- 更新日 : 2024年1月22日
外注工賃の確定申告、仕訳や給与工賃との違いを解説
作業を外部に委託注文するときは、外注工賃(外注費)が発生します。外注工賃とは、確定申告する際の所得税青色申告決算書に記載する勘定科目でもあります。
外注工賃を支払ったときの仕訳の方法、給与との違いについて解説するので、ぜひ参考にしてください。また、外注工賃を支払うときに源泉徴収するケースについても解説します。
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外注工賃とは
外注工賃とは、修理加工などで外部に注文して支払った場合の加工賃、建築業者に依頼したときの外注費に使う勘定科目です。外注であることが条件となるため、社内で修理したときの材料費などは、外注工賃に含めることができません。
参考:令和5年分 確定申告書等作成コーナー よくある質問 外注工賃|国税庁
外注工賃の具体例
外部に作業を依頼し、その報酬として支払ったものは外注工賃の勘定科目で仕訳をすることができます。例えば、次のケースで支払った費用については、外注工賃の勘定科目を使った仕訳が可能です。
- エアコンの取付工事を外部業者に委託して工賃を支払った
- フリーランスのウェブデザイナーにホームページを作成してもらい、報酬を支払った
外注工賃と給与工賃の違い
外注工賃とは、作業を外部に委託して支払う報酬のことです。依頼主と作業をする人・法人の間には請負契約が成立します。
一方、給与工賃とは、依頼主と作業をする人の間に雇用契約が成立していることが条件となる点に注意が必要です。給与工賃が発生しているときは、依頼主が賃金を受ける側の作業を指揮します。外注するときも依頼主が作業を指揮するケースはあるが、業務上必要性があるときのみに限られているため、常時指揮をするわけではありません。
外注工賃と外注費の違い
外注工賃と外注費は同じ意味を持つ勘定科目です。また、業務委託費も同じです。ただし外注工賃は「所得税青色申告決算書」の経費のひとつです。青色申告をするときは外注工賃で仕訳をしておくと後で決算書を作成しやすくなります。
外注工賃には源泉徴収の義務がある?
個人に業務を委託するときは、源泉徴収することが基本です。例えば原稿料や講演料、モデル、コンパニオン、外交員などに支払う報酬はいずれも外注工賃になりますが、相手が個人であれば源泉徴収してから支払いましょう。なお弁護士などに支払う報酬も相手が個人のときは源泉徴収しますが、勘定科目は外注工賃ではなく「支払手数料」となるので注意が必要です。
ただし、支払う側が源泉徴収義務者でないときは、源泉徴収せずに支払います。源泉徴収義務者とは常時2人以下の家事使用人などに給与を支払っている個人事業主のことです。つまり使用人がいない個人事業主や、1人ないしは2人のお手伝いさん程度の業務を行う使用人がいる個人事業主は、外注した相手が個人であっても源泉徴収する必要はありません。
外注工賃の仕訳例
外注工賃の仕訳例をいくつか紹介します。
デザイン事務所にロゴ作成を依頼し、現金で支払った場合は、以下のように仕訳をすることができます。この場合、相手は個人ではないため、源泉徴収をしません。
一方で個人に原稿作成を依頼し、報酬を口座に振込んだ場合は、源泉徴収が必要になります。源泉徴収額は「預り金」として貸方に記載します。なお報酬額が100万円以下のときは源泉徴収税率は10.21%です。
また、源泉徴収税を納付するタイミングで再度記帳が必要です。以下のように借方を「預り金」、現金で納付した場合は貸方を「現金」にし、適用に源泉徴収税の納付について記載します。
報酬が100万円を超える場合は、100万円を超えた部分に対する源泉徴収税率は20.42%です。例えば報酬額が120万円のとき、源泉徴収税額は以下の計算式から14万2,940円と求められます。
100万円×10.21%+(120万円ー100万円)×20.42%=14万2,940円
参考:No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは|国税庁
外注工賃に関する理解を深め、正しく確定申告を行いましょう!
外注工賃は、外注費や業務委託費と同じ意味の勘定科目です。支払うほうが源泉徴収義務者で、なおかつ支払う相手が個人事業主(常時雇用人数2人以下)かつ特定の業務のときは源泉徴収して支払います。源泉徴収をして外注工賃を支払ったときは、支払ったときと源泉徴収税を納付したときの2回にわけて帳簿に記録し、正しく確定申告しましょう。
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ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
もっと読むよくある質問
外注工賃とは?
修理加工などで外部に注文して支払った場合の加工賃のことです。外注費や業務委託費と同じです。詳しくはこちらをご覧ください。
外注工賃を源泉徴収するケースとは?
支払う側が源泉徴収義務者で、受け取る側が常時雇用している従業員2人以下の個人事業主、かつ講演料などの特定の業務に対して報酬を支払うときは源泉徴収を行います。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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