- 更新日 : 2023年1月26日
未支給年金の確定申告について詳しく解説
年金の受給者が亡くなったとき、まだ受け取っていない年金がある場合、その年金を「未支給年金」といいます。未支給年金は、亡くなった方が、亡くなった日までに支給を受けるはずだったものであるため、受給の権利は相続人に引継がれます。この場合、疑問として挙がりやすいのが、未支給年金は相続人の所得になるのか、相続税の計算に関係するのかということです。この記事では、未支給年金と所得税の確定申告、相続税との関係について解説していきます。
目次
「マネーフォワード クラウド確定申告」なら日々の取引入力→申告書の作成→申告作業が、オンラインで完結します。取引明細の自動取得と仕訳の自動作成に対応しており、手入力を減らしてカンタンに書類を作成。そのままスマホから提出することもできます。
PC(Windows/Mac)だけでなく、スマホアプリからも確定申告が可能です。
未支給年金に確定申告は必要?
年金受給者の方が亡くなると、通常、未支給年金が発生します。未支給年金とは、最後の受給日から亡くなった月までに発生した年金のことで、年金受給者だった方に支払われていない年金のことです。例えば、公的年金のうち老齢基礎年金は2か月に1回、前月分と前々月分がまとめて振り込まれる形になっています。後払いになるため、必ず未支給年金は発生するはずです。
未支給年金については、受給者だった方がすでに亡くなっているため、その相続人などが受け取ることになります。未支給年金を受け取る権利をもつのは、亡くなった方の配偶者、子、孫、親、兄弟など、三親等内の親族です。また、亡くなった方と生計を一にしていた人(共に暮らしていた人など)に限られます。
つまり、未支給年金は、亡くなった年金受給者と生計を一にしていた親族が受け取ることになるため、その人の所得が増えることになります。所得があれば、未支給年金を受け取った人が所得額を計算して、必要に応じて所得税の確定申告をしなければなりません。
詳細は後述しますが、確定申告が必要なケースは、50万円を超える未支給年金として受け取った場合です。言い換えると、50万円以下の未支給年金の受け取りであれば、確定申告の必要はありません。
未支給年金を確定申告する場合の所得の分類
未支給年金は、受け取った人の所得になり、一時所得に分類されます。また一時所得とは、営利目的でない継続的に発生しない所得のことを指します。このうち、労務などの対価、資産の譲渡などの対価にも該当しない所得をいいます。
一時所得は、受け取った額のすべてが所得に計上されるわけではありません。以下の計算式によって、一時所得を計算します。
※経費は、一時所得の収入を生じる行為に直接要した費用に限る。
未支給年金の場合、費用を負担していたのは年金受給者になるため、経費はないものと考えます。考慮すべきは、特別控除額の50万円です。未支給年金の額が特別控除額の50万円以下であれば確定申告は必要ありません。一方、未支給年金が50万円を超える場合は確定申告が必要です(ほかに一時所得がある場合は、ほかの一時所得の収入と合算し、50万円を上回る所得があれば確定申告が必要になります)。
未支給年金を確定申告する場合の提出書類
未支給年金を受け取ったときの確定申告については、特に提出を要する書類はありません。ほかの所得の確定申告と同様、以下の提出書類を準備すれば問題ありません。
なお、確定申告とは直接関係ありませんが、未支給年金を受けるには年金請求の手続きが必要です。未支給年金の請求にあたっては複数の書類の提出が求められるため、請求時の書類もよく確認しておきましょう。
未支給年金に相続税はかかる?
