- 更新日 : 2025年1月7日
個人事業主のやることリスト!開業前、開業後、経費の一覧も
2025年(令和7年)提出 確定申告まとめ
▽まずはこの記事から
初心者から経験者まで、毎年多く読まれている記事です。確定申告の必要性、やり方、簡単に済ます方法についてまるっと解説しています。
個人事業主は、しなければならない事務や手続きが多くあります。しかし、やるべき事を一つ一つ教えてくれる人はいません。自分の事業に合わせて必要な事務や手続きを調べて期限までに行わなければならず、負担になる傾向があります。この記事では、個人事業主がすべき事項のうち、開業前、開業後などの手続きや経費について解説します。
「マネーフォワード クラウド確定申告」なら日々の取引入力→申告書の作成→申告作業が、オンラインで完結します。取引明細の自動取得と仕訳の自動作成に対応しており、手入力を減らしてカンタンに書類を作成。そのままスマホから提出することもできます。
PC(Windows/Mac)だけでなく、スマホアプリからも確定申告が可能です。
個人事業主の開業前のやることリスト
個人事業主が開業前にやることは、非常に多岐にわたります。副業であっても同様です。ここでは、やることリストとして一般的なものをご紹介します。
なお、開業時の資金調達が不要な場合には⑥から始めてよいでしょう。また、資格や許認可が必要な事業などについては、先に調べておきましょう。
①事業計画の作成
開業資金の調達のためには、まず事業計画書を作成する必要があります。金融機関に提出する事業計画書は、具体性と実現可能性を兼ね備えたものが必要です。
②国民健康保険、国民年金への切り替え
開業前に会社員であった場合には、退職直後に済ませているかもしれませんが、社会保険の切り替えが必要です。健康保険については、一定の条件により従前の健康保険の「任意継続」も可能となります。
③開業届の提出
原則として開業日から1カ月以内に、税務署に開業届を提出します。提出の際は、青色申告や消費税について記載する欄があります。
青色申告は節税につながりますが、記帳方法などについて検討する必要があります。消費税についても、「課税事業者選択届出書」はよく検討しましょう。また、都道府県の税事務所に事業開始申請をしておくこともおすすめします。
参考:
④必要な許認可の取得
事業をするにあたって必要となる許認可については、事前によく調べておきましょう。業種によっては複数の許認可が必要なこともあるため、申請先(保健所、警察署、運輸局、都道府県庁等)にしっかりと確認してください。
なお、許認可の取得における難易度は業種によって異なるため、①の事業計画に組み込めるように余裕をもって取得することをおすすめします。
⑤開業資金の準備
開業資金としては極力、預貯金や不動産などの自己資金で賄うのが理想的です。日本政策金融公庫の「2024年度新規開業実態調査」によると、個人事業主の開業時の資金調達額の平均は1,197万円で、自己資金は平均293万円(約24%)です。借入額が多くなる場合には、返済のための具体案を事業計画に落とし込みましょう。
参考:新規開業に関する調査|日本政策金融公庫、「2024年度新規開業実態調査」
⑥事業用の銀行口座の開設
取引に利用する金融機関で、事業専用の口座を開設します。屋号付きの事業用口座を開設することで、取引先からの信用を得やすくなります。
⑦事業用のクレジットカードの準備
事業専用として利用するクレジットカードは、経費の管理や支払の簡素化に役立ちます。クレジットカードの利用限度額なども確認しておきましょう。
⑧補助金や助成金のチェック
開業時点において、利用可能な補助金や助成金をチェックし、申請できるものがあれば申請しましょう。開業直後においては多忙を極めるため、少し後でも構いません。
⑨ホームページや名刺などを準備
Web上での存在感を高め、Googleなどの検索で表示されるようにするのも広告宣伝の一環です。SNSでの発信は、特に費用をかけずに行うこともできるので積極的にアピールしましょう。また、名刺やショップカードなどの準備もしておきましょう。
⑩会計ソフトの準備
会計処理を効率化し、正確な確定申告を行うために、適切な会計ソフトを選択し導入しましょう。必要であれば、販売ソフトとレジ機との連携等も考えておきましょう。
