身だしなみや言動に注意するようにしましょう。
法人化を見据えて登記可の物件を探す
個人事業主から将来的には法人成りしたいと考えている方もいるでしょう。個人事業主が事務所用に個人事業用契約を結ぶ場合は、法人の住所地として登記できるかも確認しておくことをおすすめします。個人の事業用に契約できる物件でも、法人の登記が禁止されている場合もあります。すでに事務所として使用している物件を法人になった後も利用するには、登記可能な物件を契約しておくとスムーズです。
個人事業主は賃貸物件の家賃を経費にできる?
個人事業主が賃貸物件を仕事で使用している場合は、家賃を経費にできます。事務所専用で使用しているケースでは、その全額を家賃に計上することが可能です。自宅兼仕事場として使用している場合は、自宅部分と仕事場部分に分けて経費計上する必要があります。
自宅兼事務所の経費の扱いや具体的な按分計算については、以下の記事で詳しく取り上げています。
個人事業主が開業届に賃貸物件の住所を書くとバレる?
開業する業種によっては、法律の要件を満たす事務所を開設する必要があります。そのため、居住用につくられている賃貸物件を事務所として使用することはできないケースが多いです。
開業届には、住所地、居住地、事業所について記載する項目があります。開業届は税務署に提出する書類であるため、開業届に賃貸物件の住所を書くことによって個人事業主の賃貸物件の事業利用がバレる可能性は低いでしょう。ただし、事業利用による人の出入りによる騒音や駐車トラブルなどが原因で事業利用がバレる可能性はあります。
開業届に賃貸物件の住所を記載する場合について、詳しくは以下の記事を参照ください。
個人事業主が賃貸物件を借りられない場合の対処方法
個人事業主が事業利用を目的として賃貸物件を借りられない場合、どのような対策が取れるでしょうか。賃貸物件を事業利用できない場合の対処方法を3つ紹介します。
レンタルオフィスを利用する
レンタルオフィスは、オフィス用にスペースを貸し出しているサービスです。ほかの利用者と共有しない専用のスペースを借りることができます。
レンタルオフィスの特徴は、デスクやチェアなどの備品やインターネット環境などが整備されていることです。利用者は自ら必要なオフィスツールを揃える必要がなく、レンタル中は備品も含めた利用ができます。
レンタルオフィスを長期間借りる場合は、仕事に使用する書類などをオフィスに保管できるのも特徴です。基本的に、法人の登記にも対応しています。
コワーキングスペースを利用する
コワーキングスペースは、複数の利用者とワークスペースを共有するサービスです。基本的に仕事で必要なインターネットや印刷機などのインフラが整備されています。個室のワークスペースや休憩所が備わったコワーキングスペースもあります。
コワーキングスペースの料金体系は、定額制か従量制です。利用時間を見越してコストの調整ができるため、コストの無駄が発生しにくいメリットがあります。ほかの利用者とスペースを共有するため、新たな交流が生まれる可能性があるのもコワーキングスペース利用のメリットです。
バーチャルオフィスを利用する
バーチャルオフィスは、仮想のオフィスを貸し出すサービスです。オフィスとしての空間ではなく、住所を借りることができます。プライバシーを守りながら開業できるメリットがあります。法人の登記に対応しているのもバーチャルオフィスのメリットです。
住所地はバーチャルオフィスの住所になるため、郵便物などは転送してもらえます。ただし、転送すると実際に届くまでに時間がかかることもあるため注意が必要です。急いで転送してもらいたい場合は、即日転送サービスなどを利用します。
個人事業主は賃貸物件の審査に不安が残る
個人事業主は、収入が安定しにくいなどの理由から、賃貸物件の審査に落ちることがあります。個人事業主が賃貸物件の審査を通過するには、いくつかのポイントを押さえて対策しておくことが重要です。事業用に賃貸物件を借りたい場合は、居住用だと利用が認められない可能性もあるため、レンタルオフィスなどほかの方法も検討しましょう。
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ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
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