未支給年金は、亡くなった年金受給者が受け取るはずだったものです。亡くなった方から引き継ぐと考えると、相続税がかかるのではないかと疑問に思う人もいるでしょう。
結論からいうと、未支給年金に相続税はかかりません。未支給年金の請求権は一方的に付与される一時金で、過去の最高裁判所の判決で相続性がないと認められているためです。
未支給年金は相続税における一時金にはならないため、所得税計算上の一時所得とされます。
確定申告のやり方
最後に、確定申告のやり方を順に説明します。
1.確定申告に必要な書類を準備する
未支給年金による一時所得を適正に計算するには、提出は必要ないものの根拠となる書類を準備しておく必要があります。未支給年金の請求後には、未支給決定通知書が交付されるため、交付を受けたら確定申告のために手元に保管しておきましょう。
2.確定申告書を作成する
確定申告書は手書きでも作成できますが、国税庁の確定申告書等作成コーナー、確定申告書作成ソフト、ほかに確定申告ソフトの確定申告コーナーからも作成できます。
3.確定申告書を提出する
確定申告書は税務署の窓口のほか、郵送や電子申告が可能です。
4.所得税を納税する(または還付を受ける)
申告期限までに納付または振替納税の日に銀行口座引き落としより納付します。
確定申告については、以下の記事で詳細を説明していますので、こちらもご覧ください。
未支給年金は場合によっては確定申告が必要
未支給年金を受け取った場合、受け取った人の一時所得となります。未支給年金とほかの一時所得と合算して、特別控除額の50万円を超える場合は原則として確定申告が必要になります。確定申告が必要と分かったら、無申告にならないためにも、確定申告のための準備を滞りなく進めましょう。
はじめての確定申告もラクラク安心に済ませる方法
確定申告がはじめての方や、簿記の知識に不安がある方、確定申告書類の作成を効率よく行いたい方は、確定申告ソフトの使用がおすすめです。
個人事業主向け会計ソフトの「マネーフォワード クラウド確定申告」は、確定申告の必要書類が自動作成でき、Windows・Macはもちろん、専用アプリも提供しています。
①取引明細は自動で取得
銀行口座やカードを登録すると、取引明細を自動取得します。現金での支払いに関しても、家計簿のようなイメージで、日付や金額などを自分で入力することが可能です。
②仕訳の勘定科目を自動提案
自動取得した取引明細データや、受領後にアップロードした請求書・領収書などの情報をAIが判別し、仕訳を自動で入力します。学習すればするほど精度が上がり、日々の伝票入力が効率化されます。
③確定申告必要書類の自動作成機能
白色申告・青色申告の両方に対応しており、確定申告に必要な書類が自動で作成できます。また、マネーフォワード クラウド確定申告アプリで、スマホから直接の提出も可能です。印刷しての提出やe-Taxソフトでの提出にも対応しています。
追加料金なしで確定申告以外のサービスが使える
有料プラン(パーソナルミニ・パーソナル・パーソナルプラス)に登録すると、基本料金だけで請求書や契約のサービスを含む11サービスを利用することができます。日々の業務や作業をまとめて効率化しましょう。
合わせて読みたいおすすめ資料
マネーフォワード クラウド確定申告では、さまざまなお役立ち資料を用意しています。 無料登録するだけで資料がダウンロード可能なので、ぜひ読んでみてください。会社員の確定申告 丸わかりガイド
青色申告1から簡単ガイド
個人事業主が知っておくべき経費大辞典
マネーフォワード クラウド確定申告の導入事例
データ連携機能を使って、銀行やクレジットカードの明細データを自動で取り込むようになってからは、会計ソフトへの入力作業が減ったので、作業時間は1/10くらいになりましたね。
ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
もっと読むよくある質問
未支給年金に確定申告は必要?
50万円を超える未支給年金として受け取った場合、確定申告が必要です。詳しくはこちらをご覧ください。
未支給年金を確定申告する場合の提出書類は?
未支給年金に関連して特に提出を要する書類はなく、ほかの所得の確定申告と同様です。詳しくはこちらをご覧ください。
確定申告のやり方は?
必要書類を作成し、申告期限までに納付または振替納税の日に銀行口座引き落としより納付します。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
確定申告の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
フードデリバリー配達員の確定申告の必要性とその方法を解説
近年、料理を自宅などの特定の場所まで配達するフードデリバリーのサービスがさまざまなエリアで提供されるようになりました。これにともない、フードデリバリー配達員のニーズも増加しています。 フードデリバリー配達員は、ピザ配達のように特定の会社に所…
詳しくみるフリーランスエンジニアの確定申告のやり方は?青色申告や経費もあわせて解説
ITや工業系の知識をもった方が、フリーランスの立場で仕事をするビジネススタイルのことを「フリーランスエンジニア」と呼びます。 個人事業主と同じく、確定申告書を提出をしなければなりませんが「青色申告承認申請」の手続きさえすれば節税が可能です。…
詳しくみる外国人の確定申告のやり方は?対象となる所得や控除、必要書類をわかりやすく解説!
外国人でも、1年以上日本に居住して会社勤めをしている場合、所得税の支払いは年末調整が行われるため、確定申告は不要です。しかし、海外から給与の支払いを受けている場合は源泉徴収の対象とならず、確定申告をしなければなりません。 本記事では、外国人…
詳しくみるWebライターは確定申告が必要?やり方と副業の節税方法も解説
Webライターの業種で働いている個人は原則、確定申告が必要です。確定申告には青色申告と白色申告があるなど、初めて確定申告をする人には複雑に感じることもあります。 そこで、ここではWebライターの基本的な確定申告のやり方について解説します。 …
詳しくみる家庭教師に確定申告は必要?個人契約や業務委託、学生の掛け持ちの場合は?
家庭教師をして所得を得ると、確定申告が必要になる場合とならない場合があります。家庭教師には業務委託や直接雇用の塾講師、個人契約などがありますが、契約形態によって所得税法上の所得区分や経費の扱いが変わることがあるため注意が必要です。 社会人が…
詳しくみるミュージシャン向け確定申告の書き方!経費にできるものも解説
ミュージシャンとひと口にいってもバンドマンや歌手、インディーズバンドや楽団などさまざまです。また、働き方も本業や副業、アルバイトといった形があり、同じミュージシャンでも確定申告の必要性や提出書類が異なります。 そこで今回は、ミュージシャンの…
詳しくみる