先に導入ソフトの選定だけでもしておくと、他のことも決めやすくなります。また、施錠などのセキュリティや衛生面の管理等についても予め考えておきましょう。
個人事業主の開業後のやることリスト
個人事業主は開業後においても、事業そのもの以外に種々の活動があります。以下にやること一覧として一般的なものをご紹介します。
①インボイス制度に対応するかどうか
インボイス制度は、令和5年10月から導入された消費税の新たな仕組みです。課税事業者が消費税を計算する際、仕入れや経費として消費税を控除するために「適格請求書(インボイス)」が必要になります。
個人事業主の場合には、次のいずれかになります。
- 基本的に設立後2年間は免税事業者となるため、その間にインボイス制度への対応を検討する
- 得意先に課税事業者が多いため、当初よりインボイス発行事業者として申請する
参考:納税義務の免除|国税庁
②確定申告の準備
選択した会計ソフトにもよりますが、遅くとも年末までには確定申告の準備をしましょう。年末に帳簿ができていない場合、業務と並行して作成を進める必要があるため大きな負担となります。
会計ソフトの導入時には、所得税のみか、消費税も必要かなど、使用しているソフトでどこまで対応できるかや不明点について具体的に洗い出しておきましょう。
③帳簿を付ける
上記②に関連しますが、青色申告の場合には複式簿記での記帳が必要です。会計ソフトが自動仕訳に対応している場合、最初の自動仕訳の設定が間違っていれば、生成された仕訳を手直しする必要があります。自動仕訳であっても、適切に仕訳ができているかどうかを確認しておきましょう。
④営業活動や集客の施策
事業においては、まず集客が大切です。事業計画で描いたとおりに集客できないことも多々あるため、さらに集客が必要な場合は新たな集客方法を考えることも必要です。
SNS、ブログ、YouTube、LinkedIn、Google広告、メルマガの発行、セミナーの活用等を駆使してネットワークを広げましょう。どれも継続的に行うことで、一定の効果が得られると言えます。
⑤資金の把握や融資の検討
上記③にも関連しますが、個人事業主は損益ばかりではなく、資金繰り(お金のやりくり)に常に目を向けておかねばなりません。資金繰りにおいて運転資金が不足する場合には、事前に融資の検討もしなければなりません。
常に「支出」と「収入」のタイミング、バランスを管理して現金や預金が不足しないことを確認する必要があります。
マネーフォワード クラウド確定申告では、個人事業主やフリーランスの方が確定申告する際に知っておきたい基礎知識や、確定申告の準備、確定申告書の作成方法・提出方法などを分かりやすくまとめた「青色申告1から簡単ガイド」を無料で用意しております。
税理士監修で、40ページ以上の情報がギュッと詰まったお得な1冊となっていますので、毎年使える保存版としてご活用ください。
個人事業主の開業前の経費(開業費)になるものリスト
必要経費とは、事業を運営する上で直接必要となる支出のことです。これに対し、事業を開始する前にその事業にとって必要な支出もあります。事業を開始する準備段階で発生する初期投資は、会計上「開業費」(繰延資産)として認識することが可能です。
開業費は、任意の金額を開業後の任意の時期に必要経費にできるため、事業開始前に「支出」した領収書等は大切に保管しておきましょう。事業開始時に「開業費」としてまとめて計上しておくことが大切です。
本項でご紹介する支払について、所得税では任意の時期に費用化することが可能です。消費税では「その課税仕入れ等を行った日の属する課税期間」において、一括して仕入税額控除をすることができます。
①パソコンなどの購入費用(10万円未満)
10万円未満の什器やIT関連機器などの備品を事業のために事前購入した場合、開業費として計上することが可能です。なお、10万円以上になると原則として資産に計上することとなります。
②ホームページ、ブログの作成費用
ホームページの作成費用についても、金額基準はパソコンなどと同じように考えます。固定資産と同様、10万円以上になると「ソフトウェア」として無形固定資産に計上することが前提となるため、細かな支払が対象となります。
③開業準備の通信費
開業する前に必要となるインターネットの費用、固定電話、郵送料金などの通信費に相当する支出は開業費にできます。また、クラウドサービスの利用料、レンタルサーバの利用料などの支払も開業前であれば、「開業費」として計上することが可能です。
④パンフレットやチラシの費用
開業前に広告宣伝することは、個人事業主にとって重要なことです。パンフレットやチラシ(フライヤー)の作成に伴う支出についても「開業費」として計上できます。表札作成費、名刺作成費などの支出についても同様です。
⑤打ち合わせの費用
開業前に、スタッフ予定者や関係者と打合せすることは多々あります。打ち合わせのための支出についても開業費にできます。何のために誰と打合せをしたのか、領収書や請求書にメモをしておくとよいでしょう。
⑥開業準備の交通費
開業のために支出した交通費も開業費として計上できますが、支出の根拠を明確に残しておきましょう。領収証が発行されない場合には、日付、行先、利用交通機関、金額等を記して残しておくのがよいでしょう。
⑦セミナーや書籍の費用
事業に必要となるセミナーや書籍の支出があれば、開業費にできます。
多くの課題があるから達成感も大きい個人事業主
個人事業主が開業前、開業後にしなければならないことは非常にたくさんあります。個々に挙げたのは共通的な事項のみなので、他にも多くのタスクがあります。
しかし、自分で全てを企画、実行し、成長を実感する喜びは、どんな困難にも勝ります。失敗と成功の積み重ねから得られる達成感と自己成長は、何物にも代えがたい貴重な経験となるでしょう。
マネーフォワード クラウド確定申告の導入事例
データ連携機能を使って、銀行やクレジットカードの明細データを自動で取り込むようになってからは、会計ソフトへの入力作業が減ったので、作業時間は1/10くらいになりましたね。
ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
もっと読む※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
確定申告の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
個人事業主が税理士に依頼するときの相場は?費用を抑える方法も
個人事業主が税理士に依頼する際の相場は、事業規模と依頼内容によって大きく異なります。確定申告のみのスポット依頼から、記帳代行や税務相談まですべて丸投げするケースまで、契約形態はさまざまです。本記事では、個人事業主向けの税理士費用の相場感や契…
詳しくみる個人事業主が使える経費テクニックは?経費にできるものや目安も解説
個人事業主が経費テクニックをうまく活用できると、確定申告時の税負担の軽減が可能です。ただし、適切な処理でなければ税務調査で指摘を受けるリスクもあるため、正しい経費処理の知識が求められます。 本記事では、個人事業主が活用できる経費テクニックや…
詳しくみる個人事業主がお金を借りる方法一覧!目的別の調達方法や仕訳も解説
個人事業主は、「資金繰り」を考えながら事業を運営します。しかし、計画的にせよ、突発的にせよ、外部から借入しなければならないこともあるでしょう。個人事業主の資金調達にはどのような方法があるのでしょうか?この記事では、自営業者やフリーランスが借…
詳しくみるAmazon配送は個人事業主になる?業務内容や年収目安を解説
Amazonでは、業務委託契約を結べば配送業務で個人事業主などとして働けるプログラムが用意されています。 本記事では、個人事業主としてAmazonの配送ができるかどうか、配送業務の内容、そのように働いた場合の収入・稼働時間の目安、登録要件、…
詳しくみる個人事業主の帳簿は手書きでもいい?書き方や注意点を解説
帳簿とは、事業の中で発生した取引やお金の流れなどを記録した台帳のことです。本記事では、帳簿を作成する方法や注意点、帳簿の種類等について確認していきます。「帳簿の書き方や種類がわからない」「帳簿を手書きで作成するメリットは?」という悩みを解決…
詳しくみる屋号とは?使い方や確定申告との関係を解説
屋号とは、個人事業主やフリーランスが用いる会社名のようなものです。屋号を使うことで、事業内容がわかりやすくなったり消費者に覚えてもらいやすくなったりします。 屋号は確定申告の際に記載することができますが、必ず記載しなくてはいけないというもの…
詳しくみる